説明

ベルト式無段変速装置

【課題】運搬車両等に搭載したベルト式無段変速装置では、減速されてエンジンがアイドリング状態になると、エンジンからトランスミッションへの動力伝達が完全に遮断されるため、エンジンブレーキが全く作動せず、アイドリング状態で長い下り坂を下ろうとした場合等には、フットブレーキを多用しなければならない、という問題があった。
【解決手段】エンジン2からの動力をトランスミッション10の入力部材9に伝達する動力伝達経路45に、前記エンジン2からの出力回転速度が所定の限界速度を下回ると前記動力伝達経路45を遮断する動力クラッチ機構50を介設したベルト式無段変速装置3において、前記動力伝達経路45遮断時には前記入力部材9に対してエンジン2からの制動力を付加しうる制動力伝達経路46を設け、該制動力伝達経路46は前記動力伝達経路45とは別系列にて形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速してエンジンがアイドリング状態になると、該エンジンからトランスミッションへの動力伝達が遮断されるベルト式無段変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運搬車両等に搭載したベルト式無段変速装置は、エンジンの出力軸に固定した駆動プーリと、トランスミッションの入力軸に固定した従動プーリと、該従動プーリと前記駆動プーリに巻回したベルトとから成り、両プーリの少なくとも一方にはピッチ径を可変とする構成(以下、「ピッチ径可変装置」とする)を備え、前記駆動プーリから従動プーリまでの経路(以下、「動力伝達経路」とする)を通って、エンジンからの動力がトランスミッションに伝達される。
そして、この動力伝達経路の途中部には、動力の断接を行うクラッチ機構(以下、「動力クラッチ機構」とする)が設けられている。該動力クラッチ機構としては、例えば、遠心力の低下に伴って駆動プーリの可動側プーリが固定側プーリから離れていき、一定距離以上離れると可動側プーリがベルトと完全に離間してエンジンからの動力がベルトに伝わらないようにする、前記ピッチ径可変装置内に設けられた動力断接構造(例えば、特許文献1参照)や、前記ピッチ径可変装置とは別に並設した遠心クラッチ装置(例えば、特許文献2参照)が公知となっており、減速されてエンジンがアイドリング状態になると、このような動力クラッチ機構によって、出力軸とベルトとの接続を完全に遮断し、アイドリングの安定化を図るようにしている。
【特許文献1】実公昭48−44548号公報
【特許文献2】実開平4−101053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようにトランスミッションへの動力伝達が完全に遮断された状態では、低速回転のエンジンによる制動力、いわゆるエンジンブレーキが前記入力軸に対して全く作用しないため、アイドリング状態で長い下り坂を下ろうとする際等には、ディスクブレーキ装置等のフットブレーキを多用して速度を調整しなければならず、摩擦熱によりフェード現象やヴェイパーロック現象が発生してフットブレーキが効かなくなる場合がある、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジンからの動力をトランスミッションの入力部材に伝達する動力伝達経路に、前記エンジンからの出力回転速度が所定の限界速度を下回ると前記動力伝達経路を遮断する動力クラッチ機構を介設したベルト式無段変速装置において、前記動力伝達経路遮断時には前記入力部材に対してエンジンからの制動力を付加しうる制動力伝達経路を設け、該制動力伝達経路は前記動力伝達経路とは別系列にて形成するものである。
請求項2においては、前記入力部材の入力回転速度がエンジンからの出力回転速度を上回ると、制動クラッチ機構を介して、前記入力部材がエンジンからの出力部材と接続するものである。
請求項3においては、前記制動クラッチ機構は、クラッチ入力部材がクラッチ出力部材に対して一方向のみに相対回転して空転し、他方向へは相対回転せずに係合するワンウェイクラッチとするものである。
請求項4においては、前記制動力伝達経路には、油圧ポンプと油圧モータとを複数の油路で流体接続して成る油圧閉回路を設け、該油圧閉回路内に、チェック弁を有するバイパス油路を前記制動クラッチ機構として備えるものである。
請求項5においては、前記制動クラッチ機構は、前記出力回転速度と入力回転速度とを比較してクラッチの入切を行う電磁クラッチとするものである。
請求項6においては、前記動力伝達経路と制動力伝達経路の少なくとも一方をカバー部材内に配設するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、エンジンからの動力をトランスミッションの入力部材に伝達する動力伝達経路に、前記エンジンからの出力回転速度が所定の限界速度を下回ると前記動力伝達経路を遮断する動力クラッチ機構を介設したベルト式無段変速装置において、前記動力伝達経路遮断時には前記入力部材に対してエンジンからの制動力を付加しうる制動力伝達経路を設け、該制動力伝達経路は前記動力伝達経路とは別系列にて形成したので、制動力伝達経路を介して前記入力部材にエンジンブレーキを作用させることができ、アイドリング状態で長い下り坂を下ろうとする際のフットブレーキの使用を最小限に抑え、摩擦熱によるフェード現象やヴェイパーロック現象の発生を回避して、安定したブレーキ性能を確保することができる。更に、制動力伝達経路は動力伝達経路とは別系列に設けたので、制動力伝達経路のみの後付けが可能となり、既存のベルト式無段変速装置の全体を交換する必要がなくて装置コストが安くて済み、また、容易に着脱することができ高いメンテナンス性を実現することができる。
請求項2においては、前記入力部材の入力回転速度がエンジンからの出力回転速度を上回ると、制動クラッチ機構を介して、前記入力部材がエンジンからの出力部材と接続するので、低速回転のエンジンによる制動力を、トランスミッションの入力部材に迅速かつ効率良く作用させることができ、優れたブレーキ性能を確保することができる。
請求項3においては、前記制動クラッチ機構は、クラッチ入力部材がクラッチ出力部材に対して一方向のみに相対回転して空転し、他方向へは相対回転せずに係合するワンウェイクラッチであるので、簡単な構造で制動クラッチ機構を形成することができ、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項4においては、前記制動力伝達経路には、油圧ポンプと油圧モータとを複数の油路で流体接続して成る油圧閉回路を設け、該油圧閉回路内に、チェック弁を有するバイパス油路を前記制動クラッチ機構として備えるので、制動力の伝達やクラッチの入切を全て圧油の流れによって行い、制動力のかかり方を滑らかにすることができ、ベルトやギア等の固体部品の係合による伝動に比べ、制動力伝達時やクラッチ入切時にベルト式無段変速装置内の各伝達部材等に与える衝撃や負荷を大きく減少させて、作業時の騒音の低減や装置耐久性の著しい向上を図ることができる。
請求項5においては、前記制動クラッチ機構は、前記出力回転速度と入力回転速度とを比較してクラッチの入切を行う電磁クラッチであるので、制動クラッチの入切条件を細かく制御することができ、車両の性能や地面の状況等に応じてエンジンブレーキの作動条件を適正化して、ブレーキ性能の更なる向上を図ることができる。また、電磁クラッチは小型化が可能であり、ベルト式無段変速装置をコンパクトにすることができる。
請求項6においては、前記動力伝達経路と制動力伝達経路の少なくとも一方をカバー部材内に配設するので、ゴミ等の異物がベルトに噛込んだり、水、油といったものが付着するのを防止することができ、変速動作を支障なく安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に関わる第一実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図2は第一実施例のベルト式無段変速装置の平面一部断面図、図3は第二実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図4は第三実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図5は第四実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図6は第五実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図7は第六実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図8は第七実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図9は第八実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図10は第九実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図11は第十実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図、図12は第十一実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
なお、以下の説明では、図1の図面に向かって、図面上方のエンジン2側を機体の前方、図面左方のベルト式無段変速装置3側を機体の左方とする。
