説明

一体型導体を有する蓄電池電極

電池セルは交互に配置された複数の逆極性の第1及び第2電極を有する。第1及び第2電極の各々はタブが突き出した第1端部とこの第1端部に対して直角で且つ実質的に長い第2端部を有する不織布のシートである。この不織布は第2端部からより遠方の領域より大きな電気導電率を有する第2端部に沿ってストリップ部を形成するように金属で被着される。このストリップ部はタブに沿って伸びている。第1端子は第1電極のタブに沿ってストリップ部に電気的に接続され、第2端子は第2電極のタブに沿ってストリップ部に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
適用なし
(連邦政府委託研究に関する申立て)
適用なし
本発明は一般的に電気化学的蓄電池の構造に関し、特に、このような電池用の新規で改良された電極板に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、電気化学型の蓄電池は複数の逆極性の第2電極と空間的に離間した状態で交互配置された複数の一極性の第1電極を含む1つ又は複数のセルを有する。複数の分離端子は各極性の電極を、通常、端子ポストに相互接続しているので、逆極性の2つの電極が各セルに設けられる。
【0003】
米国特許第5,158,842号は逆極性の複数の交互配置された電極板を有する蓄電池の基本構造を開示している。各電極板は主要区画の1角部から外方向に突出するタブと共に電極の活性領域を形成する一般的に矩形の主要区画を有する。複数の1極性の電極板のタブが蓄電池の一方に沿って整合され、逆極性電極板のタブが蓄電池の他方で整合されている。同一極性の電極板の各タブは溶接等により接続ポストを有する端子の本体に電気的に接続されている。
【0004】
ある型の電極板は、ニッケル・カドミウム及びニッケル・鉄電池システムで使用されるような、活性材料装備の電極に適するフレキシブル繊維プラークからなる。普通の繊維プラークは従来のめっき工程によりニッケルを反応的に拡散された圧縮混合細繊維から形成される。従来の電池は鉄ウールのような導電繊維により形成されたプラークを有するが、非導電繊維も使用された。この繊維は不規則にプラークの長さ、幅、及び厚み方向に配向され、接触部でニッケルで拡散接合される。得られた電極は電池の活性材料がその後の組み立て工程中に導入される穿孔部を有する。
【0005】
図1に示されるように、典型的な従来の電極10は矩形であり、他の直交する端部より相当に大きい一端部を有する。電極10は主要、即ち、活性領域12とタブ16からなるシート状本体11を有する。主要領域12は均一な電極導電率を有する。タブ16は主要区画12のより長い端部から突出し、且つタブが金属のより大きな密度を有する部分14を有する電気めっき工程により突出している。この部分14により金属コンタクトタブ18が電極本体11に溶接される。最終電池において、電池電極は溶接され、即ち、同一極性の電極10のコンタクトタブ18に電気的に接続され、これらの電極を互いに接続する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ある電池構成では電極から垂直に伸び且つ著しく長い端子を有する電極をより短い端部に沿って配置することを要求した。しかしながら、この配置において、タブから遠い電極部の実効抵抗がタブの近傍の電極部より相当に大きいことが見出された。従って、電極のより遠方の領域はタブ近傍の部分より効率的でなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は新規で且つ改良された電池セル及びこのセル用の電極を提供する。
【0008】
電池セルは複数の逆極性の第2電極と交互に配置された一極性の複数の第1電極により形成される。第1及び第2電極の各々は不織布の一部がタブを形成するように突出した第1端部及び第1端部に対して垂直であり且つ好ましくは実質的により長い第2端部を有する不織布のシートからなる。不織布は第2端部から遠いシートの金属めっきされた領域より大きな電気導電率を有する第2端部に沿ってストリップ(細長)部を形成するように付着された金属を有する。このストリップ部はタブに沿って継続して伸びている。
【0009】
第1端子は各タブに沿ってストリップ部と電気的に接触状態に第1電極のタブに取付けられている。第2端子は第2電極上のタブに沿ってストリップ部と電気的に接触するように取付けられている。
【0010】
好ましい実施例において、不織布はポリプロピレン繊維から形成された針(ニードル)打抜きフェルトである。ニードル打抜きフェルトは金属で被覆されている。好ましくは、不織布は金属で電気鍍金され、金属のより大きな密度は第2端部に沿って付着される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず図2を参照すると、本発明による電池20は単一のセル22を有するが、本発明の概念が複数のセル電池に利用できることを理解すべきである。電池セル22は容器28内に収納された複数の交互配置された第1及び第2電極24及び26を備えている。第1及び第2電極24及び26は逆電気極性を有し、電極数は電池20の所望の容量を提供するための必要に応じて変化する。電極24及び26は平行で、且つ離間した構成で交互に配置されている。電池の活性材料は電極の穿孔部に設けられる。
【0012】
