説明

ヘテロアリールピペリジングリシン輸送体インヒビター

本発明は、グリシン輸送体GlyT1を阻害し、グリシン作動性またはグルタメート作動性神経伝達機能不全に付随する神経性及び精神医学的障害やグリシン輸送体GlyT1が関与する疾患の治療に有用なピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル及びピラジニルピペリジン化合物を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
統合失調症は、消極的症状(感情の鈍麻、自閉、無快感)及び積極的症状(妄想、幻覚、譫妄)と顕著な認識欠損とを特徴とする消耗性精神医学的障害である。統合失調症の病因は現在でもまだ解明されていないが、この疾患は、生物学的要因、環境要因及び遺伝的要因の複雑な相互作用によって発症すると考えられる。フェンシクリジン(PCP)が統合失調症患者に観察される状態に酷似した精神病的状態をヒト体内に誘発することは40年以上も前から知見されていた。PCPの主要な作用モードが向イオン性グルタメート受容体のN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)サブタイプの非競合的アンタゴニストの作用モードであるという知見が一連の研究を促進し、統合失調症のNMDA受容体機能低下モデルの開発に導いた(Jentsch JD and Roth RH,1999 Neuropsychopharmacology,20:201)。
【0002】
哺乳類中枢神経系の高速グルタメート作動性伝達は主として向イオン性グルタメート受容体(iGluR)類に作用する興奮性アミノ酸グルタメートによって介在される。これらのiGluR類は、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキオサゾールプロピオン酸(AMPA)、カイニン酸塩及びNMDA受容体のサブタイプなどの3つの主要なサブクラスを含む(Hollmann M and Heinemann S, 1994,Annu.Rev.Neurosci.17:31)。これらの3つのサブクラスは、グルタメート結合に応答して開き、分極性の興奮性後シナプス電流を誘導するマルチマーリガンド依存性カチオンチャンネルである。分子クローニングによって、NMDA受容体ファミリーが2つの主要サブユニットNR1及びNR2から成ることが解明された。更に、発生的に調節されNR3と命名された新規な阻害性サブユニットが最近になって発表された。サブユニットの各セットには高度な分子多様性が存在する。現在までにクローニングされたNR1サブユニット遺伝子は1つだけである。しかしながら、オルタナティブスプライシングによって8つの異なるNR1遺伝子サブユニットを産生できる。NR2サブユニットについては対照的に、4つの遺伝子(NR2A,NR2B,NR2C,及びNR2D)がクローニングされ、それらのうちのいくつかはオルタナティブスプライシングを示す(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.17:31)。これらの多数サブユニットはヘテロマーグルタメート依存性イオンチャンネルを形成する。天然に産生する受容体のサブユニットの正確な化学量論はいまだ解っていないが、機能的に活性の受容体−チャンネル複合体が哺乳類発現系で発現するためにはNR1及びNR2の双方のサブユニットが必要である。NMDA受容体の活性化にはグルタメート及びグリシンの双方の結合が必要である(Johnson JW and Ascher P,1987,Nature 325:529)。部位特異的突然変異誘発試験によって判断すると興味深いことにこれらの2つのコアゴニストの結合部位は別々のサブユニットに存在する(Laube B, Hirai H,Sturgess M,Betz H and Kuhse J,1997,Neuron 18:493)。NR2A及びNR2Bサブユニットには、受容体のN−末端と細胞外ループとの相互作用によってグルタメート結合ポケットが形成される。同様の実験でグリシン結合部位はNR1サブユニットの相同的領域に存在すると判明した(Kuryatov A, Laube B, Betz H and Kuhse J,1994,Neuron 12:1291)。サブユニットの実際の組成次第で、グルタメート及びグリシンは、ナノモルの後半からマイクロモルの前半の範囲のEC50値でNMDA受容体を活性化する。更に、NMDA受容体の細孔はマグネシウム不透過である。正常静止条件下で、細胞外マグネシウムは細孔内部の部位に結合してチャンネルのマグネシウムブロックを生じ得る。このマグネシウムブロックがチャンネルに強い電圧依存性を与え、これによってNMDA受容体は、電流導通前にグルタメート、グリシンの結合及び後シナプス分極の発生を必要とする一致デテクタとして作用できる。特に注目すべきは、精神異常作用薬MK−801、PCP及びケタミンがいずれも、マグネシウム結合部位にオーバーラップする部位に結合することによってNMDA受容体−チャンネルのオープンチャンネルブロッカーとして作用するという知見である。NMDA受容体サブユニット及び調節部位の豊かな多様性が生理学的及び薬理学的に異なるヘテロマー受容体の複雑な組合せを提供することは明らかであり、このためNMDA受容体は新規な治療用化合物を設計するための理想的なターゲットとなり得る。
【0003】
NMDA受容体は、シナプス可塑性、認識、注意及び記憶を非限定例とする様々な神経生理学的現象において、極めて重要な役割を果す(Bliss T and Collingridge W,1993,Nature 361:31;Morris RGMら,1986,Nature 319:774)。幻覚薬は、精神運動刺激剤(コカイン、アンフェタミン)、幻覚剤(LSD)及びNMDA受容体アンタゴニスト(PCP、ケタミン)のような広範な薬物クラスを構成する。これらのうちでもNMDA受容体アンタゴニストだけが統合失調症の陽性、陰性及び認識症状のロバストな誘発を惹起する。ヒト患者のケタミン誘発精神病の管理試験、及び、PCPを快感薬として濫用している患者の症状の観察から、NMDA受容体アンタゴニスト誘発精神病と統合失調症との革新的な類似性リストが得られた(Jentsch JD and Roth RH,1999Neuropsychopharmacology,20:201)。NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を忠実に模倣し、双方の臨床的識別が難しくなるほどである。更に、NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を悪化させることもあり、また、安定な患者の症状の再発を誘発することもある。最後に、グリシン、D−サイクロセリン及びD−セリンのようなNMDA受容体コアゴニストが統合失調症患者に有益な効果を与えるという知見は、この障害にNMDA受容体の機能低下が関与していること、及び、NMDA受容体の活性化増進が治療効果を与える可能性があることを示唆する(Leiderman Eら,1996,Biol.Psychiatry 39:213,Javitt DCら,1994,Am.J.Psychiatry 151:1234,Heresco−Levy U,2000,Int.J.Neuropsychopharmacol.3:243,Tsai Gら,1998,Biol.Psychiatry 44:1081)。動物モデルにおける多数の試験は統合失調症のNMDA機能低下説を立証した。NMDA NR1サブユニットを正常レベルの5%しか発現しない突然変異マウスの最新世代は、機能性NMDA受容体のこのような減少が統合失調症に罹っている他の動物モデルで観察される状態に酷似した状態を誘発することを証明した(Mohn ARら,1999,Cell 98:427)。グルタメート経路の機能不全は、統合失調症以外にも、認識欠損、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病及び双極性異常を非限定例とするヒト中枢神経系(CNS)の多くの疾患状態に関与していた。
【0004】
NMDA受容体の機能は、コアゴニストであるグリシンの利用効率を変更することによって変調できる。この方法は、NMDA受容体の活性依存的活性化を維持するという極めて大きい利点を有している。何故なら、グルタメートの非存在下ではシナプスのグリシン濃度の増加がNMDA受容体の活性化を生じさせないからである。シナプスのグルタメートレベルは高親和性輸送メカニズムによって厳密に維持されているので、活性化シナプスのNMDA成分を強化できるのはグリシン部位の活性化の強化だけである。標準的神経遮断療法にアドオンとして高用量グリシンを経口投与した臨床試験は、統合失調症患者の症状の改善を示した(Javittら,Int.J.Neuropsychopharmacol.(2001)4:385−391)。外因性グリシンを投与しないでシナプスのグリシンレベルを向上させる1つの方法は、シナプスからのグリシンの除去を阻止することである。この方法が統合失調症の治療に有効であるという証拠は、統合失調症に罹っているが抗精神病薬に対する反応の鈍い患者にサルコシンを投与したダブルブラインドのプラセボ管理試験から得られる。陽性、陰性及び認識症状に対する有益な効果が観察され、このことは、グリシンの再吸収阻害が統合失調症治療の合理的な方法であることを示す。
【0005】
2つの特異的グリシン輸送体GlyT1及びGlyT2が同定され、これらはタウリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、プロリン、モノアミン及びオーファン輸送体のNa/C1依存性神経伝達輸送体ファミリーに属することが証明された(Smith KEら,1992,Neuron 8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron 10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.268:22802;Kim KMら,1994,Mol.Pharmacol.45:608;Morrow JAら,1998,FEBS Lett.439:334;Ne1Son N,1998,J.Neurochem.71:1785)。GlyTl及びGlyT2は様々な種から単離され、アミノ酸レベルの一致は50%しかないことが判明した。これらはまた、哺乳類中枢神経系で異なる発現パターンを有しており、GlyT2は、脊髄、脳幹及び小脳で発現され、GlyT1はこれらの領域と、皮質、海馬、中隔及び視床のような前脳区域に存在する(Smith KEら,1992,Neuron 8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron 10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.268:22802)。細胞レベルで、GlyT2はラット脊髄のグリシン作動性神経終末によって発現されると報告されたが、GlyT1はグリア細胞によって優先的に発現されると考えられる(Zafra Fら,1995,J.Neurosci.15:3952)。これらの発現試験は、GlyT2が主としてグリシン作動性シナプスのグリシン吸収を担当し、GlyT1がNMDA受容体発現シナプス近傍のグリシン濃度のモニターに関与するという結論に導いた。ラットで行った最近の機能試験は、強力なインヒビター(N−[3−(4’−フルオロフェニル)−3−(4’−フェニルフェノキシ)プロピル])サルコシン(NFPS)によるGlyT1の遮断がラットのNMDA受容体活性、及び、NMDA受容体依存性長期間増進作用を強化することを示した(Bergeron Rら,1998,PNAS USA 95:15730;Kinney Gら,2003,J.Neurosci.23:7586)。更に、NFPSは、統合失調症患者で欠失していることが判っている知覚ゲーティングの尺度であるマウスのプレパルス阻害を強化すると報告されている(Kinney Gら,2003,J.Neurosci.23:7586)。前脳領域におけるGlyT1のこれらの生理学的効果は、GlyT1インヒビターであるサルコシンが統合失調症患者の症状の改善に有益な効果を示すという臨床報告(Tsai and Coyle W099/52519)と相俟って、選択的GlyT1吸収インヒビターが新規なクラスの抗精神病薬として役立つことを示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、グルタメート作動性神経伝達機能不全に付随する神経性及び精神医学的障害やグリシン輸送体GlyT1が関与する疾患の治療に有用なグリシン輸送体GlyT1の阻害化合物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、式I:
【0008】
【化8】

[式中、
は、
(1) 水素,
(2) 1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたはフェニルで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、
(3)−O−C1−6アルキル,
(4) ハロゲン,
(5) R2a、R2b及びR2cで置換されたフェニル、
(6) R2a、R2b及びR2cで置換された複素環、
(7) −CN,
(8) −CO、ここにRは独立に、
(a) 水素,
(b) 1ないし6個のフルオロで置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル、
(c) ベンジル及び
(d) フェニル、
から選択される、
(9) −SO
(10)−SO−NR1011、ここにR10及びR11は独立に
(a) 水素,
(b)ヒドロキシ、1ないし6個のフルオロまたは−NR1213で置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル、ここにR12及びR13は独立に水素及び−C1−6アルキルから選択され、また、R10及びR11が結合してアゼチジニル環を形成してもよく、
(c)ヒドロキシ、1ないし6個のフルオロまたは−NR1213で置換されるかまたは未置換の−C3−6シクロアルキル、
(d) ベンジル、
(e) フェニル、から選択され及び、
(11)−CONR1011
から成る群の1つ以上から選択され、
は、
(1) R2a、R2b及びR2cで置換されたフェニル、
(2) R2a、R2b及びR2cで置換された複素環、
(3) 1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR10ll、フェニルまたは複素環で置換されるかまたは未置換のC1−8アルキル、ここにフェニルまたは複素環はR2a、R2b及びR2cで置換されている、
(4)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル
(5)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、
から成る群から選択され、
2a、R2b及びR2cは独立に、
(1) 水素、
(2) ハロゲン、
(3) (a) 1ないし6個のハロゲン、
(b) フェニル、
(c) C3−6シクロアルキル、または、
(d) −NR1011
で置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル、
(4) 1ないし6個のハロゲンで置換されるかまたは未置換の−O−C1−6アルキル、
(5) ヒドロキシ、
(6) −SCF
(7) −SCHF
(8) −SCH
(9) −CO
(10)−CN、
(11)−SO
(12)−SO−NR1011
(13)−NR1011
(14)−CONR1011、及び
(15)−NO
から成る群から独立に選択され、
は、
(1)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシル、−NR10ll、または、R2a、R2b及びR2cで置換された複素環で置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、
(2)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシルまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル
(3)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、及び
(4)−NRl0ll、及び、
(5) R2a、R2b及びR2cで置換された複素環
から成る群から選択され、
及びRは独立に
(1) 水素、及び
(2) ハロゲンまたはヒドロキシルで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキルから成る群から選択されるか、
または、RとRとが一緒にC3−6シクロアルキル環を形成しており、
は、
(1) 水素、及び、
(2) C1−6アルキル
から成る群から選択され、
W、X、Y及びZは独立にCまたはNから選択され、但し、W、X、Y及びZの少なくとも2つがCであり、ピリジン、オキソジヒドロピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジンまたは1,3,5−トリアジンを形成され、
Aは、
(1)−O−、及び、
(2) −NR10
から成る群から選択され、
mは0または1であり、mが0のときはRがカルボニルに直結している]
の化合物及び医薬的に許容されるその塩である。
【0009】
本発明の1つの実施態様は、式I’:
【0010】
【化9】

