説明

プロセスカートリッジの組立方法、側板保持治具、及びプロセスカートリッジ

【課題】実際に像担持体及び現像剤担持体を取り付けたときの間隔Dsを正しく出すことができるプロセスカートリッジの組立方法、側板保持具、及びそれらを用いて製造したプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】像担持体と、現像剤担持体と、一対の側板と、前記一対の側板を保持するハウジングとの少なくとも4種の部材を有するプロセスカートリッジの組立方法であって、前記一対の側板は、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔を調整する間隔調整機構を有しており、前記間隔の測定及び調整が、前記像担持体、前記現像剤担持体及び前記一対の側板の少なくとも3種の部材を保持する側板保持治具と、前記間隔を測定する間隔測定具とにより行われ、前記間隔の測定及び調整が完了した、前記3種の部材を1セットとして前記ハウジングに組み付けることを特徴とするプロセスカートリッジの組立方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式を用いた画像形成装置におけるプロセスカートリッジの、組立方法、側板保持具、及びそれらを用いて組み立てられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置において、プロセスカートリッジと呼ばれるユニット構造の装置を画像形成装置に着脱自在に内蔵するタイプの画像形成装置が普及している。
【0003】
ここでいうプロセスカートリッジとは、少なくとも、現像剤担持体を備えた現像装置と像担持体とを一体的に構成したユニットであるが、それに加えて、帯電装置やクリーニング装置等の複数のプロセス手段を一体的にユニット化したものもある。このプロセスカートリッジを定期的に交換することにより、消耗品の更新が容易になり、画像形成装置のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0004】
一方、電子写真方式を用いた画像形成装置の画質に対する要求品質は近年益々高くなっているが、画像濃度等の画質に大きな影響を与える要素として、像担持体と現像剤担持体の間隔(以下、単に間隔ともいう)Dsがある。
【0005】
即ち、間隔Dsが大きすぎれば、画像濃度が低すぎたり、現像時におけるトナーの現像剤担持体から像担持体への移動が困難となり、濃度ムラになるといった問題がある。反対に間隔Dsが小さすぎると、画像濃度が高すぎたり、キャリアとトナーの2成分現像剤では現像剤の詰まりが発生し、トナーのみの1成分現像剤では現像ローラから感光体へのリークが発生するといった問題がある。
【0006】
このように、像担持体と現像剤担持体の間隔Dsは画像品質上、極めて重要な管理項目である。また、近年の高耐久性及び高画質に対する要求からも、間隔Dsを更に高精度に保証する必要性が高まっている。
【0007】
従来から、高い加工精度と高額な材料を用いた部品構成により間隔Dsの精度を高める努力がなされてきたが、昨今は、部品精度だけでは不十分な領域での精度の保証が必要な段階に来ている。
【0008】
間隔Dsの値を一定に設定するために試みられてきた方法としては、隙間ゲージを用いて直接的に間隔Dsを測定する方法や、光ビームを用いてプロセスカートリッジに設けた透明な窓部を通して間隔Dsを間接的に測定する方法が一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
然るに、いずれの方法を用いても、周囲の部材に干渉しないように、かつ像担持体の表面に損傷を与えないように測定するため、測定器設置上でのスペースの問題と、間隔の再調整が必要である場合に取り外し、再組立作業のための工数がかかるという問題があった。
【0010】
一方、測定した結果、間隔Dsが再調整を必要とする場合には、再調整機構として、公知のカム機構やネジ機構等があるが、スペーサーを利用した機構が簡単な構成でネジゆるみ等の問題が少ない信頼性の高い方式として広く用いられている。
【0011】
然るに、スペーサーを利用した機構では、再調整を要する場合にスペーサーを増減するため、一般に軸受部材等の取り外し作業が必要となる。
【0012】
カム機構やネジ機構を用いた方式においても、周囲のスペース等の影響により、調整作業や調整後の固定作業を確実に行うためには機構部の一部を取り外さざるを得ないという構成のものが多かった。
【0013】
