ロボットシステム、その制御装置及び方法
【課題】サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行えるようにする。
【解決手段】アーム先端部11の位置姿勢を制御可能なアーム1と、アーム先端部11に取り付けられ、作業対象物3を把持する把持機構21を具備し、把持した作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢を制御可能なハンド2と、把持した作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測装置22とを備えたロボットシステムにおいて、把持機構21で作業対象物3を把持した後、アーム先端部11が移動している最中に、作業対象物2のアーム先端部11からの相対位置姿勢の計測を行い、その位置姿勢計測の結果に基づいて、作業対象物3がアーム先端部11からの所定の相対位置姿勢をとるように、ハンド2のアーム先端部11からの相対位置姿勢の修正を行う。
【解決手段】アーム先端部11の位置姿勢を制御可能なアーム1と、アーム先端部11に取り付けられ、作業対象物3を把持する把持機構21を具備し、把持した作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢を制御可能なハンド2と、把持した作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測装置22とを備えたロボットシステムにおいて、把持機構21で作業対象物3を把持した後、アーム先端部11が移動している最中に、作業対象物2のアーム先端部11からの相対位置姿勢の計測を行い、その位置姿勢計測の結果に基づいて、作業対象物3がアーム先端部11からの所定の相対位置姿勢をとるように、ハンド2のアーム先端部11からの相対位置姿勢の修正を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業対象物を把持して移動させるロボットシステム、その制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高品質の製品を安定して生産するため、また危険な作業や疲労を伴う作業等から人間を解放するため等の様々な目的のために産業用ロボットは生産現場に導入されてきている。
【0003】
従来からロボットのアームに作業対象物を把持するハンドを取り付け、予め定まった道筋に沿ってアームの移動やハンドの把持動作をさせることにより、単純作業を繰り返し行うことがなされている。単純作業の例としては、作業対象物の搬送や並び替え、他の作業対象物との間での嵌合や組付けといったものが挙げられる。
【0004】
例えば部品の搬送を例にとると、部品供給パレット上の所定の位置に部品が置かれているので、まずハンドで部品を把持できる位置までアームを移動する。次に、ハンドを動作させて部品を把持し、さらにアームを移動させて送り出しパレットの所定の位置に部品を搬送する。そして、ハンドを動作させて部品を解放する。
【0005】
しかしながら、作業対象物(部品)が部品供給パレット上の所定の位置姿勢に正確に配置されていないと、不完全把持となり、作業(搬送)を完了することが困難となる。そこで、特許文献1では、ハンドに距離検出器を備え、作業対象物の位置姿勢を把持直前に計測し、把持部の位置姿勢を作業対象物の位置姿勢に合わせた上で、把持を行っている。
【0006】
ところが、このように工夫を行っても作業対象物を把持する際に、ハンドの把持機構と作業対象物との接触により、作業対象物の位置姿勢がずれてしまうことがある。
【0007】
こうした状況を改善するには、作業対象物を把持した後に、作業対象物の位置姿勢を計測・修正すればよい。特許文献2では、作業対象物を把持した後に、既知の位置姿勢の物体に突き当てることにより、作業対象物の位置姿勢を計測し、本来の位置姿勢とのずれを修正した教示位置にロボットを順次移動させることにより、作業を実行している。また、特許文献3では、ハンド載置した作業対象物の正規の位置とのずれを検出し、そのずれを補償するようにハンドの移動を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−170771号公報「産業用ロボット装置」
【特許文献2】特開2009−50921号公報「ハンドリング装置」
【特許文献3】特開2000−71190号公報「ワーク搬送システム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の場合、把持した作業対象物の位置姿勢を計測する際に、作業対象物を既知の位置姿勢の物体に突き当てるため、サイクルタイムが増加してしまう、という課題があった。
【0010】
また、特許文献3の場合、作業対象物の位置ずれ補償を、ずれの分だけハンドの目標位置姿勢を補正することによって行っている。一般に多軸制御のアーム型産業用ロボットは剛性を保つためにアーム部の慣性モーメントは大きくなっており、時定数も大きくなる。また、逆キネマティクスを用いた経由地点の計算等では、通常系の中で最も大きなものを時定数として用いる。そのため、アームの移動時間を増加させずに位置姿勢の修正を完了するには、補正後の目標位置姿勢の決定を、目標到達予想時刻よりも時定数の大きさに応じた時間以前に完了しなければならない。以上より、多軸制御のアーム型産業用ロボット等の時定数の大きなシステムにおいてサイクルタイムを増加させないためには、把持した作業対象物の位置姿勢計測及び補正後の目標位置姿勢を決定するのに費やせる時間が短いという課題がある。
【0011】
また、前記従来技術は作業対象物の位置ずれを補正するものであり、他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う際に、他の作業対象物の位置ずれを補正することはできなかったという課題がある。
【0012】
さらに、前記従来技術は把持した対象物の位置ずれが大きい場合に、アーム移動中に他の障害物と衝突してしまう、或いは把持作業のやり直しを行わなければならないことがあるという課題がある。
【0013】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のロボットシステムは、アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段と、前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アーム先端部が移動している最中に、ハンドで把持した作業対象物のアーム先端部からの相対位置姿勢計測、及び、ハンドのアーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行う。これにより、サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係るロボットシステムの構成及び動作状態を示す図である。
【図2】第1の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係るロボットシステムの動作状態を示す図である。
【図4】第2の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】アーム先端部の移動完了後に突起の位置修正を行う場合の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態に係るロボットシステムの構成及び動作状態を示す図である。
