説明

プラズマ処理炉及びプラズマ処理方法

【課題】プラズマ処理炉における温度計の損傷を防止し、温度計の長寿命化を図る。
【解決手段】被処理体2を収納する処理室S2に、被処理体2のダミー120を備えた。被処理体2とダミー120にはそれぞれ同一極性の電極を接続し、被処理体2の周囲に配置されている放電用導体物51には、被処理体2に接続される電極に対して反対極性の電極を接続した。また、ダミー120の温度を測定する温度計121と、温度計121を被覆する温度計被覆体122を設けた。ダミー120は、温度計被覆体122によって温度計121及び放電用導体物51から電気的に絶縁されている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼材等の被処理体をプラズマを用いて処理するプラズマ処理炉及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばクランクシャフト等の鋼材品の製造においては、鋼材の耐摩耗性や耐食性等を向上させるため、鋼材の表面に窒化鉄層を形成する窒化処理が行われている。かような窒化処理方法の一例として、プラズマ窒化(イオン窒化)がある(特許文献1参照)。この方法は、鋼材品である被処理体を装入した処理室に、窒素ガス(N)を含有した処理ガスを供給し、鋼材品である被処理体を陰極とし、処理室を構成する炉体等の導体を陽極として、両極間にグロー放電を発生させ、これによりイオン化した処理ガス(窒素イオン)を被処理体に対して衝突させ、被処理体の表面に浸入させるものである。
【0003】
上記のような窒化処理を行う処理炉において、被処理体の温度を検出する構成として、処理室内に被処理体のダミーを備え、ダミーの温度を測定するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。この構成においては、被処理体の表面に接触式温度計を取り付け、ダミーの接触温度を直接的に測定するようにしている。そして、ダミーの温度測定値等から、被処理体の温度を推定し、処理室内のヒータの発熱量等を調節することにより、被処理体の温度が所望の窒化処理温度になるように制御する構成となっている。ダミーの温度を測定する温度計としては、例えば熱電対を備えたものが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−2444号公報
【特許文献2】特開平9−89682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の処理炉にあっては、ダミーの温度を測定する温度計が、放電などの影響を受け、損傷するおそれがあった。温度計が損傷すると、ダミーの温度を正確に測定できず、さらに、被処理体の温度を正確に制御できなくなり、安定した処理が行えなくなる問題があった。また、温度計の寿命が短く、温度計を頻繁に交換しなければならず、経済性が悪くなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、温度計の損傷を防止でき、温度計の長寿命化を図ることができるプラズマ処理炉及びプラズマ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、プラズマを発生させることにより被処理体を処理するプラズマ処理炉であって、被処理体を収納する処理室に、被処理体のダミーを備え、前記被処理体と前記ダミーに対してそれぞれ同一極性の電極を接続し、前記被処理体の周囲に配置されている放電用導体物に、前記被処理体に接続される電極に対して反対極性の電極を接続し、前記ダミーの温度を測定する温度計と、前記温度計を被覆する温度計被覆体を設け、前記ダミーは、前記温度計被覆体によって前記温度計及び前記放電用導体物から電気的に絶縁されている構成としたことを特徴とする、プラズマ処理炉が提供される。
【0008】
前記ダミーは、前記温度計被覆体によって保持しても良い。また、前記温度計被覆体は、前記温度計の先端部に設けられている測温部に備えても良い。前記温度計被覆体及び前記測温部は、前記ダミーの内部に挿入しても良い。
【0009】
前記温度計は、熱電対を備えた構成としても良い。前記測温部には、前記熱電対の接合点を設けても良い。また、前記処理室は、被処理体を窒化処理する窒化室であっても良い。
【0010】
さらに、本発明によれば、プラズマを発生させることにより被処理体を処理するプラズマ処理方法であって、処理室に被処理体を収納し、前記処理室において、被処理体と前記被処理体の周囲に配置されている放電用導体物との間、及び、被処理体のダミーと前記放電用導体物との間に、グロー放電を生じさせ、前記温度計被覆体によって被覆され前記ダミーに対して絶縁された状態で備えられている温度計によって、前記ダミーの温度を測定することを特徴とする、プラズマ処理方法が提供される。
【0011】