通常、プロセスカートリッジには、ハウジング、感光体ドラム、現像ローラを始め、各種のローラやブレード、クリーニング装置等、多くの機構部や部材が一体的に組み付けられており、その取り外し作業には時間と労力を要していた。
【0014】
これらの問題に対し、像担持体と現像剤担持体との回転軸の間隔Dsに相当する位置に基準ピンを立てた基準器を用い、2つの回転軸に嵌合する軸受部材の位置を側板上で決めて間隔Dsを確保するという技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−323693号公報
【特許文献2】特開平10−133541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、基準器により設計上の間隔Dsを側板上の軸受部材の位置で正しく出すことはできても、実際に像担持体及び現像剤担持体を側板に取り付けたときの間隔Dsが正しい値となるかどうかが問題となる。
【0016】
なぜならば、実際に製造される像担持体及び現像剤担持体には、外径寸法のバラツキ、真円度や円筒度のバラツキ、回転軸と外周との振れなどのバラツキがあり、更には、2つの回転軸が嵌合する軸受部材にも内径や真円度、円筒度のバラツキがある。
【0017】
従って、実際に側板に像担持体及び現像剤担持体を取り付け、更にハウジングに取り付けたときの間隔Dsが正しく出るという保証が無い。
【0018】
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、実際に像担持体及び現像剤担持体を取り付けたときの間隔Dsを正しく出すことができるプロセスカートリッジの組立方法、側板保持具、及びそれらを用いて組み立てたプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、下記の構成の方法、治具及びプロセスカートリッジを用いることにより達成することが出来る。
【0020】
1.像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記像担持体と前記現像剤担持体とを保持する一対の側板と、前記一対の側板を保持するハウジングとの少なくとも4種の部材を有するプロセスカートリッジの組立方法であって、
前記一対の側板は、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔を調整する間隔調整機構をそれぞれ有しており、
前記間隔の測定及び必要であれば行われる調整が、前記像担持体、前記現像剤担持体及び前記一対の側板の少なくとも3種の部材を保持する側板保持治具と、前記間隔を測定する間隔測定具とにより行われ、
前記間隔の測定及び必要であれば行われる調整が完了した、前記像担持体、前記現像剤担持体及び前記一対の側板の少なくとも3種の部材を1セットとして前記ハウジングに組み付けることを特徴とするプロセスカートリッジの組立方法。
【0021】
2.前記一対の側板は、それぞれ、前記像担持体又は前記現像剤担持体のいずれか一方の回転軸を回転自在に保持し、もう一方の回転軸を該回転軸に嵌合する軸受部材を介して位置調整可能に保持することにより、2つの回転軸の軸間距離を調整可能としたことを特徴とする1に記載のプロセスカートリッジの組立方法。
【0022】
3.前記間隔の調整にスペーサーを用いることを特徴とする1又は2に記載のプロセスカートリッジの組立方法。
【0023】
4.1又は2に記載のプロセスカートリッジの組立方法において使用されることを特徴とするプロセスカートリッジの側板保持治具。
【0024】
5.像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記像担持体と前記現像剤担持体とを保持する一対の側板と、の少なくとも3種の部材を有するプロセスカートリッジであって、
プロセスカートリッジは、前記像担持体と前記現像剤担持体とをそれぞれの回転軸を介して回転自在に保持する前記一対の側板を有し、
前記一対の側板にはそれぞれ前記像担持体の回転軸と前記現像剤担持体の回転軸との2つの回転軸を保持する2つの回転軸保持手段を有しており、
2つの前記回転軸保持手段の内の少なくとも一方の回転軸保持手段は、2つの前記回転軸の間隔を調整しうる構成を有しており、
1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジの組立方法により組み立てられることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0025】
