説明

プリプレグ連続体およびプリプレグ

【課題】例えば保管等を行なう際に小型化に有利なプリプレグ連続体、および、かかるプリプレグ連続体から製造されるプリプレグを提供すること。
【解決手段】プリプレグ連続体40は、長尺な薄板状をなす繊維基材2と、繊維基材2の一方の面に形成された第1の樹脂層3と、繊維基材2の他方の面に形成された第2の樹脂層4とを備え、その長手方向の途中で切断されて、切断されたものがプリプレグとなるものである。このプリプレグ連続体40の長手方向の途中には、第1の樹脂層3の一部および第2の樹脂層4の一部がそれぞれその幅方向にわたって欠損した欠損部401が複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ連続体およびプリプレグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品・電子機器等を小型化・薄膜化すべく、これに用いられる回路基板等を小型化・薄膜化することが要求されている。この要求に答えるために、多層構造の回路基板を用い、その各層を薄くすることが行なわれている。
【0003】
多層構造の回路基板には、例えば、薄板状の繊維基材と、繊維基材の一方の面に積層された第1の樹脂層と、繊維基材の他方の面に積層された第2の樹脂層とを備えるプリプレグが用いられる。そして、プリプレグを製造するには、繊維基材、第1の樹脂層、第2の樹脂層がそれぞれ別体で供給される装置を用いる(例えば、特許文献1参照)。この装置は、繊維基材と第1の樹脂層と第2の樹脂層とを重ね合わせた状態のものを一対のローラ間で加圧して、繊維基材に第1の樹脂層および第2の樹脂層をそれぞれ圧着して、プリプレグを製造するよう構成されている。製造されたプリプレグは、帯状をなし、所定長さに切断されて使用される。なお、この帯状をなすプリプレグは、通常はロール状(渦巻き状)に巻回して、できる限り小型化にした状態で保管される。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたプリプレグは、例えば各樹脂層の厚さや組成によっては、ロール状に巻回するのが困難となる場合があった。この場合、プリプレグを強制的に巻回すると、例えば、第1の樹脂層や第2の樹脂層が繊維基材から剥離したり、破損したりするおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/063960号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば保管等を行なう際に小型化に有利なプリプレグ連続体、および、かかるプリプレグ連続体から製造されるプリプレグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(15)の本発明により達成される。
(1)長尺な薄板状をなす繊維基材と、該繊維基材の片面または両面に形成され、樹脂組成物で構成された樹脂層とを備えるプリプレグ連続体であって、
当該プリプレグ連続体の長手方向の途中には、前記樹脂層の一部がその幅方向にわたって欠損した欠損部が少なくとも1つ形成されていることを特徴とするプリプレグ連続体。
【0008】
(2)前記欠損部は、当該プリプレグ連続体の長手方向に沿って等間隔に複数形成されている上記(1)に記載のプリプレグ連続体。
【0009】
(3)前記欠損部で折り曲げられる上記(1)または(2)に記載のプリプレグ連続体。
【0010】
(4)前記欠損部は、複数形成されており、
前記各欠損部をそれぞれ折り曲げる際、その折り曲げ方向は、隣接する前記欠損部同士では互いに反対方向となる上記(3)に記載のプリプレグ連続体。
【0011】
(5)前記樹脂層は、前記繊維基材の両面にそれぞれ形成されており、
前記欠損部は、2つの前記樹脂層のうちの少なくとも一方の樹脂層に形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0012】
(6)前記樹脂層は、前記繊維基材の両面にそれぞれ形成され、一方の樹脂層が他方の樹脂層よりも厚さが大となっており、
前記欠損部は、前記一方の樹脂層に形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0013】
(7)前記樹脂層は、前記繊維基材の両面にそれぞれ形成され、一方の樹脂層が他方の樹脂層よりも硬質となっており、
前記欠損部は、前記一方の樹脂層に形成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0014】
(8)前記欠損部の当該プリプレグ連続体の長手方向に沿った長さは、当該プリプレグ連続体の総厚以上である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0015】
(9)前記欠損部からは、前記繊維基材が露出している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0016】
(10)前記繊維基材には、少なくともその厚さ方向の一部に前記樹脂層からの前記樹脂組成物が含浸している上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0017】
(11)前記欠損部は、当該プリプレグ連続体を切断する際の切断部として機能する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0018】
(12)前記欠損部は、鋭利なエッジ部を有する部材の前記エッジ部で前記樹脂層を切り欠いて欠損させた部分である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0019】
(13)前記樹脂組成物は、硬化性樹脂を含むものである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0020】
(14)前記繊維基材は、ガラス繊維基材である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【0021】
(15)上記(1)ないし(14)のいずれかに記載のプリプレグ連続体をその長手方向の途中で切断して得られたことを特徴とするプリプレグ。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、欠損部でプリプレグ連続体を容易に折り曲げることができる。そして、この折り曲げ方向を適宜設定することにより、プリプレグ連続体を例えば蛇腹状に折り畳むことができ、例えば保管等を行なう際に小型化になり有利である。
【0023】
また、このような小型化に有利なプリプレグ連続体からプリプレグを製造することができる(得る)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のプリプレグ連続体を製造するプリプレグ連続体製造装置を示す概略断面側面図(本発明のプリプレグ連続体を製造する際の製造過程を順に示す図)である。
【図2】本発明のプリプレグ連続体を製造するプリプレグ連続体製造装置を示す概略断面側面図(本発明のプリプレグ連続体を製造する際の製造過程を順に示す図)である。
【図3】本発明のプリプレグ連続体を切断する切断装置を示す概略断面側面図である。
【図4】図1中のA−A線断面図である。
【図5】図1中のB−B線断面図である。
【図6】本発明のプリプレグ連続体を製造するプリプレグ連続体製造装置の他の構成例を示す概略断面側面図である。
【図7】本発明のプリプレグ連続体の第1実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明のプリプレグ連続体の第2実施形態を示す概略断面図である。
【図9】本発明のプリプレグ連続体の第3実施形態を示す概略断面図である。
【図10】図7に示すプリプレグ連続体から得られたプリプレグを用いて製造された基板を示す断面図である。
【図11】図10に示す基板を用いて製造された半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のプリプレグ連続体およびプリプレグを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
<<第1実施形態>>
図1および図2は、それぞれ、本発明のプリプレグ連続体を製造するプリプレグ連続体製造装置を示す概略断面側面図(本発明のプリプレグ連続体を製造する際の製造過程を順に示す図)、図3は、本発明のプリプレグ連続体を切断する切断装置を示す概略断面側面図、図4は、図1中のA−A線断面図、図5は、図1中のB−B線断面図、図6は、本発明のプリプレグ連続体を製造するプリプレグ連続体製造装置の他の構成例を示す概略断面側面図、図7は、本発明のプリプレグ連続体の第1実施形態を示す断面図、図10は、図7に示すプリプレグ連続体から得られたプリプレグを用いて製造された基板を示す断面図、図11は、図10に示す基板を用いて製造された半導体装置を示す断面図である。なお、以下の説明では、図1〜図7、図10および図11中(図8、図9についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」として説明する。また、図7、図10および図11(図8、図9についても同様)は、厚さ方向(図中の上下方向)に大きく誇張して示してある。
【0027】
<プリプレグ連続体>
まず、プリプレグ連続体40について説明する。このプリプレグ連続体40は、その長手方向の途中、すなわち、後述する欠損部401で切断すると、プリプレグ1が得られるものである。
【0028】
プリプレグ連続体40は、プリプレグ連続体製造装置30で製造される(図1、図2参照)。この製造されたプリプレグ連続体40を切断装置50で切断するとプリプレグ1が得られる(図3参照)。
【0029】
