説明

レニン阻害剤のバイオアベイラビリティを改良するための方法

本発明は、レニン阻害剤、好ましくは、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体のバイオアベイラビリティを改良するための方法であって、レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の組合せをこのような処置を必要とする哺乳動物、とりわけヒトに共投与することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
経口経路は、しばしば、薬剤投与のために最も好都合な経路であるが、残念なことに多数の治療剤は不十分なバイオアベイラビリティによって経口的に活性ではない。
【背景技術】
【0002】
多数の治療剤のバイオアベイラビリティは、例えば、多剤耐性効果を引き起こすために細胞から積極的に外来物質を排出する、いわゆる“排出ポンプ”タンパク質の作用により減少され得る。これらの薬剤排出タンパク質は、主にMDR(多剤耐性タンパク質)およびMRP(多剤耐性関連タンパク質)型トランスポーターを含む。もっとも研究された、いくつかの排出タンパク質はP−糖タンパク質(PgpまたはMDR1)およびMRP2である。
【0003】
膜に位置する排出タンパク質は、繰り返し療法後、多数の癌患者で生じる獲得多剤耐性症候群の一因であることが知られているが、最近になって、例えば、MDR1が、また、正常組織、例えば、小腸、大腸、肝臓および血液脳関門の内皮細胞で見ることができることが認識された。胃腸(GI)管、とりわけ、小腸および大腸におけるこのような排出タンパク質の存在が、多数の天然製剤(抗癌剤であるビンブラスチンおよびドキソルビシンを含む)の不十分なバイオアベイラビリティの一因である。例えば、経口的に投与された多数の化学療法剤は、不十分なバイオアベイラビリティおよびGI組織へ侵入できないことにより抗腫瘍活性を示すことができない。さらに、肝細胞に存在する排出タンパク質は、さらに、胆管による排出により治療剤のバイオアベイラビリティを減少させ得る(Faber et al., Adv. Drug Del. Rev., 55, 107-124, 2003参照)。
【0004】
経口的に投与される治療剤は、それらの標的部位に到達する前にいくつかの障害を乗り越えなければならない。第1の主な障害は腸上皮の通過である。親油性化合物は容易に拡散によって頂端部細胞膜を通過することができるが、これらの後の側底膜を介する移動および門脈血への移動は決して確実ではない。ATP−結合カセット(ABC)ファミリーの種々の薬剤のトランスポーター、例えば、ABCトランスポーター、例えば、MDR1、MRP1およびMRP2を含む頂端膜に位置する排出ポンプタンパク質は、細胞内部から腸管腔へ化合物を逆に移動させ、血液への吸収を妨害することによりそれらの経口バイオアベイラビリティを限定する。第2の主な障害は、薬剤を受動的に、または門脈血から肝細胞(洞様毛細血管)膜および胆管(小管)膜を通過して胆管への飽和輸送プロセスにより輸送する肝臓である。再び、ABCファミリーの種々の薬剤のトランスポーター、例えば、ABCトランスポーター、例えば、MDR1、乳癌耐性タンパク質(BCRP)およびMRP2を含む小管膜に位置する排出ポンプタンパク質は、肝細胞内部から胆管へ薬剤化合物を輸送し得、胆管への除去を促進することによりこれらの経口バイオアベイラビリティを限定する。例えば、MDR1は、多数のHIVプロテアーゼ阻害剤を輸送し、これらの経口バイオアベイラビリティならびにリンパ球、脳、精巣および胎児への浸透を減少させ、恐らくこれらの薬剤の治療効果を限定することとなることが示されている。
【0005】
したがって、バイオアベイラビリティを改良するための1つのアプローチが、排出タンパク質阻害剤、すなわち、排出タンパク質の機能を阻害する化合物を薬物と共に共投与することである。言い換えれば、排出タンパク質阻害剤を特定の排出系に対する基質でもある治療剤と共投与したとき、経口バイオアベイラビリティおよび/または治療剤の標的部位での薬理学的活性濃度は、細胞内部から腸管腔への排出メカニズムを阻害すること、および/または胆管への分泌を阻害することにより高まり得る。
【0006】
しかしながら、排出タンパク質は低い基質特異性を示し、種々の分子を輸送する。特異性は正確に理解されておらず、特定の薬剤があるトランスポータータンパク質に対する基質であるかどうかを薬物の分子構造から予測する方法は存在しない。したがって、一般的に特定の薬剤または化合物が上記排出ポンプ作用に影響するかどうかを予測することは不可能である。また、特定の薬剤が低い経口バイオアベイラビリティを有するとき、一般的に低いバイオアベイラビリティが、全体的または部分的に、上記排出タンパク質による原因であるかどうかを予測することは不可能であり、低いバイオアベイラビリティが排出タンパク質阻害剤の共投与により高まり得るかどうかを予測することもできない(Chan et al. Eur. J. Pharmaceut. Sci., 21, 25-51, 2004参照)。
【0007】
WO2006/013094において、レニン阻害剤、例えば、アリスキレンを排出タンパク質阻害剤、すなわち、MDR1阻害剤PSC833と共に使用することが記載されている。
この発見を参照する利点があるにもかかわらず、レニン阻害剤のバイオアベイラビリティを増強するための改良された簡単なシステムの必要性が未だ存在する。
【発明の概要】
【0008】
驚くべきことに、今回、多数のレニン阻害剤、例えば、米国特許第5,559,111号、第6,197,959号および6,376,672後に記載されているもののバイオアベイラビリティを有意に改良させることができ、対象間および対象内の変動を薬理学的に活性な物質、例えば、WO2006/013094に記載されているものだけでなく、GRAS化合物および賦形剤を含む非薬理学的に活性な化合物も使用することにより、MDR1阻害剤をレニン阻害剤と組み合わせたものを使用することにより減少させることができることを見出した。
【0009】
したがって、本発明は、
(i)レニン阻害剤、および、
(ii)非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤
を含む医薬組成物に関する。
【0010】
したがって、本発明は、また、レニン阻害剤のバイオアベイラビリティ、好ましくは、経口バイオアベイラビリティを改良するための方法であって、レニン阻害剤およびGRAS化合物および賦形剤、特にGRAS化合物を含む非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の組合せを、このような処置が必要である哺乳動物、とりわけヒトに共投与することを含む方法を提供する。該非薬理学的に活性な化合物は、レニン阻害剤のバイオアベイラビリティが非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の非存在下におけるバイオアベイラビリティと比較して改良されるような量(例えば、経口的にヒトに投与されたとき10%)で投与される。非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤およびレニン阻害剤は、好ましくは、組合せが望ましい治療効果、例えば、抗高血圧効果を有する量でそれぞれ共投与される。
【0011】
特に、本発明は、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体のバイオアベイラビリティを改良するための方法であって、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の組合せをこのような処置を必要とする哺乳動物、とりわけヒトに共投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は高レベルのMDR1が発現する膜小胞におけるATPase活性に対するレニン阻害剤アリスキレンの効果を示す。
【図2】図2は頂端(AP)から基底(BL)およびBLからAP方向におけるCaco−2細胞単層を介するレニン阻害剤アリスキレンの双方向輸送を示す。
【0013】
レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の組合せの“共投与”なる用語は、2つの構成成分が医薬組成物として、または同じ単一の投与形態の一部として共に投与することができることを意味する。共投与は、また、レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤を別々に同じ治療レジメンの一部として投与することを含む。別々に投与されるとき、2つの構成成分は、必ずしも本質的に同時に投与する必要はないが、それが望ましいとき同時に投与する。したがって、共投与は、例えば、別々の複数の投与形態または単一の投与形態として同時に、レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体と非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤を投与することを含む。共投与は、また、異なる時に任意の順での別々の投与を含む。
【0014】
本発明が提供するレニン阻害剤は、インビボでレニン阻害活性、したがって、例えば、高血圧、うっ血性心不全、心臓肥大、心筋線維症、梗塞後心筋症、糖尿病による合併症、例えば、腎症、血管障害および神経障害、冠血管の疾患、再狭窄後の血管形成術、眼圧上昇、緑内障、異常血管増殖、アルドステロン症、不安状態および認知障害の処置のための治療剤としての医薬有用性を有するすべてのものである。特に、本発明は、米国特許第5,559,111号に記載されているδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体に関する。
【0015】
本発明のレニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体はその薬学的に許容される塩形、それらの無水形または水和物形または溶媒和物形で使用され得る。このような形態の全てが本発明の範囲内で有用である。
【0016】

