説明

プラスチック燃料タンクに付属品を固定する方法

プラスチック燃料タンクの壁に付属品を固定する方法。この固定は、前記タンクが成形により製造されると同時にツールを用いてスナップリベット固定により行われ、付属品は、この目的のために、スナップリベット固定が貫通して行われるオリフィスを有してその固定点の少なくとも一点に提供される。本発明によれば、凹状レリーフが、このオリフィスを少なくとも部分的に取り囲み、前記レリーフは、スナップリベット固定時にツールの突出部と協働できるように好適なサイズおよび形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック燃料タンクの壁に付属品を固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いろいろな種類の乗物に搭載される燃料タンクは、通常、設計の対象となる使用形態に関連する密閉基準および透過率基準ならびに遵守しなければならない環境要件を満たさなければならない。欧州においても全世界においても、現在、大気中および一般環境中への汚染物質の排出規制に関する要件のかなりの強化が行われている。
【0003】
こうした排出を規制するために、とくに、付属品(ベンチレーションライン、バルブ、バッフル、スティフナーなど)をタンク内に定置することに注意が払われており、タンクの壁を貫通する開口の数を制限するために、本出願人は、付属品を導入(および配置)するための少なくとも1つのスロットを含むパリソンをタンクの実際の成形時に最初に成形することにより開口の穿設を回避する方法を開発した(特に特許文献1を参照されたい)。
【0004】
本出願人はまた、この固定を行うための特別な方法と(その場での(in situ)スナップリベット固定(特許文献2の主題であり、その内容は、この目的で参照すべく本出願に組み込まれる))、さらにはタンクが、成形後に冷却する際にかなりの収縮(典型的には約3%の収縮)を起こすという事実を考慮してこの方法の改良された方法とを開発した。この改良された方法は、本出願人名義の特許文献3の主題であり、その内容もまた、参照すべく本出願に組み込まれている。
【0005】
この出願の図5に記載されている1つの付属品は、2つの可撓性タブを含むバルブ用支持体であり、これらのタブは、支持体と一緒に一体成形され、スナップリベット固定を可能にするオリフィスを備えている。しかしながら、この図に示されるタブ形状(固定ゾーンにオリフィスを備えた簡単な湾曲舌部)を用いた場合、この付属品をコア上に装填するのは困難であり(コア上に設けられたエンクレーブの外側に舌部が摺動する傾向を有する)、しかもそれに加えて固定時に加わる機械的応力が均一に分配されないことを本出願人は見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1110697号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/008308号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願第2007/051326号明細書
【特許文献4】英国特許第1410215号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、スナップリベット固定を行うツールに対する付属品の自動調心を確保できるように、かつこのプロセス時に応力のより良好な分配を達成できるようにするスナップリベット固定ゾーンの改良された形状を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、プラスチック燃料タンクの壁に付属品を固定する方法に関し、この固定は、前記タンクが成形により製造されると同時にツールを用いてスナップリベット固定により行われ、付属品は、この目的のために、スナップリベット固定が貫通して行われるオリフィスを有してその固定点の少なくとも一点に提供される。本発明によれば、凹状レリーフが、このオリフィスを少なくとも部分的に取り囲み、前記レリーフは、スナップリベット固定時にツールの突出部(凸状レリーフ)と協働できるように好適なサイズおよび形状を有し、この突出部は、実際には、スナップリベット固定を行うために凹状レリーフ中に押入される。
【0009】
「燃料タンク」という用語は、さまざまな変化に富んだ使用条件下および環境条件下で燃料を貯蔵しうる密閉タンク(すなわち壁により境界付けられた中空体)を意味するものとする。このタンクの例は、自動車に取り付けられるタンクである。
【0010】
本発明に係る燃料タンクは、プラスチックから作製される。
【0011】