図7(図2、図3)に示すように、プリプレグ連続体40は、その全体形状が帯状をなし、長尺な薄板状(平板状)の繊維基材(基材)2と、繊維基材2の一方の面(上面)側に位置し、固形または半固形の第1の樹脂組成物で構成される第1の樹脂層(樹脂層)3と、繊維基材2の他方の面(下面)側に位置し、固形または半固形の第2の樹脂組成物で構成される第2の樹脂層(樹脂層)4とを有する。そして、プリプレグ連続体40の長手方向の途中には、第1の樹脂層3の一部および第2の樹脂層4の一部がそれぞれその幅方向にわたって(図中紙面奥側に向かって)欠損した複数の欠損部401(溝)が形成されている。
繊維基材2は、プリプレグ連続体40の機械的強度を向上する機能を有する。
【0030】
この繊維基材2としては、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙繊維基材等の有機繊維基材等の繊維基材等が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、繊維基材2は、ガラス繊維基材であるのが好ましい。かかるガラス繊維基材を用いることにより、プリプレグ連続体40を切断して得られたプリプレグ1の機械的強度をより向上することができる。また、プリプレグ1の熱膨張係数を小さくすることもできるという効果もある。
【0032】
このようなガラス繊維基材を構成するガラスとしては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でも、ガラスは、Sガラス、または、Tガラスであるのが好ましい。これにより、ガラス繊維基材の熱膨張係数を比較的小さくすることができ、このため、プリプレグ連続体40をその熱膨張係数ができる限り小さいものとすることができる。
【0033】
繊維基材2の平均厚さは、特に限定されないが、150μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、10〜60μm程度であるのがより好ましい。かかる厚さの繊維基材2を用いることにより、プリプレグ1の機械的強度を確保しつつ、その薄型化を図ることができる。さらには、プリプレグ1に対する孔あけ等の加工を施す際の加工性を向上することもできる。また、プリプレグ1を基板10にした状態で、当該基板10に対して、メカニカルドリルまたはレーザー照射による貫通孔(スルーホール)を加工する際の加工性も向上することができる。さらには、貫通孔同士間のピッチ間距離が70μm以下の狭ピッチにおける絶縁信頼性の向上を図ることもできる。
【0034】
この繊維基材2の一方の面側には、第1の樹脂層3が設けられ、また、他方の面側には、第2の樹脂層4が設けられている。また、第1の樹脂層3は、第1の樹脂組成物で構成され、一方、第2の樹脂層4は、本実施形態では、前記第1の樹脂組成物と異なる組成の第2の樹脂組成物で構成されている。
【0035】
かかる構成により、各樹脂層に要求される特性に応じて、樹脂組成物の組成を適宜設定することができるようになる。なお、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物とは、互いに組成が同一であってもよいことは、言うまでもない。
【0036】
本実施形態では、プリプレグ連続体40から得られたプリプレグ1の第1の樹脂層3上に配線部(導体パターン)が形成されるために、第1の樹脂組成物は、金属との密着性に優れるような組成に設定されている。また、プリプレグ1の第2の樹脂層4に、プリプレグ連続体40から得られた他のプリプレグ1の配線部や他の繊維基材を確実に埋め込むために、第2の樹脂組成物は、第2の樹脂層4が第1の樹脂層3より可撓性(柔軟性)と流動性とが高くなるような組成に設定されている。このような各樹脂組成物については、後に詳述する。
【0037】
図7に示すように、本実施形態では、繊維基材2の厚さ方向の一部に第1の樹脂組成物(第1の樹脂層3)が含浸され(以下この部分を「第1の含浸部31」と言う)、繊維基材2の第1の樹脂組成物が含浸されていない残り部分に、第2の樹脂組成物(第2の樹脂層4)が含浸されている(以下この部分を「第2の含浸部41」と言う)。これにより、第1の樹脂層3の一部である第1の含浸部31と第2の樹脂層4の一部である第2の含浸部41とが繊維基材2内に位置する。そして、繊維基材2内において、第1の含浸部31(第1の樹脂層3の下面)と第2の含浸部41(第2の樹脂層4の上面)とが接触している。換言すれば、本実施形態では、第1の樹脂組成物が、繊維基材2の上面側から、繊維基材2に含浸され、第2の樹脂組成物が、繊維基材2の下面側から、繊維基材2に含浸され、これらの樹脂組成物で繊維基材2内の空隙が充填されている。
【0038】
かかる構成により、繊維基材2を第1の樹脂層3および第2の樹脂層4で保護することができる。その結果、プリプレグ1に外部からの衝撃が加わった場合でも、繊維基材2自体が破壊するのを防止することができ、繊維基材2によるプリプレグ1の機械的強度を向上する効果を確実に発揮させることができる。
【0039】
また、繊維基材2内部における第1の含浸部31と第2の含浸部41との界面20を微視的に見た場合、この界面20は、凹凸をなすのが好ましい(図7中の拡大詳細図参照)。または、この界面20は、含浸部31(第1の樹脂層3)と第2の樹脂層4とが互いに溶融し混ざりあっていてもよい。これにより、各樹脂層の繊維基材2に対するアンカー効果のみならず、樹脂層同士の密着性が高まり、各樹脂層が繊維基材2から剥離するのをより確実に防止することができる。これにより、プリプレグ1の耐久性の向上を図ることができる。さらには、プリプレグ1を基板10にした際に吸湿耐熱性の向上を図ることができる。
【0040】
前述したように、第2の樹脂層4の可撓性は、第1の樹脂層3よりも高くなっている。このような大小関係となっている場合、第1の含浸部31の平均厚さta1[μm]が、第2の含浸部41の平均厚さtb1[μm]より大きく(ta1>tb1)設定するのが好ましい。これは、次のような理由による。
【0041】
第2の樹脂層4の可撓性を、第1の樹脂層3より高く設定した場合、第2の樹脂層4の熱膨張率は、第1の樹脂層3より大きくなる傾向がある。このため、「ta1>tb1」とは反対の大小関係である「ta1<tb1」とすると、プリプレグ1が加熱されたとき、繊維基材2の内部では、第2の含浸部41が第1の含浸部31より大きく変形して、繊維基材2の部分で割れ(クラック)等が生じるおそれがある。この繊維基材2の部分での割れ等は、プリプレグ1全体に大きく影響を与え、プリプレグ1が使用に耐え得るものとならないおそれがある。
【0042】
これに対して、「ta1>tb1」とすれば、上記の不都合が生じるのを解消、すなわち、プリプレグ1に割れ等が発生するのを防止または抑制することができる。これにより、プリプレグ1は、使用に耐え得るものとなる。
【0043】
具体的には、繊維基材2の最大厚さをT[μm]としたとき、前記平均厚さta1は、0.50×T〜0.95×Tであるのが好ましく、0.7×T〜0.9×Tであるのがより好ましい。平均厚さta1をかかる範囲に設定することにより、各樹脂層が繊維基材2から剥離するのを確実に防止しつつ、プリプレグ1に割れや、その他反り等が発生するのをより確実に防止または抑制することができる。
【0044】
なお、「ta1>tb1」なる大小関係、すなわち、第1の樹脂組成物の含浸の程度が第2の樹脂組成物の含浸の程度よりも大となっているのは、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物とが組成が異なっていることによる。
【0045】
また、第1の樹脂層3の第1の含浸部31を除く部分(第1の非含浸部32)の平均厚さをta2[μm]とし、第2の樹脂層4の第2の含浸部41を除く部分(第2の非含浸部42)の平均厚さをtb2[μm]としたとき、1.2×ta2<tb2なる関係を満足するのが好ましく、2×ta2<tb2なる関係を満足するのがより好ましく、3×t<tなる関係を満足するのがさらに好ましい。かかる関係を満足することにより、プリプレグ1の上面側の部分に比較的高い剛性を付与することができるため、当該プリプレグ1の上面(第1の非含浸部32上)に配線部を高い加工性で形成することができる。一方、第2の樹脂層4は、高い可撓性と十分な厚さを有することができるため、当該第2の樹脂層4(第2の非含浸部42)に他のプリプレグ1の配線部や他の繊維基材を埋め込む際、当該埋め込みを確実に行なうことができる、すなわち、他のプリプレグ1の配線部や他の繊維基材に対する埋め込み性が向上する。
【0046】
具体的には、平均厚さta2は、0.1〜15μmであるのが好ましく、1〜10μmであるのがより好ましい。一方、平均厚さtb2は、4〜50μmであるのが好ましく、8〜40μmであるのがより好ましい。
【0047】
図1に示すように、第1の樹脂層3は、支持基体(支持シート)51に支持された状態の薄板状の第1の支持体(支持体)5aとして、プリプレグ連続体製造装置30に供給される。第2の樹脂層4も、支持基体51に支持された状態の薄板状の第2の支持体(支持体)5bとして、プリプレグ連続体製造装置30に供給される。
【0048】
支持基体51としては、例えば、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が挙げられる。そして、樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、これらの中でも、耐熱性に優れ、安価であることから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、樹脂フィルムは、その樹脂フィルムの樹脂層側の面に剥離可能な処理が施されたものであることが好ましい。これにより、後述するように支持基体51と各樹脂層とを容易に分離することができる。
【0049】
支持基体51の平均厚さは、特に限定されないが、10〜50μm程度であるのが好ましく、20〜40μm程度であるのがより好ましい。
【0050】
