説明

メタロプロテアーゼ阻害剤として有用なアリール−スルホンアミド構造を有する化合物

発明は、下記の式(I)


[式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmは、明細書にて報告された意味を有する]を有する、メタロプロテアーゼMMPに対して阻害活性を有するアリール−スルホンアミド化合物に関する。発明は、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物、および特に変性疾患の治療においてのそれらの治療薬としての使用にも言及する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療の分野における応用を発見し、より具体的にはアリール−スルホンアミド化合物、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物、および特に変性疾患の治療におけるそれらの治療薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの生理学的および病理学的過程が、著しい過剰増殖および細胞の移動度の両方によって特徴づけられていることが知られている。それらの中には生理学的過程、例えば胚形成または組織の発生および分化などがあり、さらに病理学的過程があり、その中には腫瘍、またはより一般的にさまざまな体の部分または臓器、すなわち神経系、リンパ系、胃腸系、腎臓系、マキュロ視覚(maculo-ocular)系、循環器系などのみならず肺、筋肉、骨、皮膚に影響を及ぼす疾患がある。
【0003】
病理学的条件または非病理学的条件において、高細胞増殖および移動度は主に亜鉛メタロプロテアーゼの活性に依存するが、亜鉛メタロプロテアーゼは、ヒトに存在する触媒プロテアーゼの1つのクラス(プロテイナーゼとも呼ばれる)であり、その触媒部位にて亜鉛イオンを配位することが知られ、タンパク質のペプチド鎖内のアミド結合を加水分解することができる。
【0004】
亜鉛メタロプロテアーゼの中には、細胞外マトリックスメタロプロテアーゼ(以下MMPと呼ぶ)、ADAMS(ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ)およびADAMT(トロンボスポンジンタイプIリピートを有するディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ)がある。
【0005】
一度産生されると、これらのプロテアーゼは細胞膜に固定されたままか、または細胞外マトリックス(ECM)に排出されるが、細胞外マトリックスは重要な生理学的構造であり、互いに電気的に、化学的におよび物理的につながった周囲の組織の細胞の組織化された三次元ネットワークを含む。
【0006】
それ自体は、生理学的細胞内過程、例えば増殖、組織の発生および再構築、細胞内および細胞間シグナルの伝達、ならびに粘着現象においてのみならず、細胞-細胞および細胞-ECM相互作用を含むいくつかの細胞外過程において重要な役割を果たしうる。
【0007】
生理学的条件におけるこれらの亜鉛メタロプロテアーゼのタンパク質分解活性は、組織メタロプロテアーゼ阻害剤(TIMP)として知られる内在性阻害剤によって高度に、および精密に調整されているが、組織メタロプロテアーゼ阻害剤は、ADAMおよびADAMTの活性の調節においても基本的な役割を果たすことが明らかになっている。
【0008】
それゆえ、MMPとそれらの阻害剤との間の繊細な平衡は、生理学的役割の全ての適切な機能を可能にするが、生理学的役割においてMMPは、例えば胚発生および発生、組織形態形成、細胞移動およびマトリックス再構築、生殖過程、すなわち月経周期および排卵、骨形成、脂肪生成、創傷治癒、ならびに血管形成、または細胞内または細胞間ペプチドシグナルとしての生物活性分子の放出およびプロセシングなどにさえ関係する。
【0009】
それらの人体における拡散およびそれらの果たす役割のため、上記の過程のただ1つの調節におけるいかなる変化も、例えばその進行がMMPの過剰発現または過少発現のいずれかを決定しうる腫瘍のような病理のため、ほとんど必然的に、異常な進化および/または組織の発生に至る変性過程の発生をもたらすであろうことは明らかである。
【0010】
MMPの過剰発現または過少発現が関係し得、それゆえ無制御細胞増殖を伴う組織形態変化に至る上記の病理の例は、関節炎および結合組織疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、脳卒中およびALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、心不全、拡張型心筋症などの循環器疾患;肺気腫または嚢胞性線維症などの肺疾患;胃潰瘍;敗血症ならびに自己免疫疾患を含みうる。
【0011】
さらに組織変性の間、これらの亜鉛プロテアーゼの変化した発現は、例えば、排出およびエンドサイトーシス機構のみならず、細胞型、それらのプロ酵素形態の活性化、遺伝子転写経路にも従属しうる。
【0012】
活性亜鉛メタロプロテアーゼの細胞外および細胞内閾値は、膜型MMP(MT-MMPS)として知られる細胞膜上に固定されたMMPなどの他のメタロプロテアーゼ、TACE(およびADAM-17に相当する)としてよく知られている腫瘍壊死因子α転換酵素(Tumor Necrosis Factor alpha convertase)、またはさらに他のADAMもしくはADAMTによる触媒脱落によって、細胞膜表面上でしばしば調節される。
【0013】
それゆえ治療目的のために、病理学的疾患が侵入性細胞および過剰増殖性細胞の細胞表面上のメタロプロテアーゼの著しい活性によって特徴づけられるものとして発生する場合、それらのMT-MMPまたは他のADAMもしくはADAMTを阻害することが望ましいであろう。
【0014】
これまでに少なくとも23種の異なる酵素がMMPのファミリーに属することが知られ、それらの基質特異性に従ってサブグループに分類されている。
【0015】
それらの中には、1例としてコラゲナーゼに作用することが知られているMMP-1、MMP-8およびMMP-13;反対側にあり、ゼラチナーゼを標的にすることが知られているMMP-2およびMMP-9;ならびにストロメライシンを標的にすることが知られているMMP-3、MMP-10およびMMP-11がある。
【0016】
さらに、MT-MMPと呼ばれる膜型MMPの第4サブグループは、これまでに同定され、特徴づけられている。すなわち、MT1-MMP(MMP-14)、MT2-MMP(MMP-15)、MT3-MMP(MMP-16)、MT4-MMP(MMP-17)、MT5-MMP(MMP-24)およびMT6-MMP(MMP-26)である。しかしながら、それらのほんの一部についてしか果たす役割が明らかにされていない(参考文献として、HG Munshi et al, Cancer Metastasis Rev., 2006, 25, 45-56; およびVS Golubkov et al., J Biol. Chem, 2005, 280, 25079-25086を参照のこと)。
【0017】
一例として、MMP-14はいくつかの細胞型、例えば血管新生過程における血管組織の平滑筋細胞の外面上でのpro-MMP-2の活性化の原因であることが知られている(参考文献として、N. Koshikawa et al., J. Cell. Biol. 2000, 148, 615-624; およびY. Itoh, H. Nagase, Essays in Biochemistry, 2002, 38, 21-36を参照のこと)。
【0018】
さらに、MMP-14はいくつかの型の腫瘍細胞、例えばメラノーマ(参考文献として、NE Sounni et al., Int. J. Cancer, 2002, 98, 23-28を参照のこと)、乳腺癌(参考文献として、NE Sounni, et al., FASEB J 2002, 16, 555-564を参照のこと)およびグリオーマ(AT Belien, et al., J Cell Biol 1999, 144, 373-384; およびEI Deryugina, et al, Cancer Res, 2002;62:580-588)などの膜上に過剰発現していることが知られている。
【0019】
MMP-14はまた、pro-MMP-13などの他のpro-MMPを活性化し得、過剰発現は、いくつかの細胞型において、腫瘍、炎症または心血管障害および神経変性疾患と相関することが知られている(例えば、AR Folgueras et al., Int. J. Dev. Biol., 2004, 48, 411-424; およびJO Degushi, et al., Circulation, 2005, 2708-2715を参照のこと)。
【0020】
さらに他のMMPは、pro-MMP-2および/またはpro-MMP-13および/またはpro-MMP9の活性化に寄与することが知られている。一例として、MMP-15、MMP-16、MMP-17およびMMP-24は、pro-MMP-2およびpro-MMP-13を活性化することが知られている;MMP-17は、pro-MMP-2を活性化するためにのみ作用し、一方でMMP-26はpro-MMP-2およびproMMP-9を活性化する;参考文献として、AR Folgueras et al.,(Int. J. Dev. Biol., 2004, 48, 411-424)を参照のこと。
【0021】
さらに、MMP-2およびMMP-13は増殖細胞および侵入性細胞から産生され、ECM内で膜表面MT-MMPの触媒活性によって活性化され、またはいずれかの方法で活性化されうる;それゆえ、それらはECMの消化性表面透過性を横切る細胞運動性の従来の手段を示す。
【0022】
いわゆる「デグラドミクス(degradomics)」についての以前の研究に基づいて(参考文献として、C Lopez-Otin et al., Nature Rev. 2002, 3, 509-519; およびCM Overall et al., Nature Review Cancer, 2006, 6, 227-239を参照のこと)、癌および他の病理についての薬物送達候補としていくつかのMMPを標的にし、一方で他のMMPによって果たされる生理学的役割の障害を回避する可能性が、近年広く認められている。
【0023】
そのため、治療に用いられ、前述の欠点なく病理学的疾患に選択的に取り組むことができるMMP阻害剤の開発についての研究は進行中である。
【0024】
それゆえ、いくつかのMMPの活性は阻害され、生じる変性過程を制限し、対抗するべきであり、発生および形態形成の生理学的過程を調節する他の型のMMPの活性は損なわれるべきではないが、これは上記が望ましくない副作用をもたらしうるためである。
【0025】
それらの中には、一例としてMMP-1によって果たされる正常組織再構築活性の機能障害によって起こることが知られている、膝の関節包における線維増殖性効果を伴う筋骨格症候群がある。同様に、例えばMMP-3などの腫瘍形成制御に関係するいくつかのMMPの阻害は、細胞増殖および細胞侵入の増加をもたらしうる。
【0026】
それゆえ、治療において、抗標的であると考えられるMMP-1およびMMP-3についての阻害の欠如は、非常に望ましい。
【0027】
反対に、MMP-2およびMMP-9への明らかな選択性が、重大な副作用を示すことなく腫瘍細胞培養上でプロアポプティック(pro-apoptic)効果を有することが明らかになった。
【0028】
それゆえ、正常な機構が失われた場合、特異的MMPの活性を特異的に調節することができる分子の探索は、いくつかの疾患の治療のための有用な化合物を提供するであろう。
【0029】
さまざまなメタロプロテアーゼ阻害剤は、そのいくつかはスルホンアミド誘導体を示すが、当該技術分野で周知である。
【0030】
それらの中には、一例として国際公開第01/70720号に記載された炭素環式側鎖を含むN-置換型メタロプロテアーゼ阻害剤、およびその医薬組成物がある。
【0031】
米国第6,686,355号は、MMP阻害剤として、スルホンアミド基を含む環状窒素を有するビフェニル誘導体を開示する。
【0032】
国際公開第2004/069365号は、γ-放射性核種で適切に標識した置換型N,N-ジアルキル鎖スルホンアミド基を有するマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含む診断造影剤を記載する。
【0033】
国際公開第98/39329号は、MMP-2、MMP-9およびMMP-13を特異的に標的にするスルホンアミドヒドロキサム酸誘導体を記載する;その中のいくつかの化合物は、置換N,N-ジアルキル側鎖スルホンアミド基を含むことが例証された。
【0034】
米国第7,067,670号は、MMP-2およびMMP-13に対する阻害活性を有するアルキル−スルホンアミドヒドロキサム酸誘導体を開示する。
【0035】
米国第6,500,948号は、MMP阻害活性を有するピリジルオキシアリールスルホンアミド誘導体およびピリジルチオアリールスルホンアミド誘導体を開示し、スルホンアミド基のN原子は6員ヘテロ環の一部であり、上記N原子に隣接する炭素原子を有する。
【0036】
米国第6,495,568号は、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤として、アルキル−スルホンアミドヒドロキサム酸誘導体またはシクロアルキル−スルホンアミドヒドロキサム酸誘導体を開示する。
【0037】
米国第5,985,900号は、MMP阻害活性を有するフェニル-SO2NH-部分またはフェニレン-SO2NH-部分によって特徴づけられるスルホンアミド誘導体を開示する。
【0038】
国際公開第99/42443号は、アリール-SO2NH-基を有するスルホニルアミノヒドロキサム酸誘導体を開示するが、その中でマトリックス分解メタロプロテイナーゼとして示されている。
【0039】
他のスルホンアミドMMP阻害剤は、当該技術分野で周知である。それらの中には、ゼラチナーゼA(MMP-2)の選択的阻害剤があり、Rossello et al. in Bioorg. & Med. Chem. 12 (2004) 2441-2450によって開示され、Rがイソプロピル、アリルまたはp-(ベンジルオキシ)ベンジルから選択される基である下記の式(A)を有する。
【0040】
同様に、優れたMMP-2/MMP-1選択性を示すMMP-2阻害剤も、Tuccinardi et al(Bioorg. & Med. Chem. 14 (2006) 4260-4276)によって開示された;その中で報告された例証化合物の中には、下記の式(B)の誘導体がある。
【化1】

【0041】
上記に加えて、当該技術分野における以前の研究は、MMP-1およびMMP-3などのいくつかのMMPを阻害しない選択的MMP-2阻害剤の使用が、化学侵入および血管形成のモデルにおけるHT1080細胞(高浸潤性線維肉腫の)およびHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮(Human Umbical Vein Endothelial))細胞の侵入を阻止することを可能にすることを示してきた(A. Rossello, et al, Bioorg & Med. Chem., 2004, 12, 2441-2450; およびA. Rossello, et al., Bioorg & Med. Chem. Lett., 2005, 15, 1321-1326)。
【0042】
前述のBioorg & Med. Chem. Lett., (2005)に報告されたように、可能な抗血管形成モデルが開発され、下記に報告する式の(5b)および(5c)と呼ばれるその中の特異的化合物が合成された。
【化2】

【0043】
単離された酵素によって得られた結果に基づいて、CG Knight et al.によって記載された方法に従って(参考文献として、FEBS Lett. 1992, 296, 263; およびMethods Enzymol. 1995, 248, 470を参照のこと)、前述の方法はA. Rossello et al., in Bioorg. Med. Chem. Lett. 12 (2004), 2441-2450によって報告されたように蛍光発生基質FS-1(例えばMca-Pro-Leu-Gly-Leu-Dpa-Ala-Arg-NH2)の使用を含むが、化合物(5b)はMMP-2(IC50値は0.41 nMに相当する)およびMMP-14(IC50値は7.7 nMに相当する)の二重阻害剤であることが証明された。
【0044】
この点において、別段の定めがない限り、下記の薬理セクションおよび実験セクションにより、上記先行技術化合物(5b)をここでは「基準化合物(5b)」と呼ぶ。
【0045】
さらに、前述のBioorg. Med. Chem. Lett. 15 (2005), 1321-1326、およびBioorg. Med. Chem. Lett. 15 (2005), 2311-2314は、下記の式を有する化学合成中間体を開示する。
【化3】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0046】
我々は今、アリール−スルホンアミド構造を有する新たなクラスの亜鉛メタロプロテアーゼ阻害剤を発見したが、それは、ナノ/サブナノモル範囲での阻害検査のIC50値に基づいて、標的酵素、具体的にはMMP-2、MMP-13およびMMP-14に対して特に効果的であるという結果になった。
【課題を解決するための手段】
【0047】
発明の目的
それゆえ、下記の一般式(I)
【化4】

