説明

一体型ヒートパイプを有するマンドレル

一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、フィラメントを巻き付けたパイプセグメントおよび容器の製造に使用され、加熱および硬化プロセス中にパイプまたは容器の内部の均一な加熱を行う。ヒートパイプの伝熱特性を使用して加熱または冷却を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許出願第61/237,328号、米国特許出願第61/232,822号、米国特許出願第61/121,952号の優先権を主張するものであり、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、一般に、加熱素子の使用、および複合構成要素の製造における加熱素子の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
フィラメントを巻き付けた複合パイプセグメントおよび複合容器は、それらの強度および軽さを含む有益な特性により多様な分野で使用される。製造では、マンドレルが、その周囲にフィラメントを巻き付ける形態として使用される。フィラメントは、繊維強化プラスチックであることが多い。フィラメントをマンドレルの周囲に巻き付け、セグメントまたは容器に適切な厚さおよび長さが獲得された後、得られた加工物が炉で加熱されて硬化される。加熱中、樹脂の相が液体から固体に変わる。そのプロセスで、樹脂がフィラメントをカプセルで包み、それによってフィラメントがその巻き付け方向に含まれ、樹脂が硬化するときにフィラメントが同じ方向に保持される。加熱はフィラメント内の硬化剤を活性化させることもできる。加工物は所定の時間にわたって加熱され、次いで炉から取り出されて、硬化プロセスを継続させることができるようになされる。追加の硬化時間は周囲温度でもよく、またはある期間にわたり異なる温度で他の炉内にマンドレルを配置し、ワインディングする必要があることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の中空マンドレルは、対流硬化炉内に配置された場合に、加工物の中心から限られた程度までしか加熱することができない。固体または封止されたマンドレルは、加工物の中心に中空マンドレルよりもさらに少ない熱しか与えない。その結果、加工物の不均一な硬化が生じる場合がある。
【0005】
加熱サイクルの完了後、加工物を熱源から取り出し、冷却できるようにして、硬化プロセスを継続させる。これは、マンドレル自体が対流炉からの残留熱を保持しているために、ゆっくりしたプロセスである可能性があり、その結果、パイプセグメントの内面が継続して加熱されることになる。
【0006】
複合パイプセグメントおよび複合容器の改善された製造が依然として必要とされる。
【0007】
この背景情報は、本出願者が本発明に関連する可能性があると考える情報を理解されるために提供するものである。前述の情報は全て本発明に不利に従来技術を構成すると認められることは必ずしも意図されておらず、またはそのように解釈すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様により、樹脂含浸フィラメント状材料を使用して複合物品を作製する方法であって、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップと、前記未硬化複合材料を前記マンドレルの外面に加えるステップと、前記物品を形成するように、前記マンドレルに加えた前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、前記硬化するステップが前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の一部を加熱するステップを含む方法を提供する。
【0009】
本発明の他の態様では、樹脂含浸フィラメント状材料および金属ライナを使用して圧力容器を作製する方法であって、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップであって、前記マンドレルが、フィラメントワインディング機に着脱可能に取り付けるための第1の端部、前記ライナの開口部を通して前記ライナの内部体積内に挿入するために寸法決めされた第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置付けられ、前記ライナの前記開口部を前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルに解放可能に取り付けるように構成された固定手段を備える、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップと、前記ライナを前記マンドレルに固定手段で取り付けるステップであって、前記マンドレルの前記第2の端部が前記ライナの前記開口部を通って前記ライナの前記内部体積内に配置され、前記マンドレルの前記第2の端部の外面が前記ライナの内面と伝熱関係である、前記ライナを前記マンドレルに固定手段で取り付けるステップと、前記フィラメント状材料を前記ライナの前記外面の周囲に加える間、前記マンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させることによって、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと、前記圧力容器を形成するように、前記マンドレルに加えた前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、前記硬化するステップが、熱を前記ライナの前記内面に伝えるうに、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の一部を加熱するステップを含む方法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様では、樹脂含浸フィラメント状材料および非金属ライナを使用して圧力容器を作製する方法であって、支持部の中を通る通路を画定する支持部を提供するステップであって、前記支持部がフィラメントワインディング機に着脱可能に取り付けるための第1の端部と、前記ライナの開口部に着脱可能に取り付けるための固定手段を備えており、前記通路内で前記第2の端部に位置付けられた玉弁を有する第2の端部とを備える、支持部を提供するステップと、前記ライナを前記支持マンドレルの前記第2の端部に前記固定手段で取り付けるステップであって、前記通路が前記ライナの内部体積と流体連通状態である、前記ライナを前記支持マンドレルの前記第2の端部に前記固定手段で取り付けるステップと、伝熱流体および金属材料を前記ライナの前記内部体積に加えるステップであって、前記伝熱流体および前記金属材料が前記ライナの前記内面と伝熱関係である、伝熱流体および金属材料を前記ライナの前記内部体積に加えるステップと、前記フィラメント状材料を前記ライナの前記外面の周囲に加える間、前記マンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させることによって、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと、前記圧力容器を形成するように、前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、前記硬化するステップが、加熱された金属材料を前記伝熱流体内に生成し、熱を前記ライナの前記内面に伝えるように、前記ライナの前記内部体積内の前記金属材料を加熱するステップを含む方法を提供する。
【0011】
本発明の他の態様により、熱可塑性原料の押出方法であって、入力端および出力端を備える一体型ヒートパイプを有する押出機を提供するステップと、前記熱可塑性原料を前記入力端に導入するステップと、前記原料が可塑性で均一になるように、前記一体型ヒートパイプを有する押出機の外面の一部を加熱するステップと、前記可塑性原料を前記入力端から前記出力端に運搬するステップと、前記可塑性原料を出力手段に供給するステップと、を含む方法を提供する。
【0012】
本発明の他の態様により、樹脂含浸フィラメント状材料を使用して複合物品を作製する方法であって、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを第1の位置に提供するステップと、前記未硬化複合材料を前記マンドレルの外面に加えるステップと、前記物品形成するように、前記マンドレルに加えられた前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップであって、前記硬化するステップが前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面を加熱するステップを含む、前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレル上の前記硬化した樹脂含浸フィラメント状材料を第2の位置で冷却するステップと、前記冷却された硬化樹脂含浸フィラメント状材料を前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルから第3の位置で取り出すステップと、を含む方法を提供する。
【0013】
本発明の他の態様では、第1の端部、第2の端部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部に取り付けられた端キャップを備えており、ヒートパイプが内部体積を画定する、ヒートパイプまたは熱サイホンと、前記ヒートパイプの前記内部体積内に配置され、流体入口、流路、流体出口、および前記流体入口と前記流体出口との間に位置付けられた膨張手段を備え、前記流体入口が液体源に連結されるように適合され、前記流体出口が出口に連結されるように適合される管状部材と、を含む、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供する。
【0014】
本発明の他の態様では、樹脂含浸フィラメント状材料およびライナを使用して容器を作製する方法であって、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップであって、前記マンドレルが、フィラメントワインディング機に着脱可能に取り付けるための第1の端部、前記ライナの開口部を通して前記ライナの内部体積内に挿入する大きさの第2の端部、および前記第1の端部と第2の端部との間に位置付けられ、且つ前記ライナの前記開口部を前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルに解放可能に取り付けるように構成された固定手段を備える、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップと、金属材料が前記ライナの前記内面と伝熱関係であるように、金属材料を前記ライナの前記内部体積に加えるステップと、前記マンドレルの前記第2の端部が前記ライナの前記開口部を通って前記ライナの前記内部体積内に配置されるように、前記ライナを前記マンドレルに固定手段で取り付けるステップと、前記フィラメント状材料を前記ライナの前記外面の周囲に加える間、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させることによって、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと、前記圧力容器を形成するように、前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、前記硬化するステップが、加熱された金属材料を生成し、熱を前記ライナの前記内面に伝えるように、前記ライナの前記内部体積内の前記金属材料を加熱するステップを含む方法を提供する。
【0015】
本発明の他の態様では、ヒートパイプまたは熱サイホンを備える管状部材と、回転手段に取り付けるように構成された第1の端部および第2の端部と、前記管状部材の外面の長さに沿って配置されたらせん状ねじ山と、を備える、一体型ヒートパイプを有する押出機を提供する。
【0016】
次に、添付の図を参照して、本発明の実施形態を単なる例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一体型ヒートパイプを有するマンドレルの一実施形態を示す図である。
【図2】一体型熱サイホンを有するマンドレルの本発明の他の実施形態を示す断面図(パネルA)、およびパネルAで示した一体型熱サイホンを有するマンドレルを示す端面図(パネルBとC)である。
【図3】一体型ヒートパイプを有するマンドレルを示す断面図(パネルAとB)およびA−Aに沿って切り取られた断面図(パネルC)である。
【図4】一体型ヒートパイプを有する押出機を示す側面図(パネルA)、および端面図(パネルB)である。
【図5】本発明の追加の実施形態を示す断面図(パネルA)およびパネルAの端面図(パネルB)である。
【図6】本発明の一体型ヒートパイプを有するマンドレルの一代替実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の追加の実施形態を示す断面図(パネルA)およびパネルAの端面図(パネルB)である。
