説明

ホッパ及び該ホッパを有するガス化システム

【課題】バイオマス粉粒体を安定して供給することができるバイオマスガス化システムを提供する。
【解決手段】所定量のバイオマス粉粒体11をガス化炉12に供給してガス化させるバイオマスガス化システムであって、所定大きさに粉砕されたバイオマス粉粒体11を所定量供給するホッパ21と、所定量供給されたバイオマス粉粒体11を所定速度でガス化炉12内に供給するフィーダ41とからなり、前記ホッパ21がホッパ本体22と、ホッパ本体22の側壁下端部近傍に内側に向かって周設され、バイオマス粉粒体11の投入穴23を有する固定板24と、前記固定板24とホッパ本体22の底板25との間に、鉛直軸を中心として回転自在に設けられ、前記投入穴23と略一致する穴径を有する開口部26を複数備えた回転板27と、ホッパ本体22の底板25に形成され、バイオマス粉粒体11を一定量毎に切出す切出し穴28とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバイオマス等を微粉砕してなる粉粒体を安定して供給できるホッパ及び該ホッパを有するガス化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオマスを微粉砕して得る粉粒体(以下、これをバイオマス粉粒体という。)を原料としてこれをガス化し、この結果得られる合成ガスを処理して、例えばメタノール又は液状炭化水素を得るシステムが提案されている。また、かかる微粉砕バイオマスを燃焼処理するシステムの開発も待望されている。ここで、バイオマスとは、草木等の植物資源や、古紙,雑草,間伐材等の植物起源の有機系廃棄物等をいう。
【0003】
上述の如きバイオマス粉粒体は例えば0.05〜1.0mm程度の細かい粒子の集合体として得られ、しかも各粒子が繊維状に複雑に圧密・絡まった性状として得られる。このため、この種の微粉砕バイオマスをガス化炉等に供給するに際しては、これをガス化炉等に安定して供給することが必要となる(特許文献1、2)。また、安定して供給されたバイオマス粉粒体を効率良くガス化するために水蒸気を供給してガス化反応を促進することが提案されている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−239148号公報
【特許文献2】特開2001−239149号公報
【特許文献2】特開2004−251717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バイオマス粉粒体は例えば前述したように細かい粒子の集合体であるので、以下のような課題がある。
1)バイオマス粉粒体がホッパ内やスクリューフィーダへの供給管内で滞留しないこと。
2)バイオマス粉粒体がホッパ内からスクリューフィーダへの供給量が常にコンスタントで行われること。
3)スクリューフィーダから反応管への供給がスムースに行われること。
さらに、これらを同時に満足することができるバイオマスガス化炉は未だ出現されていない。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑み、粉粒体を安定して供給できるホッパ及び該ホッパを有するガス化システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、所定大きさに粉砕された粉粒体を所定量供給するホッパであって、筒状のホッパ本体と、前記ホッパ本体の側壁下端部近傍において、内側に向かって鍔状に周設されると共に粉粒体の投入穴を有する固定板と、前記固定板とホッパ本体の底板との間に、鉛直軸を中心として回転自在に設けられ、前記投入穴と略一致する穴径を有する開口部を複数備えた回転板と、ホッパ本体の底板に形成され、粉粒体を一定量毎に切出す切出し穴とを有することを特徴とするホッパにある。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記回転板の中心に円錐部が固設され、前記円錐部に攪拌羽根が設けられてなることを特徴とするホッパにある。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記切出し穴から一定量毎に切出された粉粒体をフィーダに供給する切出し筒を有することを特徴とするホッパにある。
【0010】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つのホッパと、供給された粉粒体をガス化するガス化炉とを有することを特徴とするガス化システムにある。
【0011】
第5の発明は、第4の発明において、前記切出し筒と連通し、一定量毎に切出された粉粒体をガス化炉内に押出すスクリューを有してなると共に、前記スクリューの先端部がガス化炉内部に突出していることを特徴とするガス化システムにある。
【0012】
第6の発明は、第5の発明において、前記スクリューの先端部が、ガス化炉上部側に切欠き部を有する半割状であることを特徴とするガス化システムにある。
【0013】
第7の発明は、第5の発明において、ホッパの回転板の回転とスクリューの回転とが連動してなることを特徴とするガス化システムにある。
【0014】
