説明

ミシン及び刺繍枠

【課題】加工布を保持する刺繍枠を移動及び回転駆動が可能なミシンに関し、特に、刺繍枠の回転駆動手段が大型化することを防止するミシン、及び刺繍枠を提供する。
【解決手段】刺繍枠9は、内枠91、中枠92、及び外枠94が組み合わされて構成されている。刺繍枠9は、内枠91と中枠92との間で加工布100を狭持する。ミシンは、刺繍枠9に設けられたモータ947を駆動させて、外枠94に対して中枠92が回転可能である。ミシンに設けられたイメージセンサによってミシンに装着された刺繍枠9を含む領域が撮像される。撮像された画像151から、内枠91に付された標識110が識別され、識別された標識110を用いて、外枠94に対する中枠92の回転角度が検出される。検出された回転角度である検出角度と、予め記憶された枠回転データとに基づいてモータ947が制御され、外枠94に対する中枠92の回転角度が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍枠を装着可能なミシン、及びそのミシンに装着可能な刺繍枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工布を保持する刺繍枠をX方向及びY方向に移動させる駆動手段と、前記刺繍枠を回転させる駆動手段とを備えたミシンが知られている。例えば、特許文献1に記載の刺しゅう用ミシンは、円形の刺繍枠をX方向に移動させるX軸駆動モータを含むX軸駆動手段と、前記刺繍枠をY方向に移動させるY軸駆動モータを含むY軸駆動手段とを備えている。また、前記刺繍枠、前記X軸駆動手段、及び前記Y軸駆動手段は、円環プレート上に搭載されている。前記円環プレートは、ミシンに取付られた台座によって回転可能に支持され、θ軸駆動モータを含むθ軸駆動手段によって回転駆動される。前記刺繍枠は、前記各駆動モータによって、X方向及びY方向に移動すると共に回転することで、前記刺繍枠に保持された加工布に刺繍縫製が施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−193090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記刺しゅう用ミシンでは、円環プレート上にX軸駆動手段及びY軸駆動手段を搭載しているので、刺繍枠の回転駆動手段が大型化するという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、加工布を保持する刺繍枠を移動及び回転駆動が可能なミシンに関し、特に、刺繍枠の回転駆動手段が大型化することを防止するミシン、及び刺繍枠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るミシンは、円形の枠形状の内枠と、前記内枠の径方向外側に着脱可能な円形の枠形状の中枠と、前記中枠の径方向外側に着脱可能に構成され、前記中枠を回転可能に保持する円形の枠形状の外枠と、前記外枠に対して前記中枠を回転させる駆動手段とを備えた刺繍枠を装着可能な装着部と、予め設定された前記外枠に対する前記中枠の回転角度のデータである枠回転データを記憶する記憶手段と、前記装着部に装着された前記刺繍枠を含む領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像から前記刺繍枠又は前記刺繍枠に取り付けられた加工布上に付された標識を識別し、識別した前記標識を用いて前記外枠に対する前記中枠の回転角度を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記中枠の回転角度である検出角度と、前記記憶手段に記憶された前記枠回転データとに基づいて、前記駆動手段を制御して前記中枠の回転量を制御する回転制御手段とを備えている。この場合、刺繍枠に駆動手段を設けているため、従来のミシンの構成に比べて、刺繍枠を回転させる駆動手段が大型化することを防止できる。
【0007】
前記ミシンにおいて、前記回転制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記枠回転データに基づく回転角度と、前記検出手段によって検出された前記検出角度とが一致したか否かを判断する回転角度判断手段と、前記回転角度判断手段によって前記枠回転データに基づく回転角度と前記検出角度とが一致していないと判断された場合に、前記駆動手段を制御して前記中枠を回転させる第一回転手段と、前記第一回転手段によって前記中枠が回転されている場合において、前記回転角度判断手段によって前記枠回転データに基づく回転角度と前記検出角度とが一致していると判断された場合に、前記駆動手段を制御して前記中枠の回転を停止させる停止手段とを備えてもよい。この場合、枠回転データに基づく回転角度と検出角度とが一致していない場合に中枠を回転させ、一致した場合に中枠を停止させることができる。よって、枠回転データに基づく回転角度に中枠の回転角度を自動で合わせることができる。
【0008】
前記ミシンにおいて、前記回転制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記枠回転データに基づく回転角度と、前記検出手段によって検出された前記検出角度との差分を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記差分に対応する角度分、前記駆動手段を制御して前記中枠を回転させる第二回転手段とを備えてもよい。この場合、枠回転データに基づく回転角度に中枠の回転角度を自動で合わせることができる。
【0009】
前記ミシンは、針を装着可能な針棒を駆動させる針棒駆動手段と、前記記憶手段に記憶された前記枠回転データに基づく回転角度と前記検出手段によって検出された前記検出角度とが一致した場合に、前記針棒駆動手段による前記針棒の駆動を開始させる駆動制御手段とを備えてもよい。この場合、枠回転データに基づく回転角度と検出角度とが一致していない場合に、誤って加工布を縫製又は切断することを防止できる。
【0010】
前記ミシンは、前記刺繍枠に設けられた枠側コネクタ部に対して、電気的に接続可能なミシン側コネクタ部を備え、前記刺繍枠が前記装着部に装着されると同時に、前記枠側コネクタ部と前記ミシン側コネクタ部とが連結され、前記回転制御手段は、前記ミシン側コネクタ部及び前記枠側コネクタ部を介して前記駆動手段と電気的に接続されてもよい。この場合、刺繍枠を装着部に装着する作業と、ミシン側コネクタ部と枠側コネクタ部とを連結する作業とを別々に行う必要がない。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0011】
本発明の第2の態様に係る刺繍枠は、円形の枠形状の内枠と、前記内枠の径方向外側に着脱可能な円形の枠形状の中枠と、前記中枠の径方向外側に着脱可能に構成され、前記中枠を回転可能に保持する円形の枠形状の外枠と、前記外枠に対して前記中枠を回転させる駆動手段とを備えている。この場合、刺繍枠に駆動手段を設けているため、従来のミシンの構成に比べて、刺繍枠を回転させる駆動手段が大型化することを防止できる。
【0012】
前記刺繍枠において、前記外枠は、前記中枠を保持する円形の枠形状の枠保持部と、前記枠保持部の径方向外側に位置し、ミシンが備える装着部に着脱可能に構成された取付部と、前記取付部と前記枠保持部との間を連結し、且つ、内部に前記駆動手段を収納する収納部とを備えてもよい。この場合、取付部と枠保持部との間の収納部に駆動手段が設けられている。取付部は、ミシンの装着部に取り付けられて支持されるので、装着部に支持される部位の近くに駆動手段が位置する。このため、例えば、取付部と枠保持部との間を連結する収納部から離れた位置に駆動手段が設けられている場合に比べて、刺繍枠を小型化できる。
【0013】