この処理方法にあっては、前記ダミーを前記温度計によって保持した状態で、前記ダミーの温度を測定しても良い。さらに、前記温度計によって測定された温度に基づいて、前記被処理体の温度を制御するようにしても良い。また、被処理体を窒化処理するようにしても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度計被覆体によって温度計を被覆し、ダミーから絶縁することによって、温度計をダミーに対して近接させた状態にしながらも、温度計が放電の影響によって損傷することを防止できる。従って、温度計の長寿命化を図ることができる。また、温度計をダミーに挿入させることで、ダミーの内部の温度を精度良く測定できる。ひいては、被処理体の温度を正確に制御し、安定した処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1及び図2に示すように、プラズマ窒化処理システム1は、被処理体2を収納して処理する3つの処理室、即ち、被処理体2を加熱処理(予熱処理)する加熱室S1、加熱室S1において加熱処理された被処理体2をプラズマを発生させることにより窒化処理する窒化室S2、窒化室S2において窒化処理された被処理体2を冷却処理する冷却室S3を備えている。加熱室S1、窒化室S2、冷却室S3は、加熱炉3、窒化炉4(プラズマ処理炉)、冷却部5にそれぞれ設けられており、横方向(略水平方向、搬送方向D)において一列に、入口側からこの順に並べて設けられている。また、プラズマ窒化処理システム1には、被処理体2を所定の搬送方向Dに移動させ、加熱室S1、窒化室S2、冷却室S3の順に搬送する被処理体搬送機構6が備えられている(図2参照)。さらに、加熱炉3の入口側には、被処理体2を加熱室S1に搬入する搬入機11が設けられている。冷却部5の出口側には、冷却室S3から搬出された被処理体2を受け取る搬出機12が設けられている。また、加熱炉3と窒化炉4の間には、シャッター室15が設けられている。窒化炉4と冷却部5の間には、シャッター室16がそれぞれ設けられている。加熱炉3、窒化炉4、冷却部5の外部には、プラズマ窒化処理システム1の各部の動作を制御する制御部17、プラズマ窒化処理システム1の各部に電圧を供給する電源ユニット18が設けられている(図1参照)。
【0014】
本実施形態において、被処理体2は、例えばクランクシャフトあるいはカムシャフト等の複数の金属製品であり、金属等の導電性を有する支持部材2a(トレー等)によって保持された状態で、支持部材2aと一体的に搬送されるようになっている。被処理体2の材質は、クランクシャフトの場合は例えば炭素鋼あるいは合金鋼等の鋼材であり、カムシャフトの場合は例えば鋳鉄等である。
【0015】
加熱炉3は炉体21を備えており、この炉体21の内部空間が加熱室S1となっている。炉体21の入口側には、被処理体2の搬入口22と、搬入口22を開閉するシャッター23が設けられている。炉体21の出口側には、被処理体2の搬出口25と、搬出口25を開閉するシャッター26が設けられている。シャッター26は、シャッター室15内において移動するようになっている。また、加熱室S1には、被処理体2を加熱室S1において搬送するチェーンコンベア31(図2参照)、加熱室S1内の被処理体2を放射熱によって加熱する加熱室ヒータ(図示せず)、加熱室S1内の雰囲気を攪拌する攪拌機構34(ファン)が設けられている。さらに、加熱室S1には、加熱室S1内を減圧(真空引き)する加熱室減圧機構42と、加熱室S1内に加熱用ガス又はパージ用ガスとして例えば窒素ガス(N)を供給する加熱室ガス供給路43が接続されている(図2参照)。
【0016】
窒化炉4は、いわゆる横型炉の構造になっており、例えば長さ方向(軸方向)を搬送方向Dに向けた略円筒状をなす炉体51を備え、この炉体51の内部空間が窒化室S2となっている。炉体51は、金属(導体)によって構成されている。炉体51の入口側には、被処理体2の搬入口52と、搬入口52を開閉するシャッター53が設けられている。シャッター53は、シャッター室15内において移動するようになっている(図2参照)。炉体51の出口側には、被処理体2の搬出口55と、搬出口55を開閉するシャッター56が設けられている。シャッター56は、シャッター室16内において移動するようになっている。
【0017】
図3及び図4に示すように、窒化室S2には、被処理体2を窒化室S2において搬送するチェーンコンベア61、被処理体2を放射熱によって加熱するヒータ62(窒化室ヒータ)が設けられている。さらに、ヒータ62の発熱が拡散して炉体51等に奪われることを抑制する熱遮蔽体63(窒化室熱遮蔽体)、熱遮蔽体63の入口側の開口部分を開閉する入口側熱遮蔽扉64、熱遮蔽体63の出口側の開口部分を開閉する出口側熱遮蔽扉65が設けられている。また、被処理体2を窒化室S2内でチェーンコンベア61に対して昇降移動させる被処理体昇降機構66が備えられている。被処理体昇降機構66には、電極体67が設けられている。炉体51には、炉体51を冷却する冷却水を通過させる冷却水路68が内蔵されている。
【0018】
ヒータ62は、熱遮蔽体63(後述する側壁部63a、63b)の内側に設けられている。図示の例では、熱遮蔽体63の内面に沿って、被処理体2の側方にそれぞれ配置されるように設けられており、被処理体2を両側全体から加熱するようになっている。ヒータ62には、電源ユニット18から交流電源が供給される。
【0019】
熱遮蔽体63は、図4に示すように、搬送方向Dからみて略コの字状をなし、チェーンコンベア61又は被処理体昇降機構66によって保持された状態の被処理体2の側方(被処理体2の幅方向において両側)にそれぞれ備えられる側壁部63a、63bと、被処理体2の上方に備えられる上板部63cとを有している。即ち、窒化室S2内の被処理体2の周囲において、被処理体2の側方及び上方を囲むように設けられている。なお、熱遮蔽体63は、断熱性の高い材質(断熱材)によって形成しても良い。
