説明

ベルト成形体の成形装置、及び、ベルト成形体の成形方法

【課題】ベルト輪状体の積層成形工程から帆布の巻き付け工程までを一つの装置で一貫して実行できる、ベルト成形体の成形装置を提供する。
【解決手段】上記ベルト成形体7は、圧縮ゴム層2と心線3、伸張ゴム層4を含む積層物であるベルト輪状体5に帆布6を被覆して成る。上記成形装置100は、前記ベルト成形体7と嵌合する溝27を外周に有する成形型10と、前記帆布6を前記成形型10の上記溝27上に供給する帆布供給部11と、前記圧縮ゴム層2に相当するV芯36を前記帆布6の外周側に供給するV芯供給部12と、前記心線3を前記V芯36の外周側に供給する心線供給部13と、前記伸張ゴム層4に相当する上芯47を前記心線3の外周側に供給する上芯供給部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト成形体の成形装置、及び、ベルト成形体の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、帆布を被覆して成るラップドVベルトの製造は、例えば、特許文献1(特開平10−323915号公報)や特許文献2(特開2000−280372号公報)に記載されているように、以下のような方法で行われる。
【0003】
(1)先ず、成形機が備える成形ドラムにゴムシートを巻き付け、その上に心線を所定のピッチで螺旋状に巻き付ける。そして、この心線の外周にゴムシートを更に巻き付けて、幅広のベルトスリーブ(上記特許文献2の図8を参照。)を作製する。(2)次に、上記のベルトスリーブを切断機にセットし、このベルトスリーブを所定幅となるように切り分ける。(3)そして、上記の切断されたベルトスリーブを、スカイブ機が備える一対のプーリ間に掛け渡して所定張力下で走行させながらベルトのエッジを削り取り、ベルトスリーブの断面形状を所定の略台形状とする。(4)次に、ベルトスリーブをカバー巻き機が備える一対のプーリ間に掛け渡し、伸張状態を維持しながら、所定幅、所定枚数の帆布を引き出して上記ベルトスリーブに圧着し、更に、上記帆布を適宜に折曲すると共にベルトスリーブに付着させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の一般的なラップドVベルトの製造方法は、上記成形機からベルトスリーブを取り外し、上記の切断機やスカイブ機、カバー巻き機などを経る必要があるので、ベルト成形体の着脱の作業が煩わしく、生産性の観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ベルト輪状体の積層成形工程から帆布の巻き付け工程までを一つの装置で一貫して実行できる、ベルト成形体の成形装置を提供することにある。本発明の他の目的は、ベルト輪状体の積層成形工程から帆布の巻き付け工程までを一度に実行できるベルト成形体の成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に、この課題を解決するための手段と、その効果を説明する。
【0007】
本願発明の第一の観点によれば、以下のように構成される、ベルト成形体の成形装置が提供される。即ち、上記ベルト成形体は、少なくとも圧縮ゴム層と心線、伸張ゴム層を含む積層物であるベルト輪状体に帆布を被覆して成る。上記成形装置は、前記ベルト成形体と嵌合する溝を外周に有する成形型と、前記帆布を前記成形型の上記溝上に供給する帆布供給部と、前記圧縮ゴム層に相当する第1のゴム材を前記帆布の外周側に供給する第1ゴム材供給部と、前記心線を前記第1のゴム材の外周側に供給する心線供給部と、前記伸張ゴム層に相当する第2のゴム材を前記心線の外周側に供給する第2ゴム材供給部と、を備える。このように、前記ベルト輪状体を積層成形するために用いる上記の成形型に前記帆布を、前記第1のゴム材の供給以前に供給することで、前記ベルト輪状体の積層成形工程から前記帆布の巻き付け工程までを一つの装置で一貫して実行できる。
【0008】
上記成形装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型は、前記溝を軸方向に画定する一対のフランジを有する。この成形型は、軸方向に分割可能に構成される。以上の構成によれば、前記一対のフランジが、前記成形型の上記溝内に積層成形された前記ベルト成形体の離型を妨げることがない。
【0009】
上記成形装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型の上記溝の底面は、前記成形型を構成する一対の分割体の夫々から突出する複数の突部を周方向において交互に並べることで形成される。以上の構成によれば、前記成形型を軸方向に分割して離間させると、前記ベルト成形体の内周面と、前記成形型の上記溝の底面と、の接触面積が確実に減少するので、前記成形型からの前記ベルト成形体の離型性が一層向上する。
【0010】
上記成形装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかを前記成形型に対して押圧する押圧部を備える。以上の構成によれば、前記成形型の上記溝に前記ベルト成形体を良好に沿わせることができるので、一層確実に、このベルト成形体を所望の断面形状に近づけることができる。
【0011】
