説明

マグネシウム・アミドの調製及びその使用

本願は,一般式R12N−Mg −NR34・zLiY (II)〔R1,R2,R3,R4は,独立に,水素;置換又は無置換のアリール又はヘテロアリール(1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分岐鎖状又は環状の,置換又は無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらのシリル誘導体から選択されるか,R1とR2又はR3とR4は,一緒に環状又は高分子の構造の一部であり,R1とR2の少なくとも一つ及びR3とR4の少なくとも一つは水素以外であり;Yは,F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(n=3又は4,Halは,Cl,Br及びIから選択される);NO3;BF4;PF6;水素;一般式RXCO2のカルボキシラート;一般式ORXのアルコラート;一般式SRXのチオラート;RXP(O)O2;SCORX;SCSRX;OnSRX(n=2又は3);NOn(n=2又は3);及びこれらの誘導体からなる群より選ばれ;RXは,置換若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分岐鎖状若しくは環状の,置換若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はその誘導体;あるいは水素原子であり,z>1である。〕の混合Mg/Liアミド並びに当該混合Mg/Liアミドの調製方法及びこれらアミドの,例えば塩基としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は,マグネシウム・アミド,マグネシウム・アミドの調製のための方法,及び,これらアミドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物の金属化は,さまざまなアリール誘導体の位置選択的官能基化を可能とすることから,有機合成において最も役立つ変換のうちの1つである。[1]伝統的に,強塩基〔例えばアルキルリチウム(RLi)又はリチウムアミド(R2NLi)〕が,この種の脱プロトン化を実行するために,使用されてきた。しかしながら,これらの高い反応性を有する塩基は,反応の結果生じるアリール・リチウム化合物のあまりにも高い反応性のため,しばしば望ましくない副反応を起こす。他の重大な制限は,テトラヒドロフラン(THF)溶液中,室温でのリチウムアミドの低い安定性であり,このことからこれらの試薬は,その場で製造する必要がある。さらに,リチウム塩基による芳香族化合物の脱プロトンは,しばしば非常に低い温度(−90℃から−78℃)を必要とし,このことは,これら反応のスケールアップを難しくし,そして,THF/ペンタンのような溶媒混合物の使用を必要とする可能性がある。
【0003】
もう一つの方法として,マグネシウム・アミド[2](例えば化合物1〜化合物3又はアミド・ジンケート[3](4))を使用する方法が開発された(スキーム1を参照)。マグネシウム・アミド(R2NMgCl(1))の難溶性は,R2NMgR’(2)及び(R2N)2Mg(3)のタイプのマグネシウム・アミドの使用を開発したEatonによって改善された。それでもなお,高い確率での変換を達成するためには,通常,相当過剰のマグネシウム・アミド(2〜8当量)の使用が必要となる。このことは,求電子試薬(最高15当量の求電子試薬が使用さなければならないかもしれない)との更なるクエンチング反応を複雑にする。同様に,次にくるクエンチング反応において,ジアルキル・アミノ・ジンケート(4)は,3.5〜4当量の求電子試薬の使用を必要とする。
【0004】
【化1】


【0005】
これら塩基の使用は,このように,その難溶性によって制限されるか,又は,所望の変換を実行するために必要な塩基の量及び求電子試薬の量からみて余り効率的とは言えない。それらの活性や反応性は,非常に低い。
【0006】
グリニャール試薬の溶解性を増加させるためのリチウム塩の使用は,EP1582523で知られている。この出願において, そこに開示された一般式 R*(MgX)n・LiYで示されるグリニャール試薬の主要な機能は,脂肪族系又は芳香族系のいずれにおいてもハロゲン/マグネシウム交換を実行することである。グリニャール試薬誘導体は,マグネシウム−炭素結合において,”求核性の炭素原子”を提供する。該グリニャール試薬に対しリチウム塩を添加することによって,マグネシエート中間体の形成により,グリニャール試薬の反応性を増加させることができる。これらのグリニャール試薬は,マグネシエート中間体の形成により,より高い反応性及びより高い選択性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は,高い溶解性とより良い反応性を示す安価なマグネシウム塩基を提供することである。本発明の更なる目的は,高い動力学的活性及び高い選択性を示すマグネシウム塩基を提供することにある。
【0008】
これらの目的は,独立請求項の特徴によって達成される。好ましい具体例は,従属請求項に記載されている。
【0009】
意外にも,R12N−MgX・zLiY(I)のタイプのマグネシウムとリチウムの混合したアミドが,アミン(R12NH)を,LiYの存在下,グリニャール試薬(R'MgX)と反応させるか,又は溶媒中,R'MgX・zLiYと反応させることによって,調製できることが見い出され,EP1810974 A1として発行された以前の特許出願において報告された。
【0010】
【化2】


