マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法及び装置、並びにそれらの使用
本発明は、チャネル開口が断面積全体にわたって広がっているマルチチャネルモノリシック構造(モノリス)のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法及び装置に関する。当該装置は、マニホールドヘッドと、モノリスユニット又はモノリススタック、又は当該ユニット又はスタックの列、又はモノリスブロックとから成る。さらに、本発明は、2つの流体が、上記マニホールドヘッドの1つ又は複数と、ユニット又はスタック、又はユニット又はスタックの列、又はブロックとに分配される、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための方法及び反応器に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル開口が断面積全体にわたって広がっているマルチチャネルモノリシック構造(モノリス)のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法及び装置に関する。
【0002】
本発明は、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のプロセスに適用可能である。
【0003】
2つの流体は通常、異なる化学的特性及び/又は物理的特性を有する2つのガスである。しかしながら、本発明は、一方の流体がガスであり、他方の流体が液体である場合にも適用可能である。一方又は両方の流体がガスと液体との混合物である系であってもよい。このガス液体混合物は、連続相若しくは均一相、又は別個の2相流(スラグ流)を構成し得る。以下の説明では、2つの流体を流体1及び流体2という名称で例示する。
【0004】
流体1及び流体2は、流体1用の上記チャネルと流体2用の上記チャネルとにそれぞれ供給される。流体1及び流体2は、接合壁で流体1と流体2とが分離されるようにモノリス内で分配される。この場合、2つの流体に対する接合壁である壁は、質量移動及び/又は熱移動に利用可能な接触領域を2つの流体間に構成する。これは、チャネル開口がモノリスの断面積全体にわたって広がっているチャネルに、流体が供給されなければならないことを意味する。本発明は、流体1と流体2との間の熱移動及び/又は質量移動のために直接、モノリスのチャネル壁の接触面積全体又は当該チャネル壁全てを利用することを可能にする。これは、一方の流体用のチャネルのチャネル壁の反対側に、常に他方の流体がある、すなわち、流体1用の隣り合ったすなわち隣接するチャネル全てが流体2を収容し、流体2の隣り合ったすなわち隣接するチャネル全てが流体1を収容することを意味する。小さい断面積及び薄い壁を有するチャネル開口(すなわち、1〜6mmの幅を有するチャネル開口)を備えるモノリシック構造を利用することができるため、本発明はプロセス強化に特に適用可能である。小さい断面積及び薄い壁を有するチャネルは、体積単位あたりの表面積を大きくするため、熱移動及び/又は質量移動のための非常に小型でエネルギー効率の高い装置が得られる。
【0005】
本発明では、モノリスの接触領域壁は、2つの流体間で1つ又は複数の成分を選択的に輸送することが可能な膜であり得る。さらに、本発明は、ガス及び液体が同じチャネル内で輸送され(この場合は流体1)、接触領域壁を介して流体2により加熱又は冷却されるのと同時に2相(ガス及び液体)間で内部質量移動(吸収又は脱着)が行われる、2相流システムに利用することもできる。
【0006】
2つの異なる流体間の壁は、片面又は両面が活性表面成分から成っていてもよい。このような活性表面成分又は触媒は、1つ又は複数の化学反応を伴う場合に用いられる。化学反応は、熱を生成又は消費することが多い(発熱反応又は吸熱反応)。このような反応系の温度制御を最適化することは非常に重要である。
【0007】
マルチチャネルモノリシック構造(モノリス)に特有の特徴は、多数の長手方向に平行な内部チャネルを有する本体から成ることである。全てのチャネルを備えたモノリス全体は、1つの作業で作製することができ、用いられる製造技法は通常は、押し出し成形である。
【0008】
モノリシック構造の製造のために押し出し技術を用いることにより、チャネルの幾何学的形状に影響を及ぼす大きな機会が得られる。製造方法としての押し出し成形は、モノリシック構造全体を1つの作業で作製できることを意味する。チャネルの断面積は、形状及びサイズの両方の点で異なってもよく、又は、サイズ及び形状を一様にしてもよく、形状は最も一般的には、例えば、三角形、正方形、又は六角形である。しかしながら、いくつかの幾何学的形状の組み合わせも考えられ得る。幾何学的形状は、チャネル開口の幅又は面積とともに、体積単位あたりの機械的強度及び利用可能な表面積にとって重要である。
【0009】
チャネル開口の幅は通常、約1〜6mmのサイズであり、壁厚は通常、0.1〜1mmである。上記の最小サイズのチャネル開口幅を有するマルチチャネルモノリシック構造では、体積単位あたりで大きい表面積が得られる。体積単位あたりの上記表面積の通常の値は、250〜1000m2/m3の範囲となる。モノリスの別の利点は、流体の流れ抵抗を小さくする直線状チャネルである。モノリスは通常、高温に耐えるセラミック又は金属材料からできている。これにより、モノリスは堅牢となり、特に高温プロセスに適用可能となる。
【0010】
工業的又は商業的な状況では、モノリスは、1つの流体のみがモノリスのチャネル全てを流れる場合に主に用いられる。モノリスのチャネル壁は、貫流する流体において化学反応を起こす触媒で被覆される場合がある。この一例は、車両排気系のモノリス構造である。排ガスは、触媒に排ガスの望ましくない成分の酸化を活性化させる温度まで、モノリスの壁を加熱する。
【0011】
モノリス構造は、燃焼ガス又は排ガスから燃焼プロセスのために流入する空気へ、熱を移動させるためにも用いられる。1つの方法は、モノリスを交互に流れる2つのガス、例えば熱ガス及び冷ガスを伴う。このような方法では、例えば、排ガスがモノリス構造を加熱し、続いて放熱して空気を冷却する。しかしながら、同じ構造内で2つの流体(一方が高温で一方が低温)が交互に流れるサイクルを有するこのような再生式熱交換プロセスは、2つの流体の混合が望ましくない場合、又は安定した連続的な熱移動及び/又は質量移動が望まれる場合には、適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
モノリスの工業的使用は、1つの流体のみが全てのチャネルに同時に流れる用途に主に制限される。
【0013】
文献には、モノリスを用いて2つの異なる流体の流れ間で熱及び/又は質量を有利に移動させることができる、多くのプロセス又は用途が記載されている。小規模実験もまた、このようなプロセスで実行されている。この一例は、合成ガス(CO及びH2)の生成である。合成ガスは通常、蒸気メタン改質を用いて生成される。これは、メタンと蒸気とが反応して合成ガスを形成する吸熱反応である。このようなプロセスは、隣接するチャネルにおける発熱反応により、蒸気メタン改質に熱が供給されるモノリスにおいて、実行することができる。
【0014】
多くの用途において、2つの流体間の質量交換及び/又は熱交換のためにモノリスを用いることが有利であることが分かっているが、このような用途のためのモノリスの工業的使用は、あまり普及していない。モノリスがこの分野で用いられない最も重要な難点又は理由の1つは、2つの流体をモノリスの別個のチャネルに出入りするよう供給及び分配するための従来技術が複雑であり、特にモノリスのチャネル数が多いことを考慮に入れると、拡大(すなわち、いくつかのモノリスユニットを相互接続すること)にあまり適していないことである。
【0015】
ドイツ特許DE19653989号は、供給管を通して2つの流体をモノリスのチャネルに供給する装置及び方法を記載している。これらの供給管又は管路は、2つの流体を各流体のプレナムチャンバからモノリスの各チャネルへ供給する。プレナムチャンバは、内部チャンバを通して、外部チャンバから続く管路へ、続いてモノリスのチャネルへ供給が行われなければならないように、互いに取り付けられる。モノリスのチャネルから、またプレナムチャンバの壁の導出路(lead-throughs)からの漏れを防止するために、個々の管路をシールしなければならない。加熱されると、モノリス、プレナム壁、管、及びシール材料は膨張し、冷却されると、それらは収縮する。これにより、亀裂が形成され、その結果として2つの流体の混合物の望ましくない漏れが生じる可能性が高くなる。この可能性は、管の導出路の数が増えるほど高くなる。
【0016】
DE19653989号では、密閉管を有する入口ゾーン及び出口ゾーンが冷却されるため、低温可撓性シール材料を用いることができ、亀裂形成及び漏れの危険性を減らすことができる。冷却システムでは必然的に、特に、モノリスが何千ものチャネルから成り、且つ十分な表面積を得るために多くのモノリシック構造を直列及び/又は並列で用いる必要がある、大規模な用途の場合、モノリシック構造がより高価且つより複雑になる。
【0017】
米国特許第4,271,110号は、2つの流体を出入りするよう供給する別の方法を記載している。この方法は、プレナムチャンバからモノリシック構造の各流体のチャネルへの送り込み管を全く用いなくてよいという利点を有する。これは、平行なギャップをモノリスの端に切り込むことにより達成される。これらの切断部すなわちギャップは、流体の一方用のチャネル内又はチャネル外につながる。この場合、切断されたギャップは、ギャップが通るチャネルの列に対応するプレナムチャンバに対応する。モノリスの端の方を向いたギャップの開口をシールすることにより、流体の一方が入るか又は出ることができる複数の開口がモノリスの側壁に形成される。このとき、他方の流体は、モノリスの短い端において残りの開チャネルに入るか、又は残りの開チャネルから出る。この方法の主な不利点は、モノリシック構造自体の必要な処理(切断及びシール)は別として、質量交換及び/又は熱交換に利用可能な面積の半分だけしか利用できないことである。例えば、一方の流体用及び他方の流体用の正方形チャネルは、列状に接続されている必要があるため、2つの流体用のチャネル構造はプレート式熱交換器に対応する。2つの流体用のチャネルが、黒色部分が一方の流体用のチャネルに対応し、白色部分が他方の流体用のチャネルに対応するチェスボードパターンで分配される場合、面積の最大利用率を得ることができる。これは、このような流体分配パターンでは、一方の流体用のチャネルの壁全てが、他方の流体用のチャネルの壁との接合壁すなわち共有壁となるからである。米国特許第4,271,110号におけるように、同じ流体用の流体チャネルが一列になっている場合、チャネルの壁のおよそ半分だけしか他方の流体用のチャネルの壁と接触しないことになる。
【0018】
本発明の主な目的は、最大表面積利用率が得られる、マルチチャネルモノリシック構造に出入りするよう2つの流体を供給及び分配する方法及び装置を達成することであった。
【0019】
本発明の別の目的は、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための改良された方法及び反応器を達成することであった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、第1の目的は以下のような方法で達成される。この方法では、一方の流体が、上記モノリス構造の一面にシールされるマニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップにおけるスロットを通して供給され、他方の流体が、上記マニホールドヘッドのトンネルへ、さらに上記トンネル壁のスロットを通って上記マニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップへ供給され、上記流体は、各自のギャップから上記チャネルへ、少なくとも1つのチャネル壁が上記流体に共通であるように分配され、上記流体は、上記構造のうち第1のマニホールドヘッドがシールされるのとは反対側にシールされるマニホールドヘッドの各自のギャップにおいて収集され、次に、流体はそれぞれ、上記最後に言及したマニホールドヘッドのトンネル壁における1つ又は複数のギャップ及びスロットから、1つのスロットを通して導かれる。
【0021】
本発明によれば、第1の目的はマニホールドヘッドにおいて達成され、当該マニホールドヘッドは、スペーサとともに接合されて、互いの間にスロットを有するギャップを形成する少なくとも3つの平行な分割プレートと、当該分割プレートと平行に接合される端カバープレートであって、上記分割プレートと合わせて、トンネルを形成する1つの開口を有し、且つ上記接合されたプレート間にスロットを有するようにする、端カバープレートとを備える。
【0022】
本発明によれば、第1の目的は、チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ上記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造と、当該構造の少なくとも一面にシールされる上記マニホールドヘッドとを備える、ユニットにおいて達成される。
【0023】
本発明によれば、第1の目的は、チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ上記チャネルが接合壁を有する、2つ以上のマルチチャネルモノリシック構造と、当該構造の少なくとも一面にシールされる上記マニホールドヘッドの少なくとも1つと、上記マニホールドヘッドと上記構造のうちチャネル開口がある上記側との間でシールされる、孔を有する少なくとも1つのプレートと、ユニット間にある少なくとも1つのコネクタプレート又は他の結合具(coupling device)と、を備えるスタックにおいて達成される。
【0024】
本発明によれば、第1の目的は、互いに結合される上記ユニット又はスタックを備える列において達成される。
【0025】
通常、列の長さは、円筒シェルに嵌まる個々のスタックの高さと同じ大きさ(order of magnitude)である。
【0026】
本発明によれば、第1の目的は、向かい合わせで固定される上記ユニット又はスタックの列を備えるブロックにおいて達成される。
【0027】
ブロックは、個々のモノリススタックと同じ高さを有し、列と同じ幅を有し、且つ列の数に比例したブロック長を有する。
【0028】
本発明によれば、第2の目的は、上記ユニット若しくはスタックの1つ又は複数、又は上記ユニット若しくはスタックの列、又は上記ブロックが組み込まれる反応器において達成される。
【0029】
圧力容器は、モノリスブロック(互いに密集した複数のモノリス構造)を収容し、モノリスブロックは、一方又は両方の流体を、モノリス構造に出入りするよう、また圧力容器に出入りするよう搬送するシェル内に、空洞(hollow space)、ダクト、チャネル、又は管を有する。
【0030】
本発明によれば、第2の目的は、上記2つの流体が、上記ユニット若しくはスタックの1つ又は複数、又はユニット若しくはスタックの列、又はブロックに分配される方法において達成される。
【0031】
マニホールドヘッドとモノリスとの間には、流体用の孔を有する1つ又は複数のプレートが嵌められて、チェスボードパターン(モノリス内)と直線状パターン(マニホールドヘッド内)との間での流体の均一な流れ分布及び変化を確実にする。
【0032】
本発明は、2つ以上のモノリシック構造を、マニホールドヘッドに組み込まれるたわみ継手を介して接続することを可能にする。いくつかのこのようなユニットを互いに接続する必要がある場合、熱膨張の差により、これらのユニットは互いに対して移動することができることが重要である。互いに結合される複数のモノリス構造は、1つのモノリス列を構成する。
【0033】
さらに、本発明は、モノリス構造の数が増えた場合でも圧力容器の直径を大きくすることなく、圧力容器内に多数のモノリシック構造を配置することを可能にする。したがって、システム容量は、単純に列の数又はモノリス構造の数を変えて、圧力容器の長さを調整することにより、増減することができる。
【0034】
本発明は、一方の流体が管状の密閉系、すなわち管内に保持され、他方の流体が圧力容器内の空洞に流出入することも可能にする。
【0035】
本発明を用いる場合、米国特許第4,271,110号に記載の切断部も、DE19653989 C2に記載の送り込み管も有する必要はない。
【0036】