【図8】本発明の一体型ヒートパイプを有するマンドレルの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、太字活字の数字は、本発明の様々な実施形態を示す図面に関連して記載され参照される構成部品を示す。本発明の様々な実施形態を記載する際に、同じ参照番号は同様の要素を示すために使用されていることを留意されたい。さらに、簡単にするために、図面の幾つかの図から部品が省略されている。
【0019】
本発明の一実施形態は、一体型ヒートパイプを有するマンドレルおよびその使用を対象とする。
【0020】
本発明の一態様では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル、または一体型熱サイホンを有するマンドレルになるように、マンドレルを適合し、あるいは製作することによって得られる通常のフィラメントワインディングマンドレルの変更形態を記載する。この変更または製作を行うことによって、一体型ヒートパイプまたは一体型熱サイホンを有するマンドレル(本明細書ではどちらも全般的に一体型ヒートパイプを有するマンドレルと呼ばれる)は、マンドレルの表面上の1つまたは複数の局所領域から熱エネルギを吸収し、そのエネルギを急速に再分散して、マンドレルの使用可能な外面全体の均一または概ね等温の温度状態をもたらす能力を有することができる。
【0021】
当業者には理解されるように、ヒートパイプが一体型であると記載される場合、この記載は機能的観点からなされたものである。マンドレルは封止された素子であることが多く、その場合、ヒートパイプをマンドレルに一体型に組み込むことができる。しかしながら、マンドレルが封止された素子でない場合は、ヒートパイプをマンドレル内に着脱可能に挿入することができる。(マンドレルをスリーブとして使用して)ヒートパイプがマンドレル内に挿入される場合、伝熱プロセスを助ける完全な嵌合を確保することができないことを含む幾つかの製造問題によって、ヒートパイプの等温特性がマンドレルの外面に完全には与えられない場合があることは理解される。スリーブ付きヒートパイプは、なおマンドレルに等温に近い機能を提供し、本発明の多くの利点を提供する(しかし、非常に正確な公差を使用しない実施形態では利点が幾分低減される)。
【0022】
フィラメントワインディング
フィラメントを巻き付けた複合パイプセグメントおよび複合容器は、それらの強度および軽さを含む有益な特性により、多様な分野で一般に使用される。製造では、マンドレルが、その周囲にフィラメントを巻き付ける形態として使用される。
【0023】
パイプ、管、または平行の側部、あるいはドラフトを有する、卵形、正方形、長方形など多様な幾何形状の他の中空のセクションを使用することができることは明らかである。1つの開放端を有する容器を使用することもできる。2つ以上の開放端を有する容器を使用することもできる。幾つかのマンドレルにこうした形状を組み込み、加工物とも呼ばれる、1つの端部が閉鎖された構成要素を作製することができる。
【0024】
フィラメントワインディングプロセスでは、通常、(フィラメント状材料と呼ばれる)連続した樹脂含浸ロービングまたはモノフィラメントのバンドが回転マンドレルの周囲に巻き付けられ、次いで硬化されて、最終製品が作製される。巻き付けられるフィラメントに対してマンドレルを回転させることができ、またはその逆も可能であることは、理解されるであろう。
【0025】
マンドレル
フィラメントワインディングプロセスで使用されるマンドレルは当業者に周知であり、通常、Drawn Over Mandrel(DOM)鋼管で作製される。しかしながら、アルミニウムなど他の材料も使用される。こうしたマンドレルは中空であり、両端で機械加工されて、ワインディング機で使用される複数のジョーチャックおよび回転センターにしっかり取り付けることができるようにし、マンドレルを機械の中心に対して方向付け、樹脂繊維マトリックスのワインディング中にマンドレルを回転することができるようにされる。
【0026】
たとえば、マンドレルは鋼で作製された中空シリンダである。マンドレルの端部は、マンドレルの端部によってワインディング機のチャック内でマンドレルを把持するのに使用される六角形鋼棒の溶接されたセクションである。上述のように、マンドレルに使用される鋼管は、通常はDOM管である。通常、端部セクションは管セクション上に溶接される。管セクションは、プロセッサで求められるように、無心研削され、めっきされる。
【0027】
加工物の硬化中、樹脂繊維マトリックスをその周囲に巻き付けた中空マンドレルが、通常、約350Fに温度を上げた硬化炉内に、樹脂が架橋され、硬化されて、固体の樹脂/繊維構造または加工物が生成されるまで数時間にわたって配置される。硬化後、マンドレルが加工物から取り出され(たとえば、引き出され、または押し出され)、マンドレルを再使用して次の加工物を形成することができる。
【0028】
プロセスの経済価値は、部分的にはプロセスの完了時および得られた部分の品質に基づく。樹脂は触媒作用を及ぼし、且つ硬化するために熱を必要とする。熱源は、通常、マンドレルおよび加工物が配置される硬化炉である。未硬化の樹脂/繊維マトリックスは本質的に断熱性であり、マンドレルは(中空でも固体でも)直接加熱されないため、マンドレルは炉内で最後に加熱される。したがって、硬化炉からのエネルギは樹脂/繊維マトリックスを加工物の外面から加工物の内部に加熱する。
【0029】
当業者は、樹脂が、ガラス転移温度または硬化温度に近づくにしたがって、実質的に粘性が低下する傾向があることを理解するであろう。低粘性のため、樹脂が湿り(wet out)、加熱されると繊維の間に流入可能になる。上述のように、伝統的なマンドレル用途で樹脂繊維マトリックスに加えられる熱は、未硬化マトリックス加工物の外径(O.D.)から内面に伝えられる。樹脂は、加熱された外面に向かって流れ、マンドレルの表面に接触する内面から離れるように流れる傾向がある。これが多孔性の濡れていない繊維の領域になり、この領域に微小割れが生じる場合がある。
【0030】
加工物の樹脂繊維マトリックスは断熱材として働くため、マトリックスの内面の硬化温度に達するには、炉内でかなりの時間がかかる可能性がある。炉温は、プロセスで使用される樹脂の最高処理温度を超えないように制御されなければならない。
【0031】
ヒートパイプおよび熱サイホン
当業者は、ヒートパイプおよび熱サイホンが周知の技術要素であることを理解するであろう。
【0032】
ヒートパイプは部分的真空で液体を有する封止された素子であり、ウィックを含むことが好ましい。熱がヒートパイプの全ての部分に加えられると、その領域内の液体はガスに変換される。この相変化により熱エネルギが吸収される。蒸気はヒートパイプを通り、パイプの冷却部分に移動され、該蒸気は、吸収した熱エネルギを放出する相変化で凝縮される。こうしてヒートパイプは熱を一の領域から他の領域に伝える。
【0033】
本発明では、ヒートパイプをマンドレルとして使用することができ、または従来のマンドレルに埋め込むこともできる(どちらも本明細書では一体型ヒートパイプを有するマンドレルと呼ばれる)。こうした一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、フィラメントを巻き付けた構成要素の製造に使用される。
【0034】
一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面の周囲に未硬化フィラメントを巻き付けた後、作製された加工物を加熱した環境に導入することができる。一体型ヒートパイプを有するマンドレルの露出セクションは、熱源の熱を吸収する。一実施例では、与えられる熱は炉の周囲熱であり、その熱がヒートパイプの他の領域に伝えられる。ヒートパイプの効率的な温度均等化特性によって、フィラメントを巻き付けた加工物の外面と同じ温度に加熱されるフィラメントを巻き付けた加工物の内面が結果として生じる。
【0035】
冷却相中、一体型ヒートパイプを有するマンドレルはさらなる機能を提供する。外部をゆっくり冷却することができる間に、パイプセグメントの内部を加熱し続けることが望ましい。これは、加工物が炉から取り出された後に、ヒートパイプの一端を加熱することによって行われる。ヒートパイプは加工物の内部に熱を与え続ける。
【0036】
また、エポキシフィラメントマトリックスが硬化プロセス中に発熱する場合があることは、理解されるであろう。こうした発熱は、全体的ではなく、本質的に局所的である。一体型ヒートパイプを有するマンドレルはこうした発熱エネルギスパイクをマンドレルの表面中に再分散する能力を有する。したがって、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、過剰な熱による層剥離および蒸発を引き起こす場合がある局所熱スパイクの可能性も低減する。
【0037】
一代替実施例では、炉から取り出した後、ヒートパイプの一端を冷却することができる。これは、加工物から熱を取り去り、より速い冷却サイクルを促進するのに役立つであろう。
【0038】
当業者は、ヒートパイプ及び熱サイホンの働く方法が類似していることを理解するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に理解されるように、上記のマンドレルを熱サイホンを使用するように変更することができる。一体型ヒートパイプを有するマンドレルと一体型熱サイホンを有するマンドレルは共に、本明細書では全般的に一体型ヒートパイプを有するマンドレルと呼ばれる。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態を示しており、該一実施形態において、ワインディング機(図示せず)を使用して、未硬化エポキシ含浸フィラメント4を外面10の周囲にワインディングすることによって、未硬化エポキシ含浸フィラメント4が一体型ヒートパイプを有するマンドレル2に加えられている。一体型ヒートパイプを有するマンドレル2は、未硬化エポキシ含浸フィラメント4を加える間、その長手方向軸の周りで回転される。一体型ヒートパイプを有するマンドレルが、フィラメントが一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面の周囲に存在する状態で、フィラメントを加える間、静止してもよいことは、理解されるであろう。
【0040】
図1は、一体型ヒートパイプを有するマンドレル2の外面10を所定の経路によって加熱または冷却することができる加熱/冷却制御ユニット8内に挿入された一体型ヒートパイプを有するマンドレル2の第1の端部6を示している。
【0041】
一実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル2は熱サイホンのヒートパイプである。
【0042】
一実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル2はヒートパイプまたは熱サイホンとして機能するように変更されたマンドレルである。
【0043】
図2は、一実施例の断面図を示しており、該一実施例において、一体型ヒートパイプを有するマンドレル800は、端キャップ802がマンドレル808の端部に気密溶接で溶接されるように構成されている。マンドレル808の壁ストックおよびマンドレル808の構造は、作動温度(したがって必要とされる処理温度の圧力)でヒートパイプまたは熱サイホンと関連する圧力を維持することができる圧力容器であるように構成される。空にし、流体を充填し、封止するための管継手を設置するため、ねじ付きポート802がマンドレル808の一端の端キャップ802内に設けられる。マンドレル808の他端にあるねじ付きポート804は安全過剰圧力フェイルセイフ破裂円板を設置するために設けられる。
【0044】
一実施例では、熱サイホンを有するマンドレルの場合、熱サイホン内の流体の充填は熱サイホンの体積の約30%である。この実施例では、使用の際に、未硬化エポキシ含浸フィラメント状材料を加える間、熱サイホンを有するマンドレルは低RPMで回転される。
【0045】
誘導加熱
本発明の他の実施形態では、誘導加熱を使用して、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面が加熱される。
【0046】
この実施例では、誘導加熱器を使用して、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの一領域が加熱される。誘導コイルによる一体型ヒートパイプを有するマンドレルの加熱によって、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面が実質的に均一の表面温度になる。局所エネルギが、ヒートパイプまたは熱サイホンに典型的なエネルギ伝達によってマンドレル中に均一に再分散される。マンドレルの表面上のこのエネルギは、フィラメント樹脂ワインディングに伝達され、それによって加工物がその内面から均一に硬化される。
【0047】
当業者は、誘導コイルの特定の構成および使用されるパラメータ(たとえば、動作周波数、結合距離、電力など)が、使用目的の用途、必要性、好みによって変わることを理解するであろう。また、使用される特定の構成要素の選択は、たとえば、限定的ではないが、コスト、使用可能性、下流側の用途、および安全性を含む多様な追加の基準に基づいてもよい。
【0048】
一実施例では、誘導コイルは市販のものである。