【0020】
上板部63cの中央部(即ち、チェーンコンベア61又は被処理体昇降機構66によって保持された被処理体2の上方)には、開口81が設けられている。図示の例では、開口81は、上方からみた平面視において、窒化処理を行う際の所定位置に配置された被処理体2の上部中央に重なるような位置に設けられている。開口81の周縁部には、開口壁体82が備えられている。開口壁体82は、開口81の周縁部から外側(上板部63cの上方)に向かって立設され、また、開口81の周縁部全体に沿って設けられている。開口81と開口壁体82の上方には、開口81(開口壁体82の上部開口)を開閉させる蓋体83が設けられている。蓋体83は、炉体51の天井部に取り付けられている蓋体昇降機構84(蓋体移動機構)の下端部によって支持されており、蓋体昇降機構84の作動により、略鉛直方向に沿って昇降し、開口81を開閉するようになっている。
【0021】
被処理体昇降機構66は、被処理体2に対して電圧を印加するための電極体67と、電極体67を窒化室S2内において昇降させる昇降機112と、電極体67を昇降機112から絶縁させる絶縁体113とを備えている。電極体67は、窒化室S2内においてチェーンコンベア61の内側(チェーンベルトの間)に設けられている(図5参照)。
【0022】
各電極体67には、窒化室S2の外部に設けられているプラズマ用電源115(直流電源)の陰極(第一の極性の電極)が、配線等を介して接続されている。一方、プラズマ用電源115の陽極(第二の極性の電極)は、例えば炉体51に対して配線等を介して接続されている。即ち、本実施形態において、被処理体2の周囲に配置される放電用導体物とは、炉体51のことである。さらに、プラズマ用電源115の陰極は、後述するダミー120にも接続されている。つまり、電極体67(被処理体2)と後述するダミー120には、それぞれ同一極性の電極が並列に接続され、放電用導体物には、電極体67(被処理体2)に対して反対極性の電極が接続されるようになっている。
【0023】
また、炉体51と電極体67は、絶縁体113によって電気的に絶縁されている。即ち、絶縁体113を設けることで、プラズマ用電源115の陰極と陽極が短絡して電圧が低下すること、アーク放電等の異常放電が生じて処理効率が低下すること等を防止するようになっている。また、図5に示すように、電極体67によって被処理体2を支持し、昇降機112によって絶縁体113及び電極体67を上昇させると、被処理体2をチェーンコンベア61から持ち上げ、電極体67以外の部分から絶縁した状態にすることが可能な構成になっている。絶縁体113は、耐熱性、電気絶縁性等が高い材質、例えばセラミックス等によって形成されている。
【0024】
さらに、窒化炉4には、被処理体2のダミー120(ダミーワーク)と、ダミー120の温度を測定する温度計121(ダミー用温度計)が備えられている。ダミー120は、窒化室S2内において、温度計121を被覆する温度計被覆体122によって保持されている。即ち、ダミー120は温度計被覆体122を介して温度計121に取り付けられており、さらに、温度計121を介して炉体51等に対して固定されている。また、ダミー120は、温度計被覆体122によって、温度計121や炉体51等から絶縁されている。
【0025】
図6及び図7は、ダミー120と温度計121の断面図を示している。図6及び図7に示すように、温度計121は、熱電対131と、熱電対131を保護する直管状(細長い円管状)の熱電対保護管132(シース)と、熱電対保護管132の基端部を保持する取り付け具133を備えている。即ち、シース熱電対を用いた構成になっている。
【0026】
熱電対131は、2本の熱電対素線131a、131b(金属線)を備えている。各熱電対素線131a、131bは、熱電対保護管132の内部において、熱電対保護管132の長さ方向に沿ってそれぞれ延設されている。熱電対保護管132の先端部には、熱電対素線131a、131bの接合部131cが設けられている。即ち、温度計121の先端部(熱電対保護管132の先端部)は、接合部131cを備える測温部135となっている。
【0027】
熱電対保護管132は、例えば金属あるいはセラミックス等、耐熱性及び剛性が高い材質によって形成されており、先端部においてダミー120を支持することが可能な強度を有している。なお、熱電対保護管132の内部には、絶縁性を有する充填材136が充填されている。即ち、熱電対131と熱電対保護管132とは、充填材136によって互いに電気的に絶縁されている。熱電対保護管132の基端部には、取り付け具133が設けられている。
【0028】
また、熱電対保護管132は、窒化室S2内において、熱遮蔽体63(図示の例では側壁部63b)を外側から内側に向かって厚さ方向に貫通した状態で設けられている。即ち、熱電対保護管132の長さ方向を被処理体2の幅方向に沿って、略水平に向けた状態で設けられている。測温部135は、熱遮蔽体63の内側(側壁部63bと被処理体2の側部との間)に備えられている。取り付け具133は、例えば炉体51に取り付けられている。
【0029】
