説明

プラズマ処理装置および処理方法

【課題】外乱による影響を抑制することのできるプラズマ処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマ処理装置23と、前記処理中のプロセス量をモニタするセンサ24と、前記センサからのモニタ出力および予め設定した加工結果の予測式をもとに加工結果を推定する加工結果推定モデル25と、前記加工結果の推定モデルの推定結果をもとに加工結果が目標値となるように処理条件の補正量を計算する最適レシピ計算モデル26を備え、該最適レシピ計算モデルが生成したレシピをもとに前記プラズマ処理装置23を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマ処理装置および処理方法にかかり、特に外乱による影響を抑制するこ
とのできるプラズマ処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置は、例えば、真空処理室内にエッチングガスを導入し、減圧下でプラ
ズマ放電を発生させ、このプラズマ中に発生するラジカルあるいはイオンを、被処理物で
あるウエハ表面に反応させてエッチングをする装置が知られている。このような処理を行うドライエッチング装置は、レシピと呼ばれる製造条件(ガス流量、ガス圧力、投入電力、エッチング時間等)のもとにエッチング処理を行う。前記レシピは半導体デバイスの特定の製造工程(同一プロセス)においては、常に一定に保持されている。なお、前記1つのプロセスを数ステップに分割して各ステップ毎に製造条件を変更する場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体製造工程において、ドライエッチング装置があるプロセスを処理する場合、前述
のようにレシピと呼ばれる製造条件をウエハ処理毎に毎回一定に設定してウエハ加工を行
う。
【0004】
しかし、最近の微細化が進んだ状態でのドライエッチングプロセスでは、ウエハとエッ
チングガスの反応生成物が処理室内壁に堆積し、この堆積物からアウトガスと呼ばれる不
要なガスが発生し、このため処理室内の環境が経時変化する。さらに、処理室関連部品の
温度変化、部品の消耗によっても処理室内環境は変化する。このようにドライエッチング
装置には様々な外乱要因が存在する。
【0005】
また、エッチングの前工程であるリソグラフィー工程で形成するマスクの形状寸法のば
らつきも、エッチング結果に重要な影響を与える。
【0006】
すなわち、一定のレシピを用いてエッチング処理を行っても、種々の外乱により一定の
性能を得ることは困難である。本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、特に外
乱による影響を抑制することのできるプラズマ処理装置および処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0008】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマ処理装置と、該処理装置の処理中の
プロセス量をモニタするセンサと、該センサからのモニタ出力および予め設定した加工結
果の予測式をもとに加工結果を推定する加工結果推定モデルと、前記加工結果推定モデル
の推定結果をもとに加工結果が目標値となるように最適な処理条件を再計算する最適レシ
ピ計算モデルを備え、該最適レシピ計算モデルが生成したレシピをもとに前記プラズマ処
理装置23を制御する。
【0009】
また、真空処理室内に収容した試料にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、
該処理方法は、前記処理中のプロセス量をモニタするステップと、前記モニタ結果をもと
に加工結果を推定するステップと、前記加工結果の推定結果をもとに加工結果が目標値と
なるように処理条件の補正量を計算して最適レシピを生成するステップと、前記生成した
最適レシピをもとに前記プラズマ処理装置を制御するステップからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外乱による影響を抑制することのできるプラズマ処理装置および処理
方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態にかかるドライエッチング装置の概要を示す図である。図に
おいて、1はプラズマ1cを生成するプラズマ処理室、1bは処理室内のウエハステージ
1a上に載置した被処理物であるウエハである。2は装置に供給するガス流量、ガス流量
、ガス圧力、投入電力等の処理中のプロセス量をモニタするためのセンサであり、これら
のセンサは通常ドライエッチング装置に標準装備される。3は付加センサであり、例えば
