説明

プラズマの生成を伴わないプラズマ処理システム準備状態の判定

【解決手段】(プラズマ処理チャンバを備える)プラズマ処理システムがウエハを処理できる状態にあるか否かの判定を容易にするための試験システムが開示されている。試験システムは、少なくとも試験プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えてよい。試験プログラムは、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが存在しない時に少なくとも1つのセンサによって検出された信号から導出された電気パラメータ値を受信するためのコードを備えてよい。試験プログラムは、さらに、電気パラメータ値および数学モデルを用いて電気モデルパラメータ値を生成するためのコードを備えてよい。試験プログラムは、さらに、電気モデルパラメータ値を基準モデルパラメータ値情報と比較するためのコードを備えてよい。試験プログラムは、さらに、この比較に基づいてプラズマ処理システムの準備状態を判定するためのコードを備えてよい。試験システムは、さらに、試験プログラムに関連する1または複数のタスクを実行するための回路ハードウェアを備えてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理システムに関し、特に、プラズマ処理システムがプラズマ処理を実行できる状態にある否かを判定することに関する。
【背景技術】
【0002】
容量結合プラズマ(CCP)システム、誘導結合プラズマ(ICP)システム、および、トランス結合プラズマ(TCP)システムなど、プラズマ処理システムは、ウエハ上にデバイスを加工するために様々な業界で用いられている。例えば、それらの業界としては、半導体、磁気読み出し/書き込みおよび記憶、光学システム、ならびに、微小電気機械システム(MEMS)業界が挙げられる。プラズマ処理システムは、デバイスフィーチャをウエハ上に形成できるように、ウエハに対してエッチングおよび/または蒸着を実行するために、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成および維持しうる。
【0003】
一般に、例えば、消耗材料の消耗、構成要素の変形、部品の交換などによって起きるプラズマ処理チャンバ内の変化は、ウエハを処理する際のプラズマ処理システムの性能に悪影響を及ぼしうる。例えば、ウエハがプラズマ処理システムの不適切な準最適条件下で処理されると、プラズマ処理システムの部品が損傷され、かなりの数のウエハを廃棄する必要が生じ、製造時間およびその他のリソースが浪費され、および/または、製造歩留まりが望ましくないものになる可能性がある。したがって、ウエハ処理前にプラズマ処理システムの準備完了状態を保証するための試験を実行することが望ましい場合がある。
【0004】
従来技術では、多数の試験ウエハがプラズマ処理チャンバ内でプラズマによって試験処理され、試験処理の結果に基づいてプラズマ処理システムの準備状態(readiness)が判定されうる。試験処理は、かなりのコストを掛けて、かなりの量のリソースを消費しうる。
【0005】
あるいは、コストおよびリソースの節約のために、プラズマ処理システム準備状態試験は、プラズマ処理システムの特定の位置で測定した電気特性値(電圧、電流、および/または、位相角の値など)を、1組の「フィンガープリント」、すなわち、プラズマ処理システムの準備完了状態を示唆する既知の電気特性値と比較することによって実行されてもよい。試験処理において、プラズマ生成のためのリソースの消費および試験ウエハの消費を回避することができる。しかしながら、測定された電気特性値とフィンガープリントとの間の差は、電力供給システムの問題など様々な理由によって引き起こされうる可能性があり、プラズマ処理チャンバ内の欠陥に限定されない。結果として、プラズマ処理チャンバの問題を示唆する誤警告(false positive alarm)が提供される場合があり、欠陥のないプラズマ処理チャンバのトラブルシューティングを試みて、かなりの時間とリソースが浪費されうる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態は、プラズマ処理システムがウエハを処理できる状態にあるか否かの判定を容易にするための試験システムに関し、プラズマ処理システムはプラズマ処理チャンバを備える。試験システムは、少なくとも試験プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えてよい。試験プログラムは、少なくとも複数の電気パラメータ値を受信するためのコードを備えてよい。複数の電気パラメータ値は、少なくとも1つのセンサによって検出された信号から導出されてよい。信号は、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが存在しない時に、少なくとも1つのセンサによって検出されてよい。試験プログラムは、さらに、少なくとも複数の電気パラメータ値および数学モデルを用いて、1組の電気モデルパラメータ値を生成するためのコードを備えてよい。試験プログラムは、さらに、1組の電気モデルパラメータ値を1組の基準モデルパラメータ値情報と比較するためのコードを備えてよい。試験プログラムは、さらに、この比較に基づいてプラズマ処理システムの準備状態を判定するためのコードを備えてよい。試験システムは、さらに、試験プログラムに関連する1または複数のタスクを実行するための1組の回路ハードウェアを備えてよい。
【0007】
上述の発明の概要は、本明細書に開示された本発明の多くの実施形態の内の1つのみに関するものであり、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定する意図はない。添付の図面を参照しつつ行う本発明の詳細な説明において、本発明の上述の特徴およびその他の特徴を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面では、限定ではなく例示を目的として本発明を図示する。なお、これらの添付図面においては、同様の構成要素には同様の符号が付されている。
【0009】
【図1A】本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマを生成することなく、複数の周波数を含む試験処理でプラズマ処理システムの準備状態を試験するための無プラズマ試験システム(すなわち、NPTシステム)を備えたプラズマ処理システムを示す概略ブロック図。
【0010】
【図1B】本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマ処理システムの部品をモデル化するための電気モデルを示す概略図。
【0011】
【図2A】本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマを生成することなく、複数の測定点を含む試験処理でプラズマ処理システムの準備状態を試験するための無プラズマ試験システム(すなわち、NPTシステム)を備えたプラズマ処理システムを示す概略ブロック図。
【0012】
【図2B】本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマ処理システムの部品をモデル化するための電気モデルを示す概略図。
【0013】
【図3A】本発明の1または複数の実施形態に従って、複数の周波数を含む試験処理の利点を示す概略グラフ。
【0014】
【図3B】本発明の1または複数の実施形態に従って、複数の測定点を含む試験処理の利点を示す概略グラフ。
【0015】