【0011】
〔R1,R2及びR’は,独立に,置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらの誘導体;及び,R1及びR2に限るが,それらのシリル誘導体;から選ばれる基を表す。R1及びR2のうちの1つは水素原子でもよく,あるいは,R1及びR2は一緒に環状又は高分子構造の一部を構成してもよい。
X及びYは,独立に,F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(ここにn=3又は4,Halは,Cl,Br及びIから選択される);NO3;BF4;PF6;水素原子;一般式RXCO2のカルボキシラート;一般式ORXのアルコラート;一般式SRXのチオラート;RXP(O)O2;SCORX;OnSRX(ここにn=2又は3);又は,NOn(ここにn=2又は3);及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる基を表し,ここに,RXは,置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はその誘導体;又は水素原子を表す。
X及びYは,同一でもよく異なっていてもよい。上記の文脈において,z>0である。〕
【0012】
式(I)のアミドは,代わりの方法,すなわち,式R12NLiで示されるリチウムアミドを,式MgX2又はMgXYの形のマグネシウム塩と反応させることによっても調製することができる。この反応は,好ましくは,溶媒中実施される。式(I)の化合物を得るために,該マグネシウム塩及び該リチウムアミドは,ほぼ等モル比率で反応させる。このように,リチウムアミドのマグネシウム塩に対する比率は,通常1:0.8〜1.2,好ましくは1:0.9〜1.1,最も好ましくは1:0.95〜1.05の範囲内である。
式(I)のアミドは,本発明の一部ではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
さて,本発明者らは,更に,一般式
12N−Mg −NR34・zLiY (II)
で示されるマグネシウム・ビスアミドを,調製できることを見出した。この式において,R1,R2,R3及びR4は,独立に,水素原子;置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらのシリル誘導体から選択されるものであり,R1及びR2は一緒に,及び/又は,R3及びR4は一緒に,環状の又は高分子の構造の一部であることができ,そしてR1及びR2の少なくとも一つ並びにR3及びR4の少なくとも一つは,水素原子以外のものである。
X及びYは,独立に,F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(ここに,n=3又は4,Halは,Cl,Br及びIから選択される。);NO3;BF4;PF6;水素原子;一般式RXCO2のカルボキシラート;一般式ORXのアルコラート;一般式SRXのチオラート;RXP(O)O2;SCORX;SCSRX;OnSRX(ここにn=2又は3);NOn(ここにn=2又は3);及びこれらの誘導体からなる群より選ばれるものであり;ここにRXは,置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(かかるヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はその誘導体;あるいは水素原子である。
上記の式(II)において,z>0である。式(II)の化合物はいずれも,溶媒付加物をもその範囲に含むものである。
【0014】
一般式(II)のビスアミドは,式(I)のモノアミドから調製することができる。R12N−MgX・zLiYをR34NLiと反応させると,式(II)のビスアミドが形成される。この反応は,一般に知られているグリニャール試薬(R’MgX)を,アミン(R12NH)の存在下,引き続いてR34NLiと反応させる反応と等しいものである。リチウムは,LiYの形のリチウム塩として加えてもよく,特に,グリニャール試薬又はモノアミドが,リチウム塩と複合体形成しない場合には尚更である。明らかに,この試薬は,R12N−MgX・zLiYの形のものであってよく,この場合には,リチウム塩は既にモノアミドと一緒に存在している。このようにして,ビスアミドは調製することができ,この場合,これら2つのアミドは異なるものである。しかしながら,これら2つのアミドは同じでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施態様において,これら2つのアミドは異なるものであり,すなわち,R12NはR34Nと同じではない。このような混合マグネシウム・リチウムアミドの反応性及び選択性は,2つのアミドのうちの一つに強く依存する。両方のアミドが同一である場合,それらの反応性及び選択性に違いは見られない。しかしながら,双方のアミドが異なる場合,2つのアミドのうちの1つが複合化合物の反応性を担う。そのような場合,2つのアミドの官能基うち,1つは安価でかつ容易に導入できるアミドでよく,そして,他方の官能基は良好な反応性及び選択性から選択することができる。本発明の特に好ましい具体例において,アミドの一方はTMPであり,他方はジイソプロピルアミドである。
【0016】
以下の説明では,2つのアミドを含んでいるマグネシウム・アミドをビスアミドという。このことは,2つのアミドが異なっている場合もあるという事実に無関係である。後者の場合,すなわち2つのアミドが異なるときには,これらのマグネシウム・アミドは,マグネシウム・ジアミド,又はマグネシウム・ヘテロアミドという場合もある。2つのアミド官能基が同一のときには,マグネシウム・アミドは,ホモアミドと呼ぶこともある。
【0017】
もう一つの方法として,本ビスアミドは,2つのリチウムアミド(R12NLi及びR34NLi)を,マグネシウム塩(MgX2)と反応させることによって,調製してもよい。両方のリチウムアミドが同一である場合,あるいは,マグネシウム・モノアミドが同じタイプのリチウムアミドと反応する場合には,一般式Mg(NR122・zLiYで示されるビスアミドが生成する。マグネシウム塩(MgX2)のより高い溶解性のために,この塩は,例えば,後述するようにその場で調製してもよい。
【0018】
Xは,式(II)中には存在しないが,上記式(II)の化合物の調製において用いられているとおりに,定義される。Xは,Yと同じ群から選択することができ,Yと異なっていても又は同一でもよい。
【0019】
本発明のビスアミドは,増強された溶解性及び高い反応性を示す。グリニャール試薬(それはハロゲン/マグネシウム交換を実行できる。)とは異なり,本発明のアミドは,多くの官能基,特にハロゲン置換基を許容する塩基である。このことは,本出願のアミドに存在する窒素マグネシウム結合の,グリニャール試薬における炭素マグネシウム結合とは異なる性質に起因する。リチウム塩の存在下におけるグリニャール試薬の反応性の増加は,マグネシエート中間体の形成によるものである。しかしながら,それとは対照的に,本出願に従ってアミドに加えられるリチウム塩は,凝集塊の形成を防止する。この凝集塊の形成は,マグネシウム・アミドに関する背景技術における周知の課題である。結果として,これまでに公知のアミドは,あまり反応性が高くないため,大過剰に使用されなければならない。本発明のアミドは,リチウム塩の存在のため凝集塊として存在しないので,当該アミドはこれまでに公知のアミドに比べ非常に反応性に富みかつ可溶性である。
【0020】
多くの一般的な溶媒が,本発明において使用できる。原則として,所定のアミン及びグリニャール試薬を溶解できるいかなる溶媒も,出発原料として使用され,生成物が得られる。本発明の好ましい実施態様において,溶媒は,環状,直鎖状又は分枝鎖状のモノ又はポリエーテル,チオエーテル,アミン,ホスフィン及びこれらの誘導体(O,N,S及びPから選ばれる1又は2以上の追加のヘテロ原子を含む),好ましくはテトラヒドロフラン(THF),2−メチルテトラヒドロフラン,ジブチルエーテル,ジエチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,ジメトキシエタン,ジオキサン,好ましくは1,4−ジオキサン,トリエチルアミン,エチルジイソプロピルアミン,ジメチルスルフィド,ジブチルスルフィド;環状アミド,好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP),N−エチル−2−ピロリドン(NEP),N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);1又は2以上の水素原子がハロゲンで置換された環状,直鎖状又は分枝鎖状のアルカン及び/又はアルケン,好ましくはジクロロメタン,1,2−ジクロロエタン,四塩化炭素;尿素誘導体,好ましくはN,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族,複素環式芳香族又は脂肪族炭化水素,好ましくはベンゼン,トルエン,キシレン,ピリジン,ペンタン,シクロヘキサン,ヘキサン,ヘプタン;ヘキサメチルフォスフォラストリアミド(HMPA),二硫化炭素;又はこれらの組み合わせから選択される。
【0021】
式(I)のアミドの調製のための方法は,本出願の一部ではないが,アミン(R12NH)を,LiYの存在下グリニャール試薬(R’MgX)と反応させることによって,又は,適当な溶媒中でR’MgX・zLiYと反応させることによって,実施することができる。これら原料は,好ましくは室温で,所望の収率を得るのに必要な最小限の時間接触させる。温度は,0℃〜50℃の間が好ましいが,より高い又はより低い反応温度も適当である。式(II)のビスアミドの調製は,通常,−40℃〜50℃の間の温度で実施され,好ましくは,−20℃〜30℃の範囲で,最も好ましくは,0℃付近で実施される。しかしながら,当業者は,ルーチンな実験によって,式(I)又は(II)で示されるアミドの調製のための適切な温度を選択することが可能である。
【0022】
好ましい別の一実施態様においては,X及びYは,独立に,又は,両方とも,Cl,Br又はIであり,好ましくはClである。
【0023】
式(I)で示される化合物の調製は,好ましくは,i-PrMgCl・LiCl[5]によって達成される。この方法は,i-PrMgCl・LiClが市販されていることから,特に好ましい。
【0024】
一般に,いずれかのリチウム塩の存在下,いかなるグリニャール試薬も,該混合Mg/Li−アミドを調製するために用いることができる。それでもやはり,副生成物や付随的生成物を,反応混合物から容易に除去することができるグリニャール試薬を使用するのが好しい。リチウム塩の存在は,リチウム塩を使用しないホモレプティック(homoleptic)な試薬であるRMgX及びR2Mgの場合と比較して,当該交換反応を加速する。
【0025】
第2の側面によれば,本発明は,一般式,
12N−MgNR34・zLiY (II)
〔式中,R1,R2,R3,R4,Y及びzは,上記のとおりに定義される。〕
で示される混合Mg/Liビスアミドに向けられている。これら一般式で示される何れもが,溶媒付加物を含むものであることが理解されるべきである。
【0026】
本発明の第3の側面は,溶媒に入れられたアミド(II)の溶液に向けられている。かかる溶媒としては,アミドを溶かすことができる適切な溶媒であれば,何れでもよい。特に好ましい溶媒は,上記に列挙されたアミドの調製のための溶媒である。第1の側面との関連で上記されたすべての態様及び特徴は,本発明の第2及び第3の側面にも適用される。