【0007】
まず、本発明に関わる第一実施例のベルト式無段変速装置3を搭載した車軸駆動部1の全体構成について、図1により説明する。
車両の車体5内に配設された車軸駆動部1は、原動機であるエンジン2と、左右の車輪6・6を固定した車軸7・7を支持し駆動する車軸駆動装置4と、該車軸駆動装置4と前記エンジン2とを接続してエンジン2からの動力を車軸駆動装置4に変速して伝達する主変速機構としてのベルト式無段変速装置3とから構成される。
【0008】
このうちの車軸駆動装置4においては、前記エンジン2からの動力を変速する装置であるトランスミッション10が、前記車軸7・7とともに収納され、該トランスミッション10の入力軸9と上記エンジン2からの出力軸8とが、前記ベルト式無段変速装置3によって連結されている。
【0009】
そして、この車軸駆動装置4のハウジング11は、例えばハウジング半部を接合して構成され、その内部の区画に、左右一対の前記車軸7・7や、該車軸7・7を差動的に結合するデフギア装置12や、図外のデフロックレバーに連動して該デフギア装置12をロックするためのデフロック機構13や、前記入力軸9上に配置される遠心ガバナ14や、図外の副変速レバーの操作に連動して副変速を行う副変速機構15等が配置されている。更に、車軸駆動装置4の側部には、他の車軸駆動装置等に動力を出力するための動力取出部16が設けられている。
【0010】
このうちの遠心ガバナ14は、入力軸9に取り付けられて遠心力に応じて外側に回動することにより入力軸9の回転速度を検出するセンサであるガバナウェイト17と、該ガバナウェイト17の外側への回動に連係して軸方向に移動されるリフタ18とを有し、該リフタ18は、図示せぬガバナフォーク、ガバナ軸、出力アームを介して、前記エンジン2のスロットルバルブと適宜のリンク機構によって連係されている。これにより、前記遠心ガバナ14が入力軸9の回転速度を検出し、それに応じて前記エンジン2の燃料噴射量を調節することとし、該入力軸9の回転数増減に伴い前記エンジン2の動力の出力を変更できるようにしている。
【0011】
また、前記副変速機構15においては、前記入力軸9が原動側を構成しており、該入力軸9には、高速ギア19が相対回転不能に固定されると共に、低速ギア20と後進ギア21も相対回転不能に固定されている。更に、前記入力軸9と平行に変速軸22が配置され、該変速軸22には、高速従動ギア23と後進従動ギア25とが相対回転自在に遊嵌されると共に、前記高速従動ギア23のボス部上には低速従動ギア24が相対回転自在に設けられている。そして、このうちの高速従動ギア23は前記高速ギア19に噛合され、低速従動ギア24は前記低速ギア20に噛合され、更に、後進従動ギア25は、ハウジング11内に遊転自在に設けた図示せぬ逆転ギアを介して、前記後進ギア21に噛合されている。
【0012】
更に、変速軸22上の低速従動ギア24と後進従動ギア25との間には、スプラインハブ26が相対回転不能に取り付けられ、該スプラインハブ26上には、クラッチスライダ27が相対回転不能かつ軸方向摺動自在に設けられており、該クラッチスライダ27は、軸方向に摺動変位されることにより、高速従動ギア23・低速従動ギア24・後進従動ギア25のうちのいずれか一つに係合し、正方向の高速回転、低速回転、又は逆方向の回転を選択的に変速軸22に対して付与できるようにしている。あるいは、前記クラッチスライダ27が前記高速従動ギア23・低速従動ギア24・後進従動ギア25のいずれにも係合しない中立位置とすることもできるようにしている。更に、このクラッチスライダ27は、直線的に摺動可能に構成したクラッチフォークシャフトを介して、図示せぬ副変速レバーに連係されている。これにより、該副変速レバーの傾動操作によって、クラッチスライダ27を低速前進位置、高速前進位置、後進位置、あるいは中立位置に設定できるようにしている。
【0013】
また、前記デフギア装置12には、前記変速軸22の一端側寄りの部位に設けられた出力ギア28を介して、変速軸22の回転が伝達されるように構成されている。すなわち、デフギア装置12は、通例のごとく、前記車軸7・7と同一回転軸心を有するように車軸駆動装置4内に支持された中空のデフケース29と、該デフケース29外周面に固設され上記変速軸22の出力ギア28と噛合されるリングギア30と、前記デフケース29内において車軸7・7と直交配置されデフケース29と一体的に回転するピニオン軸31と、該ピニオン軸31の両端に回転自在に配置されるベベルギアであるピニオン32・32と、前記車軸7・7の内端側に固定され前記ピニオン32・32に噛合されるベベルギアであるデフサイドギア33・33とにより構成されている。
【0014】
また、このようなデフギア装置12をロックするための前記デフロック機構13は、デフケース29のリングギア30固設位置と逆側に形設されたボス部に軸方向摺動自在に設置されるデフロックスライダ34と、該デフロックスライダ34に固設されてその先端を前記デフケース29内へ突入させるロック部材35と、該ロック部材35の先端を係止可能とすべく機体左右一側のデフサイドギア33の背面に設けられた係合部36より構成されており、このうちのデフロックスライダ34の摺動操作により、ロック部材35が係合部36に係止されてデフケース29と車軸7とが一体的に連結され、デフギア装置12がロックされて、左右の車軸7・7が同一回転速度で駆動されるようにしている。更に、このデフロックスライダ34は、デフシフトフォークからアームやリンク機構等を介して、図示せぬデフロックレバーに連係されている。これにより、該デフロックレバーの傾動操作によって、デフロックスライダ34をデフギア装置12のロック又はロック解除位置に設定できるようにしている。
【0015】
また、前記左右一対の車軸7・7上には摩擦式のディスクブレーキ装置37・37がそれぞれ配設されており、図示せぬブレーキペダルを操作することにより、車軸7・7に対して、フットブレーキによる制動力を付与できるように構成している。
【0016】
また、前記動力取出部16においては、前記変速軸22の一端がハウジング11の機体左右一側へ延出され、該延出部分には、カップリング39を介して伝動軸40が連結され、該伝動軸40の先端は、更に同じ側へ延出してハウジング11側面より外方へ突出されている。この伝動軸40は、車軸駆動装置4側面に凸状に設けられた駆動取出ケース38内に突出され、この突出部分先端には、ベベルギア41が固定されると共に、前記駆動取出ケース38内にて機体前後方向に支持された出力軸42にも、ベベルギア43が固設され、該ベベルギア43は前記ベベルギア41と噛合されている。そして、この出力軸42は、前記駆動取出ケース38から前方へ突出されて、他の車軸駆動装置等の入力軸にドライブシャフト44を介して連結されるようにしている。これにより、変速した後の動力を動力取出部16から他の車軸駆動装置等に伝達できるようにしている。
【0017】
次に、前記ベルト式無段変速装置3について、図1、図2により説明する。
このベルト式無段変速装置3は、前記エンジン2からの動力をトランスミッション10に伝達する動力伝達トレイン45と、該動力伝達トレイン45側方に並設した制動力伝達トレイン46とから構成される。
【0018】
動力伝達トレイン45においては、第一ケース49内に駆動側ピッチ径可変装置51が収納され、該駆動側ピッチ径可変装置51において、出力軸8の回転速度が増加すると、該出力軸8に設けたウェイト等によって、V駆動プーリ47の可動側プーリ47bが固定側プーリ47aに向かって押動され、出力軸8からの動力がV駆動プーリ47に伝達された状態(以下、「動力接続状態」とする)で、固定側プーリ47aと前記可動側プーリ47bとの間の間隔が狭くなってV駆動プーリ47のピッチ径が増加し、減速比小の高速段となる。逆に、出力軸8の回転速度が減少すると、固定側プーリ47aと可動側プーリ47bとの間の間隔が広くなってV駆動プーリ47のピッチ径が減少し、減速比大の低速段となる。出力軸8の回転速度が更に減少し、可動側プーリ47bが固定側プーリ47aから一定距離以上離れると、可動側プーリ47bはVベルト54と完全に離間し、出力軸8の回転力がVベルト54に伝達されなくなり(以下、「動力遮断状態」とする)、これにより動力断接構造が形成されている。
【0019】
一方、前記入力軸9の左端部にはV従動プーリ48が設けられ、該V従動プーリ48より右方の入力軸9上には、第二ケース52内に収納された従動側ピッチ径可変装置53が配置されており、該従動側ピッチ径可変装置53においては、V従動プーリ48の可動側プーリ48bが固定側プーリ48aに向かってバネ等で常時付勢されている。そして、これらV駆動プーリ47とV従動プーリ48との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力は、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48を通って変速された後、入力軸9より前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。
【0020】
また、前記制動力伝達トレイン46においては、前記出力軸8の左端に形成されたフランジ8aに、駆動プーリ軸58の右端に形成されたフランジ58aがボルト60によって締結されると共に、該駆動プーリ軸58には、歯付き駆動プーリ55がボルト61によって締結されている。一方、前記車体5または図示せぬ装置カバーに固設された軸受け62には、従動プーリ軸59の左端部が回動自在に支持され、該従動プーリ軸59の右部には歯付き従動プーリ56が外嵌固定され、該歯付き従動プーリ56と前記歯付き駆動プーリ55との間には歯付きベルト57が巻回されており、従動プーリ軸59が出力軸8に常時接続された状態となっている。
