説明

プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の制御方法

【課題】位相制御にとって最適な信号を用いる機能を備えたプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】第1の高周波電源4からの第1の高周波電圧が供給されるコイル状アンテナ61と、ウエハ12が載置され第2の高周波電源21からの第2の高周波電圧が供給される電極14と、第3の高周波電源25からの第3の高周波電圧が供給されるファラデーシールド62と、前記第2の高周波電圧と前記第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御器29とを備え、真空容器1の内壁面のプラズマ中を伝播してくる高周波の電位を検出する電圧検出手段と、真空容器1内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段52とを具備し、前記電圧検出手段により検出された高周波電圧とプラズマ発光検出手段52により検出されたプラズマ光の組み合わせである信号源を用いて、同一周波数である前記第2の高周波電圧および前記第3の高周波電圧の位相差を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体の製造技術に属する。特にプラズマを用いて半導体ウエハをプラズマ処理する際に好適なプラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体素子の高集積化にともない回路パターンは微細化の一途をたどっており、要求される加工寸法精度はますます厳しくなってきている。また、半導体素子の製造コスト低減の目的でウエハの口径が300mmと大口径化してきているが、歩留りを高めることを目的に、ウエハの中心から外周付近まで広い範囲でプラズマを均一にして高品質で均一な加工ができることが要求されている。これと同時に、異物の低減やスパッタ等による飛散によって生じる金属材料等によるウエハの汚染を低減することが要求されている。
【0003】
このような目的を達成するため、従来では、上部の金属材料の平板電極と下部ウエハ(電極として動作する)よりなる平行平板型のプラズマ発生装置において、上部電極と下部電極(ウエハ)のそれぞれに同一周波数の高周波バイアスを印加し、それらのバイアス間の高周波の位相を制御し、プラズマを均一にする手法が知られている(例えば、特許文面1参照)。
【0004】
また、上下バイアス間の高周波の位相を制御することにより、上下電極のいずれかが常にアースとして動作する、プラズマの均一性を向上するとともに異物発生量を低減する、チャージングダメージを低減する手法が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
【0005】
これとは別に、高周波伝送路が、高周波の電圧・電流及び位相差に影響を与えることについて、高周波整合器の出力部とウエハでは高周波波形が異なること、したがって、ウエハの電位の情報を得るために、ウエハ電位を直接測定するウエハ電位プローブの手法が有効であることが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−127045号公報
【特許文献2】特開2002−184766号公報
【特許文献3】特開2004−111432号公報
【特許文献4】特開2001−338917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、上下バイアス間の高周波の位相差の検出手段と調整手段があり、位相差を180度に制御することが良いとされているものの、位相制御により目的の達成をどのように保証するかが明らかにされていないという問題がある。例えば、プラズマの均一性を向上するとあるが、位相制御によりプラズマの均一性を保証する手段は不明である。異物発生量の低減やチャージングダメージ低減に関しても同じである。
【0008】
第2の問題点として、従来の方法で位相差を例えば180度に制御したとしても、実際に上下電極に出現する電圧の位相差が180度であることが保証できないという問題がある。これらの方法では上下電極に高周波バイアスを印加する印加回路の整合器のところで位相情報を得ている。しかし、上下電極に印加される高周波は、整合器の出力部以降、上部電極へのバイアス高周波印加回路に関しては、高周波フィルタ等を通過する、プラズマを発生させるための別の高周波回路がバイアス高周波回路の負荷として存在する、上部電極への高周波伝送路は上部電極独特のものである等の特徴がある。一方、下部電極へのバイアス高周波印加回路に関しては、当然、下部電極がウエハを搭載してウエハ温度制御する構造が高周波バイアスの伝送路中に存在する、ウエハの静電吸着回路が高周波バイアスの伝送路中に負荷として存在する、ウエハの受け渡し機構等の機械部分やそれらを保護するカバー等が高周波バイアス伝送路のアースとして存在するなどの特徴がある。つまり、上下電極の各整合器で位相情報を得るものの、それ以降の電極に至る高周波伝送路が異なるため、電極に発生する電圧の位相差が制御した通りになっている保証が無い。
【0009】
さらに、本問題に対しては、上部電極から見たアースに至る高周波伝送経路のインピーダンスと、下部電極から見たアースにいたる高周波伝送経路のインピーダンスが同一ではないということも影響する。上部電極は、アースとして真空容器壁および下部電極とそれに接続された電気回路を負荷の一部として見るが、下部電極は真空容器壁および上部電極とそれに接続された電気回路を負荷の一部として見る。既に述べたように上部電極と下部電極の構造とそれらに接続された電気回路は同じにはならないため、これらの負荷の高周波インピーダンスは異なっていて当然である。また、上部電極が見る真空容器の壁と下部電極が見る真空容器の壁の範囲は、取り付けてある位置が対向している関係上、同じ範囲にはならない。また、処理時のプラズマは上部電極付近で発生して下部電極など周辺に拡散し、その特性が変化する。また、下部電極ではウエハの処理が進行するため、ウエハから大量に発生する反応生成物が下部電極付近のプラズマの状態を大きく変化させる。
【0010】
従って、上部電極付近のプラズマの密度・電子温度できまるインピーダンスと下部電極付近のプラズマの密度・電子温度できまるインピーダンスは同じではない。これらの同じインピーダンスではないプラズマを介して、上下電極は同じ範囲ではないアースを見るわけであるから、これらのインピーダンスが異なるのは当然である。
【0011】
また、特許文献2で説明されているように、真空容器の一部あるいは全体に磁場が印加されている場合、完全に一様な磁場はありえないことから、この磁場の影響によっても上下各電極からアースに至る各高周波経路のインピーダンスは異なる。また、ウエハを処理する際にプラズマの諸条件(密度や電子温度、その原因となる高周波電力、ガス種・ガス圧力、上下電極の位置関係、磁場条件等)を変更することを考えると、処理条件により、上下各電極からアースに至る各高周波経路のインピーダンスは異なる。