【0027】
本発明の好ましい一実施態様において,混合アミドを溶解するために用いられるか,又は,混合アミドの溶媒付加物のために用いられる溶媒は,ルイス塩基を含むものである。本出願を理解するにおいてのルイス塩基は,結合軌道に孤立電子対を持つ分子である。本発明のアミドにとって特に好ましいルイス塩基は,THFである。他の好ましいルイス塩基は,2−メチルTHF;ジオキサン;THF及び/又は2−メチルTHFとジオキサンとの混合物;ペンタン及び/又はヘキサンとTHF及び/又は2−メチルTHFとの混合物;及び,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジ−n-ブチルエーテル,シクロペンチルメチルエーテル,メチルtert-ブチルエーテル,THF及び2−メチルTHFから選ばれる化合物からなる何れかの混合物から選択することができる。
【0028】
本発明の好ましい別の一実施態様において,ルイス塩基は,アミド中のMgの量に対して,4〜30当量の量,好ましくは4.5〜20当量の量,より好ましくは5〜15当量の量,そして,最も好ましくは5〜10当量の量で存在する。ルイス塩基がこのように高用量であることにより,安定な混合アミドが容易に生産でき,より長い時間の間,いかなる変質もなしに維持できる。
【0029】
第4の側面において,本発明は,混合Mg/Liアミド(II)の使用に関する。本発明のアミドは,酸性プロトンを除去するために用いることができる。この脱プロトン化された化学種は,続いて求電子試薬によってクエンチできる。求電子試薬としては,原則として,例えば以下の参考文献で引用されているすべてのものを使用することが可能であるが,それられに制限されるものではない。
【0030】
a)Handbook of Grignard reagents; edited by Gary S. Silverman and Philip E. Rakita (Chemical industries; v. 64).
b)Grignard reagents New Developments; edited by Herman G. Richey, Jr., 2000, John Wiley & Sons Ltd.
c)Methoden der Organischen Chemie, Houben-Weyl, Band XIII/2a, Metallorganische Verbindungen Be, Mg, Ca, Sr, Ba, Zn, Cd. 1973.
d)The chemistry of the metal-carbon bond, vol 4. edited by Frank R. Hartley. 1987, John Wiley & Sons.
【0031】
本発明のビスアミドは,高い選択性と高い選択性すなわち同一分子内の他の官能基に対する許容性とを兼ね備える。特に,この効果は,感受性が高い官能基によって置換された芳香族試薬において観察することができる。これらの芳香族化合物又は複素環式芳香族化合物は,脱プロトン化されるには反応性の高い塩基を必要とするが,同時に,かかる塩基は,エステル又はニトリルのような他の官能基に対し許容性を示さなければならない。ベンゾニトリル又は安息香酸エステルは,そのような化合物の例である。これらの芳香族化合物は,LDA,LiHMDS 又はn-BuLiのような通常の塩基によって脱プロトン化されるが,それらの塩基は,当該試薬中の他のいかなる官能基も許容しない。他方,TMPMgCl・LiClのようなマグネシウム・モノアミドは,かかる芳香族試薬を脱プロトン化するには反応性が低過ぎる。その結果,塩基が大過剰に加えられなければならず,そして,過剰の求電子試薬も必要とする。本発明の新規なビスアミドは,高い選択性の下で高い反応性を兼ね備えるので,この課題を解決する。
【0032】
本発明の好ましい一実施態様は,芳香族化合物及び複素環式化合物の脱プロトンのために,本発明のマグネシウム・ビスアミドを使用することに関する。好ましくは,かかる芳香族化合物又は複素環式化合物は,ホスホロジアミデートによって置換され,より好ましくは,テトラメチルフォスフォロジアミデートによって置換されている。ホスホロジアミデートは,金属化指向基(DMG)として使用することができ,芳香族化合物又は複素環式化合物の,他の方法では不可能な置換様式を可能とする。
【0033】
本発明の最後の側面は,求電子試薬と一般式(II)で示される試薬によって脱プロトン化された基質との反応による生成物に関する。
【0034】
式(II)で示されるビスアミドに関して,zは,好ましくは0.01〜5,より好ましくはz>1の範囲内であり,zは,より好ましくは1〜5,より好ましくは0.5〜2.5,更により好ましくは1.5〜2.5,より一層好ましくは1.8〜2.2,更により一層好ましくは1.9〜2.1,なおより一層好ましくは1.95〜2.05の範囲内であり,最も好ましくは約2である。
【0035】
本発明の発明者らは,驚くべきことに,リチウム塩が,ビスアミドのアミド官能基に対して等しい量で,最も好適に使用されることを見出した。ビスアミドに対して,リチウム塩の量は,最も好ましくは約2であるが,この最適値からの多少の逸脱は,なお許容し得る結果を導くものである。
【0036】
本発明は,具体的実施例に基づいて,以下に記述されている。特に,i-PrMgClが,グリニャール試薬として使われる。しかしながら,本発明はかかる実施例に限定されないことが理解されるべきである。
【0037】
特に定めのない限り,本明細書において用いられるすべての技術上及び科学上の用語は,本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されたすべての刊行物及びその他の参考文献は,参照にすることによってそれらの全部が本明細書に組み入れられている。
【0038】
本明細書で用いられる,「アルキル」,「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は,直鎖状,環状及び分枝鎖状の,置換された及び無置換のC1〜C20の化合物を意味する。これらの化合物の好適な範囲は,低級アルキルについては,C1〜C10,好ましくはC1〜C5であり,アルケニル及びアルキニルについては,それぞれ,C2〜C10,好ましくはC2〜C5である。「シクロアルキル」の語は,一般に,直鎖状及び分枝鎖状の,置換された及び無置換のC3〜C20のシクロアルカンを意味する。ここで,好適な範囲はC3〜C15,より好ましくはC3〜C8である。
【0039】
残基R1,R2,R3及び/又はR4の何れかが置換基によって置換されるときはいつでも,当該置換基は,当業者によって周知の置換基のいずれからからも選択されることができる。当業者は,彼の知識に従い,可能性がある置換基を選択し,また,同一分子内に存在する他の置換基に干渉せず,かつ,起こり得る反応(特に本明細書に記載の反応)に干渉したり妨げたりしないない置換基を選択することができる。可能性がある置換基としては,
−ハロゲン,好ましくはフッ素,塩素,臭素及びヨウ素;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族の炭化水素,特にアルカン,アルキレン,アリーレン,アルキリデン,アリーリデン,ヘテロアリーレン及びヘテロアリーリデン;
−その塩を含むカルボン酸;
−カルボン酸ハライド;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のカルボン酸エステル;
−アルデヒド;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のケトン;
−アルコール及びアルコラート(ヒドロキシル基を含む);
−フェノール類及びフェノラート;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のエーテル;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族の過酸化物;
−ヒドロペルオキシド;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のアミド又はアミジン;
−ニトリル;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のアミン;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のイミン;
−脂肪族,脂環式,芳香族又は複素環式芳香族のスルフィド(チオール基を含む);
−その塩を含むスルホン酸;
−チオール及びチオーラート;
−その塩を含むホスホン酸;
−その塩を含むホスフィン酸;
−その塩を含む亜リン酸;
−その塩を含む亜ホスフィン酸;
が含まれるが,これらに限定されるものではない。
置換基は,炭素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子又はリン原子を介して残基R1,R2,R3及び/又はR4に結合していてもよい。ヘテロアリーレン又は複素環式芳香族化合物のようなヘテロ原子を含むいかなる構造におけるヘテロ原子も,好ましくは,N,O,S及びPであってよい。
【0040】
1及びR2,又は,R3及びR4が環状構造の一部である場合は,R1及びR2は一緒に,又はR3及びR4は一緒に,アミドの窒素原子と接続して環状二級アミドを形成する二価の,飽和又は不飽和の,直鎖状又は分枝鎖状のアルキル,アルケニル又はアルキニルであることを理解すべきである。この種の環状アミドの具体例は,TMPHのアミドである。更に,残基R1及びR2,及び/又はR3及びR4は,高分子構造の一部であることができる。かかるアミドの窒素原子は,本発明のアミドの形成のため1より多くの窒素原子を含むこともある高分子のバックボーンに,連結している。
【0041】
本明細書で使用される用語「アリール」とは,置換された又は無置換のC4〜C24のアリールを意味する。「ヘテロアリール」は,B,O,N,S,Se,Pのようなヘテロ原子を1又は2以上含む,置換された又は無置換のC3〜C24のアリールを意味する。両方のついて好適な範囲は,C4〜C15,より好ましくはC4〜C10であり,ヘテロ原子を含む又は含まないアリール及び縮合アリールを含む。好ましい環サイズは,5つ又は6つの環原子から構成される。
【0042】
混合マグネシウム及びリチウムアミド(R12NMgCl・LiCl(R1及びR2=i-Pr,又は,R12N=2,2,6,6−テトラメチルピペリジル))は,i-PrMgCl・LiCl[4,5]を,それぞれ,ジイソプロピルアミン又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)とTHF中で反応(−20℃〜−80℃,0.1〜48時間)させて調製することができる。その結果生じるLi/Mg−試薬5a(R1及びR2=i-Pr)及び5b(R12N=2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)は,さまざまな芳香族化合物及び複素環式化合物のマグネシウム化に対する改良された動力学的活性及び位置選択性と共に,THF中で優れた溶解性(それぞれ,0.6M及び1.2M)を示すことが判明した。
【0043】
この増大した反応性及び選択性の概要は,下記のスキーム1aにおいて見ることができる。ここでは,同じ基質を,モノアミド及びビスアミドと反応させた。それぞれの反応の収率が,当該スキームに記載されている。スキームにおいて,反応矢印の上側に示された塩基は,スキームの右側の欄に示された対応するアミドである。
【0044】
【化3】