【化1】

〔式中、RはC1−4アルコキシ−C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシ−C1−4アルキルであり;RはC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;そして、RおよびRは、独立して、分岐C1−4アルキルである〕
を有する本発明のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩を使用することが好ましい。
【0017】
が3−メトキシプロポキシであり;Rがメトキシであり;そして、RおよびRがイソプロピルである、式(I)の化合物を有する本発明のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩を使用することがさらに好ましく;(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノナン酸(2−カルバモイル−2−メチル−プロピル)−アミドヘミフマル酸塩(アリスキレンとしても既知)である本発明のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体を使用することがより好ましい。
【0018】
本明細書で使用される“MDR1阻害剤”なる用語は、排出タンパク質阻害剤、すなわち多剤耐性タンパク質型トランスポーターの阻害剤を含むことを意図する。本明細書で使用される“排出タンパク質阻害剤”なる用語は、ABCトランスポーターの作用を阻害する任意の化合物、医薬化合物または賦形剤化合物、例えば、Bakos et al. Mol Pharmacol., 57, 760-768 (2002)およびMaarten et al. AIDS, 16, 2295-2301 (2002)に記載されているものを意味する。排出タンパク質阻害剤のさらなる情報はWO2006/013094に見つけることができる。
【0019】
本明細書で使用される“非薬理学的に活性な化合物”なる用語は、標的、例えば、ヒトを含む哺乳動物に投与される用量で包含されている薬剤によって、薬物動力学的に活性ではない(別の生成物中で異なる濃度で包含されているとき薬理学的作用を有し得る)化合物としてEMEAガイドラインで定義される。
【0020】
したがって、非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤は、本発明で使用されるとき、MDR1阻害以外の薬理学的作用を有さない。
【0021】
本明細書で使用される“GRAS化合物”なる用語は、保健機関、特にFDAにより使用される一般的に使用される用語であり、安全食品認定(Generally Recognized As Safeの頭文字)である。それは、伝統的な食べ物に対する特に指定された制御カテゴリーである。伝統的食べ物に添加する成分は食品添加物として承認されるか、またはGRASでなければならず、これら両方とも安全の“適度な確実性”を保証する。一般的に、GRAS化合物は非毒性であり、それ自体は薬理学的に活性でない。本文脈において、“非薬理学的に活性”なる用語は、少なくともそれらが使用される量および濃度でGRAS化合物自体が病状または医学的状態の症状を治癒または軽減させないことを意味する。
【0022】
食品添加物改正法が食品医薬品化粧品法(FFDCA)に加わった1958年より前の食べ物に一般的に使用された成分は自動的にGRASであり、比較的に科学的な合意が安全性について存在する物質である。
【0023】
1997年、GRAS自己確認届け出プロセスは発議されたが;それは最終的に承認されず、FDAが産業界の買い入れ規則のもとで機能している。GRASプロセスは、現在、食品添加物と同じ安全要件を独立して有するが、FDAの承認を得ていない、本質的に独立のプロセスである。自己確認のプロセスにおいて、会社は化合物の安全な使用を支持する科学的実証および歴史的文書の包括的な書類一式を集めるように作業する。“一般認知”の必要のため、安全性実証のための重要なデータは公有財産の一部であるべきである。再検討プロセス中、会社は興味ある特定の食品カテゴリーならびにこれらのカテゴリーに対する使用レベルを定義するために取り組む。専門委員会による最終決定は、安全性の“正当な確信”を提供するデータで、その使用目的のために成分の安全性についての技術的証拠および成分の安全性についての周知の事実を再検討することを含む。保健機関は、定期的にGRAS化合物のリストを公開する。
【0024】
本明細書で使用される“賦形剤”なる用語は活性物質以外の医薬形態または薬剤の成分としてEMEAガイドラインにしたがって定義される。したがって、賦形剤は薬剤の活性物質に対する担体として使用される不活性成分である。賦形剤は、薬剤の製造を助けるためか、適当な形態で生じることにより薬剤の投与を容易にするか、または、好都合、かつ正確な投与量を可能にするために製剤を増大するために使用することができる。
【0025】
本発明の医薬組成物に対して適当な非薬理学的に活性な化合物は、MDR1阻害剤である非薬理学的に活性な化合物であり得る。好ましくは非薬理学的に活性な化合物はMDR1阻害剤であるGRAS化合物および賦形剤である。
【0026】
一般的に、MDR1阻害剤であるGRAS化合物の非限定的な例は下記を含む:
クルクミン
【化2】

