説明

プリント配線基板

【課題】光に脆弱なベアチップの誤動作を防止することで、高い信頼性を図ることが可能なフレキシブル基板を提供する。
【解決手段】ドライバIC20が搭載される光透過可能な絶縁基板であるベースフィルム30と、ドライバIC20の接続端子21に接続される配線パターン40とを備えたフレキシブル配線基板70において、ドライバIC20が配置される位置に、光不透過な遮蔽パターンが、配線パターン40と同層に形成されると共に、ドライバIC20が搭載された実装面Fの反対側となる裏面UにドライバIC20を搭載する搭載部全体を遮蔽する遮蔽パターン80が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアチップが搭載される光透過可能な絶縁基板と、このベアチップの接続端子に接続される配線パターンとを備えたプリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置の表示を制御するベアチップ状態のドライバICやチップ部品などは、プリント配線基板の一例であるフレキシブル基板にCOF(Chip On Film:チップオンフィルム)実装される。特許文献1には、ポリイミドフィルムにICのバンプを接続するCuからなる配線パターンが形成されており、ICを接続するパターンをICの中心方向に延長して、剥離防止パターンが形成されていることで、パターン剥離を防止することが可能なフレキシブル基板が記載されている。
【特許文献1】特許第3028413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ポリイミドフィルムをベースフィルムとしたフレキシブル基板には、ドライバICやチップ部品が、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)により接着されるが、フレキシブル基板やACFは光が透過する材質なので、フレキシブル基板を透過した光によって、ベアチップ状態で搭載されるドライバICが誤動作するおそれがある。
【0004】
ドライバICの誤動作により、正常に表示信号が出力されなくなることで、ドライバICの実装不良と判断されたり、ドライバIC自体の不良と判断されたりして、信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、光に脆弱なベアチップの誤動作を防止することで、高い信頼性を図ることが可能なフレキシブル基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線基板は、ベアチップが搭載される光透過可能な絶縁基板と、前記ベアチップの接続端子に接続される配線パターンとを備えたプリント配線基板において、前記ベアチップが配置される位置に、光不透過な遮蔽パターンが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ベアチップを光から保護する遮蔽パターンが設けられているので、光が絶縁基板を通過してベアチップに到達することを防止することができる。従って、光透過可能な絶縁基板にベアチップが搭載されていても、ベアチップを光による誤動作から保護することができる。よって、本発明のプリント配線基板は、高い信頼性を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願の第1の発明は、ベアチップが搭載される光透過可能な絶縁基板と、ベアチップの接続端子に接続される配線パターンとを備えたプリント配線基板において、ベアチップが配置される位置に、光不透過な遮蔽パターンが形成されていることを特徴としたものである。
【0009】
本発明のプリント配線基板は、ベアチップが配置される位置に、光不透過な遮蔽パターンが形成されているので、光が絶縁基板を通過してベアチップに到達することを防止することができる。従って、光透過可能な絶縁基板にベアチップが搭載されていても、ベアチップを光による誤動作から保護することができる。
【0010】
本願の第2の発明は、配線パターンは、ベアチップが搭載される実装面側に形成され、遮蔽パターンは、配線パターンと同層に形成されていることを特徴としたものである。
【0011】
遮蔽パターンが、配線パターンと同層に形成されているので、配線パターンを形成する際に、同時に遮蔽パターンを形成することで、工程を増やすことなく、遮蔽パターンを形成することができる。
【0012】
本願の第3の発明は、遮蔽パターンは、実装面とは反対側となる面に形成されていることを特徴としたものである。
【0013】
遮蔽パターンが、絶縁基板の実装面と反対側となる面に形成されているので、ベアチップへの配線パターンの配線状態に影響されることなく、遮蔽パターンを形成することができる。従って、絶縁基板を透過する光からベアチップ全体を保護するように遮蔽パターンを形成することができる。
【0014】
本願の第4の発明は、遮蔽パターンは、ベアチップの接続端子に接続されていることを特徴としたものである。
【0015】
遮蔽パターンが、ベアチップの接続端子に接続されていることで、ベアチップを保護しつつ、ベアチップとの接続強度を向上させることができるので、ベアチップの剥離を防止することができる。
【0016】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るプリント配線基板を、フレキシブル基板を例に、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るフレキシブル基板を示す図である。図2は、図1に示すフレキシブル基板の搭載部の拡大図である。図3は、図2に示すA−A線断面図である。なお、図1においては、ドライバICを一点鎖線で示している。
【0017】
図1から図3に示すようにフレキシブル基板10は、図示しない液晶表示装置を制御するドライバIC20がベアチップの状態で搭載されるベースフィルム30と、配線パターン40と、遮蔽パターン50とを備えている。
【0018】
ドライバIC20は、液晶表示装置の表示を制御するICで、接続端子21が配線パターン40に導通接続されている。このドライバIC20は、ベースフィルム30の搭載部32に、ACF60により接着されている。
【0019】
ベースフィルム30は、ポリイミドで形成されていることで、光透過性を有している。ベースフィルム30は、一端部に表示制御を行う制御回路と接続する制御側接続部30xが形成され、一端部の反対となる他端部に液晶表示装置と接続する液晶側接続部30yが形成されている。ベースフィルム30上には、保護膜31(図3参照)が配線パターン40を覆うように設けられている。搭載部32は、このベースフィルム30の略中心に位置するように形成されている。
【0020】
保護膜31は、配線パターン40を短絡、切断、または傷などから保護するために設けられているもので、コーティング材を塗布して硬化させたレジスト膜や、フィルムを貼り付けて形成したカバーフィルムなどとすることができる。
