説明

一体型電池パック

【課題】全重量を軽減し、電気車両の走行を成功させるために必要な熱管理を取り入れ、エネルギー貯蔵容量又は出力を低減させないで、電池の信頼性を向上し、コストを削減することができる一体型電池パックを提供する。
【解決手段】多重セル構造の一体型電池1であって、複数の電気化学的セル3がプラスチック又は金属ケース内に配置され、各セルは、ガスは脱出できるが電解液の脱出を妨げるような容器11を備えている。流路109の新しい一体化された装置は、液体冷却材が隣接セルの間を流れるようにする。セル相互接続15a,15bなどのその他の特徴も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的に、再充電可能な高容量電池、モジュール、及びパックに関する。より正確には、本発明は、多重セル一体型電池、個別のセル間の電気的相互接続、及び個別セルのための電解液容器に関する。
【背景技術】
【0002】
再充電可能な角柱状電池は、フォーク・リフト、ゴルフ・カート、無停電電源、及び電気車両などの、広範囲な産業用及び民生用の用途に用いられている。
【0003】
再充電可能な鉛・酸電池は現在最も広く用いられている型の電池である。鉛・酸電池は、内燃機関用の始動モータの有用な電源である。しかしこの電池の、約30Wh/kgの低いエネルギー密度、及び熱を十分に排除できないことが、電気車両、ハイブリッド電気車両、及び2−3輪スクーター/オートバイ用電源としては実用できないものにしている。鉛酸電池を用いた電気車両は、再充電を必要とするまでの走行距離が短く、再充電するのに約6から12時間が必要で、且つ有毒物質を含有している。加えて、鉛・酸電池を用いた電気車両は、遅い加速、過充電に対する許容差の少なさ、約20,000マイルしかない電池寿命を呈する。
【0004】
ニッケル金属水素化物電池(Ni−MH電池)は、鉛酸電池よりはるかに優れており、Ni−MH電池は電気車両及びその他の車両用推力として手に入る理想的な電池である。例えば、開示内容を参考にしてここに取り入れた、Ovshinsky並びにFetcenko両氏による、同時係属米国特許出願番号07/934,976号に記載されているようなNi−MH電池は、鉛・酸電池よりエネルギー密度がずっと高く、再充電を必要とするまでに電気車両に250マイルを超えて動力を提供でき、15分で充電でき、有毒物質を含有していない。Ni−MH電池を用いた電気車両は、優れた加速性及び約100,000マイルを超える電池寿命を実証した。
【0005】
Ni−MH電池の電力及び充電容量の電気化学的な面を改善することに、過去において広範な研究がなされてきており、詳しくは、米国特許番号第5,096,667号、及び第5,104,617号、並びに米国特許出願番号第07/746,015号及び第07/934,976号に考察されている。これら全ての参考文献の内容は、特に参考にして取り入れている。
【0006】
Obonic電池会社は、容量が、電気車両用途に対しては90から150Ah、ハイブリッド車両用に対しては30−60Ahの範囲にある、高エネルギー、高電力ニッケル−金属水素化物電池を開発した。現在は、パワーアシストHEV(混成電気車両)のような幾つかの用途において、5から20Ahの範囲のもっと小さい容量が要求されている。
【0007】
しかし、非常に背の低い缶が採用された場合、電極のアスペクト比が好ましくないほど幅広になる。それ故、EV(電気車両)寸法の電池に適した(約50から100Ah)立地面積の単一セルに対しては、実用的な容量の下限値は凡そ25−30Ahである。約20Ahの高電力HEVを達成するために、もっと小さい立地面積の缶が用いられており、約12−15Ahの電池を供給できる更に小さい缶が計画されている。しかし、これらの小さいセルは、比電力及び比エネルギーにおける改善はもたらさない。事実、電力及びエネルギー密度と同様に、電極タブの配置やセルの構造が再設計され且つ再び最適化されないと、比電力及び比エネルギーは、缶の背が低くなるにしたがって減少する。
【0008】
現在の角柱状電池設計の小さい電池に伴う最大の問題点は、単位貯蔵エネルギー当たりの費用(比コスト)が、寸法が小さくなるにつれて増大することである。これは、セル構造部品の費用が、必ずしも寸法に見合ったものにならないからである。ある費用は、採用する部品の数に強く関係し、それは小さな電池でも一般には減らないものである。このため新しい電池設計が要求されている。
【0009】
加えて、最近までNi−MH電池の性能の機械的及び熱的な面が無視されてきた事実は特筆すべきである。例えば、電気車両において、電池の重量は、車両の重量の中で最も重い構成要素であるから、重要な因子である。このため、個別の電池の重量を低減することは、電気的動力で駆動される車両用の電池の設計において、重要な考慮すべき事項である。電池の重量を低減することに加えて、モジュールの必要な機械的要求事項(運搬の容易さ、頑丈さ、など)を満たしながら、電池モジュールの重量も低減されねばならない。更に、これらの電池モジュールが、電池パック装置(電気車両での使用のような)に組み込まれる場合は、電池パックの構成要素は出来る限り軽いことが必要である。