[式中のR、R、R、R、R、A及びmは本文中の定義と同義]
の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
本発明の選択的実施態様は、式I”:
【0011】
【化10】

[式中のR、R、R、R、R、A及びmは本文中の定義と同義]
の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
本発明の選択的実施態様は、式I''':
【0012】
【化11】

[式中のR、R、R、R、R、A及びmは本文中の定義と同義]
の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
【0013】
本発明の選択的実施態様は、式I'''':
【0014】
【化12】

[式中のR、R、R、R、R、A及びmは本文中の定義と同義]
の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
【0015】
本発明の1つの実施態様は、式Ia:
【0016】
【化13】

[式中のR、R、R、R、R、A及びmは本文中の定義と同義]
の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
【0017】
本発明のこの実施態様は、Rが、
(1)水素
(2)1ないし6個のハロゲンで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、
(3)ハロゲン
(4)複素環、及び、
(5)−O−C1−6アルキル
から成る群から選択された化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
【0018】
更に本発明のこの実施態様は、Rが、
(1) 水素、
(2) C1−3アルキル、
(3) フルオロ、
(4) −CF
(5) −モルホリニル、及び、
(6) −O−C1−3アルキル、
から成る群から選択された化合物を含む。
【0019】
更に本発明のこの実施態様は、Rが水素またはメチルである化合物を含む。更に本発明のこの実施態様は、Rが水素である化合物を目的とする。本発明のこの実施態様はまた、Rがメチルである化合物も目的とする。
【0020】
本発明の1つの実施態様は、式Ib:
【0021】
【化14】

[式中、RはC1−6アルキルであり、R、R、R、A及びmは本文中の定義と同義]の化合物または医薬的に許容されるその塩、または、それらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
【0022】
本発明の1つの実施態様は、RがC1−3アルキルであり、Rが水素またはC1−3アルキルである化合物を含む。この実施態様のうちには、Rが(S)立体配置のC1−3アルキルであり、Rが水素である化合物が含まれる。また、この実施態様のうちには、Rがメチルであり、Rが水素である化合物も含まれる。また、この実施態様のうちには、Rがメチルであり、Rがメチルである化合物も含まれる。また、この実施態様のうちには、Rが水素であり、Rが水素である化合物も含まれる。
【0023】
本発明の1つの実施態様は、Rが水素である化合物を含む。
【0024】
本発明の1つの実施態様は、mが0である化合物を含む。
【0025】
本発明のこの実施態様のうちには、式Ic:
【0026】
【化15】

[式中、R、R、R、R及びRは本文中の定義と同義]
の化合物または医薬的に許容されるその塩、または、それらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーが含まれる。
【0027】
更に本発明のこの実施態様は、Rが、
(1)R2a、R2b及びR2cで置換されたフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されたチエニル、
(3)1ないし6個のハロゲン、フェニルまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC1−8アルキル、ここにフェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されており、
(4)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル
から成る群から選択され、
2a、R2b及びR2Cは独立に、
(1) 水素、
(2) ハロゲン、
(3) −C1−6アルキル、
(4) −O−C1−6アルキル、
(5) −CF
(6) −OCF
(7) −OCHF
(8) −SCF
(9) −SCHF、及び
(10)−NH
から成る群から選択される化合物を含む。
【0028】
更に本発明のこの実施態様は、Rがフェニルまたはチエニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立に、
(1) 水素、
(2) ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
から成る群から選択される化合物を含む。
【0029】
更に本発明のこの実施態様は、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立に、
(1) 水素、
(2) フルオロ、
(3) クロロ、
(4) ブロモ
(5) −OCH
(6) −CF、及び、
(7) −NH
から成る群から選択される化合物を含む。
【0030】
また、本発明のこの実施態様のうちには、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立に、
(1) 水素、
(2) フルオロ、
(3) クロロ、
(4) ブロモ
から成る群から選択される化合物が含まれる。
【0031】
本発明のこの実施態様のうちには、式Id:
【0032】
【化16】

[式中、R、R2a、R2b、R、R及びR5は本文中の定義と同義]の化合物及びそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーも含まれる。
【0033】
本発明のこの実施態様のうちには、式Id’:
【0034】
【化17】

[式中、R、R2a、R2b、R2c及びRは本文中の定義と同義]の化合物及びそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーも含まれる。
【0035】
また、本発明のこの実施態様のうちには、式Id”:
【0036】
【化18】

[式中、R、R2a、R2b、R2c、R及びRは本文中の定義と同義]の化合物及びそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーも含まれる。
【0037】
本発明の1つの実施態様は、Aが−NR10−である化合物を含む。
【0038】
本発明の1つの実施態様は、式If:
【0039】
【化19】

[式中、R、R、R、R、R10及びR11は本文中の定義と同義]の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含む。
【0040】
本発明のこの実施態様のうちには、式If’:
【0041】
【化20】

[式中、R、R、R10及びR11は本文中の定義と同義]の化合物及び医薬的に許容されるその塩並びにそれらの個別の鏡像異性体及びジアステレオマーが含まれる。
【0042】
本発明の1つの実施態様は、Aが−NR10−である化合物を含む。
【0043】
本発明のこの実施態様のうちには、式Ig:
【0044】
【化21】

[式中、R、R、R、R、R及びR10は本文中の定義と同義]の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーが含まれる。
【0045】
本発明の1つの実施態様は、式Ig’:
【0046】
【化22】

[式中、R、R、R及びR10は本文中の定義と同義]の化合物及び医薬的に許容されるその塩並びにそれらの個別の鏡像異性体及びジアステレオマーを含む。
【0047】
本発明の1つの実施態様はAが−O−である化合物を含む。
【0048】
本発明のこの実施態様のうちには、式Ih:
【0049】
【化23】

