説明

モノグリセリドスルホネートを利用した化粧石鹸組成物

【課題】石鹸製造時の成形および打抜き作業性、石鹸使用時のやわらかさ、平滑度、気泡度および保湿力に優れた化粧石鹸組成物を提供すること。
【解決手段】以下の化学式1のモノグリセリドスルホネートと、脂肪酸系石鹸を1:0.3〜0.03:1の混合比で含む混合物50〜90重量部;
[化学式1]


(式中、Rは炭素数7〜21のアルキルであり、Mはナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンまたはアンモニアである)
脂肪酸1〜12重量部;および結合剤(可塑剤)または賦形剤1〜25重量部を含み、
前記モノグリセリドスルホネートは、RCOO−部分がラウリン酸とミリスチン酸であるものの含量が60重量%以上である、化粧石鹸組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモノグリセリドスルホネートの製造方法に関し、より詳しくは価格の安い脂肪酸を利用して経済的な方法で製造することができるモノグリセリドスルホネートの製造方法に関する。また、本発明は主洗浄成分としてラウリン酸とミリスチン酸の含量が一定量以上であるモノグリセリドスルホネートを使用することによって、石鹸製造時の成形および打抜き作業性、石鹸使用時のやわらかさ、平滑度、気泡度および保湿力に優れた化粧石鹸組成物を提供する。また、本発明は前記脂肪酸を利用して容易な方法で化粧石鹸の製造過程で塩を多量含有するようにして、化粧石鹸の使用後に皮膚がなめらかになったり、老廃物の除去が容易であり、血液循環促進、かゆみ予防、脱毛およびふけ防止などの皮膚美容効果を提供することができる塩を含有した化粧石鹸製造方法を含む。
【背景技術】
【0002】
モノアルキルグリセリルスルホネートは陰イオン界面活性剤の一つの成分として知られている。はシャンプー組成物の中にモノアルキルグリセリルスルホネートを一成分として使用する方法が開示されており(例えば、特許文献1参照)、その製造方法は次の通りである。つまり、前記方法ではエピクロロヒドリンと重亜硫酸ナトリウムを反応させて2,3−エポキシ−1−プロパンスルホン酸を合成し、これを水酸化ナトリウムで中和してナトリウム2,3−ジヒドロキシ−1−プロパンスルホネートを合成した後、脂肪酸とエステル化反応を通じてモノアルキルグリセリルスルホネートを製造している。しかし、前記方法は相対的に高温の反応条件が必要であり、脂肪酸を過剰使用しなければならないために、反応後に過剰の未反応脂肪酸を有機溶媒に分散させてろ過法で除去したり、真空減圧装置を使用して蒸留しなければならない問題がある。また、反応中に生成する気泡を抑制するために反応初期から過剰の脂肪酸を投入しなければならない。さらに、前記方法は過剰の未反応脂肪酸を除去して目的化合物を製造する良い方法ではあるが、施設の取扱および調節が簡単でなく、脂肪酸と脂肪酸に難溶性である塩との反応で反応性がよくないため全体的に収率が減少するという短所がある。
【0003】
その他にも脂肪酸とエピクロロヒドリンを反応させて3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアルキルエステルを合成した後、ここに亜硫酸ナトリウムおよび重亜硫酸ナトリウムを使用してストレッカー(Streacker)反応を利用してクロライド基をスルホネートで置換して製造する方法がある。しかし、前記方法は分子内エステル結合とクロライドが容易に加水分解されて収率が減少するという短所がある。
【0004】
一方、化粧石鹸組成物は、良好な結合力および可塑性を有していなければならず、それによって、脂肪酸系化粧石鹸製造装置で石鹸に容易に製造され得る。また、良好な硬度および溶解性を有していなければならず、石鹸が軟らかくなく磨り減らないようにするべきであり、かつ使用する時には、気泡の発生程度と量およびその安定性と石鹸の表面感触が一般脂肪酸系化粧石鹸と対等でなければならない。さらに、使用中または使用後に皮膚刺激およびトラブルがないようにするべきである。
【0005】
一般的な人体の洗浄に使用される脂肪酸系石鹸は、油脂または油脂を分解して得られる脂肪酸を水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどで石鹸化したものである。このような脂肪酸系石鹸は水溶液で液性がアルカリ性を示して頻繁に使用すれば皮膚の皮脂成分を過剰に除去し、角質層を軟化させて皮膚を乾燥させ、弾力を失うようになって皮膚が荒れやすくなり皮膚刺激の原因になることがある。このような理由でアルカリ性石鹸の使用による皮膚乾燥および皮膚荒れの問題を解決するために皮膚に水分と油分を供給する多様な添加剤が使用されてきた。
【0006】
たとえば、過脂肪剤、保湿剤および植物抽出物などのスキンケア成分を石鹸に添加して皮膚乾燥を防ぎ、弾力のある皮膚を維持させる試みがある。固形石鹸に一般に使用されている保湿剤としてはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよび天然オイルなどがある。これらは頻繁なアルカリ性石鹸の使用によって乾燥された皮膚表面の凹凸部に被膜を形成して皮膚保護層を形成することによって水分蒸発を抑制し皮膚乾燥を防ぐ役割を果たす。
【0007】
しかし、このようなスキンケア成分はその効果が一時的であるため皮膚の生理学的機能に影響を与えず、使用量を増やすと石鹸の物性が悪くなり、効果が優れた原料は原価が高いために使用量の制限を伴う問題点がある。たとえば、既存の保湿剤として使用されているスキンケア成分は外部水分を皮膚に吸着させる機能がなく、単に一時的な保護膜役割としての機能のみを有していて物理的影響により容易に皮膚表面から脱離してその効果を長時間期待することができず、その効果を持続させるために使用量を増大させれば石鹸が水に容易に水和されてもろくなる短所がある。
【0008】
石鹸製造業者はこのような問題点を解決するために、皮膚に刺激がなく、高保湿効果に優れた補助洗浄成分として界面活性剤を一般脂肪酸系石鹸に含有させる方法に関心を持っている。