【0010】
電気車両への適用が、熱管理に対する重大な要求事項をもたらしたことは、特に注目すべきである。これは、個別のセルが密接して束ねられ、多くのセルが電気的且つ熱的に接続されているからである。それ故、充電及び放電時に著しい熱を発生するという固有の傾向があるので、電気車両用の電池設計の実用可能性は、発生した熱が十分に制御されているか否かによって判定される。
【0011】
熱源は、最も重要なものが三つある。第一は、暑い気候で車両を作動させることに起因する周囲の環境の熱。第二は、充電及び放電時の抵抗I2R発熱で、Iは電池に流入又は流出する電流を表わし、Rは電池の抵抗である。第三は、膨大な量の熱が、気体の再結合に起因して過充電時に発生する。
【0012】
上の要因は一般に全ての電池装置に共通しているものであるが、ニッケル−金属水素化物電池装置にとって特に重要である。それは、Ni−MHが高い比エネルギーを有し、充電及び放電電流も高いからである。例えば、鉛・酸電池を一時間で充電するのに35アンペアの電流が使われることがあるが、一方Ni−MH電池の最充電は、同じ一時間の再充電に対して100アンペアが用いられるであろう。第二に、Ni−MHは、例外的なエネルギー密度(即ち、エネルギーが非常に密に貯蔵される)を有するので、熱消散が鉛・酸電池より困難である。これは、体積に対する表面積の比が鉛・酸より小さいからであり、このことは、発生する熱は鉛酸電池よりも2.5倍Ni−MHのほうが多いけれども、熱消散表面が小さいことを意味する。
【0013】
以下の実例による説明は、電気車両用のNi−MH電池パックを設計するときに直面する熱管理問題を理解するのに有益である。ゼネラル・モータース社に与えられた米国特許番号第5,378,555号(ここに参考にして取り入れてある)において、鉛酸電池を用いた電気車両電池パックが説明されている。鉛・酸電池を使用した電池パック装置は、約13kWhの容量を有し、約800ポンドの重量があり、約90マイルの走行距離を有している。鉛・酸電池パックを同じ寸法のOvonic電池パックで置き換えることによって、容量は35kWhに増加し、走行距離は約250マイルに拡大された。この比較の暗示するものは、15分の再充電において、Ni−MH電池パックに供給された電力は鉛・酸電池パックに供給されたものの2.7倍大きく、それに見合った熱が付加されていることである。しかし、事態は放電時にはいくらか異なっている。高速道路で一定速度の車両に動力を与えるのに、電池から電流を引き出すのはNi−MH電池でも鉛・酸電池(又は実際にその他の如何なる電源)でも同じである。本質的に車両を駆動する電気モータは、何処からエネルギーを得るのか、又は如何なる種類の電池が電力を供給するのかを問題にしない。放電に際してのNi−MH電池と鉛・酸電池の加熱の違いは、放電の長さである。即ち、Ni−MH電池は車両を鉛・酸より2.7倍も遠くまで走行させるので、冷える”機会が来るまでにより長い時間が経過することになる。
【0014】
更に、Ni−MH電池を充電及び放電する時に発生する熱は、小さい民生用電池又はたとえ大きい電池でも単独で限られた時間内で使われる場合は、普通、問題はないが、連続的電源として使用される大きい電池は、特に衛星や電気車両などにおけるように複数個が直列や並列で用いられる場合に、充電及び放電に際して十分な熱を発生し、電池モジュール又は電池パック装置の究極の性能に影響を与える。
【0015】
このように、全重量を軽減し、電気車両の走行を成功させるために必要な熱管理を取り入れ、エネルギー貯蔵容量又は出力を低減させないで、電池の信頼性を向上し、コストを削減するような、電池、電池モジュール、及び電池パック装置の設計に対する、この技術分野における要求が存在する。
【0016】
簡単に言って、従来技術は、軽量で、簡単で、費用が掛からないで、且つ空冷又は水冷の熱管理装置を電池、モジュール、及びパックの構造的支持体に結合させたような、一体化した電池の外部/内部設計、電池モジュール、及び熱管理された電池パック装置について教示していない。
【発明の概要】
【0017】
ここに開示されているのは、以下から成る、多重セル一体型電池:電池ケース;及び複数の電気化学的セル、電気的に相互接続された複数のセルは電池ケース内に配置され、各電気化学的セルは以下からなる:a)少なくとも一つの正極;b)少なくとも一つの負極;c)電気的に正及び負極を絶縁しながら、正及び負極間のイオンの輸送は可能にしているセパレータ;d)電極とセパレータを取り巻き且つ濡らしている電解液;並びにe)電極、セパレータ及び電解液を取り巻き且つ囲っている容器;容器はガス及び電解液が通過できる大きさの開口を有し;開口は更に、各個別のセルで発生するガスをそのセル容器から放出させるが、各セルの電解液は隔離するような、疎水性の手段を有している。
【0018】
