ロック装置
【課題】ロック装置の小型化を図りつつ、給電プラグ及びこれが接続されるインレット部を覆う蓋をそれぞれロックすることができるロック装置を提供する。
【解決手段】給電プラグの係止爪がインレット部に設けられた係合部に係止されて両者の接続状態が維持され、第1爪ロック位置と第1爪アンロック位置との間を変位するロックバーと、第2爪ロック位置と第2爪アンロック位置との間を変位するワイヤ56と、蓋ロック位置と蓋アンロック位置との間を変位するワイヤ55と、ワイヤ55,56とそれぞれ作動連結されたモータ42とを備えることを特徴とするロック装置。
【解決手段】給電プラグの係止爪がインレット部に設けられた係合部に係止されて両者の接続状態が維持され、第1爪ロック位置と第1爪アンロック位置との間を変位するロックバーと、第2爪ロック位置と第2爪アンロック位置との間を変位するワイヤ56と、蓋ロック位置と蓋アンロック位置との間を変位するワイヤ55と、ワイヤ55,56とそれぞれ作動連結されたモータ42とを備えることを特徴とするロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグとこれが接続されるインレットを覆う蓋とをそれぞれロックするロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両からの排出ガスを少なく抑えることを目的として、各車両メーカでは、モータを駆動源とする電気自動車(ハイブリッド車も含む)の開発気運が非常に高くなってきている。このような電気自動車では、車両の動力源を駆動するためのバッテリの電力残量が少なくなる度に、例えば家庭や電気スタンド等においてバッテリに充電を行う必要がある。このことから、電気自動車にはユーザにも簡単に扱える様々な充電システムが設けられることになる。このようなシステムとしては、例えば特許文献1に示されるものが知られている。このシステムでは、例えば家庭の商用電源に繋がる給電プラグを接続可能としたインレット部を車両に設け、帰宅したときなどに駐車車両のインレット部に給電プラグを接続し、商用電源を車両に送り込むことによって車両のバッテリに充電を行う。給電プラグには係止爪が、インレット部には係合部がそれぞれ形成されており、両者が係合することにより、給電プラグとインレット部との接続が好適に維持される。給電プラグに設けられる操作部の操作に連動して係止爪が変位することにより、係合部との係合状態が解除される。これにより、給電プラグをインレット部から取り外し可能となる。
【0003】
ところで、電気自動車のバッテリ充電には、急速充電の技術が開発されているといっても、ガソリン車のガソリン補給に比べて比較的長い時間を要する。特に、一般家庭に高速充電用の器具が備え付けられることはまれであるので、ユーザが自宅でバッテリ充電を行う場合には、家庭用電源に繋がる給電プラグを車両のインレット部に接続して充電を開始してから、その状態で車両を長時間放置するケースが少なくない。この場合、例えば給電中の車両から給電プラグを取り外して、同給電プラグを別の車両のインレット部に装着して盗電されたり、給電プラグやコンセントに使用されている金属を目的として給電プラグ自体が盗まれたりする可能性も想定される。
【0004】
そこで、給電プラグがインレット部から不正に取り外されないようにするために、例えば給電プラグとインレット部との接続状態をロックするプラグロック装置をインレット部に搭載することが検討されている。このプラグロック装置としては、次のような構成が考えられる。すなわち、モータを駆動源としてロック位置とアンロック位置との間を変位するロックバーを設ける。そして、給電プラグの係止爪とインレット部の係合部との係合が検出された際に、ロックバーをアンロック位置からロック位置へ自動的に変位させて、このロックバーで係止爪の動きをロックする。これにより、係止爪がロック状態となって、係止爪と係合部との係合が解除できなくなるため、給電プラグをインレット部から引き抜くことができなくなる。所定のアンロック条件の成立が検出されると、ロックバーをロック位置からアンロック位置へ自動的に変位させて係止爪の動きを解放する。これにより、給電プラグの操作部への操作を通じて係止爪と係合部との係合を解除することができる。すなわち、給電プラグをインレット部から取り外し可能となる。
【0005】
また、車両には、インレット部を外部環境から保護するために車両の外観意匠の一部を兼ねた蓋が設けられている。そして、この蓋を、蓋ロック装置によってロックすることにより、車両走行中等において蓋が開放されることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、別々に構成されるプラグロック装置と蓋ロック装置とを車両に搭載する場合、これらを搭載するスペースをそれぞれ確保する必要がある。これらロック装置は、インレット部周辺に設けることが好ましい。しかしながら、インレット部の周辺は搭載スペースが限られているので、インレット部自体の小型化も要求されている。
【0008】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を図りつつ、給電プラグ及びこれが接続されるインレット部を覆う蓋をそれぞれロックすることができるロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、給電プラグ及び受電コネクタの一方に設けられた係止爪が他方に設けられた被係止部に係止されて両者の接続状態が維持されるときに、これを維持する第1爪ロック位置に位置し、一方で前記係止爪が当該接続状態を解除する方向へ変位したとき、これと連れ動きして第1爪アンロック位置へと変位する第1爪規制部材と、前記第1爪規制部材が前記第1爪ロック位置に位置するとき、これと係合して当該第1爪規制部材が前記第1爪アンロック位置へ変位することを規制する第2爪ロック位置と、当該第1爪規制部材との係合が解除されて当該第1爪規制部材の前記第1爪アンロック位置への変位を許容する第2爪アンロック位置との間を変位する第2爪規制部材と、前記受電コネクタを外部環境から保護する蓋に設けられた蓋係合部材との係合を通じて蓋の開閉を規制する蓋ロック位置と、当該蓋係合部材との係合が解除されて蓋の開閉が許容される蓋アンロック位置との間を変位する蓋規制部材と、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材にそれぞれ作動連結された駆動源とを備えることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、単一の駆動源の動作を通じて、給電プラグ及び蓋のロックを行うことができる。第2爪規制部材と蓋規制部材との駆動源が共通になる分、ロック装置が必要とする搭載スペースを小さくすることができる。また、駆動源の制御基盤等も共用することができることから、ロック装置の更なる省スペース化を図ることができるとともに制御基盤分のコストを抑えることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロック装置において、前記駆動源に連動するカムを備え、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材は、前記カムとの係合を通じてそれぞれのロック位置とアンロック位置との間を変位することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、第2爪規制部材及び蓋規制部材のそれぞれロック位置とアンロック位置との間の変位を、カムという簡素な機構を用いることによって容易に行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロック装置において、前記第1爪規制部材は、前記給電プラグと前記受電コネクタとを接続する際に、前記係止爪から相対的に押圧されることによって前記第1爪アンロック位置へ変位するように設けた上で、前記カムは、前記第1の突部と前記第2爪規制部材とが係合する位置にて停止することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、カムの回転が停止したとき、蓋を開くことができる状態、或いは蓋が開いた状態であれば、給電プラグと受電コネクタとを接続させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のロック装置において、前記蓋を開方向へ付勢する付勢手段と、前記カムは、その径方向に突出するとともに、当該カムの回転によって前記蓋規制部材を前記蓋ロック位置から前記蓋アンロック位置へ変位させる第2の突部とを備え、前記第1及び第2の突部は、当該第1の突部が前記第2爪規制部材と係合するとき前記第2の突部は前記蓋規制部材とは係合せず、前記第2の突部が前記蓋規制部材と係合するときには前記第1の突部は前記第2爪規制部材とは係合しないように前記カムの回転方向において異なる位置に設けられることを要旨とする。」
同構成によれば、付勢手段により蓋が開く方向へ常時付勢されているため、カムの回転によって第2の突部が蓋規制部材を押圧して蓋ロック位置から蓋アンロック位置へ変位させたときに、蓋は開く方向へ変位する。従って、カムが、第2の突部と蓋規制部材との係合を経て第1の突部と第2爪規制部材とが係合する位置で停止すれば、蓋が開いた状態で、且つ第1爪規制部材が第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置へ変位できる状態となる。すなわち、給電プラグと受電コネクタとを容易に接続できる状態となる。
【0015】
このように、蓋が開く方向へ常時付勢されるとともに、カムが第2爪規制部材と係合するとき蓋規制部材とは係合せず、蓋規制部材と係合するときには第2爪規制部材とは係合しない構成とすることによって、駆動源は、カムを第2爪規制部材と係合した状態で停止するように制御すれば、給電プラグを受電コネクタに接続することができる。換言すれば、駆動源は、カムを蓋規制部材と係合する位置で停止する必要がない。すなわち、駆動源の制御を容易に行うことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載のロック装置において、前記第1爪規制部材は、前記受電コネクタに固定される第1ケースに収容され、前記第2爪規制部材は、前記第1ケースとは異なる位置に設けられる第2ケースに前記駆動源及び前記カムとともに収容されることを要旨とする。
【0017】
通常、受電コネクタ周辺は、スペースの確保が難しいため、この周辺に多くの装置を搭載することは困難である。
同構成によれば、第1爪規制部材と第2爪規制部材、駆動源、及びカムとが分離した構成を取っている。このため、係止爪に直接作用する第1爪規制部材を収容する第1ケースのみを受電コネクタに固定することができる。つまり、受電コネクタ周辺に設ける必要のある最小の構成のみを同受電コネクタに固定している。このため、スペースの確保が難しい受電コネクタ周辺にあっても、これを設置することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のロック装置において、前記駆動源はモータであって、前記モータは、前記カムを一方向回転させることによって、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材をそれぞれ異なるタイミングでそれぞれのアンロック位置へと変位させることを要旨とするロック装置。
【0019】
同構成によれば、モータの一方向回転によって、第2爪規制部材を第2爪ロック位置と第2爪アンロック位置との間において、蓋規制部材を蓋ロック位置と蓋アンロック位置との間においてそれぞれ変位させることができる。このため、駆動源であるモータの制御が容易である。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、ロック装置の小型化を図りつつ、給電プラグ及びこれが接続されるインレット部を覆う蓋をそれぞれロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す充電システム及び電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の給電プラグの概略構成を示す部分断面図。
【図3】(a)は、同実施形態のインレット部及びロック機構の構成を示す正面図、(b)は、(a)のA−A線に沿った断面図。
【図4】図3(b)のB−B線に沿った断面図。
【図5】インレットが設けられる車両凹部の斜視図。
【図6】車両凹部における(a)給電リッドが開いた状態の横断面図、(b)給電リッドが半開き状態の車両凹部の横断面図、(c)給電リッドが閉じた状態の横断面図。
【図7】(a)は、同実施形態のロック機構がロック状態の場合におけるロックバーの断面図、(b)は、ロック機構がアンロックの場合におけるロックバーの断面図。
【図8】同実施形態のロック機構がアンロック状態の場合における給電プラグをインレット部へ挿入する際の係止爪及びロックバーの変位態様を示す横断面図。
【図9】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図10】図9の上面図。
【図11】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図12】図11の上面図。
【図13】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図14】図13の上面図。
【図15】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図16】図15の上面図。
【図17】同実施形態の駆動部の駆動に伴い推移するロック機構のロック状態及びアンロック状態を示すタイムチャート。
【図18】第2の実施形態を示すロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図19】図18の上面図。
【図20】同実施形態の駆動部の駆動に伴い推移するロック機構のロック状態及びアンロック状態を示すタイムチャート。
【図21】第3の実施形態を示すロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図22】同実施形態の駆動部の駆動に伴い推移するロック機構のロック状態及びアンロック状態を示すタイムチャート。
【図23】他の実施形態のワイヤアッシーを示す(a)は正面図,(b)は上面図、(c)は側面図。
【図24】他の実施形態のアクチュエータ機構部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をプラグインハイブリッド車に具体化した給電プラグのロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の車両用駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて使用するハイブリッドシステム3が備えられている。このハイブリッドシステム3には、バッテリ4が接続されている。
【0023】
ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモード、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモード、及びエンジンを使用せずにモータのみで走行するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種走行モードを切り替える。また、ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力によってバッテリ4に充電するモード、駆動輪2の制動力をモータによって電力に変換してバッテリ4に充電するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種充電モードを切り替える。車両1は、ハイブリッドシステム3によって切り替わる各種走行モードに応じて走行したり、各種充電モードに応じてバッテリ4へ充電したりする。
【0024】
バッテリ4には、インレット部5がコンバータ6を介して接続されている。このインレット部5は、車両1の外部電源(交流電源)61と充電装置62を介して接続された給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば、図5に示すように、車両1の前部側面にガソリン車の給油口と同様の態様で搭載されている。充電装置62は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された場合に、その旨示す接続信号を車両1へ発信する。コンバータ6は、給電プラグ10からインレット部5を介して送り込まれた交流電圧を直流電圧に変換し、この変換した直流電圧をバッテリ4に送る。こうして、外部電源61からバッテリ4に充電される。