図3を参照すると、第1及び第2電極24及び26の各々はポリプロピレン繊維から形成されるニードル打抜きフェルトのような不織布材料のシートから形成される。ニードル打抜き織布は広範囲の用途用によく知られており、最初に選択された繊維を所望の要求された厚みに積層される織布にけば立てすることにより製造される。得られた織布は織布に対して上下する板に設定された数千の棘付針からなる針床を通過する。この動作は繊維を絡ませる効果を有する繊維に針を通過させる。この織布はつやだしされて最終厚みを得る。
【0013】
不織布材料を使用した両型の電極24及び26の製造は織布繊維に被覆される比較的薄い金属になるニッケルのような金属で不織布材料を化学めっきする工程を含んでいる。繊維上への導電被着で、不織布材料は金属の厚みを増すために電気めっきされる。例えば、ニードル打抜きフェルト織布は多数の個別電極24及び26が後に切断される長いロール状で提供できる。化学めっき処理後、織布材料はロール状態から解かれ、電気めっき装置に送り込まれる。電気めっきにより織布の主要部に均一な密度の金属層を形成するが、端部に沿った金属被膜層は他より大きな密度を有している。従って、端部領域はより高い電気導電性を有する。
【0014】
金属被着フェルト材料は電極を使用する電池の型と一致する金属で含浸される。ニッケル・カドミウム電池において、例えば、カドミウムは負の第1電極24のためのフェルト織布の穿孔部内に埋め込まれ、追加のニッケルは正の第2電極26のための他のフェルト織布の穿孔部内に埋め込まれる。しかしながら、熟達した当業者は他の型の電池を形成するために異なる金属が使用できることを理解するであろう。
【0015】
金属が不織布に被着された後、個別の電極が不織布材料から打ち抜かれ又は裁断される。この工程で大きな多孔性表面領域を有する電極を製造する。続いて図3を参照すると、各電極30は不織布金属めっき材料の一般的に矩形シート31からなるが、他の形状のシートも形成できる。シート31はそのより狭い次元に沿って伸びている第1端部32を有し且つ第1端部32に垂直なより長い第2端部34を有する。タブ36は第1及び第2端部が交差し且つ第2端部34がタブに沿って連続して伸びる角部で第1端部32から外方向に伸びている。電気めっきされたより大きな本体から個別電極30の形成において、より大きな密度の金属被着繊維を有する領域は電極シート31の第2端部34に沿ってストリップ部38を形成する。このストリップ部38はタブ36を含む第2端部に沿って全長が伸びている。このストリップ部38はタブ36を電極の活性遠方領域に結合する導体として作用し、電極の全表面領域に渡って活性材料をより良好に利用させる。
【0016】
この方法は図2に示されるように2つの型の電極を交互に配置することにより電池セル22に組み立てられる複数の第1及び第2電極24及び26を製造する。このアセンブリにおいて、第1電極24のタブ36は一方の側に沿って置かれ、第2電極26のタブ36は反対側に沿って置かれている。負の第1電気端子40は電気アセンブリの中間で2つの近傍の第1電極24間に挿入され、第1電極24のタブ36は互いに対して内方向に且つ第1電気端子40の対向する側面に対して屈曲している。従って、近傍の第1電極上のタブ36の上部区画は当接しており、各側部の一方のタブは第1電気端子40に当接している。この位置に保持された状態で、これらのタブ36は互いに且つ第1端子40に溶接される。具体的には、各タブ38上のより密に金属化されたストリップ部38は端子に溶接するための表面を提供する。正の第2電気端子42は第1端子40に関して記載されている方法と同様に第2電極26上のタブ36に接続される。2つの電極24及び26のタブ36を個別端子40又は42に電気的に接続するための他の技術、例えば、ロー付け又はボルトにより機械的に締結する技術が採用できる。
【0017】
第1及び第2電極24及び26及び2つの端子40及び42のサブアセンブリは容器28に配置され、各端子の上部のみが容器から突き出るように密閉される。
【0018】
前述の記載は主に本発明の好ましい実施例に向けられた。本発明の範囲内での種々の代案が注目されるが、当業者が本発明の実施例の開示から明らかである追加の代案を実現するであろうことが予期される。従って、本発明の範囲は上記記載に限定されることなく特許請求の範囲から決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は従来電池の電極板の平面図である。
【図2】図2は本発明による特異な電極を含む電池の切欠斜視図である。
【図3】図3はこれらの電極の一つの斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
20 蓄電池
22 電池セル
24、26 電極
28 容器
30 電極
31 シート
32、34 端部
36 タブ
38 ストリップ(細長部)
40、42 電気端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルにおいて、
一極性の複数の第1電極と;
前記第1電極と交互配置される逆極性の複数の第2電極と;
を具備し、前記第1及び第2電極の各々は不織布の一部がタブを形成するように突出する第1端部及び前記第1端部に直角である第2端部を有する不織布のシートからなり、不織布は金属で被覆され、前記金属は第2端部からより遠方である前記シートの金属被着領域より大きい電気導電率を有する前記第2端部に沿ってストリップ部を形成するように付着され、前記ストリップ部が前記タブに沿って伸びており、さらに、
前記第1電極の各タブに取付けられ且つ前記タブに沿って前記ストリップ部に電気的に接続された第1端子と;
