説明

プロリルエンドペプチダーゼの阻害剤

本発明は、式(1)のプロリルエンドペプチダーゼの新規阻害剤に関する:
【化1】


(式中I、A、X、Y及びZは、明細書において特定される)。本化合物は、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病などの疾患治療のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロリルエンドペプチダーゼ(PEP、EC 3.4.21.26)の新規阻害剤、特にPEP阻害剤としての新規ジケトンに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロリルエンドペプチダーゼ(PEP;EC 3.4.21.26;プロリルオリゴペプチダーゼとも呼ばれる)は、オリゴペプチダーゼ活性によって特徴づけられるセリンペプチダーゼである。これは、クランSCのファミリーS9Aのプロリルオリゴペプチダーゼの酵素を示す名称である(1)。クランSCに属する酵素は、構造によって、及び一次配列における触媒の三連構造残基の順序によって、トリプシン-又はサブチリシン型セリンペプチダーゼとは異なっている(2;3)。最近報告されたPEPの三次元構造により、2つのドメイン組織が明らかになった(4)。触媒ドメインは、触媒三連構造(Ser554、His680、Asp641)がいわゆるβ-プロペラドメインによってカバーされているα/β加水分解酵素折り畳みを示す。おそらく、プロペラドメインは、酵素の活性部位に対する潜在的基質のアクセスを制御し、30以上のアミノ酸を有するペプチドを排除する。
【0003】
PEPの酵素的及び構造的特性についての深い知識にもかかわらず、この酵素の生物学的機能は、決して完全に理解されているわけではない(5;6)。哺乳類において高度に保存されている、PEPは、遍在的に分布しており、脳において高濃度で存在する(7)。最近、本酵素は、特異的PEP阻害剤を用いた治療によって誘導される認知の増強が報告されたため、医薬としての関心が増した。スコポラミンで誘導される記憶喪失を示すラットにおいて、PEP阻害は、前頭部皮質及び海馬においてアセチルコリン放出を生じさせた(8)。更にまた、中大脳動脈閉塞であるラットにおけるPEP阻害剤の投与により、Morris水迷路課題における受動的回避潜時を延長して、延長された逃避潜時を減少させた(9)。抗痴呆薬としてのPEP阻害剤の可能性は、神経保護効果の報告によって更に確認された。小脳顆粒細胞に神経変性を誘導すると、ニューロンの生存の増加を引き起こし、PEP阻害剤の存在下における神経突起成長を増強させた(10)。更に、m3-ムスカリン性アセチルコリン受容体mRNAのレベルは、PEP阻害の後に増加することが見いだされた。これにより、ホスホイノシチド代謝回転の刺激が生じた。
【0004】
これらの効果は、PEPによる神経ペプチド生理活性の調整によるものであると仮定された (11)。インビトロにおいて、PEPは、限定加水分解により、サブスタンスP及びアルギニン−バゾプレッシン(AVP)を含むいくつかの神経ペプチドを迅速に不活性化することができる(12;13)。サブスタンスP又はAVPなどの神経ペプチドは、学習及び記憶に影響することが公知である(14;15)。サブスタンスPの投与は、学習及び記憶のための十分に確立されたパラメーターである長期活性化(LTP)を誘導することができる(16)。ニューロキニン1受容体に対するサブスタンスPの結合は、Gタンパク質を媒介したIP3濃度の増大及び小胞体(ER)内の細胞内貯臓からのCa2+の放出を刺激する(17;18)。これらの貯臓からのCa2+放出は、LTPの誘導に関係すること、及び学習及び記憶に関係することが十分に確立されているが、サブスタンスPに関しては試験されていない(19)。シナプス後細胞では、IP3受容体の阻害によってLTPが防げられ、この学習及び記憶モデルにおけるIP3形成及びCa2+放出の重要な役割が証明されている(20)。しかし、PEPは、主にサイトゾルに位置するが、神経ペプチドとこれらの受容体との間の相互作用は、細胞表面上で起こることに留意すべきである(21)。最近、Hasebeらは、サイトゾルのプロリルエンドペプチダーゼが、骨髄性細胞におけるp40-phoxスプライスバリアントタンパク質の分解に関与することを見いだした(22)。
【0005】
EP 0 172 458は、抗健忘薬として有用なN-フェニルアルカノイルピロリジン誘導体を開示する。
EP 0 359 547は、プロリルエンドペプチダーゼ活性を阻害し、かつ記憶喪失の治療に有用なピリジン化合物を開示する。
US 5,340,832は、記憶喪失を治療するためのプロリルエンドペプチダーゼの阻害剤として有用なN-置換されたカルバモイル-アルカノイル-プロリナルの誘導体を開示する。
【0006】
US 5,763,576は、セリン及びシステインプロテアーゼの選択的かつ全体的阻害剤としてテトラペプチドα-ケトアミドを開示する。これらの化合物は、水疱形成などの組織損傷及び種々の炎症性状態の治療に、並びに虚血、脳卒中及びアルツハイマー病神経変性疾患などの治療に有用である。また、本化合物は、血液凝固酵素用の阻害剤であり、血栓症の治療の有用な血液凝固阻止剤である。
【0007】
WO 91/18891は、疾患、例えばアルツハイマー病;記憶喪失;痴呆;不安症;虚血;及び脳卒中によって生じる損傷;と関連する種々の記憶又は学習機能障害などのCNS障害を治療するために有用である、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤としての芳香族ピロリジン及びチアゾリジンアミド(群)を開示する。
【0008】
WO 94/12474は、カルボニル基によって連結された2つの窒素含有複素環を含むプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤としての環状ケトン化合物を開示する。これらの化合物は、TRH、サブスタンスP、ニューロテンシン及びバソプレッシンの分解並びに不活性化を阻害する。これらは、記憶喪失の、及び痴呆を含むアルツハイマー病の治療、並びに予防のために有用である。
WO 95/03277は、記憶喪失、例えばアルツハイマー病、及び自己免疫疾患を治療するために有用なプロテアーゼ(特にPEP)阻害剤としてのN-置換型ピロリジニル-オキソ-アセトアミド化合物を開示する。
【0009】
WO 95/15310は、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤としてのプロリルペプチド誘導体を開示する。これらの化合物は、精神的能力、認知イベントを思い出す能力及び運動活動性の学習を改善するための記憶増強薬として使用することができる。従って、WO 95/15310の化合物を、失語症、失行症、失認又は記憶喪失、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプに罹患している患者に使用してもよい。また、本化合物は、記憶欠損を予防するため、又は遅らせるために使用してもよい。
【0010】
WO 97/07116は、急性イベント(虚血及び低酸素など)、並びにアルツハイマー病、AIDS痴呆及びハンチントン病を含む進行性神経変性障害の治療における使用のためのPEP阻害剤を開示する。
WO 98/35960は、年齢に関連した認知減退の治療に有用な記憶増強効果及び抗健忘効果を有する向知性薬として有用なPEP阻害剤、並びに急性イベント(虚血/低酸素)及びアルツハイマー病、AIDS関連された痴呆及びハンチントン病などの進行性神経変性障害の治療のために有用な神経保護剤を開示する。
【0011】
WO 00/09542は、セリンプロテアーゼの酵素活性を阻害するα-ケト複素環を開示する。本化合物を使用して:微生物増殖を阻害;術中の失血を減少;移植組織又は器官を保存;、癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤を阻害;肺血管性疾患、再狭窄若しくは肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流傷害、アルツハイマー病、低酸素、虚血及び血液凝固障害を治療;することができる。
【0012】
(参照文献)
1. 『タンパク質分解酵素ハンドブック(Handbook of Proteolytic Enzymes)』(1998). Barrett, A. J., Rawlings, N. D.,及びWoessner, J. F.の文献 London, Academic Press.
2.Goossens, F., De, M., I, Vanhoof, G., Hendriks, D., Vriend, G.,及びScharpe, S.の論文 (1995) Eur. J. Biochem. 233, 432-441
3. Barrett, A.J.及びRawlings, N.D. の論文(1992) Biol. Chem. Hoppe Seyler 373, 353-360
4. Fulop, V., Bocskei, Z.,及びPolgar, L. の論文(1998) Cell 94, 161-170
5. Wetzel, W., Wagner, T., Vogel, D., Demuth, H.U.,及びBalschun, D. の論文(1997) Neuropeptides 31, 41-45
6. Demuth, H.U., Neumann, U.,及びBarth, A. の論文(1989) J. Enzyme Inhib. 2, 239-248
7. Goossens, F., De, M., I, Vanhoof, G.,及びScharpe, S. の論文(1996) Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem. 34, 17-22
8. Toide, K., Iwamoto, Y., Fujiwara, T.,及びAbe, H. の論文(1995) J. Pharmacol. Exp. Ther. 274, 1370-1378
9. Shinoda, M., Matsuo, A.,及びToide, K. の論文(1996) Eur. J. Pharmacol. 305, 31-38
10. Katsube, N., Sunaga, K., Aishita, H., Chuang, D.M.,及びIshitani, R. の論文(1999) J. Pharmacol. Exp. Ther. 288, 6-13
11. Shishido, Y., Furushiro, M., Tanabe, S., Shibata, S., Hashimoto, S.,及びYokokura, T.v (1999) Eur. J. Pharmacol. 372, 135-142
12. Mentlein, R. の論文(1988) FEBS Lett. 234, 251-256
13. Wilk, S. の論文(1983) Life Sci. 33, 2149-2157
14. Bennett, G.W., Ballard, T.M., Watson, C.D.,及びFone, K.C. の論文(1997) Exp. Gerontol. 32, 451-469
15. Huston, J.P.及びHasenohrl, R.U. の論文(1995) Behav. Brain Res. 66, 117-127
16. Liu, X.G.及びSandkuhler, J. の論文(1998) Neuroscience 86, 1209-1216