【0009】
たとえば、特許文献2および特許文献3は陰イオン性界面活性剤であるアシルイセチオネートを固形石鹸に含有させて皮膚保護機能を付与した複合石鹸について記載している。前記複合石鹸とは、脂肪酸系石鹸を主洗浄原料として使用し、陰イオン性界面活性剤を補助洗浄剤として使用した石鹸を意味する。陰イオン性界面活性剤として使用されるアシルイセチオネートは脂肪酸系石鹸より液性が低くて親水性が高いために皮膚刺激が低くて保湿力と使用感は優れているが。高い溶解度のため水を容易に吸収して石鹸の物性を低下させる短所がある。
【0010】
このように脂肪酸系石鹸と複合石鹸の短所を解決するために界面活性剤の使用量を増加させた合成固形化粧石鹸が開発されている。合成固形化粧石鹸に使用される界面活性剤は石鹸の洗浄効果および気泡特性を決定する物質であって、一般に合成固形化粧石鹸に使用されている界面活性剤としてはアシルイセチオネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホサクシネート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アシルタウレート、アルキルスルホアセテート、アシルサコシネート、アシルグルタメート、アルキルエーテルスルフェートなどがある。これらは通常の合成固形化粧石鹸を製造する時、30〜70重量部が使用され、各界面活性剤がもっている特性を考慮して2〜3種以上の界面活性剤を混合して使用することができる。
【0011】
また、合成固形化粧石鹸には石鹸の結合力と可塑性を付与して石鹸製造作業性を円滑にし、製造後には硬度、使用時のもろさ、気泡度、平滑度、使用感などの品質を向上させるために結合剤(可塑剤)を使用している。前記結合剤(可塑剤)は通常10〜40重量部使用される。
【0012】
また、合成固形化粧石鹸には賦形剤および水分が添加されるが、これらは各々0〜20重量部および5〜15重量部使用される。これらは最終製品の内部構造的な安定性や製品の硬度を維持させるための目的と、界面活性剤より経済的である利点のために使用され、合成固形化粧石鹸に賦形剤を過剰使用すれば、製品の表面感触が粗くなって平滑度品質が低下したり、製造時または製造後に石鹸が砕ける亀裂が発生して製品の全般的な外形が悪くなる問題点が発生することもある。
【0013】
その他にも合成固形化粧石鹸には製品の審美的な満足度を向上させ、特殊な物性を付与するために少量の添加剤を使用することができる。このような添加剤としては色素、香料、殺菌剤、酸化防止剤などがあり、これらは少量使用されることが一般的である。
【0014】
上記のように従来の合成固形化粧石鹸は通常30〜70重量部の界面活性剤、10〜40重量部の結合剤(可塑剤)、0〜20重量部の賦形剤、5〜15重量部の水分およびその他の添加剤を含み、通常の脂肪酸系化粧石鹸製造装置によって製造される。
【0015】
前記のような組成を有する合成固形化粧石鹸は主洗浄原料として使用する界面活性剤の種類およびその使用量によって多少差はあるが、一般に脂肪酸系化粧石鹸と比較して硬水での使用感および気泡度が優れており、とくに皮膚刺激およびトラブルがほとんどない長所がある。しかし、このような合成固形化粧石鹸は一般脂肪酸系化粧石鹸のような適当な結合力および硬度などを有していないために成形および打抜き作業性が低下して石鹸製造作業が容易でなく、脂肪酸系石鹸より溶解度が高くて使用時または使用後に水を吸収したり水和される程度が高くて石鹸が容易にもろくなり外形上よくないだけでなく、再使用時の使用感を悪化させる好ましくない特性を示し、石鹸が容易に磨り減って経済的な損失も伴われる。
【0016】
従来の脂肪酸系石鹸と合成固形化粧石鹸の長所を維持しながら、これらの短所である作業性と物性を改善するために通常合成固形化粧石鹸に使用される界面活性剤に結合剤(可塑剤)または賦形剤を適切に混合する方法が提示された。しかし、界面活性剤の使用量が一定含量以上になれば作業性、硬度、水吸収後の物性が低下し、結合剤(可塑剤)または賦形剤を一定量以上使用すれば石鹸の製造作業性、硬度、やわらかさは改善されるが、石鹸の基本特性である気泡度、石鹸の表面感触が悪くなり、また、石鹸製造後や使用後の保管時に亀裂が発生する問題点がある。
【0017】
一方、塩は食用、保存用、防腐剤から生理食塩水、リンゲル液などの医薬品に至るまで多様に使用されている物質であって、昔から口伝または文献から皮膚と関連して多様な効能および効果があることが知られている。とくに非特許文献1には、「塩は殺菌作用および皮膚病を治療し、乾燥した皮膚を加湿する」と記載されており、非特許文献2には「皮膚病を治療し、あらゆる傷に新しい皮膚ができるように皮膚を保護する」、「殺菌作用をし、皮膚を丈夫にし、皮膚病を治療する。腐敗を防止し、臭いを除去し、あらゆる傷が治るようにし、皮膚を保護する」と記載されている。その他にもヒトの血液が0.9%の塩分を含んでいる事実からも塩が重要な成分であることが分かる。
【0018】
また、塩は浸透圧効果で皮膚の老廃物と脂肪質の除去が容易であり、血液循環を良くし、アトピーによるかゆみ緩和、足の臭い除去、脱毛防止、ふけ除去、水虫治療、抗菌効果および洗浄力がある。
【0019】
塩が化粧石鹸に使用される場合は脂肪酸の中和時にスラリー溶液の粘度を低くして流動性を良くしたり、石鹸の硬度を高めるなどの効能効果の側面よりは石鹸の製造容易性や物性改善が主な目的であり、その使用量もやはり1%未満で少量使用されている。化粧石鹸に塩を多量含有させる場合、つまり、塩を1%以上含有する場合、石鹸に含まれた水分の含量が少なくなり、石鹸に亀裂が生じるなどの問題がある。
【0020】
いままで塩の皮膚美容効果を化粧石鹸に適用させようとする努力が行われており、多様な方法が提案されてきた。特許文献4は、化粧毒、乾性皮膚、脂性皮膚、ふけ、皮膚病を予防し、清潔な皮膚を保護する目的として塩を含むことを開示しているが、塩は多様な混合物の中で一部使用されているにすぎない。特許文献5は塩を含めてクレンジングおよびマッサージ効果を主張しているが、その使用含量が明確でない。また、特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献9は気泡力に優れた複合石鹸であるモノグリセリドスルホネートの製造および化粧石鹸組成物を開示しているが、塩に関する製造方法および効能効果については言及されていない。
