説明

モータ駆動装置およびモータおよびそれを搭載した空気調整機

【課題】モータ運転停止時は、制御電源からモータ駆動装置への電力供給量を低減して待機時の消費電力を抑える。
【解決手段】主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子の一つとして前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へPWM信号を前記制御信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、
前記制御部は、前記制御信号が前記駆動巻線への電力供給値ゼロを意味している場合には、前記PWM信号発生に関る内部構成部分を機能停止するよう作用して内部消費電力を低減し、前記制御電源から制御部への電力供給量を前記内部構成部分機能動作中に比べ小さくする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調整機の送風ファン用途に供される、待機電力低減機能を有するモータの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調整機の送風ファン用途に供されるモータの駆動装置としては、モータの巻線への電力源である直流電源と、前記駆動装置の構成要素の各部品への電力源である制御電源と、前記モータへの運転指令とを、外部から供給されて機能するモータの駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図23はモータの駆動装置の従来例の構成図である。図23において、モータ駆動装置1の直流電源入力端子VDC、制御電源入力端子Vccに外部からDC140V、DC15Vが入力されている。Vsp端子には、運転指令電圧が入力される。前記運転指令電圧は、アナログ電圧であり、電圧値が所定の値未満の場合に、モータ巻線L1、L2、L3への電力供給をゼロ、すなわち運転停止状態を意味し、逆に、電圧値が所定の値以上の場合には、運転開始状態を意味し、電圧値に比例して前記モータ巻線L1、L2、L3への電力供給量を増していくものである。
【0004】
図24は従来例のモータの駆動装置を内蔵した従来のモータの構成図であり、図25は従来例のモータを送風ファン用途に供した空気調整機の構成図である。外部から従来例のモータの駆動装置へ供給される直流電源DC140Vおよび制御電源DC15Vは、空気調整機の48、49の制御機A、制御機Bに設けられ、商用電源から発生する。
【0005】
ここで、外部からの前記VDC、Vcc端子への電力供給へ着目すると、Vsp端子への運転指令電圧が運転停止状態を意味する値の場合、前記VDC端子への電力供給は、必然的にゼロになるが、前記Vcc端子への電力は、モータの駆動装置の構成要素の各部品へ供されているので、運転指令電圧が運転開始状態を意味する値の場合とほとんど変化しないという違いがある。
【0006】
一方、送風用モータ内部の駆動装置への駆動電源である直流電圧経路に開閉手段を設けて、空調運転停止時には開閉手段を開放して、駆動装置への駆動電源を遮断して待機電力を削減した空気調和機の従来例もある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−223581号公報
【特許文献2】特開平11−311436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先の従来例の説明の通り、制御電源端子Vccへの電力供給は、運転指令が停止状態であっても、ほとんど変わらないため、図25の48、49すなわち空気調整機の制御機A又は制御機Bにおいて、電力損失が発生する。この電力損失を一般に待機電力と呼んでおり、昨今の機機の省エネルギー化への要請の中で、前記待機電力の削減が急務であるという課題がある。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、省電力のための新たなインターフェー
スを必要としない、簡単で安価な構成で、待機電力を削減できるモータの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第一の発明は、主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子の一つとして前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へPWM信号を前記制御信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、前記制御部は、前記制御信号が前記駆動巻線への電力供給値ゼロを意味している場合には、前記PWM信号発生に関る内部構成部分を機能停止するよう作用して内部消費電力を低減し、前記制御電源から制御部への電力供給量を前記内部構成部分機能動作中に比べ小さくするよう構成したものである。
【0011】
第二の発明は、商用交流電源を整流平滑して得られる直流電圧を主電源とし、複数のスイッチ素子を備えて前記スイッチ素子のON/OFFの時間の割合を可変して前記主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、前記主電源から電圧変換手段を介して得られる主電源より比較的低い電圧値の制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子として前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へON/OFFの時間の割合を意味するPWM信号を、前記制御指令信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、
前記制御部は、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値が、ゼロか、ゼロより大なる値であるかを判別する判別手段と、前記制御電源からの電圧をより小さい値の一定電圧へ変換するレギュレータと、前記レギュレータからの前記一定電圧を電力源とする制御LOGICを主要構成要素とし、前記制御信号が駆動巻線電力供給ゼロを意味していると前記判別手段が判別した場合には、前記判別手段は、前記制御LOGICに作用して、前記PWM信号の出力を停止した後、前記一定電圧の前記制御LOGICへの供給を停止するよう前記レギュレータに作用して、制御電源から制御部への電力供給量を前記一定電圧の前記制御LOGIC供給中に比べて小さくするよう構成したものである。
【0012】
第三の発明は、第二の発明において、モータの回転子位置検出機を一つ若しくは複数備えたモータの駆動装置であって、トランジスタを設け、前記トランジスタのベースを、レギュレータの出力端子に接続し、前記トランジスタのコレクタを制御電源に接続し、エミッタを、前記回転子位置検出機の電源入力端子に、直接もしくは抵抗機を介して接続する構成としたものである。
【0013】
第四の発明は、第三の発明において、トランジスタは、許容損失が0.5W以上としたものである。