[式中、R、R、R、R及びRは本文中の定義と同義]の化合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの個別の鏡像異性体もしくはジアステレオマーが含まれる。
【0050】
本発明の1つの実施態様は、Rが、フルオロで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、フルオロで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−シクロプロピル、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、または、アゼジニルである化合物を含む。
【0051】
本発明のこの実施態様のうちには、Rが−CHCHである化合物が含まれる。本発明のこの実施態様のうちには、Rが−CHCHFである化合物が含まれる。本発明のこの実施態様のうちには、Rが(CHCHである化合物が含まれる。本発明のこの実施態様のうちには、Rがシクロプロピルである化合物が含まれる。本発明のこの実施態様のうちには、Rが−CH−シクロプロピルである化合物が含まれる。
【0052】
本発明の特定実施態様は、本明細書の実施例の主題化合物及び医薬的に許容されるそれらの塩とそれらの個別の鏡像異性体及びジアステレオマーから成る群から選択される化合物を包含する。
【0053】
本発明の化合物は1つ以上のキラル中心を有することができ、従って、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個別のジアステレオマーの形態で生成し得る。分子に存在する種々の置換基の種類次第では追加の非対称中心が存在することもある。このような非対称中心の各々が独立に2つの光学異性体を生成し、混合物の形態及び純粋または部分的に純粋な化合物の形態を有し得る光学異性体及びジアステレオマーはすべて本発明の範囲に包含されると理解されたい。本発明はこれらの化合物のこのような異性形態のすべてを含意する。式Iは化合物のクラスの構造を好ましい立体化学を含まずに示している。
【0054】
これらのジアステレオマーの個別の合成またはそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示した方法に適切な修正を加えることによって当業界で公知の手順で行うことができる。それらの絶対的化学量論は、必要なときには既知の絶対的立体配置の非対称中心を有している試薬によって誘導体化した結晶質生成物または結晶質中間体のx線結晶学によって決定できる。
【0055】
所望の場合には、個別の鏡像異性体が単離されるようにラセミ混合物を分離してもよい。分離は、例えば化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物に結合させる当業界で公知の方法によってジアステレオマー混合物を形成し、次いで分別結晶化またはクロマトグラフィーのような標準方法によって個別のジアステレオマーを分離する手順で行う。結合反応はしばしば、鏡像異性的に純粋な酸または塩基を使用して塩を形成させる反応である。次に、付加されたキラル残基の開裂によってジアステレオマー誘導体を純粋な鏡像異性体に変換する。また、キラル固定相を使用する当業界で公知のクロマトグラフィー方法によって化合物のラセミ混合物を直接分離してもよい。
【0056】
あるいは、既知の立体配置の光学的に純粋な出発材料または試薬を使用する立体選択的合成によって化合物のいずれかの鏡像異性体を当業界で公知の方法で得ることもできる。
【0057】
当業者には明らかであろうが、本文中に使用したハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含意する。同様に、C1−6アルキルのようなC1−6は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を線状または分枝状の配列で有している基を表すと定義される。従ってC1−8アルキルは具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルを含む。置換基で独立に置換されていると指定された基は多数のこのような置換基で独立に置換されていてもよい。本文中に使用した“複素環”という用語は、不飽和及び飽和複素環部分の双方を包含し、不飽和複素環部分(即ち、“ヘテロアリール”)は、ベンゾイミダゾリル、ベンズイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル及びそれらのN−オキシドを包含し、飽和複素環部分は、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニル及びそれらのN−オキシドを包含する。
【0058】
“医薬的に許容される塩”という用語は、無機または有機の塩基及び無機または有機の酸のような医薬的に許容される無毒性塩基または酸から製造された塩を表す。無機塩基に由来の塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛、などの塩である。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩が特に好ましい。固体形態の塩は2つ以上の結晶構造で存在でき、また水和物の形態でもよい。医薬的に許容される有機の無毒性塩基に由来の塩は、第一級、第二級及び第三級アミン、天然産生アミンのような置換アミン、環状アミンの塩、及び、塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを包含する。本発明の化合物が塩基性であるとき、無機酸及び有機酸のような医薬的に許容される無毒性酸から塩を製造するとよい。このような酸は、酢酸、ベンゼスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、などである。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸が特に好ましい。本文中に使用された本発明の化合物という用語が医薬的に許容される塩も含意することは理解されよう。
【0059】
本発明の代表例では、実施例及び本文中に開示した化合物を使用する。本発明の範囲内の具体的な化合物は、後出の実施例に開示した化合物及び医薬的に許容されるそれらの塩及びそれらの個別のジアステレオマーから成る群から選択された化合物を包含する。
【0060】
主題化合物は、グリシン輸送体GlyT1活性を阻害することが必要な哺乳動物などの患者に有効量の化合物を投与する段階を含む、グリシン輸送体GlyT1活性阻害方法に有用である。本発明は、本文中に開示された化合物をグリシン輸送体GlyT1活性のインヒビターとして使用することを目的とする。霊長類特にヒトに加えて様々な他の哺乳類を本発明の方法で治療できる。
【0061】
本発明は更に、本発明の化合物と医薬的担体または希釈剤とを組合せる段階を含む、ヒト及び動物のグリシン輸送体GlyT1活性阻害医薬の製造方法を目的とする。
【0062】
本発明方法で治療される患者は、グリシン輸送体GlyT1活性の阻害が望まれる哺乳動物全般、好ましくは人間の男性または女性である。“治療有効量”という用語は、組織、系、動物またはヒト体内で研究者、獣医師、内科医または他の臨床医が求めるような生物学的または医学的レスポンスを誘発する主題化合物の量を意味する。現在障害に苦しんでいる患者の治療またはこのような障害に苦しんだ患者の予防的治療を有効量の本発明の化合物で行うことによって神経性または精神医学的障害に影響を及ぼすことができることは当業者に理解されよう。本文中に使用した“治療”及び“治療する”という用語は、本文中に記載した神経性及び精神医学的障害の進行の遅延、中断、制止、管理または停止をもたらす全てのプロセスを表すが、障害症状全部の完全な除去を必ずしも意味しない。該用語はまた、特にこのような疾患または障害の素因がある患者で上記の状態の進行を遅延させるかまたは危険を抑制する予防治療も含意する。
【0063】
本文中に使用した“組成物”という用語は、特定した成分を特定した量で含む製品、及び、特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られる製品を包含すると理解されたい。医薬組成物に関するこのような用語は、(1種以上の)有効成分と、担体を構成する(1種以上の)不活性成分とを含む製品、及び、2種類以上の成分の組合せ、複合化または凝集から、または、1種以上の成分の解離から、または、1種以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる製品を含意する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって製造されたいかなる組成物も包含する。“医薬的に許容される”という用語は、担体、希釈剤または賦形剤が配合物の他の成分と相溶性でなければならないこと、及び、そのレシピエントに有害でないことを意味する。
【0064】
化合物“の投与”または“を投与する”という用語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを治療が必要な個体に与えることを意味すると理解されたい。
【0065】
グリシン輸送体活性、特にGlyT1活性を阻害する本発明の化合物の有効性は当業界で公知の方法によって証明し得る。GlyT1を内在的に発現しているヒト胎盤絨毛癌細胞(JAR細胞(ATCC No.HTB−144)を、96ウェルのCytostarシンチレーティングマイクロプレート(Amersham Biosciences)に入れ、10%ウシ胎仔血清を含有しているRPMI 1640培地中でペニシリン(100μg/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)の存在下に培養した。アッセイ前に、5%COの湿潤雰囲気中、37℃で細胞を40−48時間増殖させた。培養培地をCytostarプレートから除去し、本発明の化合物を添加または不添加の30μlのTB1Aバッファ(120mMのNaCl、2mMのKCl、1mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHEPES、5mMの1−アラニン,トリス塩基でpH7.5に調整)と共にJAR細胞を1分間インキュベートした。次に、TB1Aで希釈した30μlの[14C]−グリシンを各ウェルに最終濃度10マイクロモルになるまで加えた。室温で3時間インキュベーション後、Cytostarシンチレーティングマイクロプレートを密閉し、Top Countシンチレーションカウンター(Packard)でカウントした。10mMの非標識グリシンの存在下で[14C]−グリシンの非特異的吸収を定量した。非特異的吸収を定量するために10mMの非標識タウリンを使用した以外は同じプロトコルに従って[14C]タウリン吸収実験を行った。力価を測定するために、一連の濃度の本発明の化合物を細胞に添加し、次いで一定濃度の[14C]グリシンを添加した。[14C]グリシンの特異的吸収を50%阻害した本発明の化合物の濃度(IC50値)をアッセイデータから非線形曲線適合によって決定した。
【0066】
より特定的に後出の実施例の化合物は、上記アッセイにおいて[14C]グリシンの特異的吸収を阻害する活性を一般に約10マイクロモル未満のIC50値で有していた。本発明の範囲内の好ましい化合物は、上記アッセイで[14C]グリシンの特異的吸収を阻害する活性を約1マイクロモル未満のIC50値で有していた。これらの化合物は、(JAR細胞中のタウリン輸送体TauTによる)[14C]タウリン吸収に比べて(JAR細胞中のGlyT1による)[14C]グリシン吸収に選択的であった。このような結果は、GlyT1輸送体活性のインヒビターとして使用された化合物の固有活性を表す。
【0067】
NMDA受容体は広範囲のCNSプロセスの中心であり、ヒトまたは他の種の多様な疾患状態で1つの役割を果している。GlyT1輸送体の作用はNMDA受容体周囲のグリシンの局部濃度に影響を及ぼす。選択的GlyT1インヒビターはシナプスからのグリシン除去を減速させ、シナプスのグリシンレベルを上昇させる。これがNMDA受容体のグリシン結合部位の稼働率を増加させ、前シナプス終末からのグルタメート放出後のNMDA受容体の活性を増加させる。NMDA受容体が効率的に機能するためにはある量のグリシンが必要なので、この局部濃度の変化はNMDA依存性神経伝達に影響を及ぼす。NMDA依存性神経伝達の変化は、認知症、抑鬱、及び、例えば統合失調症のような精神病、及び、例えば注意不足症や自閉症のような学習及び記憶障害などのいくつかの神経精神医学的障害に関与していた。
【0068】
本発明の化合物は以下の状態または疾患の1つ以上を含むグルタメート作動性神経伝達機能不全に付随する様々な神経性及び精神医学的障害の治療に有効性を有している:統合失調症または精神病、例えば、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型または分類不能型)、精神分裂病型障害、分裂情動障害、妄想性異常症、一時的精神異常症、共有精神異常症、全身の病的状態が原因の精神異常症、物質誘発または薬物誘発(フェンシクリジン、ケタミン及び他の解離性麻酔薬、アンフェタミン及び他の精神刺激剤及びコカイン)精神病、精神異常症、情動障害に付随する精神病、一時的反応性精神病、分裂情動精神病、“精神分裂スペクトル”障害例えば分裂病質もしくは分裂病性人格障害、または、統合失調症及び他の精神病の陽性及び陰性の双方の症状を含む精神病に付随する病気(例えば、主要うつ病、躁鬱異常性(双極性)障害、アルツハイマー病、外傷後ストレス症候群);認識障害、例えば、痴呆(アルツハイマー病、虚血、多発梗塞性痴呆、外傷、血管的問題または卒中、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、分娩時低酸素症、他の全身の病的状態または物質濫用));譫妄、健忘症または加齢関連認識減退;不安障害、例えば、急性ストレス障害、広場恐怖症、一般的不安異常症、強迫異常症、パニック発作、パニック異常症、外傷後ストレス異常症、隔離不安異常症、社交恐怖症、特定恐怖症、物質誘発不安症、全身病的状態が原因の不安;物質関連障害及び耽溺行為(例えば、物質誘発譫妄、持続性痴呆、持続性健忘症、精神病的障害または不安症;アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、催眠薬または不安寛解剤などの物質に対する耐性、依存、禁断);肥満、神経性過食症、強迫摂食障害;双極性障害、情緒異常症例えば抑鬱障害;抑鬱、例えば、単極性抑鬱、季節的抑鬱及び分娩後抑鬱、月経前症候群(PMS)及び月経前気分不快症(PDD)、全身の病的状態が原因の情緒異常症、物質誘発情緒異常症;学習障害、広汎性発達異常例えば自閉症、注意不足症例えば注意不足活動亢進症(ADHD)、行状異常症;NMDA−受容体関連障害、例えば、自閉症、抑鬱、良性健忘症、小児期学習障害及びclosed head傷害;運動障害、例えば、無動症、無動−硬直症候群(パーキンソン病、薬物誘発パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、皮質基底変性、パーキンソニズム−A1S痴呆コンプレックス、基底神経節石灰化)、薬剤誘発パーキンソニズム(神経遮断薬誘発パーキンソニズム、神経遮断悪性症候群、神経遮断薬誘発急性ジストニー(筋緊張異常)、神経遮断薬誘発急性アカシジア(静坐不能)、神経遮断薬誘発遅発性ジスキネジー(異常運動症)、薬物誘発姿勢振戦)、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、癲癇、筋肉痙攣、筋肉の痙直または弱化に付随する障害例えば振戦;ジスキネジー[振戦(安静時振戦、姿勢性振戦、企図時振戦)、舞踏病(シデナム舞踏病、ハンチントン舞踏病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球増加症、症候性舞踏病、薬物誘発舞踏病及び片側バリスム)、ミオクローヌス(筋間代痙攣)(全身ミオクローヌス及び局所ミオクローヌス)、チック(単純チック、複合チック、症候性チック)、ジストニー(全身ジストニー、例えば、iodio病的ジストニー、薬物誘発ジストニー、症候性ジストニー及び発作性ジストニー、並びに、局所ジストニー、例えば、眼瞼痙攣、口顎筋ジストニー、痙攣性発声障害、痙攣性斜頸、軸性ジストニー、ジストニー性書痙及び片麻痺性ジストニー)];尿失禁;神経損傷、例えば、視神経損傷、網膜症または眼の黄斑変性、耳鳴り、難聴、聴力喪失、脳浮腫;嘔吐;不眠症及びナルコレプシーのような睡眠障害。
【0069】
上記障害のうち、統合失調症、双極性障害、単極性抑鬱、季節性抑鬱及び分娩後抑鬱などの抑鬱、月経前症候群(PMS)及び月経前気分不快症(PDD)、学習障害、自閉症のようなひねくれ発達異常症、注意不足/活動亢進異常症のような注意障害、自閉、トゥレット病のようなチック症、恐怖症及び外傷後ストレス障害のような不安障害、痴呆、AIDS痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙直、ミオクローヌス、筋肉痙攣、耳鳴り及び難聴、聴力喪失に付随する認識障害の治療が特に重要である。
【0070】
特定実施態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む認識障害の治療方法を提供する。具体的な認識障害は、痴呆、譫妄、健忘症及び加齢関連認識減退である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、痴呆、譫妄、健忘症及び加齢関連認識減退のような認識障害の診断ツールを提供している。本文中に使用した“認識障害”という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表及び分類系が存在すること、また、これらの系が医学及び科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されよう。従って、“認識障害”という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含意する。
【0071】
別の特定実施態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む不安障害の治療方法を提供する。具体的な不安障害は、全身性不安障害、強迫異常症、パニック発作である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、全身性不安障害、強迫異常症、パニック発作のような不安障害の診断ツールを提供している。本文中に使用した“不安障害”という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表及び分類系が存在すること、また、これらの系が医学及び科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されよう。従って、“不安障害”という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含意する。
【0072】
別の特定実施態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む統合失調症または精神病の治療方法を提供する。具体的な統合失調症または精神病は、妄想型、解体型、緊張型または分類不能型統合失調症及び物質誘発精神病的異常症である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、妄想型、解体型、緊張型または分類不能型統合失調症及び物質誘発精神病的異常症の診断ツールを提供している。本文中に使用した“統合失調症または精神病”という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表及び分類系が存在すること、また、これらの系が医学及び科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されよう。従って、“統合失調症または精神病”という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含意する。
【0073】
別の特定実施態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む物質関連障害及び耽溺行為の治療方法を提供する。具体的な物質関連障害及び耽溺行為は、持続性痴呆、持続性健忘症、精神病的障害または物質濫用によって誘発される不安症、濫用物質に対する耐性、依存、禁断である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、持続性痴呆、持続性健忘症、精神病的障害または物質濫用によって誘発される不安症、濫用物質に対する耐性、依存、禁断のような物質関連障害及び耽溺行為の診断ツールを提供している。本文中に使用した“物質関連障害及び耽溺行為”という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表及び分類系が存在すること、また、これらの系が医学及び科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されよう。従って、“物質関連障害及び耽溺行為”という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含意する。
【0074】
別の特定実施態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む疼痛の治療方法を提供する。具体的な疼痛の例は、骨及び関節の痛み(骨関節炎)、反復運動痛、歯痛、癌の痛み、筋膜性疼痛(筋肉傷害、線維筋肉痛)、手術関連疼痛(外科手術全般、婦人科)、慢性疼痛及び神経性疼痛である。
【0075】
別の特定実施態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む、過食に付随する肥満または摂食障害及びそれらに付随する合併症の治療方法を提供する。現在、肥満は、International Classification of Diseases and Related Health Problemsの第10版(ICD−10)(1992 World Health Organization)に全身の病的状態として含まれている。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、病的状態に影響を及ぼす心理的要因の存在下の肥満を含む診断ツールを提供している。本文中に使用した“過食に付随する肥満または摂食障害”という用語は、ICD−10及びDSM−IV−TRに記載されたような病的状態の治療を含む。全身の病的状態の代替的命名法、疾病分類表及び分類系が存在すること、また、これらの系が医学及び科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されよう。従って、“過食に付随する肥満または摂食障害”という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含意する。
【0076】
主題化合物は更に、本文中に示した疾患、障害及び状態を予防、治療、管理、改善またはその危険性を低減するための方法に有用である。
【0077】
主題化合物は更に、グリシン輸送体GlyT1活性のインヒビターのような他の薬剤と組合せて上記に挙げた疾患、障害及び状態を予防、治療、管理、改善またはその危険性を低減するための方法に有用である。
【0078】
本発明の化合物は、本発明の化合物または他の薬剤が有効性を発揮する上記に挙げた疾患または状態を予防、治療、管理、改善またはその危険性を低減するために、薬剤の併用がいずれか1つの薬剤の単独使用よりも安全で効率的である場合には1種以上の他の薬剤と併用し得る。このような(1種以上の)他の薬剤は、それらの常用の経路及び量で本発明の化合物と同時または順次に投与するとよい。本発明の化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用する場合には、このような他の薬剤と本発明の化合物とを含有している単一剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、本発明の化合物と1種以上の他の薬剤とをオーバーラップする別々の投与計画で投与する治療方法も併用療法に包含される。1種以上の他の有効成分と併用する場合には、本発明の化合物及び他の有効成分は各々が単独で使用されるときよりも低い用量で使用できると考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の有効成分を含有する医薬組成物を包含する。
【0079】
上記併用には、本発明の化合物と1種類の他の活性化合物との併用だけでなく、2種類以上の他の活性化合物との併用も含まれる。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有効な疾患または状態の予防、治療、管理、改善、またはその危険性を低減するために使用される他の薬剤と併用し得る。このような他の薬剤は、それらの常用の経路及び量で本発明の化合物と同時または順次に投与するとよい。本発明の化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用するとき、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の有効成分を含有する医薬組成物も包含する。
【0080】
本発明の化合物対第二有効成分の重量比は、各成分の有効用量次第で変更できる。一般には各成分の有効用量を使用する。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と併用するとき、本発明の化合物対他の薬剤の重量比は一般には約1000:1−約1:1000、好ましくは約200:1−約1:200の範囲であろう。本発明の化合物と他の有効成分との組合せも一般的に上記の範囲内であろうが、どの場合にも、各有効成分の有効用量を使用しなければならない。
【0081】
このような併用では、本発明の化合物と他の有効薬剤とを別々に投与してもよく、または、合せて投与してもよい。更に、一方の要素の投与が他方の(1種以上の)薬剤の投与の前、同時または後のいずれでもよい。
【0082】
従って、主題化合物は、単独で使用してもよく、対象適応症に有効であることが判っている他の薬剤と併用してもよく、あるいは、受容体や酵素に影響を及ぼして本発明の化合物の有効性、安全性、利便性を増強するかまたは望ましくない副作用や毒性を減少させる他の薬物と併用してもよい。主題化合物及び他の薬剤は、共存療法としてまたは固定配合薬として同時投与し得る。
【0083】
1つの実施態様で本発明は、抗アルツハイマー薬、ベータ−セクレターゼインヒビター、ガンマ−セクレターゼインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、イブプロフェンのようなNSAID類、ビタミンE、及び、抗アミロイド抗体と併用し得る。
【0084】
別の実施態様で主題化合物は、鎮静剤、催眠薬、不安寛解剤、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、弱トランキライザー、メラトニンアゴニスト及びアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニストなど、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベンタゼパム、ベンズオクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクローラル、クローラルベタイン、クローラルヒドレート、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼパート、クロルジアゼポキシド、クロルエタン、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デクスクラモール、ジアゼパム、ジクローラルフェナゾン、ジバルプロエックス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミダート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、フォサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフラー、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォル、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクローン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾラート、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロフォス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム、及び、それらの塩、それらの組合せ、などと併用してもよく、または主題化合物の投与を、光治療もしくは電気刺激のような物理療法と併用してもよい。
【0085】
別の実施態様で主題化合物は、レボドパ(カルビドパまたはベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼインヒビター添加または不添加)、ビペリデン(場合によっては塩酸塩または乳酸塩の形態)及びトリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩のような抗コリン作動薬、エンタカポーンのようなCOMTインヒビター、MOA−Bインヒビター、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動性アゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、アレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールのようなドーパミン受容体アゴニストと併用し得る。ドーパミンアゴニストが医薬的に許容される塩の形態、例えば、アレンテモールヒドロブロミド、ブロモクリプチンメシラート、フェノルドパムメシラート、ナキサゴリド塩酸塩、ペルゴリドメシラートでもよいことは理解されよう。リスリド及びプラミペキソールは非塩形態で使用されるのが普通である。
【0086】
別の実施態様で主題化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環式ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロンクラスの神経遮断薬と併用し得る。フェノチアジンの適例は、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンである。チオキサンテンの適例は、クロルプロチキセン及びチオチキセンである。ジベンズアゼピンの一例はクロザピンである。ブチロフェノンの一例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの一例はピモジドである。インドロロンの一例はモリンドロロンである。他の神経遮断薬としては、ロキサピン、スルピリド及びリスペリドンがある。主題化合物と併用するときの神経遮断薬は、医薬的に許容される塩の形態でよく、例えば、塩酸クロルプロマジン、メソリダジンベシラート、塩酸チオリダジン、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸チオチキセン、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸モリンドロンであることは理解されよう。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは非塩形態で使用されるのが普通である。従って、主題化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパとベンセラジド、レボドパとカルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシルフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンと併用し得る。
【0087】
別の実施態様で主題化合物は、抗抑鬱剤または抗不安剤、例えば、ノルエピネフリン再吸収インヒビター(第三級アミン三環系及び第二級アミン三環系など)、選択的セロトニン再吸収インヒビター(SSRI)、モノアミンオキシダーゼインヒビター(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆性インヒビター(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリンの再吸収インヒビター(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレノレセプターアンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、異型抗抑鬱剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、及び、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストと併用し得る。具体的な薬剤は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン及びセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン及びセレジリン;モクロベミド;ベンラファキシン;デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム及びプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロン及びイプサピロン、及び、医薬的に許容されるそれらの塩である。
【0088】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射または注入、皮下注射、または、インプラント)、噴霧吸入、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または表在的投与経路によって投与でき、各投与経路に適した医薬的に許容される慣用の無毒性担体、アジュバント及びビヒクルを含有する適正な投与単位配合物として単独でまたは組合せて配合し得る。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどのような温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトに使用するために有効である。
【0089】
本文中に使用した“組成物”という用語は、特定した成分を所定の量または割合で含む製品、及び、特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られる製品を含意する。医薬組成物に関するこの用語は、1種類以上の有効成分と不活性成分のような任意の担体とを含む製品、並びに、2種以上の成分の配合、複合化もしくは凝集、または、1種類もしくは複数の成分の解離、または、1種類もしくは複数の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる製品を含意する。一般に医薬組成物は、有効成分を液体担体または微細分割固体担体またはこれら双方と均一かつ均質に会合させ、次いで必要ならば製品を所望の配合物に形成することによって調製できる。有効主題化合物は、疾患の進行または症状に所望の効果を生じるために十分な量で医薬組成物に含有される。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって調製したいかなる組成物も包含する。
【0090】
経口使用するための医薬組成物は、製薬業界で公知の方法に従って調製でき、このような組成物は、医薬的にエレガントで服用し易い製剤とするための甘味料、嬌味料、着色料及び保存料から成る群から選択された1種類以上の添加剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適した医薬的に許容される無毒性賦形剤と混合された有効成分を含有している。錠剤は剤皮なしでもよく、または、胃腸管での崩壊及び吸収を遅延させこれによって長期間の持続作用を与えるために公知技術によって剤皮をかけてもよい。経口使用するための組成物はまた、有効成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合した硬質ゼラチンカプセル、または、有効成分を水もしくは油媒体例えばピーナツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合した軟質ゼラチンカプセルの形態であってもよい。水性懸濁液、油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、水中油型エマルジョン、注射可能な無菌の水性または油性懸濁液は当業界で公知の標準方法によって調製できる。
【0091】
グリシン輸送体GlyT1活性の阻害が必要な状態を治療する場合、適正投与量レベルは、一般には1日に体重1kgあたり約0.01−500mgでよく、この量を一回で以上回に分割して投与できる。投与量レベルは、好ましくは1日に約0.1−約250mg/kgであり、より好ましくは1日に約0.5−約100mg/kgであろう。適正投与量レベルは、1日に約0.05−250mg/kg、約0.05−100mg/kg、または、約0.1−50mg/kgであろう。この範囲内で投与量は1日あたり0.05−0.5、0.5−5または5−50mg/kgでよい。経口投与の場合、治療される患者への投与量を対症的に調整するために、組成物が、1.0−1000ミリグラムの有効成分、特に、1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900及び1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態を有しているのが好ましい。化合物は1日に1−4回、好ましくは1日に1回または2回のレジメンで投与するとよい。この投与レジメンは最適な治療レスポンスを生じるように調整し得る。しかしながら、個々の患者に対する具体的な投与量レベル及び投与頻度は変更でき、使用される特定化合物の活性、該化合物の代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モード及び時間、排泄速度、併用薬物、個々の状態の重篤度、及び、宿主が受けている治療、などに左右されることは理解されよう。
【実施例】
【0092】
化学的な記載及び実施例に使用した略号の意味を以下に示す:CHClジクロロメタン;DIEA ジイソプロピルエチルアミン;PS−DIEA ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン;PS−DMAP ポリスチレン4−N,N−ジメチルアミノピリジン;DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド;Ra−Ni ラネーニッケル;HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール;THF テトラヒドロフラン;TFA トリフルオロ酢酸;MeOH メタノール。
【0093】
本発明の化合物のいくつかの製造方法を以下のスキーム及び実施例に示す。出発材料及び必要な中間体はいくつかの場合には市販されており、または、文献に記載の手順で製造するかもしくは本文中に示した手順で製造できる。
【0094】
本発明の化合物は、以下のスキームに示すような反応を、文献で公知のまたは実験手順に例示した他の標準的操作と共に使用して製造できる。スキームに示した置換基の番号は、特許請求の範囲に使用した番号と必ずしも相関していない。また、分り易いようにしばしば、上記に定義の条件下で多数の置換基が可能な化合物に対しても1個の置換基の結合だけを示している。本発明の化合物を生成させるために使用した反応は、本文中のスキーム及び実施例に示した反応を、文献から公知であるかまたは実験手順で例示したようなエステル加水分解、保護基の開裂、などのような他の標準的操作と共に使用するように設計する。
【0095】
いくつかの場合には、例えば、置換基の操作によって最終生成物を更に修飾し得る。これらの操作の非限定例は、当業者に公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化、及び、加水分解、などの反応である。いくつかの場合には、反応を促進するためまたは望ましくない反応生成物の形成を防止するために上記反応スキームの実施順序を変更してもよい。本発明がより十分に理解されるように以下の実施例を与える。これらの実施例は単なる代表例であり、本発明がこれらに限定されると解釈してはならない。
【0096】
【化24】

