説明

ポリマー特性を制御する方法

本発明は、一般的に、ポリマー特性を制御する方法を提供する。特に、本発明は、以下のパラメーター:水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、エチレンの分圧、及び反応器温度の少なくとも1つ以上を変えることによる、コポリマーの密度及び/又はメルトインデックスを実質的に変化させることなく、エチレン−α−オレフィンコポリマー等のポリオレフィンのコモノマー組成分布を制御する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年2月5日に出願された出願番号第60/899,526号の利益を権利主張し、その開示は、その全体が参照により取り込まれる。
【0002】
本発明は、一般的に、ポリマー特性を制御する方法に関する。特に、本発明は、エチレン−α−オレフィンコポリマー等のポリオレフィンのコモノマー組成分布を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレン−α−オレフィンコポリマー等のポリオレフィンの組成分布とは、ポリエチレンポリマーを構成する分子内のコモノマー(短鎖分枝)の分布を指す。短鎖分枝の量が、ポリエチレン分子の間で変化する場合、すなわち、炭素原子1000個あたりのコモノマーの量が、ポリエチレン分子の長さと共に変化する場合、樹脂は、「広い」組成分布を有するといわれる。炭素1000個あたりのコモノマーの量が、様々な鎖長のポリエチレン分子の間で同様である場合、組成分布は、「狭い」といわれる。
【0004】
組成分布は、コポリマーの特性、例えば、抽出可能な含有量、環境ストレスクラック耐性、熱封止性、及び引裂き強度に影響を与えることが知られている。ポリオレフィンの組成分布は、この技術分野で公知の方法、例えば、昇温溶離分別法(TREF)又は結晶化分析分別法(CRYSTAF)により容易に測定しうる。
【0005】
エチレン−α−オレフィンコポリマー等のポリオレフィンは、典型的には、例えば、溶液、スラリー、又は気相重合法を用いて、低圧反応器中で製造される。重合は、例えば、チーグラー−ナッタ触媒、クロム系触媒、メタロセン触媒、又はこれらの組み合わせを用いたもののような触媒系の存在下に生起する。
【0006】
ポリオレフィンの組成分布は、使用する触媒のタイプにより主として規定され、典型的には、所与の触媒系については一定である。チーグラー−ナッタ触媒及びクロム系触媒は、広い組成分布の樹脂を製造するが、メタロセン触媒は、通常、狭い組成分布の樹脂を製造する。しかしながら、米国特許第6,242,545号および国際公開WO2004/000919号には、広い組成分布を有するポリエチレンを製造するある種のメタロセン、例えば、ハフノセンが開示されている。
【0007】
組成分布は、主に、使用する触媒系により規定されるが、ポリオレフィンの組成分布を変化させる試みがなされている。例えば、所望の組成分布は、ポリマーブレンドで達成しうる。米国特許第5,382,630号には、特に、同じ分子量を有するが異なるコモノマー含量を有するか又は同じコモノマー含量を有するが異なる分子量を有する又は分子量に従って増大するコモノマー含量を有することができる成分から作製される線状エチレンポリマー間ブレンドが開示されている。
【0008】
組成分布を変化させるもう一つの方法は、例えば、米国特許出願公開第2004/0225088号及び同第2004/0122054号に開示されているような、反応器中に存在するコモノマー濃度に異なって対応する多数の触媒を使用するものである。
【0009】
所望の組成分布を有するポリオレフィンを製造するさらに他の方法は、1以上の触媒系を有する多数の反応器の使用を介するもの及び/又は反応器内で縮合可能剤を使用するものである。例えば、国際公開WO2006/007046号には、特に、反応器中の縮合可能剤の量を増加させることによる、単一反応器/単一触媒系の組成分布幅指数(CDBI)を広げる方法を開示されている。しかしながら、時には、反応器中に縮合可能剤は存在しておらず、あるいは縮合可能剤の量を増加させることは、粒子粘性及び/又は操作上の問題を招くため、不可能である。
【0010】
他の背景文献として、国際公開WO01/49751号、国際公開WO01/98409号、欧州特許出願公開第1669373A号、並びに米国特許出願公開第2004/121922号及び同第2005/148742号が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,242,545号明細書
【特許文献2】国際公開WO2004/000919号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,382,630号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0225088号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0122054号明細書
【特許文献6】国際公開WO2006/007046号パンフレット
【特許文献7】国際公開WO01/49751号パンフレット
【特許文献8】国際公開WO01/98409号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第1669373A明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/121922号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/148742号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、混合触媒、多数の反応器、縮合可能剤、及び/又は反応器後にブレンドすることの使用を必要とせずに、ポリオレフィン、例えばエチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布を制御する方法が望ましく且つ有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、エチレン−α−オレフィンコポリマー等のポリオレフィンの組成分布が、以下のこと:水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、エチレンの分圧、及び反応器温度の少なくとも1つ以上を変えることにより調整しうることを見いだした。
【0014】
組成分布における変化又は改変は、以下のこと:
a)組成分布が、T75−T25値が少なくとも5℃変わるか、又はT90値が少なくとも5℃変わるように変化すること(本明細書中で定義されている);
b)TREF又はCRYSTAF試験(本明細書中で定義されている)における高温ピーク下の面積が、少なくとも5%増加又は減少すること;
c)非結晶性ポリマー鎖の分率が少なくとも5%変化すること(ここで、非結晶性ポリマー鎖の分率は、CRYSTAF試験(本明細書中で定義されている)における30℃未満でのトレースにおける階段状の増加で示される);
d)二峰性の組成分布を有するポリエチレンのTREF又はCRYSTAF試験(本明細書中で定義されている)において一つのピークが減少して、単峰性の組成分布が得られるように変化すること;及び
e)単峰性の組成分布を有するポリエチレンのTREF又はCRYSTAF試験(本明細書中で定義されている)において追加のピークが出現して、二峰性の組成分布が得られるように変化すること
の少なくとも一つにより特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、正規化濃度を溶出温度の関数としてプロットする、表1の実施例1〜4からのTREF曲線を表す。
【図2】図2は、正規化濃度を溶出温度の関数としてプロットする、表2の実施例5〜8からのTREF曲線を表す。
【図3】図3は、累積濃度曲線の微分を結晶化温度の関数としてプロットする、表3の実施例12及び13からのCRYSTAF曲線を表す。
【図4】図4は、累積濃度曲線の微分を結晶化温度の関数としてプロットする、表3からの実施例11及び12からのCRYSTAF曲線を表す。
【図5】図5は、累積濃度曲線の微分を結晶化温度の関数としてプロットする、表3からの実施例9及び10からのCRYSTAF曲線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の化合物、成分、組成物、及び/又は方法を開示し説明する前に、特に明記しない限り、本発明は、特定の化合物、成分、組成物、反応体、反応条件、配位子、メタロセン構造などに限定されず、これらは特記しない限り、変更し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特別の実施態様のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことをも理解されたい。
【0017】