【0025】
車両1には、例えばユーザが実際に車両キーを操作しなくてもドアの施錠及び解錠等の車両制御が実行される電子キーシステム70が搭載されている。この電子キーシステム70では、車両1とユーザに携帯される車両キーとしての電子キー80との間の無線通信を通じて車両制御が実行される。
【0026】
電子キーシステム70を以下に詳細に説明する。車両1に搭載される照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信する車外LF発信機72と、車内床下に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信する車内LF発信機73と、車内後部の車体に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信するUHF受信機74とが接続されている。なお、照合ECU71は、電子キー80に対応する固有のIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
【0027】
一方、電子キー80に搭載される通信制御部81には、LF帯の信号を受信するLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信するUHF発信部83とが接続されている。通信制御部81は、電子キー80固有のIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。
【0028】
照合ECU71は、車外LF発信機72からリクエスト信号Srqを間欠的に発信させて、車両1の周辺に通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81はリクエスト信号Srqに応答する形でUHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車外照合)を行う。そして、照合ECU71は、車外照合が成立すると、図示しないドアロック装置によるドアの解錠を許可又は実行する。
【0029】
照合ECU71は、車外照合が成立してドアが解錠された後に、車内LF発信機73からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの車内通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81は、UHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車内照合)を行う。照合ECU71は、車内照合が成立すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0030】
本実施形態では、車両1に外部電源61から充電する際にも電子キーシステム70によるIDコードの照合が行われる。車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、図示しない車内LAN(Local Area Network)を介して照合ECU71と通信可能であるとともに、この通信を利用して照合ECU71におけるID照合の成立結果を確認することができる。また、充電ECU75は、車両1に設けられた取り外しスイッチ76と電気的に接続されている。さらに、充電ECU75は、ロック装置100と電気的に接続されている。ロック装置100は、インレット部5と給電プラグ10との接続又はその接続解除を許容するアンロック状態と、両者の接続又はその接続解除を規制するロック状態との2つの状態をとる。通常、ロック装置100はロック状態に維持される。また、ロック装置100は、給電リッド20の開く方向への変位を規制する蓋ロック状態とこれを許容する蓋アンロック状態との2つの状態をとる。充電ECU75は、ロック装置100のロック/アンロックを車外照合の成立結果によって切り替える。充電ECU75は、照合ECU71における車外照合が成立したことを確認して、ロック装置100をアンロック状態に切り替えてバッテリ4への充電を許可する。このとき、充電ECU75は、インレット部5と給電プラグ10とが接続されて、充電装置62からの接続信号を受信すると、コンバータ6の制御を通じて、外部電源61からバッテリ4への充電を開始する。従って、電子キー80を携帯しない第3者には、ロック装置100のロックを解除できない。なお、車外通信エリアは、車両周囲の全域に亘り形成されるので、車両1の前部側面に設けられたインレット部5の前にユーザが電子キー80を携帯して立つことにより、車外照合は問題なく実行される。なお、ロック装置100については、後に詳述する。
【0031】
図2に示すように、給電プラグ10のプラグ本体11の基端11aには、外部電源61(図1参照)と接続されるケーブル12が接続されている。プラグ本体11には、ユーザが把持するグリップ部13が形成されている。プラグ本体11の先端部11bには、インレット部5に嵌着される円筒状の嵌着部14が形成されている。嵌着部14の内部には、複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。
【0032】
この嵌着部14の上部には、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際に、両者の接続状態を好適に維持するための係止爪16が設けられている。係止爪16は、プラグ本体11の内部に設けられた軸を中心として回動可能に設けられている。係止爪16は、図2に実線で示す第1の位置と2点鎖線で示す第2の位置との間を変位する。第1の位置は、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際にインレット部5の一部に係合して、両者の接続状態を好適に保持する位置である。また、第2の位置は、インレット部5の一部との係合が解除されて、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる位置である。なお、係止爪16は、通常時において第1の位置に弾性保持されるとともに、プラグ本体11の上部に設けられた操作部17を押し操作すると第2の位置(傾動状態)へ変位する。操作部17の操作が解除されると、係止爪16は第1の位置へ弾性復帰する。
【0033】
図3(a),(b)に示すように、インレット部5のインレット本体5aには、給電プラグ10をインレット部5に接続する際に、嵌着部14が挿入される円筒部5bが形成されている。そして、円筒部5bの内部には、複数の接続端子29が設けられている。接続端子29は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。嵌着部14が円筒部5bに挿入された際、同円筒部5bのパワー端子には嵌着部14のパワー端子が、円筒部5bの制御端子には嵌着部14の制御端子がそれぞれ接続される。なお、インレット部5には、円筒部5bに蓋をして接続端子29を外部環境から保護するインレットリッド5dが設けられる。インレットリッド5dは、円筒部5bの側部に回転可能に軸支されている。
【0034】
インレット本体5aの外周面上部には、係止爪16と係合する被係止部としての係合部18が形成されている。係合部18のプラグ挿入側には、斜面5cが形成されている。この斜面5cは、給電プラグ10がインレット部5に挿入されるときに、係止爪16を第1の位置から第2の位置へ変位させるように、給電プラグ10の挿入方向に向かって徐々に上昇するように形成されている。係合部18は、係止爪16の挿入及び傾動を許容する係合凹部18aを有する。係止爪16は、係合凹部18aのプラグ挿入側の内面18bに係合する。これにより、給電プラグ10のインレット部5に対する引き抜き方向への変位が規制される。
【0035】
次に、ロック装置100について説明する。図1に示すように、ロック装置100は、リッドロック機構部25、プラグロック機構部30、及びアクチュエータ機構部40を備えてなる。リッドロック機構部25は、給電リッド20の開く方向への変位の規制とこれの許容を行う。プラグロック機構部30は、係合部18と係合する係止爪16の傾動状態への変位の規制とこれの許容を行う。アクチュエータ機構部40は、リッドロック機構部25及びプラグロック機構部30それぞれの規制と許容との切り替えを行う。
【0036】
図3に示すように、プラグロック機構部30は、インレット本体5aの上部に設けられている。図4に示すように、プラグロック機構部30は、インレット本体5aの上部に固定されるケース31とこれに収容されるロックバー32とを備えてなる。ケース31には、係合部18と係合する係止爪16の傾動状態への変位を許容するように、係合部18の上方をトンネル状に開口する開口部31aと、この開口部31aに連続するロックバー収容部31bと、同ロックバー収容部31bに連続するホルダ収容部31cとが形成されている。ロックバー収容部31bは開口部31aの上方にある。ホルダ収容部31cは、ロックバー収容部31bの右側にある。第1爪規制部材としてのロックバー32は、ロックバー収容部31bの内部に収容されている。ロックバー32の一端部には、軸32aが形成されており、当該軸32aは、ケース31に形成される軸受31d(図3(b)参照)に軸支されている。これにより、ロックバー32は、図示実線にて示すその中央部が開口部31aに露出した第1爪ロック位置と、図示2点鎖線にて示す自身が完全にロックバー収容部31bの内部に収容された第1爪アンロック位置との間を変位する。図3(b)に示すように、直方体状をなすロックバー32の中央部には、面取り形成された斜面32cが形成されている。この斜面32cは、給電プラグ10がインレット部5に挿入されるとき、傾動状態となった係止爪16に押圧されて、ロックバー32が第1爪アンロック位置へ変位するように、給電プラグ10の挿入方向に対して徐々に下降するように形成されている。このため、給電プラグ10をインレット部5へ接続する際、斜面32cは、係止爪16の先端部から受ける押圧力をロックバー32の上方へ変位する力に変換する(図8参照)。従って、この係止爪16からの押圧力によって、ロックバー32は、第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置へ変位するようになっている。
【0037】
図4に示すように、ロックバー32の軸32aと反対側の端部には、ロック凹部32bが形成されている。ロック凹部32bは、ロックバー32の長手方向に延びるように形成されている。ロック凹部32bは右側に開口している。ロック凹部32bは、ロックバー32が第1爪ロック位置にあるとき、ホルダ収容部31cに対応する。
【0038】
図5に示すように、車両1の凹部1aには、その左側部に設けられるヒンジO(図6参照)に軸支されて当該凹部1aを開閉する給電リッド20が設けられる。図6(c)に示すように、この給電リッド20は、閉じた状態をとると、車両1の意匠面を形成するとともに、インレット部5を外部環境から保護する。給電リッド20の内面には、蓋係合部材としてのロック片21が設けられている。ロック片21は、給電リッド20のヒンジOと反対側に設けられている。ロック片21には、ロック孔21aが形成されている。このロック孔21aは、給電リッド20がヒンジ周りに回動したときの径方向に貫通している。ロック片21の先端部は、凹部1aの左側部に向かって折り曲げられて誘導部21bを形成している。リッドロック機構部25は、ロック片21を備えて構成される。
【0039】
凹部1aの右側部には、給電リッド20が閉じた状態のときにその内面に当接して給電リッド20を開く方向へ付勢する付勢手段としてのばね部22が設けられている。また図6(c)に示すように、凹部1aの右側部には、凹部1aに連結されたホルダ収容部23が形成されている。ホルダ収容部23は、ばね部22よりもインレット部5側(車両1の内部側)に形成されている。
【0040】
図5に示すように、車両1のボディの内部には、アクチュエータ機構部40が固定される。図9に示すように、アクチュエータ機構部40は、車体に固定されるケース41、ケース41の内部に収容される駆動源としてのモータ42、第1カム43、及び第2カム44を備えてなる。ケース41の内部は、2枚の仕切り板91,92によって、上層、中層、下層の3層に区画されている。各層はそれら右側において連続する。下層にあたる第1収容部41aの内壁(下壁)には、充電ECU75(図1参照)に電気的に接続される基板46が固着されている。中層にあたる第2収容部41bには、基板46と図示しないケーブルにより電気的に接続されたモータ42が設けられている。すなわち、モータ42は、基板46を介して充電ECU75と接続されているため、その駆動は、充電ECU75によって制御される。モータ42は、仕切り板91,92間に固定されている。モータ42のモータ軸42aは、右方に突出している。このモータ軸42aには、当該モータ軸42aと同軸回転するウォームギア47が固定されている。ウォームギア47には、ウォームホイール48が噛合されている。ウォームホイール48は、上下方向に延びる軸48aによって仕切り板91,92に形成される軸受91a,92aに軸支されている。これにより、モータ42が駆動してモータ軸42aが回転すると、その回転はウォームギア47を介してウォームホイール48の回転に変換される。
【0041】
ウォームホイール48の下方には軸48aに貫通状態で固定された円盤状の第1カム43が、ウォームホイール48の上方には軸48aに貫通状態で固定された円盤状の第2カム44がそれぞれウォームホイール48と同軸上に設けられている。これにより、ウォームホイール48と、第1カム43及び第2カム44は一体回転する。
【0042】
図10に示すように、第1カム43には径方向に滑らかに突出する第2の突部としてのカム山43aが、第2カム44には径方向に滑らかに突出する第1の突部としてのカム山44aがそれぞれ形成されている。第1カム43は、カム山43aが12時の方向に位置するように軸48aに固定される。第2カム44は、カム山44aが9時の方向に位置するように軸48aに固定される。
【0043】
図9に示すように、第1収容部41aにはワイヤアッシー(ASSY)51が、第3収容部41cにはワイヤアッシー52がそれぞれ設けられている。蓋規制部材としてのワイヤアッシー51は、ケース41の内部の第1カム43よりも右側に設けられる板状の係合部51aと、同係合部51aの縁部に固定され第1収容部41aの内部に収容される円筒部51bとからなるL字状をなす。係合部51aとケース41の右側の内壁面との間には、コイルばね53が介在されている。ワイヤアッシー51は、コイルばね53の弾性力により常時左方へ付勢されている。ワイヤアッシー51の左方への変位は、係合部51aのコイルばね53と反対側の係合面51cが仕切り板91の縁部に当接することによって規制される。第2爪規制部材としてのワイヤアッシー52は、ケース41の内部の第1カム43よりも右側に設けられる板状の係合部52aと、同係合部52aの縁部に固定され上層にあたる第3収容部41cの内部に収容される円筒部52bとからなるL字状をなす。係合部52aとケース41の右側の内壁面との間には、コイルばね54が介在されている。ワイヤアッシー52は、コイルばね54の弾性力により常時左方へ付勢されている。ワイヤアッシー52の左方への変位は、係合部52aのコイルばね54と反対側の係合面52cが仕切り板92の縁部に当接することによって規制される。第1カム43が回転すると、カム山43aが係合面51cを、第2カム44が回転すると係合面52cをそれぞれ右方に押圧する。従って、ワイヤアッシー51はコイルばね53の弾性力に抗して右方へ、ワイヤアッシー52はコイルばね54の弾性力に抗して右方へそれぞれ変位する。
【0044】
両円筒部51b,52bの内部にはワイヤ55,56の端部が挿入された状態で固定されている。ワイヤ55,56の円筒部51b,52bと反対側の端部55a、56aは、第1収容部41a及び第3収容部41cの左方に形成された貫通孔93,94からケース41の外部に引き出されている。
【0045】
ケース41の左方から突出した蓋規制部材としてのワイヤ55の端部55aは、筒状のワイヤホルダ65の筒内に、第2爪規制部材及び連結手段としてのワイヤ56の端部56aは筒状のワイヤホルダ66の筒内に、それぞれ摺動可能に挿通されている。端部55a,56aは、それぞれワイヤホルダ65及びワイヤホルダ66の先端部から突出している。ワイヤホルダ65はホルダ収容部23(図6参照)に、ワイヤホルダ66はホルダ収容部31c(図4参照)にそれぞれ収容されるとともに固定される。これにより、ワイヤアッシー51が右方に変位すれば、ワイヤ55も右方へ変位する。従って、端部55aは、右方へ変位してワイヤホルダ65の筒内に収容される。すなわち、端部55aは、ワイヤホルダ65の先端から突出する蓋ロック位置と、同じくワイヤホルダ65に収容される蓋アンロック位置との間を変位する。同様に、ワイヤアッシー52が右方に変位すれば、ワイヤ56も右方へ変位する。従って、端部56aは、右方へ変位してワイヤホルダ66の筒内に収容される。すなわち、端部56aは、ワイヤホルダ66の先端から突出する第2爪ロック位置と、同じくワイヤホルダ66に収容される第2爪アンロック位置との間を変位する。