、プラズマ光のスペクトルを解析するための発光分光センサ(OES: Optical
Emission Spectroscopy)、プラズマ粒子の質量を分析するため
の4重極質量分析装置(QMS: Quadrupole Mass Spectrom
etry)、4はレシピ6に従ってドライエッチング装置を制御するアクチュエータ、5
は処理中のプロセス量をレシピあるいは生産管理情報(ロット番号、ウエハID等)と結
合して保存するデータベースである。なお、前記レシピはウエハ処理中あるいはウエハ処
理毎に変更可能である。
【0012】
図2は、本発明の第1の実施形態にかかるドライエッチング処理システムの全体構成を
示す図である。該装置はフィードバック(FB)制御系およびフィードフォワード(FF
)制御系を含む。
【0013】
図において、21はフォトリソグラフィ処理装置であり、例えば半導体基板上にレジス
トを塗布し、該レジストを、例えば目的とするFETのゲート部分に目的とする電極幅の
ゲート電極が得られるようにエッチング加工する。以下この電極幅の目標値あるいは加工
結果の値をCD(crtical dimension)値と称する。22は前記エッチ
ング後のレジストのCD値を計測するCD−SEM等の計測機、23はプラズマエッチン
グ処理装置(エッチャ)、24はプラズマエッチング処理装置に供給するガス流量、ガス
圧力、投入電力、OES、QMS等の処理中のプロセス量をモニタするためのセンサ(以
下In−Situセンサと称する)である。25は加工結果推定モデルであり、前記In
−Situセンサのモニタ出力あるいは予め設定した加工結果の予測式を用いて加工結果
(例えば前記加工結果CD値)を推定する。なお、In−Situセンサはウエハ処理中
にウエハ毎にモニタ可能であるため、前記推定モデルはウエハ毎に加工結果を推定するこ
とができる。また、この推定モデルは後述する加工結果の測定機出力に基づき修正するこ
とができる。
【0014】
26は最適レシピ計算モデルであり、前記加工結果の推定モデルの推定結果および目標
値27をもとに最適レシピ計算モデルを、例えば図の例1または例2に示すように修正し
て最適レシピを生成する。また、この計算モデルは前記CD−SEM等の計測機22の出
力を例3に示すようにフィードフォワード制御入力として利用することができる。
【0015】
28は使用可能レシピ選択手段であり、レシピサーバ29に格納したレシピの中から最
適レシピ計算モデルが生成した最適レシピに最も近いレシピを選択して使用可能レシピと
して設定する。
【0016】
30は加工結果のCD値を測定するCD−SEM(寸法側長用走査形電子顕微鏡(Cr
itical Dimension−Scanning Electron Micro
scope))、31はその他の加工結果を測定するX−SEM(断面測定用走査形電子
顕微鏡(Cross Section−Scanning Electron Micr
oscope))等の加工結果の測定機であり、加工結果をCD値あるいはゲート形状信
号32として出力する。なお、前記CD−SEM30およびX−SEM31等の測定機は
、前記プラズマエッチング処理装置の処理単位毎(ロット単位毎)にウエハをサンプリン
グして計測することになる。このため前記CD値あるいはゲート形状はロット毎に得られ
ることになる。
【0017】
図3は、本実施形態のドライエッチング装置のフィードバック制御を説明する図である
。まずステップ1において、加工目標値(CD値)を設定する。ステップ2において最適
レシピ計算モデルは加工目標値から目標値を達成するのに最適なレシピを計算する。ステ
ップ3において、最適レシピに最も近い使用可能なレシピを選択し、ステップ4において
、該レシピをエッチング処理装置23に設定する。ステップ5において、エッチングを開
始する。ステップ6において、エッチングを行っている間の装置の状態をIn−Situ
センサによりモニタリングする。ステップ7において、1枚のウエハのエッチング処理が
終了すると、ステップ8において、加工結果推定モデルを用いて、前記In−Situセ
ンサの測定値をもとにウエハの加工結果を推定する。ステップ9において、前記推定した
加工結果と目標値をもとに、図4に示すように最適レシピ計算モデルを修正し、修正した
最適レシピをエッチング処理装置23に設定する。次いでステップ2に進んで次のウエハ
を処理する。
【0018】
また、前述のように、各ロット毎にウエハを1枚ずつサンプリングして、ウエハの実寸
法をCD−SEM30あるいはX−SEM31等の加工結果の測定機で測定し、該測定結
果に基づいて加工結果の推定モデルを精度よく修正することができる。また、この推定モ
デルの修正により、前記サンプリング検査のみによりウエハの全数検査に相当する精度の
よい検査を実行することができる。
【0019】
