ロボット制御装置およびロボット制御装置の制御方法
【課題】待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能で、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能なロボット制御装置を提供する。
【解決手段】ロボット制御装置15は、産業用ロボットを駆動するためのモータ17と、モータ17を制動するための制動手段18と、モータ17を駆動するモータ駆動手段20と、モータ駆動手段20に電力を供給する電力供給手段21と、制動手段18、モータ駆動手段20および電力供給手段21を制御する制御手段22とを備えている。制御手段22は、制動手段18を作動させてモータ17を停止させるとともに、制動手段18の作動中に電力供給手段21を制御してモータ駆動手段20に電力を供給しながらモータ駆動手段20を制御してモータ17への電流の供給を停止する。
【解決手段】ロボット制御装置15は、産業用ロボットを駆動するためのモータ17と、モータ17を制動するための制動手段18と、モータ17を駆動するモータ駆動手段20と、モータ駆動手段20に電力を供給する電力供給手段21と、制動手段18、モータ駆動手段20および電力供給手段21を制御する制御手段22とを備えている。制御手段22は、制動手段18を作動させてモータ17を停止させるとともに、制動手段18の作動中に電力供給手段21を制御してモータ駆動手段20に電力を供給しながらモータ駆動手段20を制御してモータ17への電流の供給を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットを制御するためのロボット制御装置およびロボット制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板を搬送するための産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この種の産業用ロボットは、アームを昇降させるサーボモータを備えており、アームが所定の高さで待機しているときには、アームやガラス基板等が落下しないように、このサーボモータに電流を供給してサーボモータを停止させることがある。そのため、この産業用ロボットでは、待機時の消費電力が大きくなる傾向になる。
【0003】
また、従来、待機時の消費電力を低減することが可能な射出成形装置用の搬送装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の搬送装置では、成形品のチャック部が所定の高さで待機しているときには、機械式のブレーキによってサーボモータを停止させることで、チャック部や成形品の落下を防止している。また、この搬送装置では、成形品のチャック部が所定の高さで待機しているときには、チャック部を昇降させるサーボモータを駆動するモータドライバへの電力の供給を停止することで、待機時の消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6535号公報(図6)
【特許文献2】特開2002−144275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶ディスプレイ用のガラス基板は大型化する傾向にあり、その結果、ガラス基板を搬送する産業用ロボットでは、ガラス基板が搭載されるハンドやアームも大型化する傾向にある。そのため、ハンドやアームが大型化した産業用ロボットにおいて、サーボモータに電流を供給した状態でアームを所定の高さで待機させると、莫大な電力を消費するおそれがある。しかし、この消費電力の問題は、特許文献2に記載の構成をこの産業用ロボットに利用することで解決を図ることが可能である。すなわち、特許文献2に記載の構成をこの産業用ロボットに利用すれば、産業用ロボットのハンドやアーム等が大型化しても、待機時のアームやガラス基板等の落下を防止しつつ待機時の消費電力を低減することが可能になる。
【0006】
一方で、近年、ガラス基板等の搬送に利用される産業用ロボットには、単位時間あたりの処理能力(すなわち、単位時間当たりの搬送能力)であるスループットの向上も求められている。
【0007】
そこで、本発明の課題は、待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能で、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能なロボット制御装置、および、ロボット制御装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のロボット制御装置は、産業用ロボットを駆動するためのモータと、モータを制動するための制動手段と、モータを駆動するモータ駆動手段と、モータ駆動手段に電力を供給する電力供給手段と、制動手段、モータ駆動手段および電力供給手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、制動手段を作動させてモータを停止させるとともに、制動手段の作動中に電力供給手段を制御してモータ駆動手段に電力を供給しながらモータ駆動手段を制御してモータへの電流の供給を停止することを特徴とする。本発明において、モータは、たとえば、産業用ロボットのアームを昇降させる。
【0009】
本発明のロボット制御装置では、制御手段は、制動手段を作動させてモータを停止させるとともに、制動手段の作動中にモータ駆動手段を制御してモータへの電流の供給を停止している。そのため、産業用ロボットの待機時には、たとえば、モータによって昇降するアーム等の落下を防止しつつ、待機時における産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、制御手段は、制動手段の作動中にモータ駆動手段に電力を供給しながらモータへの電流の供給を停止している。そのため、制動手段の作動中に、モータ駆動手段への電力の供給を停止することでモータへの電流の供給を停止する場合と比較して、制動手段を解除してモータを再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。すなわち、待機状態の産業用ロボットを再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。
【0011】
本発明において、モータ駆動手段は、制御手段からモータへの電流供給停止指令が入力されると、モータに流れる電流を監視しながらモータへ電流が供給されないように所定の制御を行うことが好ましい。このように構成すると、制御手段がモータに流れる電流を監視しながら、モータへ電流が供給されないようにモータ駆動手段を制御する場合と比較して、制御手段での処理を簡素化することが可能になる。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、本発明のロボット制御装置の制御方法は、産業用ロボットを駆動するためのモータと、モータを制動するための制動手段と、モータを駆動するモータ駆動手段とを備えるロボット制御装置の制御方法であって、制動手段が作動してモータが停止するとともに電力が供給された状態のモータ駆動手段がモータへの電流の供給を停止する産業用ロボットの待機モードへの移行ステップを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のロボット制御装置の制御方法では、待機モードへの移行ステップを経て待機モードへ移行すると、制動手段が作動してモータが停止するとともに電力が供給された状態のモータ駆動手段がモータへの電流の供給を停止する。そのため、産業用ロボットの待機時には、たとえば、モータによって昇降するアーム等の落下を防止しつつ、待機時における産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になる。また、本発明では、待機モードにおいて、電力が供給された状態のモータ駆動手段がモータへの電流の供給を停止するため、待機モードにおいて、モータ駆動手段への電力の供給を停止することでモータへの電流の供給を停止する場合と比較して、待機モードの産業用ロボットが再起動するまでの時間を短縮することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。
【0014】
本発明において、ロボット制御装置の制御方法は、モータ駆動手段がモータへ電流を供給してモータを停止させている状態でモータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、第1判断ステップでモータの駆動命令がない場合に待機モードへの移行命令があるか否かを判断する第2判断ステップと、第2判断ステップで待機モードへの移行命令がある場合に待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、経過時間計測開始ステップ後、待機モード移行時間の経過前にモータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、第3判断ステップで、モータの駆動命令がないまま待機モード移行時間が経過すると、移行ステップへ進むことが好ましい。
【0015】
このように構成すると、第2判断ステップで待機モードへの移行命令がある場合にのみ、経過時間計測開始ステップで経過時間の計測を始める。そのため、第1判断ステップでモータの駆動命令がないたびに、経過時間計測開始ステップで経過時間の計測を始める場合と比較して、ロボット制御装置での制御処理を簡素化することが可能になる。また、第1判断ステップでモータの駆動命令がないたびに、経過時間計測開始ステップで経過時間の計測を始める場合と比較して、待機モードへの移行頻度を低減することが可能になる。したがって、待機状態にある産業用ロボットを再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。
【0016】
また、このように構成すると、第2判断ステップで待機モードへの移行命令がある場合にのみ、待機モードに移行することが可能になるため、産業用ロボットが所定の状態にあるときだけ、待機モードに移行することが可能になる。さらに、このように構成すると、移行時間設定ステップにおいて、産業用ロボットの状況や産業用ロボットが設置されるシステム全体の状況等に応じた適切な待機モード移行時間を設定することが可能になる。
【0017】
また、本発明において、ロボット制御装置の制御方法は、モータ駆動手段がモータへ電流を供給してモータを停止させている状態でモータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、第1判断ステップでモータの駆動命令がない場合に待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、経過時間計測開始ステップ後、待機モード移行時間の経過前にモータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、第3判断ステップで、モータの駆動命令がないまま待機モード移行時間が経過すると、移行ステップへ進んでも良い。この場合には、移行時間設定ステップにおいて、産業用ロボットの状況や産業用ロボットが設置されるシステム全体の状況等に応じた適切な待機モード移行時間を設定することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のロボット制御装置では、待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になり、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。また、本発明のロボット制御装置の制御方法によれば、待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になり、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【図2】図1のE−E方向から産業用ロボットを示す図である。