【0049】
他の実施例では、誘導コイルは、エポキシまたは他の1つまたは複数の樹脂に埋め込まれて、コイルが処理で損傷および/または汚染を受けないように保護される。
【0050】
他の特定の実施例では、誘導コイルは完全な径のコイルとして構成される。
【0051】
他の特定の実施例では、誘導コイルは「C」字形状であり、誘導コイルの出力を誘導コイルの「C」字形状内に集中させるものである。この実施例では、「C」字形状のコイルからの出力がマンドレルの下部半分に放射される。
【0052】
熱は、未硬化フィラメントが加えられる間、または未硬化フィラメントが加えられた後に、一体型ヒートパイプを有するマンドレルに加えられる。
【0053】
一実施例では、誘導コイルは、未硬化フィラメントおよび樹脂を一体型ヒートパイプを有するマンドレルの周囲にワインディングし、ワインディングが行われている間、均一な熱を受けることができるようにし、したがって、所望の場合に、プロセスのワインディング相中に硬化プロセスが始まる。
【0054】
通常、誘導電源からの出力は、プロセス制御装置からの出力によって典型的に制御され、比例帯、積分、および微分を特徴とする。プロセス制御装置には、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの表面の温度を直接監視し、信号をプロセス制御装置に出力する赤外線センサからの処理温度データ入力が提供される。
【0055】
赤外線温度センサが、適した温度センサの一例であることは理解されるであろう。様々な非接触温度センサまたは接触温度センサを使用することができる。
【0056】
使用の際は、熱エネルギが一体型ヒートパイプを有するマンドレルの金属表面の一部に誘導コイルによって加えられる。熱エネルギは、樹脂およびフィラメントワインディングが定位置に存在してもしなくても与えられる。
【0057】
一実施例では、加工物の作製に使用されるフィラメントは、誘導加熱に対して実質的に耐熱性であるため、誘導コイルからのエネルギは、樹脂およびフィラメントが金属製でないために、それらによって直接「感知」されない。誘導コイルからのエネルギが、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの金属表面によって吸収されるときにRF(共振周波数)でなく熱的になった場合、マンドレルに沿った熱エネルギの伝達は、ヒートパイプまたは熱サイホンに特有であり、それらは熱エネルギをマンドレル中に均一に再分散する。
【0058】
他の実施例では、加工物の作製に使用されるフィラメントは、炭素繊維など導体材料を含み、誘導コイルのRFによって励起されると熱くなる。さらに、フィラメントは、その中に埋め込まれた金属ストランドを有することができ、やはり誘導RFエネルギを直接受けると熱くなる。
【0059】
熱伝導材料を含むフィラメントの場合、露出され、フィラメントによってカバーされず、かつ誘導コイルの出力範囲内に存在しない、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの一部に隣接するようにコイルを位置付けることによって、加工物を硬化することができる。
【0060】
本発明の一実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを製作する。この実施例では、通常の(すなわち非ヒートパイプ)マンドレルを空にし、充填し、封止し、それによってマンドレルを(本明細書で一体型ヒートパイプを有するマンドレルと呼ばれる)ヒートパイプまたは熱サイホンにする。一体型ヒートパイプを有するマンドレルはワインディング機に取り付けられる。熱誘導コイルは一体型ヒートパイプを有するマンドレルの局所領域を取り囲む。誘導コイルは、RF発生器、または金属成分の非接触加熱に通常使用される誘導電源に取り付けられる。マンドレルは誘導コイル内で自由に回転する。誘導コイルは、コイルの下の局所表面領域でマンドレル上にキロワットで表される電力を生成する。マンドレルは動作的にはヒートパイプまたは熱サイホンであるため、誘導コイルによって一体型ヒートパイプを有するマンドレルの局所領域に供給されるエネルギは、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの内部体積全体にわたり分散されて、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの温度が均一になるようになされる。
【0061】
特定の実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは誘導コイルによる加熱中に静止している。
【0062】
一特定の実施例では、硬化を行うには、誘導コイルによる加熱中に一体型ヒートパイプを有するマンドレルをその軸の周りで長手方向に回転させる。当業者には理解されるように、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの(1つまたは複数の)回転速度は、フィラメント/樹脂マトリックス内の樹脂の性質、化学的性質、および/または組生物、ならびに/あるいは反応期間の可変の粘性によって部分的に決定される。
【0063】
他の実施例では、未硬化フィラメント/樹脂マトリックスを完全に巻き付けた状態の一体型ヒートパイプを有するマンドレルが、誘導コイルによって内部的に加熱され、かつ/または樹脂を最適に硬化させる温度に設定された炉内に配置される。
【0064】
一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、炉内で、マンドレルの露出表面を加熱する炉内のエネルギによって加熱される。このエネルギのマンドレル表面上への局所的入力は、ヒートパイプまたは熱サイホンに関連する相変化作用によってマンドレル中に急速に分散され、未硬化フィラメント樹脂マトリックスの外面が炉内のエネルギによって加熱されるときに、一体型ヒートパイプを有するマンドレルが、硬化プロセス中に均一に加熱される。
【0065】
図3は、水で冷却される銅管誘導コイル12で加熱され、チャック16を使用してワインディング機に取り付けられるように適合された、ヒートパイプまたは熱サイホンを有するように構成されたマンドレル10を示している。パネルAは、誘導コイル12が一体型ヒートパイプを有するマンドレル10を加熱している一実施例の断面図を示している。パネルBは、誘導加熱コイル12が、一体型ヒートパイプを有するマンドレル10の外面の周囲に未硬化フィラメント14も含む一体型ヒートパイプを有するマンドレル10を加熱している一実施例の断面図を示している。パネルBの実施例では、フィラメント14は誘導コイル12の加熱からのエネルギに対して実質的に耐熱性であり、したがって、フィラメント14の下の一体型ヒートパイプを有する鋼マンドレルに誘導されるエネルギによる影響を直接受けない。一体型ヒートパイプを有する鋼マンドレル10が加熱されるときに、エネルギは一体型ヒートパイプを有するマンドレル10の全体積にわたり、したがってマンドレルの外面全体にわたり、急速かつ均一に再分散される。一体型ヒートパイプを有するマンドレル10からの熱エネルギは、未硬化エポキシ含浸フィラメントの硬化に影響を与える。パネルCは、パネルBで示したA−Aに沿って切り取られた断面図である。
【0066】
所望の場合に、マンドレル表面の露出部分が誘導コイルに対して有効なままに位置付けられるように、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの表面上にフィラメントを加えることができる。別法として、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの表面をフィラメントのワインディングでカバーして、誘導コイルを一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面に沿った任意の位置に配置することができるようにする。
【0067】
他の実施例では、誘導コイルを使用して、一体型ヒートパイプを有するマンドレル上の未硬化樹脂繊維マトリックスが加工物の内面と外面の両方で同時に硬化される。加工物の外面と内面の両方を加熱することによって、硬化速度がかなり低下し、マンドレルに最も近い樹脂が液化して粘性が低くなり、したがって、繊維に浸透して、完全に湿らせることができるようになる。繊維樹脂マトリックスの内面は、その場合、樹脂の豊富な平滑な表面である。
【0068】
特定の実施例では、熱源を使用して、熱が、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面と未硬化フィラメント状材料の外面の両方に加えられる。一実施例では、熱源は、凹面反射器上に形成されたガス燃焼または電動の赤外線加熱素子のバンクであり、未硬化フィラメント状材料の外面と一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面の両方にエネルギを放射する。
【0069】
他の特定の実施例では、熱は、誘導コイルを使用して一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面に加えられる。
【0070】
他の実施例では、熱サイホンを有するマンドレルは、3インチOD×長さ64インチで0.375インチの壁を有し、流体が充填され、約10から15RPMで回転し、誘導コイルで加熱されると概ね等温状態で機能する。
【0071】
他の実施形態では、フィラメントワインディング大型管セクションまたは構造の場合、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを、取り扱い可能であり、1つの一体型ヒートパイプを有するマンドレルアセンブリに組み立てて、その上にフィラメントが巻き付けられるセクションを有するように構成することが望ましい。たとえば、大きい径(たとえば、3メートル)で長さが6から10メートルの排気筒または貯蔵タンクセクションのワインディングの場合である。
【0072】
この例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、全ての楔セクションが中心コアの周りに組み立てられると、アセンブリが直径3メートルで長さ6から10メートルの単一マンドレルになるような半径の加工面を有する楔形状の断面として形成される。直径および長さは単なる例であり、他の組み合わせも可能であることは、理解されるであろう。
【0073】
楔形状のセグメントの数は、用途によって可変であるが、その総数は、組み立てた場合に、360度の断面を作成するものである。各楔形状のセクションは、それ自体がヒートパイプまたは熱サイホンに加工処理された圧力容器である。アセンブリを炉内で各楔セクションのヒートパイプの露出面を加熱する炉内の周囲熱で加熱することができ、またはアセンブリを誘導によって加熱することができる。その場合、個々のセクションは、周囲360度の誘導コイルまたはC字形状の誘導コイルによって加熱される。一体型ヒートパイプを有する楔セクションで構成されたマンドレルアセンブリをワインディングと硬化の両方のために水平または垂直に方向付けることができる。
【0074】
さらに、当業者には理解されるように、フィラメントワインディング加工産業では、パイプ「チーズ(Tees)」およびエルボがフィラメントワインディングによって製作されることは周知である。代替実施例では、一体型ヒートパイプを有する2つまたは3つのマンドレルで構成されるアセンブリは構成されることができ、それによって、マンドレルがねじ込まれた雄ねじと雌ねじとによって互いに固定されて、マンドレルアセンブリが形成され、その上にエルボまたはティーが巻き付けられる。こうしたマンドレルセグメントのそれぞれは、一体型ヒートパイプを有するマンドレルセクションである。ワインディングおよび硬化後に、異なるマンドレルセクションのねじを互いに解くことによって、セクションが管継手のI.D.から取り外される。一体型ヒートパイプを有するマンドレルセクションは、全てのマンドレルセクションの交差点で巻き付けた継手の外側に近接した誘導コイルでも加熱され、それによって全てのセクションが同時に加熱される。
【0075】
さらに、マンドレルセクションは、十分な露出表面を有して、対流硬化炉内に存在する熱を一体型ヒートパイプを有するマンドレル内に伝え、マンドレルアセンブリ全体に熱を十分に供給して、最適硬化時間および巻き付けた製品または構造のI.D.表面上の温度の均一さに影響を与えることができるように設計され、製作される。
【0076】
全体にわたって論じたように、通常の制御システム、充填方法、過剰温度安全通気口などを使用して、温度が制御される。
【0077】
他の実施形態では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルが引抜きプロセスで使用され、連続したフィラメントが熱硬化性樹脂で湿らされ、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの表面に沿って延伸される。
【0078】
一実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは静止したままであり、誘導コイルで加熱され、引抜きプロセスのためのマンドレルとして使用され、該引抜きプロセスにおいて、連続フィラメントが熱硬化性樹脂で湿らされ、マンドレルの表面に沿って延伸される。このプロセスでは、誘導電源によって生成され、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面に伝えられ、ヒートパイプの特性によって均一に分散された熱でフィラメントおよび樹脂が硬化される。