6.前記一対の前記側板が摩擦係数が0より大きく、0.6以下の樹脂材料からなることを特徴とする5に記載のプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る実際に使用する部品を用いて測定を行うという構成により、個々のプロセスカートリッジに対して部品毎にバラツキのある像担持体及び現像剤担持体を取り付けたときにおいても、そのバラツキを補正して間隔Dsを適正に設定することができる。
【0027】
即ち、本発明に係る組立方法や部材を用いることにより、画像の濃度ムラや現像剤の詰まりの無い高画質の画像形成を可能にするプロセスカートリッジや間隔Dsの間隔調整方法を、個々のプロセスカートリッジに対して安定して提供することができる。
【0028】
また、組み付け前の部品レベルでの調整及び取り外し作業ができるため、検査、調整、修理の各作業を効率的に行うことが出来、かつ、間隔Dsの周囲にスペース上での制約が少ないため測定や調整作業が容易に行え、設計上の自由度も高く、装置の小型化が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は前記実施の形態に限定されない。
【0030】
図1は、本発明に係るプロセスカートリッジの実施形態の一例についての構成を説明するための断面図である。図1は1成分系の現像剤を用いたプロセスカートリッジの実施形態を示す構成図であるが、本発明は2成分系の現像剤を用いたプロセスカートリッジにも適用可能である。
【0031】
このプロセスカートリッジ100は、像担持体としての感光体ドラム10、帯電器11、現像剤担持体としての現像装置13、及び感光体クリーナ15からなる。
【0032】
プロセスカートリッジ100の骨格は、感光体クリーナ15の骨格となる第1のハウジングとしてのクリーナー・ドラム枠体150と、現像装置13の骨格となる第2のハウジングとしての現像枠体130とからなる。帯電器11はクリーナー・ドラム枠体150に保持される。
【0033】
クリーナー・ドラム枠体150と現像枠体130とは感光体ドラム10の回転軸方向の両端近傍で一対の側板20、21を保持し、クリーナー・ドラム枠体150、現像枠体130、及び一対の側板20、21が一体的に結合されている。
【0034】
感光体ドラム10は回転軸10aの両端近傍を後述の軸受部材を介して側板20、21によって回転自在に保持される。
【0035】
また、感光体クリーナ15のクリーナー・ドラム枠体150にはクリーニングブレード151を保持するブレード保持部材152が配設される。
【0036】
クリーニングブレード151は弾性を有するウレタン樹脂等からなり、感光体ドラムに圧接する位置に配設され、感光体ドラム10上の一次転写後に残るトナーを除去する。ブレード保持部材152は、金属等の材料で形成される。
【0037】
現像装置13は、例えば、トナーのみから構成される一成分系現像剤を用い、感光体ドラム10の表面にトナーを供給することにより現像を行う装置である。
【0038】
現像装置13は、現像枠体130、現像ローラ131、規制ブレード134、ブレード保持具135、供給ローラ136、回転体137を有する。
【0039】
現像ローラ131は、回転軸の両端近傍を後述の軸受部材を介して側板20、21によって回転自在に保持される。また、現像ローラ131は、例えば、導電性の円柱基体と、基体の外周にシリコーンゴム等の硬度の高い物質を用いて形成した弾性層とを有する。規制ブレード134は先端が現像ローラ131に圧接する位置に取り付けられ、現像ローラ131上のトナーの付着量を規制する。
【0040】
現像ローラ131と感光体ドラム10との間隔Dsの調整機構については後述する。
【0041】
現像ローラ131を押圧する位置に配設される供給ローラ136は、図示しないモータにより現像ローラ131と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ136は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層とを有する。
【0042】
現像枠体130の内部には現像剤を攪拌する回転体137が設けられ、回転体137には、フィルム状の搬送羽根が取付けられており、回転体137の矢印方向への回転により現像剤を搬送する。搬送羽根により搬送された現像剤は、現像枠体130の内部を2つに隔てる隔壁102bに設けられた開口部KBを介して供給ローラ136に供給される。
【0043】
画像形成時には現像ローラ131が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ136の回転により現像剤が現像ローラ131上に供給される。現像ローラ131上に供給された現像剤は、規制ブレード134により薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかった現像剤は、現像ローラ131の回転に伴って、供給ローラ136により現像ローラ131から掻き取られ回収される。