[式中:
Rは式-Ar-X-Ar'(II)の基であり、式中、Arはアリーレン、ヘテロアリーレン、アリールまたはヘテロアリール基であり、Ar'はArと同一または異なり、Arから独立し、アリールもしくはヘテロアリール基またはHである;前述のArおよびAr'は、下記から選択される1またはそれ以上の基によって任意に置換されている:
(i)直鎖状または分枝鎖状アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アミノアシル、アシルアミノもしくは過フッ化アルキルであり、そのそれぞれがアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する;
(ii)直鎖状または分枝鎖状C2-C6アルケニルもしくはアルキニル基;
(iii)ハロゲンまたはシアノ(-CN)基;
Xは単結合または直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキレン鎖、-O-、-S-、-S(O)2-、-CO-、-NR'-、-NR'CO-もしくは-CONR'-から選択される2価のリンカーであり、R'はHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキル基である;
R1は-OHまたは-ORa基であり、Raは直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基もしくはC2-C4アルケニル基から選択され;またはRaは式(III)
-(CH2)p-Z-(CH2)r-W (III)
の基であり、式中、pは0または1〜4の整数であり;Zは単結合または-O-、-NR'-、-NR'CO-もしくは-CONR'-から選択される2価のリンカーであり、R'は上記で定義した通りであり;rは0または1〜4の整数であり;Wはフェニルまたは5員もしくは6員ヘテロ環であり、そのそれぞれが-NH2、-COR'、-CONHR'、-COOR'または-SO2NHR'から選択される1またはそれ以上の基(R'は上記で定義した通りである)によって、アリールもしくはヘテロアリールによって、または1もしくはそれ以上の上記(i)〜(ii)の基によって任意に置換される;
R2およびR3は同一または異なっており、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基もしくはC1-C4アルコキシ基によって任意に置換された直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキル基、または-COOH、-COORb、-CONHOH、-CONHORb、-CONRbOH、-CONHS(O)2Rb、-CONH2、-CONHRbもしくは-P(O)(OH)2から選択される亜鉛結合基であり、Rbはアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキル基であり;または上記R2基もしくはR3基のいずれかは、R1と結合して5〜7員ヘテロ環を形成し、少なくとも2の隣接するN-Oヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は1またはそれ以上のオキソ基(=O)によって任意に置換される;
R4はHまたは-CORc、-COORc、-S(O)2Rc、-CONHRcもしくは-S(O)2NHRcから選択される基であり、RcはC3-C6シクロアルキル、直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、5員もしくは6員ヘテロシクリル、アルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有するアルキルヘテロシクリルもしくはヘテロシクロアルキルから選択される基である;
R5はHまたは、それらが結合したN原子と共に、R4およびR5は任意にベンゾ縮合した4〜6員ヘテロ環を形成し、上記で定義したRa基によっておよび/または1もしくはそれ以上のオキソ(=O)基によって任意に置換される;
nは1または2である;
mは1〜6の整数である;
ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-COOH、-COOC(CH3)3、-CONHOHまたは-CONHOCH2C6H5であり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない]
を有する化合物およびその医薬的に許容しうる塩は、本発明の第1の目的である。
【0048】
式(I)の化合物は、1またはそれ以上の不斉炭素原子、あるいはキラル炭素原子と呼ばれる原子を有してよく、それゆえ単一エナンチオマー、ラセミ化合物、ジアステレオ異性体およびそのいずれかの混合物の形態にて存在してよいが、その全ては本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0049】
上記のように、発明の式(I)の化合物の範囲内で、Rは式-Ar-X-Ar'(II)の基であり、Arは-X-Ar'と結合したアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を示し、またはXが単結合を示し、Ar'がHである場合、アリールまたはヘテロアリール基を示す。
【0050】
これに関連して、アリーレンおよびヘテロアリーレンは現在、2価のラジカル基(例えばフェニレン-C6H4-)を定義するように意図されているという事実にもかかわらず、アリールおよびアリーレン(ならびにヘテロアリールおよびヘテロアリーレン)の両用語は、ここでは別段の定めがない限り同じ意味で用いられる。
【0051】
本説明において、別段の定めがない限り、アリール基(およびアリーレン基)という用語について、我々は炭素環式芳香族基を意図する。
【0052】
ヘテロアリール(およびヘテロアリーレン)という用語について、我々はN、NH、OもしくはSから選択される1〜3個のヘテロ原子またはヘテロ原子団を有する5員または6員芳香族ヘテロ環を意図する。
【0053】
ヘテロアリール基のアリールの適切な例は、ArおよびAr'に言及する場合、さらに式(I)の化合物内に存在する他のアリールまたはヘテロアリール基に言及する場合、フェニル、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリルなどを含んでよい。
【0054】
式(II)については、Xが単結合を示して-Ar-Ar'基を生じる場合、ArおよびAr'の両方は互いに直接結合し得、あるいは、それらは上記で示したそれらの間のいずれかの適切な2価のリンカーを通じて互いに結合し得、それゆえ、一例として、-Ar-O-Ar'、-Ar-S-Ar'、-Ar-CONR'-Ar'などに相当するR基を提供することは、当業者には明らかである。
【0055】
さらに、Ar'が水素原子Hに相当する場合、上記R基のいずれかはそれぞれ、-Ar自体(Xが結合である場合)または-Ar-OH、-Ar-SH、-Ar-CONR'Hなどの基によって同定されうる。
【0056】
以前に報告されたように、上記Ar基および/またはAr'基のいずれかは、(i)〜(iii)の項目にて定義されたような1またはそれ以上の基によって、いずれかの自由位置にて任意にさらに置換されてよい。
【0057】
任意の置換基の中で、別段の定めがない限り、鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキルについて、我々はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを含むC1-C4アルキル基のいずれかを意図する。
【0058】
同様に、アルコキシと言う場合、我々はメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシなどの相当するアルキル−オキシ基のいずれかを意図する。
【0059】
上記のように、アルキル基はヒドロキシル(-OH)基、アミノ(-NH2)基によって、または前述のアルコキシ(-OAlk)基によってもさらに置換されてよく、それぞれヒドロキシアルキル(HO-Alk-)基、アミノアルキル(H2N-Alk-)基またはアルコキシアルキル(Alk-O-Alk-)基を生じてよい。
【0060】
同様に、アルキルアミノという用語については、我々は前述のアルキル基のいずれかによってさらに置換され、Alk-NH-基を生じるアミノ基に言及している。
【0061】
アシルという用語については、別段の定めがない限り、我々は通常Alk(CO)-基と同定できる基のいずれかを意図するが、ここでAlk残基はまさにいずれかの直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基を示す。
【0062】
それゆえ、アシル基の適切な例は、アセチル(CH3CO-)、プロピオニル(CH3CH2CO-)、ブチルリル[CH3(CH2)2CO-]、イソブチルリル[(CH3)2CHCO-]、バレリル[CH3(CH2)3CO-]などを含んでよい。
【0063】
上記のように、アミノアシル基は、アルキル鎖が、例えばアミノアセチル(H2NCH2CO-)、アミノプロピオニル[H2NCH2CH2CO-またはCH3CH(NH2)CO-]などのアミノによって適切に置換された上記アシル基のいずれかのみならず、H2NCO-を含んでよい。
【0064】
同様に、別段の定めがない限り、アシルアミノ基は前記アシル基のいずれかが、例えば、アセトアミド(CH3CONH-)、プロピオンアミド(CH3CH2CONH-)、ブチルアミド[CH3(CH2)2CONH-]などの-NH-に結合したカルボキシアミド基によって適切に示されうる。
【0065】
過フッ化アルキルという用語については、我々は水素原子の全てがフッ素原子、例えば、トリフルオロメチル基、-C2F5基、-C3F7基または-C4F9基などによって置換される前記のアルキル基のいずれかを意図する。
【0066】
直鎖状または分枝鎖状C2-C6アルケニルもしくはアルキニル基という用語については、我々は少なくともそれぞれ1の二重結合または三重結合を含むC2-C6炭化水素鎖のいずれかを意図する。
【0067】
それゆえ、発明のアルケニル基またはアルキニル基の適切な例は、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニル、エチニル、プロピニル、ブチニルなどを含む。
【0068】
最後に、ハロゲン原子という用語については、我々はフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のいずれかを意図する。
【0069】
発明の第1の実施態様によると、式(I)の化合物の中で、Rは式(II)の基を示し、Arは任意に置換されたフェニレン基を示し、Xは単結合または-O-、-S-もしくは-NH-から選択される2価のリンカーを示し、Ar'はHまたは任意に置換されたフェニル基を示す。
【0070】
このクラスで好ましい置換基は、直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基もしくはアルコキシ基、もしくはハロゲン原子である。
【0071】
さらにより好ましくは、式(I)の化合物の中で、Rは式(II)の基を示し、Arはフェニレン基を示し、Xは単結合または-O-を示し、Ar'はHまたはフェニル基を示し、フェニレン基およびフェニル基は直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基もしくはアルコキシ基によって、もしくはハロゲン原子によって任意に置換されている。
【0072】
このクラスの中でさらにより好ましいのは、式(I)の化合物であり、Rがビフェニル-4-イル、4-ブロモフェニル、4-(4'-メトキシフェニル)-フェニル、4-(4'-エトキシフェニル)-フェニル、4-フェノキシ-フェニル、4-(4'メトキシフェノキシ)-フェニルおよび4-(4'エトキシフェノキシ)-フェニルから選択される基である場合である。
【0073】
発明の異なる態様では、式(I)の化合物の中で、R1は-OH基または-ORa基であり、Raはアルキルもしくはアルケニルであり、または式(III)の基であり、p、Zおよびrは上記で定義した通りであり、Wはフェニルまたは5員もしくは6員ヘテロ環であり、そのそれぞれが上記のように任意にさらに置換される。
【0074】
本説明において、別段の定めがない限り、5員または6員ヘテロ環もしくはヘテロ環基という用語については、我々はいずれかの5員または6員芳香族もしくは非芳香族ヘテロ環を意図し、それゆえ1〜3個のヘテロ原子またはN、NH、OもしくはSから選択されるヘテロ原子団を有する飽和環、部分不飽和環または完全不飽和環さえも含む。
【0075】
上記のように、前述のヘテロ環またはヘテロ環基の定義は、ヘテロアリール基としても知られるいずれかの完全不飽和ヘテロ環も包含することは、当業者には明らかである。
【0076】
ヘテロ環基の適切な例は、ヘテロアリールの定義に含まれる既に報告された基を含まないが、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジンなどを含んでよい。
【0077】
発明の好ましい実施態様では、式(I)の化合物の中で、R1は-ORa基であり、Raは上記で定義したアルキルもしくはアルケニル基であり、または式(III)の基であり、pは1または2、Zは単結合または-O-もしくは-NH-から選択される2価の基であり、rは0、1または2、およびWは上記で定義した任意に置換されたフェニルまたはヘテロ環基である。
【0078】
このクラスの中でさらにより好ましいのは、式(I)の化合物であり、R1がイソプロポキシ、ベンジルオキシ、4-フェニル-ベンジルオキシ、アリルオキシ、2-[2(ピペラジニル-1-イル)エトキシ]エトキシまたは2-[2(4(エチルカルボニル)ピペラジニル-1-イル)エトキシ]エトキシから選択される場合である。
【0079】
式(I)においてR2およびR3に関する限り、それらはH、任意に置換されたアルキル基または以前に報告された亜鉛結合基を独立に示す。
【0080】
あるいは、R2またはR3はR1と結合し得、少なくとも2の隣接するN-Oヘテロ原子、例えば式(I)においてN原子がSに結合し、O原子がR1自体の一部である場合などを含む5〜7員ヘテロ環を生じうる。
【0081】
限定されない例として、R2またはR3の1つ(例えばR2)がR1と結合し、上記ヘテロ環構造を生じる式(I)の適切な化合物は、下記を含みうる:
【化5】

[式中、上記隣接するN-Oヘテロ原子を太字で示す]。
【0082】
発明の好ましい実施態様では、R2およびR3はそれぞれ独立してH、直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル、-COOH、-COORb、-CONHOHもしくは-CONHORbから選択され、Rbはアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキル基である。
【0083】
さらにより好ましくは、このクラスの中で、R2およびR3は共にH原子であるか、またはそれらの1つがHで、R2もしくはR3の残りの1つが-COOHもしくは-CONHOHである。
【0084】
R4の意味については、前述の基は水素原子Hまたは上記のRc基を通じてさらに誘導体化されたカルボニル、カルボキシル、スルホニル、カルボキシアミドもしくはスルホンアミド基を示してよい。
【0085】
Rcに言及する場合、別段の定めがない限り、C3-C6シクロアルキルという用語については、我々はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのいずれかの3〜6員シクロ脂肪族環を意図する。
【0086】
上記のように、アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環(またはヘテロシクリル)の意味を定義したため、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、アルキルヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルなどのいずれかの複合名の基は、当業者に明らかであるはずである。
【0087】
ほんの一例を挙げると、別段の定めがない限り、アルキルアリールという用語については、我々はアルキル、例えばp-エチル-フェニル(pC2H5-C6H4-)によってさらに置換されたいずれかのアリール基を意図する;アリールアルキルという用語については、我々は代わりにアリール、例えば2-フェニル-エチル(C6H5-CH2-CH2-)によってさらに置換されたアルキル基に言及する;などである。
【0088】
上記の全てにより、ヘテロアリールアルキル基、アルキルヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基またはアルキルヘテロシクリル基について、類似の考察を適用してよいことは当業者に明らかであるはずである。
【0089】
式(I)において、R5についてはHを示し、あるいは上記で報告されたようにR4およびR5はそれらが結合したN原子と共に任意にベンゾ縮合した4〜6員ヘテロ環を形成する。
【0090】
前述のヘテロ環の適切な例は、例えばRa基およびオキソ基によって置換され、それゆえ下記を含みうる:
【化6】

