説明

リフローフィルム、及びそれを用いた半田バンプの形成方法、電極間の接合方法

【課題】保存性、運搬性、及び使用時のハンドリング性に優れ、電極のみに対し選択的に半田バンプを形成することができるリフローフィルム及びそれを用いた半田バンプの形成方法、電極間の接合方法を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム内部に、半田粒子が分散した状態で含有するリフローフィルム、並びに該リフローフィルムを用いた半田バンプの形成方法及び電極間の接合方法であって、電極を有する基板の電極を有する面にリフローフィルムを載置又は接合しようとする電極同士を対向配置し、該電極間に前記リフローフィルムを狭持し、該リフローフィルム上に、カバー板を載置固定し、該リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱し、加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却することを特徴とする半田バンプの形成方法及び電極間の接合方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、回路配線材料、電極材料、導電性接合材料、導電性接着剤等に使用される、半田粒子を含有するリフローフィルム、及びそれを用いた半田バンプの形成方法、電極間の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を回路基板などへ実装する手法として、例えば、基板の電極に形成した半田バンプを用いる手法が知られている。この方法は電子部品の回路基板の電極上に予め半田バンプを形成し、この半田バンプを基板などの回路電極に接合するものである。半田バンプを形成する方法として、従来より半田ボールを電子部品などの回路電極上に搭載する方法、あるいは半田粒子を含む組成物として導電性ペーストを調製し、その導電性ペーストを回路基板の電極上に印刷する方法が知られている。
【0003】
最近では、半田粒子を含有する組成物として、流動媒体中に半田粒子(金属粒子)を分散させた導電性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この導電性樹脂組成物は、半田粒子と、半田粒子との濡れ性が相対的に高い第1の流動性媒体と、半田粒子との濡れ性が相対的に低い第2の流動性媒体とを含み、第1の流動性媒体と、第2の流動性媒体とが互いに非相溶状態で分散している組成物である。この導電性樹脂組成物を対向する電極板間に供給すると、第1の流動性媒体の半田粒子に対する濡れ性が第2の流動性媒体の濡れ性よりも高いことから、一対の電極間に、半田粒子が分散した第1の流動性媒体が自己集合する。そして、その状態で加熱溶融し、冷却硬化することで半田粒子が凝集して電極間の接合を行うことができる。
【0004】
また、端子間の接合方法として、均一に分散した半田粒子(導電性粒子)を含む導電性接着剤を対向する電極端子間に配置し、半田粒子の溶融温度よりも高く、樹脂の硬化が完了しない温度で加熱することで、溶融した半田粒子を集積させ電極端子間に集めることで電気的に接合する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、あくまでも、対向する電極間に導電性接着剤を付与するものであり、配線板内の所望の電極に選択的に導電性接着剤を付与する必要がある。
【0005】
以上の半田粒子を含む組成物又は接着剤はいずれも、液状ないしペースト状であるため、保存性、運搬性、及び使用時のハンドリング性に劣るといった問題があった。また、基板上の所望の位置、すなわち電極にのみ選択的に半田バンプを形成する場合には、印刷法などの手法を採用する必要であり、時間面及びコスト面で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−277526号公報
【特許文献2】特開2004−260131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、保存性、運搬性、及び使用時のハンドリング性に優れ、電極のみに対し選択的に半田バンプを形成することができるリフローフィルム及びそれを用いた半田バンプの形成方法、電極間の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半田粒子を分散させた樹脂フィルムを金属に接触させた状態で、樹脂と半田がともに溶融する温度まで加熱すると、液状化した樹脂中において溶融した半田が金属上に凝集することを見出しなされたものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0009】
(1)樹脂フィルム内部に、半田粒子が分散した状態で含有することを特徴とするリフローフィルム。
【0010】
(2)前記樹脂フィルムが、ガラス転移点が20℃以下で、アミノ基を有する高分子量成分と、ガラス転移点が20℃以上で、両末端にカルボキシル基を有する低分子量成分とを含む混合物を加熱乾燥してなることを特徴とする前記(1)に記載のリフローフィルム。
【0011】
(3)前記低分子量成分と前記高分子量成分との質量比率が0.1/99.9〜30/70であることを特徴とする前記(2)に記載のリフローフィルム。
【0012】
(4)前記半田粒子の数平均粒子径が2〜50μmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のリフローフィルム。
【0013】
(5)前記樹脂フィルム100質量部に対し、前記半田粒子を30〜1000質量部含むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のリフローフィルム。
【0014】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のリフローフィルムを用いた半田バンプの形成方法であって、
電極を有する基板の電極を有する面にリフローフィルムを載置するステップ、
前記リフローフィルム上に、カバー板を載置固定するステップ、
前記リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱するステップ、及び
加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却するステップ、
を含むことを特徴とする半田バンプの形成方法。
【0015】
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のリフローフィルムを用いる電極間の接合方法であって、
接合しようとする電極同士を対向配置し、該電極間に前記リフローフィルムを狭持するステップ、
前記リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱するステップ、及び
加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却するステップ、
を含むことを特徴とする電極間の接合方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保存性、運搬性、及び使用時のハンドリング性に優れ、電極のみに対し選択的に半田バンプを形成することができるリフローフィルム及びそれを用いた半田バンプの形成方法、電極間の接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の半田バンプの形成方法を説明するための模式側面図である。
【図2】図1に示す積層基板を加熱硬化させたときのリフローフィルムの状態を示す図面代用写真である。
【図3】本発明の電極間の接合方法を説明するための模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<リフローフィルム>
本発明のリフローフィルムは、樹脂フィルム内部に、半田粒子が分散した状態で含有することを特徴としている。
【0019】
本発明のリフローフィルムは、常温ではフィルム状の固体であり、電極を有する回路基板などに接触した状態で載置して所定の温度まで加熱すると、樹脂フィルム及び半田粒子が溶融し、液状化した樹脂フィルム中で溶融した半田粒子が電極表面において凝集する。別言すると、液状化した樹脂フィルム中で、半田粒子同士が液状体となって集合し、その液状体が電極表面に接触する。電極が複数存在する場合にも、それぞれの電極表面に半田が凝集する一方で、電極以外の領域には半田の凝集は起こらない。そして、その状態で冷却すると電極表面に半田粒子が凝集した状態、つまり半田が塊状となった状態で硬化する。すなわち、複数の電極表面にのみ選択的に半田バンプが形成される。
液状化した樹脂フィルム中において、半田粒子が電極表面において凝集する原理については明らかではないが、結果として、半田のみが電極表面に凝集するため、形成された半田バンプには樹脂などの絶縁物が含まず導通性に優れる。また、本発明のリフローフィルムは、常温ではフィルム状の固体であるため、液体やペースト状のものと比較して、保存性、運搬性、及び使用時のハンドリング性などに優れる。また、本発明のリフローフィルムは、フィルム状の固体であるため、使用時においては、印刷法などを採用することを要せず回路基板上の所望の位置に載置し加熱することのみでよい。
【0020】
以上のことから、本発明のリフローフィルムにおいて使用する樹脂フィルムの材料は、(1)室温でのハンドリング性を付与するため、常温で固体であり、かつフィルム形成能を有すること、(2)半田粒子の溶融温度以上に加熱したときに半田粒子が流動し、電極パッド表面において凝集させ得るべく低粘度であること、が要求される。ところが、これらの要求性能は、樹脂を高分子量化すると常温でのハンドリング性は良好になるが粘度が高くなり、一方、樹脂を低分子化すると加熱時の粘度は低下するが常温でのフィルム形成能に劣るというトレードオフの関係にある。
これらの要求を満足することができる本発明に係る樹脂フィルムについて以下に説明する。
【0021】
[樹脂フィルム]
本発明のリフローフィルムを構成する樹脂フィルムとしては、ガラス転移点が20℃以下で、アミノ基を有する高分子量成分と、ガラス転移点が20℃以上で、両末端にカルボキシル基を有する低分子量成分とを含む混合物を加熱乾燥してなるものが好ましい。つまり、当該樹脂フィルムは、高分子量成分により常温でのフィルム形成能を付与し、低分子量成分により加熱時の低粘度化を付与するものである。
以下、当該樹脂フィルムについて、高分子量成分と低分子量成分とに分けて説明する。
【0022】
(高分子量成分)
高分子量成分は、上述のように、ガラス転移点が20℃以下であって、アミノ基を有するものである。当該高分子量成分の重量平均分子量としては10000超が好ましく、30000以上がより好ましく、30000〜600000が最も好ましい。当該高分子量成分は、高分子量であることと、ガラス転移点が20℃以下であることと相まって、常温でのフィルムの強度を維持しハンドリング性に寄与する。
また、当該高分子量成分のガラス転移点は、10℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましく、下限は−60℃である。
【0023】
高分子量成分に含まれるアミノ基は、電子吸引性を有する原子団を含む低分子量成分とその混合物中において、相互作用することにより混合物の強靭性を向上させること、及びこの相互作用が高温において解離することにより混合物の溶融粘度が低下させるという役割を果たし、1級〜3級アミノ基のうち、特に2級、3級のアミノ基が好ましい。中でも2級のアミノ基が最も好ましい。一般に、アミノ基の塩基性は1級、3級、2級の順に塩基性が強くなり、つまり2級が最も強く、塩基性が強いほど、電子吸引性基との相互作用が強まるからである。但し、要求特性をコントロールするためには、敢えて、若干塩基性が弱い、つまり若干相互作用の弱い3級アミンを用いてもよい。
【0024】
高分子量成分としては、具体的には、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
【0025】
(低分子量成分)
低分子量成分は、上述のように、ガラス転移点が20℃以上で、両末端にカルボキシル基を有するものである。当該低分子量成分の重量平均分子量としては10000以下が好ましく、6000以下がより好ましく、1000〜6000が最も好ましい。当該低分子量成分は、低分子量であることと、ガラス転移点が20℃以上であることと相まって、加熱時において低粘度とすることができる。