【図3】図1に示す産業用ロボットの概略動作を説明するための概念図である。
【図4】図1に示す産業用ロボットのロボット制御装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図1に示す産業用ロボットの待機モードに関連するロボット制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す産業用ロボットの待機モードに関連するロボット制御装置の制御フローの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1のE−E方向から産業用ロボット1を示す図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の概略動作を説明するための概念図である。
【0022】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、たとえば、液晶ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するための搬送用のロボットである。このロボット1は、特に大型の基板2の搬送に適した大型のロボットである。図1、図2に示すように、ロボット1は、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、2本のアーム4の基端側を支持するとともに上下動可能な支持部材8と、支持部材8を上下方向に移動可能に支持する柱状部材9と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台10と、柱状部材9の下端が固定されるとともに基台10に対して旋回可能な旋回部材11とを備えている。
【0023】
ハンド3の基端は、アーム4の先端に回動可能に連結されている。アーム4は、2個の関節部を有し、本体部5に対して伸縮するように構成されている。また、アーム4の基端は、支持部材8に固定されている。本形態では、2個のハンド3と2本のアーム4とが上下方向に重なるように配置されている。
【0024】
このロボット1では、柱状部材9に対して支持部材8がハンド3およびアーム4と一緒に上下動する。すなわち、矢印Zの方向へ支持部材8が移動する。また、本体部5に対してアーム4が伸縮する。具体的には、矢印Zの方向に略直交する矢印Xの方向へハンド3が直線状に移動するようにアーム4が伸縮する。さらに、ベース部材6に対して基台10が水平移動する。具体的には、矢印Zの方向と矢印Xの方向とに略直交する矢印Yの方向に基台10が水平移動する。さらに、基台10に対して旋回部材11が旋回する。
【0025】
これらの動作によって、ロボット1は、基板2の搬送を行う。たとえば、図3に示すように、ロボット1は、上流工程から供給される基板2を取出位置P1で供給用のカセット(図示省略)から取り出して、取り出した基板2を排出位置P2で排出用のカセット(図示省略)に置いた後に、待機位置P3で待機する。
【0026】
取出位置P1では、ロボット1は、縮んでいたアーム4を伸ばして、供給用のカセットの中の基板2をハンド3に載置する。取出位置P1で基板2をハンド3に載置すると、ロボット1は、伸びていたアーム4を縮ませるとともに、旋回部材11を180°旋回させながら、排出位置P2へ向かう。排出位置P2へ向かうときには、たとえば、支持部材8がハンド3およびアーム4と一緒に矢印Zの方向へ移動し、また、ベース部材6に対して基台10が矢印Yの方向へ移動する。
【0027】
排出位置P2では、ロボット1は、縮んでいたアーム4を再び伸ばして、排出用のカセットの中に基板2を置く。排出位置P2で排出用のカセットの中に基板2を置くと、ロボット1は、伸びていたアーム4を再び縮ませるとともに、旋回部材11を180°旋回させて、待機位置P3へ向かう。待機位置P3へ向かうときには、たとえば、支持部材8がハンド3およびアーム4と一緒に矢印Zの方向へ移動し、また、ベース部材6に対して基台10が矢印Yの方向へ移動する。また、ロボット1は、取出位置P1への移動命令があるまで、待機位置P3で待機する。なお、ロボット1は、取出位置P1において、たとえば、2m(メートル)の高さに配置される基板2を取り出し、排出位置P2において、たとえば、3mの高さに基板2を置く。また、ロボット1は、待機位置P3において、たとえば、ハンド3およびアーム4の高さが2mとなっている状態で待機する。
【0028】
(ロボット制御装置の構成)
図4は、図1に示す産業用ロボット1のロボット制御装置15の概略構成を説明するためのブロック図である。
【0029】
ロボット1は、ロボット1を制御するためのロボット制御装置15を備えている。ロボット制御装置15は、ロボット1を制御するコントローラ16と、支持部材8を昇降させる(すなわち、ハンド3およびアーム4を昇降させる)昇降用モータ17と、昇降用モータ17を制動するための制動手段としての電磁ブレーキ18とを備えている。また、コントローラ16には、PLC(Programmable Logic Controller)等の上位制御装置19が接続されている。上位制御装置19は、ロボット1を含む基板2の製造システムの全体を制御する機能を果たしている。なお、本形態の昇降用モータ17は、ロボット1を駆動するためのモータである。
【0030】
コントローラ16は、昇降用モータ17を駆動するモータ駆動手段としてのモータドライバ20と、モータドライバ20に電力を供給する電力供給手段21とを備えている。また、コントローラ16は、電磁ブレーキ18、モータドライバ20および電力供給手段21を制御する制御手段としての制御回路22を備えている。電力供給手段21は、電源24と、スイッチ25と、電源回路26とから構成されている。制御回路22は、CPU27と、ROM28と、RAM29とを備えている。
【0031】
昇降用モータ17は、サーボモータである。具体的には、本形態の昇降用モータ17は、DCブラシレスモータである。この昇降用モータ17は、昇降用モータ17をサーボ制御するためのエンコーダ30を備えている。エンコーダ30は、制御回路22のCPU27に接続されており、エンコーダ30からの出力信号は、CPU27に入力される。
【0032】
電磁ブレーキ18は、たとえば、無励磁作動型のブレーキであり、コイルが収納されるケース体と、ケース体に固定されるサイドプレートと、ケース体に対して軸方向に移動可能に配置されるアマーチュアと、サイドプレートとアマーチュアとの間に配置されるブレーキディスクと、アマーチュアをブレーキディスクに向かって付勢する圧縮コイルバネとを備えている。ブレーキディスクは、昇降用モータ17の出力軸に連結される減速機の入力軸に固定されている。
【0033】
また、電磁ブレーキ18は、スイッチ31を介して電源24に接続されている。スイッチ31には、CPU27が接続されている。本形態では、CPU27からの制御信号に基づいてスイッチ31が閉じると、電源24から電磁ブレーキ18に電流が供給されて電磁ブレーキ18のコイルが通電状態になる。コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。一方、CPU27からの制御信号に基づいてスイッチ31が開くと、電磁ブレーキ18のコイルへの通電が停止される。コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、減速機は急激に制動される。すなわち、昇降用モータ17は急激に制動される。なお、この電磁ブレーキ18は、基板2、ハンド3、アーム4および支持部材8等を含む上下方向に移動する部分を十分に停止させることができる制動力を有している。
【0034】
モータドライバ20は、サーボモータである昇降用モータ17を駆動するサーボドライバであり、トランジスタ等の半導体スイッチ(図示省略)やCPU(図示省略)等を備えている。モータドライバ20には、電源回路26とCPU27とが接続されている。このモータドライバ20は、CPU27からの制御信号に基づいて、昇降用モータ17に電流を供給して昇降用モータ17を駆動する。なお、本形態のモータドライバ20は、後述のロボット1の待機モードにおいて、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行う。
【0035】
電源24は、交流電源である。この電源24は、スイッチ25を介して電源回路26に接続されるとともに、スイッチ31を介して電磁ブレーキ18に接続されている。電源回路26は、電源24から入力される交流電力を直流電力に変換してモータドライバ20に供給する機能を果たしており、図示を省略する整流ダイオードやコンデンサ等を備えている。また、電源回路26は、スイッチ25が閉じたときの突入電流によるスイッチ25の溶着等を防止するための突入電流防止抵抗(図示省略)等を備えている。
【0036】
ROM28およびRAM29は、CPU27に接続されている。ROM28には、ロボット制御装置15を制御するための制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムは、取出位置P1から排出位置P2への移動命令、排出位置P2から待機位置P3への移動命令、待機位置P3から取出位置P1への移動命令および後述の待機モードへの移行命令等によって構成されている。RAM29には、CPU27で所定の演算を行うための各種の情報が一時的に記憶される。また、制御回路22には、スイッチ32を介して電源33が接続されている。
【0037】
本形態では、ロボット1が待機位置P3にあるときに所定の条件を満足すると、電磁ブレーキ18を作動させて昇降用モータ17を停止させるとともに、モータドライバ20に電力を供給しながら昇降用モータ17への電流の供給を停止するロボット1の待機モードへ移行する。以下、この待機モードに関連するロボット制御装置15の制御方法の一例を説明する。
【0038】
(ロボット制御装置の制御方法)
図5は、図1に示す産業用ロボット1の待機モードに関連するロボット制御装置15の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0039】
図5に示すように、ロボット1全体の電源が投入されると、CPU27からの制御指令に基づいて、ロボット制御装置15は、所定の初期化動作を行う(ステップS1)。また、CPU27は、スイッチ25をオンの状態にし、電源回路26を介して電源24からモータドライバ20に電力が供給されてモータドライバ20がオンの状態になるまで待つ(ステップS2)。具体的には、CPU27は、ステップS2において、モータドライバ20に安定した直流電力が供給されるまで待つ。
【0040】
その後、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令があったか否かを判断する(ステップS3)。すなわち、ステップS3において、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令を待つ。具体的には、ステップS3において、CPU27は、待機位置P3から取出位置P1への移動命令を待つ。
【0041】