【図4】本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマ処理システムの準備状態の判定を容易にするために、無プラズマ試験ライブラリ(すなわち、NPTライブラリ)を実装するためのNPTシステムに関するタスク/工程を示す概略フローチャート。
【0016】
【図5】本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマ処理システムの準備状態を判定するためのNPTシステムに関するタスク/工程を示す概略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付図面に例示されているいくつかの実施形態を参照しつつ、本発明の詳細な説明を行う。以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。また、本発明が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造については、詳細な説明を省略した。
【0018】
以下では、方法および技術を含め、様々な実施形態について説明する。本発明は、本発明の技術の実施形態を実行するためのコンピュータ読み取り可能な命令を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を含む製品も含みうることに留意されたい。コンピュータ読み取り可能な媒体としては、例えば、コンピュータ読み取り可能な暗号を格納するための半導体、磁気、光磁気、光学、または、その他の形態のコンピュータ読み取り可能な媒体が挙げられる。さらに、本発明は、本発明の実施形態を実施するための装置も含んでよい。かかる装置は、本発明の実施形態に関するタスクを実行するために、専用および/またはプログラム可能な回路を備えてよい。かかる装置の例は、汎用コンピュータおよび/または適切にプログラムされた専用コンピュータデバイスを含み、本発明の実施形態に関する様々なタスクに適合したコンピュータ/コンピュータデバイスおよび専用/プログラム可能回路を組み合わせたものを含んでもよい。
【0019】
本発明の1または複数の実施形態は、プラズマ処理システムがプラズマ処理を実行できる状態にあるか否かの判定を容易にするための試験システムに関する。プラズマ処理システムは、プラズマを閉じ込めるためのプラズマ処理チャンバと、処理されるべきウエハとを含んでよい。試験システムは、少なくとも試験プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えてよい。試験システムは、さらに、試験プログラムに関連する1または複数のタスクを実行するための1組の回路ハードウェアを備えてよい。
【0020】
試験プログラムは、プラズマ処理システムの動作に関連する少なくとも複数の電気パラメータ値を受信するためのコードを備えてよい。複数の電気パラメータ値は、電圧−電流プローブ(すなわち、VIプローブ)および/または電圧制御インターフェースプローブ(VCIプローブ)など、少なくとも1つのセンサによって検出された信号から導出されうる。信号は、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが存在しない時に、1または複数のセンサによって検出されてよい。一般に、試験システムは、プラズマを生成する必要なく、プラズマ処理システムの準備状態の判定を円滑にすることができる。プラズマ生成に関連するリソースを節約できる点で有利である。
【0021】
試験プログラムは、さらに、複数の電気パラメータ値を数学モデルに入力することによって1組の電気モデルパラメータ値を生成するためのコードを備えてよく、1組の電気モデルパラメータ値は数学モデルの出力である。電気モデルパラメータ値は、プラズマ処理システムの様々な部品をモデル化するために、電気モデル構成要素の電気モデルパラメータ(終端容量、ライン容量、および、ラインインダクタンスなど)と関連付けられてよい。例えば、終端容量は、プラズマ処理チャンバをモデル化するためにコンデンサに関連付けられてよく、ライン容量およびラインインダクタンスは、それぞれ、プラズマ処理チャンバと生成器との間に配置された送電ロッドをモデル化するために、別のコンデンサおよびインダクタと関連付けられてよい。
【0022】
試験プログラムは、さらに、プラズマ処理システムの準備状態を判定するために、1組の電気モデルパラメータ値を1組の基準モデルパラメータ値情報と比較するためのコードを備えてよい。
【0023】
容易にわかるように、試験システムは、異なる電気モデルパラメータを、異なるプラズマ処理システム部品に関連付けてよい。したがって、試験システムは、欠陥のないプラズマ処理チャンバに対して誤警告を出すことなく、問題がプラズマ処理チャンバで生じているのか、送電ロッドで生じているのかを判定することができる。プラズマ処理チャンバの不必要なトラブルシューティングおよび不必要な休止時間に関連するコストおよびリソースを排除し、問題を効果的に解決し、生産性を改善できる点で有利である。
【0024】
基準モデルパラメータ値情報は、複数の周波数に関連付けられた、および/または、プラズマ処理システムにおける複数の異なる位置に配置された複数のセンサによって検出された信号から導出された、サンプル電気パラメータ値を用いて生成されてよい。プラズマ処理チャンバの準備状態の判定における一貫性および精度を最適化できる点で有利である。
【0025】
本発明の1または複数の実施形態は、上述の試験システムを含むプラズマ処理システムに関する。
【0026】
本発明の1または複数の実施形態は、上述の試験システムに関する方法に関する。
【0027】
本発明の特長および利点は、図面と以下の説明を参照すれば、よりよく理解できる。
【0028】
図1Aは、本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマを生成することなく、複数の周波数を含む試験処理で(プラズマ処理チャンバ112を備える)プラズマ処理システム100の準備状態を試験するための無プラズマ試験システム150(すなわち、NPTシステム150)を備えたプラズマ処理システム100を示す概略ブロック図である。
【0029】
プラズマ処理チャンバ112は、ウエハがプラズマ処理チャンバ112内部でプラズマによって処理される時に、プラズマおよびウエハを閉じ込めるよう構成されてよい。例えば、プラズマ処理チャンバ112は、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバ、容量結合プラズマ(CCP)チャンバ、または、トランス結合プラズマ(TCP)チャンバであってよい。プラズマ処理チャンバ112は、接地118で接地されてよい。
【0030】
プラズマ処理システム100は、さらに、整合器104(すなわち整合回路104)および高周波ロッド108(すなわちRFロッド108)を通して、例えば、ウエハを処理するプラズマを生成および/または維持するためのプラズマ処理チャンバ112のコイルおよび/または電極に電流を供給するために、高周波生成器(電源)102(すなわちRF生成器(電源)102)などの生成器(電源)を備える。RFロッド108は、電流を流すための同軸給電ケーブルであってよい。
【0031】
1または複数の実施形態において、RF生成器102は、複数の異なる周波数を有する電流を供給可能であってよい。例えば、RF生成器は、第1の周波数を有する第1の電流、第2の周波数を有する第2の電流、および、第3の周波数を有する第3電流などを供給可能であってよい。追加的または代替的に、プラズマ処理システム100は、1または複数の発電機を備えてよく、複数の異なる周波数を有する電流がプラズマ処理チャンバ112に供給されうる。複数の周波数を利用して、本発明の実施形態は、プラズマ処理チャンバ112の準備状態を判定する際の一貫性および精度を改善しうる。複数の周波数を利用する利点の例について、図3Aの例を参照しつつ説明する。