【0021】
配線パターン40は、ベースフィルム30上に所定パターンとなるように形成された銅箔層が設けられ、この銅箔層にめっき層が設けられた導電体である。配線パターン40は、制御側接続部30xと、ドライバIC20が搭載される搭載部32との間、および液晶側接続部30yと、搭載部32との間とに形成されている。
【0022】
遮蔽パターン50は、ドライバIC20が配置される位置に、配線パターン40と同層に形成された矩形状のベタパターンである。この遮蔽パターン50は、配線パターン40と同層に形成されていることで、配線パターン40を形成する際に同時に形成される。従って、特別な工程を付加することなく遮蔽パターン50を形成することができる。
【0023】
この遮蔽パターン50には、ドライバIC20の角部に設けられた接続端子21と接続するために、角部を突出させたダミーパターンである接続部51が設けられている。ドライバIC20の接続端子に接続する接続部51が、ドライバIC20と強固に接続していることで、ドライバIC20の剥離を防止することができる。
【0024】
このように構成されるフレキシブル基板10は、ドライバIC20が搭載される面とは反対側となる面から、光Cが透過しても、ドライバIC20が配置された位置に遮蔽パターン50が形成されているので、光が絶縁基板を通過してベアチップに到達することを防止することができる。従って、光透過可能な絶縁基板にベアチップが搭載されていても、ベアチップを光による誤動作から保護することができるので、フレキシブル基板10は、高い信頼性を確保することが可能である。
【0025】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板を、図面に基づいて説明する。図4は、本発明の実施の形態に係るフレキシブル基板の搭載部の拡大図である。図5は、図4に示すB−B線断面図である。なお、図4および図5においては、図2および図3と同じ構成は同符号を付して説明を省略する。
【0026】
本実施の形態2に係るフレキシブル基板は、実施の形態1に係るフレキシブル基板10に、搭載部32全体をカバーする遮蔽パターンを設けたものである。
【0027】
図4および図5に示すようにフレキシブル基板70は、ドライバIC20が配置される位置に、配線パターン40と同層に遮蔽パターン50が形成されていると共に、ドライバIC20が搭載される実装面Fとは反対側となる裏面Uに、遮蔽パターン80が形成されている。また、遮蔽パターン80上には、保護膜33が設けられている。保護膜33は、実施の形態に係る保護膜31と同様なものが使用できる。
【0028】
実装面側に形成された遮蔽パターン50は、配線パターン40と同層に形成されているので、配線パターン40との短絡を回避するために、ドライバIC20の端部に沿って列状に配置された接続端子21の内側に位置するように形成されている。従って、接続端子21の周囲部分は、露光するおそれがある。
【0029】
裏面Uに形成された遮蔽パターン80は、ドライバIC20と接続する配線パターン40が配線されていないため、配線パターン40および接続端子21による制約なしに面積を広く形成することが可能である。
【0030】
従って、遮蔽パターン80をベースフィルム30の裏面Uに形成することで、ドライバIC20全体以上をカバー可能な広さに形成することができるので、ベースフィルム30を透過する光からドライバICを確実に遮蔽することができる。
【0031】
なお、本実施の形態2に係るフレキシブル基板70においては、実装面側の遮蔽パターン50と、裏面U側の遮蔽パターン80との両方が設けられているが、裏面U側の遮蔽パターン80でドライバIC20への光を十分に遮蔽可能であるので、実装面側の遮蔽パターン50を省略することも可能である。
【0032】
しかし、遮蔽パターン50には、ドライバIC20の接続端子に接続する接続部51が設けられているので、ドライバIC20の剥離に対する強度を向上させるためにも、遮蔽パターン50を備えるのが望ましい。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態1,2では、プリント配線基板の一例を、可撓性を有するフレキシブル基板10,70としたが、硬質の基板でも光透過性を有するものであれば、遮蔽パターンを形成することで、同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、光に脆弱なベアチップの誤動作を防止することで高い信頼性を図ることが可能なので、ベアチップが搭載される光透過可能な絶縁基板と、このベアチップの接続端子に接続される配線パターンとを備えたプリント配線基板に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1に係るフレキシブル基板を示す図
【図2】図1に示すフレキシブル基板の搭載部の拡大図
【図3】図2に示すA−A線断面図
【図4】プリント配線基板の搭載部の拡大図
【図5】図4に示すB−B線断面図
【符号の説明】
【0036】
10 フレキシブル基板
20 ドライバIC
21 接続端子
30 ベースフィルム
30x 制御側接続部
30y 液晶側接続部
31 保護膜
32 搭載部
33 保護膜
40 配線パターン
50 遮蔽パターン
51 接続部
60 ACF
70 フレキシブル基板
80 遮蔽パターン
C 光
F 実装面
U 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアチップが搭載される光透過可能な絶縁基板と、前記ベアチップの接続端子に接続される配線パターンとを備えたプリント配線基板において、
前記ベアチップが配置される位置に、光不透過な遮蔽パターンが形成されていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記配線パターンは、前記ベアチップが搭載される実装面側に形成され、
前記遮蔽パターンは、前記配線パターンと同層に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記遮蔽パターンは、前記実装面とは反対側となる面に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記遮蔽パターンは、前記ベアチップの接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のプリント配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−27113(P2009−27113A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191723(P2007−191723)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】