【図7】第3の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第4の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第5の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第6の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第7の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第8の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)に、本発明を適用した実施形態に係るロボットシステムの構成例を示す。アーム1は多関節シリアルリンクロボットであり、各関節はモータによって駆動され、アーム先端部11の位置及び姿勢を制御可能である。
【0018】
アーム先端部11にはハンド2が取り付けられている。ハンド2は把持部(把持機構)21を備え、作業対象物3を把持及び解放することができる。また、ハンド2は、把持した物体の位置姿勢を修正するのに十分な範囲での、手首に相当する関節での回転機構や多関節指機構等の制御機構を備える。こうした機構は例えばパラレルリンク機構でも、XYZステージとパン・チルト・ロールの3軸雲台を組み合わせたものでも実現できる。なお、アーム部1の時定数は大きいが、ハンド2の時定数はそれに比較すると小さく、ハンド2は応答性の高い制御が可能である。
【0019】
さらに、ハンド2は、把持した作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測装置22を備える。こうした機構は例えばカメラと画像処理部を備えた視覚センサで実現できる。
【0020】
アーム1及びハンド2はロボット制御装置5により制御される。アプリケーション制御装置6は、ロボット制御装置5に指示を出してアーム1やハンド2を動作させ、また位置姿勢計測装置22の出力により把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢を知ることができる。本発明を適用した制御を実行するためのアプリケーションはアプリケーション制御装置6内に実装され、実行される。
【0021】
なお、本実施形態では、アーム1は多関節シリアルリンクロボット、ハンド2はパラレルリンク機構等を例示したが、どのような機構を用いるかは限定されるものではなく、他の機構を用いても構わない。
【0022】
ここで、把持部21で作業対象物3を把持した後、これを他の作業対象物4の穴部41に嵌合する作業を考える。図1(a)は把持部21で作業対象物3を把持した直後の様子を示し、図1(b)は作業対象物3を他の作業対象物4の穴部41に嵌合する直前の様子を示す。なお、図1(b)においては、ロボット制御装置5及びアプリケーション制御装置6の図示を省略する。また、図1(c)は作業対象物3を他の作業対象物4の穴部41に嵌合する直前のハンド2、作業対象物3及び他の作業対象物4の位置関係を示す。
【0023】
図2は、アプリケーション制御装置6で実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。まず、図1(a)に示すように、把持部21で作業対象物3を把持したことを確認する(ステップS1)。ところで、作業対象物3を把持した直後の状態では、まだ作業対象物3は部品供給台等に接触している。こうした状態で作業対象物3を持ち上げ、部品供給台等との接触がなくなると、作業対象物3の位置姿勢が僅かに変わってしまう可能性がある。このような位置姿勢が問題となる場合には、このステップS1に加えて、さらに作業対象物3を持ち上げたことを確認すればよい。なお、把持部21で作業対象物3を把持するまでの戦略については、本発明の対象外であるので割愛する。
【0024】
次に、図1(b)に示すように、アーム先端部11を目標位置姿勢PA1まで移動させる(ステップS2)。目標位置姿勢PA1とは、把持部21で作業対象物3を正規の位置姿勢PO2で把持した場合に、他の作業対象物4の穴部4に嵌合する直前のアーム先端部11のロボットの基準座標系における位置姿勢である。位置姿勢PO2は、アーム先端部11からの相対位置姿勢であり、続いて説明する作業対象物3の位置姿勢PO1、ハンド2の位置姿勢PH1、PH2も同様である。
【0025】
ところが、把持部21で作業対象物3を必ずしも正規の位置姿勢PO2で把持できるとは限らない。図1(c)の破線で示すように、作業対象物3を位置姿勢PO1で把持した場合、そのままの状態で嵌合作業を続けると、作業対象物3が他の作業対象物4に衝突してしまう。
【0026】
そこで、ステップS3〜S5で作業対象物3の位置姿勢計測を行い、位置姿勢をPO1から所定の相対位置姿勢PO2に修正する。これらステップS3〜S5による位置姿勢計測及び位置姿勢修正は、ステップS2でアーム先端部11が移動している最中に実行する。まず、位置姿勢計測装置22により、作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢PO1を計測する(ステップS3)。
【0027】
次に、現在のハンド2の位置姿勢PH1と作業対象物3の位置姿勢PO1(位置姿勢計測の結果)に基づいて、作業対象物3を正規の位置姿勢PO2に移動させたときのハンド2の目標位置姿勢PH2を算出する(ステップS4)。
【0028】
作業対象物3上に固定された座標系COを他の座標系に変換することを考える。位置姿勢PH1、PH2、PO1、PO2に対応する座標変換行列をそれぞれMHC1、MHC2、MVH1、MVH2とすると、COとハンド2上に固定された座標系との間の座標変換行列MOHを用いて、次のようになる。ただし、ここでは把持部21で作業対象物3を把持している間は、両者の位置姿勢関係は、不変であると仮定している。
MVH1・CO=MHC1・MOH・CO
MVH2・CO=MHC2・MOH・CO
よって、
MHC2=MVH2・(MVH1・MHC1-1)-1
となる。
【0029】
各変換行列は、XYZ座標系で並進成分(Tx、Ty、Tz)と各軸周りの回転成分(Rx、Ry、Rz)に分けると、同次座標として、次のような行列の積で表わされる。なお、行列の積の順序はハンド2の位置姿勢修正機構によるが、ここではZ軸、Y軸、X軸の回転を行った後に並進を行った場合を示す。
【0030】
【数1】
【0031】
そして、ハンド2を現在の位置姿勢PH1から目標位置姿勢PH2に移動させる(ステップS5)。
【0032】
以上述べた制御手法を用いると、把持部21で作業対象物3をどのような位置姿勢で把持しようとも、アーム先端部11の移動動作には影響しない。したがって、アーム先端部11が目標位置姿勢PA1に移動するまでに作業対象物3の位置姿勢修正を完了するようにすると、サイクルタイムを増加させることなく嵌合作業を行うことができる。
【0033】
また、把持部21で作業対象物3を把持した後に位置姿勢修正を行うので、把持前の作業対象物3の位置姿勢は作業対象物3を把持可能な程度にわかっていればよい。したがって、把持前に作業対象物3の位置姿勢計測を行う把持戦略を用いる場合には、高精度の位置姿勢計測は不要である。
【0034】
以上のように、アーム先端部が移動している最中に、ハンドで把持した作業対象物のアーム先端部からの相対位置姿勢計測、及び、ハンドのアーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行う。これにより、サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行うことができる。また、時定数の大きなシステムにおいて、把持した作業対象物3の位置姿勢測定及び補正後の目標位置姿勢を決定するのに費やせる時間を長くできるという効果がある。さらに、把持前に作業対象物3の位置姿勢を正確に測定しなくてもよいという効果がある。