【0021】
そして、この従動プーリ軸59の右端にはフランジ59aが形成されると共に、前記V従動プーリ48の固定側プーリ48aにはクラッチ軸64のフランジ64aがボルト63によって締結され、これらフランジ59aとクラッチ軸64との間にワンウェイクラッチ65が介設されている。該ワンウェイクラッチ65では、前記クラッチ軸64の周りに、ハウジング65aが、クラッチエレメント65bを介して一方向(以下、「空転方向」とする)にのみ回転可能に外嵌されると共に、該ハウジング65aは、従動プーリ軸59の前記フランジ59aと連結されている。
【0022】
なお、前記ワンウェイクラッチ65については、トランスミッション10の入力軸9に接続されたクラッチ軸64の回転方向と、エンジン2からの出力軸8に接続された従動プーリ軸59の回転方向とは、いずれも前記空転方向と同一とし、クラッチ軸64の回転速度が従動プーリ軸59の回転速度以下であれば、該従動プーリ軸59に連結されたハウジング65aは、クラッチ軸64に対して前記空転方向に相対回転し、クラッチ軸64の周りを空転または連れ回ることができる。逆に、クラッチ軸64の回転速度が従動プーリ軸59の回転速度を上回ると、ハウジング65aは、クラッチ軸64に対して相対回転不可となりクラッチ軸64と係合し、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となって、従動プーリ軸59とクラッチ軸64とが接続されることとなる。
【0023】
このような構成において、エンジン2の回転速度が増加すると、動力接続状態となって出力軸8にV駆動プーリ47が接続されると共に、固定側プーリ47aと可動側プーリ47bとの間の間隔が狭くなってV駆動プーリ47のピッチ径が増加し、これにより、出力軸8からの動力は、前記動力伝達トレイン45で減速比小の高速段の動力に変速されながら、入力軸9から前記トランスミッション10内に伝達される。
【0024】
ここで、制動力伝達トレイン46における歯付き駆動プーリ55と歯付き従動プーリ56との減速比は、V駆動プーリ47とV従動プーリ48との減速比の下限値よりも小さくなるように設定している。これにより、動力接続状態では、歯付き従動プーリ56に連結された従動プーリ軸59の回転速度を、V従動プーリ48に連結されたクラッチ軸64の回転速度よりも大きく、つまり、クラッチ軸64の回転速度を従動プーリ軸59の回転速度以下にすることができ、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aはクラッチ軸64の周りを空転または連れ回るだけとなって、エンジン2からの制動力は、トランスミッション10の入力軸9に対しては全く作用しない。
【0025】
そして、エンジン2が減速されていくと、固定側プーリ47aと可動側プーリ47bとの間の間隔が広くなってV駆動プーリ47のピッチ径が減少し、出力軸8からの動力は、動力伝達トレイン45で減速比大の低速段の動力に変速された後、入力軸9から前記トランスミッション10内に伝達される。
【0026】
更に、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態となって出力軸8とVベルト54との間が遮断されると共に、エンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加してクラッチ軸64の回転速度が従動プーリ軸59の回転速度を上回ると、前述の如く、ハウジング65aがクラッチ軸64に対して相対回転不可となりワンウェイクラッチ65が「入」状態となって、従動プーリ軸59とクラッチ軸64とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、制動力伝達トレイン46を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになるのである。
【0027】
すなわち、エンジン2からの動力をトランスミッション10の入力部材である入力軸9に伝達する動力伝達経路である動力伝達トレイン45に、前記エンジン2からの出力回転速度が所定の限界速度を下回ると前記動力伝達トレイン45を遮断する動力クラッチ機構である動力断接構造を介設したベルト式無段変速装置3において、前記動力伝達トレイン45遮断時には前記入力軸9に対してエンジン2からの制動力を付加しうる制動力伝達経路である制動力伝達トレイン46を設け、該制動力伝達トレイン46は前記動力伝達トレイン45とは別系列にて形成したので、制動力伝達トレイン46を介して前記入力軸9にエンジンブレーキを作用させることができ、アイドリング状態で長い下り坂を下ろうとする際のフットブレーキの使用を最小限に抑え、摩擦熱によるフェード現象やヴェイパーロック現象の発生を回避して、安定したブレーキ性能を確保することができる。更に、制動力伝達トレイン46は動力伝達トレイン45とは別系列に設けたので、制動力伝達トレイン46のみの後付けが可能となり、既存のベルト式無段変速装置の全体を交換する必要がなくて装置コストが安くて済み、また、容易に着脱することができ高いメンテナンス性を実現することができる。
【0028】
そして、前記入力軸9の入力回転速度であるクラッチ軸64の回転速度が、エンジン2からの出力回転速度である従動プーリ軸59の回転速度を上回ると、制動クラッチ機構であるワンウェイクラッチ65を介して、前記入力軸9がエンジン2からの出力部材である出力軸8と接続するので、低速回転のエンジン2による制動力を、トランスミッション10の入力軸9に迅速かつ効率良く作用させることができ、優れたブレーキ性能を確保することができる。
【0029】
更に、このように制動クラッチ機構として、クラッチ入力部材であるハウジング65aがクラッチ出力部材であるクラッチ軸64に対して一方向のみに相対回転して空転し、他方向へは相対回転せずに係合するワンウェイクラッチ65としたので、簡単な構造で制動クラッチ機構を形成することができ、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができるのである。
【0030】
なお、以下の実施例において、ベルト式無段変速装置以外の構成は、以上に述べた第一実施例と略同一であるため、その説明は省略し、また、ベルト式無段変速装置についても、第一実施例と重複する部分は概略を述べるにとどめる。
【0031】
次に、第二実施例のベルト式無段変速装置70について、図3により説明する。
該ベルト式無段変速装置70は、第一実施例のワンウェイクラッチの取付位置を、V従動プーリ48と歯付き従動プーリ56との間から、V駆動プーリ47と歯付き駆動プーリ55との間に変更したものである。
【0032】
このベルト式無段変速装置70においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出され、ワンウェイクラッチ73のハウジング73aに内挿されており、該ハウジング73aが、この出力軸8左端部の周りを、クラッチエレメント73bを介して空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング73aには、駆動プーリ軸71の右端が連結され、該駆動プーリ軸71の左端部は車体5または図示せぬ装置カバーに固設された軸受け74に回動自在に支持されると共に、駆動プーリ軸71の左右略中央部には、歯付き駆動プーリ55が固定されている。
【0033】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9には、従動プーリ軸72の右端が連結され、該従動プーリ軸72の左端に、歯付き従動プーリ56が固設され、該歯付き従動プーリ56と前記歯付き駆動プーリ55との間には歯付きベルト57が巻回されており、エンジン2より分岐された動力が、ワンウェイクラッチ73から、歯付き駆動プーリ55、歯付きベルト57、歯付き従動プーリ56、従動プーリ軸72等から成る制動力伝達トレイン76を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0034】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48に接続された駆動プーリ軸71の回転速度が出力軸8の回転速度を上回ると、出力軸8はハウジング73aに対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ73が「入」状態となる。すると、これら駆動プーリ軸71と出力軸8とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン76を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0035】
そして、本第二実施例のワンウェイクラッチ73は、エンジン2からの出力軸8端部に、つまり、制動力伝達トレイン76の上流側でエンジン2近傍に設けられていることから、トランスミッション10近傍の空間の拡大を図ることができ、装置レイアウトの自由度を高めることができる。
【0036】
次に、第三実施例のベルト式無段変速装置80について、図4により説明する。