ケイ皮酸フェニル
【化3】

クマリン
【化4】

ケイ皮酸ベータアミリン
【化5】

アピオール
ベルガモチン
【化6】

カフェイン
【化7】

カフェイン、8−(デシルチオ−)
カフェイン、8−ベンジル
ピロ炭酸ジエチル
モリン
【化8】

ナリルチン
ピペリン
【化9】

ケルセチン
【化10】

スラビロニン
シリビン
テオブロミン
【化11】

バニリン
【化12】

およびバニリル−N−ノナンアミド。
【0027】
一般的に、MDR1阻害剤である賦形剤の非限定的な例は、界面活性剤、特に下記の非イオン界面活性剤を含む。
【0028】
1)天然または硬化ヒマシ油およびエチレンオキシドの反応生成物
天然または硬化ヒマシ油をモル比約1:35から約1:60でエチレンオキシドと反応させることができ、所望により生成物からポリエチレングリコール構成要素を除去する。種々のこのような界面活性剤は市販により入手可能である。特に適当な界面活性剤はCremophor(登録商標)の商品名の下で入手可能であるポリエチレングリコール硬化ヒマシ油を含み、Cremophor(登録商標)RH40は鹸化価約50から60、酸価約1未満、水分含量(Fischer)約2%未満、n60約1.453−1.457およびHLB約14−16であり;そしてCremophor(登録商標)RH60は鹸化価約40−50、酸価約1未満、ヨウ素価約1未満、水分含量(Fischer)約4.5−5.5%、n60約1.453−1.457およびHLB約15から17である。
【0029】
とりわけ好ましいこのクラスの生成物はCremophor(登録商標)RH40である。他の有用なこのクラスの生成物はNikkol(登録商標)(例えば、Nikkol(登録商標)HCO−40およびHCO−60)、Mapeg(登録商標)(例えば、Mapeg(登録商標)CO−40h)、Incrocas(登録商標)(例えば、Incrocas(登録商標)40)、Tagat(登録商標)(例えば、ポリオキシエチレン−グリセロール−脂肪酸エステル、例えば、Tagat(登録商標)RH40)およびSimulsolOL−50(PEG−40ヒマシ油は鹸化価約55から65、酸価最大2、ヨウ素価25から35、水分含量最大8%、およびHLB約13であり、Seppicから入手可能である)の商品名の下で入手可能である。これらの界面活性剤はさらにFiedler loc. cit.loc. cit.に記載されている。
【0030】
このクラスの他の適当な界面活性剤はCremophor(登録商標)EL(分子量(蒸気浸透圧法による)約1630、鹸化価約65から70、酸価約2、ヨウ素価約28から32およびn25約1.471である)の商品名の下で入手可能であるようなポリエチレングリコールヒマシ油を含む。
【0031】
2)ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル
これらはUniqemaからTween(登録商標)の商品名の下で公知であり、そして市販により入手可能である型のモノ−およびトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステルを含み(Fiedler, loc. cit. loc. cit. p.1615 ff):
Tween(登録商標)20[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]、
Tween(登録商標)21[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン]、
Tween(登録商標)40[モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]、
Tween(登録商標)60[モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]、
Tween(登録商標)65[トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]、
Tween(登録商標)80[モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]、
Tween(登録商標)81[モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)ソルビタン]、および
Tween(登録商標)85[トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]、
の製品が含まれる。
とりわけ好ましいこのクラスの生成物はTween(登録商標)20およびTween(登録商標)80である。
【0032】
3)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマーまたはポロクサマー
これらはPluronic(登録商標)およびEmkalyx(登録商標)の商品名の下で公知であり、そして市販により入手可能である型を含む(Fiedler, loc. cit.loc. cit., 2, p. 1203)。とりわけ好ましいこのクラスの生成物は融点約52℃および分子量約6800から8975であるBASFのPluronic(登録商標)F68(ポロクサマー188)である。
【0033】
4)飽和C10からC22のポリオキシエチレンモノエステル
これらはC18置換された、例えば、ヒドロキシ脂肪酸;例えば、分子量約600−900、例えば660ダルトンのPEGの例えば12ヒドロキシステアリン酸PEGエステル、例えばBASF, Ludwigshafen, GermanyのSolutol(登録商標)HS15を含む。
BASF技術説明書によると、MEF 151E(1986)は約70重量%のポリエトキシル化12−ヒドロキシステアラートおよび約30重量%の非エステル化ポリエチレングリコール構成要素を含む。Solutol HS15は水素化価(hydrogenation value)90から110、鹸化価53から63、酸価最大1、および最大水分含量0.5重量%である。
【0034】
5)水溶性トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸エステル(TPGS)
これらは重合数が約1000のもの、例えばEastman Fine Chemicals Kingsport, Texas, USAから入手可能であるものを含む。
【0035】
6)トランスエステル化されたポリオキシエチル化カプリル−カプリン酸グリセリド
これらは、例えば、GattefosseからLabrasol(登録商標)の商品名の下で市販により入手可能であるものを含む。Labrasol(登録商標)は酸価最大1、鹸化価90−110、およびヨウ素価最大1である(H. Fiedler, loc. cit.loc. cit., vol 2, page 880)。
【0036】
これらの非イオン界面活性剤は、ビタミンE TPGS、Cremophor EL、Cremophor RH40、Polysorbat 80、Solutol HS15、Pluronic F68、Labrasolが特に好ましい。
これらの非薬理学的に活性な化合物は、クルクミン、ビタミンE TPGS、ピペリン、クマリンおよびケイ皮酸フェニルが特に好ましい。
【0037】
驚くべきことに、これらの化合物を、レニン阻害剤、例えば、アリスキレンと共投与したとき、この化合物のバイオアベイラビリティを有意に増強させ対象内外の変動を減少させることができることを見出した。バイオアベイラビリティの増強のため、薬物の量は有意に減少し、したがって、薬剤あたりのコストを減少させることができる。加えて、これらのMDR1阻害剤が非毒性で、かつ非薬理学的に活性の定義のため、保健機関による承認のために広範囲の試験を実施することが必要ではない。反対に、これらの非薬理学的に活性な化合物は賦形剤と同様に考えられ、これはさらに開発時間およびコストを減少させる。
【0038】
本明細書前記に開示したとおり、レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤は医薬組成物として共投与することができる。構成成分は、従来の任意の投与形態で、通常、また、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に投与し得る。
【0039】
経口投与のために、レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤を含む医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、マイクロエマルジョン、単位用量の薬包などの形態をとることができる。a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤用にはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/もしくはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;ならびに/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に活性成分を含む錠剤およびゼラチンカプセルが好ましい。注射用組成物は、好ましくは水性等張溶液または懸濁液であり、そして坐剤は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から有利に製造される。
【0040】
該組成物は滅菌されていてよく、そして/または保存剤、安定剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節のための塩および/またはバッファーのようなアジュバントを含むことができる。加えて、それらは、また、他の治療上価値のある物質を含むことができる。該組成物は各々従来の混合、造粒またはコーティング方法に従って製造され、そして約0.1−75%、好ましくは約1−50%の活性成分を含む。
【0041】
さらに具体的に、本発明は、治療有効量のレニン阻害剤、好ましくは、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体を非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、該非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤が好ましくは、投与後、レニン阻害剤のバイオアベイラビリティが少なくとも5%改良されるような量で存在する医薬組成物を提供する。
【0042】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が式
【化13】