このように本制御方式によれば、In−Situセンサの測定値を用いて加工結果を推
定し、フィードバック制御することができる。また、In−Situセンサの測定値を用
いるので、ウエハの実寸法をCD−SEM30あるいはX−SEM31等の加工結果の測
定機のみで測定する方法(In−Situセンサを用いない方法)に比して、高速なフィ
ードバックループ(ウエハ毎のフィードバック制御ループ)構成することができ、不良ウ
エハの大量生産を抑制することができる。
【0020】
次に、本実施形態のドライエッチング装置のフィードフォワード制御を説明する。フォ
トリソグラフィ処理装置21により処理したウエハのレジスト加工寸法(例えばCD値)
はCD−SEM等の測定機22により測定する。最適レシピ計算モデル26は、この測定
値と前記目標値27とを比較し、ホトリソグラフィ工程におけるレジスト加工寸法の目標
値からの前記ずれを相殺する加工量(CDシフト量)を見積もり(図中Y)、この見積も
りをもとに最適レシピ計算モデルを用いて最適レシピを計算する。次いで、使用可能レシ
ピ選択手段28はレシピサーバに格納したレシピの中から最適レシピ計算モデルが生成し
た最適レシピに最も近いレシピを選択して使用可能レシピとして設定する。
【0021】
図4においては、ホトリソグラフィ工程における加工結果が目標CD値よりも大の場合
の例を示している。このようなような場合は、レジストを目標CD値になるようにエッチ
ング処理で細くする(スリミング処理)か、あるいは、BARC/HLD(反射防止膜)
エッチング処理で目標CD値になるように調整する。次いで目標CD値となったレジスト
、あるいはBARC/HLDをマスクとしてエッチング処理する。この場合、目標とする
レジストのサイドエッチングによって生じるCDシフト量を見積り、この見積もりをもと
に、図5に示すように最適レシピ計算モデルにより最適レシピを計算する。次いで、計算
した最適レシピにもっとも近い、使用可能なレシピを選択し、レジストをエッチング処理
する。
【0022】
次に、同様に、前記レジストのCD値をもとに、最適レシピ計算モデルにより最適レシ
ピを計算し、計算した最適レシピにもっとも近い使用可能なレシピを選択してウエハのエ
ッチング処理を行い、エッチング処理の工程を終了する 図6は、本発明のドライエッチ
ング装置の他の例を示す図である。なお、図において図2に示される部分と同一部分につ
いては同一符号を付してその説明を省略する。この例においては、図2に示す加工結果推
定モデルは使用しない。こうすることにより、フィードバックのループ速度は遅くなるが
、加工結果の測定機30,31,からの実データを用いたフィードバックを行うことがで
きる。このため、最適レシピ計算モデルをより正確に修正することができる。
【0023】
図16は、本発明のドライエッチング装置の他の例を示す図である。なお、図において
図2に示される部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。この例
においては、図2に示すCD−SEM30とX−SEM31、および加工結果32は使用
しない。In−Situセンサ24と加工結果推定モデル25が高精度で維持できる場合
、CD−SEM等からのモデル補正は不要となるためである。こうすることにより、CD
−SEM、X−SEM等の検査装置を必要としない処理方法が実現でき、半導体製造にお
いて検査工程を削減できる。
【0024】
図7は、本発明のドライエッチング装置のさらに他の例を示す図である。なお、図にお
いて図2に示される部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。こ
の例においては、図2に示すIn−Situセンサ24に代えて、光散乱形状推定手段(
Scatterometry)を用いる。光散乱形状推定手段は、ウェハ上に設けた複数
の格子マークに、波長もしくは入射角をパラメータとして光を照射して反射率を測定する
。つぎに、予め理論計算によって作成しておいた特徴ライブラリと比較して一致度の良い
ライブラリ波形を探索し、さらに、形状パラメータを調整することにより複数の格子マー
クにより形成されるウエハの形状、寸法を推定することができる。
【0025】
この光散乱形形状推定手段24Aを用いて、ロット毎にサンプルしたウエハの格子マー
クの加工形状を測定し、前記加工結果推定モデル25を修正するようにすれば、X−SE
Mによる破壊検査を行うことなく形状推定精度を修正することができる(図15)。
【0026】
この光散乱推定手段24Aを、プロセス量をモニタするための測定装置(Integr
ated Metrology)としてエッチング処理装置23に組み込み、エッチング
直後のウェハをエッチング装置内で計測し、寸法、形状を推定する。推定結果を基に最適
レシピ計算モデルを修正することは図2の場合と同様である。