【0012】
これらの電力の経路による位相のずれは、電力の経路に存在する浮遊容量やコイル成分によるものであるから、周波数が高くなるほど位相のずれは大きくなることになる。装置構成にも依るが、一般に1MHz以上の周波数で位相のずれの効果が顕著になる。
【0013】
以上のことから言えるのは、上下各電極にそれぞれ発生する電圧の位相差は、各電極を通過する高周波の全回路と高周波の周波数により定まるべきものであり、従来のモニタ方法ではウエハ処理時に正確に制御できないということである。
【0014】
第3の問題点は、上下電極に発生する高周波バイアスの電圧波形が正弦波ではないことに由来しており、従来の制御方法では最適値制御ができていないという問題である。プラズマに晒された電極の前面にはイオンシースと呼ばれる電気的には非線形な領域が生じることはよく知られている。この非線形性とは、電流と電圧が比例関係にないことであり、電圧が正の場合では電子電流が電極に流れ込み、この電子電流の電圧−電流特性は電子の拡散係数によって決まり、通常は電圧の指数関数になる。逆に、電圧が負の場合、イオン電流が電極に流れ込むがこの電流は空間電荷制限電流により電圧に依存せずほとんど一定である。この電極に高周波を印加する場合、高周波電圧に比例して電流が流れず、また、電圧波形も正弦波から歪み高調波を含むようになる。
【0015】
本発明で重要なことは、上下各電極の前面ではプラズマの特性が異なるため、ひいては、イオンシースの特性が異なり、結果として、上下各電極での高周波の歪み量(高調波の次数と大きさ)は異なる、つまり各電極電圧の波形が異なるということである。実際、特許文献2や特許文献3で記述されているように、位相制御の指標となる物理量である、最大電極電圧ゲート酸化膜間電圧、δVdc、外周部イオン飽和電流密度の測定値は、特徴的位相差である180度で最適値となっているわけではなく、ずれが生じている。このずれの原因は、その多くが前述の高周波伝播経路のインピーダンスが異なるために各電極の位相差が制御できていないことと、電極の電流/電圧波形が高調波のために歪んでいることに原因を求めることができる。
【0016】
第4の問題点は、このような位相制御によりウエハの処理の改善を行なう装置が、上下電極を備えた平行平板型プラズマ源に限られていることである。産業上は、誘導結合型プラズマ源やECR型プラズマ源など多種のプラズマ源が用いられるが、これらのプラズマ源には二つの独立したプラズマと容量結合する電極がないため、本手法は適用できない。
【0017】
以上のような問題点に対し、本発明の第1目的は、上記問題点1〜3を解決するために、位相制御の目的にとって最適な信号を用いる機能を備えたプラズマ処理装置とプラズマ処理装置の制御方法を提供することである。
【0018】
本発明の第2の目的は、第4の問題点に対応するために、誘導結合型プラズマ源など二つの独立したプラズマと容量結合する電極がないプラズマ源に対しても、同じ機能を備えたプラズマ処理装置とプラズマ処理装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の目的は、位相制御の目的を保証することに最適な信号を、位相制御回路に組み込むことにより達成できる。具体的な第1の例として、上下各電極の電圧の位相差を制御する目的では、上下各電極に直接位相差を測定するプローブを接続し、得られた信号を演算によって処理することにより、位相制御の制御信号とすることで達成できる。
【0020】
また、具体的な第2の例として、真空容器の壁のスパッタや損傷を抑えると同時にこれらに起因する異物を低減する目的としては、目的の真空容器の周辺に設置した電圧プローブにより上下電極からプラズマを介して伝播してくる高周波信号を抽出し、その電圧を最小にする、あるいは適切な値にするように、位相制御を行うことで達成できる。
【0021】
さらに、具体的な第3の例として、真空容器壁などに付着した堆積物を除去したい場合や、壁あるいは壁に付着した堆積物の除去を行いたくない場合には、壁よりプラズマ中に放出される複数物質が発生する複数の固有の特定波長の光の量を測定することにより、除去したい物質の光は発光するように、あるいは、除去したくない物質の光は発光しないように位相を適切に制御することによって達成できる。
【0022】
また、本発明の第2の目的は、誘導結合型プラズマ源など独立したプラズマと容量結合する電極が一つしかないプラズマ源中に、ウエハとは独立したプラズマと容量結合する電極を備えることによって達成できる。
【0023】
すなわち、本発明は、容器内にプラズマが生成される真空容器と、該真空容器外に設けた第1の高周波電源および第2の高周波電源ならびに第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内または真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電源からの第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、前記第2の電極以外に真空容器内に生成されるプラズマと容量結合するRF放射部を構成し、前記第2の電極とRF放射部との間に同一周波数で位相信号以外の信号源を用いて前記第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。さらに、上記プラズマ処理装置において、前記RF放射部は、平行平板電極のアンテナまたはフォーカスリングまたはファラデーシールドまたは他の電極のいずれかで構成されており、また、前記位相信号以外の信号源は、高周波電圧またはプラズマ光または高周波電圧とプラズマ光の組み合わせのいずれかを用いるようにした。さらに、上記プラズマ処理装置において、前記RF放射部は、平行平板電極のアンテナおよびフォーカスリングおよび他の電極の組み合わせ、またはファラデーシールドおよびフォーカスリングおよび他の電極の組み合わせのいずれかで構成されるようにした。
【0024】
本発明は、真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧および第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が混合されて供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、第1の電極の第3の高周波電圧の位相を検出する第1の位相検出手段と、第2の電極の第2の高周波電圧の位相を検出する第2の位相検出手段とを備え、第1の位相検出手段と第2の位相検出手段の出力に基づいて、第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。
【0025】