【0021】
【特許文献1】米国特許第3,960,782号明細書
【特許文献2】米国特許第4,695,395号明細書
【特許文献3】米国特許第4,663,070号明細書
【非特許文献1】Bongam Boncho
【非特許文献2】Boncho Gangmok
【特許文献4】大韓民国特許公開第1998−083266号明細書
【特許文献5】大韓民国特許公開第1988−000082号明細書
【特許文献6】大韓民国特許公開第2001−011585号明細書
【特許文献7】大韓民国特許公開第2000−037949号明細書
【特許文献8】大韓民国特許公開第2000−008640号明細書
【特許文献9】大韓民国特許公開第2001−068654号明細書
【発明の開示】
【0022】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を考慮して、従来の加水分解や収率減少などの問題点を最少化し、製造設備および取扱が容易な製造工程によって得た価格の安い脂肪酸を利用して経済的な方法で人体洗浄用原料として有用な陰イオン界面活性剤として使用するのに適したモノグリセリドスルホネートの製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
本発明の他の目的は、前記方法で製造されたモノグリセリドスルホネートを含む人体用洗浄剤を提供することにある。
【0024】
本発明の他の目的は、前記モノグリセリドスルホネートを利用して成形および打抜き作業性、やわらかさ、平滑度、気泡度および保湿力に優れた化粧石鹸組成物を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、前記モノグリセリドスルホネートの製造時に使用される脂肪酸を利用して、石鹸製造時に塩を生成させる方法で塩を多量含む化粧石鹸組成物の製造方法を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、製造工程が簡単で容易に多量の塩を含む化粧石鹸組成物の製造方法を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、多量の塩を含有して化粧石鹸の使用後に皮膚がすべすべになって、老廃物除去が容易であり、かゆみ予防、血液循環促進、脱毛およびふけ防止の皮膚美容効果を有する化粧石鹸組成物の製造方法を提供することにある。
【0028】
前記目的を達成するために本発明は、以下の化学式1で示されるモノグリセリドスルホネートの製造方法であって、溶媒下に牛脂または豚脂である動物油;またはヤシ油、パーム油およびパーム核油からなる群より1種以上選択される植物油;またはラウリン酸から誘導される脂肪酸をアルカリ金属溶液で中和して、単独または混合脂肪酸のアルカリ金属塩を製造する工程、および該塩を以下の化学式2で示される化合物と反応させる工程からなるモノグリセリドスルホネートの製造方法を提供する。
[化学式1]
【0029】
【化1】

【0030】
[化学式2]
ClCH2CH(OH)CH2SO3−M
(式中、Rは炭素数7〜21の飽和または不飽和脂肪族炭化水素ラジカルであり;Mはナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンまたはアンモニアである)
【0031】
また、本発明は前記方法で製造されたモノグリセリドスルホネートを含む人体用洗浄剤を提供する。
【0032】
また、本発明はラウリン酸とミリスチン酸の含量が60重量%以上である以下の化学式1のモノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸の混合物50〜90重量部;脂肪酸1〜12重量部;および結合剤(可塑剤)または賦形剤1〜25重量部を含む化粧石鹸組成物を提供する:
[化学式1]
【0033】
【化2】

【0034】
(式中、Rは炭素数7〜21のアルキルであり、Mはナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンまたはアンモニアである)
【0035】
また、本発明は、
(a)炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸を苛性ソーダで中和して以下の化学式3aで示される脂肪酸ナトリウム塩を製造する工程;および
(b)前記脂肪酸ナトリウム塩を以下の化学式2aで示される3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(SCHS)と溶媒存在下で反応させる工程
を含む塩を含有する化粧石鹸の製造方法を提供する:
[化学式3a]
RCOO−Na
[化学式2a]
ClCH2CH(OH)CH2SO3Na
(式中、Rは炭素数7〜21の飽和または不飽和脂肪族炭化水素である)
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0037】
本発明は動物油と植物油などの安価な脂肪酸を利用して経済的で、人体に対する刺激性が低く、使用感と保湿力が優れていて人体洗浄用原料として有用に使用することができるモノグリセリドの製造方法を提供することにある。
【0038】
本発明のモノグリセリドスルホネートは分子内にエステル基を含んでいて人体に対する皮膚刺激が低く、他の通常の界面活性剤より溶解度が低いが、これはヒドロキシ基とスルホネートの陰電荷間水素結合による影響であると推定することができる。
【0039】
本発明の化学式1のモノグリセリドスルホネートの製造方法をより具体的に説明する。
【0040】