【0035】
(第2の実施形態)
作業対象物3は剛体でなくともよい。例えば図3に示すように、作業対象物3の先端が柔軟な突起31であるとする。この柔軟な突起31を他の作業対象物4の穴部41に挿入する作業を考える。
【0036】
第2の実施形態における制御処理の流れを図4に示す。ステップS1〜S5までの処理は図2の場合と同様である。ただし、この場合、位置姿勢計測装置22で計測する位置姿勢は作業対象物3の柔軟な突起31の先端である。
【0037】
ステップS1〜S5までの処理を終えても、必ずしも突起31の先端が正規の相対位置姿勢にあるとは限らない。これは、突起31の自重で突起31が変形してしまうからである。そこで、ステップS5を終えた後、アーム先端部11が目標位置姿勢PA1まで移動を完了しているかどうかを確認する(ステップS6)。そして、移動中であれば再度突起31の位置姿勢の計測(ステップS3)及び修正(ステップS4)を行い、ハンド2を移動させる(ステップS5)。
【0038】
このようにすることで、たとえアーム先端部11の移動が完了したときに突起31が正規の相対位置姿勢ではなかったとしても、そのずれは僅かであることが期待でき、アーム移動完了後の突起31の位置修正を短時間で完了することができる。
【0039】
なお、アーム先端部11の移動完了後に突起31の位置修正を行う場合の制御処理の流れを図5に示す。ステップS7〜S9は、図4の場合と同様である。その後の条件判断で突起31が正規の位置姿勢であれば完了、そうでなければステップS7〜S9を繰り返す(ステップS10)。
【0040】
以上のように、アーム先端部11が移動している最中に位置姿勢計測及び位置姿勢修正を繰り返し実行することにより、変形が容易に起こり得る柔軟物の組付けに対しても、変形状態に追随した適切な相対位置姿勢修正を行うことができる。
【0041】
(第3の実施形態)
上記実施形態では、他の作業対象物4は正規の位置姿勢からのずれがないものとして扱っているが、作業対象物3と同様に他の作業対象物4も正規の位置姿勢からずれていることがある。
【0042】
そこで、他の作業対象物4の位置姿勢のずれを考慮にいれる。図6に、第3の実施形態に係るロボットシステムの構成例を示す。図1と比べ、他の位置姿勢計測装置7が追加されている。他の位置姿勢計測装置7は、他の作業対象物4の位置姿勢を計測し、アプリケーション制御装置6に通知する。他の位置姿勢計測装置7は例えばカメラを用いた視覚センサで実現できる。なお、他の位置姿勢計測装置7の位置姿勢計測方式は、他の作業対象物4の位置姿勢を計測できるものであれば、その方式は問わない。
【0043】
第3の実施形態における制御処理の流れを図7に示す。図2と同様であるが、ステップS1の前に、他の作業対象物4の位置姿勢を計測するステップS11が追加されている。なお、このステップS11は、ステップS4よりも前であればどの時点であっても構わない。
【0044】
図2の制御処理の流れにおいては、ハンド2の移動修正量計算(ステップS4)で、現在のハンド2の位置姿勢PH1と作業対象物3の位置姿勢PO1に基づいて、作業対象物3を正規の位置姿勢PO2に移動させたときのハンド2の目標位置姿勢PH2を算出した。本実施形態では、ステップS4でさらに他の作業対象物4の位置姿勢を考慮に入れる。具体的には、他の作業対象物4の正規の位置姿勢からのずれをキャンセルするように、ステップS4で計算される移動修正量をさらに補正すればよい。例えば、位置姿勢PH1及びPH2がXYZ方向の並進量と各軸周りの回転量の6要素で表わされる場合、修正量はPH2−PH1で得られる。
【0045】
以上のように、他の作業対象物4に対して嵌合又は組付け作業を行う際に、他の作業対象物4の位置ずれを補正することができるという効果がある。なお、第1の実施形態をベースに説明したが、第2の実施形態において図4のステップS4、図5のステップS8でもハンド2の移動修正量を計算する際に同様の補正を施すことにより、本発明は適用できる。
【0046】
(第4の実施形態)
把持部21で把持した際の作業対象物3の位置姿勢によっては、アーム先端部11の移動によって作業対象物3と障害物が衝突してしまうこともある。そこで、アーム先端部11の移動経路を予め複数定めておき、把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢に基づいて選択する。
【0047】
どのようにして経路を選定・選択するかは限定されるものではないが、作業対象物3の位置姿勢と、障害物と衝突することなく移動可能な経路とを、予めシミュレーションを行い対応付けておくことで実施可能である。具体的には、作業対象物3の位置姿勢に対応する、障害物と衝突することなく移動可能なアーム先端部11の移動経路を表の形にして、保持しておく。シミュレーション時に作成したこの表を実行時に参照して、作業対象物3の位置姿勢に対応するアーム先端部11の移動経路を選択する。
【0048】
第4の実施形態における制御処理の流れを図8に示す。図2との違いは、ステップS3の処理を分岐処理の前に行う点、ステップS2の前にアーム先端部11の移動経路を選択するステップS12を実行する点である。
【0049】
ステップS3で、作業対象物3のアーム先端部11からの位置姿勢を計測する。ここで処理を二つに分岐して、一方ではアーム先端部11の移動を行う。まずステップS3で計測した作業対象物3の位置姿勢からアーム先端部11の移動経路を、予め定められた中から選択する(ステップS12)。そして、選択された経路に沿ってアーム先端部11を目標位置姿勢PA1まで移動させる(ステップS2)。
【0050】
アーム先端部11の移動と並行して、分岐した処理にてハンド2の位置修正を行う。位置修正は、図2の場合と同様で、まずハンド2の位置姿勢の修正量を計算し(ステップS4)、それに従いハンド2を移動させる(ステップS5)。
【0051】
以上のように、把持した作業対象物の位置姿勢にバラつきが大きい場合等に、アーム先端部11の移動中に他の障害物と衝突することを避ける、或いは把持作業のやり直しを行わなくてよいという効果がある。
【0052】
(第5の実施形態)
第4の実施形態で述べた障害物回避のための経路選択は、ハンド2の移動経路を選択することによっても可能である。第5の実施形態における制御処理の流れを図9に示す。図2との違いは、ステップS4の代わりにハンド2の移動経路を選択するステップS13を実行する点である。予め設定する経路の選定は、第4の実施形態と同様に、シミュレーションにより表を作成しておくことができる。また、経路選択は、この表を参照することにより作業対象物3の位置姿勢から得ることができる。
【0053】
(第6の実施形態)
第4の実施形態では、障害物回避のためのアーム先端部11の移動経路を、把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢に基づいて選択したが、他の位置姿勢計測装置7が計測した他の作業対象物4の位置姿勢も併せて使用して選択してもよい。
【0054】
第6の実施形態における制御処理の流れを図10に示す。図8との違いは、最初に他の位置姿勢計測装置7によって他の作業対象物4の位置姿勢計測を行っている点である(ステップS11)。
【0055】