【0097】
が水素、Rが水素を表す本発明の化合物の場合は、一般反応スキームIに示すように、適宜置換された4−シアノピペリジンをKHMDSを使用して脱保護し、次いで2−フルオロピリジンとの求核芳香族置換反応によってI−2を生成させる。この物質をHClに接触させるとBoc保護基が除去されて遊離アミンが生じるので、このアミンを標準反応条件下でスルホニルクロリドで処理すると対応するスルホンアミドが形成される。水素雰囲気下でRa−Niを使用して水素添加すると、対応するアミンが得られるので、このアミンを標準反応条件下でアシル化して最終物質を得る。この例では、使用したすべてのスルホニルクロリド、酸塩化物及びカルボン酸は出発4−シアノピペリジンと同様に市販品であった。
【0098】
【化25】

【0099】
がC1−6アルキル、Rが水素またはC1−6アルキルである化合物の場合、一般反応スキームIIに示したように、適宜置換された4−シアノピペリジンを標準反応条件下でスルホニルクロリドと反応させて対応するスルホンアミドとする。グリニャール試薬を使用するニトリルへの求核付加またはアルキルセリウム試薬を使用するニトリルへの二重求核付加によって対応するアミンが形成される。ラセミ混合物のクロマトグラフィー分離後にこの物質を標準条件下でアシル化して最終物質を得る。この例では、使用したすべてのスルホニルクロリド、酸塩化物、グリニャール試薬及びアルキルリチウム試薬、酸塩化物、カルボン酸は市販品であった。出発4−シアノピペリジンは市販品である。
【0100】
【化26】