明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されているように、単数形“a”、“an”及び“the”は、特記されない限り、複数の対象物を含むことにも留意されたい。したがって、例えば、「脱離基で置換されている」部分の中でのような「脱離基」に対する言及は、1個より多い脱離基を包含しているので、その部分は、2個以上のそのような基で置換され得る。同様に、「ハロゲン原子で置換されている」部分の中でのような「ハロゲン原子」に対する言及は、1個より多いハロゲン原子を包含しているので、その部分は、2個以上のそのようなハロゲン原子で置換され得、「置換基」に対する言及は、1個以上の置換基を包含し、「配位子」に対する言及は、1個以上の配位子を包含する、等々である。
【0018】
本発明の実施態様は、以下のこと:反応器中の、水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、反応器温度、及びエチレンの分圧の少なくとも1つ以上を変えることによる、エチレン−α−オレフィンコポリマー等のポリオレフィンの組成分布を制御する方法に関する。
【0019】
他の実施態様において、本発明は、CRYSTAF又はTREF試験における高温ピークの低温ピークに対する比が少なくとも10%変化するように、二峰性の組成分布を有するエチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布を変化させる方法に関する。このような結果は、場合により、コポリマーの密度を実質的に変化させることなく、以下のこと:反応器中の、水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、エチレンの分圧、及び反応器温度の少なくとも1つ以上を変えることにより達成し得る。
【0020】
さらに他の実施態様において、本発明は、CRYSTAF又はTREF試験における高温ピークの低温ピークに対する比が少なくとも10%変化するように、二峰性の組成分布を有するエチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布を変化させる方法に関する。これは、場合により、コポリマーの密度又はメルトインデックスを実質的に変化させることなく、以下のこと:水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、エチレンの分圧、及び反応器温度の少なくとも1つ以上を変えることにより達成し得る。
【0021】
あるクラスの実施態様において、本発明は、組成分布における変化がT75−T25値の5℃以上の変化により特徴付けられる、エチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布を変化させる方法に関する。これは、場合により、コポリマーの密度又はメルトインデックスを実質的に変化させることなく、以下のこと:水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、エチレンの分圧、及び反応器温度の少なくとも1つ以上を変えることにより達成し得る。
【0022】
他のクラスの実施態様において、本発明は、組成分布における変化がT90値の5℃以上の変化により特徴付けられる、エチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布を変化させる方法に関する。これは、場合により、コポリマーの密度又はメルトインデックスを実質的に変化させることなく、以下のこと:水素のエチレンに対するモル比、コモノマーのエチレンに対するモル比、エチレンの分圧、及び反応器温度の少なくとも1つ以上を変えることにより達成し得る。
【0023】
他のクラスの実施態様において、本発明は、第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの作製方法であって、単一の反応器中で重合条件下に、単一の触媒系、エチレン、エチレン以外の少なくとも1種のα−オレフィンを接触させることを含み;
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの双方が、0.910g/cc以上の密度、15〜50のメルトインデックス比を有し、単一触媒を用いて単一反応器中で重合され、また、
(a)その第一のエチレン−α−オレフィンコポリマーは、TREF試験において単一ピークを有することで特徴付けられる単峰性の組成分布を特徴とし、且つ
その第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーは、TREF試験において少なくとも2個のピークを有することで特徴付けられる多峰性の組成分布を有するか;又は、
(b)その第一のエチレン−α−オレフィンコポリマーは、TREF試験において少なくとも2個のピークを有することで特徴付けられる多峰性の組成分布を有し、且つ
その第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーは、TREF試験において単一ピークを有することで特徴付けられる単峰性の組成分布を有する、
方法に関する。
【0024】
定義
【0025】
本明細書で使用される、「ポリエチレン」は、少なくとも1種のエチレン−α−オレフィンコポリマーを指し、α−オレフィンは、例えば、ヘキセン及び/又はブテンである。
【0026】
本明細書で使用される、「組成分布」(時には、「コモノマー組成分布」又は「短鎖分枝分布」と称するか又は互換的に使用される)は、ポリエチレン樹脂を含む分子内のコモノマーの分布である。組成分布は、本明細書中に記載のように、TREF又はCRYSTAF試験により決定し得る。
【0027】
本明細書で使用される、単峰性の組成分布は、本明細書中に記載のように、TREF又はCRYSTAF試験において一つの明確なピークのみを有することにより特定し得る。多峰性の組成分布、いくつかの実施態様において時には、二峰性の組成分布は、本明細書中に記載のようなTREF又はCRYSTAF試験において、高温ピークと低温ピークの少なくとも2個の明確なピーク(例えば、2個以上)の出現により特定される。1個の「ピーク」は、温度の上昇と共に、グラフの一般的な勾配がプラスからマイナスに変化するときに存在する。2個の「ピーク」は、温度の上昇と共に、グラフの一般的な勾配がプラスからマイナスに変化するピーク(複数)の間に局所的最小が存在するときに存在する。2個のピークの相対比は、TREF又はCRYSTAF曲線から、TREF又はCRYSTAF曲線におけるピークの各々へのガウスフィッティングを用い、各々のピーク下の面積を積算して(ここで、全曲線下の積分を100%に正規化する)、決定し得る。
【0028】
本明細書で使用される、T90、T75、T25値は、ポリマーのそれぞれ90%、75%及び25%が、本明細書中に記載のようなTREF試験において溶出する温度を表す。
【0029】
本明細書で使用される、高密度分率(%高密度)は、TREF又はCRYSTAFにおける、より高い温度で溶出するピーク下の積分から算出される(ここで、全曲線下の積分を100%に正規化する)。
【0030】
本明細書で使用される、非結晶性(%非結晶性)分率は、CRYSTAF試験において30℃未満のトレースにおける階段状の増加により示される。非結晶性分率は、CRYSTAF曲線下の低温側の面積を積算することにより算出される(ここで、全曲線下の積分を100%に正規化する)。
【0031】
本明細書で使用される、密度は、ASTM D 1505に準拠してグラジエント法により測定される。
【0032】
本明細書で使用される、メルトインデックスは、ASTM−D−1238−E(190℃、2.16kg重)に準拠して測定される。
【0033】
本明細書で使用される、語句「コポリマーの密度を実質的に変化させることなく」中の「実質的に」は、密度変化(+/−)がいくつかの実施態様において0.015g/cm3未満、他の実施態様において0.008g/cm3未満、さらに他の実施態様において0.004g/cm3未満であることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される、語句「コポリマーの密度又はメルトインデックスを実質的に変化させることなく」中の「実質的に」は、密度変化(+/−)がいくつかの実施態様において0.015g/cm3未満、他の実施態様において0.008g/cm3未満、さらに他の実施態様において0.004g/cm3未満であること及びメルトインデックス変化(+/−)がいくつかの実施態様において2g/10分未満、他の実施態様において1g/10分未満、さらに他の実施態様において0.5g/10分未満であることを意味する。
【0035】
本明細書で使用される、TREFは、以下の寸法:内径(ID)7.8mm、外径(OD)9.52mm及びカラムの長さ15cmのカラムでの、分析サイズのTREF機器(Polymerchar, Spainから入手可能)を用いて測定される。カラムを、鋼鉄ビーズで満たす。6gのBHT/4L(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を含有するオルトジクロロベンゼン(ODCB)(ODCB、Aldrich 0.5gBHT/4Lで安定化した99+%)中の6.4%(w/v)ポリマー溶液0.5mLを、カラム上に載せ、1.0℃/分の一定の冷却速度で140℃から25℃に冷却する。続いて、ODCBは、1.0ml/分の流速でカラムを通してポンピングされ、カラム温度は、2℃/分の一定の加熱速度で上昇させて、ポリマーを溶出させる。溶出液中のポリマー濃度は、赤外線検出器を用いて2857cm-1の波数での吸収を測定することにより検出される。次いで、溶液中のポリマーの濃度は、その吸収から算出され、温度の関数としてプロットする。
