説明

リフロー装置

【課題】隣り合うゾーンの温度差を高い状態で維持し得るリフロー装置の提供。
【解決手段】複数のチャンバ111が並設され、当該チャンバ111を貫通して延びる搬送路107を備えたリフロー装置100であって、前記複数のチャンバ111内の雰囲気を前記チャンバ111外に導出し、再び前記複数のチャンバ111のそれぞれに導入する外循環経路を形成する外循環ダクト160と、前記外循環経路を通過する雰囲気を冷却する冷却手段164と、前記各チャンバ111に導入される雰囲気の流量を制御可能な流量制御バルブ171と、前記流量制御バルブ171の開度を制御する制御手段200とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が載置された基板と前記部品とをはんだ付け処理するリフロー装置に関し、特に、複数の前記基板と部品と(以下「ワーク」と記す。)をインラインではんだ付け処理するリフロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを産業的にはんだ付けするには、プレヒートゾーンとリフローゾーンと冷却ゾーンとをインラインで備えたリフロー装置と称される装置が用いられる。
【0003】
リフロー装置のプレヒートゾーンは、部分的に熱容量の異なるワークをできる限り均一に昇温させるためのゾーンであり、雰囲気温度を段階的に上昇する複数のゾーンで構成されるのが一般的である。また、プレヒートゾーン全体の雰囲気温度は、リフローゾーンの雰囲気温度、すなわち、はんだが溶融する温度よりも低い温度で設定されている。
【0004】
このようなリフロー装置の場合、各ゾーンの雰囲気温度を適切な温度状態に維持することで良好なはんだ付けを提供することが可能となる。特に、ゾーン間の温度差は、ある程度高い方が効率よくワークを均一に昇温することができる。しかし、隣接するゾーンの温度勾配が高いと、搬送路を介して高温雰囲気が低温雰囲気に向かって流入する量が多くなるため、隣接するゾーン間で高い温度差を維持することは困難であるとされている。
【0005】
特許文献1において、雰囲気加熱ヒータにより加熱された高温雰囲気をワークに吹き付けるとともに、遠赤外線ヒータでワークを加熱することで、各ゾーンの雰囲気温度に大きな温度差を設けることなく、遠赤外線で直接ワークを所定の温度にすることが提案されている。
【特許文献1】特開平8−293666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、遠赤外線の吸収効率は電子部品の種類によって大きく異なるものであり、ワーク全体を均一に昇温することは困難である。
【0007】
そこで本願発明者らは、鋭意研究と努力の結果、雰囲気温度との熱交換によりワークを昇温するというリフロー装置の原点に立ち返るとともに、雰囲気を昇温することよりも降温させることの方が困難であることに着目し、効率的な降温手段、降温方法を見出だすに至り本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、隣り合うゾーンの温度差を高い状態で維持し得るリフロー装置の提供を目的とする。
【0009】
さらに、リフロー装置ではんだ付けするワークの種類を切り替える際、各ゾーンの雰囲気温度を現状よりも低くしなければならない場合がある。この場合、ワークの種類の切り替え時の時間短縮を図るために、工場全体に供給されている圧縮空気をリフロー装置の内部に強制的に導入したり、リフロー装置のチャンバを開放してリフロー装置内部を大気に晒す場合もある。
【0010】
しかし、高温のリフロー装置内部を圧縮空気でブローすることとなり、高温の空気が吹き出すなど危険な場合がある。また、高温のリフロー装置の内部を大気に晒す場合、人体も接触可能となるため危険となる。さらに、圧縮空気をリフロー装置に導入するためには別途装置が必要となって、コストアップになる。
【0011】
本発明は、当該ワーク切り替え時におけるリフロー装置内部の降温を安全かつ早く行うことの出来る温度切り替え方法の提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるリフロー装置は、複数のチャンバが並設され、当該チャンバを貫通して延びる搬送路を備えたリフロー装置であって、前記複数のチャンバ内の雰囲気を前記チャンバ外に導出し、再び前記複数のチャンバのそれぞれに導入する外循環経路を形成する外循環ダクトと、前記外循環経路を通過する雰囲気を冷却する冷却手段と、前記各チャンバに導入される雰囲気の流量を制御可能な流量制御バルブと、前記流量制御バルブの開度を制御する制御手段とを備える。