また、当該低分子量成分のガラス転移点は、20℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、上限は200℃である。
【0026】
低分子量成分としては、具体的には、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミドが挙げられる。
【0027】
前記低分子量成分と前記高分子量成分との質量比率としては、0.1/99.9〜30/70であることが好ましく、0.5/99.5〜10/90であることがより好ましい。もっとも、当該質量比率は、使用する半田粒子の溶融温度と、所望するフィルムの性状を考慮した上で設定することができる。
【0028】
[半田粒子]
本発明のリフローフィルムにおいて使用する半田粒子として、材質としては、SnPb系の他、鉛フリーのSnAgCu系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系などが挙げられる。溶融温度を低下するという観点からは、SnPbが好ましいが環境保全の観点からPbフリーの半田粒子を用いることが好ましい。
【0029】
半田粒子の溶融温度は、低温で溶融する方が加工性に優れるための観点から、200〜260℃が好ましく、160〜200℃が好ましい。
【0030】
半田粒子の数平均粒子径は、2〜50μmであることが好ましいが、後述する半田バンプの製造方法や、電極間の接合方法に本発明のリフローフィルムを使用する場合において、電極等の大きさを考慮して適宜設定することが好ましい。
【0031】
前記半田粒子は、前記樹脂フィルム100質量部に対し、30〜1000質量部含むことが好ましい。例えば、半田バンプを形成する目的であれば、半田粒子は100〜300質量部と若干少なくしてもよいが、対向電極を接合するのに使用するであれば、半田粒子を300〜1000質量部と過剰に配合することが好ましい。
【0032】
一方、通常の半田による接合においては、接合箇所の酸化物除去や、加熱中の酸化防止などを目的としてフラックスが用いられるが、本発明のリフローフィルムは、フラックスが不要である。この理由は必ずしも明らかではないが、低分子量成分に含まれる末端カルボキシル基がフラックスの役割を果たしていると推察される。
【0033】
以上の本発明のリフローフィルムは、高分子量成分と低分子量成分とを個別に合成し、溶媒中に高分子量成分と低分子量成分と半田粒子とを添加し混合物とし、この混合物を離型処理した板(PETなど)上に流延して、加熱し、溶媒を除去することにより製造することができる。
この場合において、調製する混合物における各成分の混合比は、リフローフィルムにおける各成分の好ましい比率に準ずる。また、混合物を流延した後の加熱温度は、溶媒を気化させ留去し得る温度であればよく、例えば、50〜180℃とすることが好ましい。
【0034】
混合物の調製に用いる溶媒としては、前記高分子量成分と前記低分子量成分とが溶解するものであればよく、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc)、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、各種アルコール、N-メチルピロリドン等を使用することができる。溶媒の沸点については特に制限はない。
【0035】
以上の本発明のリフローフィルムは、厚さとしては、必要に応じて適宜設定するが、例えば、0.01〜0.5mmとすることができる。また、リフローフィルムの大きさ(面積)としては、使用する回路基板の大きさを考慮してその大きさを設定することができる。具体的には、電極(群)が位置する領域よりも若干広い面積に設定することが好ましい。あるいは、予め使用する予定の大きさよりも大きく形成し、使用時に所望の大きさに切り取って使用してもよい。
【0036】
<半田バンプの形成方法>
本発明の半田バンプの形成方法は、既述の本発明のリフローフィルムを用いた半田バンプの形成方法であって、電極を有する基板の電極を有する面にリフローフィルムを載置するステップ、前記リフローフィルム上に、カバー板を載置固定するステップ、前記リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱するステップ、及び加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却するステップ、を含むことを特徴としている。
【0037】
以下に、本発明の半田バンプの形成方法において、実際に半田バンプの形成を行った様子について図面及び図面代用写真を参照して説明する。
図1は、本発明の半田バンプの形成方法を説明するための模式側面図であって、基板の電極側の面にリフローフィルムとガラス板(カバー板)とをこの順に載置した状態を示す図である。図1において、電極12を表面に有する電極基板10上にリフローフィルム14が載置され、さらにその上にガラス板16が載置されている。
【0038】
図1に示す構成において、室温の状態から加熱し、昇温したときのリフローフィルムの状態を図2の図面代用写真により示す。図2(A)においては全体に満遍なく観察できる粒状のものは半田粒子である。なお、図2においては、半田粒子は、数平均粒径25μmのSnAgCuの粒子を用い、樹脂フィルムとしては厚さ0.1mmのポリアクリレート/ポリアミド製のフィルムを用いた。また、熱源としては、電気炉を用いた。
36℃では、図2(A)に示すように、リフローフィルム中において半田粒子が分散した状態が観察できる。この状態で260℃に加熱していくと、260℃からまず樹脂フィルムの液状化が始まり、次いで半田粒子の溶融が始まる(図2(B))。さらに260℃の温度を保持すると、半田粒子同士が集合して液状となる(図2(C))。この状態で0.5分間経過すると、溶融した半田粒子が電極表面において凝集する。さらに0.5分経過後、冷却を開始する。冷却後は半田が硬化し、電極表面において固着した状態となり、半田バンプが形成される(図2(D))。
【0039】
本発明の半田バンプの形成方法において、加熱温度としては、リフローフィルムの溶融温度及び半田の溶融温度を考慮し設定する。つまり、半田粒子の融点以上の温度であって、かつ樹脂フィルムが液状化する温度とする。樹脂フィルム及び半田粒子のいずれも液状化しないと、半田粒子が電極表面において凝集しないからである。