【0091】
さらなる好ましい発明の実施態様では、R4は-CORc、-COORcまたは-S(O)2Rcから選択され、Rcはアリール、アルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキルもしくはアリールアルキル基;およびR5はHである。
【0092】
このクラスの中でさらにより好ましくは、式(I)の化合物であり、R4がアセチル、ベンゾイル、フェナセチル、4-フェニルブタノイル、ベンジルオキシカルボニル、メタンスルホニル、フェニルスルホニルまたはベンジルスルホニルから選択され、R5がHである場合である。
【0093】
さらに異なる発明の実施態様では、R4およびR5はそれらが結合したN原子と共に、N-フタルイミド基を形成する。
【0094】
最後に、さらなる好ましい発明の実施態様では、式(I)の化合物の中で、nおよびmは共に2である。
【0095】
以前に報告されたように、発明の式(I)の化合物は、医薬的に許容しうる塩の形態にても存在しうる。
【0096】
本明細書で用いられている「医薬的に許容しうる塩」という用語は、発明の化合物の誘導体に言及し、親化合物は、存在するならば遊離酸性基または遊離塩基性基のいずれかを、通常医薬的に許容しうると意図されるいずれかの塩基または酸を有する相当する付加塩に変化させることによって適切に修飾される。
【0097】
無毒性である以外に、発明の式(I)の化合物の相当する塩は、使用および投与における生理学的安定性を含む高安定性によっても特徴づけられる。
【0098】
それゆえ前述の塩の適切な例は、ミネラルまたはカルボキシ基、ホスホン酸基または硫酸基などの酸性残基の有機塩基付加塩のみならず、ミネラルまたはアミノ基などの塩基性残基の有機酸付加塩を含みうる。
【0099】
発明の中で、塩を製造するために適切に用いられうる好ましい無機塩基のカチオンは、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンを含む。好ましい有機塩基のカチオンは、とりわけ、エタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N-メチルグルカミン、N,N-ジメチルグルカミンなどの1級、2級および3級アミンのカチオンを含む。
【0100】
発明の化合物を塩化するために適切に用いられうる好ましい無機酸のアニオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロ酸のイオン、または硫酸などの他の適切なイオンを含む。
【0101】
好ましい有機酸のアニオンは、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸またはシュウ酸などの塩基性物質の塩化のための医薬技術にて日常的に用いられる有機酸のアニオンを含む。
【0102】
発明の化合物を塩化するために適切に用いられうる好ましいアミノ酸は、例えばタウリン、グリシン、リジン、アルギニン、オルニチン、アスパラギン酸およびグルタミン酸も含んでよい。
【0103】
発明の式(I)の化合物の具体例は、それらの製造方法と共に、下記の実験セクションにて報告されている。
【0104】
発明の化合物の製造方法は、合成有機化学技術の分野における当業者に周知の従来の方法に従って実施されうる。
【0105】
それゆえ、式(I)の化合物の製造方法はさらなる発明の目的であるが、その方法は下記を含む:
a) 式(IV)の化合物を式(V)の化合物と反応させ
【化7】

[式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmは、上記で報告した意味を有する]、発明の式(I)の化合物を得る;および任意に
b) ステップ(a)にて得られた式(I)の化合物を、別の式(I)の化合物および/またはその医薬的に許容しうる塩に変化させる。
【0106】
いずれかの適切な変形を通じて、適切に調節し、目的の式(I)の化合物のいずれかを得ることが可能であるため、上記方法は特に有利である。
【0107】
方法のステップ(a)において、式(IV)の化合物と式(V)の化合物の間の反応は、nがそれぞれ2または1であるスルホンアミド基またはスルフィンアミド基の従来の製造方法に従って実施される。
【0108】
典型的には、反応は既知の光延縮合(Mitsunobu condensation)実施条件下で、適切な溶媒、特にテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、m-キシレンおよびその混合液を含む溶媒の存在下で実施される。
【0109】
この点において、上記反応は適切な縮合剤の存在下で起こりうるが、縮合剤はそれ自体またはポリマー樹脂に適切に支持された状態であり、例えばジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)、1,1'-アゾジカルボニルジピペリジン(ADDP)、N,N,N',N'-テトラメチルアゾジカルボキサミド(TMAD)、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリブチルホスフィン(PBu3)などを含む。
【0110】
上記の全てにより、方法のステップ(a)において、R基、R1基、R2基、R3基、R4基およびR5基のいずれかは、以下簡単に「R」基と呼ばれ、それ自体、あるいは、いずれかの適切に保護された形態にて存在しうることは、当業者に明らかであるはずである。
【0111】
より具体的には、式(IV)または式(V)の化合物のいずれかに存在する官能基は、不必要な副反応および副産物を生じうるため、縮合反応が起こる前に適切に保護される必要がある。同様に、それに続くそれら同一の保護基の脱保護は、前述の反応の完了に続きうる。
【0112】
本発明において、特に示さない限り、「保護基」という用語はそれが結合した基の機能を保護するのに適した保護基を示す。特に、保護基はアミノ官能基、ヒドロキシル官能基またはカルボキシル官能基を保護するために用いられる。それゆえ適切な保護基は、例えばベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アルキルもしくはベンジルエステル、またはそのような官能基の保護に通常用いられる他の置換基を含んでよいが、それらは全て当業者に周知である[一般的参考文献として、T. W. Green;有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)(Wiley, N.Y. 1981)を参照のこと]。
【0113】
同様に、例えばカルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基を含む前述の基のいずれかの選択的保護および脱保護は、有機合成化学にて通常利用される周知の方法に従って全て達成されうる。
【0114】
上記に加えて、方法のステップ(b)のように、誘導体化された基、例えばいずれかのエステルまたはアミドとして容易に同定されうる式(I)の最終化合物の中の「R」基のいずれかは、従来の方法に従って研究することによって、それが由来する官能基から製造されうる。
【0115】
限定されない例として、例えばR2が-COORb基、Rbがアルキル基およびR3がHである式(I)の化合物の製造の場合、同一の化合物は本方法に従って製造されうる:(i) ステップ(a)のように、R2およびR3が上記で定義した通りである式(V)の化合物から出発することによる;あるいは、(ii) 方法のステップ(b)のように、R2が-COOHである相当する式(I)の化合物から出発することによる、およびカルボキシル基を目的の-COORb基に適切に変化させることによる。
【0116】
上記反応条件は、カルボキシエステルの製造についての技術分野で周知である。
【0117】
例えば、カルボキサミドの製造において、相当するカルボキシル誘導体をいずれかの適切なアミンと適切に反応させることによって、および周知の実施条件に従って研究することによって、類似の考察を適用しうる。
【0118】
同様に、例えばR2がヒドロキサム酸基-CONHOHである式(I)の化合物の製造において、ステップ(a)にて得られたR2がカルボキシルである式(I)の化合物を第1に反応させることによって方法は実施され得、場合によっては適切な反応物、例えば、O-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン、O-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ヒドロキシルアミン、O-トリチルヒドロキシルアミンまたはO-ベンジルヒドロキシルアミンなどの存在下で実施されうる。
【0119】
それに続く得られた中間体誘導体の脱保護、例えばトリフルオロ酢酸の存在下もしくはトリメチルシリルトリフレートの存在下の酸加水分解下、またはO-ベンジルヒドロキシルアミンの場合は触媒水素化によって、R2が-CONHOHである目的化合物をもたらしうる。
【0120】
式(I)の化合物の中の特定の基を別の基に変化させるいくつかのさらなる例が、当該技術分野で周知である。それらは例えば:アミノ(-NH2)またはカロボキサミド(caroboxamido)(-CONH2)基の相当するN-置換誘導体への変化;周知の実施条件により、炭酸セシウムの存在下、臭化ベンジルとの反応による、カルボキシル基の相当するベンジルエステル誘導体への変化;その(-CONH2)への第1の変化、続く2-ピコリンの存在下、クロロスルホン酸との反応による、カルボキシル基(-COOH)の相当する(-CONHSO3H)基への変化;そのヒドロキシメチル(-CH2OH)への第1の還元、続くチオニルクロライドによる(-CH2Cl)への変化、さらに続く亜リン酸トリエチルとの反応で相当する[-CH2P(OH)2]基を得、最後に[-CH2PO(OH)2]へ加水分解されることによる、カルボキシル基(-COOH)の相当する[-CH2PO(OH)2]基への変化を含みうる。
【0121】
上記反応およびその実施条件の全ては、当該技術分野で周知であり、さまざまな式(I)の化合物を得ることを可能にする。
【0122】
明らかに、方法のステップ(b)により、ステップ(a)にて得られた式(I)の化合物内のいずれかの官能基は、好ましくない副産物ももたらし得、周知の方法に従って反応が起こる前に適切に保護され、次いで脱保護される必要がある。
【0123】
式(I)の化合物の製造において利用される特異的な実施条件の参考の一例として、代表的な発明の化合物の製造用の合成経路を提供する下記のスキーム1を参照のこと。しかしながら、詳細は実験セクションにて見ることができる。
【0124】
下記のスキーム1の中で、いくつかの代表的な発明の式(I)の化合物の製造が報告されているが、nおよびmは共に2であり;R、R1およびR4はその中で報告された意味を有し、R2またはR3の1つはHであり、R2またはR3の残りの1つはカルボキシルまたはヒドロキサム酸基(-COOHまたは-CONHOH)であり、R5はHである。
【0125】
スキーム1
【化8】

【0126】
本質的に、上記製造方法は下記のステップを含む:
i) トルエン中、化合物(5)のカルボキシル基をいずれかの適切な保護基、例えばN,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタールで保護し(一般的参考文献として、Rossello et al. Bioorg. Med. Chem. Lett, 2005, 15, 1321を参照のこと)、結果、式(6)の化合物を提供する;
ii) 周知の光延実施条件に従って研究することによって、例えば縮合剤としてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)およびトリフェニルホスフィン(PPh3)の存在下、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で化合物(7-10)のいずれか1つを式(6)の化合物と反応させ、結果、相当する式(11-14)の化合物を得る;さらにそれらを下記の代替経路により処理する:
iii) 化合物(12-13)のアミノ基を従来の方法、例えば酢酸中でパラジウム触媒または白金触媒での触媒水素化を含む方法に従って脱保護し、結果、化合物(15-16)を得る;
iv) 例えばいずれかの適切なアシル化剤との反応を通じて、化合物(15-16)のアミノ基を適切に官能化し、結果、化合物(17-22)のようないずれかの目的-NHR4基を得る;
v) 適切な加水分解条件下、例えばトリフルオロ酢酸の存在下、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中、カルボキシ官能基を脱保護し、結果、相当する化合物(23-28)を得る;
vi) 周知の方法に従って、例えばジクロロメタン中、O-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン、続く1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドの付加によって、化合物(23-28)の同一のカルボキシ基を適切なシリル誘導体(29-34)へ変化させる;
vii)さらに化合物(29-34)を例えばジクロロメタン中、トリフルオロ酢酸で加水分解し、結果、目的の式(I)の化合物をもたらす;
あるいは、
iii') 例えばステップ(v)のように研究することによって、化合物(11および14)のカルボキシ官能基を脱保護し、結果、化合物(35および36)を得る;
iv') 例えばステップ(vi)のように研究することによって、結果得られた化合物を相当するシリル誘導体(37-38)へ変化させる;
v') 例えばステップ(vii)のように研究することによって、化合物(37-38)を加水分解し、結果、目的の式(I)の化合物を得る。
【0127】
最後に、遊離酸性基のいずれか(例えばカルボキシ、亜硫酸(sulforic)、ホスホンなど)または遊離アミノ基を相当する医薬的に許容しうる塩へ適切に変化させることによって、式(I)の化合物の任意の塩化が実施されうる。この場合も、発明の化合物の任意の塩化用に利用される実施条件は、全て当業者の一般的知識の範囲内である。
【0128】
上記の全てにより、発明の式(I)の適切な化合物の製造用の上記方法、そのいずれかの変形の全体は、都合よく修飾され得、結果、反応条件を特異的な要求に適応させ得、例えば場合によっては適切な縮合剤、溶媒および保護基を選択することによって適応させうることは当業者に明らかであるはずである。
【0129】
式(IV)および式(V)の化合物は、本方法の出発物質として知られ、また周知の方法に従って容易に製造されうる。
【0130】
例えば、式(IV)のスルホンアミド誘導体は、いずれかの適切なアミノ化合物を、いずれかの適切なスルホニルクロライド誘導体と反応させることによって製造され得、実質的には下記の通りである:
R1-NH2 + R-S(O)2Cl -> R-S(O)2NHR1
【0131】
同様に、それ自体周知でない場合、上記アミンおよびスルホニルクロライド誘導体は共に市販の化合物から周知の方法に従って容易に製造されうる。
【0132】
類似の考察が式(V)の化合物に適用し得、それ自体市販されていない場合、当該技術分野で周知である従来の方法に従って都合よく製造されうる。
【発明の効果】
【0133】
薬理
阻害活性
本発明によると、式(I)の化合物はマトリックスメタロプロテアーゼに対して阻害活性を有し、それゆえ前述の酵素の調節が変化させられる病理の治療、処置において有用である。
【0134】
より具体的には、実施例16に記載された方法に従って、MMP-2、MMP-13およびMMP-14に対するそれらの活性を立証するために化合物を検査した。
【0135】
その中で報告されるように、周知の蛍光発生基質(Mca-Lys-Pro-Leu-Gly-Leu-Dpa-Ala-Arg-NH2)、簡単にはFS-6と呼ばれる蛍光発生基質で発明の化合物の阻害活性を評価した(参考文献として、U. Neumann, Analytical Biochem. 2004, 328, 166-173を参照のこと)。
【0136】
前述の蛍光発生基質は、Mcaとプロリン残基の間にリジン残基を挿入することによって類似のFS-1から開発された(参考文献として、前述のCG Knight et al., in Febs Lett. 1992, 296, 263-266を参照のこと)。
【0137】
おそらくいくつかのMMPについて基質親和性の低下の原因である立体的に障害があるMca部分のために、FS-6におけるペプチド鎖の伸長につれて、基質がMMPによって加水分解される能力が改善すると報告されたが、本化合物はFS-6に基づいて、このより正確で高度に感覚的な方法に従って検査した。
【0138】
それゆえ、得られた実験データおよびそのコメントにより(実施例16を参照のこと)、発明の化合物はMMP-2、MMP-13およびMMP-14に対して阻害活性を有するという結果になり、ここで基準化合物(5b)として同定されている構造的に近い先行技術化合物の阻害活性よりも顕著に優れている。
【0139】
それゆえ、それらの予想外の活性プロフィールのために、上記酵素が関係する、広く変性疾患と呼ばれるそれらの病理の治療、処置において発明の化合物は有利に用いられうる。
【0140】
この後者の態様によると、治療目的用の式(I)の化合物は、以前に報告され、化学中間体としてのみ開示された前述の先行技術化合物も含む。
【0141】
それゆえ、薬剤としての使用のための、R、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmが上記の通りである式(I)の化合物(ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-CONHOHであり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない);およびその医薬的に許容しうる塩は、さらなる発明の実施態様である。
【0142】
さらに、発明の範囲内には、変性疾患の治療用薬剤の製造におけるR、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmが上記の通りである上記式(I)の化合物(ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-CONHOHであり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない)、ならびにその医薬的に許容しうる塩の使用も含まれる。
【0143】
前述の変性疾患は、腫瘍および、より一般的には、無制御細胞増殖を伴う組織形態変化に至る病理を含む。
【0144】
それゆえ前述の病理は、関節炎および結合組織疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、脳卒中およびALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、心不全、拡張型心筋症などの循環器疾患;肺気腫または嚢胞性線維症などの肺疾患;胃潰瘍;敗血症ならびに自己免疫疾患を含みうる。
【0145】
さらに別の実施態様では、発明は有効成分として医薬的に有効な量のR、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmが上記の通りである式(I)の化合物(ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-CONHOHであり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない)を含む医薬組成物、ならびに1またはそれ以上の医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせたその医薬的に許容しうる塩に関する。
【0146】
発明の組成は、医薬形態の製造のために当該技術分野で広く周知である従来の方法に従ってうまく製造され得、使用目的のために当該技術分野で周知である担体、希釈剤または賦形剤のいずれかを含んでよい。
【0147】
さらに別の態様では、発明は上記変性疾患の治療方法を提供し、方法はそれを必要とする哺乳類への、治療的に有効な量のR、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmが上記の通りである式(I)の化合物(ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-CONHOHであり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない)、ならびにその医薬的に許容しうる塩の投与を含む。
【0148】
上記の全てにより、本発明の化合物は治療にて広範囲の応用を有し得、それゆえ目的の投与経路、すなわち局所投与、経口投与および腸内投与のために、従来の方法に従って適切に製剤化されうることは容易に予想されうる。
【0149】
本発明をより良く説明することを目的として、いかなる限定を課すことなく、下記の実施例を提供する。この点において、当業者に明らかとなるであろう製造方法の可能な変形を含むさらなる応用は、それゆえ本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0150】
実験セクション
いくつかの代表的な発明の化合物は、下記のスキーム1〜6に従って製造した;別段の定めがない限り、下記のスキームにおいて報告される化合物参照番号は維持されるであろう。
【0151】
ここで化合物(1a-1h)と番号付けされた化合物は、スキーム1にて概要を述べた方法によって製造した。
【化9】

