説明

プリント配線板及びプリント配線板の製造方法

【課題】 定在波や反射が発生しないプリント配線板の製造方法を提案する。
【解決手段】 コア基板30に外層スルーホール36を形成し、外層スルーホール36内に樹脂充填剤を充填して外層絶縁層42を形成する。その後、外層スルーホール36内に内層スルーホール62を形成し、内層スルーホール62内に樹脂充填剤を充填して内層絶縁層64を形成している。外層スルーホール36と内層スルーホール62とを同軸構造とすることにより、インピーダンスを整合でき、定在波や反射の発生を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スルーホールを介して表裏が電気的接続をされたプリント配線板に関し、特に、樹脂絶縁層と導体回路層とを交互にビルドアップしてなる多層プリント配線板から成り、ICチップなどの電子部品を載置するパッケージ基板に好適に用い得るプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
信号の高周波化に伴って、プリント配線板の材料は、低誘電率、低誘電正接であることが求められるようになってきている。そのためプリント配線板の材料は、セラミックから樹脂へとその主流が移りつつある。
【0003】
係るパッケージ基板を構成する樹脂製の多層プリント配線板は、コア基板に配線層と層間樹脂絶縁層とを交互に積層することにより構成され、コア基板に形成されるスルーホールにより、上層側と下層側との接続を取る。コア基板は、1mm程度の厚みを有し、層間樹脂絶縁層は数十μmの厚みに形成される。
【0004】
ICチップの高周波化により、パッケージ基板は、信号線での定在波や反射の低減が求められている。このため、樹脂製の多層プリント配線板においても、セラミックの積層パッケージ基板と同様に、層間の配線をマイクロストリップライン構造及びストリップライン構造にして、配線のインピーダンスなどの電気特性を整合させることにより対応していた。
【0005】
このストリップライン構造について、図21を参照して説明する。図21(A)は、同一の層間樹脂絶縁層上に形成された信号線(Sig)と接地線(GND)と信号線(Sig)とを示し、図21(B)は、図21(A)中のB−B断面を示している。ここで、信号線(Sig)と信号線(Sig)との間に接地線(GND)を配することで、ストリップライン構造とし、配線のインピーダンスなどの電気特性を整合させてある。同様に、図21(C)は、3層の層間樹脂絶縁層上に配設された信号線(Sig)と接地線(GND)と信号線(Sig)とを示し、図21(D)は、図21(C)中のD−D断面を示している。ここで、信号線(Sig)と信号線(Sig)との間に接地線(GND)を配することで、ストリップライン構造とし、配線のインピーダンスなどの電気特性を整合させてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−004080号公報
【特許文献2】特開平07−221460号公報
【特許文献3】特開平04−320087号公報
【特許文献4】特開2000−049464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような配線の取り回しを工夫するだけでは、高周波に対応できなくなった。この原因を本発明者が検討したところ、厚さ1mmのコア基板を貫通するスルーホールで、図21を参照して上述したストリップライン構造を取ることができないため、定在波や反射が発生し、動作が不安定になり易いことが判明した。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、スルーホールで定在波や反射が発生しないプリント配線板の製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のプリント配線板の製造方法では、少なくとも以下(a)〜(e)の工程を備えることを技術的特徴とする:
(a)コア基板に、外層スルーホール用貫通孔を形成する工程;
(b)前記外層スルーホール用貫通孔に、無電解銅めっきを施し外層スルーホールを形成する工程;
(c)前記外層スルーホール内に、樹脂充填剤を充填して絶縁層を形成する工程;
(d)前記外層スルーホール内の絶縁層に、側壁が前記絶縁層になるように内層スルーホール用貫通孔をレーザにより形成する工程;
(e)前記内層スルーホール用貫通孔に、内壁側から無電解銅めっき、電解銅めっきの順番でめっきを充填することで内層スルーホールを形成する工程。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、コア基板に外層スルーホールを形成し、外層スルーホール内に樹脂充填剤を充填して外層絶縁層を形成する。その後、外層スルーホール内に内層スルーホール用貫通孔を形成し、内層スルーホール用貫通孔に金属膜を施して内層スルーホールを形成している。外層スルーホールと内層スルーホールとを同軸構造とすることにより、スルーホールでの電気特性を整合することができ、定在波や反射の発生を防ぐことが可能となる。
【0011】
請求項2の発明では、コア基板に外層スルーホールを形成し、外層スルーホール内に樹脂充填剤を充填して外層絶縁層を形成する。その後、外層スルーホール内に内層スルーホール用貫通孔を形成し、内層スルーホール用貫通孔に金属膜を施して内層スルーホールを形成し、内層スルーホール内に樹脂充填剤を充填して内層絶縁層を形成している。外層スルーホールと内層スルーホールとを同軸構造とすることにより、スルーホールでの電気特性を整合することができ、定在波や反射の発生を防ぐことが可能となる。
【0012】
請求項3の発明では、外層スルーホール用貫通孔の開口径を、200〜400μmとしている。特に望ましいのは、250〜350μmである。径が200μm未満では、樹脂充填層を2層以上で形成することができないし、その中に形成される導体回路と内層スルーホール内壁に形成された導体との絶縁性が保たれない。400μmを越えると、プリント配線板を高密度化し得なくなる。
【0013】