本発明は、真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧および第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が混合されて供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、真空容器の内壁面のプラズマ中を伝播してくる高周波の電位を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段の検出電圧から第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を算出する位相差算出手段とを備え、前記位相差算出手段の出力が最小あるいは特定の値になるように、第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。
【0026】
本発明は、真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧および第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が混合されて供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。
【0027】
本発明は、真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の電極に載置される試料の周囲に設けられ第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が供給されるフォーカスリングと、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。
【0028】
本発明は、真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第1の電極と真空容器内との間に設けられ第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が供給されるファラデーシールドと、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。
【0029】
本発明は、真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第1の電極と真空容器内との間に設けられたファラデーシールドと、第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が供給され真空容器内に設けられプラズマと容量結合する第3の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御するようにした。
【0030】
本発明は、容器内にプラズマが生成される真空容器と、該真空容器外に設けた第1の高周波電源および第2の高周波電源ならびに第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内または真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源から第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電源からの第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置の制御方法であって、前記第1の高周波電源から所定の電力を供給してプラズマを点火する工程と、プラズマの点火を確認後前記第2の高周波電源と第3の高周波電源から、それぞれ所定の電力を供給する工程とを備え、前記第2の高周波電源と第3の高周波電源の電力印加開始時、位相制御を行わずプリセットモードを用いて所定の位相角に固定し、整合動作が安定後位相制御を開始するようにした。
【0031】
本発明は、容器内にプラズマが生成される真空容器と、該真空容器外に設けた第1の高周波電源および第2の高周波電源ならびに第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内または真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電圧からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電源からの第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置の制御方法であって、前記プラズマと容量結合するRF放射部と第2の電極との間に同一周波数で位相信号以外の信号源を用いて前記第2の電極の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御する工程を備え、前記真空容器内の堆積膜除去時、堆積膜の量に応じて位相差を制御するようにした。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、第3の高周波電力と、処理基板にバイアスを印加する第2の高周波電力の各電圧波形の位相制御において、プラズマに各電力を放射する各電極における位相差を精度よく制御でき、また壁に衝突するイオンのエネルギーおよびイオンと壁の相互作用の結果壁から発生する物質の量を極小から極大まで制御できる。この結果、処理基板をプラズマにより処理する装置において、処理ごとに最適な真空容器内環境を提供することが可能になる。さらに、この機能を平行平板型プラズマ源を用いた装置だけではなく、プラズマを発生させる全ての装置において実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施例のプラズマ処理装置の全体構造を示す概略断面図。
【図2】高周波電位、プラズマ空間電位とシース電圧の関係を示すグラフ。
【図3】本発明の第2の実施例のプラズマ処理装置の全体構造を示す概略断面図。
【図4】イオンのエネルギーと位相差の関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第3の実施例のプラズマ処理装置の全体構造を示す概略断面図。
【図6】アルミニウムの発光量と位相差の関係を示すグラフおよび一酸化炭素の発光量と位相差の関係を示すグラフ。
【図7】イオンのエネルギーとアルミニウム及び一酸化炭素の発光量の関係を示すグラフ。
【図8】本発明の第4の実施例のプラズマ処理装置の全体構造を示す概略断面図。
【図9】本発明の第5の実施例のプラズマ処理装置の全体構造を示す概略断面図。