【表1】

【0152】
光学活性なα-ヒドロキシ-tert-ブチルエステル(6)は、市販のα-ヒドロキシ酸(5)のN,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタールとの直接エステル化によって合成した(Rossello, A.et al.; Bioorg. Med. Chem. Lett, 2005, 15, 1321を参照のこと)。スルホンアミド(7-10)のα-ヒドロキシ-tert-ブチルエステル(6)との光延縮合反応により、tert-ブチルエステル(11-14)を得た。エステル(11、14)の酸開裂によりカルボン酸(35、36)が生成し、O-(tert-ブチル-ジメチルシリル)ヒドロキシルアミンでの処理によりそれぞれのO-シリレート(37、38)に変化させた。tert-ブチルO-シリレート(37、38)のトリフルオロ酢酸での加水分解により、ヒドロキサム酸(1a、1h)が得られた。Tert-ブチルエステル(17-22)は、(12、13)のPd-触媒水素化、続く市販のアシルクロライドでのアシル化によって得た。エステル(17-22)の酸開裂によって、カルボキシレート(23-28)が生成し、続いてそれぞれのtert-ブチルO-シリレート(29、34)に変化させた。次いで、ヒドロキサム酸(1b-1g)は、(29、34)のトリフルオロ酢酸での処理によって得た。
【0153】
さらなる発明の化合物(2-4)もスキーム2に従って製造した。
【表2】

【0154】
(S)-α-ヒドロキシ-tert-ブチルエステル(40)は、N,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタールを用いた市販のα-ヒドロキシ酸(39)の直接エステル化によって得た。スルホンアミド(9、41、および42)のα-ヒドロキシ-tert-ブチルエステル(40)との光延カップリングにより、tert-ブチルエステル(43-45)を得た。(43、44)の酸開裂により、カルボン酸(46、47)が生成し、O-(tert-ブチル-ジメチルシリル)ヒドロキシルアミンでの処理により、それぞれのO-シリレート(48、49)に変化させた。tert-ブチルO-シリレート(48、49)のトリフルオロ酢酸での加水分解により、ヒドロキサム酸(2および3)が得られた。市販の4-エトキシフェニルボロン酸のエステル(45)との鈴木カップリングにより、ビフェニルエステル(50)が得られ、上記の製法を用いてヒドロキサム酸(4)に変化させた。
【0155】
ここで式(I)におけるR2およびR3が共にH原子である化合物(64)として示される、さらなる発明の化合物は、市販のアルコール(63)とスルホンアミド(8)との間の光延縮合反応を通じて、下記のスキーム5により製造した。
【化10】

【0156】
スキーム1および2にて用いたスルホンアミド(7-10および41、42)は、スキーム3にて示したように製造した。N-メチルモルホリンでの処理により、市販のアリールスルホニルクロライド(56-59)を適切なO-アルキルヒドロキシルアミン(53-55)とカップリングした(Rossello, A. et al.; Bioorg. Med. Chem. 2004, 12, 2441を参照のこと)。O-アルキルヒドロキシルアミン(53および54)が市販されていた一方で、(55)はスキーム4にて記載したように製造した。二炭酸ジ-tert-ブチルとの反応による市販のアミノアルコール(60)のN-保護により、ピペラジン誘導体(61)を得た。N-ヒドロキシフタルイミドとの光延反応により(62)を得、エタノール中、ヒドラジン水和物でのヒドラジン分解によって(55)に変化させた。
【0157】
下記の式を有するさらなる発明の化合物(1i - 1k)も製造した:
【化11】

【表3】

【0158】
化合物(1i)および化合物(1j)は、スキーム6にて示したように、以前に報告した光延カップリング条件下で、スルホンアミド誘導体(65)をスキーム1の化合物(6)と適切に反応させることによって製造した。次いで得られた化合物(66)はトリフルオロ酢酸で脱保護され、結果、化合物(1i)をジ-トリフルオロ酢酸塩として得た。
【0159】
次いでこの後者のカルボン酸は、以前に報告した相当するヒドロキサム酸誘導体(1j)ジ-トリフルオロ酢酸に変化させた。
【0160】
次いで化合物(1j)は、トリエチルアミンの存在下、従来の方法に従って研究することによって、2,5-ジオキシピロリジン-1-イルプロピオン酸でピペラジノN原子にてアシル化され、結果、相当する化合物(1k)が得られた。
【0161】
同様に、出発物質(65)は化合物(10)の製造のためのスキーム3および4にて報告したように得られた。
【0162】
1H-NMRスペクトルは溶媒としてCDCl3またはDMSO-d6を用いて、Varian Gemini 200(200 MHz)に記録した。
【0163】
スキーム1
【化12】