前記刺繍枠は、前記装着部に設けられたミシン側コネクタ部に対して、前記取付部が前記装着部に取り付けられると同時に連結されて電気的に接続される枠側コネクタ部を備えもよい。この場合、取付部を装着部に取り付ける作業と、枠側コネクタ部とミシン側コネクタ部とを連結する作業とを別々に行う必要がない。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0014】
前記刺繍枠において、前記中枠には、外周面の全周に亘って大歯車が形成され、
前記駆動手段は、前記外枠に配設されたモータと、前記大歯車に噛合し、前記大歯車より小さい径を有して前記モータの回転軸に固定された小歯車とを備えてもよい。この場合、モータが小歯車を回転させると、小歯車に噛合されている大歯車が回転する。大歯車は中枠に設けられているので、外枠に対して中枠が回転する。このように、中枠を回転させる駆動手段を簡単な構成で実現することができる。
【0015】
前記刺繍枠における前記内枠に、ミシンが備える撮像手段で撮像可能な標識が設けられてもよい。この場合、標識は内枠に設けられているので、外枠に対する内枠及び中枠の回転に伴って、標識の位置が変わる。このため、ミシンは、撮像手段で標識を撮像して、撮像した標識を用いて外枠に対する中枠の回転角度を検出することができる。つまり、刺繍枠は、ミシンに中枠の回転角度を検出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】刺繍枠9が装着されたミシン1の斜視図である。
【図2】キャリッジカバー35に設けられた装着部351を示す平面図である。
【図3】縫針7が装着された針棒6の近傍をミシン1の左側から見た図である。
【図4】カットワーク針8が装着された針棒6の近傍をミシン1の左側から見た図である。
【図5】刺繍枠9の斜視図である。
【図6】図5に示す刺繍枠9の内部構成を示す斜視図である。
【図7】刺繍枠9の分解斜視図である。
【図8】刺繍枠9の平面図である。
【図9】刺繍枠9の側面図である。
【図10】刺繍枠9の取付部942が装着部351に装着された様子を示す平面図である。
【図11】ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】カットワークデータテーブル59のデータ構成の説明図である。
【図13】カットワーク処理のフローチャートである。
【図14】第一枠回転処理のフローチャートである。
【図15】液晶ディスプレイ15に表示される画像の一例を示す図である。
【図16】補正後のカットワークデータテーブル591のデータ構成の説明図である。
【図17】液晶ディスプレイ15に表示される画像の別の一例を示す図である。
【図18】液晶ディスプレイ15に表示される画像のさらに別の一例を示す図である。
【図19】第二実施形態に係る第二枠回転処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。ミシン1の構成について、図1及び図3を参照して説明する。図1において、ユーザが位置する側をミシン1の前方、その反対側を後方とする。ミシン1のユーザから見た左右方向をミシン1の左右方向とする。
【0018】
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、アーム部13、及び頭部14を備える。ベッド部11は、ミシン1の土台であって左右方向に延びるように設けられる。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ立設されている。アーム部13は、脚柱部12の上端から左方へ延びる。頭部14は、アーム部13の左先端部に設けられている。ベッド部11の上面には、針板(図示せず)が配設されている。針板の下のベッド部11内には、送り歯(図示せず)、布送り機構(図示せず)、送り量調整用パルスモータ78(図11参照)、及び釜機構(図示せず)が設けられている。送り歯は、縫製される加工布を所定の送り量で移動させる。布送り機構は、送り歯を駆動する。送り量調整用パルスモータ78は、送り量を調整する。
【0019】
ミシン1で刺繍縫製やカットワーク(後述)が行われる場合、ベッド部11の上側には、加工布を保持する刺繍枠(例えば、刺繍枠9)が配置される。ミシン1では、刺繍枠移動装置19に装着された刺繍枠の種類に応じて、刺繍枠の内側に縫製可能領域が設定される。刺繍枠9を移動させる刺繍枠移動装置19は、ベッド部11に着脱可能である。
【0020】
刺繍枠移動装置19の上部には、前後方向に延びるキャリッジカバー35が設けられている。キャリッジカバー35の内部には、Y軸移動機構(図示せず)が設けられている。Y軸移動機構は、キャリッジ(図示せず)をY方向(ミシン1の前後方向)に移動させる。刺繍枠9は、キャリッジに着脱可能である。図2に示すように、キャリッジの右方には、刺繍枠9を装着する装着部351が設けられている。装着部351は、キャリッジカバー35の右側面よりも右方に突出している。装着部351は、刺繍枠9の取付部942(図5参照)と対応するように前後方向に長い。装着部351には、刺繍枠9に設けられた取付部942(図5参照)が装着される(図10参照)。図2に示すように、装着部351の後部にはミシン側コネクタ部352が設けられ、刺繍枠9に設けられた枠側コネクタ部944(後述)に対して電気的に接続可能である。ミシン側コネクタ部352は、凹型のコネクタであり、凸型の枠側コネクタ部944と接続される部位を前方に向けて配置されている。キャリッジ、Y軸移動機構、及びキャリッジカバー35は、X軸移動機構(図示せず)によって、X方向(ミシン1の左右方向)に移動する。X軸移動機構は、刺繍枠移動装置19の本体内に設けられている。
【0021】
X軸移動機構とY軸移動機構は、夫々、X軸モータ83(図11参照)及びY軸モータ84(図11参照)によって駆動される。刺繍枠9がX方向及びY方向に移動されながら、針棒6(図3参照)や釜機構(図示せず)が駆動される。このようにして、刺繍枠9に保持された加工布100に対して所定の刺繍模様を縫製する模様縫製動作や、所定の形状に加工布100を切断するカットワークが実行される。刺繍模様ではない通常模様が縫製される場合には、刺繍枠移動装置19はベッド部11から取り外される。そして、送り歯により加工布100が移動されながら、通常縫製が行われる。
【0022】
図1に示すように、脚柱部12の前面には、縦長長方形状の液晶ディスプレイ15が設けられている。液晶ディスプレイ15には、複数種類の模様、各種の機能を実行させるコマンド名、各種のメッセージ、イメージセンサ48(図3参照)で撮像された画像等、様々な項目の画像が表示される。液晶ディスプレイ15の前面には、透明のタッチパネル26が設けられている。液晶ディスプレイ15に表示された項目に対応するタッチパネル26の部位を、ユーザが指や専用のタッチペンを用いて触れることにより、縫製したい模様や実行すべきコマンドを選択することができる。以下の説明では、ユーザによるタッチパネル26を用いた操作を「パネル操作」という。
【0023】
アーム部13の構成について説明する。アーム部13の上部には開閉カバー16が設けられている。開閉カバー16は、アーム部13の上後端部に左右方向の軸回りに開閉可能に軸支されている。開閉カバー16の下方、つまりアーム部13の内部には、上糸を供給する糸駒(図示せず)を収納する糸収容部(図示せず)が設けられている。糸駒から延びる上糸は、図示しない糸調子器及び糸取バネ、天秤等を含む糸掛部を経由して、縫針7(図3参照)に供給される。糸調子器は、頭部14に設けられ、糸張力を調整する。天秤は、上下に往復駆動して上糸を引き上げる。縫針7は、針棒6(図3参照)に装着される。針棒6は、頭部14内に設けられた針棒上下動機構(図示せず)により、上下動するように駆動される。針棒上下動機構は、ミシンモータ79(図11参照)により回転駆動される主軸(図示せず)により駆動される。つまり、針棒6はミシンモータ79によって駆動される。