本発明はユーザに、全てのタイプの形状及びサイズを用いる自由と、熱交換及び/又は質量交換に利用可能な最大表面積を利用する機会とを与える。米国特許第4,271,110号に記載の方法は、同じ流体を含む全てのチャネルが少なくとも1つの壁を共有することにより、共有された壁が取り外されるか又は加工により除去されると、その流体用の接合プレナムチャンバを構成する接続ギャップが形成されることを必要とする。同じ流体を含む2つの隣接するチャネルが少なくとも1つの接合チャネル壁を有さなければならないことは、利用可能な熱交換及び/又は質量交換面積が減ることを意味する。DE19653989 C2では、各流体のプレナムチャンバからモノリスチャネルにかけて設けられる管が用いられ、モノリスチャネルは、利用可能な最大面積を利用できるように分布させることができる。すなわち、一方の流体が他方の流体と接合チャネル壁を常に共有するか又は有するように、流体が分配供給される。2つの流体は、チェスボードパターンに対応するチャネルに分配される。これにより、利用可能な質量交換及び/又は熱交換面積が最大限に利用される。
【0037】
本発明は、マルチチャネルモノリシック構造の各自のチャネルに出入りするよう2つの異なる流体を供給及び分配することが効率的にできる、方法及び装置から成る。2つの流体用のチャネル開口は、モノリスの断面積全体にわたって均一に分布し、すなわち広がり、チャネルは接合壁を有することが必要である。本装置は、同じタイプの流体、例えば流体1を、この流体を収容する全てのチャネルから入口又は出口に効率的且つ単純に集めるため、流体1を流体2から隔てること、またその反対ができる。
【0038】
さらに、堅牢性、複雑性、及び費用に関して、最小限の数の部品又は構成部品、並びにこれらの部品又は構成部品及びモノリスの最小限の処理及び改造が好ましい。原理上、個々の構成部品又は部品が少ないほど得られる利点が大きくなると言える。これは、モノリスのチャネルに出入りするよう供給される2つの流体間のシールを簡略化するのに役立つ。マニホールドヘッド、孔プレート、及びモノリス構造の並行作製が可能であることにより、処理時間が短縮される。これらの構成部品を、モノリスユニット、モノリススタック、ユニット若しくはスタックの列、又はモノリスブロックに予め組み立てることは、さらに、圧力容器内に設置するのに非常に有利となる。
【0039】
さらに、所与のチャネル開口幅を有するモノリスにおいて、最大限の接触面積(表面積)を得ることが好ましい場合がある。モノリシック構造又はチャネル壁が、膜として、例えば水素又は酸素輸送膜として用いられる場合、これは特に有利となる。
【0040】
モノリシック構造の体積単位あたりで、関連する流体成分の最大限の輸送能力を得るためには、体積単位あたりに最大限の接触面積を有することが重要となる。したがって、1つのチャネルを流れる流体は、そのチャネルを構成する全ての側壁を他方の流体と共有していることが望ましい。一例として正方形の断面を有するチャネルを用いる場合、2つの流体は、モノリスをチェスボードに対応するチャネルパターンで、すなわち、一方の流体が「白色」チャネルを、他方の流体が「黒色」チャネルを流れなければならない。最大限の直接接触面積は、2つの流体間の質量移動にとって非常に重要であるのに加えて、熱移動効率にとっても重要となる。
【0041】
チャネル開口が小さいほど、モノリスの比表面積が大きくなる。したがって、コンパクトソリューションを達成するためには、実際に可能な限り小さいチャネルを有することが望ましい。
【0042】
モノリスの面のうち、モノリスのチャネルが入口及び出口を有する面では、マニホールドヘッドがモノリスのチャネル開口上にシールされる。用途によっては、モノリスの一面のみをマニホールドヘッドでシールすることが必要であり得る。マニホールドヘッドは、モノリスのチャネル開口サイズに適合させた距離に嵌められた分割プレートを備える。プレート間の距離すなわち空間は、モノリスの同じ列にあるチャネル開口からの流体(すなわち同じ流体)を集める。この空間をプレナムギャップと呼ぶ。或る用途では、これらの分割プレートは、流体の一方が当該分割プレートにより形成される管状空間に出入りすることができるように、孔(例えば円形孔)を有する。この管状空間は、管路又は管に接続することができる。したがって、モノリスが圧力容器内に配置されている場合、流体の一方は、マニホールドヘッドの管状空間に接続される密閉配管系内に保持することができ、他方の流体は、開放された空間内を、且つ/又は案内ダクトを介して上記容器のマニホールドヘッドの入口開口及び出口開口へ、流すことができる。このようなシステムでは、流体の一方のためのモノリスとの直接(シールによる)接続が回避される。
【0043】
チャネル開口の列は、モノリスの短い端全体にわたって横に延び、且つ同じ流体用の入口又は出口を備えることが好ましい。同じ流体を含む流体チャネル開口のこれらの列は、マニホールドヘッドのシールされた分割プレートにより分離を保たれる。この場合、2つの流体は、各自のプレナムギャップにおいて収集される。同じ流体用のチャネル開口の列では、一方の流体用のプレナムギャップは、分割プレートの反対側に他方の流体用のプレナムギャップを有する。同じ流体が列状に配置される正方形チャネルを有するモノリスでは、分割プレートは、モノリスのチャネル壁にシールされなければならない。分割プレートをモノリスのチャネル壁に直接シールする代わりに、代替的に、最初に1つのプレートをモノリスの短い面にシールしてもよい。上記プレートは、モノリスのチャネル開口からつながる孔を有するプレート(孔プレート)、すなわち、同じ流体を収容する種々のチャネルからの流体が、上記プレートの孔を通ってプレナムギャップへ出るよう供給され得るようにするプレートである。これは、マニホールドヘッドの分割プレートが、2つの流体を分離するモノリスのチャネル壁に直接ではなく、孔プレートの孔の列間にシールされることを意味する。
【0044】
孔プレートを、流体1及び流体2用になっている開口を有するモノリスの片面又は両面にシールすることにより、流体1及び流体2用のチャネルがチェスボードパターンでモノリスに分配される、上記のマニホールドヘッドを用いることができる。これは、モノリスの表面積の最大利用を可能とする、2つの別個の流体を出入りするよう供給する方法及び装置を示す。流体は、モノリスのチェスボード分配パターンから、モノリスにシールされたプレートの孔の列へ送られる。さらに、流体1及び流体2は、これらの孔の列からモノリスのチャネルに出入りするよう供給され、流体1及び流体2がチェスボードパターンで、一方の流体が「黒色」チャネルに、他方の流体が「白色」チャネルに分配される。孔プレートは、チェスボードパターンに分配された流体を、流体1と流体2とを互いに分離することができる分割プレートにより分割されるプレナムギャップに出入りするよう供給させる。プレートの孔は、シールされるチャネル開口よりもわずかに小さい開口面積を有さなければならない。チャネル面積よりも小さい出口面積に加えて、モノリスのチャネル構造にシールされるプレート及びマニホールドヘッドの分割プレートの開口はまた、2つの流体のチャネルにつながる孔間の距離が、同じ流体用の入口及び/又は出口を有して孔の列間に分割プレートを配置することを可能にするように、設計及び配置しなければならない。2つの流体がチェスボードパターンで分配される正方形チャネル開口の例を用いる場合、2つの流体間の分割プレートは、同じ流体を含む孔の列間の直線に従う。
【0045】
この場合、モノリシック構造のチャネルに、別個のプレナムギャップに出入りするよう2つの流体を分配することが可能であり、チャネル開口がチェスボードパターンで分配される。2つの流体がマニホールドヘッドのプレナムギャップに出入りする時に、2つの流体の分離を保つことができるように、同じ流体を、マニホールドヘッドの側縁においてプレナムギャップの開口に供給することができ、それに対応して、他方の流体用のプレナムギャップ全てが、第1の流体とは反対側のマニホールドヘッドの側縁からつながる。代替的に、流体の一方は、プレナムギャップに入り、且つ/又はプレナムギャップから出て、分割プレートの管状空間に進み、続いて管に、又はモノリシックスタックの隣接するマニホールドヘッドに対する円形接続部又は接合部に、接続又は結合されることができる。マニホールドヘッド間のこのような継手又は接合部により、いくつかのモノリシックユニット又はスタックを列状に固定(stable)又は配置することができる。続いて、この列は隣接する列に近接してさらに固定される。したがって、モノリスユニットは、密集して配置されて、圧力容器内で複数のモノリシックスタックをモノリスブロック又はコアにするコンパクトソリューションを可能にすることができる。
【0046】
各チャネルから孔プレートの孔を通してマニホールドヘッドのプレナムギャップ(マニホールドヘッドの分割プレート間の空間)へ直接流体を供給する孔プレートが、1つだけではなく2つ以上あるシステムでは、マニホールドヘッドの分割プレート間の距離を、モノリスのチャネル開口よりもはるかに大きくすることができるため、モノリスチャネルの断面積(幅)による制限は受けない。
【0047】
これは、1つのチャネルからの流体を、モノリスとマニホールドヘッドとの間の孔プレートシステム内に形成されたチャネル又はファネルを通して、隣接するチャネルからの流れに合流するよう供給することにより行われる。続いて、モノリスにおける1つ又は複数の隣接するチャネルからの流体は、接合部出口(joint outlet)を通してマニホールドヘッドのプレナムギャップへ出される。これらの接合部出口/入口は、同じ流体用の出口が1つにまとめられ、それに従って、他方の流体用の出口も1つにまとめられるように、システム内に配置される。同じ流体用の出口のこれらのまとまりは、さらにまとめられることにより、マニホールドヘッドの分割プレートが、マニホールドヘッドに直接シールされている場合よりも互いにはるかに大きく離れるようにするパターンを形成する。この場合、モノリスの個々のチャネル開口の幅によりこの距離が決まることになる。
【0048】
モノリシック構造の体積単位あたりで最も効率的な熱移動は、小さいチャネル及びチェスボードパターンの流体分配により達成される。これは、モノリスの利用可能な表面積のほぼ100%を利用することができる。チャネルが小さいほど、体積単位あたりの比表面積が大きくなる。
【0049】
しかしながら、チャネル開口の幅が小さいことは、マニホールドヘッドを介してモノリスチャネルから/モノリスチャネルへ流体を供給することをより複雑にもする。上述の孔プレートシステムは、小さいチャネルに出入りさせる供給を単純にし、チェックパターンの流体分配の維持を可能にする。
【0050】
以下では、マニホールドヘッドを用いずに、2つの異なる流体をモノリシック構造に出入りするよう供給するシステムが記載される。この方法は、接合壁を共有するように列状に同じ流体を配置させる流体チャネルに基づく。米国特許第4,271,110号に記載されるのと同様に、これらの接合壁はモノリスの所定の深さで切断され、その後、端をシールすることができるため、モノリスの側壁に開口が形成されて、そこから流体の一方が出入りするよう供給され得る。
【0051】
しかしながら、米国特許第4,271,110号に記載の方法とは異なり、この方法は、側壁に沿って一方向に平行に延びるだけでなく、両方向に(互いに直交して)形成される列パターンの、列状の流体チャネルに基づく。これは、切断部がこれらの交差列に形成され、(上述のように)シールされた後で、列が一方向に平行に延びるだけの場合のようにモノリスの2つの側壁だけではなく、4つの側壁全てに開口ができることを意味する。これにより、モノリスに出入りするよう流体を供給する融通性が高まる。この場合、流体チャネルを3×3の反復単位で配置して、一方の流体を角のチャネルに入れ、他方の流体を中央で交差する2つの列(十字)に入れることが可能となる。同様に、中央で交差する接続列が十字を形成する4×4の反復単位のチャネルを有することが可能である。このとき、各角(十字の先端)に1つずつ、及び十字の底部で各側の対応する外縁に2つの、6つの他のチャネルも配置される。
【0052】
本発明は、マルチチャネルモノリシック構造の個々のチャネルに出入りするよう2つの異なる流体を供給及び分配することを、単純且つ効率的に可能にする。これは、チャネル開口があるモノリスの1つ又は複数の短い面にシールされるマニホールドヘッドにより行われる。この方法は、2つの流体が均一に分配される場合、同じ流体を供給するチャネル開口が列状になっているモノリスにおいて、このシステムを利用することに基づく。同じ流体を含むチャネル開口の列は、マニホールドヘッドのプレナムギャップにつながる。プレナムギャップもまた、開口を有するように構成することができ、それにより、2つの異なる流体をマニホールドヘッドの両側から出すことができるようになる。これは、別個のプレナムギャップ(すなわち、2つの分割プレート間に形成される空間)からモノリスの個々のチャネルに別個の流体の流れを出入りさせることができることを意味する。これは、2つの流体をモノリスに出入りするよう供給するために管を用いる必要がなく、モノリス自体に切断部すなわちギャップを形成する必要もないことを意味する。さらに、いくつかのモノリスを平行に、すなわち側面同士を重ね合わせ、したがって、マニホールドヘッドの傾斜壁により形成されるチャネルを通して外部容器から出るように、且つ/又は外部容器に入るように、流体を供給することが可能となる。プレナムギャップは、スロットを有して構成されることもでき、それにより、流体の一方がマニホールドヘッドの上部又は片側若しくは両側から出入りするよう供給されることができるとともに、他方の流体がプレナムギャップからスロットを通してマニホールドヘッドの管状空間に出入りするよう供給される。これは、別個のプレナムギャップ(すなわち、2つの分割プレート間に形成される空間)からモノリスの個々のチャネルに別個の流体の流れを出入りさせることができ、その場合、流体の一方用のプレナムギャップが管又は円形ダクト接続部に接続される管状空間につながることを意味する。
【0053】
さらに、本発明は、上記と同じ方法で、上記のマニホールドヘッドを用いて、2つの流体をチェスボードパターンの流体チャネルに、すなわち一方の流体を「黒色」チャネルに、他方の流体を「白色」チャネルに分配して、マルチチャネルモノリスに入り、且つ/又はマルチチャネルモノリスから出るようにすることを可能にする。
【0054】
マニホールドヘッドがモノリスに直接接続される場合、モノリスヘッドの分割プレート間の距離は、モノリスのチャネル開口よりも小さくなければならない。したがって、分割プレート間の距離の下限によって、モノリスに形成されるチャネル開口をどこまで小さくできるかが決まる。モノリスとマニホールドヘッドとの間の孔プレートのシステムは、マニホールドヘッドの分割プレート間の距離よりもはるかに小さいサイズを有するモノリスのチャネルに出入りするよう流体を供給することを可能にする。さらに、この孔プレートシステムは、チェックパターン、すなわち同じ流体用の出口チャネルが一列になっているパターンで分布する流体チャネルを配置することも可能にする。
【0055】
さらに、モノリスとマニホールドヘッドとの間の孔プレートシステムは、分割プレート間の距離をモノリスのチャネル開口よりも大きくすることを可能にする。
【0056】
流体チャネル開口をチェスボードパターンに分布させることにより、モノリス内の2つの流体間の接触面積の最大利用が可能となる。全てのチャネル開口をカバーする1つのプレートが、モノリスの一面とマニホールドヘッドとにシールされる。このプレートは、モノリスのチャネルパターンに対応する孔パターンも有する。モノリスのチャネルパターン及びプレートの孔パターンは、その上にプレナムギャップが配置される孔の列を同じ流体用の孔が形成することができるように適合される。
【0057】
本発明は、チャネル開口面の表面粗さが、モノリスのチャネル開口面に孔プレートをシールするための許容偏差要件(tolerance deviation requirement)を満たす場合、モノリス自体の処理を必要としない。許容偏差要件を満たさない場合、チャネル開口面に孔プレートをシールするために許容偏差要件に合わせてモノリスの表面を処理、例えば平面研磨すれば、本発明は使用可能となる。
【0058】
プレートにおける一方の流体の孔の列を通って、流体は、マニホールドヘッドを構成するプレナムギャップを通って出入りするよう、また同じマニホールドヘッドのスロットを通って出入りするよう供給される。したがって、他方の流体は、マニホールドヘッドの反対側の壁のスロットを通って、又は管状接続部を通って出入りするよう供給される。このように、2つの流体は、2つの流体が比較的容易に分離を保たれることができるように、モノリスの各自のチャネルから引き出される。
【0059】
本発明は、図1〜図18によりさらに詳細に説明及び図示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1