ステップS12でアーム先端部11の移動経路を選択する際には、作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢と、他の作業対象物4のロボットの基準座標系での位置姿勢の両方を用いる。具体的には、これら両方の位置姿勢の組み合せに対して、障害物回避が行えるアーム先端部11の移動経路をシミュレーションによって予め表にしておき、実行時にはこの表を参照することによりアーム先端部11の移動経路を選択する。
【0056】
(第7の実施形態)
第5の実施形態では、障害物回避のためのハンド2の移動経路を、把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢に基づいて選択したが、他の位置姿勢計測装置7が計測した他の作業対象物4の位置姿勢も併せて使用して選択してもよい。
【0057】
第7の実施形態における制御処理の流れを図11に示す。図9との違いは、最初に他の位置姿勢計測装置7によって他の作業対象物4の位置姿勢計測を行っている点である(ステップS11)。
【0058】
ステップS13でハンド2の移動経路を選択する際には、作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢と、他の作業対象物4のロボットの基準座標系での位置姿勢の両方を用いる。ハンド2の移動経路も既に述べたようにシミュレーションによって、予め表の形で保持しておくことにより選択が可能である。
【0059】
(第8の実施形態)
第4〜7の実施形態では、アーム先端部11の移動経路或いはハンド2の移動経路のいずれか一方を選択していたが、両方を選択してもよい。第6の実施形態と第7の実施形態を組み合わせた制御処理の流れを図12に示す。図10との違いは、ステップS4の代わりにハンド2の移動経路を選択するステップS13を実行する点である。アーム先端部11及びハンド2の両者の移動経路を選択することにより、いずれか一方で障害物を回避していた場合に比べ、回避のために要する時間を短縮することが可能になる場合がある。
【0060】
なお、アーム先端部11及びハンド2の移動経路の選択は、既に述べたようにシミュレーションによって予め表の形で保持しておくことにより可能である。また、ここでは第6の実施形態と第7の実施形態を組み合わせたが、アーム先端部11の移動経路の選択とハンド2の移動経路の選択の両者を用いるのであれば、組み合せは問わない。
【0061】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ロボットの制御手法に関し、特に作業対象物の搬送や並び替え、また他の作業対象物との間での嵌合や組付けといった作業を行うシステムに用いて好適なものである。
【符号の説明】
【0063】
1:アーム、2:ハンド、3:作業対象物、4:他の作業対象物、5:ロボット制御装置、6:アプリケーション制御装置、7:他の位置姿勢計測装置、11:アーム先端部、21:把持部、22:位置姿勢計測装置、31:先端が柔軟な突起、41:穴部
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業対象物を把持して移動させるロボットシステム、その制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高品質の製品を安定して生産するため、また危険な作業や疲労を伴う作業等から人間を解放するため等の様々な目的のために産業用ロボットは生産現場に導入されてきている。
【0003】
従来からロボットのアームに作業対象物を把持するハンドを取り付け、予め定まった道筋に沿ってアームの移動やハンドの把持動作をさせることにより、単純作業を繰り返し行うことがなされている。単純作業の例としては、作業対象物の搬送や並び替え、他の作業対象物との間での嵌合や組付けといったものが挙げられる。
【0004】
例えば部品の搬送を例にとると、部品供給パレット上の所定の位置に部品が置かれているので、まずハンドで部品を把持できる位置までアームを移動する。次に、ハンドを動作させて部品を把持し、さらにアームを移動させて送り出しパレットの所定の位置に部品を搬送する。そして、ハンドを動作させて部品を解放する。
【0005】
しかしながら、作業対象物(部品)が部品供給パレット上の所定の位置姿勢に正確に配置されていないと、不完全把持となり、作業(搬送)を完了することが困難となる。そこで、特許文献1では、ハンドに距離検出器を備え、作業対象物の位置姿勢を把持直前に計測し、把持部の位置姿勢を作業対象物の位置姿勢に合わせた上で、把持を行っている。
【0006】
ところが、このように工夫を行っても作業対象物を把持する際に、ハンドの把持機構と作業対象物との接触により、作業対象物の位置姿勢がずれてしまうことがある。
【0007】
こうした状況を改善するには、作業対象物を把持した後に、作業対象物の位置姿勢を計測・修正すればよい。特許文献2では、作業対象物を把持した後に、既知の位置姿勢の物体に突き当てることにより、作業対象物の位置姿勢を計測し、本来の位置姿勢とのずれを修正した教示位置にロボットを順次移動させることにより、作業を実行している。また、特許文献3では、ハンド載置した作業対象物の正規の位置とのずれを検出し、そのずれを補償するようにハンドの移動を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−170771号公報「産業用ロボット装置」
【特許文献2】特開2009−50921号公報「ハンドリング装置」
【特許文献3】特開2000−71190号公報「ワーク搬送システム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の場合、把持した作業対象物の位置姿勢を計測する際に、作業対象物を既知の位置姿勢の物体に突き当てるため、サイクルタイムが増加してしまう、という課題があった。
【0010】
また、特許文献3の場合、作業対象物の位置ずれ補償を、ずれの分だけハンドの目標位置姿勢を補正することによって行っている。一般に多軸制御のアーム型産業用ロボットは剛性を保つためにアーム部の慣性モーメントは大きくなっており、時定数も大きくなる。また、逆キネマティクスを用いた経由地点の計算等では、通常系の中で最も大きなものを時定数として用いる。そのため、アームの移動時間を増加させずに位置姿勢の修正を完了するには、補正後の目標位置姿勢の決定を、目標到達予想時刻よりも時定数の大きさに応じた時間以前に完了しなければならない。以上より、多軸制御のアーム型産業用ロボット等の時定数の大きなシステムにおいてサイクルタイムを増加させないためには、把持した作業対象物の位置姿勢計測及び補正後の目標位置姿勢を決定するのに費やせる時間が短いという課題がある。
【0011】
また、前記従来技術は作業対象物の位置ずれを補正するものであり、他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う際に、他の作業対象物の位置ずれを補正することはできなかったという課題がある。
【0012】
さらに、前記従来技術は把持した対象物の位置ずれが大きい場合に、アーム移動中に他の障害物と衝突してしまう、或いは把持作業のやり直しを行わなければならないことがあるという課題がある。
【0013】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のロボットシステムは、アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段と、前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アーム先端部が移動している最中に、ハンドで把持した作業対象物のアーム先端部からの相対位置姿勢計測、及び、ハンドのアーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行う。これにより、サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係るロボットシステムの構成及び動作状態を示す図である。