【0024】
アーム部13の前面下部には、縫製開始・停止スイッチ21等を含むスイッチ群25が設けられている。縫製開始・停止スイッチ21は、ミシン1の運転を開始又は停止させる、即ち、縫製開始又は停止を指示するのに使用される。
【0025】
図3に示すように、頭部14の下部には、針棒6が設けられている。針棒6の下端部には縫針7(図3参照)又はカットワーク針8(図4参照)が装着可能である。針棒6の後側には、押え棒45が設けられている。押え棒45の下端部には、押えホルダ46が取り付けられている。押えホルダ46には、加工布100を押える押え足47が固定されている。頭部14の内部には、イメージセンサ48が、装着部351に装着された刺繍枠9を含む領域を撮像可能に設けられている。
【0026】
カットワーク針8について説明する。図4に示すように、カットワーク針8の先端部には、正面視にて先鋭形状(図示せず)、且つ側面視にて前後方向(図4の左右方向)に所定の幅を有する刃部89が形成されている。刃部89の前端部は、後端部よりやや下方に位置しており、刃部89の後端部と前端部との間は、やや上方に湾曲している。カットワーク針8でカットワークが実行されると、前後方向に延びる切れ目が加工布100に形成される。その切れ目の長さは、カットワーク針8の刃部89の幅と同じである。針棒6の下端部にカットワーク針8が固定されている場合、カットワークを実行可能であり、図3に示すように、針棒6の下端部に縫針7が固定されている場合、刺繍縫製が実行可能である。
【0027】
次に、図5〜図10を参照して、刺繍枠9について説明する。以下の説明では、図5及び図6の紙面上下方向を外枠94の上下方向と定義して説明する。図5から図10に示すように、刺繍枠9は、それぞれ円形の枠形状の内枠91、中枠92、及び外枠94が組み合わされて形成されている。図5に示すように、刺繍枠9において、内枠91の径方向外側に中枠92が配置され、中枠92の径方向外側に外枠94が配置されている。刺繍枠9は、内枠91と中枠92との間で加工布100を狭持し、外枠94に対して中枠92が回転可能な構成を有する。
【0028】
図5〜図8に示すように、内枠91は、円形の枠部911を備えている。枠部911は、軸方向及び径方向に厚みを有する。内枠91は、その直径を調整可能な調整部915を備えている。内枠91の直径は、内枠91と中枠92との間で挟持する加工布100の布厚に応じて調整される。調整部915は、分断部916、一対のネジ装着部917、及び調整ネジ918を備えている。分断部916は、内枠91の枠部911の周方向の一部が、軸方向に亘って分断された部位である。一対のネジ装着部917は、枠部911において分断部916の両側の上部に設けられ、径方向外側に突出して相対向している。一対のネジ装着部917には、ネジ装着部917が対向する面に直交する方向に貫通する孔部9171,9172が設けられている。2つの孔部9171,9172のうち、一方の孔部9172(図7の紙面右下側の孔部)には、ネジ穴が形成されたナット(図示せず)が埋設されている。
【0029】
調整ネジ918は、ユーザが指で摘んで回転させる径大な頭部9181と、頭部9181から一体的に延びる径小の軸部9183とを有するネジ部材である。軸部9183の先端寄りの部位には、雄ネジ部9182が形成されている。また、軸部9183の頭部9181側寄りの部位には、止め輪9185が嵌入される細溝9184が形成されている。調整ネジ918は、軸部9183が孔部9171を貫通し、孔部9172に埋設されたナットのネジ穴と雄ネジ部9182が螺合するように装着される。調整ネジ918は、この状態で、軸部9183の細溝9184に止め輪9185が嵌入されることで、孔部9171がある側のネジ装着部917に回転可能且つ軸方向には移動不能に保持される。ここで、ユーザが、調整ネジ918の頭部9181を指で摘んで回転操作すると、ナットを介して孔部9172がある側のネジ装着部917が軸部9183の軸方向に移動する。また、その移動方向は、調整ネジ918の回転方向によって決定される。このように、調整ネジ918は、一対のネジ装着部917を連結すると共に、一対のネジ装着部917の間隔を拡大又は縮小するように調整する。そして、一対のネジ装着部917の間隔が調整されることで、加工布100の布厚に応じて内枠91の直径が調整される。例えば、一対のネジ装着部917の間隔が狭くなるほど、内枠91の直径がより小さくなるので、布厚がより厚い加工布100を中枠92と内枠91との間で狭持することができる。なお、止め輪9185は、説明の都合上、図7以外は図示を省略している。
【0030】
内枠91の上側の端面には、標識110が設けられている。図8に示すように、標識110は、内枠91の上側の端面に第一円101、第二円102、第一中心点111、及び第二中心点112が描かれることで構成されている。第二円102と第一円101とは、内枠91の周方向に接触している。第二円102の直径は、第一円101の直径よりも小さい。第一中心点111は、第一円101の中心である。第二中心点112は、第二円102の中心である。
【0031】
図5〜図8に示すように、中枠92は、内枠91の枠部911の外径よりも大きい内径を有する円形の枠部921を備えている。中枠92の枠部921が内枠91の枠部911の径方向外側に着脱されることで、中枠92が内枠91に着脱される。図6〜図9に示すように、中枠92の枠部921の下端部には、外周面の全周に亘って形成された歯車である大歯車934が形成されている。大歯車934は、小歯車948(後述)に噛合される。
【0032】
図7に示すように、枠部921の外周側面における軸方向の中央部、且つ大歯車934の上側には、枠部921の全周に亘って径方向外側に向けて突出するフランジ部929が設けられている。枠部921の下端の内周側面には、枠部921の全周に亘って径方向内側に向けて突出する支持部936が設けられている。支持部936は、内枠91の下端面を支持する部位である。
【0033】
図5〜図8に示すように、外枠94は円形の枠部941を備えている。枠部941の下端の内周側面には、枠部941の全周に亘って径方向内側に向けて突出する支持部946が設けられている(図7参照)。支持部946が中枠92の下端面を支持することによって、枠部941が中枠92を保持する(図9参照)。
【0034】
枠部941の径方向外側には、取付部942が設けられている。取付部942は、円形の枠部941の接線方向(図8の上下方向。以下、単に「接線方向」という。)と略平行に延びる。取付部942は、ミシン1のベッド部11に装着される刺繍枠移動装置19が備える装着部351に着脱可能に構成されている。以下、説明を簡略化する為、「ミシン1が備える装着部351」と記載する。取付部942の接線方向一端側(図8の紙面上側の端部)には、枠側コネクタ部944が設けられている。枠側コネクタ部944は、凸型のコネクタであり、凹型のミシン側コネクタ部352と接続される部位を接線方向一端側(図8の紙面上側)に向けて配置されている。取付部942が装着部351に取り付けられると同時に、枠側コネクタ部944がミシン側コネクタ部352に連結されて電気的に接続される(図10参照)。枠側コネクタ部944は、導電線945を介してモータ947(後述)に電気的に接続されている。
【0035】
枠部941と取付部942との間には、枠部941と取付部942とを連結する箱状の収納部943が設けられている。図6及び図8に示すように、収納部943の内部には、モータ947が収納されている。
【0036】
モータ947は、その回転軸949を下方に向けて、収納部943に配設されている。回転軸949の下端には、中枠92の大歯車934より小さい径を有する小歯車948が固定されている。小歯車948は、大歯車934と噛合している。モータ947が駆動されて小歯車948が回転すると、大歯車934が回転する。これによって、外枠94に対して中枠92が回転する。