該ベルト式無段変速装置80は、第一実施例の制動力伝達トレインの動力伝達形式を、歯付きプーリ55・56と歯付きベルト57によるベルト伝動から、スプロケット84・85とチェーン86によるチェーン伝動に変更したものである。
【0037】
このベルト式無段変速装置80においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出され、チェーンケース83内に挿入されている。該チェーンケース83は、前後の取付ステー87・87によって車体5または図示せぬ装置カバーに固定されると共に、チェーンケース83内には、前後に前記出力軸8の左部と従動スプロケット軸89とが並設して枢支され、該出力軸8と従動スプロケット軸89には、それぞれ前記駆動スプロケット84と従動スプロケット85とが固設されている。そして、該駆動スプロケット84と従動スプロケット85との間にはチェーン86が巻回されており、出力軸8からの動力を従動スプロケット軸89に伝達できるようにしている。
【0038】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9にはクラッチ軸64が連結され、該クラッチ軸64の左端部は、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aに内挿されており、該ハウジング65aが、このクラッチ軸64の左端部の周りを、クラッチエレメント65bを介して空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング65aには、前記従動スプロケット軸89の右端が連結されており、エンジン2より分岐された動力が、駆動スプロケット84、チェーン86、従動スプロケット85、従動スプロケット軸89、ワンウェイクラッチ65等から成る制動力伝達トレイン82を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0039】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48のクラッチ軸64の回転速度が前記従動スプロケット軸89の回転速度を上回ると、ハウジング65aがクラッチ軸64に対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となる。すると、これらの従動スプロケット軸89とクラッチ軸64とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン82を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0040】
そして、本第三実施例の制動力伝達トレイン82の動力伝達形式は、スプロケット84・85とチェーン86によるチェーン伝動であることから、ベルト伝動よりも大きい駆動力を伝達することができる。すなわち、制動力伝達経路である制動力伝達トレイン82の動力伝達形式を、チェーン伝動とするので、回転力伝達時のすべりを防止して、エンジンブレーキの制動力を入力軸9に確実に作用させることができ、エンジンブレーキによるブレーキ性能を大きく向上させることができるのである。
【0041】
次に、第四実施例のベルト式無段変速装置90について、図5により説明する。
該ベルト式無段変速装置90は、第一実施例のワンウェイクラッチの取付位置を、V従動プーリ48と歯付き従動プーリ56間から、歯付き駆動プーリ92と歯付き従動プーリ95との間に変更したものである。
【0042】
このベルト式無段変速装置90においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8の左端には、歯付き駆動プーリ92が固設され、該歯付き駆動プーリ92と、中間プーリ軸99上の歯付き第一中間プーリ93との間には、歯付き第一ベルト96が巻回されている。この中間プーリ軸99の左端は、前記車体5または図示せぬ装置カバーに固設された軸受け102に回動自在に支持されると共に、中間プーリ軸99の右端は、右方へと延出されて、ワンウェイクラッチ101のハウジング101aに内挿され、該ハウジング101aが、この中間プーリ軸99右端部の周りを、クラッチエレメント101bを介して空転方向にのみに回転可能としている。更に、該ハウジング101aには、歯付き第二中間プーリ94が外嵌固定され、該歯付き第二中間プーリ94は、後方の歯付き従動プーリ95との間に、歯付き第二ベルト97を巻回しており、出力軸8からの動力を歯付き従動プーリ95に伝達できるようにしている。
【0043】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9には、従動プーリ軸100の右端が連結され、該従動プーリ軸100の左端に、前記歯付き従動プーリ95が固設されており、エンジン2より分岐された動力が、歯付き駆動プーリ92、歯付き第一ベルト96、歯付き第一中間プーリ93、中間プーリ軸99、ワンウェイクラッチ101、歯付き第二中間プーリ94、歯付き第二ベルト97、歯付き従動プーリ95、従動プーリ軸100等から成る制動力伝達トレイン91を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0044】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48に接続された歯付き第二中間プーリ94の回転速度が中間プーリ軸99の回転速度を上回ると、中間プーリ軸99がハウジング101aに対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ101が「入」状態となる。すると、これら中間プーリ軸99と歯付き第二中間プーリ94とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン91を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0045】
そして、本第四実施例のワンウェイクラッチ101は、歯付き駆動プーリ92と歯付き従動プーリ95との間、つまり、エンジン2やトランスミッション10等から離間した、制動力伝達トレイン91の略中流部にあって、しかも出力軸8や入力軸9とは異なる軸心上にある中間プーリ軸99上に設けられていることから、エンジン2とトランスミッション10との間の空間を拡大できると共に、任意の位置に中間プーリ軸99を配置してワンウェイクラッチ101の位置変更を容易に行うことができる。すなわち、ワンウェイクラッチ101を、制動力伝達経路である制動力伝達トレイン91の略中流部で、エンジン2からの出力軸8やトランスミッション10の入力軸9とは独立した軸である中間プーリ軸99上に設けるので、ワンウェイクラッチ101のメンテナンスが容易に行えると共に、制動力伝達トレイン91の長さ調整を可能にして装置レイアウトの自由度を高めることができる。
【0046】
次に、第五実施例のベルト式無段変速装置110について、図6により説明する。
該ベルト式無段変速装置110は、第一実施例の制動力伝達トレインの動力伝達形式を、歯付きプーリ55・56と歯付きベルト57によるベルト伝動から、ベベルギア116・117・119・120等によるギア伝動に変更したものである。
【0047】
このベルト式無段変速装置110においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出され、駆動ギアケース112内に挿入されている。該駆動ギアケース112は、取付ステー114によって車体5または図示せぬ装置カバーに固定されると共に、この駆動ギアケース112内には、前記出力軸8の左部に固設され前後方向に回動可能に枢支された駆動ベベルギア116と、該駆動ベベルギア116に噛合され左右方向に回動可能に枢支された中間第一ベベルギア117とが収納されており、該中間第一ベベルギア117には、前後方向に延設された中間ベベルギア軸118の前端が固設されている。そして、前記駆動ギアケース112の後方には、従動ギアケース113が取付ステー115によって車体5または図示せぬ装置カバーに固定され、該従動ギアケース113の前部からは、前記中間ベベルギア軸118が挿入され、該中間ベベルギア軸118の途中部が枢支されている。該中間ベベルギア軸118は、更に後方へと延出されて、その後端には、左右方向に回動可能に枢支された中間第二ベベルギア119が固設され、該中間第二ベベルギア119には、従動ベベルギア軸121によって前後方向に回動可能に枢支された従動ベベルギア120が噛合されており、出力軸8からの動力を従動ベベルギア軸121に伝達できるようにしている。
【0048】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9にはクラッチ軸64が連結され、該クラッチ軸64の左端部は、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aに内挿されており、該ハウジング65aが、このクラッチ軸64の左端部の周りを、クラッチエレメント65bを介して空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング65aには、前記従動ベベルギア軸121の右端が連結されており、エンジン2より分岐された動力が、駆動ベベルギア116、中間第一ベベルギア117、中間ベベルギア軸118、中間第二ベベルギア119、従動ベベルギア120、従動ベベルギア軸121、ワンウェイクラッチ65等から成る制動力伝達トレイン111を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0049】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48のクラッチ軸64の回転速度が前記従動ベベルギア軸121の回転速度を上回ると、ハウジング65aがクラッチ軸64に対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となる。すると、これらの従動ベベルギア軸121とクラッチ軸64とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン111を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0050】