【図2】第1の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係るロボットシステムの動作状態を示す図である。
【図4】第2の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】アーム先端部の移動完了後に突起の位置修正を行う場合の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態に係るロボットシステムの構成及び動作状態を示す図である。
【図7】第3の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第4の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第5の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第6の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第7の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第8の実施形態における制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)に、本発明を適用した実施形態に係るロボットシステムの構成例を示す。アーム1は多関節シリアルリンクロボットであり、各関節はモータによって駆動され、アーム先端部11の位置及び姿勢を制御可能である。
【0018】
アーム先端部11にはハンド2が取り付けられている。ハンド2は把持部(把持機構)21を備え、作業対象物3を把持及び解放することができる。また、ハンド2は、把持した物体の位置姿勢を修正するのに十分な範囲での、手首に相当する関節での回転機構や多関節指機構等の制御機構を備える。こうした機構は例えばパラレルリンク機構でも、XYZステージとパン・チルト・ロールの3軸雲台を組み合わせたものでも実現できる。なお、アーム部1の時定数は大きいが、ハンド2の時定数はそれに比較すると小さく、ハンド2は応答性の高い制御が可能である。
【0019】
さらに、ハンド2は、把持した作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測装置22を備える。こうした機構は例えばカメラと画像処理部を備えた視覚センサで実現できる。
【0020】
アーム1及びハンド2はロボット制御装置5により制御される。アプリケーション制御装置6は、ロボット制御装置5に指示を出してアーム1やハンド2を動作させ、また位置姿勢計測装置22の出力により把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢を知ることができる。本発明を適用した制御を実行するためのアプリケーションはアプリケーション制御装置6内に実装され、実行される。
【0021】
なお、本実施形態では、アーム1は多関節シリアルリンクロボット、ハンド2はパラレルリンク機構等を例示したが、どのような機構を用いるかは限定されるものではなく、他の機構を用いても構わない。
【0022】
ここで、把持部21で作業対象物3を把持した後、これを他の作業対象物4の穴部41に嵌合する作業を考える。図1(a)は把持部21で作業対象物3を把持した直後の様子を示し、図1(b)は作業対象物3を他の作業対象物4の穴部41に嵌合する直前の様子を示す。なお、図1(b)においては、ロボット制御装置5及びアプリケーション制御装置6の図示を省略する。また、図1(c)は作業対象物3を他の作業対象物4の穴部41に嵌合する直前のハンド2、作業対象物3及び他の作業対象物4の位置関係を示す。
【0023】
図2は、アプリケーション制御装置6で実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。まず、図1(a)に示すように、把持部21で作業対象物3を把持したことを確認する(ステップS1)。ところで、作業対象物3を把持した直後の状態では、まだ作業対象物3は部品供給台等に接触している。こうした状態で作業対象物3を持ち上げ、部品供給台等との接触がなくなると、作業対象物3の位置姿勢が僅かに変わってしまう可能性がある。このような位置姿勢が問題となる場合には、このステップS1に加えて、さらに作業対象物3を持ち上げたことを確認すればよい。なお、把持部21で作業対象物3を把持するまでの戦略については、本発明の対象外であるので割愛する。
【0024】
次に、図1(b)に示すように、アーム先端部11を目標位置姿勢PA1まで移動させる(ステップS2)。目標位置姿勢PA1とは、把持部21で作業対象物3を正規の位置姿勢PO2で把持した場合に、他の作業対象物4の穴部4に嵌合する直前のアーム先端部11のロボットの基準座標系における位置姿勢である。位置姿勢PO2は、アーム先端部11からの相対位置姿勢であり、続いて説明する作業対象物3の位置姿勢PO1、ハンド2の位置姿勢PH1、PH2も同様である。
【0025】
ところが、把持部21で作業対象物3を必ずしも正規の位置姿勢PO2で把持できるとは限らない。図1(c)の破線で示すように、作業対象物3を位置姿勢PO1で把持した場合、そのままの状態で嵌合作業を続けると、作業対象物3が他の作業対象物4に衝突してしまう。
【0026】
そこで、ステップS3〜S5で作業対象物3の位置姿勢計測を行い、位置姿勢をPO1から所定の相対位置姿勢PO2に修正する。これらステップS3〜S5による位置姿勢計測及び位置姿勢修正は、ステップS2でアーム先端部11が移動している最中に実行する。まず、位置姿勢計測装置22により、作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢PO1を計測する(ステップS3)。
【0027】
次に、現在のハンド2の位置姿勢PH1と作業対象物3の位置姿勢PO1(位置姿勢計測の結果)に基づいて、作業対象物3を正規の位置姿勢PO2に移動させたときのハンド2の目標位置姿勢PH2を算出する(ステップS4)。
【0028】
作業対象物3上に固定された座標系COを他の座標系に変換することを考える。位置姿勢PH1、PH2、PO1、PO2に対応する座標変換行列をそれぞれMHC1、MHC2、MVH1、MVH2とすると、COとハンド2上に固定された座標系との間の座標変換行列MOHを用いて、次のようになる。ただし、ここでは把持部21で作業対象物3を把持している間は、両者の位置姿勢関係は、不変であると仮定している。
MVH1・CO=MHC1・MOH・CO
MVH2・CO=MHC2・MOH・CO
よって、
MHC2=MVH2・(MVH1・MHC1-1)-1
となる。
【0029】
各変換行列は、XYZ座標系で並進成分(Tx、Ty、Tz)と各軸周りの回転成分(Rx、Ry、Rz)に分けると、同次座標として、次のような行列の積で表わされる。なお、行列の積の順序はハンド2の位置姿勢修正機構によるが、ここではZ軸、Y軸、X軸の回転を行った後に並進を行った場合を示す。
【0030】
【数1】
【0031】
そして、ハンド2を現在の位置姿勢PH1から目標位置姿勢PH2に移動させる(ステップS5)。
【0032】