【0037】
内枠91、中枠92、及び外枠94を組み合わせる態様と刺繍枠9をミシン1(刺繍枠移動装置19)に取り付ける態様について説明する。内枠91、中枠92、及び外枠94を組み合わせる場合、まず、ユーザは、中枠92を、大歯車934が下側になるように作業机(図示せず)の上に載置する。そして、内枠91の下端で加工布100を下方に押圧し、内枠91を中枠92の内側に挿入し、内枠91と中枠92との間で加工布100を狭持する。このとき、調整ネジ918を適宜回転させて、加工布100の布厚に応じて内枠91の直径を調整する。加工布100が狭持された状態では、加工布100の縫製がなされる面は、内枠91の下端で内枠91の内側に張られた状態となる。以下の説明では、内枠91と中枠92とが組み合わされた状態の枠を、組付体95という(図1及び図5参照)。
【0038】
次いで、外枠94の上側から組付体95を外枠94に設置する。このとき、ユーザは、大歯車934と小歯車948とを噛み合わせるように、組付体95を枠部941に載置する。これによって、大歯車934と小歯車948とが係合され、外枠94に対する中枠92(組付体95)の回転が係止される。以上のようにして、内枠91、中枠92、及び外枠94が組み合わせられ、刺繍枠9の完成体が得られる。
【0039】
ユーザは、刺繍枠9の取付部942をミシン1の装着部351に取り付けることで、刺繍枠9の完成体をミシン1に取り付ける。この際、装着部351の前側(図10の紙面下側)から後側(図10の紙面上側)に向けて取付部942が移動されながら、装着部351に装着される。これと同時に、装着部351に設けられたミシン側コネクタ部352と、取付部942に設けられた枠側コネクタ部944とが連結されて電気的に接続される(図10参照)。これによって、ミシン1(CPU61)は、ミシン側コネクタ部352、枠側コネクタ部944、及び導電線945を介して、モータ947を制御することが可能となる。ミシン1は、モータ947を制御して、外枠94に対して中枠92(組付体95)を回転させたり、係止させたりすることができる。
【0040】
図11を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。図11に示すように、ミシン1の制御部60は、CPU61,ROM62,RAM63,EEPROM64、入出力インターフェイス65を備え、これらはバス67により相互に接続されている。ROM62には、CPU61が処理を実行するためのプログラム、データ等が記憶されている。EEPROM64は、カットワークデータ記憶領域641を少なくとも備えている。カットワークデータ記憶領域641には、カットワークデータテーブル59(図12参照)等、複数のカットワークデータテーブルが記憶されている。また、EEPROM64には、ミシン1が刺繍縫製を実行するための複数の刺繍データが記憶されている。
【0041】
入出力インターフェイス65には、縫製開始・停止スイッチ21、タッチパネル26、駆動回路71,72,75,85,86、87、及び88が電気的に接続されている。駆動回路71は、送り量調整用パルスモータ78を駆動させる。駆動回路72は、ミシンモータ79を駆動させる。駆動回路75は、液晶ディスプレイ15を駆動させる。駆動回路85及び86は、刺繍枠9を移動させるX軸モータ83及びY軸モータ84を夫々駆動する。駆動回路87は、イメージセンサ48を駆動する。CPU61は、イメージセンサ48を制御して、装着部351に装着された刺繍枠9を含む領域を撮像することができる。駆動回路88は、ミシン側コネクタ部352に接続されており、刺繍枠9に設けられたモータ947を駆動する。CPU61は、モータ947を制御して、中枠92(組付体95)を回転させることができる。
【0042】
図12を参照して、カットワークデータテーブル59について説明する。図12に示すカットワークデータテーブル59は、加工布100に刺繍された花の模様105(図15参照)における4つの花びら模様106の内側の領域107を切り抜くためのデータである。カットワークデータテーブル59は、カットワークデータ記憶領域641(図11参照)に記憶されている。
【0043】
図12に示すように、カットワークデータテーブル59には、変数N、枠回転データ、X座標、及びY座標の欄が設けられ、それぞれの項目に対応付けられてデータが記憶されている。変数Nは、加工布100を切断する順序を示す変数である。枠回転データは、予め設定された外枠94に対する中枠92の回転角度のデータである。X座標及びY座標は、予め設定されたミシン1に固有の刺繍座標系における針落ち点の座標である。
【0044】
なお、ミシン1では、刺繍枠の種類に応じて自動的に設定される縫製可能領域の中心点が針落ち点と一致する位置(以下、「初期位置」という。)が刺繍座標系の原点(X,Y)=(0,0)とされる。刺繍枠9については、内枠91内の回転中心を中心とする円形の縫製可能領域が設定され、当該中心が原点とされる。刺繍座標系では、ミシン1の左右方向(図15の紙面左右方向)がX軸方向、ミシン1の前後方向が(図15の紙面上下方向)がY軸方向である(図15参照)。また、ミシン1の左から右方向に向かう方向がX軸の+方向、前から後に向かう方向がY軸の+方向である。また、X軸の+側が「0度(0°)」のラインであり、「0度」に対して図15の紙面反時計回り方向が「+」、紙面時計回り方向が「−」である。
【0045】
本実施形態では、変数N「1」から「221」の順番で、枠回転データに基づく回転角度に中枠92が外枠94に対して合わせられ、X座標及びY座標の針落ち点でカットワーク針8(図4参照)によって加工布100が切断されることで、花の模様105に含まれる花びら模様106の内側の領域107(図15参照)が切り抜かれる。
【0046】
なお、図15に示す4つの花びら模様106は、EEPROM64に記憶された刺繍データに基づいて、4つの花びら模様106の外周に沿ってサテンステッチで刺繍縫製されることで形成されている。当該刺繍データには、針落ち点の座標(X座標及びY座標)が、縫製順に記憶されている。ミシン1は、縫製順に従って針落ち点の座標で加工布100に縫製を行うことによって、4つの花びら模様106の外周に沿って刺繍縫製を行う。
【0047】
また、本実施形態では、標識110の第一中心点111と原点との座標を結んだ仮想線と、0度であるX軸の+側とのなす角が、外枠94に対する中枠92の回転角度であるとする。枠回転データに基づく回転角度は、刺繍データに基づき4つの花びら模様106が刺繍縫製された際の外枠94に対する中枠92の回転角度が「0度」である場合において、刺繍縫製に続いてカットワークを行う場合に領域107を切り抜くことができるように設定されている。このため、例えば、4つの花びら模様106が刺繍縫製された際の外枠94に対する中枠92の回転角度が「+45度」であれば、「+45度」分、枠回転データに基づく回転角度が補正されて、カットワークが行われる(図13のS15参照、詳細は後述)。
【0048】
図13〜図18を参照し、ミシン1のCPU61において実行されるカットワーク処理について説明する。以下の説明では、図15に示す花の模様105に含まれる4つの花びら模様106の内側の領域107を切り抜く場合を具体例として説明する。以下の具体例では、花の模様105に含まれる4つの花びら模様106の刺繍縫製が行われた後、加工布100が取り外されることなく、続けてカットワークが行われる場合について説明する。
【0049】