第8の発明は、第4乃至7のいずれか一つの発明において、粉粒体がバイオマス粉粒体であることを特徴とするガス化システムにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粉粒体がホッパ内で滞留せず、安定した粉粒体の供給をすることができる。また、粉粒体がホッパ内からスクリューフィーダへの供給量が常にコンスタントで行われ、しかもスクリューフィーダからガス化炉への供給がスムースに行われることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0017】
本発明による実施例に係るホッパ及び該ホッパを有するガス化システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、実施例に係るホッパを有するガス化システムを示す概念図である。
以下の実施例においては、粉粒体としてバイオマスを一例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施例に係るガス化システムは、所定量のバイオマス粉粒体11をガス化炉12に供給してガス化させるバイオマスガス化システムであって、所定大きさに粉砕されたバイオマス粉粒体11を所定量供給するホッパ21と、所定量供給されたバイオマス粉粒体11を所定速度でガス化炉12内に供給するフィーダ41とからなり、前記ホッパ21がホッパ本体22と、ホッパ本体22の側壁下端部近傍において、内側に向かって鍔状に周設されると共に粉粒体の投入穴23を有する固定板24と、前記固定板24とホッパ本体22の底板25との間に、鉛直軸を中心として回転自在に設けられ、前記投入穴23と略一致する穴径を有する開口部26を複数備えた回転板27と、ホッパ本体22の底板25に形成され、バイオマス粉粒体11を一定量毎に切出す切出し穴28とを有するものである。
【0018】
前記ホッパ21は筒状としており、ホッパ本体22の側壁は鉛直軸方向と略平行としている。また、鉛直としない場合には、末広がり状とするようにしてもよい。これは、ホッパ本体22の頂部側が低部側よりも狭いと底部に行くほど狭くなり、バイオマスの圧密化が進行するからである。
【0019】
また、本実施例では、図2に示すように、前記ホッパ21の回転板27の中心に円錐部29が固設され、モータMにより一体に回転されている。また前記円錐部29に攪拌羽根30が設けられており、回転に際して攪拌羽根30によりバイオマス粉粒体11の沈降及びブリッジングを防止するようにしている。なお、本実施例では、円錐部29の頂部側に攪拌軸31が延設されており、該攪拌軸31にも複数の攪拌羽根30が設けられている。
前記円錐部29を設けることにより、バイオマス粉粒体11がスムースに下方側に移動することになる。これは、ホッパ本体の側壁と円錐部29とが非対称となると共に、円錐部29が可動するので、バイオマス粉粒体11がブリッジを形成することが少なくなる。
さらに、円錐部29に設けた複数の攪拌羽根30が回転してブリッジを破壊又はブリッジ形成を阻害するので、バイオマス粉粒体がホッパ本体22内で滞留することが防止される。
【0020】
また、回転板27の上側に位置する固定板24はその外周側において内筒22に固設されている。この固定板24に形成された投入穴23から所定量のバイオマス粉粒体11が回転板27の開口部26に所定量投入される。その投入量は回転板27の開口部の厚さdと開口径により適宜設定される。そして所定量のバイオマス粉粒体11が充填された開口部26がその回転により底板25の切出し穴28に位置した際に、切出し筒34内に切り出されることになる。
なお、図3において、固定板24と円錐部29とは一体にみえるが、これは分解斜視図の作図上においてであり、本実施例では、円錐部29と攪拌軸31と回転板27とがモータMにより一体に回転する。この回転により粉粒体の供給速度を調整するようにしている。
また、切り出し筒34は鉛直軸方向に設けられているので、切り出されたバイオマス粉粒体11はスムースに落下することになる。
さらに、前記切出し穴28は前記固定穴23とオフセットした位置に設け、投入穴23から直接切出し穴28にバイオマス粉体が落下するのを防止している。
【0021】
また、回転板27に形成される開口部26は、本実施例では外周側に開口部を有するU字型であるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、固定板24の投入穴23の開口径より、開口部26の開口径の方が大きくするのが好ましい。
また、投入穴23と開口部26とはその数が一致していることが好ましい。
【0022】
また、ホッパ21の上部側にはバイオマスの供給装置33が配設されており、予め粉砕されたバイオマス粉粒体を一定量供給している。
【0023】
また、前記切出し穴28から一定量毎に切出されたバイオマス粉粒体11は、鉛直軸方向に設けられた切出し筒34により、フィーダ41に供給するようにしている。
【0024】
前記フィーダ41は、鉛直軸と直交する方向に回転軸を有するスクリュー42を有しており、供給されたバイオマスをその回転数に応じて徐々にガス化炉12内に供給している。さらに、前記フィーダ41の回転は前記ホッパのモータMにより回転される回転板と連動して、所定量切り出されるバイオマス粉粒体11を所定量送り込むようにしている。
【0025】
また、本実施例では、前記スクリュー42の先端部42aがガス化炉12内部に突出していると共に、その先端部が、ガス化炉上部側に切欠き部43を有する半割状としている。
【0026】