【0101】
tert−ブチル 4−シアノ−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート(I−2)
トルエン(40mL)中の2−フルオロ−ピリジン(5.83g,60mmole)の溶液にtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(I−1) (4.22g,20mmole)及び0.5MのKHMDSの溶液(48mL,24mmole)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。反応混合物をブライン(150mL)に入れ、EtOAc(3×150mL)で抽出した。集めた有機抽出物をブライン(2×100 mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、所望生成物tert−ブチル 4−シアノ−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート(I−2)が黄褐色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),3.076分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0102】
4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−3)
tert−ブチル 4−シアノ−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート(I−2)(5.45g,19mmole)を0℃のTFA−DCM(1:1,50mL)に溶解した。得られた反応混合物を0℃で40分間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。反応混合物溶液を濃縮した。残渣を2NのNaOH−ブライン(1:1,80mL)で処理し、EtOAc(5×200mL)で抽出した。集めたEtOAc抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、所望生成物4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−3)が黄色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm), 0.962分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階に使用した。
【0103】
1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−4A)
4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−2)(3.55g,19mmole)を0℃でDCM−DIEA(v/v5:1,60mL)に溶解した。この溶液にn−PrSOCl(2.98,21mmole)を添加した。次に反応混合物を0℃でl時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。2NのNaOH(40mL)を添加し、反応混合物を0℃で1時間撹拌した、次に、反応混合物溶液をEtOAc(4×200mL)で抽出した。集めたEtOAc抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、所望生成物1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−4A)が黄褐色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.642分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0104】
1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メテンアミン(I−5)
アンモニア−MeOH(2M,100mL)中の1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−4A)(5.56g,19mmole)とRaney−Ni(2.8g)との混合物をH下(55psi)、室温で水素化した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。触媒を濾過し、MeOH(6×60mL)で洗浄した。MeOH溶液を回転蒸発器で濃縮すると、1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メテンアミン(I−5)が液体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),1.706分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0105】
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−6)
2−クロロ−3,6−ジフルオロベンゾイルクロリド(253mg,1.2mmole) を0℃のDCM(10mL)中の1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メテンアミン(1−5)(297mg,1.0mmole) 及びDIEA(310mg,2.4mmole)の溶液に撹拌しながら添加した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。1NのNaOH(3mL)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。この後、ブライン(5mL)を添加した。有機相を分離した。水相をDCM(2×15mL)で抽出した。集めた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、LCMSによって精製した。濃縮したLCMS収集物を1NのNaOH(4 mL)で処理し、DCM(4×10mL)で抽出した。集めたDCM抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、所望生成物が遊離塩基として得られた(白色固体、458mg)。この遊離塩基をジオキサン中の4MのHCl(2mL)で処理し、濃縮すると、HCl塩が白色固体として獲られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.344分。H NMR(500MHz,CDCl):δ8.71(d,J=5.2Hz,1H),8.40(t,J=7.8Hz,1H),8.30−8.37(s,broad,1H),7.85(t,J=8.1Hz,2H),7.08−7.14(m,1H),6.93−6.98(m,1H),4.19(d,J=6.1Hz,2H),3.51−3.57(m,4H),2.90−2.95(m,2H),2.54(d,J=13.8Hz,2H),2.23−2.33(m,2H),1.80−1.89(m,2H),1.07(t,J=7.5Hz,3H);MS,C2124ClFS(M+H)の計算値472.1268;測定値472.126。
【0106】
【化27】


【0107】
tert−ブチル 4−シアノ−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(II−2)
トルエン(40mL)中の2−フルオロ−6−メチルピリジン(6.67g,60mmole)の溶液にtert−ブチル4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(I−1)(4.22g,20mmole)及び0.5MのKHMDSの溶液(48mL,24mmole)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。反応混合物をブライン(150mL)に注ぎ、EtOAc(3×150mL)で抽出した。集めた有機相をブライン(2×100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、所望生成物tert−ブチル 4−シアノ−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(II−2)が黄褐色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),3.241分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0108】
4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−カルボニトリル二塩酸塩(II−3)
tert−ブチル 4−シアノ−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(II−2)(5.41g,18mmole)をジオキサン(60mL)中の4MのHClに添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。反応混合物を濃縮すると、4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−カルボニトリル二塩酸塩(II−3)が白色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),1.669分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0109】
4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(II−4A)
DIEA(5.16g,40mmole)を含有しているDCM(60mL)中の4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−カルボニトリル二塩酸塩(II−3)(2.74g,10mmole)の0℃溶液に、n−CSOCl(1.57g,11mmole)を添加した。得られた反応混合物を0℃で2時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。2NのNaOH(30mL)を反応に加えた。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。この時間の経過後、DCM層を分離した。水溶液をDCM(3×80mL)で抽出した。集めたDCM溶液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、所望生成物4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(II−4A)が得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.967分。
この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0110】
{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン(II−5)
アンモニア−MeOH(2M,80mL)中の4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(II−4A)(2.77g,9mmole)及びRaney−Ni(1.5g)をH(55psi(約0.4MPa))下、室温で水素化した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。触媒を濾過し、MeOH(6×60mL)で洗浄した。MeOH溶液を回転蒸発器で濃縮すると、{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン(II−5)が液体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),1.931分。この生成物をそれ以上精製しないで次段階反応に使用した。
【0111】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(II−6)
2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(252mg,1.2mmole)を、DCM(10mL)中の{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン(II−5)(311mg,1.0mmole)及びDIEA(310mg,2.4mmole)の溶液に0℃で撹拌しながら添加した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。この時間の経過後、LCMSは反応が完了したことを示した。1NのNaOH(3mL)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。この期間後、ブライン(5mL)を添加した。有機相を分離した。水溶液をDCM(2×15mL)で抽出した。集めた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、LCMSによって精製した。濃縮したLCMS収集物を1NのNaOH(4mL)で処理し、DCM(4×10mL)で抽出した。集めたDCM抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、純粋生成物が遊離塩基として得られた(白色固体,458mg)。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.454分。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.60(d,J=7.4Hz,2H),7.46(t,J=6.0Hz,H),7.40(d,J=2.1Hz,1H),7.30(dd,J=8.4,2.4Hz,1H),7.16(d,J=8.1Hz,IH),7.04(d,J=7.8Hz,1H),3.86(d,J=5.9Hz,2H),3.33(t,J=5.9Hz,4H),2.87−2.93(m,2H),2.50(s,3H)2.25−2.32(m,2H),1.91−1.99(m,2H),1.82−1.90(m,2H),1.06(t,J=7.5Hz,3H);HRMS,C2228ClS(M+H)の計算値484.1223;測定値484.1183。
【0112】
【化28】

【0113】
tert−ブチル 4−シアノ−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート(III−2)
2−フルオロピリジン(5.83g,60mmol)とtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(I−1,4.22g,20mmol)とのトルエン(40mL)溶液を室温でKHMDS(48mLの0.5M溶液,24mmol)によって処理した。2時間撹拌後、反応混合物をブライン(150mL)に注ぎ、EtOAc(3×150mL)で抽出した。集めた有機抽出物をブライン(2×150mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮すると、tert−ブチル 4−シアノ−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート(I−2)が黄褐色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),3.076分。この生成物をそれ以上精製しないで以後の反応に使用した。
【0114】
1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル (III−3)
tert−ブチル 4−シアノ−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート(I−2,5.45g,19mmol)を0℃のTFA/CHCl(1:1,50mL)に溶解した。40分間撹拌後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を飽和NaCl水溶液中の2NのNaOH(1:1,80mL)で希釈し、EtOAc(5×200mL)で抽出した。集めた抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮すると、4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(3.55g,19mmol)が得られたので、これを直ちに以後の反応に使用した。CHCl(50mL)中の4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(3.55g,19mmol)の0℃溶液をi−PrNEt(10mL)及びn−EtSOCl(2.24mL,21mmol)で処理した。0℃で1時間撹拌後、反応混合物を2NのNaOHで処理し、更に1時間激しく撹拌した後、EtOAc(4×200mL)で抽出した。集めた有機抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮すると、1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−3)が黄褐色固体として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),1.6501分。この物質をそれ以上精製しないで以後の反応に使用した。
【0115】
(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}アミン(III−4)
トルエン(130mL)中の1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−3,5.0g,17mmol)の室温溶液をMeMgBr(48.9mLの1.0Mジブチルエーテル溶液,28.9mmol)で処理した。18時間後、反応混合物を0℃に冷却し、MeOH(29mL)で処理した。10分後、反応混合物をNaBH(1.0g,26.4mmol)で処理し、室温に加温し、更に10分間撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、飽和NHCl(15mL)水溶液を添加して反応停止させた。反応混合物をHO(300mL)で希釈し、EtOAcで抽出した(3×200mL)。集めた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮し、pH7のリン酸塩バッファ(300mL)に溶解した。緩衝した溶液をEtOAc(200mL)で洗浄し、有機相を新しいpH7バッファ(2×150mL)で抽出した。集めたバッファ溶液を濃NHOHで塩基性にし、CHCl(3×200mL)で抽出し、これらの抽出物を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮すると、{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}アミン(I−4)が得られた。この物質をChiralPak ADカラムを使用してIR及びIS異性体に完全に分割した(>99% ee)。Mosher’sアミドのNOE分析及び誘導体のX線単結晶分析は、各異性体の絶対立体配置を確認した。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),1.864分。
【0116】
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(III−5)
DMF(0.7mL)中の{(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}アミン(I−4,80mg,0.26mmol)の溶液をi−PrNEt(0.2mL,1.15mmol)及び2,4−ジクロロ−ベンゾイルクロリド(0.15mL,0.8mmol)で処理し、室温で30分間撹拌した。反応混合物を逆相HPLCによって直接精製すると、2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(III−5)が得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.619分。H NMR(CDCl,300MHz);δ8.58(dm,J=3.6Hz,1H),7.95(d,J=8.4Hz,1H),7.74(td,J=7.6,1.8Hz,1H),7.62(d,J=8.1Hz,1H),7.44(d,J=1.8Hz,1H),7.31(m,2H),4.51(m,1H),3.59(m,1H),3.49(m,1H),3.27(m,1H),2.91(q,J=7.5Hz,2H),2.88(m,1H),2.88(m,1H),2.47(m,2H),2.04(m,2H),1.33(t,J=7.2Hz,3H),0.93(d,J=6.6Hz,3H);HRMS:C2125ClSの計算値470.1067(M+H);測定値470.1055。
【0117】
【化29】

【0118】
{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}アミン(IV−1)
CeCl・7HO(3.78g,10.1mmol)の固体サンプルを高真空下、145℃で撹拌しながら2時間乾燥した後、綿毛のような白色固体を室温に冷却し、THF(20mL)を添加した。得られた懸濁液を2時間激しく撹拌し、−78℃に冷却し、MeLi(6.1mLの1.5Mジエチルエーテル溶液,9.2mmol)で処理した。30分後、THF中の1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−カルボニトリル(I−3,0.9g,3.1mmol)を滴下し、一夜を要して反応混合物を室温に昇温させた。濃NHOH(10mL)を加えて反応停止させ、セライトで濾過し(CHCl洗浄液)、濾液をHO(150mL)で希釈し、CHCl(3×100mL)で抽出した。集めた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮し、逆相HPLCによって精製すると、{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル} アミン(II−1)が淡褐色油として得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.036分。
【0119】
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(IV−2)
DMF(0.7mL)中の{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}アミン(II−1,43mg,0.13mmol)の溶液をi−PrNEt(0.066mL,0.38mmol)及び2−クロロ−3,6−ジフルオロベンゾイルクロリド(0.2mL,0.8mmol)で処理し、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を逆相HPLCによって直接精製すると、2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(II−2)が得られた。分析用LCMS:単一ピーク(214nm),2.803分。H NMR(CDOD,300MHz)δ8.67(d,J=3.9Hz,1H),8.51(s,1H),8.15(ddd,J=1.8,7.8,8.1Hz,1H),7.88(d,J=8.4Hz,1H),7.60(dd,J=5.5,6.9Hz,1H),7.34(ddd,J=4.8,9.3,14.1Hz,1H),7.21(ddd,J=4.2,8.4,12.3Hz),1H),3.76−3.65(m,2H),2.86−2.78(m,4H),2.69−2.54(m,2H),2.25−2.15(m,2H),1.76−1.63(m,2H),1.43(s,6H),0.98(t,J=7.2Hz,3H);HRMS m/z500.1572(C2328ClFS+Hは500.1581を必要とする)。
【0120】
表1に示す化合物は、反応スキームIまたはIIに示す手順を使用し、スキーム1、2、3、4及び上記実施例に記載されたような適正に置換されたスルホニルクロリド及び/または酸塩化物/カルボン酸を置換することによって合成した。必要な出発材料は、市販されているかまたは文献に記載されているかまたは有機合成業界の当業者により容易に合成される。
【0121】
【表1】



















【0122】
【化30】

【0123】
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(アゼチジンスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(V−2)
DMF(1mL)中の2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(V−1,45mg,0.12mmol)の溶液を氷浴で冷却し、i−PrNEt(0.86mL,0.49mmol)で処理し、次いで、アゼチジニルスルファモイルクロリドで処理した(参考文献J.Chem.Soc.Perkin I 1994,p1595)(29mg,0.19mmol)。 混合物を室温に昇温させ、室温で12時間撹拌した。揮発性成分を真空下で除去し、3%メタノール−DCMで溶出させる分取TLCによって残渣を精製すると、2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(アゼチジンスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(V−2)が得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.55(d,J=3.4Hz,1H),7.71(t,J=7Hz,1H),7.57(d,J=8Hz,1H),7.37(m,2H),7.27(m,1H),7.19(m,1H),7.08(s,1H),3.90(t,J=7.5Hz,4H),3.84(d,J=6.5Hz,2H),3.46(m,2H),3.30(m,2H),2.31(m,2H),2.22(m,2H),1.94(m,2H);MS483(M+H)。
【0124】
表2に示す化合物は、反応スキームV及び先行実施例に示す手順を使用し、適正に置換されたスルファモイルクロリドを置換することによって合成した。必要な出発材料は、市販されているかまたは文献に記載されているかまたは有機合成業界の当業者により容易に合成される。
【0125】
【表2】