CPU61は、刺繍データに基づいて4つの花びら模様106を刺繍縫製する直前、又は刺繍縫製した直後に、イメージセンサ48で刺繍枠9を撮像する。そして、CPU61は、撮像した画像中の標識110を識別する。CPU61は、原点(刺繍枠9の中心)と第一円101の第一中心点111の座標とを結んだ仮想線と、0度であるX軸の+側とのなす角(外枠94に対する中枠92の回転角度)を算出し、RAM63に記憶する。具体例では、4つの花びら模様106が刺繍縫製された際の外枠94に対する中枠92の回転角度が「+45度」であるとする。4つの花びら模様106が刺繍縫製された際の外枠94に対する中枠92の回転角度が記憶されるので、例えば、刺繍縫製後にユーザが手動で中枠92を10度分回転させた場合でも、CPU61は、標識110を使用して中枠92の回転角度を検出することで、刺繍縫製が行われた時点から10度分回転されたことを認識できる。
【0050】
4つの花びら模様106の内側の領域107を切り抜く場合、ユーザは、針棒6にカットワーク針8を装着する。このとき、カットワーク針8の刃部89の向きは、図4に示すように、前後方向に延びる向きに固定されるので、加工布100上の4つの領域107全てを切り抜くためには、外枠94に対する中枠92(組付体95)の回転角度を変更しながら、花びら模様106の内側の輪郭に沿って切断する必要がある。よって、ミシン1は、カットワーク処理を行うことで、外枠94に対する中枠92の回転角度を変更しながら領域107を切り抜く。
【0051】
図13に示すように、カットワーク処理では、まず、刺繍枠9の中心(原点)が針落ち点になるように刺繍枠9が初期位置に移動された後、イメージセンサ48が制御され、装着部351に装着された刺繍枠9を含む領域が撮像される(S11)。次いで、S11で撮像された画像151が液晶ディスプレイ15に表示される(S12)。表示された画像151の一例を図15に示す。なお、図15では説明のため、加工布100については、内枠91の内側に存在する加工布100の部位のみを示している(図17及び図18も同様)。
【0052】
次いで、撮像された画像151から刺繍枠9に付された標識110が識別され、識別された標識に基づいて外枠94に対する中枠92の回転角度が検出される(S13)。例えば、図15に示す画像151が撮像された場合、刺繍枠9上に付された標識110が識別される。そして、原点(刺繍枠9の中心)と第一円101の第一中心点111の座標位置とを結んだ仮想線と、「0度」のラインであるX軸の+側とのなす角(外枠94に対する中枠92の回転角度)が検出される。以下の説明では、S13又はS34(後述)で検出された、外枠94に対する中枠92の回転角度を「検出角度」という。図15に示す具体例では、検出角度が「+45度(+45°)」である。すなわち、RAM63に記憶された刺繍縫製が行われた際の中枠92の回転角度(+45度)と、現在の中枠92の回転角度とが同一である。
【0053】
次いで、ユーザによって、1つのカットワークデータテーブルが選択されたか否かが判断される(S14)。S14では、液晶ディスプレイ15に複数のカットワークの模様が表示され、ユーザがパネル操作によって1つのカットワークの模様を選択する。ユーザによって1つのカットワークの模様が選択されると、対応する1つのカットワークデータテーブルが選択されたと判断される。カットワークデータテーブルが選択されていない場合(S14:NO)、処理はS14に戻る。具体例では、花びら模様106の内側の領域107を切り抜くためのカットワークデータテーブル59(図12参照)が選択されたとする。
【0054】
カットワークデータテーブル59が選択された場合(S14:YES)、現在の中枠92の回転角度に応じてカットワークデータテーブル59の枠回転データが補正される(S15)。つまりS15では、RAM63に記憶された4つの花びら模様106が刺繍縫製された際の外枠94に対する中枠92の回転角度「+45度」を用いて、カットワークデータテーブル59の枠回転データが補正される。例えば、図12に示すカットワークデータテーブル59の枠回転データに基づく回転角度に、4つの花びら模様106が刺繍縫製された際の外枠94に対する中枠92の回転角度「+45度」が加算され、図16の補正後のカットワークデータテーブル591に示すように補正される。例えば、変数Nが「1」の場合、「−45度」(図12参照)から「0度」(図16参照)に補正される。また、中枠が回転することによって、カットワークデータテーブル59のX座標及びY座標は、X´座標及びY´座標に変換される。具体的には、中枠92の回転角度をθ、元の座標値をx,y、変換後の座標値をu,vとすると、以下の数式により変換される。図16は、座標変換後のX´座標及びY´座標を含むカットワークデータテーブル591を示す。
u=xcosθ−ysinθ
v=xsinθ+ycosθ
【0055】
次いで、変数Nが「1」に設定され、RAM63に記憶される(S16)。次いで、カットワークデータテーブル59中の変数Nに対応する枠回転データに基づく回転角度(以下、「目標回転角度」という。)と、S13で検出された検出角度とが比較される(S16)。次に、S16における比較の結果、目標回転角度と、検出角度とが一致するか否かが判断される(S18)。目標回転角度と検出角度とが一致する場合(S18:YES)、処理は、S23(後述)に進む。
【0056】
具体例では、変数N「1」における目標回転角度「0度」(図16参照)と検出角度「+45度」とが一致しないと判断される(S18:NO)。目標回転角度と検出角度とが一致しない場合(S18:NO)、目標回転角度と検出角度とが一致していないことを示す情報が報知される(S19)。S19では、例えば、「刺繍枠を回転させます」のメッセージが液晶ディスプレイ15に表示される(図15参照)。これによって、ユーザは、目標回転角度と検出角度とが一致していないことを知ることができると共に、ミシン1が刺繍枠9を回転させる動作を行うことを知ることができる。よって、ユーザが勝手に中枠92(組付体95)を回転させてしまうことを防止できる。
【0057】
次いで、枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)が報知される(S20)。S20では、例えば、「目標回転角度:0度(0°)」のメッセージが液晶ディスプレイ15に表示される(図15参照)。これによって、ユーザは、ミシン1が刺繍枠9を「0度」まで回転させることを認識できる。次いで、第一枠回転処理が実行される(S21)。
【0058】
図14を参照して、第一枠回転処理について説明する。第一枠回転処理は、ミシン1が中枠92(組付体95)を回転させて、外枠94に対する中枠92の回転角度を目標回転角度に合わせるための処理である。図14に示すように、第一枠回転処理では、モータ947が制御され、S13で検出された目標回転角度に向けて、中枠92の回転が開始される(S30)。以降の処理において、CPU61は、S37(後述)で中枠92の回転が停止されるまで、モータ947を制御して中枠92を回転させる。
【0059】
次いで、S11(図13参照)と同様に、イメージセンサ48が制御され、装着部351に装着された刺繍枠9を含む領域が撮像される(S31)。次いで、S31で撮像された画像151が液晶ディスプレイ15に表示される(S32)。次いで、S13(図13参照)と同様に、撮像された画像から、刺繍枠9に付された標識110が識別され、識別された標識に基づいて外枠94に対する中枠92の回転角度が検出される(S33)。
【0060】
次いで、S33で検出された検出角度が報知される(S34)。S34では、検出角度が液晶ディスプレイ15に表示される。これによって、ユーザは、現在の回転角度を明確に認識することができる。具体例では、検出角度が「+45度」なので、液晶ディスプレイ15に「現在の回転角度:+45度(+45°)」のメッセージが表示される(図15参照)。
【0061】