【0032】
プラズマ処理システム100は、さらに、整合器104とRFロッド108との間に接続された電圧電流プローブ106(すなわち、VIプローブ106)などのセンサを備えてよい。センサは、プラズマ処理チャンバ112が受けた電流に関連する電気パラメータ値(電圧、電流の大きさ、および、位相角など)の測定のために用いられてよい。
【0033】
NPTシステム150は、プラズマ処理チャンバ112の準備状態の試験を容易にするために、VIプローブ106と接続されてよい。NPTシステム150は、少なくとも無プラズマ試験プログラム182(すなわち、NPTプログラム182)を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体116を備えてよい。NPTプログラム182は、プラズマ処理チャンバ112の準備状態の試験を容易にするために、VIプローブ106によって提供された電気特性値を利用してモデルパラメータ値を算出するためのコードを備えてよい。コンピュータ読み取り可能な媒体116は、さらに、基準モデルパラメータ情報を格納する無プラズマ試験ライブラリ184(すなわち、NPTライブラリ184)を備えてよい。基準モデルパラメータ情報は、プラズマ処理チャンバ112の準備状態を示すパラメータ値(および/または、その範囲)を表してよい。NPTシステム150は、プラズマ処理チャンバ112の準備状態を判定するために、算出されたモデルパラメータ値を基準モデルパラメータ情報と比較してよい。(電気パラメータ値および電気パラメータフィンガープリントの代わりに)モデルパラメータ値およびモデルパラメータ基準情報をプラズマ処理チャンバ112の準備状態の判定に利用することにより、本発明の実施形態は、誤警告と、それに関連したリソースの無駄を防ぐと共に、検出された問題の位置を示しうる。モデルパラメータを含む電気モデルの一例を、図1Bの例に示す。
【0034】
NPTシステム150は、さらに、プラズマ処理チャンバ112の準備状態の試験を容易にするに当たって、NPTプログラム182に関連するタスクを実行するための1組の回路ハードウェア114を備えてよい。タスクの例については、図4〜図5を参照して説明する。
【0035】
図1Bは、本発明の1または複数の実施形態に従って、図1Aの例に示したプラズマ処理システム100の部品(プラズマ処理チャンバ112およびRFロッド108など)をモデル化するための電気モデル120を示す概略図である。
【0036】
電気モデル120は、プラズマ処理チャンバ112をモデル化するためのコンデンサ142を備えてよい。コンデンサ142は、静電容量Ctermによって表されてよく、終端における静電容量すなわち終端容量を意味する。
【0037】
電気モデル120は、さらに、RFロッド108をモデル化するためのインダクタ−コンデンサ回路130(すなわちLC回路130)を備えてよい。LC回路130は、インダクタ122、インダクタ124、および/または、インダクタ126など、1または複数のインダクタを備えてよく、それらのインダクタは、送電ラインのインダクタンスすなわちラインインダクタンスを意味するインダクタンスLlineなど、1または複数のパラメータによって表される。LC回路130は、さらに、コンデンサ132、コンデンサ134、および/または、コンデンサ136など、1または複数のコンデンサを備えてよく、送電ラインの静電容量すなわちライン容量を意味する静電容量Clineなど、1または複数のパラメータによって表される。
【0038】
パラメータCterm、Lline、および、Clineの値は、電流がRFロッド108を通してプラズマ処理チャンバ112に供給された時に、電気パラメータセンサ(図1Aの例で示したVIプローブ106など)によって実行された測定に基づいて決定された電気パラメータ(例えば、電圧、電流、および/または、位相角)の値を用いて算出されてよい。Ctermの値の異常は、プラズマ処理チャンバ112に関連する問題を示唆し、Lline値および/またはCline値の異常は、RFロッド108(および/または関連する電力供給システム)に関連する問題を示唆しうる。したがって、問題が特定された時に、NPTシステム150は、問題がプラズマ処理チャンバ112に関連するのか、上流の電力供給システムに関連するのかを判定できる。プラズマ処理チャンバ112に関連する誤警告および不必要なトラブルシューティングを防止して、リソースを節約できる点で有利である。
【0039】
本発明の実施形態は、複数の異なる周波数を有する複数の電流がプラズマ処理チャンバ112に供給されることを可能としうる。したがって、複数のパラメータCterm、Lline、およびClineが同時に算出されうる。本発明の実施形態は、レーベンバーグ・マルカート回帰法などの非線形回帰法を用いて、より確実に、より多くのパラメータを評価することができる(すなわち、一定であると仮定しなければならないパラメータ値が少なくなる)ので、プラズマ処理チャンバ112の準備状態を試験する際の粒度および精度を向上しうる点で有利である。
【0040】
図2Aは、本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマを生成することなく、複数の測定点を含む試験処理で(プラズマ処理チャンバ212を備える)プラズマ処理システム200の準備状態を試験するための無プラズマ試験システム250(すなわち、NPTシステム250)を備えたプラズマ処理システム200を示す概略ブロック図である。
【0041】
プラズマ処理チャンバ212は、ウエハがプラズマ処理チャンバ212内部でプラズマによって処理される時に、プラズマおよびウエハを閉じ込めるよう構成されてよい。例えば、プラズマ処理チャンバ112は、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバ、容量結合プラズマ(CCP)チャンバ、または、トランス結合プラズマ(TCP)チャンバであってよい。プラズマ処理チャンバ212は、接地218で接地されてよい。
【0042】
プラズマ処理システム200は、さらに、整合器204(すなわち整合回路204)、高周波ロッド208(すなわちRFロッド208)、および、高周波ストラップ294(すなわちRFストラップ294)を通して、例えば、ウエハを処理するプラズマを生成および/または維持するためのプラズマ処理チャンバ212のコイルおよび/または電極に電流を供給するために、高周波生成器(電源)202(すなわちRF生成器(電源)202)などの生成器(電源)を備える。RFロッド208は、電流を流すための同軸給電ケーブルであってよい。RFストラップ294は、RFロッド208とプラズマ処理チャンバ212との間の接続機構であってよい。
【0043】
プラズマ処理システム100は、さらに、電圧電流プローブ206(すなわちVIプローブ206)および電圧制御インターフェースプローブ296(すなわちVCIプローブ296)など、少なくとも第1のセンサおよび第2のセンサを含む複数のセンサを備えてよい。VIプローブ206は、整合器204とRFロッド208との間に接続されてよい。VCIプローブ296は、RFストラップ294とプラズマ処理チャンバ212との間に接続されてよい。複数のセンサは、プラズマ処理チャンバ212が受けた電流に関連する電気パラメータ値(電圧、電流の大きさ、および、位相角など)についての複数の測定点を提供するために利用されてよい。
【0044】
複数の測定点を利用して、本発明の実施形態は、プラズマ処理チャンバ212の準備状態を判定する際の一貫性および精度を改善しうる。複数の測定点を利用する利点の例について、図3Bの例を参照しつつ説明する。
【0045】
