説明

リチウムまたはリチウム合金の成膜装置

【課題】蒸発源と超微粒子生成室と、搬送管と、該ノズルに対向して配置される基板を内蔵する膜形成室とからなり、蒸発源から加熱蒸発されて生成する超微粒子を不活性ガスと共に超微粒子生成室から搬送管によって真空下の膜形成室へ搬送し、ノズルから噴射させて、基板上に超微粒子の膜を形成させるようにし搬送管とノズルとが加熱され、搬送管の入口端より上方に搬送管と同心軸的に該搬送管より大径の吸い込み管が配設され、該吸い込み管と搬送管との間の環状空間が排気装置に接続されているガスデポジション装置において、転写可能なリチウム薄膜を基板上に形成すること。
【解決手段】蒸発源はリチウムまたはリチウム合金の蒸発源であり、基板はフレキシブルで耐熱性のある合成樹脂でなり該基板の表面温度を合成樹脂の軟化点以下の温度に加熱しながら超微粒子のリチウムまたはリチウム合金の膜を形成させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムまたはリチウム合金の成膜装置に関するものであり、詳しくはリチウムまたはリチウム合金の超微粒子を不活性ガスによって搬送し、ノズルから高速で噴射させて、対向する基板上にリチウムまたはリチウム合金の超微粒子の膜を形成させるガスデポジション装置を用いたリチウムまたはリチウム合金の成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は従来例によるガスデポジション装置1の全体を示し、概しては、超微粒子生成室21、搬送管31、膜形成室41がほぼ垂直方向に配置されている。
【0003】
超微粒子生成室21内には、蒸発源としての蒸発材料Auを入れた開口径5.0mmφのルツボ22が配設されている。ルツボ22の周囲には高周波加熱のためのコイル23が巻装され、コイル23は超微粒子生成室21の外部に設置された交流電源24と接続されている。
【0004】
又、超微粒子生成室21には室内を所定の圧力に維持し、かつ生成した超微粒子を搬送するためのHeガスが、メッシュ・フィルタ式導入口25を経て導入される。すなわち、ボンベ2から可変流量バルブ3を経たHeガスは、フィルタの面積と開口率とを変更し得るメッシュ・フィルタ式導入口25により、蒸発源周囲のガス流速を調節されて、超微粒子生成室21へ導入されるようになっている。更に超微粒子生成室21には圧力計6が取り付けられている。
【0005】
搬送管31はほぼ垂直に配設された内径4.3mmφの直管である。その下端部は超微粒子生成室21に挿入されて、入口端31aをルツボ22の開口端の直上方30mmに位置させ、上端部は膜形成室41に挿入されている。搬送管31の出口端31bには超微粒子を噴射させるノズル32が接続されている。
【0006】
ノズル32は内径0.6mmφの細孔部33を有しており、図5に示すようにノズル32の軸心を通る断面において、内径4.3mmφの搬送管31の出口端31bとの接続個所から細孔部33の入口33aまでの間がトロコイド曲線に沿う形状で絞られており、かつ搬送管31とノズル32との接続個所の内面間に段差をなくし、搬送管31自体も屈曲部を持たない直管としていることも合わせて、搬送する超微粒子の流れに乱れが生じないようにされている。
【0007】
更には、搬送管31とノズル32とは加熱されるようになっている。図4に戻り、搬送管31はそれ自体が抵抗体として発熱するように上端部と下端部との間に直流電源55が接続されている。図6は搬送管31と直流電源55との他の結線例であり、膜形成室41をアースとし、かつ搬送管31の外気露出部の超微粒子生成室21に近い個所と膜形成室41との間に抵抗Rを並列に接続して、搬送管31に温度勾配を付して加熱することを可能ならしめている。又、図7に示すように、ノズル32には他の交流電源57と接続したシースヒータ56が巻装されている。
【0008】