上記成形装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型の外周には、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかの端部を、各供給の際に、前記成形型の上記溝に対して固定する固定部が設けられる。以上の構成によれば、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかの、前記成形型への、供給を円滑に行える。
【0012】
上記成形装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型の上記溝からはみ出た一対の帆布を前記ベルト輪状体の背面側に折り曲げて、該背面に対して押し当てる、帆布折曲部を備える。以上の構成によれば、前記ベルト輪状体の内周面及び側面のみならず背面も前記帆布によって被覆された、いわゆる全面ラップド型のラップドVベルトに対応したベルト成形体を成形できる。
【0013】
本願発明の第二の観点によれば、少なくとも圧縮ゴム層と心線、伸張ゴム層を含む積層物であるベルト輪状体に帆布を被覆して成るベルト成形体の成形は、以下のような方法で行われる。即ち、前記ベルト成形体と嵌合する溝を外周に有する成形型を用いる。前記帆布を前記成形型の上記溝上に供給する。前記圧縮ゴム層に相当する第1のゴム材を前記帆布の外周側に供給する。前記心線を前記第1のゴム材の外周側に供給する。前記伸張ゴム層に相当する第2のゴム材を前記心線の外周側に供給する。このように、前記ベルト輪状体を積層成形するために用いる上記の成形型に前記帆布を、前記第1のゴム材の供給以前に供給することで、前記ベルト輪状体の積層成形工程から前記帆布の巻き付け工程までを一度に実行できる。
【0014】
上記の成形は、更に、以下のように行われる。即ち、前記成形型は、前記溝を軸方向で画定する一対のフランジを有するものとする。この成形型は、軸方向に分割可能とする。以上の方法によれば、前記一対のフランジが、前記成形型の上記溝内に積層成形された前記ベルト成形体の離型を妨げることがない。
【0015】
上記の成形は、更に、以下のように行われる。即ち、前記成形型の上記溝の底面は、前記成形型を構成する一対の分割体の夫々から突出する複数の突部を周方向において交互に並べることで形成する。以上の方法によれば、前記成形型を軸方向に分割して離間させると、前記ベルト成形体の内周面と、前記成形型の上記溝の底部と、の接触面積が確実に減少するので、前記成形型からの前記ベルト成形体の離型性が一層向上する。
【0016】
上記の成形は、更に、以下のように行われる。即ち、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかを前記成形型に対して押圧する。以上の方法によれば、前記成形型の上記溝に前記ベルト成形体を良好に沿わせることができるので、一層確実に、このベルト成形体を所望の断面形状に近づけることができる。
【0017】
上記の成形は、更に、以下のように行われる。即ち、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかの端部を、各供給の際に、前記成形型の上記溝に対して固定する。以上の方法によれば、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかの、前記成形型への、供給を円滑に行える。
【0018】
上記の成形は、更に、以下のように行われる。即ち、前記成形型の上記溝からはみ出た一対の帆布を前記ベルト輪状体の背面側に折り曲げて、該背面に対して押し当てる。以上の方法によれば、前記ベルト輪状体の内周面及び側面のみならず背面も前記帆布によって被覆された、いわゆる全面ラップド型のラップドVベルトに対応したベルト成形体を成形できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本願発明の一実施形態に係るベルト成形体の成形装置の構成概略図である。図6は、ラップドVベルトの断面図である。先ず、図6に基づいて、ラップドVベルト1の構造について説明する。
【0020】
図6(a)及び(b)に示されるラップドVベルト1は、何れも、環状の圧縮ゴム層2(例えば、天然ゴム、SBR、クロロプレン、エチレンプロピレンゴム、水素添加ニトリルゴム等)の外周面に心線3(ポリエステル繊維やナイロン繊維、アラミド繊維などの線条物)が螺旋状に巻回され、更に、この心線3の外周側に伸張ゴム層4(例えば、天然ゴム、SBR、クロロプレン、エチレンプロピレンゴム、水素添加ニトリルゴム等)が積層されて成る積層物であるベルト輪状体5に、表面がゴム(例えば、天然ゴム、SBR、クロロプレン等)によってコーティングされた帆布6(例えば、1PLYまたは2PLY)を被覆して成る、未加硫状態のベルト成形体7を加硫することによって得られる。図6(a)にはVカバー型のラップドVベルト1が示され、図6(b)には全面ラップド型のラップドVベルト1が示される。前者、即ち、Vカバー型のラップドVベルト1は、圧縮ゴム層2及び心線3のみが帆布6によって被覆され、伸張ゴム層4は帆布6によって被覆されない型式のラップドVベルト1である。後者、即ち、全面ラップド型のラップドVベルト1は、圧縮ゴム層2及び心線3のみならず伸張ゴム層4も帆布6によって被覆される型式のラップドVベルト1である。この全面ラップド型のラップドVベルト1では、図6(b)に示されるように、帆布6は、心線3と伸張ゴム層4を挟んで反対側で若干重複しており、これによって、ベルト輪状体5のすべての面が帆布6によって被覆されるようになっている。
【0021】
