メタルハライドランプ点灯装置およびそれを用いた前照灯、車両
【課題】メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進してメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減する。
【解決手段】ランプ電力制御部6は、メタルハライドランプLaの累積点灯時間を計測する累積点灯時間計測部61と、累積点灯時間計測部61での計測結果に応じてランプ電力の大きさを制御する制御部62とを有する。制御部62は、累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間にはランプ電力を定格値よりも高い値に設定し、前記エイジング期間以降の常用期間にはランプ電力を定格値に設定する。これにより、エイジング期間においては、メタルハライドランプLa内で生じる金属ハロゲン化物とガラスとの反応が促進されて遊離ヨウ素が加速的に生成される。
【解決手段】ランプ電力制御部6は、メタルハライドランプLaの累積点灯時間を計測する累積点灯時間計測部61と、累積点灯時間計測部61での計測結果に応じてランプ電力の大きさを制御する制御部62とを有する。制御部62は、累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間にはランプ電力を定格値よりも高い値に設定し、前記エイジング期間以降の常用期間にはランプ電力を定格値に設定する。これにより、エイジング期間においては、メタルハライドランプLa内で生じる金属ハロゲン化物とガラスとの反応が促進されて遊離ヨウ素が加速的に生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルハライドランプを点灯させるメタルハライドランプ点灯装置およびそれを用いた前照灯、車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スポットライトやプロジェクタ用光源や車両の前照灯(ヘッドライト)などに利用されている高輝度放電灯の一種であるメタルハライドランプを点灯させるメタルハライドランプ点灯装置として、音響共鳴を回避する等の目的で、低周波の矩形波によってメタルハライドランプを点灯させるものが知られている。
【0003】
この種のメタルハライドランプ点灯装置は、矩形波状であって極性が交互に反転するランプ電圧を生成する主回路を備え、主回路の出力するランプ電圧をメタルハライドランプに印加することによってメタルハライドランプを点灯させる。
【0004】
ただし、このように矩形波によりメタルハライドランプを点灯させる方式では、ランプ電圧の極性反転時に、メタルハライドランプに流れる電流(以下、ランプ電流という)が瞬間的にゼロとなるため、メタルハライドランプの再点弧の際に高周波ノイズが発生するという問題がある。この高周波ノイズを減らすには、再点弧を容易にするために電極温度を上げることが効果的であるという実験結果があり、横軸を時間軸としてランプ電流の波形を表した図10に示すように極性反転前(図10(a))や極性反転の前後(図10(b)〜(d))においてランプ電流を一時的に増大させるといった対策が考えられている(たとえば特許文献1、2)。たとえば図10(a)のように極性反転前にランプ電流を増大させた場合、極性反転時の電極温度を高く保つことができ、極性反転時にメタルハライドランプから発生する高周波ノイズを低減できることが確認されている。
【特許文献1】特表平10−501919号公報
【特許文献2】特開2002−110392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようにランプ電圧の極性反転時のランプ電流を増大させる制御を行うと、ランプ電流が増大している間にメタルハライドランプの光出力が瞬間的に変動することとなる。その結果、メタルハライドランプ自体が静止している場合には光出力の増減が認識されることはないものの、車載用などでメタルハライドランプ自体が高速で移動するような場合にはちらつきなどを感じさせる原因となる。なお、メタルハライドランプから発生する高周波ノイズを減らす別の手段として、極性反転のスピードを速くすることで電極の温度低下を抑制することも考えられるが、この場合、主回路から発生するノイズの増加や、回路素子への負担が増え主回路の信頼性が確保できない等の問題を生じる。
【0006】
ところで、ランプ電圧の極性反転時に発生する高周波ノイズはメタルハライドランプの累積点灯時間の経過に伴って低減することが分かっている。図11は金属ハロゲン化物(メタルハライド)としてヨウ化ナトリウム(NaI)が発光管に封入された3種類の車載用のメタルハライドランプ(ランプ1〜ランプ3)について、ランプ電圧の極性反転に起因すると思われる高周波ノイズ(約400kHz)の経時変化の一例を示したものであって、累積点灯時間(横軸)の経過に従ってノイズピーク値(縦軸)が低下することを表している。このようなノイズレベルの低下は、累積点灯時間の経過に伴い、メタルハライドランプの発光管内で金属ハロゲン化物(ここではヨウ化ナトリウム)と発光管を形成するガラスとの反応が進むことなどによって遊離したヨウ素(以下、遊離ヨウ素という)が増加し、発光管内で生じるアークが細くなり、陰極側の電極上に形成されるホットスポット(輝点)が小さくなってスポット温度が上昇するような事象に起因するものと推定される。つまり、遊離ヨウ素が増加すると、電極温度が高くなるため、極性反転時にホットスポットが形成されやすくなって高周波ノイズが低減されると考えられる。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進してメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減することができるメタルハライドランプ点灯装置およびそれを用いた前照灯、車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明では、メタルハライドランプの一対の電極間を流れる電流の向きが交互に反転するようにメタルハライドランプにランプ電圧を印加することでメタルハライドランプを点灯させる主回路と、メタルハライドランプの累積点灯時間に応じてメタルハライドランプへの供給電力を可変制御するランプ電力制御部とを備え、ランプ電力制御部は、累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、エイジング期間終了後の常用期間に比べてメタルハライドランプへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなるように前記供給電力を制御することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電力制御部は、メタルハライドランプの累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、エイジング期間終了後の常用期間に比べてメタルハライドランプへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなるように前記供給電力を制御するので、エイジング期間においては、メタルハライドランプの発光管内で生じる金属ハロゲン化物とガラスとの反応が促進される。すなわち、メタルハライドランプの発光管内の反応の度合いはメタルハライドランプの動作温度に強く依存しているから、メタルハライドランプへの供給電力量を増やすことで前記反応を促進して遊離ヨウ素の生成を早めることができる。