本発明は前記モノグリセリドスルホネートを製造するために、化学式2の化合物を製造する工程を実施する。このために、本発明は還元剤を水に溶解した後、エピクロロヒドリンを添加して中間体物質である前記化学式2の化合物を製造する。好ましくは、前記化学式2の化合物はナトリウムクロロヒドロキシスルホネートである。前記還元剤は亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムまたは異性重亜硫酸ナトリウムであるのが好ましい。前記エピクロロヒドリンと還元剤の含量、および反応条件は通常の方法による。
【0041】
その後、本発明は単独または混合脂肪酸のアルカリ金属塩に前記中間体物質である化学式2の化合物を添加して置換エステル化反応によって前記化学式1のモノグリセリドスルホネートを製造する。
【0042】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩は、脂肪酸の中和によって得ることができる。前記脂肪酸は以下の化学式3の牛脂、豚脂などの動物油;またはヤシ油、パーム油およびパーム核油などの植物油から誘導される安価な高級脂肪酸であって、これらを単独または混合して使用することができる。
[化学式3]
RCOOM
(式中、Rは炭素数7〜21の飽和または不飽和脂肪族炭化水素ラジカルであり;Mはナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンまたはアンモニアである)
【0043】
前記脂肪酸の中和は当量比100%で中和して使用することができるが、遊離した脂肪酸の存在下でも反応を実施することができる。用途によって脂肪酸の含量を決めることができるが、遊離脂肪酸の含量が10重量%を超えれば反応時間が遅くなるために、脂肪酸の含量は10重量%以下として使用するのが好ましい。
【0044】
また、前記置換エステル反応は水単独または水と低級アルコールの混合溶媒下で実施するのが好ましい。前記低級アルコールとしてはメタノール、エタノールおよびプロパノールなどがあり、エタノールが最も好ましい。前記水とアルコールの混合比は水を基準にしてアルコールの含量が20〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは40〜60重量%である。
【0045】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩と化学式2の化合物の反応当量比は1:0.05〜1.2当量であるのが好ましい。
【0046】
前記反応物の含量は溶媒の量に対して50〜95重量%であるのが好ましく、60〜80重量%であるのがさらに好ましい。
【0047】
前記反応温度は80〜135℃であるのが好ましく、95〜125℃がさらに好ましい。本発明は反応が完了した後、最終生成物を得るために乾燥を実施し、乾燥方法は噴霧乾燥法、ドラム乾燥器、熱風オーブンなどの一般的な乾燥方法を利用することができる。
【0048】
このようにして得られた最終生成物は、モノグリセリドスルホネート、脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸、前記化学式2のナトリウムクロロヒドロキシスルホネート、ナトリウムジヒドロキシスルホネート塩および塩などで構成される。前記最終生成物の成分比は、モノグリセリドスルホネート(A)、脂肪酸アルカリ金属塩(B)、脂肪酸(C)、ナトリウムクロロヒドロキシスルホネート(D)、ナトリウムジヒドロキシスルホネート(E)および塩(F)の重量比が、A/B/C/(D+E)/F=1/0.15/0.07/0.12/0.18〜1/22/1.2/0.25/0.25であるのが好ましい。
【0049】
このとき、前記モノグリセリドスルホネートの含量は脂肪酸アルカリ金属塩に対してアルカリ化剤として使用される前記化学式2の化合物(好ましくは、ナトリウムクロロヒドロキシスルホネート塩)の当量比によって決定され、人体洗浄剤品の用途によってその含量を調節することができる。
【0050】
また、本発明は前記方法で製造されたモノグリセリドスルホネートを陰イオン界面活性剤として含む人体用洗浄剤を提供することができる。
【0051】
前記人体用洗浄剤としては石鹸やボディーシャンプーなどがあるが、本発明がこれらに限られるわけではない。前記石鹸を製造する場合、本発明は最終生成物を直接、石鹸製造機に投入することで、保湿性とスキンケア効果に優れた高級石鹸としての品質を示す石鹸を得ることができる。また、前記最終生成物をボディーシャンプーに適用する場合、優れた気泡性と皮膚保湿性を示すことができる。
【0052】
前記人体用洗浄剤に使用される最終生成物の各成分の含量は製品適用時に有用な成分比を提供することができ、各製品の製法、性状、pH、包装、保管状態および処方含量によって決定されて提供することができる。
【0053】
以下、前記人体用洗浄剤の中でも化粧用石鹸組成物についてより具体的に説明する。
【0054】
本発明者らは従来の脂肪酸系石鹸、複合石鹸および合成固形化粧石鹸の短所を解決するため、通常使用されている界面活性剤の代わりにラウリン酸とミリスチン酸の含量が60重量%以上であるモノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸を主洗浄成分として使用し、脂肪酸を結合剤として使用することによって固形石鹸の成形および打抜き作業性、石鹸のやわらかさ、平滑度、気泡度、保湿力などが優秀に維持されるということに基づいて化粧石鹸組成物を提供する。
【0055】
本発明の化粧石鹸組成物は前記化学式1のモノグリセリドスルホネートを含む。好ましくは、本発明の化粧石鹸組成物は主洗浄成分としてラウリン酸(C12)とミリスチン酸(C14)の含量が60重量%以上、好ましくは70重量%以上であるアルキル組成を有する前記化学式1のモノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸の混合物を含む。前記ラウリン酸とミリスチン酸の含量が60重量%未満である場合には不飽和度の高い脂肪酸(オレイン酸またはリノール酸)または高級脂肪酸(パルミチン酸またはステアリン酸)が多く含まれていて好ましくない。また、不飽和度の高い脂肪酸が多く含まれているモノグリセリドスルホネートを使用する場合には融点が低くなり溶解度が増加して成形および打抜き作業性が低下し、強度が悪くなる。また、高級脂肪酸が多く含まれているモノグリセリドスルホネートを使用する場合には融点が上昇しすぎて石鹸を製造するための成形および型打作業時に可塑性および結合力が不足するため石鹸の亀裂現象が発生して固形石鹸を製造することが難しくなったり、製造後、化粧石鹸としての基本品質である気泡度と平滑度が低下する問題が発生する。このような問題点は洗浄成分のうちのモノグリセリドスルホネートの使用量が脂肪酸系石鹸より多い時にさらに深刻化する。