そして、本第五実施例の制動力伝達トレイン111の動力伝達形式は、ベベルギア116・117・119・120等によるギア伝動であることから、エンジン2の出力軸8からの制動力を、ベルト伝動はもとよりチェーン伝動よりも大きい駆動力で回転力を伝達可能な、ベベルギアによるギア伝動によって、トランスミッション10の入力軸9に伝達することができる。更に、ベベルギアを組み合わせることで、制動力伝達トレイン111の形状や大きさを自由に設定することができる。すなわち、制動力伝達経路である制動力伝達トレイン111の動力伝達形式を、ベベルギアによるギア伝動とするので、回転力伝達時のすべりを防止して、エンジンブレーキの制動力を入力軸9に確実に作用させることができ、エンジンブレーキによるブレーキ性能を大きく向上させることができるのである。更に、制動力伝達トレイン111の形状や大きさを自在に設定することができ、装置レイアウトの自由度も大きく向上する。
【0051】
次に、第六実施例のベルト式無段変速装置130について、図7により説明する。
該ベルト式無段変速装置130は、第一実施例の制動力伝達トレインの動力伝達形式を、歯付きプーリ55・56と歯付きベルト57によるベルト伝動から、平ギア134・135・136等によるギア伝動に変更したものである。
【0052】
このベルト式無段変速装置130においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出され、ギアケース132内に挿入されている。該ギアケース132は、前後の取付ステー133・133によって車体5または図示せぬ装置カバーに固定されると共に、ギアケース132内には、前から順に、前記出力軸8の左部、中間ギア軸137、従動平ギア軸138が平行に横設して枢支されている。これら出力軸8、中間ギア軸137、従動平ギア軸138には、それぞれ駆動平ギア134、中間平ギア135、従動平ギア136が固設されると共に、駆動平ギア134は中間平ギア135に噛合され、中間平ギア135は従動平ギア136に噛合されており、出力軸8からの動力を従動平ギア軸138に伝達できるようにしている。
【0053】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9にはクラッチ軸64が連結され、該クラッチ軸64の左端部は、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aに内挿されており、該ハウジング65aが、このクラッチ軸64の左端部の周りを、クラッチエレメント65bを介して空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング65aには、前記従動平ギア軸138の右端が連結されており、エンジン2より分岐された動力が、駆動平ギア134、中間平ギア135、従動平ギア136、従動平ギア軸138、ワンウェイクラッチ65等から成る制動力伝達トレイン131を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0054】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48のクラッチ軸64の回転速度が前記従動平ギア軸138の回転速度を上回ると、ハウジング65aがクラッチ軸64に対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となる。すると、これらの従動平ギア軸138とクラッチ軸64とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン131を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0055】
そして、本第六実施例の制動力伝達トレイン131の動力伝達形式は、平ギア134・135・136等によるギア伝動であることから、エンジン2の出力軸8からの制動力を、ベルト伝動はもとよりチェーン伝動よりも大きい駆動力で回転力を伝達可能な平ギアによるギア伝動によって、トランスミッション10の入力軸9に伝達することができる。すなわち、制動力伝達経路である制動力伝達トレイン131の動力伝達形式を、平ギアによるギア伝動とするので、回転力伝達時のすべりを防止して、エンジンブレーキの制動力を入力軸9に確実に作用させることができ、エンジンブレーキによるブレーキ性能を大きく向上させることができる。
【0056】
次に、第七実施例のベルト式無段変速装置140について、図8により説明する。
該ベルト式無段変速装置140は、第一実施例の制動力伝達トレインの動力伝達形式を、歯付きプーリ55・56と歯付きベルト57によるベルト伝動から、油圧閉回路146による油圧伝動に変更したものである。
【0057】
このベルト式無段変速装置140においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出され、油圧ケース142内に挿入される。該油圧ケース142は、前後の取付ステー143・143によって車体5または図示せぬ装置カバーに固定されると共に、油圧ケース142内には、大容量形油圧ポンプ144と、該大容量形油圧ポンプ144よりも容量の小さい小容量形油圧モータ145とが設けられ、これら大容量形油圧ポンプ144と小容量形油圧モータ145との間は、送り油路147と戻り油路148によって接続されている。このうちの送り油路147を介して、大容量形油圧ポンプ144からの圧油が小容量形油圧モータ145に供給され、該小容量形油圧モータ145からの圧油は、戻り油路148を通って前記大容量形油圧ポンプ144に戻るようにしており、これら、送り油路147、戻り油路148、大容量形油圧ポンプ144、小容量形油圧モータ145によって、前記油圧閉回路146が形成され、出力軸8からの動力を小容量形油圧モータ145に伝達できるようにしている。
【0058】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9にはクラッチ軸64が連結され、該クラッチ軸64の左端部は、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aに内挿されており、該ハウジング65aが、このクラッチ軸64の左端部の周りを、クラッチエレメント65bを介して空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング65aには、前記小容量形油圧モータ145のモータ軸149の右端が連結されており、エンジン2より分岐された動力が、油圧閉回路146、モータ軸149、ワンウェイクラッチ65等から成る制動力伝達トレイン141を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0059】
ここで、前記油圧閉回路146については、出力軸8に固設された大容量形油圧ポンプ144の回転方向と、モータ軸149に固設された小容量形油圧モータ145の回転方向とは、いずれも前記空転方向と同一としており、これにより、出力軸8にベルト接続されたクラッチ軸64の回転方向と、同じ出力軸8に流体接続されたモータ軸149の回転方向とを、同じ空転方向にすることができる。更に、小容量形油圧モータ145の容量は大容量形油圧ポンプ144に比べて小さく設定しているので、動力接続状態では、モータ軸149の回転速度を、出力軸8の回転速度よりも常に大きくすることができる。
【0060】
このような構成において、エンジン2が高速で回転していると、動力接続状態にあるため、出力軸8からの動力は、動力伝達トレイン45で変速された後、入力軸9から前記トランスミッション10内に伝達される。そして、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48のクラッチ軸64の回転速度が、アイドリング状態にあるエンジン2に接続された前記モータ軸149の回転速度を上回ると、ハウジング65aがクラッチ軸64に対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となる。すると、これらのモータ軸149とクラッチ軸64とが接続され、エンジン2からの制動力、つまりエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン141を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0061】