次いで、S16(図13参照)と同様に、目標回転角度と検出角度とが比較される(S35)。次いで、S18(図13参照)と同様に、S35における比較の結果、目標回転角度と検出角度とが一致するか否かが判断される(S36)。目標回転角度と検出角度とが一致しない場合(S36:NO)、処理はS31に戻る。つまり、CPU61は、目標回転角度と検出角度とが一致するまで、S31〜S36の処理を繰り返しながらモータ947を制御して、外枠94に対して中枠92を回転させる。S31〜S36が繰り返されることで、ミシン1が中枠92の回転角度を調整している間、リアルタイムに、刺繍枠9の画像151が撮像されて液晶ディスプレイ15に表示される(S31及びS32)。また、リアルタイムに、現在の外枠94に対する中枠92の回転角度(検出角度)が液晶ディスプレイ表示される(S34)。
【0062】
例えば、CPU61が、「+25度」の位置まで中枠92を時計回りに回転させた場合、図17に示すように、液晶ディスプレイ15に、中枠92が「+25度」まで回転した画像151と、「現在の回転角度:+25度」のメッセージが表示される。そして、図18の画像151に示すように、「0度」の位置まで中枠92が回転されると、目標回転角度と検出角度とが一致したと判断され(S36:YES)、モータ947が制御され、中枠92の回転が停止される(S37)。次いで、第一枠回転処理が終了され、処理は、S22(図13参照)に進む。
【0063】
図13に示すように、S22では、検出角度と目標回転角度とが一致したことを示す情報が報知される(S22)。S22では、液晶ディスプレイ15に「回転角度が目標回転角度と一致しました」のメッセージが表示される(図18参照)。これによって、ユーザは、外枠94に対する中枠92の回転角度が、枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)に一致したことを容易に知ることができる。
【0064】
次いで、変数Nの値に対応する1針分のカットワークが実行される(S23)。カットワークデータテーブル591において、例えば、変数Nが「1」の場合、X座標は「u1」であり、Y座標は「v1」である。このため、X軸モータ83及びY軸モータ84が駆動され、X座標「u1」及びY座標「v1」が針落ち点になるように、刺繍枠9が移動される。そして、針棒6が駆動され、加工布100上のX座標「u1」及びY座標「v1」の位置(図18参照)がカットワーク針8によって切断される。なお、図18では、枠回転データに基づく回転角度が「0度」の場合に(変数Nが「1」〜「36」の場合に)、加工布100が切断される場合のカットワーク針8の針落ち点108の一例を「白丸(○)」で表している。本実施形態では、白丸をつなぐようにミシン1の前後方向(カットワーク針8の刃部89の向き)に加工布100が切断される。
【0065】
次いで、変数Nがインクリメントされる(S24)。次いで、カットワークが終了したか否かが判断される(S25)。S25では、カットワークデータテーブル59において、現在の変数Nの値に対応する枠回転データ等のデータが存在するか否かが判断されることで、カットワークが終了したか否かが判断される。例えば、現在の変数Nが「222」であれば、カットワークデータテーブル59には、データが存在しないので、カットワークが終了したと判断される。
【0066】
カットワークが終了していない場合(S25:NO)、カットワークデータテーブル59において、枠回転データに基づく回転角度が変化したか否かが判断されることで、外枠94に対する中枠92の回転角度の変更が必要か否かが判断される(S26)。例えば、カットワークデータテーブル59(図12参照)に示すように、変数Nが「1」から「36」の間は、枠回転データに基づく回転角度が「0度」で変化していないため、外枠94に対する中枠92の回転角度の変更が必要ないと判断され(S26:NO)、処理はS23に戻る。このため、カットワークが継続される。
【0067】
また、例えば、変数Nが「36」から「37」に変化した場合には、枠回転データに基づく回転角度が「0度」から「+45度」に変化しているため(図12参照)、外枠94に対する中枠92の回転角度の変更が必要であると判断され(S26:YES)、処理はS19に戻る。すなわち、目標回転角度「+45度」と検出角度とが一致していないことを示す情報が報知され(S19)、目標回転角度が報知される(S20)。そして、前述の「+45度」から「0度」に回転させる場合と同様に、ミシン1は、外枠94に対して中枠92を回転させ、目標回転角度を「+45度」に調整する。そして、検出角度と目標回転角度「+45度」とが一致すると(S36:YES)、目標回転角度「+45度」におけるカットワークが実行される(S23〜S26)。
【0068】
以降においても、中枠92の回転と、加工布100の切断とを繰り返すことによって、カットワークが継続される。そして、カットワークが終了したと判断されると(S25:YES)、カットワーク処理が終了される。これによって、4つの花びら模様106の内側の領域107が全て切り抜かれた花の模様105の完成体が得られる。
【0069】
以上のように、刺繍枠9が用いられてカットワーク処理が行われる。本実施形態では、外枠94に対して中枠92を回転させるモータ947及び小歯車948が刺繍枠9に設けられている。また、刺繍枠9をX方向及びY方向に移動させるための、X軸移動機構、Y軸移動機構、X軸モータ83、Y軸モータ84等は、刺繍枠9には設けられておらず、ミシン1側に設けられている。すなわち、刺繍枠9を回転させるモータ947及び小歯車948を刺繍枠9に設けているため、従来のミシンの構成に比べて、刺繍枠9を回転させる駆動手段が大型化することを防止できる。
【0070】
また、枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)と検出角度とが一致していないと判断された場合に(S18:NO、又は、S36:NO)、CPU61は中枠92を回転させ、一致した場合に中枠92を停止させることができる(S37)。よって、ミシン1は、枠回転データに基づく回転角度に中枠92の回転角度を自動で合わせることができる。
【0071】
また、枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)と検出角度とが一致した場合に(S18:YES、又は、S36:YES)、針棒6が駆動され、切断が実行される(S23)。また、枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)と検出角度とが一致していない場合には(S18:NO、又は、S36:NO)、S23が実行されず、加工布100の切断が行われない。このため、枠回転データに基づく回転角度と検出角度とが一致していない場合に、誤って加工布100を切断することを防止できる。
【0072】
また、刺繍枠9が装着部351に装着されると同時に枠側コネクタ部944とミシン側コネクタ部352とが連結される(図10参照)。よって、刺繍枠9を装着部351に装着する作業と、ミシン側コネクタ部352と枠側コネクタ部944とを連結する作業とを別々に行う必要がない。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0073】
また、刺繍枠9の外枠94には、中枠92を保持する枠部941と取付部942との間の収納部943にモータ947が設けられている。取付部942は、ミシン1の装着部351に取り付けられて支持される部位である。すなわち、装着部351に支持される部位である取付部942の近くにモータ947が位置する。このため、例えば、枠部941と取付部942との間を連結する収納部943から離れた位置にモータ947が設けられている場合に比べて、刺繍枠9を小型化できる。また、重量の大きいモータ947が装着部351の近くに位置するので、刺繍枠9全体の重心位置が装着部351の近くになり、刺繍枠9が装着部351によって安定して支持される。