「プラスチック」という用語は、少なくとも1種の合成樹脂ポリマーを含む任意の材料を意味する。
【0012】
任意のタイプのプラスチックが好適でありうる。とくに好適なプラスチックは、熱可塑性材料の部類に属する。
【0013】
「熱可塑性材料」という用語は、熱可塑性エラストマー、またそのブレンドをはじめとする任意の熱可塑性ポリマーを意味するものとする。「ポリマー」という用語は、ホモポリマーおよびコポリマー(特に二元コポリマーまたは三元コポリマー)の両方を意味するものとする。そのようなコポリマーの例は、ランダムコポリマー、線状ブロックコポリマーおよび他のブロックコポリマー、ならびにグラフトコポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
融点が分解温度未満である任意のタイプの熱可塑性のポリマーまたはコポリマーが好適である。少なくとも摂氏10度にわたる融解範囲を有する合成熱可塑性材料がとくに好適である。そのような材料の例としては、分子量が多分散を呈するものが挙げられる。
【0015】
具体的には、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミド、およびそのコポリマーを使用することが可能である。ポリマーまたはコポリマーのブレンドを使用することも可能であり、同様に、高分子材料と、無機、有機、および/または天然の充填剤、たとえば、カーボン、塩、および他の無機誘導体、天然繊維、または高分子繊維など(ただし、これらに限定されるものではない)とのブレンドを使用することも可能である。以上に記載のポリマーまたはコポリマーのうちの少なくとも1つを含む積層され接合された複数の層で構成された多層構造体を使用することも可能である。
【0016】
使用されることの多いポリマーの1つは、ポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)を用いて優れた結果が得られている。
【0017】
タンクの壁は、単一層もしくは2層の熱可塑性層により構成可能である。1層以上の他の存在可能な追加の層は、有利には、液体および/または気体に対する障壁材料で作製された層により構成可能である。好ましくは、障壁層の特性および厚さは、タンクの内表面に接触する液体および気体の透過率を最小限に抑えるように選択される。好ましくはこの層は、障壁樹脂、すなわち、燃料に対して不透過性である樹脂、たとえば、EVOH(部分加水分解エチレン/ビニルアセテートコポリマー)などを基材とする。他の選択肢として、燃料に対して不透過性になるようにタンクを表面処理(フッ素化またはスルホン化)に付すことが可能である。
【0018】
本発明に係るタンクは、好ましくは、HDPEを基材とする外層間に位置するEVOHを基材とする障壁層を含む。
【0019】
本発明に関連する範囲内では、「付属品」という用語は、
・一般に通常の使用モードおよび動作モードで燃料タンクに一体化されかつ特定の有用な機能を発揮するために燃料タンクと協働する任意の機能物もしくは機能装置;または
・1つ以上のそのようなデバイスのための支持体;
を意味するものとする。
【0020】
そのような装置の例としては、液体ポンプ、レベルゲージ、吐出管、燃料タンク内のリザーバーまたはバッフル、ベント装置(バルブ、管など)、電子ユニット、および補剛バーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明に係る方法の有利な一実施方法によれば、付属品は、実際には、支持体と、任意の好適な固定手段を介して支持体に固定された1つ以上の同一もしくは異なる装置とを含む予備組立構造体である。これら固定手段の例は、クリップ固定、ネジ固定、溶接などである。また、予備組立構造体は、後に固定される可能性のある追加のデバイスを連結できるようにする手段を担持することが有利である。これら手段は、同様に、クリップ固定具、ネジ止めのための円形状の蓋付き孔または螺刻突起、溶接可能な表面領域などである。同一の概念の範囲内で、付属品は、1つ以上の装置を後に固定するのに好適な手段を含む単純な支持体で構成されうる。言い換えれば、付属品は、好ましくは、燃料タンクの1つ以上の機能装置のための固定手段を備えた支持体(付属品のカバーでありうる)または1つ以上のそのような装置を直接担持する支持体のいずれかを含む。
【0022】
本発明によれば、付属品の固定点の少なくとも1つは、スナップリベット固定(溶融材料からその場で(in situで)リベットを成形する冶金分野の通常の技術であり、溶融材料は、固定される部分のオリフィスに通してオーバーフローさせてから、好ましくはオーバーフローさせた部分をいくらか平坦化してリベットの形状を与えた後、固化される)を可能にするオリフィスを備える。