NPTシステム250は、プラズマ処理チャンバ212の準備状態の試験を容易にするために、VIプローブ206およびVCIプローブ296と接続されてよい。NPTシステム250は、少なくとも無プラズマ試験プログラム282(すなわち、NPTプログラム282)を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体216を備えてよい。NPTプログラム282は、プラズマ処理チャンバ212の準備状態の試験を容易にするために、VIプローブ206およびVCIプローブ296によって提供された複数の電気特性値を利用して複数のモデルパラメータ値を算出するためのコードを備えてよい。コンピュータ読み取り可能な媒体216は、さらに、基準モデルパラメータ情報を格納する無プラズマ試験ライブラリ284(すなわち、NPTライブラリ284)を備えてよい。基準モデルパラメータ情報は、プラズマ処理チャンバ212の準備状態を示すパラメータ値(および/または、その範囲)を表してよい。NPTシステム250は、プラズマ処理チャンバ212の準備状態を判定するために、算出されたモデルパラメータ値を基準モデルパラメータ情報と比較してよい。(電気パラメータ値および電気パラメータフィンガープリントの代わりに)モデルパラメータ値およびモデルパラメータ基準情報をプラズマ処理チャンバ212の準備状態の判定に利用することにより、本発明の実施形態は、誤警告と、それに関連したリソースの無駄を防ぐと共に、検出された問題の位置を示しうる。モデルパラメータを含む電気モデルの一例を、図2Bの例に示す。
【0046】
NPTシステム250は、さらに、プラズマ処理チャンバ212の準備状態の試験を容易にするに当たって、NPTプログラム282に関連するタスクを実行するための1組の回路ハードウェア214を備えてよい。タスクの例については、図4〜図5を参照して説明する。
【0047】
図2Bは、本発明の1または複数の実施形態に従って、図2Aの例に示したプラズマ処理システム200の部品(プラズマ処理チャンバ212、RFストラップ294、および、RFロッド208など)をモデル化するための電気モデル220を示す概略図である。
【0048】
電気モデル220は、プラズマ処理チャンバ212をモデル化するためのコンデンサ242を備えてよい。コンデンサ242は、静電容量Ctermによって表されてよく、終端における静電容量すなわち終端容量を意味する。
【0049】
電気モデル220は、さらに、RFストラップ294をモデル化するための抵抗器−インダクタ回路230(すなわちRL回路230)を備えてよい。RL回路230は、1または複数のパラメータ(抵抗Rなど)によって表される1または複数の抵抗器(抵抗器234など)を備えてよい。RL回路230は、1または複数のパラメータ(インダクタンスLなど)によって表される1または複数のインダクタ(インダクタ232など)を備えてよい。
【0050】
電気モデル220は、さらに、RFロッド208をモデル化するための同軸負荷228を備えてよい。同軸負荷228は、インピーダンスZ0によって表されてよい。代替的または追加的に、電気モデル220は、RFロッド208をモデル化するために、図1Bの例に示したLC回路130と同様のインダクタ−コンデンサ回路(すなわちLC回路)を備えてよい。
【0051】
パラメータCterm、R、L、および、Z0の値は、複数の電気パラメータセンサ(複数の位置に配置されたVIプローブ206およびVCIプローブ296など)によって実行された測定に基づいて決定された電気パラメータ(例えば、電圧、電流、および/または、位相角)の値を用いて算出されてよい。Ctermの値の異常は、プラズマ処理チャンバ212に関連する問題を示唆し、R値、L値、および/または、Z0値の異常は、RFストラップ294、RFロッド208、および/または、関連する電力供給システム)に関連する問題を示唆しうる。したがって、問題が特定された時に、NPTシステム250は、問題がプラズマ処理チャンバ212に関連するのか、上流の電力供給システムに関連するのかを判定できる。プラズマ処理チャンバ212に関連する誤警告および不必要なトラブルシューティングを防止して、リソースを節約できる点で有利である。
【0052】
複数の位置に配置された複数の電気パラメータセンサを用いて、本発明の実施形態は、電気モデルパラメータ値を決定する際にノイズおよびエラーを低減しうる。本発明の実施形態は、プラズマ処理チャンバ212の準備状態の試験における精度を向上できる点で有利である。
【0053】
図3Aは、本発明の1または複数の実施形態に従って、複数の周波数を含む試験処理の利点を示す概略グラフである。複数の異なる周波数の複数の電流を与えられて測定された電気パラメータ値を用いて、NPTシステム150(図1Aの例を参照)は、電気モデル120(図1Bの例を参照)のパラメータの値を算出する際にノイズおよびエラーを低減しうる。LlineおよびClineの値が一定であるとすると、Ctermの値のノイズおよび/またはエラーは、単一周波数のシナリオと比較して複数周波数のシナリオでは、実質的に低減される。図3Aの例に示すように、プラズマ処理チャンバ112(図1Aの例を参照)の長期間にわたる多数のNPT試験中に算出されたCtermの値(および/または、ライブラリ実装内の算出されたCtermの基準値)は、複数周波数のシナリオでは単一周波数のシナリオよりも一貫性があり、より狭い範囲内に分布している。与えられたハードウェア構成に対するCtermの一貫性および再現性が重要であり、NPT解析がプラズマ処理チャンバの欠陥検出で高い信頼性を有することを保証する。プラズマ処理チャンバ112の準備状態の判定における精度が、本発明の複数周波数の実施形態に従って改善されうる点で有利である。
【0054】
図3Bは、本発明の1または複数の実施形態に従って、複数の測定点を含む試験処理の利点を示す概略グラフである。プラズマ処理システム200(図2Aの例を参照)内の複数の位置で測定された電気パラメータ値を用いて、NPTシステム250(図2Aの例を参照)は、電気モデル220(図2Bの例を参照)のパラメータの値を算出する際にノイズおよびエラーを低減しうる。他の電気モデルパラメータの値が一定であるとすると、Ctermの値のノイズおよび/またはエラーは、単一測定点のシナリオと比較して複数測定点のシナリオでは、実質的に低減される。図3Bの例に示すように、プラズマ処理チャンバ212(図2Aの例を参照)の長期間にわたる多数のNPT試験中に算出されたCtermの値(および/または、ライブラリ実装内の算出されたCtermの基準値)は、複数測定点のシナリオでは単一測定点のシナリオよりも一貫性があり、より狭い範囲内に分布している。与えられたハードウェア構成に対するCtermの一貫性および再現性が重要であり、NPT解析がプラズマ処理チャンバの欠陥検出で高い信頼性を有することを保証する。プラズマ処理チャンバ212の準備状態の判定における精度が、本発明の複数周波数の実施形態に従って改善されうる点で有利である。
【0055】
図4は、本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマ処理システム(図1Aの例に示したプラズマ処理システム100または図2Aの例に示したプラズマ処理システム200など)の準備状態の試験を容易にするために、無プラズマ試験ライブラリ(図1Aの例に示したNPTライブラリ184または図2Aの例に示したNPTライブラリ284など)を実装するためのNPTシステム(図1Aの例に示したNPTシステム150または図2Aの例に示したNPTシステム250など)に関するタスク/工程を示す概略フローチャートである。本願において、「工程」という用語は、プラズマ処理チャンバの準備状態の判定に関する処理工程、および/または、NPTシステムに関するタスクを意味しうる。NPTシステムは、工程および/またはタスクの実行に関連するコンピュータ読み取り可能なコードを備えてよい。