【0164】
スキーム2
【化13】

【0165】
スキーム3
【化14】

【0166】
スキーム4
【化15】

【0167】
スキーム5
【化16】

【0168】
スキーム6
【化17】

【実施例1】
【0169】
化合物(1a):(R)-ベンジル3-(N-(ベンジルオキシ)ビフェニル-4-イルスルホンアミド)-4-(ヒドロキシアミノ)-4-オキソブチルカルバミン酸の製造
化合物(6)の製造
N,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタール(18.92 mL、78.96 mmol)を含むトルエン(38 mL)中の(S)-(+)-Z-4-アミノ-2-ヒドロキシ酪酸(5)(5 g、19.74 mmol)の溶液を、95℃まで3時間加熱した。次いで溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/EtOAc = 7:4)によって精製し、(6)(3.4 g、収率55.7%)を黄色固体として得た。
【0170】
Mp 42-44℃; [α]20D= - 5.9° (c= 10.1 mg/ml, CHCl3)
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.47 (s, 9H); 1.76-1.85 (m, 1H); 1.94-2.09 (m, 1H); 2.74 (br s, 1H); 3.36 (dd, J= 6.04 Hz, J= 11.99 Hz, 2H); 4.10 (dd, J= 4.02 Hz, J= 8.05 Hz, 1H); 5.09 (s, 2H); 5.21 (br s, 1H); 7.31-7.37 (m, 5H)
C16H23NO5計算値 (Anal. Calcd.): C, 62.12; H, 7.49; N, 4.53. 実測値: C, 62.22; H, 7.48; N, 4.53.
【0171】
化合物(7)の製造
無水THF(32 mL)中のビフェニル-4-スルホニルクロライド(56)(3.17 g、12.53 mmol)の溶液を、無水THF(32 mL)中のO-ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(53)(2 g、12.53 mmol)およびN-メチルモルホリン(2.75 mL、25.06 mmol)の撹拌、冷却(0℃)溶液に滴加した。30分後、これらの条件下、反応混合物を室温で3日間撹拌し、次いでAcOEtで希釈し、H2Oで洗浄し、後処理(work-up)の後、スルホンアミド(7)(3.62 g、85%)を白色固体として得た。
【0172】
Mp= 130-132℃;
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.01 (s, 2H); 7.01 (s, 1H); 7.35 (m, 5H); 7.44-7.51 (m, 3H); 7.57-7.62 (m, 2H); 7.70-7.75 (m, 2H); 7.97-8.01 (m, 2H).
【0173】
化合物(11)の製造
0℃で窒素雰囲気下、無水THF(45 mL)中、第2級アルコール(6)(0.8 g、2.61 mmol)、スルホンアミド(7)(1.3 g、3.91 mmol)およびトリフェニルホスフィン(2.05 g、7.83 mmol)を含む溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(1.28 mL、6.52 mmol)を滴加した。結果として生じる溶液を室温で5時間撹拌し、減圧下で蒸発させ、粗生成物を産生し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/EtOAc = 3:1)によって精製し、化合物(11)(0.95 g、収率58%)を純粋な黄色油として得た。
【0174】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.25 (s, 9H); 1.90-2.04 (m, 2H); 3.16-3.40 (m, 2H); 4.16 (t, J= 7.1Hz, 1H); 4.93-5.00 (m, 1H); 5.07-5.19 (m, 4H); 7.33-7.37 (m, 10H); 7.41-7.59 (m, 5H); 7.66-7.70 (m, 2H); 7.92-7.97 (m, 2H).
【0175】
13C-NMR (CDCl3) δ: 22.09; 27.87; 37.59; 62.75; 66.76; 80.87; 82.56; 127.43; 127.67; 128.16; 128.56; 128.72; 128.92; 129.14; 129.89; 129.94; 133.89; 134;80; 139.17; 146.84; 156.27.
【0176】
化合物(35)の製造
新たに蒸留したCH2Cl2(1.0 mL)中のtert-ブチルエステル(11)(136 mg、0.21 mmol)の撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(0.9 mL、57.00 mmol)を滴加し、0℃まで冷却した。溶液を0℃で5時間撹拌し、溶媒を真空中で除去し、化合物(35)(128 mg、収率100%)を油として得た。
【0177】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.60-1.70 (m, 1H); 1.88-2.08 (m, 1H); 3.19 (m, 2H); 4.30 (t, J=6.9Hz, 1H); 5.02-5.17 (m, 4H); 7.28-7.34 (m, 10H); 7.40-7.51 (m, 3H); 7.55-7.59 (m, 2H); 7.65-7.70 (m, 2H); 7.91-7.95 (m, 2H).
【0178】
化合物(37)の製造
0℃に冷却した新たに蒸留したCH2Cl2(3.6 mL)中、カルボン酸(35)(117 mg、0.2 mmol)およびO-(tert-ブチルジメチル-シリル)ヒドロキシルアミン(44 mg、0.3 mmol)の溶液に、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(57.5 mg、0.3 mmol)を分割添加した。室温で20時間撹拌後、混合物をH2Oで洗浄し、有機相を乾燥させ、真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/EtOAc = 2.5:1)によって精製し、化合物(37)(28 mg、収率20%)を黄色油として得た。
【0179】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.13 (s, 6H); 0.90 (s, 9H); 1.90-2.11 (m, 2H); 2.80-3.40 (m, 2H); 4.13-4.22 (m, 1H); 5.02-5.27 (m, 4H); 7.31-7.46 (m, 13H); 7.53-7.58 (m, 2H); 7.64-7.68 (m, 2H); 7.84-7.88 (m, 2H).
【0180】
表題化合物(1a)の製造
新たに蒸留したCH2Cl2(1 mL)中の化合物(37)(23 mg、0.03 mmol)の撹拌溶液にトリフルオロ酢酸(0.15 mL、1.85 mmol)を滴加し、0℃まで冷却した。溶液を0℃で5時間撹拌し、溶媒を真空中で除去し、粗生成物を得、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶化し、(1a)(10 mg、収率53%)を固体として得た。
【0181】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.99 (m, 2H); 3.00-3.35 (m, 2H); 4.29 (m, 1H); 5.08-5.26 (m, 4H); 7.34-7.45 (m, 13H); 7.53-7.58 (m, 2H); 7.66-7.70 (m, 2H); 7.87-7.91 (m, 2H).
【実施例2】
【0182】
化合物(1b):(R)-N-(4-(ヒドロキシアミノ)-3-(N-イソプロポキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)-4-オキソブチル)ベンズアミドの製造
化合物(8)の製造
N-イソプロポキシ-1,1'-ビフェニル-4-スルホンアミドは、以前にRossello, A.ら(Bioorg. Med. Chem. 2004, 12, 2441)によって記載されたように製造した。
【0183】
化合物(12)の製造
Tert-ブチルエステル(12)は、以前に化合物(11)の製造用に実施例1に記載した製法に従って、スルホンアミド誘導体(8)(1.08g、3.72 mmol)およびアルコール(6)(0.76 g、2.48 mmol)から製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 5:1)によって精製し、(12)(1.14 g、収率79%)を黄色油として得た。
【0184】
[α]20D= + 55° (c= 9.1 mg/L, CHCl3);
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.22-1.25 (m, 15H); 2.04 (m, 2H); 3.22-3.37 (m, 2H); 4.12 (dd, J= 7.14 Hz, J= 14.29 Hz, 1H); 4.43 (septet, J= 6.2 Hz, 1H); 5.08 (s, 2H); 7.34 (m, 5H); 7.42-7.53 (m, 3H); 7.55-7.61 (m, 2H); 7.7-7.74 (m, 2H); 7.94-7.98 (m, 2H).
【0185】
化合物(15)の製造
MeOH(80 mL)中の化合物(12)(0.74 g、1.27 mmol)の溶液を、水素雰囲気下、10% Pd-C(0.20 g)および氷酢酸(80 mL)の存在下、室温で17時間撹拌した。結果として生じる混合物をセライト上で濾過し、濾液を減圧下で蒸発させ、(15)(0.60 g、収率93%)を茶色がかった油として得た。
【0186】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.10 (brs, 9H); 1.20 (t, J=4.4Hz, 6H); 2.16-2.30 (m, 2H); 3.16 (m, 2H); 4.34-4.46 (m, 2H); 7.40-7.51 (m, 3H); 7.56-7.59 (m, 2H); 7.71-7.75 (m, 2H); 8.00-8.04 (m, 2H).
【0187】
13C-NMR (CDCl3) δ: 21.15; 21.22; 27.72; 36.70; 62.97; 80.03; 82.49; 127.03; 127.45; 127.59; 127.76; 128.67; 129.14; 130.49; 133.60; 139.30; 146.89.
【0188】
化合物(17)の製造
乾燥DMF(6 mL)中の化合物(15)(0.30 g、0.59 mmol)の溶液を、ベンゾイルクロライド(0.08 mL、0.70 mmol)およびi-Pr2NEt(0.20 mL、1.18 mmol)で処理した。反応混合物を室温で17時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、H2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2.5:1)によって精製し、(17)(112 mg、収率34%)を黄色油として得た。
【0189】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.13 (brs, 9H); 1.23 (d, J=5.1Hz, 3H); 1.26 (d, J=4.4Hz, 3H); 2.10-2.21 (m, 2H); 3.34-3.50 (m, 1H); 3.80-3.92 (m, 1H); 4.23 (t, J=7.1Hz, 1H); 4.45 (septet, 1H); 7.39-7.59 (m, 10H); 7.69-7.73 (m, 2H); 7.93-7.98 (m, 2H).
【0190】
化合物(23)の製造
以前に化合物(35)の製造用に実施例1により記載した製法に従って、カルボン酸(23)(89 mg、収率100%)をエステル誘導体(17)(0.10 g、0.18 mmol)から製造した。
【0191】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.20 (t, J=5.1Hz, 6H); 1.80-2.28 (m, 2H); 3.40-3.55 (m, 1H); 3.60-3.82 (m, 1H); 4.30-4.50 (m, 2H); 6.56 (brs, 1H); 7.43-7.58 (m, 10H); 7.66-7.69 (m, 2H); 7.91-7.94 (m, 2H).
【0192】
化合物(29)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(23)(90 mg、0.18 mmol)をO-(tert-ブチルジメチル-シリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2:1)により、目的生成物(30 mg、収率27%)を得た。
【0193】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.16 (s, 6H); 0.93 (s, 9H); 1.22 (d, J=6.2Hz, 3H); 1.28 (d, J=6.2Hz, 3H); 2.02-2.16 (m, 2H); 3.20 (m, 1H); 3.43 (m, 1H); 4.06-4.20 (m, 1H); 4.46 (septet, 1H); 6.76 (brs, 1H); 7.35-7.65 (m, 10H); 7.73-7.77 (m, 2H); 7.87-7.91 (m, 2H); 9.01 (brs, 1H).
【0194】
表題化合物(1b)の製造
実施例1にて化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(29)(30 mg、0.05 mmol)をTFAで処理し、Et2Oからの再結晶後、目的ヒドロキサム酸(15 mg、収率60.5%)を得た。
【0195】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24 (t, J=6.5Hz, 6H); 1.44-1.69 (m, 1H); 2.05-2.21 (m, 1H); 3.10-3.50 (m, 2H); 4.20-4.50 (m, 2H); 7.10 (brs, 1H); 7.30-7.55 (m, 10H); 7.59-7.63 (m, 2H); 7.86-7.90 (m, 2H).
【実施例3】
【0196】
化合物(1c):(R)-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)-4-(メチルスルホンアミド)ブタンアミドの製造
化合物(18)の製造
乾燥THF(3 mL)中、実施例2に従って製造した化合物(15)(0.30 g、0.60 mmol)の溶液を、メタンスルホニルクロライド(0.05 mL、0.60 mmol)およびN-メチルモルホリン(0.13 mL、1.2 mmol)で処理した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いでAcOEtで希釈し、H2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 3:2)によって精製し、(18)(100 mg、収率32%)を黄色油として得た。
【0197】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.14 (brs, 9H); 1.20-1.26 (m, 6H); 2.04 (brs, 2H); 2.95 (s, 3H); 3.29 (brs, 2H); 4.25 (t, J=7.1Hz, 1H); 4.42 (septet, 1H); 7.43-7.54 (m, 3H); 7.58-7.62 (m, 2H); 7.74-7.78 (m, 2H); 7.96-8.00 (m, 2H).
【0198】
化合物(24)の製造
実施例1にて化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル誘導体(18)(100 mg、0.19 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンからの再結晶後、目的カルボン酸(24)(73 mg、収率79%)を得た。
【0199】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.22 (d, J=6.2Hz, 6H); 2.06-2.17 (m, 2H); 2.91 (s, 3H); 3.21 (brs, 2H); 4.34-4.44 (m, 2H); 7.42-7.53 (m, 3H); 7.61-7.66 (m, 2H); 7.74-7.78 (m, 2H); 7.95-7.99 (m, 2H).
【0200】
化合物(30)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(24)(70 mg、0.15 mmol)をO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 1:1)により、目的生成物(32 mg、収率33%)を得た。
【0201】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.15 (s, 6H); 0.93 (s, 9H); 1.20 (d, J=6.2Hz, 3H); 1.25 (d, J=5.8Hz, 3H); 2.00-2.15 (m, 2H); 2.83 (s, 3H); 2.89-2.99 (m, 2H); 4.23-4.29 (m, 1H); 4.40 (septet, 1H); 7.42-7.52 (m, 3H); 7.61-7.66 (m, 2H); 7.79-7.83 (m, 2H); 7.96-8.00 (m, 2H); 8.64 (brs, 1H).
【0202】
表題化合物(1c)の製造
実施例1にて化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(30)(30 mg、0.05 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンからの再結晶後、目的ヒドロキサム酸(15 mg、収率60%)を得た。
【0203】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24 (t, J=6.4Hz, 6H); 2.01-2.18 (m, 2H); 2.88 (s, 3H); 3.00-3.20 (m, 2H); 4.40-4.48 (m, 2H); 4.88 (brs, 1H); 7.42-7.53 (m, 3H); 7.62-7.66 (m, 2H); 7.78-7.83 (m, 2H); 7.95-7.99 (m, 2H).
【実施例4】
【0204】
化合物(1d):(R)-4-アセトアミド-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)ブタンアミドの製造
化合物(19)の製造
実施例2にて化合物(17)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル誘導体(15)(0.30 g、0.59 mmol)をアセチルクロライドでアシル化した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 1:1)によって、目的生成物(19)(60 mg、収率22%)を得た。
【0205】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.19-1.24 (m, 15H); 1.90-2.01 (m, 5H); 3.13-3.23 (m, 1H); 3.53 (m, 1H); 4.12 (m, 1H); 4.40 (septet, 1H); 6.11 (brs, 1H); 7.41-7.52 (m, 3H); 7.57-7.61 (m, 2H); 7.72-7.76 (m, 2H); 7.94-7.98 (m, 2H).
【0206】
13C-NMR (CDCl3) δ: 21.17; 23.48; 27.76; 36.17; 63.59; 79.80; 82.25; 127.39; 127.52; 128.72; 129.16; 130.14; 133.80; 139.19; 146.84; 170.22.
【0207】
化合物(25)の製造
実施例1にて化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル誘導体(19)(60 mg、0.12 mmol)をTFAで処理し、目的カルボン酸(25)(60 mg、収率100%)を得た。
【0208】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.16 (d, J=2.01, 3H); 1.19 (d, J=2.01, 3H); 1.92-2.10 (m, 5H); 3.15-3.60 (m, 2H); 4.20-4.39 (m, 2H); 6.73 (brs, 1H); 7.42-7.52 (m, 3H); 7.59-7.63 (m, 2H); 7.73-7.77 (m, 2H); 7.93-7.97 (m, 2H); 10.24 (brs, 1H).
【0209】
化合物(31)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(25)(60 mg、0.14 mmol)をO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 1:2)により、目的生成物(12 mg、収率16%)を得た。
【0210】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.15 (s, 6H); 0.93 (s, 9H); 1.21 (d, J=6.2Hz, 3H); 1.25 (d, J=6.2Hz, 3H); 1.90-2.05 (m, 5H); 2.80-3.26 (m, 2H); 4.06-4.16 (m, 1H); 4.44 (septet, 1H); 5.95 (brs, 1H); 7.42-7.53 (m, 3H); 7.58-7.65 (m, 2H); 7.76-7.80 (m, 2H); 7.92-7.96 (m, 2H); 8.90 (brs, 1H).
【0211】
表題化合物(1d)の製造
実施例1にて化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(31)(12 mg、0.02 mmol)をTFAで処理し、目的ヒドロキサム酸(11 mg、収率90%)を得た。
【0212】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.23 (d, J=6.7, 6H); 1.90-2.08 (m, 5H); 3.04-3.35 (m, 2H); 4.22 (m, 1H); 4.40 (septet, 1H); 6.73 (brs, 1H); 7.42-7.52 (m, 3H); 7.59-7.63 (m, 2H); 7.76-7.80 (m, 2H); 7.92-7.96 (m, 2H).
【実施例5】
【0213】
化合物(1e):(R)-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)-4-(2-フェニルアセトアミド)ブタンアミドの製造
化合物(20)の製造
実施例2にて化合物(17)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル誘導体(15)(0.30 g、0.59 mmol)をフェニルアセチルクロライドでアシル化した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2:1)により、目的生成物(55 mg、収率16%)を得た。
【0214】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.10-1.22 (m, 15H); 1.81-2.05 (m, 2H); 3.00-3.21 (m, 1H); 3.50-3.60 (m, 3H); 3.96 (t, J=7.5Hz, 1H); 4.38 (septet, 1H); 7.28-7.37 (m, 5H); 7.43-7.54 (m, 3H); 7.57-7.62 (m, 2H); 7.68-7.73 (m, 2H); 7.80-7.84 (m, 2H).
【0215】
化合物(26)の製造
実施例1にて化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル誘導体(20)(55 mg、0.09 mmol)をTFAで処理し、目的カルボン酸(26)(53 mg、収率100%)を得た。
【0216】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.14 (d, J=3.4, 3H); 1.17 (d, J=3.4, 3H); 1.93-2.10 (m, 2H); 3.14 (m, 1H); 3.47 (m, 1H); 3.61 (s, 2H); 4.13 (t, J=7.3Hz, 1H); 4.33 (septet, 1H); 5.32 (brs, 1H); 6.14 (brs, 1H); 7.22-7.26 (m, 1H); 7.30-7.37 (m, 4H); 7.42-7.53 (m, 3H); 7.58-7.63 (m, 2H); 7.67-7.73 (m, 2H); 7.82-7.86 (m, 2H).
【0217】
化合物(32)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(26)(53 mg、0.10 mmol)をO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとカップリングし、化合物(32)(54 mg、収率80%)を得た。
【0218】
表題化合物(1e)の製造
実施例1にて化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(32)(54 mg、0.08 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的ヒドロキサム酸(30 mg、収率68%)を得た。
【0219】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.18-1.32 (m, 6H); 1.83-2.22 (m, 2H); 3.10-3.28 (m, 2H); 3.48 (s, 2H); 4.11 (m, 1H); 4.39 (septet, 1H); 6.23 (brs, 1H); 7.16-7.36 (m, 5H); 7.43-7.47 (m, 3H); 7.57-7.61 (m, 2H); 7.67-7.72 (m, 2H); 7.86-7.90 (m, 2H).
【実施例6】
【0220】
化合物(1f):(R)-4-アセトアミド-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシ-4'-メトキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)ブタンアミドの製造
化合物(9)の製造
無水THF(8 mL)中の市販の4'-メトキシ-ビフェニル-4-イルスルホニルクロライド(1 g、3.53 mmol)の溶液を、無水THF(8 mL)中のO-イソプロピルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.4 g、3.53 mmol)およびN-メチルモルホリン(0.77 mL、7.06 mmol)の撹拌、冷却(0℃)溶液に滴加した。これらの条件下で30分後、反応混合物を室温で3日間撹拌し、次いでAcOEtで希釈し、H2Oで洗浄し、後処理(work-up)の後、スルホンアミド(9)(0.94 g、収率83%)を白色固体として得た。
【0221】
Mp= 162-163℃;
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.20 (d, J=6.2 Hz, 6H); 3.86 (s, 3H); 4.28 (septet, J=6.0 Hz, 1H); 6.80 (s, 1H); 6.97-7.04 (m, 2H); 7.53-7.60 (m, 2H); 7.68-7.72 (m, 2H); 7.93-7.97 (m, 2H).
【0222】
化合物(13)の製造
以前に実施例1にて化合物(11)の製造用に記載した製法に従って、スルホンアミド(9)(482 mg、1.5 mmol)およびアルコール(6)(310 mg、1.0 mmol)からTert-ブチルエステル(13)を製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 5:2)によって精製し、(13)(455 mg、収率74%)を黄色油として得た。
【0223】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.21-1.32 (m, 15H); 1.90-2.10 (m, 2H); 3.10-3.50 (m, 2H); 3.86 (s, 3H); 4.06-4.16 (m, 1H); 4.43 (septet, J= 6.2 Hz, 1H); 5.08 (s, 2H); 6.97-7.02 (m, 2H); 7.34 (m, 5H); 7.51-7.56 (m, 2H); 7.65-7.70 (m, 2H); 7.90-7.94 (m, 2H).
【0224】
化合物(16)の製造
化合物(15)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、10% Pd-Cの存在下、エステル(13)(450 mg、0.73 mmol)を水素化し、(16)(428 mg、収率100%)を得た。
【0225】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.15-1.27 (m, 15H); 2.04-2.10 (m, 2H); 3.06 (m, 2H); 3.86 (s, 3H); 4.27 (m, 1H); 4.41 (septet, J= 6.2 Hz, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.52-7.56 (m, 2H); 7.68-7.72 (m, 2H); 7.95-7.99 (m, 2H).
【0226】
化合物(21)の製造
実施例2にて化合物(17)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(16)(215 mg、0.40 mmol)をアセチルクロライドでアシル化した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2:3)によって、目的生成物(86 mg、収率42%)を得た。
【0227】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.19-1.25 (m, 15H); 1.90-2.04 (m, 5H); 3.13-3.50 (m, 2H); 3.87 (s, 3H); 4.12 (m, 1H); 4.41 (septet, 1H); 6.99-7.03 (m, 2H); 7.53-7.57 (m, 2H); 7.69-7.73 (m, 2H); 7.91-7.95 (m, 2H).
【0228】
化合物(27)の製造
実施例1にて化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(21)(81 mg、0.15 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的カルボン酸(27)(50 mg、収率67%)を得た。
【0229】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.15-1.22 (m, 6H); 1.88-2.05 (m, 5H); 3.19-3.35 (m, 2H); 3.84 (s, 3H); 4.24 (t, 1H); 4.37 (septet, 1H); 6.30 (brs, 1H); 6.96-7.00 (m, 2H); 7.53-7.58 (m, 2H); 7.67-7.71 (m, 2H); 7.89-7.94 (m, 2H).
【0230】
化合物(33)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(27)(50 mg、0.10 mmol)をO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 1:2)によって、目的生成物(45 mg、収率71%)を得た。
【0231】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.15 (s, 6H); 0.92 (s, 9H); 1.23-1.27 (m, 6H); 1.91-2.00 (m, 5H); 3.00-3.20 (m, 2H); 3.87 (s, 3H); 4.06-4.13 (m, 1H); 4.43 (septet, 1H); 5.89 (brs, 1H); 6.98-7.03 (m, 2H); 7.56-7.60 (m, 2H); 7.72-7.76 (m, 2H); 7.88-7.93 (m, 2H); 8.80 (brs, 1H).
【0232】
表題化合物(1f)の製造
化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(33)(43 mg、0.07 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的ヒドロキサム酸(31 mg、収率90%)を得た。
【0233】
Mp= 83-85℃;
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.20-1.26 (m, 6H); 1.94-2.04 (m, 5H); 3.02-3.40 (m, 2H); 3.86 (s, 3H); 4.22 (m, 1H); 4.45 (septet, 1H); 6.09 (brs, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.55-7.59 (m, 2H); 7.71-7.75 (m, 2H); 7.89-7.94 (m, 2H).
【実施例7】
【0234】
化合物(1g):(R)-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシ-4'-メトキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)-4-(2-フェニルアセトアミド)ブタンアミドの製造
化合物(22)の製造
実施例2にて化合物(17)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(16)(200 mg、0.37 mmol)をフェニルアセチルクロライドでアシル化した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 3:2)によって、目的生成物(53 mg、収率24%)を得た。
【0235】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.16-1.25 (m, 15H); 1.90-2.05 (m, 2H); 3.12 (m, 2H); 3.57 (s, 2H); 3.87 (s, 3H); 3.94 (t, J=7.5Hz, 1H); 4.37 (septet, 1H); 6.98-7.04 (m, 2H); 7.31-7.37 (m, 5H); 7.52-7.57 (m, 2H); 7.64-7.68 (m, 2H); 7.77-7.81 (m, 2H).
【0236】
化合物(28)の製造
実施例1にて化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(22)(48 mg、0.08 mmol)をTFAで処理し、目的カルボン酸(28)(46 mg、収率100%)を得た。
【0237】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.15 (d, J=1.8Hz, 3H); 1.18 (d, J=1.8Hz, 3H); 1.93-2.10 (m, 2H); 3.10 (m, 2H); 3.56 (s, 2H); 3.86 (s, 3H); 4.15 (m, 1H); 4.37 (septet, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.30-7.39 (m, 5H); 7.54-7.58 (m, 2H); 7.63-7.67 (m, 2H); 7.80-7.84 (m, 2H).
【0238】
化合物(34)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(28)(42 mg、0.07 mmol)をO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2:1)によって、目的生成物(17 mg、収率32%)を得た。