【0079】
この実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは静止しており、中空セクションを作製することができる。別法として、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、フィラメント/樹脂が延伸され硬化される任意の連続した形状でもよい横断面の間隙を形成する、1つまたは複数の一体型ヒートパイプを有するマンドレルのフィラメント/樹脂マトリックスと関連する外径を持つことができる。
【0080】
静止した一体型ヒートパイプを有するマンドレル上に巻き付けられ、または編み込まれたフィラメントおよび樹脂は、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面に熱を加えることによって硬化される。一実施例では、熱が、たとえば熱誘導コイルなど、誘導によって加えられる。こうして作製された硬化した中空セクションは、ケーブルおよびウィンチなど引張デバイスによって、または1組のキャタピラ型トラック(caterpillar type tracks)によって、一体型ヒートパイプを有する静止マンドレル上で延伸される。キャタピラ型トラック上に硬化部分の外径を把持する凹面クリートが取り付けられ、セクションを前方に連続して延伸し、それによって連続した中空管またはパイプセクションが作製される。
【0081】
他の実施形態では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、マンドレルの壁内に様々な熱抵抗値の材料の積層を含む、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの長さに沿った可変の熱遮断部を有し、その結果、マンドレルの長さに沿った熱伝達の低下、または予想可能な線形あるいは非線形の下降もしくはプロファイリングが得られる。一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外径の一部に沿って熱遮断部を予想可能に増加または低減させることにより、マンドレル表面の外径への予想可能な熱出力が得られる。この熱的な「楔」または形状は、材料がマンドレルの表面に沿って延伸され、または編み込まれ、あるいは巻き付けられ、露出されるときに、一体型ヒートパイプを有する静止または回転マンドレルの硬化速度を低下させる際に有益である。
【0082】
図4は、本発明の他の実施形態を示している。この実施形態では、押出機が、一体型ヒートパイプを有する押出スクリューとして製造または製作される。この実施形態では、押出スクリューは、ヒートパイプ、回転手段に対して構成された第1および第2の端部、ならびに管状部材の外面の長さに沿って配置されたらせん状ねじ山を備える管状部材を含む。図4で示した特定の実施例では、一体型ヒートパイプを有する押出スクリューは、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー、または一体型熱サイホンを有するアルキメデススクリューである(どちらも一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューと呼ばれる)。
【0083】
図4、パネルAでは、中空の中心駆動軸を持つ管状部材402を有するアルキメデススクリュー400は、一体型ヒートパイプまたは熱サイホンを有するアルキメデススクリュー406である。端部416は、回転手段(図示せず)に取り付けられるように構成される。一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー406は熱源404で加熱され、熱源はこの実施例では上記のように熱誘導コイルである。赤外線センサ410は、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー406の管状部材402に隣接するように位置付けられて、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー406の外面の温度を監視する。プロセス制御装置408は、誘導電源412と動作可能に関連する。誘導電源412は、プロセス制御装置408および熱源404と動作可能に関連する。この実施例では、赤外線センサ410は、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー406の外面の温度を監視して、プロセス制御装置408にフィードバックを提供し、プロセス制御装置408は誘導電源412を調整することができる。誘導電源412は、熱源404の出力を上昇、低下、または維持する。したがって、赤外線センサ410はプロセス制御装置408と動作可能に関連し、プロセス制御装置408は誘導電源412の出力電力を調整し、したがって、硬化シーケンス中に個別の温度制御を行う。
【0084】
図4、パネルBは、熱源404およびらせん状のねじ山またはねじ414を示す一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー406の断面図である。
【0085】
アルキメデススクリューの他に、代替ねじタイプを本明細書に記載するように製造することができることは、理解されるであろう。
【0086】
一実施例では、使用の際に、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューが熱可塑性プラスチック押出プロセスで使用される。この例では、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューは、熱可塑性材料の押出機として働き、誘導コイルによって加熱されて、熱可塑性樹脂を溶融し、それが押出バレル内に供給されるときに可塑性(plastic)になるようにする。
【0087】
このプロセスでは、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー内のヒートパイプまたは熱サイホンの熱特性は、熱エネルギの不足(すなわち熱シンク)が存在するヒートパイプの表面上に熱エネルギを与えるものであり、その結果、エネルギが必要とされる一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューに沿った位置に熱エネルギが与えられることになる。
【0088】
一実施例では、熱可塑性原料を押し出す方法であって、入力端および出力端を備える一体型ヒートパイプを有する押出機を提供するステップ、前記熱可塑性原料を前記入力端に導入するステップ、前記一体型ヒートパイプを有する押出機の外面の一部を加熱して、前記原料が可塑性(plastic)で均一になるステップ、および、前記可塑性原料を前記入力端から前記出力端に運搬するステップ、ならびに、前記可塑性原料を出力手段に供給するステップを含む方法を提供する。
【0089】
原料の例には、限定的ではないが、充填材または強化材を有する、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ゴム、ワックス、パラフィン、押出プロセス用に配合された他のポリマーが含まれる。
【0090】
たとえば、可塑性ペレットが一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューの入力端に最初に加えられる。一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューの一部に熱が加えられ、その結果、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューの外面全体が加熱される。可塑性ペレットに加えられた熱によって、可塑性ペレットが溶融され、混合されて、可塑性かつ均一になり、それによって、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューの長さに沿って運搬しやすくなる。
【0091】
他の実施例では、状況によって、押出機が回転されるときに、摩擦エネルギによる発熱状態が原料によって全体に発生する。こうした状況では、押出機に誘導コイルで熱を加えずに、外部の水ジャケットで冷却してもよい。
【0092】
他の実施例では、使用の際に、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューは、運搬プロセスで、粒状材料など材料の運搬に使用される。材料「ピル」など、粒状材料の場合は、吸水性により、室温で吸湿性である可能性がある。一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューは、一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリューの外面の温度を誘導熱によって水の沸点を超える温度に維持して、水の吸収を防ぐように動作可能な運搬機として機能する。
【0093】
図5は、本発明の他の実施形態を示しており、一体型ヒートパイプを有するマンドレルが複合圧力容器の製造に使用される。
【0094】
複合圧力容器は、その構造が複合材料からなる圧力容器であり、当業者に周知である。一実施例では、複合圧力容器はフィラメントを巻き付けた構造である。
【0095】
複合圧力容器は多くの場合、圧縮または液化ガス、液体、推進薬など、様々な1つあるいは複数の液体またはガス状媒体を長期間にわたり1つまたは複数の高圧で貯蔵するために使用される。たとえば、複合圧力容器は、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス、天然ガス、酸素、空気、水などを貯蔵するために使用される。
【0096】
複合圧力容器は、限定的ではないが、エアサスペンションリザーバ、空気ブレーキリザーバ、空気推進リザーバ、窒素ガス貯蔵容器、プロパンガス貯蔵容器、天然ガス貯蔵容器、空気貯蔵タンク、水貯蔵容器、燃料セルの構成要素、燃料タンク、宇宙船の構成要素などが含まれる広範な用途に使用される。
【0097】
複合容器は、漏れ損失または構造的損傷を受けずに媒体および/または加圧媒体を収容するように製造される。そのようなものとして、複合圧力容器は、限定的ではないが、黒鉛、アラミド、またはガラス繊維、炭素繊維、Kevlar、合成可塑性材料繊維など、ならびに、こうしたフィラメント/材料を埋め込んだマトリックスを形成し、それらを共に複合材料に結合することができるエポキシ樹脂など、多様な材料から作製される。
【0098】
通常、複合容器は、任意選択でプライマーが被覆された(金属ライナなど)内側ライナ、オーバーラップ、またはジャケットを備える。オーバーラップまたは外側ジャケットは、凝固または硬化するとこうした繊維またはフィラメント状材料を繊維またはフィラメントの間の隙間にしっかり埋め込むマトリックスを形成する硬化可能なエポキシ樹脂など含浸材料が充填された状態で、樹脂含浸フィラメント状材料の層、ライナの周囲のラッパー(wrapper)が積層され重ねられて構成される。
【0099】
硬化後、フィラメント状材料と含浸材料は共に、容器に加えられる力に耐えることができる複合の繊維強化された固体本体を形成する。複合圧力容器の製造での材料の選択は、使用目的の必要性および好みによって変わる。さらに、使用される特定の構成要素の選択は、たとえば、限定的ではないが、コスト、使用可能性、下流側の用途、および安全性を含む多様な追加の基準に基づいてもよい。
【0100】
通常、複合圧力容器は、所望の圧力容器の内径(I.D.)に応じた形状および大きさの薄い壁付きアルミニウム容器(すなわちライナ)を使用して形成される。薄い壁付きアルミニウム容器の一端は、容器の目的の需要/使用に適合するように機械加工されたねじ付き開口部を含む。
【0101】
薄い壁付きアルミニウム容器は、アルミニウムライナ容器を支持部の端部にねじ込むことによって、支持部の第1の端部に解放可能に取り付けることができる。マンドレルの端部に取り付けられた薄い壁付きアルミニウムライナ容器は、次いで、フィラメントワインディング機上に配置される。
【0102】
必要とされる引張強度能力を有する炭素繊維および/または他の1つまたは複数の繊維がアルミニウム容器上の様々な層に巻き付けられて、容器が目的の用途の高圧に耐えることができるようにするマトリックスが提供される。炭素繊維および/または他の1つまたは複数の繊維に、未硬化状態の樹脂が含浸される。樹脂繊維マトリックスは、基体のアルミニウム容器上に巻き付けられると、通常は高温の炉内で熱的に硬化される。
【0103】
以前の方法では、アルミニウム容器は炉内で直接加熱されず、実際、繊維樹脂マトリックスをカバーすることによって断熱される。伝統的な加熱プロセス中、アルミニウム容器は硬化温度に達するのが最も遅い表面である。加工物の外面から内面へのこうした複合圧力容器の加熱では、アルミニウムスキン樹脂繊維界面で不完全な硬化が生じる可能性がある。この硬化の不足によって使用の際に容器が損傷する恐れがある。
【0104】