多重セル一体型電池は更に、基底部、ケース蓋、及び電池端子を含むことがある。電池端子は、ケース内の前記相互接続された電気化学的電池に、電気的接続を提供している。電池端子は、前記相互接続された電池に、前記ケース蓋を貫通して電気的に接続された、金属箔材料から形成することが出来る。金属箔材料は、銅/ニッケル積層箔材料から成るものであってもよい。
【0019】
好ましい実施態様においては、電池ケースはプラスチックで形成されるが、ステンレス鋼も好ましい実施態様の一つである。多重セル一体型電池を形成している電気化学的セルは、ニッケル金属水素化物セルで、各セルの負極は水素貯蔵材料で形成され、各セルの正極はニッケル水酸化物材料から形成されている。電池ケース蓋は、ケースが伝導性金属材料で出来ている場合ケースから電池端子を絶縁するために、非伝導性材料から成る。非伝導性材料は、好ましくは接着剤でケース蓋に取り付けられたフェノール・ガラス材料で形成される。容器は、電池の電気化学的環境に不活性な、非伝導性重合体材料で形成される。非伝導性重合体材料は、好ましくはポリプロピレンから成る。複数の電気化学的セルの各々は、複数の正極と複数の負極を備えており、各容器は、電池ガスは通過できるが電池電解液は通過できない開口を備えている。
【0020】
この発明のもう一つの好ましい実施態様においては、多重セル・プラスチック一体型電池が開示されており、その電池は以下から成る:一体形成された四枚の側壁、一体形成された一個の基底部、及び一枚の上蓋を有する電池ケース;及び複数の電気化学的セルの各々が以下からなり、電池ケース内に配置され電気的に相互接続された複数の電気化学的セル:a)少なくとも一つの正極;b)少なくとも一つの負極;c)電気的に正及び負極を絶縁しながら、正及び負電間のイオンの輸送は可能にしているセパレータ;d)電極とセパレータを取り巻き且つ濡らしている電解液;並びに電池ケースは以下からなる:各セルの電解液はセル以外の電解液から隔離されるが、各セルからのガスは電池ケースの容器から出られるように、セルがその内部に作動状態で配置された複数の個別の容器;並びに少なくとも二つの電気化学的セルの間に熱的に接触するように配置されている、複数の相互接続された冷却材流路、及び冷却材流路を貫流している冷却材。
【0021】
各セルから放出されたガスは、ケースの内側の共通圧力容器内に分配される。
少なくとも一つの圧力通気孔が放出ガスの圧力開放に用いられる。ガス通気性の疎水性材料がセル間の電解液の流通を阻止するために利用できる。
【0022】
複数のセルは、セルの正極のタブを隣のセルの負極へ溶接することにより、集電タブを介し容器を貫通して直列に相互接続されるのがよい。接続体は、好ましくはニッケル、より好ましくはニッケルと銅で形成される。相互接続部は、ホット・メルト系接着剤又はエポキシ系接着剤を有するEDPMゴム・ガスケットで封止される。
【0023】
更にここで開示されるのは、複数の電気化学的セルで構成される液体冷却プラスチック電池ケースで、その改善点は以下から成っている:冷却材をプラスチックケースの底部内の冷却材流路から通し、冷却材流路を通って上昇して少なくとも一つの電気化学的セルの一つの面の一部分を冷却し、その面を横切り、冷却材流路を通って降下して少なくとも一つのセルの一つの面の残りの部分を冷却し、プラスチックケースの底部内の他の冷却材流路から放出される。
【0024】
更にここで開示されるのは、ケース内に収容された複数の個別の角柱状電気化学的セル、電気的に並列に相互接続された二個のセルの少なくとも二組、及び互いに電気的に直列に相互接続されている前記並列に相互接続されたセルのそれぞれの組、から成る高容量、高エネルギー電池モジュールである。
【0025】
更にここで開示されるのは、電気的に相互接続され作動状態で配置された複数の個別セルを内部に有する、プラスチック一体型角柱状電池ケースであり;ケースは、一体形成された側壁及び底部を有し、改善点が以下から成る:ケースの壁又は他の隔壁と一緒に作用して一つ以上のセル用容器を形成するように、ケースの二枚の側壁の間に有効な状態で配置された、少なくとも一つの挿入可能な隔壁。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】内部に配置された複数の電気化学的セルを有する、単一電池ケースの平側面図である。
【図2】五個の電気化学的セルが直列に相互接続された、この発明の電池ケースを説明する平側面図である。
【図3】図3aは、一体型電池ケースの基底部及び蓋を示す三次元図であり、図3bは、一体型電池ケース用の基底部の三次元図である。
【図4】一体型電池ケース基底部の平底面部である。
【図5】冷却材流路を貫通する冷却材の流れの道筋を示す、冷却材隔壁の側面図である。
【図6】一体型電池ケースの蓋の上面図である。