更には、図4を参照して、超微粒子生成室21内において、搬送管31の入口端31aより上方に、搬送管31と軸心を共有する大径の吸込管34が二重管として設けられ、搬送管31との間に環状空間が形成されている。この吸込管34はルツボ22の直上部以外の超微粒子生成室21内に滞留する超微粒子を吸込むべく設けられている。吸込管34は超微粒子生成室21の外側において搬送管31と分離され、真空バルブ35を介し真空ポンプ36に接続されている。
【0009】
又更には、搬送管31と吸込管34との二重管が超微粒子生成室21の壁を貫通する真空接続部は、金属ベローズ37を介在させた接続としている。金属ベローズ37の一方のフランジは超微粒子生成室21の外壁の開口部の外周部に固定し、他方のフランジは吸込管34に設けたフランジ39に固定することによって、搬送管31の入口端31aのカーボン・ルツボ22上の位置調整のために、二重管、すなわち搬送管31を若干傾けることのできる真空接続としている。
【0010】
図4において、膜形成室41内にはノズル32に直角に対向して、基板42が配置されている。基板42はこれを取り付けている操作板9によって矢印に示すX軸方向、これと直角なY軸方向、に移動されるようになっている。そして、操作板9は基板42を加熱するための図示しない加熱機構を備えている。又膜形成室41には真空バルブ4を介して真空ポンプ5が接続されており、更には真空計7が取り付けられている。
【0011】
従来例は以上のように構成されるが、次にその作用について説明する。
【0012】
図4において、真空バルブ4を開とし、真空ポンプ5によって膜形成室41を真空引きする。同時に真空バルブ35を開とし真空ポンプ36によって吸込管34からの真空引きも開始する。一方、可変流量バルブ3を開としボンベ2のHeガスをメッシュ・フィルタ式導入口25から超微粒子生成室21へ2atmの圧力を維持するように導入する。なお、メッシュ・フィルタ式導入口25には、Heガスの流量を40SLM(1分間当りの標準状態リットル数)としても蒸発源近傍の流速が0.2m/sec程度であるように、開口率50%、面積85cm2 のフィルタが使用されている。
【0013】
導入するHeガスの流量40SLMのうち、搬送管31を経由してノズル32から噴出されるHeガスを約10SLM、吸込管34によって吸込まれ系外へ排出されるHeガスを約30SLMとなるようにする。吸込管34へのHeガス量を大としているのは次の理由による。すなわち超微粒子の生成が定常状態にあっても、搬送管31に吸引されずに超微粒子生成室21内に放出され滞留する超微粒子が存在し、これら余分の超微粒子は滞留中に凝集体となって何時かは搬送管31に吸引され、形成される膜に悪影響を与える。従ってこれらを可及的に早く排出する必要があるからである。
【0014】
このような条件下で、膜形成室41の真空計7は0.3Torrを示し、超微粒子生成室21と膜形成室41との間に約2atmの差圧が形成される。
【0015】
更には、搬送管31自体及びノズル27を巻装するシースヒータに通電してそれぞれを加熱し、搬送管31の入口端31a近傍で約300℃、ノズルで約350℃となるように温度勾配を与えて温度制御する。基板42も加熱して200℃の温度とする。
【0016】
次いでAu5grを入れたルツボ22を1500℃の温度に加熱し、Auを溶かして蒸発させると、雰囲気が圧力2atmのHeガスであるため、Auの蒸気は超微粒子となる。生成した超微粒子の殆どはルツボ22の開口部から立ちのぼり、2atmの差圧によって搬送管31の入口31aへ吸引される。そして、蒸発源周辺のHeガスの流速を0.2m/secとしているので超微粒子の立ちのぼりの形状は乱されることなく、安定した吸引となる。
【0017】
この時、金属ベローズ37によって傾斜可能となっている搬送管31を操作して、超微粒子の搬送量が最大となるように、すなわち、搬送管31に吸引されない超微粒子量が最小となるように、搬送管31の入口端31aとルツボ22との位置調整を行なう。搬送量が最大となる位置は使用する不活性ガスの種類、ガス導入量、超微粒子生成室21と膜形成室41との差圧の大きさなどによって微妙に変化するからである。なお、超微粒子の搬送量は実際には膜形成室41内で基板42を固定した場合の膜堆積高さ速度(μm/sec)によって測定される。