以降の説明の便宜上、図6(a)及び(b)に示されるベルト成形体7(ラップドVベルト1)の内周面7a(ベルト底面)及びテーパ内周面7b、側面7c、外周面7d(ベルト背面)を図示の如く定義する。
【0022】
次に、図1に基づいて、成形装置100の構成を説明する。この成形装置100は、前述のベルト成形体7を成形するための装置であって、成形型10と、帆布供給部11と、V芯供給部12(第1ゴム材供給部)と、心線供給部13と、上芯供給部14(第2ゴム材供給部)と、を主たる構成として備える。以下、これらの構成を順に詳細に説明する。
【0023】
上記の成形型10は、成形型支持体20によって回転可能に支持される。成形型支持体20は、成形型10を正転方向C(反時計回り)及び逆転方向L(時計回り)に回転駆動するための駆動モータ21を備える。この駆動モータ21は、成形装置100の制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、成形型支持体20を正転方向C及び逆転方向Lに回転できるようになっている。図2は、成形型の概略図である。図2(b)は成形型10の縦断面図であり、図2(a)は図2(b)の1−1線矢視断面図である。図2(b)に示されるように、本実施形態に係る成形型10は、リング状に形成されると共に、軸方向において分割可能に構成される。成形型10を構成する一対の分割体22は、夫々、環状のフランジ23と、このフランジ23の内周端部から軸方向へ突出して形成される複数の突部24と、から構成される。そして、一方の分割体22に形成される上記複数の突部24と、他方の分割体22に形成される上記複数の突部24と、を図2(a)に示されるように周方向に交互に並べることで、一対の分割体22は相互に密接に連結されるようになっている。こうして一対のフランジ23の間で周方向に敷き詰められた多数の突部24によって形成される外周面25と、一対のフランジ23の対向面26と、によって、ベルト成形体7と嵌合可能な溝27が形成される。換言すれば、一対のフランジ23は上記溝27を軸方向において画定する。上記溝27は、一対のフランジ23の間に形成される。更に、上記溝27の底面27aは、上記の外周面25によって形成される。
【0024】
上記の成形型10は、フランジ23の内周側に配置される一対のディスク部材28と、このディスク部材28に対して軸受を介して連結されるロッド29と、このロッド29を収容すると共に該ロッド29の延在方向に沿って進退させるシリンダー30と、を順に介して上記の成形型支持体20に支持される。本実施形態において、上記のディスク部材28、ロッド29、シリンダー30は、何れも、突部24を軸方向に挟む位置に一対で設けられる。ただし、ロッド29とシリンダー30は、一対で設けられることに代えて、突部24から見て軸方向一方側にのみ設けられる構成も考えられる。さて、図3は、図2に類似する図であって、成形型の分割された状態を示す図である。図3に示されるように、シリンダー30の作動によって上記一対のロッド29を互いに離れる方向へ退避させると、成形型10が軸方向に分割され、一対の分割体22が軸方向に離間するようになっている。このシリンダー30は図略の駆動源(油圧ポンプと制御弁、など)を備え、この駆動源は制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、シリンダー30の動作、ひいては、ロッド29の進退を適宜に制御できるようになっている。なお、図3に示されるように、上記のフランジ23には、ベルト成形体7のテーパ内周面7bに対応するテーパ面23bと、ベルト成形体7の側面7cに対応する平面23cと、が形成され、もって、溝27は、ベルト成形体7に対して満遍なく密着できるようになっている。換言すれば、成形しようとするラップドVベルト1に対応するベルト成形体7の断面形状と略同一の断面輪郭を有する溝27が形成された成形型10が選択的に用いられる。
【0025】
また、上記の成形型10の外周には、図1に示されるように、リングクランプ31(固定部)が設けられる。リングクランプ31は、成形型10の上記溝27上に供給される帆布6などを、各供給の際に、成形型10の上記溝27の外周の任意の箇所に係止固定可能に構成され、図略のクランプと、このクランプの開閉を駆動する駆動モータと、を主たる構成として備える。この駆動モータは、制御装置101に接続され、もって、制御装置101はリングクランプ31の開閉を適宜に制御できるようになっている。
【0026】
なお、本実施形態では、成形型10として、製造しようとするラップドVベルト1のベルト長さをそのまま周長としたものを利用するようになっている。従って、製造しようとするラップドVベルト1のベルト長さが長い場合は、連動して、成形型10も一層大型のものとなり、重量が増して取り扱い難いものとなる。そこで本実施形態では、成形型10を例えばアルミニウムや樹脂によって形成することとしている。これによれば、製造しようとするラップドVベルト1のベルト長さが長くても、これに伴う上記成形型10の重量の増加を抑制することができる。
【0027】
