説明

ポリ(フェニレンエーテル)−ポリビニル熱硬化性接着剤、フィルム、及びそれから製造した基板

本発明は、良好な加工性を有し、B段階(部分硬化状態)での脆さの減少を示し、所望の用途に応じて広範囲の流れ特性を有するように製造できる接着剤樹脂組成物に関する。具体的には、ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂及び硬化性不飽和モノマーからなる組成物が、金属箔又は熱可塑性樹脂基板或いは自立フィルムに塗布される。熱可塑性樹脂基板は、片面に導電性金属(例えば、銅)を有し得る。新規な接着剤組成物を製造する際に使用する成分及び/又はその鎖長(分子量)を調節して架橋の官能性を調整することで、良好な最終フィルム特性を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性基板用の成形組成物、接着剤組成物及びフィルム並びにその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明はポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニルポリマーを含むかかる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、金属及び熱可塑性樹脂被着体(特に、電気部品及び印刷回路板の作製に際して使用される基板又はこれらに付随する基板)と共に使用するための熱硬化性材料に対するニーズが常に存在している。一例として、回路板の小型化に対するニーズが増大しており、印刷回路板中へのミクロバイアの形成のような方法が開発されている。さらに、ミクロバイア技術に対処し得ると共に、ガラス繊維織物や細断ガラス繊維のような補強材の妨害なしにレーザー穿孔の可能な各種の基板選択物を有することは有益であろう。
【0003】
印刷回路板の作製に際しては、接着剤を塗布した銅箔を使用すること、又は米国特許第5557843号に記載されているように硬化接着剤を有する銅箔に接着剤を塗布してから部分的に硬化させたものを使用することが知られている。この方法は、印刷回路板又はリジッド−フレックスボードで実際に使用するため有効に塗布して取り扱うことのできる銅箔の厚さによって制限される。ポリ(フェニレンエーテル)−ポリビニル(PPE−PV)熱硬化性接着剤は、通常のエポキシ樹脂接着剤の脆い性質を克服すると共に、優れた電気的性質及び取扱い特性を提供する。銅又は他の導電性材料で3ミクロン又は5ミクロンの厚さに金属化した熱可塑性樹脂フィルムは公知である。金属化ポリイミドの例は、例えば、米国特許第4842946号及び同第4959121号に記載されている。これらの金属化フィルムは、接着剤を塗布し、例えばミクロバイア用途及びリジッド−フレックス用途で使用できる。
【0004】
これらの接着剤組成物及びフィルム組成物の使用は、特に限定されないが、直接印刷回路板用途に有用である。成形組成物、接着剤組成物及びフィルム組成物は、優れた絶縁特性及び物理的性質(例えば、防湿性や電気的性質)を要求する、印刷回路板以外の用途でも期待されている。かかる分野には、幾つかの例を挙げれば、特にマイクロ波アンテナ反射器、レーダードーム、電気用Iビーム及びコンデンサーがある。硬化性フィルム組成物に関する他の用途には、例えば、はんだマスク及び相似皮膜のようなものが考えられる。
【特許文献1】米国特許第5557843号明細書
【特許文献2】米国特許第4842946号明細書
【特許文献3】米国特許第4959121号明細書
【発明の開示】
【0005】
本発明は、良好な加工性を有し、B段階(部分硬化状態)での脆さの減少を示し、所望の用途に応じて広範囲の特性を有するように製造できる樹脂組成物に関する。具体的には、ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂及び硬化性不飽和モノマーからなる組成物、並びに別法としてフィルム用途のためにポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂単独からなる組成物(硬化性不飽和モノマーを含んでもよい)が、金属箔又は熱可塑性樹脂基板に塗布されるか、或いは(自立)フィルムとして使用される。熱可塑性樹脂基板は、片面又は両面に導電性金属(例えば、銅)を有し得る。所望の熱硬化物品を製造するために使用する成分及び/又はその鎖長(分子量)を調節して架橋の官能性を調整することで、選択された性質を達成できる。かくして、本発明の樹脂組成物は、通常の樹脂に比べて(仮に優れていないとすれば)同等の誘電特性、水吸着性及び加工性を有すると予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
反応性末端封鎖PPE化合物は、約5ppmを超える濃度でフェノール性ヒドロキシル残基を含む公知PPE化合物のいずれかを反応性封鎖剤と反応させることで得られる化合物を包含する。かかる未封鎖PPE化合物は、例えば米国特許第6352782号、同第5352745号、同第5213886号及び同第5834565号(これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)のような各種の特許及び出版物に記載されている。
【0007】
一実施形態では、反応性封鎖PPE化合物は構造の繰返し単位を含むものを包含する。別の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)化合物は下記の一般構造を有する。
【0008】
【化1】

【0009】
式中、Qは多官能性フェノールを含むフェノール類の残基であって、下記の構造を有する基を含み、
【0010】
【化2】

【0011】
(構造については、Xは水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる炭化水素基でカルボン酸基、アルデヒド基、アルコール基及びアミノ基からなる群から選択される置換基を含むものである。Xは硫黄、スルホニル、スルフリル、酸素、又はその他の原子価2の橋かけ基でビスフェノールもしくは高次ポリフェノールを形成するものであってもよい。R1−4は独立に水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる基でカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基(例えば、アミド基又はイミド基)からなる群から選択される置換基を含むものでもよく、y及びnは独立に約1〜100の範囲内にあり、別の実施形態では約1〜3であり、さらに別の実施形態では約1〜2であり、別の実施形態ではy及びnは同じである。)
Jは下記の構造を有する繰返し単位からなり、
【0012】
【化3】