【0045】
アミド(I)の活性は,イソキノリンのマグネシウム化に基づいて示すことができる。ジイソプロピルアミドマグネシウムクロリド−リチウムクロリド(5a)は,2当量の当該塩基を用いて,25℃,12時間の反応の後,結果として,マグネシウム化されたイソキノリン(6)を導く。加ヨウ素分解(Iodolysis)の後,ヨードイソキノリン(7a)は,88%の収率で単離される(スキーム2)。更に一層反応性が高いのは,立体的により障害され凝集のより少ない2,2,6,6−テトラメチルピペリジノマグネシウムクロリド−リチウムクロリド試薬(5b)である。これは,25℃,2時間以内で,完全なマグネシウム化を導く。注目すべきことに,この塩基は,完全な金属化の達成に,1.1当量を要するのみである。結果として生じるグリニャール試薬(6)は,加ヨウ素分解の後,ヨードイソキノリン(7a)を,96%の収率で提供する(スキーム2及び表1)。
【0046】
【化4】


【0047】
試薬をマグネシウム化した後,それをトランスメタル化に付すことができる。例えば,CuCN・2LiCl(20モル%)とのトランスメタル化の後,ベンゾイルクロリド(1.2当量)を添加すれば,86%の収率で,ケトン(7b)が得られる(表1のエントリー2)。
【0048】
過剰のマグネシウム・アミドの存在は,しばしば,パラジウムで触媒されるクロス−カップリングの実行を妨げる。本発明者らは,5b(1.1当量)による脱プロトン化によって生成する6のようなグリニャール試薬が,速やかにトランスメタル化され対応する亜鉛誘導体になり(ZnCl2(1.1当量),0℃,5分間),そして,Pd(dba)2(5mol%)(dba =ジベンジリデンアセトン),P(2-fur)3 (7mol%) (fur=フリル)を,4−ヨード安息香酸エチルエステル(1.2当量)と共に用いて,根岸クロスカップリング反応(50℃,12時間)を起こさせることにより,アリール化されたキノリン(7c)を82%の収率で得ることを見出した。この挙動は一般的であり,3−ブロモキノリンは,5bで金属化され(1.1当量,−30℃,0.5時間),結果として,2位がマグネシウム化されたキノリン(8)が得られる(表1のエントリー4及び5)。このように,ヨウ素及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)による8のクエンチング(quenching)は,2つのキノリン(9aと9b)を,96〜93%の収率で提供する。
【0049】
i-Pr2NMgCl・LiCl(5a)及びリチウムジイソプロピルアミド(LDA)[8j]による2,6−ジクロロピリジンの脱プロトン化は,3位又は4位がマグネシウム化された2,6−ジクロロピリジンの1:1の混合物を提供するのに対し,TMPMgCl・LiCl(5b)の使用は,4位がマグネシウム化されたピリジン(10)だけを与える。その典型的な求電子試薬(I2,DMF及びPhCHO)との反応は,期待される生成物(11a〜c)を,84〜93%の収率で提供する(表1のエントリー6〜8)。興味深いことに,3,5−ジブロモピリジンのLDAによる金属化は,4位で選択的に進行し[6b],一方,TMPMgCl・LiCl(5b,1.1当量,−20℃,0.5時間)を用いる場合には,3,5−ジブロモピリジンの位置選択的金属化が観察され,DMFとの反応の後,95%の収率で,ピリジルアルデヒド(13)へと導かれる(表1のエントリー9)。
【0050】
チアゾール,チオフェン,フラン,ベンゾチオフェン又はベンゾチアゾールのような,より酸性のプロトン[7]を有する複素環式化合物のマグネシウム化は,0℃〜25℃の間で,円滑に進行し,有機マグネシウム誘導体(14a〜c及び16a〜b)を導く。標準的な求電子試薬による捕捉の後,期待される生成物(15a〜c及び17a〜b)が,81〜98%の収率で得られる(表1のエントリー10〜14)。
【0051】
ピリミジン誘導体の金属化は,これら複素環式化合物が有機金属試薬を添加する性向を有するため,挑戦的な課題である[8]。本発明者らは,ピリミジン誘導体(18〜20)を5b(1.05当量)のTHF溶液に−55℃で約5分間かけて逆添加することにより,対応するマグネシウム化された誘導体(21〜23)が,ヨウ素化されたピリミジン(24〜26)へと導く加ヨウ素分解実験によって示されるところによれば83〜90%の収率で,得られることを見い出した(スキーム3)。
【0052】
【化5】


【0053】
混合マグネシウム−リチウムアミド(5b)は,複数の官能基を有する芳香族系の位置選択的金属化にも,十分に適している。例えば,THF中,55℃での2−フェニルピリジン(27)と5b(2.0当量)との24時間の反応は,グリニャール試薬(28)を与え,このことは,フェニル環がピリジン環に優先して金属化される稀なケースを示している。加ヨウ素分解の後,オルト位がヨウ素化された生成物(29)が,80%の収率で得られる。興味深いことに,ブロモジエステル(30)のような複数の官能基を有する芳香族化合物の金属化も,THF中,塩基(5b)の理論量(1.1当量)を使用するだけで達成され,位置選択的にアリールマグネシウム体(31)が得られ,これは,加ヨウ素分解を経た後,複数の官能基を有する芳香族誘導体(32)を88%の収率で与える。
【0054】
【化6】


【0055】
TMPMgCl・LiClの溶液は,その優れた溶解性のため,THF中で,容易に調製することができ,かかる溶液は,25℃で,6ヵ月以上間安定である。TMPMgCl・LiClの使用は,さまざまな芳香族化合物及び複素環式芳香族化合物の位置選択的官能基化を可能にする。このことは,Br/Mg−交換反応を介して,又は前に報告された金属化手段によっては簡単には入手できない新しいマグネシウム種の入手を可能にする。
【0056】
残基R1及び残基R2は,有機化合物に限られない。R1及びR2は,トリメチルシリルのようなシリル化された化合物でもよい。ビス(トリメチルシリル)アミド(33)の調製は,ビス(トリメチルシリル)アミンを,i-PrMgCl・LiClと室温で反応させることにより,達成できる(スキーム5を参照)。この塩基は,スキーム5から分かるように,例えばシクロヘキサノンのようなケトンを脱プロトン化するために,効率的に用いることができる。
【0057】
【化7】


【0058】
グリニャール試薬は,高分子形の塩基を調製するために用いることもできる。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)は,周知の塩基である。それは,対応する混合Mg/Liアミド(TMPMgCl・LiCl(5b))を調製するために,用いることができる。この単量体形の塩基は,非常に反応性が高いが,非常に高価でもある。TMPHに対応する高分子の塩基は,チマソーブ(chimassorb)994であり,その構造はスキーム6に示されている。
【0059】
【化8】


【0060】
チマソーブ994は,これを室温でi-PrMgCl・LiClと反応させることによって,対応する混合Mg/Liアミドを調製するために用いることができる(スキーム5を参照)。この塩基(34)は,脱プロトン化の前後において,THF中安定であり,かつこれに可溶である。この塩基は,高分子形の塩基であるため,反応の完了後,容易に取り除くことができる。チマソーブ994は,TMPより非常に安価であるため,対応する塩基を,削減されたコストで調製することができる。この高分子形の塩基(34)は,単量体形のTMPMgCl・LiClよりわずかに低い活性を示すが,にもかかわらず,イソキノリンのような酸性プロトンを有する化合物を脱プロトン化する際に,非常に有効である。対応する具体例を,スキーム7に示す。この高分子形の塩基は,さまざまな基質を脱プロトン化するために用いることができる。例えば,イソキノリンは,塩基(34)と,室温で反応し,ヨウ素とのクエンチングの後,1−ヨードイソキノリン(7a)を提供する。
【0061】
【化9】


【0062】
上記具体例は,かかる新規な一般型R12NMgX・zLiYで示される混合Mg/Li−塩基が,マグネシウム・アミドのオリゴマー凝集体を分解するリチウム塩の存在のため,高い動力学的活性を有することを示している。
【0063】
対称型のビスアミド試薬の一具体例は,(TMP)2Mg・2LiCl(40a)である。これは,その場で生成されたMgCl2を,リチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジド(TMPLi)と,THF中0℃で30分間反応させることによって,調製される(スキーム8を参照)。
【0064】
【化10】


【0065】
加えて,他の対称型のビスアミドは,40aの調製と同じ方法を使用して,高収率に調製することができる。以下に示されるすべての実施例(40b〜40c)は,40aの調製と類似の方法により,95%超の収率で,調製された(スキーム9)。これらは,シリル置換アミンを含むビスアミドをも含むものである。
【0066】
【化11】