請求項4の発明では、内層スルーホール用貫通孔の径を、75〜200μmとしている。特に望ましいのは、100〜150μmである。75μm未満では、導体層を形成することが困難になり、200μmを越えると、内層スルーホールと外層スルーホールとの絶縁性が保たれなくなる恐れがある。
【0014】
請求項5の発明では、外層スルーホール及び内層スルーホールを、2以上に分割している。これにより、別々の信号線として使用することができるので、配線密度を上げることが可能となる。
【0015】
次に、スルーホール内に絶縁層と複数の導体回路を形成した多層プリント配線板の製造工程について説明する。コア基板としては、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、BT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂基板等の樹脂絶縁基板、セラミック基板、金属基板等を用いることができる。ドリル、あるいは炭酸レーザ等のレーザによってコア基板にスルーホール用貫通孔を形成させる。コア基板の厚みは、0.4〜1.2mmであるのが望ましい。特に、0.6〜1.0mmであることが望ましい。その理由として、強度があり、スルーホールも加工し易いからである。ただし、樹脂絶縁基板は、融点が300℃以下であるため、350℃以上の温度では、溶解、炭化してしまう。
【0016】
このとき、スルーホール用貫通孔は、導通用スルーホール用貫通孔と同軸スルーホールの外層スルーホール用貫通孔の2種類が形成される。同軸スルーホールは、外層スルーホールと内層スルーホールから成る。なお、導通用スルーホール用貫通孔の開口径は、50〜400μmで形成される。50μm未満では、導体層を形成することが困難になり、400μmを越えると、実用的でなくなる。
【0017】
次に、導通用スルーホール及び外層スルーホール内に樹脂充填剤を充填させる。場合によっては、導通用スルーホール及び外層スルーホール内に、粗化層を設ける。粗化層は、酸化−還元処理、無電解めっき、エッチング処理によって形成される。具体例を述べると、酸化−還元処理としては、酸化浴としてNaOH(10g/L)、NaClO(40g/L)、NaPO(6g/L)、還元浴として、NaOH(10g/L)、NaBH(6g/L)を用いて行う。また、無電解銅めっきでは、Cu−Ni−Pからなる合金で形成する。エッチング処理としては、第二銅錯体と有機酸塩からなるエッチング液が用いられる。
【0018】
次に、樹脂充填剤を硬化あるいは半硬化させることにより、導通用スルーホール内に樹脂絶縁層を、外層スルーホール内に外層樹脂絶縁層を形成する。その後、場合によっては、コア基板の平滑性を出すために、バフ、ベルトサンダー、ジェットスクラブなどの物理的研磨、あるいは酸や酸化剤などによって、スルーホールからはみ出した部分を化学的エッチングによって除去してもよい。
【0019】
上述のコア基板に層間樹脂絶縁層(下層)を施す。導体回路には粗化層を形成させてもよい。層間樹脂絶縁層としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体あるいは、それらに感光性を有する基を置換した樹脂でもよい。具体例として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等のプリント配線板に使用されている樹脂がある。また、高周波領域において低誘電率である樹脂を用いてもよい。特に、1GHzにおける誘電率が3.0以下の樹脂であるポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、フッ素樹脂などを用いるのがよい。層間樹脂絶縁層の形成には、塗布、あるいはBステージ状のフィルムを加熱、加圧、もしくは加熱加圧によって貼り付けるのがよい。
【0020】
次に、フォトおよびレーザにより層間樹脂絶縁層(下層)にバイアホールとなる開口を形成する。そして、外層スルーホール内に、ドリルおよびレーザで層間樹脂絶縁層(下層)を介して、外層樹脂絶縁層内に内層スルーホール用貫通孔を設ける。バイアホールとなる開口および内層スルーホール用貫通孔をレーザで形成する場合は、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等を用いることができる。その後、デスミアなどの化学エッチング処理やプラズマ、コロナ処理などのドライエッチング処理を行い、内層スルーホール用貫通孔の内壁にある樹脂のスミアを除去し、樹脂の残さを取り去ることによって金属層の形成を助長させる。
【0021】
次に、層間樹脂絶縁層(下層)上、バイアホールとなる開口内および内層スルーホール用貫通孔の内壁にCu、Ni、P、Pd、Co、W、Au、Agが少なくとも1種以上である金属層を1層以上設ける。その厚みは、0.1〜2μmで形成されるのが望ましい。金属層は、めっき、スパッタあるいは、スパッタで形成させた上にめっきを形成させた2層構成でもよい。層間樹脂絶縁層(下層)の表層には粗化面を設けてもよい。酸や酸化剤などによって層間樹脂絶縁層(下層)の表層を化学的エッチングにより粗化面を設ける。酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などが、また酸化剤としては、クロム酸、クロム酸塩、過マンガン酸塩などが、粗化面を形成させるのによい。その上に、前述の金属層を形成させる。そして、無電解めっきを行い、無電解めっき膜を金属層上に形成する。
【0022】
層間樹脂絶縁層(下層)上、バイアホールとなる開口内および内層スルーホール用貫通孔に無電解めっきを施した基板に、感光性樹脂フィルム(ドライフィルム)をラミネ−トする。そして、この感光性樹脂フィルム上に、めっきレジストパタ−ンが描画されたフォトマスク(ガラス基板がよい)を密着させて載置し、露光し、現像処理する。それにより、めっきレジストパタ−ンを配設した非導体部分を形成することができる。
【0023】
無電解めっき膜上の非導体部分以外に電解めっきを施し、無電解めっきの導体部分上とバイアホ−ルとなる開口、内層スルーホール用貫通孔に電解めっき膜を設ける。電解めっきとしては、電解銅めっきを用いることが望ましく、その厚みは、5〜20μmがよい。