【0014】
第五の発明は、第二の発明において、モータの回転子位置検出機を複数個備えたモータの駆動装置であって、前記回転子位置検出機と同数のトランジスタを備え、前記回転子位置検出機一個の電源入力端子に、前記トランジスタ一個のエミッタを直接もしくは抵抗機を介して接続し、コレクタは、制御電源に直接もしくは抵抗機を介して接続し、ベースは共通にレギュレータの出力端子に接続する構成としたものである。
【0015】
第六の発明は、第五の発明において、トランジスタは、許容損失が、0.5W未満としたものである。
【0016】
第七の発明は、第二の発明において、制御部は、基準クロック発生器と、前記基準クロック発生器からの基準クロックによる逐次動作型制御LOGICとを含む半導体集積回路であって、制御信号が駆動巻線への電力供給値が、ゼロか、ゼロより大なる値であるかを
判別する判別手段を備え、前記制御信号が駆動巻線電力供給ゼロを意味していると前記判別手段が判別した場合には、前記基準クロック発生器に作用して基準クロックの発生・伝達を停止して、制御LOGICの逐次動作を停止し、制御LOGICの消費電力をゼロ又は、極小化して、制御電源から制御部への電力供給量を前記基準クロック発生中に比べ小さくするよう構成したものである。
【0017】
第八の発明は、第七の発明において、基準クロック停止の代わりに基準クロックの周期を長くして逐次動作の単位時間当たりの前記動作頻度を少なくし、制御LOGICの消費電力を、前記基準クロック周期が通常動作周期である場合よりも小さくするよう構成したものである。
【0018】
第九の発明は、主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子として前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へPWM信号を前記制御指令信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、前記制御部は、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値が、駆動巻線電力供給ゼロを意味している場合には、前記PWM信号発生に関る内部構成部分のうち、一部分の消費電力が極小又はゼロになるよう作用して、前記制御電源から制御部への電力供給量を前記駆動巻線への電力供給中の場合に比べ小さくするよう構成したものである。
【0019】
第十の発明は、第一、又は二、又は三、又は四、又は五、又は六、又は七、又は八、又は九の発明において、タイマーを設け、制御信号が駆動巻線への電力供給値がゼロより大きい値からゼロへ切り替わる場合には、制御部からインバータ部へのPWM信号を停止した後、前記タイマーに予め設定された時間経過後、制御電源から前記制御部への電力供給が、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値ゼロより大を意味している場合より小さくなるよう構成したものである。
【0020】
第十一の発明は、第一から第十のいずれかの発明において、タイマーを設け、制御信号が駆動巻線への電力供給値がゼロからゼロより大きい値へ切り替わる場合には、制御電源から前記制御部への電力供給が、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値ゼロより大を意味している場合の値に、復帰した後、前記タイマーに予め設定された時間経過後、制御部からインバータ部へのPWM信号出力を再開するよう構成したものである。
【0021】
第十二の発明は、第一から第十一のいずれかのモータ駆動装置を内蔵したモータである。
【0022】
第十三の発明は、 第十二の発明のモータを送風用に供した空気調整機である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単で安価な構成で、待機電力を削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1のモータ駆動装置の構成図
【図2】本発明の実施形態1のモータ駆動装置の動作説明図
【図3】本発明の実施形態1のモータ駆動装置のタイマーによる動作説明図
【図4】本発明の実施形態2のモータ駆動装置の構成図
【図5】本発明の実施形態2のモータ駆動装置の動作説明図
【図6】本発明の実施形態2のモータ駆動装置のタイマーによる動作説明図
【図7】本発明の実施形態3のモータ駆動装置の構成図
【図8】本発明の実施形態3のモータ駆動装置の動作説明図
【図9】本発明の実施形態3のモータ駆動装置のタイマーによる動作説明図
【図10】本発明の実施形態4のモータ駆動装置の構成図
【図11】本発明の実施形態4のモータ駆動装置のトランジスタの安全動作領域図
【図12】本発明の実施形態5のモータ駆動装置の構成図
【図13】本発明の実施形態5のモータ駆動装置の動作説明図
【図14】本発明の実施形態5のモータ駆動装置のタイマーによる動作説明図
【図15】本発明の実施形態6のモータ駆動装置の構成図
【図16】本発明の実施形態6のモータ駆動装置の動作説明図
【図17】本発明の実施形態6のモータ駆動装置のタイマーによる動作説明図
【図18】本発明の実施形態7のモータの外観図
【図19】本発明の実施形態7のモータの断面図
【図20】)本発明の実施形態8におけるモータの駆動装置およびモータを用いた空気調整機の構成図
【図21】本発明の実施形態5におけるモータの駆動装置およびモータを用いた屋内空気調整機の構成図
【図22】本発明の実施形態5におけるモータの駆動装置およびモータと屋内空気調整機の電装基板との接続図
【図23】従来のモータの駆動装置の構成図
【図24】従来のモータ駆動装置を内蔵したモータの構成図
【図25】従来のモータを送風ファン用途に供した空気調整機の構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施形態1のモータ駆動装置の構成図である。モータ駆動装置1は駆動巻線L1、L2、L3と出力端子が接続されたインバータ部2とPWM信号を発生してインバータ部2へ供給する制御部3を主要構成要素としており、インバータ部2は主電源4から、制御部3は制御電源5から、各々電力供給を得ている。また、制御部3には、制御信号入力端子Vspと、回転信号出力端子FGの2つのインターフェースを有し、それぞれモータ駆動装置1の外部にあるマイコン6のポートに接続されている。
【0026】
図2は本発明の実施形態1のモータ駆動装置の動作説明図である。マイコン6の運転指令状態、停止指令状態と、制御信号Vspの電圧値の時間変化、制御部3のアクティブ状態、ノンアクティブ状態(機能停止)と、制御電源5(電圧Vcc)から制御部3へ流れる制御電流Iccの値の変化と、制御電源5の供給電力P=Vcc×Iccの変化とを示している。なお、Vspの電圧値が、所定のスレッシュホールド電圧Vthと比較して、Vsp>Vthの場合は運転指令状態を、Vsp<Vthの場合は停止指令状態を意味している。
【0027】