そして、本第七実施例の制動力伝達トレイン141の動力伝達形式は、油圧閉回路146による油圧伝動であることから、エンジン2の出力軸8からの制動力を、上述のベルト、チェーン、ギア等の固体部品の係合による伝動に比べ、徐々にかけていくことができ、ワンウェイクラッチ65やV従動プーリ48等に与えるエンジンブレーキによる衝撃や負荷を大きく減少させることできる。すなわち、制動力伝達経路である制動力伝達トレイン141に大容量形油圧ポンプ144と小容量形油圧モータ145とを複数の油路147・148で流体接続して成る油圧閉回路146を設けて、動力伝達形式を油圧伝動とするので、ベルトやギア等の固体部品の係合による伝動に比べ、制動力がベルト式無段変速装置140内の各伝達部材等に与える衝撃や負荷を大きく減少させ、作業時の騒音の低減や装置耐久性の向上を図ることができる。
【0062】
次に、第八実施例のベルト式無段変速装置150について、図9により説明する。
該ベルト式無段変速装置150は、第一実施例の制動力伝達トレインの動力伝達形式を、歯付きプーリ55・56と歯付きベルト57によるベルト伝動から、油圧閉回路156による油圧伝動に変更したものであり、前記第七実施例とは異なり、該油圧閉回路156内に、チェック弁160を有するバイパス油路159を設けることにより、ワンウェイクラッチ65を省略している。
【0063】
このベルト式無段変速装置150においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出され、油圧ケース152内に挿入される。該油圧ケース152は、前後の取付ステー153・153によって車体5または図示せぬ装置カバーに固定されると共に、油圧ケース152内には、大容量形油圧ポンプ154と、該大容量形油圧ポンプ154よりも容量の小さい小容量形油圧モータ155とが設けられ、これら大容量形油圧ポンプ154と小容量形油圧モータ155との間は、送り油路157と戻り油路158によって接続されている。このうちの送り油路157を介して、大容量形油圧ポンプ154からの圧油が小容量形油圧モータ155に供給され、該小容量形油圧モータ155からの圧油は、戻り油路158を通って前記大容量形油圧ポンプ154に戻るようにしている。更に、送り油路157と戻り油路158との間は、矢印方向162のみに圧油が流れるチェック弁160を設けたバイパス油路159によって接続されており、これら、送り油路157、戻り油路158、バイパス油路159、大容量形油圧ポンプ154、小容量形油圧モータ155によって、前記油圧閉回路156が形成され、出力軸8からの動力を小容量形油圧モータ155に伝達できるようにしている。
【0064】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9にはモータ軸161が連結され、該モータ軸161の左端部は、前記小容量形油圧モータ155に連結されており、このモータ軸161と前記油圧閉回路156等から制動力伝達トレイン151が形成されている。
【0065】
ここで、前記油圧閉回路156においては、出力軸8に固設された大容量形油圧ポンプ154の回転方向と、モータ軸161に固設された小容量形油圧モータ155の回転方向とは、同じ方向に設定されている。更に、小容量形油圧モータ155の容量は大容量形油圧ポンプ154に比べて小さく設定しているので、動力接続状態では、モータ軸161の回転速度を、出力軸8の回転速度よりも常に大きくすることができる。
【0066】
このような構成において、エンジン2が高速で回転していると、動力接続状態にあるため、出力軸8からの動力は、動力伝達トレイン45で変速された後、入力軸9から前記トランスミッション10内に伝達される。一方、制動力伝達トレイン151においては、前述の如く小容量形油圧モータ155の容量を大容量形油圧ポンプ154よりも小さく設定しているため、動力接続状態では、出力軸8に接続された大容量形油圧ポンプ154からの吐出量は、同じ出力軸8に動力伝達トレイン45を介して接続された小容量形油圧モータ155の吐出量よりも多く、送り油路157が戻り油路158よりも高圧となってチェック弁160が開き、バイパス油路159内を圧油が矢印方向162に流れる。このため、送り油路157と戻り油路158は等圧となり、圧油によっては油圧モータ155は駆動されず、出力軸8からの制動力が入力軸9に伝達されない。
【0067】
エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48に連結されたモータ軸161の回転速度が、アイドリング状態にあるエンジン2に接続された出力軸8の回転速度を上回ると、出力軸8に接続された大容量形油圧ポンプ154からの吐出量は、モータ軸161に接続された小容量形油圧モータ155の吐出量よりも少なくなり、戻り油路158が送り油路157よりも高圧となるが、チェック弁160は閉じたままであり、バイパス油路159は遮断されているため、圧油が油圧閉回路156内を循環し、モータ軸161が駆動されて、出力軸8からの制動力が入力軸9に伝達されるのである。
【0068】
すなわち、前記制動力伝達経路である制動力伝達トレイン151には、大容量形油圧ポンプ154と小容量形油圧モータ155とを複数の油路157・158で流体接続して成る油圧閉回路156を設け、該油圧閉回路156内に、チェック弁160を有するバイパス油路159を前記制動クラッチ機構として備えるので、制動力の伝達やクラッチの入切を全て圧油の流れによって行い、制動力のかかり方を滑らかにすることができ、ベルトやギア等の固体部品の係合による伝動に比べ、制動力伝達時はもとより、クラッチ入切時にベルト式無段変速装置150内の各伝達部材等に与える衝撃や負荷も大きく減少させて、作業時の騒音の低減を促進させ、装置耐久性の更なる向上を図ることができる。
【0069】
次に、第九実施例のベルト式無段変速装置170について、図10により説明する。
該ベルト式無段変速装置170は、第一実施例の制動クラッチ機構を、ワンウェイクラッチから、電磁力でクラッチ板を吸着させることによりクラッチ入切を行う電磁クラッチに変更したものである。
【0070】
このベルト式無段変速装置170においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。この出力軸8は、更に左方へと延出されて歯付き駆動プーリ55に連結されている。
【0071】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。更に、この入力軸9は左方に延出されて、電磁クラッチ172の第二クラッチ板172bに連結され、該第二クラッチ板172bに電磁力によって吸着と離間が可能な第一クラッチ板172aには、歯付き従動プーリ56の従動プーリ軸59が連結されている。そして、該歯付き従動プーリ56と前記歯付き駆動プーリ55との間には歯付きベルト57が巻回されており、エンジン2より分岐された動力が、歯付き駆動プーリ55、歯付きベルト57、歯付き従動プーリ56、従動プーリ軸59、電磁クラッチ172等から成る制動力伝達トレイン171を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0072】
ここで、前記電磁クラッチ172においては、第二クラッチ板172bの回転速度が第一クラッチ板172aの回転速度以下であれば、該第一クラッチ板172aと第二クラッチ板172bとは離間したままであり、逆に、第二クラッチ板172bの回転速度が第一クラッチ板172aの回転速度を上回ると、第一クラッチ板172aと第二クラッチ板172bとは互いに圧着し、電磁クラッチ172が「入」状態となって、従動プーリ軸59と入力軸9とが接続されるように制御されている。なお、必要に応じ、いわゆる半クラッチ状態を設けてクラッチの入切を徐々に行い、クラッチ入切時の衝撃発生を抑制することも可能である。
【0073】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48に接続された入力軸9の回転速度が、出力軸8に接続された従動プーリ軸59の回転速度を上回ると、第二クラッチ板172bの回転速度が第一クラッチ板172aの回転速度を上回り、電磁クラッチ172が「入」状態となる。すると、これら従動プーリ軸59と入力軸9とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン171を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0074】
すなわち、前記制動クラッチ機構は、前記出力回転速度である従動プーリ軸59の回転速度と、入力回転速度である入力軸9の回転速度とを比較してクラッチの入切を行う電磁クラッチ172であるので、制動クラッチの入切条件を細かく制御することができ、車両の性能や地面の状況等に応じてエンジンブレーキの作動条件を適正化して、ブレーキ性能の更なる向上を図ることができる。また、電磁クラッチ172は小型化が可能であり、ベルト式無段変速装置170をコンパクトにすることができる。
【0075】
次に、第十実施例のベルト式無段変速装置180について、図11により説明する。
該ベルト式無段変速装置180は、第一実施例では車体5の内部空間に露出していた動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46とを、装置カバー181によって覆うようにしたものである。
【0076】