図1は、いずれも正方形セル又はチャネル開口を有する、2つのマルチチャネルモノリスを示す。左側のモノリスは、モノリス壁と平行な向きのチャネル壁を有する。右側のモノリスは、モノリス外壁に対して45°の角度の向きのチャネル壁を有する。このようなモノリス構造は、セラミック材料からできている場合、通常は押し出し成形により作製される。この図は、モノリスを片面からの斜視図で示しており、チャネルの細部を示す分解図でチャネル開口を示している。押し出し工具によって、モノリスのチャネル構造、断面積、及び形状が決まる。複数の異なる幾何学的形状のチャネルを作製することができる。例えば、全てのチャネルの断面を三角形、正方形、又は六角形にしてもよく、又は、これらの組み合わせであってもよい。モノリスのチャネルは通常、モノリスの長手方向全体に沿って、平行であるとともに均一な形状となる。チャネル開口壁がモノリスの側壁と平行な、正方形のチャネル開口を有するモノリスが、最も一般的である。外壁に対して45°の角度の向きのチャネル開口壁を有するモノリスは、むしろ例外的である。本発明では、このような向きは、孔パターンを単純にするとともに、モノリス外壁と平行なチャネル開口壁を有するモノリスと比較して孔プレートの必要数を減らすため、好ましい。
【0061】
図2
図2は、孔プレート及びマニホールドヘッドを有するモノリスのアセンブリを示す。通常、モノリススタック又はモノリスユニットは、チャネルの入口開口及び出口開口がある2つのモノリス面に、2つのこのようなマニホールドヘッドを有する。孔プレートにより、流体流れシステムは、マニホールドヘッドの直線状構成からモノリスのチェスボードパターン構成へ、またその反対へ変わる。マニホールドヘッドは、一組の分割プレート(仕切りプレートA及び仕切りプレートB)と、2つの端カバー、タイプ「A」及びタイプ「B」とにより構成される。図からわかるように、流体1は、マニホールドヘッド内の管状開口を通って出入りすることができる。図2では、管状開口はマニホールドヘッドの中央部分にあるが、原理上、マニホールドヘッド内のいかなる位置を用いることもできる。また、マニホールドヘッドの形状は、コンバータプレートに嵌まるか、又はチャネルの入口開口及び出口開口があるモノリス面に直接嵌まる面以外は融通性がある。管状開口は、隣接するモノリススタックを同様のマニホールドへ管状接続部を介して接続すること、又はマニホールドヘッドを複数のモノリススタックの収集管に接続することを可能にする。したがって、他方の流体がマニホールドヘッドの開口スロットを通して出入りする一方で、流体1が密閉管系を通して複数のモノリスに出入りするよう供給されることができる。このような解決手段は、モノリススタックが圧力容器内に配置されるシステムに有利である。これは、流体の一方(この場合は流体1)のみを気密封止すればよく、他方の流体(この場合は流体2)は、圧力容器内の開放された空間を満たして、ダクト又はチャネルを通って容器シェルの入口開口及び出口開口に対して流出入することが可能だからである。
【0062】
チャネルの入口開口及び出口開口があるモノリス面にシールされる第1の孔プレートは、モノリスのチャネル開口の数に対応する開口(孔)を有する。孔は、開口がモノリスチャネル開口の上に配置されるように構成され、それにより、2つの流体がモノリスチャネルからマニホールドヘッドの分割プレート間のギャップへ、またその反対へ流れることができるようになる。システムの機能上、モノリスにシールされるプレートにある一方の流体用の開口(最大面積利用率を得るためにチェスボードパターンで配置される)は、一組の接続されたプレートの、一組の接続された開口に通じていなければならない。この一組の接続されたプレートは、仕切りプレート間の同じ流体用の開口内に嵌まる直線状パターンの開口を通って同じ流体が引き出されるように、流体の流れの位置を変える。
【0063】
図3
図3は、5つの孔プレートとともに、チャネル開口を有する1つのモノリスの正面図を示す。プレート1は、各孔がモノリスの1つのチャネル開口の位置に対応する位置を有するように形成されるパターンの孔を有する。したがって、プレート1がモノリスの上の正しい位置に配置されると、各孔はそれに対応してモノリスチャネル開口内に嵌まるはずである。プレート1は、この位置でモノリスプレートにシールすることができる。プレート1の孔の直径は、チャネル開口の幅よりも幾分小さいことが最も好ましい。どれだけ小さいかは、許容可能な公差(tolerance)及び圧力降下に応じて決まる。この場合、公差とは、製造中に生じ得る形状及びサイズのずれ(deviation)を意味する。セラミック材料の場合、ずれが生じる理由の1つは、材料の焼結中に生じる収縮である。孔が小さいほど公差が大きくなり、大きいずれは許容可能である。他方、プレート1の開口が小さいほど、そこを流れる流体の圧力降下が大きくなる。ここでの中間プレートという名称のプレート2、3、及び4は、細長い形状を有する孔を有する。この形状により、流体がプレート5の孔から引き出される時に、モノリスのチェスボード流れ構成から直線状流れ構成へ位置を変えることができることが確実となる。一点鎖線(stapled lines)は、マニホールドヘッドの分割プレートの位置を示す。プレートの孔を介して操作される流体コンバータシステムも、より少数のプレートで、さらには1つのプレートで形成することができる。1つのプレートで構成される場合、流出流体又は流入流体を正しい位置に導く小さいチャネルを形成することを可能にする生産技法が必要である。そのような開口は、モノリスに対応する開口、又は仕切りプレート間の位置に対応する開口である。射出成形はそのような方法であり得るが、互いの間の距離が小さい非常に狭いチャネルにより公差が小さくなるため、この技法は強く要望されている。プレート1及び5はモノリス及び仕切りプレートに直接シールされ得るため、少なくともプレート1及び5を個別のプレートとして作製することにより、より制御しやすくなると考えられる。
【0064】
図4.1及び図4.2
図4.1は、流体の流れ方向を矢印で示す、マニホールドヘッドの断面を示す。流体は、スロットを通してモノリスに出入りするよう供給され、スロットにより、流体1は、円形開口(「トンネル」)から、流体1を流体2から隔てる分割プレート間の密閉空間(ギャップ)へ入ることができる。図示されるように、流体2用の分割プレートは、マニホールドヘッドの上部の開口スロット以外は円形空間に通じる開口を有さないため、流体2はこれらのスロットに入ることができる。したがって、流体1及び流体2は、分割プレート間の分離されたプレナムチャンバ又はギャップから出てくるか、又はそこに入れられることができる。分割すなわち仕切りプレートBが円形開口付近に一組のボスを有するため、流体1用の円形空間からの開口が形成される。これらの開口は、分割プレートが差圧に耐える能力を高め、2つ以上のマニホールドヘッドが互いに結合される場合のシールリングに必要な軸方向力を伝えることもできる。
【0065】
図4.2は、図4.1と同じシステムであるが、内部に2つの管状開口を有するマニホールドヘッドを示す。このようなシステムでは、両方の流体を、モノリスから気密封止又は密閉された配管系へ出入りするよう供給することができる。この場合、両方の流体が高圧下にある場合でも、モノリス構造を大気条件で絶縁された容器内に保持することができる。これに関する欠点は、熱膨張による移動が両方の流体の管状接続により制限されることである。
【0066】
図5
図1〜図4は、マニホールドヘッドを有する1つのモノリスの個別のシステムを扱っている。
【0067】
図5は、2つ以上のモノリススタックを結合するシステムを示す。シールリングと、1つのマニホールドヘッドからの端カバータイプ「A」及び別のマニホールドヘッドからの端カバータイプ「B」と、軸方向力とにより、2つのモノリススタックを互いに結合することができる(図6を参照)。このようなシステムは、多数のモノリスがしばしば必要とされる工業プロセスにおいて特に適用可能である。
【0068】
図6
図6は、シールリングと、2つのタイプの端カバー、タイプ「A」及び「B」とを示す、2つのマニホールドヘッド間の結合原理を示す。シールリングと端カバー「A」との接触面は、面上での2軸移動を可能にする平面である。シールリングと端カバー「B」との接触面は、球の中心周りの回転を可能にする球面の一部である。マニホールドヘッドに加わる外力に留意されたい。この力は、特に「流体1」が「流体2」よりも高い圧力を有する場合に、システムを気密にするのに必要である。「流体2」が「流体2」と比較して十分な過剰圧力を有する場合、外力は必要ない。
【0069】
図6の円で囲んだ分解図は、1つのモノリススタックのマニホールドヘッドを別の隣接するモノリススタックのマニホールドヘッドと接続するために用いられる、シールリングと2つの異なるタイプ(タイプA及びB)の端カバーとを示す。このようなシステムでは、流体密封性及び移動の柔軟性の両方を維持できるように、2つの異なるモノリスを結合することができる。別の態様は、このようなシステムにより、2つのモノリススタックの結合を非常にコンパクトに行うことができることである。唯一の距離はシールリングに必要な厚さである。
【0070】
図7
図7は、シールリングと端カバー「B」との球状接触面を説明している。この図は、シールリングと端カバー「B」との接触面が、球の中心周りの回転を可能にする球面の一部である仕組みを示す。
【0071】
図8
図8は、2つのモノリスとマニホールドシステムとが互いに接続されたアセンブリを示す。拡大図は、図5〜図7で説明した結合部の配置及び細部を示す。
【0072】
図9
図9は、モノリス壁に対して45°の向きのセルパターンを有するモノリスを用いた、代替的なコンバータ構造を示す。このようなモノリスは、5つの孔プレートを必要とする図3の解決手段と比較して、最大4つの孔プレートを必要とする。また、分割プレート間の空間すなわち距離は、モノリスセルのサイズが同じであるとすると、図3に示す方法又はシステムよりも大きい。図9の右下部分はキャビティを示す。キャビティは、全ての材料が取り除かれた後に残る部分である。4つの孔プレート内の「流路」のキャビティを見ることができる。
【0073】
図10
図10は、モノリス、コンバータプレート、及びマニホールドヘッドから成る個別モノリススタックを示す。コネクタプレートも示されている。このようなプレートは、モノリススタックが2つ以上の個々のモノリスから構成される場合にのみ含まれる。1つの個別モノリスの長さが十分ではない場合、又はシステムが種々の機能性又は特性を有するモノリスから成る場合に、コネクタプレートが含まれ得る。例えば、一方のモノリスが熱交換器であってもよく、他方のモノリスが膜構造から成ってもよい。コネクタは、モノリスの熱膨張が異なる場合に両方に適合することができるように、傾斜機能材料(graded material)から成ってもよい。
【0074】
図11
図11は、互いに結合された個別スタックから成るモノリススタックの列を示す。このようなモノリススタックのラインを組み立てるために、図8に示す結合システムを用いることができる。工業サイズに拡大する場合、最小の反復単位から始めることになり、このシステムの場合、それは図10に示す個別モノリススタックである。次の単位構成部品は、1つのアセンブリであるか、又は図11に示すように互いに結合されたモノリススタックのラインである。
【0075】
図12
大規模工業用途では、数百個のモノリスを用いる必要がある場合、小型反応器設計ソリューションのために、モノリススタックを互いに密集させて配置することができる。図12は、図11に示すモノリススタックのラインが壁同士を重ね合わせて1つの大きな「モノリスブロック」を構成する、システム又は方法を示す。図12では、1つのライン又は列が10個のモノリススタックから成る。一列あたりにあるべきスタックの数は、いくつかの要因に応じて決まる。体積の利用率を最大にするように円筒状の圧力容器内に嵌めるために、スタックの高さとモノリスブロックの幅とを一致させるべきである。したがって、スタックの高さが150cmであるとすると、マニホールドヘッド及びモノリスの幅が15cmである場合、列は10個のモノリスから成るべきである。この場合、単に長さを増やすとともにモノリススタックの数を増やすことにより圧力容器の直径を大きくすることなく、システムの容量を増やすことができる。
【0076】
図13
図13は、円筒状の圧力容器内のモノリスブロックの配置を示す。図からわかるように、圧力容器の直径を変えずに、列の数を増減させることができる。したがって、システムは、列の数を変えるとともに圧力容器の長さを調整することにより、広範囲にわたる容量に簡単に調整することができる。図13では、流体1が、内部の入口収集管及び出口収集管により、密閉系内に保持される。図13では、モノリススタックの上部マニホールドヘッドに入る流体1が下方に流れて底部マニホールドヘッドに引き出される、モノリス内の向流システムが示されている。流体2は、ダクト又は反応容器内の開放された空間から下部マニホールドヘッドに入り、上方に流れてモノリスチャネルに入り、上部マニホールドヘッドに出て反応器の上部に入る。反応器の上部において、流体2は、反応器の上側部分にあるマニホールドヘッドの開口スロットを通して導かれる。
【0077】
図14
図14は、圧力容器又は反応容器内のモノリシック構造を示す。このシステムでは、流体2が圧力容器壁の同じ位置において出入りするよう供給される。このシステムは、例えば、流体2がコンプレッサから送られ、流体2’がタービンへ引き出されるようになっていてもよい。流体2は空気であってもよく、流体2”は低酸素加熱空気(oxygen depleted heated air)であってもよい。モノリスは、セラミック酸素運搬膜であってもよく、流体1は、空気から酸素を取り込む透過流体である。この場合、燃料を流体1に噴射することができ、燃焼が行われて酸素が消費され、熱が生成される。このようなシステムでは、低酸素流体1(燃焼後)は、酸素移動膜から成る壁を有するモノリスに戻され得る。流体1は、燃焼により加熱され、熱は流体1から酸素含有流体2へ移動する。所定の温度レベルにおいて、モノリス壁の膜は酸素を流体1へ移動させる。噴射された燃料及び酸素による過剰な質量は、ブリードガスとして、左側のモノリスから収集管へ引き出すことができる。この場合、左側のモノリスは、純粋な熱交換器として用いることができ、空気を加熱するとともにブリードガスを冷却する。流体1が水蒸気及び二酸化炭素から成る場合、このような設計又はシステムの解決手段は、CO2処理を用いるガス発電のために用いることができる。CO2が永久貯蔵庫(permanent storage)へ送られる場合、ゼロエミッション(zero emission:排ガスゼロの)発電所を作ることができる。
【0078】
図15
図15は、図14に示す反応器の断面図である。この図は、流れ方向を示す矢印を用いて、プロセス流れシステムを示す。流入流体2が、内壁に近いダクトにより導かれて、反応器の下側部分に入り、そこでモノリススタックの下部マニホールドヘッドに入る様子を見ることができる。流体1は、循環ループにおいて流体2の向流として流れる。ゼロエミッションガス発電(gas power)のシステムの場合、流体2は空気であり、モノリスはセラミック酸素膜である。流体1の成分は、水蒸気及び二酸化炭素であってもよく、これは空気から酸素を取り込む。この場合、天然ガスのような燃料が燃焼用に加えられ、続いて、流体1をモノリスに戻して、酸素を取り込ませ(酸素分圧差により流束が上昇する)、発電タービンに向かって出て行く流体2及び2’を加熱させることができる。流体1の循環ループの質量平衡を確保するために、ブリードが取り除かれる。したがって、左側のモノリススタックは純粋な熱交換器の機能を有する。燃料噴射を燃料噴射器により行って、流体1が確実に循環するようにすることができる。
【0079】
図16
図16は、モノリスが酸素輸送膜からできている場合の、酸素及び電力の組み合わせ製造のための反応器の概念を示す。これは、種々のプロセスシステムの利用に関する本発明の柔軟性を示す。
【0080】
わずかな変更のみで、図14及び図15に示すのと同じ反応器の概念を用いて、酸素及び電力の製造を組み合わせることができる。流体2は、ガスバーナにより反応器の底部において加熱される圧縮空気であってもよい。これにより、空気中の酸素の一部は、セラミック酸素輸送膜に適した温度に空気を加熱するために消費される。流体1は、流体2よりも低い酸素分圧を有さなければならない。この低い分圧により、酸素が流体2から流体1へ膜を介して輸送されることが確実となる。真空を用いて、流体1ではなく膜の透過側にある酸素を引き出すことも可能である。これにより、運搬又は貯蔵圧力に圧縮することができる純粋な酸素が直接製造される。
【0081】
最大発電能力を得るために、図に示される出口ダクト又は出口管内にガスバーナを有することにより、膜の出口において流体2に残っている酸素を、タービンに向かう空気の温度を上昇させるために用いることができる。流体1は、原理上、酸素を膜から輸送することが可能であり、且つ下流での酸素からの分離又は直接の適用に適した、いかなる流体(及び正の酸素分圧差(oxygen positive partial pressure difference)を確保する、流体2よりも低い圧力の空気)であってもよい。