【0044】
ここまで、プロセスカートリッジの構成を一成分系現像剤を用いるものに基づいて説明したが、二成分系現像剤を用いるプロセスカートリッジの構成については、一成分系現像剤を用いるプロセスカートリッジの構成と類似しているため説明は省略する。
【0045】
図2は、本発明に係るプロセスカートリッジの間隔調整機構を有する側板の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【0046】
図2において、一対の側板20、21は、図1のクリーナー・ドラム枠体150及び現像枠体130と共に一体的に結合され、感光体ドラム10、及び現像装置13内の回転部材である現像ローラ131、供給ローラ136、回転体137を回転自在に保持する。
【0047】
感光体ドラム10は、回転軸10aの両端近傍が、側板20、21の穴20a、21aにそれぞれ固定された一対の軸受部材30に嵌合し、回転自在に保持される。
【0048】
現像ローラ131は、回転軸の両端近傍が、側板20、21の長穴20b、21bにそれぞれ位置調整可能に保持された一対の軸受部材31に回転自在に嵌合し、保持される。
【0049】
軸受部材31は、長穴20b、21bとの嵌合部が小判型に形成され、長穴20b、21bの長手方向に摺動可能に保持される。
【0050】
一対の側板20、21の長穴20b、21bの長手方向は穴20a、21aに向かって延びており、間隔調整機構の一部を構成するスペーサー35及び長穴20b、21bにより、感光体ドラム10と現像ローラ131との間隔Dsが調整可能な構成となっている。
【0051】
本実施の形態での間隔Dsの調整は、スペーサー35によって行われ、一対の側板20、21の長穴20b、21bの長手方向における穴20a、21aに近い側に、必要に応じてそれぞれ1枚以上のスペーサー35が挿入される。スペーサー35は、実施の形態ではロックウェル硬度80以上のPETフィルム(1枚の厚さ25μm)からなる部材を用いている。通常、間隔Dsの基準値は0.45mm〜0.55mm程度であるため、スペーサー35の1枚の厚さとしては25μm程度が妥当であると考えられる。
【0052】
間隔調整機構の他の一部は、一対のネジ部材23とそれを保持する一対のネジ部材受け22とにより構成される。一対のネジ部材23を図示しないネジ穴により保持する一対のネジ部材受け22は、長穴20b、21bの穴20a、21aとは逆側に側板20、21と一体的に固設される。
【0053】
一対のネジ部材23は、ネジ先端を、長穴20b、21bに摺動可能に保持される回転軸保持手段としての軸受部材35の側部に当接し、ネジを回転させて軸受部材35を図2のA方向に移動させ、スペーサー側に押しつけて間隔Dsの値を決める。
【0054】
本発明の実施形態では、間隔調整機構としてスペーサー35を用いる構成としたが、一方の軸受部材の軸間方向における前後を一対のネジで位置調整するネジ方式や、偏芯カムの回転によりカムに当接させた軸受部材の位置を調整するカム方式等を用いても良い。
【0055】
供給ローラ136及び回転体137は、回転軸の両端近傍を一対の側板20、21に固設された軸受部材(参照符号なし)に回転自在に嵌合して保持される。
【0056】
符号の40は、感光体ドラム10と現像ローラ131との間隔Dsを測定するためのレーザ光等を発する発光素子であり、符号の41は受光素子である。発光素子40及び受光素子41は、像担持体と現像剤担持体との間隔Dsを測定する本発明に係る一方の測定具としての間隔測定具である。実施の形態では、発光素子40及び受光素子41として、高速・高精度デジタル寸法測定器(キーエンス社製、LED方式、型式LS−7030M)に付属する素子を用いている。間隔Dsの測定手順については後述する。
【0057】
図3は、本発明に係る感光体ドラム、現像ローラ、及び一対の側板、の3種の部材を側板保持治具に装着した状態を示す概略構成図である。
【0058】
本発明に係るもう一方の測定具としての側板保持治具50には、感光体ドラム10と現像ローラ131とを軸受部材30、31を介して保持する一対の側板20、21が保持される。一対の側板20、21は側板保持治具50に備えられた図示しないガイドピンやクランプにより側板保持治具50に装着される。
【0059】
本発明に係る間隔調整法は、感光体ドラム10、現像ローラ131、及び側板20、21の3種の部材のみを側板保持治具50に装着して行うため、間隔測定具40、41の配置に関し、周囲にハウジング等の測定の障害となる部材が無いという利点がある。