【0024】
次に、非導体回路部分のめっきレジストをアルカリ水溶液などで除去する。その後、さらに、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液にて非導体回路部分の金属層と無電解めっき膜を除去する。これにより層間樹脂絶縁層(下層)上に、無電解めっき膜と電解めっき膜の2層からなる導体回路とバイアホ−ルを得る。また内層スルーホール用貫通孔内には、金属層、無電解めっき膜、電解めっき膜の3層からなる内層スルーホールを得る。バイアホールは、平坦なフィールドビアを形成させてもよい。
【0025】
次に、内層スルーホール内の隙間に樹脂充填剤を充填させて、内層樹脂絶縁層を形成する。充填には、前述のような方法で充填させてもよいが、さらに上層をフィルムからなる層間樹脂絶縁層(上層)を形成させる際、層間樹脂絶縁層(上層)と樹脂充填剤を同時に形成させてもよい。
【0026】
それ以外の方法としては、前述の樹脂絶縁層上に無電解めっきを施した基板に、更に、電解めっき膜、無電解めっき膜、あるいは、それらの複合体めっき膜を積層させる。そのめっき膜を積層した基板に樹脂充填材を充填させる。その際、硬化あるいは半硬化してから研磨を行って、めっき膜層と樹脂充填材層とを平坦にさせてもよい。エッチングレジストを形成して、配線が描画されたマスクを載置して露光、現像を経て、レジストの配線層を形成させて、硫酸−過酸化水素水、塩化第二鉄や塩化第二銅、有機塩酸−第二銅錯体からなるエッチング液を用いて、めっき膜層を除去してレジストを剥離させることによって行ってもよい。エッチング液としては、上記以外にもプリント配線板の製造で使用されるものは全て用いることができる。
【0027】
更に、該当のスルーホールを分割させることによって、形成する配線を分割させることも可能である。これにより、更に、多くの配線をコア基板に通すことができ、高密度化を達成できる。
【0028】
上層に層間樹脂絶縁層(上層)を施して、導体回路とバイアホールを形成させることにより、多層プリント配線板が得られる。そして、表層にはソルダーレジスト層を形成する。ソルダーレジスト層の形成には、塗布あるいはフィルムを加熱、加圧、あるいは加熱加圧によって貼り付けるのがよい。ソルダーレジスト層は、フォトおよびレーザにより半田パッドを設けて、半田パッドから露出した部分に、Ni/Au、Ni/Pd/Auなどの耐食金属層を形成させる。レーザで半田パッドを形成する場合は、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が用いることができる。ICチップ接続の半田バンプが形成させる半田パッドは、開口径100〜200μmで開口させて、外部端子接続のためBGA/PGAを配設させる半田パッド部分は開口径300〜650μmで開口させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板の製造工程図である。
【図2】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板の製造工程図である。
【図3】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板の製造工程図である。
【図4】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板の製造工程図である。
【図5】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板の製造工程図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板の断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板にICチップを搭載し、ドータボードに取り付けた状態を示す断面図である。
【図8】図7中のスルーホールの構成を拡大して示す説明図である。
【図9】本発明の第1実施形態の改変例に係るパッケージ基板の断面図である。
【図10】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第2実施形態に係るパッケージ基板の製造工程図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るパッケージ基板の断面図である。
【図12】図11中のスルーホールの構成を拡大して示す説明図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るパッケージ基板の断面図である。
【図14】図13中のスルーホールの構成を拡大して示す説明図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るパッケージ基板の断面図である。
【図16】図15中のスルーホールの構成を拡大して示す説明図である。
【図17】(A)は、図15中のA−A断面の同軸スルーホールを示す説明図である。(B)は、同軸スルーホールを斜視図的に示した説明図である。
【図18】(A)は、第5実施形態に係るプリント配線板のスルーホールを示す説明図である。(B)は、図18(B)のスルーホールを斜視図的に示した説明図である。
【図19】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第6実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図20】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第6実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図21】(A)は、同一平面上に配設された信号線のストリップライン構造の説明図であり、(B)は、図21(A)のB−B断面を示す説明図であり、(C)は、層間に配設された信号線のストリップライン構造の説明図であり、(D)は、図21(C)のD−D断面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。