その結果、ランプ電圧の極性反転時に発生する高周波ノイズのノイズレベルをエイジング期間において早急に低下させ、その後の常用期間には高周波ノイズを低レベルに維持することが可能となる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ランプ電力制御部が、前記メタルハライドランプへの供給電力を前記常用期間には定格値に設定し、前記エイジング期間には定格値よりも高く設定することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、常用期間には、メタルハライドランプへの供給電力は定格値に設定されるので、エイジング期間終了後においてメタルハライドランプの発光管内で過度に反応が進むことを回避することができるという利点がある。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記ランプ電力制御部が、前記メタルハライドランプの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作において、メタルハライドランプへの供給電力を定格値よりも高い始動電力に保持時間だけ保持して保持時間経過後に定格値に低下させるものであって、前記エイジング期間には前記常用期間に比べて保持時間を長く設定することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、メタルハライドランプの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作において、メタルハライドランプへの供給電力を制御することでメタルハライドランプの発光管内での反応を促進するようにしているから、ランプ電力制御部による供給電力の制御が定常点灯時におけるメタルハライドランプの点灯状態に影響を及ぼすことはない。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記ランプ電力制御部が、前記メタルハライドランプの電気特性のうち当該メタルハライドランプの累積点灯時間に関連して変化する電気特性を監視し、当該監視結果から累積点灯時間を判別する累積点灯時間判別部を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、メタルハライドランプの電気特性の監視結果から累積点灯時間を判別するので、累積点灯時間をリセットする機能を設けなくとも、ランプ交換時には累積点灯時間がリセットされることとなり、回路の簡略化を図ることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のメタルハライドランプ点灯装置と、メタルハライドランプ点灯装置からランプ電圧が印加されることで点灯するメタルハライドランプと、メタルハライドランプを保持する灯体とを備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、前照灯において、メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進することでメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減することができるので、ランプ電圧の極性反転時のランプ電流を増大させることで高周波ノイズを低減する従来例のように、メタルハライドランプの光出力が変動して走行中にちらつきを感じさせるという問題を生じることはない。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5記載の前照灯を車両本体に備えることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、車両において、メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進することでメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減することができるので、ランプ電圧の極性反転時のランプ電流を増大させることで高周波ノイズを低減する従来例のように、メタルハライドランプの光出力が変動して走行中にちらつきを感じさせるという問題を生じることはない。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、電力制御部が、メタルハライドランプの累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、その後の常用期間に比べて前記一定時間内にメタルハライドランプへ供給される電力量が多くなるように前記供給電力を制御するので、エイジング期間においては、メタルハライドランプの発光管内で生じる金属ハロゲン化物(メタルハライド)とガラスとの反応が促進される。結果的に、ランプ電圧の極性反転時に発生する高周波ノイズのノイズレベルを早急に低下させ、その後の常用期間には高周波ノイズを低レベルに維持することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態1)
本実施形態のメタルハライドランプ点灯装置(以下、単に「点灯装置」と略称する)Aは、図1に示すように、直流電源1からの直流電圧をメタルハライドランプLaが必要とする大きさに変換するDC−DCコンバータ2と、DC−DCコンバータ2の出力(直流電圧)を低周波の矩形波状のランプ電圧に変換するインバータ回路3と、メタルハライドランプLaの始動時に数十kVの電圧を発生するイグナイタ回路4と、インバータ回路3の出力電圧(ランプ電圧)および出力電流(ランプ電流)を監視し出力電力が目標電力となるようにDC−DCコンバータ2を制御する駆動部5とを主回路として備えている。
【0022】
DC−DCコンバータ2は、ここではフライバックコンバータからなり、直流電源1の両端間に、トランスT1の1次巻線P1とスイッチング素子Q1との直列回路を接続し、且つトランスT1の2次巻線S1の両端間に、ダイオードD1と平滑コンデンサC1との直列回路を接続した構成を有する。ダイオードD1は、スイッチング素子Q1がオンしてトランスT1の1次巻線P1に電圧が印加されたときに、トランスT1の2次巻線S1に発生する電流が平滑コンデンサC1に流れ込むのを阻止する向きに挿入されている。
【0023】
インバータ回路3は、DC−DCコンバータ2の平滑コンデンサC1の両端間に、スイッチング素子Q2,Q4の直列回路と、スイッチング素子Q3,Q5の直列回路とを並列に接続して構成されるフルブリッジ回路からなる。しかして、スイッチング素子Q2,Q5の組とスイッチング素子Q3,Q4の組とを交互にオンさせることにより、スイッチング素子Q2,Q4の接続点とスイッチング素子Q3,Q5の接続点との間に交番電圧(ランプ電圧)を発生する。ただし、メタルハライドランプLaの始動前には、スイッチング素子Q2,Q5はオン、スイッチング素子Q3,Q4はオフの状態に固定されるものとする。
【0024】
また、イグナイタ回路4は、トランスT2と、トランスT2の1次巻線P2と直列に接続されたスパークギャップSG1と、コンデンサCsとを備え、インバータ回路3の出力端間(スイッチング素子Q2,Q4の接続点−スイッチング素子Q3,Q5の接続点間)に、トランスT2の1次巻線P2およびスパークギャップSG1の直列回路とコンデンサCsとを並列に接続した構成を有する。ここで、トランスT2の2次巻線S2は、メタルハライドランプLaと直列に接続され、インバータ回路3の出力端間に接続される。
【0025】
次に、上記構成の点灯装置Aの基本的な動作について説明する。
【0026】
点灯装置Aに電源投入され、DC−DCコンバータ2のスイッチング素子Q1がオンすると、トランスT1の1次巻線P1とスイッチング素子Q1との直列回路に電流が流れる。このとき、トランスT1の2次巻線S1を流れようとする電流はダイオードD1によって阻止されるため、1次巻線P1に流れる電流によって発生するエネルギはトランスT1に蓄えられる。次に、スイッチング素子Q1をオフすると、トランスT1の2次巻線S1、平滑コンデンサC1、ダイオードD1の経路で電流が流れ、トランスT1に蓄えられていたエネルギが平滑コンデンサC1へと移される。