【0239】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.15 (s, 6H); 0.92 (s, 9H); 1.17-1.25 (m, 6H); 1.91-1.95 (m, 2H); 3.00-3.20 (m, 2H); 3.50 (s, 2H); 3.87 (s, 3H); 4.01-4.06 (m, 1H); 4.39 (septet, 1H); 5.75 (brs, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.21-7.34 (m, 5H); 7.54-7.59 (m, 2H); 7.67-7.71 (m, 2H); 7.82-7.87 (m, 2H).
【0240】
表題化合物(1g)の製造
化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(34)(15 mg、0.02 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的ヒドロキサム酸(10 mg、収率77%)を得た。
【0241】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.19-1.22 (m, 6H); 1.94-1.98 (m, 2H); 3.00-3.20 (m, 2H); 3.51 (s, 2H); 3.86 (s, 3H); 4.10-4.16 (m, 1H); 4.41 (septet, 1H); 5.89 (brs, 1H); 6.97-7.01 (m, 2H); 7.21-7.32 (m, 5H); 7.53-7.57 (m, 2H); 7.65-7.69 (m, 2H); 7.83-7.87 (m, 2H).
【実施例8】
【0242】
化合物(1h):(R)-ベンジル4-(ヒドロキシアミノ)-4-オキソ-3-(N-(2-(2-(ピペラジン-1-イル)エトキシ)エトキシ)ビフェニル-4-イルスルホンアミド)ブチルカルバミン酸の製造
化合物(61)の製造
CH2Cl2(20 mL)中の1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン(60)(5.0 g、28.7 mmol)の溶液に、0℃でCH2Cl2(20 mL)中の二炭酸ジ-tert-ブチル(6.9 g、31.5 mmol)の溶液を滴加した。室温で12時間撹拌後、溶液をEt2Oで希釈し、飽和NaHCO3溶液、かん水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、Boc保護誘導体(61)(7.2 g、収率92%)を得た。
【0243】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.43 (s, 9H); 2.45 (t, J= 4.9Hz, 4H); 2.57 (t, J= 5.3Hz, 2H); 3.44 (t, J= 5.1Hz, 4H); 3.56-3.67 (m, 6H); 4.17 (t, J= 5.6Hz, 1H).
【0244】
13C-NMR (CDCl3) δ: 28.47; 43.46; 53.16; 57.97; 61.86; 67.69; 72.44; 79.69; 155.00
【0245】
化合物(62)の製造
無水THF(100 mL)中、窒素雰囲気下、アルコール(61)(2.50 g、9.10 mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(1.48 g、9.10 mmol)およびトリフェニルホスフィン(3.58 g、13.6 mmol)を含む溶液に、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)(2.15 mL、13.65 mmol)を滴加した。結果として生じる溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で蒸発させ、粗生成物を得、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 4:1)によって精製し、(62)(4.30 g、収率98%)を純粋な黄色油として得た。
【0246】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.44 (s、9H); 2.38 (t, J= 4.9Hz, 4H); 2.50 (t, J= 5.6Hz, 2H); 3.39 (t, J= 5.3Hz, 4H); 3.64 (t, J= 5.6Hz, 2H); 3.82 (t, J= 4.2Hz, 2H); 4.37 (t, J= 4.3Hz, 2H); 7.72-7.86 (m, 4H).
【0247】
化合物(55)の製造
エタノール(210 mL)中の化合物(62)(4.30 g、10.25 mmol)の溶液に、ヒドラジン水和物(1.73 mL、35.87 mmol)を加えた。室温で14時間撹拌後、混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をAcOEtで希釈し、沈殿物を濾過によって除去し、濾液を蒸発させ、目的O-アルキルヒドロキシルアミン(55)(2.15 g、収率72.6%)を得た。
【0248】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.45 (s, 9H); 2.45 (t, J= 4.9Hz, 4H); 2.61 (t, J= 5.8Hz, 2H); 3.43 (t, J= 5.1Hz, 4H); 3.58-3.65 (m, 4H); 3.80-3.85 (m, 2H).
【0249】
化合物(10)の製造
実施例1にて化合物(7)の製造用に用いられた製法と類似の製法に従って、O-アルキルヒドロキシルアミン(55)(2.85 g、9.86 mmol)をビフェニル-4-スルホニルクロライド(56)と反応させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt)によって、目的スルホンアミド(3.05 g、収率61%)を得た。
【0250】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.44 (s, 9H); 2.44 (t, J= 4.9Hz, 4H); 2.58 (t, J= 5.6Hz, 2H); 3.43 (t, J= 5.3Hz, 4H); 3.61 (t, J= 5.5Hz, 2H); 3.67-3.71 (m, 2H); 4.10-4.15 (m, 2H); 7.41-7.53 (m, 3H); 7.58-7.63 (m, 2H); 7.71-7.75 (m, 2H); 7.97-8.01 (m, 2H).
【0251】
化合物(14)の製造
以前に実施例1にて化合物(11)の製造用に記載した製法に従って、スルホンアミド(10)(1.18 g、2.33 mmol)およびアルコール(6)からTert-ブチルエステル(14)を製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 1:5)によって精製し、目的生成物(1.39 g、収率75%)を黄色油として得た。
【0252】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.33 (s, 9H); 1.43 (s, 9H); 1.74-1.98 (m, 2H); 2.42 (m, 4H); 2.58 (t, J= 5.3Hz, 2H); 3.12-3.26 (m, 2H); 3.40 (m, 4H); 3.56-3.65 (m, 4H); 4.09-4.41 (m, 3H); 5.05 (s, 2H); 5.22 (br s, 1H); 7.32 (m, 5H); 7.40-7.74 (m, 7H); 7.96-8.00 (m, 2H).
【0253】
化合物(36)の製造
実施例1にて化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(14)(1.39 g、1.74 mmol)をTFAで処理し、Et2Oから再結晶後、目的カルボン酸(36)(1.30 g、収率86%)を得た。
【0254】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.80-2.05 (m, 2H); 3.19-3.29 (m, 6H); 3.40 (m, 4H); 3.62 (m, 10H); 4.15 (m, 2H); 4.29 (t, J= 6.5Hz, 1H); 5.01 (s, 2H); 5.35 (brs, 1H); 7.29 (m, 5H); 7.43-7.52 (m, 3H); 7.57-7.63 (m, 2H); 7.70-7.74 (m, 2H); 7.90-7.94 (m, 2H).
【0255】
表題化合物(1h)の製造
実施例1にて化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(36)(0.14 g、0.16 mmol)をO-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH = 9:1)によって、目的ヒドロキサム酸(13 mg、収率12%)を得た。
【0256】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.80-2.00 (m, 2H); 2.47-3.17 (m, 16H); 4.13 (m, 3H); 4.92 (s, 2H); 6.25 (brs, 1H); 7.18 (m, 5H); 7.38-7.64 (m, 7H); 7.96 (m, 2H).
【実施例9】
【0257】
化合物(2):(R)-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシ-4'-メトキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)ブタンアミドの製造
化合物(40)の製造
実施例1にて化合物(6)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、(S)-α-ヒドロキシ-1,3-ジオキソ-2-イソインドリン酪酸(39)(1.0 g、4.0 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタールで処理した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 3:2)により、目的エステル(530 mg、収率43%)を白色固体として得た。
【0258】
Mp=122-123℃;
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.46 (s, 9H); 1.87-2.23 (m, 2H); 3.02 (d, J= 5.3Hz, 1H); 3.86 (t, J= 7.3Hz, 2H); 4.07-4.16 (m, 1H); 7.69-7.75 (m, 2H); 7.80-7.87 (m, 2H).
【0259】
化合物(43)の製造
以前に化合物(11)の製造用に記載した製法に従って、Tert-ブチルエステル(43)をスルホンアミド(9)(400 mg、1.24 mmol)およびアルコール(40)(250 mg、0.82 mmol)から製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2:1)によって精製し、目的生成物(217 mg、収率43%)を得た。
【0260】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24-1.29 (m, 15H); 2.10-2.30 (m, 2H); 3.51-3.74 (m, 2H); 3.87 (s, 3H); 4.06-4.23 (m, 1H); 4.46 (septet, 1H); 6.98-7.03 (m, 2H); 7.52-7.88 (m, 10H).
【0261】
化合物(46)の製造
化合物(35)用に用いられた製法と類似の製法に従って、エステル(43)(205 mg、0.33 mmol)をTFAで処理し、Et2Oから再結晶後、目的カルボン酸(46)(135 mg、収率74%)を得た。
【0262】
Mp=185-187℃;
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.21 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.27 (d, J= 6.2Hz, 3H); 2.10-2.28 (m, 2H); 3.61 (m, 2H); 3.87 (s, 3H); 4.33 (m, 1H); 4.46 (septet, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.50-7.54 (m, 4H); 7.65-7.85 (m, 6H).
【0263】
化合物(48)の製造
化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(46)(130 mg、0.23 mmol)をO-(tert-ブチルジメチル-シリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 3:2)により、目的生成物(110 mg、収率70%)を得た。
【0264】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.26 (s, 6H); 1.00 (s, 9H); 1.23 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.30 (d, J= 6.2Hz, 3H); 2.15-2.30 (m, 2H); 3.30-3.60 (m, 2H); 3.89 (s, 3H); 4.03 (m, 1H); 4.43 (septet, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.16 (m, 2H); 7.36-7.41 (m, 2H); 7.61 (m, 4H); 7.68-7.72 (m, 2H); 8.72 (brs, 1H).
【0265】
化合物(2)の製造
化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(48)(100 mg、0.14 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的ヒドロキサム酸(61 mg、77%)を得た。
【0266】
Mp= 75-76℃;
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.23 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.30 (d, J= 6.2Hz, 3H); 2.12-2.32 (m, 2H); 3.40-3.53 (m, 2H); 3.88 (s, 3H); 4.02-4.20 (m, 1H); 4.46 (septet, 1H); 6.98-7.02 (m, 2H); 7.29-7.39 (m, 2H); 7.42-7.46 (m, 2H); 7.63 (m, 4H); 7.72-7.76 (m, 2H).
【実施例10】
【0267】
化合物(3) (R)-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-N-ヒドロキシ-2-(N-イソプロポキシ-4-フェノキシフェニルスルホンアミド)ブタンアミドの製造
化合物(41)の製造
化合物(7)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、O-イソプロピルヒドロキシルアミン(54)(415 mg、3.72 mmol)を4-フェノキシベンゼンスルホニルクロライド(58)と反応させ、目的スルホンアミド(41)(989 mg、収率86%)を得た。
【0268】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.19 (d, J= 6.2Hz, 6H); 4.25 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.71 (s, 1H); 7.03-7.10 (m, 4H); 7.19-7.27 (m, 1H); 7.38-7.46 (m, 2H); 7.83-7.88 (m, 2H).
【0269】
化合物(44)の製造
以前に化合物(11)用に記載した製法に従って、スルホンアミド(41)(378 mg、1.23 mmol)およびアルコール(40)からTert-ブチルエステル(44)を製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 7:2)によって精製し、目的生成物(253 mg、収率51%)を得た。
【0270】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.18-1.45 (m, 15H); 1.99-2.38 (m, 2H); 3.56-3.74 (m, 2H); 4.06-4.15 (m, 1H); 4.43 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.94-6.98 (m, 2H); 7.09-7.12 (m, 2H); 7.21-7.28 (m, 2H); 7.39-7.47 (m, 2H); 7.67-7.83 (m, 5H).
【0271】
化合物(47)の製造
化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(44)(250 mg、0.42 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的カルボン酸(47)(164 mg、71%)を得た。
【0272】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.20 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.25 (d, J= 6.2Hz, 3H); 2.10-2.30 (m, 2H); 3.55-3.75 (m, 2H); 4.25-4.35 (m, 1H); 4.44 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.88-6.92 (m, 2H); 7.09-7.13 (m, 2H); 7.21-7.28 (m, 2H); 7.39-7.47 (m, 2H); 7.69-7.84 (m, 5H).
【0273】
化合物(49)の製造
化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(47)(160 mg、0.30 mmol)をO-(tert-ブチルジメチル-シリル)ヒドロキシルアミンとカップリングし、目的生成物(178 mg、収率87%)を得た。
【0274】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.26 (s, 6H); 1.00 (s, 9H); 1.21 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.26 (d, J= 6.2Hz, 3H); 2.10-2.31 (m, 2H); 3.40-3.65 (m, 2H); 3.90-4.10 (m, 1H); 4.40 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.59 (brs, 1H); 7.08-7.13 (m, 2H); 7.22-7.30 (m, 2H); 7.41-7.49 (m, 2H); 7.58-7.62 (m, 2H); 7.69-7.83 (m, 5H).
【0275】
表題化合物(3)の製造
化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(49)(170 mg、0.25 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的ヒドロキサム酸(3)(97 mg、収率68%)を得た。
【0276】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.22 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.26 (d, J= 6.2Hz, 3H); 2.07-2.28 (m, 2H); 3.43-3.65 (m, 2H); 4.05-4.20 (m, 1H); 4.44 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.70-6.83 (m, 2H); 7.09-7.13 (m, 2H); 7.22-7.29 (m, 2H); 7.40-7.48 (m, 2H); 7.64-7.83 (m, 5H).
【実施例11】
【0277】
化合物(4) (R)-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(4'-エトキシ-N-イソプロポキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)-N-ヒドロキシブタンアミドの製造
化合物(42)の製造
化合物(7)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、O-イソプロピルヒドロキシルアミン(54)(436 mg、3.91 mmol)を4-ブロモベンゼンスルホニルクロライド(59)と反応させ、目的スルホンアミド(42)(870 mg、75%)を得た。
【0278】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.18 (d, J= 6.2Hz, 6H); 4.25 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.80 (s, 1H); 7.66-7.70 (m, 2H); 7.75-7.80 (m, 2H).
【0279】
化合物(45)の製造
以前に化合物(11)の製造用に記載した製法に従って、スルホンアミド(42)(864 mg、2.94 mmol)およびアルコール(40)からTert-ブチルエステル(45)を製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 5:1)によって精製し、目的生成物(720 mg、収率63%)を得た。
【0280】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.19-1.40 (m, 15H); 2.05-2.20 (m, 2H); 3.55-3.80 (m, 2H); 4.02-4.20 (m, 1H); 4.43 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 7.60-7.76 (m, 6H); 7.80-7.87 (m, 2H).
【0281】
化合物(50)の製造
4.5 mLジオキサン/H2O 5:1中、エステル(45)(200 mg、0.34 mmol)、4-エトキシフェニルボロン酸(96 mg、0.58 mmol)、Pd(PPh3)4(20 mg、0.017 mmol)およびK3PO4(166 mg、0.78 mmol)の混合物を、窒素下、85℃まで加熱した。2時間後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液で希釈し、ACOEtで抽出し、Na2SO4上で乾燥させた。有機層を真空中で濃縮し、粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 4:1)によって精製し、(50)(193 mg、収率88%)を得た。
【0282】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.20-1.39 (m, 15H); 1.45 (t, J= 6.9Hz, 3H); 2.04-2.35 (m, 2H); 3.50-3.80 (m, 2H); 4.05-4.15 (m, 3H); 4.46 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.97-7.01 (m, 2H); 7.51-7.88 (m, 10H).
【0283】
化合物(51)の製造
化合物(35)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、エステル(50)(193 mg、0.30 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的カルボン酸(51)(150 mg、87%)を得た。
【0284】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.21 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.24 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.46 (t, J= 6.9Hz, 3H); 2.10-2.30 (m, 2H); 3.50-3.75 (m, 2H); 4.10 (q, J= 6.9Hz, 2H); 4.22-4.50 (m, 2H); 6.97-7.01 (m, 2H); 7.48-7.53 (m, 4H); 7.65-7.85 (m, 6H).
【0285】
化合物(52)の製造
化合物(37)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、カルボン酸(51)(140 mg、0.25 mmol)をO-(tert-ブチルジメチル-シリル)ヒドロキシルアミンとカップリングした。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 2:1)によって、目的生成物(120 mg、収率71%)を得た。
【0286】
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.26 (s, 6H); 1.00 (s, 9H); 1.23 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.30 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.47 (t, J= 6.9Hz, 3H); 2.10-2.30 (m, 2H); 3.30-3.60 (m, 2H); 3.90-4.05 (m, 1H); 4.11 (q, J= 6.9Hz, 2H); 4.43 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.99-7.01 (m, 2H); 7.10-7.22 (m, 2H); 7.35-7.39 (m, 2H); 7.60-7.71 (m, 6H); 8.70 (brs, 1H).
【0287】
表題化合物(4)の製造
化合物(1a)の製造用に用いた製法と類似の製法に従って、tert-ブチルO-シリレート(52)(120 mg、0.17 mmol)をTFAで処理し、Et2Oおよびn-へキサンから再結晶後、目的ヒドロキサム酸(4)(83 mg、82%)を得た。
【0288】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.30 (d, J= 6.2Hz, 3H); 1.46 (t, J= 6.9Hz, 3H); 2.10-2.35 (m, 2H); 3.40-3.60 (m, 2H); 4.05-4.16 (m, 3H); 4.46 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 6.96-7.01 (m, 2H); 7.31-7.44 (m, 4H); 7.63-7.75 (m, 6H).
【実施例12】
【0289】
化合物(64):ベンジル3-(N-イソプロポキシビフェニル-4-イルスルホンアミド)プロピルカルバミン酸の製造
以前に化合物(11)の製造用に記載した製法に従って、スルホンアミド(8)(400 mg、1.37 mmol)および市販のアルコール(63)からカルバミン酸(64)を製造した。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(n-へキサン/AcOEt = 3:1)によって精製し、目的生成物(400 mg、収率87%)を得た。
【0290】
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.23-1.27 (m, 8H); 1.76-1.89 (m, 2H); 3.30 (q, J= 62Hz, 2H); 4.54 (septet, J= 6.2Hz, 1H); 5.08 (s, 2H); 7.34 (m, 5H); 7.41-7.53 (m, 3H); 7.59-7.63 (m, 2H); 7.72-7.76 (m, 2H); 7.88-7.93 (m, 2H)
【実施例13】
【0291】
化合物(1i)の製造
化合物(65)の製造
0℃でTHF(15 ml)中、実施例8の化合物(55)(1.76 g;6 mmol)の溶液に、N-メチルモルホリン(0.66 ml、6 mmol)およびTHF(15 ml)中の4'-メトキシ[1,1'-ビフェニル]-4-スルホニルクロライド(1.69 g、6 mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を酢酸エチルで回収し、水で洗浄し、有機相を濃縮し、オレンジ油を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製し、収率75%にて化合物(65)を黄色油として得た。
【0292】
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 7.95 (d, 2H); 7.68 (d, 2H); 7.55 (d, 2H); 7.0 (d, 2H); 4.12 (m, 2H); 3.86 (s, 3H); 3.67 (m, 4H); 3.6 (m, 4H); 3.42 (t, J= 5.3Hz, 4H); 2.56 (t, J= 5.6Hz, 2H); 2.42 (t, J= 4.95Hz, 4H); 1.44 (s, 9H).
【0293】
化合物(66)の製造
乾燥THF(16 ml)中のスルホンアミド(65)(458.8 mg;0.97 mmol)、実施例1の化合物(6)(300 mg、0.97 mmol)およびトリフェニルホスフィン(255 mg;0.97 mmol)の溶液に、0℃でDEAD(0.153 ml、0.97 mmol)を滴加した。
混合物を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル 1/5)によって精製し、収率70%にて化合物(66)を油として得た。
【0294】
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 7.95 (d, J= 8.6Hz, 2H); 7.57 (m, 4H); 7.26 (s, 5H); 7.0 (d, J= 8.8Hz, 2H); 5.18 (m, 1H); 5.06 (s, 2H); 4.33 (m, 1H); 4.14 (m, 2H); 3.87 (s, 3H); 3.62 (m, 4H); 3.39 (m, 4H); 3.21 (m, 2H); 2.56 (t, J= 5.4Hz, 2H); 2.4 (m, 4H); 1.92 (m, 2H); 1.44 (s, 9H), 1.34 (s, 9H).
【0295】
化合物(1i)の製造
乾燥CH2Cl2(12 ml)中のtert-ブチルエステル(66)(800 mg、0.966 mmol)の溶液に、0℃でTFA(7.4 ml、96.6 mmol)を滴加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温で4時間撹拌した。溶媒およびTFAを真空中で除去し、カルボン酸(1i)をジ-トリフルオロ酢酸塩として、収率79%にて白色泡として得た。
【0296】
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 9.45 (bs, +NH2, +NH); 8.0 (d, J= 7.8Hz, 2H); 7.68 (m, 4H); 7.4 (s, 5H); 7.1 (d, J= 8.2Hz, 2H); 5.6 (s, 1H); 5.13 (s, 2H); 4.27 (m, 3H); 3.97 (s, 3H); 3.78 (m, 10H); 3.44 (m, 4H); 1.98 (m, 2H).
【実施例14】
【0297】
化合物(1j)の製造
乾燥CH2Cl2(4 ml)中の酸(1i)(150 mg、0.167 mmol)の溶液に、O-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン(79 mg、0.534 mmol)およびEDCI(96 mg、0.501 mmol)を加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌し、次いで濃縮し、残渣をEtOAcに溶解し、水で洗浄した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、真空中で蒸発させた。結果得られた白色固体(140 mg)を乾燥CH2Cl2(3 ml)に溶解し、TFA(0.8 ml)で処理した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に達するまで放置し、4時間撹拌した。溶液を濃縮し、褐色油を得、CH2Cl2/Et2Oの混合液と共に粉末にし、収率50%にて褐色固体ヒドロキサム酸(1j)をジ-トリフルオロ酢酸として得た。
【0298】
1H-NMR (CDCl3, 200MHz): 7.86 (d, J= 7.2Hz, 2H); 7.56 (m, 4H); 7.24 (s, 5H); 6.94 (d, J= 8.2Hz, 2H); 5.73 (s, 1H); 5.1 (s, 2H); 4.1 (m, 4H); 3.82 (s, 3H); 3.53 (m, 8H); 3.25 (m, 4H); 2.05 (m, 2H).
【実施例15】
【0299】
化合物(1k)の製造
乾燥DMSO(1 ml)中の(1j)(40 mg、0.04 mmol)の溶液に、2,5-ジオキシピロリジン-1-イルプロピオン酸(10 mg、0.534 mmol)およびTEA(10滴、pH=8)を加えた。反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いでEt2Oを10 ml加えた。反応を停止し、溶液を-15℃まで冷却し、次いで0℃に達するまで放置した。エチルエーテル層をデカントし、残渣の黄色油を真空中で濃縮した。クロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH)後、収率24%にて無色油として純粋な化合物(1k)を得た。
【0300】
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz): 7.88 (d, J= 8.2Hz, 2H); 7.6 (m, 4H); 7.26 (s, 5H); 6.96 (d, J= 8.8Hz, 2H); 5.09 (s, 2H); 4.34 (m, 3H); 3.87 (s, 3H); 3.62 (m, 6H); 3.45 (m, 4H); 2.59 (m, 2H); 2.46 (m, 4H); 2.28 (q, J= 7.5Hz, 2H); 1.68 (m, 2H); 1.11 (t, J= 7.5Hz, 3H).
【実施例16】
【0301】
MMP阻害アッセイ
組換えヒトpro-MMP-2はジリアン・マーフィー(Gillian Murphy)教授(ケンブリッジ大学腫瘍学部、英国)によって提供されたが、一方でpro-MMP-13およびpro-MMP-14はカルバイオケム(Calbiochem)から購入した。プロ酵素は、使用の直前にp-アミノフェニル水銀酢酸で活性化した(pro-MMP-2についてはAPMA: 2 mMにより37℃で1時間、pro-MMP-13については1 mMにより37℃で30分間)。Pro-MMP-14はトリプシン5 μg/mlにより37℃で15分間、続いてダイズトリプシン阻害剤(SBTI)23 μg/mlにより活性化した。アッセイ測定用に、阻害剤ストック溶液(DMSO、100 mM)を7の異なる濃度(0.01 nM〜100 μM)にさらに希釈したが、各MMPは蛍光アッセイバッファー(FAB: Tris 50 mM、pH = 7.5、NaCl 150 mM、CaCl2 10 mM、Brij 35 0.05 %およびDMSO 1%)内にあった。活性化酵素(MMP-2については終濃度2.9 nM、MMP-14については1 nM、MMP-13については0.33 nM)および阻害剤溶液を、アッセイバッファー中で、25℃で4時間インキュベートした。DMSO中の全ての酵素(終濃度2 μM)について、200 μMの蛍光発生基質Mca-Lys-Pro-Leu-Gly-Leu-Dpa-Ala-Arg-NH2(バッケム(Bachem))(参考文献として、Neumann, U.; Kubota, H.; Frei, K.; Ganu, V.; Leppert, D. Anal. Biochem. 2004, 328, 166を参照のこと)の溶液を付加後、Molecular Device SpectraMax Gemini XSプレートリーダーを用いて蛍光の増加(λex = 325 nm、λem = 395 nm)を記録しながら、加水分解を15秒毎に20分間モニターした。
【0302】
アッセイは、96-ウェルマイクロタイタープレート(コーニング(Corning)、ブラック(black)、NBS)内にて、ウェルあたり200 μlの総量で3通り実施した。コントロールウェルは阻害剤を欠く。MMP阻害活性は、相対蛍光単位(RFU)にて表した。阻害のパーセントは、阻害剤非存在下のコントロール反応から計算した。IC50は式: Vi/Vo = 1/(1 + [I]/ IC50)を用いて決定したが、式中Viは濃度[I]の阻害剤の存在下での基質開裂の初速度であり、Voは阻害剤非存在下での初速度である。結果はSoftMax ProソフトウェアおよびGraFitソフトウェアを用いて分析した。
【0303】
第1表
【表4】