〔式中、RはC1−4アルコキシ−C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシ−C1−4アルキルであり;RはC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;そして、RおよびRは、独立して、分岐C1−4アルキルである〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤と共に含む。
【0043】
さらに好ましくは、本発明の医薬組成物は、Rが3−メトキシプロポキシであり;Rがメトキシであり;そして、RおよびRがイソプロピルである式(I)のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体またはその薬学的に許容される塩を非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤と共に含む。
【0044】
より好ましくは、本発明の医薬組成物は、(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノナン酸(2−カルバモイル−2−メチル−プロピル)−アミドヘミフマル酸塩を非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤と共に含む。
【0045】
好ましくは、レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体、例えば、アリスキレンまたはそれらの薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティが少なくとも5%改良される。
【0046】
薬剤のバイオアベイラビリティは当分野で知られているとおりAUCを測定することにより評価し得、ここで、AUCとは縦軸(Y軸)に薬剤の血清または血漿濃度、横軸(X軸)に時間をプロットした曲線下面積(AUC)である。一般的に、AUCの値は試験集団の全ての対象から得られた多くの値を示し、したがって、全試験集団の平均された値を意味する。
【0047】
レニン阻害剤および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の共投与は、また、排出タンパク質阻害剤の非存在下でレニン阻害剤を投与したときと比較してCmaxが増加し得、そして、これを本発明のさらなる局面として提供する。Cmaxは、また、試験対象の血清または血漿中の最大薬物濃度の略語であると当分野で理解されている。
【0048】
本発明は別々に共投与することができる化合物の組み合わせでの処置に関するため、本発明は、また、キット形態での別々の医薬組成物を組み合わせることにも関する。キットは、例えば、別々の2つの医薬組成物:(1)レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体と薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物;ならびに(2)非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤と薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物を含む。(1)および(2)の量は、別々に共投与したとき、レニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体のバイオアベイラビリティが好ましくは少なくとも5%改良されるような量である。キットは分かれたビンまたは分かれたホイルのような別々の組成物を含有する容器を含み、ここでそれぞれの区画は、(1)または(2)を含む複数の投与形態(例えば錠剤)を含有する。あるいは、活性成分を含有する投与形態を別々にするよりもむしろ、キットは別々の区画を含有でき、その各々が今度は別々の投与形態を含む全投与量を含有する。この型のキットの例はブリスターパックであり、ここで各個々のブリスターは2つ(またはそれ以上)錠剤、医薬組成物(1)を含む第1の(またはそれ以上)錠剤、および医薬組成物(2)を含む第2の(またはそれより多い)錠剤を含有する。一般的に、キットは別々の構成成分の投与のための指示書を含む。別々の構成成分が異なる投与形態(例えば経口および非経口)で投与されるのが好ましく、異なる投与間隔で投与されるか、または組み合わせの個々の構成成分のタイトレーションが処方医により望まれるとき、キット形態は特に有利である。したがって本発明の場合、キットは:
(1)第1の投与形態でレニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体、例えば、アリスキレンまたはそれらの薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む治療有効量の組成物;
(2)第2の投与形態で、投与後にレニン阻害剤、特に、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体、例えば、アリスキレンまたはそれらの薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティが好ましくは少なくとも5%改良されるような量の非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物;ならびに
(3)該第1および第2投与形態を含むための容器;
を含む。
【0049】
最後に、本発明は、レニン阻害剤、好ましくは、δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸誘導体、例えば、アリスキレンまたはそれらの薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティ、好ましくは経口バイオアベイラビリティを改良するための薬剤の製造のための、非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の使用に関する。
【0050】