さて、上記の帆布供給部11は、前述の帆布6を上記成形型10の上記溝27上に供給するものであって、帆布ボビンBhを回転可能に支持する帆布ボビン支持体33と、この帆布ボビンBhから繰り出された帆布6の端部を上記のリングクランプ31に受け渡す帆布受渡し部34と、を主たる構成として備える。この帆布受渡し部34は、帆布ボビンBhから繰り出された帆布6の端部を上記のリングクランプ31に受け渡す動作の駆動源としての図略の駆動モータを備え、この駆動モータも、前述の制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、帆布受渡し部34による帆布6のリングクランプ31への受渡しを適宜に制御できるようになっている。そして、帆布ボビン支持体33によって支持される帆布ボビンBhと、帆布受渡し部34と、の間には、帆布ボビンBhから繰り出された帆布6の走行経路を安定化させるためのガイド35が設けられる。帆布受渡し部34とガイド35は、何れも、成形装置100の機体フレーム102に支持される。なお、この帆布ボビンBhに巻回される帆布6は、成形型10の上記溝27に対して嵌合するよう、他の工程でカット加工され、所定幅となっている。具体的に言えば、帆布ボビンBhに巻回される帆布6の幅は、図6(a)に示される帆布6の断面積を帆布6の厚みで割った値として表現できる。
【0028】
上記のV芯供給部12は、図6(a)に示される圧縮ゴム層2に相当するV芯36(第1のゴム材)を帆布6の外周側に供給するものであって、V芯ボビン37を回転可能に支持するV芯ボビン支持体38と、このV芯ボビン37から繰り出されたV芯36の端部をベベルに切断すると共に上記のリングクランプ31に受け渡すV芯受渡し部39と、を主たる構成として備える。このV芯受渡し部39は、V芯36の端部をベベルに切断するためのカッターを駆動すると共に切断されたV芯36の端部を把持しながらリングクランプ31へ受け渡す動作の駆動源としての図略の駆動モータを備え、この駆動モータも、前述の制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、V芯受渡し部39によるV芯36の切断と、V芯受渡し部39によるV芯36のリングクランプ31への受渡しを適宜に制御できるようになっている。なお、このV芯ボビン37に巻回されるV芯36は、成形型10の上記溝27に対して嵌合するよう、他の工程でカット加工及びスカイブ加工され、所定幅及び所定の断面形状となっている。具体的に言えば、V芯36の断面形状は、V芯ボビン37に巻回されている状態で既に図6(a)に示される圧縮ゴム層2の断面形状と略同一とされる。
【0029】
上記の心線供給部13は、図6(a)に示される心線3をV芯36の外周側に供給するものであって、心線ボビンBsを回転可能に支持する心線ボビン支持体40と、この心線ボビンBsから心線3を送り出すための駆動部41と、駆動部41によって心線ボビンBsから送出された心線3に対して所定の張力を付与するためのダンサー部42と、ダンサー部42によって張力が付与された心線3をV芯36の外周に至るまで引き出し、成形型10の回転時には上記心線3をV芯36に対して綾振り、更に、心線3を切断する心線キャッチャー43と、心線キャッチャー43によって引き出された心線3をV芯36上に溶着するための熱入り押さえ44と、を主たる構成として備える。上記の駆動部41は、図略の駆動モータが連結された駆動プーリと、この駆動プーリに対して従となる従動プーリと、によって構成される。この駆動プーリに連結された上記の駆動モータは制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、心線ボビンBsからの心線3の引き出しの引き出し速度や引き出し量を適宜に制御できるようになっている。上記の心線キャッチャー43は、心線3を把持すると共に心線3を切断可能に構成される心線収容部45と、この心線収容部45を揺動自在に支持する揺動アーム46と、心線収容部45及び揺動アーム46を駆動するための図略の複数の駆動モータと、を備える。そして、この複数の駆動モータも制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、心線キャッチャー43による心線3の把持、心線3の切断、揺動アーム46の揺動、心線3のV芯36に対する綾振りを適宜に制御できるようになっている。
【0030】
上記の上芯供給部14は、上記のV芯供給部12と略類似の構成である。即ち、上芯供給部14は、図6(a)に示される伸張ゴム層4に相当する上芯47(第2のゴム材)を上記心線3の外周側に供給するものであって、上芯ボビン48を回転可能に支持する上芯ボビン支持体49と、この上芯ボビン支持体49から繰り出された上芯47の端部をベベルに切断すると共に上記のリングクランプ31に受け渡す上芯受渡し部50と、を主たる構成として備える。この上芯受渡し部50は、上芯47の端部をベベルに切断するためのカッターを駆動すると共に切断された上芯47の端部を把持しながらリングクランプ31へ受け渡す動作の駆動源としての図略の駆動モータを備え、この駆動モータも、前述の制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、上芯受渡し部50による上芯47の切断と、上芯受渡し部50による上芯47のリングクランプ31への受渡しを適宜に制御できるようになっている。なお、この上芯ボビン48に巻回される上芯47は、成形型10の上記溝27に対して嵌合するよう、他の工程でカット加工され、所定幅及び所定の断面形状となっている。具体的に言えば、上芯47の幅は、上芯ボビン48に巻回されている状態で既に図6(a)に示される伸張ゴム層4の幅と略同一とされる。
【0031】
上記の成形装置100は、更に、帆布6やV芯36、上芯47を成形型10に対して押圧する押さえロール部51(押圧部)を備える。この押さえロール部51は、成形型10の上記溝27に対して嵌合可能なロール52と、このロール52を回転自在に支持する揺動自在のロール支持体53と、このロール支持体53の揺動の駆動源としての図略の駆動モータと、を主たる構成として備える。この駆動モータも、前述の制御装置101に接続され、もって、制御装置101は、成形型10の上記溝27に対するロール52の近接及び離間を適宜に制御できるようになっている。