図2において、今、時刻t=t0の時、マイコン6は、運転指令状態にあり、Vsp>Vthなる制御信号Vspが発生し、制御信号Vspに基づき、制御部3はアクティブ状態となって、制御電源5からIcc=Icc1の電流が通流して、制御部3にはP1=Vcc×Icc1の電力が供給されている。
【0028】
次に、時刻t=t1になると、マイコン6は外的もしくは内的要因により停止指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を減じ、時刻t=t2以降で、Vsp<Vthとなり、制御部3はインバータ部2へのPWM信号出力を停止し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を停止後、ノンアクティブ状態(機能停止状態)となって、Iccはアクティブ状態でのIcc1と比較して極小なIcc2(<<Icc1)になる。Icc2により、制御電源5から制御部3への供給電力もP=P2=Vcc×Icc2(<<P1)という小さい値になる。
【0029】
次に、時刻t=t3になると、マイコン6は外的もしくは内的要因により停止指令状態から運転指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を増やし、時刻t=t4以降で、Vsp>Vthとなり、制御部3はアクティブ状態となって、制御電源5からIcc=Icc1の電流が再び通流して、制御部3には、P1=Vcc×Icc1の電力が供給された後、インバータ部2へのPWM信号出力を出力し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を開始する。以降の動作はt=t0〜t3までの前述した動作と同じになるので説明は省く。
【0030】
図2では、制御信号Vsp<Vthになると直ちに、制御部3はノンアクティブ状態(機能停止状態)となり、逆に、制御信号Vsp>Vthになると直ちに、制御部3はアクティブ状態となると説明したが、制御部3に図示しないタイマーを設け、タイマーに予め設定した時間経過後に、制御部3の状態が移行する図3に示す方法もある。
【0031】
図3において、時刻t=t1で制御信号Vsp<Vthになると、制御部3はPWM信号の出力を停止し、図示しないタイマーに予め設定された時間Δt1経過後、制御部3はノンアクティブ状態(機能停止状態)となる。
【0032】
次に、時刻t=t2で制御信号Vsp>Vthになると、制御部3はノンアクティブ状態(機能停止状態)からアクティブ状態となって、図示しないタイマーに予め設定された時間Δt2経過後、制御部3はPWM信号の出力を開始し、モータ運転状態になる。図示しないタイマーに予め設定された時間Δt1は、制御部3はPWM信号の出力を停止後、駆動巻線電流消滅に要する十分な時間に、Δt2は制御部3がノンアクティブ状態からアクティブ状態移行後、内部動作安定に要する十分な時間に設定する。その他の動作は、図2に示した動作と同じであるので、説明は省く。
【0033】
以上のように、本形態のモータ駆動装置1は、制御信号Vspが所定の電圧Vth以下の場合には、主電源4からインバータ部2を介しての駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するだけでなく、制御電源5から制御部3への電力供給を極小化して、運転停止時における省電力化を果たしている。
【0034】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施形態2のモータ駆動装置の構成図である。モータ12は、モータ駆動装置1、駆動巻線L1、L2、L3、図示しない回転子の磁極位置信号を発生する磁気センサHE1、HE2、HE3、抵抗R1、R2を含んでいる。モータ駆動装置1は、駆動巻線L1、L2、L3と出力端子が接続されたインバータ部2とPWM信号を発生してインバータ部2へ供給する制御部3を主要構成要素としており、インバータ部2はトーテムポール型に構成されたスイッチ素子S1、S2、S3、S4、S5、S6から成り、PWM信号に基づき、ON/OFF時間比率を変えて駆動巻線L1、L2、L3に電力供給を行い、制御部3はレギュレータ14、判別手段15、制御LOGIC13、ホールアンプA1、A2、A3から成っており、外部からの入力される制御信号VSPと、磁気センサHE1、HE2、HE3からの信号に基づき、PWM信号を発生させる。
【0035】
空気調整機側電装基板9は、主電源4と制御電源5、マイコン6を主要構成要素とし、主電源4は外部から供給される商用電源8からの交流電圧を、整流器10、電解コンデンサ11により整流平滑化して直流電圧VDCを発生してモータ駆動装置1のインバータ部2への電力源とし供され、制御電源5は制御部3の電力源として供され、マイコン6からは制御信号VSPを発生し、制御部3へ供される。制御部3からマイコン6へは回転信号FGが供される。回転信号FGは磁気センサHE1、HE2、HE3からの磁極位置信号に基づいて、制御LOGIC13にて発生する。タイマー53は制御LOGIC13の動
作を、所定のタイミングで遅延させる作用をする。
【0036】
次に、図5に示す本発明の実施形態2のモータ駆動装置1の動作図を用い、動作説明を行う。図5は、マイコン6の運転指令状態、停止指令状態と、制御信号Vspの電圧値の時間変化、制御部3の判別手段15の出力信号レベルと、レギュレータ14の出力電圧VREGの電圧変化と、制御電源5(電圧Vcc)から制御部3へ流れる電流Icc(IC)の値の変化と、電流Icc(IC)と磁気センサ駆動電流Icc(HB)を加えた、制御電源5からモータ12へ流れる制御電流Iccの値の変化と、制御電源5の供給電力P=Vcc×Iccの変化とを示している。
【0037】
なお、制御信号Vspの電圧値が、所定のスレッシュホールド電圧Vthと比較して、Vsp>Vthの場合は、判別手段15の出力信号VJは、運転指令状態を意味するLレベル、Vsp<Vthの場合は、停止指令状態を意味しているHレベルを出力するものとする。
【0038】
図5において、今、時刻t=t0の時、マイコン6は運転指令状態にあり、Vsp>Vthなる制御信号Vspが発生し、制御信号Vspに基づき、制御部3の判別手段15の出力信号VJは運転指令状態を意味するLowレベル状態であって、レギュレータ14に入力している。レギュレータ14は所定の一定電圧VREGを制御LOGIC13へ供給しており、制御電源5からIcc(IC)=Icc1の電流が通流している。制御電源5からは磁気センサHE1、HE2、HE3へも抵抗R1、R2を介して駆動電流Icc(HB)が常時通流しており、制御電源5からモータ12へ流れる電流は、両者の和、すなわちIcc=Icc(HB)+Icc(IC)となり、制御電源5からモータ12には、P1=Vcc×(Icc1+Icc(HB))の電力が供給されている。
【0039】