薬物の薬剤排出に関する排出タンパク質は同定され、当分野で既知の方法を使用して、例えば、高レベルの選択されたABCトランスポーターを発現するSf9(Spodoptera fruigiperda)膜小胞を使用するATPaseアッセイにより、対応する動的パラメーターは、すなわち、Michaelis-Menten ConstantおよびMaximal Drug Transport(KおよびJmax)で測定され得る。このアッセイにおいて、ABCトランスポーターはエネルギー源としてATP加水分解を使用することにより細胞外に基質を除去する。ATP加水分解により無機リン酸(Pi)を生じ、これは簡易比色反応により検出することができる。トランスポーターにより遊離されるPiの量はトランスポーターの活性に比例する。ABCトランスポーターを含む膜生成物は異なるトランスポーターに対して変化するベースラインATPase活性を示す。輸送される基質はこのベースラインATPase活性を増加させるが、阻害剤はベースラインATPase活性および/または刺激剤の存在下で測定されるATPase活性を阻害する。活性化試験および阻害試験の両方を実施し得る。実施例1(図1)で説明されるとおり、アリスキレンは約3μMのK値で高レベルのMDR1を発現する膜小胞においてATPase活性を増加させ、アリスキレン輸送に関連する排出系が恐らくMDR1であることを示唆する。
【0051】
あるいは、薬物のインビトロトランスポーター親和性は、例えば、Camenisch et al., Pharm. Act. Helv. 71, 309-327 (1996)に記載されているか、または本実施例で説明しているとおりのCaco−2細胞アッセイにより測定され、概算することができる。トランスポータータンパク質の同定および関連している排出系を阻害するための化合物の効力はCaco−2細胞アッセイで測定し得る。例えば、アリスキレンは、さらに顕著な排出系のための基質でもある、低ないし中程度の透過性化合物(内因性透過性<80%)として同定される(図2)。
【0052】
上記の記載は、本発明をその好ましい態様を含め十分に開示している。本明細書で具体的に開示されている態様の修正および改良も特許請求の範囲内に含まれる。これ以上詳述せずとも、当業者は、上記内容を使用することにより、本発明を最大限利用できると考えられる。したがって、本明細書の実施例は、本発明のある局面の特徴を単に説明するものとしてみなすべきであり、いかなる点でも本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0053】
実施例1
ATPaseアッセイ
ヒトMDR1が介在する排出は、刺激剤(MDR1に対してベラパミル[40μM])の非存在下および存在下で薬物の異なる濃度[0.046、0.137、0.41、1.23、3.7、11.1、33.3および100μM]でトランスポートバッファー中でpH7.4で37℃で精製された膜小胞をインキュベートすることにより測定する。
【0054】
興味ある治療剤の5mMの貯蔵溶液は、貯蔵溶液またはその希釈物をアッセイ混合物に添加して上記最終濃度を製造し、使用される有機溶媒は全容量(v/v)の2%であるように、一般的な有機溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、エタノール、メタノールおよびアセトニトリルで製造される。このアッセイにおいて使用される全ての溶液はpH7.4を維持する。
【0055】
−80℃で維持された膜小胞をATPase実験のために使用する。トランスポーターで介在される排出は文献(Sarkadi, B. Price, E. Boucher, R. Germann, U. and Scarborough, G. J. Biol. Chem. 1992, 267: 4854-4858)に記載されているとおりに測定し得る。簡潔には、試験薬物の存在および非存在下、刺激剤、NaVO60mMおよびグルタチオン2mM(MRP1およびMRP2トランスポーターに対してのみ)の膜懸濁液を96ウェルプレートにピペットで取り、37℃5分のプレインキュベーションに移す。ATPase反応を25mMのMg−ATP溶液の添加、次に37℃で(MDR1に対して20分、MRP1に対して60分およびMRP2に対して30分)インキュベーションすることにより開始する。次に、ATPase反応をSDS(5%)をそれぞれのインキュベーション物に加えることにより停止する。モリブデン酸アンモニウム/酢酸亜鉛の比色検出反応剤の添加後、プレートをさらに25分37℃でインキュベートする。
【0056】
インキュベーション後、ODを730nmで測定する。あらかじめ測定したリン酸標準曲線を使用して、遊離されたPi[nmol/ウェル]を計算することができる。OD値は実施された実験(n=2)の平均±標準偏差として示される。すべての統計分析はMicrosoft EXCEL 5.0cを使用して実施する。
【0057】
アッセイされるそれぞれの薬物および薬物濃度に対するいわゆる特異的(NaVO感受性)トランスポーターATPase活性を計算するために、NaVOの存在下で測定されたPi値はNaVOなしで測定されたPi値を引く必要がある。遊離されたPi/mg膜タンパク質/分の点からNaVO感受性トランスポーター活性は該量をそれぞれのウェルに加えた膜タンパク質の量およびインキュベーションの時間(分)で割ることにより決定することができる(図1)。
【0058】
実施例2
Caco−2細胞アッセイ
PETフィルターで21−25日間、単層培養したCaco−2細胞を輸送実験に使用する。PETフィルター上単層培養Caco−2ならびにCaco−2細胞のないPETフィルターのみを横切る化合物の拡散を下記のとおりに測定する:輸送実験前に、アクセプター区画の培養培地(頂端側に0.2mLおよび基底側に1.0mL)を37℃でプレインキュベートされたアクセプター溶液(HBSS、適切なら目的阻害剤を含有)で置き換える。実験を開始するため、ドナー区画の培地(頂端側に0.35mLおよび基底側に1.15mL)を37℃でプレインキュベートされたドナー溶液(HBSS中の化合物、興味ある阻害剤含有相当物)で置き換える。150μLの一部を、約1および120分後、ドナーおよびアクセプター側から除去する。頂端から基底および基底から頂端の両方向の輸送実験を、37℃でインキュベーター中で振盪しないでトリプリケートで行う。
【0059】
輸送実験に対するCaco−2細胞の適合性を、細胞のいくつかのバッチの6つの典型的な細胞単層の全てにおいて(それぞれの化合物に対して3)、120分、頂端から基底側への0.1μMでの[H]−マンニトールおよび0.1μMでの[H]−プロプラノロールの透過性を測定することにより試験する。
【0060】
放射性サンプルを液体シンチレーション計数により分析する。全ての他の非放射性標識サンプルを液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC−MS/MS)による分析まで−20℃で凍結させ続ける。
【0061】
試験された化合物の輸送値は下記方程式を使用して決定する(Artursson et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 175: 880-885, 1991):
【数1】