【0074】
また、中枠92を回転させる駆動手段は、モータ947と小歯車948とからなるので簡単な構成で実現できる。また、モータ947と小歯車948とが外枠94に設けられているため、ミシン1における刺繍枠9を装着する部分である装着部351や、キャリッジカバー35が大型化することを防止できる。
【0075】
また、ミシン1が備えるイメージセンサ48で撮像可能な標識110が、内枠91に設けられているので、外枠94に対する内枠91及び中枠92の回転に伴って、標識110の位置が変わる。このため、ミシン1は、イメージセンサ48で標識110を撮像して、撮像した標識110を用いて外枠94に対する中枠92の回転角度を検出することができる。つまり、刺繍枠9は、ミシン1に中枠92の回転角度を検出させることができる。
【0076】
また、刺繍枠9は、中枠92を回転可能に構成されており、ミシン1はモータ947を制御して中枠92を回転させながら、自動でカットワークを実行している。このため、ユーザが外枠94に対して中枠92を回転させる必要がない。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0077】
上記実施形態において、EEPROM64が本発明の「記憶手段」に相当し、イメージセンサ48が本発明の「撮像手段」に相当する。図13のS13及び図14のS33の処理を行うCPU61が本発明の「検出手段」に相当し、S18及びS36の処理を行うCPU61が本発明の「回転角度判断手段」に相当する。S30〜S36が行われている間に、モータ947を制御して中枠92を回転させる処理、S18、S36、及びS37の処理を行うCPU61が、本発明の「回転制御手段」相当する。S30〜S36が行われている間に、モータ947を制御して中枠92を回転させる処理を行うCPU61が、本発明の「第一回転手段」に相当し、S37の処理を行うCPU61が、本発明の「停止手段」に相当する。縫針7及びカットワーク針8が本発明の「針」に相当し、ミシンモータ79が本発明の「針棒駆動手段」に相当する。S18、S36、及びS23の処理を行うCPU61が本発明の「駆動制御手段」に相当し、モータ947及び小歯車948が本発明の「駆動手段」に相当する。枠部941が本発明の「枠保持部」に相当する。
【0078】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、液晶ディスプレイ15に種々の情報が表示されることでユーザに報知されていたが(図13のS19、S20、S22、図14のS34)、これに限定されない。例えば、LED(Light Emitting Diode)を設けて、検出角度と目標回転角度とが一致した場合や、検出角度と目標回転角度とが一致していない場合等に、LEDが、点灯や点滅等して、ユーザに報知してもよい。また、必ずしもユーザに報知する必要はなく、ユーザに報知しなくてもよい。
【0079】
また、刺繍枠9の取付部942が装着部351に取り付けられると同時に、ミシン側コネクタ部352に対して枠側コネクタ部944が連結されて電気的に接続されていたが、これに限定されない。例えば、刺繍枠9の取付部942を装着部351を取り付ける作業と、ミシン側コネクタ部352と枠側コネクタ部944とを連結する作業とを別々に行うように、刺繍枠9とミシン1とを構成してもよい。
【0080】
また、刺繍枠9は、小歯車948、モータ947、及び大歯車934を備え、小歯車948が中枠92の大歯車934に噛合され、モータ947と小歯車948とが中枠92を回転させていたが、これに限定されない。CPU61の制御によって中枠92を回転できれば、刺繍枠の構成は限定されない。
【0081】
また、標識110は、刺繍枠9の内枠91に設けられていたが、これに限定されない。例えば、所定の大きさのシート表面に標識110を描画し、当該シート裏面に粘着剤が塗布された構成のものであってもよい。そしてこのシートを、内枠91と中枠92との間に狭持された加工布100上に貼付すればよい。この場合、撮像された画像から刺繍枠9に取り付けられた加工布100上に貼付けられた標識110が識別され、識別された標識110に基づいて、外枠94に対する中枠92の回転角度が検出される(S13及びS33)。
【0082】
また、刺繍枠9に取り付けられた加工布100に対して、刺繍縫製とカットワークとが実行されていたが、これに限定されない。例えば、刺繍枠9の大きさよりも大きい他の刺繍枠を使用して、加工布100に花の模様105の花びら模様106を含む刺繍模様を刺繍縫製した後、当該他の刺繍枠から加工布100を取り外し、刺繍枠9に取り付けてカットワークを実行することで、領域107を切り抜いてもよい。なお、この場合、他の刺繍枠で刺繍縫製された場合の花の模様105の位置(原点に対する座標)と、刺繍枠9に取り付けられた際の花の模様105の位置(原点に対する座標)とが異なるが、例えば、以下のように処理を行うことで、花の模様105の領域107を切り抜くことができる。
【0083】
例えば、ミシン1によって他の刺繍枠に取り付けられた加工布100に対して花びら模様106が刺繍縫製された後、ユーザは、標識110が描画された前記シールを加工布100上に貼付する。そして、ミシン1(CPU61)は、イメージセンサ48で標識110を撮像する。ミシン1は、撮像された画像から標識110を識別する。ミシン1は、刺繍縫製を行った際の4つの花びら模様106と第一中心点111と第二中心点112との位置関係などの情報(以下、「模様位置情報」という。)をRAM63に記憶する。そして、ユーザは、標識110が描画された前記シールを貼付した状態のままで加工布100を他の刺繍枠から取り外し、刺繍枠9に取り付ける。その後、ミシン1は標識110を撮像し、標識110の第一中心点111と第二中心点112との座標を取得する。そして、ミシン1は、他の刺繍枠に加工布100が取り付けられていた状態の模様位置情報と、現在の第一中心点111と第二中心点112との座標に基づいて、4つの花びら模様106の中心位置やX軸を基準とする角度を特定する。そして、ミシン1は、位置や角度を特定した4つの花びら模様106における領域107を切り抜くことが可能なように、カットワークデータテーブル59の枠回転データ、X座標、及びY座標の補正値を算出する。そして、ミシン1は、補正後のカットワークデータテーブル59を使用して、領域107を切り抜く。このようにすれば、他の刺繍枠から刺繍枠9に加工布100を張り替えた場合でも、領域107を切り抜くことができる。なお、中枠92の回転角度、花の模様105の位置、花の模様105の角度、及び領域107を切り抜くための補正値などの算出方法は限定されず、撮像した画像中の標識110を用いて算出可能な種々の方法を採用することができる。
【0084】
また、中枠92の回転が開始された後(S30)、外枠94に対する中枠92の回転角度が検出され(S33)、目標回転角度と一致した場合に(S36:YES)、中枠92の回転が停止されることで、中枠92の回転角度の調整が行われていたが、これに限定されない。検出角度と枠回転データとに基づいて、モータ947を制御して中枠92の回転量を制御できれば、特に処理方法は限定されない。例えば、ミシン1は、検出角度と目標回転角度との差分を算出し、算出した差分に対応する角度分、モータ947を制御して中枠92を回転させることで、中枠92の回転角度の調整を行ってもよい。以下、図19を参照し、この変形例に係る第二実施形態について説明する。
【0085】
図19は、第二実施形態に係る第二枠回転処理を示している。第二枠回転処理は、第一枠回転処理(図14参照)の変形例であり、カットワーク処理(図13参照)におけるS21が実行された場合に実行される。