【0036】
本明細書で使用される、CRYSTAFは、PolymerChar S.A.,による市販の機器、Model No. 200を用いて測定される。ポリマー約20〜30mgを反応器中に入れ、160℃で60分、その後100℃で45分の平衡時間で、30mLの1,2−ジクロロベンゼン(ODCB、Aldrich 0.5gBHT/4Lで安定化した99+%)中に溶解する。ポリマー溶液を、0.2℃/分の結晶化速度を用いて、0℃に冷却する。2波長赤外線検出器を使用して、結晶化の間のポリマー濃度を測定し(3.5μm、2853cm-1 対称伸縮)、分析時間中のベースラインドリフト(3.6μm)を補償する。溶液濃度を特定の温度間隔でモニターして、累積濃度曲線を得る。温度に関してのこの曲線の微分(dw/dT)は、各温度での結晶化ポリマーの重量分率を表す。次いで、累積濃度曲線のこの微分を、結晶化温度の関数としてプロットする。
【0037】
触媒成分
【0038】
触媒系は、オレフィンを重合する上で有用なこの技術分野で公知の任意の所望の触媒組成物、例えば、バナジウム系触媒、チタン系チーグラー・ナッタ触媒(マグネシウム成分を含み得る)、メタロセン類、例えば4族メタロセン類(好ましくは、ハフノセン類及びジルコノセン類)、クロム及び酸化クロム系触媒組成物、並びに3〜10族配位型触媒系(例えば、鉄、パラジウム、ニッケル又はジルコニウムとの二座又は三座アミン/イミン配位錯体)を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用されるように、特記しない限り、周期表の国際純正応用化学連合(IUPAC)表記法(2005年10月3日)が参照される。
【0039】
あるクラスの実施態様において、重合触媒は、メタロセンを含み;好ましい実施態様において、触媒組成物は、ハフノセンを含み;最も好ましい実施態様において、触媒組成物のメタロセンは、ハフノセン、すなわち、ハフニウムと少なくとも1種の配位子の一つの金属錯体より実質的になる。
【0040】
「ハフノセン」は、ハフニウムのモノ−、ビス−又はトリス−シクロペンタジエニル型錯体を含む触媒成分であり得る。ある実施態様において、シクロペンタジエニル型配位子は、シクロペンタジエニル又はシクロペンタジエニル及びその置換体にアイソローバル類似の配位子を含む。シクロペンタジエニルにアイソローバル類似の配位子の代表的ではあるが限定するものではない例として、シクロペンタフェナントレネイル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル、3,4−ベンゾフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペンタ[a]アセナフチレニル、7H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2−9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、これらの水素化物(例えば、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、又は“H4Ind”)、及びこれらの置換体が挙げられる。1つの実施態様において、ハフノセンは、非架橋型ビス−シクロペンタジエニルハフノセン及びその置換体である。他の実施態様においては、ハフノセンは、非置換の架橋型及び非架橋型ビス−シクロペンタジエニルハフノセン並びに非置換の架橋型及び非架橋型ビス−インデニルハフノセンを除くものであり、「非置換」は、環に結合したヒドリド基のみが存在し、他の基が存在しないことを意味する。
【0041】
好ましくは、本発明で有用なハフノセンは、式(式中、“Hf”は、ハフニウムである):
CpnHfXq (1)
で表すことができる。
【0042】
式中、nは、1又は2であり、qは、1、2又は3であり、各々のCpは、独立に、ハフニウムに結合したシクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル若しくはその置換体にアイソローバル類似の配位子であり;Xは、ヒドリド、ハライド、C1〜C10アルキル及びC2〜C12アルケニルよりなる群から選択され;nが2である場合、各々のCpは、C1〜C5アルキレン、酸素、アルキルアミン、シリル炭化水素、及びシロキシル炭化水素よりなる群から選択される架橋基Aを介して互いに結合し得る。C1〜C5アルキレンの例として、エチレン(−CH2CH2−)架橋基が挙げられ;アルキルアミン架橋基の例として、メチルアミド(−(CH3)N−)が挙げられ;シリル−炭化水素架橋基の例として、ジメチルシリル(−(CH32Si−)が挙げられ;また、シロキシル−炭化水素架橋基の例として、(−O−(CH32Si−O−)が挙げられる。
【0043】
式(1)で表されるハフノセンの実施態様において、nは2であり、qは1又は2である。
【0044】
本明細書で使用される、用語「置換」とは、言及される基が、任意の位置にある1個以上の水素に代わる少なくとも1個の部分を有することを意味し、その部分はハロゲン基(特にF、Cl、Br)、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、及びこれらの組み合わせから選択される。置換アルキル及びアリールの例として、限するものではないが、アシル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル−及びジアルキル−カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
他のクラスの実施態様において、本発明で有用なハフノセンは、式:
(CpR52HfX2 (2)
(式中、各々のCpは、シクロペンタジエニル配位子であり、各々はハフニウムに結合しており;各々のRは、独立に、ヒドリド及びC1〜C10アルキル基、最も好ましくはヒドリド及びC1〜C5アルキル基から選択され;且つ、Xは、ヒドリド、ハライド、C1〜C10アルキル及びC2〜C10アルケニルよりなる群から選択され、より好ましくは、Xはハライド、C2〜C6アルキレン及びC1〜C6アルキルよりなる群から選択され、最も好ましくは、Xはクロリド、フルオリド、C1〜C5アルキル及びC2〜C6アルキレンよりなる群から選択される)で表すことができる。実施態様において、ハフノセンは、上記の式(2)(式中、少なくとも1個のR基は、上記定義のアルキル基、好ましくはC1〜C5アルキルであり、他のものは、ヒドリドである)で表される。他の実施態様において、各々のCpは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びこれらの異性体よりなる群から選択される1、2、3個の基で独立に置換されている。
【0046】
特定の実施態様において、重合プロセスは、触媒組成物が不均一であり、触媒組成物が少なくとも1種の担持材料(即ち担体材料)を含むようにして実施し得る。担持材料は触媒組成物を担持するためのこの技術分野で公知の任意の材料、例えば無機酸化物、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、塩化マグネシウム、黒鉛、マグネサイト、チタニア、ジルコニア、及びモンモリロナイトであることができ、これらのいずれもは、例えばフッ素化プロセス、か焼、又はこの技術分野で公知の他のプロセスで化学的/物理的に変性することができる。
【0047】
ある実施態様において、担持材料は、0.1〜100μm、最も好ましくは10〜50μmのMalvern分析で測定された平均粒径を有するシリカ材料であり得る。
【0048】
あるクラスの実施態様において、触媒組成物は、少なくとも1種の活性化剤を含み得る。このような活性化剤は、この技術分野で周知であり、環状又はオリゴマー状のポリ(ヒドロカルビルアルミニウムオキシド)及びいわゆる非配位型活性化剤(“NCA”)のようなルイス酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
少なくとも1種の活性化剤は、また、アルモキサン(例えば、メチルアルモキサン“MAO”)及び変性アルモキサン(例えば、“MMAO”又は“TIBAO”)を含み得る。活性化剤は、この技術分野で広く使用され、知られており、オレフィン重合用の触媒を活性化するのに好適であり得る。
【0050】
好ましい実施態様において、活性化剤はアルモキサンであり、最も好ましくは、3(2) POLYMER REACTION ENGINEERING 131-200 (1995)中でJ. B. P. Soares及びA. E. Hamielecにより記載されているようなメタルモキサンである。アルモキサンは、担持材料上に、場合により、50:1〜200:1、又は80:1〜120:1の範囲のアルミニウムのハフニウムに対するモル比(Al:Hf)で共担持し得る。
【0051】
重合プロセス
【0052】
「重合反応器」は、ポリオレフィンを製造する上で有用な、この技術分野で公知の任意のタイプの反応器であり得る。このような反応器の例は、連続気相反応器、より特定的には、連続流動床気相反応器である。
【0053】
このような反応器は、例えば、一般的に、10,000kPa未満、好ましくは8,000kPa未満、さらにより好ましくは6,000kPa未満、さらにより好ましくは4,000kPa未満、最も好ましくは3,000kPa未満の全体圧力で操作することができる。