【図7】電極が、隔壁の壁を貫通して相互接続される様子を示す、一体型電池ケースの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここに開示したのは、多重セル、一体型電池である。この電池は、複数の電気化学的セルを単一の圧力容器又は電池ケースに収納している。各セルの電解液は、残りのセルから隔離されており、単一の電池は、セルの容器及び単一の圧力/ガス容器として働く。この発明の電池設計は、多くの利点を有している。この発明の設計は、従来電池に比べてごく僅かな電流容量の電池を、従来のセル缶、構造、及び電極を用いて組み立てるのを可能にする。更に、この設計は従来設計の高い比エネルギーも維持している。加えて、設計の比電力は、対向する電極タブ設計(以下に考察する)を用いて、従来設計より増大できる。
【0028】
この設計の$/kWhで表わした比コストは、従来設計のものより構造費や部品費が低いので低くなる。更にこの発明の設計を用いた電池の開発時間は、既存の部品が使用できるので、従来電池の開発時間より短縮できる。最終的に、この発明の設計による電池は、既存のモジュール及びパックの設計及び構造を用いて、モジュールやパックに組み上げることが出来る。
【0029】
従来の鋼缶に入ったこのような多重セル電池の生産は、概念的に正しいものである。しかし、構造の詳細に焦点を絞ると、本発明者らが解法を工夫した特別な問題が発生する。本発明の基本的な電池設計は、単一のステンレス鋼缶内の多重のセルを採用する。セルの電気リード線は、内部で直列に繋ながれ、単一セルの電圧の合計を缶の端子に供給する。缶には、最新の従来法によるセル設計と同様に、二個の外部端子が在るのみである。セル間の自己放電電気短絡路を避けるために各セルの電解液はそれ以外のセルから隔離されている。このように、個別のセル集積体は、電気的接続部を除いて互いに電気化学的に絶縁されることが必要である。単一の缶は、各セルの圧力容器として働く。
【0030】
多重セル単一缶電池を作成する最も簡単な方法は、数個の部分電極集積体を用意し、それをプラスチックの袋にいれ、結果として生ずる積層体を直列に溶接し、セルを缶の中に入れ、端のセルを缶の端子に溶接することである。この設計に伴う一つの問題は、セル電解液のセルからセルへ及び共通缶内への漏洩の可能性である。電解液の漏洩が起こる可能性のある場所は、ガスがセルから逃散する場所であるセル収納袋の先端、及びセル収納袋を貫通した溶接がなされた場合のセル相互接続溶接継手である。
【0031】
図1は、本発明の多重セル一体型電池の実施態様の簡略図である。図1は、単一電池ケース1を示す。電池ケース1の内部に配置されているのは、複数の電気化学的セル3である。電気化学的セル3の各々は、少なくとも一つの正極5及び少なくとも一つの負極7を備えている。各セルは更に、正極を負極から電気的に絶縁するが、正と負極間のイオンの輸送は行なわせるようなセパレータ9を備えている。各セルは更に、セル内で電極及びセパレータを取り囲み且つ濡らすような電解液を含んでいる。各セルは更に、セル内部の電極、セパレータ、及び電解液を取り囲むセル容器11を備えている。
【0032】
電池ケースは、ケース缶、ケース蓋、及び電池端子から構成される。電池端子は、ケース内の電気的に相互接続されたセルに、電気的接続を提供する。電池端子は、収納蓋を貫通して、ケース内の相互接続された電気化学的セルに電気的に接続された、金属箔材料で構成するのがよい。金属箔材料は、銅/ニッケル積層箔材料から構成するのがよい。
【0033】
電池ケースは、プラスチックで形成することができる。代わりに、電池ケースは、ステンレス鋼で形成してもよい。電池ケース蓋は、ステンレス鋼ケースから電池端子を絶縁するための、非伝導性材料で構成するとよい。非伝導性材料は、フエノール・ガラス材料から成るのがよい。フェノール・ガラス材料は、ケース蓋に接着剤で固着するとよい。
【0034】
セル容器11は、電池の電気化学的環境に不活性な非伝導性重合体から成るのがよい。非伝導性重合体は、ポリプロピレンから成るのがよい。それは更に強度を高める充填材を含むことがある。セル容器は、各セルの電解液を電池内の他の全てのセルの電解液から隔離する。しかし、容器はそのセルから発生するガスを電池ケース内へ通り抜けさせる。これは、ガスと電解液の通過が出来る寸法になっている開口を、セル容器に設けることで達成するのがよい。開口は疎水性の手段によって覆われており、電解液の通過を妨げ(こうして各セルの電解液を隔離し)、一方各個別のセルで発生するガスがそのセルの容器から出るのは許している。好ましくは、疎水性の手段は、ガスが容器から出るのは許すが、電解液が通り抜けるのは妨げる様な疎水性材料である。疎水性材料の一例は、炭酸カルシウム充填材を含むポリエチレンから成る材料である。疎水性材料は、過充電ガス放出速度に十分対応できるガス拡散表面積を有することが好ましい。表面積は、12Ahの容量の電気化学的セルに対して、約5cm2と約50cm2の間がよい。
【0035】
図1は、更に、各正及び負極に接続された集電タブを示す。図1において、タブ13aは各正極に接続され、タブ13bは各負極に接続されている。正極に接続された集電タブ13aの全ては一緒に接続されて、”正極相互接続体”15aを形成している。同様に、負極に接続された集電タブ13bの全ては一緒に接続されて、”負極相互接続体”15bを形成している。好ましくは、タブは溶接によって機械的に接続される。言及されているように、個別の電気化学的セルは、電気的に相互接続されている。一般に、各セルはもう一つのセルと直列又は並列に電気的に接続されるであろう。好ましくは、全てのセルは直列に接続される。