【0018】
搬送管31へ吸引されたAuの超微粒子はHeガスと共に加熱された搬送管31内を搬送され、加熱されたノズルから200℃に加熱された基板42上へ高速で噴射される。
【0019】
このような条件下で操作板9と共に基板42をX軸方向、Y軸方向に移動させてAuの超微粒子を基板42上に噴射させたが、10時間の間、膜堆積高さ速度は6μm/secと一定しており、かつ膜中に見られる粒子の径は0.1μm以下である凝集体のないAu膜が基材のNi面上に形成された。
【0020】
【特許文献1】特開平 7−166332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
然るに現在、リチウム電池の開発が盛んに行われているが、例えば、リチウム電池用またはハイブリッド用キャパシタ用電極にそれらの性能を向上させるためにリチウム薄膜を形成させたい場合がある。上記特許文献ではガスデポジッション装置を使って、超微粒子のAu膜を基材のニッケル面上に形成したが、その密着強度は非常に大きい。Au膜の代わりにLi 膜を形成させたとしても、その密着強度は非常に大きいものと思われる.実際に、銅材にリチウム膜を形成して、上記電極に転写せんとしても銅との密着強度は非常に大きくて、上記電極に転写することが出来ない。すなわち、銅面からリチウム薄膜を剥離することが出来ない.他方、ガスデポジッション装置で形成される超微粒子のリチウム膜のリチウムの純度は非常に高いので、その転写技術が強く望まれているところである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以上の課題は蒸発源、その上方に位置する搬送管の入口部及び不活性ガスの導入部を内蔵する超微粒子生成室と、前記搬送管と、前記搬送管の出口部、該出口部に接続されたノズル及び該ノズルに対向して配置される基板を内蔵する膜形成室とからなり、前記蒸発源から加熱蒸発されて生成する超微粒子を前記不活性ガスと共に前記超微粒子によって真空下の前記膜形成室へ搬送し、前記ノズルから噴射させて、前記基板上に超微粒子の膜を形成させるようにし、前記搬送管と前記ノズルとの両者に加熱手段が設けられておりかつ記搬送管の入り口端より上方に前記搬送管と同心軸的に該搬送管より大径の吸い込み管が配設され、該吸い込み管と前記搬送管との間の環状空間が排気装置に接続されているガスデポジション装置において、前記蒸発源はリチウムまたはリチウム合金の前記蒸発源であり、前記基板はフレキシブルで耐熱性のある合成樹脂でなり、該基板の表面温度を前記合成樹脂の軟化点以下の温度に加熱しながら超微粒子のリチウムまたはリチウム合金の膜を形成させるようにしたことを特徴とする成膜装置、によって解決される。
【発明の効果】
【0023】
超微粒子のリチウムまたはリチウム合金の膜は、生産過程の条件を制御することにより、高純度なリチウムの純度を保持した成膜が可能である。また基材に形成したリチウムまたはリチウム合金膜はリチウム電池用電極またはハイブリッドキャパシタ用電極上に容易に転写することが出来る。このようにして製造されたリチウム二次電池の不可逆容量は少ない、電気化学的容量は従来より大きいなどの優れた電池特性をもつ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態のリチウムの成膜装置につき図面を参照して説明する。
図1は同成膜装置の要部を示すが図示しない他部分は図4の従来技術と同等である。
なお、リチウムを収容する坩堝22は本実施の形態ではタンタルでなり、抵抗加熱方式で加熱される。
また、ヘリウムガスの純度は99.9995%以上とされる。
本実施の形態では、基材(基板ともいう)として短冊状のポリプロピレンmのシートが四隅で押さえねじgにより操作盤9に固定される.操作盤9は加熱機構を内蔵し、またノズル32も加熱されている。ノズル32の開口と基材mと間隔は5mmとされている。基材mの表面温度は図示しない熱電対による温度測定により、80℃となるように制御されている。