〔式中、Papp(cm/分)は見かけの透過係数であり、ΔQは時間tでアクセプター区画で見られる化合物の量であり、Δt(分)はインキュベーション期間であり、C(μg/mL)はドナー区画の化合物の最初の濃度であり、そして、A(cm)は膜の表面積である〕。
【0062】
標識サンプルにおいて、検出限界(LOQ)は、測定されたブランク値より有意に高く、そしてそれに対する測定の標準誤差は20%より小さい、放射能スケールから得られた最も低いサンプル濃度値と考えられる。この試験条件下で、LOQの絶対放射能は12nmol/Lに対応する[14C]−標識アリスキレンに対して2dpmである。
【0063】
app値は行われた輸送実験の平均±標準偏差として示される(n=3)。すべての2つの得られたデータセット間の差における統計的有意性はt検定により試験される。差の有意性の評価のための確率水準はp<0.025である。すべての統計分析はMicrosoft EXCEL 5.0cを使用して実施する。
【0064】
120分の期間内で1μM濃度のアリスキレンにおいて、約0.2・10−5cm/分での頂端から基底への輸送は検出可能である。反対側の基底から頂端への輸送は約10・10−5cm/分の透過性値で行われ、これは頂端から基底への輸送よりも有意に高い。
【0065】
1、5、10および50μM濃度のアリスキレンにおいて、頂端から基底への輸送の漸増が観察され、10μMで約7・10−5cm/分の安定透過性値に近づく。逆側の基底から頂端への輸送は濃度の増加で有意な変化をしない。
【0066】
アリスキレン(1、5、10および50μM)のCaco−2輸送に対する回収率は一般的に高く(〜100%)、アリスキレンがフィルター支持体またはプラスチックインキュベーション環境に結合しないことを示す。
【0067】
傍細胞マーカーマンニトールおよび経細胞マーカープロプラノロールに対する頂端から基底への拡散は、いつも閾値Papp値3・10−5cm/分および90・10−5cm/分、各々以下である。測定された頂端から基底へのフィルター透過性は、一般的に対応するCaco−2透過性データより高く、フィルター拡散がCaco−2輸送に対する律速段階ではないことを示す(図2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)レニン阻害剤、および、
(ii)非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤、
を含む医薬組成物。
【請求項2】
非薬理学的に活性な化合物がGRAS化合物または賦形剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
非薬理学的に活性な化合物がクルクミン、ケイ皮酸フェニル、クマリン、ケイ皮酸ベータアミリン、アピオール、ベルガモチン、カフェイン、8−(デシルチオ−)カフェイン、8−ベンジル−カフェイン、ピロ炭酸ジエチル、モリン、ナリルチン、ピペリン、ケルセチン、スラビロニン(slavironin)、シリビン、テオブロミン、バニリンおよびバニリル−N−ノナンアミド(nonlymine)からなる群から選択されるGRAS化合物であるか、またはビタミンE TPGSおよびCremophor ELを含む非イオン界面活性剤から選択される賦形剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
非薬理学的に活性な化合物がクルクミン、ビタミンE TPGS、ピペリン、クマリンおよびケイ皮酸フェニルである、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
レニン阻害剤がδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が式
【化1】