【0023】
好ましくは、スナップリベット固定用オリフィスは、付属品との一体物として成形された、または付属品に結合された固定用タブに作製される。それは、少なくとも1つのオリフィスを備えた付属品の単なる一部分(その全包絡体の一部分)またはオリフィスを備えたその全包絡体上の突出部でありうる。
【0024】
この固定用タブは、1つ以上のオリフィスを備えた舌部、付属品を取り囲みいくつかのオリフィスを含むフランジなど、任意の形状を有しうる。
【0025】
好ましくは、付属品はいくつかの固定用タブを備え、これら固定用タブは、可能であれば固定用タブに亘って一様に分配される。なかでも特に好ましくは、各固定用タブは、付属品に機械的応力(たとえば、単に重力による作用)が加わった際に負荷を分配するためのいくつかのオリフィスを含む。
【0026】
本発明によれば、1つもしくは複数のスナップリベット固定用オリフィスは、凹状レリーフにより取り囲まれる。「凹状」という用語は、実際には、カバーがなく、底部が1つもしくは複数のオリフィスを取り囲んで付属品の一部分により形成され、かつタンクの内側方向を向いている中空形状を意味するものとする。このレリーフは、タンクの壁に実質的に垂直、かつ実質的に円筒状の壁からなりうる。レリーフは、連続もしくは不連続の側壁を有しうる。レリーフは、好ましくは、不連続であるか、またはいかなる場合にも、このレリーフに特定の可動性(変形性)を付与しおよび/またはスナップリベットの目視検査(たとえば、カメラを用いてさらに観察する)を可能にする開口を備える。
【0027】
このレリーフは、舌部または突出部を含みうる。その目的は、構成要素のクランピングを確保することである(すなわち、たとえば舌部を支持する小型ピストンを用いて、舌部をコアに固定する)。構成要素がその固定用タブのごく近傍で保持(クランプ)されるので、ツールによるこのタブの完全な管理、したがってタブに対する良好な位置への定置を確保することが可能になる。クランピングを固定用タブからあまり離間して行うと、タブとクランピング点との間の材料の変形の結果として構成要素のタブを良好な位置に結合させることができなくなる。
【0028】
オリフィスを固定用タブ(または付属品の任意の他の一部分)の一端に配置した場合、このタブ/一部分の壁の単純な拡張によって凹状レリーフを作製することが可能である。
【0029】
本発明の文脈の中では、タンクの壁に付属品が固定されるにもかかわらず、付属品は、タンクの壁へのその固定点に対して移動可能であることが好ましい。さらに、好ましくは、タンクの壁に付属品が固定される点はすべて、タンクの壁上の対応するすべての固定点に対して付属品が移動可能なように固定用部品を備える。
【0030】
この可動性は、さまざまな方法で取得可能である。付属品が少なくとも1つの固定用タブを含む場合、この固定用タブが可撓性舌部の形態をとるようにすれば十分である。すなわち、フラットな部分(ただし、湾曲形、折畳み形などであってもよい)は、固定された時にタンクの壁に対する相対的可動性を付属品に付与する厚さ、形状、および/または構成材料を有する。好ましくは、付属品がタンクに固定される各点は、そのような可撓性舌部を備える。
【0031】
本発明のこの変形形態に係る固定用タブは、好ましくは、その過度の変形を防止するために耐熱性材料を基材とする。POM(ポリオキシメチレン)、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、および金属のような材料は、とくに好適である。HPPEは、少なくとも一般に考えられる厚さ(2〜3mm)では使用温度で変形する可能性があるので、それほど推奨されない。
【0032】
なかでもとくに好ましくは、各固定用タブは、円形オリフィスを備え、円形オリフィスは、好ましくは、タンクに固定するための領域(すなわち、スナップリベット固定時にパリソンに接触する領域)の実質的に中心に位置し、かつ円形オリフィスは、好ましくは、いくつかのスロット(2つ、3つ、4つ、もしくはそれ以上)により取り囲まれ、スロットは、好ましくは、中央オリフィスを取り囲む円周に亘って一様に分配される。その目的は、固定具(スナップリベット固定領域でまだ溶融状態にあるプラスチックに自重が作用する構成要素)の耐荷重強度を増大させることである。一般的には、タブの固定領域は、このタブの湾曲(折畳み)端に位置する。
【0033】
本発明によれば、付属品は、成形時にタンクの壁に固定され、固定用部品に対する付属品の可動性は、好ましくは、HDPEタンクの場合には約3%である成形後収縮を補償しうるのに十分である。
【0034】