【0025】
蒸発源が加熱され、超微粒子のリチウムがノズル32から噴出される。操作盤9はX方向に移動する.所定距離移動すると、ノズル32からの噴出を一旦、停止させX方向とは垂直方向のY方向に所定距離移動させてから、再び、ノズルから超微粒子のリチウムを噴出させながら操作盤9をX方向に移動させる。
【0026】
以上のようにして基材m上に所定幅のリチウム膜が形成される。
膜形成室41内は、図示しないがグローブボックス仕様となっており、高純度なArガスでの雰囲気での取り扱いが可能な構造と成っている。大気圧のAr ガスで満たし、操作盤9に固定されている基材mは押さえねじgを外して、密封容器に入れ外部に取り出される。図2は長尺基材用の転写装置を示し、後に詳述するが、この装置の主要部であるロールプレス機の一対の圧縮ロール68,70間の間隙に、転写されるリチウム電池用電極n(これも基材mとほぼ同面積)と端部を揃えて相通させる。これらの圧縮ロール機は、図示しないが、ドライルームあるいはグローブボックス内に設置されているものとする。
相互に押し合う圧縮ロール68、70間を通るときに、リチウム膜形成基材Li +m の
リチウム膜 Li はリチウム電池用電極材n上に転写される。
【0027】
第一の実施の形態はバッチ式の成膜装置であるが、次に第2の実施の形態による連続式成膜装置あるいは長尺用成膜装置につき図2及び図3を参照して説明する。
図3においても図示しない他の部分は従来例の図4と同様である。膜形成室80は真空下に置かれる。室内には巻き出しロール82と巻き取りロール84とが配設されている。巻き出しロール82の軸82aにはリチウム膜が形成される基材としてのポリプロピレンMが卷回されている。ここから巻きだされた基材Mは補助ローラ86,88、ガイド板(加熱機構を内蔵するか、これ自体が加熱体であってもよい)94、補助ローラ90,92を通って巻き取りロール84の軸84a に巻き取られる。軸84a には駆動モータが取り付けられている。
【0028】
本実施の形態でも、ポリプロピレンMの表面は軟化点以下の例えば80℃に加熱されるように基材Mの走行速度や、ガイド板94の温度や、ノズル32の温度が設定される。
基材Mが矢印で示すように走行し、ノズル32から超微粒子のリチウムが噴出されると、
基材M上にリチウム膜が形成される。
【0029】
次に転写装置について説明する。
図2において巻き出しロール60には成膜された基材Mが卷回され、下方の巻き出しロール62にはリチウム電池用電極材n が卷回されている。基材Mは補助ロール64,72を介して巻き取りロール76に巻き取られる。電極材nは補助ロール66、74を介して巻き取りロール78に巻き取られる。補助ロール64,72 と補助ロール66,74との間にはロールプレス機の一対の圧力ロール68,70が配設される。
図3において、成膜された巻取りロール84が高純度なAr 雰囲気中、あるいはドライルーム中で取り扱われ、図2の転写装置の巻き出しロール60としてセットする。また運転開始にあたって、リチウム電極材nを卷回させた巻き出しローラ62を図示の位置にセットする。なお基材mと電極材nとの各端部は揃えて、一対の圧力ローラ68、72間を相通させ、補助ロール72,74を案内させて、巻き取りロール76、78の軸に係合させておくものとする。
【0030】
巻き取りロール76,78の軸はそれぞれ駆動モータによって回転駆動される。一対の圧力ローラ68,70はそれぞれ反時計方向、時計方向に回動される。リチウム膜形成基材Li+MのLi 膜は電極材nに押圧されながら、ローラ68,70間を通過すると、Li
膜は電極材nに転写される。結局、ローラ76には基材のポリプロピレンMだけが卷回される。巻き取りロール78にはリチウム膜Li を転写させた電極材nが卷回される。この
電極材nを用いたリチウム二次電池の電池特性は従来より優れている。これはリチウム膜の、電極材nへの転写がほぼ完全に行われたためであると思われる.