【0067】
芳香族基質についての金属化の実験の比較は,いずれも1.1当量の(TMP)2Mg・2LiCl(40a)及びTMPMgCl・LiCl(5b)を用いて,同一の条件で,実行された。ビスアミド試薬(TMP)2Mg2LiClは,TMPMgCl・LiClより,非常に優れた反応性を示し,そして,非常に弱い酸性基質を脱プロトン化することさえできた。
【0068】
スキーム10は,同一の条件下で,(TMP)2Mg・2LiCl(40a)及びTMPMgCl・LiCl(5b)を用いて,4つの異なる芳香族物質(41〜44)を反応させた具体例を,概観するものである。それぞれの収率は,2つのアミド(40a及び5b)の各々の生成物に対して示されている。この実験は,モノアミドに対し,ビスアミドのさらに優れた反応性を明確に示している。すべての反応は,25℃の室温で,実施される。
【0069】
【化12】


【0070】
加えて,(TMP)2Mg・2LiClから誘導して得られるグリニヤール中間体は,優れた安定性及びさまざまな基質に対する許容性を示す。さらにまた,それらは,異なる求電子試薬と反応し,対応する官能基化された誘導体を好収率で提供する。実施例は,下記の表2に示されている。
【0071】
異なる2つのアミド官能基を有する混合マグネシウム塩基(すなわち,R12NとR34Nが異なるもの)が,対応する同一の2つのアミド官能基を有する対称型の試薬に対して,改善された特性を持っていることも示すことができた。非対称型の試薬(40e〜40i)は,それぞれ,TMPMgCl・LiCl,i-Pr2NMgCl・LiCl及び(2−エチルヘキシル)2NMgCl・LiCl[9]と,対応するリチウム種(それぞれ,1H−ベンゾトリアゾール(Bt),5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール(DMBt)及びカルバゾール(CBZ))とから,調製される。(スキーム11)。
【0072】
【化13】


【0073】
特に,塩基(40e)は,特別な金属化指向基(DMG)を使用する場合に,TMPMgCl・LiCl(5b)及び(TMP)2Mg・2LiCl(40a)より,はるかに高い反応性を提供する。TMPMgCl・LiClは,0℃,90分で,44の完全な金属化を提供し,試薬(40a)は,60分で,完全な金属化を提供する。これに対し,40eを使用すれば,0℃,わずか10分で,完全な金属化が提供される。さらにまた,TMPMgCl・LiClの1.5当量と比較して,わずか1.3当量の塩基(40e)が使用されるのみである。更に,44aの収率は,TMPMgCl・LiClを使用する場合と比較して,より高いものである(スキーム12)。
【0074】
【化14】


【0075】
(TMP)Mg(Bt)・2LiClから誘導される調節中間体は,優れた安定性及びさまざまな基質に対する許容性を示す。それらは,ヨウ素のような求電子試薬によって捕捉され,対応する官能基化された誘導体を,良い収率で提供することができる。実施例は,表3に示されている。
【0076】
本発明の化合物は,アリール又はヘテロアリール上のホスホロジアミデート基との関係でも用いることができる。この効果は,N,N,N’,N’−テトラメチルフォスフォロジアミデート((Me2N)2P(O)O)基について,以下で示されているが,この特定の基に限定されるものではない。他の金属化指向基も,当業者であれば直ちに認識することができるので,使用することができ,特に,他のホスホロジアミデート基を使用することができる。
【0077】
オルト位指向性の金属化は,さまざまな芳香族化合物及び複素環式化合物の官能基化のための重要な方法である。さまざまなDMG(金属化指向基)が,効率的なリチウム化を達成するために使われてきた。DMGは,主にキレート化(エントロピー効果)により,速くかつオルト位選択的な金属化を可能とする。さらに,極性のあるDMGは,金属塩基に電子密度を移転し,それらの金属化力を増加させる可能性がある。近年,マグネシエート塩基は,芳香族化合物の官能基化にとって,構造的にも合成的にも,非常に興味のあるものであることが判明してきた。
【0078】
上記のとおり,TMP2Mg・2LiClのような混合Li,Mg−塩基は,卓越した官能基適合性と共に,さまざまな芳香族化合物及び複素環式化合物の円滑な金属化を可能とする,非常に活性が高くかつ可溶性の高いマグネシウム塩基である。驚くべきことに,本発明者らは,DMGであるN,N,N’,N’−テトラメチルフォスフォロジアミデート((Me2N)2P(O)O)が,マグネシウム化への非常に強い指向基であり,そして,それは芳香族基質に存在する他の置換基の効果を退けてしまうことができるものであることを見出した。指向性のリチウム化(これは,フライズ型の転位を避けるため通常−105℃で実行されなければならない。)とは対照的に,TMP2Mg・2LiClによるマグネシウム化は,テトラメチルフォスフォロジアミデート基のアニオン性の移動なしに,0℃であっても起こる。このことは,例えば秩序立ったメタ位又はパラ位官能基化のような,新しいタイプの官能基化を許容するであろう(スキーム13)。
【0079】
【化15】


【0080】
こうして,本発明者らは,官能基(FG)をパラ位又はメタ位のいずれかに有する,一連の芳香族ホスホロジアミデート(それぞれ,タイプ60又はタイプ61)が,TMP2Mg・2LiCl(40a)により,効率的なマグネシウム化を受けて,求電子試薬の添加の後,それぞれ,タイプ62及びタイプ63の生成物になることを見出した。OP(O)(NMe22基が求核試薬(nu)で置換されることにより,以下に示されるとおり,メタ位とパラ位,及び,パラ位とメタ位で二官能基化された,タイプ64及び65の分子が得られる(スキーム13及び表4)。TMP2Mg・2LiCl(40a)を用いた基質61及び62のマグネシウム化は,シアノ置換ホスホロジアミデート(60a)及びエステル置換ホスホロジアミデート(61a)につき,0℃,数時間以内で,円滑に進行する(エントリー1〜3,10〜13)。
【0081】
ハロゲンで置換された出発原料(60b,60c及び60d;エントリー4〜9)について,並びにトリフルオロメチルで置換されたホスホロジアミデート61b(エントリー14)についても,より低い温度(−40〜−50℃)が,最適な結果へと導いた。一般に,芳香族化合物の金属化の位置選択性は,電子的及び/又は立体的な効果の組合せによって支配されている。しかしながら,テトラメチルフォスフォロジアミデート基は,有機合成における最も強い供与体のうちのひとつであり,Mg−N結合を,塩基に酸塩の性質を与えながら活性化する(スキーム14)。
【0082】
【化16】


【0083】
この電子的効果は,塩基の金属化の力を増加させるので,マグネシウム化の達成のために,更なるキレート化や誘起効果は必要でない。通常,このホスホロジアミデートが引き金となるマグネシウム化は,芳香環の立体的により障害の少ない位置で優先して起き,それにより秩序だったメタ位の金属化を促す。しかしながら,本発明者らは,官能基の1つとして臭素,塩素及びフッ素を有している,メタ位が置換された基質の場合,金属化の位置選択性が,これらハロゲンによる競合する指向効果によって影響を受けるのを認めた。酸塩化物,TsCN,アリルハライド,アルデヒド又は芳香族ヨウ素化合物のようなさまざまな求電子試薬がマグネシウム有機金属中間体と反応し,72〜90%の収率で所望の製品を提供する(表4)。アリル化反応及びアシル化反応の場合,酸塩化物,TsCN又はアリルハライドの添加前に,アリールマグネシウム化学種が,ZnCl2(1.2当量)及びCuCN・2LiCl(0.5〜1.3当量)でトランスメタル化されるとき,最善の結果が得られた(エントリー2〜4,7,8及び12)。
【0084】
同様に,Pd(dba)2(2mol%)及びP(2−fur)3(4mol%)の存在下,アリールヨウ化物での根岸クロスカップリングは,ZnCl2でのグリニャール試薬のトランスメタル化の後,うまく実行された(エントリー1,5,6及び13)。メタ,メタ’位における二重の官能基化も達成された。こうして,TMP2Mg・2LiCl(1.1当量)でのニトリル(60a)の処理(0℃,4時間),そしてこれに続く第一銅で触媒されるt-BuCOClとの反応によって,81%の収率で,ケトン(62a)が得られる。同じ反応手順(−60℃,0.5時間の金属化)を適用することによって,ケトン(62a)は,77%の収率で,ジケトン(66a)に変換された。更にまた,臭素で置換された,及び塩素で置換されたホスホロジアミデート(60b及び60d)の二重官能基化は,良好な全体収率で,高度に官能基化されたホスホロジアミデート(66b及び66c)の調製へと導き,OP(O)(NMe22基の高い指向性を示した(スキーム15)。
【0085】
【化17】


