説明

プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の露光光形成方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】各半導体発光素子の光を効率良く利用して、照度の高い露光光を形成する。
【解決手段】複数の拡大レンズ43からフライアイレンズ45までの光路を囲んで反射部材50を設ける。ベース基板51の外周部に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43を、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一方の端が、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズ45へ入射する様に配置する。そして、反射部材50を、ベース基板41の外周部に搭載した半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の他方の端が、当該反射部材50により反射されて、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズ45へ入射する様に配置する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、露光光を発生する光源に複数の半導体発光素子を用い、オプティカルインテグレータとしてフライアイレンズを用いたプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の露光光形成方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
従来、プロキシミティ露光装置の露光光を発生する光源には、水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等の様に、高圧ガスをバルブ内に封入したランプが使用されていた。これらのランプは寿命が短く、所定の使用時間が過ぎるとランプを交換しなければならない。例えば、ランプの寿命が750時間の場合、連続して点灯すると、約1ヶ月に1回の交換が必要となる。ランプの交換時は、露光処理が中断されるため、生産性が低下する。
【0004】
一方、特許文献1には、プロジェクション方式の露光装置において、露光光の光源として、発光ダイオード等の固体光源素子を用いる技術が開示されている。発光ダイオード等の半導体発光素子は、寿命が数千時間とランプに比べて長く、露光処理が中断されることが少ないので、生産性の向上が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−332077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
露光光を発生する光源に複数の半導体発光素子を用いる場合、特許文献1に記載されている様に、オプティカルインテグレータとしてフライアイレンズが使用される。フライアイレンズは、複数の単レンズを縦横に配列したレンズアレイである。図10は、フライアイレンズの動作を説明する図である。複数の半導体発光素子42から発生した光を、拡大レンズ43によりそれぞれ拡大して、フライアイレンズ45へ照射する。フライアイレンズ45は、複数の拡大レンズ43により拡大された光を、同じ照射面へ投影して重ね合わせ、照度分布を均一化する。このとき、フライアイレンズ45へ入射する光は、入射角度βが所定の角度より大きいと、フライアイレンズ45の照射面から外れてしまう。
【0007】
近年、表示用パネルの大画面化に伴い基板が大型化する程、露光光の光源には、より照度の高いものが要求される様になってきた。主に大型の基板の露光に使用されるプロキシミティ露光装置において、露光光を発生する光源に複数の半導体発光素子を用いる場合、半導体発光素子の出力が従来のランプに比べてはるかに小さいので、数百〜数千個程度の半導体発光素子を並べて使用しなければならない。その場合、外側の半導体発光素子から発生して拡大レンズにより拡大された光の一部は、フライアイレンズへの入射角度が大きくなり、フライアイレンズの照射面から外れて、露光光の形成に利用されないという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、複数の半導体発光素子から発生して拡大レンズにより拡大された光をフライアイレンズで重ね合わせる際、各半導体発光素子の光を効率良く利用して、照度の高い露光光を形成することである。また、本発明の課題は、表示用パネル基板の生産性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロキシミティ露光装置は、露光光を形成する光を発生する複数の半導体発光素子と、複数の半導体発光素子を搭載するベース基板と、各半導体発光素子に対応して設けられ、各半導体発光素子から発生した光を拡大する複数の拡大レンズと、複数の拡大レンズにより拡大された光が照射されるフライアイレンズとを備え、複数の拡大レンズにより拡大された光をフライアイレンズで重ね合わせて露光光を形成するプロキシミティ露光装置であって、複数の拡大レンズからフライアイレンズまでの光路を囲んで設けられた反射部材を備え、ベース基板の外周部に搭載された半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズは、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端が、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置され、反射部材は、ベース基板の外周部に搭載された半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の他方の端が、当該反射部材により反射されて、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置されたものである。
【0010】
また、本発明のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法は、複数の半導体発光素子をベース基板に搭載して、各半導体発光素子から露光光を形成する光を発生し、各半導体発光素子に対応して複数の拡大レンズを設け、各半導体発光素子から発生した光を対応する拡大レンズにより拡大して、フライアイレンズへ照射し、複数の拡大レンズにより拡大した光をフライアイレンズで重ね合わせて露光光を形成するプロキシミティ露光装置の露光光形成方法であって、複数の拡大レンズからフライアイレンズまでの光路を囲んで反射部材を設け、ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズを、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端が、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置し、反射部材を、ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の他方の端が、当該反射部材により反射されて、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置するものである。