【0056】
前記モノグリセリドスルホネートの製造方法は特に制限されるわけではないが、前記のように牛脂、豚脂などの動物油脂またはヤシ油、パーム核油、パーム油、パームステアリンなどの植物油脂から得られた脂肪酸;および脂肪酸を分別蒸溜した後、水素添加して得られるラウリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸からなる群より選択される少なくとも1つの脂肪酸を使用して製造することができる。
【0057】
本発明でモノグリセリドスルホネートと共に主洗浄成分として使用される脂肪酸系石鹸はモノグリセリドスルホネートの製造時に使用される脂肪酸、つまり、牛脂、豚脂などの動物油脂またはヤシ油、パーム核油、パーム油、パームステアリンなどの植物油脂から得られた脂肪酸を単独または混合して苛性ソーダ、苛性アルカリおよびトリエタノールアミンで中和させたものを使用することができる。また、脂肪酸を分別蒸溜した後、水素添加して得られるラウリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸も脂肪酸系石鹸を製造する時に使用することができる。脂肪酸系石鹸のアルキル組成は固形石鹸として基本特性を維持し、経済性を考慮して選択することができる。
【0058】
本発明で主洗浄成分であるモノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸は1:0.3〜0.03:1の比率で混合して使用され、50〜90重量部使用されるのが好ましい。主洗浄成分の使用量が前記範囲内であれば、石鹸の結合力と溶解度が適当に維持され、石鹸の強度が改善される。また、モノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸の相互作用によって、石鹸の気泡度を増進させることができ、モノグリセリドスルホネートの特性で保湿力に優れた化粧石鹸を製造することができる。主洗浄成分の使用量が50重量部未満であれば、石鹸の気泡度と使用感が低下して洗浄機能を有する固形石鹸としての品質を維持することが難しく、90重量部を超えれば、結合剤(可塑剤)、水分などを添加しても石鹸が固くて打抜き加工時に亀裂が発生して固形石鹸の形を維持することが難しい。
【0059】
本発明の化粧石鹸組成物は、石鹸に適当な可塑性を付与して石鹸の成形および打抜き作業性を改善させ、平滑度を向上させるために結合剤として脂肪酸を含む。前記脂肪酸としてはモノグリセリドスルホネートの製造時に使用される脂肪酸、つまり、牛脂、豚脂などの動物油脂またはヤシ油、パーム核油、パーム油、パームステアリンなどの植物油脂から得られた脂肪酸を単独または混合して使用することができる。また、脂肪酸を分別蒸溜した後、水素添加して得られるラウリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸を使用することもできる。脂肪酸のアルキル組成は固形石鹸として基本特性を維持して経済性を考慮して選択することができる。
【0060】
前記脂肪酸は1〜12重量部使用されるのが好ましい。脂肪酸の使用量が1重量部未満であれば適当な可塑性および結合力を得ることが難しいため成形および打抜き作業性と強度が低下し、12重量部を超えれば脂肪酸が有する粘性および低い融点によって固形石鹸への成形作業と平滑度に悪い影響を与えるため好ましくない。
【0061】
本発明の化粧石鹸組成物は通常の目的のために結合剤(可塑剤)または賦形剤を1〜25重量部を混合使用する。結合剤(可塑剤)は石鹸に結合力および可塑性を付与することによって石鹸製造の作業性を向上させ、石鹸を製造した後、硬度、使用時のやわらかさ、気泡度および平滑度(使用感)などの物性品質に影響を与える。結合剤(可塑剤)としては一般に使用されている高級脂肪アルコール、高級脂肪酸、硬化油脂、パラフィンワックス、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ナトリウム、硬化ヒマシ油、脂肪アルキルケトンなどを使用することができる。
【0062】
前記賦形剤は最終製品の内部構造的な安定性または製品の硬度を維持させる役割を果たし、一般に使用されているデキストリン、澱粉、硫酸ナトリウム、塩およびタルクなどを使用することができる。
【0063】
本発明の化粧石鹸組成物は本発明の効果を低下させない範囲内で通常の合成固形化粧石鹸に使用される界面活性剤を1〜25重量部の範囲以内で補助洗浄原料として混合して使用することができる。また、製品の審美的な満足度向上および特殊な物性付与のために色素、香料、殺菌剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤などの添加剤を少量添加することができる。
【0064】
また、本発明は前記化学式1のモノグリセリドスルホネートを製造する時に使用される脂肪酸を利用して、塩を含有する化粧石鹸を製造することができる。
【0065】
本発明は塩を多量に含有させるための方法として化学式3の脂肪酸ナトリウム塩に化学式2のナトリウム化合物を反応させる、塩を含有する化粧石鹸の製造方法を提供する。
【0066】
具体的に説明すれば、本発明は(a)脂肪酸を苛性ソーダで中和させて化学式3aの脂肪酸ナトリウム塩を製造する工程、および(b)前記中和された化合物と化学式2aの3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(SCHS)を溶媒下で反応させる工程を含む。
[化学式3a]