〔式中、RはC1−4アルコキシ−C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシ−C1−4アルキルであり;RはC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;そして、RおよびRは、独立して、分岐C1−4アルキルである〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体がRが3−メトキシプロポキシであり;Rがメトキシであり;そして、RおよびRがイソプロピルである、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノナン酸(2−カルバモイル−2−メチル−プロピル)−アミドヘミフマル酸塩である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
レニン阻害剤のバイオアベイラビリティを改良するための方法であって、レニン阻害剤および非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の組合せをこのような処置を必要とする哺乳動物に共投与することを含む方法。
【請求項10】
非薬理学的に活性な化合物がクルクミン、ケイ皮酸フェニル、クマリン、ケイ皮酸ベータアミリン、アピオール、ベルガモチン、カフェイン、8−(デシルチオ−)カフェイン、8−ベンジル−カフェイン、ピロ炭酸ジエチル、モリン、ナリルチン、ピペリン、ケルセチン、スラビロニン、シリビン、テオブロミン、バニリンおよびバニリル−N−ノナンアミドからなる群から選択されるGRAS化合物であるか、またはビタミンE TPGSおよびCremophor ELを含む非イオン界面活性剤から選択される賦形剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
非薬理学的に活性な化合物がクルクミン、ビタミンE TPGS、ピペリン、クマリンおよびケイ皮酸フェニルである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
レニン阻害剤がδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体またはその薬学的に許容される塩である、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が式
【化2】