一般に、電気化学的セルは、一つのセルの正極相互接続体を隣のセルの負極相互接続体に電気的に接続することにより、容器を貫通して直列に電気的接続がなされる。セル間の直列相互接続が図2に示されている。図2は、直列に相互接続された五つの電気化学的セル21、22、23、24、25を示す。直列相互接続は、第一のセル21の正極相互接続体15aを、第二のセル22の負極相互接続体15bに接続することによって達成される。第二のセル22の正極相互接続体は、第三のセル23の負極相互接続体に電気的に接続され、以下同様である。
【0036】
好ましくは、正及び負極相互接続体15aと15bは、相互接続体を溶接することにより電気的に接続される。隣り合う電気化学的セルの間に距離を置くため、”接続スペーサ”15cが相互接続体の間に溶接される。接続スペーサ15cは、ニッケル、銅、ニッケル合金、銅合金、ニッケル−銅合金、銅−ニッケル合金から成ることが好ましい。更に接続スペーサは、銅とニッケルの両者から成ってもよい。例えば、接続スペーサは、ニッケルメッキ銅から成っていてもよく、又接続スペーサはニッケルで取り囲まれた銅芯材で構成されてもよい。代わりに、接続体は、長手方向に沿ってニッケル線を巻き付けた銅円筒
で構成されてもよい。電気的接続は、セル容器を貫通して行なわれる。相互接続体が接続される領域を、、相互接続領域”と呼ぶ。電解液は、相互接続領域で各セル容器から漏れ出す可能性がある。電解液の漏洩を防ぐために、各セル容器は相互接続領域で、、相互接続領域封止体”によって封止される。相互接続領域封止体は、EDPMゴム・ガスケットのような重合体ガスケットから成るのがよい。更に、相互接続領域封止体は、ホット・メルト系接着剤及びエポキシ系接着剤から成る群から選ぶとよい。
【0037】
電気化学的セルは、ニッケル−金属水素化物セルであるかもしれない。その場合は、各セルの負極は水素貯蔵材料から形成され、各セルの正極はニッケル水酸化物材料から形成される。
【実施例1】
【0038】
3セル電池を、単一ステンレス鋼缶の中に組み立てた。電極集積体から成る各セルを、個別のポリプロピレン袋中に挿入した。各セル中の電解液は、各セルの上端で疎水性材料の障壁を用いて改質されたプラスチック袋で隔離した。3セル電池は、単一缶、単一通気孔、及び一組の端子を共有していた。缶の内部のセル間接続は、各セルの溶接タブの束をTIG溶接して直列に繋いで実施した。外側のセルの溶接タブ接続体は、缶端子へTIG溶接した。
【0039】
各電極積層体は、6枚の正極と7枚の負極から構成されていた。正極は、発泡ニッケル基板にペースト状にして塗布した水酸化ニッケルから成るものであった。正極は、31ミル厚で、各30グラムであった。各セルの正極容量の設計値は約30Ahであった。負極は、ニッケル基板上のMF−139Z金属水素化物合金(公称組成が、原子%でTi9.0%、Zr27.0%、V5.0%、Ni38.0%、Cr5.0%、Mn16.0%)で構成されていた。負極は14ミル厚で、各約23.3グラムであった。セルの負極容量の設計値は約50Ahであり、負極の正極に対する比が1.7:1.0となる設計化学量
論比をもたらした。50g/m2厚のセパレータが、正及び負極の周りに配置された。電解液充填量は、セル当たり30重量%のKOHが2.3g/Ah×30Ah=69gであった。
【0040】
電解液の隔離は、個別セルを別々の8ミル厚ポリプロピレン袋に収納することで、達成した。セルは、壁越え形状で、直列に溶接した。即ち、各セルの電極タブは、ポリエチレン袋の頂部の上で直列に溶接した。袋の頂部からの電解液の漏洩を防ぎ、しかもガスは逃がすために、疎水性が高く、ガス通気性が在り、熱封止性の薄膜材料が、各ポリエチレン袋の頂部三分の一に積層された。三本の熱封止線が、強度を与えるために用いられ、袋の頂部周囲の封止が保証された。第二の障壁がタブ領域を越えて挿入され、電解液が這い上がって電極のニッケル・タブを越えるのが防がれた。ポリエチレンの管に溝を切り、タブ溶接部を覆うように押し込み、相互接続体領域の周りの袋の頂部に留めた。管は、タブ領域及び袋領域の頂部を完全に封止するためにエポキシで充填した。
【0041】
電解液を各セルに注入機で加え、セパレータ及び極板にしみ込ませた。電池は次いで真空ポンプで引いて電極の空孔領域へKOHを更に押し込んだ。KOHを最後に添加した後、一巻きの疎水性熱封止薄膜を各セルの頂部に排除領域として挿入し、電解液の噴出又は半径方向飛散が最少になるようにした。
【0042】
電池は、溶接で密閉し、隔膜通気孔を取り付けた。電池は次いで1650ポンドに加圧し、60℃で3日間熱処理した。熱処理後、圧縮力を50psiに下げ、電池は標準電気充電化成処理法を用いて化成された。
【0043】