【0046】
図6(c)に示すように、給電リッド20が閉じた状態において、蓋ロック位置にあるワイヤ55の端部55aは、ロック孔21aに挿入される。図6(a)に示すように、給電リッド20が凹部1aを外部に開口する開いた状態である場合に、当該給電リッド20が凹部1aを閉じる方向に操作されると、図6(b)に示すように、給電リッド20の内面とばね部22とが当接する。また、ロック片21の誘導部21bとワイヤ55とが当接する。ばね部22の弾性力に抗して給電リッド20を更に閉じる方向へ操作すると、誘導部21bは、その傾斜によってワイヤ55を右側へ押圧する。すると、ワイヤ55はコイルばね53(図9参照)の弾性力に抗して右側へ変位する。すなわち、誘導部21bは、端部55aを蓋アンロック位置へ誘導する。給電リッド20の更なる閉じる方向へ操作すると、図6(c)に示すように、給電リッド20が完全に閉じた状態に移行する。すると、ロック孔21aは、ホルダ収容部23先端側に変位する。すなわち、ワイヤ55の左方への突出を許容する。従って、ワイヤ55はコイルばね53の弾性力により凹部1aに突出される。よって、端部55aは、ロック孔21aに挿通される。すなわち、端部55aは、蓋ロック位置に復帰する。これにより、ワイヤ55がロック片21と係合する。従って、給電リッド20の開方向への変位が規制される。
【0047】
この状態では、引き続き給電リッド20の内面とばね部22とが当接した状態となり、当該給電リッド20は、ばね部22から開方向への弾性力を受けている。つまり、ワイヤ55が右方へ変位してワイヤホルダ65内に収容される、すなわちロック孔21aから離脱する蓋アンロック位置へ変位すれば、給電リッド20は、ばね部22の弾性力によって開方向へ若干変位する。これによって、ユーザは、給電リッド20を開ける方向へ操作することが可能となる。
【0048】
図7(a)に示すように、第2爪ロック位置にあるワイヤ56の端部56aはロックバー収容部31bの内部に突出する。このとき、ロックバー32が第1爪ロック位置に位置していれば、ロック凹部32bに端部56aが挿入される。このため、ロックバー32が第1爪アンロック位置に変位しようとしてもロック凹部32bの内壁に端部56aが当接することにより、ロックバー32の第1爪アンロック位置への変位が規制される。一方、図7(b)に示すように、端部56aがロックバー収容部31bに収容された状態、すなわち第2爪アンロック位置へ変位した状態であれば、端部56aがロック凹部32bに緩衝することはない。従って、ロックバー32の第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置までの変位を許容する。
【0049】
端部56aがロックバー収容部31bに収容された状態(図7(b)参照)であるときに、給電プラグ10(図2参照)をインレット部5に挿入すると、図8に示すように、係止爪16は、斜面5cに案内されてこれを乗り越えて係合部18の上面に至る。すると、同図2点鎖線で示すように、係止爪16の先端部は、斜面32cを押圧する。斜面32cは、この押圧力によって上方への力を受ける。これにより、ロックバー32は、同図に実線で示す第1爪ロック位置から同図2点鎖線で示す第1爪アンロック位置に変位する。すると、給電プラグ10の更なる挿入が許容されて係止爪16は、同図実線にて示す係合凹部18aに至る。このとき、係止爪16とロックバー32との係合は解除されて、ロックバー32は、自重により同図実線にて示すロック位置へと変位する。従って、ロックバー32の下面は、係止爪16の上面に当接する。
【0050】
ロックバー32が第1爪ロック位置にあるとき、図7(a)に示すように、ロック凹部32bにワイヤ56(端部56a)が挿入されていれば、すなわち端部56aが第2爪ロック位置にあれば、ロックバー32は、第1爪アンロック位置への変位が規制される。このため、図8に示すように、係止爪16が係合凹部18aと係合した状態で操作部17(図2参照)を操作して係止爪16を傾動状態に移行させようとしても、同係止爪16の上面がロックバー32の下面に当接するため、当該係止爪16の傾動状態への変位が規制される。従って、係止爪16と係合部18との係合が解除できないため、給電プラグ10とインレット部5との接続状態も解除できない。
【0051】
なお、ロック凹部32bにワイヤ56が挿入されていなければ、すなわち端部56aが第2爪アンロック位置へ変位していれば、操作部17の操作によって傾動状態に移行しようとする係止爪16は、ロックバー32の下面を上方へ押圧して同ロックバー32を第1爪アンロック位置に変位させるとともに、自身は傾動状態に変位する。従って、係止爪16と係合部18との係合が解除されるので、給電プラグ10をインレット部5から抜き外すことが可能になる。
【0052】
また、給電プラグ10をインレット部5に挿入しようとするとき、ロック凹部32bにワイヤ56が挿入されていれば、ロックバー32は、第1爪アンロック位置への変位が規制される。このため、係止爪16の先端部が斜面32cを押圧してもロックバー32は第1爪アンロック位置へ変位しない。従って、給電プラグ10とインレット部5との接続が不可となる。
【0053】
次に、アクチュエータ機構部40が作動したときのプラグロック機構部30、及びリッドロック機構部25のロック/アンロック態様を説明する。
まず、図9に示す状態Aから説明する。このとき、図10に示すように、カム山43aは12時の方向、カム山44aが9時の方向にそれぞれ位置している。ワイヤ55,56の端部55a,56aは、ワイヤホルダ65,66の先端から突出している(蓋ロック位置、第2爪ロック位置)。また、給電リッド20は閉じた状態とする。すなわち、給電リッド20はロックされた状態である。なお、当然ではあるが給電リッド20が閉じた状態であるので、給電プラグ10はインレット部5に挿入されていない。
【0054】
状態Aのとき、モータ42が順回転駆動すると、モータ軸42aを介してウォームギア47が順回転する。すると、これに噛合されたウォームホイール48が時計回りに回転する。従って、ウォームホイール48の軸48aに取り付けられた第1カム43及び第2カム44は時計回りに回転する。
【0055】
ウォームホイール48が状態Aから4分の1回転分(90°)回転すると図11に示す状態Bとなる。このとき、図12に示すように、カム山43aは3時の方向、カム山44aが12時の方向にそれぞれ位置している。従って、カム山43aが係合面51cを右方向に押圧することにより、コイルばね53の弾性力に抗してワイヤアッシー51は右方向に変位する。これにより、ワイヤ55の端部55aは、蓋アンロック位置へと変位する。このとき、給電リッド20がばね部22の弾性力によって開く(図6(b)参照)。
【0056】
更にモータ42が順回転駆動して、ウォームホイール48が状態Bから4分の1回転分(状態Aからは4分の2回転、すなわち180°)回転すると図13に示す状態Cとなる。このとき、図14に示すように、カム山43aは6時の方向、カム山44aが3時の方向にそれぞれ位置している。従って、カム山44aが係合面52cを右方向に押圧することにより、コイルばね54の弾性力に抗してワイヤアッシー52は右方向に変位する。これにより、ワイヤ56の端部56aは、第2爪アンロック位置へと変位する。また、ワイヤアッシー51は、状態Bにおいて係合面51cを押圧していたカム山43aが6時の方向に位置したことにより当該押圧が解消される。従って、コイルばね53の弾性力により、ワイヤアッシー51は、係合面51cが仕切り板91の縁部に当接するまで左方へ変位する。これにより、ワイヤ55の端部55aは、蓋ロック位置へと変位する。
【0057】
更にモータ42が順回転駆動して、ウォームホイール48が状態Cから4分の1回転分(状態Aからは4分の3回転、すなわち270°)回転すると図15に示す状態Dとなる。このとき、図16に示すように、カム山43aは9時の方向、カム山44aが6時の方向にそれぞれ位置している。ワイヤアッシー52は、状態Cにおいて係合面52cを押圧していたカム山44aが6時の方向に位置したことにより当該押圧が解消される。従って、コイルばね54の弾性力により、ワイヤアッシー52は、係合面52cが仕切り板92の縁部に当接するまで左方へ変位する。これにより、ワイヤ56の端部56aは、第2爪ロック位置へと変位する。
【0058】
更にモータ42が順回転駆動して、ウォームホイール48が状態Dから4分の1回転分(状態Aから1回転、すなわち360°)回転すると、再び図9に示す状態Aとなる。
次に、図17に示すタイムチャートに従って、給電プラグ10とインレット部5とを接続して外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の動作態様を説明する。まず、状態Aから説明をスタートする。なお、給電リッド20は閉じた状態とする。
【0059】
充電ECU75は、ID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Aから状態Bを経て状態Cに変位させる。このとき、給電リッド20は、状態Bを経ているのでアンロックされて半開き状態(図6(b)参照)となっている。これにより、ユーザは、半開き状態の給電リッド20を開き状態(図6(a)参照)に変位させた後に、インレットリッド5dを開き状態(図3参照)にする。このとき、状態Cであるので、ロックバー32は、第1爪ロック位置と第1爪アンロック位置との間を変位できるアンロック状態となっている。すなわち、ユーザは、給電プラグ10をインレット部5に挿入することが可能となる。
【0060】
給電プラグ10がインレット部5に挿入されると、外部電源61からバッテリ4への充電が開始されるとともに、充電ECU75は、充電装置62からの接続信号を受信する。充電ECU75は、給電プラグ10とインレット部5との接続を認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態Dを経て状態Aに変位させる。これにより、ロックバー32のロック凹部32bにワイヤ56の端部56aが挿入される。従って、ロックバー32は、第1爪ロック位置から変位できないため、給電プラグ10はインレット部5との接続が解除できないロック状態となる。
【0061】
充電ECU75は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された状態の状態Aにおいて、バッテリ4への充電が完了して、再びID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Aから状態Bを経て状態Cに変位させる。ロックバー32は、アンロック状態であるため、当該ロックバー32は、第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置へ変位することが可能となる。このとき、操作部17を操作して係止爪16と係合部18との係合を解除することにより、給電プラグ10をインレット部5から引き抜くことができる。給電プラグ10がインレット部5から引き抜いて、インレットリッド5dを閉めると、給電リッド20を閉じることが可能となる。給電リッド20を閉じると、凹部1aに設けられた図示しないマイクロスイッチを当該給電リッド20が押下する。すると、充電ECU75は、マイクロスイッチからの信号を受信して給電リッド20が閉じられたことを確認する。そして、充電ECU75は、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態Dを経て状態Aに変位させる。これにて、外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の一連の動作が終了する。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)単一のモータ42の動作を通じて、給電プラグ10及び給電リッド20のロックを行うことができる。ワイヤ55,56を変位させる駆動源であるモータ42が共通になる分、ロック装置100が必要とする搭載スペースを小さくすることができる。また、駆動源の制御基盤等も共用することができることから、ロック装置100の更なる省スペース化を図ることができるとともに制御基盤分のコストを抑えることができる。
【0063】
(2)モータ42による一方向回転駆動によって第2爪ロック位置及び第2爪アンロック位置の間を変位するワイヤ56の制御と、蓋ロック位置及び蓋アンロック位置の間を変位するワイヤ55の制御とを行うことができる。つまり、モータ42の制御の簡素化が図られる。
【0064】
(3)第2カムと係合部51aとの係合を通じてワイヤ55が蓋アンロック位置に変位したとき、給電リッド20はばね部22の弾性力によって開いた状態となる。また、ワイヤ56が第2爪アンロック位置に変位するタイミングとワイヤ55が蓋アンロック位置に変位するタイミングとが異なる。このため、第1カム43をワイヤアッシー51と係合させた後に第2カム44をワイヤアッシー52と係合する状態で停止するように、モータ42の駆動を制御することによって、ワイヤ55を一旦蓋アンロック位置に変位させるとともに、ワイヤ56を爪アンロック位置に変位させた状態に保つことができる。すなわち、給電リッド20が開いた上で、ロックバー32がアンロック状態となる。従って、給電プラグ10をインレット部5に接続することができる。また、一旦、給電リッド20を開けた後、給電を行わずに(給電プラグ10をインレット部5に挿入せずに)給電リッド20を閉じることも可能である。
【0065】
このように、第2カム44がワイヤアッシー52(係合部52a)と係合するとき第1カム43はワイヤアッシー51(係合部51a)とは係合せず、第1カム43がワイヤアッシー51と係合するときには第2カム44はワイヤアッシー52とは係合しない構成とされている。このため、第2カム44をワイヤアッシー52と係合した状態で停止するようにモータ42を制御すれば、給電プラグ10をインレットに接続することができる。言い換えれば、モータ42は、第1カム43をワイヤアッシー51と係合する位置で停止する必要がない。すなわち、モータ42の制御を容易に行うことができる。
【0066】
(4)ロックバー32とワイヤ56とが分離した構成を取っている。このため、係止爪16に直接作用するロックバー32を収容するケース31のみをインレット部5に固定する。つまり、インレット部5周辺に設ける必要のある最小の構成のみを同インレット部5に固定している。このため、スペースの確保が難しいインレット部5周辺にあっても、これを設置することができる。なお、ワイヤ55,56を利用してプラグロック機構部30のロック/アンロック、及び給電リッド20のロック/アンロックを切り替えるため、アクチュエータ機構部40をインレットの側部に設ける必要はない。すなわち、アクチュエータ機構部40は、車両1の内部であればどこに設けてもよい。
【0067】
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、第1カム43の構成ある。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態の第1カム43は、カム山43aと軸48aを挟んだ反対側にカム山43bを設ける。すなわち、図18及び図19に示すように、本実施形態の初期状態にあたる状態Cにあっては、第1カム43は、カム山43aが6時の方向、カム山43bが12時の方向に位置するようにそれぞれ軸48aに固定される。第2カム44は、カム山44aが3時の方向に位置するように軸48aに固定される。
【0069】
次に、図20に示すタイムチャートに従って、給電プラグ10とインレット部5とを接続して外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の動作態様を説明する。まず、状態Cから説明をスタートする。なお、給電リッド20は閉じた状態とする。
【0070】
充電ECU75は、ID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態D,A,Bを経て状態Cに変位させる。このとき、給電リッド20は、状態D,Bを経ているので半開き状態(図6(b)参照)となっている。これにより、ユーザは、半開き状態の給電リッド20を開き状態に変位させた(図6(a)参照)後に、インレットリッド5dを開き状態(図3参照)にすることにより、給電プラグ10をインレット部5に挿入することが可能となる。また、ケーブルロックはアンロック状態となる。すなわち、ロックバー32は、ロック位置とアンロック位置との間を変位できる状態となっている。これにより、ユーザは、給電プラグ10をインレット部5に挿入することが可能となる。