【0027】
ここで、メタルハライドランプLaの始動前(放電開始前)には、メタルハライドランプLaが開放状態にあるため、上記動作を繰り返すことで、DC−DCコンバータ2の出力電圧(平滑コンデンサC1の両端電圧)は徐々に上昇する。このとき、インバータ回路3においてスイッチング素子Q2,Q5がオン、スイッチング素子Q3,Q4がオフの状態で固定されていることにより、コンデンサCsの両端電圧も上昇する。コンデンサCsの両端電圧がスパークギャップSG1のブレークダウン電圧に達すると、スパークギャップSG1がブレークダウンし、トランスT2の1次巻線P2に瞬間的に電圧が印加され、トランスT2の2次巻線S2には上記電圧をトランスT2の巻数比倍した高電圧が生じることとなる。この高電圧(数十kV程度)により、メタルハライドランプLaがブレークダウンする。その瞬間に、DC−DCコンバータ2からインバータ回路3を介してメタルハライドランプLaに電流が流れ、メタルハライドランプLaはアーク放電に移行する。
【0028】
ところで、本実施形態の点灯装置Aは、メタルハライドランプLaへの供給電力(以下、ランプ電力という)を、図2に示すようにメタルハライドランプLaの累積点灯時間に応じて制御するためのランプ電力制御部6を備えている。
【0029】
ランプ電力制御部6は、メタルハライドランプLaの累積点灯時間を計測する累積点灯時間計測部61と、累積点灯時間計測部61での計測結果(累積点灯時間)に応じてランプ電力の大きさを制御する制御部62と、累積点灯時間計測部61で計測されている累積点灯時間をメタルハライドランプLaの交換時などにゼロにリセットするためのリセットスイッチ63とを有している。ここでは、累積点灯時間計測部61は、インバータ回路2の動作時間を監視し、その累積値とメタルハライドランプLaの累積点灯時間とが等しいものとみなして累積点灯時間を計測する。また、制御部62は、インバータ回路2のスイッチング素子Q2〜Q5を制御することによりランプ電流を変化させてランプ電力の大きさを制御するものとする。
【0030】
ここにおいて、制御部62は、図2に示すように累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでの期間(以下、エイジング期間t1という)にはランプ電力をメタルハライドランプLaの定格電力値(定格値)よりも高い値に設定し、前記一定時間に達するとランプ電力を低下させ、以降の期間(以下、常用期間t2という)にはランプ電力をメタルハライドランプLaの定格電力値に設定する。
【0031】
これにより、エイジング期間t1においては、エイジング期間t1終了後の常用期間t2に比べてメタルハライドランプLaへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなり、メタルハライドランプLaの発光管内で生じる金属ハロゲン化物(ここではヨウ化ナトリウムとする)と発光管を形成するガラスとの反応が促進されて遊離したヨウ素(以下、遊離ヨウ素という)が加速的に生成される。このとき、ランプ電圧は図3に示すように遊離ヨウ素が急速に生成されることに伴い急峻に上昇し、その後の常用期間t2には、定格電力での定格点灯時の上昇率で比較的緩やかに上昇する。
【0032】
ここで、ランプ電圧の極性反転時にメタルハライドランプLaに発生する高周波ノイズのノイズレベルは、図4に示すように点灯初期に設定されたエイジング期間t1において急速に低下し、その後の常用期間t2においては低ノイズレベルを維持することが確認されている。そして、このように低ノイズの状態が実現された後は、遊離ヨウ素の過度な生成を避けるためにランプ電力を定格値に設定しているから、実用上の問題が生じることを回避できる。
【0033】
すなわち、メタルハライドランプLaの発光管内で生じる前記反応の度合いは、メタルハライドランプLaの動作温度に強く依存しており、したがって、上述したようにエイジング期間t1においてはメタルハライドランプLaへ供給される電力量を多くすることでメタルハライドランプLaの動作温度を上昇させ、前記反応を促進して遊離ヨウ素を加速的に生成することが可能である。遊離ヨウ素が増加すると、発光管内で生じるアークが細くなり、陰極側の電極上に形成されるホットスポット(輝点)が小さくなってスポット温度が上昇するため、極性反転時にホットスポットが形成されやすくなって高周波ノイズが低減されると考えられる。一方、常用期間t2においては、ランプ電力を定格値に下げてメタルハライドランプLaの動作温度を低下させることにより、過度の反応によって遊離ヨウ素の生成が促進されることを回避できる。
【0034】
また、メタルハライドランプLaが交換され、リセットスイッチ63が操作されると、累積点灯時間がリセットされて再びゼロからカウントされるので、図2に示したランプ電力の制御が繰り返されることとなる。なお、本実施形態では累積点灯時間はリセットスイッチ63の操作によってリセットされる構成としているが、たとえばメタルハライドランプLaの脱着を検知する手段を設け、ランプ交換時に累積点灯時間を自動的にリセットする構成とすることも可能である。
【0035】
なお、本実施形態では、金属ハロゲン化物(メタルハライド)としてヨウ化ナトリウム(NaI)が発光管内に封入されたメタルハライドランプLaを点灯させる点灯装置Aを例示したが、本発明は、ヨウ化ナトリウムに限らず種々の金属ハロゲン化物が封入されたメタルハライドランプLaの点灯に用いられる点灯装置Aに適用することができる。そして、ヨウ化ナトリウム以外の金属ハロゲン化物が封入された一般的なメタルハライドランプLaを用いた場合でも、本発明によれば、発光管内での反応を促進して遊離したハロゲン(遊離ハロゲン)の生成を促進できるものと考えられる。
【0036】
(実施形態2)
本実施形態の点灯装置Aは、ランプ電力制御部6が、メタルハライドランプLaの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作におけるランプ電力を制御している点が実施形態1の点灯装置Aと相違する。
【0037】
一般的に、メタルハライドランプLaの立ち上げ動作において、図5に例示するようにメタルハライドランプLaの始動(放電開始)から所定の保持時間にかけては、定格電力値よりも高いランプ電力(以下、始動電力という)を供給し、前記保持時間を経過すると、ランプ電力を始動電力からメタルハライドランプLaの定格電力値にスイープさせる制御が行われる。特に、前照灯などに用いられる車載用のメタルハライドランプLaの場合、高速の立ち上がりが要求されており、定格電力値の2倍近い電力が始動電力としてメタルハライドランプLaの始動から数秒程度の保持時間に亘って供給されるように制御される。
【0038】
本実施形態では、点灯初期に設定されたエイジング期間t1において上述した立ち上げ動作における始動電力の保持時間を長くすることで、メタルハライドランプLaの発光管内の反応を促進するものである。これにより、立ち上げ動作中に反応が促進されるため、定常点灯中に反応を促進する場合に比べて使用者への影響を小さくできるというメリットがある。
【0039】
具体的には、図6に例示するように、メタルハライドランプLaの累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでの期間(エイジング期間t1)には、立ち上げ動作における始動電力の保持時間を定格値Tよりも長い時間T’に設定し、累積点灯時間が前記一定時間に達すれば、以降の期間(常用期間t2)には立ち上げ動作における始動電力の保持時間を定格値Tに変更する。ここに、始動電力は定格電力の2倍に設定され、エイジング期間t1には図5に破線で示すように保持時間が長くなることで、効果的にメタルハライドランプLaの発光管内の反応を促進することが可能となる。