【0013】
(構造については、R5−8は独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる基でカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基(例えば、アミド基又はイミド基)からなる群から選択される置換基を含むものでもよく、mは1〜200の範囲内にある。)
Kは下記の構造を有する。
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、XはO、S又は2つの水素原子、好ましくはS又はOであり、R9−11は独立に水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アリール、或いは混成アルキル又はアリール基であり、好ましくはR9−10が水素であり、R11がメチルである。)上述の「R」置換基のいずれもが、適宜部分的又は完全に(例えばFで)ハロゲン化されていてもよい。さらに、R5−8置換基のいずれか1つをR1−4基として使用してもよい。
【0016】
接着剤塗布用途のためには、反応性封鎖PPEは、一実施形態では約3000未満、別の実施形態では約500〜約2900、さらに別の実施形態では約800〜約2200g/molの平均分子量を有する低分子量PPEである。本発明の一実施形態では、PPEは公知の触媒副反応で得られるアミン含有末端基を含んでいてもよい。かかるアミン含有末端基は、PPEの反応性封鎖に先立って除去することができる。かかる材料は、未封鎖PPEを約150〜約350℃の範囲内の温度で処理し、次いで封鎖することで製造できる。封鎖に先立ち、本発明で使用する低分子量ポリフェニレンエーテルは、通例は約7000〜50000の範囲内の平均分子量を有するPPEから製造できる。
【0017】
低分子量PPE組成物のかかる製造は、例えば、フェノール類(ビスフェノールを含む)の存在下又は不存在下でPPEを酸化剤(例えば、過酸化物又はキノン)と反応させるような再分配反応で達成できる。別の再分配方法は、上述のような酸化カップリングで3000未満の数平均分子量を有する樹脂を生成させ、これを好ましくは直接単離法で単離して低分子量PPEを得ることである。直接単離は、減圧下で加熱することでPPE樹脂を重合で使用した溶媒から単離する方法である。ただし、かかる低分子量樹脂でも、適宜、さらに低分子量の樹脂を得るため過酸化物又は過酸化物及びフェノール類で官能化してもよい。
【0018】
一実施形態では、フィルム形成用途のための反応性封鎖PPEは、約12000〜80000g/molの範囲内の平均分子量を有する高分子量PPEである。
【0019】
反応性封鎖PPEの生成に際しては、封鎖触媒が多用される。かかる化合物の例には、フェノール類と後述の封鎖剤との縮合を触媒し得る、当技術分野で公知のものがある。有用な物質は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化テトラアルキルアンモニウムのような塩基性水酸化物塩、トリブチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルベンジルアミン、ジメチルブチルアミンなどの第三アルキルアミン、ジメチルアニリンのような第三混成アルキル−アリールアミン及びその置換誘導体、イミダゾール又はピリジンのような複素環式アミン、並びに2−メチルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン又は4−ビニルピリジンのようなその置換誘導体を含む塩基性化合物である。また、例えばイソシアネート又はシアネートエステルとフェノール類との縮合を触媒することが知られている有機金属塩(例えば、スズ塩及び亜鉛塩)も有用である。この点で有用な有機金属塩は、当業者に公知の多数の刊行物及び特許文献で知られている。
【0020】
封鎖剤は、フェノール基と反応することが文献で知られており、封鎖反応後に不飽和結合の重合によって熱硬化性マトリックス中で硬化させるための炭素−炭素不飽和結合を含む化合物を包含する。かかる化合物には、例えば、無水物基、酸塩化物基、エポキシ基、カーボネート基、エステル基、イソシアネート基、シアネートエステル基又はアルキルハライド基を含むモノマー及びポリマーの両方が含まれる。封鎖剤は有機化合物に限定されず、例えば、リン系及び硫黄系封鎖剤も含まれる。かかる化合物の例には、例えば、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、ジ(4−ニトロフェニル)カーボネートのようなジフェニル、アクリロイルエステル、メタクリロイルエステル、アセチルエステル、フェニルイソシアネート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルフェニルイソシアネート、シアナトベンゼン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、3−又は4−(α−クロロメチル)スチレン、臭化アリルなど、これらのカーボネート誘導体及び置換誘導体、並びにこれらの混合物がある。
【0021】
一実施形態では、本発明の封鎖ポリ(フェニレンエーテル)は下記の一般構造を有するものを含む。
【0022】
【化5】

【0023】
式中、Qはフェノール類の残基であり、
Jは下記の構造を有する繰返し単位からなり、
【0024】
【化6】

【0025】
(構造については、R5−8は独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール及び混成アルキル−アリール炭化水素から選択され、かかる基はカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基から選択される置換基を含んでいてもよい。)
Kは下記の構造を有する。
【0026】
【化7】