先ず、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板として用いられるプリント配線板の構成について、図7及び図8を参照にして説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板10の断面図を示している。図8は、図7中のスルーホールを拡大して示す説明図である。
【0031】
パッケージ基板10は、コア基板30の表面及び裏面にビルドアップ配線層80A、80Bが形成されている。ビルドアップ配線層80A、80Bは、導体回路58及びバイアホール60の形成された層間樹脂絶縁層44と、導体回路158及びバイアホール160の形成された層間樹脂絶縁層144とからなる。ビルドアップ配線層80Aとビルドアップ配線層80Bとは、コア基板30に形成された信号線として用いられる同軸スルーホール66と、主としてアース線・電源線として用いられる導通用スルーホール34とを介して接続されている。層間樹脂絶縁層144の上にはソルダーレジスト層70が形成されており、ソルダーレジスト70の開口部71を介して、導体回路158及びバイアホール160に半田バンプ76U、76Dが形成されている。上面の半田バンプ76Uは、ICチップ90のパッド92に接続されている。一方、下面の半田バンプ76Dは、ドータボード94のパッド96に接続されている。
【0032】
図8に示すように、同軸スルーホール66は、外層スルーホール36及び内層スルーホール62から成る。外層スルーホール36及び内層スルーホール62は、それぞれビルドアップ配線層80Aとビルドアップ配線層80Bとを接続している。外層スルーホール36は、コア基板30の貫通孔33の壁面に金属膜38が形成されて成る。そして、外層スルーホール36の内側には、外層樹脂絶縁層42が形成されている。外層樹脂絶縁層42の内側には、内層スルーホール62が形成されている。
【0033】
内層スルーホール62は、金属層50、無電解めっき膜52、電解めっき膜56の3層からなる。あるいは、各2層で形成されてもよい。また、内層スルーホール62の内側には、内層樹脂絶縁層64が形成されている。信号線として用いられるスルーホール66を外層スルーホール36と内層スルーホール62とを同軸構造とすることにより、スルーホール66内での定在波や反射の発生を防ぐことが可能となる。
【0034】
引き続き、第1実施形態に係る上記パッケージ基板10の製造方法について説明する。ここでは、先ず、該パッケージ基板の製造方法に用いるA.樹脂充填剤の組成について説明する。
【0035】
A.樹脂充填剤の調製
〔樹脂組成物1〕
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310 、YL983U) 100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmのSiO球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする) 170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を攪拌混合することにより、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cps に調整して得た。
〔硬化剤組成物2〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0036】
次に、第1実施形態に係るパッケージ基板10の製造方法について図1〜図7を参照にして説明する。
【0037】
パッケージ基板の製造
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂からなる基板30の両面に12μmの銅箔31がラミネートされている銅張積層板30Aを出発材料とする(図1(A))。まず、この銅張積層板30Aをドリルで削孔し、直径350μmの導通用スルーホール貫通孔32と直径350μmの外層スルーホール用貫通孔33を形成する(図1(B))。外層スルーホール用貫通孔33の開口径は、200〜400μmで形成するのがよい。特に望ましいのは、250〜350μmである。また、導通用スルーホール用貫通孔32の開口径は、50〜400μmで形成するのがよい。
【0038】
(2)続いて、基板30に無電解銅めっき処理を施し、導通用スルーホール34及び外層スルーホール36を形成する(図1(C))。さらに、銅箔31を常法に従いパターン上にエッチングすることにより、基板30の両面に内層銅パターン(金属膜)38を形成する(図1(D))。
【0039】
(3)内層銅パターン(金属膜)38および導通用スルーホール34、外層スルーホール36を形成した基板30を水洗いし、乾燥させる。その後、酸化浴(黒化浴)として、NaOH(10g/l),NaClO(40g/l),NaPO(6g/l)、還元浴として、NaOH(10g/l),NaBH(6g/l)を用いた酸化−還元処理により、内層銅パターン(金属膜)38および導通用スルーホール34、外層スルーホール36の表面に粗化層34α、36α、38αを設ける。実施形態中では粗化層を設けたが、樹脂の密着が確保できれば粗化層を設ける必要はない(図1(E))。
【0040】
(4)導通用スルーホール34及び外層スルーホール36に、上記Aで調整した樹脂充填剤39を印刷で充填させる(図2(A))。
【0041】
(5)上記(4)の処理を終えた基板30の片面をベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、下層導体回路(内層銅パターン)38の表面や導通用スルーホール34、外層スルーホール36のランド34a、36a表面に樹脂充填剤39が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行う。このような一連の工程を基板の他方の面についても同様に行う。そして、充填した樹脂充填剤39を加熱硬化させて、導通用スルーホール34内に樹脂絶縁層40を、外層スルーホール36内に外層樹脂絶縁層42を形成する(図2(B))。