【0027】
図8は、In−situセンサを用いた加工結果推定と加工制御の効果を示す図である
。図では、In−situセンサの例として処理中のプラズマ発光を測定する例を示す。
【0028】
プラズマ発光には、プロセスを支配するエッチャントやイオンの情報が含まれており、プ
ラズマ発光のピーク強度やスペクトル形状の変化から加工結果の変化を推定することがで
きる。
【0029】
なお、プラズマ発光の変化はわずかであるので、プラズマ発光に対してなんらかの数値
処理を施して発光スペクトルの変化成分を感度よく抽出することが望ましい。演算処理と
しては、たとえば標準スペクトルに対して比や差分をとる方法がある。あるいは統計解析
的な手法、たとえば主成分分析を用いれば、多くの発光ピークのなかから変化したピーク
成分のみをフィルタリングしてとりだすことができる。
【0030】
図8の左欄には、プラズマ発光に対して数値処理をほどこした結果を示している。図の
*印は、側壁デポジットに影響を与える発光ピークの変化を示す。この発光ピークの分析
結果から、加工結果推定モデルにもとづいて加工結果が推定できる。この様子は図8の中
央部に示してあり、所定の形状(最上段に示す)に比べて、発光ピークの変化に対応して
側壁デポジットが増加してテーパ角が増加していることが推定される。
【0031】
これらの結果にもとづいて、最適なレシピを計算して加工制御をおこなう。最適レシピ
計算は、処理レシピに対して補正をかけることで行う。加工目標値からのずれ量に応じて
、例えば、テーパ角が目標値に一致している場合は補正を加えずに、テーパ角が大きい場
合は補正量を大きくとる。これにより、図3の右欄に示すように、テーパ角を一定にたも
つことができる。この最適レシピ計算の方法は後述する。なお、ここではIn−situ
センサとして、プラズマ発光をを検出するセンサ用いたが、これ以外にも、たとえば放電
電圧(Vpp)やバイアス電圧(Vdc)、あるいはインピーダンスモニタを用いること
もできる。
【0032】
図9は、本実施形態にかかるドライエッチング装置のエッチング制御を説明するブロッ
ク図である。
【0033】
プロセス量をモニタし、さらに加工結果をモニタするセンサ91としては、発光分光器
などの多数のデータを出力するセンサ、プラズマインピーダンスモニタのようにプラズマ
の状態に感度が高いセンサ、その他の圧力や温度や電圧、電力の入射、反射などの種々の
センサを備えることができる。また、発光分光器のように多数のデータを同時に取得でき
るセンサが一つあるだけでもよい。これらのセンサは一定時間毎、たとえば1秒毎に、装
置の状態を表す信号を出力する。この一回の出力あたりに、センサデータの数は数十個か
ら数千個である。
【0034】
信号圧縮部92はこれらの多数のデータを圧縮して装置状態信号を生成する。装置状態
信号の数は場合によって変わるが、数個から数十個の場合がある。この信号圧縮には主成
分分析などの統計的解析法を用いることができる。
【0035】
加工結果推定部93は、前記装置状態信号の時間変化から、平均化や微分操作によって
、ウエハ毎の処理状態信号を生成する。
【0036】
ここで、図の加工結果予測式94は、前記生成したウエハ毎の処理状態信号から処理後
のウエハの加工結果を予測する予測式であり、予めデータベースに格納しておく。さらに
、前記加工結果推定部93は前記処理状態信号および予測式を用いてウエハの加工形状を
予測する。なおウエハ内で加工形状のばらつきがあるときには、このばらつきも計算する

【0037】
最適レシピ計算モデル95は前記予測結果および処理の目標値96を入力して、加工結
果が目標値になるように処理条件の補正量を計算する。この補正された処理条件(最適レ
シピ)を装置制御部97に渡して、エッチング装置98を制御して、次のウエハの処理を
行う。なお、前記加工結果予測式は、その予測精度の検定をCD−SEMなどの加工形状
の測定機による実測結果と比較することにより行うことができる。
【0038】
図10は、フィードバック制御あるいはフィードフォワード制御による安定化の効果を
示す図である。縦軸はCDゲインであり、CD値の加工による太り量を示す。生産管理上
、このCDゲインはわずかに正の値で一定に保たれることが理想的である。しかし、リア
クタ内壁面への反応生成物の堆積などにより、プラズマやケミストリの状態がわずかでは
あるが変化していくために加工に長期的な変動が生じる。これをこの図ではロット間変動
と名づけている。特にリアクタを大気開放して内部の堆積物を除去する全掃後から、リア
クタ内壁面の状態が安定するまでの間に変動がでる。また、ロット内においても、反応生
成物の堆積や内壁面の温度変化などにより短期的な変動(ロット内変動)が生じる。さら
に、ホト工程やエッチング工程の加工によるばらつき変動も生じる。