ステップS3において、駆動命令があると、CPU27は、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17をオンの状態にする(ステップS4)。すなわち、CPU27は、モータドライバ20を制御して、昇降用モータ17に電流を供給する。また、CPU27は、スイッチ31をオンの状態にして(閉じて)、電磁ブレーキ18をオフの状態にする(ステップS5)。すなわち、CPU27は、電磁ブレーキ18を解除する。電磁ブレーキ18が解除されると、昇降用モータ17が駆動する。
【0042】
その後、CPU27は、駆動命令に基づく移動が完了して昇降用モータ17が停止したか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6で、昇降用モータ17が停止して、ロボット1が停止すると、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の次の駆動命令があるか否かを判断する(ステップS7)。すなわち、ステップS7では、CPU27は、制御プログラムに基づく取出位置P1から排出位置P2への移動命令、排出位置P2から待機位置P3への移動命令あるいは待機位置P3から取出位置P1への移動命令があるか否かを判断する。なお、ステップS6で、昇降用モータ17が停止する場合には、昇降用モータ17に電流が供給された状態で昇降用モータ17が停止する。すなわち、この場合には、所定の位置にあるハンド3やアーム4等が落下しないように、昇降用モータ17を通電状態にしておく。
【0043】
ステップS7において、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令があった場合には、昇降用モータ17が駆動してステップS6に戻る。一方、ステップS7において、昇降用モータ17の駆動命令がない場合には、CPU27は、ロボット1の待機モードへ移行するための移行命令があったか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、ステップS8において、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく待機モードへの移行命令があったか否かを判断する。
【0044】
上述のように、本形態では、ロボット1が待機位置P3にあるときに待機モードへ移行するため、ロボット1が取出位置P1あるいは排出位置P2にあって、ステップS8で、移行命令がない場合には、ステップS7へ戻る。一方、ロボット1が待機位置P3にあり、かつ、ステップS8で移行命令があった場合には、CPU27は、待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する(ステップS9)。
【0045】
ステップS9では、CPU27は、上位制御装置19から入力される情報に基づいて適切な待機モード移行時間を設定する。たとえば、上流工程での処理状況等の影響で、現状、取出位置P1に基板2はないが、比較的短時間で取出位置P1に基板2が供給されるような場合には、ステップS9において、CPU27は、比較的長い待機モード移行時間を設定する。また、たとえば、上流工程での処理状況等の影響で、現状、取出位置P1に基板2がなく、かつ、取出位置P1に基板2が供給されるまでに時間がかかることが明らかな場合には、CPU27は、ステップS9において、比較的短い待機モード移行時間を設定する。
【0046】
ステップS9で待機モード移行時間が設定されると、CPU27は、待機モード移行時間設定後の経過時間の計測を始める(ステップS10)。また、CPU27は、経過時間の計測開始後、待機モード移行時間が経過したか否かを判断し(ステップS11)、待機モード移行時間が経過していない場合には、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の次の駆動命令があるか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、ステップS12では、CPU27は、制御プログラムに基づく待機位置P3から取出位置P1への移動命令があるか否かを判断する。
【0047】
ステップS12において、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令があった場合には、昇降用モータ17が駆動してステップS6に戻る。一方、ステップS12において、昇降用モータ17の駆動命令がない場合には、ステップS11へ戻る。
【0048】
また、ステップS11において、経過時間の計測開始後、待機モード移行時間が経過した場合には、CPU27は、スイッチ31をオフの状態にして(開いて)、電磁ブレーキ18をオンの状態にする(ステップS13)。すなわち、ステップS13では、CPU27は電磁ブレーキ18を作動させて昇降用モータ17を停止させる。
【0049】
また、CPU27は、電磁ブレーキ18を作動させた状態で、かつ、スイッチ25のオンの状態を維持してモータドライバ20に電力を供給しながら、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17をオフの状態にする(ステップS14)。すなわち、ステップS14では、CPU27は、電力供給手段21を制御してモータドライバ20に電力を供給しながら、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17への電流の供給を停止する。具体的には、ステップS14では、CPU27は、モータドライバ20に対して昇降用モータ17への電流供給停止指令を出力し、モータドライバ20は、CPU27から昇降用モータ17への電流供給停止指令が入力されると、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行う。たとえば、モータドライバ20は、モータドライバ20の半導体スイッチのオンオフ制御を行ったり、この半導体スイッチをオフの状態にしたりすることで、昇降用モータ17へ電流が供給されないようにする。
【0050】
ステップS14で、電力が供給された状態のモータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止すると、ロボット1の待機モードとなる。また、ロボット1が待機モードになると、ステップS3へ戻る。
【0051】
本形態では、ステップS7は、モータドライバ20が昇降用モータ17へ電流を供給して昇降用モータ17を停止させている状態で昇降用モータ17の駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップであり、ステップS8は、第1判断ステップであるステップS7で昇降用モータ17の駆動命令がない場合に待機モードへの移行命令があるか否かを判断する第2判断ステップである。また、ステップS9は、第2判断ステップであるステップS8で待機モードへの移行命令がある場合に待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップであり、ステップS10は、移行時間設定ステップであるステップS9後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップである。さらに、ステップS11、S12は、経過時間計測開始ステップであるステップS10後、待機モード移行時間の経過前に昇降用モータ17の駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップである。また、ステップS13、S14は、電磁ブレーキ18が作動して昇降用モータ17が停止するとともに電力が供給された状態のモータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止するロボット1の待機モードへの移行ステップである。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロボット1の待機モードにおいて、電磁ブレーキ18が作動して昇降用モータ17が停止するとともに、モータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止している。そのため、ロボット1の待機時には、昇降用モータ17によって昇降するハンド3やアーム4等の落下を防止しつつ、待機時におけるロボット1の消費電力を低減することができる。
【0053】
本形態では、待機モードにおいて、電力が供給された状態のモータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止している。そのため、待機モードにおいて、モータドライバ20への電力の供給を停止することで昇降用モータ17への電流の供給を停止する場合と比較して、待機モードのロボット1が再起動するまでの時間を短縮することができる。たとえば、待機モードにおいて、モータドライバ20への電力の供給が停止されている場合には、モータドライバ20の起動時にスイッチ25の溶着有無の検出および電源回路26を構成するコンデンサへの突入電流を抑制するための所定の動作を行うため、待機モードのロボット1が再起動するまでに約3秒かかるが、待機モードにおいて、モータドライバ20に電力が供給されている場合には、モータドライバ20の起動時の所定の動作が不要になるため、待機モードのロボット1は、約0.2秒で再起動する。したがって、本形態では、ロボット1のスループットを向上させることができる。
【0054】
本形態では、ステップS14において、モータドライバ20は、CPU27から昇降用モータ17への電流供給停止指令が入力されると、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行っている。そのため、CPU27が昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら、昇降用モータ17へ電流が供給されないようにモータドライバ20を制御する場合と比較して、CPU27での処理を簡素化することができる。したがって、待機モードにおけるCPU27での消費電力を低減することができる。
【0055】
本形態では、ステップS8で待機モードへの移行命令がある場合にのみ、ステップS9で待機モード移行時間が設定され、ステップS10で経過時間の計測を始めている。そのため、ステップS7で昇降用モータ17の駆動命令がないたびに、経過時間の計測を始める場合と比較して、ロボット制御装置15での制御処理を簡素化することができる。また、ステップS7で昇降用モータ17の駆動命令がないたびに、経過時間の計測を始める場合と比較して、待機モードへの移行頻度を低減することが可能になる。したがって、待機状態にあるロボット1を再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。さらに、ステップS8で待機モードへの移行命令がある場合にのみ、待機モードに移行することが可能になるため、たとえば、ロボット1が待機位置P3にあるときだけ、待機モードに移行することが可能になる。
【0056】
本形態では、ステップS9において、CPU27は、上位制御装置19から入力される情報に基づいて適切な待機モード移行時間を設定している。そのため、上述のように、たとえば、上流工程での処理状況等に応じた適切な待機モード移行時間を設定することが可能になる。
【0057】