【0027】
(式中、R9−11は水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アリール、或いは混成アルキル又はアリール基であり、Xは酸素であり、mは1〜200の範囲内にある。)
本発明の好ましい封鎖ポリ(フェニレンエーテル)には、封鎖触媒の存在下でポリ(フェニレンエーテル)を例えば無水メタクリル酸と反応させて製造したメタクリレート封鎖ポリフェニレンエーテルがある。一実施形態では10%以上、別の実施形態では50%以上、さらに別の実施形態では実質的にすべてのヒドロキシル末端基が封鎖される。
【0028】
米国特許第6384176号及び同第6469124号に開示されているような、封鎖PPEを製造するための別法は、酸素含有ガス及び錯体金属触媒を用いて1種以上の一価フェノール化学種を反応溶液中で酸化カップリングしてPPEを生成し、好ましくは反応溶媒の揮発除去のための1以上の単離段階前及び/又は単離段階中に、下記式(I)の不飽和化合物でPPEを官能化することからなる。
【0029】
【化8】

【0030】
式中、Rは脂肪族又は芳香族残基(例えば、−CH−)であるが、複数の−CH−基であってもよい。例えば、nは1〜10以上であり得る。別法として、nは0に等しくてもよく、この場合の式はアクリル酸残基である。R、R及びRは各々独立に水素、アルキル又はアリールであり、Xは下記式(II)の1つを有する残基である。
【0031】
【化9】

【0032】
或いは、Xはハロゲン又は下記式(III)の残基である。
【0033】
【化10】

【0034】
式中、Rは脂肪族又は芳香族残基(例えば、−CH−)であるが、複数の−CH−基であってもよい。例えば、mは1〜10以上であり得る。別法として、mは0に等しくてもよい(この場合、n及びmのが共に0に等しければ、不飽和化合物は無水アクリル酸である。)。R、R及びR10は各々独立に水素、アルキル又はアリールである。好ましい実施形態では、不飽和化合物は下記の式(IV)を有する。
【0035】
【化11】

【0036】
式中、n、R、R、R及びRの各々は前述の通りである。特に好ましい実施形態では、不飽和化合物は下記の式(V)を有する。
【0037】
【化12】

【0038】
1つの炭素−炭素二重結合又は三重結合を含む化合物には、スチレン及びその置換誘導体(例えば、2−、3−又は4−メチルスチレン及びα−メチルスチレン)のような公知のビニルモノマーがあり、アクリル酸又はアクリル酸エステル及び無水マレイン酸も有用である。かかるビニルモノマーは、これらの樹脂の難燃性を向上させるために臭素を含んでいてもよい。かかる化合物には、2,4,6−トリブロモスチレンのような臭素化スチレン及びペンタブロモベンジルアクリレートがある。
【0039】
2以上の炭素−炭素二重結合又は三重結合を含む化合物には、プロピレングリコール、エチレングリコール、ビスフェノールA及びテトラブロモビスフェノールAを始めとするアルキレンジオール又は混成アルキル−アリーレンジオールと、二酸及び無水物からなる群から選択される1種以上との縮合生成物のような不飽和ポリエステルがある。この種の化合物の代表例は、プロピレングリコール、無水マレイン酸及びイソフタル酸の縮合生成物である。また、下記の式及びで記述されるもののような、臭素化ビスフェノールを始めとするビスフェノールの縮合生成物も含まれる。
【0040】
【化13】

【0041】
構造及びについては、R〜Rは独立に水素、アルキル、ハロ又はアリールであり、R〜Rは独立にアルキル、アリール又は混成アルキル−アリール炭化水素であることができ、Xは炭素−炭素単結合、アルキル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、チオ、スルホニル、スルフリル、ホスフェート、置換ホスフィン又はホスフィンオキシドである。他のポリマーには、フェニルエチニル封鎖ポリイミド、ポリスルホン又はヒドロキシスチレン含有ポリマーのような、炭素−炭素二重結合又は三重結合で変性した熱可塑性樹脂がある。また、トリアジン部分及び重合性炭素−炭素二重結合を含む化合物も有用である。かかる物質には、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及び構造6〜11に示すトリアジン化合物があり、これらはトリアジン部分の優れた誘電特性のために有用であり得る。
【0042】
【化14】