〔式中、RはC1−4アルコキシ−C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシ−C1−4アルキルであり;RはC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;そして、RおよびRは、独立して、分岐C1−4アルキルである〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体がRが3−メトキシプロポキシであり;Rがメトキシであり;そして、RおよびRがイソプロピルである、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノナン酸(2−カルバモイル−2−メチル−プロピル)−アミドヘミフマル酸塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティを改良するための薬剤の製造のための、非薬理学的に活性な化合物から選択されるMDR1阻害剤の使用。
【請求項17】
非薬理学的に活性な化合物がクルクミン、ケイ皮酸フェニル、クマリン、ケイ皮酸ベータアミリン、アピオール、ベルガモチン、カフェイン、8−(デシルチオ−)カフェイン、8−ベンジル−カフェイン、ピロ炭酸ジエチル、モリン、ナリルチン、ピペリン、ケルセチン、スラビロニン、シリビン、テオブロミン、バニリンおよびバニリル−N−ノナンアミドからなる群から選択されるGRAS化合物であるか、またはビタミンE TPGSおよびCremophor ELを含む非イオン界面活性剤から選択される賦形剤である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
非薬理学的に活性な化合物がクルクミン、ビタミンE TPGS、ピペリン、クマリンおよびケイ皮酸フェニルである、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
レニン阻害剤がδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体またはその薬学的に許容される塩である、請求項16から18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が式
【化3】

〔式中、RはC1−4アルコキシ−C1−4アルコキシまたはC1−4アルコキシ−C1−4アルキルであり;RはC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;そして、RおよびRは、独立して、分岐C1−4アルキルである〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体がRが3−メトキシプロポキシであり;Rがメトキシであり;そして、RおよびRがイソプロピルである、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体が(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−8−メチル−ノナン酸(2−カルバモイル−2−メチル−プロピル)−アミドヘミフマル酸塩である、請求項21に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−510296(P2010−510296A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537653(P2009−537653)
【出願日】平成19年11月23日(2007.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062772
【国際公開番号】WO2008/062066
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】