【0013】
これにより、外循環経路で冷却された雰囲気を導入する量を各チャンバで制御することができ、降温させるべきチャンバを効率よく降温させ、チャンバ内の温度を所定の温度に維持することが可能となる。
【0014】
また、効率よく、かつ、安全に降温させることができるため、ワークの種類を切り替える際にも時間の短縮を図ることができる。
【0015】
さらに、前記外循環経路内の雰囲気を強制的に循環させる風を発生させる送風手段を備え、前記制御手段は、前記送風手段の総風量を制御してもよい。
【0016】
これにより、さらに積極的に低温の雰囲気を導入する量をコントロールすることができるようになる。
【0017】
さらに、前記各チャンバ内の温度を測定する測温手段を備え、前記制御手段は、前記測温手段の測定値に基づき、前記流量制御バルブの開度を制御してもよい。
【0018】
これにより、きめ細かにチャンバ内の温度を設定値に維持することが可能となる。
また上記目的を達成するために、本願発明にかかる温度調整方法は、前記リフロー装置に対する温度調整方法であって、各チャンバの設定温度を取得する設定温度取得ステップと、前記チャンバ内の温度が設定値以上であってさらに上昇傾向にあるチャンバを探索する探索ステップと、前記探索ステップで探索されたチャンバに対し、前記外循環経路で冷却された雰囲気を導入する導入量を増加させる導入量増加ステップとを含むことが好ましい。
【0019】
当該方法の作用、効果は、上記と同様である。
さらに、本願発明にかかる温度切り替え方法は、前記リフロー装置に対するものであって、新しい基板に対応する生産条件を取得する生産条件取得ステップと、各チャンバの設定温度を前記生産条件から取得する設定温度取得ステップと、現在のチャンバの温度が取得した設定温度よりも高温であるチャンバの存在を探索する探索ステップと、前記探索ステップで探索されたチャンバに対し、前記外循環経路で冷却された雰囲気を導入する導入量を最大とする導入量増加ステップとを含むことを特徴とする。
【0020】
これにより、ワークの種類を切り替えるに際し、チャンバの設定温度を下げる必要がある場合でも、高温の空気が吹き出すことなく閉回路の状態で温度を下げることができるため、安全かつ早期に設定の温度に降温することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、隣り合う区画の温度差を高い状態で維持することができ、好適な温度条件でリフロー処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、リフロー装置100の全体を断面で示す断面図である。
【0023】
同図に示すように、リフロー装置100は、空気を熱媒体とし、実装された電子部品とを回路基板と(以下「ワーク」と記す。)をはんだ付けする装置であり、第1予熱ゾーン110、第2予熱ゾーン120、リフローゾーン130および冷却ゾーン140を備えている。このような各ゾーン110、120、130および140は、それぞれ独立したチャンバにより形成されている。
【0024】
リフロー装置100は、ワーク105がリフロー装置100を貫通して延びる搬送路としてのコンベア107によって同図の左から右に移動する間にはんだ付け処理を行い、ワーク105を低温状態で搬出するものである。
【0025】
具体的には、第1予熱ゾーンを通過することで、ワーク105は、第1設定温度の雰囲気で加熱され、次に、第2予熱ゾーンを通過することにより、ワーク105は、第2設定温度(第1設定温度<第2設定温度)の雰囲気により加熱される。このように段階的にワーク105を加熱することにより、熱容量の違う電子部品を均一に昇温することができる。そして、第3設定温度(第2設定温度<第3設定温度)のリフローゾーン130ではんだを溶融し、冷却ゾーン140ではんだを固めながらワーク105全体を緩やかに冷す。
【0026】
リフロー装置100は、第1予熱チャンバ111と、第2予熱チャンバ121と、リフローチャンバ131と、冷却チャンバ141と、外循環ダクト160と、外循環ファン161と、ラビリンス162と、メッシュフィルタ163と、水冷ジャケット164と、流量制御バルブ171、172、173、174とを備えている。
【0027】