17. Abdel-Latif, A.A. の論文(1989) Life Sci. 45, 757-786
18. Defea, K., Schmidlin, F., Dery, O., Grady, E.F.,及びBunnett, N.W. の論文(2000) Biochem. Soc. Trans. 28, 419-426
19. Voronin, L., Byzov, A., Kleschevnikov, A., Kozhemyakin, M., Kuhnt, U.,及びVolgushev, M. の論文(1995) Behav.Brain Res. 66, 45-52
20. Komatsu, Y. (1996) J.Neurosci. 16, 6342-6352
21. Kimura, A., Yoshida, I., Takagi, N.,及びTakahashi, T. の論文(1999) J.Biol.Chem. 274, 24047-24053
22.Hasebe, T., Hua, J., Someya, A., Morain, P., Checler, F.,及びNagaoka, I. の論文(2001) J. Leu. Biol. 69, 963-968
23. Yamaguchi, M., Kamei, K., Koga, T., Akima, M., Kuroki, T.,及びOhi, N. の論文(1993) J Med Chem 36, 4052-4060。
【0013】
(定義)
「PEP阻害剤」又は「プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤」という用語は、一般に当業者に公知であり、プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)の触媒活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
本明細書に使用するように、「医薬として許容し得る」という用語は、ヒト及び動物の使用を包含し:例えば、「医薬として許容し得る」という用語は、獣医学的に許容し得る化合物、又はヒト医薬及び保健医療において許容し得る化合物を包含する。
【0014】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、「アシル」という表現は、C1-10アシル(例えば、アルカノイル)残基、好ましくはC1-8アシル(例えば、アルカノイル)残基及び特に好ましくはC1-4アシル(例えば、アルカノイル)残基を意味し得る;「シクロアルキル」は、C3-12シクロアルキル残基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを意味し得る;並びに「炭素環」は、C3-12炭素環残基、好ましくはC4、C5又はC6炭素環残基を意味し得る。「炭素環残基」とは、典型的には3〜12個の環炭素原子を含有する環炭素原子を含む非芳香環系(1つ以上の環を含む)を意味する。例には、シクロアルキル基、例えばC3-8シクロアルキルを含む。
【0015】
「アリール」とは、環炭素原子、及び典型的には6〜12個の環原子を含む芳香環系(その少なくとも1つにおいて、1以上の環が芳香族であることを含む)を意味する。アリール部分の例には、フェニルなどの単環式の環、テトラリニル及びナフチルなどの二環式の環、並びにフルオレニルなどの三環系の環を含む。「ヘテロアリール」は、1〜4、例えば1つ、2つ又は3つの環炭素原子がN、S又はOから選択されるヘテロ原子によって置換されているアリール残基として定義する。ヘテロアリール基の例には:ピリジニル(例えば、2-ピリジニル)、ピリダジン及びピリミジニルなどの6員環;フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾイル、テトラゾリル、チアゾリル及びチアジアゾリルなどの5員環;並びにベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、クロマニル、インドリル、イソインドリル及びキナゾリニルなどの二環式の環;含む。「複素環」は、1つ、2つ又は3つの環原子がN、S又はOから選択されるヘテロ原子によって置換されている炭素環の残基として定義される。複素環基の例には、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル及びモルホリニルを含む。
【0016】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、「アルキル」という表現は、C1-10アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基を意味し得る;アリル基の例には、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル、i-プロピル)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル)、ペンチル及びヘキシルを含む。「alk」という表現は、例えば「アルコキシ」という表現及び「アルカン」という表現において、例えば「アルカノイル」いう表現において、「アルキル」として定義され;「アルケニル」いう表現は、任意の所望の位置に少なくとも1つの二重結合を有するC2-10アルケニル基、好ましくはC2-6アルケニル基、例えばエテニル又はプロペニルを意味し得る;「アルキニル」いう表現は、任意の所望の位置に少なくとも1つの三重結合を有するC2-10アルキニル基、好ましくはC2-6アルキニル基、例えばエチニル又はプロピニルを意味し得る。アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、分枝でも、又は分枝していなくてもよい。
【0017】
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、任意に1つ以上のハロゲン及び/又はヒドロキシル基によって置換されていてもよい。このような置換アルキル基の例には、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ヒドロキシメチル基及びそれらのエチル類似体を含む。好ましくは、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、非置換であるか、又は1つ以上のF原子によって置換されており、より好ましくは、非置換である。
【0018】
アリール基、ヘテロアリール基、カルボシクリル基及びヘテロシクリル基は、任意にアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アシル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アミノ、-アミノアルキル、-アミノ(アルキル)2、-アルキル-COOH、-CONH2、CONH(アルキル)、-CON(アルキル)2、ニトロ、ヒドロキシル、オキソ、-CN及び-SCNから選択される1つ以上の基によって任意に置換されていてもよい。
【0019】
置換アリール基の例には、クロロフェニル、ニトロフェニル、メトキシフェニル、ヒドロキシメチルフェニル及びトリフルオロメチルフェニルを含む。
置換ヘテロアリール基の例には、メチルピリジン及びN-イソインドール-1,3-ジオンを含む。
置換ヘテロシクリル基の例には、N-メチルピペラジンを含む。
-アルキルアリール基の例には、ベンジルを含む。-アルキルヘテロアリール基の例には、-メチルピリジルを含む。
【0020】
立体異性体:
特許請求の範囲に記載の化合物のすべての可能な立体異性体が、本発明に含まれる。本発明に従った化合物が、少なくとも1つのキラル中心を有する場合、これらは、それに応じて鏡像異性体として存在してもよい。化合物が2つ以上キラル中心を有する場合、これらは、さらにジアステレオマーとして存在してもよい。すべてのこのような異性体及びその混合物が、本発明の範囲内に包含されることが理解されるべきである。
【0021】
医薬として許容し得る塩:
遊離化合物とこれらの塩の形態の化合物との間の緊密な関係からみて、このようなものが当該状況下で可能であるか、又は適切であることを条件として、この文脈において化合物に言及するときはいつでも、対応する塩も意図する。
医薬として許容し得る塩は、塩基性側鎖が無機酸又は有機酸でプロトン化された形態をとっていてもよい。代表的な有機酸又は無機酸には、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、サリチル酸、サッカリン酸、又はトリフルオロ酢酸を含む。或いは、酸性側鎖は、金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウムイオンその他)、又はアンモニウムなどのその他の陽イオンとの塩を形成する形態をとっていてもよい。本発明の化合物のすべての医薬として許容し得る酸付加塩形態は、本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0022】
多形結晶形:
更にまた、化合物の結晶形のいくつかは多形として存在してもよく、そのようなものとして本発明に含まれることが意図される。加えて、化合物のいくつかは、水との溶媒和物(すなわち、水和物)又は一般的有機溶媒との溶媒和物を形成してもよく、このような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図される。また、それらの塩を含む本化合物は、それらの水和物の形態で得ることができ、又はそれらの結晶化のために使用するその他の溶媒を含むことができる。
【0023】
プロドラッグ:
本発明は、その範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを更に含む。一般に、このようなプロドラッグは、インビボにおいて所望の治療的に活性な化合物に容易に変換される化合物の機能的誘導体である。従って、これらの場合の、本発明の治療の方法において、「投与する」という用語は、特許請求の範囲に記載の化合物の1つ以上のプロドラッグバージョンでの記述された種々の障害の治療を包含するものとするが、これは、投与後に被験体にインビボに上記の特定された化合物に変換する。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来の手順は、例えば「『プロドラッグの設計』(Design of Prodrugs)」, H. Bundgaard編, Elsevier, 1985、及び特許出願DE 198 28 113、DE 198 28 114、WO 99/67228 及びWO 99/67279に記述されており、これらは、引用により本明細書に完全に組み込まれる。
【0024】
本明細書に使用される、「組成物」という用語は、治療的有効量の特許請求の範囲に記載の化合物(群)、並びに特許請求の範囲に記載の化合物の組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の生成物を含む生成物を包含することを意図する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、プロリルエンドペプチダーゼの阻害剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
(発明の要旨)
本発明は、プロリルエンドペプチダーゼ(PEP、EC 3.4.21.26)の阻害剤として作用する化合物を提供する。これらの化合物は、一般式1によって表される。
【化1】