【0040】
なお、ここでは始動電力の保持時間を長くする例を示したが、この例に限らず立ち上げ動作時のランプ電力を制御して発光管内の反応を促進できる構成であればよく、たとえば、始動電力を保持時間だけ保持した後におけるランプ電力の減少率を低くする(つまりランプ電力が定格電力値に落ち着くまでの時間を長くする)等の手段によっても、反応を促進することが可能である。
【0041】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態の点灯装置Aは、図7に示すように、メタルハライドランプLaの電気特性(以下、ランプ電気特性という)を計測する電気特性計測部64を備え、電気特性計測部64の計測結果からメタルハライドランプLaの累積点灯時間を判定する累積点灯時間判別部65を累積点灯時間計測部61に代えて備える点が実施形態1の点灯装置Aと相違する。制御部62は、累積点灯時間判別部65での判定値(累積点灯時間)に応じてランプ電力を制御する。
【0043】
ここで、電気特性計測部64の計測対象とするランプ電気特性はメタルハライドランプLaの累積点灯時間と相関があるものであればよく、たとえばランプ電圧値や、メタルハライドランプLaの再点弧時におけるランプ電圧のピーク値などが例として挙げられる。また、メタルハライドランプLaからの高周波ノイズの減少と直接相関のある電気特性を計測対象とすることも可能である。
【0044】
上記構成によれば、実際にメタルハライドランプLaの累積点灯時間を計測するのではなく、ランプ電気特性から累積点灯時間を推定するので、ランプ交換の際には、交換後のメタルハライドランプLaの電気特性に応じて累積点灯時間はリセットされることととなり、リセットスイッチの操作や、メタルハライドランプLaの脱着を検知する手段が不要になるという利点がる。
【0045】
その他の構成および機能は実施形態1または実施形態2と同様である。
【0046】
(実施形態4)
本実施形態の点灯装置Aは、図8に示すように直流電源1に代えて交流電源(商用電源)ACを電源とする点が実施形態1の点灯装置Aと相違する。
【0047】
この点灯装置Aは、交流電源ACの出力を直流電圧に変換してDC−DCコンバータ2に印加するAC−DCコンバータ7を備えている。AC−DCコンバータ7は、トランスT3の1次巻線P3とコンデンサC2との並列回路を交流電源ACに接続し、このトランスT3の2次巻線S3の両端間にインダクタL1とコンデンサC4との直列回路を接続した構成を有し、コンデンサC4の両端電圧をダイオードブリッジDBで全波整流した後、昇圧チョッパ回路で昇圧するように構成されている。
【0048】
昇圧チョッパ回路は、ダイオードブリッジDBの出力端間に接続されたコンデンサC5と、コンデンサC5の両端間に接続されたインダクタL2およびスイッチング素子Q6の直列回路と、スイッチング素子Q6の両端間に接続されたダイオードD2およびコンデンサC6の直列回路とを有し、コンデンサC6の両端電圧を出力電圧として後段のDC−DCコンバータ2に印加する。また、DC−DCコンバータ2は、図8では実施形態1と同様にフライバックコンバータを採用しているが、これに代えて降圧チョッパ回路を採用してもよい。
【0049】
ここにおいて、累積点灯時間に応じてランプ電力を制御する本発明は、メタルハライドランプLaを矩形波により点灯させ、矩形波に同期して出力を上昇させる点灯装置に対して、具体的な回路構成や入力電圧値等によらず有用であって、本実施形態の点灯装置Aであっても実施形態1または実施形態2と同様の効果が期待できる。なお、別の回路構成として、DC−DCコンバータ2とインバータ回路3とを兼用した回路構成も知られており、このような回路構成においても本発明を適用することで同様の効果を得ることができる。
【0050】
その他の構成および機能は実施形態1または実施形態2と同様である。
【0051】
ところで、上述した各実施形態の点灯装置Aは、たとえば、メタルハライドランプLaと、メタルハライドランプLaを保持する灯体(図示せず)と共に図9に示すように車両用の前照灯8を構成する。この前照灯8は、左右一対として車両9の車両本体に搭載され、左右で個別に設けられた前照灯制御装置10に接続されることで、ロービームスイッチ11からの制御信号を前照灯制御装置10に受けて点灯する。
【0052】
この種の車載用のメタルハライドランプLaに用いられる点灯装置Aにおいては、安全性とノイズに関して非常に厳しい規制が設けられているが、本発明の点灯装置Aを採用することにより、ノイズを低減しながらも、従来構成のように極性反転時の電流を増大させる制御を行う場合に比べてメタルハライドランプLaの光出力の変動によるちらつきを抑えることができるから、安全性を向上させた前照灯8および車両9を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す概略回路図である。
【図2】同上のランプ電力の変化を示す説明図である。
【図3】同上のランプ電圧の時間変化を示す説明図である。
【図4】同上のランプ電流の時間変化を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態2の立ち上げ動作におけるランプ電力の制御を示す説明図である。
【図6】同上の保持時間の変化を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の構成を示す概略回路図である。
【図8】本発明の実施形態4の構成を示す概略回路図である。
【図9】本発明のメタルハライドランプ点灯装置を用いた前照灯および車両を示す概略図である。
【図10】従来例の動作を示す説明図である。
【図11】累積点灯時間に対するノイズピーク値の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
6 ランプ電力制御部
8 前照灯
9 車両
64 累積点灯時間判別部
A メタルハライドランプ点灯装置
La メタルハライドランプ
t1 エイジング期間
t2 常用期間
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルハライドランプを点灯させるメタルハライドランプ点灯装置およびそれを用いた前照灯、車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スポットライトやプロジェクタ用光源や車両の前照灯(ヘッドライト)などに利用されている高輝度放電灯の一種であるメタルハライドランプを点灯させるメタルハライドランプ点灯装置として、音響共鳴を回避する等の目的で、低周波の矩形波によってメタルハライドランプを点灯させるものが知られている。
【0003】
この種のメタルハライドランプ点灯装置は、矩形波状であって極性が交互に反転するランプ電圧を生成する主回路を備え、主回路の出力するランプ電圧をメタルハライドランプに印加することによってメタルハライドランプを点灯させる。
【0004】
ただし、このように矩形波によりメタルハライドランプを点灯させる方式では、ランプ電圧の極性反転時に、メタルハライドランプに流れる電流(以下、ランプ電流という)が瞬間的にゼロとなるため、メタルハライドランプの再点弧の際に高周波ノイズが発生するという問題がある。この高周波ノイズを減らすには、再点弧を容易にするために電極温度を上げることが効果的であるという実験結果があり、横軸を時間軸としてランプ電流の波形を表した図10に示すように極性反転前(図10(a))や極性反転の前後(図10(b)〜(d))においてランプ電流を一時的に増大させるといった対策が考えられている(たとえば特許文献1、2)。たとえば図10(a)のように極性反転前にランプ電流を増大させた場合、極性反転時の電極温度を高く保つことができ、極性反転時にメタルハライドランプから発生する高周波ノイズを低減できることが確認されている。