各チャンバ111、121、131、141は、内部雰囲気を所定の温度に維持するための部材であり、相互の熱伝導を抑える断熱構造が採用されている。また、各チャンバ111、121、131、141は、モジュール化されており、各チャンバ111、121、131、141を増設することで、各ゾーン110、120、130、140の長さを容易に変更することができるものとなっている。
【0028】
外循環ダクト160は、各チャンバ111、121、131、141から排出される雰囲気(排気)を循環させる外循環経路を形成する部材である。
【0029】
水冷ジャケット164は、ラビリンス162及びフィルタ163を通過する排気を冷却するとともに、排気内のフラックスなどを凝集させるための冷却手段である。
【0030】
ラビリンス162は、各チャンバ111、121、131、141からの排気を複雑に蛇行させ、水冷ジャケット164と接触する排気の量を増加させるものである。
【0031】
メッシュフィルタ163は、排気の温度低下により排気中で凝集したフラックスを捕集するフィルタである。
【0032】
流量制御バルブ171、172、173、174は、各チャンバ111、121、131、141に温度が低下しフラックスなどが除去された排気を戻すに際し、排気を戻すチャンバ111、121、131、141の選択、及び、戻す排気の流量を調節することができるバルブである。流量制御バルブ171、172、173、174は、それぞれ独立して開度を後述の制御部により制御可能することができる。すなわち、各チャンバ111、121、131、141に導入される排気の流量が制御部により独立して調節されるものとなっている。
【0033】
図2は、チャンバをワークの位相方向から望む断面図である。
同図に示すように、リフロー装置100は、加熱系チャンバ111、121、131内に、ヒータ151と、内循環ファン152と、熱風ノズル153とを備えている。なお、リフロー装置100は、ヒータ151、内循環ファン152、熱風ノズル153がコンベア107を挟んで反対側にも備えられている。
【0034】
以下、リフローチャンバ131で、チャンバの内部構造を説明する。なお、その他の加熱系チャンバ111、121も同様の構造である。
【0035】
ヒータ151は、外循環ダクト160を経由して冷却され再びチャンバ131に導入された排気、及び、チャンバ131内で独立して循環する雰囲気を加熱するヒータであり、コイル状に巻かれた複数のニクロム線を所定の間隔を置いて配置されるものである。また、ヒータ151出力は、後述の制御部によりコントロールできるものとなっている。
【0036】
内循環ファン152は、チャンバ131内の雰囲気を独立して循環させるためのファンであり、チャンバ131外に備えられるモータ154により回転するシロッコファンである。
【0037】
熱風ノズル153は、ヒータ151により加熱され、内循環ファン152により送風された雰囲気を所定の風速でワーク105に吹き付けるための細い孔が多数設けられた部材である。
【0038】
なお、チャンバ131内にはさらに、内循環ファン152により送風された雰囲気を整流するためのブレード155、雰囲気中の加熱により蒸散したフラックスなどを分解する触媒(熱触媒)が担持されたフィルタ状の担持体156が備えられている。
【0039】
また、チャンバ131内の雰囲気の一部は、排気ダクト165によりチャンバ131外に導出されるものとなされている。当該導出された雰囲気は外循環経路に供される。
【0040】
なお同図中、黒っぽい矢印は、比較的高温の雰囲気の流れを示し、白っぽい矢印は、比較的低温の雰囲気の流れを示している。
【0041】
図3は、リフロー装置の制御部を示すブロック図である。
同図に示すように、リフロー装置100は、流量制御バルブ171、172、173、174などの機構部を制御する制御部200を備えている。当該制御部200は、コンピュータにより実現される。
【0042】
なお、熱電対157は、熱風ノズル153の吹き出し口近傍の熱風の温度を計測するセンサである。酸素濃度測定手段158は、ワーク105の搬入口と搬出口とに備えられ酸素濃度を測定するセンサである。
【0043】
ヒータ制御部251は、演算部201の指示に基づき、ヒータ151への出力を制御する処理部である。
【0044】
ファン制御部261は、演算部201の指示に基づき、外循環ファン161の回転数を制御する処理部である。
【0045】
流量制御部271は、演算部201の指示に基づき、各流量制御バルブ171、172、173、174の開度をそれぞれ独立に制御する処理部である。
【0046】