【0039】
従来からこうした変動に対しては、内壁面の温度調整などのハード的な改善により、あ
るいは適当な間隔で(たとえばロットごとやウエハごとに)クリーニングをおこなって堆
積物を除去して、リアクタの状態を安定化させることによりデバイス加工のマージン以内
におさめている。しかしながら、デバイスの微細化にともない、加工マージンが小さくな
ると従来の方法では安定化の限界が生じている。これに対して本実施形態に示すようにフ
ィードバック制御あるいはフィードフォワード制御を施すことにより、図10下段に示す
ようにロット間変動・ロット内変動・ばらつき変動をおさえてデバイス加工のマージン以
内におさめることが可能になる。
【0040】
図11は、図9に示す加工結果予測式を生成するための処理を説明する図である。まず
、ステップ1において、エッチング処理装置を用いて試料(ウエハ)の処理を行う。ステ
ップ2において、プロセス量をモニタするセンサのデータをデータ圧縮部において圧縮し
、ステップ3において圧縮したデータを処理状態信号データベースに格納する。ステップ
4において、前記処理の終了したウエハの加工形状を、例えばCD−SEMなどで測定し
、ステップ5において、加工結果データベースに保存する。ステップ6において、前記実
測した加工形状と処理状態信号の相関関係式を重回帰分析により求め、加工結果予測式を
生成する。
【0041】
図12は、本発明のドライエッチング装置のさらに他の例を示す図である。この例では
、最適レシピ計算モデルのモデル化方法として統計処理に一般に用いられている応答曲面
モデルを利用した。また、図13は最適レシピ計算モデル構築のための処理を示す図であ
る。
【0042】
まず、目標とするエッチング性能の項目をA,B,Cとし、エッチング装置へ設定する
レシピパラメータがa,b,c,d,e,fの6項目であるとする。A,B,Cは、例え
ば選択比、サイドエッチング量、テーパー角度といったものであり、a,b,c,d,e
,fは、例えばガス流量、圧力、電圧、電力、温度、時間といったものである。まず、ス
テップ1において、タグチメソッドを用いた評価実験を行い、ステップ2において、均一
性に影響を与えるレシピパラメータを選択し、制御可能なパラメータから除外する。これ
らのパラメータ(本図ではd,e,f)は固定レシピパラメータとして常時固定とするこ
とで、ウエハ毎のフィードバック制御(Run−to−Run制御)により均一性が劣化
することを防ぐ。
【0043】
ステップ3において、実験計画法を用いてモデル化に必要なデータを取得し、ステップ
4において、最適レシピ計算モデルを作成する。図11においては最適レシピ計算モデル
の概念を容易に理解できるようレシピパラメータa,b,cに対して、エッチ性能A,B
、エッチ性能A,C、およびエッチ性能B,Cのみがそれぞれ関与している3次元のモデ
ルを仮定した。実際には応答曲面法により生成される最適レシピ計算モデルは、エッチ性
能A,B,Cを入力とし、レシピパラメータa,b,cを出力とするような多次元のモデ
ルである。本構築例においては、エッチング性能を変化させるためにモデルの傾斜を変化
させる方法をとった。このようにして修正されたモデルを用いて導かれる更新されたレシ
ピパラメータa’,b’,c’と固定レシピパラメータd,e,fを次のウエハの処理条
件として与える。ステップ5において、前記エッチング条件にしたがってエッチング処理
を実行する。
【0044】
図14は、使用可能レシピ選択手段の使用可能レシピ選択方法を説明する図である。あ
るプロセスにおいて、1枚目のウェハを処理する場合、まず、最適レシピ計算モデルによ
り、CDシフト量およびCDテーパの目標値を元に、[1](図では丸付数字で示してい
る)で示すレシピNo.20が算出されて、このレシピで処理が行われる。ここでは説明
を簡便にするために目標値を2変数としたが、2変数以上の場合も同様である。
【0045】
1枚目のウェハのエッチング処理終了後、加工結果推定モデルあるいはCD−SEM等
の計測機により加工結果を測定する。この測定結果が[2]に示すように目標としていた
ものからずれていたとする。この場合は、当初の計算モデルが経時変化などにより変動し
ていると判断し、モデルを当初のレシピ(ここではレシピNo.20)が当該加工結果に
一致するように移動もしくは傾斜させ、モデル修正を行う(初期の最適レシピ計算モデル
を移動して修正後の最適レシピ計算モデル(1)とする)。
【0046】
2枚目のウェハのエッチング処理時には、修正された最適レシピ計算モデル(1)を使
用し、目標値から最適レシピ([4]に示す2枚目ウェハのレシピNo.10)を選択す
る。
【0047】
しかし、モデル修正後にモデルが図中に示している「修正後の最適レシピ計算モデル(
2)」になった場合は、目標値での最適レシピは存在しない。したがって、この場合は、