【0032】
また、前述の制御装置101は、演算処理装置である図略のCPU(Cenral Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されるROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時に各種データを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMに記憶されている制御プログラムがCPUに読み込まれ、この制御プログラムがCPU上で実行されることで、CPUは、成形装置100の動作を該制御プログラムの記述通りに制御する成形装置制御手段として機能するようになっている。また、制御装置101は、例えばタッチパネルなどの図略の入力手段を備え、この入力手段を介して、オペレータがCPUに対して適宜に指示を与えることができるようになっている。
【0033】
次に、本実施形態の作動を説明する。図4は、ベルト成形体の成形工程の説明図である。
【0034】
先ず、成形装置100を管理するオペレータは、図1に示されるように、V芯ボビン37をV芯供給部12にセットし、このV芯ボビン37からV芯36の端部を引き出して、該端部をV芯受渡し部39内へセットする。同様に、オペレータは、上芯ボビン48を上芯供給部14にセットし、この上芯ボビン48から上芯47の端部を引き出して、該端部を上芯受渡し部50内にセットする。また、オペレータは、帆布ボビンBhを帆布供給部11にセットし、この帆布ボビンBhから帆布6の端部を引き出して、該端部を帆布受渡し部34内にセットする。更に、オペレータは、心線ボビンBsを心線供給部13にセットし、この心線ボビンBsから心線3の端部を引き出して、該心線3を駆動部41とダンサー部42へ糸掛けし、更に、心線3の上記端部を心線キャッチャー43内へセットする。
【0035】
次に、オペレータは、製造しようとするラップドVベルト1のプロファイルに適した成形型10を成形型支持体20に取り付ける。ラップドVベルト1のプロファイルとは、例えば、図6(a)に示されるラップドVベルト1の断面形状や、ラップドVベルト1のベルト長さである。また、上述したように成形型10は、アルミニウムや樹脂などの比重の小さい材料によって形成されるので、この点、オペレータの作業に配慮した設計となっている。
【0036】
以上の準備が完了したら、オペレータは、タッチパネルを操作して成形装置100によるベルト成形体7の下記の成形工程を開始させる。即ち、制御装置101は、成形装置100の各部を以下のように制御する。
【0037】
(帆布6の片付工程)
先ず、成形型10が回動して、リングクランプ31が帆布受渡し部34に対して近接する。次に、帆布受渡し部34は、帆布6の端部を上記のリングクランプ31へ受渡し、リングクランプ31は該端部をクランプする。そして、成形型10は正転方向Cへ回動し、リングクランプ31が押さえロール部51を通り過ぎた時点でロール支持体53が揺動して、図4(a)に示されるように、ロール52による帆布6の成形型10への押圧が開始する。この押圧により帆布6は平坦状態を脱し、成形型10の上記溝27の輪郭に沿うように屈曲する。そして、成形型10が一周回動したら、帆布受渡し部34は帆布6を切断し、成形型10は更に半周回動して、ロール52は帆布6を成形型10に対して十分に押し付ける。これにより、帆布6が成形型10の上記溝27上に強力に巻き付けられ、図4(a)に示されるように、帆布6は成形型10の上記溝27の断面形状に沿った状態とされる。そして、ロール支持体53が再び揺動して、ロール52が図1において実線で示される元の位置へ退避する。
【0038】
(V芯36の巻付工程)
次に、成形型10が回動して、リングクランプ31がV芯受渡し部39に対して近接する。そして、V芯受渡し部39は、V芯36の端部をベベルに切断すると共に、上記のリングクランプ31に対して受渡し、リングクランプ31は該端部をクランプする。そして、成形型10は正転方向Cへ回動し、リングクランプ31が押さえロール部51を通り過ぎた時点でロール支持体53が揺動して、図4(b)に示されるように、ロール52によるV芯36の成形型10(帆布6)への押圧が開始する。そして、成形型10が0.9周回動したら、V芯受渡し部39はV芯36をベベルに切断し、成形型10は更に0.1周回動して、ロール52がV芯36を成形型10に対して十分に押し付ける。これにより、V芯36が帆布6の外周に強力に巻き付けられる。そして、ロール52は上記同様に退避する。
【0039】
(心線3のスピニング工程)
次に、心線キャッチャー43が熱入り押さえ44に対して近接すると共に、熱入り押さえ44が、心線キャッチャー43によって把持されている心線3の端部をV芯36上に溶着する。そして、成形型10が逆転方向Lへ所定の回転数で回転すると共に、心線キャッチャー43がV芯36に対して心線3を綾振ることで、心線3は、図4(c)に示されるように、V芯36上に螺旋状に巻回される。そして、所定時間が経過すると、成形型10の回転が図略のブレーキ機構によって停止し、熱入り押さえ44が心線3の端部(末端部)を隣接する心線3に溶着または熱圧着させると共に、心線キャッチャー43が心線3を切断する。尚、切断には超音波カッター、エアーニッパ等も使用可能である。