演算部201は、熱電対157、及び、酸素濃度測定手段158の計測値に基づき、所定のプログラムによって各処理部に指示を与える処理部である。
【0047】
次に、各チャンバの温度の制御方法を説明する。
図4は、各チャンバの温度の制御方法を示すフローチャートである。
【0048】
ここで説明する方法は、各流量制御バルブ171、172、173、174を制御することにより各チャンバ111、121、131、141に導入される排気の量を制御し、隣接するチャンバ(ゾーン)111、121、131、141間の温度差を高い状態で維持するものである。
【0049】
まず、各加熱系チャンバ111、121、131内の設定温度を入力する。
演算部201は、ヒータ制御部251を介し、各加熱系チャンバ111、121、131内に備えられるヒータ151をONにする(S104)。演算部201は、熱電対157からの測定値に基づき、各加熱系チャンバ111、121、131内の温度が設定値に到達したか否かを判定する(S107)。
【0050】
各加熱系チャンバ111、121、131内の温度が設定値に到達したら(S107:Y)、現在温度が設定温度を上回り、かつ、ヒータ出力が0である状態が1分以上続くチャンバを探索する(S110)。なお、時間の計測は、演算部201が保持するタイマ(図示せず)により行われる。
【0051】
現在温度が設定温度を上回り、かつ、ヒータ出力が0である状態が1分以上続くチャンバが確認されると(S110:Y)、次に、当該チャンバの現在温度は下がりつつあるか否かが判定される(S113)。
【0052】
次に、ヒータ151の出力が0であるにもかかわらず、対象チャンバの温度が上昇する場合(S113:N)、対象チャンバの流量制御バルブを一段階開く(S116)。すなわち、水冷ジャケット164により冷却された排気が対象チャンバ内に流入する量が増加する。
【0053】
次に、流量制御バルブを一段階開いても対象チャンバの温度が1分以内に下がり始めなければ(S119:N)、流量制御バルブの開度が最大か否かを確認し(S120)、開度最大の場合(S120:Y)は、演算部201は、ファン制御部261を介して外循環ファン161の回転速度を一段階増速したうえ、現在開いている(開度0ではない)全ての流量制御バルブの開度を全閉から1段階開いた状態に操作する(最小開度:開度が0ではない最も小さい開度)(S122)。
【0054】
次に、全チャンバの温度が設定値で維持される状態が1分以上継続すれば(S125:Y)本処理を終了し、継続しない場合(S125:N)、ステップ107(S107)に戻って処理を繰り返す。
【0055】
以上の処理により、ヒータ151への出力が0でも温度が上昇するチャンバ、すなわち隣接するチャンバから高温雰囲気が流入することにより温度が上昇してしまうチャンバに対しては、比較的低温の雰囲気を導入し、強制的に温度を低下させることができるため、隣接するチャンバとの温度差を大きくても、各チャンバの温度を設定値で維持することが可能となる。
【0056】
また、温度を低く設定したいチャンバにより多くの排気を導入することで、隣接する高温のチャンバよりも当該チャンバ内の圧力が高くなり、当該圧力差により高温のチャンバからの雰囲気の流入を抑止できる。
【0057】
しかも、チャンバに導入される排気は水冷ジャケット164により強制的に冷却されたものであるため、温度が一定しており、チャンバ内の温度を安定して維持することができる。また、大気ほど低温にはなっていないため、チャンバ内の温度調整が容易となる。
【0058】
これに対し、大気をチャンバ内に導入して冷却する場合は、季節や時間で導入する温度が一定しないため、チャンバ内の温度を一定のソフトウエア(パラメータ)で維持することが困難となる。しかも、40℃以下の低温の大気を導入しなければならないため、設定値と導入する大気の温度差が大きすぎるためチャンバ内の温度を一定に維持することが困難となる。
【0059】
ちなみに本実施の形態において、チャンバ導入される排気の温度は80℃以上である。
さらに、チャンバ内を低酸素雰囲気に維持するリフロー装置の場合、チャンバを冷却するために導入する排気も低酸素状態であるため、大気を導入する場合に比して、ワーク105への影響を可及的に低く抑えることが可能となる。
【0060】
次に、本実施の形態の装置構成で実現可能な処理するワークを切り替える際の、リフロー装置100の温度状態を変化させる処理手順を説明する。
【0061】