【特許文献1】特表平10−501919号公報
【特許文献2】特開2002−110392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようにランプ電圧の極性反転時のランプ電流を増大させる制御を行うと、ランプ電流が増大している間にメタルハライドランプの光出力が瞬間的に変動することとなる。その結果、メタルハライドランプ自体が静止している場合には光出力の増減が認識されることはないものの、車載用などでメタルハライドランプ自体が高速で移動するような場合にはちらつきなどを感じさせる原因となる。なお、メタルハライドランプから発生する高周波ノイズを減らす別の手段として、極性反転のスピードを速くすることで電極の温度低下を抑制することも考えられるが、この場合、主回路から発生するノイズの増加や、回路素子への負担が増え主回路の信頼性が確保できない等の問題を生じる。
【0006】
ところで、ランプ電圧の極性反転時に発生する高周波ノイズはメタルハライドランプの累積点灯時間の経過に伴って低減することが分かっている。図11は金属ハロゲン化物(メタルハライド)としてヨウ化ナトリウム(NaI)が発光管に封入された3種類の車載用のメタルハライドランプ(ランプ1〜ランプ3)について、ランプ電圧の極性反転に起因すると思われる高周波ノイズ(約400kHz)の経時変化の一例を示したものであって、累積点灯時間(横軸)の経過に従ってノイズピーク値(縦軸)が低下することを表している。このようなノイズレベルの低下は、累積点灯時間の経過に伴い、メタルハライドランプの発光管内で金属ハロゲン化物(ここではヨウ化ナトリウム)と発光管を形成するガラスとの反応が進むことなどによって遊離したヨウ素(以下、遊離ヨウ素という)が増加し、発光管内で生じるアークが細くなり、陰極側の電極上に形成されるホットスポット(輝点)が小さくなってスポット温度が上昇するような事象に起因するものと推定される。つまり、遊離ヨウ素が増加すると、電極温度が高くなるため、極性反転時にホットスポットが形成されやすくなって高周波ノイズが低減されると考えられる。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進してメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減することができるメタルハライドランプ点灯装置およびそれを用いた前照灯、車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明では、メタルハライドランプの一対の電極間を流れる電流の向きが交互に反転するようにメタルハライドランプにランプ電圧を印加することでメタルハライドランプを点灯させる主回路と、メタルハライドランプの累積点灯時間に応じてメタルハライドランプへの供給電力を可変制御するランプ電力制御部とを備え、ランプ電力制御部は、累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、エイジング期間終了後の常用期間に比べてメタルハライドランプへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなるように前記供給電力を制御することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電力制御部は、メタルハライドランプの累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、エイジング期間終了後の常用期間に比べてメタルハライドランプへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなるように前記供給電力を制御するので、エイジング期間においては、メタルハライドランプの発光管内で生じる金属ハロゲン化物とガラスとの反応が促進される。すなわち、メタルハライドランプの発光管内の反応の度合いはメタルハライドランプの動作温度に強く依存しているから、メタルハライドランプへの供給電力量を増やすことで前記反応を促進して遊離ヨウ素の生成を早めることができる。その結果、ランプ電圧の極性反転時に発生する高周波ノイズのノイズレベルをエイジング期間において早急に低下させ、その後の常用期間には高周波ノイズを低レベルに維持することが可能となる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ランプ電力制御部が、前記メタルハライドランプへの供給電力を前記常用期間には定格値に設定し、前記エイジング期間には定格値よりも高く設定することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、常用期間には、メタルハライドランプへの供給電力は定格値に設定されるので、エイジング期間終了後においてメタルハライドランプの発光管内で過度に反応が進むことを回避することができるという利点がある。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記ランプ電力制御部が、前記メタルハライドランプの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作において、メタルハライドランプへの供給電力を定格値よりも高い始動電力に保持時間だけ保持して保持時間経過後に定格値に低下させるものであって、前記エイジング期間には前記常用期間に比べて保持時間を長く設定することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、メタルハライドランプの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作において、メタルハライドランプへの供給電力を制御することでメタルハライドランプの発光管内での反応を促進するようにしているから、ランプ電力制御部による供給電力の制御が定常点灯時におけるメタルハライドランプの点灯状態に影響を及ぼすことはない。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記ランプ電力制御部が、前記メタルハライドランプの電気特性のうち当該メタルハライドランプの累積点灯時間に関連して変化する電気特性を監視し、当該監視結果から累積点灯時間を判別する累積点灯時間判別部を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、メタルハライドランプの電気特性の監視結果から累積点灯時間を判別するので、累積点灯時間をリセットする機能を設けなくとも、ランプ交換時には累積点灯時間がリセットされることとなり、回路の簡略化を図ることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のメタルハライドランプ点灯装置と、メタルハライドランプ点灯装置からランプ電圧が印加されることで点灯するメタルハライドランプと、メタルハライドランプを保持する灯体とを備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、前照灯において、メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進することでメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減することができるので、ランプ電圧の極性反転時のランプ電流を増大させることで高周波ノイズを低減する従来例のように、メタルハライドランプの光出力が変動して走行中にちらつきを感じさせるという問題を生じることはない。