【0082】
図17
図17は、モノリス、孔プレート、及びマニホールドヘッドのシステムアセンブリを示す。図示のマニホールドヘッドでは、出口開口(この場合は流体2用)は、図2のマニホールドヘッドよりも短い距離及び直線状の方向を有する。分割プレートは、機械的支持部としても機能する、流体2用の案内リブを有する。リブは、孔の閉塞を防止するとともに、流体2の流れ制限を最小にする形状になっている。流体1は、マニホールドヘッドへつながる円形入口と、開放スロットとを有し、流体1は開放スロットから孔プレートを通って入り、モノリスチャネルへ入ることができる。分割プレートの流体1側にはリブもボスも存在しない。図9では、流体を移動させるための4つの個別のプレートのシステムが示されていたが、それと比較して図17は2つのプレートしかない。図17のプレートは、図9の4つのプレートと同じ機能を有する。プレート1は図9のプレート1に相当し、プレート2は図9のプレート2〜4に相当する。
【0083】
図18
図18は、プレート2及びプレート1の内部の詳細を示す。プレート2の厚さは、流体1用及び流体2用のプレート1の開口孔につながるファネルの傾斜角度と、各ファネルに集められるプレート1の孔の数とに応じて決まる。左側の分解図から分かるように、流体2用のファネルは、プレート1の4つの孔から、したがってモノリスの4つのチャネルから、流体を集める。右側の分解図は流体1用のファネルを示し、図から分かるように、これらのファネルはプレート1の5つの孔から流体を集めるか、又は5つの孔に流体を分配する。ファネルは左右対称であるため、各ファネルに対する孔の数は偶数になっている。したがって、孔は4つおきに2つのファネルに分配される。図18は、プレート2の基本設計のみを示す。したがって、各ファネルに集められるか、又は各ファネルに分配される孔の数のあらゆる種類の組み合わせを自由に選択することができる。選択された組み合わせは、圧力降下、分割プレートの数、及び分割プレート間の距離のうちのパラメータのセットに応じて決まる。
【0084】
本発明は、モノリシック構造の小型性(すなわち、小さいチャネルで体積単位あたりに大きな表面積)、ガスに対する低い流れ抵抗、及び触媒で被覆され得る耐熱セラミック材料を利用することにより、熱及び質量移動(分離)の単位操作を改善及び簡略化する可能性を提供する。改善は、集合体としての(in mass)モノリスの使用、2つの異なる流体間の熱移動、及びモノリシック構造のこれらの単位操作が化学反応と統合されることに関連する。モノリスにおける質量移動及び熱移動と化学反応(単位操作)とのこのような組み合わせは、輸送及び分離が簡略化されるコンパクトソリューションの製造に寄与する。1つの用途は、発熱反応及び吸熱反応、例えば、合成ガス(水素及び一酸化炭素)への天然ガス又は他の炭化水素含有物質の蒸気メタン改質と、触媒被覆チャネルにおける吸熱蒸気メタン改質及び隣接するチャネルにおける発熱燃焼との組み合わせである。このようなモノリシック構造は、非常に小型の改質器を製造することができ、例えば、小規模水素製造に用いることができる。しかしながら、合成ガスも、さらに処理して複数の他の生成物、例えば、メタノール、アンモニア、及び合成ガソリン/ディーゼル油にすることができる。
【0085】
金属を用いることができないような高い作業温度(800〜900℃以上)が、多くの化学プロセスによる平衡又は熱力学に関して好ましい。このようなプロセスでは、触媒で被覆されるとともに高温に耐えることができるセラミックモノリスが非常に有利であり得る。したがって、燃焼又は高温ガスプロセスを、化学反応プロセスと直接組み合わせることができる。
【0086】
モノリシック構造は、エネルギー市場(電力製造)、例えば天然ガスの触媒燃焼に用いることもできる。本発明を利用することにより、燃焼プロセスの温度窓を制御して、窒素酸化物(NOx)の生成を減らすことができる。酸素及び窒素が存在する空気又は大気中の燃焼又は酸化は常に、NOxを生成させる可能性がある。この環境に有害なガスは主に、燃料炎の高温ゾーンで生成される。モノリスにおいて流れるガスをチェスボード状に分配する本発明を利用することにより、燃料と空気との混合物を触媒燃焼させて、「黒色」チャネルにおいて熱を、「白色」チャネルにおいて受動冷却剤(passive coolant)(すなわち空気)を生成するか、又は、「白色」チャネルにおいて吸熱反応(すなわち蒸気メタン改質)を行う動的冷却剤(active coolant)を生成することができる。このようなシステムは、ピーク温度を防止し、したがってNOxの生成を減らす。さらに、このシステムでは、入口位置のみにマニホールドを有し(並流であるとする)、したがってモノリスのチェスボードパターン及び小さいチャネルによって出口位置で非常に効率的な混合を行わせることにより、モノリスの下流で冷却剤と燃焼ガスとが混合される可能性がある。
【0087】
NOxの形成を防止するための上述のシステムは、他の望ましくない成分の排出を防止/低減するのに用いることもできる。したがって、本発明は、2つの流体間にある薄い接触壁を介して、モノリス構造内で直接、燃焼(熱生成)と熱移動とを組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】いずれも正方形セル又はチャネル開口を有する、2つのマルチチャネルモノリスを示す。
【図2】孔プレート及びマニホールドヘッドを有するモノリスのアセンブリを示す。
【図3】5つの孔プレートとともに、チャネル開口を有する1つのモノリスの正面図を示す。
【図4.1】流体の流れ方向を矢印で示す、マニホールドヘッドの断面を示す。
【図4.2】図4.1と同じシステムであるが、内部に2つの管状開口を有するマニホールドヘッドを示す。
【図5】2つ以上のモノリススタックを結合するシステムを示す。
【図6】シールリングと、2つのタイプの端カバー、タイプ「A」及び「B」とを示す、2つのマニホールドヘッド間の結合原理を示す。
【図7】シールリングと端カバー「B」との球状接触面を説明している。
【図8】2つのモノリスとマニホールドシステムとが互いに接続されたアセンブリを示す。
【図9】モノリス壁に対して45°の向きのセルパターンを有するモノリスを用いた、代替的なコンバータ構造を示す。
【図10】モノリス、コンバータプレート、及びマニホールドヘッドから成る個別モノリススタックを示す。
【図11】互いに結合された個別スタックから成るモノリススタックの列を示す。
【図12】図11に示すモノリススタックのラインが壁同士を重ね合わせて1つの大きな「モノリスブロック」を構成する、システム又は方法を示す。
【図13】円筒状の圧力容器内のモノリスブロックの配置を示す。
【図14】圧力容器又は反応容器内のモノリシック構造を示す。
【図15】図14に示す反応器の断面図である。
【図16】モノリスが酸素輸送膜からできている場合の、酸素及び電力の組み合わせ製造のための反応器の概念を示す。
【図17】モノリス、孔プレート、及びマニホールドヘッドのシステムアセンブリを示す。
【図18】プレート2及びプレート1の内部の詳細を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル開口が断面積全体にわたって広がっているマルチチャネルモノリシック構造(モノリス)のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法及び装置に関する。
【0002】
本発明は、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のプロセスに適用可能である。
【0003】
2つの流体は通常、異なる化学的特性及び/又は物理的特性を有する2つのガスである。しかしながら、本発明は、一方の流体がガスであり、他方の流体が液体である場合にも適用可能である。一方又は両方の流体がガスと液体との混合物である系であってもよい。このガス液体混合物は、連続相若しくは均一相、又は別個の2相流(スラグ流)を構成し得る。以下の説明では、2つの流体を流体1及び流体2という名称で例示する。
【0004】
流体1及び流体2は、流体1用の上記チャネルと流体2用の上記チャネルとにそれぞれ供給される。流体1及び流体2は、接合壁で流体1と流体2とが分離されるようにモノリス内で分配される。この場合、2つの流体に対する接合壁である壁は、質量移動及び/又は熱移動に利用可能な接触領域を2つの流体間に構成する。これは、チャネル開口がモノリスの断面積全体にわたって広がっているチャネルに、流体が供給されなければならないことを意味する。本発明は、流体1と流体2との間の熱移動及び/又は質量移動のために直接、モノリスのチャネル壁の接触面積全体又は当該チャネル壁全てを利用することを可能にする。これは、一方の流体用のチャネルのチャネル壁の反対側に、常に他方の流体がある、すなわち、流体1用の隣り合ったすなわち隣接するチャネル全てが流体2を収容し、流体2の隣り合ったすなわち隣接するチャネル全てが流体1を収容することを意味する。小さい断面積及び薄い壁を有するチャネル開口(すなわち、1〜6mmの幅を有するチャネル開口)を備えるモノリシック構造を利用することができるため、本発明はプロセス強化に特に適用可能である。小さい断面積及び薄い壁を有するチャネルは、体積単位あたりの表面積を大きくするため、熱移動及び/又は質量移動のための非常に小型でエネルギー効率の高い装置が得られる。
【0005】
本発明では、モノリスの接触領域壁は、2つの流体間で1つ又は複数の成分を選択的に輸送することが可能な膜であり得る。さらに、本発明は、ガス及び液体が同じチャネル内で輸送され(この場合は流体1)、接触領域壁を介して流体2により加熱又は冷却されるのと同時に2相(ガス及び液体)間で内部質量移動(吸収又は脱着)が行われる、2相流システムに利用することもできる。
【0006】
2つの異なる流体間の壁は、片面又は両面が活性表面成分から成っていてもよい。このような活性表面成分又は触媒は、1つ又は複数の化学反応を伴う場合に用いられる。化学反応は、熱を生成又は消費することが多い(発熱反応又は吸熱反応)。このような反応系の温度制御を最適化することは非常に重要である。
【0007】
マルチチャネルモノリシック構造(モノリス)に特有の特徴は、多数の長手方向に平行な内部チャネルを有する本体から成ることである。全てのチャネルを備えたモノリス全体は、1つの作業で作製することができ、用いられる製造技法は通常は、押し出し成形である。
【0008】
モノリシック構造の製造のために押し出し技術を用いることにより、チャネルの幾何学的形状に影響を及ぼす大きな機会が得られる。製造方法としての押し出し成形は、モノリシック構造全体を1つの作業で作製できることを意味する。チャネルの断面積は、形状及びサイズの両方の点で異なってもよく、又は、サイズ及び形状を一様にしてもよく、形状は最も一般的には、例えば、三角形、正方形、又は六角形である。しかしながら、いくつかの幾何学的形状の組み合わせも考えられ得る。幾何学的形状は、チャネル開口の幅又は面積とともに、体積単位あたりの機械的強度及び利用可能な表面積にとって重要である。
【0009】
チャネル開口の幅は通常、約1〜6mmのサイズであり、壁厚は通常、0.1〜1mmである。上記の最小サイズのチャネル開口幅を有するマルチチャネルモノリシック構造では、体積単位あたりで大きい表面積が得られる。体積単位あたりの上記表面積の通常の値は、250〜1000m2/m3の範囲となる。モノリスの別の利点は、流体の流れ抵抗を小さくする直線状チャネルである。モノリスは通常、高温に耐えるセラミック又は金属材料からできている。これにより、モノリスは堅牢となり、特に高温プロセスに適用可能となる。
【0010】
工業的又は商業的な状況では、モノリスは、1つの流体のみがモノリスのチャネル全てを流れる場合に主に用いられる。モノリスのチャネル壁は、貫流する流体において化学反応を起こす触媒で被覆される場合がある。この一例は、車両排気系のモノリス構造である。排ガスは、触媒に排ガスの望ましくない成分の酸化を活性化させる温度まで、モノリスの壁を加熱する。
【0011】
モノリス構造は、燃焼ガス又は排ガスから燃焼プロセスのために流入する空気へ、熱を移動させるためにも用いられる。1つの方法は、モノリスを交互に流れる2つのガス、例えば熱ガス及び冷ガスを伴う。このような方法では、例えば、排ガスがモノリス構造を加熱し、続いて放熱して空気を冷却する。しかしながら、同じ構造内で2つの流体(一方が高温で一方が低温)が交互に流れるサイクルを有するこのような再生式熱交換プロセスは、2つの流体の混合が望ましくない場合、又は安定した連続的な熱移動及び/又は質量移動が望まれる場合には、適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
モノリスの工業的使用は、1つの流体のみが全てのチャネルに同時に流れる用途に主に制限される。
【0013】
文献には、モノリスを用いて2つの異なる流体の流れ間で熱及び/又は質量を有利に移動させることができる、多くのプロセス又は用途が記載されている。小規模実験もまた、このようなプロセスで実行されている。この一例は、合成ガス(CO及びH2)の生成である。合成ガスは通常、蒸気メタン改質を用いて生成される。これは、メタンと蒸気とが反応して合成ガスを形成する吸熱反応である。このようなプロセスは、隣接するチャネルにおける発熱反応により、蒸気メタン改質に熱が供給されるモノリスにおいて、実行することができる。
【0014】
多くの用途において、2つの流体間の質量交換及び/又は熱交換のためにモノリスを用いることが有利であることが分かっているが、このような用途のためのモノリスの工業的使用は、あまり普及していない。モノリスがこの分野で用いられない最も重要な難点又は理由の1つは、2つの流体をモノリスの別個のチャネルに出入りするよう供給及び分配するための従来技術が複雑であり、特にモノリスのチャネル数が多いことを考慮に入れると、拡大(すなわち、いくつかのモノリスユニットを相互接続すること)にあまり適していないことである。
【0015】
ドイツ特許DE19653989号は、供給管を通して2つの流体をモノリスのチャネルに供給する装置及び方法を記載している。これらの供給管又は管路は、2つの流体を各流体のプレナムチャンバからモノリスの各チャネルへ供給する。プレナムチャンバは、内部チャンバを通して、外部チャンバから続く管路へ、続いてモノリスのチャネルへ供給が行われなければならないように、互いに取り付けられる。モノリスのチャネルから、またプレナムチャンバの壁の導出路(lead-throughs)からの漏れを防止するために、個々の管路をシールしなければならない。加熱されると、モノリス、プレナム壁、管、及びシール材料は膨張し、冷却されると、それらは収縮する。これにより、亀裂が形成され、その結果として2つの流体の混合物の望ましくない漏れが生じる可能性が高くなる。この可能性は、管の導出路の数が増えるほど高くなる。
【0016】
DE19653989号では、密閉管を有する入口ゾーン及び出口ゾーンが冷却されるため、低温可撓性シール材料を用いることができ、亀裂形成及び漏れの危険性を減らすことができる。冷却システムでは必然的に、特に、モノリスが何千ものチャネルから成り、且つ十分な表面積を得るために多くのモノリシック構造を直列及び/又は並列で用いる必要がある、大規模な用途の場合、モノリシック構造がより高価且つより複雑になる。
【0017】
米国特許第4,271,110号は、2つの流体を出入りするよう供給する別の方法を記載している。この方法は、プレナムチャンバからモノリシック構造の各流体のチャネルへの送り込み管を全く用いなくてよいという利点を有する。これは、平行なギャップをモノリスの端に切り込むことにより達成される。これらの切断部すなわちギャップは、流体の一方用のチャネル内又はチャネル外につながる。この場合、切断されたギャップは、ギャップが通るチャネルの列に対応するプレナムチャンバに対応する。モノリスの端の方を向いたギャップの開口をシールすることにより、流体の一方が入るか又は出ることができる複数の開口がモノリスの側壁に形成される。このとき、他方の流体は、モノリスの短い端において残りの開チャネルに入るか、又は残りの開チャネルから出る。この方法の主な不利点は、モノリシック構造自体の必要な処理(切断及びシール)は別として、質量交換及び/又は熱交換に利用可能な面積の半分だけしか利用できないことである。例えば、一方の流体用及び他方の流体用の正方形チャネルは、列状に接続されている必要があるため、2つの流体用のチャネル構造はプレート式熱交換器に対応する。2つの流体用のチャネルが、黒色部分が一方の流体用のチャネルに対応し、白色部分が他方の流体用のチャネルに対応するチェスボードパターンで分配される場合、面積の最大利用率を得ることができる。これは、このような流体分配パターンでは、一方の流体用のチャネルの壁全てが、他方の流体用のチャネルの壁との接合壁すなわち共有壁となるからである。米国特許第4,271,110号におけるように、同じ流体用の流体チャネルが一列になっている場合、チャネルの壁のおよそ半分だけしか他方の流体用のチャネルの壁と接触しないことになる。