二組の三重セルを上で説明した組立工程に従って組み立てた。化成後、多重セル単一缶電池の開放電圧は4Vで、これは三つのセルは直列であることを示している。電池はC/3で2.7V又はセル当たり0.9Vまで放電し、次いでC/10で0.9V又はセル当たり0.3Vまで放電した。放電曲線は、中間点電圧3.67VのNiMHセルの放電曲線に似ており、単一セル照査基準の中間点電圧1.22Vの三倍である。放電容量は29−30Ahであり、設計容量の30Ahと良く一致した。挙動は、直列の三個の30Ahセルの放電に似ていた。どちらの電池も、三個のセルは全て一緒に行動し、充電状態はセル間で良く釣り合いが取れている。充電曲線が不均衡セルの指標である二次平坦部を示さなかったこと、に注目するのは大切なことである。比エネルギーは同種の単一セルより僅かに低かったが、三重セル缶電池における化学量論的比率が設計の細部に強く依存することが主な理由である。
【0044】
三重セル缶電池の交流インピーダンスは、照査基準セルの0.7ミリオームに比較して5.2ミリオームであった。理論的には、各90Ahセルのインピーダンスは、100Ah照査基準セルの三倍よりやや大きい筈である。各多重セル缶の中の三個のセルは直列接続なので、三重セル缶電池は、照査基準セルのそれの3x3=9倍、又は9x0.7=6.3ミリオームとなる筈である。実際のインピーダンスは5.2ミリオームで僅かに低く、この設計に対して優れた電力性能を期待できることが示めされた。
【0045】
パルス電力試験から導かれた比電力性能は、50%DOD(放電深度)において194−207W/kgで、80%DODにおいて163−180W/kgであった。この電力性能は、50%DODにおいて190W/kgで、80%DODにおいて160W/kgという、照査基準セルについて観察されたものと同等かやや高いものであった。
【0046】
回路開放停止の前後で、放電曲線は、不均衡セルの指標である二次平坦部のない、平滑な放電曲線を示した。自己放電率は、48時間を越えたところで7−12%であり、MF139Z合金を用いた約9%の照査基準セルの値と同等であった。もしも電解液のセル間の流通で短絡を生じたなら、自己放電の後で変化状態の不均衡が起こると期待された。これでセル間の良好な電気絶縁が実証された。
【0047】
多重セル缶電池は、化成、調整、短時間繰り返し、及び試験の間に数ダースの充放電の繰り返しを受ける。これらの繰り返しの間に、電解液の短絡に起因する故障の兆候はなく、容量は通常は増加した。
【0048】
最初の多重セル電池の成功によって、発明者らは、基本概念を改善する新しい概念について考察した。使用した重要な技術の一つは、所謂、”壁を貫通した”セルの接続である。高価な端子が、”壁を貫通し”直接に内部の帯金に溶接した相互接続帯金によって置き換えられた。電流端子穴を覆ってエポキシで接着した複合フエノール・ガラス隔壁板の合わせ板を用いて、金属/プラスチック積層板を作製するのに、標準の蓋/通気孔パックが使用された。
【0049】
従前のセルは、”壁を跨いだ”接続を用いた頂部が開放された袋を有していた。しかし、缶から端子に測定できる程度の伝導性があり、セルの一つが他のものに比べてやや高い自己放電性を有している。この矛盾は、二つ以上の電池が作製される場合(工程変動要因の削減)はうまく制御できるけれども、改善点として、全電池部品が電気化学的に完全に絶縁される袋の中へ、各セルを封入することが重要であると考えられた。これは機能的な、”壁を貫通した”接続及び封止によってのみ可能である。
【実施例2】
【0050】
3セル電池を、単一ステンレス鋼缶の中に組み立てた。電極集積体から成る各セルを、個別のポリプロピレン袋中に挿入した。各セル中の電解液は、各セルの頂部に熱封止されたガス浸透膜半パックを組み込んだ、ポリエチレン袋で隔離した。ガス浸透膜半パックは、50cm2以上のガス拡散表面積を持つように設計された。浸透膜材料をポリエチレンのシートに熱封止し、セルの中に挿入するための一体ものに形成することにより、各パックは作成される。3セル電池は、単一缶、単一通気孔、及び一組の銅/ニッケル積層箔端子を共有していた。缶内部のセル間接続は、事前に溶接しておいた袋を貫通している0.005インチニッケル箔タブ材料から作製した、ボタンを溶接しEPDMゴム・ガスケットで封止して行なわれる。外側のセルは、同じ遣り方で蓋を貫通し積層箔端子に溶接される。
【0051】
電極集積体は、組み立ててから、タブの中央部に明けた0.25インチの穴を有するポリエチレンの標準袋に挿入した。袋は、隣り合ったセルに位置合わせし、その穴を正と負極のタブに芯合わせした。ボタンは、EDPMワッシャを通して押し込んで袋の壁面の間に配置した。次いで、正極タブ集積体、ボタン、袋、EDPMワッシャ、袋、及び負極タブ集積体の集合を抵抗溶接して、最大で0.07ミリオームの接続を得た。三セル集積体の最終接続は、タブからEPDMゴム・ワッシャを備えた袋の壁面を貫通して、蓋の層状の0.005インチの交互にNi/Cuから成る帯金までである。この帯金は、次いで厚い蓋の接続に合わせた同様の構成のNiボタンを用いて、外側のセル間接続体に壁を貫通して溶接された。複合材の蓋は、標準のステンレス鋼の蓋の内側と外側の両面に積層した、標準のフェノール・ガラス回路板材料を用いて作製した。標準端子穴が配置された蓋の持ち上がった正方形領域の両側に、ぴったり合う二枚の正方形の回路板を切り出すことで達成される。穴の周りの領域は、エポキシで完全に封止して、0.25インチのドリル穴が開けられる。正及び負極のセル間を繋ぐ帯金は、”壁を貫通して”溶接されて、電池の”フラグ(flag)”又は外部端子と成る。”フラグ”端子の基礎の周りにリングが配置され、堰として固定されて、溶接部を覆うまでエポキシが注入される。