【0071】
給電プラグ10がインレット部5に挿入されると、外部電源61からバッテリ4への充電が開始されるとともに、充電ECU75は、充電装置62からの接続信号を受信する。充電ECU75は、給電プラグ10とインレット部5との接続を認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態Dを経て状態Aに変位させる。これにより、ロックバー32のロック凹部32bにワイヤ56の端部56aが挿入される。従ってロックバー32は、ロック位置から変位できないため、給電プラグ10はインレット部5との接続が解除できないロック状態となる。
【0072】
充電ECU75は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された状態の状態Aにおいて、バッテリ4への充電が完了して、再びID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Aから状態Bを経て状態Cに変位させる。このときプラグロックは、アンロック状態であるため、ロックバー32は、アンロック位置へ変位することが可能となる。このとき、操作部17を操作して係止爪16と係合部18との係合を解除すると、給電プラグ10をインレット部5から引き抜くことができる。給電プラグ10がインレット部5から引き抜いて、インレットリッド5dを閉めると、給電リッド20を閉じることが可能となる。これにて、外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の一連の動作が終了する。
【0073】
このように、構成することで、上記第1の実施形態で設けた図示しないマイクロスイッチを設ける必要がなくなる。これは、第1の実施形態では、初期状態が状態Aであるため、給電リッド20が閉じられたことをマイクロスイッチで検知する必要があった。しかし、本実施形態では、初期状態が状態Cであるため、状態Aに移行させる必要がない。よってマイクロスイッチを省略することができる。
【0074】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態における(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(5)上記第1の実施形態で設けた図示しないマイクロスイッチを設ける必要がなくなる。
【0075】
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、第2カム44の構成ある。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0076】
図21に示すように、第2カム44は、上記第1の実施形態の突部44aに代えて扇状に突出するカム山44bを備える。同図に示すようにカム山44bは、12時の方向から9時の方向を経由して6時の方向に至るまで設けられている。従って、第1カム43の突部43aは、カム山44bに覆われる(突部43aの形状は、図11を参照されたり)。
【0077】
次に、図22に示すタイムチャートに従って、給電プラグ10とインレット部5とを接続して外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の動作態様を説明する。
【0078】
図22に示すように、本実施形態のタイムチャートと上記第1の実施形態のタイムチャート(図17参照)との違いは、ワイヤ56の端部56aがロック位置/アンロック位置に位置する時間が異なる点にある。本実施形態では、カム山44bが12時の方向から9時の方向を経由して6時の方向に至る扇状に形成されているため、カム44の回転によってカム山44bとワイヤアッシー52(係合部52a)とが係合するカム44の回転角度が大きくなる。すなわち、カム44が状態Bから状態Dに至るまでカム山44bとワイヤアッシー52とが係合する。すなわち、何らかの原因で、カム44の停止位置である状態Cの位置がずれたとしても、カム山44bとワイヤアッシー52との係合を維持することができるため、端部56aを第2爪アンロック位置に維持することができる。従って、給電リッド20が開いた状態であれば、カム44の停止位置が多少ずれたとしても、ユーザが給電プラグ10をインレット部5に挿入できなくなることが抑制される。
【0079】
また、状態Bに示すように、本実施形態では、給電リッド20が開く状態に移行するのと同時に、端部56aが第2爪アンロック位置へ変位するため、給電リッド20が開いた瞬間に給電プラグ10をインレット部5に問題なく挿入することができる。換言すれば、給電プラグ10をインレット部5に挿入するために、ユーザはカム44が状態Cに移行するのを待つ必要がない。
【0080】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態における(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(6)カム山44bが扇状に形成されているため、カム44の停止位置が多少ずれたとしても、ユーザが給電プラグ10をインレット部5に挿入できなくなることが抑制される。また、給電リッド20が開く状態に移行するのと同時に、端部56aが第2爪アンロック位置へ変位するため、給電リッド20が開いた瞬間に給電プラグ10をインレット部5に問題なく挿入することができる。換言すれば、給電プラグ10をインレット部5に挿入するために、ユーザはカム44が状態Cに移行するのを待つ必要がない。
【0081】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態において、モータ42は、ウォームギア47及びウォームホイール48を介さずモータ軸42aと第1カム43及び第2カム44とを連結して直接回転駆動させてもよい。
【0082】
例えば、図23(a),(b),(c)に示すようにL字状のワイヤアッシー111を形成する。このワイヤアッシー111は、上記実施形態と同様に、係合部111a、円筒部111b、及び係合面111cを備える。このワイヤアッシー111の円筒部111bには、当該円筒部111bの軸方向に対し直交方向に貫通する貫通孔112が設けられている。この貫通孔112は、円筒部111bの軸方向に延びる長孔状となっている。図24に示すように、このように構成されたワイヤアッシー111を、上記実施形態のワイヤアッシー51と置き換える。また、モータ42を第2収容部41bから第1収容部41aに移動させてケース41の内壁(下壁)に固定する。これに伴い。基板46は、モータ42の左方にあたるケース41の左側の内壁面に固定される。ここで、モータ42は、そのモータ軸42aが上方に突出するように固定する。そして、モータ軸42aは、貫通孔112に挿通させる。貫通孔112に挿通されたモータ軸42aの先に位置する第1カム43及び第2カム44は、当該モータ軸42aに貫通状態で固定される。これにより、モータ軸42aと、第1カム43及び第2カム44は、一体回転する。
【0083】
このように、構成することによって、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ウォームギア47及びウォームホイール48をなくすことができるので、当該ウォームギア47及びウォームホイール48間において生じる機械的負荷も生じない。従って、モータ42にかかる負荷を抑制させることができる。
【0084】
・上記各実施形態において、第1カム43と第2カム44とが一体となる構成であってもよい。また、第1カム43,第2カム44、及びウォームホイール48が一体となる構成であってもよい。
【0085】
・上記各実施形態において、モータ42を逆回転駆動させて、第1カム43及び第2カム44を逆回転にしてもよい。また、モータ42を順回転させたり逆回転させたりするように制御してもよい。
【0086】
・上記各実施形態において、ワイヤ55,56は、棒状部材であってもよい。
・上記各実施形態において、ワイヤ55,56は、チューブ状部材に挿通して、同チューブ状部材の内部を摺動可能に設けてもよい。例えば、ケース41とワイヤホルダ65,66をチューブ状部材で連結し、その内部にワイヤ55,56を挿通させる。このように構成すれば、これらを車両1の内部に配設するときに、ワイヤ55,56が直接的に車両1の構成部材と接することがなくなる。従って、ワイヤ55,56は、曲性をもたせた状態でも、チューブ状部材の内部を摺動して、スムーズにロック位置、アンロック位置へ変位することができる。
【0087】
・上記各実施形態において、インレット部5は車両1の前方右側面に設けるようにしたが、前方右側面に限らず、後方側面や車両前面等に設けてもよい。
・上記各実施形態において、係止爪16は、給電プラグ10の嵌着部14の上部に設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下等の複数箇所に設けるようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態において、係止爪16は給電プラグ10に、係合部18は、インレット部5にそれぞれ形成されたが、逆であってもよい。
・上記各実施形態において、駆動源としてモータ42を用いたが、回転ソレノイド等の他の駆動手段を用いてもよい。
【0089】
・上記各実施形態において、キーの認証を電子キー80によるID照合により行ったが、メカニカルキーによる機械的な照合で行ってもよい。
・上記各実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
【0090】
・上記各実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
【0091】
・上記各実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。
・上記各実施形態において、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット部5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット部等に適用してもよい。
【0092】
・上記各実施形態において、本例のロック装置100は、必ずしも車両1のみに適用されることに限らず、充電式バッテリを持つ装置や機器、例えば電動バイク等であれば、その採用先は特に限定されない。
【0093】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項3に記載のロック装置において、前記第1の突部は、扇状に形成されてなることを特徴とするロック装置。
【0094】
同構成によれば、第1の突部は、第2爪規制部材と長時間係合することができる。これにより、仮にカムが停止する位置が何らかの原因でずれたとしても、第1の突部と第2爪規制部材とが係合し続けることができる。よって、ユーザが給電プラグと受電コネクタとを接続できなくなる状態に陥ることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0095】
A…状態、B…状態、C…状態、D…状態、O…ヒンジ、LAN…車内、Sid…IDコード信号、Srq…リクエスト信号、1…車両、1a…凹部、2…駆動輪、3…ハイブリッドシステム、4…バッテリ、5…インレット部、5a…インレット本体、5b…円筒部、5c…斜面、5d…インレットリッド、6…コンバータ、10…給電プラグ、11…プラグ本体、11a…基端、11b…先端部、12…ケーブル、13…グリップ部、14…嵌着部、15…接続端子、16…係止爪、17…操作部、18…係合部、18a…係合凹部、18b…内面、20…給電リッド、21…ロック片、21a…ロック孔、21b…誘導部、22…ばね部、23…ホルダ収容部、25…リッドロック機構部、29…接続端子、30…プラグロック機構部、31…ケース、31a…開口部、31b…ロックバー収容部、31c…ホルダ収容部、31d…軸受、32…ロックバー、32a…軸、32b…ロック凹部、32c…斜面、40…アクチュエータ機構部、41…ケース、41a…第1収容部、41b…第2収容部、41c…第3収容部、42…モータ、42a…モータ軸、43…第1カム、43a…カム山、43b…カム山、44…第2カム、44a…カム山、44b…カム山、46…基板、47…ウォームギア、48…ウォームホイール、48a…軸、51…ワイヤアッシー、51a…係合部、51b…円筒部、51c…係合面、52…ワイヤアッシー、52a…係合部、52b…円筒部、52c…係合面、53…コイルばね、54…コイルばね、55…ワイヤ、55a…端部、56…ワイヤ、56a…端部、61…外部電源、62…充電装置、65…ワイヤホルダ、66…ワイヤホルダ、70…電子キーシステム、71…照合ECU、71a…メモリ、72…車外LF発信機、73…車内LF発信機、74…UHF受信機、75…充電ECU、76…スイッチ、80…電子キー、81…通信制御部、81a…メモリ、82…LF受信部、83…UHF発信部、91…仕切り板、91a…軸受、92…仕切り板、92a…軸受、93…貫通孔、94…貫通孔、100…ロック装置、111…ワイヤアッシー、111a:係合部、111b:円筒部、111c:係合面、112…貫通孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグとこれが接続されるインレットを覆う蓋とをそれぞれロックするロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両からの排出ガスを少なく抑えることを目的として、各車両メーカでは、モータを駆動源とする電気自動車(ハイブリッド車も含む)の開発気運が非常に高くなってきている。このような電気自動車では、車両の動力源を駆動するためのバッテリの電力残量が少なくなる度に、例えば家庭や電気スタンド等においてバッテリに充電を行う必要がある。このことから、電気自動車にはユーザにも簡単に扱える様々な充電システムが設けられることになる。このようなシステムとしては、例えば特許文献1に示されるものが知られている。このシステムでは、例えば家庭の商用電源に繋がる給電プラグを接続可能としたインレット部を車両に設け、帰宅したときなどに駐車車両のインレット部に給電プラグを接続し、商用電源を車両に送り込むことによって車両のバッテリに充電を行う。給電プラグには係止爪が、インレット部には係合部がそれぞれ形成されており、両者が係合することにより、給電プラグとインレット部との接続が好適に維持される。給電プラグに設けられる操作部の操作に連動して係止爪が変位することにより、係合部との係合状態が解除される。これにより、給電プラグをインレット部から取り外し可能となる。
【0003】
ところで、電気自動車のバッテリ充電には、急速充電の技術が開発されているといっても、ガソリン車のガソリン補給に比べて比較的長い時間を要する。特に、一般家庭に高速充電用の器具が備え付けられることはまれであるので、ユーザが自宅でバッテリ充電を行う場合には、家庭用電源に繋がる給電プラグを車両のインレット部に接続して充電を開始してから、その状態で車両を長時間放置するケースが少なくない。この場合、例えば給電中の車両から給電プラグを取り外して、同給電プラグを別の車両のインレット部に装着して盗電されたり、給電プラグやコンセントに使用されている金属を目的として給電プラグ自体が盗まれたりする可能性も想定される。
【0004】
そこで、給電プラグがインレット部から不正に取り外されないようにするために、例えば給電プラグとインレット部との接続状態をロックするプラグロック装置をインレット部に搭載することが検討されている。このプラグロック装置としては、次のような構成が考えられる。すなわち、モータを駆動源としてロック位置とアンロック位置との間を変位するロックバーを設ける。そして、給電プラグの係止爪とインレット部の係合部との係合が検出された際に、ロックバーをアンロック位置からロック位置へ自動的に変位させて、このロックバーで係止爪の動きをロックする。これにより、係止爪がロック状態となって、係止爪と係合部との係合が解除できなくなるため、給電プラグをインレット部から引き抜くことができなくなる。所定のアンロック条件の成立が検出されると、ロックバーをロック位置からアンロック位置へ自動的に変位させて係止爪の動きを解放する。これにより、給電プラグの操作部への操作を通じて係止爪と係合部との係合を解除することができる。すなわち、給電プラグをインレット部から取り外し可能となる。
【0005】