【図10】本発明の第6の実施例のプラズマ処理装置の全体構造を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかわるプラズマ処理装置の全体構造を、図1に示す概略断面図を用いて説明する。プラズマ処理装置は、アルミニウムなどの導電体によって作られた真空容器1を持ち、その内部にアンテナ2、シャワープレート3がそれぞれのシャワープレ−ト支持フランジ5,6で取り付けられている。真空容器1は接地されている。アンテナ2とシャワープレート3の間には、大気側よりプロセスガス導入管7を経由してガスが供給され、シャワープレート3にあけられた多数の微小孔より真空容器1の中に噴出する構造となっている。ここでアンテナ2は当然導体によって形成されているが、シャワープレート3は導体・誘電体あるいは半導体で形成されている場合がある。このシャワープレート3が導体あるいは半導体で形成されている場合、シャワープレート3はプラズマに直接電力を伝達するアンテナとして動作する。プロセスガスは、排気ダクト10をとおって真空排気装置11で排気され、プロセスに適切な気圧に保たれている。
【0035】
このアンテナ2に、第1の高周波電源4から所定の周波数の、所定の電力を整合器28を通して供給することによって、プロセスに適した特性をもつプラズマ9を生成する。なお、磁石(電磁石)8は、プラズマの特性を制御するために用いられることがあるが、なくてもかまわない。
【0036】
ここで述べた構造は、いわゆる容量結合放電と呼ばれる方式であるが、本発明では、プロセスに適切な特性をもつプラズマが生成できるならば、放電方式は後述するように、ECR放電、誘導結合放電などその他の方式であってもかまわない。当然、放電部の構成は放電方式にとって適した構成でなくてはならず、ここで述べた構成にこだわる必要はない。
【0037】
ウエハ(処理基板)12は、この真空容器1に大気側より搬入口(図示せず)を通って搬入され、適切な受け渡し装置(図示せず)によって、処理電極14上に設置される。処理電極14の上面は、適切な特性をもつ静電吸着膜(図示せず)があり、外部よりチョークコイル22を通じてDC電源23より印加される電圧により、静電吸着される。また、処理電極14は、その内部に冷媒溝15を持ち、外部から冷媒を供給され(図示せず)、ウエハ12はプロセスに適した温度に温調される。ウエハ12の外周部には、フォーカスリング13があり、また、処理電極14をプラズマ9から保護するサセプタ16がある。処理電極14は、絶縁ベース17と電極ベースフランジ18を介して、真空容器1に取り付けられている。処理電極14は、適切な上下機構(図示せず)により、昇降させることが可能であり、ウエハ12とシャワープレート3の間隔を可変できるようにする場合もある。本発明は、この上下機構の有無には関係なく、適用できるものである。
【0038】
処理電極14には、絶縁管19に保護された導体と整合器20を通して、第2の高周波電源21より高周波電力が印加され、ウエハ12に高周波バイアスが印加される。前述したように、第1の高周波電源4と整合器28は、本図の構成に従う必要はなく、例えばその出力が、第2の高周波電源21および整合器20と並列に、処理電極14に印加されても良い。また、第1の高周波電源4がなく、第2の高周波電源21がプラズマ9の生成とウエハ12への高周波バイアス印加を兼用してもかまわない。
【0039】
発振器30から出た信号は位相制御器26を通過し、その一方の出力から出力され、第2の高周波電源21に入力される。位相制御器26の他方の出力は、第2の高周波電源21に行く信号に対して制御された位相差を持つ信号が出力され、第3の高周波電源25に入力される。この第3の高周波電源25の出力は、整合器24を通し、混合器27によって第1の高周波電源4の出力と混合され、上部の電極2(あるいはシャワープレート3)に印加される。
【0040】
混合器27は、第1の高周波電源4と第3の高周波電源25の出力を混合するだけでなく、第1の高周波電源4の出力が第3の高周波電源25とその整合器24に進入することを防ぐフィルタ機能を有している。さらに、混合器27は、第3の高周波電源25の出力が第1の高周波電源4とその整合器28に進入することを防ぐフィルタ機能を有している。以上のようにして、対向した上部の電極2(あるいはシャワープレート3)と下部の処理電極14(あるいはウエハ12)に、同一周波数で、位相が制御された高周波バイアスを印加することができる。
【0041】
第1の高周波電源4の周波数は、プラズマを生成するため、通常、13.56MHzあるいはそれ以上2.4GHz程度の周波数が利用できる。これに対して、第2の高周波電源21及び第3の高周波電源25の周波数は、プラズマを生成するよりもバイアスを印加することが主目的であり、通常、13.56MHzあるいはそれ以下の周波数が利用できる。
【0042】
位相制御器26には、下部電極であるウエハ12の電位を直接測定するウエハ電位プローブ31の信号と、上部電極であるアンテナ2の電位を直接測定する高電圧プローブ32の信号を接続する。この信号には、第1の高周波電圧と第3の高周波電圧の信号が含まれているので、フィルターにより第3の高周波電圧のみの信号を取り出している。位相制御器26は、これらの二つのプローブ間の位相差を検出することにより、第2の高周波電源21と第3の高周波電源25に出力する信号の位相制御を行う。この時、ウエハ電位プローブ31と高電圧プローブ32の信号伝送路に起因する位相のずれは正確に校正されていなければならない。このため、位相制御器26はこの位相のずれをキャンセルする機能が付加されている。
【0043】
以上の機能と構成を用いることにより、上下各電極間の位相を精度高く制御でき、上下電極のいずれかが常にアースとして動作する、プラズマの均一性を向上するとともに異物発生量を低減する、チャージングダメージを低減する等の機能を、従来技術に比してより高く制御することが可能になる。
【0044】
次に、図1のプラズマ処理装置を用いたウエハの処理シーケンスについて述べる。まず、真空容器1を真空排気装置11によって所定の真空度以下になるように排気する。このとき、真空容器1には、プロセスガス導入管7や大気からのガス漏れ量が十分低いことを確認する。また同時に真空容器1内の部品からのアウトガス量も十分低いことを確認する。この状態で処理基板(ウエハ)12を処理電極14の上に搭載する。次に、プロセスガス導入管7よりプロセスガスを真空容器1内に導入し、真空排気能力を調節してプロセスに最適な圧力に制御する。
【0045】
以上のようなプロセス開始条件が整った後、まず、第1の高周波電源4から所定の電力を供給してプラズマ9を点火する。このとき整合器28の動作が安定してアンテナ2からの反射波が十分小さくなる時間を最小にするように、あらかじめプリセット機能を用いて整合動作開始点を最適化する。整合器4の動作が安定し、プラズマ9の点火を確認した後、第2の高周波電源21と第3の高周波電源25から、それぞれ所定の電力を供給する。このように、プラズマ9の点火を確認した後で第2の高周波電源21と第3の高周波電源25から電力を供給するのは、プラズマが無い状態では負荷インピーダンスが高いためアンテナ2と処理基板12に高電圧が発生して異常放電やノイズによる装置誤動作などが生じる可能性が高くなるからである。第2の高周波電源と第3の高周波電源の電力印加開始タイミングは同時が望ましい。これは、第1、第2、第3の高周波電源の立ち上がり動作時間を最短にして処理基板の処理時間を短縮すること、高周波電源の立ち上がり時間内(つまり、プロセス開始前)に処理基板がプラズマに晒される時間を最短にすると同時に、処理基板にプラズマからの反応生成物が堆積することを最小限にすること、および位相制御されたバイアス印加の効果を可能な限り処理開始時から実現することを目的としている。