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5記載の前照灯を車両本体に備えることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、車両において、メタルハライドランプ内における遊離ヨウ素の生成を促進することでメタルハライドランプからの高周波ノイズを早急に低減することができるので、ランプ電圧の極性反転時のランプ電流を増大させることで高周波ノイズを低減する従来例のように、メタルハライドランプの光出力が変動して走行中にちらつきを感じさせるという問題を生じることはない。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、電力制御部が、メタルハライドランプの累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、その後の常用期間に比べて前記一定時間内にメタルハライドランプへ供給される電力量が多くなるように前記供給電力を制御するので、エイジング期間においては、メタルハライドランプの発光管内で生じる金属ハロゲン化物(メタルハライド)とガラスとの反応が促進される。結果的に、ランプ電圧の極性反転時に発生する高周波ノイズのノイズレベルを早急に低下させ、その後の常用期間には高周波ノイズを低レベルに維持することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態1)
本実施形態のメタルハライドランプ点灯装置(以下、単に「点灯装置」と略称する)Aは、図1に示すように、直流電源1からの直流電圧をメタルハライドランプLaが必要とする大きさに変換するDC−DCコンバータ2と、DC−DCコンバータ2の出力(直流電圧)を低周波の矩形波状のランプ電圧に変換するインバータ回路3と、メタルハライドランプLaの始動時に数十kVの電圧を発生するイグナイタ回路4と、インバータ回路3の出力電圧(ランプ電圧)および出力電流(ランプ電流)を監視し出力電力が目標電力となるようにDC−DCコンバータ2を制御する駆動部5とを主回路として備えている。
【0022】
DC−DCコンバータ2は、ここではフライバックコンバータからなり、直流電源1の両端間に、トランスT1の1次巻線P1とスイッチング素子Q1との直列回路を接続し、且つトランスT1の2次巻線S1の両端間に、ダイオードD1と平滑コンデンサC1との直列回路を接続した構成を有する。ダイオードD1は、スイッチング素子Q1がオンしてトランスT1の1次巻線P1に電圧が印加されたときに、トランスT1の2次巻線S1に発生する電流が平滑コンデンサC1に流れ込むのを阻止する向きに挿入されている。
【0023】
インバータ回路3は、DC−DCコンバータ2の平滑コンデンサC1の両端間に、スイッチング素子Q2,Q4の直列回路と、スイッチング素子Q3,Q5の直列回路とを並列に接続して構成されるフルブリッジ回路からなる。しかして、スイッチング素子Q2,Q5の組とスイッチング素子Q3,Q4の組とを交互にオンさせることにより、スイッチング素子Q2,Q4の接続点とスイッチング素子Q3,Q5の接続点との間に交番電圧(ランプ電圧)を発生する。ただし、メタルハライドランプLaの始動前には、スイッチング素子Q2,Q5はオン、スイッチング素子Q3,Q4はオフの状態に固定されるものとする。
【0024】
また、イグナイタ回路4は、トランスT2と、トランスT2の1次巻線P2と直列に接続されたスパークギャップSG1と、コンデンサCsとを備え、インバータ回路3の出力端間(スイッチング素子Q2,Q4の接続点−スイッチング素子Q3,Q5の接続点間)に、トランスT2の1次巻線P2およびスパークギャップSG1の直列回路とコンデンサCsとを並列に接続した構成を有する。ここで、トランスT2の2次巻線S2は、メタルハライドランプLaと直列に接続され、インバータ回路3の出力端間に接続される。
【0025】
次に、上記構成の点灯装置Aの基本的な動作について説明する。
【0026】
点灯装置Aに電源投入され、DC−DCコンバータ2のスイッチング素子Q1がオンすると、トランスT1の1次巻線P1とスイッチング素子Q1との直列回路に電流が流れる。このとき、トランスT1の2次巻線S1を流れようとする電流はダイオードD1によって阻止されるため、1次巻線P1に流れる電流によって発生するエネルギはトランスT1に蓄えられる。次に、スイッチング素子Q1をオフすると、トランスT1の2次巻線S1、平滑コンデンサC1、ダイオードD1の経路で電流が流れ、トランスT1に蓄えられていたエネルギが平滑コンデンサC1へと移される。
【0027】
ここで、メタルハライドランプLaの始動前(放電開始前)には、メタルハライドランプLaが開放状態にあるため、上記動作を繰り返すことで、DC−DCコンバータ2の出力電圧(平滑コンデンサC1の両端電圧)は徐々に上昇する。このとき、インバータ回路3においてスイッチング素子Q2,Q5がオン、スイッチング素子Q3,Q4がオフの状態で固定されていることにより、コンデンサCsの両端電圧も上昇する。コンデンサCsの両端電圧がスパークギャップSG1のブレークダウン電圧に達すると、スパークギャップSG1がブレークダウンし、トランスT2の1次巻線P2に瞬間的に電圧が印加され、トランスT2の2次巻線S2には上記電圧をトランスT2の巻数比倍した高電圧が生じることとなる。この高電圧(数十kV程度)により、メタルハライドランプLaがブレークダウンする。その瞬間に、DC−DCコンバータ2からインバータ回路3を介してメタルハライドランプLaに電流が流れ、メタルハライドランプLaはアーク放電に移行する。
【0028】
ところで、本実施形態の点灯装置Aは、メタルハライドランプLaへの供給電力(以下、ランプ電力という)を、図2に示すようにメタルハライドランプLaの累積点灯時間に応じて制御するためのランプ電力制御部6を備えている。
【0029】
ランプ電力制御部6は、メタルハライドランプLaの累積点灯時間を計測する累積点灯時間計測部61と、累積点灯時間計測部61での計測結果(累積点灯時間)に応じてランプ電力の大きさを制御する制御部62と、累積点灯時間計測部61で計測されている累積点灯時間をメタルハライドランプLaの交換時などにゼロにリセットするためのリセットスイッチ63とを有している。ここでは、累積点灯時間計測部61は、インバータ回路2の動作時間を監視し、その累積値とメタルハライドランプLaの累積点灯時間とが等しいものとみなして累積点灯時間を計測する。また、制御部62は、インバータ回路2のスイッチング素子Q2〜Q5を制御することによりランプ電流を変化させてランプ電力の大きさを制御するものとする。
【0030】
ここにおいて、制御部62は、図2に示すように累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでの期間(以下、エイジング期間t1という)にはランプ電力をメタルハライドランプLaの定格電力値(定格値)よりも高い値に設定し、前記一定時間に達するとランプ電力を低下させ、以降の期間(以下、常用期間t2という)にはランプ電力をメタルハライドランプLaの定格電力値に設定する。
【0031】
これにより、エイジング期間t1においては、エイジング期間t1終了後の常用期間t2に比べてメタルハライドランプLaへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなり、メタルハライドランプLaの発光管内で生じる金属ハロゲン化物(ここではヨウ化ナトリウムとする)と発光管を形成するガラスとの反応が促進されて遊離したヨウ素(以下、遊離ヨウ素という)が加速的に生成される。このとき、ランプ電圧は図3に示すように遊離ヨウ素が急速に生成されることに伴い急峻に上昇し、その後の常用期間t2には、定格電力での定格点灯時の上昇率で比較的緩やかに上昇する。
【0032】