【0304】
上記第1表にて明白に示されたように、発明の式(I)の化合物は結果としてMMP-2、MMP-13およびMMP-14に対して著しい阻害活性を有し、それゆえ治療にて、同一の酵素を含む変性疾患の治療用に有用でありうる。
【0305】
驚いたことに、検査酵素に対する阻害活性を評価するためのこの高度に感覚的な方法に基づいて、発明の化合物は、構造的に最も近い先行技術の基準化合物(5b)によって果たされるよりも顕著に高い阻害活性を有する結果となった。興味深いことに、MMP-2に対する発明の化合物の阻害活性は、基準化合物(5b)の阻害活性よりも著しく高く、少なくとも一桁高いという結果となった;MMP-13およびMMP-14の阻害を考察する場合、より少ない程度ではあるが同程度の阻害プロフィールも観察されうる。さらに、そのようなプロフィールは、検査した代表的な発明の化合物の全クラス内で絶えず共通し、着実に観察される。注目すべきことに、上記メタロプロテアーゼMMP-2、MMP-13およびMMP-14の阻害にて特に活性がある以外に、各々単独で考察すると、発明の化合物がこれらの酵素の全ての阻害にて効果的であるという事実は、それら全てが変性過程にて役割を果たすことが知られている治療にて特に有利である。
【実施例17】
【0306】
インビボ阻害実験
代表的な発明の化合物として化合物(2)をインビボアッセイにて検査し、その癌細胞上での阻害活性を評価した。具体的には、HUVEC培養液をカスケードバイオロジクス(Cascade Biologics)(ポートランド、オレゴン)から購入し、FGF(線維芽細胞増殖因子、ペプロテック社(PeproTech)、ロッキーヒル(Rocky Hill)、ニュージャージー)(1 μg aFGF(酸性線維芽細胞増殖因子)+ 1 μg bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)/100 ml 培地)、EGF(上皮増殖因子)(1μg /100 ml 培地)、ヘパリン(10mg/100 ml 培地)、(ICNファーマシューティカルズ社、カスタメサ(Casta Mesa)、カリフォルニア)、ヒドロコルチゾン(シグマ化学社)(0.1 mg/100 ml 培地)で補ったM199、10% FCS(ウシ胎仔血清、セロメド(Seromed)、ミラノ、イタリア)を用いて、ゼラチンコーティングフラスコ内にて培養した。
【0307】
増殖アッセイ
0日目に、200 μlの完全培養培地中、1000細胞で96マイクロウェルプレート内に細胞を置いた。阻害剤を異なる濃度(10、100 μM)で細胞に加えた。HUVECを24、48および72時間で定量化した。間接光学濃度(OD)定量は、クリスタルバイオレット溶液で細胞を20分間固定し/染色することで得られた[参考文献として、Fassina, G. et al., Clin Cancer Res, (2004) 10, 4865-73を参照のこと]。
【0308】
化学侵入
化学誘引物質として無血清線維芽細胞条件培地(FB-CM)を用いて、ボイデンチャンバー(Boyden chambers)(コスター(Costar))内にてHUVEC侵入を評価した。細胞を指示用量の阻害剤で処理し、加湿雰囲気で、37℃で5時間インキュベートした。細胞侵入を、全フィルター表面の濃度測定スキャンによって評価した。各検査は3通り実施し、3回繰り返した[参考文献として、Albini, A., et al., Int. J. Dev. Biol., (2004), 48, 563-71を参照のこと]。
【0309】
マトリゲル上の形態形成
マトリゲルを氷水浴内にて4℃で解凍し、小さな泡さえも回避しながら200 μlの濃縮溶液(10 mg/ml)をピペットで取り、13 mm/直径の組織培養ウェルに移した。次いでマトリゲルを37℃で1時間重合した。一度重合が起こると、1 mlの完全培地中の7 x 104細胞を慎重にピペットで取り、ゲルの上端に移した。次いでプレートを5% CO、加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。倒立顕微鏡でアッセイをモニターし、撮影した。
内皮細胞が、抗血管新生化合物によって減少したマトリゲル内に相互接続ネットワークを形成した(参考文献として、前述のAlbini, A. et al.を参照のこと)。
【0310】
結果
未処理コントロールと比較して、検査化合物(2)は時間および用量の両方に依存した細胞増殖阻害を示した。検査したより高用量(100 μM)で、我々は処理の48時間から始まる100%阻害を観察した。侵入アッセイにおいて、検査したより高用量(100 μM)で、化合物(2)は再構成された基底膜を通じて内皮細胞移動において著しい阻害活性を示した。高用量(100 μM)で、化合物(2)はいくらかのアポトーシス促進活性を示し始めた。48時間で、化合物はプログラム細胞死を誘発する能力を示した。これらの証拠によると、化合物(2)は癌細胞活性阻害剤として特に活性があるようであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中:
Rは式-Ar-X-Ar'(II)の基であり、式中、Arはアリーレン、ヘテロアリーレン、アリールまたはヘテロアリール基であり、Ar'はArと同一または異なり、Arから独立し、アリールもしくはヘテロアリール基またはHである;前述のArおよびAr'は、下記から選択される1またはそれ以上の基によって任意に置換されている:
(i)直鎖状または分枝鎖状アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アミノアシル、アシルアミノもしくは過フッ化アルキルであり、そのそれぞれがアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する;
(ii)直鎖状または分枝鎖状C2-C6アルケニルもしくはアルキニル基;
(iii)ハロゲンまたはシアノ(-CN)基;
Xは単結合または直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキレン鎖、-O-、-S-、-S(O)2-、-CO-、-NR'-、-NR'CO-もしくは-CONR'-から選択される2価のリンカーであり、R'はHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキル基である;
R1は-OHまたは-ORa基であり、Raは直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基もしくはC2-C4アルケニル基から選択され;またはRaは式(III)
-(CH2)p-Z-(CH2)r-W (III)
の基であり、式中、pは0または1〜4の整数であり;Zは単結合または-O-、-NR'-、-NR'CO-もしくは-CONR'-から選択される2価のリンカーであり、R'は上記で定義した通りであり;rは0または1〜4の整数であり;Wはフェニルまたは5員もしくは6員ヘテロ環であり、そのそれぞれが-NH2、-COR'、-CONHR'、-COOR'または-SO2NHR'から選択される1またはそれ以上の基(R'は上記で定義した通りである)によって、アリールもしくはヘテロアリールによって、または1もしくはそれ以上の上記(i)〜(ii)の基によって任意に置換される;
R2およびR3は同一または異なっており、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基もしくはC1-C4アルコキシ基によって任意に置換された直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキル基、または-COOH、-COORb、-CONHOH、-CONHORb、-CONRbOH、-CONHS(O)2Rb、-CONH2、-CONHRbもしくは-P(O)(OH)2から選択される亜鉛結合基であり、Rbはアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキル基であり;または上記R2基もしくはR3基のいずれかは、R1と結合して5〜7員ヘテロ環を形成し、少なくとも2の隣接するN-Oヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は1またはそれ以上のオキソ基(=O)によって任意に置換される;
R4はHまたは-CORc、-COORc、-S(O)2Rc、-CONHRcもしくは-S(O)2NHRcから選択される基であり、RcはC3-C6シクロアルキル、直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、5員もしくは6員ヘテロシクリル、アルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有するアルキルヘテロシクリルもしくはヘテロシクロアルキルから選択される基である;
R5はHまたは、それらが結合したN原子と共に、R4およびR5は任意にベンゾ縮合した4〜6員ヘテロ環を形成し、上記で定義したRa基によっておよび/または1もしくはそれ以上のオキソ(=O)基によって任意に置換される;
nは1または2である;
mは1〜6の整数である;
ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-COOH、-COOC(CH3)3、-CONHOHまたは-CONHOCH2C6H5であり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない]
の化合物、およびその医薬的に許容しうる塩。
【請求項2】
Rが式(II)の基であり、Arが任意に置換されたフェニレン基を示し、Xが単結合または-O-、-S-もしくは-NH-から選択される2価のリンカーを示し、Ar'がHまたは任意に置換されたフェニル基を示す、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Rが式(II)の基であり、Arがフェニレン基を示し、Xが単結合または-O-を示し、Ar'がHまたはフェニル基を示し、フェニレン基およびフェニル基が直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基もしくはアルコキシ基によって、またはハロゲン原子によって任意に置換された、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Rがビフェニル-4-イル、4-ブロモフェニル、4-(4'-メトキシフェニル)-フェニル、4-(4'-エトキシフェニル)-フェニル、4-フェノキシ-フェニル、4-(4'メトキシフェノキシ)-フェニルおよび4-(4'エトキシフェノキシ)-フェニルから選択される基である、請求項3記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
R1が-OH基または-ORa基であり、Raがアルキルもしくはアルケニル基、または式(III)の基であり、pが1または2であり、Zが単結合または-O-もしくは-NH-から選択される2価の基であり、rが0、1または2であり、Wが任意に置換されるフェニルまたはヘテロ環基である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
R1がイソプロポキシ、ベンジルオキシ、4-フェニル-ベンジルオキシ、アリルオキシ、2-[2(ピペラジニル-1-イル)エトキシ]エトキシまたは2-[2(4(エチルカルボニル)ピペラジニル-1-イル)エトキシ]エトキシから選択される、請求項5記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
R2およびR3が、それぞれ独立してH、直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル、-COOH、-COORb、-CONHOHもしくは-CONHORb(Rbはアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキル基である)から選択される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
R2およびR3が共にH原子であるか、またはその1つがHでありR2またはR3の残りの1つが-COOHまたは-CONHOHである、請求項7記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
R4およびR5が、それらが結合したN原子と共に任意にベンゾ縮合した4〜6員ヘテロ環を形成し、ヘテロ環がオキソ基によっておよび/または請求項1にて定義したRa基によって任意に置換される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
R4およびR5が、それらが結合したN原子と共に
【化2】