【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(発明の詳細な記載)
本発明は、すべての立体異性体を含む、一般式1を有する化合物及びその医薬として許容し得る塩を提供する:
【化2】

(式中、
Iは、(i)ヒドロキシル、ニトロ、ハロゲン及びシアノ及び(ii)メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択される1つ以上の基によって任意に置換されるいずれの場合においてもフリル又はチエニルであり、式中前記基の1つ以上の水素原子は、任意にハロゲン(例えば、フッ素)によって置換されている)。
【0028】
Aは、式(I)〜(VI)の群から選択され:
【化3】

(式中:
n1は、整数1〜5であり;
n2は、整数1〜3であり;
R1-R9は、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであり;
Jは、NR10、S又はOであり、式中R10は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであるか;
又はJは、CR11R12であり、式中R11及びR12は、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール若しくはアルキルヘテロアリールであるか、又はR11及びR12は、結合して7員までをもつ炭素環の環(例えば、5員環又は6員環)を形成することができ;
Kは、N又はCR13であり、式中R13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであり;
L、M、Q及び/又はUがNを表すときに、これが任意に残基R2-R5によって四級化されて塩を形成してもよいことを条件として、L、M、Q、Uは、独立してN又はCであるか、又は他に対応するR2、R3、R4及び/又はR5部分は、存在せず;
Tは、炭素環、複素環、アリール又はヘテロアリールを表し;
Wは、炭素環、複素環、アリール又はヘテロアリールを表し;
Xは、NR14又はOであり、式中R14は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであり;
Yは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、複素環、ヘテロアリールであるか、又は存在しなくてもよく(すなわち、結合);
Zは、アルキル、炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールである)。
【0029】
Iが置換されたフリル又はチエニルを表すときは、置換基の例には、メチル、フルオロメチル又はクロロを含む。Iが置換されているときは、好ましくは、これは、多くても1つの基によって置換される。好ましくは、Iは、非置換のフリル又はチエニルを表す。Iは、例えば2-フリル、3-フリル、2-チエニル又は3-チエニルを表してもよい。最も好ましくは、Iは、チエニル、特に2-チエニルを表す。もう一つの好ましい実施態様において、Iは、2-フリルを表す。
【0030】
Yが表してもよい炭素環の例には、C3-C5シクロアルキルを含む。
好ましくは、n1は、3である。
好ましくは、n2は、2である。
好ましくは、R1及びR6-R14は、独立してH又はMe、特にHである。
Xは、好ましくはO又はNH、特にOである。
Yは、好ましくは存在しないか、又はCH2、(CH22又は(CH23、特にCH2、(CH22又は(CH23を表す。本発明の一つの実施態様において、Yは、(CH22を表す。本発明の第2の実施態様において、Yは、(CH23を表す。本発明の第3の実施態様において、Yは、CH2を表す。
【0031】
また、Yは、適切に炭素環部分を表してもよく:
【化4】

Zがアルキルを表すときは、適切に、これはC2-6アルキル、例えばn-ブチルを表す。
適切に、Zは、炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールを表す。
【0032】
Zは、好ましくは、任意に1つ以上のハロゲン原子(例えば、塩素又は代わりに、臭素若しくはフッ素)、若しくは1つ以上のアルキル基(例えば、メチル)、若しくはニトロによって置換されたアリール又はヘテロアリール、より好ましくはフェニル又はチエニルである。Zは、最も適切には、フェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、チエン-2-イル及びチエン-3-イルである。その他のZ基の例には、4-ニトロ-フェニル、2-インダニル、2-ナフチル、9-フルオレニル、3-メトキシフェニル及び2-ベンゾチエニルを含む。その他のZ基の例には、3-トリフルオロメチルフェニル、3-ニトロ-フェニル、2-ブロモフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、3-ヒドロキシフェニル及び2,3-ジクロロフェニルを含む。もう1つのZ基の例は、n-ブチルである。
【0033】
Kは、例えばN又はCHを表してもよい。
Jは、例えばNH又はCH2を表してもよい。
環Tは、例えばシクロペンチル若しくはシクロヘキシルなどの炭素環、又はピロリジン若しくはピペリジンなどの複素環を表してもよい。環Tは、これが付着されるベンゼン環と共に、例えばナフタレンなどの12員の二環式のアリール環又はインドリン、イソインドリン、インドール、3H-インドール、クロマン、イソインドール、キノリン若しくはイソキノリンなどの11若しくは12員の二環式のヘテロアリール環を表してもよい。好ましくは、Tは、6員環である。
【0034】
環Wは、例えばシクロペンチル若しくはシクロヘキシルなどの炭素環、又はピロリジン又はピペリジン若しくは複素環を表してもよい。環Tは、これが付着されるベンゼン環と共に、例えばナフタレンなどの12員の二環式のアリール環又はインドリン、イソインドリン、インドール、3H-インドール、クロマン、イソインドール、キノリン若しくはイソキノリンなどの11若しくは12員の二環式のヘテロアリール環を表してもよい。一つの好ましい実施態様において、Wは、5員環である。本発明のもう一つの実施態様において、Wは、6員環である。
【0035】
好ましくは、L-R2は、CH、CMe又はN、特にCHを表す。
好ましくは、M-R3は、CH、CMe又はN、特にCHを表す。
好ましくは、Q-R4は、CH、CMe又はN、特にCHを表す。
好ましくは、U-R5は、CH、CMe又はN、特にCHを表す。
適切に、Aは、式(II)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)の基、例えば式(II)、(III)又は(IV)を表す。
【0036】
好ましくは、Aは、式(II)(例えば、n2が2である場合)、又は式(IV)、特に式(IV)の基を表し、特にAは、フェニル(すなわち、R2、R3、R4及びR5は、Hであり、かつL、M、Q及びUは、Cである)を表す。Aが式(II)の基を表すときは、好ましくは付着される2つの基は、トランス配向を有する。
【0037】
式(1)の化合物を調製するための方法は、(IA)の化合物
【化5】

又はその活性化された誘導体を、
式(IB)の化合物:
【化6】

と反応させることを含む。
【0038】
式(IA)の化合物を、不活性極性溶媒中、濃硫酸の存在下において、加熱しながら酸として式(IB)の化合物と反応させてエステル(すなわち、Xは、Oを表す)として得てもよい。アミド(すなわち、Xは、NR14を表す)に関しては、式(IA)の化合物を適切に活性化させて混合無水物を得て、これに式(IB)の化合物を添加してもよい。
Aが式(II)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)の基を表すときは、式(IA)の特定の化合物は、式(IC)の化合物
【化7】

(式中、環Aは、式(II)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)の基を表す)
を式(ID)の化合物:
【化8】

と反応させることによって製造してもよい。
【0039】
この反応をフリーデル-クラフツアシル化条件下で、すなわちAlCl3の存在下において実施して、式(IA)の2-置換化合物を生成させてもよい。この反応の詳細は、当業者に周知であるか、又は例えばMarch J の文献「『上級有機化学』(Advanced Organic Chemistry)」第3版(1985) published J Wiley and Sons、 又は (23)を参照することによって収集してもよい。
【0040】
式(IA)の3置換化合物を生成するためには、3-ヨードチオフェン又は3-ブロモフラン(又はいずれかの置換誘導体)をそれぞれ-78℃にてt-BuLiで処置して有機金属中間体を得る。この中間体を式(IE):
【化9】

で示されるシアノ化合物と反応させてもよい。
該手順に関する詳細な説明は、US 3,408,358に開示されており、これは、その全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0041】
Aが式(I)の基を表すときは、式(IA)の化合物は、上で述べたようにフリーデル-クラフツアシル化条件下で式(IF)の化合物を反応させることによって調製してもよい。精製後、式(IA)の化合物を、上記の式(IA)について記述したものと同じ手順によって修飾して式(1)の化合物を得てもよい:
【化10】

式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)及び(IF)の化合物は、公知か、又はそれ自体公知の従来法のいずれかによって調製してもよい。
【0042】
本発明の化合物の製造方法のいずれの間においても、関係する分子のいずれにもある感受性又は反応性の基を保護することが必要、及び/又は望ましいかもしれない。これは、「『有機化学における保護基』(Protective Groups in Organic Chemistry)」,J.F.W. McOmie編, Plenum Press, 1973; 及び T.W. Greene & P.G.M. Wutsの文献, 「『有機合成における保護基』(Protective Groups in Organic Synthesis)」, John Wiley & Sons, 1991に記述したものなどの従来の保護基によって達成してもよい。保護基は、当技術分野において公知の従来法を使用してその後の都合のよい段階で除去してもよい。
【0043】
式(I)の化合物及びその塩は、必要に応じて、従来手段によってこれらのその他の塩、例えば医薬として許容し得る塩に変換することができる。
本発明の第1の態様において、医薬として使用するための、式(1)の化合物を提供する。
本発明の化合物は、ヒトグリア細胞におけるインターロイキン6(IL-6)の基礎レベルを調整するために有効であろう。ある化合物は、IL-6分泌の有意な抑制を示す。
【0044】
多面的なサイトカインのIL-6は、多数の神経病理学的及び病態生理学的過程、特に炎症、癌、感染及び自己免疫疾患に寄与する。IL-6の過剰発現は、多発性骨髄腫、固形腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、神経癌、キャッスルマン病、炎症、心筋梗塞、パジェット病、虚血、喘息、リウマチ様関節炎、乾癬、アルツハイマー病、多発性硬化症、髄膜炎、脳卒中、骨粗鬆症、インスリン耐性、肥満症、耐糖能異常、2型糖尿病、癌関連食欲不振及び悪液質の病態、並びに多剤耐性に関係していた。従って、本明細書に記述した化合物による病理学的IL-6濃度の減少は、IL-6関連疾患、例えば前述のものの治療に有用であろう。
【0045】
IL-6を抑制する効果に関しては、
(式中
Iがフリル又はチエニルであり;
Aがフェニル(すなわち、R2、R3、R4及びR5はHであり、かつL、M、Q及びUがCである)であり;
XがO又はNHであり;
Yがアルキル又はC3-C5シクロアルキルであり;
Zが、9-フルオレン、フェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-チエニル、3-チエニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,3-ジクロロフェニル、3-メトキシフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2-ブロモフェニル又は3-ヒドロキシフェニルである、式(1)の化合物が好ましい。
【0046】
より好ましくは、Iは、2-フリル又は2-チエニル、特に2-チエニルである。
より好ましくは、Yは、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2又は
【化11】