【0054】
あるクラスの実施態様において、反応器は、「連続」反応器であり、モノマー及び触媒組成物は、連続的に又は規則的に反応器に供給され、ポリマー生成物、例えばポリエチレンは、連続的に又は規則的に反応器から抜き取られることを意味する。このような重合反応器として、いわゆる「スラリー」反応器、「溶液」反応器、及び「流動床気相」反応器が挙げられる。このような反応器は、Polymerization Reaction Engineering-Metallocene Catalysts, 21 PROG. POLYM. SCI. 651-706 (1996)中でA. E. Hamielec及びJ. B. P. Soaresにより概説されている。
【0055】
特別なクラスの実施態様において、本発明で有用な重合反応器は、双方が任意の好適な手段により重合反応器を通して連続的に流されるエチレン並びにコモノマー、例えば、ヘキセン、ブテン、オクテン、及び/又はこれらの混合物を含む供給ストリーム又は「サイクルガス」を含む連続流動床気相反応器である。これらの反応器はこの技術分野で周知であり、米国特許第5,352,749号、第5,462,999号及び国際公開WO03/044061号中でより詳細に記載されている。コモノマーの量は、反応器中のエチレンの量に対するモル比として表現することができる。好ましくは、供給ストリーム又は「サイクルガス」は、エチレン及びコモノマーの連続流を維持する上で反応器を支援するために供給される。
【0056】
流動床気相反応器を用いる実施態様において、モノマー流は重合セクションに送られる。重合セクションの実例として、1個以上の排出タンク、サージタンク、パージタンク、及びリサイクル圧縮機と流体連通している反応器を挙げることができる。1以上の実施態様において、反応器は、速度減少ゾーンと流体連通している反応ゾーンを含む。反応ゾーンは、反応ゾーンを通してメーキャップ(補給)供給物及びリサイクル流体の形態の重合性で変性性の気体状成分の連続流により流動化される、ポリマー粒子を成長させる床、生成したポリマー粒子及び触媒組成物粒子を含む。好ましくは、メーキャップ供給物は、重合性モノマー、最も好ましくはエチレン及び少なくとも1種の他のα−オレフィンを含み、また、この技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,543,399号、第5,405,922号及び第5,462,999号に開示されている「縮合剤」をも含み得る。
【0057】
流動床は、床を通しての気体のパーコレーションにより作り出される、個別に動く粒子、好ましくはポリエチレン粒子の緻密な物質の全体的な様相を有している。床を通しての圧力損失は、断面積で割った床の重量と同じか少し大きいであろう。したがって、それは反応器の幾何形状に依存する。反応ゾーンでの動作可能な流動床を維持するためには、床を通しての表面気体速度は、流動に要する最小流れを超える必要がある。好ましくは、表面気体速度は、最小流速の少なくとも2倍であり得る。
【0058】
一般に、反応ゾーンの高さ対直径比は、約2:1〜約5:1の範囲で変動し得る。当然のことながら、その範囲は、より大きい又はより小さい比に変動することができ、所望の製造能力に依存する。速度減少ゾーンの断面積は、典型的には、反応ゾーンの断面積の約2倍〜約3倍の範囲内である。
【0059】
速度減少ゾーンは、反応ゾーンよりも大きい内径を有し、形状として円錐状に先細であることができる。その名称が示唆するように、速度減少ゾーンは、断面積が大きくなっているため、気体の速度をおそくする。この気体速度の減少は、随伴粒子を床内に落下させ、反応器から送られてきた随伴粒子の量を減少させる。反応器の頭上に存在するその気体は、リサイクルガス流である。
【0060】
リサイクル流は、圧縮機の中で圧縮され、その後、床に戻る前に、熱を取り除く熱交換ゾーンを通過する。熱交換ゾーンは、典型的には、水平型又は垂直型のものであることができる熱交換器である。所望ならば、いくつかの熱交換器を使用して、サイクルガス流の温度を段階的に下げることができる。圧縮機を熱交換器の下流に又はいくつかの熱交換器の間の中間点に設置することも可能である。冷却後、リサイクル流は、リサイクル吸気ラインを通して反応器に戻される。冷却されたリサイクル流は、重合反応により発生した反応熱を吸収する。
【0061】
典型的には、リサイクル流は、反応器及び流動床に、気体分配板を介して戻される。気体デフレクターは、好ましくは、反応器の入口に設置されて、含まれるポリマー粒子が沈降し、固形物に凝集するのを防ぎ、且つ反応器の底に液体が蓄積するのをも防ぎ、サイクルガス流中に液体を含むプロセス及び含まないプロセス並びにその反対の場合の間での容易な移行を促進する。この目的に好適な例示的なデフレクターは、例えば、米国特許第4,933,149号及び第6,627,713号に記載されている。
【0062】
流動床で使用される触媒組成物又は触媒系は、好ましくは、貯蔵材料に不活性である(又は重合プロセス中に反応しない)気体、例えば窒素又はアルゴンの覆いの下にリザーバー中で供給用に貯蔵される。触媒組成物は、任意の時点で、また任意の好適な手段で、反応系又は反応器に添加することができ、好ましくは、流動床内に直接又はリサイクルライン中の最後の熱交換器(流れに対して最も下流の交換器)の下流で反応系に添加され、この場合には、活性化剤はディスペンサーから床又はリサイクルラインに供給される。触媒組成物は、分配板の上のポイントで床に注入される。好ましくは、触媒組成物は、ポリマー粒子との良好な混合が生じる床のポイントで注入される。分配板の上のポイントで触媒組成物を注入すると、流動床重合反応器の満足すべき操作がもたらされる。
【0063】
モノマーは、ノズルを通しての床又はサイクルガスラインへの直接注入を含む種々の方法で重合ゾーンに導入することができる。モノマーは、また、床の上部に位置するノズルを通して床の最上部に散布することもでき、これはサイクルガス流による微粉のいくらかのキャリー・オーバーを除去する上で役立ち得る。
【0064】
メーキャップ流体は、反応器への別個のラインを通して床に供給し得る。メーキャップ流の組成は、気体分析器で測定される。気体分析器は、リサイクル流の組成を測定し、メーキャップ流の組成は、結果として反応ゾーン内の実質的に定常状態の気体状組成を維持するために調節される。気体分析器は、リサイクル流組成を測定して供給流成分の比を維持する従来の気体分析器であることができる。このような装置は、広範な供給源から市販されている。気体分析器は、典型的には、速度減少ゾーンと熱交換器の間に位置するサンプリングポイントから気体を受け入れるように配置される。
【0065】
ポリオレフィンの生産速度は、触媒組成物注入、活性化剤注入、又はその両方の速度を調節することにより好都合に制御し得る。触媒組成物注入の速度が変化すると、反応速度とひいては床で熱が発生する速度が変化するので、反応器に入るリサイクル流の温度は、熱発生の速度の変化に対応するように調節される。これにより、床において実質的に一定な温度を維持することが確保される。流動床及びリサイクル流冷却システムの双方の完全な計測化は、当然のことながら、オペレーター又は従来の自動制御システムのいずれかがリサイクル流の温度を好適に調節することが可能となるように、床での温度変化を検出するのに有用である。
【0066】
所与の一セットの操作条件下に、流動床は、粒子状のポリマー生成物の生成速度で、生成物として床の一部を取り去ることにより、実質的に一定の高さに維持される。熱発生の速度は、生成物生成の速度に直接関連しているので、反応器を通過する流体の温度上昇(入口側流体温度と出口側流体温度の差)の測定は、入口側流体中に揮発性液体が存在しないか無視しうる場合には、一定の流体速度での特定のポリマー生成の速度を指し示す。
【0067】
粒子状のポリマー生成物を反応器から取り出す際に、生成物から流体を分離して、流体をリサイクルラインに戻すことが望ましく且つ好ましい。この分離を達成するための多くの方法がこの技術分野で公知である。別法として用いられ得る生成物取り出しシステムが、米国特許第4,621,952号に開示され、クレームされている。そのようなシステムは、典型的には、直列に配置された沈殿タンクと移動タンクを含み、沈殿タンクの最上部から流動床の最上部に近い反応器中のポイントに分離された気相を戻す少なくとも1対(並列)のタンクを使用する。
【0068】
適切な反応器操作性及び触媒生産性を維持するために、本明細書中の流動床気相反応器の実施態様における流動床の反応器温度は、70℃又は75℃又は80℃〜90℃又は95℃又は100℃又は110℃の範囲であることが好ましく、所望の温度範囲は、本明細書に記載の任意の下限温度と組み合わされた任意の上限温度を含んでいる。反応器操作性と触媒生産性を維持する手段として反応器温度を使用する以外に、本発明は、ポリオレフィンの組成分布を改変するために、他の変数の中で、反応器温度を使用する方法を提供する。
【0069】
あるクラスの実施態様において、本発明において適切な触媒生産性を維持するために、エチレンが、100psia(690kPa)又は120psia(830kPa)又は190psia(1300kPa)又は200psia(1380kPa)又は210psia(1450kPa)又は220psia(1515kPa)以上で;好ましい実施態様において10,000kPa未満の分圧で反応器中に存在することが好ましい。触媒生産性を維持する手段としてエチレンの分圧を使用すること以外に、本発明は、ポリオレフィンの組成分布を改変するために、他の変数の中で、エチレンの分圧を使用する方法を提供する。