上記の特性を有する第1の樹脂層3および第2の樹脂層4をそれぞれ得るために、第1の樹脂組成物および第2の樹脂組成物は、次のような組成とするのが好ましい。
【0051】
第1の樹脂組成物は、例えば、硬化性樹脂を含み、必要に応じて、硬化助剤(例えば硬化剤、硬化促進剤等)および無機充填材のうちの少なくとも1種を含んで構成される。
【0052】
配線部を構成する金属との密着性を向上させるには、金属との密着性に優れる硬化性樹脂を使用する方法、金属との密着性を向上させる硬化助剤(例えば硬化剤、硬化促進剤等)を使用する方法、無機充填材として酸に可溶なものを用いる方法、無機充填材と有機充填材とを併用する方法等が挙げられる。
【0053】
かかる硬化性樹脂には、例えば、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ビスアリルナジイミド化合物、ビニルベンジル樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、硬化性樹脂は、ガラス転移温度が200℃以上になる組合せが好ましい。例えば、スピロ環含有、複素環式、トリメチロール型、ビフェニル型、ナフタレン型、アントラン型、ノボラック型の2または3官能以上のエポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂(シアネートエステル樹脂のプレポリマーを含む)、マレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂を用いるのが好ましい。これらの中でも、エポキシ樹脂および/またはマレイミド樹脂および/またはシアネート樹脂を用いる場合には、熱膨張が小さくなり、耐熱性が著しく向上するため好ましい。さらには、シアネート樹脂を用いると、難燃性、耐衝撃性、高剛性、および電気特性(低誘電率、低誘電正接)に優れるため特に好ましい。
【0054】
特に、上記熱硬化性樹脂と充填材を併用することにより、プリプレグ1の熱膨張係数を小さくすること(以下、「低熱膨張化」と言うこともある)ができる。さらに、プリプレグ1の電気特性(低誘電率、低誘電正接)等の向上を図ることもできる。
【0055】
上記熱硬化性樹脂を用いれば、後述する基板10(図10参照)を作製した後において、硬化後の第1の樹脂層3中において架橋密度が増加するので、硬化後の第1の樹脂層3(得られる基板)の耐熱性の向上を図ることができる。
【0056】
ここで、耐熱性の向上は、上記熱硬化性樹脂の硬化反応後にガラス転移温度が200℃以上になること、硬化後の樹脂組成物の熱分解温度が高くなること、250℃以上での反応残渣などの低分子量が低減することに起因すると考えられる。更に、また、難燃性の向上は、芳香族系の熱硬化性樹脂のためその構造上ベンゼン環の割合が高いため、このベンゼン環が炭化(グラファイト化)し易く、硬化後の第1の樹脂層3中に炭化部分が生じることに起因すると考えられる。
【0057】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で難燃剤を含有しても良いが、環境の側面から非ハロゲン系難燃剤が好ましい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のホスフィン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX310等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100、(株)伏見製作所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD650、UD653等の水酸化マグネシウム、住友化学(株)製CL310、昭和電工(株)HP−350等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0058】
本発明に用いる前記シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させることにより得ることができる。シアネート樹脂の具体例としては、例えばフェノールノボラック型シアネート樹脂、クレゾールノボラック型シアネート樹脂等のノボラック型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂、ビフェニル型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールAD型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。
【0059】
これらの中でも特にノボラック型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂、ビフェニル型シアネート樹脂を含むことが好ましい。さらに、前記シアネート樹脂を樹脂組成物の全固形分中に10重量%以上含むことが好ましい。これにより、プリプレグ1の耐熱性(ガラス転移温度、熱分解温度)を向上できる。またプリプレグ1の熱膨張係数(特に、プリプレグ1の厚さ方向の熱膨張係数)を低下することができる。プリプレグ1の厚さ方向の熱膨張係数が低下すると、多層プリント配線の応力歪みを軽減できる。さらに、微細な層間接続部を有する多層プリント配線板においては、その接続信頼性を大幅に向上することができる。
【0060】
ノボラック型シアネート樹脂の中でも好適なものとしては、下記式(I)で表わされるノボラック型シアネート樹脂が挙げられる。重量平均分子量が2000以上、より好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2200〜3500の式(I)で表わされるノボラック型シアネート樹脂と、重量平均分子量が1500以下、より好ましくは200〜1300の式(I)で表わされるノボラック型シアネート樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。なお、本発明において重量平均分子量は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定した値である。
【0061】
【化1】

(式(I)中、nは0以上の整数を示す。)
【0062】
また、シアネート樹脂としては、下記式(II)で表わされるシアネート樹脂も好適に用いられる。下記式(II)で表わされるシアネート樹脂は、α−ナフトールあるいはβ−ナフトール等のナフトール類とp−キシリレングリコール、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものである。式(II)のnは1以上であるが、10以下であることがより好ましい。nが10以下の場合、樹脂粘度が高くならず、基材への含浸性が良好で、積層板としての性能を低下させない。また、合成時に分子内重合が起こりにくく、水洗時の分液性が向上し、収量の低下を防止できる。
【0063】
【化2】

(式(II)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)
【0064】
また、シアネート樹脂としては、下記式(III)で表されるジシクロペンタジエン型シアネート樹脂も好適に用いられる。ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂は、比較的分解温度が低く、また炭化せずに分解ガスとして揮発しやすいため、レーザー照射等の加工時スミアが残りにくく孔加工性製に優れる。下記式(III)で表されるジシクロペンタジエン型シアネート樹脂は、ジシクロペンタジエン構造を有するフェノール樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものである。式(III)中のnは0以上であるが8以下であることが好ましい。nが8以下の場合、樹脂粘度が高くならず、基材への含浸性が良好で、積層板としの性能を低下させない。さらに好ましくは5以下である。これらの樹脂は、ロンザ社製DT−4000、DT−7000として入手可能である。
【0065】
【化3】

【0066】
硬化性樹脂としてシアネート樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂(実質的にハロゲン原子を含まない)を併用することが好ましい。このエポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0067】
これらの中でも、エポキシ樹脂は、ナフタレン型、アリールアルキレン型エポキシ樹脂であるのが好ましい。ナフタレン型、アリールアルキレン型エポキシ樹脂を用いることにより、硬化後の第1の樹脂層3(得られる基板)において、吸湿半田耐熱性(吸湿後の半田耐熱性)および難燃性を向上させることができる。ナフタレン型エポキシとしては、DIC(株)製のHP−4700、HP−4770、HP−4032D、HP−5000、日本化薬(株)製のNC−7300L、新日鐵化学(株)製のESN−375等が挙げられ、アリールアルキレン型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のNC−3000、NC−3000L、NC−3000−FH、日本化薬(株)製のNC−7300L、新日鐵化学(株)製のESN−375等が挙げられる。アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に芳香族基とメチレン等のアルキレン基の組合せが一つ以上含むエポキシ樹脂のことをいい、耐熱性、難燃性、および機械的強度が優れる。
【0068】
エポキシ樹脂を併用する場合、その含有量は、特に限定されないが、第1の樹脂組成物全体の1〜55重量%であるのが好ましく、2〜40重量%であるのがより好ましい。
【0069】