特にCH2CH2である。
【0047】
より好ましくは、Zは、フェニル、4-メチルフェニル、3-チエニル、2,3-ジクロロフェニル、4-フルオロフェニル又は3-ヒドロキシフェニル、特にフェニルである。
より好ましくは、Xは、Oである。
更にまた、本発明の化合物は、種々のヒト株化細胞、例えばニューロン細胞におけるβ-アミロイドペプチドの、特にAβ1-40及びAβ1-42の基礎レベルを調整するために有効であろう。本発明の特定の化合物は、β-アミロイドペプチドの分泌の有意な増大を示す。
【0048】
β-アミロイドペプチドは、MCI(軽度認知障害)、アルツハイマー病(AD)に直面している患者、及びMCIからADへと進行する患者における神経変性及びニューロン細胞死の原因になると考えられる。最近では、MCI及びADの発症に関与するβ-アミロイド種が細胞内に形成されることが示された。更に、全長ペプチドAβ1-40及びAβ1-42ではなく、β-アミロイドペプチドのN末端にて切断され形態及びN末端にて修飾された形態、例えばAβ3-40、Aβ3-42、pGlu-Aβ3-40、pGlu-Aβ3-42、Aβ11-42及びpGlu-Aβ11-42が、有毒な形態として論議されている(Piccini らの論文, J. Biol. Chem. 280 (40), 2005, 34186-34192頁)。
従って、本発明の化合物は、N末端の切断及び修飾の前に、全長Aβ1-40及びAβ1-42の分泌の増強によって神経毒性β-アミロイドペプチド、例えばAβ3-40、Aβ3-42、pGlu-Aβ3-40、pGlu-Aβ3-42、Aβ11-42及びpGlu-Aβ11-42の形成を防げるために有用であろう。
【0049】
β-アミロイドペプチド分泌の増加の効果に関しては、式中
Iがフリル又はチエニルであり;
Aがフェニル(すなわち、R2、R3、R4及びR5がHであり、かつL、M、Q及びUがCである)であり;
XがO又はNHであり;
Yがアルキルか、又は存在せず;
Zが9-フルオレン、2-インダニル、フェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-チエニル、3-チエニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル又は2-ベンゾチエニルである、式(1)の化合物が好ましい。
【0050】
より好ましくは、Iは、2-フリル又は2-チエニル、特に2-チエニルである。
より好ましくは、Yは、CH2、CH2CH2又はCH2CH2、特にCH2又はCH2CH2である。
より好ましくは、Zは、9-フルオレン、2-インダニル、フェニル、3-メチルフェニル、2-チエニル、3-チエニル、2-クロロフェニル又は2-ニトロフェニル、特にフェニルである。
より好ましくは、Xは、Oである。
【0051】
更にまた、本発明は、神経炎症、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、障害摂食、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝の恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害された制御、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か、又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患の治療用医薬品の製造のための、式1のPEP阻害剤の使用を提供する。
【0052】
また、本発明は、神経炎症、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、障害摂食、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝の恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害された制御、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か、又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患の治療に使用するための式1のPEPの阻害剤を提供する。
【0053】
また、本発明は、神経炎症、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、障害摂食、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝の恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害された制御、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か、又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患のための治療方法であって、哺乳類、好ましくはヒトに式1の少なくとも1つの化合物の治療的に活性な量の投与を含む方法を提供する。
【0054】
最も好ましくは、本発明は、軽度認知障害(MCI)アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群より選択される疾患のための治療方法及びそれに対応する使用であって、哺乳類、好ましくはヒトへの、式1の少なくとも1つの化合物の治療的に活性な量の投与を含む治療方法及び対応する使用を提供する。
さらなる実施態様において、式1の化合物は、微生物増殖を阻害、術中の失血を減少、移植組織又は器官を保存;癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤を阻害;するために有用である。
【0055】
(組み合わせ)
さらなる実施態様において、本発明は、グルタミニルシクラーゼ(QC)の阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様酵素の阻害剤、NPY-受容体リガンド、NPYアゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、タンパク質イソアスパラギン酸カルボキシメチルトランスフェラーゼ(PIMT)エンハンサー、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤、TNFα阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1受容体阻害剤及びヒスタミンH3アンタゴニストの阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と任意に組み合わせで式1の少なくとも1つの化合物を含む、組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。
【0056】
これらの組み合わせは、行動状態に特に有益な効果をもたらし、従って、このような組み合わせは、神経炎症、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、障害摂食、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝の恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害された制御、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か、又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患の治療のために有効、かつ有用であることが示される。
本発明の組み合わせは、微生物増殖を阻害、術中の失血を低減、移植組織又は器官を保存;癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤を阻害;するために、更に有用である。
【0057】
(医薬組成物)
本発明は、1つ以上の治療的に許容さし得る希釈剤又は担体と共に、式1の少なくとも1つの化合物を、上記の組み合わせについて言及したような少なくとも1つの薬剤と任意に組み合わせて含む医薬組成物を提供する。活性成分(群)を従来の薬学的配合技術に従って薬学的希釈剤又は担体と均質に混合する。該希釈剤又は担体は、投与、例えば経口又は筋肉内などの非経口のために望まれる製剤の形態に応じて、多種多様な形態をとってもよい。経口剤形の組成物を製造するには、通常の医薬媒体のいずれを使用してもよい。従って、例えば懸濁液、エリキシル及び溶液などの液体経口製剤のためには、適切な担体及び添加物には、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、着色剤などを含み;粉末、カプセル、ジェルキャップ及び錠剤などの固体経口製剤については、適切な担体及び添加物には、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。投与の際のそれらの容易性のために、錠剤及びカプセルは、最も有利な経口投薬単位形を表し、この場合、間違いなく固体薬学的担体が使用される。必要に応じて、錠剤は、標準的な技術によって糖コーティング又は腸溶コーティングしてもよい。非経口投与に関して、担体は、通常滅菌水を含むが、例えば溶解度を補助することなどの目的で、又は保存のために、その他の成分含んでいてもよい。
【0058】
標的化可能な薬物担体としての可溶性重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミド-フェノール又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができる。更にまた、本発明の化合物は、薬物の徐放を達成するのに有用な生分解性重合体のクラス、例えポリ酢酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリル酸、及びヒドロゲル架橋化ブロック共重合体又は両親媒性ブロック共重合体に結合されていてもよい。
【0059】
適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料;アカシア、トラガカンタ又はオレイン酸ナトリウムなどの天然及び合成ゴム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されるわけではない。
崩壊薬は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0060】
また、注射用懸濁液を調製してもよく、この場合に、適切な液体担体、懸濁剤などを使用してもよい。本明細書に記載の医薬組成物には、この中に、用量単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、茶さじ一杯などあたり、上記の通りに有効な用量を送達するために必要な活性成分(群)の量を含むであろう。本明細書に記載の医薬組成物は、この中に、用量単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、坐薬、茶さじ一杯などあたり、約0.03mg〜100mg/kg(0.1〜30mg/kgが好ましい)を含むと考えられ、1日あたり約0.1〜300mg/kg(1日あたり1〜50mg/kgが好ましい)のそれぞれの活性成分又はその組み合わせの投薬量で与えてもよい。しかし、投薬量は、患者の要求、治療される状態の重症度及び使用される化合物に応じて変更してもよい。毎日の投与又は周期後の投薬のいずれの用途を使用してもよい。
【0061】
好ましくは、これらの組成物は、経口非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸の投与用の、又は吸入法若しくはガス注入による投与用の、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、無菌の非経口的溶液又は懸濁液、定容量エアロゾル又は液体スプレー、液滴、アンプル、自動注入装置又は坐薬などからの単位剤形である。或いは、組成物を、毎週一回又は毎月一回の投与用に適した形態で提示してもよく;例えば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポー製剤を提供するために適応させてもよい。錠剤などの固体の組成物を調製するためには、主要活性成分を、薬学的担体、例えばコーンスターチ、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はゴム質などの従来の錠剤化成分及びその他の薬学的希釈剤、例えば水と混合し、本発明の化合物又はその医薬として許容し得る塩の均質混合物を含む固体の前製剤組成物を形成させる。これらの前製剤組成物を均一というときは、組成物が錠剤、丸剤及びカプセルなどの有効な剤形に等しく容易に細分されるように、活性成分が組成物の全体にわたって均一に分散されることを意味する。次いで、この固体前製剤組成物を、0.1〜約500mgの本発明のそれぞれの活性成分又はその組み合わせを含む上記のタイプの単位剤形に細分化する。
【0062】
本発明の組成物の錠剤又は丸剤を、コーティング、又はさもなければ配合して、持続作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投薬成分及び外側投薬成分を含むことができ、後者は、前者をおおうエンベロープの形態である。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗する役割を果たして、内側成分を無傷のまま十二指腸へと通過させるか、又は放出を遅延させることができる腸溶層によって分けることができる。このような腸溶層又はコーティング用の種々の材料を使用することができ、このような材料は、セラック、セチルアルコール及び酢酸繊維素などの材料と共に多数の重合体酸を含む。
【0063】
本発明の組成物を経口的に、又は注射によって投与するために組み込んでもよいこの液体形態には、水溶液、適切な風味をつけたシロップ、水性又は油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、やし油又は落花生油などの食用油を含む風味をつけたエマルジョン、並びにエリキシル及び同様の薬学的媒体を含む。水性懸濁液用の適切な分散剤又は懸濁剤には、トラガカンタ、アカシア、アルギナート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンなどの合成及び天然のゴムを含む。