加熱保持時間としては、0.1〜10分が好ましい。0.1分以下では、半田の電極表面に凝集するのが不十分となり、また10分以上ではそれ以上温度保持しても変化がなく無意味である。
加熱手段としては、リフロー炉、電気炉等が挙げられる。
【0040】
加熱硬化後、残存したフィルムは、用途により除去する場合とそうでない場合があり、いずれの場合も用途により適宜使い分けることができる。除去する場合の手法としては、溶媒洗浄、蒸留水洗浄等を用いることができる。
【0041】
<電極間の接合方法>
本発明の電極間の接合方法は、既述の本発明のリフローフィルムを用いる電極間の接合方法であって、接合しようとする電極同士を対向配置し、該電極間に前記リフローフィルムを狭持するステップ、前記リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱するステップ、及び加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却するステップ、を含むことを特徴としている。
【0042】
図3は、本発明の電極間の接合方法を説明するための模式側面図であって、基板の電極と抵抗部品の電極とを対向配置し、その間にリフローフィルムを狭持した状態を示している。図3において、電極22を表面に有する電極基板20上にリフローフィルム24が載置され、さらにその上に電極を介して抵抗部品26が載置されている。
この状態においても、加熱することで、図2において示したように、半田粒子同士が集合して溶融状態となって電極表面に集合する。そして、本態様においては、対向電極間にリフローフィルムが狭持されているため、両電極間に液状体の半田が集合してその状態で冷却硬化することにより、両電極間において半田が柱状になることによって両電極が接合する。
【0043】
本発明の電極間の接合方法においては、対向する電極間に半田が満たされるようにして両電極間を接合するため、本発明の半田バンプの形成方法と異なり、既述のように、リフローフィルム中の半田粒子を多くする必要がある。
【実施例】
【0044】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
*ポリアクリレートAの合成
200mlの3口フラスコにトルエン93g、アクリル酸ブチル23.95g、2.2.6.6−テトラメチルピペリジルメタクリレート18.05gを秤取し、10℃以下の温度まで冷却し同温度を維持しながら窒素ガス400ml/minの流量で15分間バブリングしながら攪拌した。その後、窒素ガスの流入を停止し、攪拌を維持しながら65℃まで昇温した。同温度を維持したまま別途に秤取したアゾビスイソブチロニトリル0.07gをメチルエチルケトン5gに溶解させた溶液を添加し、フラスコを密閉した。攪拌しながら同温度を約12時間維持し、反応を事実上完結させた。このときの重合率は99.5%であった。反応今物溶液の固形分濃度は29.9%であった。また、得られたポリアクリレートAのガラス転移点は−5℃であった。
重合率の測定方法は、反応終了後の反応混合物の一定量をアルミパンに秤取し、180℃に加熱したホットプレート上で25分間加熱し、残存した固形物の重量から算出した。重量平均分子量は約56000であった。
【0046】
*ポリアミドAの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したジメチルアセトアミド(DMAc)112gと3.3’−ジアミノジフェニルスルフォン11.61gを秤取し、窒素気流下に室温(25℃)で攪拌し溶解させた。その後、セバシン酸クロライド20.19gを秤取り、フラスコ内に約30秒間で投入した。そのまま攪拌を続け、約3時間攪拌を継続した。
その後、この反応混合物を約560gの蒸留水中に攪拌しながら約5分かけて滴下した。全量を滴下した後、約1時間攪拌を続け析出した固体からDMAcを水層に抽出した。固体を吸引濾過により分離し、新たに秤取した蒸留水約150g中に投入して攪拌してDMAcを抽出した。この操作をあと1回繰り返した後、得られた固体をメタノール100g中に投入して約1時間攪拌した。その後、吸引濾過により固体を分離し、再度メタノール100g中に投入して1時間攪拌した。この操作により溶媒であるDMAc及び未反応のセバシン酸クロライドを除去した。固体を吸引濾過により分離し、70℃にて減圧乾燥を2時間行い、目的のポリアミドを得た。得られたポリアミドの量は19.4gであった。重量平均分子量は約3000であった。また、得られたポリアミドAのガラス転移点は140℃であった。
得られたポリアミドをDMAcに溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0047】
*ポリマー混合物の調製方法
上述のようにして得られたポリアクリレートA0.67g、ポリアミドA9.8g、DMAc14.53gを秤取し、ミックスロータで約20時間かけて均一溶液を調製した。ポリアミド(固体)/ポリアクリレート(固体)の重量比率は約98.0/2.0である。
得られたポリアミド/ポリアクリレート混合溶液を離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は高く、折り曲げても破損しなかった。
【0048】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物溶液中のポリマー分重量に対して、1.5倍重量の平均粒子径約25μmの半田粒子を添加し、攪拌し均一分散溶液を調製した。
【0049】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子均一分散溶液を離型処理を施したPET上に流延した後、150℃の高温槽中で加熱し、溶媒(DMAc、トルエン)を除去し厚み約30μmの半田粒子が分散したポリマーフィルムを作製した。
【0050】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムを銅電極を形成した基板上に約200mμm厚のガラス板で挟込み、260℃の高温層中で1分間加熱して、半田粒子の溶融性及び凝集性を目視で観察した。結果を表1に示す。
【0051】
[実施例2]