アラームを出し、エッチング処理は行わないことになる。これにより、装置が異常になっ
た場合、多くの不良を出すことを未然に防ぐことができる。また、このアラームは、前記
全掃といわれるメンテナンス処理の実行判断として使用することもできる。なお、以上の
説明ではプラズマ処理装置としてプラズマエッチング装置を代表例として説明したが、本
発明はプラズマCVD装置等の他のプラズマ処理装置にも適用することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、プロセス量をモニタするためのセンサ出力
あるいは加工結果の測定機の測定結果を基にフィードバック制御あるいはフィードフォワ
ード制御を施すので、経時変化等に基づくロット間変動・ロット内変動およびばらつき変
動をおさえて精度のよいデバイス加工を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態にかかるドライエッチング装置の概要を示す図である。
【図2】ドライエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図3】ドライエッチング装置のフィードバック制御を説明する図である。
【図4】最適レシピ計算モデルの修正を説明する図である。
【図5】最適レシピの計算を説明する図である。
【図6】ドライエッチング装置の他の例を示す図である。
【図7】ドライエッチング装置のさらに他の例を示す図である。
【図8】In−Situセンサセンサを用いた加工結果推定と加工制御の効果を示す図である。
【図9】ドライエッチング装置のエッチング制御を説明する図である。
【図10】フィードバック制御あるいはフィードフォワード制御による安定化の効果を示す図である。
【図11】加工結果予測式を生成するための処理を説明する図である。
【図12】ドライエッチング装置のさらに他の例を示す図である。
【図13】最適レシピ計算モデル構築のための処理を示す図である。
【図14】使用可能レシピ選択手段の使用可能レシピ選択方法を説明する図である。
【図15】ドライエッチング装置のさらに他の例を示す図である。
【図16】ドライエッチング装置のさらに他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 プラズマ処理室
1a ウエハステージ
1b ウエハ
2 センサ
3 付加センサ
4 アクチュエータ
5 データベース
6 レシピ
7 生産管理情報
21 フォトリソグラフィ処理装置
22 CD−SEM
23 プラズマエッチング処理装置
24 In−Situセンサ
24A 光散乱式形状推定手段
25 加工結果推定モデル
26 最適レシピ計算モデル
27 目標値
28 使用可能レシピ選択手段
29 レシピサーバ
30 CD−SEM
31 X−SEM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマ処理装置と、
該処理装置の処理中のプロセス量をモニタするセンサと、
該センサからのモニタ出力および予め設定した処理結果の予測式をもとに処理結果を推
定する処理結果推定モデルと、
前記処理結果推定モデルの推定結果をもとに処理結果が目標値となるように処理条件の
補正量を計算する最適レシピ計算モデルを備え、
該最適レシピ計算モデルが生成したレシピをもとに前記プラズマ処理を制御することを
特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記プラズマ処理装置、またはシステムは、処理結果得られた前記試料の形状を測定す
る処理結果の測定機を備え、該測定機の測定結果に基づき前記処理結果推定モデルを修正
することを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項3】
請求項1ないし請求項2の何れか1の記載において、前記最適レシピ計算モデルは、該モ
デルが計算した最適レシピの妥当性を判断して使用可能なレシピを選択する使用可能レシ
ピ選択手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記使用可能レシピ選択手段は、予め格納したレシピの中から
、前記最適レシピ計算モデルが計算した最適レシピに最も近似するレシピを選択すること
を特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1の記載において、前記最適レシピ計算モデルは前記試
料の加工前形状を測定する測定機を備え、該測定機の測定結果に基づき前記最適レシピ計
算モデルを用いて処理結果が目標値となるように処理条件を計算するフィードフォワード
制御を最適レシピ計算処理に付加することを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステ
ム。
【請求項6】
真空処理室内に収容した試料に処理を施すプラズマ処理装置と、
処理結果の測定機の測定結果および目標値をもとに最適レシピを計算する最適レシピ計
算モデルと、
前記最適レシピ計算モデルが計算した最適レシピの妥当性を判断して使用可能レシピを
選択する使用可能レシピ選択手段を備え、
該使用可能レシピ選択手段が選択したレシピをもとに前記プラズマ処理装置を制御する
ことを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記最適レシピ計算モデルは前記試料の加工前形状を測定する
測定機を備え、該測定機の測定結果に基づき前記最適レシピ計算モデルを用いて処理結果
が目標値となるように処理条件を計算するフィードフォワード制御を最適レシピ解散処理
に付加することを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れか1の記載において、処理結果を推定する光散乱式の形状
推定手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れか1の記載において、前記プラズマ処理装置はプラズマエ
ッチング処理装置であることを特徴とするプラズマ処理装置、またはシステム。
【請求項10】
真空処理室内に収容した試料にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、
該処理方法は、前記処理中のプロセス量をモニタするステップと、
前記モニタ結果をもとに処理結果を推定するステップと、
前記処理結果の推定結果をもとに処理結果が目標値となるように処理条件の補正量を計
算して最適レシピを生成するステップと、
前記生成した最適レシピをもとに前記プラズマ処理装置を制御するステップからなるこ
とを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項11】
請求項10の記載において、前記モニタ結果をもとに処理結果を推定するステップは推定
モデルを備え、処理結果得られた前記試料の形状の測定結果に基づき前記推定モデルを修
正するステップを備えたことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項12】
真空処理室内に収容した試料にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、
処理結果の測定機の測定結果および目標値をもとに最適レシピを計算するステップと、
前記最適レシピの妥当性を判断するステップと、
妥当性有りと判断したレシピをもとに前記プラズマ処理装置を制御することを特徴とす
るプラズマ処理方法。
【請求項13】
請求項1ないし請求項9の何れか1の記載において、複数の項目からなる処理条件を、予
めウエハ面内の加工結果の均一性に影響を与える処理条件と均一性に影響を与えない処理
条件とに二分して、均一性に影響を与えない処理条件のみを用いて処理結果が目標値に一
致するように制御することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項14】
請求項10ないし請求項12の何れか1の記載において、該処理ステップの最初に、
複数の項目からなる処理条件を、予めウエハ面内の加工結果の均一性に影響を与える処
理条件と均一性に影響を与えない処理条件とに二分するステップと、
均一性に影響を与える処理条件を均一性の観点から最適化するステップと、
を付け加えたものであり、かつ最適レシピを生成するステップを、
均一性に影響を与えない処理条件のみを対象にして処理結果が目標値に一致するように
処理条件の補正量を計算して補正し、予め最適化しておいた均一性に影響を与える処理条
件と合わせて最適レシピとする、
ことを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項15】
請求項8の記載において、光散乱形状推定手段を用いて、ロット毎にサンプルしたウエハ
の格子マークの加工形状を破壊検査を行うことなく測定し、前記処理結果推定モデルを修
正することを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−74067(P2006−74067A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323794(P2005−323794)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【分割の表示】特願2004−303161(P2004−303161)の分割
【原出願日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】