【0064】
本発明の化合物の製造方法により、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体を、分取クロマトグラフィーなどの従来技術によって分離してもよい。化合物は、ラセミの形態で製造してもよく、又は個々の鏡像異性体を、エナンチオ特異的な合成、若しくは分割によって製造してもよい。化合物は、例えば(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸などの光学活性な酸との塩形成と、それに続く遊離塩基の分別結晶及び再生によるジアステレオ異性対の形成などの標準的な技術によって、これらの成分鏡像異性体に分割してもよい。また、化合物は、ジアステレオ異性エステル又はアミドの形成と、それに続くクロマトグラフ分離及びキラル助剤の除去によって分割してもよい。或いは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割してもよい。
【0065】
都合に合わせて、本発明の化合物を、単一の1日用量で投与してもよく、又は1日の合計投薬量を毎日2回、3回若しくは4回の分割用量で投与してもよい。更にまた、本発明のための化合物は、適切な鼻腔内媒体の局所的使用を介して鼻腔内形態で投与可能であり、又はその技術分野の当業者に公知の経皮皮膚パッチウェルを介して投与することができる。経皮送達系の形態で投与するためには、投薬量の投与は、もちろん投与計画の全体にわたって断続的ではなく、むしろ連続的であろう。
【0066】
例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与のためには、活性薬剤成分をエタノール、グリセロール、水などの経口的な、無毒の医薬として許容し得る不活性担体と組み合わせることができる。そのうえ、望ましいか、又は必要なときには、適切な結合剤;潤滑剤、崩壊剤及び着色剤を混合物に組み込むこともできる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料;アカシア、トラガカンタ又はオレイン酸ナトリウムなどの天然及び合成ゴ;、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されるわけではない。崩壊薬には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0067】
液体は、合成及び天然のゴム、例えばトラガカンタ、アカシア、メチルセルロースなどの適切な風味をつけた懸濁剤又は分散剤中に形成する。非経口投与のためには、無菌の懸濁液及び溶液が望ましい。静脈内投与が望まれるときは、一般に適切な防腐剤を含む等張性の製剤が使用される。
また、本発明の化合物又は組み合わせは、小さな単層の小胞、大きな単ラメラ小胞及び多層状の小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等の種々のリン脂質から形成することができる。
【0068】
また、本発明の化合物又は組み合わせも、化合物分子が結合されている個々の担体として、モノクローナル抗体を用いて送達してもよい。また、本発明の化合物は、標的化可能な薬物担体として可溶性重合体と結合してもよい。このような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができる。更にまた、本発明の化合物は、薬物の徐放を達成するのに有用な生分解性重合体のクラス、例えばポリ酢酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリル酸及びヒドロゲル架橋ブロック共重合体又は両親媒性ブロック共重合体に結合されていてもよい。
【0069】
本発明の化合物又は組み合わせは、対処される障害の治療が必要とされるときはいつでも、任意の前述の組成物中で、かつ当技術分野において確立されている投与計画に従って投与してもよい。
生成物の1日の投薬量は、1日あたり1哺乳類あたり0.01〜1.000mgの広範囲にわたり変更してよい。経口投与に関して、組成物を、好ましくは、治療すべき患者への投薬量の症候による調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500ミリグラムの各活性成分又はこれらの組み合わせを含む錠剤の形態で提供する。薬物の有効量は、通常1日あたり約0.1mg/kg〜約300mg/体重1kgの投薬量レベルで供給される。好ましくは、範囲は、1日あたり約1〜約50mg/体重1kgである。化合物又は組み合わせは、1日あたり1〜4回の処方計画で投与してもよい。
【0070】
投与すべき適切な投薬量は、当業者によって容易に決定されるであろうし、使用する特定の化合物、投与様式、調製の強度、投与様式及び疾患状態により変化するであろう。加えて、治療される特定の患者に関連した、患者の年齢、重量、食餌及び投与の時間を含む要因により、投薬量を調整する必要があるであろう。
適切には、本発明に従った組み合わせの場合、本発明の治療によって提供される特に有益な効果は、単独、かつ本発明の組み合わせと等しい有効性をもたらす用量にて使用したときの組み合わせのうちの1つの化合物についての治癒比と比較して、本発明の組み合わせについて改善された治癒比である。
【0071】
好ましい態様において、本発明の治療によって提供される特に有益な効果は、個々の活性薬剤の効果から予想される対照と比較して相乗効果があることが示される。
本発明のさらなる態様において、組み合わせについて本明細書において定義したような薬剤の少なくとも1つと、式1の少なくとも1つの化合物の用量とを組み合わせることは、該組み合わせで使用した該薬剤の用量の2倍のいずれかの薬剤が単独で達成することができるよりも優れた有益効果を生じるであろう。
【0072】
好ましい態様において、本発明の治療に従って使用したときのそれぞれの活性薬剤の投薬量レベルは、ニューロン状態における純粋な相加的効果から必要とされたであろうよりも少ないであろう。
理論によって限定されないが、本発明の治療はまた、個々薬剤と関連して、pGlu-アミロイド-β-ペプチドの細胞内沈着の減少の改善をもたらすことにより、哺乳類の脳、好ましくはヒト脳におけるプラーク形成を劇的に遅らせるであろう。
【0073】
さらなる態様において、本発明は、医薬組成物を製造するための方法も提供し、該方法は、本明細書において組み合わせについて定義したような少なくとも1つの薬剤、並びに、少なくとも1つの式1の化合物をそのための医薬として許容し得る担体とを含み、式1の化合物及び前記随意的薬剤(群)並びに医薬として許容し得る希釈剤又は担体とを混合することを含む。
組成物は、好ましくは、関連する1日の投薬量に適した量の単位剤形である。
【0074】
式1の化合物、QC-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様酵素の阻害剤、NPY-受容体リガンド、NPYアゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤、TNFα阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1受容体阻害剤及びヒスタミンH3アンタゴニストの、特に単位投薬量を含む適切な投薬量は、英国薬局方及び米国薬局方などの参照テキスト又は「『レミントンの薬学』(Remington's Pharmaceutical Sciences)」 (Mack Publishing 社), Martindale The Extra Pharmacopoeia (London, The Pharmaceutical Press)(例えば、第31版 341頁及びその中に引用されるページを参照されたい)又は上記刊行物に記述され、又は言及されるような化合物の単位投与量を含む公知の投薬量を含む。
【0075】
好ましい式Iの化合物は、IC50値又はKi値、並びに好ましくは1×10-6よりも少ない、特に1×10-7より少ない、及び特に1×10-8Mより少ないIC50値及びKi値を有するものである。
好ましい式Iの化合物は、2000Da未満、特に1000Da未満、特に600Da未満、例えば500Da未満の分子量を有する。
本発明の化合物及び組み合わせは、これらが、例えばより強力で、より選択的で、より少ない副作用を有し、より優れた製剤及び安定性特性を有し、より優れた薬物動態学的特性を有し、より生物が利用可能であり、より血液脳関門を超えることができ、及び哺乳類の脳においてより有効であり、その他の薬物と組み合わせてより適合性若しくは有効であり、又は従来技術のその他の化合物よりも容易に合成される利点を有する。
【0076】
明細書及び続く特許請求の範囲の全体を通じて、状況により、他に必要でない限り、「含む」、並びに「含む」及び「含むこと」などのバリエーションは、指定した整数、工程、整数群又は工程群に含まれるものを暗示し、任意のその他の整数、工程、整数群又は工程群を除外しないことが理解されるであろう。
上で言及したすべての特許及び特許出願は、引用によってこれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、好ましい、及びより好ましい基、並びに上で詳述したる基の実施態様のすべての組み合わせを包含する。
【実施例】
【0077】
(PEP-阻害剤の生物学的評価、IC50値及びKi-値の決定)
組換えヒトプロリルオリゴペプチダーゼを測定のために使用した。組換え発現は、他に技術水準において記述したような標準状態下において大腸菌(E. coli)で実施した。
活性測定のためには、色素生産基質Z-Gly-Pro-pNAを50mM HEPES、200mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、0.006%のBrij35を含むHEPES緩衝液pH 7.6中で使用した。測定は、30℃にて行った。pNAの放出は、405nmにて連続的にモニターした。
【0078】
IC50値は、1つの基質濃度(0.15mM)及び0.1mMで開始する阻害剤の11〜15段階希釈を使用して決定した。IC50値は、4パラメーター方程式(プリズム4.0、GraphPad)に対する非線形回帰を使用して算出した。
Ki決定のために、4つの基質濃度(0.15mM、0.08mM 0.04mM、0.02mM)及び適切な範囲の7つの阻害剤濃度を使用した。算出は、GraFit 5.0ソフトウエア(Erithacus Software)を使用して競合阻害についての方程式に対する複数の非線形回帰分析によって行った。
【0079】
(IL-6 ELISA)
IL-6の基礎分泌を解析するために、ヒトグリアU-343細胞を6ウェルプレート(1.5×106細胞/ウェル、Greiner社)において培養し、示したとおりの特異的PEP阻害剤(それぞれ20μM)で無血清D-MEM培地(invitrogen社)中において24時間処理した。40μlの条件培地の一定分量を使用して、製造業者の説明書に従ったヒト特異的IL-6 ELISA(Biosource社)により、分泌されたIL-6の量を定量化した。すべてのデータは、4回得た。PEP-阻害剤処理後の細胞培養培地中のIL-6濃度の算出のためには、未処理の細胞試料の細胞培養培地の基礎IL-6濃度を100%にセットした。PEP-阻害剤処理した細胞でのIL-6濃度の測定の結果は、未処理の細胞試料の%として示してある。
【0080】
(β-アミロイドELISA)
(細胞培養)
ヒト神経膠腫株化細胞U-343及びヒト神経芽細胞腫株化細胞SH-SY5Yを10%のウシ胎児血清(Gibco BRL社、Karlsruhe、Germany)を含むDulbecco修飾Eagle培地(DMEM)中に維持して、5%のCO2雰囲気において37℃にてインキュベートした。培地には、一般に60μg/mlゲンタマイシン(Gibco BRL社, Karlsruhe, Germany)を含んだ。
【0081】
(代謝標識化)
代謝標識化アプローチのためには、5×105細胞を35mmの培養皿に播種して、次いで適切な培地中で40時間培養した。洗浄後、細胞をL-メチオニン、L‐システイン及びL-シスチン(ICN Biochemicals社)を含まないDMEM中で[35S]メチオニン(1μCi/ml, ICN Biomedicals社, Eschwege, Germany)と共に2時間インキュベートし、続いて37℃にて無血清培地中でPEP阻害剤Fmoc-Ala-Pyrr-CN(5μM)の有無において24時間追跡した。追跡培地中の放射標識されたタンパク質を8%(w/v)のTCA溶液で沈殿させて、15500×gにて10分間遠心分離した。洗浄後、タンパク質ペレットを1mlの蒸留水に再懸濁し、放射能をTri-carb2100TR-シンチレーションカウンター(Packard社, Dreieich, Germany)で測定した。すべての測定を少なくとも4回行って、実験を4回繰り返した。
【0082】
(βアミロイドELISA)
β-アミロイドペプチドの細胞内及び細胞外濃度を定量化するために、1-40及び1-42、U-343及びSH-SY5Y細胞を6ウェルプレート(1.5×106細胞/ウェル)において培養し、特異的PEP阻害剤(それぞれ20μM)で24時間処理した。分泌されたβ-アミロイドペプチドの定量化のために、条件培地を凍結乾燥によって収集して濃縮した。同様に、細胞数/ウェル(casy cell counter I, Schrfe System, Reutlingen, Germany)の決定後、細胞を製造業者のプロトコルに従って細胞抽出緩衝液(Biosource社, Solingen, Germany)で溶解した。タンパク質濃度を、Bradford(1976)の方法によって決定した。100μlの一定分量を使用して製造業者の説明書に従ってELISA(IBL社, Hamburg, Germany)で、β-アミロイドペプチド1-40及び1-42を4回定量化した。全ての得られた細胞内及び細胞外濃度を、それぞれ細胞数及びタンパク質濃度に対して規準化した。
【0083】
PEP-阻害剤処理後の細胞培養培地中のβ-アミロイドペプチド1-40及び1-42の濃度の算出のために、未処理の細胞試料の細胞培養培地中のβ-アミロイドペプチド1-40及び1-42の基礎濃度100%にセットした。PEP-阻害剤処理した細胞でのβ-アミロイドペプチド1-40及び1-42の濃度測定の結果は、未処理の細胞試料の%として示してある。
本発明の好ましいPEP阻害剤は、IL-6レベルの有意な減少、並びにβ-アミロイド分泌、特にβ-アミロイドペプチド1-40及び1-42の増大を示す。
【0084】
【表1】