また、前記熱硬化性樹脂組成物中には、耐熱性の点から、マレイミド化合物が含まれていてもよい。マレイミド化合物は1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、これらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられる。
【0070】
また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂および/またはシアネート樹脂を用いる場合には、樹脂組成物の全固形分中に、エポキシ樹脂は5〜50重量%であることが好ましく、エポキシ樹脂は5〜25重量%であることがより好ましい。また、樹脂組成物の全固形分中に、シアネート樹脂は5〜50重量%であることが好ましく、シアネート樹脂は10〜25重量%であることがより好ましい。
【0071】
さらに、第1の樹脂組成物には、金属との密着性が向上するような成分(樹脂等を含む)を添加してもよい。かかる成分としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアミドイミド樹脂フェノキシ樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、カップリング剤等が挙げられる。
【0072】
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0073】
これらの中でも、フェノキシ樹脂には、ビフェニル骨格およびビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂を用いるのが好ましい。これにより、ビフェニル骨格が有する剛直性により、フェノキシ樹脂のガラス転移温度を高くすることができるとともに、ビスフェノールS骨格の存在により、フェノキシ樹脂の金属との密着性を向上させることができる。その結果、第1の樹脂層3の耐熱性の向上を図ることができるとともに、多層基板を製造する際に、第1の樹脂層3に対する配線部(金属)の密着性を向上させることができる。
【0074】
また、フェノキシ樹脂には、ビスフェノールA骨格およびビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂を用いるのも好ましい。これにより、多層基板200の製造時に、配線部の第1の樹脂層3への密着性をさらに向上させることができる。
【0075】
フェノキシ樹脂の分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量が5000〜70000であるのが好ましく、10000〜60000であるのがより好ましい。
【0076】
フェノキシ樹脂を用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、第1の樹脂組成物全体の1〜40重量%であるのが好ましく、5〜30重量%であるのがより好ましい。
【0077】
前記硬化助剤(例えば、硬化剤、硬化促進剤)は、特に限定されないが、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、ジシアンジアミド類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、1−ベンジルー2−メチルイミダゾール、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチルー2−エチルー4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2,3−ジヒドロー1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、オニウム塩化合物等またはこの混合物が挙げられる。これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。これらの硬化促進剤の中でも、ワニス保存性が良好になりプリプレグ1の生産時の歩留まりが向上する点からオニウム塩化合物が好ましい。
【0078】
前記オニウム塩化合物の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂および/またはシアネート樹脂を含む樹脂組成物の全固形分に対して0.01〜10重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であり、最も好ましくは0.2〜2.5重量%である。これにより、優れた硬化性、流動性及び硬化物特性を発現することができる。
【0079】
前記フェノール化合物は、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック又はクレゾールノボラック樹脂が好ましい。中でも、ビフェニルアラルキル変性フェノールノボラック樹脂が、吸湿半田耐熱性の点から好ましい。
【0080】
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
【0081】
本発明では、第1の樹脂組成物は、充填材として無機充填材を含むことが好ましい。これにより、プリプレグ1を薄型化(例えば、厚さ35μm以下)にしても、機械的強度に優れる基板10を得ることができる。さらに、基板10の低熱膨張化を向上することもできる。無機充填材は、特に限定されないが、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、ベーマイト(AlO(OH)、「擬」ベーマイトと通常呼ばれるベーマイト(すなわち、Al・xHO、ここで、x=1から2)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。
【0082】
これらの中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ、タルク、焼成タルク、アルミナが好ましい。低熱膨張性、および絶縁信頼性の点で特にシリカが好しく、より好ましくは、球状の溶融シリカである。また、耐燃性の点で、シリカ、ベーマイト、タルクが好ましい。また、無機充填材の使用目的に応じて、破砕状、球状のものが適宜選択される。無機充填材の平均粒径は、0.01〜5.0μmであるのが好ましく、0.1〜2.0μmであるのがより好ましい。なお、この平均粒径は、例えば、粒度分布計(HORIBA製「LA−500」)により測定することができる。これにより、第1の樹脂組成物のワニスを繊維基材2内により確実に含浸させることができ、また、形成された第1の樹脂層3(第1の含浸部31)の繊維基材2の内部における面に凹凸をより確実に形成することができる。
【0083】
また、第1の樹脂層3と配線部との密着性を向上するために、無機充填材として、酸に可溶な無機充填材を用いてもよい。これにより、配線部(導体層)を第1の樹脂層3上にメッキ法で形成した場合に、その配線部の第1の樹脂層3に対する密着性(メッキ密着性)を向上することができる。この酸に可溶な無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物等が挙げられる。
【0084】
また、第1の樹脂層3と配線部との密着性を向上するために、無機充填材と有機充填材とを併用してもよい。この有機充填材としては、例えば、液晶ポリマー、ポリイミド、ゴム等の樹脂系充填材が挙げられる。
【0085】
無機充填材を用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の全固形分中に10重量%〜90重量%であることが好ましく、30重量%〜80重量%であることがより好ましく、50重量%〜75重量%であることがさらに好ましい。樹脂組成物中にシアネート樹脂および/またはそのプレポリマーを含有する場合には、上記無機充填材の含有量は、樹脂組成物の全固形分中に50〜75重量%であることが好ましい。無機充填材含有量が上記上限値を超えると樹脂組成物の流動性が極めて悪くなるため好ましくない場合があり、上記下限値未満であると樹脂組成物からなる絶縁層の強度が十分でなく、好ましくない場合がある。
【0086】
また、本発明では、無機充填材であっても含浸しやすい基材を用いるため、樹脂組成物中に無機充填材の量を多くすることができる。樹脂組成物中に無機充填材が高濃度の場合、ドリル摩耗性が悪化するが、無機充填材がベーマイトの場合にはドリル摩耗性が良好になる点から好ましい。
【0087】
前記樹脂組成物に無機充填材を配合させる場合、更にカップリング剤を含有しても良い。カップリング剤は、熱硬化性樹脂と無機充填材との界面の濡れ性を向上させることにより、基材に対して樹脂および無機充填材を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良するために配合する。
【0088】
前記カップリング剤は、特に限定されないが、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。これにより、無機充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることできる。
【0089】
前記カップリング剤の添加量は、特に限定されないが、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましく、特に0.1〜2重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると無機充填材を十分に被覆できないため耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応に影響を与え、曲げ強度等が低下する場合がある。
【0090】
本発明に用いる樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック、アントラキノン類等の着色剤等を挙げることができる。その他、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃助剤、イオン捕捉剤等が挙げられる。