【0011】
ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の内、フライアイレンズの外周から当該光の一方の端までの間のフライアイレンズへ直接照射される光は、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射して、露光光の形成に利用される。また、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の内、フライアイレンズの外周から当該光の他方の端までの間のフライアイレンズへ直接照射されない光は、反射部材により反射されて、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射して、露光光の形成に利用される。従って、複数の半導体発光素子から発生して拡大レンズにより拡大された光をフライアイレンズで重ね合わせる際、各半導体発光素子の光が効率良く利用されて、照度の高い露光光が形成される。
【0012】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、ベース基板の最外周に搭載された半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸が、フライアイレンズの外周へ向けて配置され、反射部材が、当該光軸とほぼ平行に配置されたものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法は、ベース基板の最外周に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸を、フライアイレンズの外周へ向けて配置し、反射部材を、当該光軸とほぼ平行に配置するものである。ベース基板の最外周に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸を、フライアイレンズの外周へ向けて配置するので、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端を、所定の角度以内でフライアイレンズへ入射させるために必要な、フライアイレンズから当該半導体発光素子までの距離が小さくなる。
【0013】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、ベース基板が複数の平らな基板を組み合わせて構成され、複数の拡大レンズが当該基板毎にアレイ状に構成されたものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法は複数の平らな基板を組み合わせてベース基板を構成し、複数の拡大レンズを当該基板毎にアレイ状に構成するものである。半導体発光素子のベース基板への実装が容易になり、かつ拡大レンズの光軸の調整が容易になる。
【0014】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を用いて形成した露光光をマスクを介して基板へ照射し、基板の露光を行うものである。上記のプロキシミティ露光装置又はプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を用いることにより、露光光の照度が増加して露光時間が短縮され、また露光光の光源の寿命が長くなるので、表示用パネル基板の生産性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の露光光形成方法によれば、複数の拡大レンズからフライアイレンズまでの光路を囲んで反射部材を設け、ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズを、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端が、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置し、反射部材を、ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の他方の端が、当該反射部材により反射されて、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置することにより、複数の半導体発光素子から発生して拡大レンズにより拡大された光をフライアイレンズで重ね合わせる際、各半導体発光素子の光を効率良く利用して、照度の高い露光光を形成することができる。
【0016】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の露光光形成方法によれば、ベース基板の最外周に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸を、フライアイレンズの外周へ向けて配置し、反射部材を、当該光軸とほぼ平行に配置することにより、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端を、所定の角度以内でフライアイレンズへ入射させるために必要な、フライアイレンズから当該半導体発光素子までの距離を小さくすることができる。
【0017】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の露光光形成方法によれば、複数の平らな基板を組み合わせてベース基板を構成し、複数の拡大レンズを当該基板毎にアレイ状に構成することにより、半導体発光素子をベース基板に容易に実装することができ、かつ拡大レンズの光軸を容易に調整することができる。
【0018】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、露光光の照度が増加して露光時間が短縮され、また露光光の光源の寿命が長くなるので、表示用パネル基板の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】光源ユニットの一例を示す図である。
【図3】図2に示した光源ユニットの半導体発光素子及び拡大レンズの光軸の方向を示す図である。
【図4】光源ユニットの他の例を示す図である。
【図5】図4に示した光源ユニットの半導体発光素子及び拡大レンズの光軸の方向を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を説明する図である。
【図7】ベース基板の最外周に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸を、フライアイレンズの外周よりも内側へ向けて配置した例を示す図である。