【0070】
特定の実施態様において、本発明の方法は、エチレン分圧を少なくとも50kPa変えるか、反応温度を少なくとも1℃変えるか、又はその両方のときに、製造されるポリエチレンの組成分布が変化することを特徴とする。組成分布のこの変化は、以下のこと:
a)組成分布が、T75−T25値が少なくとも5℃変わるか、又はT90値が少なくとも5℃変わるように変化すること;
b)TREF又はCRYSTAF試験における高温ピーク下の面積が、少なくとも5%増加又は減少すること;
c)非結晶性ポリマー鎖の分率が少なくとも5%変化すること(ここで、非結晶性ポリマー鎖の分率は、CRYSTAF試験における30℃未満でのトレースにおける階段状の増加で示される);
d)二峰性の組成分布を有するポリエチレンのTREF又はCRYSTAF試験において一つのピークが減少して、単峰性の組成分布が得られるようになること;及び
e)単峰性の組成分布を有するポリエチレンのTREF又はCRYSTAF試験において追加のピークが出現して、二峰性の組成分布が得られるようになること
の一つ以上により特徴付けられる。
【0071】
コポリマーのエチレンに対するモル比は、得られるエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度を調節するのに使用し得、コポリマーのエチレンに対するモル比が高くなると、より低い密度のポリエチレンが製造される。最終ポリエチレン生成物は、0〜15又は20wt%のコモノマー由来単位を含み得る。好ましくは、エチレンを、一つの実施態様では3〜12個の炭素原子を、さらに他の実施態様では4〜10個の炭素原子を、好ましい実施態様では4〜8個の炭素原子を含むα−オレフィンと共重合する。いくつかの実施態様において、エチレンを1−ブテン又は1−ヘキセンと共重合する。
【0072】
コポリマーは、所望の重量%でのコモノマーの最終ポリエチレンへの取り込み、従って所望の密度を達成する任意のレベルで存在する。本明細書に記載のコモノマーのエチレンに対するモル比は、サイクルガス中のコモノマーのモルでの気体濃度の、サイクルガス中のコモノマーのモルでの気体濃度に対する比である。一つの実施態様において、コモノマーは、サイクルガス中にエチレンと共に、0.0001(コモノマー:エチレン)〜0.20又は0.10、他の実施態様では0.001〜0.1、さらに他の実施態様では0.001〜0.050、さらに他の実施態様では0.002〜0.030のモル比範囲で存在し、ここで、所望の範囲は、本明細書に記載の任意の上限と任意の下限との任意の組み合わせを含み得る。I21及び/又はI2並びに嵩密度のような、製造されるポリオレフィンの基本特性を制御する手段を提供することに加えて、本発明は、ポリオレフィンの組成分布を改変するために、他の変数の中で、コモノマー対エチレン比を使用する方法を提供する。
【0073】
水素ガスをも、I2又はI21のような所望のメルトインデックスを達成するために、重合反応器に添加し得る。一つの実施態様において、循環ガス流中の水素の全エチレンモノマーに対する比(ppmH2:モル%C2)は、一つの実施態様では0〜60:1、他の実施態様では0.10:1(0.10)〜50:1(50)、さらに他の実施態様では0.12〜40、さらに他の実施態様では0.15〜35の範囲であり、ここで、所望の範囲は、本明細書に記載の任意の上限モル比と任意の下限モル比との任意の組み合わせを含み得る。I21及び/又はI2並びに嵩密度のような、製造されるポリオレフィンの基本特性を制御する手段を提供することに加えて、本発明は、ポリオレフィンの組成分布を改変するために、他の変数の中で、水素対エチレン比を使用する方法を提供する。
【0074】
特定の実施態様において、本発明の方法は、反応器中の水素対エチレン比又は反応器中のコモノマー対エチレン比又はその両方を少なくとも5%変えるときに、製造されるポリエチレンの組成分布が変化することを特徴とする。組成分布のこの変化は、以下のこと:
a)組成分布は、T75−T25値が少なくとも5℃変わるか又はT90値が少なくとも5℃変わるように変化すること;
b)TREF又はCRYSTAF試験における高温ピーク下の面積が、少なくとも5%増加又は減少すること;
c)非結晶性ポリマー鎖の分率が少なくとも5%変化すること(ここで、非結晶性ポリマー鎖の分率は、CRYSTAF試験における30℃未満でのトレースにおける階段状の増加で示される);
d)二峰性の組成分布を有するポリエチレンのTREF又はCRYSTAF試験において一つのピークが減少して、単峰性の組成分布が得られるようになること;及び
e)単峰性の組成分布を有するポリエチレンのTREF又はCRYSTAF試験において追加のピークが出現して、二峰性の組成分布が得られるようになること
の一つ以上により特徴付けられる。
【0075】
ポリマー
【0076】
本発明は、広範囲のポリエチレンコポリマーを作製するのに好適である。一つの実施態様において、本発明の方法から製造されるポリエチレンは、0.01〜200dg/minのメルトインデックス(ASTM−D−1238−E 190℃/2.16kgに従って測定したI2)を有している。さらに、ポリエチレンは、一つの実施態様では10〜100、さらに他の実施態様では10〜50、さらに他の実施態様では12〜40、さらに他の実施態様では15〜35のI21/I2(ASTM−D−1238−F、190℃/21.6kg に従って測定したI21)を有し得る。
【0077】
本明細書に記載のポリエチレンの密度は、ASTM D 792に準拠して測定されて、0.910〜0.975g/cm3、好ましくは0.910〜0.965g/cm3、好ましくは0.910〜0.960g/cm3の範囲であり得る。
【0078】
ポリエチレンは、好ましくは、一つの実施態様では2〜15、他の実施態様では2〜10、さらに他の実施態様では2.5〜8、さらに他の実施態様では2.5〜5の分子量分布を有し得、ここで、所望の範囲は、本明細書に記載の任意の上限と任意の下限との任意の組み合わせを含み得る。
【0079】
ポリエチレンは、一つの実施態様では2%未満、他の実施態様では1%未満のヘキサン抽出可能値(21CFR177.1520(d)(3)(i)により測定)を有し得る。
【0080】
特定の実施態様において、ポリエチレンは、実質的に、クロム、ジルコニウム、バナジウム又はチタンを含有せず、例えば0.01ppm未満のような、これらの金属の痕跡量と当業者が考える量のみである。他の実施態様において、ポリエチレンは、0.001〜4ppmのハフニウム、より好ましくは0.001〜3ppmのハフニウムを含む。金属含有量は、この技術分野で公知のように、X線蛍光分析(XRF)又は誘導結合プラズマ−原子発光分析(ICP−AES)により決定し得る。
【0081】
ポリエチレンは、任意の好適な手段で、任意の有用な製品へ成形することができる。本発明のポリエチレンは、キャスト又はインフレーションフィルム押出プロセスにより作製されるフィルムに十分に適している。本発明のポリエチレンは、回転成形又は射出成形プロセスにより物品に成形するのに特に十分に適している。このようなプロセスは、この技術分野で周知である。典型的な回転成形品として、液体運搬用大型容器、ドラム、農業用タンク、及びカヌー又は大運動場の遊具のような大型部品が挙げられる。典型的な射出成形品として、家庭用品、薄肉容器、及び容器用蓋が挙げられる。
【0082】
本発明者らは、本発明のポリエチレンが、他のポリマー及び/又は添加剤と配合されて、製品に使用することができる組成物を作製し得ると考えている。このブレンドは、キャストフィルム押出、インフレーションフィルム押出、回転成形又は射出成形プロセスによりそのような製品に成形し得る。
【0083】
あるクラスの実施態様及び本発明の一つの態様において、重合反応器中で触媒系を用いてエチレンと1種以上のα−オレフィンとを重合するために、組成分布は、以下のこと:コモノマーのエチレンに対するモル比、水素のエチレンに対するモル比又はエチレンの分圧及び反応器温度の1つ以上を変えることにより改変しうる。好ましくは、重合反応器は、10,000kPa未満の圧力で操作される単一連続気相反応器であり、触媒系は、本明細書に記載のような単一のメタロセン触媒を含んでいる。好ましくは、単一のメタロセン系は、ハフノセンである。
【実施例】
【0084】
本発明は、その特定の実施態様に関連して説明されているが、以上の記載は、本発明の範囲を例証するものであって、限定することを意図するものではないことを理解されたい。他の態様、効果および修正は、本発明が属する分野の当業者に明白であろう。
【0085】
したがって、以下の実施例は、本発明の化合物をいかに作製し使用するかについての完全な開示及び説明を当業者に提供するためになされており、発明者が彼らの発明であると考えるものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0086】
実施例1〜8
【0087】