【0046】
第2の高周波電源21と第3の高周波電源25を同時にオンすると、それぞれの整合器20,24の整合動作がお互いの整合動作に影響を与え、整合動作の時間が長くなる場合がある。整合動作によりプラズマの特性、つまり、高周波電源の負荷インピーダンスが大きく変わる場合などがこれに相当する。この場合は、第2の高周波電源と第3の高周波電源の電力供給開始タイミングをずらす必要がある。この場合は、処理基板12にバイアスを印加する、第2の高周波電源21の電力供給開始を優先する。これは、処理基板へのダメージ低減と処理そのものを優先するからである。
【0047】
以上の第2の高周波電源と第3の高周波電源の電力印加開始時、位相制御器26は位相制御を行わず、プリセットモードにおいて所定の位相角に固定する。これは、整合器20、24の整合動作中、位相角が大きく変わるからで、整合動作中に位相制御を行っても正しい位相制御動作ができる保証が無いからである。当然、整合器20、24の動作開始から安定するまでの時間を最短にするため、各整合器の整合開始位置はプリセット機能を用いて最適化されなければならない。
【0048】
位相制御器26は、高周波電源の電力印加が安定した後、つまり、整合器20、24の整合動作が安定した事を確認後、位相制御を開始する。また、安定した位相制御動作を行うために、プリセットモードにおける位相角は、あらかじめ測定された望ましい位相角に固定する。以上のシーケンスを採ることにより、高周波電源立ち上がり及び位相制御操作を最短にし、迅速に処理基板12の処理を開始することができる。
【0049】
次に、図2を用いて、電極への高周波バイアス印加がどのように行われるかを説明する。以下に説明する現象は、上下各電極2,14で定性的に同じように発生する。図2は、ウエハ表面のRF電位とプラズマ空間電位(Vs)の関係を示したものである。RF電位波形のPeak−to−Peak電圧Vpp及び自己バイアス電圧Vdcは図中に定義してある。自己バイアス電圧Vdcは、プラズマから電極に流れ込む電子電流とイオン電流の和が、高周波1周期の間でちょうどゼロになる電位であり、かつ、電極の表面電圧の時間平均値である。一方、プラズマ空間電位は、RF電圧が十分低い間は一定の値(図2中にVs0と定義した)をとるが、RF電位がプラズマ空間電位以上になる時、RF電位に引きずられて上昇し、RF電位の最大値のところでRF電位とほぼ等しくなる。プラズマ空間電位がRF電位に引きずられて上昇するのは、RF電位の上昇によってプラズマから多量の電子が引き抜かれるために、プラズマがイオンリッチになるためである。ここで、VdcとVppの比率(Vdc/Vpp)は、高周波の周波数と、ウエハから見たアースのインピーダンスで決まり、プラズマ中の電子のエネルギー分布関数がMaxwell分布の場合、必ず0<Vdc/Vpp<0.5となる。高周波の周波数が高くなれば高くなるほど、また、アース部のインピーダンスが大きくなるほどVdc/Vppは0に近づく。つまり、Vdc/Vppは装置固有、さらに上下各電極に固有の値である。
【0050】
図2の説明により、高周波バイアスを電極に印加した場合、高周波の1周期内でプラズマの空間電位が上昇する瞬間が存在することが判る。このプラズマ空間電位の上昇は、当然、プラズマ内を伝播し、アースに至る。つまり、高周波バイアスの一部は、プラズマ空間電位の変動としてプラズマ内を伝播する。この時の伝播波形は、図2のプラズマ空間電位の波形より、少なくとも正弦波ではありえず、バイアスの周波数とその高調波を含むことになる。プラズマ空間電位が上昇することは、プラズマより接地電位にあるアースに放出されるイオンを加速することになる。加速したイオンにより壁のスパッタや化学反応が生じて、壁が削られることになり、異物の原因となる。逆に、壁に反応生成物が付着する場合、このイオンによるスパッタや化学反応を利用して、この反応生成物の付着を抑制することもできる。
【0051】
図1で示したように上下の二つの電極2,14にそれぞれ高周波バイアスを印加する場合、それぞれの電極表面で生じたプラズマの空間電位上昇は、プラズマ内で重ねあわされる。そこで、両電極の高周波バイアスの位相を制御することによりプラズマの空間電位上昇を制御することが可能になる。この状況は特許文献2に詳しく説明されている。
【0052】
本発明では、この事実に基づき、バイアスの位相制御にプラズマ内を伝播する高周波を利用する。異物の発生を抑えるためには、アースに向かって加速されるイオンのエネルギーを最小にする必要がある。これまでの説明により、この条件は高周波バイアスによるプラズマ電位の上昇が最小になることと等しい。これを利用するのが本発明の第2の実施例であり、図3にその概略を示している。
【0053】
ここでは、真空容器壁付近に微小電極40を挿入し、これによりプラズマを伝播してくる高周波を受信する。微小電極40に発生する信号は、第1の高周波電源4、第2の高周波電源21、第3の高周波電源25からの高周波とその高調波、プラズマ浮遊電位とノイズ成分を含んでいる。この信号より第2の高周波電源21、第3の高周波電源25からの高周波を検出するには、アナログフィルタ、デジタルフィルタ(高速フーリエ変換法など)があるが、図3にはロックインアンプ41を用いた構成を示した。
【0054】
ロックインアンプ41には、発振器30から参照信号を与える。また、ロックインアンプは、2相ロックインアンプが望ましい。ロックインアンプの出力は、これまでの説明でわかるように、壁に入射するイオンのエネルギーと等価である。ロックインアンプの出力は、位相制御器29に制御信号として入力する。
【0055】
位相制御器29は、ロックインアンプ41の出力を最小にする、つまり、プラズマ電位の上昇を最小にするように位相を制御する、あるいは、特定の値になるように位相を制御する機能を持つ。特定の値に制御するということは、プラズマ9より真空容器壁に放出されるイオンのエネルギーをある状態に制御することであり、イオンによる壁表面のスパッタや化学反応を制御することを意味する。
【0056】