ここで、ランプ電圧の極性反転時にメタルハライドランプLaに発生する高周波ノイズのノイズレベルは、図4に示すように点灯初期に設定されたエイジング期間t1において急速に低下し、その後の常用期間t2においては低ノイズレベルを維持することが確認されている。そして、このように低ノイズの状態が実現された後は、遊離ヨウ素の過度な生成を避けるためにランプ電力を定格値に設定しているから、実用上の問題が生じることを回避できる。
【0033】
すなわち、メタルハライドランプLaの発光管内で生じる前記反応の度合いは、メタルハライドランプLaの動作温度に強く依存しており、したがって、上述したようにエイジング期間t1においてはメタルハライドランプLaへ供給される電力量を多くすることでメタルハライドランプLaの動作温度を上昇させ、前記反応を促進して遊離ヨウ素を加速的に生成することが可能である。遊離ヨウ素が増加すると、発光管内で生じるアークが細くなり、陰極側の電極上に形成されるホットスポット(輝点)が小さくなってスポット温度が上昇するため、極性反転時にホットスポットが形成されやすくなって高周波ノイズが低減されると考えられる。一方、常用期間t2においては、ランプ電力を定格値に下げてメタルハライドランプLaの動作温度を低下させることにより、過度の反応によって遊離ヨウ素の生成が促進されることを回避できる。
【0034】
また、メタルハライドランプLaが交換され、リセットスイッチ63が操作されると、累積点灯時間がリセットされて再びゼロからカウントされるので、図2に示したランプ電力の制御が繰り返されることとなる。なお、本実施形態では累積点灯時間はリセットスイッチ63の操作によってリセットされる構成としているが、たとえばメタルハライドランプLaの脱着を検知する手段を設け、ランプ交換時に累積点灯時間を自動的にリセットする構成とすることも可能である。
【0035】
なお、本実施形態では、金属ハロゲン化物(メタルハライド)としてヨウ化ナトリウム(NaI)が発光管内に封入されたメタルハライドランプLaを点灯させる点灯装置Aを例示したが、本発明は、ヨウ化ナトリウムに限らず種々の金属ハロゲン化物が封入されたメタルハライドランプLaの点灯に用いられる点灯装置Aに適用することができる。そして、ヨウ化ナトリウム以外の金属ハロゲン化物が封入された一般的なメタルハライドランプLaを用いた場合でも、本発明によれば、発光管内での反応を促進して遊離したハロゲン(遊離ハロゲン)の生成を促進できるものと考えられる。
【0036】
(実施形態2)
本実施形態の点灯装置Aは、ランプ電力制御部6が、メタルハライドランプLaの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作におけるランプ電力を制御している点が実施形態1の点灯装置Aと相違する。
【0037】
一般的に、メタルハライドランプLaの立ち上げ動作において、図5に例示するようにメタルハライドランプLaの始動(放電開始)から所定の保持時間にかけては、定格電力値よりも高いランプ電力(以下、始動電力という)を供給し、前記保持時間を経過すると、ランプ電力を始動電力からメタルハライドランプLaの定格電力値にスイープさせる制御が行われる。特に、前照灯などに用いられる車載用のメタルハライドランプLaの場合、高速の立ち上がりが要求されており、定格電力値の2倍近い電力が始動電力としてメタルハライドランプLaの始動から数秒程度の保持時間に亘って供給されるように制御される。
【0038】
本実施形態では、点灯初期に設定されたエイジング期間t1において上述した立ち上げ動作における始動電力の保持時間を長くすることで、メタルハライドランプLaの発光管内の反応を促進するものである。これにより、立ち上げ動作中に反応が促進されるため、定常点灯中に反応を促進する場合に比べて使用者への影響を小さくできるというメリットがある。
【0039】
具体的には、図6に例示するように、メタルハライドランプLaの累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでの期間(エイジング期間t1)には、立ち上げ動作における始動電力の保持時間を定格値Tよりも長い時間T’に設定し、累積点灯時間が前記一定時間に達すれば、以降の期間(常用期間t2)には立ち上げ動作における始動電力の保持時間を定格値Tに変更する。ここに、始動電力は定格電力の2倍に設定され、エイジング期間t1には図5に破線で示すように保持時間が長くなることで、効果的にメタルハライドランプLaの発光管内の反応を促進することが可能となる。
【0040】
なお、ここでは始動電力の保持時間を長くする例を示したが、この例に限らず立ち上げ動作時のランプ電力を制御して発光管内の反応を促進できる構成であればよく、たとえば、始動電力を保持時間だけ保持した後におけるランプ電力の減少率を低くする(つまりランプ電力が定格電力値に落ち着くまでの時間を長くする)等の手段によっても、反応を促進することが可能である。
【0041】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態の点灯装置Aは、図7に示すように、メタルハライドランプLaの電気特性(以下、ランプ電気特性という)を計測する電気特性計測部64を備え、電気特性計測部64の計測結果からメタルハライドランプLaの累積点灯時間を判定する累積点灯時間判別部65を累積点灯時間計測部61に代えて備える点が実施形態1の点灯装置Aと相違する。制御部62は、累積点灯時間判別部65での判定値(累積点灯時間)に応じてランプ電力を制御する。
【0043】
ここで、電気特性計測部64の計測対象とするランプ電気特性はメタルハライドランプLaの累積点灯時間と相関があるものであればよく、たとえばランプ電圧値や、メタルハライドランプLaの再点弧時におけるランプ電圧のピーク値などが例として挙げられる。また、メタルハライドランプLaからの高周波ノイズの減少と直接相関のある電気特性を計測対象とすることも可能である。
【0044】
上記構成によれば、実際にメタルハライドランプLaの累積点灯時間を計測するのではなく、ランプ電気特性から累積点灯時間を推定するので、ランプ交換の際には、交換後のメタルハライドランプLaの電気特性に応じて累積点灯時間はリセットされることととなり、リセットスイッチの操作や、メタルハライドランプLaの脱着を検知する手段が不要になるという利点がる。
【0045】
その他の構成および機能は実施形態1または実施形態2と同様である。
【0046】
(実施形態4)
本実施形態の点灯装置Aは、図8に示すように直流電源1に代えて交流電源(商用電源)ACを電源とする点が実施形態1の点灯装置Aと相違する。
【0047】
この点灯装置Aは、交流電源ACの出力を直流電圧に変換してDC−DCコンバータ2に印加するAC−DCコンバータ7を備えている。AC−DCコンバータ7は、トランスT3の1次巻線P3とコンデンサC2との並列回路を交流電源ACに接続し、このトランスT3の2次巻線S3の両端間にインダクタL1とコンデンサC4との直列回路を接続した構成を有し、コンデンサC4の両端電圧をダイオードブリッジDBで全波整流した後、昇圧チョッパ回路で昇圧するように構成されている。
【0048】
昇圧チョッパ回路は、ダイオードブリッジDBの出力端間に接続されたコンデンサC5と、コンデンサC5の両端間に接続されたインダクタL2およびスイッチング素子Q6の直列回路と、スイッチング素子Q6の両端間に接続されたダイオードD2およびコンデンサC6の直列回路とを有し、コンデンサC6の両端電圧を出力電圧として後段のDC−DCコンバータ2に印加する。また、DC−DCコンバータ2は、図8では実施形態1と同様にフライバックコンバータを採用しているが、これに代えて降圧チョッパ回路を採用してもよい。
【0049】