【0018】
本発明の主な目的は、最大表面積利用率が得られる、マルチチャネルモノリシック構造に出入りするよう2つの流体を供給及び分配する方法及び装置を達成することであった。
【0019】
本発明の別の目的は、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための改良された方法及び反応器を達成することであった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、第1の目的は以下のような方法で達成される。この方法では、一方の流体が、上記モノリス構造の一面にシールされるマニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップにおけるスロットを通して供給され、他方の流体が、上記マニホールドヘッドのトンネルへ、さらに上記トンネル壁のスロットを通って上記マニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップへ供給され、上記流体は、各自のギャップから上記チャネルへ、少なくとも1つのチャネル壁が上記流体に共通であるように分配され、上記流体は、上記構造のうち第1のマニホールドヘッドがシールされるのとは反対側にシールされるマニホールドヘッドの各自のギャップにおいて収集され、次に、流体はそれぞれ、上記最後に言及したマニホールドヘッドのトンネル壁における1つ又は複数のギャップ及びスロットから、1つのスロットを通して導かれる。
【0021】
本発明によれば、第1の目的はマニホールドヘッドにおいて達成され、当該マニホールドヘッドは、スペーサとともに接合されて、互いの間にスロットを有するギャップを形成する少なくとも3つの平行な分割プレートと、当該分割プレートと平行に接合される端カバープレートであって、上記分割プレートと合わせて、トンネルを形成する1つの開口を有し、且つ上記接合されたプレート間にスロットを有するようにする、端カバープレートとを備える。
【0022】
本発明によれば、第1の目的は、チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ上記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造と、当該構造の少なくとも一面にシールされる上記マニホールドヘッドとを備える、ユニットにおいて達成される。
【0023】
本発明によれば、第1の目的は、チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ上記チャネルが接合壁を有する、2つ以上のマルチチャネルモノリシック構造と、当該構造の少なくとも一面にシールされる上記マニホールドヘッドの少なくとも1つと、上記マニホールドヘッドと上記構造のうちチャネル開口がある上記側との間でシールされる、孔を有する少なくとも1つのプレートと、ユニット間にある少なくとも1つのコネクタプレート又は他の結合具(coupling device)と、を備えるスタックにおいて達成される。
【0024】
本発明によれば、第1の目的は、互いに結合される上記ユニット又はスタックを備える列において達成される。
【0025】
通常、列の長さは、円筒シェルに嵌まる個々のスタックの高さと同じ大きさ(order of magnitude)である。
【0026】
本発明によれば、第1の目的は、向かい合わせで固定される上記ユニット又はスタックの列を備えるブロックにおいて達成される。
【0027】
ブロックは、個々のモノリススタックと同じ高さを有し、列と同じ幅を有し、且つ列の数に比例したブロック長を有する。
【0028】
本発明によれば、第2の目的は、上記ユニット若しくはスタックの1つ又は複数、又は上記ユニット若しくはスタックの列、又は上記ブロックが組み込まれる反応器において達成される。
【0029】
圧力容器は、モノリスブロック(互いに密集した複数のモノリス構造)を収容し、モノリスブロックは、一方又は両方の流体を、モノリス構造に出入りするよう、また圧力容器に出入りするよう搬送するシェル内に、空洞(hollow space)、ダクト、チャネル、又は管を有する。
【0030】
本発明によれば、第2の目的は、上記2つの流体が、上記ユニット若しくはスタックの1つ又は複数、又はユニット若しくはスタックの列、又はブロックに分配される方法において達成される。
【0031】
マニホールドヘッドとモノリスとの間には、流体用の孔を有する1つ又は複数のプレートが嵌められて、チェスボードパターン(モノリス内)と直線状パターン(マニホールドヘッド内)との間での流体の均一な流れ分布及び変化を確実にする。
【0032】
本発明は、2つ以上のモノリシック構造を、マニホールドヘッドに組み込まれるたわみ継手を介して接続することを可能にする。いくつかのこのようなユニットを互いに接続する必要がある場合、熱膨張の差により、これらのユニットは互いに対して移動することができることが重要である。互いに結合される複数のモノリス構造は、1つのモノリス列を構成する。
【0033】
さらに、本発明は、モノリス構造の数が増えた場合でも圧力容器の直径を大きくすることなく、圧力容器内に多数のモノリシック構造を配置することを可能にする。したがって、システム容量は、単純に列の数又はモノリス構造の数を変えて、圧力容器の長さを調整することにより、増減することができる。
【0034】
本発明は、一方の流体が管状の密閉系、すなわち管内に保持され、他方の流体が圧力容器内の空洞に流出入することも可能にする。
【0035】
本発明を用いる場合、米国特許第4,271,110号に記載の切断部も、DE19653989 C2に記載の送り込み管も有する必要はない。
【0036】
本発明はユーザに、全てのタイプの形状及びサイズを用いる自由と、熱交換及び/又は質量交換に利用可能な最大表面積を利用する機会とを与える。米国特許第4,271,110号に記載の方法は、同じ流体を含む全てのチャネルが少なくとも1つの壁を共有することにより、共有された壁が取り外されるか又は加工により除去されると、その流体用の接合プレナムチャンバを構成する接続ギャップが形成されることを必要とする。同じ流体を含む2つの隣接するチャネルが少なくとも1つの接合チャネル壁を有さなければならないことは、利用可能な熱交換及び/又は質量交換面積が減ることを意味する。DE19653989 C2では、各流体のプレナムチャンバからモノリスチャネルにかけて設けられる管が用いられ、モノリスチャネルは、利用可能な最大面積を利用できるように分布させることができる。すなわち、一方の流体が他方の流体と接合チャネル壁を常に共有するか又は有するように、流体が分配供給される。2つの流体は、チェスボードパターンに対応するチャネルに分配される。これにより、利用可能な質量交換及び/又は熱交換面積が最大限に利用される。
【0037】
本発明は、マルチチャネルモノリシック構造の各自のチャネルに出入りするよう2つの異なる流体を供給及び分配することが効率的にできる、方法及び装置から成る。2つの流体用のチャネル開口は、モノリスの断面積全体にわたって均一に分布し、すなわち広がり、チャネルは接合壁を有することが必要である。本装置は、同じタイプの流体、例えば流体1を、この流体を収容する全てのチャネルから入口又は出口に効率的且つ単純に集めるため、流体1を流体2から隔てること、またその反対ができる。
【0038】
さらに、堅牢性、複雑性、及び費用に関して、最小限の数の部品又は構成部品、並びにこれらの部品又は構成部品及びモノリスの最小限の処理及び改造が好ましい。原理上、個々の構成部品又は部品が少ないほど得られる利点が大きくなると言える。これは、モノリスのチャネルに出入りするよう供給される2つの流体間のシールを簡略化するのに役立つ。マニホールドヘッド、孔プレート、及びモノリス構造の並行作製が可能であることにより、処理時間が短縮される。これらの構成部品を、モノリスユニット、モノリススタック、ユニット若しくはスタックの列、又はモノリスブロックに予め組み立てることは、さらに、圧力容器内に設置するのに非常に有利となる。
【0039】
さらに、所与のチャネル開口幅を有するモノリスにおいて、最大限の接触面積(表面積)を得ることが好ましい場合がある。モノリシック構造又はチャネル壁が、膜として、例えば水素又は酸素輸送膜として用いられる場合、これは特に有利となる。
【0040】
モノリシック構造の体積単位あたりで、関連する流体成分の最大限の輸送能力を得るためには、体積単位あたりに最大限の接触面積を有することが重要となる。したがって、1つのチャネルを流れる流体は、そのチャネルを構成する全ての側壁を他方の流体と共有していることが望ましい。一例として正方形の断面を有するチャネルを用いる場合、2つの流体は、モノリスをチェスボードに対応するチャネルパターンで、すなわち、一方の流体が「白色」チャネルを、他方の流体が「黒色」チャネルを流れなければならない。最大限の直接接触面積は、2つの流体間の質量移動にとって非常に重要であるのに加えて、熱移動効率にとっても重要となる。
【0041】
チャネル開口が小さいほど、モノリスの比表面積が大きくなる。したがって、コンパクトソリューションを達成するためには、実際に可能な限り小さいチャネルを有することが望ましい。
【0042】
モノリスの面のうち、モノリスのチャネルが入口及び出口を有する面では、マニホールドヘッドがモノリスのチャネル開口上にシールされる。用途によっては、モノリスの一面のみをマニホールドヘッドでシールすることが必要であり得る。マニホールドヘッドは、モノリスのチャネル開口サイズに適合させた距離に嵌められた分割プレートを備える。プレート間の距離すなわち空間は、モノリスの同じ列にあるチャネル開口からの流体(すなわち同じ流体)を集める。この空間をプレナムギャップと呼ぶ。或る用途では、これらの分割プレートは、流体の一方が当該分割プレートにより形成される管状空間に出入りすることができるように、孔(例えば円形孔)を有する。この管状空間は、管路又は管に接続することができる。したがって、モノリスが圧力容器内に配置されている場合、流体の一方は、マニホールドヘッドの管状空間に接続される密閉配管系内に保持することができ、他方の流体は、開放された空間内を、且つ/又は案内ダクトを介して上記容器のマニホールドヘッドの入口開口及び出口開口へ、流すことができる。このようなシステムでは、流体の一方のためのモノリスとの直接(シールによる)接続が回避される。
【0043】
チャネル開口の列は、モノリスの短い端全体にわたって横に延び、且つ同じ流体用の入口又は出口を備えることが好ましい。同じ流体を含む流体チャネル開口のこれらの列は、マニホールドヘッドのシールされた分割プレートにより分離を保たれる。この場合、2つの流体は、各自のプレナムギャップにおいて収集される。同じ流体用のチャネル開口の列では、一方の流体用のプレナムギャップは、分割プレートの反対側に他方の流体用のプレナムギャップを有する。同じ流体が列状に配置される正方形チャネルを有するモノリスでは、分割プレートは、モノリスのチャネル壁にシールされなければならない。分割プレートをモノリスのチャネル壁に直接シールする代わりに、代替的に、最初に1つのプレートをモノリスの短い面にシールしてもよい。上記プレートは、モノリスのチャネル開口からつながる孔を有するプレート(孔プレート)、すなわち、同じ流体を収容する種々のチャネルからの流体が、上記プレートの孔を通ってプレナムギャップへ出るよう供給され得るようにするプレートである。これは、マニホールドヘッドの分割プレートが、2つの流体を分離するモノリスのチャネル壁に直接ではなく、孔プレートの孔の列間にシールされることを意味する。
【0044】
孔プレートを、流体1及び流体2用になっている開口を有するモノリスの片面又は両面にシールすることにより、流体1及び流体2用のチャネルがチェスボードパターンでモノリスに分配される、上記のマニホールドヘッドを用いることができる。これは、モノリスの表面積の最大利用を可能とする、2つの別個の流体を出入りするよう供給する方法及び装置を示す。流体は、モノリスのチェスボード分配パターンから、モノリスにシールされたプレートの孔の列へ送られる。さらに、流体1及び流体2は、これらの孔の列からモノリスのチャネルに出入りするよう供給され、流体1及び流体2がチェスボードパターンで、一方の流体が「黒色」チャネルに、他方の流体が「白色」チャネルに分配される。孔プレートは、チェスボードパターンに分配された流体を、流体1と流体2とを互いに分離することができる分割プレートにより分割されるプレナムギャップに出入りするよう供給させる。プレートの孔は、シールされるチャネル開口よりもわずかに小さい開口面積を有さなければならない。チャネル面積よりも小さい出口面積に加えて、モノリスのチャネル構造にシールされるプレート及びマニホールドヘッドの分割プレートの開口はまた、2つの流体のチャネルにつながる孔間の距離が、同じ流体用の入口及び/又は出口を有して孔の列間に分割プレートを配置することを可能にするように、設計及び配置しなければならない。2つの流体がチェスボードパターンで分配される正方形チャネル開口の例を用いる場合、2つの流体間の分割プレートは、同じ流体を含む孔の列間の直線に従う。
【0045】
この場合、モノリシック構造のチャネルに、別個のプレナムギャップに出入りするよう2つの流体を分配することが可能であり、チャネル開口がチェスボードパターンで分配される。2つの流体がマニホールドヘッドのプレナムギャップに出入りする時に、2つの流体の分離を保つことができるように、同じ流体を、マニホールドヘッドの側縁においてプレナムギャップの開口に供給することができ、それに対応して、他方の流体用のプレナムギャップ全てが、第1の流体とは反対側のマニホールドヘッドの側縁からつながる。代替的に、流体の一方は、プレナムギャップに入り、且つ/又はプレナムギャップから出て、分割プレートの管状空間に進み、続いて管に、又はモノリシックスタックの隣接するマニホールドヘッドに対する円形接続部又は接合部に、接続又は結合されることができる。マニホールドヘッド間のこのような継手又は接合部により、いくつかのモノリシックユニット又はスタックを列状に固定(stable)又は配置することができる。続いて、この列は隣接する列に近接してさらに固定される。したがって、モノリスユニットは、密集して配置されて、圧力容器内で複数のモノリシックスタックをモノリスブロック又はコアにするコンパクトソリューションを可能にすることができる。
【0046】
各チャネルから孔プレートの孔を通してマニホールドヘッドのプレナムギャップ(マニホールドヘッドの分割プレート間の空間)へ直接流体を供給する孔プレートが、1つだけではなく2つ以上あるシステムでは、マニホールドヘッドの分割プレート間の距離を、モノリスのチャネル開口よりもはるかに大きくすることができるため、モノリスチャネルの断面積(幅)による制限は受けない。
【0047】
これは、1つのチャネルからの流体を、モノリスとマニホールドヘッドとの間の孔プレートシステム内に形成されたチャネル又はファネルを通して、隣接するチャネルからの流れに合流するよう供給することにより行われる。続いて、モノリスにおける1つ又は複数の隣接するチャネルからの流体は、接合部出口(joint outlet)を通してマニホールドヘッドのプレナムギャップへ出される。これらの接合部出口/入口は、同じ流体用の出口が1つにまとめられ、それに従って、他方の流体用の出口も1つにまとめられるように、システム内に配置される。同じ流体用の出口のこれらのまとまりは、さらにまとめられることにより、マニホールドヘッドの分割プレートが、マニホールドヘッドに直接シールされている場合よりも互いにはるかに大きく離れるようにするパターンを形成する。この場合、モノリスの個々のチャネル開口の幅によりこの距離が決まることになる。
【0048】
モノリシック構造の体積単位あたりで最も効率的な熱移動は、小さいチャネル及びチェスボードパターンの流体分配により達成される。これは、モノリスの利用可能な表面積のほぼ100%を利用することができる。チャネルが小さいほど、体積単位あたりの比表面積が大きくなる。
【0049】
しかしながら、チャネル開口の幅が小さいことは、マニホールドヘッドを介してモノリスチャネルから/モノリスチャネルへ流体を供給することをより複雑にもする。上述の孔プレートシステムは、小さいチャネルに出入りさせる供給を単純にし、チェックパターンの流体分配の維持を可能にする。
【0050】
以下では、マニホールドヘッドを用いずに、2つの異なる流体をモノリシック構造に出入りするよう供給するシステムが記載される。この方法は、接合壁を共有するように列状に同じ流体を配置させる流体チャネルに基づく。米国特許第4,271,110号に記載されるのと同様に、これらの接合壁はモノリスの所定の深さで切断され、その後、端をシールすることができるため、モノリスの側壁に開口が形成されて、そこから流体の一方が出入りするよう供給され得る。