【0126】
【化31】

【0127】
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(tert−ブトキシカルボニルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−1)
DCM(5mL)中の2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(V−1,603mg,1.66mmol)及びEtN(201mg,1.99mmol)の溶液をtert−ブトキシカルボニルアミノスルホニルクロリド(tert−ブタノール(205mg,2.77mmol)とクロロスルホニルイソシアナート(234mg,1.66mmol)との反応によって用時調製)と文献に記載の手順に従って反応させると(参考文献Tetrahedron 1993,49,p65−76)、粗生成物が得られた。1−2%メタノール−DCMで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(tert−ブトキシカルボニルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−1)が得られた。MS543(M+H)。
【0128】
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−((tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−2)
水素化ナトリウム(油中の60%分散液,8.6mg,0.22mmol)をDMF(4mL)中の2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(tert−ブトキシカルボニルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−1,100mg,0.20mmol)の撹拌溶液に窒素下で添加した。室温で15分間撹拌後、ヨウ化エチル(0.016mL,0.20mmol)のDMF(1mL)溶液を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、次いでジエチルエーテルと水とに分配した。有機相を分離し、水相をジエチルエーテルで2回再抽出した。集めた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空下で溶媒を除去した。2%メタノール−DCMで溶出させる分取TLCによって精製すると、2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−((tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−2)が得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.57(d,J=4.1Hz,1H),7.75(m,1H),7.55(d,J=8.5Hz,1H),7.40(d,J=8.0Hz,1H),7.36(d,J=1.7Hz,1H),7.28(m,1H),7.22(m,1H),6.99(m,1H),3.83(d,J=6.0Hz,2H),3.71(m,2H),3.56(m,2H),3.37(m,2H),2.35(m,2H),1.98(m,2H),1.48(s,9H),1.24(t,J=7.0Hz,3H)。
【0129】
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−3)
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−((tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−2,35mg,0.061mmol)をDCM(1.6mL)に溶解し、氷浴で冷却した。TFA(0.4mL)を滴下し、添加が完了すると反応混合物をアニス浴で0.5時間撹拌し、次いで室温に昇温させ、室温で12時間撹拌した。反応混合物の揮発性成分を真空下で除去し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下した。混合物をEtOAcで3回抽出した。集めた有機相を乾燥し(NaSO)、真空下で溶媒を除去すると、2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド(VI−3)が得られた。H NMR(CDOD,500MHz)δ8.62(d,J=4.1Hz,1H),7.93(m,1H),7.65(d,J=8.0Hz,1H),7.48(d,J=1.8Hz,1H),7.37(m,1H),7.30(d,J=8.0Hz,1H),3.66(s,2H),3.48(m,2H),3.00(q,J=7.0Hz,2H),2.94(m,2H),2.50(m,2H),2.04(m,2H),1.12(t,J=7.0Hz,3H);MS472(M+H)。
【0130】
【化32】

【0131】
2.4−ジクロロ−N−{[1−[(エチルアミノ)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
【0132】
【化33】

【0133】
N−エチル−2−ヒドロキシル−ベンゼンスルホンアミド
DCM(2ml)中のカテコールスルフェート(911mg,5.29mmol)の溶液をトリエチルアミン(0.65g,0.89ml,6.35mmol)及びエチルアミン(2MのTHF溶液,3.17ml,6.35mmol)の溶液に0℃で激しく撹拌しながら添加した。混合物を0℃で2.5時間撹拌し、次いで0.3MのHCl溶液(100ml)に注ぎ、ジエチルエーテル(3×25ml)で抽出した。集めた有機抽出物を水洗し(6×50ml)、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させると、黄色油が得られた。DCM中の5%メタノールで溶出させるシリカクロマトグラフィーによって粗生成物を処理すると、標題生成物がオレンジ色の油として得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):7.23−7.17(2H,m),7.08−7.04(1H,m),6.96−6.90(1H,m),6.28(1H,bs),4.84(1H,bs),3.33(2H,q,J=7.2Hz),1.24(3H,t,J=7.3Hz)。
【0134】
2,4−ジクロロ−N−{[1−[(エチルアミノ)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
ジオキサン(2ml)中のN−エチル−2−ヒドロキシル−ベンゼンスルホンアミド (30mg,0.137mmol)及び2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(57.5mg,0.150mmol)(実施例1の方法で調製)の溶液を窒素下で4.5時間還流させた。混合物を放冷し、次いで1MのHCl溶液に注ぎ、ジエチルエーテル(2×20ml)で抽出した。有機相を水(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。イソヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出させる分取TLCによって粗生成物を精製すると、標題化合物が泡状白色固体として得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.39−8.35(1H,m),7.55(1H,d,J=8.4Hz),7.43−7.35(2H,m),7.30−7.01(2H,m),6.76−6.69(1H,m),4.00−3.94(3H,m),3.54−3.45(2 H,m),3.26−3.20(2H,m),3.17−3.09(2H,m),2.74−2.63(2H,m),1.88−1.80(2H,m),1.19(3H,t,J=7.2Hz)。m/e=489/491(3:2)。
【0135】
表3に示す化合物は、N−エチル−2−ヒドロキシル−ベンゼンスルホンアミドと先行実施例に記載の手順で調製した適正に置換されたピペリジンとから合成した。必要な出発材料は、市販されているかまたは文献に記載されているかまたは有機合成業界の当業者により容易に合成される。
【0136】
【表3】

【0137】
【化34】

【0138】
実施例8−1
【0139】
【化35】

【0140】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−シアノ−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
トルエン(50mL)中のtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(6.3g,30mmol)及び2−フルオロ−3−メチルピリジン(5g,45 mmol)の溶液を調製し、カリウムヘキサメチルジシラジド(72mL,0.5Mのトルエン溶液)を滴下しながら氷浴で冷却した。混合物を一夜で室温に昇温させた。溶液を水(200mL)に入れ、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させて、オレンジ色の油とした。5%酢酸エチルを含有するジクロロメタンを溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望生成物:tert−ブチル4−シアノ−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが白色固体として得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.41(1H,dd,J=1.4,4.7Hz),7.54−7.2(1H,m),7.19(1H,dd,J=4.6,7.6Hz),4.24(2H,br s),3.28(2H,br s),2.64(3H,s),2.24(4H,br s),1.47(9H,s)。
【0141】
tert−ブチル 4−(アミノメチル)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
メタノール(70mL、2Mアンモニア含有)中のtert−ブチル 4−シアノ−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(2g,6.6mmol)の溶液をラネーニッケル(1mLの50%水性スラリー)と共に45psi水素下で24時間反応させた。触媒を濾別し、メタノールで十分に洗浄した。溶媒を蒸発させると、所望生成物:tert−ブチル 4−(アミノメチル)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.44(1H,br s),7.41(1H,d,J=7.4Hz),7.07(1H,br s),3.80(2H,br s),3.01(4H,br s),2.66(2H,s),2.48(3H,s),1.62−1.54(2H,m),1.44(9H,s)。
【0142】
tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
tert−ブチル 4−(アミノメチル)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1g,3.3mmol)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.63mL,36mmol)とのジクロロメタン(10mL)溶液を調製した。2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(0.48mL,3.4mmol)を滴下し、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を水(20mL)に入れ、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させてオレンジ色の油とした。10%酢酸エチルを含有するジクロロメタンを溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望生成物:tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.36(1H,dd,J=1.7,4.6Hz),7.56(1H,d,J=8.4Hz),7.44−7.42(1H,m),7.35(1H,d,J=2.0Hz),7.26(1H,dd,J=2.0,8.4Hz),7.09(2H,dd,J=4.6,7.6Hz),3.95(2H,br s),3.58−3.52(4H,m),2.55(3H,s),1.68−1.61(2H,m),1.47(9H,m)。
【0143】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド塩酸塩
tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(200mg,0.42mmol)のメタノール(5mL)溶液を調製した。塩酸(濃塩酸、1mL)を添加し、混合物を室温で6時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣をトルエンと共沸させると、所望生成物:2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド塩酸塩が得られた。m/z(ES)378(M+H)。
【0144】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド塩酸塩(173mg,0.42mmol)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL,1.7mmol)とのジクロロメタン(5mL)溶液を調製した。1−プロパンスルホニルクロリド(47μL)を添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液(飽和、10mL)に入れ、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させた。20%酢酸エチルを含有するジクロロメタンを溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望生成物:2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.35(1H,d,J=3.3Hz),7.56(1H,d,J=8.3Hz),7.47(1H,d,J=7.6Hz),7.37(1H,d,J=1.9Hz),7.29−7.26(2H,m),7.11(1H,dd,J=4.6,7.6Hz),4.02(2H,d,J=6.1Hz),3.53−3.41(4H,m),2.91−2.89(2H,m),2.72−2.64(2H,m),2.60(3H,s),1.89−1.81(2H,m),1.80−1.74(2H,m),1.06(3H,t,J=7.4Hz);m/z(ES)484(M+H)。
【0145】
表4の化合物は、上記実施例のように適正に置換された複素環から、適正に置換されたスルホニルクロリド及び/または酸塩化物/イソシアナートを置換することによって合成した。必要な出発材料は、市販されているかまたは文献に記載されているかまたは有機合成業界の当業者により容易に合成される。
【0146】
【表4】







【0147】
【化36】

【0148】
(実施例9)
【0149】
【化37】

【0150】
2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル}エチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−(1−アミノエチル)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
tert−ブチル 4−シアノ−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(603mg,2.0mmol)のトルエン(10mL)溶液を調製し、メチルマグネシウムブロミド(1mL,ジエチルエーテル中に3M)を滴下しながら氷浴で冷却した。得られたスラリーを室温で24時間撹拌し、次いで、追加量のメチルマグネシウムブロミド(1mL,ジエチルエーテル中に3M)を添加し、混合物を室温で更に6時間撹拌した。混合物を氷浴で冷却し、メタノール(3mL)を加えて反応停止させた。0℃で10分間維持した後、ホウ水素化ナトリウム(113mg,3.0mmol)を添加し、混合物を15分間で室温に昇温させた。混合物を再度氷浴で冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を滴下した。次に混合物を水(50mL)に入れ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させると、所望生成物:tert−ブチル 4−(1−アミノエチル)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。m/z(ES)320(M+H)。
【0151】
2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド
実施例8−1に記載の化学的手順を使用し、tert−ブチル 4−(1−アミノエチル)−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(540mg,1.69mmol)を2,4−ジクロロベンゾイルクロリドを用いてアシル化し、脱保護し、1−プロパンスルホニルクロリドでスルホニル化すると、所望生成物:2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.41(1H,d,J=3.3Hz),7.56(1H,d,J=8.2Hz),7.47(1H,d,J=7.5Hz),7.42(1H,d,J=1.8Hz),7.31(1H,dd,J=1.9,8.3Hz),7.13−7.11(2H,m),4.78−4.72(1H,m),3.62−6.57(2H,m),3.00(1H,t,J=10.3Hz),2.90−2.75(6H,m),2.59(3H,s),2.06−2.00(1H,m),1.89−1.74(3H,m),1.07(3H,d,J=6.7Hz),1.01(3H,t,J=7.4Hz);m/z(ES)498(M+H)。
【0152】
【化38】

【0153】
(実施例10−1)
【0154】
【化39】

【0155】
N−{[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−2,4−ジクロロベンズアミド
tert−ブチル 4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート
実施例8−1に記載の方法を使用し、2,3−ジブロモピリジン(5g,21mmol)とtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(3.0g,14mmol)とをカリウムヘキサメチルジシラジド(17.1mmol)の存在下で反応させると、所望生成物:tert−ブチル4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−4−シアノピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.53(1H,dd,J=1.5,4.6Hz),7.97(1H,dd,J=1.5,8.0Hz),7.18(1H,dd,J=4.4,8.0Hz),4.23(2H,br s),3.29(2H,br s),2.48(2H,br s),2.15(2H,br s),1.47(9H,s)。
【0156】
4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル
tert−ブチル 4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g)のジクロロメタン(3mL)溶液を調製した。トリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。次に混合物を炭酸ナトリウム水溶液(20mL,2M)に入れ、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させて油とした。次にこの油をジクロロメタン(5mL)に再溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.95mL,5.4mmol)、1−プロパンスルホニルクロリド(0.31mL,2.7mmol)を順次に添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。減圧下に溶媒を除去し、10%酢酸エチルを含有するジクロロメタンを溶出剤とし使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、所望生成物:4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリルが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.54(1H,dd,J=1.5,4.6Hz),7.98(1H,dd,J=1.5,7.9Hz),7.21(1H,dd,J =4.6,8.1Hz),3.99−3.95(2H,m),3.35−3.29(2H,m),2.98−2.94(2H,m),2.63−2.59(2H,m),2.38−2.30(2H,m),1.93−1.85(2H,m),1.09(3H,t,J=7.4Hz)。
【0157】
{[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン塩酸塩
4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(500mg)のテトラヒドロフラン(10mL、1Mのボラン−テトラヒドロフラン錯体含有)溶液を形成し、還流下で2時間加熱した。混合物を室温に放冷し、次いでメタノール(2mL)を滴下した。減圧下に溶媒を除去し、残渣をメタノールに(5mL)に再溶解した後、塩酸(濃塩酸、1mL)を添加した。混合物を30分間撹拌後、減圧下で溶媒を除去し、残渣をトルエンと共沸させると、所望生成物:{[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン塩酸塩が得られた。m/z(ES)376,378(M+H)。
【0158】
N−[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−2,4−ジクロロベンズアミド
{[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン塩酸塩(100mg,0.24mmol)をN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.13mL,0.72mmol)と共にジクロロメタン(5mL)に溶解した。2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(34μL,0.24mmol) を添加し、混合物を一夜撹拌した。混合物を炭酸ナトリウム水溶液(10mL,2M)に入れ、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させた。10%酢酸エチルを含有するジクロロメタンを溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、所望生成物:N−{[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−2,4−ジクロロベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.50(1H,dd,J=1.4,4.5Hz),7.94(1H,dd,J=1.4,7.9Hz),7.58(1H,d,J=8.3Hz),7.36(1H,d,J=1.9Hz),7.29(1H,dd,J=8.3,1.9Hz),7.10(1H,dd,J=4.5,7.9Hz),6.87(1H,m),5.30(1H,s),4.15(2H,d,J=6.2Hz),3.46−3.44(4H,m),3.14−3.08(2H,m),2.90−2.88(2H,m),1.90−1.76(4H,m),1.06(3H,t,J=7.4Hz);m/z(ES)548,550(M+H)。
【0159】
(実施例10−2)
【0160】
【化40】