a実験の節に記述した、b基底レベルとしての未処理の対照試料で算出した、n.i=阻害なし、n.m=測定していない。
【0085】
(一般的合成法)
中間体:中間体I〜IVは、文献(23)からの手順(スキーム1)に従って、フリーデル-クラフツアシル化を介して:2-(フラン-2-イル-カルボニル)-安息香酸I、2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-安息香酸II、又はこの類似体から、:trans-2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-1-シクロヘキサンカルボン酸III、cis-2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-1-シクロヘキサンカルボン酸IVを調製した。
【0086】
【化12】

スキーム1、Ar:I = 2-フリル、II〜IV = 2-チオフェニル;III = trans、IV =cis;X = O、NH;R =アルキルアリール。
【0087】
エステル:これらの実施例(1〜28、33〜44及び46)は、類似の合成様式で調製した。典型的なバッチは、以下の通りに記述される:1.3 mmolの出発材料I〜IV及び1.3mmolの対応するアルコールを乾燥トルエン(8ml)に溶解し、10μlの濃硫酸を添加して、混合物を振盪することによって混合物を2時間130℃まで加熱した。室温に冷却後、硫酸を除去するために別々の混合物を飽和NaHCO3-溶液で洗浄した。有機溶媒を分離して、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させた。粗製化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0088】
アミド:これらの実施例(29〜32及び45)は、N-メチルモルホリン(NMM)及びイソブチルクロロホルメート(CAIBE)を使用して、出発材料I又はIIと対応するアミンとの典型的なカップリング反応によって調製した。典型的なワークアップの後、粗製化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
式1の基(II)又はコアAのフェニル以外の部分をもつ化合物は、スキーム2に従って合成することができる。
【0089】
【化13】