なお、本形態において、ロボット1が待機モードになったときには、モータドライバ20の発熱がないため、モータドライバ20の冷却用ファンモータ(図示省略)を停止させたり、この冷却用ファンモータの回転数を下げても良い。また、ロボット1が待機モードになったときに、ロボット1内に設置された塵埃吸引用のファンモータ(図示省略)を停止させたり、このファンモータの回転数を下げても良い。さらに、ロボット1が待機モードになったときには、制御回路22での制御処理が減るため、制御回路22を間欠的にオンの状態にして、制御回路22で所定の起動命令のみの監視を行っても良い。これらの場合には、待機モードにおけるロボット1での消費電力を効果的に低減することができる。なお、モータドライバ20の温度を検出するとともに、この温度の検出結果に基づいて、モータドライバ20の冷却用ファンモータを停止させたり、この冷却用ファンモータの回転数を下げたりすることで、ロボット1での消費電力を低減しても良い。また、ロボット1内の塵埃を検出するとともに、この塵埃の検出結果に基づいて、塵埃吸引用のファンモータを停止させたり、このファンモータの回転数を下げたりすることで、ロボット1での消費電力を低減しても良い。
【0058】
また、ロボット1が待機モードになったときに、コントローラ16が上位制御装置19にロボット1が待機モードであるとの情報を出力して、上位制御装置19がロボット1の周辺装置を待機モードすることで、ロボット1が設置されるシステム全体の消費電力を低減しても良い。たとえば、ロボット1が待機モードになったときに、ロボット1の周囲の照明を消すことで、ロボット1が設置されるシステム全体の消費電力を低減しても良い。
【0059】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0060】
上述した形態では、ROM28に記憶された制御プログラム上に待機モードへの移行命令があり、ステップS8において、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく待機モードへの移行命令があったか否かを判断している。この他にもたとえば、ROM28に記憶された制御プログラム上に待機モードへの移行命令がなく、上位制御装置19からCPU27へ待機モードへの移行命令が入力されても良い。この場合には、ステップS8において、CPU27は、上位制御装置19からの待機モードへの移行命令があったか否かを判断する。
【0061】
上述した形態では、ステップS8において、CPU27は、ロボット1の待機モードへ移行するための移行命令があったか否かを判断している。この他にもたとえば、図6に示す制御フローのように、ステップS8を省略して、ステップS7において昇降用モータ17の駆動命令がない場合に、CPU27は、ステップS9において待機モード移行時間を設定しても良い。また、一定の待機モード移行時間を予め設定するとともに、ステップS7において昇降用モータ17の駆動命令がない場合に、ステップS10へ進んで、経過時間の計測を開始しても良い。
【0062】
上述した形態では、ステップS8で待機モードへの移行命令があった場合に、ステップS9へ進んでいる。この他にもたとえば、ステップS8で待機モードへの移行命令があった場合にそのままステップS13へ進んでも良い。
【0063】
上述した形態では、ロボット制御装置15は、昇降用モータ17を制動するための制動手段として、電磁ブレーキ18を備えている。この他にもたとえば、ロボット制御装置15は、昇降用モータ17を制動するための制動手段として、電磁ブレーキ18以外の機械式のブレーキを備えていても良い。たとえば、昇降用モータ17を制動するための制動手段は、シリンダを使用した空圧ブレーキや油圧ブレーキであっても良い。また、昇降用モータ17を制動するための制動手段は、ワンウェイクラッチ等を利用した重力による機械式のブレーキであっても良い。
【0064】
上述した形態では、ロボット1が待機位置P3にあるときに待機モードへ移行している。この他にもたとえば、ロボット1が取出位置P1あるいは排出位置P2にあるときに待機モードへ移行しても良い。
【0065】
上述した形態では、ステップS14において、モータドライバ20は、CPU27から昇降用モータ17への電流供給停止指令が入力されると、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行っている。この他にもたとえば、ステップS14において、CPU27が昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら、昇降用モータ17へ電流が供給されないようにモータドライバ20を制御しても良い。
【0066】
上述した形態では、ロボット1は、2個のハンド3と2本のアーム4とが上下方向に重なるように配置されたいわゆるダブルアームタイプのロボットであるが、ロボット1は、1個のハンド3と1本のアーム4とを備えるいわゆるシングルアームタイプのロボットであっても良い。
【0067】
上述した形態では、ロボット制御装置15は、基板2を搬送するための搬送用のロボット1に用いられているが、ロボット制御装置15は、半導体ウエハ等の基板2以外の被搬送物を搬送するロボットに用いられても良い。また、ロボット制御装置15は、搬送用のロボット以外のロボットに用いられても良い。また、上述した形態では、ロボット制御装置15は、ハンド3およびアーム4を昇降させる昇降用モータ17を備えているが、ロボット制御装置15は、昇降用モータ17に代えて、ロボット1を駆動するための他のモータを備えていても良い。この場合の他のモータは、たとえば、ロボット1の停止時に、電磁ブレーキ等のブレーキによって停止して、あるいは、このモータを通電状態にすることで停止して、ハンド、アームおよび/または被搬送物等の何からの構成の重量を支えるモータである。
【0068】
なお、上述した形態では、ステップS14において、CPU27は、モータドライバ20に電力を供給しながら、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17への電流の供給を停止しているが、CPU27は、ステップS14において、モータドライバ20への電力の供給を停止することで、昇降用モータ17への電流の供給を停止することも可能である。この場合であっても、図5に示す制御フローにしたがって、ロボット制御装置15を制御すれば、ロボット1の待機時に、昇降用モータ17によって昇降するハンド3やアーム4等の落下を防止しつつ、待機時におけるロボット1の消費電力を低減することが可能になり、かつ、ロボット1のスループットを向上させることが可能になるとともに、ロボット1が所定の位置にあるときだけ(たとえば、待機位置P3にあるときだけ)、待機モードに移行することが可能になる。
【0069】
すなわち、ステップS8において、待機モードへの移行命令があったときにそのまま待機モードへ移行する場合(すなわち、そのままステップS13へ進む場合)には、待機モードへ移行する頻度が高くなるため、ロボット1の再起動に時間がかかる可能性が高くなり、ロボット1のスループットを向上させることが困難になるおそれがあるが、図5に示す制御フローにしたがって、ロボット制御装置15を制御すれば、待機モードへの移行命令があったときでも必ずしも待機モードへは移行しないため、待機モードへ移行する頻度を低減することが可能になる。したがって、ロボット1の再起動にかかる時間を短縮して、ロボット1のスループットを向上させることが可能になる。
【0070】
また、ステップS6で、昇降用モータ17が停止したときにそのまま待機モードへの移行時間の計測を開始して(すなわち、そのままステップS10へ進んで)、待機モード移行時間の経過前に昇降用モータ17の駆動命令がないときに待機モードへ移行する場合には、ロボット1がどの位置にあっても、待機モードに移行してしまうおそれがあるが、図5に示す制御フローにしたがって、ロボット制御装置15を制御すれば、ロボット1が所定の位置にあるときだけ、待機モードに移行することが可能になる。また、図5に示す制御フローでは、ステップS9において、待機モード移行時間をCPU27が設定しているため、ロボット1の位置に応じて、待機モード移行時間を設定することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 ロボット(産業用ロボット)
4 アーム
15 ロボット制御装置
17 昇降用モータ(モータ)
18 電磁ブレーキ(制動手段)
20 モータドライバ(モータ駆動手段)
21 電力供給手段
22 制御回路(制御手段)
S7 第1判断ステップ
S8 第2判断ステップ
S9 移行時間設定ステップ
S10 経過時間計測開始ステップ
S11、S12 第3判断ステップ
S13、S14 移行ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットを制御するためのロボット制御装置およびロボット制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板を搬送するための産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この種の産業用ロボットは、アームを昇降させるサーボモータを備えており、アームが所定の高さで待機しているときには、アームやガラス基板等が落下しないように、このサーボモータに電流を供給してサーボモータを停止させることがある。そのため、この産業用ロボットでは、待機時の消費電力が大きくなる傾向になる。
【0003】
また、従来、待機時の消費電力を低減することが可能な射出成形装置用の搬送装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の搬送装置では、成形品のチャック部が所定の高さで待機しているときには、機械式のブレーキによってサーボモータを停止させることで、チャック部や成形品の落下を防止している。また、この搬送装置では、成形品のチャック部が所定の高さで待機しているときには、チャック部を昇降させるサーボモータを駆動するモータドライバへの電力の供給を停止することで、待機時の消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6535号公報(図6)
【特許文献2】特開2002−144275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶ディスプレイ用のガラス基板は大型化する傾向にあり、その結果、ガラス基板を搬送する産業用ロボットでは、ガラス基板が搭載されるハンドやアームも大型化する傾向にある。そのため、ハンドやアームが大型化した産業用ロボットにおいて、サーボモータに電流を供給した状態でアームを所定の高さで待機させると、莫大な電力を消費するおそれがある。しかし、この消費電力の問題は、特許文献2に記載の構成をこの産業用ロボットに利用することで解決を図ることが可能である。すなわち、特許文献2に記載の構成をこの産業用ロボットに利用すれば、産業用ロボットのハンドやアーム等が大型化しても、待機時のアームやガラス基板等の落下を防止しつつ待機時の消費電力を低減することが可能になる。
【0006】
一方で、近年、ガラス基板等の搬送に利用される産業用ロボットには、単位時間あたりの処理能力(すなわち、単位時間当たりの搬送能力)であるスループットの向上も求められている。
【0007】