エチレン/1−ヘキセンコポリマーは、以下の手順に従って製造した。触媒組成物は、メタルモキサンと共に、シリカ担持ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドを含んでおり、Al:Hf比は、約80:1〜130:1であった。触媒組成物の調製方法は、例えば、米国特許第6,242,545号に開示されている。触媒組成物は、流動床気相重合反応器に乾燥状態で注入された。より詳細には、重合は、約2068kPaの全圧で操作される、152.4mm径の気相流動床反応器中で行われた。反応器床重量は、約2kgであった。流動ガスは、1秒あたり約0.6mの速度で床を通過した。床に存在する流動ガスは、反応器の上部に位置する樹脂離脱ゾーンに入った。流動ガスは、次いで、リサイクルループに入り、サイクルガス圧縮機及び水冷熱交換器を通過した。外殻側水温は、表1及び表2に特記した反応器温度を維持するように調節した。エチレン、水素、1−ヘキセン及び窒素は、表1及び表2に特記した所望の気体濃度を維持するのに十分な量で、圧縮機のすぐ上流のサイクルガスループに供給した。気体濃度は、オンライン気体分率分析器で測定した。生成物(ポリエチレン粒子)は、バッチモードで反応器からパージ用の容器へと抜き出した後、生成物容器に移した。樹脂中の残留触媒及び活性化剤を湿潤窒素パージにより生成物ドラム内で不活性化した。触媒はステンレス鋼製注入管を通して反応器床に所望のポリマー製造量を維持するのに十分な速度で供給した。「C6/C2流量比(“FR”)」は、反応器への1−ヘキセンコモノマー供給量のポンドのエチレン供給量のポンドに対する比であり、一方、C6/C2比は、サイクルガス中の1−ヘキセンのモルでの気体濃度のサイクルガス中の1−ヘキセンのモルでの気体濃度に対する比である。C6/C2比は、サイクルガス蒸気分率分析器から得られ、一方、C6/C2流量比は、質量流のある種の手段によりもたらされる。サイクルガスは、反応器中の気体であり、反応器のまわりの再循環ループからのタップから測定される。以下の表(表1〜4)で報告されている比は、反応器中の気体濃度からのものである。試料は9分毎に採取し、したがって、報告されたC6/C2比は、運転中の平均である。表1及び表2には、対応する気体濃度及び反応器変数並びに製造されたポリマーの密度及びメルトインデックスがまとめられている。
【0088】
実施例9〜13
【0089】
エチレン/1−ヘキセンコポリマーは、反応器温度及びエチレン分圧を変えながら、直径が14インチ(355.6mm)であることを除いて実施例1〜8で使用したものと同様の連続気相流動床反応器中で製造した。触媒組成物は、メタルモキサンと共に、シリカ担持ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドを含んでおり、Al:Hf比は、約80:1〜130:1であった。表3には、対応する気体濃度及び反応器変数並びに製造されたポリマーの密度及びメルトインデックスがまとめられている。
【0090】
表1は、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド触媒を用いるエチレンと1−ヘキセンの気相重合に関するものであり、ここでは、約0.922g/cm3〜約0.926g/cm3の範囲の密度を維持しながら、反応器中のコモノマーと水素の量を変化させる。メルトインデックスは、ASTM−D−1238−E(190℃、2.16kg重)に準拠して測定した。密度は、ASTM D 792に準拠して測定した。T90、T75及びT25は、本明細書に記載のようにして測定した。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例1〜4に記載のポリマーは、約0.922g/cm3〜約0.926g/cm3の間の類似した密度を有するが、異なる組成分布を有する。組成分布は、一定の反応器圧力及び温度で、コモノマー/エチレン比及び水素/エチレン比を変えた結果として変化した。表1には、対応する気体濃度及び反応器変数並びに実施例1〜4の製造されたポリマーの密度及びメルトインデックスがまとめられている。T75−T25値は、組成分布の変化を示している。
【0093】
コモノマー/エチレン比及び水素/エチレン比の分布組成に対する影響が、図1に示されている。示されているように、コモノマー/エチレン比が増加すると、組成分布は広くなる。コモノマー/エチレン比の増加は典型的には密度を低下させるので、水素を反応器に加えて、コモノマー濃度の増加による密度低下効果を相殺した。組成分布が広くなることは、コモノマー濃度の増加と共にT75−T25値が増加することにより、さらに示されている。
【0094】
実施例2及び実施例3は、コモノマー/エチレン比の変化が組成分布の広がり並びに得られるポリマーの組成分布の様相にいかに影響を与えるかということを示している。一定の水素濃度でコモノマー/エチレン比を増加させることは、組成分布を広げるために使用することができる。TREF曲線を図1に示す。
【0095】
実施例2及び実施例3は、さらに、一定の水素濃度でコモノマー/エチレン比を増加させることは、単峰性の組成分布を二峰性の組成分布に変化させるために使用できることを示している。組成分布(TREF曲線)を図1に示す。
【0096】
表2は、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド触媒を用いるエチレンと1−ヘキセンの気相重合に関するものであり、ここでは、約0.914g/cm3〜約0.917g/cm3の範囲の密度を維持しながら、反応器中のコモノマーと水素の量を変化させる。メルトインデックスは、ASTM−D−1238−E(190℃、2.16kg重)に準拠して測定した。密度は、ASTM D 792に準拠して測定した。T90、T75及びT25は、本明細書に記載のようにして測定した。
【0097】
【表2】

【0098】
実施例5〜8に記載のポリマーは、約0.914g/cm3〜約0.917g/cm3の間の類似した密度を有するが、異なる組成分布を有する。組成分布は、一定の反応器圧力で、コモノマー/エチレン比及び水素/エチレン比を変えた結果として変化した。表2には、対応する気体濃度及び反応器変数並びに実施例5〜8の製造されたポリマーの密度及びメルトインデックスがまとめられている。
【0099】
コモノマー/エチレン比及び水素/エチレン比の分布組成に対する影響が、図2に示されている。示されているように、水素/エチレン比が増加すると、組成分布は広くなり、高温ピークと低温ピークの相対的な量は変化する。この変化は、TREF曲線における低温ピークが、高温ピークに比べて増大することと、%高密度が減少することを特徴とする。
【0100】
表3は、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド触媒を用いるエチレンと1−ヘキセンの気相重合に関するものであり、ここでは、反応器中で一定のC6/C2比及び一定の水素濃度を維持しながら、エチレン分圧及び反応器温度を変化させる。メルトインデックスは、ASTM−D−1238−E(190℃、2.16kg重)に準拠して測定した。密度は、ASTM D 792に準拠して測定した。
【0101】
【表3】

【0102】
実施例9〜13に記載のポリマーは、一定のC6/C2比及び一定の水素濃度を維持しながら、エチレン分圧及び反応器温度を変化させて製造した。
【0103】
図3は、実施例12及び実施例13のCRYSTAF曲線を示し、エチレン分圧の組成分布に対する影響を示している:実施例13は、より高いエチレン分圧(240psi)で製造した。それは、低温ピークに対して相対的に強い高温ピークを示している。実施例12は、他の変数は実質的に一定に維持しながら、180psiのより低いエチレン分圧で製造した。実施例13に比べて、実施例12は、より弱い高温ピークとより強い低温ピークを示す。
【0104】
図4は、実施例11及び実施例12のCRYSTAF曲線を示し、反応器温度の、製造されたポリマーの組成分布に対する影響を示している。実施例11がより低い反応器温度で製造されたことを除いて、実施例11及び実施例12は同様の条件下に製造された。より高い反応器温度で製造されたポリマーは、二峰性の組成分布を示す。より低い反応器温度は、高密度ポリマーの分率(%高密度)を有意に増加させ、より低い反応器温度のポリマーの組成分布は、より低い結晶化温度でのピークを減少させるという点でさらに改変されており、したがって、単峰性の組成分布が結果として生じる。さらに、より低い反応器温度は、30℃未満でのCRYSTAFトレースにおける階段状の増加で実証されるように、非結晶性ポリマーの分率を増加させる。
【0105】
図5は、実施例9及び実施例10のCRYSTAF曲線を示す。図5では、類似の密度及びメルトインデックスを有するが、組成分布が異なる2種の樹脂が、反応器温度及びエチレン分圧を調節することにより製造できることが示されている。より低い反応器温度及びより低いエチレン分圧で製造された樹脂(実施例10)は、より低い高密度分率(%高密度)を示すが、非結晶性分率はより多い。
【0106】
上記のように、エチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布を制御すること及び、触媒組成物を変える必要がなく、また多数の反応器を使用する必要もなくポリエチレン樹脂を製造することが望ましい。本明細書に記載の種々の実施態様において、本発明は、触媒系と組み合わせて、水素濃度、コモノマーのエチレンに対する比、反応器温度、及びエチレン分圧の少なくとも一つを活用して、ポリエチレン等のポリマー生成物のメルトインデックス、密度及び組成分布の少なくとも一つを調整することを提供する。