*ポリエステルの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したN−メチルピロリドン(NMP)112gとジヒドロキシプロパン12.04gを秤取し、窒素気流下に室温(25℃)で攪拌し溶解させた。その後、セバシン酸クロライド20.19gを秤取り、フラスコ内に約30秒間で投入した。そのまま約3時間攪拌を続けた後、120℃まで昇温し、同温度を4時間保持した。
その後、この反応混合物を約560gの蒸留水中に攪拌しながら約5分かけて滴下した。全量を滴下した後、約1時間攪拌を続け析出した固体からNMPを水層に抽出した。固体を吸引濾過により分離し、新たに秤取した蒸留水約150g中に投入して攪拌してNMPを抽出した。この操作をあと1回繰り返した後、得られた固体をメタノール/蒸留水(50/50)100g中に投入して約1時間攪拌した。その後、吸引濾過により固体を分離し、再度メタノール/蒸留水(50/50)100g中に投入して1時間攪拌した。この操作により溶媒であるNMP及び未反応のセバシン酸クロライドを除去した。固体を吸引濾過により分離し、70℃にて減圧乾燥を2時間行い、目的のポリエステルを得た。得られたポリエステルの量は19.7gであった。重量平均分子量は約2600であった。また、得られたポリエステルのガラス転移点は125℃であった。
得られたポリエステルをメチルエチルケトン(MEK)に溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0052】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1で得られたポリアクリレート溶液0.67g、ポリエステルの9.8g、MEK14.53gを秤取し、ミックスロータで約20時間かけて均一溶液を調製した。ポリエステル(固体)/ポリアクリレート(固体)の重量比率は約98.0/2.0である。
得られたポリエステル/ポリアクリレート混合溶液を離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は高く、折り曲げても破損しなかった。
【0053】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0054】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0055】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0056】
[実施例3]
*ポリエステルアミドの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したN−メチルピロリドン(NMP)112gとm-アミノフェノール5.75gを秤取し、窒素気流下に室温(25℃)で攪拌し溶解させた。その後、セバシン酸クロライド20.19gを秤取り、フラスコ内に約30秒間で投入した。そのまま約3時間攪拌を続けた後、120℃まで昇温し、同温度を4時間保持した。
その後、この反応混合物を約560gの蒸留水中に攪拌しながら約5分かけて滴下した。全量を滴下した後、約1時間攪拌を続け析出した固体からNMPを水層に抽出した。固体を吸引濾過により分離し、新たに秤取した蒸留水約150g中に投入して攪拌してNMPを抽出した。この操作をあと1回繰り返した後、得られた固体をメタノール100g中に投入して約1時間攪拌した。その後、吸引濾過により固体を分離し、再度メタノール100g中に投入して1時間攪拌した。この操作により溶媒であるNMP及び未反応のセバシン酸クロライドを除去した。固体を吸引濾過により分離し、70℃にて減圧乾燥を2時間行い、目的のポリエステルを得た。得られたポリエステルの量は13.8gであった。重量平均分子量は約2800であった。また、得られたポリエステルアミドのガラス転移点は130℃であった。
得られたポリエステルアミドをDMAcに溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0057】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1で得られたポリアクリレート溶液1.67g、ポリエステルアミドの9.8g、DMAc13.53gを秤取し、ミックスロータで約20時間かけて均一溶液を調製した。ポリエステルアミド(固体)/ポリアクリレート(固体)の重量比率は約95.0/2.0である。
得られたポリエステルアミド/ポリアクリレート混合溶液を離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は高く、折り曲げても破損しなかった。
【0058】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0059】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0060】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例4]
*ポリエーテルアミドの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したDMAc112gと4.4‘ジアミノジフェニルエーテル10.56gを秤取し、窒素気流下に室温(25℃)で攪拌し溶解させた。その後、セバシン酸クロライド20.19gを秤取り、フラスコ内に約30秒間で投入した。そのまま約3時間攪拌を続けた。
その後、この反応混合物を約560gの蒸留水中に攪拌しながら約5分かけて滴下した。全量を滴下した後、約1時間攪拌を続け析出した固体からDMAcを水層に抽出した。固体を吸引濾過により分離し、新たに秤取した蒸留水約150g中に投入して攪拌してDMAcを抽出した。この操作をあと1回繰り返した後、得られた固体をメタノール100g中に投入して約1時間攪拌した。その後、吸引濾過により固体を分離し、再度メタノール100g中に投入して1時間攪拌した。この操作により溶媒であるDMAc及び未反応のセバシン酸クロライドを除去した。固体を吸引濾過により分離し、70℃にて減圧乾燥を2時間行い、目的のポリエーテルアミドを得た。得られたポリエステルの量は13.8gであった。重量平均分子量は約3500であった。また、得られたポリエーテルアミドのガラス転移点は135℃であった。