また、車両には、インレット部を外部環境から保護するために車両の外観意匠の一部を兼ねた蓋が設けられている。そして、この蓋を、蓋ロック装置によってロックすることにより、車両走行中等において蓋が開放されることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、別々に構成されるプラグロック装置と蓋ロック装置とを車両に搭載する場合、これらを搭載するスペースをそれぞれ確保する必要がある。これらロック装置は、インレット部周辺に設けることが好ましい。しかしながら、インレット部の周辺は搭載スペースが限られているので、インレット部自体の小型化も要求されている。
【0008】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を図りつつ、給電プラグ及びこれが接続されるインレット部を覆う蓋をそれぞれロックすることができるロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、給電プラグ及び受電コネクタの一方に設けられた係止爪が他方に設けられた被係止部に係止されて両者の接続状態が維持されるときに、これを維持する第1爪ロック位置に位置し、一方で前記係止爪が当該接続状態を解除する方向へ変位したとき、これと連れ動きして第1爪アンロック位置へと変位する第1爪規制部材と、前記第1爪規制部材が前記第1爪ロック位置に位置するとき、これと係合して当該第1爪規制部材が前記第1爪アンロック位置へ変位することを規制する第2爪ロック位置と、当該第1爪規制部材との係合が解除されて当該第1爪規制部材の前記第1爪アンロック位置への変位を許容する第2爪アンロック位置との間を変位する第2爪規制部材と、前記受電コネクタを外部環境から保護する蓋に設けられた蓋係合部材との係合を通じて蓋の開閉を規制する蓋ロック位置と、当該蓋係合部材との係合が解除されて蓋の開閉が許容される蓋アンロック位置との間を変位する蓋規制部材と、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材にそれぞれ作動連結された駆動源とを備えることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、単一の駆動源の動作を通じて、給電プラグ及び蓋のロックを行うことができる。第2爪規制部材と蓋規制部材との駆動源が共通になる分、ロック装置が必要とする搭載スペースを小さくすることができる。また、駆動源の制御基盤等も共用することができることから、ロック装置の更なる省スペース化を図ることができるとともに制御基盤分のコストを抑えることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロック装置において、前記駆動源に連動するカムを備え、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材は、前記カムとの係合を通じてそれぞれのロック位置とアンロック位置との間を変位することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、第2爪規制部材及び蓋規制部材のそれぞれロック位置とアンロック位置との間の変位を、カムという簡素な機構を用いることによって容易に行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロック装置において、前記第1爪規制部材は、前記給電プラグと前記受電コネクタとを接続する際に、前記係止爪から相対的に押圧されることによって前記第1爪アンロック位置へ変位するように設けた上で、前記カムは、前記第1の突部と前記第2爪規制部材とが係合する位置にて停止することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、カムの回転が停止したとき、蓋を開くことができる状態、或いは蓋が開いた状態であれば、給電プラグと受電コネクタとを接続させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のロック装置において、前記蓋を開方向へ付勢する付勢手段と、前記カムは、その径方向に突出するとともに、当該カムの回転によって前記蓋規制部材を前記蓋ロック位置から前記蓋アンロック位置へ変位させる第2の突部とを備え、前記第1及び第2の突部は、当該第1の突部が前記第2爪規制部材と係合するとき前記第2の突部は前記蓋規制部材とは係合せず、前記第2の突部が前記蓋規制部材と係合するときには前記第1の突部は前記第2爪規制部材とは係合しないように前記カムの回転方向において異なる位置に設けられることを要旨とする。」
同構成によれば、付勢手段により蓋が開く方向へ常時付勢されているため、カムの回転によって第2の突部が蓋規制部材を押圧して蓋ロック位置から蓋アンロック位置へ変位させたときに、蓋は開く方向へ変位する。従って、カムが、第2の突部と蓋規制部材との係合を経て第1の突部と第2爪規制部材とが係合する位置で停止すれば、蓋が開いた状態で、且つ第1爪規制部材が第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置へ変位できる状態となる。すなわち、給電プラグと受電コネクタとを容易に接続できる状態となる。
【0015】
このように、蓋が開く方向へ常時付勢されるとともに、カムが第2爪規制部材と係合するとき蓋規制部材とは係合せず、蓋規制部材と係合するときには第2爪規制部材とは係合しない構成とすることによって、駆動源は、カムを第2爪規制部材と係合した状態で停止するように制御すれば、給電プラグを受電コネクタに接続することができる。換言すれば、駆動源は、カムを蓋規制部材と係合する位置で停止する必要がない。すなわち、駆動源の制御を容易に行うことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載のロック装置において、前記第1爪規制部材は、前記受電コネクタに固定される第1ケースに収容され、前記第2爪規制部材は、前記第1ケースとは異なる位置に設けられる第2ケースに前記駆動源及び前記カムとともに収容されることを要旨とする。
【0017】
通常、受電コネクタ周辺は、スペースの確保が難しいため、この周辺に多くの装置を搭載することは困難である。
同構成によれば、第1爪規制部材と第2爪規制部材、駆動源、及びカムとが分離した構成を取っている。このため、係止爪に直接作用する第1爪規制部材を収容する第1ケースのみを受電コネクタに固定することができる。つまり、受電コネクタ周辺に設ける必要のある最小の構成のみを同受電コネクタに固定している。このため、スペースの確保が難しい受電コネクタ周辺にあっても、これを設置することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のロック装置において、前記駆動源はモータであって、前記モータは、前記カムを一方向回転させることによって、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材をそれぞれ異なるタイミングでそれぞれのアンロック位置へと変位させることを要旨とするロック装置。
【0019】
同構成によれば、モータの一方向回転によって、第2爪規制部材を第2爪ロック位置と第2爪アンロック位置との間において、蓋規制部材を蓋ロック位置と蓋アンロック位置との間においてそれぞれ変位させることができる。このため、駆動源であるモータの制御が容易である。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、ロック装置の小型化を図りつつ、給電プラグ及びこれが接続されるインレット部を覆う蓋をそれぞれロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す充電システム及び電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の給電プラグの概略構成を示す部分断面図。
【図3】(a)は、同実施形態のインレット部及びロック機構の構成を示す正面図、(b)は、(a)のA−A線に沿った断面図。
【図4】図3(b)のB−B線に沿った断面図。
【図5】インレットが設けられる車両凹部の斜視図。
【図6】車両凹部における(a)給電リッドが開いた状態の横断面図、(b)給電リッドが半開き状態の車両凹部の横断面図、(c)給電リッドが閉じた状態の横断面図。
【図7】(a)は、同実施形態のロック機構がロック状態の場合におけるロックバーの断面図、(b)は、ロック機構がアンロックの場合におけるロックバーの断面図。
【図8】同実施形態のロック機構がアンロック状態の場合における給電プラグをインレット部へ挿入する際の係止爪及びロックバーの変位態様を示す横断面図。
【図9】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図10】図9の上面図。
【図11】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図12】図11の上面図。
【図13】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図14】図13の上面図。
【図15】同実施形態のロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図16】図15の上面図。
【図17】同実施形態の駆動部の駆動に伴い推移するロック機構のロック状態及びアンロック状態を示すタイムチャート。
【図18】第2の実施形態を示すロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図19】図18の上面図。
【図20】同実施形態の駆動部の駆動に伴い推移するロック機構のロック状態及びアンロック状態を示すタイムチャート。
【図21】第3の実施形態を示すロック機構がロック状態の場合における駆動部の正面図。
【図22】同実施形態の駆動部の駆動に伴い推移するロック機構のロック状態及びアンロック状態を示すタイムチャート。
【図23】他の実施形態のワイヤアッシーを示す(a)は正面図,(b)は上面図、(c)は側面図。
【図24】他の実施形態のアクチュエータ機構部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をプラグインハイブリッド車に具体化した給電プラグのロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の車両用駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて使用するハイブリッドシステム3が備えられている。このハイブリッドシステム3には、バッテリ4が接続されている。
【0023】
ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモード、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモード、及びエンジンを使用せずにモータのみで走行するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種走行モードを切り替える。また、ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力によってバッテリ4に充電するモード、駆動輪2の制動力をモータによって電力に変換してバッテリ4に充電するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種充電モードを切り替える。車両1は、ハイブリッドシステム3によって切り替わる各種走行モードに応じて走行したり、各種充電モードに応じてバッテリ4へ充電したりする。
【0024】
バッテリ4には、インレット部5がコンバータ6を介して接続されている。このインレット部5は、車両1の外部電源(交流電源)61と充電装置62を介して接続された給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば、図5に示すように、車両1の前部側面にガソリン車の給油口と同様の態様で搭載されている。充電装置62は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された場合に、その旨示す接続信号を車両1へ発信する。コンバータ6は、給電プラグ10からインレット部5を介して送り込まれた交流電圧を直流電圧に変換し、この変換した直流電圧をバッテリ4に送る。こうして、外部電源61からバッテリ4に充電される。
【0025】
車両1には、例えばユーザが実際に車両キーを操作しなくてもドアの施錠及び解錠等の車両制御が実行される電子キーシステム70が搭載されている。この電子キーシステム70では、車両1とユーザに携帯される車両キーとしての電子キー80との間の無線通信を通じて車両制御が実行される。
【0026】
電子キーシステム70を以下に詳細に説明する。車両1に搭載される照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信する車外LF発信機72と、車内床下に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信する車内LF発信機73と、車内後部の車体に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信するUHF受信機74とが接続されている。なお、照合ECU71は、電子キー80に対応する固有のIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
【0027】
一方、電子キー80に搭載される通信制御部81には、LF帯の信号を受信するLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信するUHF発信部83とが接続されている。通信制御部81は、電子キー80固有のIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。
【0028】
照合ECU71は、車外LF発信機72からリクエスト信号Srqを間欠的に発信させて、車両1の周辺に通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81はリクエスト信号Srqに応答する形でUHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車外照合)を行う。そして、照合ECU71は、車外照合が成立すると、図示しないドアロック装置によるドアの解錠を許可又は実行する。
【0029】
照合ECU71は、車外照合が成立してドアが解錠された後に、車内LF発信機73からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの車内通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81は、UHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車内照合)を行う。照合ECU71は、車内照合が成立すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0030】
本実施形態では、車両1に外部電源61から充電する際にも電子キーシステム70によるIDコードの照合が行われる。車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、図示しない車内LAN(Local Area Network)を介して照合ECU71と通信可能であるとともに、この通信を利用して照合ECU71におけるID照合の成立結果を確認することができる。また、充電ECU75は、車両1に設けられた取り外しスイッチ76と電気的に接続されている。さらに、充電ECU75は、ロック装置100と電気的に接続されている。ロック装置100は、インレット部5と給電プラグ10との接続又はその接続解除を許容するアンロック状態と、両者の接続又はその接続解除を規制するロック状態との2つの状態をとる。通常、ロック装置100はロック状態に維持される。また、ロック装置100は、給電リッド20の開く方向への変位を規制する蓋ロック状態とこれを許容する蓋アンロック状態との2つの状態をとる。充電ECU75は、ロック装置100のロック/アンロックを車外照合の成立結果によって切り替える。充電ECU75は、照合ECU71における車外照合が成立したことを確認して、ロック装置100をアンロック状態に切り替えてバッテリ4への充電を許可する。このとき、充電ECU75は、インレット部5と給電プラグ10とが接続されて、充電装置62からの接続信号を受信すると、コンバータ6の制御を通じて、外部電源61からバッテリ4への充電を開始する。従って、電子キー80を携帯しない第3者には、ロック装置100のロックを解除できない。なお、車外通信エリアは、車両周囲の全域に亘り形成されるので、車両1の前部側面に設けられたインレット部5の前にユーザが電子キー80を携帯して立つことにより、車外照合は問題なく実行される。なお、ロック装置100については、後に詳述する。