【0161】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−シアノ−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例8−1に記載の方法を使用し、2,6−ジフルオロピリジン(2g,17mmol)とtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(2.4g,11mmol)とをカリウムヘキサメチルジシラジド(14mmol)の存在下で反応させると、所望生成物:tert−ブチル 4−シアノ−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):7.86(1H,q,J=7.9Hz),7.54(1H,dd,J=2.3,7.4Hz),6.93−6.91(1H,m),4.28(2H,br s),3.17(2H,br s),2.25−2.17(2H,m),2.02(2H,d,J=14.6Hz),1.48(9H,s)。
【0162】
tert−ブチル 4−(アミノメチル)−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
tert−ブチル 4−シアノ−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(250mg,0.82mmol)とトリエチルアミン(1mL)とのメタノール(20mL)溶液をラネーニッケル(0.5mL、水中の50%スラリー)と共に40psiの水素下で5時間反応させた。触媒を濾別し、メタノールで十分に洗浄した。溶媒を蒸発させると、所望生成物:tert−ブチル 4−(アミノメチル)−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。m/z(ES)310(M+H)。
【0163】
tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例8−1に記載の方法を使用し、tert−ブチル 4−(アミノメチル)−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.82mmol)を2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(0.12mL,0.82mmol)でアシル化すると、所望生成物:tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):7.81(1H,q,J=8.0Hz),7.61(1H,d,J=8.3Hz),7.38(1H,d,J=1.9Hz),7.29(1H,dd,J=8.0,2.0Hz),7.24(1H,dd,J=7.7,2.7Hz),6.82(1H,dd,J=3.0,8.1Hz),6.69(1H,m),3.80(1H,br s),3.68−3.62(2H,m),3.40−3.34(2H,m),2.22−2.16(2H,m),1.87−1.81(2H,m),1.45(9H,s)。
【0164】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(6−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(340mg,0.7mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液を調製した。トリフルオロ酢酸(1mL) を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を炭酸ナトリウム水溶液(20mL,2M)に入れ、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させて油とした。次にこの油をジクロロメタン(5mL)に再溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.24mL,1.4mmol)、1−プロパンスルホニルクロリド(80μL,0.7mmol)を順次に添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。減圧下に溶媒を除去し、20%酢酸エチルを含有するジクロロメタンを溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、所望生成物:2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):7.83(1H,q,J=8.0Hz),7.60(1H,d,J=8.3Hz),7.39(1H,d,J=1.9Hz),7.30(1H,dd,J=1.9,8.3Hz),7.27−7.25(1H,m),6.85(1H,dd,J=2.9,8.1Hz),6.77(1H,m),3.87(2H,d,J=6.2Hz),3.50−3.44(2H,m),3.41−3.35(2H,m),2.90−2.88(2H,m),2.31−2.25(2H,m),2.00−1.96(2H,m),1.89−1.81(2H,m),1.06(3H,t,J=7.4Hz)。m/z(ES)488(M+H)。
【0165】
(実施例10−3)
【0166】
【化41】

【0167】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−クロロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−クロロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
実施例10−2の方法を使用し、2,6−ジクロロピリジンをtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレートと反応させ、ラネーニッケルを用いて還元し、2,4−ジクロロベンゾイルクロリドでアシル化し、脱保護し、次いで、1−プロパンスルホニルクロリドでスルホニル化すると、所望生成物:2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−クロロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):7.69(1H,t,J=7.8Hz),7.63(1H,d,J=8.3Hz),7.40(1H,d,J=1.9Hz),7.32−7.30(2H,m),7.24(1H,d,J=7.8Hz),6.94(1H,m),3.89(2H,d,J=6.2Hz),3.48−3.40(4H,m),2.91−2.89(2H,m),2.29−2.23(2H,m),1.99−1.95(2H,m),1.88−1.81(2H,m),1.06(3H,t,J=7.4Hz)。m/z(ES)504,506(M+H)。
【0168】
【化42】

【0169】
(実施例11)
【0170】
【化43】

【0171】
2.4−ジクロロ−N−{[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N{[4−(6−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4イル]メチル}ベンズアミド(50mg,0.10mmol)の塩酸(5mLの5M塩酸及び5mLの濃塩酸)溶液を調製した。混合物を100℃で4時間加熱し、次いで放冷し、水(10mL)に入れ、炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させた。10%メタノールを含有するジクロロメタンを溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、所望生成物: 2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):12.80(1H,br s),7.42(1H,dd,J=7.1,9.0Hz),7.11(1H,d,J=1.9Hz),7.01(1H,dd,J=1.9,8.2Hz),6.88(1H,d,J=8.3Hz),6.79(1H,t,J=6.3Hz),6.48(1H,d,J=9.0Hz),6.11(1H,d,J=7.0Hz),3.83(2H,d,J=6.5Hz),3.56−3.52(2H,m),3.30−3.27(2H,m),2.88−2.86(2H,m),2.30−2.26(2H,m),2.08−2.04(2H,m),1.87−1.79(2H,m),1.05(3H,t,J=7.4Hz);m/z(ES)486(M+H)
【0172】
【化44】

【0173】
(実施例12)
【0174】
【化45】

【0175】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−シアノ−4−[3−(メトキシメトキシ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート:
実施例8−1に記載の方法を使用し、2−クロロ−3−メトキシメトキシ−ピリジン (Tetrahedron 58(2002),309−314)(2g,11.5mmol)とtert−ブチル 4−シアノピペリジン−1−カルボキシレート(1.6g,7.7mmol)とをカリウムヘキサメチルジシラジド(9.2mmol)の存在下で反応させると、所望生成物:tert−ブチル 4−シアノ−4−[3−(メトキシメトキシ) ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.21(1H,d,J=4.6Hz),7.53(1H,d,J=8.3Hz),7.27−7.23(1H,m),5.31(2H,s),4.20(2H,br s),3.55(3H,s),3.28(2H,br s),2.35(2H,s),2.10(2H,br s),1.47(9H,s)。
【0176】
tert−ブチル4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−[3−(メトキシメトキシ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例8−1に記載の方法を使用し、tert−ブチル 4−シアノ−4−[3−(メトキシメトキシ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートをラネーニッケルで還元し、2,4−ジクロロベンゾイルクロリドを使用してアシル化すると、所望生成物:tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]−メチル}−4−[3−(メトキシメトキシ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.18(1H,dd,J=1.3,4.5Hz),7.50−7.46(2H,m),7.33(1H,d,J=1.9Hz),7.25(1H,dd,J=8.3,2.0),7.15(1H,dd,J=4.6,8.3Hz),6.70(1H,m),5.25(2H,s),4.01(2H,br s),3.68−3.62(2H,m),3.49(3H,s),3.44−3.38(2H,m),2.75−2.69(2H,m),1.66−1.60(1H,m)1.46(9H,s)。
【0177】
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−[3−メトキシピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(200mg,0.38mmol)のメタノール溶液(5mL)を調製した。塩酸(濃塩酸、2mL)を添加し、混合物を室温で24時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、残渣をN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.26mL,1.5mmol)と共にジクロロメタン(5mL)に溶解した。1−プロパンスルホニルクロリド(89μL,0.8mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、残渣をメタノール(5mL)に再溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1mL,4N)を加えた。混合物を還流下で20分間加熱し、次いで放冷し、水(20mL)に入れ、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させた。40%酢酸エチルと60%ジクロロメタンとの混合物を溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、所望生成物:2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.09(1H,dd,J=1.3,4.5Hz),7.47(1H,s),7.44(1H,d,J=8.3Hz),7.35(1H,d,J=1.9Hz),7.26(1H,dd,J=8.3,1.9),7.16(1H,dd,J=1.2,8.1Hz),7.07(1H,dd,J=4.6,8.0Hz),6.95(1H,t,J=5.8Hz),4.00(2H,d,J=6.1Hz),3.56−3.50(2H,m),3.27−3.23(2H,m),2.99−2.97(2H,m),2.86−2.84(2H,m),1.85−1.78(2H,m),1.73−1.67(2H,m),1.03(3H,t,J=7.4Hz);m/z(ES)486,(M+H)。
【0178】
【化46】

【0179】
(実施例13)
【0180】
【化47】

【0181】
2,4−ジクロロ−N{[(2[R,S],4[S,R])−2−メチル−1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
tert−ブチル 4−シアノ−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
tert−ブチル 2−メチル−4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(375mg,1.76mmol)とp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(790mg,4.05mmol)との1,2−ジメトキシエタン(10mL)溶液を調製し、氷浴で冷却した。エタノール(0.23mL,4.05mmol)を添加し、次いで、カリウムt−ブトキシド(691mg,6.16mmol)を部分量ずつ添加した。混合物を室温に昇温させ、次いで還流下で18時間加熱した。混合物を放冷し、ブライン(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。集めた有機相を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過し、蒸発させた。20%酢酸エチルと80%イソヘキサンとの混合物を溶出剤として使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、所望生成物:tert−ブチル 4−シアノ−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。m/z(ES)225(M+H)。
【0182】
tert−ブチル(2[R,S],4[R,S])−4−シアノ−2−メチル−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレート
実施例8−1に記載の方法を使用し、tert−ブチル 4−シアノ−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(108mg,0.48mmol)と2−フルオロピリジン(62μL,0.72mmol)とをカリウムヘキサメチルジシラジド(0.58mmol)の存在下で反応させると、メチル(アキシアル)及びピリジル(エクアトリアル)がトランスであるラセミ化合物:tert−ブチル(2[R,S],4[R,S])−4−シアノ−2−メチル−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレートが主要エピマーとして得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.61−8.59(1H,m),7.77−7.73(1H,m),7.65−7.63(1H,m),7.27−7.24(1H,m),4.59(1H,br s),4.24(1H,d,J=13.0Hz),3.37(1H,t,J=12.8Hz),2.38(1H,dd,J=6.5,14.3Hz),2.27−2.20(1H,m),2.14−2.04(2H,m),1.51(3H,d,J=7.2Hz),1.48(9H,s)。
【0183】
2,4−ジクロロ−N−{[(2[R,S],4[S,R])−2−メチル−1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド
実施例8−1に記載の方法を使用し、tert−ブチル(2[R,S],4[R,S])−4−シアノ−2−メチル−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−カルボキシレートをラネーニッケルを用いて還元し、2,4−ジクロロベンゾイルクロリドを用いてアシル化し、脱保護し、次いで1−プロパンスルホニルクロリドでスルホニル化すると、2,4−ジクロロ−N−{[(2[R,S],4[S,R])−2−メチル−1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミドが得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.54(1H,d,J=3.9Hz),7.72−7.70(1H,m),7.57(1H,d,J=8.3Hz),7.39−7.36(2H,m),7.28(1H,dd,J=2.0,8.3Hz),7.18(1H,dd,J=4.9,7.3Hz),7.10(1H,m),3.98(1H,dd,J=6.3,13.5Hz),3.94−3.87(1H,m),3.80(1H,dd,J=5.2,13.5Hz),3.67−3.61(1H,m),3.48−3.42(1H,m),2.87(2H,t,J=7.8Hz),2.35−2.27(2H,m),2.00−1.92(2H,m),1.86−1.78(2H,m),1.48(3H,d,J=6.9Hz),1.03(3H,t,J=7.4Hz)。m/z(ES)484(M+H)。
【0184】
【化48】