このベルト式無段変速装置180においては、第一実施例と同様、エンジン2からの出力軸8の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、右から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。そして、出力軸8の左端には駆動プーリ軸182の右端が連結され、該駆動プーリ軸182には、歯付き駆動プーリ55が締結されると共に、駆動プーリ軸182の左端部は、前記装置カバー181の左内側面181aの前部に固定された軸受け183に、回動自在に支持されている。
【0077】
一方、前記トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング11からの突出部分には、右から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、出力軸8から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。
【0078】
更に、この入力軸9にはクラッチ軸64が連結され、該クラッチ軸64の左端部は、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aに内挿されており、該ハウジング65aは、このクラッチ軸64の左端部の周りを、クラッチエレメント65bを介して、空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング65aには従動プーリ軸184の右端が連結され、該従動プーリ軸184の左端部は、前記装置カバー181の左内側面181aの後部に固定された軸受け185に回動自在に支持されている。この従動プーリ軸184の途中部には歯付き従動プーリ56が外嵌固定され、該歯付き従動プーリ56と前記歯付き駆動プーリ55との間には歯付きベルト57が巻回されており、エンジン2より分岐された動力が、駆動プーリ軸182、歯付き駆動プーリ55、歯付きベルト57、歯付き従動プーリ56、従動プーリ軸184、ワンウェイクラッチ65等から成る制動力伝達トレイン46を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0079】
このような構成において、エンジン2が減速されて出力軸8の回転速度が所定の限界速度を下回ると、動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、V従動プーリ48のクラッチ軸64の回転速度が前記従動プーリ軸184の回転速度を上回ると、ハウジング65aがクラッチ軸64に対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となる。すると、これらの従動プーリ軸184とクラッチ軸64とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前記制動力伝達トレイン46を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0080】
そして、本第十実施例の装置カバー181の右側面の前後部には、それぞれ前開口部181bと後開口部181cが形成され、このうちの前開口部181bは、前記エンジン2の左側の側部2aに固定支持されて前記出力軸8が挿通されるようにし、後開口部181cは、前記ハウジング11の左側部11aに固定されて前記入力軸9が挿通されるようにしている。これにより、装置カバー181で動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46を覆い、これら動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46が車体5の内部空間にほとんど露出しないようにすることができる。
【0081】
なお、本第十実施例では、両トレイン45・46とも覆うようにしているが、いずれか一方だけを覆うようにしてもよく、この場合は、トレインの一部が露出するものの、装置カバーに必要な空間を小さくして装置レイアウトの自由度を高めることができる。また、装置カバー181は、車体5や図示せぬ機体フレームによって支持するようにしてもよく、これにより、装置カバー181の剛性を高めて、動力や制動力の伝達時やクラッチ入切時の騒音を低減することができる。
【0082】
すなわち、前記動力伝達経路である動力伝達トレイン45と、制動力伝達経路である制動力伝達トレイン46の少なくとも一方を、カバー部材である装置カバー181内に配設するので、ゴミ等の異物がベルト54・57に噛込んだり、水、油といったものが付着するのを防止することができ、変速動作を支障なく安定して行うことができるのである。
【0083】
次に、第十一実施例のベルト式無段変速装置190について、図12により説明する。
該ベルト式無段変速装置190は、第一実施例では、エンジン2の出力軸8を車体5の左右方向に延設し、該左右方向一側の同じ側に動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46とを並設していたのを、エンジン2の出力軸8を車体5の前後方向に延設し、該エンジン2を挟んで前後に制動力伝達トレイン46と動力伝達トレイン45を分離配置するようにしたものである。また、第一実施例では、動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46を車体5の内部空間に露出すると共に、デフギア装置12やデフロック機構13をトランスミッション10と同じハウジング11内に設けていたのを、動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46を装置カバー194・195によって覆うと共に、デフギア装置やデフロック機構を、トランスミッション10のハウジング193とは異なるデフケース208内に設けるようにもしている。
【0084】
このベルト式無段変速装置190においては、エンジン2から後方に後出力軸192が突出され、該後出力軸192の途中部に、V駆動プーリ47と、駆動側ピッチ径可変装置51を収納する第一ケース49とが、前から順に配置され、V駆動プーリ47のピッチ径の変更を可能としている。一方、トランスミッション10の入力軸9で、ハウジング193からの突出部分には、前から順に、従動側ピッチ径可変装置53を収納する第二ケース52と、V従動プーリ48とが配置され、該V従動プーリ48と前記V駆動プーリ47との間にはVベルト54が巻回されており、エンジン2からの動力が、後出力軸192から、V駆動プーリ47、Vベルト54、V従動プーリ48等から成る動力伝達トレイン45を通って変速された後に、入力軸9より、前記トランスミッション10内に伝達されるようにしている。そして、該動力伝達トレイン45を覆うようにして、後装置カバー195がエンジン2の後方に配置されている。
【0085】
エンジン2から前方には前出力軸191が突出され、該前出力軸191には、歯付き駆動プーリ55が締結されると共に、該前出力軸191の前端部は、前装置カバー194の前内側面194cの左部に固定された軸受け196に、回動自在に支持されている。一方、前記入力軸9にはカップリング199を介してクラッチ軸198が連結され、該クラッチ軸198の前端部は、ワンウェイクラッチ65のハウジング65aに内挿されており、該ハウジング65aは、このクラッチ軸198の前端部の周りを、クラッチエレメント65bを介して、空転方向にのみに回転可能としている。そして、このハウジング65aには従動プーリ軸200の後端が連結され、該従動プーリ軸200の前端部は、前記前装置カバー194の前内側面194cの右部に固定された軸受け197に回動自在に支持されている。この従動プーリ軸200の途中部には歯付き従動プーリ56が外嵌固定され、該歯付き従動プーリ56と前記歯付き駆動プーリ55との間には歯付きベルト57が巻回されており、エンジン2からの動力が、前出力軸191から、歯付き駆動プーリ55、歯付きベルト57、歯付き従動プーリ56、従動プーリ軸200、ワンウェイクラッチ65等から成る制動力伝達トレイン46を通って、入力軸9に制動力として付与されるようにしている。
【0086】
入力軸9に入力された動力は、前記副変速機構15によって副変速された後に前記変速軸22に伝達される。該変速軸22の一端側寄りの部位に設けられた出力ギア28は、ハウジング193の右後部側面に凸状に設けられた駆動取出しケース201内のギア202に噛合されており、該ギア202に変速動力が伝達されるようにしている。そして、このギア202は前伝達軸203に外嵌固定され、該前伝達軸203は、前記駆動取出ケース201から前方へ突出されており、他の車軸駆動装置等の入力軸にドライブシャフト204を介して連結されている。これにより、変速した後の動力を、駆動取出しケース201内に形成された動力取出部212から他の車軸駆動装置等まで伝達し、四輪駆動車の前輪駆動等を可能としている。
【0087】
該動力取出部212においては、前記ギア202は後伝達軸205にも連結されており、該後伝達軸205は、駆動取出しケース201から後方に突出し、ドライブシャフト206を介して、デフケース208への入力軸207に連結されている。該デフケース208は、前記ハウジング193の後方に離間して配置され、前記デフギア装置12やデフロック機構13が内設されると共に、デフケース208からの左右の出力軸209・209は、伝動軸210・210を介して車軸211・211に連結され、左右の車輪6・6を差動駆動できるようにしている。
【0088】