燃料タンクの成形は、一般的には、パリソンから開始される。「パリソン」という用語は、所要の形状および寸法に成形された後にタンクの壁を形成するように意図される一般的には押し出されたプリフォームを意味する。一般的には、プラスチック燃料タンクは、フラットシートを熱成形することにより、または必ずしも一体で作製されなければならないとは限らない、押し出された管状パリソンをブロー成形することにより、成形される。
【0035】
タンクは、好ましくは、たとえば2枚のシートでありうる2つの個別部品で構成されたパリソンをブロー成形することにより成形される。しかしながら、これら部品は、好ましくは、上記の特許文献1(この内容は、この目的で参照すべく本出願に組み入れられるものとする)に記載される完全に同一の押し出された管状パリソンをカットすることにより得られる。
【0036】
この変形形態によれば、単一パリソンが押し出されてから、このパリソンが、2つの個別部分(シート)が得られるように直径方向に対向した2本の線に沿ってその全長に沿ってカットされる。
【0037】
独立して押し出された一定の厚さの2枚のシートを成形する場合と比較して、この手段によれば、好適な押出し装置(一般的には、ダイと位置調整可能なパンチとを備えた押出し機)を用いて得られるさまざまな厚さのパリソン(すなわち、その長さに沿って厚さが一定でない)を使用することが可能である。そのようなパリソンでは、成形型内における材料の変形率が一定でない結果としてパリソン上の特定点で成形時に起こる厚さの減少が考慮される。
【0038】
パリソンの成形技術の如何にかかわらず、整形技術は、当然のことながら、パリソンの外表面に接触させることが意図された一般的には2つのキャビティーを含む成形型の使用と、キャビティーの背後から真空を適用してまたはパリソンに注入される加圧ガスを使用してこれらのキャビティーにパリソンを押圧することにより行われるパリソンの熱成形またはブロー成形とを含む。
【0039】
本発明の有利な一変形形態によれば、成形型はまた、少なくとも固定(スナップリベット固定)ツールの一部分が組み込まれたコアを含む。「コア」という用語は、成形型キャビティー間に挿入可能なかつ特定的には成形時にパリソン中に導入可能な好適な形状およびサイズの部品を意味するものとする。このような部品は、たとえば、特許文献4(この内容は、この目的で参照すべく本出願に組み入れられるものとする)に記載されている。有利には、このコアは、複数の付属品を同時にパリソンに固定するために使用可能であり、このことは、たとえばロボットアームのような代替装置では一般に達成できないことである。この変形形態では、付属品は、タンクの内壁に固定され、凹状レリーフは、このタンクの内側方向を向く。
【0040】
コアはまた、パリソンをブロー成形するのに必要とされる加圧ガスを導入するために使用することも可能である。さらに、ブローされるパリソンが2つの部材で構成される場合、コアはまた、少なくともプロセスの特定の工程(一般的には、こうした工程は、タンクを製造するための2つの部材の溶接一体化前に行われる)の間、これら2つの部材の縁を高温に保持するために使用することも可能である。二部材パリソンは、成形型の型開き時に分離可能であり、ひいては充填管の固定を容易にするので、この変形形態に非常に好適である。
【0041】
最後に、プロセス制御のためにコアを少なくとも部分的に使用することも可能である。この目的のために、たとえば、カメラをコア中に組み込むことにより、すでに説明したように付属品の固定の品質を表示し、検査できるようにすることも可能である。また、このカメラにより、充填管(およびタンクのすべての他の存在可能な構成要素)の固定(接続)の品質を検査することも可能である。一般的には、こうした検査は画像解析により行われる。力、ストローク、圧力、温度のような1つ以上の量を測定するための1つ以上のセンサーをコア上に設置することにより、付属品の固定をより良好にモニターできるようにすることも可能である。
【0042】
本発明によれば、付属品は、先に記載したように、好ましくは少なくとも部分的にコアに一体化された好適なツールを用いてスナップリベット固定によりタンクの壁に固定される。このツールは、この目的のために、コアにしっかりと結合され、かつ付属品(その固定用タブ)上に存在する凹状レリーフと協働可能な突出部(凸状レリーフ)を有する。このツールは、一般的には、制御されたアクチュエーター(すなわち、力、ストローク、および/または圧力が一般に制御された液圧ラム)により駆動され、かつ、一般的には、リベット(スナップリベット)の上側部分を成形することを意図されたカウンターフォームまたは中空造形物を含む。いくつかのスナップリベット固定用オリフィスが存在する場合、したがって、いくつかの凹状レリーフが存在する場合、対応する突出部は、単一のスナップリベット固定ツールまたはいくつかの個別のツールの一部分でありうる。好ましくは、ツールは、単一のアクチュエーターにより駆動される単一のツールまたはいくつかのツールである。