図4にロックインアンプ41の出力の、位相制御器29の出力における位相差に対する依存性を示す。このとき、第2の高周波電源21と第3の高周波電源25の周波数は、4MHzであり、各電力はそれぞれ1kWである。位相差が170度付近でロックインアンプ41の出力が最小になっていることが判る。位相差180度で最小値をとらないのは、第2高周波電源を出た高周波が整合器20・処理電極14・ウエハ12・プラズマ9を通過して微小電極40に到達するまでの位相シフト(つまり回路のインピーダンス)と、第3の高周波電源を出た高周波が整合器24・混合器27・アンテナ2・プラズマ9を通過して微小電極に到達するまでの位相シフトが、異なるからである。また、一般に最小値は0Vにはならない。これは、前述したように、第2の高周波電源から出た高周波が伝播する経路のインピーダンスと、第3の高周波電源から出た高周波が伝播する経路のインピーダンスが異なるため、微小電極40に到達したときの電圧振幅が同じにはならないため、電圧を重ね合わせてもゼロになる保証がないことが原因である。また、上下各電極表面のイオンシースで発生する高調波の量が異なることと、ロックインアンプはその動作原理により奇数次高調波を完全に除去できないことも原因である。
【0057】
図3に示したような構成と方法をとることにより、確実にイオンによる壁への衝撃を制御するという機能が得られる。また、ウエハ12やアンテナ2といった部位の高電圧の高周波を測定する、および二つの高周波の間の位相を検出するといった高度な技術を用いなくてもよいというメリットが生じる。また、微小電極40から出力される取り扱いの容易な小信号をロックインアンプ41という高いS/Nの信号処理系で処理できるという、信号処理の確実性が高くなると同時に、ロックインアンプの出力は直流電圧であることから、これによる信号取り扱いの容易性・確実性が高くなるというメリットが生じる。
【0058】
真空容器の壁へのイオン衝撃を制御するという観点では、壁から放出される物質を検出するという手法が考えられる。本発明の第3の実施例は、この観点でなされたものであり、図5にその概略を示す。壁から放出された物質は、プラズマ中で電子によって衝突励起され、物質固有の波長の光を放出する。この光を窓50を通してコリメータレンズ51により分光器52に集光することにより、分光器52から物質固有の波長の強度を得ることができる。この発光強度を位相制御器29の制御信号として用いることができる。
【0059】
図5の構成を用いて、酸素プラズマ(電子密度:約3×1016cm−3、電子温度:約2.5eV)を発生させた。真空容器1に、表面がアルマイト処理されたアルミニウムを用いた時、位相制御器29の位相を変化させて、真空容器1の壁がイオンスパッタされて発生したアルミニウムの発光量を図6(a)に示す。位相差を180度から低下させると、位相差が80度以下で急激にアルミニウムの発光量が増加することがわかる。これにより、壁に衝突するイオンのエネルギーが、位相差80度以下でアルマイトのスパッタの閾値を超えたことがわかる。以上のことより、位相差を、例えば、90度以上に制御することによりアルミニウムの壁のスパッタを制御することができる。
【0060】
図5のプラズマ処理装置で、ウエハをCF系ガス(例えばC4F8)を用いたプラズマで処理すると、真空容器1の壁に、CF系のポリマーが反応生成物として堆積する。この堆積物は、よくウエハ上の異物となることで知られている。真空容器1の壁にこの堆積物が堆積した状態で、前述の酸素プラズマを発生させ、壁をクリーニングした。この時、壁の堆積膜の炭素(C)は、酸素と反応して一酸化炭素(CO)を発生する。これにより、壁の堆積膜は分解されて、例えば一酸化炭素、二酸化炭素及びフッ素等のガス成分となって気化し、堆積膜を除去できる。
【0061】
この一酸化炭素発光強度の位相制御器29の位相差依存性を図6(b)に示す。図6(a)のアルミニウム(Al)の発光(396nm)強度の場合と異なり、位相差の値にかかわらず、一酸化炭素の発光が見られる。これは、一酸化炭素の発生が、酸素との化学(燃焼)反応によることが原因であり、イオンのエネルギーが小さくても、例えば、プラズマ中の酸素ラジカルとの反応により、一酸化炭素が発生している。しかし、位相差を180度から低下させると、図6(a)の場合と同様に、一酸化炭素の発光強度が高くなる。これは、イオンのエネルギーが増加することにより、堆積膜の温度が上昇するため、酸素との化学反応が促進されることが原因である。
【0062】
ここで、図4の結果と合わせると、図6の横軸である位相差は、ロックインアンプの出力と等価であり、最終的に、イオンのエネルギーと置き換えることができる。この結果を図7に示す。図7から判ることは、プラズマとの相互作用の結果、壁から一酸化炭素やアルミニウムが発生する場合、その発生量や発生の有無には、イオンのエネルギー依存性があるということである。ここで、図7の結果を用いると、壁に堆積膜が形成された場合の堆積膜除去を効果的に行うことができる。壁に堆積膜が多量についている時は、ロックインアンプの出力が図7中の矢印Aになるように位相差を制御する。これにより、堆積膜を高速に効率よく除去することができる。堆積膜の除去が進行すると、壁の地肌が露出するようになる。この条件では、壁材料であるアルミニウムの発光が現れるので、壁の地肌の露出を直ちに検出することができる。この壁地肌の露出を検知すると、壁材料を削ることを避けるために、ロックインアンプの出力が矢印Bになるように位相差を制御する。これにより、壁の地肌を削ることなく、堆積膜の除去を高速に行うことができる。堆積膜の除去がさらに進行すると、堆積膜が少なくなるので、一酸化炭素の発光強度が低下する。この発光強度がある一定以下の値になることにより、堆積膜除去が終了したと判断することができる。つまり、堆積膜除去の終点判定が可能になる。堆積膜除去が終了すると、位相差は、それ以降の目的に従って任意の値に設定できる。例えば、壁へのイオン衝撃が最も小さくなる矢印Cの条件になるように、位相差を設定することができる。この堆積膜の除去ステップは、予め設定された任意間隔で実施されるのが望ましく、例えば試料の処理枚数に応じて任意に設定可能であり、また、試料処理の時間に応じて任意に設定してもよい。
【0063】
イオンのエネルギーとロックインアンプ41の出力の関係は、微小電極40やロックインアンプ41など信号処理系に依存する。つまり、装置固有の値である。また、図6や図7の発光量と位相差(あるいはロックインアンプの出力)の関係も、処理するウエハ12の構成と用いるガスなど処理条件に依存する。したがって、図4,6,7のようなデータをあらかじめ採取することにより、装置及び処理プロセスに最適な制御信号を得ることが可能になる。
【0064】
以上述べたように、図3で示したイオンのエネルギーと等価な信号と図5に示した壁からの発生物質の量を示す信号を組み合わせることにより、壁に衝撃を与えるイオンのエネルギー、あるいは壁から発生する物質を制御できることがわかる。このことは、壁の表面の状態を制御することと等しく、本発明により、ウエハを処理するためのプロセスに最適な真空容器壁環境を提供することが可能になる。
【0065】