このような構成において、エンジン2が減速されて前後の出力軸191・192の回転速度が所定の限界速度を下回ると、後出力軸192側が動力遮断状態になると共にエンジン2もアイドリング状態となり、V駆動プーリ47からの動力はV従動プーリ48に伝達されなくなる。このため、該V従動プーリ48は自由回転可能となるが、このV従動プーリ48の回転速度が増加し、該V従動プーリ48に入力軸9を介して接続されたクラッチ軸198の回転速度が、前記従動プーリ軸200の回転速度を上回ると、ハウジング65aがクラッチ軸198に対して相対回転不可となり、ワンウェイクラッチ65が「入」状態となる。すると、これらの従動プーリ軸200とクラッチ軸198とが接続され、エンジン2からの制動力、いわゆるエンジンブレーキが、前出力軸191側の前記制動力伝達トレイン46を介してトランスミッション10の入力軸9に作用するようになる。
【0089】
そして、本第十一実施例では、前述の如く、エンジン2の前方に前出力軸191が突出され、該前出力軸191に制動力伝達トレイン46が接続される一方、エンジン2の後方に後出力軸192が突出され、該後出力軸192に動力伝達トレイン45が接続されており、これにより、従来はエンジン2の側方に設けるしかなかった、ベルト式無段変速装置のための空間を、エンジン2の前後に確保することができる。すなわち、エンジン2の出力軸8を車体5の前後方向に延設して、該エンジン2を挟んで前後に制動力伝達トレイン46と動力伝達トレイン45を分離配置するようにしたので、装置レイアウト上、ベルト式無段変速装置190に必要な配置空間をエンジン2の側方に確保できないような場合でも、この配置空間をエンジン2の前後方向に設けることができ、装置レイアウトの自由度を高めることができる。しかも、この配置空間は前後に分割されており、制動力伝達トレイン46や動力伝達トレイン45の作動に伴う振動や装置重量をエンジン2を挟んで前後に分散させて、機体振動の軽減や機体重量バランスの向上を図ることができる。
【0090】
更に、本第十一実施例では、エンジン2の右側方に設けたハウジング193の後方に離間してデフケース208が配置され、該デフケース208内にデフギア装置12やデフロック機構13が内設されており、これにより、従来はトランスミッション10に加えてデフギア装置12やデフロック機構13までも内設する必要があったために大型化が避けられなかったハウジング、いわゆるミッションケースを小さくすることができ、加えて、ハウジング193とデフケース208との距離を、前記ドライブシャフト206等の伝動手段を使って変更することもできる。すなわち、デフギア装置やデフロック機構を前記ハウジングとは異なるデフケース内に設けるので、ミッションケースの小型化や、ハウジング193とデフケース208との間隔変更を図ることができ、装置レイアウトの自由度を更に高めることができる。
【0091】
また、本第十一実施例では、前装置カバー194の後側面の左右部には、それぞれ左開口部194aと右開口部194bが形成され、このうちの左開口部194aは、前記エンジン2の前側の側部2aに固定支持されて前記前出力軸191が挿通されるようにし、右開口部194bは、前記ハウジング193の前側部193aに固定されて前記クラッチ軸198が挿通されるようにしている。これにより、前装置カバー194で制動力伝達トレイン46を覆って、該制動力伝達トレイン46が車体5の内部空間にほとんど露出しないようにすることができる。同様に、後装置カバー195の前側面の左右部には、それぞれ左開口部195aと右開口部195bが形成され、このうちの左開口部195aは、前記エンジン2の後側の側部2bに固定支持されて前記後出力軸192が挿通されるようにし、右開口部195bは、前記ハウジング193の後側部193bに固定されて前記入力軸9が挿通されるようにしている。これにより、後装置カバー195で動力伝達トレイン45を覆って、該動力伝達トレイン45が車体5の内部空間にほとんど露出しないようにすることができる。すなわち、動力伝達トレイン45と制動力伝達トレイン46を前後の装置カバー194・195によって覆うので、ゴミ等の異物がベルトに噛込んだり、水、油といったものが付着するのを防止することができ、変速動作を支障なく安定して行うことができる。加えて、前述した一体物の装置カバー181に比べ、各装置カバー194・195に必要な個々の空間を小さして、僅かな空間でも装置カバーを設置可能とし、装置レイアウトの自由度を高めることができる。なお、装置カバー194・195は、車体5や図示せぬ機体フレームによって支持するようにしてもよく、これにより、各装置カバー194・195の剛性を高めて、動力や制動力の伝達時やクラッチ入切時の騒音を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、エンジンがアイドリング状態になると、エンジンからの出力軸とトランスミッションの入力軸との接続をクラッチで遮断して、アイドリングの安定化を図るベルト式無段変速装置を搭載した各種駆動車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に関わる第一実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図2】第一実施例のベルト式無段変速装置の平面一部断面図である。
【図3】第二実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図4】第三実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図5】第四実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図6】第五実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図7】第六実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図8】第七実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図9】第八実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図10】第九実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図11】第十実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図12】第十一実施例のベルト式無段変速装置を搭載した車軸駆動部の動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
【0094】
2 エンジン
3・70・80・90・110・130・140・150・170 ベルト式無段変速装置
8 出力部材
9 入力部材
10 トランスミッション
45 動力伝達経路
46・76・82・91・111・131・141・151・171 制動力伝達経路
50 動力クラッチ機構
64 クラッチ出力部材
65・73・101・159・172 制動クラッチ機構
65・73・101 ワンウェイクラッチ
65a クラッチ入力部材
154 油圧ポンプ
155 油圧モータ
156 油圧閉回路
157・158 油路
159 バイパス油路
160 チェック弁
172 電磁クラッチ
181・194・195 カバー部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの動力をトランスミッションの入力部材に伝達する動力伝達経路に、前記エンジンからの出力回転速度が所定の限界速度を下回ると前記動力伝達経路を遮断する動力クラッチ機構を介設したベルト式無段変速装置において、前記動力伝達経路遮断時には前記入力部材に対してエンジンからの制動力を付加しうる制動力伝達経路を設け、該制動力伝達経路は前記動力伝達経路とは別系列にて形成したことを特徴とするベルト式無段変速装置。
【請求項2】
前記入力部材の入力回転速度がエンジンからの出力回転速度を上回ると、制動クラッチ機構を介して、前記入力部材がエンジンからの出力部材と接続することを特徴とする請求項1記載のベルト式無段変速装置。
【請求項3】
前記制動クラッチ機構は、クラッチ入力部材がクラッチ出力部材に対して一方向のみに相対回転して空転し、他方向へは相対回転せずに係合するワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項2記載のベルト式無段変速装置。
【請求項4】
前記制動力伝達経路には、油圧ポンプと油圧モータとを複数の油路で流体接続して成る油圧閉回路を設け、該油圧閉回路内に、チェック弁を有するバイパス油路を前記制動クラッチ機構として備えることを特徴とする請求項2記載のベルト式無段変速装置。
【請求項5】
前記制動クラッチ機構は、前記出力回転速度と入力回転速度とを比較してクラッチの入切を行う電磁クラッチであることを特徴とする請求項2記載のベルト式無段変速装置。
【請求項6】
前記動力伝達経路と制動力伝達経路の少なくとも一方をカバー部材内に配設することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のベルト式無段変速装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−2527(P2008−2527A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171248(P2006−171248)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】