【0040】
(上芯47の巻付工程)
そして、成形型10が回動して、リングクランプ31が上芯受渡し部50に対して近接する。そして、上芯受渡し部50は、上芯47の端部をベベルに切断すると共に、上記のリングクランプ31に対して受渡し、リングクランプ31は該端部をクランプする。次いで、成形型10は正転方向Cへ回動し、リングクランプ31が押さえロール部51を通り過ぎた時点でロール支持体53が揺動して、図4(d)に示されるように、ロール52による上芯47の成形型10(心線3)への押圧が開始する。そして、成形型10が0.9周回動したら、上芯受渡し部50は上芯47をベベルに切断し、成形型10は更に0.1周回動して、ロール52が上芯47を成形型10に対して十分に押し付ける。これにより、上芯47が心線3の外周に強力に巻き付けられる。
【0041】
(ベルト成形体7の回収)
以上の工程により、成形型10の上記溝27内には未加硫のベルト成形体7が成形される。次に、図2(b)に示される状態から図3の状態となるように、シリンダー30の作動によって一対のロッド29が互いに離れる方向へ退避することによって成形型10を構成する一対の分割体22が成形型10の軸方向において分離して離隔し、上記溝27内で生成されたベルト成形体7は、一対の分割体22のうち何れか一方の分割体22の突部24上に留まるか、或いは、自重により落下する。図示の如くベルト成形体7が突部24上に留まった場合は、オペレータは、ベルト成形体7を突部24から外して回収する。ベルト成形体7が自重により落下した場合は、オペレータは、落下したベルト成形体7をそのまま回収する。なお、前者、即ち、ベルト成形体7が突部24上に留まった場合では、ベルト成形体7の内周面7aと、突部24の外周面25と、の接触面積の総和は、分割体22の分割及び離隔前と比較して略半減している。
【0042】
(まとめ)
以上説明したように上記実施形態において、ベルト成形体7の成形装置100は以下のように構成される。即ち、上記ベルト成形体7は、圧縮ゴム層2と心線3、伸張ゴム層4を含む積層物であるベルト輪状体5に帆布6を被覆して成る。上記成形装置100は、前記ベルト成形体7と嵌合する溝27を外周に有する成形型10と、前記帆布6を前記成形型10の上記溝27上に供給する帆布供給部11と、前記圧縮ゴム層2に相当するV芯36を前記帆布6の外周側に供給するV芯供給部12と、前記心線3を前記V芯36の外周側に供給する心線供給部13と、前記伸張ゴム層4に相当する上芯47を前記心線3の外周側に供給する上芯供給部14と、を備える。このように、前記ベルト輪状体5を積層成形するために用いる上記の成形型10に前記帆布6を、前記V芯36の供給以前に供給することで、前記ベルト輪状体5の積層成形工程から前記帆布6の巻き付け工程までを一つの装置で一貫して実行できる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、成形型10に帆布6を、V芯36の供給よりも前に供給することとしたが、これに代えて、成形型10に帆布6を、V芯36の供給と同時に供給する構成が考えられる。具体的には、帆布6とV芯36が、成形型10に供給される直前で合流する場合と、帆布6とV芯36とが既に合流した状態でボビンに巻回され、一緒に繰り出される場合と、が考えられる。
【0044】
上記成形装置100は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型10は、前記溝27を軸方向に画定する一対のフランジ23を有する。この成形型10は、軸方向に分割可能に構成される。以上の構成によれば、前記一対のフランジ23が、前記成形型10の上記溝27内に積層成形された前記ベルト成形体7の離型を妨げることがない。
【0045】
上記成形装置100は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型10の上記溝27の底面27aは、前記成形型10を構成する一対の分割体22の夫々から突出する複数の突部24を周方向において交互に並べることで形成される。以上の構成によれば、前記成形型10を軸方向に分割して離間させると、前記ベルト成形体7の内周面7aと、前記成形型10の上記溝27の底面27aと、の接触面積が確実に減少する(本実施形態では半減している)ので、前記成形型10からの前記ベルト成形体7の離型性が一層向上する。
【0046】
上記成形装置100は、更に、以下のように構成される。即ち、前記帆布6、前記V芯36、及び、前記上芯47を前記成形型10に対して押圧する押さえロール部51を備える。以上の構成によれば、前記成形型10の上記溝27に前記ベルト成形体7を良好に沿わせることができるので、一層確実に、このベルト成形体7を所望の断面形状に近づけることができる。
【0047】
上記成形装置100は、更に、以下のように構成される。即ち、前記成形型10の外周には、前記帆布6、前記V芯36、及び、前記上芯47の各端部を、各供給の際に、前記成形型10の上記溝27に対して固定するリングクランプ31が設けられる。以上の構成によれば、前記帆布6、前記V芯36、及び、前記上芯47の前記成形型10への供給を円滑に行える。
【0048】
なお、上記の押さえロール部51とリングクランプ31を省略する構成も考えられる。
【0049】
また、上記実施形態は、別の観点から言えば、以下(1)〜(8)の点で優れている。
【0050】