【0086】
第二枠回転処理では、枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)と、S13で検出された検出角度との差分が算出される(S41)。例えば、図15の画像151に示す場合では、第一実施形態と同様に、S13で検出された回転角度は、「+45度」である。そして、変数Nが「1」における枠回転データに基づく回転角度(目標回転角度)は「0度」である(図12参照)。よって、目標回転角度「0度」からS13で検出された検出角度「+45度」との差分「45度」が算出される。
【0087】
ついで、S41で算出された差分に対応する角度分、モータ947が制御されて中枠92(組付体95)が回転される(S42)。すなわち、中枠92が時計回り方向に「45度」分回転するように、モータ947に対して電流が通電される。これによって、図15の画像151に示す刺繍枠9の状態から、「−45度」分、中枠92が回転され、図18の画像151に示すように、中枠92の回転角度が、目標回転角度と同じ「0度」となる。中枠92の回転が終了すると、第二枠回転処理が終了され、第一実施形態と同様に、S23〜S26の処理が行われる(図13参照)。
【0088】
以上のように、第二実施形態における処理が実行される。本実施形態では、S41で算出された差分に対応する角度分、中枠92が回転される(S42)。よって、枠回転データに基づく回転角度に中枠92の回転角度を自動で合わせることができる。
【0089】
本実施形態において、S41及びS42の処理を行うCPU61が本発明の「回転制御手段」に相当する。S41の処理を行うCPU61が本発明の「算出手段」に相当し、S42の処理を行うCPU61が本発明の「第二回転手段」に相当する。
【符号の説明】
【0090】
1 ミシン
6 針棒
7 縫針
8 カットワーク針
9 刺繍枠
48 イメージセンサ
59 カットワークデータテーブル
61 CPU
64 EEPROM
79 ミシンモータ
91 内枠
92 中枠
94 外枠
100 加工布
110 標識
351 装着部
352 ミシン側コネクタ部
641 カットワークデータ記憶領域
934 大歯車
942 取付部
943 収納部
944 枠側コネクタ部
947 モータ
948 小歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の枠形状の内枠と、前記内枠の径方向外側に着脱可能な円形の枠形状の中枠と、前記中枠の径方向外側に着脱可能に構成され、前記中枠を回転可能に保持する円形の枠形状の外枠と、前記外枠に対して前記中枠を回転させる駆動手段とを備えた刺繍枠を装着可能な装着部と、
予め設定された前記外枠に対する前記中枠の回転角度のデータである枠回転データを記憶する記憶手段と、
前記装着部に装着された前記刺繍枠を含む領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像から前記刺繍枠又は前記刺繍枠に取り付けられた加工布上に付された標識を識別し、識別した前記標識を用いて前記外枠に対する前記中枠の回転角度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記中枠の回転角度である検出角度と、前記記憶手段に記憶された前記枠回転データとに基づいて、前記駆動手段を制御して前記中枠の回転量を制御する回転制御手段と
を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記回転制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記枠回転データに基づく回転角度と、前記検出手段によって検出された前記検出角度とが一致したか否かを判断する回転角度判断手段と、
前記回転角度判断手段によって前記枠回転データに基づく回転角度と前記検出角度とが一致していないと判断された場合に、前記駆動手段を制御して前記中枠を回転させる第一回転手段と、
前記第一回転手段によって前記中枠が回転されている場合において、前記回転角度判断手段によって前記枠回転データに基づく回転角度と前記検出角度とが一致していると判断された場合に、前記駆動手段を制御して前記中枠の回転を停止させる停止手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記回転制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記枠回転データに基づく回転角度と、前記検出手段によって検出された前記検出角度との差分を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記差分に対応する角度分、前記駆動手段を制御して前記中枠を回転させる第二回転手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項4】
針を装着可能な針棒を駆動させる針棒駆動手段と、
前記記憶手段に記憶された前記枠回転データに基づく回転角度と前記検出手段によって検出された前記検出角度とが一致した場合に、前記針棒駆動手段による前記針棒の駆動を開始させる駆動制御手段と
を備えことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のミシン。
【請求項5】
前記刺繍枠に設けられた枠側コネクタ部に対して、電気的に接続可能なミシン側コネクタ部を備え、
前記刺繍枠が前記装着部に装着されると同時に、前記枠側コネクタ部と前記ミシン側コネクタ部とが連結され、
前記回転制御手段は、前記ミシン側コネクタ部及び前記枠側コネクタ部を介して前記駆動手段と電気的に接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のミシン。
【請求項6】
円形の枠形状の内枠と、
前記内枠の径方向外側に着脱可能な円形の枠形状の中枠と、
前記中枠の径方向外側に着脱可能に構成され、前記中枠を回転可能に保持する円形の枠形状の外枠と、
前記外枠に対して前記中枠を回転させる駆動手段と
を備えたことを特徴とする刺繍枠。
【請求項7】
前記外枠は、
前記中枠を保持する円形の枠形状の枠保持部と、
前記枠保持部の径方向外側に位置し、ミシンが備える装着部に着脱可能に構成された取付部と、
前記取付部と前記枠保持部との間を連結し、且つ、内部に前記駆動手段を収納する収納部と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の刺繍枠。
【請求項8】
前記装着部に設けられたミシン側コネクタ部に対して、前記取付部が前記装着部に取り付けられると同時に連結されて電気的に接続される枠側コネクタ部を備えたことを特徴とする請求項7に記載の刺繍枠。
【請求項9】
前記中枠には、外周面の全周に亘って大歯車が形成され、
前記駆動手段は、
前記外枠に配設されたモータと、
前記大歯車に噛合し、前記大歯車より小さい径を有して前記モータの回転軸に固定された小歯車と
を備えたことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の刺繍枠。
【請求項10】
前記内枠に、ミシンが備える撮像手段で撮像可能な標識が設けられたことを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の刺繍枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−70875(P2013−70875A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213124(P2011−213124)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】