【0031】
図2に示すように、給電プラグ10のプラグ本体11の基端11aには、外部電源61(図1参照)と接続されるケーブル12が接続されている。プラグ本体11には、ユーザが把持するグリップ部13が形成されている。プラグ本体11の先端部11bには、インレット部5に嵌着される円筒状の嵌着部14が形成されている。嵌着部14の内部には、複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。
【0032】
この嵌着部14の上部には、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際に、両者の接続状態を好適に維持するための係止爪16が設けられている。係止爪16は、プラグ本体11の内部に設けられた軸を中心として回動可能に設けられている。係止爪16は、図2に実線で示す第1の位置と2点鎖線で示す第2の位置との間を変位する。第1の位置は、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際にインレット部5の一部に係合して、両者の接続状態を好適に保持する位置である。また、第2の位置は、インレット部5の一部との係合が解除されて、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる位置である。なお、係止爪16は、通常時において第1の位置に弾性保持されるとともに、プラグ本体11の上部に設けられた操作部17を押し操作すると第2の位置(傾動状態)へ変位する。操作部17の操作が解除されると、係止爪16は第1の位置へ弾性復帰する。
【0033】
図3(a),(b)に示すように、インレット部5のインレット本体5aには、給電プラグ10をインレット部5に接続する際に、嵌着部14が挿入される円筒部5bが形成されている。そして、円筒部5bの内部には、複数の接続端子29が設けられている。接続端子29は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。嵌着部14が円筒部5bに挿入された際、同円筒部5bのパワー端子には嵌着部14のパワー端子が、円筒部5bの制御端子には嵌着部14の制御端子がそれぞれ接続される。なお、インレット部5には、円筒部5bに蓋をして接続端子29を外部環境から保護するインレットリッド5dが設けられる。インレットリッド5dは、円筒部5bの側部に回転可能に軸支されている。
【0034】
インレット本体5aの外周面上部には、係止爪16と係合する被係止部としての係合部18が形成されている。係合部18のプラグ挿入側には、斜面5cが形成されている。この斜面5cは、給電プラグ10がインレット部5に挿入されるときに、係止爪16を第1の位置から第2の位置へ変位させるように、給電プラグ10の挿入方向に向かって徐々に上昇するように形成されている。係合部18は、係止爪16の挿入及び傾動を許容する係合凹部18aを有する。係止爪16は、係合凹部18aのプラグ挿入側の内面18bに係合する。これにより、給電プラグ10のインレット部5に対する引き抜き方向への変位が規制される。
【0035】
次に、ロック装置100について説明する。図1に示すように、ロック装置100は、リッドロック機構部25、プラグロック機構部30、及びアクチュエータ機構部40を備えてなる。リッドロック機構部25は、給電リッド20の開く方向への変位の規制とこれの許容を行う。プラグロック機構部30は、係合部18と係合する係止爪16の傾動状態への変位の規制とこれの許容を行う。アクチュエータ機構部40は、リッドロック機構部25及びプラグロック機構部30それぞれの規制と許容との切り替えを行う。
【0036】
図3に示すように、プラグロック機構部30は、インレット本体5aの上部に設けられている。図4に示すように、プラグロック機構部30は、インレット本体5aの上部に固定されるケース31とこれに収容されるロックバー32とを備えてなる。ケース31には、係合部18と係合する係止爪16の傾動状態への変位を許容するように、係合部18の上方をトンネル状に開口する開口部31aと、この開口部31aに連続するロックバー収容部31bと、同ロックバー収容部31bに連続するホルダ収容部31cとが形成されている。ロックバー収容部31bは開口部31aの上方にある。ホルダ収容部31cは、ロックバー収容部31bの右側にある。第1爪規制部材としてのロックバー32は、ロックバー収容部31bの内部に収容されている。ロックバー32の一端部には、軸32aが形成されており、当該軸32aは、ケース31に形成される軸受31d(図3(b)参照)に軸支されている。これにより、ロックバー32は、図示実線にて示すその中央部が開口部31aに露出した第1爪ロック位置と、図示2点鎖線にて示す自身が完全にロックバー収容部31bの内部に収容された第1爪アンロック位置との間を変位する。図3(b)に示すように、直方体状をなすロックバー32の中央部には、面取り形成された斜面32cが形成されている。この斜面32cは、給電プラグ10がインレット部5に挿入されるとき、傾動状態となった係止爪16に押圧されて、ロックバー32が第1爪アンロック位置へ変位するように、給電プラグ10の挿入方向に対して徐々に下降するように形成されている。このため、給電プラグ10をインレット部5へ接続する際、斜面32cは、係止爪16の先端部から受ける押圧力をロックバー32の上方へ変位する力に変換する(図8参照)。従って、この係止爪16からの押圧力によって、ロックバー32は、第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置へ変位するようになっている。
【0037】
図4に示すように、ロックバー32の軸32aと反対側の端部には、ロック凹部32bが形成されている。ロック凹部32bは、ロックバー32の長手方向に延びるように形成されている。ロック凹部32bは右側に開口している。ロック凹部32bは、ロックバー32が第1爪ロック位置にあるとき、ホルダ収容部31cに対応する。
【0038】
図5に示すように、車両1の凹部1aには、その左側部に設けられるヒンジO(図6参照)に軸支されて当該凹部1aを開閉する給電リッド20が設けられる。図6(c)に示すように、この給電リッド20は、閉じた状態をとると、車両1の意匠面を形成するとともに、インレット部5を外部環境から保護する。給電リッド20の内面には、蓋係合部材としてのロック片21が設けられている。ロック片21は、給電リッド20のヒンジOと反対側に設けられている。ロック片21には、ロック孔21aが形成されている。このロック孔21aは、給電リッド20がヒンジ周りに回動したときの径方向に貫通している。ロック片21の先端部は、凹部1aの左側部に向かって折り曲げられて誘導部21bを形成している。リッドロック機構部25は、ロック片21を備えて構成される。
【0039】
凹部1aの右側部には、給電リッド20が閉じた状態のときにその内面に当接して給電リッド20を開く方向へ付勢する付勢手段としてのばね部22が設けられている。また図6(c)に示すように、凹部1aの右側部には、凹部1aに連結されたホルダ収容部23が形成されている。ホルダ収容部23は、ばね部22よりもインレット部5側(車両1の内部側)に形成されている。
【0040】
図5に示すように、車両1のボディの内部には、アクチュエータ機構部40が固定される。図9に示すように、アクチュエータ機構部40は、車体に固定されるケース41、ケース41の内部に収容される駆動源としてのモータ42、第1カム43、及び第2カム44を備えてなる。ケース41の内部は、2枚の仕切り板91,92によって、上層、中層、下層の3層に区画されている。各層はそれら右側において連続する。下層にあたる第1収容部41aの内壁(下壁)には、充電ECU75(図1参照)に電気的に接続される基板46が固着されている。中層にあたる第2収容部41bには、基板46と図示しないケーブルにより電気的に接続されたモータ42が設けられている。すなわち、モータ42は、基板46を介して充電ECU75と接続されているため、その駆動は、充電ECU75によって制御される。モータ42は、仕切り板91,92間に固定されている。モータ42のモータ軸42aは、右方に突出している。このモータ軸42aには、当該モータ軸42aと同軸回転するウォームギア47が固定されている。ウォームギア47には、ウォームホイール48が噛合されている。ウォームホイール48は、上下方向に延びる軸48aによって仕切り板91,92に形成される軸受91a,92aに軸支されている。これにより、モータ42が駆動してモータ軸42aが回転すると、その回転はウォームギア47を介してウォームホイール48の回転に変換される。
【0041】
ウォームホイール48の下方には軸48aに貫通状態で固定された円盤状の第1カム43が、ウォームホイール48の上方には軸48aに貫通状態で固定された円盤状の第2カム44がそれぞれウォームホイール48と同軸上に設けられている。これにより、ウォームホイール48と、第1カム43及び第2カム44は一体回転する。
【0042】
図10に示すように、第1カム43には径方向に滑らかに突出する第2の突部としてのカム山43aが、第2カム44には径方向に滑らかに突出する第1の突部としてのカム山44aがそれぞれ形成されている。第1カム43は、カム山43aが12時の方向に位置するように軸48aに固定される。第2カム44は、カム山44aが9時の方向に位置するように軸48aに固定される。
【0043】
図9に示すように、第1収容部41aにはワイヤアッシー(ASSY)51が、第3収容部41cにはワイヤアッシー52がそれぞれ設けられている。蓋規制部材としてのワイヤアッシー51は、ケース41の内部の第1カム43よりも右側に設けられる板状の係合部51aと、同係合部51aの縁部に固定され第1収容部41aの内部に収容される円筒部51bとからなるL字状をなす。係合部51aとケース41の右側の内壁面との間には、コイルばね53が介在されている。ワイヤアッシー51は、コイルばね53の弾性力により常時左方へ付勢されている。ワイヤアッシー51の左方への変位は、係合部51aのコイルばね53と反対側の係合面51cが仕切り板91の縁部に当接することによって規制される。第2爪規制部材としてのワイヤアッシー52は、ケース41の内部の第1カム43よりも右側に設けられる板状の係合部52aと、同係合部52aの縁部に固定され上層にあたる第3収容部41cの内部に収容される円筒部52bとからなるL字状をなす。係合部52aとケース41の右側の内壁面との間には、コイルばね54が介在されている。ワイヤアッシー52は、コイルばね54の弾性力により常時左方へ付勢されている。ワイヤアッシー52の左方への変位は、係合部52aのコイルばね54と反対側の係合面52cが仕切り板92の縁部に当接することによって規制される。第1カム43が回転すると、カム山43aが係合面51cを、第2カム44が回転すると係合面52cをそれぞれ右方に押圧する。従って、ワイヤアッシー51はコイルばね53の弾性力に抗して右方へ、ワイヤアッシー52はコイルばね54の弾性力に抗して右方へそれぞれ変位する。
【0044】
両円筒部51b,52bの内部にはワイヤ55,56の端部が挿入された状態で固定されている。ワイヤ55,56の円筒部51b,52bと反対側の端部55a、56aは、第1収容部41a及び第3収容部41cの左方に形成された貫通孔93,94からケース41の外部に引き出されている。
【0045】
ケース41の左方から突出した蓋規制部材としてのワイヤ55の端部55aは、筒状のワイヤホルダ65の筒内に、第2爪規制部材及び連結手段としてのワイヤ56の端部56aは筒状のワイヤホルダ66の筒内に、それぞれ摺動可能に挿通されている。端部55a,56aは、それぞれワイヤホルダ65及びワイヤホルダ66の先端部から突出している。ワイヤホルダ65はホルダ収容部23(図6参照)に、ワイヤホルダ66はホルダ収容部31c(図4参照)にそれぞれ収容されるとともに固定される。これにより、ワイヤアッシー51が右方に変位すれば、ワイヤ55も右方へ変位する。従って、端部55aは、右方へ変位してワイヤホルダ65の筒内に収容される。すなわち、端部55aは、ワイヤホルダ65の先端から突出する蓋ロック位置と、同じくワイヤホルダ65に収容される蓋アンロック位置との間を変位する。同様に、ワイヤアッシー52が右方に変位すれば、ワイヤ56も右方へ変位する。従って、端部56aは、右方へ変位してワイヤホルダ66の筒内に収容される。すなわち、端部56aは、ワイヤホルダ66の先端から突出する第2爪ロック位置と、同じくワイヤホルダ66に収容される第2爪アンロック位置との間を変位する。
【0046】
図6(c)に示すように、給電リッド20が閉じた状態において、蓋ロック位置にあるワイヤ55の端部55aは、ロック孔21aに挿入される。図6(a)に示すように、給電リッド20が凹部1aを外部に開口する開いた状態である場合に、当該給電リッド20が凹部1aを閉じる方向に操作されると、図6(b)に示すように、給電リッド20の内面とばね部22とが当接する。また、ロック片21の誘導部21bとワイヤ55とが当接する。ばね部22の弾性力に抗して給電リッド20を更に閉じる方向へ操作すると、誘導部21bは、その傾斜によってワイヤ55を右側へ押圧する。すると、ワイヤ55はコイルばね53(図9参照)の弾性力に抗して右側へ変位する。すなわち、誘導部21bは、端部55aを蓋アンロック位置へ誘導する。給電リッド20の更なる閉じる方向へ操作すると、図6(c)に示すように、給電リッド20が完全に閉じた状態に移行する。すると、ロック孔21aは、ホルダ収容部23先端側に変位する。すなわち、ワイヤ55の左方への突出を許容する。従って、ワイヤ55はコイルばね53の弾性力により凹部1aに突出される。よって、端部55aは、ロック孔21aに挿通される。すなわち、端部55aは、蓋ロック位置に復帰する。これにより、ワイヤ55がロック片21と係合する。従って、給電リッド20の開方向への変位が規制される。
【0047】
この状態では、引き続き給電リッド20の内面とばね部22とが当接した状態となり、当該給電リッド20は、ばね部22から開方向への弾性力を受けている。つまり、ワイヤ55が右方へ変位してワイヤホルダ65内に収容される、すなわちロック孔21aから離脱する蓋アンロック位置へ変位すれば、給電リッド20は、ばね部22の弾性力によって開方向へ若干変位する。これによって、ユーザは、給電リッド20を開ける方向へ操作することが可能となる。
【0048】
図7(a)に示すように、第2爪ロック位置にあるワイヤ56の端部56aはロックバー収容部31bの内部に突出する。このとき、ロックバー32が第1爪ロック位置に位置していれば、ロック凹部32bに端部56aが挿入される。このため、ロックバー32が第1爪アンロック位置に変位しようとしてもロック凹部32bの内壁に端部56aが当接することにより、ロックバー32の第1爪アンロック位置への変位が規制される。一方、図7(b)に示すように、端部56aがロックバー収容部31bに収容された状態、すなわち第2爪アンロック位置へ変位した状態であれば、端部56aがロック凹部32bに緩衝することはない。従って、ロックバー32の第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置までの変位を許容する。
【0049】
端部56aがロックバー収容部31bに収容された状態(図7(b)参照)であるときに、給電プラグ10(図2参照)をインレット部5に挿入すると、図8に示すように、係止爪16は、斜面5cに案内されてこれを乗り越えて係合部18の上面に至る。すると、同図2点鎖線で示すように、係止爪16の先端部は、斜面32cを押圧する。斜面32cは、この押圧力によって上方への力を受ける。これにより、ロックバー32は、同図に実線で示す第1爪ロック位置から同図2点鎖線で示す第1爪アンロック位置に変位する。すると、給電プラグ10の更なる挿入が許容されて係止爪16は、同図実線にて示す係合凹部18aに至る。このとき、係止爪16とロックバー32との係合は解除されて、ロックバー32は、自重により同図実線にて示すロック位置へと変位する。従って、ロックバー32の下面は、係止爪16の上面に当接する。
【0050】
ロックバー32が第1爪ロック位置にあるとき、図7(a)に示すように、ロック凹部32bにワイヤ56(端部56a)が挿入されていれば、すなわち端部56aが第2爪ロック位置にあれば、ロックバー32は、第1爪アンロック位置への変位が規制される。このため、図8に示すように、係止爪16が係合凹部18aと係合した状態で操作部17(図2参照)を操作して係止爪16を傾動状態に移行させようとしても、同係止爪16の上面がロックバー32の下面に当接するため、当該係止爪16の傾動状態への変位が規制される。従って、係止爪16と係合部18との係合が解除できないため、給電プラグ10とインレット部5との接続状態も解除できない。