次に、時刻t=t1になると、マイコン6は、リモコン操作などの外的要因もしくは内的要因により停止指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を減じ、時刻t=t2以降でVsp<Vthとなり、判別手段15の出力信号VJは停止状態を意味するHighレベルになって、制御LOGIC13はインバータ部2へのPWM信号出力を停止し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を停止後、レギュレータ14の出力電圧VREGはゼロになって、Icc(IC)はアクティブ状態でのIcc1と比較して極小なIcc2(<<Icc1)になる。Icc2により、制御電源5から制御部3への供給電力もP=P2=Vcc×(Icc2+Icc(HB))(<<P1)という小さい値になる。
【0040】
次に、時刻t=t3になると、マイコン6は外的もしくは内的要因により停止指令状態から運転指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を増やし、時刻t=t4以降でVsp>Vthとなり、制御部3の判定手段の出力信号VJは再び運転状態を意味するLowレベルとなって、レギュレータ14から所定の一定電圧VREGが制御LOIC13へ供給され、制御電源5からIcc(IC)=Icc1の電流が再び通流して、インバータ部2へのPWM信号出力を出力し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を開始する。以降の動作はt=t0〜t3までの前述した動作と同じになるので説明は省く。
【0041】
図5では制御信号Vsp<Vthになると直ちに、制御部3のレギュレータ14の出力VREGはゼロとなり、逆に制御信号Vsp>Vthになると直ちに、レギュレータ14のVREGはHighレベルとなると説明したが、制御部3にタイマー53を設け、タイマー53に予め設定した時間経過後に、制御部3の状態が移行する図6に示す方法もある。
【0042】
図6において、時刻t=t1で制御信号Vsp<Vthになると、制御部3の制御LOGIC13はPWM信号の出力を停止し、制御部3の判別手段15の出力信号Vjは停止
状態を意味するHighレベルとなる。VjがHighレベルになった後、タイマー53に予め設定された時間Δt1経過後、レギュレータ14の出力電圧VREGはゼロになる。
【0043】
次に、時刻t=t2で制御信号Vsp>Vthになると、判別手段15の出力信号Vjは運転指令状態を意味するHighレベルになり、レギュレータ14の出力電圧はHighレベルとなって、制御部3の制御LOGIC13は、タイマー53に予め設定された時間Δt2経過後、PWM信号の出力を開始し、モータ運転状態になる。タイマー53に予め設定された時間Δt1は、制御部3がPWM信号の出力を停止後、駆動巻線電流消滅に要する十分な時間に、Δt2は制御部3がレギュレータ14の出力電圧がHighレベル安定に要する十分な時間に設定する。その他の動作は、図5に示した動作と同じであるので、説明は省く。
【0044】
以上のように、本形態のモータ駆動装置1は、制御信号Vspが所定の電圧Vth以下の場合には、主電源4からインバータ部2を介しての駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するだけでなく、制御電源5から制御部3への電力供給を極小化して、運転停止時における省電力化を果たしている。
【0045】
(実施の形態3)
本発明の実施形態3のモータ駆動装置について、図7に構成を、図8、図9に動作を示す。図7において、パワートランジスタQ0を設け、Q0のコレクタはVcc電圧線に接続し、ベースはレギュレータ14の出力端子VREGに接続し、エミッタは抵抗R1の一方に接続した以外は、図4の実施形態2のモータ駆動装置と同様の構成である。
【0046】
次に、図8において、マイコン6の運転指令状態、停止指令状態と、制御信号Vspの電圧値の時間変化、制御部3の判別手段15の出力信号レベルと、レギュレータ14の出力電圧VREGの電圧変化と、制御電源5(電圧Vcc)から制御部3へ流れる電流Icc(IC)の値の変化と、パワートランジスタQ0のコレクタ電流であって、磁気センサ駆動電流であるIcc(HB)の変化と、電流Icc(IC)と磁気センサ駆動電流Icc(HB)を加えた、制御電源5からモータ12へ流れる制御電流Iccの値の変化と、制御電源5の供給電力P=Vcc×Iccの変化とを示している。
【0047】
なお、制御信号Vspの電圧値が、所定のスレッシュホールド電圧Vthと比較して、Vsp>Vthの場合は、判別手段15の出力信号VJは運転指令状態を意味するLレベル、Vsp<Vthの場合は停止指令状態を意味しているHレベルを出力するものとする。
【0048】
図8において、今、時刻t=t0の時、マイコン6は運転指令状態にあり、Vsp>Vthなる制御信号Vspが発生し、制御信号Vspに基づき、制御部3の判別手段15の出力信号VJは運転指令状態を意味するLowレベル状態であって、レギュレータ14に入力している。レギュレータ14は所定の一定電圧VREGを制御LOGIC13へ供給しており、制御電源5からIcc(IC)=Icc1の電流が通流している。
【0049】
レギュレータ14の出力電圧VREGは、16のパワートランジスタQ0のベースにも供給されているので、パワートランジスタQ0は導通状態となり、Q0のベース−エミッタ間の導通時の電圧をVFとするとエミッタからVREG−VFの電圧が抵抗R1の一端に入力されている。パワートランジスタQ016を介して、制御電源5からは磁気センサHE1、HE2、HE3へも抵抗R1、R2を介して駆動電流Icc(HB)=Icc(HB)1が通流しており、制御電源5からモータ12へ流れる電流は、両者の和、すなわちIcc=Icc(HB)+Icc(IC)となり、制御電源5からモータ12にはP1
=Vcc×(Icc1+Icc(HB)1)の電力が供給されている。
【0050】
次に、時刻t=t1になると、マイコン6はリモコン操作などの外的要因もしくは内的要因により停止指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を減じ、時刻t=t2以降でVsp<Vthとなり、判別手段15の出力信号VJは停止状態を意味するHighレベルになって、制御LOGIC13はインバータ部2へのPWM信号出力を停止し、駆動巻線L1、L2、L3hの電力供給を停止後、レギュレータ14の出力電圧VREGはゼロになって、Icc(IC)は、アクティブ状態でのIcc1と比較して極小なIcc2(<<Icc1)になる。
【0051】
一方、パワートランジスタQ016のベース電圧もゼロとなるため、パワートランジスタQ016は非導通状態になり、磁気センサ駆動電流Icc(HB)もゼロとなる。Icc=Icc2により、制御電源5から制御部3への供給電力もP=P2=Vcc×Icc2(<<P1)という小さい値になる。
【0052】
次に、時刻t=t3になると、マイコン6は外的もしくは内的要因により停止指令状態から運転指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を増やし、時刻t=t4以降でVsp>Vthとなり、制御部3の判別手段15の出力信号VJは再び運転状態を意味するLowレベルとなって、レギュレータ14から所定の一定電圧VREGが制御LOIC13へ供給されるとともに、パワートランジスタQ016も導通状態となり、制御電源5からIcc(IC)=Icc1+Icc(HB)1の電流が再び通流して、インバータ部2へのPWM信号出力を出力し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を開始する。以降の動作はt=t0〜t3までの前述した動作と同じになるので説明は省く。