【0056】
タスク/工程は、NPTシステムおよび/または関連ユーザがプラズマ処理チャンバに関するツールハードウェア構成を監査しうる工程402を含んでよい。工程402は、プラズマ処理チャンバに供給される電力または電流を駆動する周波数を決定する工程、どの電極に電力供給するのかを決定する工程、どのプラズマ処理チャンバ構成要素を電気モデルでモデル化するのかを決定する工程などの内、1または複数の工程を含んでよい。したがって、例えば、図1Aまたは図2Aの例に示した構成と同様のプラズマ処理システムに関するハードウェア構成が決定されうる。
【0057】
工程404において、NPTシステムおよび/または関連ユーザは、例えば、図1Bまたは図2Bの例に示した電気モデルと同様の電気モデルを作成しうる。電気モデルは、関連する電気パラメータ値(すなわち、測定された電圧、電流、および/または、位相角の値)が既知である場合に、モデルパラメータ値(例えば、Cterm、Lline、および/または、Clineの値)を算出できるように、順数学モデルであってよい。順数学モデルは、工程418において、いくつかの周知の回帰アルゴリズム(レーベンバーグ・マルカートアルゴリズムなど)の1つと併せて用いられてよい。代替的または追加的に、逆数学モデルが利用されてもよい。
【0058】
工程406において、NPTシステムは、プラズマ処理チャンバに供給される電流のために複数の周波数が利用可能であるか否かを判定(または、電流に利用できる異なる周波数の数を決定)してよい。例えば、NPTシステムは、プラズマ処理システムが複数の生成器(電源)を含むか否かを判定、および/または、プラズマ処理システムの生成器(電源)が複数の異なる周波数の電流を生成できるか否かを判定してよい。一般に、複数の周波数を与えられると、先述の数学モデルは、単一周波数のみの条件下で生成された結果よりも、良好な粒度で、より正確かつロバストな結果を提供しうる。複数の周波数が利用可能である場合、制御は工程408へ進んでよく、利用可能な周波数が1つのみである場合、制御は工程410へ進んでよい。
【0059】
工程408において、NPTシステムは、複数の周波数を含む複数ステップレシピを作成してよい。レシピは、複数の周波数に関連付けられた複数の動作ステップ(または、処理ステップ)を含んでよい。例えば、レシピは、第1の周波数を有する第1の電流に関連付けられた第1の動作ステップと、第2の周波数を有する第2の電流に関連付けられた第2の動作ステップとを含んでよい。動作ステップは、複数ステップレシピに従ってプラズマが生成されないように、低電力ステップであってよい。
【0060】
工程410において、NPTシステムは、複数の測定点がプラズマ処理システムにおいて利用可能であるか否かを判定(または、異なる位置に配置されたセンサの数を決定)してよい。例えば、NPTシステムは、プラズマ処理システムが、プラズマ処理システムの複数の位置に配置された複数の電気パラメータセンサを備えるか否かを判定してよい。複数の測定点(または、異なる位置の複数のセンサ)が利用可能である場合、制御は工程412へ進んでよく、1つのみの測定点(または、1つのみのセンサ)が利用可能である場合、制御は工程414へ進んでよい。
【0061】
工程414において、NPTシステムは、1つのパラメータを除くすべてのパラメータを固定してよい、すなわち、1つのパラメータ値を未知のパラメータとして指定し、残りのすべてのパラメータ値を既知の一定の値に維持してよい。次いで、制御は工程412へ進んでよい。
【0062】
工程412において、NPTシステムは、単一の周波数に関連付けられた単一ステップレシピを作成してよい。レシピは、動作ステップを1つだけ含んでよい。動作ステップは、単一ステップレシピに従ってプラズマが生成されないように、低電力ステップであってよい。
【0063】
工程416において、NPTは、工程408で得られた複数ステップレシピに従って、または、工程412で得られた単一ステップレシピに従って動作するように、プラズマ処理システムに指示してよい。NPTシステムは、プラズマ処理チャンバの動作を通して得られたサンプルデータを収集してよい。サンプルデータは、1または複数のセンサによって検出された信号から得られた電気パラメータ値(電圧、電流、および/または、位相角の値など)を含んでよい。
【0064】
工程418において、NPTシステムは、(工程404で得られた)順数学モデルと、(工程416で得られた)サンプルデータとを用いて計算を実行してよい。
【0065】
工程420において、NPTシステムは、図1Bおよび/または図2Bの例に示されたCterm、Lline、Cline、R、L、および/または、Z0の内の1または複数の値など、適合したパラメータ値を出力してよい。
【0066】
工程422において、NPTシステムは、適合したパラメータ値を関連するNPTライブラリ(図1Aの例に示したNPTライブラリ184または図2Aの例に示したNPTライブラリ284など)に書き込んでよい。適合パラメータ値は、プラズマ処理チャンバがウエハ処理の準備ができているか否かを判定するための基準情報として利用されてよい。
【0067】
工程424において、NPTシステムは、プラズマ処理チャンバに関連するすべての必要な構成(例えば、ツールハードウェア構成および/またはソフトウェア構成)について、基準モデルパラメータ値情報が取得され、NPTライブラリに含まれているか否かを判定してよい。すべての必要な構成についての基準モデルパラメータ値情報がNPTライブラリに含まれている場合、制御は工程428に進んでよく、少なくとも1つの必要な構成についての基準モデルパラメータ値情報がNPTライブラリに含まれていない場合、制御は工程426に進んでよい。
【0068】
工程426において、NPTシステムは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを次の構成に変更するための命令を提供してよい。次いで、制御は、さらなるサンプルデータを集めるための工程416に戻されて、その後の工程418〜422でさらなる基準モデルパラメータ値情報を取得してよい。
【0069】
工程428において、NPTライブラリを実装する処理が完了し、NPTライブラリは、プラズマ処理システムの準備状態を判定する際に用いられてよい。
【0070】
1または複数の実施形態において、NPTシステムは、プラズマ処理システムの複数の重要な電極について、または、プラズマ処理システムのすべての電極について、図4の例に示した工程の内の1または複数を順次繰り返してよい。例えば、NPTシステムは、まず、プラズマ処理システムの上側電極に対して工程を実行し、その後、プラズマ処理システムの下側電極に対して工程を実行してよい。別の例として、NPTシステムは、まず、プラズマ処理の第1の電極に対して工程を実行し、次いで、プラズマ処理システムの第2の電極に対して工程を実行し、その後、プラズマ処理システムの第3の電極に対して工程を実行してよい。包括的なNPTライブラリを実装できる点で有利である。
【0071】
本明細書で説明した例に基づけば、当業者は、電極が構造的に異なっていても、過度の試験を行うことなく各電極のための1以上の適切な電気モデルおよび/または1以上の適切な数学モデルを構築することができる。
【0072】
図5は、本発明の1または複数の実施形態に従って、プラズマ処理システム(図1Aの例に示したプラズマ処理システム100または図2Aの例に示したプラズマ処理システム200など)の準備状態を試験するためのNPTシステム(図1Aの例に示したNPTシステム150または図2Aの例に示したNPTシステム250など)に関するタスク/工程を示す概略フローチャートである。