【0107】
特記しない限り、「〜より実質的になる」及び「〜より実質的になっている」の語句は、本明細書中に具体的に記述されていてもいなくても、他の工程、要素、又は材料が、本発明の基本的且つ新規な特質に影響を与えない限り、そのような工程、要素、又は材料の存在を排除するものではなく、さらに、使用されるヨウ素及び材料に通常随伴する不純物を排除するものではない。
【0108】
簡潔のために、特定の範囲についてのみ、本明細書で明示的に開示している。しかしながら、任意の下限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するための任意の上限と組み合わされ、さらに、任意の下限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するための任意の他の下限と組み合わされ、同様に、任意の上限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するための任意の他の上限と組み合わされる。加えて、ある範囲内は、たとえ明示的に列挙されていなくても、その終点(複数)の間のすべての点又は個々の値を包含する。したがって、すべての点又は個々の値は、任意の他の点若しくは個々の値又は任意の他の下限若しくは上限と組み合わされ、それ自身下限又は上限となり、明示的に列挙されていない範囲を列挙する。
【0109】
すべての先行文献は、本明細書に、その取り込みが認められるすべての管轄区域については、参照によりまたそのような開示が本発明の記載と矛盾しない程度に、すべてここに取り込まれる。さらに、ここに引用したすべての文献及び参照文献は、試験手順、刊行物、特許、論文誌等も含めて、その取り込みが認められるすべての管轄区域については、参照によりまたそのような開示が本発明の記載と矛盾しない程度に、すべてここに取り込まれる。
【0110】
本発明を、いくつかの実施態様及び実施例に関して説明したが、この開示の利益を有する当業者は、本明細書に開示された本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、他の実施態様を考え出すことができることが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布の改変方法であって、反応器中で反応混合物と触媒系とを接触させることを含むものであり、反応混合物が、エチレン、水素、及び1種以上のα−オレフィンを含み、且つコポリマーの組成分布が、以下のこと:
イ)水素のエチレンに対するモル比を1%以上;
ロ)コモノマーのエチレンに対するモル比を1%以上;
ハ)エチレンの分圧を50kPa以上;及び
ニ)反応器温度を1℃以上;
の少なくとも1つ以上を変えることにより改変されるものである方法。
【請求項2】
反応器が、500〜5000kPaの反応器圧及び50℃〜120℃の反応器温度で操作される連続流動床気相反応器である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒系がメタロセンを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
メタロセンが、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムXn、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、及び(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn(式中、Xnは、ハロゲンイオン、ヒドリド、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C6〜12アリール、C7〜20アルキルアリール、C1〜12アルコキシ、C6〜16アリールオキシ、C7〜18アルキルアリールオキシ、C1〜12フルオロアルキル、C6〜12フルオロアリール、及びC1〜12ヘテロ原子含有炭化水素よりなる群から選択される)並びにそれらの置換誘導体よりなる群から選択されるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒系が、担持材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
触媒系が、活性化剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
活性化剤が、アルモキサンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
メタロセンがハフノセンであり、アルミニウムのハフニウムに対する比が60:1〜150:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アルミニウムのハフニウムに対する比が80:1〜120:1である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
α−オレフィンがC3〜C10α−オレフィンから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
エチレン−α−オレフィンコポリマーの組成分布の改変方法であって、500〜5000kPaの反応器圧及び50℃〜120℃の反応器温度で操作される流動床気相反応器中で反応混合物と触媒系とを接触させることを含むものであり、反応混合物が、エチレン、水素、少なくとも1種の縮合剤、及び1種以上のα−オレフィンを含み、且つコポリマーの組成分布が、以下のこと:
イ)水素のエチレンに対するモル比を1%以上;
ロ)コモノマーのエチレンに対するモル比を1%以上;
ハ)エチレンの分圧を50kPa以上;
ニ)反応器温度を1℃以上;及び
ホ)縮合剤の量を1%以上;
の少なくとも1つ以上を変えることにより改変されるものである方法。
【請求項12】
触媒系がメタロセンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
メタロセンが、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムXn、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn(式中、Xnは、ハロゲンイオン、ヒドリド、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C6〜12アリール、C7〜20アルキルアリール、C1〜12アルコキシ、C6〜16アリールオキシ、C7〜18アルキルアリールオキシ、C1〜12フルオロアルキル、C6〜12フルオロアリール、及びC1〜12ヘテロ原子含有炭化水素よりなる群から選択される)及びそれらの置換誘導体よりなる群から選択されるものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
触媒系が、担持材料を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
触媒系が、活性化剤を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
活性化剤が、アルモキサンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
メタロセンがハフノセンであり、アルミニウムのハフニウムに対する比が60:1〜150:1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルミニウムのハフニウムに対する比が80:1〜120:1である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
α−オレフィンがC3〜C10α−オレフィンから選択される、請求項11〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1種の縮合剤が、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、n−オクタン及びこれらの組み合わせよりなる群から選択される脂肪族炭化水素を含む、請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの製造方法であって、反応混合物と触媒系とを接触させること、この反応混合物は、エチレン、水素、及び1種以上のα−オレフィンを含むものであり、並びに、第一のエチレン−α−オレフィンコポリマーがTREF試験において単一ピークを有することを特徴とする単峰性の組成分布を有し、第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーがTREF試験において少なくとも2個のピークを有することを特徴とする多峰性の組成分布を有するように、以下のこと:
イ)水素のエチレンに対するモル比、
ロ)コモノマーのエチレンに対するモル比、
ハ)エチレンの分圧、及び
ニ)反応器温度;
の少なくとも1つ以上を変えることを含む方法。