【0060】
本発明のように、間隔Dsの測定を、一対の側板20、21をハウジングであるクリーナー・ドラム枠体150や現像枠体130に組み付ける前に行うという構成は、ハウジングに組み付ける際の間隔Dsの値の変化が懸念される。然るに、本発明者による実験結果では、2つの回転軸の軸間距離15mmのとき、一対の側板20、21がハウジングに対して1°傾いても間隔Dsのバラツキへの影響が2μm程度であり、間隔Dsの基準値0.45mm〜0.55mmに対する影響は少ないと考えられる。
【0061】
なお、本実施の形態では、本発明に係る一対の側板20、21への感光体ドラム10の保持は軸受部材30を介して行う構成としたが、側板20、21の材料を低摩擦係数の樹脂材料とし、軸受部材30を用いない構成とすることも可能である。この場合、感光体ドラム10の回転軸10aを保持する回転軸保持手段は、回転軸10aと直接嵌合する側板20、21に形成された嵌合穴となる。
【0062】
適用しうる樹脂材料としては、例えば、摩擦係数が0.6以下のPS(ポリスチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等が挙げられる。
【0063】
これらの樹脂材料を用いて製作した側板20、21に対し、感光体ドラム10の回転軸10aを直接側板20、21に形成した嵌合穴に嵌合させ、感光体ドラム10を回転自在に保持するという構成である。
【0064】
この構成により、一対の軸受部材30が省略できるため、軸受部材30と側板20、21の嵌合穴との寸法公差のバラツキによる誤差の増大の防止、及び軸受部材30のコスト増の防止が期待できる。
【0065】
図4は、本発明に係る間隔Dsの調整手順を説明するためのフローチャートである。
【0066】
図2、図3及び図4を用いて間隔Dsの調整手順について説明する。
【0067】
始めに、側板保持治具50に感光体ドラム10、現像ローラ131、及び一対の側板20、21、の3種の部材を装着する(ステップS1)。このとき、感光体ドラム10及び現像ローラ131は予め軸受部材30、31を介して一対の側板20、21に組み込んでおき、感光体ドラム10及び現像ローラ131を保持した一対の側板20、21を側板保持治具50に装着する。
【0068】
間隔測定具としての発光素子40及び受光素子41を用いて感光体ドラム10と現像ローラ131の間隔Dsを測定する(ステップS2)。
【0069】
測定した間隔Dsの値が予め設定した基準値の範囲に入っているか否かを確認する(ステップS3)。
【0070】
間隔Dsの値が基準値の範囲に入っていない(ステップS3否定)ときはステップS4に進み、間隔Dsを再調整する(ステップS4)。間隔Dsの再調整は、側板保持治具50から感光体ドラム10、現像ローラ131、及び一対の側板20、21、の3種の部材を取り外し、スペーサー35の枚数を増減して行う。間隔Dsを再調整した後、3種の部材を再び側板保持治具50に装着し、ステップS2に戻って間隔Dsを測定し、間隔Dsが基準値の範囲に入るまでステップS2〜S4の作業を繰り返す。
【0071】
間隔Dsの値が基準値の範囲内である(ステップS3肯定)ときはステップS5に進む。ステップ5において、合格した感光体ドラム10、現像ローラ131、及び一対の側板20、21、の3種の部材を1セットとしてハウジングに取り付け、プロセスカートリッジを完成させる(ステップS5)。
【0072】
本発明に係る間隔調整方法を用いれば、間隔Dsの測定結果、間隔Dsの再調整を必要とする場合でも、感光体ドラム10、現像ローラ131、及び一対の側板20、21、の3種の部材のみの取り外しで済むため作業工数が少なくて済むという利点がある。
【0073】
また、感光体ドラム10及び現像ローラ131の外径や真円度にバラツキがあっても、実際に使用する感光体ドラム10、現像ローラ131、及び側板20、21を1セットで用いて間隔Dsを測定しているため、バラツキの影響を無くすことができる。
【0074】
本実施の形態では、側板20、21に対し、感光体ドラム10の軸受部材30を側板20、21の穴20a、21aに固定し、現像ローラ131の軸受部材31を側板20、21の長穴20b、21bに位置調整可能に保持する構成としたが、逆の構成でも良い。
【0075】
即ち、側板20、21に対し、現像ローラ131の軸受部材31を側板20、21の図示しない穴に固定し、感光体ドラム10の軸受部材30を側板20、21の図示しない長穴に位置調整可能に保持するという構成である。
【0076】