RCOONa
(式中、Rは炭素数7〜21の飽和または不飽和脂肪族炭化水素である)
[化学式2a]
RCOOCH2CH(OH)CH2SO3Na
前記(a)工程で、脂肪酸は炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸であり得る、脂肪酸は単独または混合脂肪酸形態で使用することができる。脂肪酸の好ましい一例としては前記モノグリセリドスルフェートを製造する時に使用される動物油、植物油、植物油から誘導される安価の高級脂肪酸を使用することができる。
【0067】
前記(a)工程で脂肪酸の中和は苛性ソーダを当量比100%として使用して実施することができ、遊離した脂肪酸が存在する場合にもその後の反応を実施することができる。
【0068】
前記(b)工程で、化学式2aの化合物は還元剤を水に溶解させた後、エピクロロヒドリンを添加して前記化学式2の製造方法の説明に従って製造することができる。前記還元剤としては亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、異性重亜硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群より選択することができて、エピクロロヒドリンと還元剤の含量、反応条件は通常の方法に従うのが好ましい。
【0069】
前記(b)工程で、化学式3aの脂肪酸ナトリウム塩に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩を反応させれば、置換エステル化反応によって塩が製造される。この時の反応は2つの物質の当量比、使用された脂肪酸の種類および中和程度によって変わることがあるが、2つの物質の当量比によって支配的に調節される。化学式3aの脂肪酸ナトリウム塩に対する化学式2aの3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩の反応当量比は1:0.1〜1:1.2が好ましい。3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩の含量比が高くなるほど生成される塩の量が多くなり、この時に生成される塩の量はほぼ2〜15重量%である。しかし、当量比が1:0.1未満である場合、塩の量が2%未満生成されてスキンケア効果を期待することが難しく、1:1.2を超える場合、過剰の塩が生成して塩が石鹸の外部に析出したり石鹸の亀裂が激しくなるなど成形が難しい問題点を生じることがある。
【0070】
前記(b)工程で使用される溶媒は通常の溶媒であり得、好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノールおよびこれらの混合物からなる群より選択されるのが良い。前記反応温度は80〜135℃であるのが好ましく、さらに好ましくは95〜125℃である。また、本発明は反応が完了した後、最終生成物を得るために乾燥を実施し、乾燥方法は噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、熱風オーブンなどの一般的な乾燥方法を利用することができる。
【0071】
また、前記(b)工程の反応で、塩の他に前記化学式1のモノグリセリドスルホネート、遊離脂肪酸、石鹸、塩および場合によって未反応の3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩が生成する。
【0072】
本発明の塩を含有する化粧石鹸製造方法は、その他にも通常の化粧石鹸に含まれている組成物を添加する工程をさらに含むことができる。
【0073】
前記で言及したように、本発明は塩を含有する化粧石鹸の製造方法を提供し、それにより容易で効果が優れた化粧石鹸を製造することができる。本発明の製造方法で製造された化粧石鹸は2〜15重量%の塩を含有し、化粧石鹸の使用後、皮膚がなめらかになり、老廃物除去が容易であり、かゆみ予防、血液循環促進、脱毛およびふけ防止のスキンケア効果が優れている。
【0074】
以下、本発明を実施例および比較例を参照して説明する。しかし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明がこれらに限られるわけではない。
【実施例】
【0075】
製造例1
水に亜硫酸ナトリウムを溶解した後、エピクロロヒドリンを添加して反応させ、ナトリウムクロロヒドロキシスルホネート粉末を製造した。
【0076】
実施例1
オートクレーブ反応機にパーム核油脂肪酸220gとエタノール90gを投入してよく溶解させ、50%濃度の水酸化ナトリウム溶液80gを滴下して脂肪酸を全て中和し、パーム核油脂肪酸ナトリウム塩を製造した。反応機内部温度が75℃になるようにして30分間撹拌し、ここに前記製造例1で得たナトリウムクロロヒドロキシスルホネート粉末196.6gを添加した。反応機を密閉して反応機内部温度が120℃になるように加熱した後、陰イオン定量分析を行ってモノグリセリドスルホネートの含量が最大になるまで1時間30分間反応を進めた。反応が終了すれば反応混合液を排出して熱風オーブンで乾燥してモノグリセリドスルホネートの含量が63%である陰イオン界面活性剤を440g得た。
【0077】
前記モノグリセリドの含量分析法は次の通りである。モノグリセリドスルホネートの含量はメチレンブルーを指示薬とし、陰イオン界面活性剤の分散滴定によってクロロホルム層と水層が同一の青色を示す時を終末点とする、以下の数式1の分散滴定法の逆滴定法で測定した。
[数式1]
【0078】
【数1】

【0079】
式中、
Aは空実験の滴定に消費された陽イオン界面活性剤標準溶液の量(ml)であり、
Bは試料溶液の滴定に消費された陽イオン界面活性剤標準溶液の量(ml)であり、
fは陽イオン界面活性剤標準溶液の因子(factor)であり、
Sは試料の採取量(g)であり、
MWはモノグリセリドスルホネートの分子量である。
【0080】
実施例2