【図8】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図9】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図10】フライアイレンズの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、及び露光光照射装置30を含んで構成されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0021】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0022】
図1において、チャック10は、基板1の露光を行う露光位置にある。露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。マスクホルダ20は、マスク2の周辺部を真空吸着して保持する。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、露光光照射装置30が配置されている。露光時、露光光照射装置30からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0023】
チャック10は、Xステージ5により、露光位置から離れたロード/アンロード位置へ移動される。ロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送ロボットにより、基板1がチャック10へ搬入され、また基板1がチャック10から搬出される。チャック10への基板1のロード及びチャック10からの基板1のアンロードは、チャック10に設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板1をチャック10にロードする際、基板搬送ロボットから基板1を受け取り、基板1をチャック10からアンロードする際、基板搬送ロボットへ基板1を受け渡す。
【0024】
チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図1の図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図1の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10を複数箇所で支持する。
【0025】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、基板1のアライメントが行われる。また、図示しないZ−チルト機構により、マスクホルダ20をZ方向(図1の図面上下方向)へ移動及びチルトすることによって、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。
【0026】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
【0027】
露光光照射装置30は、コリメーションレンズ群32、平面鏡33、照度センサー35、及び光源ユニット40を含んで構成されている。後述する光源ユニット40は、基板1の露光を行う時に露光光を発生し、基板1の露光を行わない時は露光光を発生しない。光源ユニット40から発生した露光光は、コリメーションレンズ群32を透過して平行光線束となり、平面鏡33で反射して、マスク2へ照射される。マスク2へ照射された露光光により、マスク2のパターンが基板1へ転写され、基板1の露光が行われる。
【0028】
平面鏡33の裏側近傍には、照度センサー35が配置されている。平面鏡33には、露光光の一部を通過させる小さな開口が設けられている。照度センサー35は、平面鏡33の開口を通過した光を受光して、露光光の照度を測定する。照度センサー35の測定結果は、光源ユニット40へ入力される。
【0029】
図2は、光源ユニットの一例を示す図である。光源ユニット40は、ベース基板41、半導体発光素子42、拡大レンズ43、フライアイレンズ45、制御回路46、冷却部材47、冷却装置48、及びミラー50を含んで構成されている。ベース基板41には、複数の半導体発光素子42が搭載されている。ベース基板41は、制御回路46の制御により、各半導体発光素子42を駆動する。各半導体発光素子42は、発光ダイオードやレーザーダイオード等から成り、露光光を形成する光を発生する。制御回路46は、照度センサー35の測定結果に基づき、各半導体発光素子42の駆動を制御する。
【0030】
なお、図2では、9個の半導体発光素子42が示されているが、実際の光源ユニットには、数百〜数千個程度の半導体発光素子が使用されている。
【0031】
各半導体発光素子42に対応して、拡大レンズ43が設けられており、各拡大レンズ43は、各半導体発光素子42から発生した光を拡大して、フライアイレンズ45へ照射する。図3は、図2に示した光源ユニットの半導体発光素子及び拡大レンズの光軸の方向を示す図である。図3(a)の矢印は、ベース基板41を横から見たときの半導体発光素子42及び拡大レンズ43の光軸の方向を示している。また、図3(b)の矢印は、ベース基板41を正面から見たときの半導体発光素子42及び拡大レンズ43の光軸の方向を示している。
【0032】
図3(b)に示す様に、ベース基板41は、複数の基板41a,41b,41cを組み合わせて構成されている。本例では、中央部の基板41aの上下及び左右に配置された基板41bが、図3(a)に示す様に、円筒の側面の一部を切り取った形状をしている。そして、中央部の基板41aの表面が、上下の基板41bの表面と左右の基板41bの表面とを組み合わせた形状をしている。基板41cは、平らであり、複数の半導体発光素子42が熱伝導部材47aを介して斜めに搭載されている。基板41a,41bに搭載された半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸は、図3(a),(b)に示す様に、フライアイレンズ45の中央へ向けて配置されている。基板41cに搭載された半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸は、図3(a),(b)に示す様に、フライアイレンズ45へ向けて互いに平行に配置されている。
【0033】
図4は、光源ユニットの他の例を示す図である。また、図5は、図4に示した光源ユニットの半導体発光素子及び拡大レンズの光軸の方向を示す図である。図5(a)の矢印は、図5(b)に示したベース基板41のA−A部断面を見たときの半導体発光素子42及び拡大レンズ43の光軸の方向を示している。また、図5(b)の矢印は、ベース基板41を正面から見たときの半導体発光素子42及び拡大レンズ43の光軸の方向を示している。
【0034】
本例では、ベース基板41が、複数の平らな基板41a,41b,41cを組み合わせて構成されている。ベース基板41の外周部に位置する基板41b,41cは、フライアイレンズ45へ向けて傾斜して設置されている。拡大レンズ43は、基板41a,41b,41c毎にアレイ状に構成されている。各基板41a,41b,41cに搭載された半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸は、図5(a),(b)に示す様に、フライアイレンズ45へ向けて互いに平行に配置されている。複数の平らな基板41a,41b,41cを組み合わせてベース基板41を構成し、複数の拡大レンズ43を基板41a,41b,41c毎にアレイ状に構成するので、半導体発光素子42のベース基板41への実装が容易になり、かつ拡大レンズ43の光軸の調整が容易になる。