得られたポリエーテルアミドをDMAcに溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0062】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1で得られたポリアクリレート溶液0.67g、ポリエステルアミドの9.8g、DMAc14.53gを秤取し、ミックスロータで約20時間かけて均一溶液を調製した。ポリエステルアミド(固体)/ポリアクリレート(固体)の重量比率は約98.0/2.0である。
得られたポリエステルアミド/ポリアクリレート混合溶液を離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は高く、折り曲げても破損しなかった。
【0063】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0064】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0065】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0066】
[実施例5]
*ポリアクリレートBの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したトルエン112gとメチルメタクリレート42.0gを秤取し、400ml/minの流量で30分間窒素バブリングしながら攪拌した。その後、第一臭化銅1.20g、ペンタメチルジエチレントリアミン1.45g、1.4−ジブロモブタン1.81gの順でフラスコに投入した。その後、窒素ガスの流入を停止し、フラスコを密閉して70℃まで昇温した。更に同温度を約12時間保持した。このときの重合率は97.8%であった。
その後、この反応混合物を室温まで冷却後、トルエン100gと蒸留水100gを加え、室温にて2時間攪拌した。その後、静置しトルエン層と水層に分離させた。分離した後水層を除去し蒸留水100gを添加し、約2時間攪拌した。再度静置しトルエン層と水層に分離させた。その後、水層を分離した後、トルエン層に無水硫酸ナトリウム20gを加え脱水した。その後、濾過により硫酸ナトリウムを分離ポリマーが溶解したトルエン溶液を得た。
このトルエン溶液にセバシン酸13.0gを加え、室温にて約5時間攪拌した。このトルエン溶液を60℃で10mmHgの減圧下にトルエンを除去した。残った固形物にメタノール/蒸留水(70/30)100gを加え約1時間攪拌した。その後、濾過により固体を分離した後、メタノール/蒸留水(70/30)100gを加え約1時間攪拌した。その後同操作を2回繰り返し、分離した固体を60℃にて減圧下に乾燥して目的のポリアクリレートを得た。得られたポリアクリレートの重量平均分子量は約5000であった。また、得られたポリアクリレートBのガラス転移点は95℃であった。
得られたポリアクリレートをMEKに溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0067】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1で得られたポリアクリレート溶液0.67g、ポリアクリレートの9.8g、MEK14.53gを秤取し、ミックスロータで約20時間かけて均一溶液を調製した。ポリアクリレート(固体)/ポリアクリレート(固体)の重量比率は約98.0/2.0である。
得られたポリアクリレート/ポリアクリレート混合溶液を離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は高く、折り曲げても破損しなかった。
【0068】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0069】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0070】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
[実施例6]
*ポリアクリレートCの合成
200mlの3口フラスコにトルエン93g、アクリル酸ブチル35.14g、2.2.6.6−テトラメチルピペリジルメタクリレート6.86gを秤取し、10℃以下の温度まで冷却し同温度を維持しながら窒素ガス400ml/minの流量で15分間バブリングしながら攪拌した。その後、窒素ガスの流入を停止し、攪拌を維持しながら65℃まで昇温した。同温度を維持したまま別途に秤取したアゾビスイソブチロニトリル0.07gをメチルエチルケトン5gに溶解させた溶液を添加し、フラスコを密閉した。攪拌しながら同温度を約12時間維持し、反応を事実上完結させた。このときの重合率は99.8%であった。反応今物溶液の固形分濃度は30.0%であった。また、得られたポリアクリレートCのガラス転移点は−15℃であった。
重合率の測定方法は、反応終了後の反応混合物の一定量をアルミパンに秤取し、180℃に加熱したホットプレート上で25分間加熱し、残存した固形物の重量から算出した。重量平均分子量は約61000であった。
【0073】
*ポリアミドAの合成
実施例1同様にして、ポリアミドAを合成した。
【0074】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1のポリマー混合物の調製方法において、ポリアクリレートAの代わりにポリアクリレートCを用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー混合物を調製した。
【0075】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0076】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0077】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0078】
[実施例7]
*ポリアクリレートDの合成
200mlの3口フラスコにトルエン93g、アクリル酸ブチル15.23g、2.2.6.6−テトラメチルピペリジルメタクリレート26.77gを秤取し、10℃以下の温度まで冷却し同温度を維持しながら窒素ガス400ml/minの流量で15分間バブリングしながら攪拌した。その後、窒素ガスの流入を停止し、攪拌を維持しながら65℃まで昇温した。同温度を維持したまま別途に秤取したアゾビスイソブチロニトリル0.07gをメチルエチルケトン5gに溶解させた溶液を添加し、フラスコを密閉した。攪拌しながら同温度を約12時間維持し、反応を事実上完結させた。このときの重合率は99.1%であった。反応今物溶液の固形分濃度は29.7%であった。また、得られたポリアクリレートDのガラス転移点は20℃であった。