【0073】
工程502において、NPTシステムは、チャンバメンテナンスイベントが起きたことを検出しうる。例えば、プラズマ処理チャンバが開かれ、チャンバの1または複数の部品が交換などされて、メンテナンス動作後に、プラズマ処理チャンバの蓋が戻される(すなわち、閉じられる)場合がある。
【0074】
工程504において、NPTシステム(または関連ユーザ)は、チャンバ内の圧力が所望のレベルにあることを保証するための命令を提供してよい。圧力は、必要であれば、低減されてよい。
【0075】
工程506において、NPTシステムは、プラズマ処理チャンバの無プラズマ試験(すなわちNPT)を実行するよう、プラズマ処理システムに対して命令を提供してよい。無プラズマ試験において、プラズマ処理システムの生成器は、プラズマ処理チャンバ内で任意のプラズマを引き起こすことなく電気パラメータ値を測定するために、プラズマ処理チャンバに低電力電流を供給してよい。電気モデルパラメータは、電気パラメータ値および前述の数学モデルを用いて算出されてよい。
【0076】
工程508において、NPTシステムは、NPTの結果(すなわち、電気モデルパラメータ値)を、図4の例に示したタスク/工程から得られたNPTライブラリ(例えば、図1Aの例に示したNPTライブラリ184または図2Aの例に示したNPTライブラリ284)内の基準モデルパラメータ値データ/情報と比較してよい。
【0077】
工程510において、NPTシステムは、NPTの結果がNPTライブラリ内の基準モデルパラメータ値と一致するか否か(または、NPTの結果が基準パラメータデータで規定された所定の範囲内にあるか否か)を判定してよい。NPTの結果が基準モデルパラメータ値データと一致する場合、制御は工程512に進んでよく、NPTの結果が基準モデルパラメータ値データと一致しない場合、制御は工程514に進んでよい。
【0078】
工程512において、NPTシステムは、プラズマ処理システムがウエハを処理できる状態にあると決定してよく、プラズマ処理を開始するようプラズマ処理システムに命令を与えてよい。
【0079】
工程514において、NPTシステムは、問題が、プラズマ処理チャンバに関連している(例えば、電極間のギャップサイズが不正確であることによって引き起こされている)のか、上流の電力供給システムに関連しているのかを判定してよい。NPTシステムは、さらに、問題を解決するためにメンテナンスを実行する警告を出してもよい。メンテナンスが実行された後に、NPTを実行してよい。
【0080】
1または複数の実施形態において、NPTシステムは、プラズマ処理システムの複数の重要な電極について、または、プラズマ処理システムのすべての電極について、図5の例に示した工程の内の1または複数を順次繰り返してよい。例えば、NPTシステムは、まず、プラズマ処理システムの上側電極に対して工程を実行し、その後、プラズマ処理システムの下側電極に対して工程を実行してよい。別の例として、NPTシステムは、まず、プラズマ処理の第1の電極に対して工程を実行し、次いで、プラズマ処理システムの第2の電極に対して工程を実行し、その後、プラズマ処理システムの第3の電極に対して工程を実行してよい。包括的なNPTを実行して、プラズマ処理システムの準備状態を正確に判定できる点で有利である。
【0081】
以上からわかるように、本発明の実施形態は、異なる電気モデルパラメータを、異なるプラズマ処理システム部品に関連付けてよい。したがって、試験システムは、問題がプラズマ処理チャンバで生じているのか、送電ロッドで生じているのかを判定することができる。プラズマ処理チャンバに関連する誤警告が防止されうる。不必要なトラブルシューティングおよび不必要な休止時間に関連するコストおよびリソースを排除し、問題を効果的に解決し、生産性を改善できる点で有利である。
【0082】
本発明の実施形態は、複数の周波数に関連付けられた、および/または、プラズマ処理システムにおける複数の異なる位置に配置された複数のセンサによって検出された信号から導出された、サンプル電気パラメータ値を用いて、チャンバ準備状態試験のための基準モデルパラメータ値情報を生成してよい。プラズマ処理チャンバの準備状態の判定における一貫性および精度を最適化できる点で有利である。
【0083】
以上、いくつかの実施形態を参照しつつ本発明について説明したが、本発明の範囲内で、代替物、置換物、および、等価物が存在する。また、本発明の方法および装置を実施する他の態様が数多く存在することにも注意されたい。さらに、本発明の実施形態は、別の用途で利用されてもよい。要約書が、便宜上、提供されており、文字数の制限に従って、読み手の便宜のために記載されたもので、特許請求の範囲を限定するために用いるべきではない。したがって、以下に示す特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲内に含まれる代替物、置換物、および、等価物の全てを網羅するものとして解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバを備えるプラズマ処理システムがウエハを処理できる状態にあるか否かの判定を容易にするための試験システムであって、前記試験システムは、
少なくとも試験プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記試験プログラムは、少なくとも、
少なくとも複数の電気的パラメータ値を受信するためのコードと、前記複数の電気的パラメータ値は、少なくとも1つのセンサによって検出された信号から導出され、前記信号は、前記プラズマ処理チャンバ内にプラズマが存在しない時に前記少なくとも1つのセンサによって検出され、
少なくとも前記複数の電気的パラメータ値および数学モデルを用いて、1組の電気モデルパラメータ値を生成するためのコードと、
前記1組の電気モデルパラメータ値を1組の基準モデルパラメータ値情報と比較するためのコードと、
少なくとも前記比較の結果に基づいて、前記プラズマ処理システムの準備状態を判定するためのコードと、を備える、コンピュータ読み取り可能な媒体と、
前記試験プログラムに関連する1または複数のタスクを実行するための1組の回路ハードウェアと、
を備える、試験システム。
【請求項2】
請求項1に記載の試験システムであって、さらに
少なくとも、第1の静電容量、第2の静電容量、および、インダクタンスを、前記数学モデルに含めるためのコードと、
前記第1の静電容量を前記プラズマ処理チャンバと関連付けるためのコードと、
前記第2の静電容量を送電ロッドと関連付けるためのコードと、前記送電ロッドは、前記プラズマ処理チャンバと生成器との間に接続されており、
前記インダクタンスを前記送電ロッドと関連付けるためのコードと、
を備え、
前記1組の電気モデルパラメータ値は、前記第1の静電容量の値、前記第2の静電容量の値、および、前記インダクタンスの値を含む、試験システム。
【請求項3】
請求項2に記載の試験システムであって、さらに、
前記第1の静電容量の値が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバはプラズマ処理の準備ができていないと判定するためのコードと、
前記第1の静電容量の値が前記所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバに問題があることを示すためのコードと、
前記第2の静電容量の値および前記インダクタンスの値の少なくとも一方が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている少なくとも1つの所定のパラメータ値範囲の外にある時、前記送電ロッドに問題があることを示すためのコードと、