【0035】
図2及び図4において、複数の拡大レンズ43からフライアイレンズ45までの光路を囲んで、ミラー50が設けられている。図2及び図4に示した例では、ベース基板41及びフライアイレンズ45が四角形であり、ベース基板41がフライアイレンズ45より大きいので、ミラー50は、四角錐の上部を切り取った形状をしている。ミラー50は、ベース基板41の外周部の基板41b、41cに搭載された半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一部を反射して、フライアイレンズ45へ照射する。
【0036】
フライアイレンズ45は、複数の拡大レンズ43により拡大された光を重ね合わせて、照度分布が均一な露光光を形成する。このとき、フライアイレンズ45は、拡大レンズ43から直接入射した光と、ミラー50により反射されて入射した光とを合わせて、露光光を形成する。拡大レンズ43又はミラー50からフライアイレンズ45へ所定の角度αより大きな入射角度で入射した光は、フライアイレンズ45の照射面から外れ、露光光の形成に利用されない。
【0037】
ベース基板41の裏面には、冷却部材47が取り付けられている。冷却部材47は、内部に冷却水が流れる冷却水通路を有し、冷却装置48から冷却水通路へ供給される冷却水により、各半導体発光素子42を冷却する。なお、冷却部材47及び冷却装置48はこれに限らず、放熱板及び冷却ファンを含む空冷式としてもよい。
【0038】
以下、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の露光光形成方法について説明する。図6は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を説明する図である。本発明では、図6に示す様に、ベース基板41の外周部に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43を、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一方の端が、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射する様に配置する。そして、ミラー50を、ベース基板41の外周部に搭載した半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の他方の端が、当該ミラー50により反射されて、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射する様に配置する。
【0039】
ベース基板41の外周部に搭載した半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の内、フライアイレンズ45の外周から当該光の一方の端までの間のフライアイレンズ45へ直接照射される光は、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射して、露光光の形成に利用される。また、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の内、フライアイレンズ45の外周から当該光の他方の端までの間のフライアイレンズ45へ直接照射されない光は、ミラー50により反射されて、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射して、露光光の形成に利用される。従って、複数の半導体発光素子42から発生して拡大レンズ43により拡大された光をフライアイレンズ45で重ね合わせる際、各半導体発光素子42の光が効率良く利用されて、照度の高い露光光が形成される。
【0040】
さらに、本実施の形態では、図6に示す様に、ベース基板41の最外周に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸を、フライアイレンズ45の外周へ向けて配置し、ミラー50を、当該光軸とほぼ平行に配置する。
【0041】
図7は、ベース基板の最外周に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸を、フライアイレンズの外周よりも内側へ向けて配置した例を示す図である。ベース基板41の最外周に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸を、フライアイレンズ45の外周よりも内側へ向けて配置した場合、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一方の端を、所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射させるためには、フライアイレンズ45から当該半導体発光素子42までの距離を長くする必要がある。
【0042】
図6に示した実施の形態では、ベース基板41の最外周に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸を、フライアイレンズ45の外周へ向けて配置するので、図7に示した例に比べ、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一方の端を、所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射させるために必要な、フライアイレンズ45から当該半導体発光素子42までの距離を小さくすることができる。
【0043】
以上説明した実施の形態によれば、複数の拡大レンズ43からフライアイレンズ45までの光路を囲んでミラー50を設け、ベース基板41の外周部に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43を、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一方の端が、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射する様に配置し、ミラー50を、ベース基板41の外周部に搭載した半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の他方の端が、当該ミラー50により反射されて、フライアイレンズ45の照射面から外れない所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射する様に配置することにより、複数の半導体発光素子42から発生して拡大レンズ43により拡大された光をフライアイレンズ45で重ね合わせる際、各半導体発光素子42の光を効率良く利用して、照度の高い露光光を形成することができる。