ここにおいて、累積点灯時間に応じてランプ電力を制御する本発明は、メタルハライドランプLaを矩形波により点灯させ、矩形波に同期して出力を上昇させる点灯装置に対して、具体的な回路構成や入力電圧値等によらず有用であって、本実施形態の点灯装置Aであっても実施形態1または実施形態2と同様の効果が期待できる。なお、別の回路構成として、DC−DCコンバータ2とインバータ回路3とを兼用した回路構成も知られており、このような回路構成においても本発明を適用することで同様の効果を得ることができる。
【0050】
その他の構成および機能は実施形態1または実施形態2と同様である。
【0051】
ところで、上述した各実施形態の点灯装置Aは、たとえば、メタルハライドランプLaと、メタルハライドランプLaを保持する灯体(図示せず)と共に図9に示すように車両用の前照灯8を構成する。この前照灯8は、左右一対として車両9の車両本体に搭載され、左右で個別に設けられた前照灯制御装置10に接続されることで、ロービームスイッチ11からの制御信号を前照灯制御装置10に受けて点灯する。
【0052】
この種の車載用のメタルハライドランプLaに用いられる点灯装置Aにおいては、安全性とノイズに関して非常に厳しい規制が設けられているが、本発明の点灯装置Aを採用することにより、ノイズを低減しながらも、従来構成のように極性反転時の電流を増大させる制御を行う場合に比べてメタルハライドランプLaの光出力の変動によるちらつきを抑えることができるから、安全性を向上させた前照灯8および車両9を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す概略回路図である。
【図2】同上のランプ電力の変化を示す説明図である。
【図3】同上のランプ電圧の時間変化を示す説明図である。
【図4】同上のランプ電流の時間変化を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態2の立ち上げ動作におけるランプ電力の制御を示す説明図である。
【図6】同上の保持時間の変化を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の構成を示す概略回路図である。
【図8】本発明の実施形態4の構成を示す概略回路図である。
【図9】本発明のメタルハライドランプ点灯装置を用いた前照灯および車両を示す概略図である。
【図10】従来例の動作を示す説明図である。
【図11】累積点灯時間に対するノイズピーク値の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
6 ランプ電力制御部
8 前照灯
9 車両
64 累積点灯時間判別部
A メタルハライドランプ点灯装置
La メタルハライドランプ
t1 エイジング期間
t2 常用期間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタルハライドランプの一対の電極間を流れる電流の向きが交互に反転するようにメタルハライドランプにランプ電圧を印加することでメタルハライドランプを点灯させる主回路と、メタルハライドランプの累積点灯時間に応じてメタルハライドランプへの供給電力を可変制御するランプ電力制御部とを備え、ランプ電力制御部は、累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、エイジング期間終了後の常用期間に比べてメタルハライドランプへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなるように前記供給電力を制御することを特徴とするメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項2】
前記ランプ電力制御部は、前記メタルハライドランプへの供給電力を前記常用期間には定格値に設定し、前記エイジング期間には定格値よりも高く設定することを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項3】
前記ランプ電力制御部は、前記メタルハライドランプの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作において、メタルハライドランプへの供給電力を定格値よりも高い始動電力に保持時間だけ保持して保持時間経過後に定格値に低下させるものであって、前記エイジング期間には前記常用期間に比べて保持時間を長く設定することを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項4】
前記ランプ電力制御部は、前記メタルハライドランプの電気特性のうち当該メタルハライドランプの累積点灯時間に関連して変化する電気特性を監視し、当該監視結果から累積点灯時間を判別する累積点灯時間判別部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のメタルハライドランプ点灯装置と、メタルハライドランプ点灯装置からランプ電圧が印加されることで点灯するメタルハライドランプと、メタルハライドランプを保持する灯体とを備えることを特徴とする前照灯。
【請求項6】
請求項5記載の前照灯を車両本体に備えることを特徴とする車両。
【請求項1】
メタルハライドランプの一対の電極間を流れる電流の向きが交互に反転するようにメタルハライドランプにランプ電圧を印加することでメタルハライドランプを点灯させる主回路と、メタルハライドランプの累積点灯時間に応じてメタルハライドランプへの供給電力を可変制御するランプ電力制御部とを備え、ランプ電力制御部は、累積点灯時間がゼロから一定時間に達するまでのエイジング期間には、エイジング期間終了後の常用期間に比べてメタルハライドランプへ供給される前記一定時間当たりの電力量が多くなるように前記供給電力を制御することを特徴とするメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項2】
前記ランプ電力制御部は、前記メタルハライドランプへの供給電力を前記常用期間には定格値に設定し、前記エイジング期間には定格値よりも高く設定することを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項3】
前記ランプ電力制御部は、前記メタルハライドランプの始動から定常点灯に移行するまでの立ち上げ動作において、メタルハライドランプへの供給電力を定格値よりも高い始動電力に保持時間だけ保持して保持時間経過後に定格値に低下させるものであって、前記エイジング期間には前記常用期間に比べて保持時間を長く設定することを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項4】
前記ランプ電力制御部は、前記メタルハライドランプの電気特性のうち当該メタルハライドランプの累積点灯時間に関連して変化する電気特性を監視し、当該監視結果から累積点灯時間を判別する累積点灯時間判別部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のメタルハライドランプ点灯装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のメタルハライドランプ点灯装置と、メタルハライドランプ点灯装置からランプ電圧が印加されることで点灯するメタルハライドランプと、メタルハライドランプを保持する灯体とを備えることを特徴とする前照灯。
【請求項6】
請求項5記載の前照灯を車両本体に備えることを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−55829(P2010−55829A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217381(P2008−217381)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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