【請求項22】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.015g/cm3未満異なる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.008g/cm3未満異なる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.004g/cm3未満異なる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのメルトインデックスが20%未満異なる、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのメルトインデックスが10%未満異なる、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
触媒系がメタロセンを含む、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
メタロセンが、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムXn、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、及び(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn(式中、Xnは、ハロゲンイオン、ヒドリド、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C6〜12アリール、C7〜20アルキルアリール、C1〜12アルコキシ、C6〜16アリールオキシ、C7〜18アルキルアリールオキシ、C1〜12フルオロアルキル、C6〜12フルオロアリール、及びC1〜12ヘテロ原子含有炭化水素よりなる群から選択される)並びにそれらの置換誘導体よりなる群から選択されるものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
触媒系が、活性化剤を含む、請求項21〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
活性化剤が、アルモキサンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの製造方法であって、反応混合物と触媒系とを接触させること、この反応混合物は、エチレン、水素、及び1種以上のα−オレフィンを含むものであり、並びに、第一のエチレン−α−オレフィンコポリマー及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのT90値が5℃以上異なるように、以下のこと:
イ)水素のエチレンに対するモル比、
ロ)コモノマーのエチレンに対するモル比、
ハ)エチレンの分圧、及び
ニ)反応器温度;
の少なくとも1つ以上を変えることを含む方法。
【請求項32】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.015g/cm3未満異なる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.008g/cm3未満異なる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.004g/cm3未満異なる、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのメルトインデックスが20%未満異なる、請求項31〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのメルトインデックスが10%未満異なる、請求項31〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
触媒系がメタロセンを含む、請求項31〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
メタロセンが、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムXn、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn、及び(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn(式中、Xnは、ハロゲンイオン、ヒドリド、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C6〜12アリール、C7〜20アルキルアリール、C1〜12アルコキシ、C6〜16アリールオキシ、C7〜18アルキルアリールオキシ、C1〜12フルオロアルキル、C6〜12フルオロアリール、及びC1〜12ヘテロ原子含有炭化水素よりなる群から選択される)並びにそれらの置換誘導体よりなる群から選択されるものである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
触媒系が、活性化剤を含む、請求項31〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
活性化剤が、アルモキサンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの製造方法であって、反応混合物と触媒系とを接触させること、この反応混合物は、エチレン、水素、及び1種以上のα−オレフィンを含むものであり、並びに、第一のエチレン−α−オレフィンコポリマー及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのT75-25値が5℃以上異なるように、以下のこと:
イ)水素のエチレンに対するモル比、
ロ)コモノマーのエチレンに対するモル比、
ハ)エチレンの分圧、及び
ニ)反応器温度;
の少なくとも1つ以上を変えることを含む方法。
【請求項42】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの製造方法であって、反応混合物と触媒系とを接触させること、この反応混合物は、エチレン、水素、及び1種以上のα−オレフィンを含むものであり、並びに、第一のエチレン−α−オレフィンコポリマー及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのT75-25値が10℃以上異なるように、以下のこと:
イ)水素のエチレンに対するモル比、
ロ)コモノマーのエチレンに対するモル比、
ハ)エチレンの分圧、及び
ニ)反応器温度;
の少なくとも1つ以上を変えることを含む方法。
【請求項43】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.015g/cm3未満異なる、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.008g/cm3未満異なる、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項45】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーの密度が0.004g/cm3未満異なる、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項46】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのメルトインデックスが20%未満異なる、請求項41〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
第一及び第二のエチレン−α−オレフィンコポリマーのメルトインデックスが10%未満異なる、請求項41〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
触媒系がメタロセンを含む、請求項41〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
触媒系が、活性化剤及び場合により、担持材料を含む、請求項41〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
活性化剤が、アルモキサンを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
触媒系が1種の触媒、好ましくは1種のメタロセン触媒より実質的になる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
方法が単一の反応器中で行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
方法が、特に明記しない限り、縮合剤の不存在下に行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−518225(P2010−518225A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549072(P2009−549072)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/000731
【国際公開番号】WO2008/097422
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】