そこで、本発明の課題は、待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能で、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能なロボット制御装置、および、ロボット制御装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のロボット制御装置は、産業用ロボットを駆動するためのモータと、モータを制動するための制動手段と、モータを駆動するモータ駆動手段と、モータ駆動手段に電力を供給する電力供給手段と、制動手段、モータ駆動手段および電力供給手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、制動手段を作動させてモータを停止させるとともに、制動手段の作動中に電力供給手段を制御してモータ駆動手段に電力を供給しながらモータ駆動手段を制御してモータへの電流の供給を停止することを特徴とする。本発明において、モータは、たとえば、産業用ロボットのアームを昇降させる。
【0009】
本発明のロボット制御装置では、制御手段は、制動手段を作動させてモータを停止させるとともに、制動手段の作動中にモータ駆動手段を制御してモータへの電流の供給を停止している。そのため、産業用ロボットの待機時には、たとえば、モータによって昇降するアーム等の落下を防止しつつ、待機時における産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、制御手段は、制動手段の作動中にモータ駆動手段に電力を供給しながらモータへの電流の供給を停止している。そのため、制動手段の作動中に、モータ駆動手段への電力の供給を停止することでモータへの電流の供給を停止する場合と比較して、制動手段を解除してモータを再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。すなわち、待機状態の産業用ロボットを再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。
【0011】
本発明において、モータ駆動手段は、制御手段からモータへの電流供給停止指令が入力されると、モータに流れる電流を監視しながらモータへ電流が供給されないように所定の制御を行うことが好ましい。このように構成すると、制御手段がモータに流れる電流を監視しながら、モータへ電流が供給されないようにモータ駆動手段を制御する場合と比較して、制御手段での処理を簡素化することが可能になる。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、本発明のロボット制御装置の制御方法は、産業用ロボットを駆動するためのモータと、モータを制動するための制動手段と、モータを駆動するモータ駆動手段とを備えるロボット制御装置の制御方法であって、制動手段が作動してモータが停止するとともに電力が供給された状態のモータ駆動手段がモータへの電流の供給を停止する産業用ロボットの待機モードへの移行ステップを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のロボット制御装置の制御方法では、待機モードへの移行ステップを経て待機モードへ移行すると、制動手段が作動してモータが停止するとともに電力が供給された状態のモータ駆動手段がモータへの電流の供給を停止する。そのため、産業用ロボットの待機時には、たとえば、モータによって昇降するアーム等の落下を防止しつつ、待機時における産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になる。また、本発明では、待機モードにおいて、電力が供給された状態のモータ駆動手段がモータへの電流の供給を停止するため、待機モードにおいて、モータ駆動手段への電力の供給を停止することでモータへの電流の供給を停止する場合と比較して、待機モードの産業用ロボットが再起動するまでの時間を短縮することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。
【0014】
本発明において、ロボット制御装置の制御方法は、モータ駆動手段がモータへ電流を供給してモータを停止させている状態でモータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、第1判断ステップでモータの駆動命令がない場合に待機モードへの移行命令があるか否かを判断する第2判断ステップと、第2判断ステップで待機モードへの移行命令がある場合に待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、経過時間計測開始ステップ後、待機モード移行時間の経過前にモータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、第3判断ステップで、モータの駆動命令がないまま待機モード移行時間が経過すると、移行ステップへ進むことが好ましい。
【0015】
このように構成すると、第2判断ステップで待機モードへの移行命令がある場合にのみ、経過時間計測開始ステップで経過時間の計測を始める。そのため、第1判断ステップでモータの駆動命令がないたびに、経過時間計測開始ステップで経過時間の計測を始める場合と比較して、ロボット制御装置での制御処理を簡素化することが可能になる。また、第1判断ステップでモータの駆動命令がないたびに、経過時間計測開始ステップで経過時間の計測を始める場合と比較して、待機モードへの移行頻度を低減することが可能になる。したがって、待機状態にある産業用ロボットを再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。
【0016】
また、このように構成すると、第2判断ステップで待機モードへの移行命令がある場合にのみ、待機モードに移行することが可能になるため、産業用ロボットが所定の状態にあるときだけ、待機モードに移行することが可能になる。さらに、このように構成すると、移行時間設定ステップにおいて、産業用ロボットの状況や産業用ロボットが設置されるシステム全体の状況等に応じた適切な待機モード移行時間を設定することが可能になる。
【0017】
また、本発明において、ロボット制御装置の制御方法は、モータ駆動手段がモータへ電流を供給してモータを停止させている状態でモータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、第1判断ステップでモータの駆動命令がない場合に待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、経過時間計測開始ステップ後、待機モード移行時間の経過前にモータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、第3判断ステップで、モータの駆動命令がないまま待機モード移行時間が経過すると、移行ステップへ進んでも良い。この場合には、移行時間設定ステップにおいて、産業用ロボットの状況や産業用ロボットが設置されるシステム全体の状況等に応じた適切な待機モード移行時間を設定することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のロボット制御装置では、待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になり、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。また、本発明のロボット制御装置の制御方法によれば、待機時のアーム等の落下を防止しつつ待機時の産業用ロボットの消費電力を低減することが可能になり、かつ、産業用ロボットのスループットを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【図2】図1のE−E方向から産業用ロボットを示す図である。
【図3】図1に示す産業用ロボットの概略動作を説明するための概念図である。
【図4】図1に示す産業用ロボットのロボット制御装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図1に示す産業用ロボットの待機モードに関連するロボット制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す産業用ロボットの待機モードに関連するロボット制御装置の制御フローの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1のE−E方向から産業用ロボット1を示す図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の概略動作を説明するための概念図である。
【0022】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、たとえば、液晶ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するための搬送用のロボットである。このロボット1は、特に大型の基板2の搬送に適した大型のロボットである。図1、図2に示すように、ロボット1は、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、2本のアーム4の基端側を支持するとともに上下動可能な支持部材8と、支持部材8を上下方向に移動可能に支持する柱状部材9と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台10と、柱状部材9の下端が固定されるとともに基台10に対して旋回可能な旋回部材11とを備えている。
【0023】
ハンド3の基端は、アーム4の先端に回動可能に連結されている。アーム4は、2個の関節部を有し、本体部5に対して伸縮するように構成されている。また、アーム4の基端は、支持部材8に固定されている。本形態では、2個のハンド3と2本のアーム4とが上下方向に重なるように配置されている。
【0024】
このロボット1では、柱状部材9に対して支持部材8がハンド3およびアーム4と一緒に上下動する。すなわち、矢印Zの方向へ支持部材8が移動する。また、本体部5に対してアーム4が伸縮する。具体的には、矢印Zの方向に略直交する矢印Xの方向へハンド3が直線状に移動するようにアーム4が伸縮する。さらに、ベース部材6に対して基台10が水平移動する。具体的には、矢印Zの方向と矢印Xの方向とに略直交する矢印Yの方向に基台10が水平移動する。さらに、基台10に対して旋回部材11が旋回する。
【0025】
これらの動作によって、ロボット1は、基板2の搬送を行う。たとえば、図3に示すように、ロボット1は、上流工程から供給される基板2を取出位置P1で供給用のカセット(図示省略)から取り出して、取り出した基板2を排出位置P2で排出用のカセット(図示省略)に置いた後に、待機位置P3で待機する。
【0026】
取出位置P1では、ロボット1は、縮んでいたアーム4を伸ばして、供給用のカセットの中の基板2をハンド3に載置する。取出位置P1で基板2をハンド3に載置すると、ロボット1は、伸びていたアーム4を縮ませるとともに、旋回部材11を180°旋回させながら、排出位置P2へ向かう。排出位置P2へ向かうときには、たとえば、支持部材8がハンド3およびアーム4と一緒に矢印Zの方向へ移動し、また、ベース部材6に対して基台10が矢印Yの方向へ移動する。
【0027】
排出位置P2では、ロボット1は、縮んでいたアーム4を再び伸ばして、排出用のカセットの中に基板2を置く。排出位置P2で排出用のカセットの中に基板2を置くと、ロボット1は、伸びていたアーム4を再び縮ませるとともに、旋回部材11を180°旋回させて、待機位置P3へ向かう。待機位置P3へ向かうときには、たとえば、支持部材8がハンド3およびアーム4と一緒に矢印Zの方向へ移動し、また、ベース部材6に対して基台10が矢印Yの方向へ移動する。また、ロボット1は、取出位置P1への移動命令があるまで、待機位置P3で待機する。なお、ロボット1は、取出位置P1において、たとえば、2m(メートル)の高さに配置される基板2を取り出し、排出位置P2において、たとえば、3mの高さに基板2を置く。また、ロボット1は、待機位置P3において、たとえば、ハンド3およびアーム4の高さが2mとなっている状態で待機する。