図5は、処理するワークを切り替える際の、リフロー装置100の温度状態を変化させる処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
同図に示すように、リフロー装置100は、新しいワーク105に対応した新しい生産条件(チャンバの設定温度)を取得する。
【0063】
次に、現在のチャンバの温度が取得した設定温度よりも高温であるチャンバの存在を探索する(S204)。
【0064】
設定温度よりも高温のチャンバが存在する場合(S204:Y)、対象チャンバの流量制御バルブを全開とし、外循環ファン161の回転速度を最速とする(S207)。すなわち、対象のチャンバのみを急速に冷却する。
【0065】
次に、チャンバ内の温度が設定値以下になっているのに、流量制御バルブが開いているチャンバを探索する(S210)。該当するチャンバがあれば(S210:Y)、対象の流量制御バルブを全閉とし(S213)、無ければ(S210:N)、通常の立ち上げ手順へ移行する。
【0066】
以上のような処理を行えば、ワーク105の種類が切り替わる場合でも、柔軟にリフロー装置100の温度状態を変更することが可能となる。特に、設定温度が従前よりも低い場合、設定温度よりも高いチャンバのみを急速に冷却することができ、ワーク105の種類の切り替え時におけるリフロー装置の温度状態変更を速やかに行うことが可能となる。
【0067】
これに対し、従来は、リフロー装置100の自然放熱を待つか、リフロー装置100の蓋を開けて大量の大気を導入し、リフロー装置100を一旦冷やしてから再度昇温することで、新しいワーク105に対応している。以上の自然放熱を待つ場合は、長時間が必要になるため、他の部品実装機も含めた実装ラインが遊んでしまいコストに悪影響を及ぼす。また、リフロー装置100の蓋を開ける行為はリフロー装置100の温度が急激に変化させるため、金属部品などに疲労が蓄積するなど装置に対し悪影響を及ぼす。また、リフロー装置100を低酸素状態で稼働させている場合は、当該低酸素状態を一旦キャンセルしなければならないため、再度低酸素状態にするための時間とコストが必要になってしまう。
【0068】
次に、リフロー装置100内部を低酸素雰囲気とするために窒素ガスを導入する場合における、窒素ガスの補充量を極力少なくするための処理方法を説明する。
【0069】
図6は、リフロー装置への窒素ガスの補充量を極力少なくするための処理手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、リフロー装置100へワーク105が搬入される入口と、ワーク105が搬出される出口の酸素濃度を酸素濃度測定手段158により測定する(S301)。入口の酸素濃度が出口の酸素濃度よりも高い場合は(S304:Y)、出口側の流量制御バルブを一段階閉じ、入口側の流量制御バルブを一段階開く(S307)。
【0071】
次に、入口の酸素濃度が出口の酸素濃度よりも低い場合は(S310:Y)、入口側の流量制御バルブを一段階閉じ、出口側の流量制御バルブを一段階開く(S313)。
【0072】
次に、現在の酸素濃度が指定の酸素濃度より高い場合(S316:Y)、窒素供給バルブを一段階開く(S319)。
【0073】
次に、現在の酸素濃度が指定の酸素濃度より低い場合(S322:Y)、窒素供給バルブを一段階閉じる(S325)。
【0074】
以上のように処理すれば、リフロー装置100内の窒素ガスの大きな流れを制御することができ、出口や入口からの窒素ガスが漏出を抑制することが可能となる。従って、リフロー装置100を低酸素状態に維持するための窒素ガスの供給量を低く抑えることが可能となる。
【0075】
なお、本実施の形態では、リフロー装置100のチャンバ数を4としたが、本願発明に係るリフロー装置100のチャンバ数は4に限定されるものではなく、任意の数を選択することができる。また、チャンバが2個並設されたユニットと、チャンバが3個並設されたユニットとを準備することで、種々のチャンバ数からなるリフロー装置100を柔軟に組み上げることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、リフロー装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】リフロー装置100の全体を断面で示す断面図である。
【図2】チャンバをワークの位相方向から望む断面図である。
【図3】リフロー装置の制御部を示すブロック図である。
【図4】各チャンバの温度の制御方法を示すフローチャートである。