【0043】
また、ジアリルフタレート、シアリルイソフタレート及びこれらから誘導されたプレポリマーのようなアリル化合物、並びにアクリル酸とジグリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)との縮合で生成されたジアクリレートのようなアクリレートも有用である。
【0044】
炭素−炭素二重結合又は三重結合を含む他の化合物には、特に、塩化アクリロイルと多官能性アルコールとの縮合生成物がある。この種の化合物の代表例は、2,2−ビス((4−(2−アクリルオキシエトキシ)フェニル)プロパン)又は1,2,3−プロパントリオールトリアクリレートである。
【0045】
上述の成分に加えて、不飽和成分用の重合触媒を配合してもよい。重合触媒は、高温でラジカルを生成し得る任意の化合物を包含する。これには、上述の炭素−炭素二重結合及び三重結合含有化合物を重合させるために当技術分野で知られているペルオキシ系及び非ペルオキシ系ラジカル開始剤が含まれる。本発明で有用なペルオキシ系開始剤の例には、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシドなどがある。典型的な非ペルオキシ系開始剤には、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−トリメチルシリルオキシ−2,3−ジフェニルブタンなどの化合物がある。
【0046】
また、本発明の組成物には、組成物及び適用物に所望の性質を付与し又はかかる性質を向上させるために増量充填材又は添加剤或いはこれらの混合物を配合し得る硬化性組成物も包含される。かかる所望の性質には、誘電率、誘電正接、熱伝導率、流動性、剥離強さ又は接着強さ、伸縮性及び効果タイプがある。増量充填材の代表例は、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、マグネシア、タルク、雲母、ガラスビーズ、中空ガラス球などの1種以上である。添加剤の代表例は、特に、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、電気的性質を向上させるためのセラミック添加剤、及び樹脂の難燃性を向上させるために使用される難燃剤や薬剤の1種以上であり、いずれも通常の割合で使用される。添加剤の部類の物質には、例えば、Sb、NaSbO・1/4HOなどがある。さらに、靭性、衝撃強さ又は熱安定性のような性質を向上させるため、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又はエラストマー樹脂からなる追加の補足的な非反応性材料(例えば、ナイロン、ポリスチレン又はポリプロピレンの1種以上)を、単独で又は組み合わせて組成物中に配合してもよい。
【0047】
上述のように、本発明の接着剤樹脂組成物は、例えば、少なくとも片面に金属皮膜を有し得るポリマー基板を始めとする基板に塗布できる。本発明で有用な代表的金属箔は、例えば、銅箔、アルミニウム箔などである。一般に、金属箔の厚さは約3〜約200マイクロメートル(μm)、好ましくは約5〜100μmである。加えて、本発明の接着剤樹脂組成物はポリマーフィルムにも塗布でき、例えば、ポリイミド、ポリ(フェニレンエーテル)その他の熱可塑性樹脂などが挙げられる。いずれの用途でも、接着剤樹脂組成物はB段階の状態であり得る。
【0048】
本発明の一態様は、中間のB段階を経て硬化したC段階に至る熱硬化性フィルムである。これらの用途では、フィルム形成を促進するため、追加の反応性成分を含み又は含まない高分子量PPE−PVを得ることが望ましい。こうして得られるフィルムは、キャスティングのために使用した溶媒混合物に不溶である。本発明のフィルム組成物は、蒸着法などで金属化することができる。フィルムには、例えば所望の最終用途に応じ、ジルコニウム、窒化ジルコニウム、チタン、窒化チタン、炭窒化ジルコニウム、クロム、窒化クロム、銅、ニッケル、窒化ニッケル、炭窒化チタン、金、銀、窒化炭素、アルミニウム又はモリブデンを含浸することができる。
【0049】
一般に、含浸金属(即ち、浸透皮膜)の厚さは、約0.01〜1.5ミクロンの範囲内にある。かかる厚さは約0.2〜1.0ミクロンであり得ると共に、約0.5〜5.0ミクロンを局所的に施工することができ、別の実施形態では約0.7〜3.0ミクロンを局所的に施工することができる。例えば、アルミニウムの使用はコンデンサー用途に望ましい利益を有するのに対し、銅の使用は印刷配線板又はホーンスイッチや自動車用ダッシュボードのような可撓性回路を要求する他の用途での可撓性回路に望ましい利益を有する。
【0050】
この点に関して述べれば、本明細書中に開示された本発明の接着剤樹脂組成物と共に実施し得るようなフィルムの金属化は、以下の参考文献中に教示されている。かかる参考文献は、米国特許第5413817号、同第5316867号、同第4588623号及び同第4975327号並びにそこに引用された参考文献であり、これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0051】
使用に際しては、接着剤組成物をブレンドした後、塗布又は浸漬を始めとする公知方法或いは各種のロールトランスファー製造方法で被着体に施工する。かかる方法には、多重ロール法、リバースロール法、直接グラビア法、リバースグラビア法、ワイヤーロッド法、エアナイフ法、ナイフ・オーバー・ロール法、ホットメルトダイ法及びEDIスロットダイ法がある。その場合、本発明の接着剤樹脂組成物を施工する際には低剪断速度ないし中剪断速度の塗布法を使用できる。一般に単一又は複数の区画を有する熱対流炉内で溶媒(存在する場合)を除去し、用途に応じて、接着剤組成物を部分的に硬化させてB段階の形態にするか、或いは完全に硬化させる。その場合、本発明の接着剤組成物は接着剤として使用でき、又はキャップ層として使用でき、又は例えば印刷回路板用途でのマイクロバイア用途のための多段逐次積層板の一部材として使用できる。
【0052】
組成物は、例えば加熱或いは光又は電子ビームの照射を始めとする、当技術分野で公知の多数の技術のいずれかで所望の程度に硬化させることができる。加熱を使用する場合、選択される温度は一実施形態では約80〜約300℃であり、別の実施形態では約90〜約240℃であり得る。加熱時間は一実施形態では約1分ないし約10時間であり、別の実施形態では約1分ないし約6時間であり、さらに別の実施形態では約40分ないし約5時間であり得る。
【0053】
その上、本発明のフィルム形成組成物を剥離性表面上に塗布し、溶媒を除去し、硬化させて自立フィルムを得ることができる。溶液キャスティング製造法は、キャリヤー溶媒中のポリマー又はポリマー混合物を移動面上に塗布する方法である。溶媒部分を蒸発させてフィルムを残し、これを移動面から分離する。移動面は、例えば、金属ベルト又は回転ドラムであり得る。
【0054】
PPE−PV及び使用するのが望ましい場合がある追加のモノマー又は他の添加剤に好適な溶媒系は、適切なフィルム形成のために有用である。溶液の要件は、一実施形態では約75%以下の固形分で、別の実施形態では8〜25%の固形分で適度の粘度を示すことである。溶媒系は、急速な蒸発のための低蒸気圧溶媒、難燃性溶媒及び非腐食性溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、移動面からのフィルムの剥離を助けるための添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤には、例えば、高沸点の非溶媒(アンチソルベント)、及び恐らくはさらに固相剥離剤(例えば、DuPont社から供給されるZonyl(登録商標))又は(特に限定されないが、ポリプロピレンを始めとする)他の熱可塑性樹脂がある。一実施形態では、微粒子状物質を除去するため、溶液キャスティングに先立ってポリマー溶液を濾過する。
【0055】
かかる好適な溶媒系の一例は、特に限定されないが、クロロホルム、塩化メチレン及びトルエンを含み、この溶媒系はPPE−PV、他の反応性モノマー、触媒及び添加剤を溶解するために使用できる。溶解可能な溶媒範囲は、0〜100%クロロホルム、0〜100%塩化メチレン及び0〜100%トルエンである。一実施形態では、溶媒混合物は35〜75%のクロロホルム、1〜20%の塩化メチレン及び0〜15%のトルエンからなる。
【0056】