【0028】
(ロボット制御装置の構成)
図4は、図1に示す産業用ロボット1のロボット制御装置15の概略構成を説明するためのブロック図である。
【0029】
ロボット1は、ロボット1を制御するためのロボット制御装置15を備えている。ロボット制御装置15は、ロボット1を制御するコントローラ16と、支持部材8を昇降させる(すなわち、ハンド3およびアーム4を昇降させる)昇降用モータ17と、昇降用モータ17を制動するための制動手段としての電磁ブレーキ18とを備えている。また、コントローラ16には、PLC(Programmable Logic Controller)等の上位制御装置19が接続されている。上位制御装置19は、ロボット1を含む基板2の製造システムの全体を制御する機能を果たしている。なお、本形態の昇降用モータ17は、ロボット1を駆動するためのモータである。
【0030】
コントローラ16は、昇降用モータ17を駆動するモータ駆動手段としてのモータドライバ20と、モータドライバ20に電力を供給する電力供給手段21とを備えている。また、コントローラ16は、電磁ブレーキ18、モータドライバ20および電力供給手段21を制御する制御手段としての制御回路22を備えている。電力供給手段21は、電源24と、スイッチ25と、電源回路26とから構成されている。制御回路22は、CPU27と、ROM28と、RAM29とを備えている。
【0031】
昇降用モータ17は、サーボモータである。具体的には、本形態の昇降用モータ17は、DCブラシレスモータである。この昇降用モータ17は、昇降用モータ17をサーボ制御するためのエンコーダ30を備えている。エンコーダ30は、制御回路22のCPU27に接続されており、エンコーダ30からの出力信号は、CPU27に入力される。
【0032】
電磁ブレーキ18は、たとえば、無励磁作動型のブレーキであり、コイルが収納されるケース体と、ケース体に固定されるサイドプレートと、ケース体に対して軸方向に移動可能に配置されるアマーチュアと、サイドプレートとアマーチュアとの間に配置されるブレーキディスクと、アマーチュアをブレーキディスクに向かって付勢する圧縮コイルバネとを備えている。ブレーキディスクは、昇降用モータ17の出力軸に連結される減速機の入力軸に固定されている。
【0033】
また、電磁ブレーキ18は、スイッチ31を介して電源24に接続されている。スイッチ31には、CPU27が接続されている。本形態では、CPU27からの制御信号に基づいてスイッチ31が閉じると、電源24から電磁ブレーキ18に電流が供給されて電磁ブレーキ18のコイルが通電状態になる。コイルが通電状態となると、アマーチュアがケース体に吸引されて、ブレーキディスクが解放される。一方、CPU27からの制御信号に基づいてスイッチ31が開くと、電磁ブレーキ18のコイルへの通電が停止される。コイルへの通電が停止されると、圧縮コイルバネの付勢力でアマーチュアとサイドプレートとの間にブレーキディスクが挟まれて、減速機は急激に制動される。すなわち、昇降用モータ17は急激に制動される。なお、この電磁ブレーキ18は、基板2、ハンド3、アーム4および支持部材8等を含む上下方向に移動する部分を十分に停止させることができる制動力を有している。
【0034】
モータドライバ20は、サーボモータである昇降用モータ17を駆動するサーボドライバであり、トランジスタ等の半導体スイッチ(図示省略)やCPU(図示省略)等を備えている。モータドライバ20には、電源回路26とCPU27とが接続されている。このモータドライバ20は、CPU27からの制御信号に基づいて、昇降用モータ17に電流を供給して昇降用モータ17を駆動する。なお、本形態のモータドライバ20は、後述のロボット1の待機モードにおいて、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行う。
【0035】
電源24は、交流電源である。この電源24は、スイッチ25を介して電源回路26に接続されるとともに、スイッチ31を介して電磁ブレーキ18に接続されている。電源回路26は、電源24から入力される交流電力を直流電力に変換してモータドライバ20に供給する機能を果たしており、図示を省略する整流ダイオードやコンデンサ等を備えている。また、電源回路26は、スイッチ25が閉じたときの突入電流によるスイッチ25の溶着等を防止するための突入電流防止抵抗(図示省略)等を備えている。
【0036】
ROM28およびRAM29は、CPU27に接続されている。ROM28には、ロボット制御装置15を制御するための制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムは、取出位置P1から排出位置P2への移動命令、排出位置P2から待機位置P3への移動命令、待機位置P3から取出位置P1への移動命令および後述の待機モードへの移行命令等によって構成されている。RAM29には、CPU27で所定の演算を行うための各種の情報が一時的に記憶される。また、制御回路22には、スイッチ32を介して電源33が接続されている。
【0037】
本形態では、ロボット1が待機位置P3にあるときに所定の条件を満足すると、電磁ブレーキ18を作動させて昇降用モータ17を停止させるとともに、モータドライバ20に電力を供給しながら昇降用モータ17への電流の供給を停止するロボット1の待機モードへ移行する。以下、この待機モードに関連するロボット制御装置15の制御方法の一例を説明する。
【0038】
(ロボット制御装置の制御方法)
図5は、図1に示す産業用ロボット1の待機モードに関連するロボット制御装置15の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0039】
図5に示すように、ロボット1全体の電源が投入されると、CPU27からの制御指令に基づいて、ロボット制御装置15は、所定の初期化動作を行う(ステップS1)。また、CPU27は、スイッチ25をオンの状態にし、電源回路26を介して電源24からモータドライバ20に電力が供給されてモータドライバ20がオンの状態になるまで待つ(ステップS2)。具体的には、CPU27は、ステップS2において、モータドライバ20に安定した直流電力が供給されるまで待つ。
【0040】
その後、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令があったか否かを判断する(ステップS3)。すなわち、ステップS3において、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令を待つ。具体的には、ステップS3において、CPU27は、待機位置P3から取出位置P1への移動命令を待つ。
【0041】
ステップS3において、駆動命令があると、CPU27は、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17をオンの状態にする(ステップS4)。すなわち、CPU27は、モータドライバ20を制御して、昇降用モータ17に電流を供給する。また、CPU27は、スイッチ31をオンの状態にして(閉じて)、電磁ブレーキ18をオフの状態にする(ステップS5)。すなわち、CPU27は、電磁ブレーキ18を解除する。電磁ブレーキ18が解除されると、昇降用モータ17が駆動する。
【0042】
その後、CPU27は、駆動命令に基づく移動が完了して昇降用モータ17が停止したか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6で、昇降用モータ17が停止して、ロボット1が停止すると、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の次の駆動命令があるか否かを判断する(ステップS7)。すなわち、ステップS7では、CPU27は、制御プログラムに基づく取出位置P1から排出位置P2への移動命令、排出位置P2から待機位置P3への移動命令あるいは待機位置P3から取出位置P1への移動命令があるか否かを判断する。なお、ステップS6で、昇降用モータ17が停止する場合には、昇降用モータ17に電流が供給された状態で昇降用モータ17が停止する。すなわち、この場合には、所定の位置にあるハンド3やアーム4等が落下しないように、昇降用モータ17を通電状態にしておく。
【0043】
ステップS7において、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令があった場合には、昇降用モータ17が駆動してステップS6に戻る。一方、ステップS7において、昇降用モータ17の駆動命令がない場合には、CPU27は、ロボット1の待機モードへ移行するための移行命令があったか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、ステップS8において、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく待機モードへの移行命令があったか否かを判断する。
【0044】
上述のように、本形態では、ロボット1が待機位置P3にあるときに待機モードへ移行するため、ロボット1が取出位置P1あるいは排出位置P2にあって、ステップS8で、移行命令がない場合には、ステップS7へ戻る。一方、ロボット1が待機位置P3にあり、かつ、ステップS8で移行命令があった場合には、CPU27は、待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する(ステップS9)。
【0045】
ステップS9では、CPU27は、上位制御装置19から入力される情報に基づいて適切な待機モード移行時間を設定する。たとえば、上流工程での処理状況等の影響で、現状、取出位置P1に基板2はないが、比較的短時間で取出位置P1に基板2が供給されるような場合には、ステップS9において、CPU27は、比較的長い待機モード移行時間を設定する。また、たとえば、上流工程での処理状況等の影響で、現状、取出位置P1に基板2がなく、かつ、取出位置P1に基板2が供給されるまでに時間がかかることが明らかな場合には、CPU27は、ステップS9において、比較的短い待機モード移行時間を設定する。
【0046】
ステップS9で待機モード移行時間が設定されると、CPU27は、待機モード移行時間設定後の経過時間の計測を始める(ステップS10)。また、CPU27は、経過時間の計測開始後、待機モード移行時間が経過したか否かを判断し(ステップS11)、待機モード移行時間が経過していない場合には、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の次の駆動命令があるか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、ステップS12では、CPU27は、制御プログラムに基づく待機位置P3から取出位置P1への移動命令があるか否かを判断する。
【0047】
ステップS12において、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく昇降用モータ17の駆動命令があった場合には、昇降用モータ17が駆動してステップS6に戻る。一方、ステップS12において、昇降用モータ17の駆動命令がない場合には、ステップS11へ戻る。
【0048】
また、ステップS11において、経過時間の計測開始後、待機モード移行時間が経過した場合には、CPU27は、スイッチ31をオフの状態にして(開いて)、電磁ブレーキ18をオンの状態にする(ステップS13)。すなわち、ステップS13では、CPU27は電磁ブレーキ18を作動させて昇降用モータ17を停止させる。