このような壁からの物質発生におけるイオンエネルギー依存性は、一酸化炭素やアルミニウムに限ったことではなく、どのような物質にもその物質特有な依存性がある。また、この物質固有の依存性も、用いるプラズマによって異なる。したがって、ウエハの処理を行う場合や壁堆積膜を除去する上で、最適な信号を選択することにより、最も効果的な壁表面制御を行うことができる。当然、この機能は、例えば、真空容器を大気開放した後の真空引きにおいて、壁に付着した水分や窒素等のガス成分の放出を促進して装置の真空引き時間を短くしたり、前処理の結果壁に吸着されたフッ素や塩素などのガス成分の除去を効率よく行って次の処理におけるプロセス阻害要因を効率よく除去することなどの機能を含んでいる。
【0066】
また、ここで述べたイオンのエネルギーと等価な信号とは、図3に示した高周波電圧信号だけでなく、イオンのエネルギーと等価な信号である限り他の信号、例えばイオンエネルギーアナライザやプラズマ浮遊電位などの信号を用いることもできる。さらに、壁からの発生物質を示す信号とは、物質の発光強度だけでなく、壁からの発生物質を示す信号である限り他の信号、例えば、質量分析器の信号なども用いることができる。
【0067】
さらに、図3で示したイオンのエネルギーと等価な信号を出力する装置と図5に示した壁からの発生物質の量を示す信号を出力する装置を同時に備えることにより、高度な壁状態の制御が行える。
【0068】
以上述べた機能は、図1に示した平行平板型プラズマ源の上下の電極に位相制御する場合に限らずに実現することができる。必要な条件は、プラズマと容量結合している二つの独立した高周波放射部(RF放射部)が必要なことであり、この二つの高周波放射部(RF放射部)に対して位相制御した高周波を印加してやれば、本発明の機能を実現できる。ここでいう高周波放射部(RF放射部)とは、高周波電力が印加されており、この高周波放射部を含んだ高周波に関する等価電気回路において、プラズマをこの高周波放射部の負荷の一部として含んでいる構造物のことである。たとえ、プラズマと容量結合することを意図していない構造物であっても、浮遊容量によりプラズマと結合する限り、ここで言う高周波放射部に含まれる。この定義に従うと、図1に示したウエハ12も高周波放射部になる。以下の発明は、プラズマ処理装置には、ウエハやプラズマ生成用電極以外にも、多くの高周波放射部が存在していることに着目したものである。図8に示したのは、アンテナ2の代わりに処理基板12横のフォーカスリング13に第3の高周波電源の出力を印加した例である。フォーカスリング13が導体もしくは半導体の場合、図8の構成でこれまで述べた位相制御の効果を実現できる。また、フォーカスリング13が導体あるいは半導体であり、さらにこの導体及び半導体が絶縁体に覆われている場合でも、絶縁体のインピーダンスが小さく第3の高周波電源の出力がプラズマ9に放射される限り、位相制御の効果を実現できる。
【0069】
図9に示したのは、コイル状アンテナ61とファラデーシールド62を備えた電力放射系が誘電体窓60で真空部と仕切られた構成の、いわゆる誘導結合型のプラズマ源である。この構成の場合でも、ファラデーシールド62はプラズマ9と容量結合をしているので、第3の高周波電源25の電力を印加し、位相制御の効果を実現した例である。この例で判るように、第3の高周波電源25の電力を放射するアンテナ(電極)があれば、位相制御の効果を実現でき、その場合、図1に示したような平行平板型の容量結合型プラズマ源以外のいかなるプラズマ源でも位相制御の効果を実現できる。
【0070】
例えば、図10に示したように、図9と同じ誘導結合型プラズマ源であっても、プラズマと容量結合する電極64が真空内にあれば、この電極に絶縁管63を通して第3の高周波電源の電力を与え、位相制御の効果を実現できる。本高周波放射部(RF放射部)は、平行平板電極のアンテナまたはフォーカスリングまたはファラデーシールドまたは他の電極のいずれで構成してもよい。また、平行平板電極のアンテナおよびフォーカスリングおよび他の電極の組み合わせや、ファラデーシールドおよびフォーカスリングおよび他の電極の組み合わせで構成してもよい。
【0071】
本発明は、プラズマを使う基板処理及び処理装置全般に適用することができる。このような処理装置と処理とは、プラズマCVD装置とCVDプロセス、プラズマアッシング装置とアッシングプロセス、プラズマスパッタ装置とスパッタプロセスなどである。また、本発明は、プラズマ発生手段によらず、適用することができる。このようなプラズマ発生手段とは、誘導結合型プラズマ発生装置、容量結合型プラズマ発生装置、Electron
Cyclotron Resonance型プラズマ発生装置、Helicon型プラズマ発生装置、表面波放電型プラズマ発生装置、マグネトロン型プラズマ発生装置を含む。また、処理基板とは、半導体ウエハ、石英に代表される誘電体ウエハ、LCD基板やAlTiCに代表される導電性ウエハを含んでいる。
【符号の説明】
【0072】
1:真空容器、2:アンテナ、3:シャワープレート、4:第1の高周波電源、5:シャワープレート支持フランジ、6:アンテナ支持フランジ、7:プロセスガス導入管、8:磁石(電磁石)、9:プラズマ、10:排気ダクト、11:真空排気装置、12:処理基板(ウエハ)、13:フォーカスリング、14:電極(処理電極)、15:冷媒溝、16:サセプタ、17:絶縁ベース、18:電極ベースフランジ、19:絶縁管、20:整合器、21:第2の高周波電源、22:チョークコイル、23:DC電源、24:整合器、25:第3の高周波電源、26:位相制御器、27:混合器、28:整合器、29:位相制御器、30:発振器、31:ウエハ電位プローブ、32:高電圧プローブ、40:微小電極、41:ロックインアンプ、50:窓、51:コリメータレンズ、52:分光器、53:絶縁管、60:誘電体窓、61:コイル状アンテナ、62:ファラデーシールド、63:絶縁管、64:電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内にプラズマが生成される真空容器と、該真空容器外に設けた第1の高周波電源および第2の高周波電源ならびに第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内または真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電源からの第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
前記第2の電極以外に真空容器内に生成されるプラズマと容量結合するRF放射部を構成し、前記第2の電極とRF放射部との間に同一周波数で位相信号以外の信号源を用いて前記第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、前記RF放射部は、平行平板電極のアンテナまたはフォーカスリングまたはファラデーシールドまたは他の電極のいずれかで構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、前記位相信号以外の信号源は、高周波電圧またはプラズマ光または高周波電圧とプラズマ光の組み合わせのいずれかを用いることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1記載のプラズマ処理装置において、前記RF放射部は、平行平板電極のアンテナおよびフォーカスリングおよび他の電極の組み合わせ、またはファラデーシールドおよびフォーカスリングおよび他の電極の組み合わせのいずれかで構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧および第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が混合されて供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、