このように、フィーダ41の先端部42aをガス化炉の内部に突き出すと共に、その突き出した先端部42aを半割状とすることで、バイオマス粉粒体11が供給された際に、下方からの水蒸気51に直接晒されることがなく、好ましい。この結果水蒸気と直接接触することがないので、塊となることが防止され、水蒸気ガス化反応が効率的に進行する。
すなわち、前記先端部42aの半割状の背面部に負圧及び渦が生じ、水蒸気の上昇流にバイオマス粉粒体11を確実に乗せることができ、スクリューフィーダからガス化炉12内への供給をスムースに行うようにしている。
【0027】
この半割部はスクリューピッチで0.1〜0.5ピッチ程度とするのがよい。
【0028】
ガス化炉12内に供給されたバイオマス粉粒体11は別途供給される水蒸気51と共に、蒸し焼き状とされてガス化され、生成ガス52を発生する。生成ガス52はサイクロン53により除煤され、その後、液体燃料製造装置(図示せず)に送られ、例えばエタノール等の液体燃料を製造している。
【0029】
以上、本実施例では粉粒体としてバイオマスを一例としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、バイオマス以外の粉粒体を所定量送り出すホッパとして単独で用いることができる。
【0030】
また、本実施例にかかるガス化システムによれば、バイオマス粉粒体がホッパ内やスクリューフィーダへの供給管内で滞留しないので、安定した供給ができる。また、バイオマス粉粒体がホッパ内からスクリューフィーダへの供給量が常にコンスタントで行われ、さらにスクリューフィーダからガス化炉への供給がスムースに行われることになり、ガス化システムとしてこれらを同時に満足することができ、効率的なバイオマスガス化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかるバイオマスガス化システムは、バイオマス粉粒体を安定して供給することができ、効率よいバイオマスガス化設備に用いて適している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例にかかるバイオマスガス化システムの概略図である。
【図2】実施例にかかるホッパの断面概略図である。
【図3】実施例にかかるホッパ及びスクリューの構成図である。
【図4】実施例にかかるスクリュー及びガス化炉の構成図である。
【図5】図4のV−V断面矢視図である。
【符号の説明】
【0033】
11 バイオマス粉粒体
12 ガス化炉
21 ホッパ
22 ホッパ本体
23 投入穴
24 固定板
25 底板
26 開口部
27 回転板
28 切出し穴
29 円錐部
30 攪拌羽根
31 攪拌軸
41 フィーダ
42 スクリュー
51 水蒸気
52 生成ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定大きさに粉砕された粉粒体を所定量供給するホッパであって、
筒状のホッパ本体と、
前記ホッパ本体の側壁下端部近傍において、内側に向かって鍔状に周設されると共に粉粒体の投入穴を有する固定板と、
前記固定板とホッパ本体の底板との間に、鉛直軸を中心として回転自在に設けられ、前記投入穴と略一致する穴径を有する開口部を複数備えた回転板と、
ホッパ本体の底板に形成され、粉粒体を一定量毎に切出す切出し穴とを有することを特徴とするホッパ。
【請求項2】
請求項1において、
前記回転板の中心に円錐部が固設され、前記円錐部に攪拌羽根が設けられてなることを特徴とするホッパ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記切出し穴から一定量毎に切出された粉粒体をフィーダに供給する切出し筒を有することを特徴とするホッパ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つのホッパと、
供給された粉粒体をガス化するガス化炉とを有することを特徴とするガス化システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記切出し筒と連通し、一定量毎に切出された粉粒体をガス化炉内に押出すスクリューを有してなると共に、
前記スクリューの先端部がガス化炉内部に突出していることを特徴とするガス化システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記スクリューの先端部が、ガス化炉上部側に切欠き部を有する半割状であることを特徴とするガス化システム。
【請求項7】
請求項5において、
ホッパの回転板の回転とスクリューの回転とが連動してなることを特徴とするガス化システム。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか一つにおいて、
粉粒体がバイオマス粉粒体であることを特徴とするガス化システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−82963(P2006−82963A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271815(P2004−271815)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000214711)長菱エンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】