以上述べた制御手法を用いると、把持部21で作業対象物3をどのような位置姿勢で把持しようとも、アーム先端部11の移動動作には影響しない。したがって、アーム先端部11が目標位置姿勢PA1に移動するまでに作業対象物3の位置姿勢修正を完了するようにすると、サイクルタイムを増加させることなく嵌合作業を行うことができる。
【0033】
また、把持部21で作業対象物3を把持した後に位置姿勢修正を行うので、把持前の作業対象物3の位置姿勢は作業対象物3を把持可能な程度にわかっていればよい。したがって、把持前に作業対象物3の位置姿勢計測を行う把持戦略を用いる場合には、高精度の位置姿勢計測は不要である。
【0034】
以上のように、アーム先端部が移動している最中に、ハンドで把持した作業対象物のアーム先端部からの相対位置姿勢計測、及び、ハンドのアーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行う。これにより、サイクルタイムを増加させることなく、ハンドで把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行うことができる。また、時定数の大きなシステムにおいて、把持した作業対象物3の位置姿勢測定及び補正後の目標位置姿勢を決定するのに費やせる時間を長くできるという効果がある。さらに、把持前に作業対象物3の位置姿勢を正確に測定しなくてもよいという効果がある。
【0035】
(第2の実施形態)
作業対象物3は剛体でなくともよい。例えば図3に示すように、作業対象物3の先端が柔軟な突起31であるとする。この柔軟な突起31を他の作業対象物4の穴部41に挿入する作業を考える。
【0036】
第2の実施形態における制御処理の流れを図4に示す。ステップS1〜S5までの処理は図2の場合と同様である。ただし、この場合、位置姿勢計測装置22で計測する位置姿勢は作業対象物3の柔軟な突起31の先端である。
【0037】
ステップS1〜S5までの処理を終えても、必ずしも突起31の先端が正規の相対位置姿勢にあるとは限らない。これは、突起31の自重で突起31が変形してしまうからである。そこで、ステップS5を終えた後、アーム先端部11が目標位置姿勢PA1まで移動を完了しているかどうかを確認する(ステップS6)。そして、移動中であれば再度突起31の位置姿勢の計測(ステップS3)及び修正(ステップS4)を行い、ハンド2を移動させる(ステップS5)。
【0038】
このようにすることで、たとえアーム先端部11の移動が完了したときに突起31が正規の相対位置姿勢ではなかったとしても、そのずれは僅かであることが期待でき、アーム移動完了後の突起31の位置修正を短時間で完了することができる。
【0039】
なお、アーム先端部11の移動完了後に突起31の位置修正を行う場合の制御処理の流れを図5に示す。ステップS7〜S9は、図4の場合と同様である。その後の条件判断で突起31が正規の位置姿勢であれば完了、そうでなければステップS7〜S9を繰り返す(ステップS10)。
【0040】
以上のように、アーム先端部11が移動している最中に位置姿勢計測及び位置姿勢修正を繰り返し実行することにより、変形が容易に起こり得る柔軟物の組付けに対しても、変形状態に追随した適切な相対位置姿勢修正を行うことができる。
【0041】
(第3の実施形態)
上記実施形態では、他の作業対象物4は正規の位置姿勢からのずれがないものとして扱っているが、作業対象物3と同様に他の作業対象物4も正規の位置姿勢からずれていることがある。
【0042】
そこで、他の作業対象物4の位置姿勢のずれを考慮にいれる。図6に、第3の実施形態に係るロボットシステムの構成例を示す。図1と比べ、他の位置姿勢計測装置7が追加されている。他の位置姿勢計測装置7は、他の作業対象物4の位置姿勢を計測し、アプリケーション制御装置6に通知する。他の位置姿勢計測装置7は例えばカメラを用いた視覚センサで実現できる。なお、他の位置姿勢計測装置7の位置姿勢計測方式は、他の作業対象物4の位置姿勢を計測できるものであれば、その方式は問わない。
【0043】
第3の実施形態における制御処理の流れを図7に示す。図2と同様であるが、ステップS1の前に、他の作業対象物4の位置姿勢を計測するステップS11が追加されている。なお、このステップS11は、ステップS4よりも前であればどの時点であっても構わない。
【0044】
図2の制御処理の流れにおいては、ハンド2の移動修正量計算(ステップS4)で、現在のハンド2の位置姿勢PH1と作業対象物3の位置姿勢PO1に基づいて、作業対象物3を正規の位置姿勢PO2に移動させたときのハンド2の目標位置姿勢PH2を算出した。本実施形態では、ステップS4でさらに他の作業対象物4の位置姿勢を考慮に入れる。具体的には、他の作業対象物4の正規の位置姿勢からのずれをキャンセルするように、ステップS4で計算される移動修正量をさらに補正すればよい。例えば、位置姿勢PH1及びPH2がXYZ方向の並進量と各軸周りの回転量の6要素で表わされる場合、修正量はPH2−PH1で得られる。
【0045】
以上のように、他の作業対象物4に対して嵌合又は組付け作業を行う際に、他の作業対象物4の位置ずれを補正することができるという効果がある。なお、第1の実施形態をベースに説明したが、第2の実施形態において図4のステップS4、図5のステップS8でもハンド2の移動修正量を計算する際に同様の補正を施すことにより、本発明は適用できる。
【0046】
(第4の実施形態)
把持部21で把持した際の作業対象物3の位置姿勢によっては、アーム先端部11の移動によって作業対象物3と障害物が衝突してしまうこともある。そこで、アーム先端部11の移動経路を予め複数定めておき、把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢に基づいて選択する。
【0047】
どのようにして経路を選定・選択するかは限定されるものではないが、作業対象物3の位置姿勢と、障害物と衝突することなく移動可能な経路とを、予めシミュレーションを行い対応付けておくことで実施可能である。具体的には、作業対象物3の位置姿勢に対応する、障害物と衝突することなく移動可能なアーム先端部11の移動経路を表の形にして、保持しておく。シミュレーション時に作成したこの表を実行時に参照して、作業対象物3の位置姿勢に対応するアーム先端部11の移動経路を選択する。
【0048】
第4の実施形態における制御処理の流れを図8に示す。図2との違いは、ステップS3の処理を分岐処理の前に行う点、ステップS2の前にアーム先端部11の移動経路を選択するステップS12を実行する点である。
【0049】
ステップS3で、作業対象物3のアーム先端部11からの位置姿勢を計測する。ここで処理を二つに分岐して、一方ではアーム先端部11の移動を行う。まずステップS3で計測した作業対象物3の位置姿勢からアーム先端部11の移動経路を、予め定められた中から選択する(ステップS12)。そして、選択された経路に沿ってアーム先端部11を目標位置姿勢PA1まで移動させる(ステップS2)。
【0050】
アーム先端部11の移動と並行して、分岐した処理にてハンド2の位置修正を行う。位置修正は、図2の場合と同様で、まずハンド2の位置姿勢の修正量を計算し(ステップS4)、それに従いハンド2を移動させる(ステップS5)。
【0051】
以上のように、把持した作業対象物の位置姿勢にバラつきが大きい場合等に、アーム先端部11の移動中に他の障害物と衝突することを避ける、或いは把持作業のやり直しを行わなくてよいという効果がある。
【0052】
(第5の実施形態)