(1)上記成形装置100は、この装置内で、前記ベルト輪状体5の積層成形工程から前記帆布6の巻き付け工程までを一つの装置で一貫して実行できるので、装置に対するベルトの着脱に代表されるオペレータの煩雑な作業を大幅に減らしている。
(2)特許文献2と比較して、本実施形態に係る成形装置100は、図4に示されるように、ラップドVベルト1を一本ずつ成形するので、いわゆる返しゴムやスクラップの発生、剰余仕掛品が抑えられる。
(3)上記成形装置100内では、ベルト輪状体5の切断工程がないので、ベルト輪状体5は切断時に必要とされる水と接触する機会がない。これにより、乾燥工程が不要になり、残留水によるベルトの膨れ不良がなくなる。
(4)成形しようとするベルト成形体7のプロファイルに従った成形型10が用いられるので、ベルト成形体7のベルト長さの寸法精度に大変優れ、もって、ベルト輪状体5やベルト成形体7の検尺の必要性が相当低くなる。
(5)ベルト輪状体5の状態のままで成形型10から取り外す必要がないので、心線3の配列状態を保持するための糊の使用を省略できる。
【0051】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0052】
<第一変形例>
図5は、帆布の折り曲げ工程の説明図である。本変形例に係る成形装置100は、図1において破線で示される帆布折曲部60を更に備える。この帆布折曲部60は、成形型10の上記溝27からはみ出た一対の帆布6をベルト輪状体5の背面5a側に折り曲げて、該背面5aに対して押し当てるものである。本変形例では、帆布ボビンBhに巻回される帆布6の幅は、上記実施形態と比較して大きく設定され、もって、図5(a)に示されるように、成形型10の上記溝27に沿って折曲した状態で、帆布6が該溝27から成形型10の軸方向両側へ十分にはみ出るようになっている。上記の帆布折曲部60は、6種類の折曲治具61〜66と、これらの折曲治具61〜66がリングクランプ31と干渉することのないようにリングクランプ31の走行空間から折曲治具61〜66を退避させるための図略の退避機構と、この退避機構の駆動源と、を主たる構成として備える。制御装置101は、この駆動源を介して、折曲治具61〜66の進退を適宜に制御できるようになっている。
【0053】
(巻下起こし)
図5(a)に示される第一折曲治具61は傾斜面61aを有し、この第一折曲治具61がベルト輪状体5に向かって成形型10の軸方向に沿って進出することで、傾斜面61aは、溝27からはみ出た帆布6の端部6aを成形型10の径方向外方へ若干起立させる。
【0054】
(巻下倒し)
図5(b)に示される第二折曲治具62はテーパ外周面62aを有し、この第二折曲治具62が回転しながらベルト輪状体5に向かって成形型10の軸方向に進出することで、テーパ外周面62aは、上記の帆布6の端部6aをベルト輪状体5の背面5aに対して対面するように倒す。
【0055】
(巻下寝かせ)
図5(c)に示される第三折曲治具63はテーパ外周面63aを有し、この第三折曲治具63が回転しながらベルト輪状体5に向かって成形型10の径方向に進出することで、テーパ外周面63aは、上記の帆布6の端部6aをベルト輪状体5の背面5aに対して押圧し、寝かせて密着させる。
【0056】
(巻下起こし)
図5(d)に示される第四折曲治具64は傾斜面64aを有し、この第四折曲治具64がベルト輪状体5に向かって、第一折曲治具61の進出方向と反対の方向に進出することで、傾斜面64aは、溝27からはみ出た帆布6の他方の端部6bを成形型10の径方向外方へ若干起立させる。
【0057】
(巻下倒し)
図5(e)に示される第五折曲治具65はテーパ外周面65aを有し、この第五折曲治具65が回転しながらベルト輪状体5に向かって、第二折曲治具62の進出方向と反対の方向に進出することで、テーパ外周面65aは、上記の帆布6の端部6bをベルト輪状体5の背面5aに対して対面するように倒す。
【0058】
(巻下寝かせ)
図5(f)に示される第六折曲治具66はテーパ外周面66aを有し、この第六折曲治具66が回転しながらベルト輪状体5に向かって成形型10の径方向に進出することで、テーパ外周面66aは、上記の帆布6の端部6bをベルト輪状体5の背面5aと端部6aに対して押圧し、寝かせて密着させる。この結果、図5(f)に示されるように、帆布6の端部6aと端部6bは一部が重複した関係となる。
【0059】
上述したように、本変形例では、成形型10の上記溝27からはみ出た一対の帆布6を前記ベルト輪状体5の背面5a側に折り曲げて、該背面5aに対して押し当てる、帆布折曲部60を備える。以上の構成によれば、前記ベルト輪状体5の内周面及び側面のみならず背面5aも前記帆布6によって被覆された、いわゆる全面ラップド型のラップドVベルト1に対応したベルト成形体7を成形できる。
【0060】
<第二変形例>
また、上記実施形態に係るベルト成形体7は、図6(a)及び(b)に示されるように、圧縮ゴム層2と心線3、伸張ゴム層4から成るベルト輪状体5と、帆布6と、によって形成されるものとしたが、これに加えて、圧縮ゴム層2に対する心線3の接着力を十分に確保するための接着ゴム層を圧縮ゴム層2の外周側に設けた構成も考えられる。この場合、上記接着ゴム層は、例えば、V芯ボビン37に巻回された状態で既にV芯36の外周側に貼設されるものとすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願発明の一実施形態に係るベルト成形体の成形装置の構成概略図
【図2】成形型の概略図
【図3】図2に類似する図であって、成形型の分割された状態を示す図