【0091】
また、後述する金属との密着性をさらに向上させる硬化剤または硬化促進剤を併用する場合には、上述の硬化性樹脂以外に、(メタ)アクリル樹脂等のエチレン性不飽和結合を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂等の他の熱硬化性樹脂を用いることもできる。さらに、硬化性樹脂には、熱硬化性樹脂の他、例えば、紫外線硬化性樹脂、嫌気硬化性樹脂等を用いることもできる。
【0092】
第1の樹脂組成物は、プリプレグ1の低線膨張化、高剛性化および高耐熱化を実現しやすい点から、少なくともエポキシ樹脂、シアネート樹脂および無機充填材を含むことが好ましい。中でも、樹脂組成物の固形分中に、エポキシ樹脂を5〜50重量%、シアネート樹脂を5〜50重量%、および無機充填材を10〜90重量%含むことが好ましく、さらに、エポキシ樹脂を5〜25重量%、シアネート樹脂を10〜25重量%、および無機充填材を30〜80重量%含むことが好ましい。特に、上記エポキシ樹脂としてナフタレン型、アラルキル変性エポキシ樹脂と、上記シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂とを組み合わせることが好ましい。
【0093】
硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、第1の樹脂組成物全体の5〜50重量%であるのが好ましく、10〜40重量%であるのがより好ましい。硬化性樹脂の含有量が前記下限値未満であると、硬化性樹脂の種類等によっては、第1の樹脂組成物のワニスの粘度が低くなりすぎ、プリプレグ1を形成するのが困難となる場合がある。一方、硬化性樹脂の含有量が前記上限値を超えると、他の成分の量が少なくなり過ぎるため、硬化性樹脂の種類等によっては、プリプレグ1の機械的強度が低下する場合がある。
【0094】
第2の樹脂組成物は、第1の樹脂組成物と異なる組成、具体的には、第2の樹脂層4が第1の樹脂層3より可撓性が高くなるような組成に設定されている。
【0095】
第2の樹脂組成物の構成成分には、第1の樹脂組成物で挙げたものと同様のものを用いることができるが、樹脂や充填材等の種類および含有量、樹脂の分子量(平均繰り返し単位数)等の少なくとも1つを異ならせることにより、第2の樹脂組成物の組成は、第1の樹脂組成物と異なっている。その結果、第2の樹脂層4は、第1の樹脂層3と異なる特性を有している。
【0096】
この第2の樹脂層4の面方向、すなわち、プリプレグ1の長手方向(X方向)および幅方向(Y方向)の熱膨張係数は、特に限定されないが、20ppm以下であるのが好ましく、5〜16ppmであるのがより好ましい。第2の樹脂層4の熱膨張係数が前記範囲内であると、プリプレグ1は、高い接続信頼性を有すことができ、得られる基板は、半導体素子等の実装信頼性に優れたものとなる。
【0097】
また、プリプレグ1全体の面方向の熱膨張係数は、特に限定されないが、16ppm以下であるのが好ましく、12ppm以下であるのがより好ましく、5〜10ppmであるのがさらに好ましい。プリプレグ1の熱膨張係数が前記範囲内であると、得られる基板において、繰り返しの熱衝撃に対する耐クラック性が向上する。
【0098】
面方向の熱膨張係数は、例えば、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて、10℃/分で昇温して評価することができる。
【0099】
さて、前述したように、プリプレグ連続体40には、複数の欠損部401が形成されている(図2、図3、図7参照)。これらの欠損部401は、プリプレグ連続体40の長手方向に沿って等間隔に形成されている。
【0100】
このプリプレグ連続体40の各欠損部401が形成されている部分では、それぞれ、厚さが薄くなる分だけ、その強度が、欠損部401が形成されていない部分、すなわち、第1の樹脂層3に第1の非含浸部32が残っている部分や第2の樹脂層4に第2の非含浸部42が残っている部分の強度よりも小さくなる。換言すれば、このプリプレグ連続体40の各欠損部401が形成されている部分は、それぞれ、脆弱になる。
【0101】
そして、プリプレグ連続体40は、各欠損部401(繊維基材2の各欠損部401が位置する部分)で折り曲げることができる。また、各欠損部401をそれぞれ折り曲げる際には、その折り曲げ方向は、隣接する欠損部401同士では互いに反対方向となる。このような折り曲げにより、プリプレグ連続体40は、蛇腹状に折り畳まれることとなる。これにより、プリプレグ連続体40は、例えば保管等を行なう際に小型化に有利なものとなる。
【0102】
また、プリプレグ連続体40では、折り曲げられるのは各欠損部401であるため、第1の樹脂層3や第2の樹脂層4には、折り曲げによる応力が作用するのを防止または抑制されている。各樹脂層に応力が作用した場合、その厚さや組成によっては、当該各樹脂層が繊維基材から剥離したり、破損したりする不具合が生じるおそれがあった。しかしながら、本発明では、このような不具合が生じるのが確実に防止される。欠損部401は、それぞれ、応力を緩和する機能を有する部分であるということができる。
【0103】
また、各欠損部401のプリプレグ連続体40の長手方向に沿った長さLは、プリプレグ連続体40の総厚(最大厚さ)1.5×ttotal以上であるのが好ましく、3.0×ttotal以上であるのがより好ましい。
【0104】
また、各欠損部401の深さdは、繊維基材2の一部が両面側からそれぞれ露出する程度、すなわち、第1の樹脂層3側では第1の非含浸部32の平均厚さta2と同程度であるのが好ましく、第2の樹脂層4側では第2の非含浸部42の平均厚さtb2と同程度であるのが好ましい。この場合、図7に示すように、繊維基材2の各欠損部401が位置する部分では、第1の含浸部31および第2の含浸部41がそれぞれ残る。
【0105】
各欠損部401の長さLおよび深さdがそれぞれかかる大きさとなっていることにより、当該欠損部401での折り曲げを容易かつ確実に行なうことができる。また、プリプレグ連続体40を伸ばした状態から折り曲げた状態にする際に、各欠損部401での折り曲げ角度を180度とすることができる。これにより、隣接するプリプレグ1となる部分同士をできる限り接近させることができ、よって、プリプレグ連続体40は、より小型化されて、蛇腹状に折り畳まれる。
【0106】
図3に示すように、各欠損部401は、それぞれ、プリプレグ連続体40からプリプレグ1を得る際に切断される切断部としても機能する。前述したように各欠損部401は、それぞれ、その厚さが薄くなっているため、当該欠損部401に対する切断を容易かつ迅速に行なうことができる。また、各欠損部401が薄くなっている分、その位置を容易に確認することができる。また、欠損部401と樹脂(第1の樹脂層3、第2の樹脂層4)のコントラストが異なるため、機械的に容易に認識することができる。そのため、プリプレグ連続体40での切断すべき箇所を間違えるのを防止することができる。さらに、樹脂部(第1の樹脂層3、第2の樹脂層4)が欠損しているため、切断時に樹脂粉の発生が抑制され、プリプレグ1の汚染を防止することができる。
【0107】
<プリプレグ連続体製造装置(プリプレグ連続体の製造方法)>
次に、プリプレグ連続体40の製造に用いるプリプレグ連続体製造装置30、すなわち、本発明のプリプレグ連続体の製造方法の実施形態において用いるプリプレグ連続体製造装置30について、図1〜図5を参照しつつ説明する。
【0108】
図1、図2に示すように、プリプレグ連続体製造装置30は、ハウジング6と、ハウジング6内に収納された第1のローラ71a、71b、第2のローラ72a、72bおよび第3のローラ73a、73bと、ハウジング6内を減圧する減圧手段8と、欠損部401を形成する欠損部形成部材9a、9bとを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0109】
図4に示すように、ハウジング6は、間隔をおいて互いに対向配置された一対の壁部61を有する、例えば箱状をなすものである。壁部61の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の各種金属、またはこれらを含む合金が挙げられる。
【0110】
ハウジング6の2つの壁部61間には、第1のローラ71aおよび71bと、第2のローラ72aおよび72bと、第3のローラ73aおよび73bとがそれぞれ架設されている。これらのローラは、例えば、多数の歯車が配置された歯車機構(図示せず)を介してモータ(図示せず)と連結されている。そして、このモータが作動すると、その動力が歯車機構を介して伝達され、各ローラがそれぞれ回転することとなる。なお、これらのローラは、同一の構成であるため、以下、第1のローラ71aの構成について代表的に説明する。
【0111】
図4に示すように、第1のローラ71aは、外形形状が円柱状をなし、その長手方向の中間部に位置する本体部74と、本体部74の両端側にそれぞれ位置する軸75とで構成されている。各軸75は、それぞれ、その外径が本体部74の外径よりも縮径している。
【0112】
この第1のローラ71aは、各軸75がそれぞれ壁部61に設置された軸受け(ベアリング)76に挿入されており、当該軸受け76により回転可能に支持されている。
【0113】
なお、第1のローラ71aは、図1、図4に示す構成では中実体のものであるが、これに限定されず、例えば、中空体のものであってもよい。
【0114】