【0053】
次に、図9の動作図について説明する。図9は、タイマー53の作用により、時刻t=t2において、制御信号Vspの値がVsp<Vthになると、判別手段15の出力信号VJがLowレベルからHighレベルに切り替わり、停止指令状態であることを制御LOGIC13に伝達する。制御LOGIC13は、PWM信号の出力を停止してモータ駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するよう作用するとともに、タイマー53をスタートさせる。タイマー53に予め設定された時間Δt1経過後に、レギュレータ14は、出力電圧VREGをゼロにする。
【0054】
次に、時刻t=t4において、制御信号Vspの値がVsp>Vthになると、判別手段15の出力信号VJがHighレベルからLowレベルに切り替わり、レギュレータ電圧VREGをHighに復帰させるとともに、運転指令状態であることを制御LOGIC13に伝達する。制御LOGIC13はタイマー53をスタートさせ、予め設定された時間Δt2経過後に、制御LOGIC13はPWM信号を発生し、インバータ部2に作用してモータ駆動巻線L1、L2、L3に電力供給を開始する。その他の動作は、図8と同じであるので説明は省略する。タイマー53に予め設定された時間Δt1は、制御部3がPWM信号の出力を停止後、駆動巻線電流消滅に要する十分な時間に、Δt2は制御部3がレギュレータ14の出力電圧がHighレベル安定に要する十分な時間に設定する。
【0055】
以上のように、本形態のモータ駆動装置1は、制御信号Vspが所定の電圧Vth以下の場合には、主電源4からインバータ部2を介しての駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するだけでなく、磁気センサ駆動電流をゼロにして、制御電源5から制御部3への電力供給を極小化して、実施形態1のモータ駆動装置より一層の運転停止時における省電力化を果たしている。なお、説明文中のパワートランジスタとは、最大許容損失が0.5W以上のトランジスタをパワートランジスタと称する。
(実施の形態4)
本発明の実施形態4のモータ駆動装置について、構成を示めす図10、トランジスタの
安全動作領域を示す図11を用い、以下説明する。図10において、実施形態3のモータ駆動装置の16のパワートランジスタQ0を小信号トランジスタQ0a17、Q0b18,Q0c19へ置き換え、さらに磁気センサHE1、HE2、HE3各々に駆動電流を供給できるように、抵抗R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2cを各々に配し、小信号トランジスタQ0a17、Q0b18,Q0c19のコレクタと制御電源線とは、抵抗R3a、R3b、R3cを介して接続している。
【0056】
次に一個のパワートランジスタQ0を、3個の小信号トランジスタQ0a17、Q0b18,Q0c19へ変更した効果について、図11を用い以下説明する。図11において、Aは、実施形態3のパワートランジスタQ0の安全動作領域であり、x点はQ0の動作点(Ic,VCE)=(Icc(HB),VCE1)である。実施形態4では、Q0の代わりに、小信号トランジスタQ0a17、Q0b18,Q0c19へ変更することにより、各小信号トランジスタ1個に流れる電流は、Ic=Icc(HB)/3になる。一方、コレクタ−エミッタ間電圧も、Q0の1/3になるよう抵抗R3a、R3b、R3cの抵抗値を定めることにより、Q0a17、Q0b18,Q0c19の動作点は、点yの(Ic,VCE)=(Icc(HB)/3,VCE1/3)になる。
【0057】
よって、使用するトランジスタに必要な安全動作領域はAより小さいBになる。安全動作領域が実施形態3より実施形態4の方が小さいということは、実施形態4のほうがより安価なトランジスタを使用することができるという効果がある。なお、説明文中の小信号トランジスタとは、最大許容損失が0.5W未満のトランジスタを小信号トランジスタと称する。
【0058】
(実施の形態5)
本発明の実施形態5のモータの駆動装置について、構成を示す図12、動作を示す図13、図14を用い、以下説明する。
【0059】
図12において、制御LOGIC13は基準クロック発生器20からの基準クロック信号CLKのタイミングにより逐次動作するものであって、基準クロック発生器20には判別手段15の出力信号が入力され、制御信号VSPが所定の電圧Vth未満の場合には、運転停止指令状態と判定して、基準クロック発生器20に作用して、クロック信号CLKの出力を停止するよう構成している。
【0060】
次に、図13ではマイコン6の運転指令状態、停止指令状態と、制御信号Vspの電圧値の時間変化、制御部3の判別手段15の出力信号レベルと、基準クロック発生器20の出力信号CLKの変化と、制御電源5(電圧Vcc)から制御部3へ流れる電流Icc(IC)の値の変化と、電流Icc(IC)と磁気センサ駆動電流Icc(HB)を加えた、制御電源5からモータ12へ流れる制御電流Iccの値の変化と、制御電源5の供給電力P=Vcc×Iccの変化とを示している。なお、制御信号Vspの電圧値が、所定のスレッシュホールド電圧Vthと比較して、Vsp>Vthの場合、判別手段15の出力信号VJは運転指令状態を意味するLレベル、Vsp<Vthの場合は停止指令状態を意味しているHレベルを出力するものとする。
【0061】
図13において、今、時刻t=t0の時、マイコン6は運転指令状態にあり、Vsp>Vthなる制御信号Vspが発生し、制御信号Vspに基づき、制御部3の判別手段15の出力信号VJは運転指令状態を意味するLowレベル状態であって、基準クロック発生器20に入力している。基準クロック発生器20は、所定の周波数の基準クロック信号を制御LOGIC13へ供給しており、制御LOGIC13がCLK信号に基づいて逐次動作することにより、制御電源5からIcc(IC)=Icc1の電流が通流して電力消費が行われている。制御電源5からは磁気センサHE1、HE2、HE3へも駆動電流Ic
c(HB)が常時通流しており、制御電源5からモータ12へ流れる電流は両者の和、すなわちIcc=Icc(HB)+Icc(IC)となり、制御電源5からモータ12には、P1=Vcc×(Icc1+Icc(HB))の電力が供給されている。
【0062】
次に、時刻t=t1になると、マイコン6は、リモコン操作などの外的要因もしくは別の内的要因により停止指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を減じ、時刻t=t2以降で、Vsp<Vthとなり、判別手段15の出力信号VJは、停止状態を意味するHighレベルになって、基準クロック発生器20は、CLK信号の発生を停止し、制御LOGIC13は、逐次動作をやめてインバータ部2へのPWM信号出力を停止し、駆動巻線L1、L2、L3hの電力供給を停止する。これにより、Icc(IC)は、アクティブな逐次動作状態でのIcc1と比較して極小なIcc2(<<Icc1)になる。Icc2により、制御電源5から制御部3への供給電力もP=P2=Vcc×(Icc2+Icc(HB))(<<P1)という小さい値になる。