なお、温度計121は、炉体51、ヒータ62、熱遮蔽体63等に対して、電気的に絶縁された状態で取り付けられている。従って、温度計121に取り付けられているダミー120と温度計被覆体122も、炉体51、ヒータ62、熱遮蔽体63等に対して、電気的に絶縁されている。
【0030】
また、温度計121(熱電対素線131a、131bの基端部側)は、炉体51の外部に設置されている温度検出部138に対して、取り付け部133、配線等を介して電気的に接続されている。即ち、熱電対131に生じた熱起電力が、温度検出部138によって検知され、これに基づいて、接合部131cの温度が測定される構成になっている。さらに、温度検出部138において測定された測定値は、温度検出部138から制御部17に送信されるようになっている。
【0031】
温度計被覆体122は、例えばセラミックス等の絶縁体によって形成されており、測温部135を覆うように備えられている。これにより、測温部135は、温度計被覆体122の外側の雰囲気に対して接触しないように保護されている。また、温度計被覆体122の先端部は、ダミー120に形成されている挿入穴120aの内部に挿入されている。即ち、測温部135は、ダミー120の内部に挿入された状態で備えられている。
【0032】
ダミー120は、被処理体2と同一の材質(被処理体2と同様の組成、物性を有する材料)によって形成される。例えば被処理体2が鋼材品である場合は、ダミー120も同一の鋼材によって形成される。ダミー120の寸法は、被処理体2よりも小さくても良く、温度計121によって支持可能な大きさであれば良い。また、ダミー120は、温度計被覆体122の先端部に取り付けられて、熱遮蔽体63の内側において、所定の高さに保持されている。さらに、被処理体昇降機構66によって保持された被処理体2(窒化処理を行う際の所定位置に配置された被処理体2)に対して近接した位置に配置されるようになっている。
【0033】
なお、ダミー120は、温度計被覆体122の先端部側の表面を覆うように、即ち、温度計被覆体122の表面に対して接触している状態で保持されているが、温度計121に対しては接触していない状態(非接触状態)になっている。さらに、窒化室S2内に存在するその他の機器(チェーンコンベア61、被処理体昇降機構66、熱遮蔽体63、入口側熱遮蔽扉64、出口側熱遮蔽扉65等)に対しても非接触状態になっている。要するに、ダミー120は、温度計被覆体122にのみ接触している状態で固定されている。また、ダミー120は、被処理体昇降機構66によって保持された被処理体2に対しても接触しない位置に設けられている。被処理体昇降機構66によって保持された被処理体2とダミー120との間には、所定の間隔L(例えば被処理体2の幅方向(搬送方向Dに対して略垂直な水平方向)において、約10mm〜50mm程度、さらに好ましくは、約20mm〜40mm程度)が設けられるようになっている。
【0034】
さらに、ダミー120には、プラズマ用電源115の陰極(炉体51に対して反対極性の電極)が、配線などを介して電気的に接続されている。なお、前述のように、ダミー120と炉体51は、温度計被覆体122、温度計121等によって電気的に絶縁されている。即ち、温度計被覆体122等を設けることで、プラズマ用電源115の陰極と陽極が短絡して電圧が低下すること、アーク放電等の異常放電が生じて処理効率が低下すること等を防止するようになっている。
【0035】
また、窒化室S2には、図3に示すように、窒化室S2内を減圧(真空引き)する窒化室減圧路141が接続されている。窒化室減圧路141は、窒化室S2の外部において、例えば真空ポンプ等を備えた減圧機構142(窒化室減圧機構)に接続されている。さらに、窒化室S2内に例えば窒素ガス(N)、水素ガス(H)、プロパンガス(C)等の炭化水素系のガス、アンモニアガス(NH)等を処理ガス又はパージ用ガスとして供給する窒化室ガス供給路143が設けられている。窒化室ガス供給路143は、窒化室S2の外部において、窒化室ガス供給源ユニット145に接続されている。窒化室ガス供給源ユニット145には、窒素ガス供給源145a、水素ガス供給源145b、プロパンガス供給源145c、アンモニアガス供給源145dが設けられている。
【0036】
冷却部5は、図2に示すように、筐体151を備えており、この筐体151の内部空間が冷却室S3となっている。筐体151の入口側には、被処理体2の搬入口152と、搬入口152を開閉するシャッター153が設けられている。シャッター153は、シャッター室16内において移動するようになっている。筐体151の出口側には、被処理体2の搬出口155と、搬出口155を開閉するシャッター156が設けられている。また、冷却室S3には、被処理体2を冷却室S3において搬送するチェーンコンベア161、冷却室S3内の雰囲気を攪拌する攪拌機構164(ファン)が設けられている。さらに、冷却室S3には、冷却室S3内を減圧(真空引き)する冷却室減圧機構172、冷却室S3内に冷却用ガス又はパージ用ガスとして例えば窒素ガス(N)を供給する冷却室ガス供給路173が接続されている。
【0037】
被処理体搬送機構6は、図2に示すように、前述した加熱室S1のチェーンコンベア31、窒化室S2のチェーンコンベア61、冷却室S3のチェーンコンベア161、シャッター室15に設けられているローラ181、シャッター室16に設けられているローラ182を備えている。