【0051】
なお、ロック凹部32bにワイヤ56が挿入されていなければ、すなわち端部56aが第2爪アンロック位置へ変位していれば、操作部17の操作によって傾動状態に移行しようとする係止爪16は、ロックバー32の下面を上方へ押圧して同ロックバー32を第1爪アンロック位置に変位させるとともに、自身は傾動状態に変位する。従って、係止爪16と係合部18との係合が解除されるので、給電プラグ10をインレット部5から抜き外すことが可能になる。
【0052】
また、給電プラグ10をインレット部5に挿入しようとするとき、ロック凹部32bにワイヤ56が挿入されていれば、ロックバー32は、第1爪アンロック位置への変位が規制される。このため、係止爪16の先端部が斜面32cを押圧してもロックバー32は第1爪アンロック位置へ変位しない。従って、給電プラグ10とインレット部5との接続が不可となる。
【0053】
次に、アクチュエータ機構部40が作動したときのプラグロック機構部30、及びリッドロック機構部25のロック/アンロック態様を説明する。
まず、図9に示す状態Aから説明する。このとき、図10に示すように、カム山43aは12時の方向、カム山44aが9時の方向にそれぞれ位置している。ワイヤ55,56の端部55a,56aは、ワイヤホルダ65,66の先端から突出している(蓋ロック位置、第2爪ロック位置)。また、給電リッド20は閉じた状態とする。すなわち、給電リッド20はロックされた状態である。なお、当然ではあるが給電リッド20が閉じた状態であるので、給電プラグ10はインレット部5に挿入されていない。
【0054】
状態Aのとき、モータ42が順回転駆動すると、モータ軸42aを介してウォームギア47が順回転する。すると、これに噛合されたウォームホイール48が時計回りに回転する。従って、ウォームホイール48の軸48aに取り付けられた第1カム43及び第2カム44は時計回りに回転する。
【0055】
ウォームホイール48が状態Aから4分の1回転分(90°)回転すると図11に示す状態Bとなる。このとき、図12に示すように、カム山43aは3時の方向、カム山44aが12時の方向にそれぞれ位置している。従って、カム山43aが係合面51cを右方向に押圧することにより、コイルばね53の弾性力に抗してワイヤアッシー51は右方向に変位する。これにより、ワイヤ55の端部55aは、蓋アンロック位置へと変位する。このとき、給電リッド20がばね部22の弾性力によって開く(図6(b)参照)。
【0056】
更にモータ42が順回転駆動して、ウォームホイール48が状態Bから4分の1回転分(状態Aからは4分の2回転、すなわち180°)回転すると図13に示す状態Cとなる。このとき、図14に示すように、カム山43aは6時の方向、カム山44aが3時の方向にそれぞれ位置している。従って、カム山44aが係合面52cを右方向に押圧することにより、コイルばね54の弾性力に抗してワイヤアッシー52は右方向に変位する。これにより、ワイヤ56の端部56aは、第2爪アンロック位置へと変位する。また、ワイヤアッシー51は、状態Bにおいて係合面51cを押圧していたカム山43aが6時の方向に位置したことにより当該押圧が解消される。従って、コイルばね53の弾性力により、ワイヤアッシー51は、係合面51cが仕切り板91の縁部に当接するまで左方へ変位する。これにより、ワイヤ55の端部55aは、蓋ロック位置へと変位する。
【0057】
更にモータ42が順回転駆動して、ウォームホイール48が状態Cから4分の1回転分(状態Aからは4分の3回転、すなわち270°)回転すると図15に示す状態Dとなる。このとき、図16に示すように、カム山43aは9時の方向、カム山44aが6時の方向にそれぞれ位置している。ワイヤアッシー52は、状態Cにおいて係合面52cを押圧していたカム山44aが6時の方向に位置したことにより当該押圧が解消される。従って、コイルばね54の弾性力により、ワイヤアッシー52は、係合面52cが仕切り板92の縁部に当接するまで左方へ変位する。これにより、ワイヤ56の端部56aは、第2爪ロック位置へと変位する。
【0058】
更にモータ42が順回転駆動して、ウォームホイール48が状態Dから4分の1回転分(状態Aから1回転、すなわち360°)回転すると、再び図9に示す状態Aとなる。
次に、図17に示すタイムチャートに従って、給電プラグ10とインレット部5とを接続して外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の動作態様を説明する。まず、状態Aから説明をスタートする。なお、給電リッド20は閉じた状態とする。
【0059】
充電ECU75は、ID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Aから状態Bを経て状態Cに変位させる。このとき、給電リッド20は、状態Bを経ているのでアンロックされて半開き状態(図6(b)参照)となっている。これにより、ユーザは、半開き状態の給電リッド20を開き状態(図6(a)参照)に変位させた後に、インレットリッド5dを開き状態(図3参照)にする。このとき、状態Cであるので、ロックバー32は、第1爪ロック位置と第1爪アンロック位置との間を変位できるアンロック状態となっている。すなわち、ユーザは、給電プラグ10をインレット部5に挿入することが可能となる。
【0060】
給電プラグ10がインレット部5に挿入されると、外部電源61からバッテリ4への充電が開始されるとともに、充電ECU75は、充電装置62からの接続信号を受信する。充電ECU75は、給電プラグ10とインレット部5との接続を認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態Dを経て状態Aに変位させる。これにより、ロックバー32のロック凹部32bにワイヤ56の端部56aが挿入される。従って、ロックバー32は、第1爪ロック位置から変位できないため、給電プラグ10はインレット部5との接続が解除できないロック状態となる。
【0061】
充電ECU75は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された状態の状態Aにおいて、バッテリ4への充電が完了して、再びID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Aから状態Bを経て状態Cに変位させる。ロックバー32は、アンロック状態であるため、当該ロックバー32は、第1爪ロック位置から第1爪アンロック位置へ変位することが可能となる。このとき、操作部17を操作して係止爪16と係合部18との係合を解除することにより、給電プラグ10をインレット部5から引き抜くことができる。給電プラグ10がインレット部5から引き抜いて、インレットリッド5dを閉めると、給電リッド20を閉じることが可能となる。給電リッド20を閉じると、凹部1aに設けられた図示しないマイクロスイッチを当該給電リッド20が押下する。すると、充電ECU75は、マイクロスイッチからの信号を受信して給電リッド20が閉じられたことを確認する。そして、充電ECU75は、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態Dを経て状態Aに変位させる。これにて、外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の一連の動作が終了する。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)単一のモータ42の動作を通じて、給電プラグ10及び給電リッド20のロックを行うことができる。ワイヤ55,56を変位させる駆動源であるモータ42が共通になる分、ロック装置100が必要とする搭載スペースを小さくすることができる。また、駆動源の制御基盤等も共用することができることから、ロック装置100の更なる省スペース化を図ることができるとともに制御基盤分のコストを抑えることができる。
【0063】
(2)モータ42による一方向回転駆動によって第2爪ロック位置及び第2爪アンロック位置の間を変位するワイヤ56の制御と、蓋ロック位置及び蓋アンロック位置の間を変位するワイヤ55の制御とを行うことができる。つまり、モータ42の制御の簡素化が図られる。
【0064】
(3)第2カムと係合部51aとの係合を通じてワイヤ55が蓋アンロック位置に変位したとき、給電リッド20はばね部22の弾性力によって開いた状態となる。また、ワイヤ56が第2爪アンロック位置に変位するタイミングとワイヤ55が蓋アンロック位置に変位するタイミングとが異なる。このため、第1カム43をワイヤアッシー51と係合させた後に第2カム44をワイヤアッシー52と係合する状態で停止するように、モータ42の駆動を制御することによって、ワイヤ55を一旦蓋アンロック位置に変位させるとともに、ワイヤ56を爪アンロック位置に変位させた状態に保つことができる。すなわち、給電リッド20が開いた上で、ロックバー32がアンロック状態となる。従って、給電プラグ10をインレット部5に接続することができる。また、一旦、給電リッド20を開けた後、給電を行わずに(給電プラグ10をインレット部5に挿入せずに)給電リッド20を閉じることも可能である。
【0065】
このように、第2カム44がワイヤアッシー52(係合部52a)と係合するとき第1カム43はワイヤアッシー51(係合部51a)とは係合せず、第1カム43がワイヤアッシー51と係合するときには第2カム44はワイヤアッシー52とは係合しない構成とされている。このため、第2カム44をワイヤアッシー52と係合した状態で停止するようにモータ42を制御すれば、給電プラグ10をインレットに接続することができる。言い換えれば、モータ42は、第1カム43をワイヤアッシー51と係合する位置で停止する必要がない。すなわち、モータ42の制御を容易に行うことができる。
【0066】
(4)ロックバー32とワイヤ56とが分離した構成を取っている。このため、係止爪16に直接作用するロックバー32を収容するケース31のみをインレット部5に固定する。つまり、インレット部5周辺に設ける必要のある最小の構成のみを同インレット部5に固定している。このため、スペースの確保が難しいインレット部5周辺にあっても、これを設置することができる。なお、ワイヤ55,56を利用してプラグロック機構部30のロック/アンロック、及び給電リッド20のロック/アンロックを切り替えるため、アクチュエータ機構部40をインレットの側部に設ける必要はない。すなわち、アクチュエータ機構部40は、車両1の内部であればどこに設けてもよい。
【0067】
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、第1カム43の構成ある。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態の第1カム43は、カム山43aと軸48aを挟んだ反対側にカム山43bを設ける。すなわち、図18及び図19に示すように、本実施形態の初期状態にあたる状態Cにあっては、第1カム43は、カム山43aが6時の方向、カム山43bが12時の方向に位置するようにそれぞれ軸48aに固定される。第2カム44は、カム山44aが3時の方向に位置するように軸48aに固定される。
【0069】
次に、図20に示すタイムチャートに従って、給電プラグ10とインレット部5とを接続して外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の動作態様を説明する。まず、状態Cから説明をスタートする。なお、給電リッド20は閉じた状態とする。
【0070】
充電ECU75は、ID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態D,A,Bを経て状態Cに変位させる。このとき、給電リッド20は、状態D,Bを経ているので半開き状態(図6(b)参照)となっている。これにより、ユーザは、半開き状態の給電リッド20を開き状態に変位させた(図6(a)参照)後に、インレットリッド5dを開き状態(図3参照)にすることにより、給電プラグ10をインレット部5に挿入することが可能となる。また、ケーブルロックはアンロック状態となる。すなわち、ロックバー32は、ロック位置とアンロック位置との間を変位できる状態となっている。これにより、ユーザは、給電プラグ10をインレット部5に挿入することが可能となる。
【0071】
給電プラグ10がインレット部5に挿入されると、外部電源61からバッテリ4への充電が開始されるとともに、充電ECU75は、充電装置62からの接続信号を受信する。充電ECU75は、給電プラグ10とインレット部5との接続を認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Cから状態Dを経て状態Aに変位させる。これにより、ロックバー32のロック凹部32bにワイヤ56の端部56aが挿入される。従ってロックバー32は、ロック位置から変位できないため、給電プラグ10はインレット部5との接続が解除できないロック状態となる。
【0072】
充電ECU75は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された状態の状態Aにおいて、バッテリ4への充電が完了して、再びID認証が成立した状態で取り外しスイッチ76が操作されたことを認識すると、モータ42を順回転駆動させて、アクチュエータ機構部40を状態Aから状態Bを経て状態Cに変位させる。このときプラグロックは、アンロック状態であるため、ロックバー32は、アンロック位置へ変位することが可能となる。このとき、操作部17を操作して係止爪16と係合部18との係合を解除すると、給電プラグ10をインレット部5から引き抜くことができる。給電プラグ10がインレット部5から引き抜いて、インレットリッド5dを閉めると、給電リッド20を閉じることが可能となる。これにて、外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の一連の動作が終了する。
【0073】
このように、構成することで、上記第1の実施形態で設けた図示しないマイクロスイッチを設ける必要がなくなる。これは、第1の実施形態では、初期状態が状態Aであるため、給電リッド20が閉じられたことをマイクロスイッチで検知する必要があった。しかし、本実施形態では、初期状態が状態Cであるため、状態Aに移行させる必要がない。よってマイクロスイッチを省略することができる。
【0074】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態における(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(5)上記第1の実施形態で設けた図示しないマイクロスイッチを設ける必要がなくなる。
【0075】
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、第2カム44の構成ある。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0076】
図21に示すように、第2カム44は、上記第1の実施形態の突部44aに代えて扇状に突出するカム山44bを備える。同図に示すようにカム山44bは、12時の方向から9時の方向を経由して6時の方向に至るまで設けられている。従って、第1カム43の突部43aは、カム山44bに覆われる(突部43aの形状は、図11を参照されたり)。
【0077】
次に、図22に示すタイムチャートに従って、給電プラグ10とインレット部5とを接続して外部電源61からバッテリ4へ充電する際のアクチュエータ機構部40の動作態様を説明する。
【0078】
図22に示すように、本実施形態のタイムチャートと上記第1の実施形態のタイムチャート(図17参照)との違いは、ワイヤ56の端部56aがロック位置/アンロック位置に位置する時間が異なる点にある。本実施形態では、カム山44bが12時の方向から9時の方向を経由して6時の方向に至る扇状に形成されているため、カム44の回転によってカム山44bとワイヤアッシー52(係合部52a)とが係合するカム44の回転角度が大きくなる。すなわち、カム44が状態Bから状態Dに至るまでカム山44bとワイヤアッシー52とが係合する。すなわち、何らかの原因で、カム44の停止位置である状態Cの位置がずれたとしても、カム山44bとワイヤアッシー52との係合を維持することができるため、端部56aを第2爪アンロック位置に維持することができる。従って、給電リッド20が開いた状態であれば、カム44の停止位置が多少ずれたとしても、ユーザが給電プラグ10をインレット部5に挿入できなくなることが抑制される。