【0043】
スナップリベット固定を行うために単にコアの上述の突出部を(そのカウンターフォームと共に)使用するだけでスナップリベットを成形しうることが注目すべき点である。他の選択肢として、以上に述べた特許文献2に詳細に記載されている好ましい変形形態によれば、成形型は、対応する造形物(一種のハンプ)を含む。その役割は、溶融プラスチックをスナップリベット固定用オリフィス中に押し込むのを支援することである。
【0044】
スナップリベット固定ツールが少なくとも部分的にコアにより担持される本発明の変形形態では、固定される付属品の凹状レリーフと協働する突出部がこの上に存在するので、コアの装填を容易にし、かつスナップリベット固定時に加わる応力を自動調心することが可能である。
【0045】
特定的には、パリソンが間置されたキャビティーをコアが覆われるように密封する前にコア上の付属品の適正な定置および調心を確保するために(このパリソンの内壁に前記付属品を良好な位置で固定できるようにするために)、付属品の1つもしくは複数の凹状レリーフが1つもしくは複数のスナップリベット固定ツールの1つ、もしくは複数の突出部に配置された状態で付属品を定置すれば十分である。
【0046】
したがって、本発明に関連する範囲内のとくに有利な一方法は、以下の工程、すなわち、
・以上で説明したように付属品をコアに定置する工程、
・成形型の第1の型締めを行う工程(パリソンを間挿した状態でコアの周りでキャビティーを一体化させる工程)、
・パリソンを成形型キャビティーに対してしっかりと押圧する工程(コアを介してブローすることによりおよび/またはキャビティーの後方で真空を適用することにより)、
・スナップリベット固定により付属品をパリソンに固定する工程、
・成形型を型開きし、コアを取り出し、成形型を再び型締めし、次いでタンクの最終成形を行う工程、
を含む。
【0047】
最後に、本発明は、タンクへの内部付属品の固定に関連する範囲内で開発されたものであるが、タンクへの外部付属品の固定にも適用可能であることに留意することが重要であり、この目的のために、付属品は、成形型キャビティー内に事前に定置される。この変形形態では、成形型キャビティーは、凹状レリーフ(この場合にはタンクの外側方向を向く)と協働可能な突出部を含むスナップリベット固定ツールを備える。これにより、たとえばクリップを用いて良好な結果が得られ、結果的に、タンクの冷却後、付属品をタンクの外表面に固定(クリッピングにより)することが可能である。
【0048】
いかなる限定をも意味するものではないが、本発明を図1〜3に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の有利な一変形形態に好適な付属品を示す図である。
【図2】固定領域の1つにおけるこの付属品の一部分の拡大図である。
【図3】固定用タブと対応するスナップリベット固定ツールとの相補的形状を模式的に示す図である(左側は、空の成形型であり、右側は、スナップリベット固定の原理をよりよく例示するためにパリソン/タンク壁の一部分を有する)。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1および2に示される付属品(1)は、実際には、固定用タブ(2)を備えた多重付属品支持体からなり、固定用タブ(2)は、可撓性を有し、かつ収容することを意図された種々の付属品用アンカーレリーフを有する。
【0051】
図2では、付属品(1)の固定用タブ(2)の形状がより明確に示されており、このタブの湾曲端部(3)は、中央オリフィス(4)と、このオリフィス(4)を取り囲む円周に亘って配置されたいくつかのスロット(5)とを備える。この湾曲端部(3)からは、タブの端部に特定の可動性を付与する2つの陥凹部(7)(タンクの冷却時に材料の収縮を伴うので必要である)と、付属品がタンクの壁に固定された後にスナップリベットの目視検査を行えるようにする、より幅広いウィンドウ(8)とを備えたカップの形状の円筒状壁(6)が延在する。この壁(6)はまた、構成要素をスナップリベット固定ツールにクランプするための舌部(9)をも含む。
【0052】