【0038】
上述したプラズマ窒化処理システム1の各部の機能要素は、制御部17(図1参照)の命令によって制御される。制御部17は、例えば汎用コンピュータ等を備え、所定の処理レシピに従って被処理体2を自動的に処理する制御を行うように構成されている。即ち、制御部17の制御により、後述する加熱処理、窒化処理、冷却処理を自動的に行わせることができる。
【0039】
前述したように、制御部17には、温度検出部138から温度計121の測定値が送信されるようになっている。制御部17は、温度検出部138から送信された測定値に基づいて、ヒータ62の発熱量(電源ユニット18の電圧)、冷却水路68における冷却水の流量、蓋体昇降機構84による蓋体83の移動量(開口81の開度)、プラズマ用電源115の電圧等を調節することができ、これにより、窒化室S2内の被処理体2の温度を制御できるようなっている。
【0040】
また、図示はしないが、プラズマ窒化処理システム1には、加熱室S1の温度、圧力、窒化室S2の圧力、冷却室S3内の温度、圧力等をそれぞれ検出する温度計、圧力計等の検出センサが設けられており、それらの検出値も制御部17に送信されるように構成されている。即ち、制御部17は、各検出センサの検出値に基づいて、プラズマ窒化処理システム1の各部を制御するようになっている。
【0041】
次に、以上のように構成されたプラズマ窒化処理システム1を用いたプラズマ窒化(イオン窒化)処理方法について説明する。先ず、加熱室S1に被処理体2が搬入される。即ち、被処理体2が搬入機11から搬入口22を通じて加熱室S1に搬送され、チェーンコンベア31上に受け渡される。
【0042】
搬入口22が閉じられて加熱室S1内が密閉されると、加熱室減圧機構42の作動により、加熱室S1内が減圧され、略真空状態(例えば約0.1Torr程度(約13.3Pa程度))にされる。その後、加熱室ガス供給路43を通じて加熱室S1内に窒素ガスが供給される。これにより、加熱室S1内から酸化性雰囲気(O)が排出され、加熱室S1内が窒素ガスによってパージされ、処理圧力(加熱室S1の圧力)は、例えば約500Torr程度(約66.7kPa程度)にされる。そして、図示しないヒータの発熱によって、チェーンコンベア31上の被処理体2が例えば約500℃程度まで加熱される。
【0043】
一方、窒化室S2においては、窒化室S2の搬入口52、搬出口55がそれぞれシャッター53、56によって閉じられ、窒化室S2が密閉状態にされた状態で、減圧機構142の作動により、窒化室S2内が減圧された状態(例えば約1Torr程度(約133.3Pa程度))になっている。また、窒化室ガス供給路143を通じて窒化室S2内に窒素ガスが供給された状態になっている。即ち、窒化室S2内は窒素ガスによってパージされている。さらに、窒化室S2内の温度は、ヒータ62の発熱によって所定温度(例えば約500℃〜550℃程度)に昇温されている。また、冷却水路68には、冷却水が適宜供給される。即ち、窒化室S2内の温度は、ヒータ62の発熱量と冷却水路68の冷却水の流量を調節することによって、所定の温度に制御されている。
【0044】
加熱室S1における加熱処理が終了すると、再び減圧機構42が作動させられ、加熱室S1内が窒化室S2の圧力と同程度(例えば約1Torr程度)に減圧される。その後、搬出口25、搬入口52がそれぞれ開かれ、加熱室S1と窒化室S2が、シャッター室15を通じて互いに連通させられる。窒化室S2では、入口側熱遮蔽扉64が移動させられ、熱遮蔽体63の入口側が開かれる。
【0045】
かかる状態において、被処理体2が搬送方向Dに沿って移動させられ、加熱室S1から搬出口25、シャッター室15、搬入口52を通じて、窒化室S2に搬送される。即ち、被処理体2がチェーンコンベア31上からチェーンコンベア61上に受け渡される。被処理体2が窒化室S2に搬入されると、窒化室S2の搬入口52が閉じられ、窒化室S2内は、再び密閉状態にされる。
【0046】
窒化室S2に搬入された被処理体2は、チェーンコンベア61の駆動により、熱遮蔽体63の内側の所定位置に搬送された後、静止させられる。熱遮蔽体63の入口側と出口側は、入口側熱遮蔽扉64、出口側熱遮蔽扉65によってそれぞれ閉じられる。さらに、被処理体昇降機構66の駆動により電極体67が上昇させられ、チェーンコンベア61上に保持されている被処理体2が電極体67によって押し上げられる。即ち、被処理体2はチェーンコンベア61から上方に離隔し、熱遮蔽体63の内側において電極体67上に載せられた状態、また、電極体67以外の部分(昇降機112、炉体51、チェーンコンベア61等)から電気的に絶縁された状態になる。こうして、被処理体2は、被処理体昇降機構66に支持された状態で、所定の高さで静止させられ、熱遮蔽体63、入口側熱遮蔽扉64、出口側熱遮蔽扉65によって囲まれた状態になる。なお、この状態においては、被処理体2の側部は、ダミー120に対して非接触状態(ダミー120から所定の間隔Lを空けた状態)で近接する。被処理体2は、ダミー120、温度計121等からも電気的に絶縁されている。
【0047】