【0031】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基いて種々の変形が可能である。
【0032】
例えば実施形態においては、搬送管31の加熱に、搬送管31自体を抵抗体として通電し、発生するジュール熱によって加熱する方法を採用したが、これ以外の加熱方法、例えばノズル27と同じくシースヒータを巻装する方法としてもよい。またノズルの加熱温度も適宜変更可能なものとする。
【0033】
又以上の実施例では、ルツボ22と搬送管31の入口端31aとの位置合わせに、搬送管31を傾斜させる方法を採用したが、搬送管31は固定しておき、ルツボ22を移動させるようにしてもよい。また以上の実施の形態では、加熱に抵抗加熱方式をとったが、図4の従来例のように高周波加熱方式を採ってもよい。
【0034】
又以上の実施形態では、搬送管31を直管としたが、超微粒子を含むHeガスの流れを乱さない範囲で緩い屈曲部を持たせてもよい。
【0035】
又以上の実施形態では、不活性ガスとしてHeを使用したが、He以外の不活性ガス、例えばNe(ネオン)やAr(アルゴン)を使用してもよい。
【0036】
また以上の実施の形態では、リチウム膜を転写される、材料としてリチウム電池の電極を適用させたが、他の部材であってもよい。またハイブリッドキャパシタ用電極に適用してもよい。
【0037】
また以上の実施の形態では、合成樹脂としてポリプロピレンを適用したが、メタクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミドポリプロピレン、メタクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネト、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル、フッ素樹脂、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、フタル酸ジアリル、ポリウレタンを用いてもよい。
【0038】
また以上の実施の形態ではノズルと基材mまたはMとの間隔は5mmとされたが、更に小さく2mmとされても、転写可能で均一な膜が形成された。更に大きくして500mmとされても転写可能で均一な膜が形成された。
また、φ0.6mm のノズル以外に幅広ノズル(例えば、開口部が、5mm×0.5mm、30mm×0.3mm、80mm×1mm など)を使用してもよく、これらの場合には幅の広い成膜が効率よく作製でき、転写可能な均一な成膜ができた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態によるガスデポジション装置を用いたリチウム成膜装置の要部を示す概略破断図である。
【図2】本発明の第2実施形態に用いられる転写装置の全体を示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施形態による成膜装置の要部を示す概略図
【図4】従来例のガスデポジッション装置の概略図
【図5】従来例で使用されるノズルの断面図である。
【図6】従来例における搬送管の加熱のための電気回路図である。
【図7】従来例におけるノズルを巻装するシースヒータの概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ガスデポジション装置
21 超微粒子生成室
31 搬送管
32 ノズル
41 膜形成室
m 基材 ポリプロピレン
M 基材 ポリプロピレン
g 押さえねじ
68 70 圧力ロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発源、その上方に位置する搬送管の入口部及び不活性ガスの導入部を内蔵する超微粒子生成室と、前記搬送管と、前記搬送管の出口部、該出口部に接続されたノズル及び該ノズルに対向して配置される基板を内蔵する膜形成室とからなり、前記蒸発源から加熱蒸発されて生成する超微粒子を前記不活性ガスと共に前記超微粒子生成室から前記搬送管によって真空下の前記膜形成室へ搬送し、前記ノズルから噴射させて、前記基板上に超微粒子の膜を形成させるようにし前記搬送管と前記ノズルとの両者に加熱手段が設けられておりかつ前記搬送管の入口端より上方に前記搬送管と同心軸的に該搬送管より大径の吸い込み管が配設され、該吸い込み管と前記搬送管との間の環状空間が排気装置に接続されているガスデポジション装置において、前記蒸発源はリチウムまたはリチウム合金の前記蒸発源であり、前記基板はフレキシブルで耐熱性のある合成樹脂でなり該基板の表面温度を前記合成樹脂の軟化点以下の温度に加熱しながら超微粒子のリチウムまたはリチウム合金の膜を形成させるようにしたことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記リチウムまたはリチウム合金を成膜させた前記基板と、リチウム電池用またはハイブリッドキャパシタ用電極とをロールプレス機の一対のロール間に挟圧させて、前記電極上に前記リチウムまたはリチウム合金膜を転写させるようにしたことを特徴とする請求項 1 に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記合成樹脂は下記のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置、
ポリプロピレン、メタクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、
ポリカーボネト、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル、フッ素樹脂、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、フタル酸ジアリル、ポリウレタン。
【請求項4】
前記基板表面温度を該基板の材質の軟化点以下にするために
前記ノズルと前記基板との距離を2乃至500mmとしたことを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記超微粒子生成室を下方にして、前記超微粒子生成室と前記搬送管と前記膜形成室とがほぼ垂直線上に配置されている請求項1に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記超微粒子生成室と前記膜形成室とを連結し、かつその軸心に前記搬送管を内包するように、金属ベローズがその一端を前記超微粒子生成室の開口部外周に固定し、他端を前記膜形成室の外壁に固定して設けられている請求項1又は請求項2に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記蒸発源と前記搬送管の入口部との相対的な位置を調整するための調整機構が設けられている請求項1から請求項6までの何れかに記載の成膜装置。

【請求項8】
前記不活性ガスの導入部がメッシュ・フィルタ式導入口である請求項1から請求項7までの何れかに記載の成膜装置。
【請求項9】
前記不活性ガスの純度は99.9995%以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−57000(P2008−57000A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235801(P2006−235801)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(504273254)有限会社 渕田ナノ技研 (9)
【出願人】(390000435)本城金属株式会社 (10)
【Fターム(参考)】