フィルム厚さの調節は、当業者に自明な幾つかの方法で達成できる。ポリマー溶液のアプリケーターは、特に、移動面への流れを制御するためにナイフエッジ、ラウンドバー又はV形トラフを含んでいる。未乾燥フィルムの厚さを調節するためには、精密に製造されたドクターバーが日常的に使用される。ドクターバーと移動面とのギャップにより、通例、未乾燥フィルムの厚さは一実施形態では3:0.5(ギャップ:未乾燥フィルム厚さ)の比で調節され、別の実施形態では2:1の比で調節される。移動面に対するドクターバーの許容差は、一実施形態では±25%以内であり、別の実施形態では±10%以内であり、さらに別の実施形態では±10%未満である。
【0057】
PPE−PV、反応性モノマー(存在する場合)及び添加剤(所望される場合)の出発溶液の固形分濃度は、任意の後仕上操作に先立つ未乾燥フィルム厚さと乾燥フィルム厚さとの比が一実施形態では10:5であり、別の実施形態では10:3であり、さらに別の実施形態では約10:1となるようなものである。
【0058】
移動面の周囲の空気温度及び速度は、溶媒の蒸発速度を調節すると共に最終フィルム品質及び生産速度を達成するため、単一又は複数の供給入口及び/又は出口を用いて並流又は向流方式で制御できる。空気の温度は、溶媒を含む未乾燥フィルムを加温すると共に溶媒を沸騰させずに蒸発を促進するのに十分なだけ高いものであり得る。気流は乾燥フィルム上への蒸発溶媒の凝縮を防止するために使用でき、これは例えば乾燥室を適切に断熱することで達成できる。溶媒に富む気流は通例は回収ユニットに導かれる一方、溶媒の少ない空気は熱交換ユニットで再加温し、未乾燥フィルムの乾燥を続けるために再使用できる。
【0059】
フィルムを移動面から分離した後、自立フィルムは、溶媒レベルを所期用途のための所望レベルまで低下させるために通例使用される加熱ローラー又は「アフタードライヤー」に通される。アフタードライヤーは、PPE−PV及び他の適当な反応性成分(存在する場合)の架橋反応を開始させ完結させるのに有用である。
【0060】
所望ならば、自立フィルムの厚さをさらに低下させるため、延伸のようなフィルム後仕上操作を使用できる。かかる後加工操作から得られる可能性のある利益としては、ポリマー系の分子構造の整列、熱膨張率の向上、引張強さの向上、引裂抵抗性などが挙げられる。フィルムは、一実施形態では1:1(乾燥フィルム:延伸フィルム)の厚さ比に延伸でき、別の実施形態では2:1の厚さ比に延伸でき、さらに実施形態では3:1の厚さ比に延伸できる。
【0061】
本発明は、当業者に公知の熱、イオンビーム及びUV技術で硬化させ得る安定な触媒添加硬化性フィルム組成物を包含する。この硬化性フィルム組成物は、硬化が起こった後には、キャスティングのために使用した溶媒系に不溶である。このフィルムは、部分的に硬化した状態(即ち、B段階の形態)に無期限に維持することが可能である。
【0062】
以上、好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者には、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために数多くの修正を行うこともできる。したがって、本発明は本発明を実施するために想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものである。本願では、特記しない限り、すべての単位はメートル法で表され、すべての量及び百分率は重量基準である。また、本明細書中に述べたすべての引例の内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【実施例】
【0063】
実験手順−ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル(PPE−PV)
加熱攪拌しながらトルエン中にPPE−PV(ポリ(フェニレンエーテル)−ポリビニル樹脂)を溶解し(配合する場合にはモノマー及び/又は難燃剤を添加し)、均質な溶液又は(ATHのような不溶性添加剤の場合には)均質なスラリーが得られるまで過熱攪拌を続けることで、混合物を調製した。室温に冷却後、所要量の過酸化物を添加した。すべての組成物中で使用した過酸化物は、Aldrich社の2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、工業用、90%[Lupersol 130]であった。
【0064】
次に、線巻アプリケーターバー(Bird #42)を用いて、銅箔のシート(0.5オンス/平方フート)上に触媒添加混合物塗布金属を作製した。
【0065】
剥離強さの評価のためには、硬化性組成物を銅箔の艶消側に塗布し、塗膜を周囲温度で乾燥させた後、蒸気加熱式液圧プレスを用いて塗布済みの銅を未被覆高温電気用積層板(厚さ約1.4mm)に200psi及び190℃で4時間貼り合わせた。剥離強さは、標準的な手順に従い、エッチングで形成した2つの3.18mmトレース上において試験板の中心から測定した。
【0066】
膨張値、Tg及び電気的性質に関しては、銅シートのドラム側に塗布試料を作製し、周囲温度で乾燥した後、乾燥材料を除去した。次に、硬化性組成物を厚さ約1.65mmの円形試験片に成形した。熱及び圧力を用いる硬化のため、成形すべき量(約5g)を秤量して円形キャビティ中に入れた。金型を、200psi及び190℃の電気加熱プレス内に4時間配置した。成形時間の終了後、プラテンの電源をオフにし、成形試験片を加圧下でゆっくりと約90℃まで放冷し、金型をプレスから取り出して試験片を分離した。
【0067】
膨張値(%z軸膨張率、exp.)及びTg値(℃)は、熱機械分析(TMA)で測定した。誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)は、HP4291B誘電分析器(Hewlett Packard社)を用いて1GHzで測定した。
【0068】
選択された組成物の銅被覆可撓性フィルムは、2枚の塗布済み箔を200psi及び190℃で4時間貼り合わせることで得た。
【0069】
材料の説明
PPE−PV−本発明のポリ(フェニレンエーテル)−ポリビニル樹脂
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DMPTA)−Sartomer社のSR355
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6−HD)−Sartomer社のSR238
エポキシアクリレート(EA)−Sartomer CN104
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)−Sartomer社のSR351
エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(ETMPTA)−Sartomer社のSR454
エトキシル化BPAジアクリレート(EBPAA)−Sartomer社のSR349
エトキシル化BPAジメタクリレート−Sartomer社のSR348
TAC−トリアリルシアヌレート(Degussa社)
エトキシル化TBBPAジアクリレート(ETBBPADA)−Aldrich社の[2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノールAエトキシレート(1EO/フェノール)ジアクリレート]
ジブロモスチレン(DBS)−Great Lakes社のDBS
ATH−水酸化アルミニウム(Alcoa社)
DER−Dow社のDER542臭素化エポキシ樹脂
TBBPA−テトラブロモビスフェノールA(Great Lakes社のBA−59)
ETHACURE−Albemarle社のEthacure 100アミン硬化剤
TAIC−トリアリルイソシアヌレート(Degussa社)
Hycar−Noveon社のHYCAR 2000X168
RDX PPE−PV−(0.40IVから0.15IVへの)再分配PPEを単離して封鎖したもの−Global Noryl Technology社製
0.30IV PPE−PV−General Electric Corporate Research社製
0.40IV PPE−PV−General Electric Corporate Research社製
OP930−Clariant Exolit社のOP930
TTT−Ameribrom社のFR−245[2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン]
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
高分子量PPE−PVを用いた接着剤組成物の比較例
上述の場合と同様にして、成形用及び接着剤用組成物の例を調製した。目的は、臨界膨張特性に対する効果を評価することであった。
【0073】
【表3】