【0042】
(6)次に、上記(5)の処理を終えた基板30の両面に、上記(3)と同様に一旦平坦化された下層導体回路38の表面と導通用スルーホール34及び外層スルーホール36のランド34a、36a表面とを酸化−還元処理を施すことにより、下層導体回路38の表面及びランド34a、36a表面に粗化面34β、36β、38βを形成する(図2(C))。
【0043】
(7)上記(6)工程を終えた基板30の両面に、厚さ50μmの熱硬化型ポリオレフィン系樹脂シートを温度50〜150℃まで昇温しながら圧力5kg/cmで真空圧着ラミネートし、ポリオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層44を設ける(図2(D))。層間樹脂絶縁層としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂からなる樹脂あるいは、それらに感光性を有する基を置換した樹脂でもよい。具体例として、エポキシ樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のプリント配線板に使用されている樹脂がある。また、高周波領域において低誘電率である樹脂を用いてもよい。樹脂の真空圧着時の真空度は、10mmHgである。
【0044】
(8)次に、層間樹脂絶縁層44にバイアホールとなる開口46を形成する(図3(A))。ここでは、炭酸(CO)ガスレーザにて、ビーム径5mm、パルス幅15μ秒、マスクの穴径0.8mm、1ショットの条件でポリオレフィン系樹脂、あるいはエポキシ系樹脂からなる層間樹脂絶縁層44に直径80μmのバイアホール用開口46を設ける。
【0045】
その後、外層スルーホール36に、内層スルーホール用貫通孔48をドリル又はレーザ等によって形成する(図3(B))。レーザの場合、炭酸(CO)ガスレーザにて、ビーム径5mm、シングルモード、パルス幅60μ秒で、コア基板の外層スルーホール36の外層樹脂絶縁層42及び層間樹脂絶縁層44を貫通する内層スルーホール用貫通孔48を形成する。必要に応じて、内層スルーホール用貫通孔48内のスミアを過マンガン酸などのウェットプロセスあるいはプラズマ、コロナ処理などのドライエッチング処理で除去する。また、内層スルーホール用貫通孔48の径は、75〜200μmで形成されるのがよい。特に望ましいのは、100〜150μmである。
【0046】
(9)層間樹脂絶縁層44にバイアホールとなる開口46を設けた基板30にプラズマ処理を行い、層間樹脂絶縁層44の表層を粗化し、粗化層44αを形成する(図3(C))。この際、不活性ガスとしてアルゴンガスを使用し、電力200W、ガス圧0.6Pa、温度70℃の条件で(プラズマ装置日本真空技術株式会社製 SV−4540)、2分間プラズマ処理を実施する。
【0047】
(10)層間樹脂絶縁層44の表層および内層スルーホール用貫通孔48にスパッタリングでCu(Ni、P、Pd、Co、W)の合金をターゲットした金属層50を形成する(図3(D))。形成条件として、気圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分(プラズマ装置日本真空技術株式会社製 SV−4540)で実施する。これにより、層間樹脂絶縁層44の表層と内層スルーホール用貫通孔48に合金層を形成させることができる。このときの金属層50の厚みは、0.2μmである。金属層50の厚みとしては、0.1〜2μmがよい。スパッタ以外には、蒸着、スパッタなどを行わないで、めっき層を形成させてもよい。あるいは、これらの複合体でもよい。
【0048】
めっきの一例を説明する。基板30をコンディショニングし、アルカリ触媒液中で触媒付与を5分間行う。基板30を活性化処理し、ロッシェル塩タイプの化学銅めっき浴で厚さ0.5μmの無電解めっき膜52を付ける(図4(A))。
化学銅メッキのメッキ条件:
CuSO・5HO 10g/l
HCHO 8g/l
NaOH 5g/l
ロッシェル塩 45g/l
添加剤 30ml/l
温度 30℃
メッキ時間 18分
【0049】
(11)金属膜52上に、厚さ20μmの感光性フィルム(ドライフィルム)を貼り付けて、マスクを載置して、100 mJ/cmで露光、0.8 %炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ20μmのめっきレジスト54を設ける(図4(B))。
【0050】
(12)無電解めっき膜52上のめっきレジスト54の非形成部に下記条件で電解めっきを施し、電解めっき膜56を形成する(図4(C))。電解めっき膜56の厚みとしては、5〜20μmがよい。
電解めっきのめっき条件
CuSO・5HO 140g/l
SO120g/l
Cl 50mg/l
添加剤 300mg/l
スルホン酸アミン 100mg/l
温度 25℃
電流密度 0,8A/dm2
メッキ時間 30分
膜厚 18μm
【0051】
(13)次いで、50℃、40g/lのNaOH水溶液中でめっきレジスト54を剥離除去する。その後、硫酸―過酸化水素水溶液を用い、エッチングにより、レジスト54下の金属層50及び無電解めっき膜52を除去して、層間樹脂絶縁層44上に導体回路58(バイアホール60を含む)を形成し、外層スルーホール36内に内層スルーホール62を形成し、導体回路58、バイアホール60及び内層スルーホール62の表面に粗化処理を施す(図4(D))。
【0052】
(14)次に、前述(3)〜(5)の工程と同様に、内層スルーホール62内にも上記Aの樹脂充填剤を充填し、内層樹脂絶縁層64を形成する。これにより、外層スルーホール36及び内層スルーホール62から成る同軸スルーホール66を形成することができる(図5(A))。外層スルーホールと内層スルーホールとを同軸構造としたスルーホール66により、スルーホール66内での定在波や反射の発生を防ぐことが可能となる。
【0053】