オートクレーブ反応機にパーム核油脂肪酸200gとエタノール56gを投入してよく溶解させ、50%濃度の水酸化ナトリウム溶液80gを滴下して脂肪酸を全て中和しパーム核油脂肪酸ナトリウム塩を製造した。反応機内部温度が75℃になるようにして30分間撹拌し、ここに前記製造例1で得たナトリウムクロロヒドロキシスルホネート粉末98.3gを添加した。反応機を密閉し反応機内部温度が120℃になるように加熱した後、陰イオン定量分析を行ってモノグリセリドスルホネートの含量が最大になるまで1時間反応を進めた。反応が終了すれば反応混合液を排出して熱風オーブンで乾燥してモノグリセリドスルホネートの含量が35%である陰イオン界面活性剤組成物を320g得た。
【0081】
実施例3
400Lサス(Sus)反応機にパーム核油脂肪酸22Kg、ラウリン酸20Kg、エタノール13.5Kgを投入してよく溶解させ、50%濃度の水酸化ナトリウム溶液16Kgを滴下して脂肪酸を全て中和して脂肪酸ナトリウム塩を製造した。反応機内部温度が75℃になるようにして30分間撹拌し、ここに前記製造例1で得たナトリウムクロロヒドロキシスルホネート粉末27.5Kgを添加した。反応機を密閉して反応機内部温度が120℃になるように加熱した後、陰イオン定量分析を行ってモノグリセリドスルホネートの含量が最大になるまで2時間反応を進めた。反応が終了すれば反応混合液を排出して熱風オーブンで乾燥し、モノグリセリドスルホネートの含量が54%である陰イオン界面活性剤組成物を72Kg得た。
【0082】
実施例4
400Lサス反応機にパーム核油脂肪酸22Kg、ラウリン酸20Kg、エタノール13.5Kgを投入してよく溶解させ、50%濃度の水酸化ナトリウム溶液16Kgを滴下して脂肪酸を全て中和して脂肪酸ナトリウム塩を製造した。反応機内部温度が75℃になるようにして30分間撹拌し、ここにナトリウムクロロヒドロキシスルホネート粉末3.9Kgを添加した。反応機を密閉して反応機内部温度が120℃になるように加熱した後、陰イオン定量分析を行ってモノグリセリドスルホネートの含量が最大になるまで2時間反応を進めた。反応が終了すれば反応混合液を排出して熱風オーブンで乾燥してモノグリセリドスルホネートの含量が10.5%である陰イオン界面活性剤組成物を51Kg得た。
【0083】
実施例5〜8および比較例1〜6
表1に示した各々の成分を表1に示した比率で含有する組成物をアマルガメータと3段ロールミルで均一に混合した後、一般脂肪酸系化粧石鹸製造装置で成形および圧出工程を経て打抜きして石鹸を製造した。
【0084】
【表1】

【0085】
実施例9〜12および比較例7〜12
表2に示した各々の成分を表2に示した比率で混合して前記実施例と同様の方法で石鹸を製造した。
【0086】
【表2】

【0087】
前記実施例5〜12および比較例1〜12で製造した化粧石鹸に対する作業性、やわらかさ、気泡度、平滑度(使用感)および保湿力を測定するために次のような方法で試験した。
【0088】
(1)成形および打抜き作業性試験
成形作業性は一般脂肪酸系化粧石鹸製造装置によって石鹸を製造するときに、成形機とスクリューでの移送状態を、打抜き作業性は石鹸が金型に付着されずに離脱する程度を次の基準によって測定した。
<評価基準>
○:成形または打抜き作業性が良好である。
△:成形または打抜き作業性が普通である。
×:石鹸の硬度またはやわらかさが過度であるため成形または打抜き作業性が良くない。
【0089】
(2)やわらかさ試験
石鹸のやわらかさは水の吸収率を測定して評価した。秤量した石鹸(W1)を重量既知のピン(W2)で刺して、25℃の恒温水槽に4時間放置した後、取り出して溶出した部分を20〜25℃で1時間乾燥した後、重量を秤量して(W3)次の数式2のように吸収率を計算した。
[数式2]
水吸収率(%)=[(W2+W3)−(W1+W2)]/W1×100
水吸収率はその値が大きいほど水を含有する能力が大きくなるために物性がよくないことを意味し、一般脂肪酸系化粧石鹸の水吸収率は通常5〜25%である。
【0090】
(3)気泡度および平滑度試験
前記実施例および比較例の合成固形化粧石鹸に対して男女各20名の被実験者を対象として25℃の水道水で一般に化粧石鹸を使用する方法で使用するようにした後、表3に示した基準で点数を付与してその平均値で評価した。
【0091】
【表3】

【0092】
(4)保湿力試験
保湿力は水分保有率を測定して評価した。前記実施例および比較例の組成を有する化粧石鹸組成物を蒸溜水で希釈して4%水溶液に作り、この水溶液5mlとって腕の内側に5cm×5cm部位を1分間擦った後、30秒間待って10秒間流水で洗った。1日3時間間隔で2回洗った後、各々の石鹸に対して30分後に水分保有量を測定した。水分保有量測定機器としてはスキコン(Skicon)200を使用しており、試験は25℃、相対湿度50%の恒温恒湿室で実施した。以下の数式3によって水分保有率を算出した。水分保有率が大きいほど保湿力が優れていることを意味する。
[数式3]
水分保有率(%)=
((洗う前の保有量−洗った後の保有量)/洗う前の保有量)×100
【0093】
前記方法によって測定された結果を以下の表4および表5に記載した。
【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【0096】
前記表4および表5の結果から化粧石鹸を製造するとき、本発明のように主洗浄成分としてラウリン酸とミリスチン酸の含量が60重量%以上であるモノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸の混合物50〜90重量部を使用し、脂肪酸を結合剤として使用した実施例の石鹸が成形および打抜き作業性、石鹸のやわらかさ、気泡度、平滑度および保湿力が優れていることが分かる。これに比べてラウリン酸とミリスチン酸の含量が60重量%未満であれば、石鹸の成形および打抜き作業性が難しくなったり(比較例1、2または10)、気泡度や平滑度が低下して洗浄機能を有する固形石鹸としての品質を維持することが難しい(比較例9)。
【0097】