【0074】
実験手順−ビニル封鎖PPEフィルムキャスティング組成物
クロロホルム−塩化メチレン−トルエン系中で加熱撹拌することにより、使用する場合には反応性モノマーも含む8〜12%PPE−PVの溶液を調製した。得られた溶液を室温に冷却し、開始剤を添加した場合及び添加しない場合について比較を行った。線巻アプリケーターバーを用いて溶液を剥離シートに塗布した。溶媒は周囲温度で除去し、適宜加熱した対流乾燥炉内で除去した。次いで、得られた自立フィルムを剥離シートから分離した。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定法で測定し、熱膨張率は熱機械分析器で測定し、1GHzでのDkはHP4292B誘電分析器(Hewlett Packard社)で測定した。
【0075】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約900〜約75000の分子量を有する1種以上のポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂と、
(b)1種以上のビニル置換又はアクリル置換樹脂と
を含んでなる硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約10000g/mol未満の平均分子量を有する、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約5000g/mol未満の数平均分子量を有する、請求項2記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約20000〜75000g/molの平均分子量を有する、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約30000〜約71000の平均分子量を有する、請求項4記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項6】
さらに触媒を含む、請求項4記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又はエラストマー樹脂の1種以上である補足的な非反応性材料を含む、請求項4記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項8】
前記補足的な非反応性材料がナイロン、ポリスチレン又はポリプロピレンの1種以上である、請求項7記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項9】
前記補足的な非反応性材料がナイロン、ポリスチレン又はポリプロピレンの1種以上である、請求項7記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項10】
さらに、触媒、難燃剤、有機溶媒及び硬化剤の1種以上を含む、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約900〜10000の平均分子量を有する、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項12】
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、下記の一般構造を有するポリ(フェニレンエーテル)化合物である、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【化1】