【0052】
各電極集積体は、寸法がM−108の6枚の正極と7枚の負極を含む。正極は、発泡ニッケル基板上にペースト状にして付着させた、市販の水酸化ニッケル粉から成る。正極は、31ミル厚で、各約18グラムの重さである。各セルの設計容量は、18.9Ahであった。負極は、銅基板上のMF−139Zから成る。
それらは、14ミル厚で、各13.5グラムであった。各セルの設計負極容量は、28.1Ahで1.49の設計化学量論比を生じた。薄い30g/m2のセパレータが正及び負極の両方に用いられた。充填体積は、セル当たり30重量%のKOHが2.0g/Ahx19Ah=38gであった。
【0053】
電解液の隔離は、各個別のセルを別々の8ミルのプラスチック袋の中へ収納することによって達成された。疎水性が強く熱封止性の薄膜が、ガス拡散障壁として用いられた。薄膜は袋に封着され、一連のガス流路が、セルから共通の圧力容器までガスを通過させるために導入された。
【0054】
電解液は各細分セルに注入器で添加され、セパレータ及び極板にしみ込ませた。電池は次いで真空に引いて、KOHを更に空孔領域に押し込んだ。KOHを最終的に添加した後で、各セルの充填孔は熱封止され、電池がTIG溶接され、発条通気孔が設置された。電池は次いで800ポンドに加圧され、60℃で3日間熱処理した。圧縮力を約50psi迄開放し、電池は標準化成処理法を用いて化成した。
【0055】
化成後、三重セル電池の開放回路電圧は4Vを越え、三個のセルは直列であることを示している。電池は、C/3で2.7Vまで、言い換えればセル当たり0.9Vまで放電した。放電曲線は、3.74Vの中間点電圧を有する標準曲線と類似している。電池の容量は18.9Ahであって、19Ahという設計容量と良く一致していた。エネルギー密度は、電池設計が最適化されていないために、同等の照査基準セルより低かった。新しいガス浸透膜用の空間を提供するための著しい遊休体積と過大な重量が存在する。
【0056】
電池の交流インピーダンスは、照査基準の混成セルの0.37ミリオームに比較して、4.8ミリオームであった。理論的には、18Ahの各セルのインピーダンスは、60Ah照査基準セルのそれの三倍である筈である。缶内の三つのセルは直列になっているので、全インピーダンスは、照査基準セルの3x3=9倍、又は9x0.37=3.33ミリオームである。実際には、インピーダンスは各セル内の電極の数の関数でもある。混成照査基準セルは、24の電極対を有するが、一方多重接合電池は18電極対を有するのみである。それ故、全インピーダンスは、3.33x24/18=4.44ミリオームと成る筈である。全電力に対する他の寄与事項はセル設計にある。壁を貫通する溶接、ガス浸透膜隔離、などの新しい設計的特色を検討するために、実験的設計を装置化した。
【0057】
高いインピーダンスにも拘らず、実際の電力性能は電極対当たりのワット数に増加が見られた。等価電力試験から得た性能は、50%DODで290W/kg、80%で233W/kgであった。照査基準セルは、繰り返し回数の同じ段階において、50%DODで312W/kg、80%で236W/kgを示した。
電力性能の要約は表4に示されている。
【0058】
三重セル缶電池を48時間の回路開放停止試験に供した。回路開放の前後で、放電曲線は、滑らかな放電曲線を示している。自己放電率は9.6%で、MF−139Z合金を用いて約9%の照査基準セルと同等である。各セルは電気化学的に互いに絶縁されているので、電解液を流れる短絡電流による充電の不均衡はありえない。
【0059】
三重セル缶は、化成、調整、短時間繰り返し、及び試験の間に60サイクルより多い繰り返しを受けた。これらの繰り返しの間に、セルからの電解液の漏洩に起因する構造その他の故障の兆候はなく、容量は通常これらの放電の繰り返しの間に増加した。
【0060】
組立時に、セル容器袋として用いられるポリエチレン材料に穴が明くことが有りうる。これは、熱封止性があり改善された破れ抵抗を有する、新しい袋材料を提供することによって避けることが出来る。新しい買い物袋及びポリウレタン・フイルムのあるものは、それらの主な機能の評価基準として破れ抵抗を用いて設計されてきた。これらの新しい材料は現在用いられている柔らかいポリエチレンの代替として評価されるべきである。
【0061】