[式中、Raは請求項1にて定義した通りである]から選択される任意にベンゾ縮合した4〜6員ヘテロ環を形成する、請求項9記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
R4およびR5が共にH、またはR4が-CORc、-COORcもしくは-S(O)2Rc(Rcはアリール、アルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキルもしくはアリールアルキル)から選択され、R5がHである、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
R4がアセチル、ベンゾイル、フェナセチル、4-フェニルブタノイル、ベンジルオキシカルボニル、メタンスルホニル、フェニルスルホニルまたはベンジルスルホニルから選択され、R5がHである、請求項11記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
nおよびmが共に2である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
【化3】

【化4】

【化5】

からなる群から選択され、それ自体の形態または医薬的に許容しうる塩の形態にある、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であり、
a) 式(IV)の化合物を式(V)の化合物
【化6】

[式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、nおよびmは、請求項1にて報告された意味を有する]と反応させ、式(I)の化合物を得ること;および、任意に
b) ステップ(a)にて得られた式(I)の化合物を別の式(I)の化合物および/またはその医薬的に許容しうる塩に変化させること、
を含む方法。
【請求項16】
薬剤としての使用のための式(I)
【化7】

[式中:
Rは式-Ar-X-Ar'(II)の基であり、式中、Arはアリーレン、ヘテロアリーレン、アリールまたはヘテロアリール基であり、Ar'はArと同一または異なり、Arから独立し、アリールもしくはヘテロアリール基またはHである;前述のArおよびAr'は、下記から選択される1またはそれ以上の基によって任意に置換されている:
(i)直鎖状または分枝鎖状アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アミノアシル、アシルアミノもしくは過フッ化アルキルであり、そのそれぞれがアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する;
(ii)直鎖状または分枝鎖状C2-C6アルケニルもしくはアルキニル基;
(iii)ハロゲンまたはシアノ(-CN)基;
Xは単結合または直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキレン鎖、-O-、-S-、-S(O)2-、-CO-、-NR'-、-NR'CO-もしくは-CONR'-から選択される2価のリンカーであり、R'はHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキル基である;
R1は-OHまたは-ORa基であり、Raは直鎖状または分枝鎖状C1-C4アルキル基もしくはC2-C4アルケニル基から選択され;またはRaは式(III)
-(CH2)p-Z-(CH2)r-W (III)
の基であり、式中、pは0または1〜4の整数であり;Zは単結合または-O-、-NR'-、-NR'CO-もしくは-CONR'-から選択される2価のリンカーであり、R'は上記で定義した通りであり;rは0または1〜4の整数であり;Wはフェニルまたは5員もしくは6員ヘテロ環であり、そのそれぞれが-NH2、-COR'、-CONHR'、-COOR'または-SO2NHR'から選択される1またはそれ以上の基(R'は上記で定義した通りである)によって、アリールもしくはヘテロアリールによって、または1もしくはそれ以上の上記(i)〜(ii)の基によって任意に置換される;
R2およびR3は同一または異なっており、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基もしくはC1-C4アルコキシ基によって任意に置換された直鎖状もしくは分枝鎖状C1-C4アルキル基、または-COOH、-COORb、-CONHOH、-CONHORb、-CONRbOH、-CONHS(O)2Rb、-CONH2、-CONHRbもしくは-P(O)(OH)2から選択される亜鉛結合基であり、Rbはアルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキル基であり;または上記R2基もしくはR3基のいずれかは、R1と結合して5〜7員ヘテロ環を形成し、少なくとも2の隣接するN-Oヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は1またはそれ以上のオキソ基(=O)によって任意に置換される;
R4はHまたは-CORc、-COORc、-S(O)2Rc、-CONHRcもしくは-S(O)2NHRcから選択される基であり、RcはC3-C6シクロアルキル、直鎖状または分枝鎖状アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、5員もしくは6員ヘテロシクリル、アルキル鎖内に1〜4個の炭素原子を有するアルキルヘテロシクリルもしくはヘテロシクロアルキルから選択される基である;
R5はHまたは、それらが結合したN原子と共に、R4およびR5は任意にベンゾ縮合した4〜6員ヘテロ環を形成し、上記で定義したRa基によっておよび/または1もしくはそれ以上のオキソ(=O)基によって任意に置換される;
nは1または2である;
mは1〜6の整数である;
ただしRがビフェニル-4-イルであり、R1がイソプロポキシであり、mおよびnが共に2であり、R5がHであり、R2またはR3の1つが-CONHOHであり、R2またはR3の残りの1つがHである場合、R4はHまたはベンジルオキシカルボニルではない]
の化合物、およびその医薬的に許容しうる塩。
【請求項17】
薬剤としての使用のための、請求項1にて定義した式(I)の化合物。
【請求項18】
変性疾患の治療用薬剤の製造における、請求項16にて定義した式(I)の化合物の使用。
【請求項19】
変性疾患の治療用薬剤の製造における、請求項1にて定義した式(I)の化合物の使用。
【請求項20】
変性疾患が、関節炎および結合組織疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、脳卒中およびALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、心不全、拡張型心筋症などの循環器疾患;肺気腫または嚢胞性線維症などの肺疾患;胃潰瘍;敗血症および自己免疫疾患を含む、無制御細胞増殖を伴う組織形態変化に至る腫瘍または病理から選択される、請求項18または請求項19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
1またはそれ以上の医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせた、有効成分として医薬的に有効な量の請求項16にて定義した式(I)の化合物を含む医薬組成物。
【請求項22】
1またはそれ以上の医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせた、有効成分として医薬的に有効な量の請求項1にて定義した式(I)の化合物を含む医薬組成物。
【請求項23】
変性疾患の治療方法であり、治療的に有効な量の請求項16にて定義した式(I)の化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、それを必要とする哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項24】
変性疾患の治療方法であり、治療的に有効な量の請求項1にて定義した式(I)の化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、それを必要とする哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項25】
変性疾患が、関節炎および結合組織疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、脳卒中およびALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、心不全、拡張型心筋症などの循環器疾患;肺気腫または嚢胞性線維症などの肺疾患;胃潰瘍;敗血症および自己免疫疾患を含む、無制御細胞増殖を伴う組織形態変化に至る腫瘍または病理から選択される、請求項23または請求項24のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−521529(P2010−521529A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500190(P2010−500190)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053078
【国際公開番号】WO2008/113756
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504448162)ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】