式中、Qはフェノール類の残基であって、下記の構造を有する基からなり、
【化2】

(構造については、Xは水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる炭化水素基でカルボン酸基、アルデヒド基、アルコール基及びアミノ基からなる群から選択される置換基を含むものであり、Xは硫黄、スルホニル、スルフリル、酸素、又はその他の原子価2の橋かけ基でビスフェノールもしくは高次ポリフェノールを形成するものであってもよく、R1−4は独立に水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる基でカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基からなる群から選択される置換基を含むものであってもよく、y及びnは独立に約1〜100の範囲内にある。)
Jは下記の構造を有する繰返し単位からなり、
【化3】

(構造については、R5−8は独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる基でカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基からなる群から選択される置換基を含むものであってもよく、mは1〜200の範囲内にある。)
Kは下記の構造を有し、
【化4】

(式中、XはO、S又は2つの水素原子であり、R9−11は独立に水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アリール、或いは混成アルキル又はアリール基である。)
上述の「R」置換基のいずれもが適宜部分的又は完全にハロゲン化されていてもよく、R5−8置換基のいずれか1つをR1−4基として使用してもよい。
【請求項13】
前記ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)が、下記の一般構造を有するものからなる、請求項12記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【化5】

式中、Qはフェノール類の残基であり、
Jは下記の構造を有する繰返し単位からなり、
【化6】

(構造については、R5−8は独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール及び混成アルキル−アリール炭化水素から選択され、かかる基はカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基から選択される置換基を含んでいてもよい。)
Kは下記の構造を有する。
【化7】

(式中、R9−11は水素、置換又は非置換C1−100アルキル、アリール、或いは混成アルキル又はアリール基であり、Xは酸素であり、mは1〜200の範囲内にある。)
【請求項14】
(a)再分配反応で得られた、約900〜約2900の分子量を有する1種以上のポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂と、
(b)1種以上のビニル置換又はアクリル置換樹脂と
を含んでなる硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項15】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約1200〜7500の平均分子量を有する、請求項13記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項16】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約3000〜10000の平均分子量を有する、請求項13記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項17】
さらに、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又はエラストマー樹脂の1種以上である補足的な非反応性材料を含む、請求項16記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項18】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が約3100〜約5500の数平均分子量を有する、請求項16記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項19】
さらに、触媒、難燃剤、有機溶媒及び硬化剤の1種以上を含む、請求項16記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項20】
さらに触媒を含む、請求項19記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項21】
請求項1記載の硬化性樹脂組成物の部分硬化残留物を含んでなるB段階熱硬化性成形組成物。
【請求項22】
請求項4記載の硬化性樹脂組成物の部分硬化残留物を含んでなるB段階熱硬化性成形組成物。
【請求項23】
請求項14記載の硬化性樹脂組成物の部分硬化残留物を含んでなるB段階熱硬化性成形組成物。
【請求項24】
請求項16記載の硬化性樹脂組成物の部分硬化残留物を含んでなるB段階熱硬化性成形組成物。
【請求項25】
請求項21記載のB段階熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項26】
請求項1記載の熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項27】
請求項22記載のB段階熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項28】
請求項4記載の熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項29】
請求項23記載のB段階熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項30】
請求項14記載の熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項31】
請求項24記載のB段階熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項32】
請求項16記載の熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項33】
請求項1記載の硬化性組成物の接着剤層を塗布した基板。
【請求項34】
接着剤層が少なくとも部分的に硬化している、請求項33記載の基板。
【請求項35】
前記少なくとも部分的に硬化した接着剤組成物で第二の基板に結合されて積層板を形成する、請求項34記載の基板。
【請求項36】
導電性金属である、請求項33記載の基板。
【請求項37】
前記導電性金属が銅である、請求項36記載の基板。
【請求項38】
可撓性である、請求項36記載の基板。
【請求項39】
請求項14記載の硬化性組成物の接着剤層を塗布した第一の基板。
【請求項40】
(a)当該第一の基板が、請求項14記載の前記樹脂ではない熱可塑性樹脂フィルムであり、
(b)前記接着剤層が当該第一の基板の片面又は両面に塗布されており、
(c)前記接着剤層によって銅層が前記熱可塑性樹脂フィルムに任意に貼り合わされている、請求項39記載の第一の基板。
【請求項41】
請求項39記載の接着剤塗布第一の基板に前記接着剤層で接着された第二の基板を含んでなる積層物品。
【請求項42】
請求項1記載の前記硬化性組成物で互いに貼り合わされた2つの可撓性基板からなる可撓性物品。
【請求項43】
互いに隣接する基板間に配置された請求項34記載の少なくとも部分的に硬化した硬化性接着剤組成物を有する3以上の基板からなる積層板。
【請求項44】
前記硬化性組成物が完全に硬化している、請求項43記載の積層板。
【請求項45】
前記基板が導電性金属から形成されている、請求項43記載の積層板。
【請求項46】
前記基板が銅である、請求項44記載の積層板。
【請求項47】
可撓性基板から形成される請求項44記載の積層板であって、前記硬化性組成物が硬化しており、当該積層板が可撓性である、請求項44記載の積層板。
【請求項48】
前記硬化性組成物を熱、紫外線又は電子ビームの1以上で硬化させた、請求項47記載の積層板。
【請求項49】
2以上の可撓性基板を請求項14記載の硬化性組成物で互いに結合してなる可撓性積層板。
【請求項50】
請求項48記載の硬化性非強化樹脂組成物の硬化フィルム。
【請求項51】
基板に結合された、請求項50記載の硬化フィルム。
【請求項52】
当該硬化フィルム上に堆積させた金属化皮膜を有し、前記金属がジルコニウム、窒化ジルコニウム、チタン、窒化チタン、炭窒化ジルコニウム、クロム、窒化クロム、ニッケル、窒化ニッケル、炭窒化チタン、金、銀、窒化炭素、アルミニウム又はモリブデンの1種以上である、請求項50記載の硬化フィルム。
【請求項53】
金属が銅からなる、請求項52記載の硬化フィルム。
【請求項54】
前記銅を当該硬化フィルムの片面のみに堆積させた、請求項53記載の硬化フィルム。
【請求項55】
前記銅を当該硬化フィルムの両面に堆積させた、請求項53記載の硬化フィルム。
【請求項56】
当該フィルム上に堆積させた金属化皮膜を有する、請求項6記載の硬化性非強化樹脂組成物のフィルム。
【請求項57】
請求項53記載の硬化フィルムに請求項32記載の接着剤塗布基板を結合してなる積層板。
【請求項58】
請求項20記載の硬化性非強化樹脂組成物の硬化残留物。
【請求項59】
熱、紫外線又は電子ビームの1以上で硬化させた、請求項58記載の硬化残留物。
【請求項60】
前記硬化に先立って当該硬化残留物の少なくとも片面に施工した金属層を有する、請求項59記載の硬化残留物。
【請求項61】
前記金属層が、ジルコニウム、窒化ジルコニウム、チタン、窒化チタン、炭窒化ジルコニウム、クロム、窒化クロム、ニッケル、窒化ニッケル、炭窒化チタン、金、銀、窒化炭素、アルミニウム又はモリブデンの1種以上である金属の蒸着で施工される、請求項60記載の硬化残留物。
【請求項62】
前記金属層が銅からなる、請求項60記載の硬化残留物。
【請求項63】
前記銅が片面のみに存在する、請求項62記載の硬化残留物。
【請求項64】
前記銅が両面に存在する、請求項62記載の硬化残留物。
【請求項65】
請求項61記載の硬化残留物のフィルム上に請求項1記載の組成物の層を塗布してなる物品。
【請求項66】
請求項61記載の硬化残留物のフィルムの両面に請求項1記載の組成物の層を塗布してなる物品。
【請求項67】
請求項62記載の硬化残留物のフィルム上に請求項1記載の組成物の層を塗布してなる物品。
【請求項68】
請求項60記載の硬化残留物に請求項34記載の接着剤塗布基板を結合してなる物品。
【請求項69】
片面又は両面に銅層を有するか或いはいずれの面にも銅層を有しない異種熱可塑性樹脂フィルムを請求項34記載の接着剤塗布基板に結合してなる物品。
【請求項70】
硬化性非強化樹脂組成物中にさらにアンチソルベント成分を含む、請求項50記載の触媒添加フィルム。
【請求項71】
剥離剤フィルムに付着させた、請求項50記載の触媒添加フィルム。
【請求項72】
硬化性非強化樹脂組成物中にさらにアンチソルベント成分を含む、請求項58記載の触媒添加フィルム。
【請求項73】
剥離剤フィルムに付着させた、請求項58記載の触媒添加フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)900〜75000の分子量を有する1種以上のポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂と、
(b)1種以上のビニル置換又はアクリル置換樹脂と
を含んでなる硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂が20000〜75000g/molの平均分子量を有する、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又はエラストマー樹脂の1種以上である補足的な非反応性材料を含む、請求項2記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項4】
前記補足的な非反応性材料がナイロン、ポリスチレン又はポリプロピレンの1種以上である、請求項3記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、触媒、難燃剤、有機溶媒及び硬化剤の1種以上を含む、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリ(アリーレンエーテル)が、下記の一般構造を有するポリ(フェニレンエーテル)化合物である、請求項1記載の硬化性非強化樹脂組成物。
【化1】