【0086】
タイプ62及びタイプ63の官能基化されたアリールホスホロジアミデートの更なる処置は,これらの中間体を,ノナフレート(nonaflates)又はトリフレート(triflates)のような誘導化フッ化スルホナートに変換することによって,最もよく成し遂げられた。このように,マイクロ波の助けを借りた水性エタノール中でのギ酸によるアリールホスホロジアミデート(62b及び62c)の脱保護(120℃,30分)は,多官能性のフェノールを提供し,それらのフェノールは,その後のC49SO2Fとの反応(NaH,Et2O,25℃,12時間)の後,71%の収率で,対応するノナフレート(67a及び67b)を単離することを可能にした(スキーム)。ノナフレート(67a)のアリール亜鉛試薬(69)とのニッケルで触媒されたクロス−カップリングは,90%の収率で,ビフェニル(68a)をもたらした。他方,Pd(PPh34の触媒量の存在下,ジメチルアミン−ボラン複合体との67bの反応は,94%の収率で,還元された誘導体(68b)を与えた。同様に,アリールホスホロジアミデート(63b)は,ジエステル(68c)及びケトエステル(68d)に,それぞれ,74%及び95%の収率で,うまく変換された。このことは,この反応手順が,効率的な官能基化も金属化指向基の除去も可能とすることを示した(スキーム16)。
【0087】
【化18】


【0088】
要約すると,この方法は,強力なTMP2Mg・2LiCl塩基(40a)を,強い金属化指向基としてのホスホロジアミデート(−OP(O)(NMe22)と組み合わせて用いて,マグネシウム化を実行することにより,芳香族化合物の新たな官能基化パターンを可能にする。この方法論は,従来の合成戦略では容易に到達できないメタ位,パラ位の及びメタ,メタ'位の多官能基化された様々な芳香族化合物の一般的な調製を可能とする。生物学的活性分子の合成への適用は,この方法によって可能となるように思われる。
【0089】
上記に挙げられた具体例から解るように,新規な混合Mg/Li−塩基は,有機化合物の脱プロトン化に,非常に有効である。この脱プロトン化は,種々の溶媒中で行うことができ,好ましくは−90℃と100℃の間の温度で実施することができる。更に,有効な脱プロトン化反応であるため,本発明のアミドは,脱プロトン化されるプロトン当たり,好ましくは0.9〜5当量,より好ましくは,1〜2当量,及び最も好ましくは,1.1〜1.5当量の使用を必要とするだけである。
【0090】
かかる新規な塩基,それは溶解性が高くかつ副産物が後続の反応をさまだげないものであるが,これを用いることによって,多くの新しい生成物を得ることができ,あるいは,既知の反応経路がより効率的になる。当業者は,この新規なMg/Li−塩基の利点を容易に理解でき,かかる塩基を,様々な化学反応に使用することが可能であろう。
【0091】
以下に,実施例を挙げて,本発明を説明する。しかしながら,これら実施例は,説明の目的で挙げられているのみであって,特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0092】
実験の部:
試薬TMPMgCl・LiCl(5b)の調製:
マグネティック・スターラー及び隔壁を備え,乾燥しかつアルゴンで通気した250mLフラスコに,新たに滴定されたi-PrMgCl・LiCl(100mL,THF中1.2M,120mmol)を入れた。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)(19.8g,126mmol,1.05当量)を,室温で滴下した。反応混合物を,ガス評価が完了するまで(およそ24時間),室温で撹拌した。
【0093】
1−ヨードイソキノリン(7a)の調製:
マグネティック・スターラー及び隔壁を備え,乾燥しかつアルゴンで通気した10mLフラスコに,TMPMgCl・LiCl(5mL,THF中1.2M,6.0mmol)を入れた。THF(5ml)中のイソキノリン(703mg,5.45mmol)を,室温で滴下して加えた。加えている間に,反応混合物が赤くなり,そして,2時間後金属化が完了した(反応液の一部をI2のTHF溶液でクエンチしてGC分析することによってチェックしたところ,98%超が変換されていた。)。I2のTHF溶液(6ml,THF中1M,6.0mmol)を,−20℃でゆっくり加えた。反応混合物を,飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)でクエンチした。水相を,エーテルで抽出し(4x10ml),硫酸ナトリウムで乾燥して,減圧下濃縮した。粗残渣を,フィルター・カラム・クロマトグラフィ(ジクロロメタン/ペンタン)によって精製し,1−ヨードイソキノリン(7a;1.33mg,96%)を,わずかに黄色の結晶(mp=74〜76℃)として得た。
【0094】
下記表1に掲載された生成物は,1−ヨードイソキノリン(7a)の調製に従って,製造することができる。
【0095】
【表1】


【0096】
[a]塩化リチウム及びTMPHを化合して,グリニャール試薬とした。[b]TMPMgCl・LiCl(5b,1.1当量)による脱プロトンのための反応条件。[c]分析的に純粋な生成物の単離収量。[d]CuCN・2LiCl(0.2当量)によるトランスメタル化が実施された。
【0097】
(TMP)2Mg2LiCl(40a)の調製:
削状マグネシウム(15mmol)を,アルゴンで通気したシュレンク・フラスコ(Schlenk flask)に入れ,そして,THF(30ml)を加えた。1,2−ジクロロエタン(16mmol)を滴下し,そして,反応物を,すべてのマグネシウムが消費されるまで,約2時間撹拌した。アルゴンで通気した他のシュレンク・フラスコに,2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)(30mmol)及びTHF(20ml)を入れた。この溶液を−40℃に冷やし,そして,n-BuLi(30mmol)を滴下により添加した。添加の後,反応混合物を0℃まで暖め,同じ温度で30分間撹拌した。MgCl2溶液を,カニューレを介してTMPLi溶液に移し,そして,反応混合物を,0℃で30分間撹拌し,それから室温まで暖めて,さらに1時間撹拌した。溶媒を減圧下除去し,その後,塩類が完全に溶解するまで撹拌しながら,THFを加えた。新しい(TMP)2Mg・2LiCl溶液を,使用の前に,0℃で,4−(フェニルアゾ)−ジフェニルアミンを指標として安息香酸に対して滴定した。THF中の平均濃度は,0.6mol/lであった。
【0098】
(PIR)2Mg・2LiCl(40b)の調製:
40aに従って,THF中,ピロリジン(PIR)(30mmol),n-BuLi(30mmol),削状マグネシウム(15mmol)及び1,2−ジクロロエタン(16mmol)から,調製した。THF中の平均濃度は,0.65mol/lであった。
【0099】
(i-Pr)2NMg・2LiCl(40c)の調製:
40aに従って,THF中,ジイソプロピルアミン(30mmol),n-BuLi(30mmol),削状マグネシウム(15mmol)及び1,2−ジクロロエタン(16mmol)から調製した。THF中の平均濃度は,0.84mol/lであった。
【0100】
(HMDS)2Mg・2LiCl(40d)の調製:
40aに従って,THF中,1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(30mmol),n-BuLi(30mmol),削状マグネシウム(15mmol)及び1,2−ジクロロエタン(16mmol)から調製した。THF中の平均濃度は,0.86 mol/Lであった。
【0101】
(TMP)Mg(Bt)・2LiCl(40e)の調製:
マグネティック・スターラーチップ及び隔壁を備え,炎で乾燥し,アルゴンで通気した50mlのシュレンク試験管に,ベンゾトリアゾール(Bt)(1.19g,10.0mmol)を入れた。THF(10ml)を加えた。この溶液を,−40℃に冷やし,そして,n-BuLi(3.62ml,ヘキサン中2.76M,10.0mmol)を,滴下により添加した。ただちに,白い沈殿物が形成された。添加の終了後,得られた懸濁液を−40℃で30分間撹拌した。次いで溶媒を減圧下で除去し,その後,TMPMgCl・LiCl(8.93ml,THF中1.12M,10.0mmol)を加えた。白色の固形物が完全に溶解した後に,THFを,減圧下で除去した。得られた褐色がかったゲルに,THFを,塩類が完全に溶解するまで撹拌しながら加えた。この調製したばかりの(TMP)Mg(Bt)・2LiCl溶液を,室温で,4−(フェニルアゾ)−ジフェニルアミンを指標として安息香酸に対して滴定した。THF中の平均濃度は,0.35モル/lであった。
【0102】
(TMP)Mg(DMBt)・2LiCl(40f)の調製:
40eに従って,THF中,5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール(10mmol),n-BuLi(10mmol)及びTMPMgCl・LiCl(10mmol)から調製した。THF中の平均濃度は,0.33mol/lであった。
【0103】
(TMP)Mg(CBZ)・2LiCl(40g)の調製:
40eに従って,THF中,9H−カルバゾール(10mmol),n-BuLi(10mmol),TMPMgCl・LiCl(10mmol)から調製した。THF中の平均濃度が,0.33モル/lであった。
【0104】
(i-Pr2N)Mg(Bt)・2LiCl(40h)の調製:
40eに従って,THF中,ベンゾトリアゾール(10mmol),n-BuLi(10mmol)及び(i-Pr2N)MgCl.LiCl(10mmol)から調製した。THF中の平均濃度は,0.24mol/lであった。
【0105】
(2−エチルヘキシル)2NMg(Bt)・2LiCl(40i)の調製:
40eに従って,THF中,ベンゾトリアゾール(10mmol),n-BuLi(10mmol)及び(2−エチルヘキシル)2NMgCl・LiCl(10mmol)から調製した。THF中の平均濃度は,0.23モル/lであった。
【0106】
(i-Pr(N)t-Bu)2Mg・2LiCl(40j)の調製:
40aに従って,THF中,イソプロピル(tert-ブチル)アミン(30mmol),n-BuLi(30mmol),削状マグネシウム(15mmol)及び1,2−ジクロロエタン(16mmol)から調製した。THF中の平均濃度は,0.80mol/Lであった。
【0107】
(i-Pr(N)c−Hex)2Mg・2LiCl(40k)の調製:
40aに従って,THF中,イソプロピル(シクロヘキシル)アミン(30mmol),n-BuLi(30mmol),削状マグネシウム(15mmol)及び1,2−ジクロロエタン(16mmol)から調製した。THF中の平均濃度が,0,60mol/Lであった。(370)
【0108】
(TMP)2Mg・2LiClによる官能基化された芳香族炭化水素のマグネシウム化:
4−ヨードベンゼン−1,3−ジカルボン酸ジtert-ブチルエステル(51a)の調製
マグネティック・スターラーチップ及び隔壁を備え,乾燥しかつ窒素ガスを通気した10mlのシュレンク・フラスコに,イソフタル酸ジtert-ブチルエステル(278mg,1mmol)の乾燥THF(1ml)溶液を充填した。0℃に冷却した後,調製したばかりの(TMP)2Mg・2LiCl溶液(THF中,0.6mol/l,1.83ml,1.1mmol)を滴下し,反応混合物を,同じ温度で撹拌した。金属化の完了(2時間)は,反応液の一部をヨウ素の乾燥エーテル溶液でクエンチしてGC−分析することにより,チェックした。次いで,乾燥THF(2ml)に溶解したヨウ素(508mg,2mmol)を0℃で加え,得られた混合物を,室温にまで暖めた。1時間撹拌した後に,反応混合物を,飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチし,エーテルで抽出し(3×20ml),硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過の後,溶媒を減圧下除去した。フラッシュ−クロマトグラフィ(n−ペンタン/ジエチルエーテル,10:1)での精製により,黄色油状物として,化合物51a(380mg,94%)を得た。
【0109】
下記の表2に掲載された生成物は,4−ヨードベンゼン−1,3−ジカルボン酸ジtert-ブチルエステル(51a)の調製に従って,当該表に示す対応する温度及び反応時間を使用することにより,製造することができる。
【0110】
【表2−1】