重合率の測定方法は、反応終了後の反応混合物の一定量をアルミパンに秤取し、180℃に加熱したホットプレート上で25分間加熱し、残存した固形物の重量から算出した。重量平均分子量は約48000であった。
【0079】
*ポリアミドAの合成
実施例1同様にして、ポリアミドAを合成した。
【0080】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1のポリマー混合物の調製方法において、ポリアクリレートAの代わりにポリアクリレートDを用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー混合物を調製した。
【0081】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0082】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0083】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例8]
*ポリアクリレートEの合成
200mlの3口フラスコにトルエン56.0g、イソプロパノール51.0gアクリル酸ブチル15.97g、2.2.6.6−テトラメチルピペリジルメタクリレート12.03gを秤取し、10℃以下の温度まで冷却し同温度を維持しながら窒素ガス400ml/minの流量で15分間バブリングしながら攪拌した。その後、窒素ガスの流入を停止し、攪拌を維持しながら75℃まで昇温した。同温度を維持したまま別途に秤取したアゾビスイソブチロニトリル0.07gをメチルエチルケトン5gに溶解させた溶液を添加し、フラスコを密閉した。攪拌しながら同温度を約12時間維持し、反応を事実上完結させた。このときの重合率は99.5%であった。反応今物溶液の固形分濃度は29.9%であった。また、得られたポリアクリレートEのガラス転移点は10℃であった。
重合率の測定方法は、反応終了後の反応混合物の一定量をアルミパンに秤取し、180℃に加熱したホットプレート上で25分間加熱し、残存した固形物の重量から算出した。重量平均分子量は約13000であった。
【0085】
*ポリアミドAの合成
実施例1同様にして、ポリアミドAを合成した。
【0086】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1のポリマー混合物の調製方法において、ポリアクリレートAの代わりにポリアクリレートEを用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー混合物を調製した。
【0087】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0088】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0089】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
[比較例1]
*ポリアクリレートFの合成
200mlの3口フラスコにトルエン93g、アクリル酸ブチル42.0gを秤取し、10℃以下の温度まで冷却し同温度を維持しながら窒素ガス400ml/minの流量で15分間バブリングしながら攪拌した。その後、窒素ガスの流入を停止し、攪拌を維持しながら65℃まで昇温した。同温度を維持したまま別途に秤取したアゾビスイソブチロニトリル0.07gをメチルエチルケトン5gに溶解させた溶液を添加し、フラスコを密閉した。攪拌しながら同温度を約12時間維持し、反応を事実上完結させた。このときの重合率は99.8%であった。反応今物溶液の固形分濃度は30.0%であった。
重合率の測定方法は、反応終了後の反応混合物の一定量をアルミパンに秤取し、180℃に加熱したホットプレート上で25分間加熱し、残存した固形物の重量から算出した。重量平均分子量は約73000であった。
【0092】
*ポリアミドAの合成
実施例1同様にして、ポリアミドAを合成した。
【0093】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1のポリマー混合物の調製方法において、ポリアクリレートAの代わりにポリアクリレートFを用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー混合物を調製した。得られたフィルムの強靭性向上効果はなく、折り曲げると破損した。
【0094】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0095】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0096】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0097】
[比較例2]
*ポリアミドBの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したジメチルアセトアミド(DMAc)112gと3.3‘ジアミノジフェニルスルフォン18.58gを秤取し、窒素気流下に室温(25℃)で攪拌し溶解させた。その後、セバシン酸クロライド12.62gを秤取り、フラスコ内に約30秒間で投入した。そのまま攪拌を続け、約3時間攪拌を継続した。
その後、この反応混合物を約560gの蒸留水中に攪拌しながら約5分かけて滴下した。全量を滴下した後、約1時間攪拌を続け析出した固体をからDMAcを水層に抽出した。固体を吸引濾過により分離し、新たに秤取した蒸留水約150g中に投入して攪拌してDMAcを抽出した。この操作をあと1回繰り返した後、得られた固体をメタノール100g中に投入して約1時間攪拌した。その後、吸引濾過により固体を分離し、再度メタノール100g中に投入して1時間攪拌した。この操作により溶媒であるDMAc及び未反応のセバシン酸クロライドを除去した。固体を吸引濾過により分離し、70℃にて減圧乾燥を2時間行い、目的のポリアミドを得た。得られたポリアミドの量は19.4gであった。重量平均分子量は約3000であった。