【0185】
(実施例14)
【0186】
【化49】

【0187】
2,4−ジクロロ−N−({1−(エチルスルホニル)−4−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド
ヨウ化銅(I)(647mg,3.40mmol)及び噴霧乾燥した無水フッ化カリウム(197mg,3.40mmol)を管に入れ、帯緑色の均質粉末が得られるまで減圧下で穏やかに振盪しながら熱風ガンで加熱した。粉末を放冷した。真空を窒素雰囲気で置換し、次いで、DMF(0.5ml)中のtert−ブチル 4−シアノ−4−(3−ヨードピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(280mg,0.68mmol)(実施例1の方法で調製)及びN−メチルピロリジノン(0.5ml)を添加し、次いで(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(481mg,0.5ml,3.40mmol)を添加した。管をネジ蓋で密閉し、60℃で16時間加熱した。密閉した管を氷浴で30分間冷却した後、蓋を開けた。混合物を12%アンモニア水(25ml)に入れ、ジエチルエーテル(3×25ml)で抽出した。集めた有機相を12%アンモニア水(3×10ml)、ブライン(3×10ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させるとオレンジ色の油が得られた。粗生成物をイソヘキサン中の12%酢酸エチルで溶出させるシリカクロマトグラフィーで処理すると、標題化合物が油として得られた。H NMRδ(ppm)(CDCl):8.76(1H,d,J=4.4Hz),8.09(1H,d,J=8.0Hz),7.45(1H,dd,J=4.7,7.9Hz),2.37−2.19(4H,m),1.47(9H,s)。m/e=256(m−Boc)。tert−ブチル 4−シアノ−4−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートを実施例8−1の方法によって処理すると、2,4−ジクロロ−N−({1−(エチルスルホニル)−4−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド(データは前出の表に示す)が得られた。
【0188】
本発明をそのいくつかの特定実施態様に関して説明してきたが、本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく手順及びプロトコルの様々な応用、変更、修正、置換、削除または追加が可能であることは当業者に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、
は、
(1) 水素,
(2) 1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたはフェニルで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、
(3)−O−C1−6アルキル,
(4) ハロゲン,
(5) R2a、R2b及びR2cで置換されたフェニル、
(6) R2a、R2b及びR2cで置換された複素環、
(7) −CN,
(8) −CO、ここにRは独立に、
(a) 水素,
(b) 1ないし6個のフルオロで置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル、
(c) ベンジル及び
(d) フェニル、
から選択され、
(9) −SO
(10)−SO−NR1011、ここにR10及びR11は独立に
(a) 水素,
(b)ヒドロキシ、1ないし6個のフルオロまたは−NR1213で置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル、ここにR12及びR13は独立に水素及び−C1−6アルキルから選択され、また、R10及びR11が結合してアゼチジニル環を形成してもよく、
(c)ヒドロキシ、1ないし6個のフルオロまたは−NR1213で置換されるかまたは未置換の−C3−6シクロアルキル、
(d) ベンジル、
(e) フェニル、から選択され、及び、
(11)−CONR1011
から成る群の1つ以上から選択され、
は、
(1) R2a、R2b及びR2cで置換されたフェニル、
(2) R2a、R2b及びR2cで置換された複素環、
(3) 1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR10ll、フェニルまたは複素環で置換されるかまたは未置換のC1−8アルキル、ここにフェニルまたは複素環はR2a、R2b及びR2cで置換されている、
(4)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル
(5)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、
から成る群から選択され、
2a、R2b及びR2cは独立に、
(1) 水素、
(2) ハロゲン、
(3) (a) 1ないし6個のハロゲン、
(b) フェニル、
(c) C3−6シクロアルキル、または、
(d) −NR1011
で置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル、
(4) 1ないし6個のハロゲンで置換されるかまたは未置換の−O−C1−6アルキル、
(5) ヒドロキシ、
(6) −SCF
(7) −SCHF
(8) −SCH
(9) −CO
(10)−CN、
(11)−SO
(12)−SO−NR1011
(13)−NR1011
(14)−CONR1011、及び
(15)−NO
から成る群から独立に選択され、
は、
(1)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシル、−NR10ll、または、R2a、R2b及びR2cで置換された複素環で置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、
(2)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシルまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル、
(3)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換の−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、及び
(4)−NRl0ll、及び、
(5) R2a、R2b及びR2cで置換された複素環
から成る群から選択され、
及びRは独立に
(1) 水素、及び
(2) ハロゲンまたはヒドロキシルで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキルから成る群から選択されるか、
または、RとRとが一緒にC3−6シクロアルキル環を形成しており、
は、
(1) 水素、及び、
(2) C1−6アルキル
から成る群から選択され、
W、X、Y及びZは独立にCまたはNから選択され、(但し、W、X、Y及びZの少なくとも2つがCであり、ピリジン、オキソジヒドロピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジンまたは1,3,5−トリアジンを形成する)
Aは、
(1)−O−、及び、
(2) −NR10
から成る群から選択され、
mは0または1であり、mが0のときはRがカルボニルに直結している]
及び医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
式Iaの請求項1に記載の化合物
【化2】

または医薬的に許容されるその塩。
【請求項3】
が、
(1) 水素、
(2) C1−3アルキル、
(3) フルオロ、
(4) −CF
(5) −モルホリニル、及び、
(6) −O−C1−3アルキル、
から成る群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が水素またはメチルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式Ibの請求項1に記載の化合物
【化3】

[式中、RはC1−6アルキルである]
または医薬的に許容されるその塩、または、それらの個別鏡像異性体もしくはジアステレオマー。
【請求項6】
がC1−3アルキルであり、及びRが水素またはC1−3アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が(S)立体配置のC1−3アルキルであり、及びRが水素である請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がメチルであり、及びRが水素である請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
がメチルであり、及びRがメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が水素であり、及びRが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式Icの請求項1に記載の化合物
【化4】

または医薬的に許容されるその塩。
【請求項12】
が、
(1)R2a、R2b及びR2cで置換されたフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されたチエニル、
(3)1ないし6個のハロゲン、フェニルまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC1−8アルキル、ここにフェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されており、
(4)1ないし6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR10llで置換されるかまたは未置換のC3−6シクロアルキル
から成る群から選択され、及び
2a、R2b及びR2Cは独立に、
(1) 水素、
(2) ハロゲン、
(3) −C1−6アルキル、
(4) −O−C1−6アルキル、
(5) −CF
(6) −OCF
(7) −OCHF
(8) −SCF
(9) −SCHF、及び
(10)−NH
から成る群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
がフェニルまたはチエニルであり、及びR2a、R2b及びR2cが独立に、
(1) 水素、
(2) ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
から成る群から選択される請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
がフェニルであり、及びR2a、R2b及びR2cが独立に、
(1) 水素、
(2) フルオロ、
(3) クロロ、
(4) ブロモ
(5) −OCH
(6) −CF、及び、
(7) −NH
から成る群から選択される請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式Ifの請求項1に記載の化合物
【化5】

または医薬的に許容されるその塩。
【請求項16】
式Igの請求項1に記載の化合物
【化6】

または医薬的に許容されるその塩。
【請求項17】
式Ihの請求項1に記載の化合物
【化7】

または医薬的に許容されるその塩。
【請求項18】
が、フルオロで置換されるかまたは未置換のC1−6アルキル、C1−6アルキル−フルオロ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−シクロプロピル、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)またはアゼジニルから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
が−CHCHである請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
が−(CHCHである請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
が−CH−シクロプロピルである請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,6−ジクロロ−N−{1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}−ベンズアミド;
2−ブロモ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−アミノ−6−クロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−フルオロ−6−メトキシ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−フルオロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−6−(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
2,6−ジフルオロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,6−ジクロロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
4−クロロ−2−フルオロ−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(4−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(メチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(イソプロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(シクロプロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−3−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,6−ジクロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−3−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−4−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−4−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−({1−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ブタンアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−{[4−(6−モルホリン−4−イルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−モルホリン−4−イルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4,5−トリフルオロ−N−{[4−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−N−{[4−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}シクロヘキサンカルボキサミド;
2−クロロ−N−{[1−(シクロプロピルスルホニル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}−3,6− ジフルオロベンズアミド;
N−{[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}−2,4−ジフルオロベンズアミド;
N−(sec−ブチル)−N’−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ウレア;
N−(4−ブロモフェニル)−N’−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ウレア;
3−フルオロベンジル{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}カーバメート;
2−クロロベンジル{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}カーバメート;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
N−{1−メチル−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}−2−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{1−メチル−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{(1S)−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ブタンアミド;
N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}チオフェン−3−カルボキサミド;
N−(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}シクロペンタン−カルボキサミド;
N−(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}シクロヘキサン−カルボキサミド;
2−エチル−N−((1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ブタンアミド;
2−メチル−N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ブタンアミド;
3,3,3−トリフルオロ−N−{(1S)−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}プロパンアミド;
2,5−ジクロロ−N−{(1S)−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1− (プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}チオフェン−3−カルボキサミド;
4−ブロモ−N−{(1S)−1−[4−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}チオフェン−3−カルボキサミド;
2,5−ジクロロ−N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}チオフェン−3−カルボキサミド;
4−ブロモ−N−{(1S)−1−[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}チオフェン−3−カルボキサミド;
2−クロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリミジン4−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−N−(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−クロロ−N−(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}−3,6−ジフルオロベンズアミド;
2−クロロ−N−{(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル) ピペリジン−4−イル]エチル}−3,6−ジフルオロベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{(1S)−1−[1−(エチルスルホニル)−4−(6−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(アゼチジンスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(3−フルオロアゼチジンスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(3−フルオロアゼチジンスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(アゼチジンスルホニル)−4−(3−フルオロピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−メチル−1−[1−(エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−[(エチルアミノ)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−[1−(エチルアミノスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−[1−(エチルアミノスルホニル)−4−(3−フルオロピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−(プロピルスルホニル)−4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−(3−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}−ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−({1−(プロピルスルホニル)−4−[4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−クロロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−メトキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−N−{[4−(3−クロロピリジン−2−イル)−1−(エチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−3,6−ジフルオロベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−({1−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
メチル[(4−{[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−ピリジン−2−イルピペリジン−1−イル)スルホニル]アセテート;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(プロピルスルホニル)−4−ピラジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−(1−{1−[(3−フルオロプロピル)スルホニル]−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル}エチル)ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−({1−[(3−フルオロプロピル)スルホニル]−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−[(3−フルオロプロピル)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,5−ジフルオロ−N−{[1−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−5−フルオロ−N−{[1−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(3−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミ;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ブロモ−2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
N−(3−フルオロベンジル)−N’−{[1−(プロピルスルホニル)−4−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ウレア;
2,4−ジクロロ−N−{1−[1−(エチルスルホニル)−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
2−ブロモ−4−フルオロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2−クロロ−3,6−ジフルオロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(3−フルオロピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−({1−[(3−フルオロプロピル)スルホニル]−4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イルピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
2,4,6−トリフルオロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
N−(sec−ブチル)−N’−{[1−(プロピルスルホニル)−4−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ウレア;
2,4−ジクロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(3−メチルピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル}ベンズアミド;
N−{[4−(3−ブロモピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル−2,4−ジクロロベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−フルオロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−クロロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[4−(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−{[(2[R,S],4[S,R])−2−メチル−1−(プロピルスルホニル)−4−ピリジン−2−イルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド;
2,4−ジクロロ−N−({1−(エチルスルホニル)−4−[3−(トリフルオロメチル) ピリジン−2−イル]ピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
から成る群から選択される化合物、
または医薬的に許容されるその塩。
【請求項23】
医薬的に許容される担体と請求項1の化合物または医薬的に許容されるその塩とを含む医薬組成物。
【請求項24】
有効量の請求項1の化合物または医薬的に許容されるその塩の投与を含む、その必要がある哺乳動物のグリシン輸送体GlyT1の阻害方法。
【請求項25】
請求項1の化合物または医薬的に許容されるその塩を医薬担体または希釈剤と組合せる段階を含む、その必要がある哺乳動物のグリシン輸送体GlyT1を阻害する医薬の製造方法。
【請求項26】
治療有効量の請求項1の化合物または医薬的に許容されるその塩を患者に投与する段階を含む、その必要がある哺乳類患者のグリシン作動性またはグルタメート作動性神経伝達機能不全に付随する神経性及び精神医学的障害の治療方法。
【請求項27】
治療有効量の請求項1の化合物または医薬的に許容されるその塩を患者に投与する段階を含む、その必要がある哺乳類患者の統合失調症の治療方法。

【公表番号】特表2007−530576(P2007−530576A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505167(P2007−505167)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/009810
【国際公開番号】WO2005/094514
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】