第4の実施形態で述べた障害物回避のための経路選択は、ハンド2の移動経路を選択することによっても可能である。第5の実施形態における制御処理の流れを図9に示す。図2との違いは、ステップS4の代わりにハンド2の移動経路を選択するステップS13を実行する点である。予め設定する経路の選定は、第4の実施形態と同様に、シミュレーションにより表を作成しておくことができる。また、経路選択は、この表を参照することにより作業対象物3の位置姿勢から得ることができる。
【0053】
(第6の実施形態)
第4の実施形態では、障害物回避のためのアーム先端部11の移動経路を、把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢に基づいて選択したが、他の位置姿勢計測装置7が計測した他の作業対象物4の位置姿勢も併せて使用して選択してもよい。
【0054】
第6の実施形態における制御処理の流れを図10に示す。図8との違いは、最初に他の位置姿勢計測装置7によって他の作業対象物4の位置姿勢計測を行っている点である(ステップS11)。
【0055】
ステップS12でアーム先端部11の移動経路を選択する際には、作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢と、他の作業対象物4のロボットの基準座標系での位置姿勢の両方を用いる。具体的には、これら両方の位置姿勢の組み合せに対して、障害物回避が行えるアーム先端部11の移動経路をシミュレーションによって予め表にしておき、実行時にはこの表を参照することによりアーム先端部11の移動経路を選択する。
【0056】
(第7の実施形態)
第5の実施形態では、障害物回避のためのハンド2の移動経路を、把持部21で把持した作業対象物3の位置姿勢に基づいて選択したが、他の位置姿勢計測装置7が計測した他の作業対象物4の位置姿勢も併せて使用して選択してもよい。
【0057】
第7の実施形態における制御処理の流れを図11に示す。図9との違いは、最初に他の位置姿勢計測装置7によって他の作業対象物4の位置姿勢計測を行っている点である(ステップS11)。
【0058】
ステップS13でハンド2の移動経路を選択する際には、作業対象物3のアーム先端部11からの相対位置姿勢と、他の作業対象物4のロボットの基準座標系での位置姿勢の両方を用いる。ハンド2の移動経路も既に述べたようにシミュレーションによって、予め表の形で保持しておくことにより選択が可能である。
【0059】
(第8の実施形態)
第4〜7の実施形態では、アーム先端部11の移動経路或いはハンド2の移動経路のいずれか一方を選択していたが、両方を選択してもよい。第6の実施形態と第7の実施形態を組み合わせた制御処理の流れを図12に示す。図10との違いは、ステップS4の代わりにハンド2の移動経路を選択するステップS13を実行する点である。アーム先端部11及びハンド2の両者の移動経路を選択することにより、いずれか一方で障害物を回避していた場合に比べ、回避のために要する時間を短縮することが可能になる場合がある。
【0060】
なお、アーム先端部11及びハンド2の移動経路の選択は、既に述べたようにシミュレーションによって予め表の形で保持しておくことにより可能である。また、ここでは第6の実施形態と第7の実施形態を組み合わせたが、アーム先端部11の移動経路の選択とハンド2の移動経路の選択の両者を用いるのであれば、組み合せは問わない。
【0061】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ロボットの制御手法に関し、特に作業対象物の搬送や並び替え、また他の作業対象物との間での嵌合や組付けといった作業を行うシステムに用いて好適なものである。
【符号の説明】
【0063】
1:アーム、2:ハンド、3:作業対象物、4:他の作業対象物、5:ロボット制御装置、6:アプリケーション制御装置、7:他の位置姿勢計測装置、11:アーム先端部、21:把持部、22:位置姿勢計測装置、31:先端が柔軟な突起、41:穴部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、
前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、
前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段と、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行うことを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記アーム先端部が移動を完了する前に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を完了することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を、前記アーム先端部が移動している最中に繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記把持した作業対象物を他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う場合に、前記他の作業対象物の位置姿勢を計測する他の位置姿勢計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記所定の相対位置姿勢を、前記位置姿勢計測手段による前記作業対象物の位置姿勢計測の結果と、前記他の位置姿勢計測手段による前記他の作業対象物の位置姿勢計測の結果の両方を用いて決定することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記アーム先端部の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果に基づいて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記把持した作業対象物の位置姿勢修正において、前記作業対象物の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果に基づいて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記把持した作業対象物を他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う場合に、前記他の作業対象物の位置姿勢を計測する他の位置姿勢計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記アーム先端部の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果と前記他の位置姿勢計測装置による他の作業対象物の位置姿勢計測の結果の両方を用いて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記把持した作業対象物を他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う場合に、前記他の作業対象物の位置姿勢を計測する他の位置姿勢計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記把持した作業対象物の位置姿勢修正において、前記作業対象物の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果と前記他の位置姿勢計測装置による他の作業対象物の位置姿勢計測の結果の両方を用いて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項9】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段とを備えたロボットシステムの制御装置であって、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢を修正することを特徴とするロボットシステムの制御装置。