図5で示したように、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の第2の端部100は、ライナ106の開放端104を通して挿入される。この実施例では、ライナ106はアルミニウム容器である。第2の端部100はライナ106の内部体積108内に延びる。一体型ヒートパイプ/熱サイホンを有するマンドレル102の第1の端部110は、ライナ106の開放端104に解放可能に取り付けられるように適合された固定手段112を備える。特定の実施例では、固定手段112は、ライナ106のねじ付き開放端104に解放可能にねじ込み式に取り付けられるように構成されたねじ付き部材である。固定手段112は、製造プロセスで使用される1つまたは複数の温度、および/または1つまたは複数の圧力、ならびに/あるいは操作条件に耐えるように選択される。
【0105】
この実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の第1の部分114はライナ106の内部体積108内に配置され、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の第2の部分116はライナ106の外部に配置される。
【0106】
熱源118は、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの第2の部分116の加熱に使用される。特定の実施例では、熱源118は誘導コイルである。一体型ヒートパイプを有するマンドレル102は熱的に超伝導性であるため、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の外面に加えられる誘導コイルからのエネルギは一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の表面に沿ったエネルギの分散を誘発し、そのエネルギが一体型ヒートパイプを有するマンドレル全体にわたって伝えられる。したがって、第2の部分116の加熱によって、ライナ106の内部体積108内にある第1の部分114が加熱されることになる。
【0107】
図5の実施例では、アルミニウム容器106の内部体積108内の一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の外面120とアルミニウム容器106の内面122との間に間隙または空隙がある。一特定の実施例では、伝熱流体124もアルミニウム容器106の内部体積108に加えられ、それによって一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の外面120とアルミニウム容器106の内面122との間に流体層が形成される。使用の際、伝熱流体124は、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の外面120とアルミニウム容器106の内面122が伝熱関係になるように維持する。したがって、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102はアルミニウム容器の内面122と伝熱関係である。
【0108】
伝熱流体124の伝熱能力が使用目的および用途によって変わることは理解されるであろう。一実施例では、適した伝熱流体には、ケイ素、合成、天然炭化水素油、DowTherm Aなどが含まれる。任意選択で、追加の高伝熱粒子が伝熱流体に加えられて、熱伝導率が上げられる。こうした伝熱粒子には、限定的ではないが、窒化硼素、アルミニウム、鉄、銀などが含まれる。
【0109】
1つまたは複数の伝熱流体には、ゲル、液体、ならびにガスも含まれることは理解されるであろう。
【0110】
特定の実施例では、伝熱流体124は水である。使用の際に、ライナ106の内部体積108に水が供給される。一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の第2の端部100はライナ106の開放端104を通して挿入される。固定手段112は、アルミニウム容器106を一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の第2の部分116に取り付ける。アルミニウム容器106および一体型ヒートパイプを有するマンドレル102は次いでフィラメントワインディング機126上に配置される。
【0111】
図で示していない代替実施例では、ライナ106の内部体積108内の一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の外面120は、ライナ106の内面122と実質的に接触状態である。したがって、この実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102はアルミニウム容器の内面122と伝熱関係にある。
【0112】
熱源118はフィラメントワインディング中に一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の第2の部分116を加熱するように動作可能である。
【0113】
一実施例では、熱源118は誘導コイルであり、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102はフィラメントワインディングおよび加熱中に回転される。一実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルはフィラメントワインディングおよび加熱中に回転される。この実施例では、硬化プロセスはプロセスのワインディングセグメント中に開始される。
【0114】
他の実施例では、フィラメントワインディングはライナ106を所望の温度に予熱した後に開始される。1つまたは複数の所望の温度のこうした選択は、使用されるポリマーの化学的性質、およびそのポリマーの硬化段階でのポリマーの熱的需要に依存する。
【0115】
一実施例では、約350Fの通常の硬化温度がエポキシベースの樹脂に使用される。また通常、有効な硬化はフィラメントのワインディングが完了した後に開始される。容器および一体型ヒートパイプを有するマンドレルの回転速度(たとえばRPM値)、ならびに硬化シーケンス中のフィラメント樹脂マトリックスが、樹脂がフィラメントワインディング中に均一に分散されるままにされることは、理解されるであろう。静止したままでは、樹脂は、表面の最も低い領域に移動しやすい傾向があり、樹脂がフィラメントに不均一に加えられることになる。
【0116】
上述のように、図5では、ライナ106内の伝熱流体124は、伝熱流体124に接触する一体型ヒートパイプを有するマンドレル102によって加熱される。固定手段112は、使用される条件下で、ライナ106の内部体積108の水密性および気密性を維持する。アルミニウム容器106内の伝熱流体124は、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102からの熱がライナ106の内面122に樹脂を硬化させるように選択された温度になるように伝達/対流する。ライナ106の回転によって生じるライナ106内の伝熱流体124の乱流により、ライナ106の内面122が加熱された伝熱流体124で確実に被覆されるようになり、それによってライナ106の内面122に均一な温度が与えられる。
【0117】
当業者には理解されるように、樹脂は加熱面に移動する。したがって、この実施例では、加熱中、樹脂はライナの表面に移動し、それによって樹脂が豊富な表面が提供される。
【0118】
多様な熱源が使用されることも理解されるであろう。熱源の選択は、使用目的の必要性および好みによって変わるであろう。さらに、使用する特定の熱源の選択は、たとえば、限定的ではないが、コスト、使用可能性、下流側の用途、安全性を含む多様な追加の基準に基づいてもよい。
【0119】
一実施例では、熱源118は、ガス炎、または放射加熱器である。生成された熱が第2の部分116に放射される。別法として、一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、一体型ヒートパイプを有するマンドレル102の露出表面上に直接取り付けられ、且つ一体型ヒートパイプを有するマンドレル102および加熱器を回転させることができるスリップリングアセンブリによって電気的に動力が供給される電気加熱器を使用して加熱される。
【0120】
一実施例では、誘導コイルによって供給されるエネルギは、複合容器を加工物の内面から完全に硬化させるのに十分である。
【0121】
他の実施例では、誘導コイルが炉での硬化に共に使用され、容器の外面と容器の内面が共に加熱され、硬化される。
【0122】
代替実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの第2の部分116は、炉から取り出した後に冷却されることができる。これは、パイプセグメントから熱を除去し、冷却サイクルを促進させるのに役立つ。
【0123】
図6は、本発明の他の実施形態の断面図を示しており、一体型ヒートパイプを有するマンドレル500は、管状部材502が管状部材502の内部体積内に配置され、一体型ヒートパイプを有するマンドレル500を通って走るように構成される。たとえば、管状部材502は一体型ヒートパイプを有するマンドレル500を通って走る。管状部材は、たとえば、管またはパイプでもよい。管状部材502は、端キャップ504にしっかり取り付けられた流体入口510および流体出口512、ならびに流体入口510と流体出口512の間に位置付けられた膨張手段514を備える。
【0124】
管状部材502は、それを通じて走っている通路を画定し、流体入口510と流体出口512を流体連通状態に維持する。
【0125】
一実施例では、膨張手段514は溶接されたべローズ膨張セクションを含む。
【0126】
端キャップ504は、ヒートパイプの空になされた蒸気空間を一体型ヒートパイプを有するマンドレル500内に維持する。端キャップ504は、さらに、入力および出力手段(図示せず)を着脱可能に取り付けるように構成された結合手段516を備える。
【0127】
一実施例では、結合手段516は、対応するねじ付き入力手段および出力手段を対合式に受けるように構成されたねじ付き部分および回転ユニオン518を備える。一実施例では、入力および出力手段はねじ付きホースである。
【0128】
一実施例では、入力手段は、冷却流体を流体入口502に供給し、出力手段は、入力された冷却流体を管状部材502から流体出口512を通して除去することができるようにする。特定の実施例では、冷却流体は水である。
【0129】
使用の際は、一体型ヒートパイプを有するマンドレル500がその長手方向軸の周りで回転され、未硬化フィラメント状材料が外面520に加えられる。ワインディング後、未硬化フィラメント状材料の加熱によって硬化が行われる。硬化サイクルの完了後、水など冷却流体が、流体入口504を通りねじ付き部分518にねじ込まれた管を通ってポンプで送られる。水は、管状部材502を通過し、流体出口512から出る。入力された水は、管状部材502の内面の温度よりも低い温度である。水が一体型ヒートパイプを有するマンドレル500の一端を通ってポンプで送られるときに、管状部材502の内面の低い温度の表面により、一体型ヒートパイプを有するマンドレル500のヒートパイプ部分内に蒸気の凝縮が生じることになる。このプロセスにより、一体型ヒートパイプを有するマンドレル500の外面からエネルギを取り、そのエネルギを管状部材502を通って流れる水または冷却流体に伝達し、それによって一体型ヒートパイプを有するマンドレル500の外面を冷却し、作成される加工物の内面を冷却する2相の熱伝達が起こる。
【0130】
使用の際、管状部材502と一体型ヒートパイプを有するマンドレル500の残りの部分の温度にかなりの差が生じる可能性がある。この温度差により、管状部材502の長さが変わり、それが長さにわたってさらに顕著になる。膨張手段は、こうした温度差が生じる間の膨張および収縮を可能にし、パイプ502および溶接部に加えられる引張および圧縮の負荷による溶接部の損傷の可能性を低減する。
【0131】
図7は、本発明の他の実施形態を示しており、非金属ライナの周囲のエポキシ含浸フィラメント状材料のワインディングによって、複合容器が製造される。この方法では、フィラメントを巻き付けた加工物の内面からのフィラメント/樹脂マトリックスの硬化が行われる。
【0132】
図7では、ライナ600は非金属容器である。ライナ600が様々な材料およびポリマーから作製されることができることは、理解されるであろう。一実施例では、ライナ600はプラスチックである。他の実施例では、ライナ600は熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックである。一実施例では、ライナ600はガラスまたはセラミックから作製される。ライナ600は、ねじ付き開口部602を通る中空支持部材604にねじ込み式に取り付けられ、フィラメントワインディング機(図示せず)の回転チャック606上で保持され得る延長部として働く。
【0133】
支持部材604は、未硬化エポキシ含浸フィラメント状材料がライナ600の外面の周囲に加えられ、巻き付けられるときに、ライナ600がその軸の周りで長手方向に回転することができるようにする。
【0134】
支持部材604上の玉弁608は、伝熱流体616および金属材料614をライナ600の内部体積610に加えることができるようにする。一実施例では、伝熱流体は水であり、金属材料は玉軸受を含む。