【0063】
次に、時刻t=t3になると、マイコン6は、外的もしくは内的要因により停止指令状態から運転指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を増やし、時刻t=t4以降で、Vsp>Vthとなり、制御部3の判別手段15の出力信号VJは再び運転状態を意味するLowレベルとなって、基準クロック発生器20から所定の周波数のクロック信号CLKが制御LOGIC13へ供給され、逐次動作により、制御電源5からIcc(IC)=Icc1の電流が再び通流して、インバータ部2へのPWM信号出力を出力し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を開始する。以降の動作はt=t0〜t3までの前述した動作と同じになるので説明は省く。
【0064】
次に、図14の動作図について説明する。図14はタイマー53の作用により、時刻t=t2において、制御信号Vspの値がVsp<Vthになると、判別手段15の出力信号VJがLowレベルからHighレベルに切り替わり、停止指令状態であることを制御LOGIC13に伝達する。制御LOGIC13はPWM信号の出力を停止してモータ駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するよう作用するとともに、タイマー53をスタートさせる。タイマー53に予め設定された時間Δt1経過後に、基準クロック発生器20に基準クロック信号CLKの出力を停止させる。
【0065】
次に、時刻t=t4において、制御信号Vspの値がVsp>Vthになると、判別手段15の出力信号VJがHighレベルからLowレベルに切り替わり、基準クロック信号CLKの出力を復帰させるとともに、運転指令状態であることを制御LOGIC13に伝達する。制御LOGIC13は、タイマー53をスタートさせ、予め設定された時間Δt2経過後に、制御LOGIC13はPWM信号を発生し、インバータ部2に作用してモータ駆動巻線L1、L2、L3に電力供給を開始する。その他の動作は、図13と同じであるので説明は省略する。
【0066】
タイマー53に予め設定された時間Δt1は、制御部3がPWM信号の出力を停止後、駆動巻線電流消滅に要する十分な時間に、Δt2は制御部3が基準クロックCLKによる逐次動作安定に要する十分な時間に設定する。
【0067】
以上のように、本形態のモータ駆動装置1は、制御信号VSPが所定の電圧Vth以下の場合には、主電源4からインバータ部2を介しての駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するだけでなく、制御電源5から制御部3への電力供給を極小化して、運転停止時における省電力化を果たしている。
【0068】
実施形態5では、運転停止指令状態では、基準クロック信号CLKの供給を停止することで、運転停止時の制御LOGIC13の消費電力量を大きく低減したことを記載したが
、基準クロックCLKを停止するのではなく、基準クロックCLKの周波数を長くして制御LOGIC13の逐次動作の頻度を少なくして消費電力を低減する方法もある。一般に、基準クロック信号の周波数は、数百kHzから数GHzくらいであるが、その周波数を数百Hz未満程度に低下するとよい。
【0069】
(実施の形態6)
本発明の実施形態6のモータの駆動装置について、構成を示す図15、動作を示す図16、図17を用い、以下説明する。図15において、実施形態1のモータ駆動装置の制御部3内部の主要動作領域を省電力回路ブロック21と称して区分する構成とした。省電力回路ブロック21は、制御部3において消費電力の大部分を占める回路ブロックであり、制御信号Vspが運転指令状態にある場合はアクティブに、停止指令状態にある場合はノンアクティブになる。
【0070】
図16では、マイコン6の運転指令状態、停止指令状態と、制御信号Vspの電圧値の時間変化、省電力回路ブロック21のアクティブ状態、ノンアクティブ状態(機能停止)と、制御電源5(電圧Vcc)から制御部3へ流れる制御電流Iccの値の変化と、制御電源5の供給電力P=Vcc×Iccの変化とを示している。なお、Vspの電圧値が、所定のスレッシュホールド電圧Vthと比較して、Vsp>Vthの場合は、運転指令状態を、Vsp<Vthの場合は、停止指令状態を意味している。
【0071】
図16において、今、時刻t=t0の時、マイコン6は運転指令状態にあり、Vsp>Vthなる制御信号が発生し、制御信号に基づき、省電力回路ブロック21はアクティブ状態となって、制御電源5からIcc=Icc1の電流が通流して、省電力回路ブロック21を含む制御部3にはP1=Vcc×Icc1の電力が供給されている。
【0072】
次に、時刻t=t1になると、マイコン6は外的もしくは内的要因により停止指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を減じ、時刻t=t2以降で、Vsp<Vthとなり、制御部3はインバータ部2へのPWM信号出力を停止し、駆動巻線L1、L2、L3の電力供給を停止後、省電力回路ブロック21をノンアクティブ状態(機能停止状態)として、Iccはアクティブ状態でのIcc1と比較して極小なIcc2(<<Icc1)になる。Icc2により制御電源5から省電力回路ブロック21を含む制御部3への供給電力もP=P2=Vcc×Icc2(<<P1)という小さい値になる。
【0073】
次に、時刻t=t3になると、マイコン6は外的もしくは内的要因により停止指令状態から運転指令状態に切り替わる。Vspの電圧はその値を増やし、時刻t=t4以降で、Vsp>Vthとなり、省電力回路ブロック21はアクティブ状態となって、制御電源5からIcc=Icc1の電流が再び通流して、省電力回路ブロック21を含む制御部3には、P1=Vcc×Icc1の電力が供給された後、インバータ部2へのPWM信号出力を出力し、駆動巻線L1、L2、L3hの電力供給を開始する。以降の動作はt=t0〜t3までの前述した動作と同じになるので説明は省く。
【0074】
次に、図17の動作図について説明する。図17は、図示しないタイマーの作用により、時刻t=t2において、制御信号Vspの値がVsp<Vthになると、制御部3はインバータ部2へのPWM信号の出力を停止してモータ駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するよう作用するとともに、図示しないタイマーをスタートさせる。図示しないタイマーに予め設定された時間Δt1経過後に、省電力回路ブロック21をノンアクティブ状態にする。
【0075】
次に、時刻t=t4において、制御信号Vspの値がVsp>Vthになると、省電力回路ブロック21の動作を復帰させるとともに、図示しないタイマーをスタートさせ、予