【図4】ベルト成形体の成形工程の説明図
【図5】帆布の折り曲げ工程の説明図
【図6】ラップドVベルトの断面図
【符号の説明】
【0062】
2 圧縮ゴム層
3 心線
4 伸張ゴム層
5 ベルト輪状体
6 帆布
7 ベルト成形体
10 成形型
11 帆布供給部
12 V芯供給部
13 心線供給部
14 上芯供給部
27 溝
36 V芯
47 上芯
100 成形装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧縮ゴム層と心線、伸張ゴム層を含む積層物であるベルト輪状体に帆布を被覆して成るベルト成形体の成形装置であって、
前記ベルト成形体と嵌合する溝を外周に有する成形型と、
前記帆布を前記成形型の上記溝上に供給する帆布供給部と、
前記圧縮ゴム層に相当する第1のゴム材を前記帆布の外周側に供給する第1ゴム材供給部と、
前記心線を前記第1のゴム材の外周側に供給する心線供給部と、
前記伸張ゴム層に相当する第2のゴム材を前記心線の外周側に供給する第2ゴム材供給部と、
を備える、
ことを特徴とするベルト成形体の成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト成形体の成形装置であって、
前記成形型は、前記溝を軸方向に画定する一対のフランジを有し、
この成形型は、軸方向に分割可能に構成される、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルト成形体の成形装置であって、
前記成形型の上記溝の底面は、前記成形型を構成する一対の分割体の夫々から突出する複数の突部を周方向において交互に並べることで形成される、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のベルト成形体の成形装置であって、
前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかを前記成形型に対して押圧する押圧部を備える、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のベルト成形体の成形装置であって、
前記成形型の外周には、前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかの端部を、各供給の際に、前記成形型の上記溝に対して固定する固定部が設けられる、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のベルト成形体の成形装置であって、
前記成形型の上記溝からはみ出た一対の帆布を前記ベルト輪状体の背面側に折り曲げて、該背面に対して押し当てる、帆布折曲部を備える、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形装置。
【請求項7】
少なくとも圧縮ゴム層と心線、伸張ゴム層を含む積層物であるベルト輪状体に帆布を被覆して成るベルト成形体の成形方法であって、
前記ベルト成形体と嵌合する溝を外周に有する成形型を用い、
前記帆布を前記成形型の上記溝上に供給し、
前記圧縮ゴム層に相当する第1のゴム材を前記帆布の外周側に供給し、
前記心線を前記第1のゴム材の外周側に供給し、
前記伸張ゴム層に相当する第2のゴム材を前記心線の外周側に供給する、
ことを特徴とするベルト成形体の成形方法。
【請求項8】
請求項7に記載のベルト成形体の成形方法であって、
前記成形型は、前記溝を軸方向で画定する一対のフランジを有するものとし、
この成形型は、軸方向に分割可能とする、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形方法。
【請求項9】
請求項8に記載のベルト成形体の成形方法であって、
前記成形型の上記溝の底面は、前記成形型を構成する一対の分割体の夫々から突出する複数の突部を周方向において交互に並べることで形成する、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形方法。
【請求項10】
請求項7〜9の何れかに記載のベルト成形体の成形方法であって、
前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかを前記成形型に対して押圧する、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形方法。
【請求項11】
請求項7〜10の何れかに記載のベルト成形体の成形方法であって、
前記帆布、前記第1のゴム材、及び、前記第2のゴム材のうち少なくとも何れかの端部を、各供給の際に、前記成形型の上記溝に対して固定する、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形方法。
【請求項12】
請求項7〜11の何れかに記載のベルト成形体の成形方法であって、
前記成形型の上記溝からはみ出た一対の帆布を前記ベルト輪状体の背面側に折り曲げて、該背面に対して押し当てる、
ことを特徴とする、ベルト成形体の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−69724(P2010−69724A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239667(P2008−239667)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】