【0111】
【表2−2】


【0112】
[a]CuCN・2LiClによるトランスメタル化が実行された。[b]ZnCl2によるトランスメタル化の後,パラジウムで触媒されたクロス−カップリングにより得られた。
【0113】
官能基化された芳香族炭化水素の(TMP)Mg(Bt)・2LiClでのマグネシウム化:
3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}−2−ヨード安息香酸エチルエステル(44a)の調製。
マグネティック・スターラーチップ及び隔壁を備え,乾燥しかつ窒素ガスを通気した25mlのシュレンク・フラスコに,乾燥THF3ml中の3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}安息香酸エチルエステル(44)(300mg,1.00mmol)を入れた。0℃に冷却した後,新たに調製した(TMP)Mg(Bt)・2LiCl溶液(4.33ml,THF中0.3M,1.3mmol)を滴下にて加え,反応混合物を,同じ温度で撹拌した。金属化の完成(10分)は,反応物の一部をヨウ素の乾燥THF溶液によってクエンチしたもののGC−分析によってチェックした。次いで,乾燥THF(2ml)に溶解したヨウ素(508mg,2.0mmol)を0℃で加え,得られた混合物を室温にまで暖めた。1時間撹拌した後,反応混合物を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチし,エーテルで抽出し(3x20ml),硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後,溶媒を減圧下除去した。溶離液として酢酸エチルを使用したフラッシュ−クロマトグラフィでの精製により,3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}−2−ヨード安息香酸エチルエステル(44a)(332mg,78%)を,黄色油状物として得た。
【0114】
下記の表3に掲載された生成物は,3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}−2−ヨード安息香酸エチルエステル(44a)の調製に従って,表中に示された対応する温度及び反応時間を使用して,製造することができる。
【0115】
【表3】


【0116】
TMPMgCl・LiClからの,試薬TMP2Mg・2LiCl(40a)の調製
乾燥しかつアルゴンガスを通気したシュレンク試験管の中で,2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH;5.07mL,30mmol)を,THF(30ml)に溶解した。この溶液を,−40℃まで冷やし,n-BuLi(ヘキサン中2.4M,12.5mL,30mmol)を,滴下にて添加した。添加の終了後,反応混合物を0℃にまで暖め,当該温度で30分間攪拌した。このLiTMP溶液に,新たに滴定したTMPMgCl・LiCl(5b)(THF中1M,30mL,30mmol)を滴下して加え,反応混合物を0℃で30分間撹拌し,25℃まで暖めて1h撹拌した。次いで溶媒を,減圧下,加熱することなく除去し,黄色がかった固体を得た。新たに蒸留したTHFを,塩類の完全な溶解が観察されるまで,勢いよく撹拌しつつゆっくりと加えた。この調製したばかりのTMP2Mg・2LiCl溶液を,使用の前に,0℃で,4−(フェニルアゾ)−ジフェニルアミンを指標として安息香酸で滴定した。濃度は,THF中0.6Mであった。
【0117】
5−クロロ−4’−メトキシビフェン−2−イル N,N,N’,N’−テトラメチルジアミドフォスフェート(62c)の合成
乾燥しかつアルゴンガスを通気したシュレンク試験管中で,アリール・ホスホロジアミデート(60d)(2.62g,8.00mmol)を,THF(8ml)に溶解し,−40℃にまで冷却し,TMP2Mg・2LiCl(THF中0.6M,14.7mL,8.8mmol)を滴下して加えた。混合物を,−40℃で1.5時間撹拌した。金属化の完了は,反応物の一部を乾燥THF中のヨウ素によってクエンチしたもののGC−分析によって,確認した。ZnCl2の溶液(THF中1M,9.6mL,9.6mmol)を滴下して加え,得られた混合物を,15分間攪拌した。Pd(dba)2(88mg,2mol%)及びP(2−fur)3(72mg,4mol%)のTHF(8ml)溶液を加え,更に4−ヨードアニソール(2.06g,8.8mmol)を加え,この反応混合物を,室温にまで暖めた。12時間撹拌した後,反応混合物を,飽和塩化アンモニウム水溶液(20ml)でクエンチし,そして,ジエチルエーテルで抽出した(3×50ml)。有機層を合わせ,食塩水で洗浄し,硫酸マグネシムで乾燥し,濾過し,減圧下濃縮した。シリカゲル上のフラッシュ−クロマトグラフィ(酢酸エチル)での精製により,オレンジ色の油状物として,62c(2.78g,収率90%)を得た。
【0118】
【表4−1】