【0079】
また、状態Bに示すように、本実施形態では、給電リッド20が開く状態に移行するのと同時に、端部56aが第2爪アンロック位置へ変位するため、給電リッド20が開いた瞬間に給電プラグ10をインレット部5に問題なく挿入することができる。換言すれば、給電プラグ10をインレット部5に挿入するために、ユーザはカム44が状態Cに移行するのを待つ必要がない。
【0080】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態における(1)〜(4)に記載の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(6)カム山44bが扇状に形成されているため、カム44の停止位置が多少ずれたとしても、ユーザが給電プラグ10をインレット部5に挿入できなくなることが抑制される。また、給電リッド20が開く状態に移行するのと同時に、端部56aが第2爪アンロック位置へ変位するため、給電リッド20が開いた瞬間に給電プラグ10をインレット部5に問題なく挿入することができる。換言すれば、給電プラグ10をインレット部5に挿入するために、ユーザはカム44が状態Cに移行するのを待つ必要がない。
【0081】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態において、モータ42は、ウォームギア47及びウォームホイール48を介さずモータ軸42aと第1カム43及び第2カム44とを連結して直接回転駆動させてもよい。
【0082】
例えば、図23(a),(b),(c)に示すようにL字状のワイヤアッシー111を形成する。このワイヤアッシー111は、上記実施形態と同様に、係合部111a、円筒部111b、及び係合面111cを備える。このワイヤアッシー111の円筒部111bには、当該円筒部111bの軸方向に対し直交方向に貫通する貫通孔112が設けられている。この貫通孔112は、円筒部111bの軸方向に延びる長孔状となっている。図24に示すように、このように構成されたワイヤアッシー111を、上記実施形態のワイヤアッシー51と置き換える。また、モータ42を第2収容部41bから第1収容部41aに移動させてケース41の内壁(下壁)に固定する。これに伴い。基板46は、モータ42の左方にあたるケース41の左側の内壁面に固定される。ここで、モータ42は、そのモータ軸42aが上方に突出するように固定する。そして、モータ軸42aは、貫通孔112に挿通させる。貫通孔112に挿通されたモータ軸42aの先に位置する第1カム43及び第2カム44は、当該モータ軸42aに貫通状態で固定される。これにより、モータ軸42aと、第1カム43及び第2カム44は、一体回転する。
【0083】
このように、構成することによって、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ウォームギア47及びウォームホイール48をなくすことができるので、当該ウォームギア47及びウォームホイール48間において生じる機械的負荷も生じない。従って、モータ42にかかる負荷を抑制させることができる。
【0084】
・上記各実施形態において、第1カム43と第2カム44とが一体となる構成であってもよい。また、第1カム43,第2カム44、及びウォームホイール48が一体となる構成であってもよい。
【0085】
・上記各実施形態において、モータ42を逆回転駆動させて、第1カム43及び第2カム44を逆回転にしてもよい。また、モータ42を順回転させたり逆回転させたりするように制御してもよい。
【0086】
・上記各実施形態において、ワイヤ55,56は、棒状部材であってもよい。
・上記各実施形態において、ワイヤ55,56は、チューブ状部材に挿通して、同チューブ状部材の内部を摺動可能に設けてもよい。例えば、ケース41とワイヤホルダ65,66をチューブ状部材で連結し、その内部にワイヤ55,56を挿通させる。このように構成すれば、これらを車両1の内部に配設するときに、ワイヤ55,56が直接的に車両1の構成部材と接することがなくなる。従って、ワイヤ55,56は、曲性をもたせた状態でも、チューブ状部材の内部を摺動して、スムーズにロック位置、アンロック位置へ変位することができる。
【0087】
・上記各実施形態において、インレット部5は車両1の前方右側面に設けるようにしたが、前方右側面に限らず、後方側面や車両前面等に設けてもよい。
・上記各実施形態において、係止爪16は、給電プラグ10の嵌着部14の上部に設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下等の複数箇所に設けるようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態において、係止爪16は給電プラグ10に、係合部18は、インレット部5にそれぞれ形成されたが、逆であってもよい。
・上記各実施形態において、駆動源としてモータ42を用いたが、回転ソレノイド等の他の駆動手段を用いてもよい。
【0089】
・上記各実施形態において、キーの認証を電子キー80によるID照合により行ったが、メカニカルキーによる機械的な照合で行ってもよい。
・上記各実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
【0090】
・上記各実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
【0091】
・上記各実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。
・上記各実施形態において、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット部5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット部等に適用してもよい。
【0092】
・上記各実施形態において、本例のロック装置100は、必ずしも車両1のみに適用されることに限らず、充電式バッテリを持つ装置や機器、例えば電動バイク等であれば、その採用先は特に限定されない。
【0093】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項3に記載のロック装置において、前記第1の突部は、扇状に形成されてなることを特徴とするロック装置。
【0094】
同構成によれば、第1の突部は、第2爪規制部材と長時間係合することができる。これにより、仮にカムが停止する位置が何らかの原因でずれたとしても、第1の突部と第2爪規制部材とが係合し続けることができる。よって、ユーザが給電プラグと受電コネクタとを接続できなくなる状態に陥ることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0095】
A…状態、B…状態、C…状態、D…状態、O…ヒンジ、LAN…車内、Sid…IDコード信号、Srq…リクエスト信号、1…車両、1a…凹部、2…駆動輪、3…ハイブリッドシステム、4…バッテリ、5…インレット部、5a…インレット本体、5b…円筒部、5c…斜面、5d…インレットリッド、6…コンバータ、10…給電プラグ、11…プラグ本体、11a…基端、11b…先端部、12…ケーブル、13…グリップ部、14…嵌着部、15…接続端子、16…係止爪、17…操作部、18…係合部、18a…係合凹部、18b…内面、20…給電リッド、21…ロック片、21a…ロック孔、21b…誘導部、22…ばね部、23…ホルダ収容部、25…リッドロック機構部、29…接続端子、30…プラグロック機構部、31…ケース、31a…開口部、31b…ロックバー収容部、31c…ホルダ収容部、31d…軸受、32…ロックバー、32a…軸、32b…ロック凹部、32c…斜面、40…アクチュエータ機構部、41…ケース、41a…第1収容部、41b…第2収容部、41c…第3収容部、42…モータ、42a…モータ軸、43…第1カム、43a…カム山、43b…カム山、44…第2カム、44a…カム山、44b…カム山、46…基板、47…ウォームギア、48…ウォームホイール、48a…軸、51…ワイヤアッシー、51a…係合部、51b…円筒部、51c…係合面、52…ワイヤアッシー、52a…係合部、52b…円筒部、52c…係合面、53…コイルばね、54…コイルばね、55…ワイヤ、55a…端部、56…ワイヤ、56a…端部、61…外部電源、62…充電装置、65…ワイヤホルダ、66…ワイヤホルダ、70…電子キーシステム、71…照合ECU、71a…メモリ、72…車外LF発信機、73…車内LF発信機、74…UHF受信機、75…充電ECU、76…スイッチ、80…電子キー、81…通信制御部、81a…メモリ、82…LF受信部、83…UHF発信部、91…仕切り板、91a…軸受、92…仕切り板、92a…軸受、93…貫通孔、94…貫通孔、100…ロック装置、111…ワイヤアッシー、111a:係合部、111b:円筒部、111c:係合面、112…貫通孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電プラグ及び受電コネクタの一方に設けられた係止爪が他方に設けられた被係止部に係止されて両者の接続状態が維持されるときに、これを維持する第1爪ロック位置に位置し、一方で前記係止爪が当該接続状態を解除する方向へ変位したとき、これと連れ動きして第1爪アンロック位置へと変位する第1爪規制部材と、
前記第1爪規制部材が前記第1爪ロック位置に位置するとき、これと係合して当該第1爪規制部材が前記第1爪アンロック位置へ変位することを規制する第2爪ロック位置と、当該第1爪規制部材との係合が解除されて当該第1爪規制部材の前記第1爪アンロック位置への変位を許容する第2爪アンロック位置との間を変位する第2爪規制部材と、
前記受電コネクタを外部環境から保護する蓋に設けられた蓋係合部材との係合を通じて蓋の開閉を規制する蓋ロック位置と、当該蓋係合部材との係合が解除されて蓋の開閉が許容される蓋アンロック位置との間を変位する蓋規制部材と、
前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材にそれぞれ作動連結された駆動源とを備えることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロック装置において、
前記駆動源に連動するカムを備え、
前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材は、前記カムとの係合を通じてそれぞれのロック位置とアンロック位置との間を変位することを特徴とするロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のロック装置において、
前記第1爪規制部材は、前記給電プラグと前記受電コネクタとを接続する際に、前記係止爪から相対的に押圧されることによって前記第1爪アンロック位置へ変位するように設けた上で、
前記カムは、その径方向に突出するとともに、当該カムの回転によって前記第2爪規制部材を前記第2爪ロック位置から前記第2爪アンロック位置へ変位させる第1の突部を備え、
前記カムは、前記第1の突部と前記第2爪規制部材とが係合する位置にて停止することを特徴とするロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロック装置において、
前記蓋を開方向へ常時付勢する付勢手段と、
前記カムは、その径方向に突出するとともに、当該カムの回転によって前記蓋規制部材を前記蓋ロック位置から前記蓋アンロック位置へ変位させる第2の突部とを備え、
前記第1及び第2の突部は、当該第1の突部が前記第2爪規制部材と係合するとき前記第2の突部は前記蓋規制部材とは係合せず、前記第2の突部が前記蓋規制部材と係合するときには前記第1の突部は前記第2爪規制部材とは係合しないように前記カムの回転方向において異なる位置に設けられることを特徴とするロック装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載のロック装置において、
前記第1爪規制部材は、前記受電コネクタに固定される第1ケースに収容され、
前記第2爪規制部材は、前記第1ケースとは異なる位置に設けられる第2ケースに前記駆動源及び前記カムとともに収容されることを特徴とするロック装置。
【請求項6】
請求項4に記載のロック装置において、
前記駆動源はモータであって、
前記モータは、前記カムを一方向回転させることによって、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材をそれぞれ異なるタイミングでそれぞれのアンロック位置へと変位させることを特徴とするロック装置。
【請求項1】
給電プラグ及び受電コネクタの一方に設けられた係止爪が他方に設けられた被係止部に係止されて両者の接続状態が維持されるときに、これを維持する第1爪ロック位置に位置し、一方で前記係止爪が当該接続状態を解除する方向へ変位したとき、これと連れ動きして第1爪アンロック位置へと変位する第1爪規制部材と、
前記第1爪規制部材が前記第1爪ロック位置に位置するとき、これと係合して当該第1爪規制部材が前記第1爪アンロック位置へ変位することを規制する第2爪ロック位置と、当該第1爪規制部材との係合が解除されて当該第1爪規制部材の前記第1爪アンロック位置への変位を許容する第2爪アンロック位置との間を変位する第2爪規制部材と、
前記受電コネクタを外部環境から保護する蓋に設けられた蓋係合部材との係合を通じて蓋の開閉を規制する蓋ロック位置と、当該蓋係合部材との係合が解除されて蓋の開閉が許容される蓋アンロック位置との間を変位する蓋規制部材と、
前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材にそれぞれ作動連結された駆動源とを備えることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロック装置において、
前記駆動源に連動するカムを備え、
前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材は、前記カムとの係合を通じてそれぞれのロック位置とアンロック位置との間を変位することを特徴とするロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のロック装置において、
前記第1爪規制部材は、前記給電プラグと前記受電コネクタとを接続する際に、前記係止爪から相対的に押圧されることによって前記第1爪アンロック位置へ変位するように設けた上で、
前記カムは、その径方向に突出するとともに、当該カムの回転によって前記第2爪規制部材を前記第2爪ロック位置から前記第2爪アンロック位置へ変位させる第1の突部を備え、
前記カムは、前記第1の突部と前記第2爪規制部材とが係合する位置にて停止することを特徴とするロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロック装置において、
前記蓋を開方向へ常時付勢する付勢手段と、
前記カムは、その径方向に突出するとともに、当該カムの回転によって前記蓋規制部材を前記蓋ロック位置から前記蓋アンロック位置へ変位させる第2の突部とを備え、
前記第1及び第2の突部は、当該第1の突部が前記第2爪規制部材と係合するとき前記第2の突部は前記蓋規制部材とは係合せず、前記第2の突部が前記蓋規制部材と係合するときには前記第1の突部は前記第2爪規制部材とは係合しないように前記カムの回転方向において異なる位置に設けられることを特徴とするロック装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載のロック装置において、
前記第1爪規制部材は、前記受電コネクタに固定される第1ケースに収容され、
前記第2爪規制部材は、前記第1ケースとは異なる位置に設けられる第2ケースに前記駆動源及び前記カムとともに収容されることを特徴とするロック装置。
【請求項6】
請求項4に記載のロック装置において、
前記駆動源はモータであって、
前記モータは、前記カムを一方向回転させることによって、前記第2爪規制部材及び前記蓋規制部材をそれぞれ異なるタイミングでそれぞれのアンロック位置へと変位させることを特徴とするロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−256576(P2011−256576A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131054(P2010−131054)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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