め設定された時間Δt2経過後に、PWM信号を発生し、インバータ部2に作用してモータ駆動巻線L1、L2、L3に電力供給を開始する。その他の動作は図16と同じであるので説明は省略する。図示しないタイマーに予め設定された時間Δt1は、制御部3がPWM信号の出力を停止後、駆動巻線電流消滅に要する十分な時間に、Δt2は省電力回路ブロック動作安定に要する十分な時間に設定する。
【0076】
以上のように、本形態のモータ駆動装置1は、制御信号Vspが所定の電圧Vth以下の場合には、主電源4からインバータ部2を介しての駆動巻線L1、L2、L3への電力供給を停止するだけでなく、制御部3内の消費電力量の大半を占める省電力回路ブロック21を機能停止することで、制御電源5から制御部3への電力供給を極小化して、運転停止時における省電力化を果たしている。
【0077】
(実施の形態7)
本発明の実施形態7のモータについて、図18に外観図を、図19に断面図を示す。図18は実施形態7のモータ12の外観であって、22がシャフト、23がブラケット、24がモールド組立であり、24のモールド組立と23のブラケットの勘合部側面にブッシュ25を設け、ブッシュ25から、モータ12内部から、外部との電気的インターフェースであるリード線27が延びており、リード線27の終端に、コネクタ26を設けた。
【0078】
図19は、実施形態7のモータ12の断面であって、シャフト22には永久磁石32を配したヨーク31、第一の玉軸受け29、第二の玉軸受け30を設けて回転子組立33を成し、固定子34にインシュレータ36を介して巻線35を施し、樹脂成型してモールド組立24を成し、モールド組立24に回転子組立33、プリント配線板28を収めて、ブラケット23で蓋をした構造である。プリント配線板28には、実施形態1〜6のいずれかのモータ駆動装置1である半導体部品が実装されるとともに、リード線27の他端が外部からブッシュ25を介してはんだ付け接続されている。巻線端子37は巻線35と接続されており、プリント配線板28とはんだ付けされて、双方の電気的接続が成される。
【0079】
以上のように構成された本発明の実施形態7のモータ12は、モータ駆動装置1を、実施形態1〜6記載のいずれかのモータ駆動装置とすることで、外観、主要構造、特にモータ12と外部との電気的インターフェースであるリード線の本数の変化なく、運転停止時の制御電源の電力消費が小さい省電力モータを実現可能とした。
【0080】
(実施の形態8)
実施形態8は、実施形態7記載のモータを搭載した空気調節機である。図20、21、22を用い、以下説明する。図20において、地面47上にある家屋38の屋内40に屋内空気調整機41を設け、屋外39には、屋外空気調整機42を地面47上に設け、屋内空気調整機41と屋外空気調整機42は、互いに配管46で連結されている。屋内空気調整機41には、受光部44、表示部45があり、リモコン43からの信号は、受光部44にて受信し、表示部45の表示が可変する。
【0081】
図21は屋内空気調整機41の構成を示している。図21において、熱交換器48の下方にクロスフローファン49と、クロスフローファン49とシャフトが結合されたモータ駆動装置1を内部に有するモータ12があり、電装BOX50と電気的に接続されている。52はACコンセントであり、ACプラグ51を介して、電装BOX50に電力供給を行う。リモコン43の操作により運転信号が発信され、運転信号が受光部44を介して、電装BOX50に伝達され、電装BOX50から表示部45に作用して表示を可変し、モータ12を運転する。
【0082】
図22は電装BOX50内部の空気調整機側電装基板9とモータ12の接続を示してい
る。図22において、ACコンセント52からACプラグ51を介して電装BOX50内部の空気調整機側電装基板9に入力された商用交流電圧は、空気調整機側電装基板9で直流に変換されて、主電源4、制御電源5の出力となり、それぞれVdc端子、Vcc端子、Gnd端子を経て、モータ12へ供給される。6はマイコンであり、リモコン43からの信号が、受光部44を介してマイコン6へ伝達される。マイコン6は表示部45の表示を、受信した信号に相応した表示を行うよう作用するとともに、Vsp端子に制御信号(Vsp信号)を発生する。Vsp信号に相応してモータ12は運転を行う。FG端子にはモータ12の運転により、回転速度を意味する信号(FG信号)を、モータ12が発生する。FG信号は、マイコン6へ入力され、Vsp信号を、FG信号に相応して可変し、モータ12の回転速度を制御する。
【0083】
モータ12を運転する際、リモコン43の運転開始操作により、モータ12へのVSP信号をVSP>Vthなる値にする。操作によりモータ12の図示しない内部で、制御部3もしくは判別手段15が作用して、制御電源5より制御部3をアクティブ状態とし、制御部3の作用によりモータ12にトルクが発生、運転が開始される。次に、リモコン43の停止指令操作により、モータ12へのVSP信号をVSP<Vthなる値にする。操作によりモータ12の図示しない内部で、制御部3もしくは判別手段15が作用して、制御部3をノンアクティブ状態(機能停止状態)とする。制御部3がノンアクティブ状態となることにより、制御部3の消費電力が大きく低減する。したがって、運転停止中の待機電力の低減が可能になる。
【0084】
このように、本形態のモータを搭載した空気調整機は、運転停止中の制御電源の待機電力を削減することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のモータ駆動装置およびモータは、空気調整機の省電力化に最適であり、その他、モータを含む各種機機の省エネ化を必要とする用途などにも有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 モータ駆動装置
2 インバータ部
3 制御部
4 主電源
5 制御電源
6 マイコン
7a 駆動巻線L1
7b 駆動巻線L2
7c 駆動巻線L3
8 商用電源
9 空気調整機側電装基板
10 整流器
11 電解コンデンサ
12 モータ
13 制御LOGIC
14 レギュレータ
15 判別手段
16 パワートランジスタQ0
17 小信号トランジスタQ0a
18 小信号トランジスタQ0b
19 小信号トランジスタQ0c
20 基準クロック発生器
21 省電力回路ブロック
22 シャフト
23 ブラケット
24 モールド組立
25 ブッシュ
26 コネクタ
27 リード線
28 プリント配線板
29 第一の玉軸受け
30 第二の玉軸受け
31 ヨーク
32 永久磁石
33 回転子組立
34 固定子
35 巻線
36 インシュレータ
37 巻線端子
38 家屋
39 屋外
40 屋内
41 屋内空気調整機
42 屋外空気調整機
43 リモコン
44 受光部
45 表示部
46 配管
47 地面
48 熱交換器
49 クロスフローファン
50 電装BOX
51 ACプラグ
52 ACコンセント