また、第1のローラ71aの構成材料としては、特に限定されず、例えば、壁部61の構成材料で挙げたような各種金属材料、または、ニトリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム系等の各種熱可塑性エラストマーを用いることができる。この場合、第1のローラ71aの本体部74の外周面741には、外周面741が摩耗するのを防止する処理が施されていてもよい。この処理としては、例えば、外周面741にフッ素、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、DLC(Diamond Like Carbon)の被膜を形成する方法が挙げられる。
【0115】
第1のローラ71aと第1のローラ71bとは、水平方向に互いに平行に配置され、本体部74の外周面741同士が互いに当接し(圧接し)合っている(図4参照)。そして、第1のローラ71aと第1のローラ71bとが回転すると、これらの間で繊維基材2に第1の樹脂層3と第2の樹脂層4とをそれぞれ圧着する(接合する)ことができ、さらに、その圧着体であるプリプレグ連続体40を図1中の左側から右側へ搬送することができる。
【0116】
なお、第1のローラ71aと第1のローラ71bとは、それぞれ、繊維基材2に第1の樹脂層3、第2の樹脂層4を圧着しつつ、各樹脂層をそれぞれ加熱可能に構成されていてもよい。
【0117】
第2のローラ72aと第2のローラ72bとは、第1のローラ71a、71bと異なる位置、すなわち、第1のローラ71a、71bに対し繊維基材2の搬送方向前方であって、ハウジング6のプリプレグ連続体40の出口に配置されている。また、第2のローラ72aと第2のローラ72bとは、水平方向に互いに平行に配置され、本体部74の外周面741同士が互いに当接し(圧接し)合っている。そして、第2のローラ72aと第2のローラ72bとが回転すると、プリプレグ連続体40を図1中の左側から右側へ搬送して、ハウジング6から排出することができる。その際、第2のローラ72a、72bは、互いに当接し合っているため、ハウジング2の出口を気密的に封止することができる。
【0118】
第3のローラ73aと第3のローラ73bとは、第1のローラ71a、71bに対し繊維基材2の搬送方向後方に配置されている。また、第3のローラ73aと第3のローラ73bとは、互いに上下方向(鉛直方向)に離間し、水平方向には平行に対向配置されている。そして、第3のローラ73aが回転すると、第1の支持体5aの第1の樹脂層3から支持基体51を剥離する(巻き取る)ことができる(図1参照)。これと同様に、第3のローラ73bが回転すると、第2の支持体5bの第2の樹脂層4から支持基体51を剥離することができる(図1参照)。
【0119】
第1のローラ71aおよび71bと、第2のローラ72aおよび72bと、第3のローラ73aおよび73bとは、図1に示す構成では本体部74の外径(大きさ)は互いに同じであるが、これに限定されず、異なっていてもよい。
【0120】
図5に示すように、減圧手段8は、ポンプ81と、ポンプ81と各壁部61にそれぞれ形成された開口部611とを接続する接続管82とを有している。
【0121】
ポンプ81は、ハウジング6の外側に設置され、例えば真空ポンプが適用される。真空ポンプとしては、例えばダイアフラムポンプ、揺動ピストン型ポンプ、ロータリーポンプ、ディフュージョンポンプ、ターボ分子ポンプ等を用いることができる。
【0122】
各接続管82は、それぞれ、例えばステンレス鋼等のような金属材料で構成された硬質管である。
【0123】
各開口部611は、それぞれ、内部空間70に向かって開口している。なお、図5に示す構成では双方の壁部61にそれぞれ開口部611が形成されているが、これに限定されず、例えば、一方の壁部61にのみ開口部611が形成されていてもよい。
【0124】
そして、ポンプ81を作動させることにより、各開口部611から内部空間70内の空気Gを吸引することができ、よって、内部空間70を減圧することができる。
【0125】
第2のローラ72a、72bに対しプリプレグ連続体40の搬送方向前方には、欠損部形成部材9a、9bが配置されている。図2に示すように、欠損部形成部材9a、9bは、欠損部401を形成するものである。欠損部形成部材9a、9bは、それぞれ、板片で構成され、その縁部に鋭利なエッジ部91を有する部材である。なお、欠損部形成部材9a、9bの構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような比較的硬質の金属材料を用いることができる。
【0126】
欠損部形成部材9aは、プリプレグ連続体40の上方で、上下方向に移動可能に支持されている。これにより、欠損部形成部材9aは、プリプレグ連続体40に対し接近・離間することができる。そして、欠損部形成部材9aが接近した状態でプリプレグ連続体40が移動すると、エッジ部91により第1の樹脂層3の第1の非含浸部32を切り欠いて(削り取って)欠損させることができる。
【0127】
欠損部形成部材9bは、プリプレグ連続体40の下方で、上下方向に移動可能に支持されている。これにより、欠損部形成部材9bは、プリプレグ連続体40に対し接近・離間することができる。そして、欠損部形成部材9bが接近した状態でプリプレグ連続体40が移動すると、エッジ部91により第2の樹脂層4の第2の非含浸部42を切り欠いて欠損させることができる。
【0128】
欠損部形成部材9a、9bで切り欠かれた部分は、プリプレグ連続体40から除去され、当該プリプレグ連続体40には、欠損部401が複数形成されることとなる。
【0129】
次に、プリプレグ連続体製造装置30によりプリプレグ連続体40が製造される過程について、図1、図2を参照しつつ説明する。
【0130】
プリプレグ連続体製造装置30では、第1のローラ71a、71bと、第2のローラ72a、72bと、第3のローラ73a、73bとが回転するのに先立ち、減圧手段8を作動させ、内部空間70内を減圧しておく。
【0131】
また、繊維基材2、第1の支持体5a、第2の支持体5bは、それぞれ、予め内部空間70内に巻回した状態で、収納されている。
【0132】
第1の支持体5aは、第3のローラ73aが回転すると、支持基体51が第3のローラ73aに巻き取られ(引張られ)、これにより、第1の樹脂層3から支持基体51が剥離される。支持基体51が剥離した第1の樹脂層3は、徐々に繊維基材2に接近していく。
【0133】
また、第2の支持体5bは、第3のローラ73bが回転すると、支持基体51が第3のローラ73bに巻き取られ、これにより、第2の樹脂層4から支持基体51が剥離される。支持基体51が剥離した第2の樹脂層4は、徐々に繊維基材2に接近していく。
【0134】
このように第1の樹脂層3および第2の樹脂層4がそれぞれ繊維基材2と圧着される直前(以前)に支持基体51が剥離することができることにより、当該支持基体51が各樹脂層の圧着の邪魔になるのを防止することができるとともに、圧着直前まで支持基体51で各樹脂層を保護することができる。
【0135】
そして、繊維基材2と第1の樹脂層3と第2の樹脂層4とは、第1のローラ71aと第1のローラ71bとの間を一括して通過することとなる。これにより、繊維基材2の両面にそれぞれ第1の樹脂層3および第2の樹脂層4が接合される(圧着される)。
【0136】
次いで、図2に示すように、前述した欠損部形成部材9a、9bで欠損部401を形成し、プリプレグ連続体40を得る。なお、プリプレグ連続体40は、各欠損部401で折り曲げて、折り畳まれた状態とすることもできる。
【0137】
なお、プリプレグ連続体製造装置30としては、図1に示す構成のものの他に、図6に示す構成のものも用いることができる。図6に示す構成のプリプレグ連続体製造装置30について、説明する。
【0138】
図6に示すように、このプリプレグ連続体製造装置30は、帯状の繊維基材2に対し、短冊状の第1の支持体5aおよび第2の支持体5bをそれぞれ供給して、プリプレグ連続体40を製造するものである。プリプレグ連続体製造装置30は、第1のローラ271aおよび271bと、第2のローラ272aおよび272bと、第3のローラ273aおよび273bと、第4のローラ274aおよび274bと、プレス機77とを備えている。
【0139】
第1のローラ271aと第1のローラ271bとは、上下方向に離間して配置されている。第1のローラ271aは、帯状のフィルム78aを送り出すものであり、第1のローラ271bは、帯状のフィルム78bを送り出すものである。
【0140】
第1のローラ271aおよび271bに対し、繊維基材2の搬送方向後方には、第2のローラ272aおよび272bが配置されている。第2のローラ272aと第2のローラ272bも上下方向に離間している。第2のローラ272aは、第1のローラ271aから送り出されたフィルム78aを巻き取るものであり、第2のローラ272bは、第1のローラ271bから送り出されたフィルム78bを巻き取るものである。
【0141】
第1のローラ271aおよび271bと、第2のローラ272aおよび272bとの間には、第3のローラ273aおよび273bが配置されている。第3のローラ273aと第3のローラ273bも上下方向に離間している。第3のローラ273aは、フィルム78aに張力を付与するアイドラであり、第3のローラ273bは、フィルム78bに張力を付与するアイドラである。
【0142】
第1のローラ271aおよび271bと、第2のローラ272aおよび272bとの間であって、第3のローラ273aおよび273bよりも繊維基材2の搬送方向後方には、第4のローラ274aおよび274bが配置されている。第4のローラ274aと第4のローラ274bも上下方向に離間している。第4のローラ274aは、第3のローラ273aとともにフィルム78aに張力を付与するアイドラであり、第4のローラ274bは、第3のローラ273bとともにフィルム78bに張力を付与するアイドラである。
【0143】
そして、プリプレグ連続体製造装置30は、フィルム78aとフィルム78bとの間で、繊維基材2を第1の支持体5aおよび第2の支持体5bごと挟持して、その状態で搬送することができる。
【0144】