【0135】
熱誘導コイル612はライナ600に隣接するように配置される。
【0136】
熱誘導コイル612を未硬化フィラメント状材料を加える間、または加えた後に作動させて、エネルギを金属材料614に与えることができる。
【0137】
熱誘導コイル612が作動されると、エネルギが金属材料614に加えられ、加熱される。金属材料614の加熱によって、内部体積610内の水616が加熱され、蒸気が生成される。生成された蒸気は、空気を内部体積610から外に追い出し、それを蒸気と交換する。次いで玉弁608が閉鎖され、蒸気を閉鎖された圧力が可能な環境で動作させる。ライナ600内の圧力および温度が上昇し、蒸気が内部体積610中に分散され、それによって等温状態が生じる。金属材料614に加えられたエネルギは、誘導電源622の出力電力を調整するプロセス制御装置620に接続された赤外線センサ618の使用によって制御され、したがって、硬化シーケンス中に個別の温度制御が行われる。
【0138】
上記から理解されるように、この実施形態の方法により、各硬化シーケンス後に排出され再充填される一種の熱サイホンが生成される。水は硬化の完了後にシェルの外に排出または流出され、温度が約100℃未満に低下される。玉軸受は流出され、必要に応じて再設置される。
【0139】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、複合容器は、エポキシ含浸フィラメント状材料を金属ライナの周囲に巻き付けることによって作成される。この方法では、フィラメントを巻き付けた加工物の内面からのフィラメント/樹脂マトリックスの硬化が行われる。
【0140】
この実施形態は、図7で記載した幾つかの態様と同様である。この実施例では、金属ライナ600が中空支持部材のねじ付き開口部を通してねじ込み式に取り付けられ、支持部材は、図で示していないフィラメントワインディング機の回転チャック上に保持され得る延長部として働く。一実施例では、金属ライナはアルミニウムライナである。
【0141】
支持部材は、未硬化エポキシ含浸フィラメント状材料がライナの外面の周囲に加えられ、巻き付けられるときに、ライナがその軸の周りで長手方向に回転することができるようにする。
【0142】
支持部材上の玉弁は、伝熱流体をライナの内部体積に加えることができるようにする。一実施例では、伝熱流体は水である。
【0143】
熱誘導コイルはライナに隣接するように配置される。
【0144】
熱誘導コイルは、エネルギを金属ライナの外面に与えるために、未硬化フィラメント状材料を加える間、または加えた後に作動させることができる。
【0145】
熱誘導コイルが作動されると、エネルギが金属ライナの外面に与えられる。金属ライナの加熱によって、ライナの内部体積内の水が加熱され、蒸気が生成される。生成された蒸気は、空気を内部体積から追い出し、それを蒸気と交換する。次いで、玉弁が閉鎖され、蒸気を閉鎖された圧力が可能な環境で動作させる。ライナ内の圧力および温度が上昇し、蒸気が内部体積中に分散され、それによって等温状態が生じる。金属ライナに与えられたエネルギは、容器と玉弁の間の点で中空の連結部材を通る容器の内部の温度を監視する赤外線センサの使用によって制御される。これは、容器と中空部材によって作成され、玉弁によって閉鎖された熱サイホンの一部である。センサは、誘導電源の出力電力を調整するプロセス制御装置に接続され、したがって、硬化シーケンス中に個別の温度制御が行われる。
【0146】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、複合容器は、エポキシ含浸フィラメント状材料を金属または非金属のライナの周囲に巻き付けることによって作製される。この方法では、フィラメントを巻き付けた加工物の内面からフィラメント/樹脂マトリックスの硬化が行われる。
【0147】
この実施形態は、図7で記載した幾つかの態様と同様である。この実施例では、金属または非金属のライナは、長さの一部がライナの内部体積内に配置されるように、同じ大きさの一体型ヒートパイプを有するマンドレルに、ねじ付き開口部を通してねじ込み式に取り付けられる。一実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの長さの容器の内部体積内に配置される部分は、ライナの内部の深さの約半分に等しい。一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、図で示していないフィラメントワインディング機の回転チャック上で保持され得る延長部として働く。
【0148】
一実施例では、ライナは、限定的ではないが、熱可塑性、熱硬化性プラスチックなどプラスチックを含む。他の実施例では、ライナは、金属、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、鋳物砂など鉄および非鉄の鋳造プロセスで使用される心材などを含む。他の実施例では、ライナは、ガラス、セラミック、焼成粘土、陶器、非塑性複合材料などを含む。
【0149】
一体型ヒートパイプを有するマンドレルは、未硬化エポキシ含浸フィラメント状材料がライナの外面の周囲に加えられ、巻き付けられるときに、ライナがその軸の周りで長手方向に回転することができるようにする。
【0150】
容器の回転中に、一体型ヒートパイプを有するマンドレルと接触するのに十分な体積の金属材料が、ライナの内部体積に加えられる。当業者には理解されるように、限定的ではないが、銅、ニッケル、鋼、アルミニウムなどのマイクロスフェアまたはナノ粒子を含む、多様な金属材料を使用することができる。金属材料は、粒状サイズおよび/またはナノ粒子を含む多様なサイズでもよい。使用の際、金属材料は、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面とライナの内面を伝熱関係に維持する。
【0151】
熱誘導コイルは、ライナまたは一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面に隣接するように配置される。特定の実施例では、熱誘導コイルは、ライナに隣接してライナの下に配置される。
【0152】
熱誘導コイルは、エネルギをライナの内部体積内の金属材料に与えるために、未硬化フィラメント状材料を加える間、または加えた後に作動させることができる。
【0153】
使用の際は、ライナが回転されるときに、金属材料はライナの表面と伝熱関係である。加熱されると、金属材料は熱をライナの表面に直接伝える。
【0154】
さらに、一部の実施例では、幾つかの合金と同様に、金属材料の加熱によって金属材料が溶融し液体になる。
【0155】
金属ライナに加えられるエネルギは、そのセクションがチャックに近接する一体型ヒートパイプを有するマンドレルの露出セクションの温度を監視することによって正確かつ実時間で容器の内部内の金属材料の温度を監視する赤外線センサなど温度センサの使用によって制御される。センサは、誘導電源の出力電力を調整するプロセス制御装置に接続され、したがって、硬化シーケンス中に個別の温度制御が行われる。
【0156】
図8は、複合ドリルおよび/またはプロセスパイプが一体型ヒートパイプを有するマンドレルを使用して作製される追加の実施例を示している。
【0157】
通常、ドリルパイプは鋼から製造され、石油掘削現場から離れた工場で生産される。生産工場の掘削現場に対する距離により、物流問題が生じ、それによって現場のパイプの配送のコストが追加され、不便さが増す。さらに、こうした通常の鋼ドリルパイプは重いため、移動させるのがさらに難しい。
【0158】
複合パイプを、石油掘削、および、遠隔の掘削地点、または油砂および他の鉱業用途など遠隔の加工地点での他のプロセスに使用することができる。複合パイプは鋼パイプよりも実質的に軽量である。複合パイプは、腐食、および摩耗、ならびに単純な支持構造に関して、鋼パイプに勝る他の利点を有する。しかし、どちらも必要とされる輸送を行う場合は、複合パイプのリニアフィート当たりのコストが鋼パイプを超え、同時に増加する。
【0159】
掘削地点に近い場所または現場でセルまたはアセンブリを製造することによって、複合パイプをガラス繊維フィラメントのリールおよびエポキシ樹脂のドラムから製作することができる場合、完成したパイプセクションの運送コストが大幅に低減され、または回避される。
【0160】
図8の実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702は、未硬化フィラメント状材料704を加える間、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702をその軸の周りで長手方向に回転させるように動作可能であるワインディング機720に取り付けられる。
【0161】
ワインディングシーケンス中、未硬化フィラメント状材料704が一体型ヒートパイプを有するマンドレル702に加えられ、熱誘導ユニット706によって連続的に加熱される。
【0162】
誘導コイル708および電源710は赤外線センサ712に結合され、赤外線センサ712は回転する一体型ヒートパイプを有するマンドレル702を監視し、制御信号をプロセス制御装置714に送り、プロセス制御装置714は電源716の出力を駆動する。
【0163】
この実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702は、ワインディングプロセス中に一体型ヒートパイプを有するマンドレル702の外面に対して等温である個別の選択可能な処理温度を有し、維持する。したがって、樹脂は加えられるときに効率的に硬化される。その結果、フィラメント/エポキシマトリックスパイプセクションが数時間ではなく約数分程度で硬化される。さらに、炉が不要である。
【0164】
この方法は、複合パイプの現場での製造に非常に適している。
【0165】
また図8には、全般的に参照番号730で示された回転ラック機構が示されている。回転ラック機構730は、上記のフィラメントワインディング位置、冷却位置、および押出位置を含む。
【0166】
フィラメントワインディングおよび硬化に続いて、その外面上にワインディングされたパイプセクションを有する一体型ヒートパイプを有するマンドレル702をワインディング機720の外の全般的に数字734で示された冷却位置に自動的にインデックスを付けることができる。この位置で、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702およびワインディングされたパイプセクションが、処理硬化温度から、パイプセクションを一体型ヒートパイプを有するマンドレル702から取り出すことができる温度に冷却される。
【0167】
冷却後、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702は全般的に数字736で示された押出位置に移動される。押出位置736では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702が静止状態に保持される間、パイプセクションを一体型ヒートパイプを有するマンドレル702から水圧シリンダに取り付けられた寸法付けられたカラーを使用して引っ張る水圧ラム(図示せず)を使用して、作製されたパイプセクションが一体型ヒートパイプを有するマンドレル702から取り出される。
【0168】
他の実施例では、パイプセクションを抜き取った後、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702が待機位置(図示せず)に移動される。
【0169】
また他の実施例では、待機位置に位置付けられた後、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702がワインディング機720上に位置付けられ、それによって新しい複合パイプにワインディングすることができるようになる。
【0170】
したがって、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702をワインディング位置、冷却位置、および押出位置に位置付け移動させることができる回転する回転ラックシステムが設けられる。他の実施例では、一体型ヒートパイプを有するマンドレル702をワインディング位置、冷却位置、押出位置、および待機位置に位置付け移動させることができる回転する回転ラックシステムが設けられる。
【0171】
回転ラックシステムは、トラック、バージ、ヘリコプタなどを含む多様な手段によって、作業現場に容易に輸送される。回転ラックシステムは、作業現場で、発電機で給電され、石油またはガス掘削現場用のドリルまたは処理パイプ、工事現場用の水パイプおよび/または下水パイプなど特定要件のための複合パイプの作製を開始する。
【0172】
一実施例では、回転ラックシステムは、作業現場で操作するための可搬式「現場」独立型システムとして使用されるように、スキッドまたはレールに取り付けられるように構成される。
【0173】
本発明の上記の実施形態は、単なる例示であることが意図される。本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ画定される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって、特定の実施形態に対する変更形態、修正形態、および変形形態を作製することができる。