図3において、コア(示されていない)にしっかりと結合され、かつカウンターフォーム(10’)を含むスナップリベット固定ツール(10)(その一部分だけが模式的に示されている)がどのように成形型(11)内でフォーム(突出部)(11’)と協働してスナップリベットを成形するかを理解することが可能である。これを行うために、ツール(10)は、そのカウンターフォーム(10’)と共に固定用タブ(2)のオリフィス(4)の図3のそれぞれの図において右側に配置され、次に、溶融プラスチックをオリフィス(4)およびスロット(5)に押し込むためにカップの底部に押入する。材料のオーバーフローは、フォーム(ハンプ)(11’)により支援され、かつカウンターフォーム(10’)は、オーバーフローした材料にリベットの形状を付与する。
【符号の説明】
【0053】
1 付属品
2 固定用タブ
3 湾曲端部
4 中央オリフィス
5 スロット
6 円筒状壁
7 陥凹部
8 ウィンドウ
9 舌部
10 スナップリベット固定ツール
11 成形型(11)
10’ カウンターフォーム
11’ フォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック燃料タンクの壁に付属品を固定する方法であって、
この固定は、前記タンクが成形により製造されるのと同時にツールを用いてスナップリベット固定により行われ、
前記付属品は、この目的のために、前記スナップリベット固定が貫通して行われる少なくとも1つのオリフィスを備える、方法において、
前記スナップリベット固定用オリフィスは、前記スナップリベット固定を行うためにツールの凸状レリーフが押入する凹状レリーフにより少なくとも部分的に取り囲まれることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スナップリベット固定用オリフィスは、前記付属品との一体物として成形された、または前記付属品に結合された、固定用タブ中に作製されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記付属品は、いくつかの一様に分配された固定用タブを備え、各固定用タブが、いくつかのスナップリベット固定用オリフィスを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記凹状レリーフは、開口を備えた前記タンクの壁に実質的に垂直、かつ実質的に円筒状の壁からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の前記固定用タブは、前記付属品に前記タンク上の1つ以上の固定用タブの固定点に対する相対的可動性を付与する厚さ、形状、および/または構成材料を有する可撓性舌部である請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記固定用タブのそれぞれは、いくつかのスロットにより取り囲まれた円形オリフィスを備えた湾曲端部を有し、前記スロットは、このオリフィスを取り囲む円周に亘って一様に分配されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タンクは、単一パリソンを押し出して直径方向に対向した2本の線に沿ってその全長にわたり切断することにより取得された2つの個別部材から作製されたパリソンからブロー成形されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記成形は、2つのキャビティーを含む成形型とスナップリベット固定ツールが少なくとも部分的に組み込まれたコアとを用いて行われ、
前記付属品は、前記タンクの内壁に固定され、前記付属品の凹状レリーフが、このタンクの内側方向を向くことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コアは、前記スナップリベット固定の品質の目視制御を可能にするカメラを備える請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スナップリベット固定ツールは、制御されたアクチュエーターにより駆動されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−533079(P2010−533079A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515515(P2010−515515)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059042
【国際公開番号】WO2009/007433
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(507383057)イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム) (65)
【Fターム(参考)】