を備える、試験システム。
【請求項4】
請求項1に記載の試験システムであって、さらに
少なくとも、静電容量、抵抗率、および、インダクタンスを、前記数学モデルに含めるためのコードと、
前記静電容量を前記プラズマ処理チャンバと関連付けるためのコードと、
前記抵抗率を接続機構と関連付けるためのコードと、前記接続機構は、前記プラズマ処理チャンバと生成器との間に接続されており、
前記インダクタンスを前記接続機構に関連付けるためのコードと、
を備え、
前記1組の電気モデルパラメータ値は、前記静電容量の値、前記抵抗率の値、および、前記インダクタンスの値を含む、試験システム。
【請求項5】
請求項4に記載の試験システムであって、さらに、
前記静電容量の値が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバはプラズマ処理の準備ができていないと判定するためのコードと、
前記静電容量の値が前記所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバに問題があることを示すためのコードと、
前記抵抗率の値および前記インダクタンスの値の少なくとも一方が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定された少なくとも1つの所定のパラメータ値範囲の外にある時、前記接続機構に問題があることを示すためのコードと、
を備える、試験システム。
【請求項6】
請求項1に記載の試験システムであって、さらに
少なくとも、第1の周波数を有する第1の電流および第2の周波数を有する第2の電流が前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能であるか否かを判定するためのコードと、
少なくとも、前記第1の周波数を有する前記第1の電流および前記第2の周波数を有する前記第2の電流が前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能である場合に、前記プラズマ処理チャンバを動作させるための複数ステップレシピを作成するためのコードと、前記複数ステップレシピは、少なくとも、前記第1の周波数に関連付けられている第1の動作ステップおよび前記第2の周波数に関連付けられている第2の動作ステップを備え、
少なくとも前記第1の動作ステップおよび前記第2の動作ステップから1組のサンプルデータを収集するためのコードと、
前記1組のサンプルデータおよび前記数学モデルを用いて、1組の適合パラメータ値を算出するためのコードと、
前記1組の適合パラメータ値を前記基準モデルパラメータ値情報に含めるためのコードと、
を備える、試験システム。
【請求項7】
請求項6に記載の試験システムであって、さらに、
単一の周波数のみが前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能である場合に、前記プラズマ処理チャンバを動作させるための単一ステップレシピを作成するためのコードと、前記単一ステップレシピは、前記単一の周波数に関連付けられている多くとも一つの単一の動作ステップを備え、
前記単一の動作ステップから第2の組のサンプルデータを収集するためのコードと、
前記第2の組のサンプルデータおよび前記数学モデルを用いて、第2の組の適合パラメータ値を算出するためのコードと、
前記第2の組の適合パラメータ値を前記基準モデルパラメータ値情報に含めるためのコードと、
を備える、試験システム。
【請求項8】
少なくともウエハを処理するためのプラズマ処理システムであって、
少なくとも前記ウエハを収容するためのプラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理システムの動作に関連する複数の電気特性を検知するための少なくとも1つのセンサと、
少なくとも試験プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記試験プログラムは、少なくとも、
少なくとも複数の電気的パラメータ値を受信するためのコードと、前記複数の電気的パラメータ値は、前記少なくとも1つのセンサによって検出された信号から導出され、前記信号は、前記プラズマ処理チャンバ内にプラズマが存在しない時に前記少なくとも1つのセンサによって検出され、
少なくとも前記複数の電気的パラメータ値および数学モデルを用いて、1組の電気モデルパラメータ値を生成するためのコードと、
前記1組の電気モデルパラメータ値を1組の基準モデルパラメータ値情報と比較するためのコードと、
少なくとも前記比較の結果に基づいて、前記プラズマ処理システムがウエハを処理できる状態にあるか否かを判定するためのコードと、を備える、コンピュータ読み取り可能な媒体と、
前記試験プログラムに関連する1または複数のタスクを実行するための1組の回路ハードウェアと、
を備える、プラズマ処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
少なくとも、第1の静電容量、第2の静電容量、および、インダクタンスを、前記数学モデルに含めるためのコードと、
前記第1の静電容量を前記プラズマ処理チャンバと関連付けるためのコードと、
前記第2の静電容量を送電ロッドと関連付けるためのコードと、前記送電ロッドは、前記プラズマ処理チャンバと生成器との間に接続されており、
前記インダクタンスを前記送電ロッドと関連付けるためのコードと、
を備え、
前記1組の電気モデルパラメータ値は、前記第1の静電容量の値、前記第2の静電容量の値、および、前記インダクタンスの値を含む、プラズマ処理システム。
【請求項10】
請求項9に記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
前記第1の静電容量の値が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理システムはプラズマ処理の準備ができていないと判定するためのコードと、
前記第1の静電容量の値が前記所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバに問題があることを示すためのコードと、
前記第2の静電容量の値および前記インダクタンスの値の少なくとも一方が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている少なくとも1つの所定のパラメータ値範囲の外にある時、前記送電ロッドに問題があることを示すためのコードと、
を備える、プラズマ処理システム。
【請求項11】
請求項8に記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
少なくとも、静電容量、抵抗率、および、インダクタンスを、前記数学モデル内に含めるためのコードと、
前記静電容量を前記プラズマ処理チャンバと関連付けるためのコードと、
前記抵抗率を接続機構と関連付けるためのコードと、前記接続機構は、前記プラズマ処理チャンバと生成器との間に接続されており、
前記インダクタンスを前記接続機構に関連付けるためのコードと、
を備え、
前記1組の電気モデルパラメータ値は、前記静電容量の値、前記抵抗率の値、および、前記インダクタンスの値を含む、プラズマ処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
前記静電容量の値が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理システムはプラズマ処理の準備ができていないと判定するためのコードと、
前記静電容量の値が前記所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバに問題があることを示すためのコードと、