【0044】
さらに、ベース基板41の最外周に搭載した半導体発光素子42及びそれらに対応する拡大レンズ43の光軸を、フライアイレンズ45の外周へ向けて配置し、ミラー50を、当該光軸とほぼ平行に配置することにより、当該半導体発光素子42から発生して対応する拡大レンズ43により拡大された光の一方の端を、所定の角度α以内でフライアイレンズ45へ入射させるために必要な、フライアイレンズ45から当該半導体発光素子42までの距離を小さくすることができる。
【0045】
さらに、図4に示した例によれば、複数の平らな基板41a,41b,41cを組み合わせてベース基板41を構成し、複数の拡大レンズを当該基板41a,41b,41c毎にアレイ状に構成することにより、半導体発光素子42をベース基板41に容易に実装することができ、かつ拡大レンズ43の光軸を容易に調整することができる。
【0046】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を用いて形成した露光光をマスクを介して基板へ照射し、基板の露光を行うことにより、露光光の照度が増加して露光時間が短縮され、また露光光の光源の寿命が長くなるので、表示用パネル基板の生産性を向上させることができる。
【0047】
例えば、図8は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0048】
また、図9は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0049】
図8に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図9に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又はプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
20 マスクホルダ
30 露光光照射装置
32 コリメーションレンズ群
33 平面鏡
35 照度センサー
40 光源ユニット
41 ベース基板
41a,41b,41c 基板
42 半導体発光素子
43 拡大レンズ
45 フライアイレンズ
46 制御回路
47 冷却部材
47a 熱伝導部材
48 冷却装置
50 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光を形成する光を発生する複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を搭載するベース基板と、
各半導体発光素子に対応して設けられ、各半導体発光素子から発生した光を拡大する複数の拡大レンズと、
前記複数の拡大レンズにより拡大された光が照射されるフライアイレンズとを備え、
前記複数の拡大レンズにより拡大された光を前記フライアイレンズで重ね合わせて露光光を形成するプロキシミティ露光装置であって、
前記複数の拡大レンズから前記フライアイレンズまでの光路を囲んで設けられた反射部材を備え、
前記ベース基板の外周部に搭載された半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズは、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端が、前記フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内で前記フライアイレンズへ入射する様に配置され、
前記反射部材は、前記ベース基板の外周部に搭載された半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の他方の端が、当該反射部材により反射されて、前記フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内で前記フライアイレンズへ入射する様に配置されたことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記ベース基板の最外周に搭載された半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズは、光軸が前記フライアイレンズの外周へ向けて配置され、
前記反射部材は、当該光軸とほぼ平行に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記ベース基板は複数の平らな基板を組み合わせて構成され、前記複数の拡大レンズは当該基板毎にアレイ状に構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
複数の半導体発光素子をベース基板に搭載して、各半導体発光素子から露光光を形成する光を発生し、
各半導体発光素子に対応して複数の拡大レンズを設け、各半導体発光素子から発生した光を対応する拡大レンズにより拡大して、フライアイレンズへ照射し、
複数の拡大レンズにより拡大した光をフライアイレンズで重ね合わせて露光光を形成するプロキシミティ露光装置の露光光形成方法であって、
複数の拡大レンズからフライアイレンズまでの光路を囲んで反射部材を設け、
ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズを、当該半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の一方の端が、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置し、
反射部材を、ベース基板の外周部に搭載した半導体発光素子から発生して対応する拡大レンズにより拡大された光の他方の端が、当該反射部材により反射されて、フライアイレンズの照射面から外れない所定の角度以内でフライアイレンズへ入射する様に配置することを特徴とするプロキシミティ露光装置の露光光形成方法。
【請求項5】
ベース基板の最外周に搭載した半導体発光素子及びそれらに対応する拡大レンズの光軸を、フライアイレンズの外周へ向けて配置し、
反射部材を、当該光軸とほぼ平行に配置することを特徴とする請求項4に記載のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法。
【請求項6】
複数の平らな基板を組み合わせてベース基板を構成し、複数の拡大レンズを当該基板毎にアレイ状に構成することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置の露光光形成方法を用いて形成した露光光をマスクを介して基板へ照射し、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−17770(P2011−17770A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160727(P2009−160727)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】