【請求項10】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段とを備えたロボットシステムの制御方法であって、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御ステップを有し、
前記制御ステップは、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢を修正することを特徴とするロボットシステムの制御方法。
【請求項11】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段とを備えたロボットシステムを制御するためのプログラムであって、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御処理をコンピュータに実行させ、
前記制御処理は、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢を修正することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、
前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、
前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段と、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢の修正を行うことを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記アーム先端部が移動を完了する前に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を完了することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を、前記アーム先端部が移動している最中に繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記把持した作業対象物を他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う場合に、前記他の作業対象物の位置姿勢を計測する他の位置姿勢計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記所定の相対位置姿勢を、前記位置姿勢計測手段による前記作業対象物の位置姿勢計測の結果と、前記他の位置姿勢計測手段による前記他の作業対象物の位置姿勢計測の結果の両方を用いて決定することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記アーム先端部の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果に基づいて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記把持した作業対象物の位置姿勢修正において、前記作業対象物の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果に基づいて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記把持した作業対象物を他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う場合に、前記他の作業対象物の位置姿勢を計測する他の位置姿勢計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記アーム先端部の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果と前記他の位置姿勢計測装置による他の作業対象物の位置姿勢計測の結果の両方を用いて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記把持した作業対象物を他の作業対象物に対して嵌合又は組付け作業を行う場合に、前記他の作業対象物の位置姿勢を計測する他の位置姿勢計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記把持した作業対象物の位置姿勢修正において、前記作業対象物の移動経路を、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測の結果と前記他の位置姿勢計測装置による他の作業対象物の位置姿勢計測の結果の両方を用いて、予め定められた複数の経路のうちから選択することを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項9】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段とを備えたロボットシステムの制御装置であって、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢を修正することを特徴とするロボットシステムの制御装置。
【請求項10】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段とを備えたロボットシステムの制御方法であって、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御ステップを有し、
前記制御ステップは、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢を修正することを特徴とするロボットシステムの制御方法。
【請求項11】
アーム先端部の位置姿勢を制御可能なアームと、前記アーム先端部に取り付けられ、作業対象物を把持する把持機構を具備し、前記把持機構で把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢を制御可能なハンドと、前記ハンドで把持した前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢計測を行う位置姿勢計測手段とを備えたロボットシステムを制御するためのプログラムであって、
前記把持機構で前記作業対象物を把持した後、前記アーム先端部が移動している最中に、前記把持した作業対象物の位置姿勢計測及び位置姿勢修正を行う制御処理をコンピュータに実行させ、
前記制御処理は、
前記位置姿勢計測で、前記作業対象物の前記アーム先端部からの相対位置姿勢の計測を行い、
前記位置姿勢修正で、前記位置姿勢計測の結果に基づいて、前記作業対象物が前記アーム先端部からの所定の相対位置姿勢をとるように、前記ハンドの前記アーム先端部からの相対位置姿勢を修正することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−131300(P2011−131300A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291238(P2009−291238)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]