この構成では、感光体ドラム10の位置の移動に伴って帯電器11や感光体クリーナ15を一体的に移動しなければならないという問題はあるが、現像ローラ131を固定するため、供給ローラ136や規制ブレード134との位置関係への影響が無いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るプロセスカートリッジの実施形態の一例についての構成を説明するための断面図である。
【図2】本発明に係るプロセスカートリッジの間隔調整機構を有する側板の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る感光体ドラム、現像ローラ、及び側板を側板保持治具に装着した状態を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る間隔Dsの調整手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10 感光体ドラム(像担持体)
13 現像装置
15 感光体クリーナ
20、21 側板
22 ネジ部材受け
23 ネジ部材
30、31 軸受部材
35 スペーサー
40 発光素子(間隔測定具)
41 受光素子(間隔測定具)
50 側板保持治具
131 現像ローラ(現像剤担持体)
Ds 間隔(像担持体と現像剤担持体との間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記像担持体と前記現像剤担持体とを保持する一対の側板と、前記一対の側板を保持するハウジングとの少なくとも4種の部材を有するプロセスカートリッジの組立方法であって、
前記一対の側板は、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔を調整する間隔調整機構をそれぞれ有しており、
前記間隔の測定及び必要であれば行われる調整が、前記像担持体、前記現像剤担持体及び前記一対の側板の少なくとも3種の部材を保持する側板保持治具と、前記間隔を測定する間隔測定具とにより行われ、
前記間隔の測定及び必要であれば行われる調整が完了した、前記像担持体、前記現像剤担持体及び前記一対の側板の少なくとも3種の部材を1セットとして前記ハウジングに組み付けることを特徴とするプロセスカートリッジの組立方法。
【請求項2】
前記一対の側板は、それぞれ、前記像担持体又は前記現像剤担持体のいずれか一方の回転軸を回転自在に保持し、もう一方の回転軸を該回転軸に嵌合する軸受部材を介して位置調整可能に保持することにより、2つの回転軸の軸間距離を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジの組立方法。
【請求項3】
前記間隔の調整にスペーサーを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジの組立方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジの組立方法において使用されることを特徴とするプロセスカートリッジの側板保持治具。
【請求項5】
像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記像担持体と前記現像剤担持体とを保持する一対の側板と、の少なくとも3種の部材を有するプロセスカートリッジであって、
プロセスカートリッジは、前記像担持体と前記現像剤担持体とをそれぞれの回転軸を介して回転自在に保持する前記一対の側板を有し、
前記一対の側板にはそれぞれ前記像担持体の回転軸と前記現像剤担持体の回転軸との2つの回転軸を保持する2つの回転軸保持手段を有しており、
2つの前記回転軸保持手段の内の少なくとも一方の回転軸保持手段は、2つの前記回転軸の間隔を調整しうる構成を有しており、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジの組立方法により組み立てられることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記一対の前記側板が摩擦係数が0より大きく、0.6以下の樹脂材料からなることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−116221(P2009−116221A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291637(P2007−291637)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】