【0051】
しかしながら、米国特許第4,271,110号に記載の方法とは異なり、この方法は、側壁に沿って一方向に平行に延びるだけでなく、両方向に(互いに直交して)形成される列パターンの、列状の流体チャネルに基づく。これは、切断部がこれらの交差列に形成され、(上述のように)シールされた後で、列が一方向に平行に延びるだけの場合のようにモノリスの2つの側壁だけではなく、4つの側壁全てに開口ができることを意味する。これにより、モノリスに出入りするよう流体を供給する融通性が高まる。この場合、流体チャネルを3×3の反復単位で配置して、一方の流体を角のチャネルに入れ、他方の流体を中央で交差する2つの列(十字)に入れることが可能となる。同様に、中央で交差する接続列が十字を形成する4×4の反復単位のチャネルを有することが可能である。このとき、各角(十字の先端)に1つずつ、及び十字の底部で各側の対応する外縁に2つの、6つの他のチャネルも配置される。
【0052】
本発明は、マルチチャネルモノリシック構造の個々のチャネルに出入りするよう2つの異なる流体を供給及び分配することを、単純且つ効率的に可能にする。これは、チャネル開口があるモノリスの1つ又は複数の短い面にシールされるマニホールドヘッドにより行われる。この方法は、2つの流体が均一に分配される場合、同じ流体を供給するチャネル開口が列状になっているモノリスにおいて、このシステムを利用することに基づく。同じ流体を含むチャネル開口の列は、マニホールドヘッドのプレナムギャップにつながる。プレナムギャップもまた、開口を有するように構成することができ、それにより、2つの異なる流体をマニホールドヘッドの両側から出すことができるようになる。これは、別個のプレナムギャップ(すなわち、2つの分割プレート間に形成される空間)からモノリスの個々のチャネルに別個の流体の流れを出入りさせることができることを意味する。これは、2つの流体をモノリスに出入りするよう供給するために管を用いる必要がなく、モノリス自体に切断部すなわちギャップを形成する必要もないことを意味する。さらに、いくつかのモノリスを平行に、すなわち側面同士を重ね合わせ、したがって、マニホールドヘッドの傾斜壁により形成されるチャネルを通して外部容器から出るように、且つ/又は外部容器に入るように、流体を供給することが可能となる。プレナムギャップは、スロットを有して構成されることもでき、それにより、流体の一方がマニホールドヘッドの上部又は片側若しくは両側から出入りするよう供給されることができるとともに、他方の流体がプレナムギャップからスロットを通してマニホールドヘッドの管状空間に出入りするよう供給される。これは、別個のプレナムギャップ(すなわち、2つの分割プレート間に形成される空間)からモノリスの個々のチャネルに別個の流体の流れを出入りさせることができ、その場合、流体の一方用のプレナムギャップが管又は円形ダクト接続部に接続される管状空間につながることを意味する。
【0053】
さらに、本発明は、上記と同じ方法で、上記のマニホールドヘッドを用いて、2つの流体をチェスボードパターンの流体チャネルに、すなわち一方の流体を「黒色」チャネルに、他方の流体を「白色」チャネルに分配して、マルチチャネルモノリスに入り、且つ/又はマルチチャネルモノリスから出るようにすることを可能にする。
【0054】
マニホールドヘッドがモノリスに直接接続される場合、モノリスヘッドの分割プレート間の距離は、モノリスのチャネル開口よりも小さくなければならない。したがって、分割プレート間の距離の下限によって、モノリスに形成されるチャネル開口をどこまで小さくできるかが決まる。モノリスとマニホールドヘッドとの間の孔プレートのシステムは、マニホールドヘッドの分割プレート間の距離よりもはるかに小さいサイズを有するモノリスのチャネルに出入りするよう流体を供給することを可能にする。さらに、この孔プレートシステムは、チェックパターン、すなわち同じ流体用の出口チャネルが一列になっているパターンで分布する流体チャネルを配置することも可能にする。
【0055】
さらに、モノリスとマニホールドヘッドとの間の孔プレートシステムは、分割プレート間の距離をモノリスのチャネル開口よりも大きくすることを可能にする。
【0056】
流体チャネル開口をチェスボードパターンに分布させることにより、モノリス内の2つの流体間の接触面積の最大利用が可能となる。全てのチャネル開口をカバーする1つのプレートが、モノリスの一面とマニホールドヘッドとにシールされる。このプレートは、モノリスのチャネルパターンに対応する孔パターンも有する。モノリスのチャネルパターン及びプレートの孔パターンは、その上にプレナムギャップが配置される孔の列を同じ流体用の孔が形成することができるように適合される。
【0057】
本発明は、チャネル開口面の表面粗さが、モノリスのチャネル開口面に孔プレートをシールするための許容偏差要件(tolerance deviation requirement)を満たす場合、モノリス自体の処理を必要としない。許容偏差要件を満たさない場合、チャネル開口面に孔プレートをシールするために許容偏差要件に合わせてモノリスの表面を処理、例えば平面研磨すれば、本発明は使用可能となる。
【0058】
プレートにおける一方の流体の孔の列を通って、流体は、マニホールドヘッドを構成するプレナムギャップを通って出入りするよう、また同じマニホールドヘッドのスロットを通って出入りするよう供給される。したがって、他方の流体は、マニホールドヘッドの反対側の壁のスロットを通って、又は管状接続部を通って出入りするよう供給される。このように、2つの流体は、2つの流体が比較的容易に分離を保たれることができるように、モノリスの各自のチャネルから引き出される。
【0059】
本発明は、図1〜図18によりさらに詳細に説明及び図示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1
図1は、いずれも正方形セル又はチャネル開口を有する、2つのマルチチャネルモノリスを示す。左側のモノリスは、モノリス壁と平行な向きのチャネル壁を有する。右側のモノリスは、モノリス外壁に対して45°の角度の向きのチャネル壁を有する。このようなモノリス構造は、セラミック材料からできている場合、通常は押し出し成形により作製される。この図は、モノリスを片面からの斜視図で示しており、チャネルの細部を示す分解図でチャネル開口を示している。押し出し工具によって、モノリスのチャネル構造、断面積、及び形状が決まる。複数の異なる幾何学的形状のチャネルを作製することができる。例えば、全てのチャネルの断面を三角形、正方形、又は六角形にしてもよく、又は、これらの組み合わせであってもよい。モノリスのチャネルは通常、モノリスの長手方向全体に沿って、平行であるとともに均一な形状となる。チャネル開口壁がモノリスの側壁と平行な、正方形のチャネル開口を有するモノリスが、最も一般的である。外壁に対して45°の角度の向きのチャネル開口壁を有するモノリスは、むしろ例外的である。本発明では、このような向きは、孔パターンを単純にするとともに、モノリス外壁と平行なチャネル開口壁を有するモノリスと比較して孔プレートの必要数を減らすため、好ましい。
【0061】
図2
図2は、孔プレート及びマニホールドヘッドを有するモノリスのアセンブリを示す。通常、モノリススタック又はモノリスユニットは、チャネルの入口開口及び出口開口がある2つのモノリス面に、2つのこのようなマニホールドヘッドを有する。孔プレートにより、流体流れシステムは、マニホールドヘッドの直線状構成からモノリスのチェスボードパターン構成へ、またその反対へ変わる。マニホールドヘッドは、一組の分割プレート(仕切りプレートA及び仕切りプレートB)と、2つの端カバー、タイプ「A」及びタイプ「B」とにより構成される。図からわかるように、流体1は、マニホールドヘッド内の管状開口を通って出入りすることができる。図2では、管状開口はマニホールドヘッドの中央部分にあるが、原理上、マニホールドヘッド内のいかなる位置を用いることもできる。また、マニホールドヘッドの形状は、コンバータプレートに嵌まるか、又はチャネルの入口開口及び出口開口があるモノリス面に直接嵌まる面以外は融通性がある。管状開口は、隣接するモノリススタックを同様のマニホールドへ管状接続部を介して接続すること、又はマニホールドヘッドを複数のモノリススタックの収集管に接続することを可能にする。したがって、他方の流体がマニホールドヘッドの開口スロットを通して出入りする一方で、流体1が密閉管系を通して複数のモノリスに出入りするよう供給されることができる。このような解決手段は、モノリススタックが圧力容器内に配置されるシステムに有利である。これは、流体の一方(この場合は流体1)のみを気密封止すればよく、他方の流体(この場合は流体2)は、圧力容器内の開放された空間を満たして、ダクト又はチャネルを通って容器シェルの入口開口及び出口開口に対して流出入することが可能だからである。
【0062】
チャネルの入口開口及び出口開口があるモノリス面にシールされる第1の孔プレートは、モノリスのチャネル開口の数に対応する開口(孔)を有する。孔は、開口がモノリスチャネル開口の上に配置されるように構成され、それにより、2つの流体がモノリスチャネルからマニホールドヘッドの分割プレート間のギャップへ、またその反対へ流れることができるようになる。システムの機能上、モノリスにシールされるプレートにある一方の流体用の開口(最大面積利用率を得るためにチェスボードパターンで配置される)は、一組の接続されたプレートの、一組の接続された開口に通じていなければならない。この一組の接続されたプレートは、仕切りプレート間の同じ流体用の開口内に嵌まる直線状パターンの開口を通って同じ流体が引き出されるように、流体の流れの位置を変える。
【0063】
図3
図3は、5つの孔プレートとともに、チャネル開口を有する1つのモノリスの正面図を示す。プレート1は、各孔がモノリスの1つのチャネル開口の位置に対応する位置を有するように形成されるパターンの孔を有する。したがって、プレート1がモノリスの上の正しい位置に配置されると、各孔はそれに対応してモノリスチャネル開口内に嵌まるはずである。プレート1は、この位置でモノリスプレートにシールすることができる。プレート1の孔の直径は、チャネル開口の幅よりも幾分小さいことが最も好ましい。どれだけ小さいかは、許容可能な公差(tolerance)及び圧力降下に応じて決まる。この場合、公差とは、製造中に生じ得る形状及びサイズのずれ(deviation)を意味する。セラミック材料の場合、ずれが生じる理由の1つは、材料の焼結中に生じる収縮である。孔が小さいほど公差が大きくなり、大きいずれは許容可能である。他方、プレート1の開口が小さいほど、そこを流れる流体の圧力降下が大きくなる。ここでの中間プレートという名称のプレート2、3、及び4は、細長い形状を有する孔を有する。この形状により、流体がプレート5の孔から引き出される時に、モノリスのチェスボード流れ構成から直線状流れ構成へ位置を変えることができることが確実となる。一点鎖線(stapled lines)は、マニホールドヘッドの分割プレートの位置を示す。プレートの孔を介して操作される流体コンバータシステムも、より少数のプレートで、さらには1つのプレートで形成することができる。1つのプレートで構成される場合、流出流体又は流入流体を正しい位置に導く小さいチャネルを形成することを可能にする生産技法が必要である。そのような開口は、モノリスに対応する開口、又は仕切りプレート間の位置に対応する開口である。射出成形はそのような方法であり得るが、互いの間の距離が小さい非常に狭いチャネルにより公差が小さくなるため、この技法は強く要望されている。プレート1及び5はモノリス及び仕切りプレートに直接シールされ得るため、少なくともプレート1及び5を個別のプレートとして作製することにより、より制御しやすくなると考えられる。
【0064】
図4.1及び図4.2
図4.1は、流体の流れ方向を矢印で示す、マニホールドヘッドの断面を示す。流体は、スロットを通してモノリスに出入りするよう供給され、スロットにより、流体1は、円形開口(「トンネル」)から、流体1を流体2から隔てる分割プレート間の密閉空間(ギャップ)へ入ることができる。図示されるように、流体2用の分割プレートは、マニホールドヘッドの上部の開口スロット以外は円形空間に通じる開口を有さないため、流体2はこれらのスロットに入ることができる。したがって、流体1及び流体2は、分割プレート間の分離されたプレナムチャンバ又はギャップから出てくるか、又はそこに入れられることができる。分割すなわち仕切りプレートBが円形開口付近に一組のボスを有するため、流体1用の円形空間からの開口が形成される。これらの開口は、分割プレートが差圧に耐える能力を高め、2つ以上のマニホールドヘッドが互いに結合される場合のシールリングに必要な軸方向力を伝えることもできる。
【0065】
図4.2は、図4.1と同じシステムであるが、内部に2つの管状開口を有するマニホールドヘッドを示す。このようなシステムでは、両方の流体を、モノリスから気密封止又は密閉された配管系へ出入りするよう供給することができる。この場合、両方の流体が高圧下にある場合でも、モノリス構造を大気条件で絶縁された容器内に保持することができる。これに関する欠点は、熱膨張による移動が両方の流体の管状接続により制限されることである。
【0066】
図5
図1〜図4は、マニホールドヘッドを有する1つのモノリスの個別のシステムを扱っている。
【0067】
図5は、2つ以上のモノリススタックを結合するシステムを示す。シールリングと、1つのマニホールドヘッドからの端カバータイプ「A」及び別のマニホールドヘッドからの端カバータイプ「B」と、軸方向力とにより、2つのモノリススタックを互いに結合することができる(図6を参照)。このようなシステムは、多数のモノリスがしばしば必要とされる工業プロセスにおいて特に適用可能である。
【0068】
図6
図6は、シールリングと、2つのタイプの端カバー、タイプ「A」及び「B」とを示す、2つのマニホールドヘッド間の結合原理を示す。シールリングと端カバー「A」との接触面は、面上での2軸移動を可能にする平面である。シールリングと端カバー「B」との接触面は、球の中心周りの回転を可能にする球面の一部である。マニホールドヘッドに加わる外力に留意されたい。この力は、特に「流体1」が「流体2」よりも高い圧力を有する場合に、システムを気密にするのに必要である。「流体2」が「流体2」と比較して十分な過剰圧力を有する場合、外力は必要ない。
【0069】
図6の円で囲んだ分解図は、1つのモノリススタックのマニホールドヘッドを別の隣接するモノリススタックのマニホールドヘッドと接続するために用いられる、シールリングと2つの異なるタイプ(タイプA及びB)の端カバーとを示す。このようなシステムでは、流体密封性及び移動の柔軟性の両方を維持できるように、2つの異なるモノリスを結合することができる。別の態様は、このようなシステムにより、2つのモノリススタックの結合を非常にコンパクトに行うことができることである。唯一の距離はシールリングに必要な厚さである。
【0070】
図7
図7は、シールリングと端カバー「B」との球状接触面を説明している。この図は、シールリングと端カバー「B」との接触面が、球の中心周りの回転を可能にする球面の一部である仕組みを示す。
【0071】
図8
図8は、2つのモノリスとマニホールドシステムとが互いに接続されたアセンブリを示す。拡大図は、図5〜図7で説明した結合部の配置及び細部を示す。
【0072】
図9
図9は、モノリス壁に対して45°の向きのセルパターンを有するモノリスを用いた、代替的なコンバータ構造を示す。このようなモノリスは、5つの孔プレートを必要とする図3の解決手段と比較して、最大4つの孔プレートを必要とする。また、分割プレート間の空間すなわち距離は、モノリスセルのサイズが同じであるとすると、図3に示す方法又はシステムよりも大きい。図9の右下部分はキャビティを示す。キャビティは、全ての材料が取り除かれた後に残る部分である。4つの孔プレート内の「流路」のキャビティを見ることができる。
【0073】
図10
図10は、モノリス、コンバータプレート、及びマニホールドヘッドから成る個別モノリススタックを示す。コネクタプレートも示されている。このようなプレートは、モノリススタックが2つ以上の個々のモノリスから構成される場合にのみ含まれる。1つの個別モノリスの長さが十分ではない場合、又はシステムが種々の機能性又は特性を有するモノリスから成る場合に、コネクタプレートが含まれ得る。例えば、一方のモノリスが熱交換器であってもよく、他方のモノリスが膜構造から成ってもよい。コネクタは、モノリスの熱膨張が異なる場合に両方に適合することができるように、傾斜機能材料(graded material)から成ってもよい。
【0074】
図11