得られたポリアミドをDMAcに溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0098】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1のポリマー混合物の調製方法において、ポリアミドAの代わりにポリアミドBを用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー混合物を調製した。得られたフィルムの強靭性向上効果はなく、折り曲げると破損した。
【0099】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0100】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0101】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0102】
[比較例3]
*ポリアミドCの合成
200mlの3口フラスコに脱水(含水率≦50ppm)したジメチルアセトアミド(DMAc)112gと3.3’−ジアミノジフェニルスルフォン11.61gを秤取し、窒素気流下に室温(25℃)で攪拌し溶解させた。その後、セバシン酸クロライド12.62gを秤取り、フラスコ内に約30秒間で投入した。そのまま攪拌を続け、約3時間攪拌を継続した。
その後、この反応混合物を約560gの蒸留水中に攪拌しながら約5分かけて滴下した。全量を滴下した後、約1時間攪拌を続け析出した固体をからDMAcを水層に抽出した。固体を吸引濾過により分離し、新たに秤取した蒸留水約150g中に投入して攪拌してDMAcを抽出した。この操作をあと1回繰り返した後、得られた固体をメタノール100g中に投入して約1時間攪拌した。その後、吸引濾過により固体を分離し、再度メタノール100g中に投入して1時間攪拌した。この操作により溶媒であるDMAc及び未反応のセバシン酸クロライドを除去した。固体を吸引濾過により分離し、70℃にて減圧乾燥を2時間行い、目的のポリアミドを得た。得られたポリアミドの量は19.4gであった。重量平均分子量は約37000であった。
得られたポリアミドをDMAcに溶解させ濃度約30%の溶液を調製後、離型処理を施したPET上に流延し、加熱乾燥して、厚み約30μmのフィルムを作製した。このフィルムの強靭性は低く、折り曲げると破損した。
【0103】
*ポリマー混合物の調製方法
実施例1のポリマー混合物の調製方法において、ポリアミドAの代わりにポリアミドCを用いた以外は実施例1と同様にしてポリマー混合物を調製した。得られたフィルムの強靭性向上効果はなく、折り曲げると破損した。
【0104】
*半田粒子混合物の調製方法
得られたポリマー混合物を用い、実施例1と同様にして半田粒子混合物を調製した。
【0105】
*リフローフィルムの作製方法
得られた半田粒子混合物を用い、実施例1と同様にしてリフローフィルムを作製した。
【0106】
*半田粒子の加熱凝集性の評価
得られたリフローフィルムの半田粒子の溶融性及び凝集性を、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0107】
【表3】

【符号の説明】
【0108】
10 電極基板
12 電極
14 リフローフィルム
16 ガラス板(カバー板)
20 電極基板
22 電極
24 リフローフィルム
26 抵抗部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム内部に、半田粒子が分散した状態で含有することを特徴とするリフローフィルム。
【請求項2】
前記樹脂フィルムが、ガラス転移点が20℃以下で、アミノ基を有する高分子量成分と、ガラス転移点が20℃以上で、両末端にカルボキシル基を有する低分子量成分とを含む混合物を加熱乾燥してなることを特徴とする請求項1に記載のリフローフィルム。
【請求項3】
前記低分子量成分と前記高分子量成分との質量比率が0.1/99.9〜30/70であることを特徴とする請求項2に記載のリフローフィルム。
【請求項4】
前記半田粒子の数平均粒子径が2〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリフローフィルム。
【請求項5】
前記樹脂フィルム100質量部に対し、前記半田粒子を30〜1000質量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリフローフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリフローフィルムを用いた半田バンプの形成方法であって、
電極を有する基板の電極を有する面にリフローフィルムを載置するステップ、
前記リフローフィルム上に、カバー板を載置固定するステップ、
前記リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱するステップ、及び
加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却するステップ、
を含むことを特徴とする半田バンプの形成方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリフローフィルムを用いる電極間の接合方法であって、
接合しようとする電極同士を対向配置し、該電極間に前記リフローフィルムを狭持するステップ、
前記リフローフィルムを前記半田粒子の融点以上の温度であって、かつ前記樹脂フィルムが液状化する温度に加熱するステップ、及び
加熱温度を一定時間保持し、該一定時間経過後冷却するステップ、
を含むことを特徴とする電極間の接合方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−233550(P2011−233550A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99651(P2010−99651)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】