【0049】
また、CPU27は、電磁ブレーキ18を作動させた状態で、かつ、スイッチ25のオンの状態を維持してモータドライバ20に電力を供給しながら、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17をオフの状態にする(ステップS14)。すなわち、ステップS14では、CPU27は、電力供給手段21を制御してモータドライバ20に電力を供給しながら、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17への電流の供給を停止する。具体的には、ステップS14では、CPU27は、モータドライバ20に対して昇降用モータ17への電流供給停止指令を出力し、モータドライバ20は、CPU27から昇降用モータ17への電流供給停止指令が入力されると、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行う。たとえば、モータドライバ20は、モータドライバ20の半導体スイッチのオンオフ制御を行ったり、この半導体スイッチをオフの状態にしたりすることで、昇降用モータ17へ電流が供給されないようにする。
【0050】
ステップS14で、電力が供給された状態のモータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止すると、ロボット1の待機モードとなる。また、ロボット1が待機モードになると、ステップS3へ戻る。
【0051】
本形態では、ステップS7は、モータドライバ20が昇降用モータ17へ電流を供給して昇降用モータ17を停止させている状態で昇降用モータ17の駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップであり、ステップS8は、第1判断ステップであるステップS7で昇降用モータ17の駆動命令がない場合に待機モードへの移行命令があるか否かを判断する第2判断ステップである。また、ステップS9は、第2判断ステップであるステップS8で待機モードへの移行命令がある場合に待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップであり、ステップS10は、移行時間設定ステップであるステップS9後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップである。さらに、ステップS11、S12は、経過時間計測開始ステップであるステップS10後、待機モード移行時間の経過前に昇降用モータ17の駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップである。また、ステップS13、S14は、電磁ブレーキ18が作動して昇降用モータ17が停止するとともに電力が供給された状態のモータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止するロボット1の待機モードへの移行ステップである。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロボット1の待機モードにおいて、電磁ブレーキ18が作動して昇降用モータ17が停止するとともに、モータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止している。そのため、ロボット1の待機時には、昇降用モータ17によって昇降するハンド3やアーム4等の落下を防止しつつ、待機時におけるロボット1の消費電力を低減することができる。
【0053】
本形態では、待機モードにおいて、電力が供給された状態のモータドライバ20が昇降用モータ17への電流の供給を停止している。そのため、待機モードにおいて、モータドライバ20への電力の供給を停止することで昇降用モータ17への電流の供給を停止する場合と比較して、待機モードのロボット1が再起動するまでの時間を短縮することができる。たとえば、待機モードにおいて、モータドライバ20への電力の供給が停止されている場合には、モータドライバ20の起動時にスイッチ25の溶着有無の検出および電源回路26を構成するコンデンサへの突入電流を抑制するための所定の動作を行うため、待機モードのロボット1が再起動するまでに約3秒かかるが、待機モードにおいて、モータドライバ20に電力が供給されている場合には、モータドライバ20の起動時の所定の動作が不要になるため、待機モードのロボット1は、約0.2秒で再起動する。したがって、本形態では、ロボット1のスループットを向上させることができる。
【0054】
本形態では、ステップS14において、モータドライバ20は、CPU27から昇降用モータ17への電流供給停止指令が入力されると、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行っている。そのため、CPU27が昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら、昇降用モータ17へ電流が供給されないようにモータドライバ20を制御する場合と比較して、CPU27での処理を簡素化することができる。したがって、待機モードにおけるCPU27での消費電力を低減することができる。
【0055】
本形態では、ステップS8で待機モードへの移行命令がある場合にのみ、ステップS9で待機モード移行時間が設定され、ステップS10で経過時間の計測を始めている。そのため、ステップS7で昇降用モータ17の駆動命令がないたびに、経過時間の計測を始める場合と比較して、ロボット制御装置15での制御処理を簡素化することができる。また、ステップS7で昇降用モータ17の駆動命令がないたびに、経過時間の計測を始める場合と比較して、待機モードへの移行頻度を低減することが可能になる。したがって、待機状態にあるロボット1を再起動させるまでの時間を短縮することが可能になる。さらに、ステップS8で待機モードへの移行命令がある場合にのみ、待機モードに移行することが可能になるため、たとえば、ロボット1が待機位置P3にあるときだけ、待機モードに移行することが可能になる。
【0056】
本形態では、ステップS9において、CPU27は、上位制御装置19から入力される情報に基づいて適切な待機モード移行時間を設定している。そのため、上述のように、たとえば、上流工程での処理状況等に応じた適切な待機モード移行時間を設定することが可能になる。
【0057】
なお、本形態において、ロボット1が待機モードになったときには、モータドライバ20の発熱がないため、モータドライバ20の冷却用ファンモータ(図示省略)を停止させたり、この冷却用ファンモータの回転数を下げても良い。また、ロボット1が待機モードになったときに、ロボット1内に設置された塵埃吸引用のファンモータ(図示省略)を停止させたり、このファンモータの回転数を下げても良い。さらに、ロボット1が待機モードになったときには、制御回路22での制御処理が減るため、制御回路22を間欠的にオンの状態にして、制御回路22で所定の起動命令のみの監視を行っても良い。これらの場合には、待機モードにおけるロボット1での消費電力を効果的に低減することができる。なお、モータドライバ20の温度を検出するとともに、この温度の検出結果に基づいて、モータドライバ20の冷却用ファンモータを停止させたり、この冷却用ファンモータの回転数を下げたりすることで、ロボット1での消費電力を低減しても良い。また、ロボット1内の塵埃を検出するとともに、この塵埃の検出結果に基づいて、塵埃吸引用のファンモータを停止させたり、このファンモータの回転数を下げたりすることで、ロボット1での消費電力を低減しても良い。
【0058】
また、ロボット1が待機モードになったときに、コントローラ16が上位制御装置19にロボット1が待機モードであるとの情報を出力して、上位制御装置19がロボット1の周辺装置を待機モードすることで、ロボット1が設置されるシステム全体の消費電力を低減しても良い。たとえば、ロボット1が待機モードになったときに、ロボット1の周囲の照明を消すことで、ロボット1が設置されるシステム全体の消費電力を低減しても良い。
【0059】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0060】
上述した形態では、ROM28に記憶された制御プログラム上に待機モードへの移行命令があり、ステップS8において、CPU27は、ROM28に記憶された制御プログラムに基づく待機モードへの移行命令があったか否かを判断している。この他にもたとえば、ROM28に記憶された制御プログラム上に待機モードへの移行命令がなく、上位制御装置19からCPU27へ待機モードへの移行命令が入力されても良い。この場合には、ステップS8において、CPU27は、上位制御装置19からの待機モードへの移行命令があったか否かを判断する。
【0061】
上述した形態では、ステップS8において、CPU27は、ロボット1の待機モードへ移行するための移行命令があったか否かを判断している。この他にもたとえば、図6に示す制御フローのように、ステップS8を省略して、ステップS7において昇降用モータ17の駆動命令がない場合に、CPU27は、ステップS9において待機モード移行時間を設定しても良い。また、一定の待機モード移行時間を予め設定するとともに、ステップS7において昇降用モータ17の駆動命令がない場合に、ステップS10へ進んで、経過時間の計測を開始しても良い。
【0062】
上述した形態では、ステップS8で待機モードへの移行命令があった場合に、ステップS9へ進んでいる。この他にもたとえば、ステップS8で待機モードへの移行命令があった場合にそのままステップS13へ進んでも良い。
【0063】
上述した形態では、ロボット制御装置15は、昇降用モータ17を制動するための制動手段として、電磁ブレーキ18を備えている。この他にもたとえば、ロボット制御装置15は、昇降用モータ17を制動するための制動手段として、電磁ブレーキ18以外の機械式のブレーキを備えていても良い。たとえば、昇降用モータ17を制動するための制動手段は、シリンダを使用した空圧ブレーキや油圧ブレーキであっても良い。また、昇降用モータ17を制動するための制動手段は、ワンウェイクラッチ等を利用した重力による機械式のブレーキであっても良い。
【0064】
上述した形態では、ロボット1が待機位置P3にあるときに待機モードへ移行している。この他にもたとえば、ロボット1が取出位置P1あるいは排出位置P2にあるときに待機モードへ移行しても良い。
【0065】
上述した形態では、ステップS14において、モータドライバ20は、CPU27から昇降用モータ17への電流供給停止指令が入力されると、昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら昇降用モータ17へ電流が供給されないように所定の制御を行っている。この他にもたとえば、ステップS14において、CPU27が昇降用モータ17に流れる電流を監視しながら、昇降用モータ17へ電流が供給されないようにモータドライバ20を制御しても良い。
【0066】
上述した形態では、ロボット1は、2個のハンド3と2本のアーム4とが上下方向に重なるように配置されたいわゆるダブルアームタイプのロボットであるが、ロボット1は、1個のハンド3と1本のアーム4とを備えるいわゆるシングルアームタイプのロボットであっても良い。
【0067】