【図5】処理するワークを切り替える際の、リフロー装置100の温度状態を変化させる処理手順を示すフローチャートである。
【図6】リフロー装置への窒素ガスの補充量を極力少なくするための処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
100 リフロー装置
105 ワーク
107 コンベア
110 第1予熱ゾーン
111 第1予熱チャンバ
120 第2予熱ゾーン
121 第2予熱チャンバ
130 リフローゾーン
131 リフローチャンバ
140 冷却ゾーン
141 冷却チャンバ
151 ヒータ
152 内循環ファン
153 熱風ノズル
154 モータ
155 ブレード
156 担持体
157 熱電対
158 酸素濃度測定手段
160 外循環ダクト
161 外循環ファン
162 ラビリンス
163 フィルタ
164 水冷ジャケット
165 排気ダクト
171、172、173、174 流量制御バルブ
200 制御部
201 演算部
251 ヒータ制御部
261 ファン制御部
271 流量制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバが並設され、当該チャンバを貫通して延びる搬送路を備えたリフロー装置であって、
前記複数のチャンバ内の雰囲気を前記チャンバ外に導出し、再び前記複数のチャンバのそれぞれに導入する外循環経路を形成する外循環ダクトと、
前記外循環経路を通過する雰囲気を冷却する冷却手段と、
前記各チャンバに導入される雰囲気の流量を制御可能な流量制御バルブと、
前記流量制御バルブの開度を制御する制御手段と
を備えるリフロー装置。
【請求項2】
さらに、
前記外循環経路内の雰囲気を強制的に循環させる風を発生させる送風手段を備え、
前記制御手段は、前記送風手段の総風量を制御する
請求項1に記載のリフロー装置。
【請求項3】
さらに、
前記各チャンバ内の温度を測定する測温手段を備え、
前記制御手段は、前記測温手段の測定値に基づき、前記流量制御バルブの開度を制御する
請求項1に記載のリフロー装置。
【請求項4】
請求項1に記載のリフロー装置に対する温度調整方法であって、
各チャンバの設定温度を取得する設定温度取得ステップと、
前記チャンバ内の温度が設定値以上であってさらに上昇傾向にあるチャンバを探索する探索ステップと、
前記探索ステップで探索されたチャンバに対し、前記外循環経路で冷却された雰囲気を導入する導入量を増加させる導入量増加ステップと
を含む温度調整方法。
【請求項5】
前記導入量の増加は、前記流量制御バルブの開度を大きくすることにより達成させる請求項4に記載の温度調整方法。
【請求項6】
前記導入量の増加は、前記送風手段の総風量を多くすることにより達成させる請求項4に記載の温度調整方法。
【請求項7】
さらに、
前記流量制御バルブの開度を最小開度にする請求項6に記載の温度調整方法。
【請求項8】
複数のチャンバが並設され、当該チャンバを貫通して延びる搬送路と、前記複数のチャンバ内の雰囲気を前記チャンバ外に導出し、再び前記複数のチャンバのそれぞれに導入する外循環経路を形成する外循環ダクトと、前記外循環経路を通過する雰囲気を冷却する冷却手段と、前記各チャンバに導入される雰囲気の流量を制御可能な流量制御バルブと、前記流量制御バルブの開度を制御する制御手段とを備えるリフロー装置ではんだ付される基板の種類を切り替える際の温度切り替え方法であって、
新しい基板に対応する生産条件を取得する生産条件取得ステップと、
各チャンバの設定温度を前記生産条件から取得する設定温度取得ステップと、
現在のチャンバの温度が取得した設定温度よりも高温であるチャンバの存在を探索する探索ステップと、
前記探索ステップで探索されたチャンバに対し、前記外循環経路で冷却された雰囲気を導入する導入量を最大とする導入量増加ステップと
を含む温度切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−279502(P2008−279502A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86028(P2008−86028)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(507118884)グリーンテクノロジーズ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】