また、被処理体2が窒化室S2に搬入され、搬入口52が閉じられて窒化室S2内が密閉されると、窒化室ガス供給路143を通じて窒化室S2内に窒素ガスを含む処理ガス(例えば窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、アンモニアガス等の混合流体)が供給される。これにより、窒化室S2内の圧力が、所定の処理圧力(例えば約3Torr〜8Torr程度(約400Pa〜1067Pa程度)に昇圧される。
【0048】
こうして、窒化室S2内に処理ガスが供給され、被処理体2が電極体67によって支持された状態において、プラズマ用電源115によって電圧が印加され、窒化処理が行われる。即ち、電極体67及び被処理体2が陰極となり、炉体5が陽極となって、両極間にグロー放電が起こり、プラズマが発生する。即ち、窒化室S2内の処理ガスがイオン化される。イオン化した処理ガス(窒素イオン)は、被処理体2に対して衝突し、被処理体2の表面に浸入する。これにより、被処理体2の表面に、窒化鉄層が形成される。
【0049】
また、被処理体2にプラズマ用電源115によって電圧が印加されると同時に、ダミー120にも電圧が印加される。すると、ダミー120が陰極となり、炉体51が陽極となって、この両極間にもグロー放電が起こり、プラズマが発生する。イオン化した処理ガスは、ダミー120の表面にも浸入する。従って、被処理体2と同様に、ダミー120の表面にも窒化鉄層が形成される。こうして、ダミー120に対しても被処理体2と同様に、電圧の印加と窒化処理が行われる。
【0050】
なお、窒化処理が行われる間、窒化室S2内の処理温度、被処理体2の温度は、ヒータ62の発熱、グロー放電による加熱(イオン化した処理ガスが被処理体2に衝突することによる加熱)、冷却水路68による冷却を制御することで、所定温度(例えば約500℃〜550℃程度)に調節される。また、開口81を開閉することで、開口81を通じて熱遮蔽体63内の熱が放出される状態と放熱されない状態とを切り替えることができる。これにより、被処理体2の上部の温度を調節することができる。
【0051】
また、ダミー120の温度も、被処理体2と同様に、ヒータ62の発熱、グロー放電による加熱等によって昇温されながら、開口81の開閉、冷却水路68による冷却等によって冷却されることにより、被処理体2とほぼ同程度の温度(例えば約500℃〜550℃程度)に調節される。
【0052】
窒化処理における被処理体2の温度は、温度計121によって測定された測定値に基づいて制御される。即ち、温度検出部138において求められた温度計121の測定値が制御部17に送信され、制御部17において、送信された測定値から被処理体2の実際の温度が推定される。そして、この推定値が目標値に近づくように、ヒータ62の発熱量等が調節される。これにより、被処理体2の実際の温度が、目標値に近づくように制御される。
【0053】
なお、温度計121の測温部135はダミー120の内部に挿入されているので、温度計121においては、ダミー120の内部の実際の温度を、精度良く測定することができる。即ち、測温部135には、温度計被覆体122を介してダミー120の内部の熱が伝熱し、測温部135の温度はダミー120とほぼ同じ温度、即ち、被処理体2とほぼ同じ温度に昇温される。従って、ダミー120の接触温度や被処理体2の接触温度に近い測定値を得ることができる。制御部17は、温度計121による精度の良い測定値を利用して、被処理体2の温度を適切に制御することができる。
【0054】
以上のようにして、窒化室S2における窒化処理が終了すると、プラズマ用電源115による電圧の供給が停止され、グロー放電が停止される。また、被処理体昇降機構66の駆動により、電極体67と被処理体2が下降させられる。すると、被処理体2が電極体67からチェーンコンベア61に受け渡され、電極体67は、チェーンコンベア61及び被処理体2の下方に下降させられる。また、出口側熱遮蔽扉65が移動させられ、出口側通過口63eが開かれる。さらに、搬出口55、搬入口152それぞれ開かれ、窒化室S2と冷却室S3が、シャッター室16を通じて互いに連通させられる。
【0055】
かかる状態において、被処理体2が搬送方向Dに沿って移動させられ、熱遮蔽体63の内側から出口側通過口63e、搬出口55、シャッター室16、搬入口152を通じて、冷却室S3に搬送される。即ち、被処理体2がチェーンコンベア61上からチェーンコンベア161上に受け渡される。被処理体2が冷却室S3に搬入されると、冷却室S3の搬入口152が閉じられ、冷却室S3内が密閉状態にされる。
【0056】
冷却室S3に搬入された被処理体2は、チェーンコンベア161の駆動により、冷却室S3の所定位置に搬送され、静止させられる。また、冷却室S3に冷却室ガス供給路173を通じて窒素ガスが供給され、冷却室S3内が所定の処理圧力(例えば約500Torr程度)に昇圧され、冷却処理が行われる。被処理体2から放熱される熱は、冷却室S3内の窒素ガス、筐体151等を介して、図示しない冷却水路内の冷却水に伝達し、冷却水と共に冷却部5から排熱される。かかる冷却処理により、被処理体2の温度は、約500℃〜550℃程度から約100℃〜150℃程度まで下げられる。
【0057】
冷却処理が終了すると、搬出口155か開かれ、チェーンコンベア161の駆動により、被処理体2が冷却室S3から搬出口155を通じて搬出機12上に受け渡される。以上のようにして、プラズマ窒化処理システム1における一連の処理工程が終了する。
【0058】