また、モノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸の使用量が50重量部未満であれば通常の結合剤と賦形剤の使用量が増加して石鹸のやわらかさ、気泡度および平滑度が低下して洗浄機能を有する固形石鹸としての品質を維持することが難しく(比較例5、7、8または12)、モノグリセリドおよび水分などの添加量が少量に制限されて打抜き時に砕けたり亀裂が発生して形状を維持することが難しかった。
【0098】
実施例13〜18および比較例13〜14
ラウリン酸とパーム核油脂肪酸を70:30の比で混合した後、水とエタノール溶媒に苛性ソーダを滴下して脂肪酸を完全に中和してラウリン酸およびパーム核油脂肪酸のナトリウム塩を製造した。これに高温で3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(SCHS)を添加して塩、モノグリセリドスルホネート、遊離脂肪酸および石鹸原料が混合された混合液を得た後、高温および高圧で乾燥し、添加物を添加した。その後、成形、打抜きを経て化粧石鹸を製造した。
【0099】
実験例1:塩含量分析
実施例13〜18および比較例13〜14の化粧石鹸内に含まれている塩の含量をKSM 2702に基づいて測定し、その結果を以下の表6に示した。
【0100】
【表6】

【0101】
前記表6において、実施例13〜18の化粧石鹸は塩の生成量が約2〜15%になって3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩:脂肪酸ナトリウム塩を0.1:1〜1.2:1の比で使用するのが好ましいことが確認できた。これに反し、比較例13の場合は化粧石鹸に含まれている塩の含量が非常に少なく、比較例14の場合、塩の含量が多すぎた。
【0102】
実験例2:品質評価
実施例15および比較例13の化粧石鹸を対象として品質評価を実施した。
【0103】
実験評価者は18〜50才の男女50名を対象とし、皮膚なめらかさ、老廃物除去、頭皮状態改善および皮膚低刺激に分類した品質評価を行った。
【0104】
実験評価者らは2種類の化粧石鹸を各々1週間ずつ使用し、25名ずつ2つの集団に区分して一方の集団は実施例15の化粧石鹸を、他方の集団は比較例13の化粧石鹸を使用し、一週間後、化粧石鹸を交換して使用させた。実験評価者らは2週間他の洗浄剤は使用を禁止され、毛髪、顔および体全てにその石鹸を使用した。2週間、製品を使用した後、評価者が以下の5点満点尺度で評価するようにし、その結果を次の表7に示した。
【0105】
<評価基準>
効果なし 多少あり 普通 効果優秀 非常に優秀
1 2 3 4 5
|------------|------------|------------|------------|
非常に不満 多少不満 普通 満足 非常に満足
【0106】
【表7】

【0107】
前記表7の結果から、実施例15の、塩を多く含有した化粧石鹸を使用するとき、皮膚なめらかさ、老廃物除去効果および頭皮状態改善にその効果が優れており、皮膚に刺激的でないためにスキンケアに効率的であることが確認できた。
【0108】
本発明のモノグリセリドスルフェートの製造方法は安価な脂肪酸から取扱が容易な製造設備を使用して人体洗浄用原料として有用な物質であるモノグリセリドスルホネートを大量に製造することができるので経済的である。また、本発明の方法で製造されたモノグリセリドスルホネートは従来の陰イオン系界面活性剤に比べて優れた生物分解能、気泡力および洗浄力を有し、人体に低刺激性で使用感と保湿力が優れていて人体洗浄用品として使用するのに適している。つまり、その水溶液が中性を示して皮膚に対する刺激性が低くて人体用洗浄剤品に応用可能性が高く、水に対する溶解度が低くて硬水に対する安定性が高いので化粧石鹸をはじめとした固状の洗浄用品に非常に適した特性を有しており、液化および分散によって液状型製品への適用が可能である。
【0109】
また、本発明の化粧石鹸組成物は主洗浄成分としてラウリン酸とミリスチン酸の含量が60重量%以上であるモノグリセリドスルホネートと脂肪酸系石鹸を使用することによって、石鹸を製造する時の成形および打抜き作業性、石鹸使用時のやわらかさ、平滑度、気泡度および保湿力が優れている。
【0110】
また、本発明は簡単な方法で塩を含有する化粧石鹸製造方法を提供して効果が優れた化粧石鹸を製造することができる。本発明の製造方法で製造された化粧石鹸は多量の塩を含有して化粧石鹸の使用後、皮膚がなめらかになり、老廃物除去が容易で、かゆみ予防、血液循環促進、脱毛およびふけ防止のスキンケア効果が優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式1のモノグリセリドスルホネートと、脂肪酸系石鹸を1:0.3〜0.03:1の混合比で含む混合物50〜90重量部;
[化学式1]
【化1】

(式中、Rは炭素数7〜21のアルキルであり、Mはナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンまたはアンモニアである)
脂肪酸1〜12重量部;および結合剤(可塑剤)または賦形剤1〜25重量部を含み、
前記モノグリセリドスルホネートは、RCOO−部分がラウリン酸とミリスチン酸であるものの含量が60重量%以上である、化粧石鹸組成物。
【請求項2】
前記RCOO−部分がラウリン酸とミリスチン酸であるものの含量が70重量%以上である請求項1記載の化粧石鹸組成物。

【公開番号】特開2007−314796(P2007−314796A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188781(P2007−188781)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【分割の表示】特願2003−580279(P2003−580279)の分割
【原出願日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【出願人】(501343972)エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド (8)
【Fターム(参考)】