(15)その後、上層に層間樹脂絶縁層144を形成し、前述(8)〜(14)の工程を経て、導体回路158(スルーホール160を含む)を形成し、6層からなるパッケージ基板を得る(図5(B))。
【0054】
(16)一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を 46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)16g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604 )3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A ) 1.5g、に分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71gを混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)を 0.2g加えて、粘度を25℃で 2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得る。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)で 60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合はローターNo.3による。
【0055】
(17)前述(16)で得られたパッケージ基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布する。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのフォトマスクフィルムを密着させて載置し、1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG現像処理する。そしてさらに、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、半田パッド部分(バイアホールとそのランド部分を含む)に開口部71U、71Dを有するソルダーレジスト層70(厚み20μm)を形成する(図5(C))。ICチップ接続の半田バンプを形成させる半田パッドは、開口径100〜170μmで開口させるのがよい。また外部端子接続のためBGA/PGAを配設させる半田パッドは開口径300〜650μmで開口させるのがよい。
【0056】
(18)その後、塩化ニッケル2.3 ×10−1mol/l、次亜リン酸ナトリウム2.8 ×10−1mol/l、クエン酸ナトリウム1.6 ×10−1mol/l、からなるpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に、20分間浸漬して、開口部71U、71Dに厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成する。その後、表層には、シアン化金カリウム7.6 ×10−3mol/l、塩化アンモニウム1.9 ×10−1mol/l、クエン酸ナトリウム1.2 ×10−1mol/l、次亜リン酸ナトリウム1.7 ×10−1mol/lからなる無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層72上に厚さ0.03μmの金めっき層74を形成する(図5(D))。
【0057】
(19)そして、ソルダーレジスト層70の開口部71U、71Dに、低融点金属として半田ペーストを印刷して200℃でリフローすることにより、半田バンプ(半田体)76U、76Dを形成し、パッケージ基板10を完成する(図6参照)。
【0058】
完成したパッケージ基板10の半田バンプ76Uに、ICチップ90のパッド92が対応するように載置し、リフローを行いICチップ90を搭載する。このICチップ90を搭載したパッケージ基板10を、ドータボード94側のバンプ96に対応するように載置してリフローを行い、ドータボード94へ取り付ける(図7参照)。これにより、BGAが配設されている、スルーホールで定在波や反射が発生しないパッケージ基板を得ることが可能となる。
【0059】
本発明の第1実施形態に係るパッケージ基板10の製造方法について、BGAを配設した場合を例示したが、図9に示すようにPGAを配設してもよい。PGAを配設した場合も(1)〜(19)までの工程は同様である。それ以降の工程について説明する。まず、基板の下面側(ドータボード、マザーボードとの接続面)となる開口部71D内に導電性接着剤78として半田ペーストを印刷する。次に、導電性接続ピン90を適当なピン保持装置に取り付けて支持し、導電性接続ピン90の固定部92を開口部71D内の導電性接着剤78に当接させる。そしてリフローを行い、導電性接続ピン90を導電性接着剤78に固定する。また、導電性接続ピン90の取り付け方法としては、導電性接着剤78をボール状等に形成したものを開口部71D内に入れる、あるいは、固定部92に導電性接着剤78を接合させて導電性接続ピン90を取り付け、その後にリフローさせてもよい。なお、上面の開口部71Uには、半田バンプ76を設ける。これにより、PGAが配設されている、スルーホールで定在波や反射が発生しないパッケージ基板を得ることができる。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るプリント配線板の構成を図11に示し、図12中に図11中のスルーホールを拡大して示す。第2実施形態のプリント配線板は、第1実施形態とほぼ同様である。但し、第2実施形態では、内層スルーホール62の真上に蓋めっき部94を形成し、蓋めっき部94を介して内層スルーホール62と上層の導体回路158とを接続をしている。蓋めっき部94を介在させることで、内層スルーホール62と上層の導体回路158との接続性が向上する。
なお、蓋めっき部94を配設した場合も(1)〜(15)までの製造工程は第1実施形態と同様である。それ以降の製造工程を図10を参照して説明する。
【0061】