【符号の説明】
【0174】
2、10、102、500、702、800 一体型ヒートパイプを有するマンドレル
4 未硬化エポキシ含浸フィラメント
6 第1の端部
8 加熱/冷却制御ユニット
10 一体型ヒートパイプを有するマンドレル(図3)、一体型ヒートパイプを有するマンドレルの外面(図2)
12、612、708 誘導コイル
14 フィラメント
16 チャック
100 第2の端部
104 開放端
106、600 ライナ
108、610 内部体積
110 第1の端部
112 固定手段
114 第1の部分
116 第2の部分
118、404 熱源
10、120、520 外面
122 内面
124 伝熱流体
126、720 ワインディング機
400 アルキメデススクリュー
402、502 管状部材
406 一体型ヒートパイプを有するアルキメデススクリュー
408、620、714 プロセス制御装置
410、618、712 赤外線センサ
412、622 誘導電源
414 ねじ
416 端部
504、802 端キャップ
510 流体入口
512 流体出口
514 膨張手段
516 結合手段
518 ねじ付き部分
602 ねじ付き開口部
604 支持部材
606 回転チャック
608 玉弁
614 金属材料
616 水
704 未硬化フィラメント材料
706 熱誘導ユニット
710、716 電源
730 回転ラック機構
808 マンドレル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂含浸フィラメント状材料を使用して複合物品を作製する方法であって、
一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップと、
前記未硬化複合材料を前記マンドレルの外面に加えるステップと、
前記物品を形成するように、前記マンドレルに加えた前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、
前記硬化するステップが、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の一部を加熱するステップを含む方法。
【請求項2】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルがヒートパイプまたは熱サイホンを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未硬化複合材料を加えるステップが、前記フィラメント状材料を前記マンドレルの前記外面の周囲に加える間、前記マンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させるステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記軸が長手方向軸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化するステップが、前記未硬化物品の前記外面を加熱するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の前記一部を加熱するステップが、前記未硬化複合材料を前記外面に加えるステップ後に行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の前記一部を加熱するステップが、前記未硬化複合材料を前記外面に加えるステップと同時に行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の前記一部を加熱するステップおよび前記未硬化加工物の前記外面を加熱するステップが炉内で行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面を加熱するステップが熱誘導コイルを使用して行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
硬化後に前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面を冷却するステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却するステップが、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の一部を冷却することによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却するステップが内部管状部材を使用して行われ、前記管状部材が前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記内部体積内に配置されており、且つ流体入口、流路、流体出口、および前記流体入口と前記流体出口の間に位置付けられた膨張手段を備え、前記流体入口が液体源に連結されるように適合され、前記流体出口が出口に連結されるように適合される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィラメント状材料が熱可塑性樹脂強化フィラメントである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
設定温度を維持するために、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の温度を監視かつ制御するステップをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記監視かつ制御するステップが、接触温度センサまたは非接触温度センサ、ならびに誘導電源および誘導コイルと動作可能に関連する制御ループを使用して行われ、設定温度が維持される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記温度センサが赤外線温度センサである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
樹脂含浸フィラメント状材料および金属ライナを使用して圧力容器を作製する方法であって、
一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップであって、前記マンドレルがフィラメントワインディング機に着脱可能に取り付けるための第1の端部、前記ライナの開口部を通して前記ライナの内部体積内に挿入するために寸法決めされた第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置付けられ、前記ライナの前記開口部を前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルに解放可能に取り付けるように構成された固定手段を備える、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップと、
前記ライナを前記マンドレルに固定手段で取り付けるステップであって、前記マンドレルの前記第2の端部が前記ライナの前記開口部を通って前記ライナの前記内部体積内に配置され、前記マンドレルの前記第2の端部の外面が前記ライナの内面と伝熱関係である、前記ライナを前記マンドレルに固定手段で取り付けるステップと、
前記フィラメント状材料を前記ライナの前記外面の周囲に加える間、前記マンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させることによって、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと、
前記圧力容器を形成するように、前記マンドレルに加えた前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、
前記硬化するステップが、熱を前記ライナの前記内面に伝えるように、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の一部を加熱するステップを備えるステップを含む方法。
【請求項18】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルがヒートパイプまたは熱サイホンを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の前記一部を加熱するステップが熱誘導コイルを使用して行われる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記ライナの前記内部体積が伝熱流体を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ライナの前記内部体積が前記伝熱流体内の伝熱粒子をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記伝熱流体が水である、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の前記一部を加熱するステップが、前記未硬化複合材料を前記外面に加えるステップ後に行われる、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の前記一部を加熱するステップが、前記未硬化複合材料を前記外面に加えるステップと同時に行われる、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記加熱するステップが炉内で行われる、請求項17から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化するステップ後に前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面を冷却するステップをさらに含む、請求項17から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記冷却するステップが前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の一部を冷却することによって行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
樹脂含浸フィラメント状材料および非金属ライナを使用して圧力容器を作製する方法であって、
支持部の中を通る通路を画定する支持部を提供するステップであって、前記支持部がフィラメントワインディング機に着脱可能に取り付けるための第1の端部と、前記ライナの開口部に着脱可能に取り付けるための固定手段を備えており、且つ前記通路内の前記第2の端部に位置付けられた玉弁を有している第2の端部とを備える、支持部を提供するステップと、
前記ライナを前記固定手段で前記支持マンドレルの前記第2の端部に取り付けるステップであって、前記通路が前記ライナの内部体積と流体連通状態である、前記ライナを前記固定手段で前記支持マンドレルの前記第2の端部に取り付けるステップと、
伝熱流体および金属材料を前記ライナの前記内部体積に加えるステップであって、前記伝熱流体および前記金属材料が前記ライナの前記内面と伝熱関係である、伝熱流体および金属材料を前記ライナの前記内部体積に加えるステップと、
前記フィラメント状材料を前記ライナの前記外面の周囲に加える間、前記マンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させることによって、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと、
前記圧力容器を形成するように、前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、前記硬化するステップが、加熱された金属材料を前記伝熱流体内に生成し、熱を前記ライナの前記内面に伝えるように、前記ライナの前記内部体積内の前記金属材料を加熱するステップを備える方法。
【請求項29】
前記軸が長手方向軸である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記金属材料を加熱するステップが熱誘導コイルを使用して行われる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記伝熱流体が水を含み、前記金属材料が玉軸受を含む、請求項26または28に記載の方法。
【請求項32】
前記玉軸受の加熱によって前記水から蒸気を生成させ、前記玉弁が閉鎖圧力環境で蒸気を生成させるように動作可能である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