前記第2電極の各タブに取付けられ且つ前記第2電極のタブに沿って前記ストリップ部に電気的に接続された第2端子と;
を具備することを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記第1及び第2電極の各々の前記第2端部が実質的に前記第1端部より長いことを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項3】
前記不織布がポリプロピレン繊維から成ることを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項4】
前記不織布がニードル打抜き材料からなることを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項5】
前記不織布が前記金属で電気めっきされ、より大きな密度の前記金属が前記第2端部に沿って被着されることを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項6】
各第1電極の前記タブに沿って前記ストリップ部を前記第1端子に電気的に接続する第1溶接部と、各第2電極の前記タブに沿って前記ストリップ部を前記第2端子に電気的に接続する第2溶接部をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項7】
複数の近傍の第1電極のタブが互いに当接し、これらのタブの少なくとも1つが前記第1端子に当接することを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1電極の前記タブが溶接結合、ロー付結合、及び機械的締結具の少なくとも1つにより共に且つ第1端子に保持されることを特徴とする請求項7記載の電池セル。
【請求項9】
前記第1端子が前記第1電極上の2つの前記タブ間に配置され、前記第1端子の一面の近傍の第1電極のタブが互いに当接し、これらのタブの少なくとも1つが前記第1端子の表面に当接し、前記第1端子の他面の近傍の第1端子の他方のタブが互いに当接し、これらの他方のタブの少なくとも1つが前記第1端子の他面と当接することを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項10】
複数の近傍の第1電極のタブが互いに当接し、これらのタブの少なくとも1つが前記第1端子に当接し、複数の近傍の第2電極が互いに当接し、前記第2電極のタブの少なくとも1つが前記第2端子に当接することを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項11】
複数の前記第1電極のタブが溶接結合、ロー付け結合、及び機械的締結具の少なくとも1つにより互いに且つ前記第1端子に保持され、複数の前記第2電極のタブが溶接結合、ロー付け結合、及び機械的締結具の少なくとも1つにより互いに且つ前記第2端子に保持されることを特徴とする請求項10記載の電池セル。
【請求項12】
前記第1端子が複数の前記第1電極のタブの2つの間に配置され、前記第1端子の一面の近傍の第1電極のタブが互いに当接し、これらのタブの少なくとも1つが前記第1端子の表面に当接し、前記第1端子の他面の複数の近傍の第1電極の他方のタブが互いに当接し、他方のタブの少なくとも1つが前記第1端子の他の表面に当接し、
前記第2端子が複数の前記第2電極のタブの2つの間に配置され、前記第2端子の一面の近傍の第2電極のタブが互いに当接し、これらのタブの少なくとも1つが前記第2端子の表面に当接し、前記第2端子の他面の近傍の第2電極の他方のタブが互いに当接し、他方の第2電極タブの少なくとも1つが前記第2端子の他面に当接することを特徴とする請求項1記載の電池セル。
【請求項13】
電池セル用の電極において、
不織布の一部がタブを形成するように突出する第1端部と、前記第1端部と直角であり且つ前記第1端部より実質的に長い第2端部を有する不織布のシートからなり、前記不織布は金属で被着され、前記金属は前記第2端部に沿って延長し且つ前記第2端部からより遠方である前記シートの金属被着領域より大きな電気導電率を有するストリップ部を形成するように配置され、前記ストリップ部が前記タブに沿って延長していることを特徴とする電極。
【請求項14】
前記不織布がポリプロピレンからなることを特徴とする請求項13記載の電極。
【請求項15】
前記不織布がニードル打抜き材料からなることを特徴とする請求項13記載の電極。
【請求項16】
前記不織布が前記金属で電気めっきされ、より大きな密度の前記金属が前記第2端部に沿って前記ストリップ部に被着されることを特徴とする請求項13記載の電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−516352(P2009−516352A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541220(P2008−541220)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/043346
【国際公開番号】WO2007/061624
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(501372330)アクチュアント コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】