第1の電極の第3の高周波電圧の位相を検出する第1の位相検出手段と、第2の電極の第2の高周波電圧の位相を検出する第2の位相検出手段とを備え、
第1の位相検出手段と第2の位相検出手段の出力に基づいて、第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧および第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が混合されて供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、
真空容器の内壁面のプラズマ中を伝播してくる高周波の電位を検出する電圧検出手段と、
該電圧検出手段の検出電圧から第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を算出する位相差算出手段とを備え、
前記位相差算出手段の出力が最小あるいは特定の値になるように、第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧および第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が混合されて供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、
真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、
プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の電極に載置される試料の周囲に設けられ第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が供給されるフォーカスリングと、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、
真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、
プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項9】
真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第1の電極と真空容器内との間に設けられ第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が供給されるファラデーシールドと、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、
真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、
プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
真空容器と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第1の電極と真空容器内との間に設けられたファラデーシールドと、第3の高周波電源からの第3の高周波電圧が供給され真空容器内に設けられプラズマと容量結合する第3の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置であって、
第2の高周波電圧と第3の高周波電圧は同一の周波数であり、
真空容器内のプラズマの発光状態を検出するプラズマ発光検出手段を備え、
プラズマ発光の状態に基づいて第2の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項11】
容器内にプラズマが生成される真空容器と、該真空容器外に設けた第1の高周波電源および第2の高周波電源ならびに第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内または真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電源から第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電源からの第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置の制御方法であって、
前記第1の高周波電源から所定の電力を供給してプラズマを点火する工程と、
プラズマの点火を確認後前記第2の高周波電源と第3の高周波電源から、それぞれ所定の電力を供給する工程とを備え、
前記第2の高周波電源と第3の高周波電源の電力印加開始時、位相制御を行わずプリセットモードを用いて所定の位相角に固定し、整合動作が安定後位相制御を開始することを特徴とするプラズマ処理装置の制御方法。
【請求項12】
容器内にプラズマが生成される真空容器と、該真空容器外に設けた第1の高周波電源および第2の高周波電源ならびに第3の高周波電源と、第1の高周波電源からの第1の高周波電圧が供給される真空容器内または真空容器外に設けた第1の電極と、上面に試料が載置され第2の高周波電圧からの第2の高周波電圧が供給される真空容器内に設けた第2の電極と、第2の高周波電圧と第3の高周波電源からの第3の高周波電圧の位相差を制御する位相制御装置とを備えるプラズマ処理装置の制御方法であって、
前記プラズマと容量結合するRF放射部と第2の電極との間に同一周波数で位相信号以外の信号源を用いて前記第2の電極の高周波電圧および第3の高周波電圧の位相差を制御する工程を備え、
前記真空容器内の堆積膜除去時、堆積膜の量に応じて位相差を制御することを特徴とするプラズマ処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−192649(P2011−192649A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69911(P2011−69911)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2004−341723(P2004−341723)の分割
【原出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】