53 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子の一つとして前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へPWM信号を前記制御信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、
前記制御部は、前記制御信号が前記駆動巻線への電力供給値ゼロを意味している場合には、前記PWM信号発生に関る内部構成部分を機能停止するよう作用して内部消費電力を低減し、前記制御電源から制御部への電力供給量を前記内部構成部分の機能動作中に比べ小さくする構成としたモータ駆動装置。
【請求項2】
商用交流電源を整流平滑して得られる直流電圧を主電源とし、複数のスイッチ素子を備えて前記スイッチ素子のON/OFFの時間の割合を可変して前記主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、前記主電源から電圧変換手段を介して得られる主電源より比較的低い電圧値の制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子として前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へON/OFFの時間の割合を意味するPWM信号を、制御指令信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、
前記制御部は、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値が、ゼロか、ゼロより大なる値であるかを判別する判別手段と、前記制御電源からの電圧をより小さい値の一定電圧へ変換するレギュレータと、前記レギュレータからの前記一定電圧を電力源とする制御LOGICを主要構成要素とし、前記制御信号が駆動巻線電力供給ゼロを意味していると前記判別手段が判別した場合には、前記判別手段は、前記制御LOGICに作用して、前記PWM信号の出力を停止した後、前記一定電圧の前記制御LOGICへの供給を停止するよう前記レギュレータに作用して、制御電源から制御部への電力供給量を前記一定電圧の前記制御LOGIC供給中に比べて小さくする構成としたモータ駆動装置。
【請求項3】
モータの回転子位置検出機を一つ若しくは複数備えたモータ駆動装置であって、
トランジスタを設け、前記トランジスタのベースを、レギュレータの出力端子に接続し、前記トランジスタのコレクタを制御電源に接続し、エミッタを、前記回転子位置検出機の電源入力端子に、直接もしくは抵抗機を介して接続した請求項2記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記トランジスタは、許容損失が0.5W以上であることを特徴とする請求項3記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
モータの回転子位置検出機を複数個備えたモータ駆動装置であって、
前記回転子位置検出機と同数のトランジスタを備え、前記回転子位置検出機の一個の電源入力端子に、前記トランジスタの一個のエミッタを直接もしくは抵抗機を介して接続し、コレクタは、制御電源に直接もしくは抵抗機を介して接続し、ベースは共通にレギュレータの出力端子に接続した請求項2記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記トランジスタは、許容損失が0.5W未満であることを特徴とする請求項5記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記制御部は、基準クロック発生器と、前記基準クロック発生器からの基準クロックによる逐次動作型制御LOGICとを含む半導体集積回路であって、制御信号が駆動巻線への電力供給値が、ゼロか、ゼロより大なる値であるかを判別する判別手段を備え、前記制御信号が駆動巻線電力供給ゼロを意味していると前記判別手段が判別した場合には、前記基準クロック発生器に作用して基準クロックの発生・伝達を停止して、制御LOGICの逐次動作を停止して、制御LOGICの消費電力をゼロ又は、極小化して、制御電源から制
御部への電力供給量を基準クロック発生中に比べ小さくするよう構成した、請求項2記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
基準クロック停止の代わりに基準クロックの周期を長くして逐次動作の単位時間当たりの動作頻度を少なくし、制御LOGICの消費電力を、基準クロック周期が通常動作周期である場合よりも小さくするよう構成した請求項7記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
主電源からモータの複数相の駆動巻線へ電力供給するインバータ部と、制御電源を電力源とし、外部との信号入出力端子として前記駆動巻線への電力供給値を意味する制御信号入力端子を備え、前記インバータ部へPWM信号を前記制御指令信号に基づいて発生する制御部を備えたモータ駆動装置であって、
前記制御部は、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値が、駆動巻線電力供給ゼロを意味している場合には、前記PWM信号発生に関る内部構成部分のうち、一部分の消費電力が極小又はゼロになるよう作用して、前記制御電源から制御部への電力供給量を前記駆動巻線への電力供給中の場合に比べ小さくするよう構成したモータ駆動装置。
【請求項10】
タイマーを設け、制御信号が駆動巻線への電力供給値がゼロより大きい値からゼロへ切り替わる場合には、制御部からインバータ部へのPWM信号を停止した後、前記タイマーに予め設定された時間経過後、制御電源から前記制御部への電力供給が、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値ゼロより大を意味している場合より小さくなるよう構成した、請求項1〜9のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項11】
タイマーを設け、制御信号が駆動巻線への電力供給値がゼロからゼロより大きい値へ切り替わる場合には、制御電源から前記制御部への電力供給が、前記制御信号が駆動巻線への電力供給値ゼロより大を意味している場合の値に、復帰した後、前記タイマーに予め設定された時間経過後、制御部からインバータ部へのPWM信号出力を再開するよう構成した、請求項1〜10のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のモータ駆動装置を内蔵したモータ。
【請求項13】
請求項12記載のモータを搭載した空気調整機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−94004(P2013−94004A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235767(P2011−235767)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】