本発明における第1の支持体5aおよび第2の支持体5bの供給方法は、例えば、繊維基材2の幅より大きいロール状の第1の支持体5aをオートカッターにセットする。支持体が保護フィルムを有する場合には該保護フィルムを巻き取りロールで巻き取りながら繊維基材2面より剥離する。第1の支持体5aの支持基体51側からバキューム吸着で吸い付けることにより支持体を固定した後、機械的に行うことができる。支持体を搬送し、支持基体51が外側になるよう、すなわち、第1の樹脂層3の面が繊維基材2の両面に接するように配置する(繊維基材2と第2の樹脂層4を有する第2の支持体5bについても同様)。仮付けについては、例えば、繊維基材2の送り方向前方一部において、第1の支持体5aの支持基体51側から加熱および加圧することで、部分的に支持体を繊維基材2に接着する。接着条件は、第1の樹脂層3に使用された樹脂組成物とその溶融粘度特性にもよるが、通常60〜130℃の温度で、1〜10秒程度で圧着する。その後、支持体は繊維基材2とともに搬送され、支持体を基板サイズに応じてカッターでカットすることにより、支持体が繊維基材2に仮付けされる。カットする際、樹脂組成物の切り粉が発生するのを低減する目的で、40〜80℃の範囲で加温されたカッターバックアップヒーター、および/または粉吸引装置が設置されていることが好ましい(繊維基材2と第2の樹脂層4を有する支持体5bについても同様)。
【0145】
第3のローラ273aおよび273bと第4のローラ274aおよび274bとの間には、プレス機77が配置されている。プレス機77は、第1の支持体5aおよび第2の支持体5bが供給された状態の繊維基材2を、当該第1の支持体5aおよび第2の支持体5bごと上下方向から加圧する装置である。この加圧により、第1の支持体5aの第1の樹脂層3が繊維基材2に圧着し、第2の支持体5bの第2の樹脂層4が繊維基材2に圧着する。なお、図6に示す構成では、プリプレグ連続体40は、支持基体51が残ったままのものであるが、第1の樹脂層3、第2の樹脂層4の圧着後、支持基体51を剥離することもできる。
【0146】
プレス機77は、上側構造体771と下側構造体772とで構成されている。上側構造体771は、下部に凹部773aが形成された上側支持体773と、凹部773a内に支持された加熱板774と、加熱板774の下面に設けられた板状の弾性体775とを有している。下側構造体772は、上部に凹部776aが形成された下側支持体776と、凹部776a内に支持された加熱板777と、加熱板777の上面に設けられた板状の弾性体778とを有している。
【0147】
このような構成のプレス機77では、上側構造体771と下側構造体772との間で繊維基材2を第1の支持体5aおよび第2の支持体5bごと加圧することができる。また、その加圧は、上側支持体773の凹部773aと下側支持体776の凹部776aとで囲まれた空間内で行なわれる。この空間内は、前記加圧時には減圧される。また、加熱板774および777で加熱しつつ、前記加圧が行なわれる。
【0148】
なお、図6に示す構成の装置には、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター(例えば、MVLP−500/600)、ニチゴー・モートン社製のラミネーター(例えば、CVP−300)等がある。
【0149】
<切断装置>
次に、プリプレグ連続体40を切断する切断装置50について、図3を参照しつつ説明する。
【0150】
図3に示す切断装置50は、プリプレグ連続体製造装置30に対しプリプレグ連続体40の搬送方向前方に位置している。この切断装置50は、プリプレグ連続体40を搬送するベルトコンベア504と、プリプレグ連続体40を切断する切断部材(カッター)502とを備えている。
【0151】
ベルトコンベア504は、プリプレグ連続体製造装置30から送り出されてきたプリプレグ連続体40を伸ばした状態で水平方向に搬送することができる。ベルトコンベア504としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼で構成された可撓性を有する帯状体で構成することができる。
【0152】
切断部材502は、下端部に並んだ2つの鋭利なエッジ部503を有する部材で構成されている。この切断部材502は、プリプレグ連続体40の上方で、上下方向に移動可能に支持されている。そして、プリプレグ連続体40の1つの欠損部401が切断部材502の直下に位置させた状態で、切断部材502が下方に移動すると、欠損部401にある繊維基材2の両端部をそれぞれ双方のエッジ部503で切断することができる。これにより、プリプレグ連続体40から1つのプリプレグ1が切り離される。なお、切断部材502の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような比較的硬質の金属材料を用いることができる。
【0153】
<基板>
次に、プリプレグ1を用いた基板10について、図10を参照しつつ説明する。この図10に示す基板10は、積層体11と、この積層体11の両面に設けられた金属層12とを有している。
【0154】
積層体11は、第2の樹脂層4同士を内側にして配置された2つのプリプレグ1と、第2の樹脂層4同士間で挟持された繊維基材13とを備える。
【0155】
繊維基材13には、前述した繊維基材2と同様のものを用いることができる。また、本実施形態では、第2の樹脂層4は、前述したような特性(流動性)を有するため、繊維基材13の少なくとも一部は、第2の樹脂層4に確実に埋め込まれる(埋設される)。
【0156】
金属層12は、配線部に加工される部分であり、例えば、銅箔、アルミ箔等の金属箔を積層体11に接合すること、銅、アルミニウムを積層体11の表面にメッキすること等により形成される。また、本実施形態では、第1の樹脂層3は、前述したような特性を有するため、高い密着性で金属層12を保持することができるとともに、高い加工精度で金属層12を配線部に形成することができるようになっている。
【0157】
金属層12と第1の樹脂層3とのピール強度は、0.5kN/m以上であるのが好ましく、0.6kN/m以上であるのがより好ましい。これにより、金属層12を配線部に加工し、得られる半導体装置100(図11参照)における接続信頼性をより向上させることができる。
【0158】
このような基板10は、第1の樹脂層3上に金属層12を形成したプリプレグ1を2つ用意し、これらのプリプレグ1で繊維基材13を挟持した状態で、例えば、真空プレス、常圧ラミネータおよび真空下で加熱加圧するラミネータを用いて積層する方法が挙げられる。真空プレスは、平板に挟んで通常のホットプレス機等で実施できる。例えば、名機製作所社製の真空プレス、北川精機社製の真空プレス、ミカドテクノス社製の真空プレス等が挙げられる。また、ラミネータ装置としては、ニチゴー・モートン社製のバキュームアップリケーター、名機製作所社製の真空加圧式ラミネータ、日立テクノエンジニアリング社製の真空ロール式ドライコータ等のような市販の真空積層機、またはベルトプレス等を用いて製造することができる。
【0159】
なお、本発明の基板10は、繊維基材13が省略され、2つのプリプレグ1が第2の樹脂層4同士を直接接合してなる積層体を含むものであってもよく、金属層12が省略されたものであってもよい。
【0160】
<半導体装置>
次に、基板10を用いた半導体装置100について、図11を参照しつつ説明する。なお、図11中では、繊維基材2、13を省略して示し、第1の樹脂層3および第2の樹脂層4を一体として示してある。
【0161】
図11に示す半導体装置100は、多層基板200と、多層基板200の上面に設けられたパッド部300と、多層基板200の下面に設けられた配線部400と、パッド部300にバンプ501を接続することにより、多層基板200上に搭載された半導体素子500とを有している。また、その他、多層基板200の下面には、配線部、パッド部、半田ボール等が設けられていてもよい。
【0162】
多層基板200は、コア基板として設けられた基板10と、この基板10の上側に設けられた3つのプリプレグ1a、1b、1cと、基板10の下側に設けられた3つのプリプレグ1d、1e、1fとを備えている。プリプレグ1a〜1cをそれぞれ構成する繊維基材2、第1の樹脂層3、第2の樹脂層4の基板10からの配置順番と、プリプレグ1d〜1fをそれぞれ構成する繊維基材2、第1の樹脂層3、第2の樹脂層4の基板10からの配置順番とは、同じとなっている。すなわち、プリプレグ1a〜1cとプリプレグ1d〜1fとは、互いに上下反転したもの同士となっている。
【0163】
また、多層基板200は、プリプレグ1aとプリプレグ1bとの間に設けられた回路部201aと、プリプレグ1bとプリプレグ1cとの間に設けられた回路部201bと、プリプレグ1dとプリプレグ1eとの間に設けられた回路部201dと、プリプレグ1eとプリプレグ1fとの間に設けられた回路部201eとを有している。
【0164】
さらに、多層基板200は、各プリプレグ1a〜1fをそれぞれ貫通して設けられ、隣接する回路部同士や、回路部とパッド部とを電気的に接続する導体部202とを備えている。
【0165】
基板10の各金属層12は、それぞれ、所定のパターンに加工され、当該加工された金属層12同士は、基板10を貫通して設けられた導体部203により電気的に接続されている。
【0166】
なお、半導体装置100(多層基板200)は、基板10の片面側に、4つ以上のプリプレグ1を設けるようにしてもよい。さらに、半導体装置100は、本発明のプリプレグ1以外のプリプレグを含んでいてもよい。
【0167】
<<第2実施形態>>
図8は、本発明のプリプレグ連続体の第2実施形態を示す概略断面図である。
【0168】
以下、この図を参照して本発明のプリプレグ連続体およびプリプレグの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、欠損部の形成位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0169】