上述した形態では、ロボット制御装置15は、基板2を搬送するための搬送用のロボット1に用いられているが、ロボット制御装置15は、半導体ウエハ等の基板2以外の被搬送物を搬送するロボットに用いられても良い。また、ロボット制御装置15は、搬送用のロボット以外のロボットに用いられても良い。また、上述した形態では、ロボット制御装置15は、ハンド3およびアーム4を昇降させる昇降用モータ17を備えているが、ロボット制御装置15は、昇降用モータ17に代えて、ロボット1を駆動するための他のモータを備えていても良い。この場合の他のモータは、たとえば、ロボット1の停止時に、電磁ブレーキ等のブレーキによって停止して、あるいは、このモータを通電状態にすることで停止して、ハンド、アームおよび/または被搬送物等の何からの構成の重量を支えるモータである。
【0068】
なお、上述した形態では、ステップS14において、CPU27は、モータドライバ20に電力を供給しながら、モータドライバ20を制御して昇降用モータ17への電流の供給を停止しているが、CPU27は、ステップS14において、モータドライバ20への電力の供給を停止することで、昇降用モータ17への電流の供給を停止することも可能である。この場合であっても、図5に示す制御フローにしたがって、ロボット制御装置15を制御すれば、ロボット1の待機時に、昇降用モータ17によって昇降するハンド3やアーム4等の落下を防止しつつ、待機時におけるロボット1の消費電力を低減することが可能になり、かつ、ロボット1のスループットを向上させることが可能になるとともに、ロボット1が所定の位置にあるときだけ(たとえば、待機位置P3にあるときだけ)、待機モードに移行することが可能になる。
【0069】
すなわち、ステップS8において、待機モードへの移行命令があったときにそのまま待機モードへ移行する場合(すなわち、そのままステップS13へ進む場合)には、待機モードへ移行する頻度が高くなるため、ロボット1の再起動に時間がかかる可能性が高くなり、ロボット1のスループットを向上させることが困難になるおそれがあるが、図5に示す制御フローにしたがって、ロボット制御装置15を制御すれば、待機モードへの移行命令があったときでも必ずしも待機モードへは移行しないため、待機モードへ移行する頻度を低減することが可能になる。したがって、ロボット1の再起動にかかる時間を短縮して、ロボット1のスループットを向上させることが可能になる。
【0070】
また、ステップS6で、昇降用モータ17が停止したときにそのまま待機モードへの移行時間の計測を開始して(すなわち、そのままステップS10へ進んで)、待機モード移行時間の経過前に昇降用モータ17の駆動命令がないときに待機モードへ移行する場合には、ロボット1がどの位置にあっても、待機モードに移行してしまうおそれがあるが、図5に示す制御フローにしたがって、ロボット制御装置15を制御すれば、ロボット1が所定の位置にあるときだけ、待機モードに移行することが可能になる。また、図5に示す制御フローでは、ステップS9において、待機モード移行時間をCPU27が設定しているため、ロボット1の位置に応じて、待機モード移行時間を設定することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 ロボット(産業用ロボット)
4 アーム
15 ロボット制御装置
17 昇降用モータ(モータ)
18 電磁ブレーキ(制動手段)
20 モータドライバ(モータ駆動手段)
21 電力供給手段
22 制御回路(制御手段)
S7 第1判断ステップ
S8 第2判断ステップ
S9 移行時間設定ステップ
S10 経過時間計測開始ステップ
S11、S12 第3判断ステップ
S13、S14 移行ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットを駆動するためのモータと、前記モータを制動するための制動手段と、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、前記モータ駆動手段に電力を供給する電力供給手段と、前記制動手段、前記モータ駆動手段および前記電力供給手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記制動手段を作動させて前記モータを停止させるとともに、前記制動手段の作動中に前記電力供給手段を制御して前記モータ駆動手段に電力を供給しながら前記モータ駆動手段を制御して前記モータへの電流の供給を停止することを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記モータは、前記産業用ロボットのアームを昇降させることを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記モータ駆動手段は、前記制御手段から前記モータへの電流供給停止指令が入力されると、前記モータに流れる電流を監視しながら前記モータへ電流が供給されないように所定の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載のロボット制御装置。
【請求項4】
産業用ロボットを駆動するためのモータと、前記モータを制動するための制動手段と、前記モータを駆動するモータ駆動手段とを備えるロボット制御装置の制御方法であって、
前記制動手段が作動して前記モータが停止するとともに電力が供給された状態の前記モータ駆動手段が前記モータへの電流の供給を停止する前記産業用ロボットの待機モードへの移行ステップを備えることを特徴とするロボット制御装置の制御方法。
【請求項5】
前記モータ駆動手段が前記モータへ電流を供給して前記モータを停止させている状態で前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップで前記モータの駆動命令がない場合に前記待機モードへの移行命令があるか否かを判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップで前記待機モードへの移行命令がある場合に前記待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、前記移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、前記経過時間計測開始ステップ後、前記待機モード移行時間の経過前に前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、
前記第3判断ステップで、前記モータの駆動命令がないまま前記待機モード移行時間が経過すると、前記移行ステップへ進むことを特徴とする請求項4記載のロボット制御装置の制御方法。
【請求項6】
前記モータ駆動手段が前記モータへ電流を供給して前記モータを停止させている状態で前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップで前記モータの駆動命令がない場合に前記待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、前記移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、前記経過時間計測開始ステップ後、前記待機モード移行時間の経過前に前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、
前記第3判断ステップで、前記モータの駆動命令がないまま前記待機モード移行時間が経過すると、前記移行ステップへ進むことを特徴とする請求項4記載のロボット制御装置の制御方法。
【請求項1】
産業用ロボットを駆動するためのモータと、前記モータを制動するための制動手段と、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、前記モータ駆動手段に電力を供給する電力供給手段と、前記制動手段、前記モータ駆動手段および前記電力供給手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記制動手段を作動させて前記モータを停止させるとともに、前記制動手段の作動中に前記電力供給手段を制御して前記モータ駆動手段に電力を供給しながら前記モータ駆動手段を制御して前記モータへの電流の供給を停止することを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記モータは、前記産業用ロボットのアームを昇降させることを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記モータ駆動手段は、前記制御手段から前記モータへの電流供給停止指令が入力されると、前記モータに流れる電流を監視しながら前記モータへ電流が供給されないように所定の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載のロボット制御装置。
【請求項4】
産業用ロボットを駆動するためのモータと、前記モータを制動するための制動手段と、前記モータを駆動するモータ駆動手段とを備えるロボット制御装置の制御方法であって、
前記制動手段が作動して前記モータが停止するとともに電力が供給された状態の前記モータ駆動手段が前記モータへの電流の供給を停止する前記産業用ロボットの待機モードへの移行ステップを備えることを特徴とするロボット制御装置の制御方法。
【請求項5】
前記モータ駆動手段が前記モータへ電流を供給して前記モータを停止させている状態で前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップで前記モータの駆動命令がない場合に前記待機モードへの移行命令があるか否かを判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップで前記待機モードへの移行命令がある場合に前記待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、前記移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、前記経過時間計測開始ステップ後、前記待機モード移行時間の経過前に前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、
前記第3判断ステップで、前記モータの駆動命令がないまま前記待機モード移行時間が経過すると、前記移行ステップへ進むことを特徴とする請求項4記載のロボット制御装置の制御方法。
【請求項6】
前記モータ駆動手段が前記モータへ電流を供給して前記モータを停止させている状態で前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップで前記モータの駆動命令がない場合に前記待機モードへ移行するための待機モード移行時間を設定する移行時間設定ステップと、前記移行時間設定ステップ後に経過時間の計測を始める経過時間計測開始ステップと、前記経過時間計測開始ステップ後、前記待機モード移行時間の経過前に前記モータの駆動命令があるか否かを判断する第3判断ステップとを備え、
前記第3判断ステップで、前記モータの駆動命令がないまま前記待機モード移行時間が経過すると、前記移行ステップへ進むことを特徴とする請求項4記載のロボット制御装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−156611(P2011−156611A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18986(P2010−18986)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
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