設定温度を維持するために、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の温度を監視かつ制御するステップをさらに含む、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記監視かつ制御するステップが、接触温度センサまたは非接触温度センサ、ならびに誘導電源および誘導コイルと動作可能に関連する制御ループを使用して行われ、設定温度が維持される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記温度センサが赤外線温度センサである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記未硬化圧力容器の前記外面を加熱するステップをさらに含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記金属材料を加熱するステップが、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップ後に行われる、請求項30から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記金属材料を加熱するステップが、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと同時に行われる、請求項30から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記非金属ライナがプラスチックを含む、請求項30から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記プラスチックが熱可塑性または熱硬化性プラスチックである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
熱可塑性原料の押出方法であって、
入力端および出力端を備える一体型ヒートパイプを有する押出機を提供するステップと、
前記熱可塑性原料を前記入力端に導入するステップと、
前記原料が可塑性で均一になるように、前記一体型ヒートパイプを有する押出機の外面の一部を加熱するステップと、
前記可塑性原料を前記入力端から前記出力端に運搬するステップと、
前記可塑性原料を出力手段に供給するステップと、を含む方法。
【請求項42】
前記原料が、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ゴム、ワックス、またはパラフィンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記加熱するステップが熱誘導コイルで行われる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記一体型ヒートパイプを有する押出機が、ヒートパイプまたは熱サイホン、回転手段に取り付けるように構成された第1の端部および第2の端部、及び、管状部材の外面の長さに沿って配置されたらせん状ねじ山を備える管状部材を備える、請求項41から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
設定温度を維持するために、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の温度を監視かつ制御するステップをさらに含む、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記監視かつ制御するステップが、接触温度センサまたは非接触温度センサ、ならびに誘導電源および誘導コイルと動作可能に関連する制御ループを使用して行われ、設定温度が維持される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記温度センサが赤外線温度センサである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
樹脂含浸フィラメント状材料を使用して複合物品を作製する方法であって、
一体型ヒートパイプを有するマンドレルを第1の位置に提供するステップと、
前記未硬化複合材料を前記マンドレルの外面に加えるステップと、
前記物品を形成するように、前記マンドレルに加えられた前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップであって、前記硬化するステップが前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面を加熱するステップを含む、前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレル上の前記硬化した樹脂含浸フィラメント状材料を第2の位置で冷却するステップと、
前記冷却された硬化樹脂含浸フィラメント状材料を前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルから第3の位置で取り出すステップと、を含む方法。
【請求項49】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルを前記第3の位置から待機位置に移動させるステップをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルを前記待機位置から前記第1の位置に移動させるステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
設定温度を維持するために、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記外面の温度を監視かつ制御するステップをさらに含む、請求項48から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記監視かつ制御するステップが、接触温度センサまたは非接触温度センサ、ならびに誘導電源および誘導コイルと動作可能に関連する制御ループを使用して行われ、設定温度が維持される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記温度センサが赤外線温度センサである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記未硬化フィラメント状材料を加えるステップが前記未硬化フィラメント状材料の可動源によって行われる、請求項49から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記可動源が、レールに取り付けられた源、熱板、プラットホーム、車輪付きトレーラ、または輸送コンテナである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
第1の端部、第2の端部、ならびに前記第1の端部および前記第2の端部に取り付けられた端キャップを備えており、ヒートパイプが内部体積を画定する、ヒートパイプまたは熱サイホンと、
前記ヒートパイプの前記内部体積内に配置された管状部材であって、流体入口、流路、流体出口、および前記流体入口と前記流体出口との間に位置付けられた膨張手段を備え、前記流体入口が液体源に連結されるように適合され、前記流体出口が出口に連結されるように適合される管状部材と、
を含む、一体型ヒートパイプを有するマンドレル。
【請求項57】
前記端キャップが入力および出力手段を前記流体入口および前記流体出口に着脱可能に取り付ける結合手段を備える、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記結合手段がねじ付き部分ならびに対応するねじ付き入力手段および出力手段を対合式に受けるように構成された回転ユニオンを備える、請求項56または57に記載の一体型ヒートパイプを有するマンドレル。
【請求項59】
前記入力手段および前記出力手段がねじ付きホースである、請求項58に記載の一体型ヒートパイプを有するマンドレル。
【請求項60】
前記膨張手段がベローズを含む、請求項56から59のいずれか一項に記載の一体型ヒートパイプを有するマンドレル。
【請求項61】
樹脂含浸フィラメント状材料およびライナを使用して容器を作製する方法であって、
一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップであって、前記マンドレルが、フィラメントワインディング機に着脱可能に取り付けるための第1の端部、前記ライナの開口部を通して前記ライナの内部体積内に挿入する大きさの第2の端部、および前記第1の端部と第2の端部との間に位置付けられ、且つ前記ライナの前記開口部を前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルに解放可能に取り付けるように構成された固定手段を備える、一体型ヒートパイプを有するマンドレルを提供するステップと、
金属材料が前記ライナの前記内面と伝熱関係であるように、金属材料を前記ライナの前記内部体積に加えるステップと、
前記マンドレルの前記第2の端部が前記ライナの前記開口部を通って前記ライナの前記内部体積内に配置されるように、前記ライナを前記マンドレルに固定手段で取り付けるステップと、
前記フィラメント状材料を前記ライナの前記外面の周囲に加える間、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルを前記マンドレルの軸の周りで回転させることによって前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと、
前記容器を形成するように、前記樹脂含浸フィラメント状材料を硬化させるステップと、を含み、
前記硬化するステップが、加熱された金属材料を生成し、熱を前記ライナの前記内面に伝えるように、前記ライナの前記内部体積内の前記金属材料を加熱するステップを備える、方法。
【請求項62】
前記軸が長手方向軸である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記金属材料を加熱するステップが熱誘導コイルを使用して行われる、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記金属材料が、銅、ニッケル、鋼、またはアルミニウムの玉軸受、あるいはマイクロスフェア、もしくはナノ粒子である、請求項61から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
設定温度を維持するために、前記一体型ヒートパイプを有するマンドレルの前記第1の端部の外面の温度を監視かつ制御するステップをさらに含む、請求項61から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記監視かつ制御するステップが、接触温度センサまたは非接触温度センサ、ならびに誘導電源および誘導コイルと動作可能に関連する制御ループを使用して行われ、設定温度が維持される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記温度センサが赤外線温度センサである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記未硬化圧力容器の外面を加熱するステップをさらに含む、請求項61から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記金属材料を加熱するステップが、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップ後に行われる、請求項61から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記金属材料を加熱するステップが、前記未硬化フィラメント状材料を前記ライナに加えるステップと同時に行われる、請求項61から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記ライナがプラスチックを含む、請求項61から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記プラスチックが熱可塑性または熱硬化性プラスチックである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ライナが金属を含む、請求項61から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記ライナが、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、または鉄および非鉄鋳造プロセスで使用される心材を含む、請求項61から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記ライナが、ガラス、セラミック、焼成粘土、陶器、または非塑性複合材料を含む、請求項61から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ヒートパイプまたは熱サイホンを備える管状部材と、
回転手段に取り付けるように構成された第1の端部および第2の端部と、
前記管状部材の外面の長さに沿って配置されたらせん状ねじ山と、
を備える、一体型ヒートパイプを有する押出機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−511440(P2012−511440A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539864(P2011−539864)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001816
【国際公開番号】WO2010/066050
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511141814)
【Fターム(参考)】