図11は、互いに結合された個別スタックから成るモノリススタックの列を示す。このようなモノリススタックのラインを組み立てるために、図8に示す結合システムを用いることができる。工業サイズに拡大する場合、最小の反復単位から始めることになり、このシステムの場合、それは図10に示す個別モノリススタックである。次の単位構成部品は、1つのアセンブリであるか、又は図11に示すように互いに結合されたモノリススタックのラインである。
【0075】
図12
大規模工業用途では、数百個のモノリスを用いる必要がある場合、小型反応器設計ソリューションのために、モノリススタックを互いに密集させて配置することができる。図12は、図11に示すモノリススタックのラインが壁同士を重ね合わせて1つの大きな「モノリスブロック」を構成する、システム又は方法を示す。図12では、1つのライン又は列が10個のモノリススタックから成る。一列あたりにあるべきスタックの数は、いくつかの要因に応じて決まる。体積の利用率を最大にするように円筒状の圧力容器内に嵌めるために、スタックの高さとモノリスブロックの幅とを一致させるべきである。したがって、スタックの高さが150cmであるとすると、マニホールドヘッド及びモノリスの幅が15cmである場合、列は10個のモノリスから成るべきである。この場合、単に長さを増やすとともにモノリススタックの数を増やすことにより圧力容器の直径を大きくすることなく、システムの容量を増やすことができる。
【0076】
図13
図13は、円筒状の圧力容器内のモノリスブロックの配置を示す。図からわかるように、圧力容器の直径を変えずに、列の数を増減させることができる。したがって、システムは、列の数を変えるとともに圧力容器の長さを調整することにより、広範囲にわたる容量に簡単に調整することができる。図13では、流体1が、内部の入口収集管及び出口収集管により、密閉系内に保持される。図13では、モノリススタックの上部マニホールドヘッドに入る流体1が下方に流れて底部マニホールドヘッドに引き出される、モノリス内の向流システムが示されている。流体2は、ダクト又は反応容器内の開放された空間から下部マニホールドヘッドに入り、上方に流れてモノリスチャネルに入り、上部マニホールドヘッドに出て反応器の上部に入る。反応器の上部において、流体2は、反応器の上側部分にあるマニホールドヘッドの開口スロットを通して導かれる。
【0077】
図14
図14は、圧力容器又は反応容器内のモノリシック構造を示す。このシステムでは、流体2が圧力容器壁の同じ位置において出入りするよう供給される。このシステムは、例えば、流体2がコンプレッサから送られ、流体2’がタービンへ引き出されるようになっていてもよい。流体2は空気であってもよく、流体2”は低酸素加熱空気(oxygen depleted heated air)であってもよい。モノリスは、セラミック酸素運搬膜であってもよく、流体1は、空気から酸素を取り込む透過流体である。この場合、燃料を流体1に噴射することができ、燃焼が行われて酸素が消費され、熱が生成される。このようなシステムでは、低酸素流体1(燃焼後)は、酸素移動膜から成る壁を有するモノリスに戻され得る。流体1は、燃焼により加熱され、熱は流体1から酸素含有流体2へ移動する。所定の温度レベルにおいて、モノリス壁の膜は酸素を流体1へ移動させる。噴射された燃料及び酸素による過剰な質量は、ブリードガスとして、左側のモノリスから収集管へ引き出すことができる。この場合、左側のモノリスは、純粋な熱交換器として用いることができ、空気を加熱するとともにブリードガスを冷却する。流体1が水蒸気及び二酸化炭素から成る場合、このような設計又はシステムの解決手段は、CO2処理を用いるガス発電のために用いることができる。CO2が永久貯蔵庫(permanent storage)へ送られる場合、ゼロエミッション(zero emission:排ガスゼロの)発電所を作ることができる。
【0078】
図15
図15は、図14に示す反応器の断面図である。この図は、流れ方向を示す矢印を用いて、プロセス流れシステムを示す。流入流体2が、内壁に近いダクトにより導かれて、反応器の下側部分に入り、そこでモノリススタックの下部マニホールドヘッドに入る様子を見ることができる。流体1は、循環ループにおいて流体2の向流として流れる。ゼロエミッションガス発電(gas power)のシステムの場合、流体2は空気であり、モノリスはセラミック酸素膜である。流体1の成分は、水蒸気及び二酸化炭素であってもよく、これは空気から酸素を取り込む。この場合、天然ガスのような燃料が燃焼用に加えられ、続いて、流体1をモノリスに戻して、酸素を取り込ませ(酸素分圧差により流束が上昇する)、発電タービンに向かって出て行く流体2及び2’を加熱させることができる。流体1の循環ループの質量平衡を確保するために、ブリードが取り除かれる。したがって、左側のモノリススタックは純粋な熱交換器の機能を有する。燃料噴射を燃料噴射器により行って、流体1が確実に循環するようにすることができる。
【0079】
図16
図16は、モノリスが酸素輸送膜からできている場合の、酸素及び電力の組み合わせ製造のための反応器の概念を示す。これは、種々のプロセスシステムの利用に関する本発明の柔軟性を示す。
【0080】
わずかな変更のみで、図14及び図15に示すのと同じ反応器の概念を用いて、酸素及び電力の製造を組み合わせることができる。流体2は、ガスバーナにより反応器の底部において加熱される圧縮空気であってもよい。これにより、空気中の酸素の一部は、セラミック酸素輸送膜に適した温度に空気を加熱するために消費される。流体1は、流体2よりも低い酸素分圧を有さなければならない。この低い分圧により、酸素が流体2から流体1へ膜を介して輸送されることが確実となる。真空を用いて、流体1ではなく膜の透過側にある酸素を引き出すことも可能である。これにより、運搬又は貯蔵圧力に圧縮することができる純粋な酸素が直接製造される。
【0081】
最大発電能力を得るために、図に示される出口ダクト又は出口管内にガスバーナを有することにより、膜の出口において流体2に残っている酸素を、タービンに向かう空気の温度を上昇させるために用いることができる。流体1は、原理上、酸素を膜から輸送することが可能であり、且つ下流での酸素からの分離又は直接の適用に適した、いかなる流体(及び正の酸素分圧差(oxygen positive partial pressure difference)を確保する、流体2よりも低い圧力の空気)であってもよい。
【0082】
図17
図17は、モノリス、孔プレート、及びマニホールドヘッドのシステムアセンブリを示す。図示のマニホールドヘッドでは、出口開口(この場合は流体2用)は、図2のマニホールドヘッドよりも短い距離及び直線状の方向を有する。分割プレートは、機械的支持部としても機能する、流体2用の案内リブを有する。リブは、孔の閉塞を防止するとともに、流体2の流れ制限を最小にする形状になっている。流体1は、マニホールドヘッドへつながる円形入口と、開放スロットとを有し、流体1は開放スロットから孔プレートを通って入り、モノリスチャネルへ入ることができる。分割プレートの流体1側にはリブもボスも存在しない。図9では、流体を移動させるための4つの個別のプレートのシステムが示されていたが、それと比較して図17は2つのプレートしかない。図17のプレートは、図9の4つのプレートと同じ機能を有する。プレート1は図9のプレート1に相当し、プレート2は図9のプレート2〜4に相当する。
【0083】
図18
図18は、プレート2及びプレート1の内部の詳細を示す。プレート2の厚さは、流体1用及び流体2用のプレート1の開口孔につながるファネルの傾斜角度と、各ファネルに集められるプレート1の孔の数とに応じて決まる。左側の分解図から分かるように、流体2用のファネルは、プレート1の4つの孔から、したがってモノリスの4つのチャネルから、流体を集める。右側の分解図は流体1用のファネルを示し、図から分かるように、これらのファネルはプレート1の5つの孔から流体を集めるか、又は5つの孔に流体を分配する。ファネルは左右対称であるため、各ファネルに対する孔の数は偶数になっている。したがって、孔は4つおきに2つのファネルに分配される。図18は、プレート2の基本設計のみを示す。したがって、各ファネルに集められるか、又は各ファネルに分配される孔の数のあらゆる種類の組み合わせを自由に選択することができる。選択された組み合わせは、圧力降下、分割プレートの数、及び分割プレート間の距離のうちのパラメータのセットに応じて決まる。
【0084】
本発明は、モノリシック構造の小型性(すなわち、小さいチャネルで体積単位あたりに大きな表面積)、ガスに対する低い流れ抵抗、及び触媒で被覆され得る耐熱セラミック材料を利用することにより、熱及び質量移動(分離)の単位操作を改善及び簡略化する可能性を提供する。改善は、集合体としての(in mass)モノリスの使用、2つの異なる流体間の熱移動、及びモノリシック構造のこれらの単位操作が化学反応と統合されることに関連する。モノリスにおける質量移動及び熱移動と化学反応(単位操作)とのこのような組み合わせは、輸送及び分離が簡略化されるコンパクトソリューションの製造に寄与する。1つの用途は、発熱反応及び吸熱反応、例えば、合成ガス(水素及び一酸化炭素)への天然ガス又は他の炭化水素含有物質の蒸気メタン改質と、触媒被覆チャネルにおける吸熱蒸気メタン改質及び隣接するチャネルにおける発熱燃焼との組み合わせである。このようなモノリシック構造は、非常に小型の改質器を製造することができ、例えば、小規模水素製造に用いることができる。しかしながら、合成ガスも、さらに処理して複数の他の生成物、例えば、メタノール、アンモニア、及び合成ガソリン/ディーゼル油にすることができる。
【0085】
金属を用いることができないような高い作業温度(800〜900℃以上)が、多くの化学プロセスによる平衡又は熱力学に関して好ましい。このようなプロセスでは、触媒で被覆されるとともに高温に耐えることができるセラミックモノリスが非常に有利であり得る。したがって、燃焼又は高温ガスプロセスを、化学反応プロセスと直接組み合わせることができる。
【0086】
モノリシック構造は、エネルギー市場(電力製造)、例えば天然ガスの触媒燃焼に用いることもできる。本発明を利用することにより、燃焼プロセスの温度窓を制御して、窒素酸化物(NOx)の生成を減らすことができる。酸素及び窒素が存在する空気又は大気中の燃焼又は酸化は常に、NOxを生成させる可能性がある。この環境に有害なガスは主に、燃料炎の高温ゾーンで生成される。モノリスにおいて流れるガスをチェスボード状に分配する本発明を利用することにより、燃料と空気との混合物を触媒燃焼させて、「黒色」チャネルにおいて熱を、「白色」チャネルにおいて受動冷却剤(passive coolant)(すなわち空気)を生成するか、又は、「白色」チャネルにおいて吸熱反応(すなわち蒸気メタン改質)を行う動的冷却剤(active coolant)を生成することができる。このようなシステムは、ピーク温度を防止し、したがってNOxの生成を減らす。さらに、このシステムでは、入口位置のみにマニホールドを有し(並流であるとする)、したがってモノリスのチェスボードパターン及び小さいチャネルによって出口位置で非常に効率的な混合を行わせることにより、モノリスの下流で冷却剤と燃焼ガスとが混合される可能性がある。
【0087】
NOxの形成を防止するための上述のシステムは、他の望ましくない成分の排出を防止/低減するのに用いることもできる。したがって、本発明は、2つの流体間にある薄い接触壁を介して、モノリス構造内で直接、燃焼(熱生成)と熱移動とを組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】いずれも正方形セル又はチャネル開口を有する、2つのマルチチャネルモノリスを示す。
【図2】孔プレート及びマニホールドヘッドを有するモノリスのアセンブリを示す。
【図3】5つの孔プレートとともに、チャネル開口を有する1つのモノリスの正面図を示す。
【図4.1】流体の流れ方向を矢印で示す、マニホールドヘッドの断面を示す。
【図4.2】図4.1と同じシステムであるが、内部に2つの管状開口を有するマニホールドヘッドを示す。
【図5】2つ以上のモノリススタックを結合するシステムを示す。
【図6】シールリングと、2つのタイプの端カバー、タイプ「A」及び「B」とを示す、2つのマニホールドヘッド間の結合原理を示す。
【図7】シールリングと端カバー「B」との球状接触面を説明している。
【図8】2つのモノリスとマニホールドシステムとが互いに接続されたアセンブリを示す。
【図9】モノリス壁に対して45°の向きのセルパターンを有するモノリスを用いた、代替的なコンバータ構造を示す。
【図10】モノリス、コンバータプレート、及びマニホールドヘッドから成る個別モノリススタックを示す。
【図11】互いに結合された個別スタックから成るモノリススタックの列を示す。
【図12】図11に示すモノリススタックのラインが壁同士を重ね合わせて1つの大きな「モノリスブロック」を構成する、システム又は方法を示す。
【図13】円筒状の圧力容器内のモノリスブロックの配置を示す。
【図14】圧力容器又は反応容器内のモノリシック構造を示す。
【図15】図14に示す反応器の断面図である。
【図16】モノリスが酸素輸送膜からできている場合の、酸素及び電力の組み合わせ製造のための反応器の概念を示す。
【図17】モノリス、孔プレート、及びマニホールドヘッドのシステムアセンブリを示す。
【図18】プレート2及びプレート1の内部の詳細を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造の前記チャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法であって、
一方の流体が、前記モノリス構造の一面にシールされるマニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップにおけるスロットを通して供給され、
他方の流体が、前記マニホールドヘッドのトンネルを通り、さらに前記トンネル壁のスロットを通って前記マニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップへ供給され、
前記流体は、各自のギャップから前記チャネルへ、少なくとも1つのチャネル壁が前記流体に共通であるように分配され、
前記流体は、前記構造のうち第1のマニホールドヘッドがシールされるのとは反対側にシールされるマニホールドヘッドの各自のギャップにおいて収集され、
次に、前記流体はそれぞれ、前記最後に言及したマニホールドヘッドのトンネル壁における1つ又は複数のギャップ及びスロットから、1つのスロットを通して導かれることを特徴とする、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項2】
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法であって、
一方の流体が、マニホールドヘッドの第1のトンネルへ、前記第1のトンネル壁にあるスロットを通って、さらに前記マニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップへ供給され、
他方の流体が、前記マニホールドヘッドの第2のトンネルへ、前記第2のトンネル壁にあるスロットを通って、さらに前記マニホールドヘッドの1つ又は複数の他のギャップへ供給され、
前記流体は、各自のギャップから前記チャネルへ、少なくとも1つのチャネル壁が前記流体に共通であるように分配され、
前記流体は、前記マニホールドヘッドの各自のギャップにおいて収集され、
次に、前記流体は、前記トンネル壁にある各自のスロットから引き出されることを特徴とする、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項3】
前記流体は、同じマニホールドヘッドに出入りするよう供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項4】
前記流体は、一方の流体が流れるチャネルに隣接するチャネル全てに他方の流体が流れるように、前記チャネルに分配されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項5】
前記ギャップからの前記流体は、一方の流体が「黒色」チャネルにあり、他方の流体が「白色」チャネルにあるチェスボードパターンで、前記チャネルに分配されることを特徴とする、請求項4に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項6】
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造の前記チャネルに出入りするよう2つの流体を分配するマニホールドヘッドであって、
スペーサとともに接合されて、互いの間にスロットを有するギャップを形成する少なくとも3つの平行な分割プレートと、