図8に示すプリプレグ連続体40Aでは、平均厚さta2の第1の非含浸部32(第1の樹脂層3)と平均厚さta2の第2の非含浸部42(第2の樹脂層4)のうちの平均厚さが大である第2の非含浸部42の一部が欠損して、欠損部401が形成されている。
【0170】
このように平均厚さが大である側の樹脂層を欠損させることにより、各欠損部401が脆弱となり、当該各欠損部401でプリプレグ連続体40Aを折り曲げることができる。
【0171】
<<第3実施形態>>
図9は、本発明のプリプレグ連続体の第3実施形態を示す概略断面図である。
以下、この図を参照して本発明のプリプレグ連続体およびプリプレグの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、欠損部の形成位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0172】
図9に示すプリプレグ連続体40Bでは、の第1の非含浸部32の平均厚さta2と第2の非含浸部42の平均厚さta2とは同じとなっているが、前記第1実施形態で述べたように第2の非含浸部42は、第1の非含浸部32よりも可撓性が高い、すなわち、第1の非含浸部32は、第2の非含浸部42よりも硬質である。そして、この硬質の第1の非含浸部32の一部が欠損して、欠損部401が形成されている。
【0173】
このように硬質である側の樹脂層を欠損させることにより、各欠損部401が脆弱となり、当該各欠損部401でプリプレグ連続体40Bを折り曲げることができる。
【0174】
以上、本発明のプリプレグ連続体およびプリプレグを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、プリプレグ連続体およびプリプレグを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0175】
また、本発明のプリプレグ連続体およびプリプレグは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0176】
また、プリプレグ連続体は、図7に示す構成では繊維基材の両面にそれぞれ樹脂層が接合されたものであるが、これに限定されず、繊維基材の片面にのみ樹脂層が接合されたものであってもよい。
【0177】
また、プリプレグ連続体は、図7に示す構成では繊維基材に第1の樹脂組成物および第2の樹脂組成物がそれぞれ含浸したものであるが、これに限定されず、例えば次のようなものであってもよい。1つ目の例は、繊維基材の厚さ方向に、第1の樹脂組成物および第2の樹脂組成物がいずれも含浸していないプリプレグ連続体。2つ目の例は、繊維基材の厚さ方向全体にわたって第1の樹脂組成物が含浸し、第2の樹脂組成物は含浸していないプリプレグ連続体。3つ目の例は、繊維基材の厚さ方向全体にわたって第2の樹脂組成物が含浸し、第1の樹脂組成物は含浸していないプリプレグ連続体。4つ目の例は、繊維基材の厚さ方向の一部に第1の樹脂組成物が含浸し、第2の樹脂組成物は含浸していないプリプレグ連続体。5つ目の例は、繊維基材の厚さ方向の一部に第2の樹脂組成物が含浸し、第1の樹脂組成物は含浸していないプリプレグ連続体。
【0178】
また、プリプレグ連続体は、図7に示す構成では平均厚さta1と平均厚さtb1との大小関係はta1>tb1であるが、これとは反対の大小関係である「ta1<tb1」とした場合、プリプレグ連続体から得られるプリプレグに反りが発生するのを防止または抑制することが可能である。
【0179】
また、プリプレグ連続体は、図7に示す構成では平均厚さta2と平均厚さtb2との大小関係はta2<tb2であるが、これに限定されず、例えば、ta2>tb2であってもよいし、ta2=tb2であってもよい。
【0180】
また、プリプレグ連続体製造装置は、ハウジングから送り出されたプリプレグ連続体を乾燥するよう構成されていてもよい。
【0181】
また、プリプレグ連続体製造装置は、前記実施形態ではハウジング内を減圧状態(真空状態)にしてプリプレグ連続体を製造するものであるが、これに限定されず、ハウジング内を減圧状態にせずにプリプレグ連続体を製造するものであってもよい。
【符号の説明】
【0182】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f プリプレグ
2 繊維基材(基材)
3 第1の樹脂層(樹脂層)
31 第1の含浸部
32 第1の非含浸部
4 第2の樹脂層(樹脂層)
41 第2の含浸部
42 第2の非含浸部
5a 第1の支持体(支持体)
5b 第2の支持体(支持体)
51 支持基体(支持シート)
6 ハウジング
61 壁部
611 開口部
71a、71b 第1のローラ
72a、72b 第2のローラ
73a、73b 第3のローラ
74 本体部
741 外周面
271a、271b 第1のローラ
272a、272b 第2のローラ
273a、273b 第3のローラ
274a、274b 第4のローラ
75 軸
76 軸受け(ベアリング)
77 プレス機
771 上側構造体
772 下側構造体
773 上側支持体
773a 凹部
774 加熱板
775 弾性体
776 下側支持体
776a 凹部
777 加熱板
778 弾性体
78a、78b フィルム
8 減圧手段
81 ポンプ
82 接続管
9a、9b 欠損部形成部材
91 エッジ部
10 基板
11 積層体
12 金属層
13 繊維基材
20 界面
30 プリプレグ連続体製造装置
40、40A、40B プリプレグ連続体
401 欠損部
50 切断装置
501 ベルトコンベア
502 切断部材(カッター)
503 エッジ部
504 ベルトコンベア
70 内部空間
100 半導体装置
200 多層基板
201a、201b、201d、201e 回路部
202、203 導体部
300 パッド部
400 配線部
500 半導体素子
501 バンプ
d 深さ
G 空気
L 長さ
a1、ta2、tb1、tb2 平均厚さ
total 総厚(最大厚さ)
T 最大厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な薄板状をなす繊維基材と、該繊維基材の片面または両面に形成され、樹脂組成物で構成された樹脂層とを備えるプリプレグ連続体であって、
当該プリプレグ連続体の長手方向の途中には、前記樹脂層の一部がその幅方向にわたって欠損した欠損部が少なくとも1つ形成されていることを特徴とするプリプレグ連続体。
【請求項2】
前記欠損部は、当該プリプレグ連続体の長手方向に沿って等間隔に複数形成されている請求項1に記載のプリプレグ連続体。
【請求項3】
前記欠損部で折り曲げられる請求項1または2に記載のプリプレグ連続体。
【請求項4】
前記欠損部は、複数形成されており、
前記各欠損部をそれぞれ折り曲げる際、その折り曲げ方向は、隣接する前記欠損部同士では互いに反対方向となる請求項3に記載のプリプレグ連続体。
【請求項5】
前記樹脂層は、前記繊維基材の両面にそれぞれ形成されており、
前記欠損部は、2つの前記樹脂層のうちの少なくとも一方の樹脂層に形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項6】
前記樹脂層は、前記繊維基材の両面にそれぞれ形成され、一方の樹脂層が他方の樹脂層よりも厚さが大となっており、
前記欠損部は、前記一方の樹脂層に形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項7】
前記樹脂層は、前記繊維基材の両面にそれぞれ形成され、一方の樹脂層が他方の樹脂層よりも硬質となっており、
前記欠損部は、前記一方の樹脂層に形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項8】
前記欠損部の当該プリプレグ連続体の長手方向に沿った長さは、当該プリプレグ連続体の総厚以上である請求項1ないし7のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項9】
前記欠損部からは、前記繊維基材が露出している請求項1ないし8のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項10】
前記繊維基材には、少なくともその厚さ方向の一部に前記樹脂層からの前記樹脂組成物が含浸している請求項1ないし9のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項11】
前記欠損部は、当該プリプレグ連続体を切断する際の切断部として機能する請求項1ないし10のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項12】
前記欠損部は、鋭利なエッジ部を有する部材の前記エッジ部で前記樹脂層を切り欠いて欠損させた部分である請求項1ないし11のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項13】
前記樹脂組成物は、硬化性樹脂を含むものである請求項1ないし12のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項14】
前記繊維基材は、ガラス繊維基材である請求項1ないし13のいずれかに記載のプリプレグ連続体。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載のプリプレグ連続体をその長手方向の途中で切断して得られたことを特徴とするプリプレグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−169608(P2012−169608A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12372(P2012−12372)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】