なお、プラズマ窒化処理システム1では、複数の被処理体2を連続的に並行して処理できる。即ち、加熱室S1においては加熱処理、窒化室S2においては窒化処理、冷却室S1において冷却処理をそれぞれ行いながら、複数の被処理体2を連続的に、効率的に処理することができる。
【0059】
以上説明したように、かかるプラズマ窒化処理システム1の窒化炉4においては、温度計被覆体122によって温度計121の測温部135を被覆し、ダミー120から絶縁することによって、温度計121の測温部135をダミー120に対して近接させた状態にしながらも、温度計121が放電の影響によって損傷することを防止できる。例えば熱電対保護管132(測温部135の外面)が金属によって形成されている場合でも、熱電対保護管132が放電の影響によって損傷することを防止できる。従って、温度計121の長寿命化を図ることができる。また、温度計121の測温部135をダミー120の内部に挿入することで、ダミー120の内部の温度を精度良く測定できる。ひいては、被処理体2の温度を正確に制御し、安定した処理を行うことができる。
【0060】
さらに、ダミー120を温度計被覆体122に取り付け、温度計被覆体122を介して温度計121に保持させる構成とすることで、ダミー120と温度計121をコンパクトに設置できる。従って、窒化炉4の構造の簡素化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば以上の実施形態では、被処理体2として鉄系合金からなるクランクシャフト、カムシャフト等を例示したが、被処理体2とはかかるものに限定されず、本実施形態は、様々な材質に対するプラズマ窒化に適用できる。
【0063】
窒化炉4に設けるヒータ62、熱遮蔽体63、開口81、開口壁体82、蓋体83等の形状や配置等も、以上の実施形態には限定されない。例えばヒータ62は、窒化室S2内の被処理体2の側方だけでなく、上方に設けても良い。
【0064】
また、ダミー120の形状、温度計被覆体122の形状等も、以上の実施形態には限定されない。例えば温度計被覆体122は、温度計121の先端部のみを被覆するとしたが、勿論、温度計121の先端部以外の部分まで(温度計121の基端部側まで)被覆するようにしても良い。
【0065】
ダミー120や温度計121を配置する位置は、被処理体2の側方(側壁部63bと被処理体2の間)には限定されない。例えば、被処理体2の上方、即ち、上板部63cと被処理体2の上部との間であっても良いし、被処理体2の下方、前方、後方等であっても良い。
【0066】
なお、例えば開口81と被処理体2との間にダミー120及び測温部135を設けるようにすると、開口81の開度(蓋体83と開口81との間の距離)を、温度計121の測定値に基づいて、より好適に調節できるようになる。即ち、窒化炉4においては、開口81を開閉させることで、被処理体2から開口81を通じて外側に放出される放熱量を増減でき、これにより、開口81に対向する部分(以上の実施形態では被処理体2の上部中央部分)の温度を調節できるようになっているが、そのような開口81に対向する部分の実際の温度に近い測定値を検出することができる。そして、制御部17においては、その測定値を用いて、開口81の適切な開度を計算することができる。即ち、開口81に対向する部分の温度を、所望の値に制御することができる。特に、以上の実施形態のような窒化炉4においては、開口81の開度が小さいと、被処理体2の上部中央部分の温度が他の部分(被処理体2の側部、下部など)と比較して高温になりやすい傾向があるが、そのような最も高温になりやすい部分の温度を測定し、開口81の開度を調節することで、被処理体2の温度分布の均一化を図ることができる。ひいては、被処理体2の処理むらを防止できる。
【0067】
また、窒化室S2内の複数箇所に、ダミー120と温度計121をそれぞれ備え、窒化室S2内の複数箇所の温度を測定するようにしても良い。また、被処理体2の放射温度を非接触状態で測定する被処理体用放射温度計、ダミー120の放射温度を非接触状態で測定するダミー用放射温度計等を備え、被処理体用放射温度計、ダミー用放射温度計、温度計121のそれぞれの測定値から、被処理体2の実際の温度を推定するようにしても良い。
【0068】
また、以上の実施形態では、炉体51にプラズマ用電源115の陽極が接続されている、即ち、炉体51が放電用導体物であるとしたが、プラズマ用電源115の陽極は、他の部材に接続しても良い。例えば、炉体51の内側(炉体51と熱遮蔽体63との間)、あるいは、熱遮蔽体63の内側(ヒータ62と被処理体2との間)等に、放電用導体物を備え、その放電用導体物にプラズマ用電源115の陽極を接続しても良い。要するに、窒化室S2内において、放電用導体物と被処理体2との間、及び、放電用導体物とダミー120との間にグロー放電が生じるような構成であれば良い。
【0069】
さらに、窒化炉4の構成は、以上の実施形態に示したプラズマ窒化処理システム1のような連続式の処理システム(複数の処理室を備え、加熱処理、プラズマを利用した処理、冷却処理等の複数種類の処理を互いに異なる処理室で行うシステム)には限定されず、バッチ型のプラズマ処理システム(複数種類の処理を同一の処理室で行うシステム)にも適用できる。即ち、例えば加熱処理と窒化処理を互いに同一の処理室内で行う構成、あるいは、加熱処理と窒化処理と冷却処理を互いに同一の処理室内で行う構成等にも適用できる。