スキーム2:式1のコアAの異なる部分をもつ化合物の合成、Ar = 2-フリル又は2-チオフェニル;X = O又はNH;R =アルキルアリール。
【0090】
(分析法)
NMRスペクトルを、Bruker AM 400分光計で実施した。以下の略語を使用してある:s(一重項)、d(二重項)、dd(二重項の二重項)、t(三重項)及びm(多重項)。ESI-MS:質量スペクトルは、イオンスプレー(商標)インターフェイスを備えたMDS Sciex API 365質量分析計(MDS Sciex; Thorn Hill, ON, Canada)で得た。機器設定、データ収集及び処理は、Windows NT(商標)用のApplied Biosystems(Foster City, CA, USA)Analyst(商標)ソフトウエアによって制御した。ピークを蓄積するために、50〜100回のスキャンを陽イオン化Q1走査方式で行った。試料溶液を約10μg/mlの濃度に到達するように50%のメタノールの0.5%のギ酸溶液で希釈した。それぞれの試料溶液を注入ポンプ(Havard Apperatus 22; Havard Instruments; Holliston, MA, USA)及び溶融シリカ毛管を介して、20μl/分の速度で微量注射器(1ml)によって直接導入した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Macherey Nagel Polygram(登録商標)SIL G/UV245を使用して行った。可視化を254nmの紫外光、続く過マンガン酸カリウム又はニンヒドリンでの浸染によって達成した。溶媒は、使用の前に蒸留した。すべての市販の試薬は、更に精製することなく使用した。解析用HPLCは、Merck-Hitachi装置を使用して行い:アセトニトリル-水(流速:1ml分-1)、カラム:LiChrosphere 5μm RP18e、125×4.0mm(Merck社)、ポンプ:L-7100 Merck- Hitachiを使用した。実施例において精製した化合物の検出のために、勾配A及びBを使用した。勾配Aの特徴づけ:t =0分にてアセトニトリル-水(20/80)から開始して30分以内にアセトニトリル-水(95/5)に;勾配Bの特徴づけ: t =0分にてアセトニトリル-水(5/95)から開始して20分以内にアセトニトリル-水(60/40)に、更に10分後にアセトニトリル-水(95/5)に;勾配Cの特徴づけ: t =0分にてアセトニトリル-水(40/60)から開始して20分以内にアセトニトリル-水(95/5)に、更に10分間アセトニトリル-水(95/5)のままにする。
【0091】
(出発材料及びいくらかの化合物についての具体的な合成及び解析情報)
(中間体I)
2-(フラン-2-イルカルボニル)-安息香酸
フタル酸無水物(5.00g、33.8mmol)を乾燥CH2Cl2に溶解して、0℃に冷却した。反応の進行を制御するために、AlCl3(5.33g、40.0mmol)を一部に添加した。10分間混合物を撹拌後、チオフェン(2.04g、2.77ml、35.0mmol)の乾燥CH2Cl2溶液を添加した。室温で一晩赤い溶液を撹拌した後、反応混合物をHCl溶液/氷混合物に注いだ。室温まで暖めた後、有機成分をCHCl3(3×40ml)で抽出した。抽出物を合わせて、5%のK2CO3溶液(40ml)で洗浄し、希釈HCl溶液を使用して酸性にした。溶液をNa2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の化合物(1.07g、14%)を生成した。
【0092】
(中間体II)
2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-安息香酸
この化合物は、中間体1に関する上記の手順に従って調製し、単離化合物を得た:30%。
(中間体III)
trans-2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-1-シクロヘキサンカルボン酸
この化合物は、中間体Iに関する上記の手順に従って調製し、単離化合物を得た:38%。
(中間体IV)
cis-2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-1-シクロヘキサンカルボン酸
この化合物は、中間体Iに関する上記の手順に従って調製し、単離化合物を得た:42%。
【0093】
(実施例4)
2-(フルオレニル-メチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
2-(チオフェン-2-イル-カルボニル)-安息香酸(302mg、1.3mmol)及び9-フルオレニルメタノール(255mg、1.3mmol)の乾燥トルオール(8ml)溶液に、10μlの濃硫酸を添加した。混合物を振盪することによって、混合物を130℃まで2時間加熱した。室温に冷却後、硫酸を除去するために混合物を飽和NaHCO3溶液で洗浄した。有機溶媒を分離して、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させた。粗製化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の化合物(100mg、19%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=4.14 (t, 1 H, CH), 4.37 (d, 2 H, CH2), 7.05 (dd, 1 H, アリール-H), 7.23-7.27 (m, 2 H, アリール-H), 7.33 (dd, 1 H, アリール-H), 7.36 (t, 2 H, アリール-H), 7.47 (dd, 2 H, アリール-H), 7.53 (td, 1 H, アリール-H), 7.60 (dt, 1 H, アリール-H), 7.64-7.67 (m, 2 H, アリール-H), 7.73 (d, 2 H, アリール-H), 8.02 (td, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=46.60, 67.73, 119.93, 125.04, 127.11, 127.74, 127.91, 128.10, 129.29, 130.05, 130.26, 132.28, 134.44, 134.60, 141.17, 141.19, 143.61, 144.21, 166.03, 188.97. MS (EI) m/z (%): 411.3 (M + H+), 428.3 (M + NH4+), 433.4 (M + Na+), 449.2 (M + K+)。
【0094】
(実施例5)
2-(4-ニトロフェニル-エチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:56%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=2.94 (t, 2 H, CH2), 4.35 (t, 2 H, CH2), 7.05 (dd, 1 H, アリール-H), 7.25-7.46 (m, 3 H, アリール-H), 7.46 (td, 1 H, アリール-H), 7.55 (dt, 1 H, アリール-H), 7.61 (dt, 1 H, アリール-H), 7.68 (dd, 1 H, アリール-H), 7.94 (dd, 1 H, アリール-H), 8.07 (dd, 2 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=34.43, 64.90 123.65, 127.84, 128.16, 129.03, 129.59, 130.03, 130.30, 132.26, 134.54, 134.59, 140.82, 144.43, 145.38, 146.80, 165.93, 188.77. MS (EI) m/z (%): 382.2 (M + H+), 399.2 (M + NH4+), 404.3 (M + Na+), 420.2 (M + K+)。
【0095】
(実施例7)
2-([2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:18%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=2.85 (dd, 2 H, CH2), 3.21 (dd, 2 H, CH2), 5.52-5.56 (m, 1 H, CH), 6.98 (dd, 1 H, アリール-H), 7.12 (s, 4 H, アリール-H), 7.18 (dd, 1 H, アリール-H), 7.41 (dd, 1 H, アリール-H), 7.52 (dt, 1 H, アリール-H), 7.57-7.60 (m, 2 H, アリール-H), 8.00 (dd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=39.03, 76.67, 124.52, 126.60, 127.56, 127.90, 129.25, 129.74, 130.34, 132.11, 134.31, 134.44, 140.06, 141.02, 144.47, 165.87, 188.91. MS (EI) m/z (%): 349.3 (M + H+), 366.3 (M + NH4+), 387.3 (M + K+)。
【0096】
(実施例10)
2-(イソインドリニル-1,3-ジオン-エチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:41%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=3.93 (t, 2 H, CH2), 4.34 (t, 2 H, CH2), 6.97 (dd, 1 H, アリール-H), 7.21 (dd, 1 H, アリール-H), 7.41 (dd, 1 H, アリール-H), 7.54 (dt, 1 H, アリール-H), 7.57-7.61 (m, 2 H, アリール-H), 7.70 (dd, 2 H, アリール-H), 7.83 (dd, 2 H, アリール-H), 8.00 (dd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=36.73, 62.53, 123.37, 127.61, 127.99, 128.63, 129.88, 130.48, 132.00, 132.30, 134.01, 134.33, 141.30, 144.39, 165.49, 167.90, 188.98. MS (EI) m/z (%): 406.4 (M + H+), 423.3 (M + NH4+), 444.3 (M + K+)。
【0097】
(実施例13)
2-(フリル-メチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:7%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=5.08 (s, 3 H, CH3), 6.28-6.30 (m, 2 H, アリール-H), 7.01 (dd, 1 H, アリール-H), 7.22 (dd, 1 H, アリール-H), 7.33 (dd, 1 H, アリール-H), 7.44 (dd, 1 H, アリール-H), 7.53 (dt, 1 H, アリール-H), 7.60 (dt, 1 H, アリール-H), 7.64 (dd, 1 H, アリール-H), 8.02 (td, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=58.93, 101.51, 110.91, 126.73, 127.72, 127.96, 128.83, 129.80, 130.44, 134.31, 134,35, 141.31, 143.26, 144.57, 148.72, 165.00, 188.96. MS (EI) m/z (%): 313.2 (M + H+), 330.3 (M + NH4+), 335.2 (M + Na+), 351.2 (M + K+)。
【0098】
(実施例14)
2-(チエニル-エチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:29%。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ=2.84 (t, 2 H, CH2), 4.29 (t, 2 H, CH2), 6.87 (dd, 1 H, アリール-H), 6.91-6.92 (m, 1 H, アリール-H), 7.05 (dd, 1 H, アリール-H), 7.21 (dd, 1 H, アリール-H), 7.26 (dd, 1 H, アリール-H), 7.46 (dd, 1 H, アリール-H), 7.53-7.63 (m, 2 H, アリール-H), 7.67 (dd, 1 H, アリール-H), 8.00 (dd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (100 MHz, CDCl3): δ=29.16, 65.39, 121.55, 125.52, 127.71, 128.05, 128.10, 129.32, 129.85, 130.27, 132.12, 134.31, 134.32, 137.60, 141.03, 144.64, 165.87, 188.86. MS (EI) m/z (%): 343.0 (M + H+), 360.2 (M + NH4+), 365.2 (M + Na+), 381.2 (M + K+)。
【0099】
(実施例15)
2-(フェニル-エチル-オキシカルボニル)-1-(フリルカルボニル)-ベンゾール
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:41%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=2.82 (t, 2 H, CH2), 4.29 (t, 2 H, CH2), 6.50 (dd, 1 H, アリール-H), 6.95 (d, 1 H, アリール-H), 7.14 (d, 2 H, アリール-H), 7.18-7.21 (m, 1 H, アリール-H), 7.24-7.27 (m, 2 H, アリール-H), 7.48 (dd, 1 H, アリール-H), 7.53-7.62 (m, 3 H, アリール-H), 7.96 (dd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=34.64, 66.03, 112.36, 119.08, 126.54, 128.04, 128.46, 12.82, 129.82, 130.03, 130.17, 132.15, 137.38, 140.01, 146.96, 152.74, 166.08, 184.09. MS (EI) m/z (%): 321.3 (M + H+), 338.3 (M + NH4+), 343.1 (M + Na+), 359.2 (M + K+)。
【0100】
(実施例16)
2-(4-メチルフェニル-エチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:30%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=2.28 (s, 3 H, CH3), 2.76 (t, 2 H, CH2), 4.25 (t, 2 H, CH2), 6.99 (d, 2 H, アリール-H), 7.05 (dd, 3 H, アリール-H), 7.26 (dd, 1 H, アリール-H), 7.46 (dd, 1 H, アリール-H), 7.54 (dd, 1 H, アリール-H), 7.60 (dd, 1 H, アリール-H), 7.67 (dd, 1 H, アリール-H), 7.98 (td, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=20.98, 34.13, 66.19, 127.69, 128.07, 128.70, 129.13, 129.36, 129.86, 130.28, 132.13, 134.28, 134.38, 136.02, 140.99, 144.66, 165.92, 189.04. MS (EI) m/z (%): 351.3 (M + H+), 368.2 (M + NH4+), 373.1 (M + Na+), 389.2 (M + K+)。
【0101】
(実施例19)
2-(4-クロロフェニル-メチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:13%。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ=5.08 (s, 2 H, CH2), 7.00 (dd, 1 H, アリール-H), 7.12 (d, 2 H, アリール-H), 7.20-7.23 (m, 3 H, アリール-H), 7.45 (dd, 1 H, アリール-H), 7.53-7.65 (m, 3 H, アリール-H), 8.04 (dd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=66.53, 127.75, 128.02, 128.65, 128.89, 129.34, 129.75, 129.91, 130.48, 130.67, 132.37, 133.57, 134.40, 134.44, 134.52, 164.34, 188.88. MS (EI) m/z (%): 357.2 (M + H+), 374.1 (M + NH4+), 379.3 (M + Na+), 395.1 (M + K+)。
【0102】
(実施例24)
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエチル-オキシカルボニル)-フェニルテノン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:19%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ=3.04 (dt, 2 H, CH2), 4.29 (t, 2 H, CH2), 7.00 (dd, 1 H, アリール-H), 7.06 (s, 1 H, アリール-H), 7.24 (dd, 1 H, アリール-H), 7.30-7.37 (m, 2 H, アリール-H), 7.47 (td, 1 H, アリール-H), 7.55 (dt, 1 H, アリール-H), 7.60-7.63 (m, 2 H, アリール-H), 7.69 (td, 1 H, アリール-H), 7.82 (ddd, 1 H, アリール-H), 7.99 (ddd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (125 MHz, CDCl3): δ=27.39, 64.29, 121.45, 122.76, 122.82, 123.99, 124.27, 127.72, 128.11, 129.18, 129.91, 130.36, 131.73, 132.24, 134.44, 138.67, 140.29, 140.97, 144.61, 165.98, 189.01. MS (EI) m/z (%): 393.2 (M + H+), 415.2 (M + Na+), 431.2 (M + K+)。
【0103】
(実施例27)
trans-1-(チエニルカルボニル)-2-(フェニル-エチル-オキシカルボニル)-シクロヘキサン
この化合物は、実施例4のために記述した手順に従って調製し、単離化合物を得た:21%。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ=1.35-1.45 (m, 3 H, CH2), 1.78-1.83 (m, 2 H, CH2), 2.76-2.82 (m, 2 H, CH2), 2.84-2.90 (m, 3 H, CH2), 3.34-3.40 (m, 1 H, CH2), 4.13-4.24 (m, 3 H, CH2), 7.08-7.27 (m, 6 H, アリール-H), 7.61 (dd, 1 H, アリール-H), 7.73 (dd, 1 H, アリール-H). - 13H NMR (100 MHz, CDCl3): δ=25.37, 25.54, 29.00, 30.32, 34.93, 44.53, 48.52, 64.91, 126.43, 128.06, 128.34, 128.88, 131.35, 131.85, 133.53, 137.72, 174.88, 195.60. MS (EI) m/z (%): 343.2 (M + H+), 360.4 (M + NH4+), 365.3 (M + Na+), 381.3 (M + K+)。
【0104】
(実施例29)
2-(フェニルメチル-アミンカルボニル)-フェニルテノン
NMM(131mg、143μl、1.3mmol)を撹拌して冷却した2-(チオフェン-2-イルカルボニル)-安息香酸(302mg、1.3mmol)の乾燥THF(4ml)溶液(-15℃)に添加した。イソブチルクロロホルメート(178mg、170μl、1.3mmol)を滴状に添加した。15分間攪拌後、ベンジルアミン(139mg、142μl、1.3mmol)の乾燥THF(2ml)溶液を添加し、混合物を14時間撹拌した。その間に、これが室温に温まった。溶媒を真空中で蒸発させて、得られた残渣を酢酸エチル(10ml)に溶解し、1N HCl、水、NaHCO3水溶液、水及びブライン(1洗浄工程あたり5ml)で洗浄して、Na2SO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製化合物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物(280mg、67%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての立体異性体及びその多形を含む、一般式1の化合物又はその医薬として許容し得る塩:
【化1】