(16)基板に無電解めっきを施し、無電解めっき膜68を形成する(図10(A))。
【0062】
(17)次いで、基板に所定パターンのレジスト67を形成した後、電解めっきを施して、電解めっき膜69を形成する(図10(B))。その後、レジスト67を剥離後、レジスト67下の無電解めっき膜68をライトエッチングで除くことにより、内層スルーホール62上に無電解めっき膜68及び電解めっき膜69からなる蓋めっき部94を形成する(図10(C))。
【0063】
(18)その後、上層に層間樹脂絶縁層144を形成し、第1実施形態で前述した(8)〜(14)の工程を経て、導体回路158(スルーホール160を含む)を形成し、6層からなるパッケージ基板を得る(図10(D))。なお、以後の製造工程は、第1実施形態の(17)〜(20)と同様である。
【0064】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るプリント配線板の構成を図13に示し、図14中に図13中のスルーホールを拡大して示す。第3実施形態のプリント配線板は、第1実施形態とほぼ同様である。但し、第1実施形態では、内層スルーホール62内に樹脂充填剤が充填されたが、第3実施形態では、内層スルーホール62がめっきにより充填されている。
【0065】
第1、第2実施形態の構成では、内層スルーホール62内に内層スルーホール用樹脂充填剤64を充填することで、内層スルーホール62に発生した応力を内層スルーホール用樹脂充填剤64側へ逃がすことができる。これに対して、第3実施形態では、内層スルーホール62を銅めっきで充填するため、小径に構成可能であると共に、製造コストを低減できる。
【0066】
(第4実施形態)
第1実施形態とほぼ同様であるが、第4実施形態では同軸スルーホール66が2つに分割され、2つの配線路36A、36B及び62A、62Bが形成されている(図15及び図15中のスルーホールを拡大して示す図16参照)。1つのスルーホールに複数の配線路が配設してあるので、スルーホールの数倍の配線路をコア基板に通すことができ、より高密度のプリント配線板を得ることが可能となる。なお、図17(A)は図15中のA−A断面、即ち、コア基板30の表面に配設された同軸スルーホール66の開口部の平面図である。また図17(B)は、同軸スルーホール66を斜視図的に示した説明図である。
【0067】
(第5実施形態)
第5実施形態に係るプリント配線板のスルーホールについて図18を参照して説明する。
図17を参照して上述した第4実施形態では同軸スルーホール66が2つに分割され、2つの配線路36A、36B及び62A、62Bが形成されていた。これに対して、第5実施形態では、スルーホール66が、グランド線として使用される内層スルーホール62Cと、信号線として使用される2分割された外層スルーホール36A、36Bからなる。このグランド線として使用される内層スルーホール62Cと、信号線として使用される外層スルーホール36A、36Bとがマイクロストリップラインを形成している。
【0068】
(第6実施形態)
第6実施形態に係るプリント配線板の製造工程を図19及び図20を参照して説明する。
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂からなる基板30の両面に12μmの銅箔31がラミネートされている銅張積層板30Aを出発材料とする(図19(A))。まず、この銅張積層板30Aをドリルで削孔し、直径350μmの導通用スルーホール貫通孔32と直径350μmの外層スルーホール用貫通孔33を形成する(図19(B))。
【0069】
(2)続いて、基板30に無電解銅めっき処理を施し無電解めっき膜37aを形成する(図19(C))。
(3)無電解めっき膜37aを介して電流を流し、電解めっき膜37bを形成し、これにより、導通用スルーホール貫通孔32に導通用スルーホール34を、外層スルーホール用貫通孔33に外層スルーホール36を形成する(図19(D))。
【0070】
(4)導通用スルーホール34と外層スルーホール36に樹脂充填剤39を充填させる。(図20(A))。
【0071】
(5)基板30の片面をベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、コア基板30の表面に充填剤39が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行う(図20(B))。
【0072】
(6)エッチングレジストを塗布し、配線の描画された図示しないマスクを載置して露光、現像を経て、レジスト層43を形成させる(図20(C))。
【0073】
(7)硫酸−過酸化水素水、塩化第二鉄や塩化第二銅、有機塩酸−第二銅錯体からなるエッチング液を用いて、レジスト層43の被覆されていないめっき膜37a、37b、銅箔31を除去する。その後、レジスト層43を剥離する(図16(D))。なお、エッチング液としては、上記以外にもプリント配線板の製造で使用されるものは全て用いることができる。以降の工程は、図1(C)〜図5を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0074】
なお、上述した第1〜第3実施形態では、スルーホール66を同軸としたが、スルーホール66の外層スルーホール36と内層スルーホール66とを別々の信号線として用いることも可能である。この場合には、コア基板の配線密度を高めることができる。同様に、第4実施形態の配線路36A、36B及び62A、62Bを別々の信号線として用いることもできる。
【0075】
本発明の構成により、同一平面、層間、貫通孔内にマイクロストリップラインを形成することができ、定在波や反射の発生をより低減することができる。また、より高度化されたプリント配線板を形成することができる。そのため、GND、Vccなどの配線数をより多く配設させることが可能となり、信号遅延なども防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
30 コア基板
34 導通用スルーホール
36 外層スルーホール