【0119】
【表4−2】


【0120】
[a]分析的に純粋な生成物の単離収量。
[b]ZnCl2(1.1当量)及びCuCN・2LiCl(0.5〜1.3当量)によるトランスメタル化が実行された。
[c]ZnCl2(1.1当量)によるトランスメタル化の後,パラジウムで触媒されたクロスカップリングによって得られた。
【0121】
参照文献及び注記:
[1] a) M. Schlosser, Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 376-393. b) A. Turck, N. Ple, F. Mongin, G. Queguiner, Tetrahedron 2001, 57, 4489-4505. c) F. Mongin, G. Queguiner, Tetrahedron 2001, 57, 4059-4090 d) M. Schlosser, Eur. J. Org. Chem. 2001, 21, 3975-3984. e) D. M. Hodgson, C. D. Bray, N. D. Kindon, Org. Lett. 2005, 7, 2305-2308. f) J-C. Plaquevent, T. Perrard, D. Cahard, Chem. Eur. J. 2002, 8, 3300-3307. g) C. -C. Chang, M. S. Ameerunisha, Coord. Chem. Rev. 1999, 189, 199-278. h) J. Clayden, Organolithiums: Selectivity for Synthesis. Editor(s): J. E. Baldwin, R. M. Williams 2002, Publisher: Elsevier. i) F. Leroux, M. Schlosser, E. Zohar, I. Marek, The preparation of organolithium reagents and intermediates Editor(s): Rappoport, Zvi; Marek, Ilan. Chemistry of Organolithium Compounds 2004, 1, 435-493. Publisher: John Wiley & Sons Ltd. j) K. W. Henderson, W. J. Kerr, Chem.-A Eur. J. 2001, 7(16), 3430-3437. k) K. W. Henderson, W. J. Kerr, J. H. Moir, Tetrahedron 2002, 58(23), 4573-4587. l) M. C. Whisler, S. MacNeil, V. Snieckus, P. Beak, Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43(17), 2206-2225. m) G. Queguiner, F. Marsais, V. Snieckus, J. Epsztajn, Adv. in Het. Chem. 1991, 52, 187-304. n) M. Veith, S. Wieczorek, K. Fries, V. Huch, Z. Anorg. Allg. Chem. 2000, 626(5), 1237-1245.
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[5] i-PrMgCl・LiCl is commercially available from Chemetall GmbH (Frankfurt)
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[9] (2-Ethyl-hexyl)2NMgCl.LiCl is prepared by reacting bis(2-ethylhexyl)amine with i Pr2NMgCl.LiCl in THF at room temperature for 48h. For a general procedure see A.≡Krasovskiy, V. Krasovskaya, P. Knochel, Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 2958-2961.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
12N−Mg −NR34・zLiY (II)
〔式中,R1,R2,R3及びR4は,独立に,水素原子;置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらのシリル誘導体から選択されるものであるか,R1及びR2は一緒に,又はR3及びR4は一緒に,環状の又は高分子の構造の一部であることができ,ここにR1及びR2の少なくとも一つ及びR3及びR4の少なくとも一つは,水素原子以外のものであり,
Yは,F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(ここにn=3又は4,Halは,Cl,Br及びIから選択される。);NO3;BF4;PF6;水素原子;一般式RXCO2のカルボキシラート;一般式ORXのアルコラート;一般式SRXのチオラート;RXP(O)O2;SCORX;SCSRX;OnSRX(ここにn=2又は3);NOn(ここにn=2又は3);及びこれらの誘導体からなる群より選ばれるものであり;
ここにRXは,1又は2以上のヘテロ原子を含む置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらの誘導体;あるいは水素原子であり,
z>1である。〕で示される試薬又はその溶媒付加物。
【請求項2】
溶媒に入れた請求項1の試薬の溶液。
【請求項3】
溶媒が,環状,直鎖状又は分枝鎖状のモノ又はポリエーテル,チオエーテル,アミン,ホスフィン及びこれらの,O,N,S及びPから選ばれる1又は2以上の追加のヘテロ原子を含む誘導体,好ましくはテトラヒドロフラン(THF),2−メチルテトラヒドロフラン,ジブチルエーテル,ジエチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,ジメトキシエタン,ジオキサン,好ましくは1,4−ジオキサン,トリエチルアミン,エチルジイソプロピルアミン,ジメチルスルフィド,ジブチルスルフィド;環状アミド,好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP),N−エチル−2−ピロリドン(NEP),N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);1又は2以上の水素原子がハロゲンで置換された環状,直鎖状又は分枝鎖状のアルカン及び/又はアルケン,好ましくはジクロロメタン,1,2−ジクロロエタン,四塩化炭素;尿素誘導体,好ましくはN,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族,複素環式芳香族又は脂肪族炭化水素,好ましくはベンゼン,トルエン,キシレン,ピリジン,ペンタン,シクロヘキサン,ヘキサン,ヘプタン;ヘキサメチルフォスフォラストリアミド(HMPA),二硫化炭素;又はこれらの組み合わせから選択されるものである,請求項2の溶液。
【請求項4】
求電子試薬との反応における,請求項1の試薬の使用。
【請求項5】
安定化された又は安定化されていない状態のカルボアニオンを形成することができる何れかの基質の脱プロトン化のための,請求項1の試薬の使用。
【請求項6】
第1級若しくは第2級アミンを,溶媒中,リチウム塩存在下でグリニャール試薬と反応させるか,若しくはリチウム塩と錯体形成させたグリニャール試薬と反応させること,又は,第1級若しくは第2級リチウムアミドを,溶媒中,マグネシウム塩と反応させることを含んでなる,混合Mg/Liアミドの調製方法。
【請求項7】
一般式
12N−Mg −NR34・zLiY (II)
〔式中,R1,R2,R3及びR4は,独立に,水素原子;置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらのシリル誘導体から選択されるものであるか,R1及びR2は一緒に,又はR3及びR4は一緒に,環状の又は高分子の構造の一部であることができ,ここにR1及びR2の少なくとも一つ及びR3及びR4の少なくとも一つは,水素原子以外のものであり,
Yは,F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(ここにn=3又は4,Halは,Cl,Br及びIから選択される。);NO3;BF4;PF6;水素原子;一般式RXCO2のカルボキシラート;一般式ORXのアルコラート;一般式SRXのチオラート;RXP(O)O2;SCORX;SCSRX;OnSRX(ここにn=2又は3);NOn(ここにn=2又は3);及びこれらの誘導体からなる群より選ばれるものであり;
ここにRXは,1又は2以上のヘテロ原子を含む置換された若しくは無置換のアリール又はヘテロアリール(当該ヘテロアリールは1又は2以上のヘテロ原子を含む);直鎖状,分枝鎖状若しくは環状の,置換された若しくは無置換のアルキル,アルケニル,アルキニル又はそれらの誘導体;あるいは水素原子であり,
z>1である。〕で示される試薬の調製方法であって,
溶媒中R12N−MgX又はR12N−MgX・zLiYをR34NLiと反応させること,又はR12NLi及びR34NLiをMgX2と反応させることを含んでなるものである,調製方法。
【請求項8】
X及びYが,独立に又は双方とも,Cl,Br又はI(好ましくはCl)である,請求項7の方法。
【請求項9】
zが,1〜5の範囲(好ましくは1.5〜2.5,より好ましくは1.8〜2.2,より一層好ましくは1.9〜2.1,なおより一層好ましくは1.95〜2.05の範囲,最も好ましくは約2)である,請求項7又は8の方法。
【請求項10】
グリニャール試薬R’MgX・zLiYが,i-PrMgCl・LiClである,請求項7〜9の何れかの方法。
【請求項11】
溶媒が,環状,直鎖状又は分枝鎖状のモノ又はポリエーテル,チオエーテル,アミン,ホスフィン及びこれらの,O,N,S及びPから選ばれる1又は2以上の追加のヘテロ原子を含む誘導体,好ましくはテトラヒドロフラン(THF),2−メチルテトラヒドロフラン,ジブチルエーテル,ジエチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,ジメトキシエタン,ジオキサン,好ましくは1,4−ジオキサン,トリエチルアミン,エチルジイソプロピルアミン,ジメチルスルフィド,ジブチルスルフィド;環状アミド,好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP),N−エチル−2−ピロリドン(NEP),N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);1又は2以上の水素原子がハロゲンで置換された環状,直鎖状又は分枝鎖状のアルカン及び/又はアルケン,好ましくはジクロロメタン,1,2−ジクロロエタン,四塩化炭素;尿素誘導体,好ましくはN,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族,複素環式芳香族又は脂肪族炭化水素,好ましくはベンゼン,トルエン,キシレン,ピリジン,ペンタン,シクロヘキサン,ヘキサン,ヘプタン;ヘキサメチルフォスフォラストリアミド(HMPA),二硫化炭素;又はこれらの組み合わせから選択されるものである,請求項7〜10の何れかの方法。

【公表番号】特表2010−516649(P2010−516649A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545884(P2009−545884)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050066
【国際公開番号】WO2008/087057
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(505121545)ルードヴィッヒ・マクシミリアンス・ウニベルジテート ミュンヘン (5)
【Fターム(参考)】