(式中、
Iは、(i)ヒドロキシル、ニトロ、ハロゲン及びシアノ及び(ii)メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択される1つ以上の基によって任意に置換されるいずれの場合においてもフリル又はチエニルであり、式中前記基の1つ以上の水素原子は、ハロゲン(例えばフッ素)によって任意に置換される)、
Aは、式(I)〜(VI)の群から選択され:
【化2】

(式中:
n1は、整数1〜5であり;
n2は、整数1〜3であり;
R1-R9は、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであり;
Jは、NR10、S又はOであり、式中R10は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであるか;
又はJは、CR11R12であり、式中R11及びR12は、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール若しくはアルキルヘテロアリールであるか、若しくはR11及びR12は、結合して7員までをもつ炭素環の環(例えば5員環又は6員環)を形成することができ;
Kは、N又はCR13であり、式中R13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであり;
L、M、Q及び/若しくはUがNを表すときに、これが任意に残基R2-R5によって四級化されて塩を形成してもよいことを条件として、L、M、Q、Uは、独立してN又はCであるか、又は他に対応するR2、R3、R4及び/若しくはR5部分は存在せず;
Tは、炭素環、複素環、アリール又はヘテロアリールを表し;
Wは、炭素環、複素環、アリール又はヘテロアリールを表し;
Xは、NR14又はOであり、式中R14は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、複素環、ヘテロアリール又は-アルキルヘテロアリールであり;
Yは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環、アリール、複素環、ヘテロアリールであるか、又は存在しなくてもよく(すなわち、結合);
Zは、アルキル、炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールである)。
【請求項2】
Zが炭素環、アリール、複素環又はヘテロアリールを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Iが2-フリルを表す、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
Iがチエニルを表す、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項5】
Iが2-チエニルを表す、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Aが式(I)の基を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
n1が3である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
Aが式(II)の基を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
n2が2である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
Aが式(III)の基を表す請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
R1がMe又はHを表す、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
R1がHを表す、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
JがNH又はCH2を表す、請求項10〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
KがN又はCHを表す、請求項10〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
Aが式(IV)の基を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
L-R2がCH、CMe又はNを表す、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
L-R2がCHを表す、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
M-R3がCH、CMe又はNを表す、請求項15〜17のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
M-R3がCHを表す、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
Q-R4がCH、CMe又はNを表す、請求項15〜19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
Q-R4がCHを表す、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
U-R5がCH、CMe又はNを表す、請求項15〜21のいずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
U-R5がCHを表す、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
L-R3、M-R4、U-R5及びU-R5がCHを表す、請求項15〜23のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
Aが式(V)の基を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
R6がHを表す、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
R7がHを表す、請求項25又は26記載の化合物。
【請求項28】
Tが6員環である、請求項25〜27のいずれか1項記載の化合物。
【請求項29】
Aが式(VI)の基を表す、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項30】
R8がHを表す、請求項29記載の化合物。
【請求項31】
R9がHを表す、請求項29又は30記載の化合物。
【請求項32】
Wが5員環である、請求項29〜31のいずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
XがO又はNHである、請求項1〜32のいずれか1項記載の化合物。
【請求項34】
XがOである、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
Yが存在しないか、又はCH2、(CH22若しくは(CH23を表す、請求項1〜34のいずれか1項記載の化合物。
【請求項36】
Yが(CH22を表す、請求項35記載の化合物。
【請求項37】
Yが(CH23を表す、請求項35記載の化合物。
【請求項38】
Zが、任意に置換されたフェニル又はチエニルを表す、請求項1〜37のいずれか1項記載の化合物。
【請求項39】
Zがフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、チエン-2-イル及びチエン-3-イルから選択される基を表す、請求項38記載の化合物。
【請求項40】
Zが3-フルオロフェニルである、請求項38記載の化合物。
【請求項41】
実施例1〜32のいずれか1つに対応する請求項1記載の化合物、又はその薬学的塩、立体異性体若しくは多形:
【化3】




【請求項42】
実施例33〜46のいずれか1つに対応する請求項1記載の化合物、又はその薬学的塩、立体異性体若しくは多形:
【化4】


【請求項43】
Iがフリル又はチエニルであり;
Aがフェニルであり(すなわち、R2、R3、R4及びR5がHであり、かつL、M、Q及びUがCである);
XがO又はNHであり;
Yがアルキル又はC3-C5シクロアルキルであり;
Zが9-フルオレン、フェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-チエニル、3-チエニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,3-ジクロロフェニル、3-メトキシフェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2-ブロモフェニル又は3-ヒドロキシフェニル;
である、請求項1記載の化合物。
【請求項44】
Iが2-フリル又は2-チエニルである、請求項43記載の化合物。
【請求項45】
YがCH2、CH2CH2、CH2CH2CH2又は
【化5】

である、請求項43又は44記載の化合物。
【請求項46】
Zがフェニル、4-メチルフェニル、3-チエニル、2,3-ジクロロフェニル、4-フルオロフェニル又は3-ヒドロキシフェニルである、請求項43〜45のいずれか1項記載の化合物。
【請求項47】
Iがフリル又はチエニルであり;
Aがフェニルであり(すなわち、R2、R3、R4及びR5がHであり、かつL、M、Q及びUがCである);
XがO又はNHであり;
Yがアルキル、又は存在せず(すなわち、結合);
Zが9-フルオレン、2-インダニル、フェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2-チエニル、3-チエニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル又は2-ベンゾチエニル;
である、請求項1記載の化合物。
【請求項48】
Iが2-フリル又は2-チエニルである、請求項47記載の化合物。
【請求項49】
YがCH2、CH2CH2、又はCH2CH2である、請求項47又は48記載の化合物。
【請求項50】
Zが9-フルオレン、2-インダニル、フェニル、3-メチルフェニル、2-チエニル、3-チエニル、2-クロロフェニル又は2-ニトロフェニルである、請求項47〜49のいずれか1項記載の化合物。
【請求項51】
XがOである、請求項43〜50のいずれか1項記載の化合物。
【請求項52】
医薬として使用するための、請求項1〜51のいずれか1項記載の化合物。
【請求項53】
1つ以上の治療的に許容さし得る希釈剤又は担体と共に、請求項1〜51のいずれか1項記載の化合物の少なくとも1つを含む医薬組成物。
【請求項54】
非経口、経腸又は経口投与のための、請求項53記載の医薬組成物。
【請求項55】
QC-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様酵素の阻害剤、NPY-受容体リガンド、NPYアゴニスト、ACE阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、PDE-4阻害剤、MAO阻害剤、TNFα阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1受容体阻害剤及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群より選択される化合物の少なくとも1つを更に含む、請求項53又は54記載の医薬組成物。
【請求項56】
アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、摂食障害、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か、又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患の治療用医薬品の製造のための、請求項1〜51のいずれかに記載の化合物又は請求項53〜55のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項57】
神経炎症の治療用医薬品の製造のための、請求項1〜51のいずれかに記載の化合物又は請求項53〜55のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項58】
アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、摂食障害、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か、又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患の治療方法であって、請求項1〜51のいずれかで定義したとおりの式(1)の化合物又は請求項53〜55のいずれかで定義したとおりの医薬組成物の有効量を哺乳類に投与することを含む、前記方法。
【請求項59】
請求項1〜51のいずれかで定義したとおりの式(1)の化合物又は請求項53〜55のいずれかで定義したとおりの医薬組成物の有効量を哺乳類に投与することを含む、神経炎症の治療方法。
【請求項60】
アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、精神分裂症、摂食障害、睡眠-覚醒状態、エネルギー代謝恒常性制御の障害、自律神経機能の障害、ホルモンバランスの障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振症、うつ病を含む不安症関連障害、癲癇を含む発作、退薬及びアルコール中毒症;認知機能障害、痴呆、失語症、失行症、失認か又は記憶喪失、軽度認知障害(MCI)、良性の忘却及びコルサコフ症候群のいずれかのタイプかを含む神経変性障害;肺血管性疾患、再狭窄又は肺性高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈の動脈症、アテローム性動脈硬化症、再灌流損傷、低酸素、虚血及び血液凝固障害からなる群より選択される疾患の治療に使用するための、請求項1〜51のいずれかに記載の化合物又は請求項53〜55のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項61】
神経炎症の治療に使用するための、請求項1〜51のいずれかに記載の化合物又は請求項53〜55のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項62】
軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群より選択される神経疾患の治療のための、請求項56、58及び60のいずれか1項に記載の化合物、組成物、使用又は方法。
【請求項63】
微生物増殖の阻害、術中の失血の低減、移植組織又は器官の保存;癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤の阻害;用医薬品の製造のための、請求項1〜51のいずれかに記載の化合物又は請求項53〜55のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項64】
微生物増殖の阻害、術中の失血の低減、移植組織又は器官の保存;癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤の阻害;に使用するための、請求項1〜51のいずれかに記載の化合物又は請求項53〜55のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項65】
微生物増殖の阻害、術中の失血の低減、移植組織又は器官の保存;癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤の阻害;の治療方法であって、請求項1〜51のいずれかで定義したとおりの式(1)の化合物又は請求項53〜55のいずれかで定義したとおりの医薬組成物の有効量を哺乳類に投与することを含む、前記方法。
【請求項66】
請求項1〜51のいずれか1項で定義したとおりの式(1)の化合物の製造方法であって、式(IA)の化合物
【化6】

(式中、I及びAは、請求項1〜51のいずれか1項で定義したとおりである)
又はその活性型誘導体を、式(IB)の化合物:
【化7】

(式中、X、Y及びZは、請求項1〜51のいずれか1項で定義したとおりである)と反応させることを含む、前記方法。

【公表番号】特表2008−535892(P2008−535892A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505870(P2008−505870)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061428
【国際公開番号】WO2006/120104
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(505403119)プロビオドルグ エージー (39)
【Fターム(参考)】