式中、Qはフェノール類の残基であって、下記の構造を有する基からなり、
【化2】

(構造については、Xは水素、置換又は非置換C1-100アルキル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる炭化水素基でカルボン酸基、アルデヒド基、アルコール基及びアミノ基からなる群から選択される置換基を含むものであり、Xは硫黄、スルホニル、スルフリル、酸素、又はその他の原子価2の橋かけ基でビスフェノールもしくは高次ポリフェノールを形成するものであってもよく、R1-4は独立に水素、置換又は非置換C1-100アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる基でカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基からなる群から選択される置換基を含むものであってもよく、y及びnは独立に1〜100の範囲内にある。)
Jは下記の構造を有する繰返し単位からなり、
【化3】

(構造については、R5-8は独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキノイル、アリール、混成アルキル−アリール炭化水素、或いはかかる基でカルボン酸官能基、アルデヒド官能基、アルコール官能基及びアミノ官能基からなる群から選択される置換基を含むものであってもよく、mは1〜200の範囲内にある。)
Kは下記の構造を有し、
【化4】

(式中、XはO、S又は2つの水素原子であり、R9-11は独立に水素、置換又は非置換C1-100アルキル、アリール、或いは混成アルキル又はアリール基である。)
上述の「R」置換基のいずれもが適宜部分的又は完全にハロゲン化されていてもよく、R5-8置換基のいずれか1つをR1-4基として使用してもよい。
【請求項7】
(a)再分配反応で得られた、900〜2900の分子量を有する1種以上のポリ(アリーレンエーテル)−ポリビニル樹脂と、
(b)1種以上のビニル置換又はアクリル置換樹脂と
を含んでなる硬化性非強化樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1記載の硬化性樹脂組成物の部分硬化残留物を含んでなるB段階熱硬化性成形組成物。
【請求項9】
請求項8記載のB段階熱硬化性組成物から成形した物品を含んでなる製造品。
【請求項10】
請求項1記載の硬化性組成物の接着剤層を塗布した基板。


【公表番号】特表2006−513301(P2006−513301A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566963(P2004−566963)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/041826
【国際公開番号】WO2004/065118
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】