38 内層銅パターン
39 樹脂充填剤
40 樹脂絶縁層
42 外層樹脂絶縁層
44 層間樹脂絶縁層
48 内層スルーホール用貫通孔
50 金属層
52 無電解めっき膜
56 電解めっき膜
58 導体回路
60 バイアホール
62 内層スルーホール
64 内層樹脂絶縁層
66 同軸スルーホール
70 ソルダーレジスト層
71 開口部
72 ニッケルめっき層
74 金めっき層
76U、76D 半田バンプ
78 導電性接着剤
80A、80B ビルドアップ配線層
90 導電性接続ピン
92 固定部
94 蓋めっき部
144 層間樹脂絶縁層
158 導体回路
160 バイアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下(a)〜(e)の工程を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法:
(a)コア基板に、外層スルーホール用貫通孔を形成する工程;
(b)前記外層スルーホール用貫通孔に、無電解銅めっきを施し外層スルーホールを形成する工程;
(c)前記外層スルーホール内に、樹脂充填剤を充填して絶縁層を形成する工程;
(d)前記外層スルーホール内の絶縁層に、側壁が前記絶縁層になるように内層スルーホール用貫通孔をレーザにより形成する工程;
(e)前記内層スルーホール用貫通孔に、内壁側から無電解銅めっき、電解銅めっきの順番でめっきを充填することで内層スルーホールを形成する工程。
【請求項2】
少なくとも以下(a)〜()の工程を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法:
(a)コア基板に、外層スルーホール用貫通孔を形成する工程;
(b)前記外層スルーホール用貫通孔に、無電解銅めっきを施し外層スルーホールを形成する工程;
(c)前記外層スルーホール内に、樹脂充填剤を充填して絶縁層を形成する工程;
(d)前記外層スルーホール内の絶縁層に、側壁が前記絶縁層になるように内層スルーホール用貫通孔をレーザにより形成する工程;
(e)前記内層スルーホール用貫通孔に、内壁側から無電解銅めっき、電解銅めっきの順番でめっきを充填することで内層スルーホールを形成する工程;
(f)前記基板上層に、層間絶縁層を形成し、前記内層スルーホールに接続するバイアホールを形成する工程;
(g)前記基板上層に、ソルダーレジスト層を形成し、前記バイアホールとランド部分を含む半田パッド部に開口部を形成する工程;
(h)前記開口部底部に、Ni/AuまたはNi/Pd/Auからなる金属層を形成する工程。
【請求項3】
前記外層スルーホール用貫通孔の開口径は、250〜350μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記内層スルーホール用貫通孔の開口径は、100〜150μmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記バイアホールは、表面が平坦なフィルドビアであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記めっき充填された内層スルーホールは信号線として用いられ、前記外層スルーホールはアース線又は電源線として用いられる請求項1〜請求項5のいずれか1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
表面及び裏面に導体回路が形成されたコア基板上に導体層と層間樹脂絶縁層とが交互に積層されているプリント配線板であって、
コア基板に形成された外層スルーホール用貫通孔に、該コア基板の表面および裏面の導体回路を接続する金属銅から成る外層スルーホールが形成され、
前記外層スルーホール内に樹脂充填剤を充填した絶縁層内にレーザにより形成された内層スルーホール用貫通孔に、めっきを充填して成る内層スルーホールが形成されているプリント配線板。
【請求項8】
前記内層スルーホールおよび外層スルーホールが形成されたコア基板上層に層間樹脂絶縁層と導体回路およびバイアホールが形成され、その表層にソルダーレジスト層を形成し、前記内層スルーホールおよび外層スルーホールおよびバイアホールと接続する半田パッドを設け、半田パッドから露出した部分にNi/Au あるいはNi/Pd/Au金属層を形成して半田パッドを形成することを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板。
【請求項9】
前記めっき充填された内層スルーホールは信号線として用いられ、前記外層スルーホールはアース線又は電源線として用いられる請求項7又は請求項8に記載のプリント配線板。
【請求項10】
前記外層スルーホール用貫通孔の開口径は、250〜350μmである請求項7〜請求項9のいずれか1に記載のプリント配線板。
【請求項11】
前記内層スルーホール用貫通孔の開口径は、100〜150μmである請求項7〜請求項10のいずれか1に記載のプリント配線板。
【請求項12】
前記内層スルーホールを形成するめっきは銅からなる請求項7〜請
求項11のいずれか1に記載のプリント配線板。
【請求項13】
前記内層スルーホールは、内壁側から無電解めっき銅、電解めっき銅の順番により形成されてなることを特徴とする請求項7〜請求項12のいずれか1に記載のプリント配線板。
【請求項14】
前記バイアホールは、表面が平坦なフィルドビアであることを特徴とする請求項7〜請求項13のいずれか1に記載のプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−166099(P2010−166099A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105474(P2010−105474)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2000−55233(P2000−55233)の分割
【原出願日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】