前記分割プレートと平行に接合される端カバープレートであって、前記分割プレートと合わせて、トンネルを形成する1つの開口を有し、且つ前記接合されたプレート間にスロットを有するようにする、端カバープレートと
を備えることを特徴とする、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配するマニホールドヘッド。
【請求項7】
前記分割プレート及び前記カバープレートは、前記接合されたプレートを通るトンネルをそれぞれ形成する少なくとも1つの孔を有し、前記トンネルの壁は、前記ギャップと連通するスロットを有することを特徴とする、請求項6に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配するマニホールドヘッド。
【請求項8】
ユニットであって、
前記マルチチャネルユニットは、チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、モノリシック構造と、前記構造の少なくとも一面にシールされる、請求項6又は7に記載のマニホールドヘッドと
を備えることを特徴とする、ユニット。
【請求項9】
ユニットであって、
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造と、
前記構造の少なくとも一面にシールされる、請求項6又は7に記載のマニホールドヘッドと、
前記マニホールドヘッドと前記構造のうち前記チャネルの開口がある前記面との間でシールされる、少なくとも1つの孔プレートと
を備えることを特徴とする、ユニット。
【請求項10】
前記孔は、2つの流体が前記モノリスチャネルから前記ギャップへ、またその反対へ流れることができるように配置されることを特徴とする、請求項9に記載のユニット。
【請求項11】
前記チャネル壁の1つ又は複数は、1つ又は複数の触媒活性成分で被覆されることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項12】
前記チャネルの開口は、チェスボードパターンで前記モノリス構造の断面積全体にわたって均一に分布することを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項13】
前記構造は、前記構造の外壁に対して45°の角度の向きのチャネル壁を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項14】
前記分割プレートは、孔プレートにシールされることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項15】
前記分割プレートは、モノリスチャネル壁に直接シールされることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項16】
前記マニホールドヘッドは、前記モノリス構造のうち前記チャネルの開口がある少なくとも一面にシールされることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項17】
スタックであって、
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、2つ以上のマルチチャネルモノリシック構造と、
前記構造の少なくとも一面にシールされる、請求項6又は7に記載の少なくとも1つのマニホールドヘッドと、
前記マニホールドヘッドと前記構造のうち前記チャネルの開口がある前記側との間でシールされる、孔を有する少なくとも1つのプレートと、
ユニット間にある少なくとも1つのコネクタプレート又は他の結合具と
を備えることを特徴とする、スタック。
【請求項18】
ユニット又はスタックの列であって、
互いに結合される、請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニット又は請求項17に記載のスタック
を備えることを特徴とする、ユニット又はスタックの列。
【請求項19】
ユニット又はスタックの列であって、
シールリング及び2つの異なるタイプ(タイプA及びB)の端カバーが、1つのユニット又はスタックの前記マニホールドヘッドを別の隣接するユニット又はスタックの前記マニホールドヘッドと接続するために用いられる、請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニット又は請求項17に記載のスタック
を備えることを特徴とする、ユニット又はスタックの列。
【請求項20】
ブロックであって、
向かい合わせで固定される、請求項18又は19に記載のユニット又はスタックの列
を備えることを特徴とする、ブロック。
【請求項21】
2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための反応器であって、
請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニットの1つ又は複数、又は請求項17に記載のスタック、又は請求項18に記載のユニット若しくはスタックの列、又は請求項20に記載のブロックが組み込まれることを特徴とする、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための反応器。
【請求項22】
2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための方法であって、
前記2つの流体は、請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニットの1つ又は複数、又は請求項17に記載のスタック、又は請求項18に記載のユニット若しくはスタックの列、又は請求項20に記載のブロックに分配されることを特徴とする、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための方法。
【請求項1】
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造の前記チャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法であって、
一方の流体が、前記モノリス構造の一面にシールされるマニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップにおけるスロットを通して供給され、
他方の流体が、前記マニホールドヘッドのトンネルを通り、さらに前記トンネル壁のスロットを通って前記マニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップへ供給され、
前記流体は、各自のギャップから前記チャネルへ、少なくとも1つのチャネル壁が前記流体に共通であるように分配され、
前記流体は、前記構造のうち第1のマニホールドヘッドがシールされるのとは反対側にシールされるマニホールドヘッドの各自のギャップにおいて収集され、
次に、前記流体はそれぞれ、前記最後に言及したマニホールドヘッドのトンネル壁における1つ又は複数のギャップ及びスロットから、1つのスロットを通して導かれることを特徴とする、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項2】
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法であって、
一方の流体が、マニホールドヘッドの第1のトンネルへ、前記第1のトンネル壁にあるスロットを通って、さらに前記マニホールドヘッドの1つ又は複数のギャップへ供給され、
他方の流体が、前記マニホールドヘッドの第2のトンネルへ、前記第2のトンネル壁にあるスロットを通って、さらに前記マニホールドヘッドの1つ又は複数の他のギャップへ供給され、
前記流体は、各自のギャップから前記チャネルへ、少なくとも1つのチャネル壁が前記流体に共通であるように分配され、
前記流体は、前記マニホールドヘッドの各自のギャップにおいて収集され、
次に、前記流体は、前記トンネル壁にある各自のスロットから引き出されることを特徴とする、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項3】
前記流体は、同じマニホールドヘッドに出入りするよう供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項4】
前記流体は、一方の流体が流れるチャネルに隣接するチャネル全てに他方の流体が流れるように、前記チャネルに分配されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項5】
前記ギャップからの前記流体は、一方の流体が「黒色」チャネルにあり、他方の流体が「白色」チャネルにあるチェスボードパターンで、前記チャネルに分配されることを特徴とする、請求項4に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配する方法。
【請求項6】
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造の前記チャネルに出入りするよう2つの流体を分配するマニホールドヘッドであって、
スペーサとともに接合されて、互いの間にスロットを有するギャップを形成する少なくとも3つの平行な分割プレートと、
前記分割プレートと平行に接合される端カバープレートであって、前記分割プレートと合わせて、トンネルを形成する1つの開口を有し、且つ前記接合されたプレート間にスロットを有するようにする、端カバープレートと
を備えることを特徴とする、マルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配するマニホールドヘッド。
【請求項7】
前記分割プレート及び前記カバープレートは、前記接合されたプレートを通るトンネルをそれぞれ形成する少なくとも1つの孔を有し、前記トンネルの壁は、前記ギャップと連通するスロットを有することを特徴とする、請求項6に記載のマルチチャネルモノリシック構造のチャネルに出入りするよう2つの流体を分配するマニホールドヘッド。
【請求項8】
ユニットであって、
前記マルチチャネルユニットは、チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、モノリシック構造と、前記構造の少なくとも一面にシールされる、請求項6又は7に記載のマニホールドヘッドと
を備えることを特徴とする、ユニット。
【請求項9】
ユニットであって、
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、マルチチャネルモノリシック構造と、
前記構造の少なくとも一面にシールされる、請求項6又は7に記載のマニホールドヘッドと、
前記マニホールドヘッドと前記構造のうち前記チャネルの開口がある前記面との間でシールされる、少なくとも1つの孔プレートと
を備えることを特徴とする、ユニット。
【請求項10】
前記孔は、2つの流体が前記モノリスチャネルから前記ギャップへ、またその反対へ流れることができるように配置されることを特徴とする、請求項9に記載のユニット。
【請求項11】
前記チャネル壁の1つ又は複数は、1つ又は複数の触媒活性成分で被覆されることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項12】
前記チャネルの開口は、チェスボードパターンで前記モノリス構造の断面積全体にわたって均一に分布することを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項13】
前記構造は、前記構造の外壁に対して45°の角度の向きのチャネル壁を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項14】
前記分割プレートは、孔プレートにシールされることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項15】
前記分割プレートは、モノリスチャネル壁に直接シールされることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項16】
前記マニホールドヘッドは、前記モノリス構造のうち前記チャネルの開口がある少なくとも一面にシールされることを特徴とする、請求項8又は9に記載のユニット。
【請求項17】
スタックであって、
チャネルの開口が断面積全体にわたって広がっており、且つ前記チャネルが接合壁を有する、2つ以上のマルチチャネルモノリシック構造と、
前記構造の少なくとも一面にシールされる、請求項6又は7に記載の少なくとも1つのマニホールドヘッドと、
前記マニホールドヘッドと前記構造のうち前記チャネルの開口がある前記側との間でシールされる、孔を有する少なくとも1つのプレートと、
ユニット間にある少なくとも1つのコネクタプレート又は他の結合具と
を備えることを特徴とする、スタック。
【請求項18】
ユニット又はスタックの列であって、
互いに結合される、請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニット又は請求項17に記載のスタック
を備えることを特徴とする、ユニット又はスタックの列。
【請求項19】
ユニット又はスタックの列であって、
シールリング及び2つの異なるタイプ(タイプA及びB)の端カバーが、1つのユニット又はスタックの前記マニホールドヘッドを別の隣接するユニット又はスタックの前記マニホールドヘッドと接続するために用いられる、請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニット又は請求項17に記載のスタック
を備えることを特徴とする、ユニット又はスタックの列。
【請求項20】
ブロックであって、
向かい合わせで固定される、請求項18又は19に記載のユニット又はスタックの列
を備えることを特徴とする、ブロック。
【請求項21】
2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための反応器であって、
請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニットの1つ又は複数、又は請求項17に記載のスタック、又は請求項18に記載のユニット若しくはスタックの列、又は請求項20に記載のブロックが組み込まれることを特徴とする、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための反応器。
【請求項22】
2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための方法であって、
前記2つの流体は、請求項8ないし16のいずれか一項に記載のユニットの1つ又は複数、又は請求項17に記載のスタック、又は請求項18に記載のユニット若しくはスタックの列、又は請求項20に記載のブロックに分配されることを特徴とする、2つの流体間の質量移動及び/又は熱移動のための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4.1】
【図4.2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4.1】
【図4.2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2006−522678(P2006−522678A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507890(P2006−507890)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000080
【国際公開番号】WO2004/090451
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(591237869)ノルスク・ヒドロ・アーエスアー (24)
【氏名又は名称原語表記】NORSK HYDRO ASA
【住所又は居所原語表記】0240 OSLO,NORWAY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000080
【国際公開番号】WO2004/090451
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(591237869)ノルスク・ヒドロ・アーエスアー (24)
【氏名又は名称原語表記】NORSK HYDRO ASA
【住所又は居所原語表記】0240 OSLO,NORWAY
【Fターム(参考)】
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