【0070】
また、窒化炉4の構成は、以上の実施形態で説明したような横型炉(被処理体を横方向に移動させ、処理室の側方から搬入出させる構造)には限定されず、竪型炉(被処理体を上下方向に移動させ、処理室の下方から搬入出させる構造)にも適用できる。
【0071】
また、本実施形態は、プラズマ窒化処理以外にも、例えばプラズマ浸炭処理、プラズマ浸炭窒化処理等、プラズマを利用した様々な処理に適用することが可能である。即ち、プラズマ処理炉とは窒化炉(プラズマ窒化炉)には限定されず、例えばプラズマ浸炭炉、プラズマ浸炭窒化炉等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、金属製品等の表面処理を行うプラズマ処理炉及びプラズマ処理方法等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】プラズマ窒化処理システムの概略平面図である。
【図2】プラズマ窒化処理システムの概略縦断面図である。
【図3】窒化炉の縦断面図である。
【図4】窒化炉の縦断面図(図3におけるI−I線による概略断面図)である。
【図5】熱遮蔽体、被処理体昇降機構の構成を拡大して示した説明図である。
【図6】ダミー、温度計等の構成を示した縦断面図である。
【図7】図6におけるII−II線による縦断面図である。
【符号の説明】
【0074】
D 搬送方向
S1 加熱室
S2 窒化室
S3 冷却室
1 プラズマ窒化処理システム
2 被処理体
3 加熱炉
4 窒化炉
5 冷却部
17 制御部
51 炉体
115 プラズマ用電源
120 ダミー
121 温度計
122 温度計被覆体
131 熱電対
131c 接合部
135 測温部
138 温度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを発生させることにより被処理体を処理するプラズマ処理炉であって、
被処理体を収納する処理室に、被処理体のダミーを備え、
前記被処理体と前記ダミーに対してそれぞれ同一極性の電極を接続し、前記被処理体の周囲に配置されている放電用導体物に、前記被処理体に接続される電極に対して反対極性の電極を接続し、
前記ダミーの温度を測定する温度計と、前記温度計を被覆する温度計被覆体を設け、
前記ダミーは、前記温度計被覆体によって前記温度計及び前記放電用導体物から電気的に絶縁されている構成としたことを特徴とする、プラズマ処理炉。
【請求項2】
前記ダミーは、前記温度計被覆体によって保持されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理炉。
【請求項3】
前記温度計被覆体は、前記温度計の先端部に設けられている測温部に備えられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラズマ処理炉。
【請求項4】
前記温度計被覆体及び前記測温部は、前記ダミーの内部に挿入されていることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマ処理炉。
【請求項5】
前記温度計は、熱電対を備え、
前記測温部には、前記熱電対の接合点が設けられていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のプラズマ処理炉。
【請求項6】
前記処理室は、被処理体を窒化処理する窒化室であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマ処理炉。
【請求項7】
プラズマを発生させることにより被処理体を処理するプラズマ処理方法であって、
処理室に被処理体を収納し、
前記処理室において、被処理体と前記被処理体の周囲に配置されている放電用導体物との間、及び、被処理体のダミーと前記放電用導体物との間に、グロー放電を生じさせ、
前記温度計被覆体によって被覆され前記ダミーに対して絶縁された状態で備えられている温度計によって、前記ダミーの温度を測定することを特徴とする、プラズマ処理方法。
【請求項8】
前記ダミーを前記温度計によって保持した状態で、前記ダミーの温度を測定することを特徴とする、請求項7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記温度計によって測定された温度に基づいて、前記被処理体の温度を制御することを特徴とする、請求項7又は8に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
被処理体を窒化処理することを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載のプラズマ処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−255405(P2008−255405A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97743(P2007−97743)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(306039120)DOWAサーモテック株式会社 (45)
【Fターム(参考)】