前記抵抗率の値および前記インダクタンスの値の少なくとも一方が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている少なくとも1つの所定のパラメータ値範囲の外にある時、前記接続機構に問題があることを示すためのコードと、
を備える、プラズマ処理システム。
【請求項13】
請求項8に記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
少なくとも、第1の周波数を有する第1の電流および第2の周波数を有する第2の電流が前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能であるか否かを判定するためのコードと、
少なくとも、前記第1の周波数を有する前記第1の電流および前記第2の周波数を有する前記第2の電流が前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能である場合に、前記プラズマ処理チャンバを動作させるための複数ステップレシピを作成するためのコードと、前記複数ステップレシピは、少なくとも、前記第1の周波数に関連付けられている第1の動作ステップおよび前記第2の周波数に関連付けられている第2の動作ステップを備え、
少なくとも前記第1の動作ステップおよび前記第2の動作ステップから1組のサンプルデータを収集するためのコードと、
前記1組のサンプルデータおよび前記数学モデルを用いて、1組の適合パラメータ値を算出するためのコードと、
前記1組の適合パラメータ値を前記基準モデルパラメータ値情報に含めるためのコードと、
を備える、プラズマ処理システム。
【請求項14】
請求項8に記載のプラズマ処理システムであって、さらに、
前記プラズマ処理チャンバに少なくとも電流を供給するための生成器と、
前記電流を送るために前記生成器と前記プラズマ処理チャンバとの間に配置されている送電ロッドと、
前記送電ロッドを前記プラズマ処理チャンバに接続するために前記送電ロッドと前記プラズマ処理チャンバとの間に配置されている接続機構と、
前記プラズマ処理システムの前記動作に関連する第1の組の電気特性を測定するために、前記生成器と前記送電ロッドとの間に接続されている電圧−電流センサと、
前記プラズマ処理システムの前記動作に関連する第2の組の電気特性を測定するために、前記接続機構と前記プラズマ処理チャンバとの間に接続されている電圧センサと、
を備え、
前記少なくとも1つのセンサは、前記電圧−電流センサおよび前記電圧センサを含む、プラズマ処理システム。
【請求項15】
プラズマ処理システムがウエハを処理できる状態にあるか否かの判定を容易にするための方法であって、
少なくとも複数の電気的パラメータ値を受信し、前記複数の電気的パラメータ値は、少なくとも1つのセンサによって検出された信号から導出され、前記信号は、前記プラズマ処理チャンバ内にプラズマが存在しない時に前記少なくとも1つのセンサによって検出され、
少なくとも前記複数の電気的パラメータ値および数学モデルを用いて、1組の電気モデルパラメータ値を生成し、
前記1組の電気モデルパラメータ値を1組の基準モデルパラメータ値情報と比較し、
少なくとも前記比較の結果に基づいて、前記プラズマ処理システムの準備状態を判定すること、
を備える、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
少なくとも、第1の静電容量、第2の静電容量、および、インダクタンスを、前記数学モデルに含、
前記第1の静電容量を前記プラズマ処理チャンバと関連付け、
前記第2の静電容量を送電ロッドと関連付け、前記送電ロッドは、前記プラズマ処理チャンバと生成器との間に接続されており、
前記インダクタンスを前記送電ロッドと関連付けること、
を備え、
前記1組の電気モデルパラメータ値は、前記第1の静電容量の値、前記第2の静電容量の値、および、前記インダクタンスの値を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記第1の静電容量の値が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバはプラズマ処理の準備ができていないと判定し、
前記第1の静電容量の値が前記所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバに問題があることを示し、
前記第2の静電容量の値および前記インダクタンスの値の少なくとも一方が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている少なくとも1つの所定のパラメータ値範囲の外にある時、前記送電ロッドに問題があることを示すこと、
を備える、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
少なくとも、静電容量、抵抗率、および、インダクタンスを、前記数学モデルに含め、
前記静電容量を前記プラズマ処理チャンバと関連付け、
前記抵抗率を接続機構と関連付け、前記接続機構は、前記プラズマ処理チャンバと生成器との間に接続されており、
前記インダクタンスを前記接続機構に関連付けること、
を備え、
前記1組の電気モデルパラメータ値は、前記静電容量の値、前記抵抗率の値、および、前記インダクタンスの値を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
前記静電容量の値が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバはプラズマ処理の準備ができていないと判定し、
前記静電容量の値が前記所定の静電容量値範囲の外にある時、前記プラズマ処理チャンバに問題があることを示し、
前記抵抗率の値および前記インダクタンスの値の少なくとも一方が前記1組の基準モデルパラメータ値情報に規定されている少なくとも1つの所定のパラメータ値範囲の外にある時、前記接続機構に問題があることを示すこと、
を備える、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
少なくとも、第1の周波数を有する第1の電流および第2の周波数を有する第2の電流が前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能であるか否かを判定し、
少なくとも、前記第1の周波数を有する前記第1の電流および前記第2の周波数を有する前記第2の電流が前記プラズマ処理チャンバに対して利用可能である場合に、前記プラズマ処理チャンバを動作させるための複数ステップレシピを作成し、前記複数ステップレシピは、少なくとも、前記第1の周波数に関連付けられている第1の動作ステップおよび前記第2の周波数に関連付けられている第2の動作ステップを備え、
少なくとも前記第1の動作ステップおよび前記第2の動作ステップから1組のサンプルデータを収集し、
前記1組のサンプルデータおよび前記数学モデルを用いて、1組の適合パラメータ値を算出し、
前記1組の適合パラメータ値を前記基準モデルパラメータ値情報に含めること、
を備える、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532424(P2012−532424A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518535(P2012−518535)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/037936
【国際公開番号】WO2011/008376
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】