実施例1及び実施例2で説明された多重セル一体型電池に加えて、ここには、単一のケース内に配置された複数の電気化学的セルから成る、多重セル一体型電池のその他の実施例を開示した。この実施例では、一体型電池は、ここで 一体型ケース”と呼ぶ独特の設計をした電池ケースから成る。一体型ケースは、プラスチック材料で形成されるのが好ましい。プラスチック材料は、電解液による腐蝕に対して抵抗性のある材料であることが好ましい。一体型ケースは、四つの一体形成された側壁、一つの一体形成された基底部、及び一つの上蓋を有する。
【0062】
一体型ケースは、その中に電気化学的セルが動作状態で配置された、複数の個別の容器から成り、各セルの電解液は他のセルから隔離され、一方各セルからのガスは容器から出て一体型電池ケースの中に入る。(従って、各個別セルからのガスは、電池ケース内の共通圧力容器中に分配される。)一体型ケースは、更に複数の相互接続された冷却材流路を備えている。冷却材流路は、電池化学的セルの少なくとも二つの間に配置され且つ熱的接触をしている。冷却材は冷却材流路を貫流する。
【0063】
冷却材流路は、一体型基底部の底に位置する 底部冷却材流路”を通じて、流体的に相互接続されている。底部冷却材流路は、基底部の底部に一体化されてもよい。
【0064】
一体型ケースの実施態様が、図3a及び3bに示されている。図3aは、基底部103及び蓋104を有する一体型ケースを示す。図3bは、蓋を外した基底部を示す。図3bに示すように、基底部は二つの側壁、二つの端板、及び一つの底部を含む。図示した特定の一体型電池ケースは、角柱状電気化学的セルとともに使用するのに適しているであろう。一体型電池ケースの端部は、電池基底部が膨れるのを最少にするために、電池化学的セルに圧縮力を掛けた状態でケース内に保持するように、設計されている。図3bに示すように、端部は矩形のハニカム構造に形成されるのがよい。隔壁が一体型ケースの内部に置かれ、各電気化学的セル用の個別の容器を形成する。容器は、二つの隔壁により、又は隔壁と側壁の間に、形成される。一体型基底部の内部は、セル仕切部屋105に分割されている。各セル仕切部屋105は一個の電気化学的セルを収納する。電池電解液が、一つのセル仕切部屋から他のセル仕切部屋へ通過できないことは、注目すべきである。しかし、電池のガスは、一つの仕切部屋から他へ通過できる。
【0065】
隔壁は、、固定される”か又は 挿入可能”のどちらかであろう。固定された隔壁は、一般に製造時に基底部と一体化され、取り外すことは出来ない。挿入可能な隔壁は、基底部が製造された後に基底部内に置かれるであろう。それらは、挿入後取り外すことも出来る。好ましくは、本発明の一体型電池ケースは少なくとも一つの挿入可能隔壁を有する。特に、本発明の一実施態様は、少なくとも一つの挿入可能隔壁を有する、プラスチック一体型角柱状電池ケースである。この挿入可能隔壁は、ケースの壁面と、又は固定隔壁と、又は他の挿入可能隔壁と協力して、一つ以上の電気化学的セル用の容器を形成するために、一体型ケースの二つの側壁の間に有効な状態で配置されるように適合されている。
【0066】
挿入可能隔壁は、隣接した壁又は隣接した隔壁(固定されたもの、又は挿入可能なもののいずれも)と 協力して”、二つの間に置かれた電気化学的セルに実質的に一様な圧縮力を与えるように製造される、ということは注目される。例えば、挿入可能隔壁は、基底部と一体で製造される固定された隔壁又は壁の 抜き勾配”を相殺するように製造される(基底部の 抜き勾配”は、基底部を金型から分離できるように、製造可能性の面から要求される)。挿入可能隔壁は、固定された隔壁又は壁とは反対になるように傾斜をつけて作製されることがある。これは結果として、電気化学的セルの表面全体により均一な圧縮力が掛かることになる。
【0067】
隔壁は、分割隔壁又は冷却材隔壁である。分割隔壁は、ケースを小さい領域に分割し、上で説明した容器を形成するのに役立つ。冷却材隔壁は、容器を形成するのに加えて、電気化学的セルを冷却するのに役立つ。
【0068】
好ましくは、分割隔壁は一体型基底部と一体化されていて、冷却材隔壁が 挿入可能”であるのに対して、”固定されて”いる。しかし、全ての隔壁が挿入可能で、それにより一体型ケース設計がより自由度を増すことが出来るということも有りうる。
【0069】
図3bに示した実施態様において、分割隔壁107は固定されており、冷却材隔壁109は挿入可能である。基底部が製造された後で、冷却材隔壁が一体型基底部に挿入されるので、冷却材隔壁の壁をより薄くして、それにより高い冷却能力を与えることが出来る。同様に、冷却材隔壁は挿入可能なので、電気化学的セルに実質的に均一な圧縮力を(上述のように)提供するように、それらは適合されるであろう。
【0070】
各冷却材隔壁109は、冷却材隔壁と好ましくは一体化される冷却材流路系を含んでいる。冷却材流路は、より好ましくは冷却材隔壁の内部に一体化される。
冷却材隔壁は、電気化学的セルの間に、熱的接触をしながら配置されている。各冷却材隔壁の冷却材料路は、他の冷却材隔壁の冷却材流路に流体的に接続され、電気化学的セルを冷却する冷却材を運ぶことのできる一体化された冷却系を形成する。
【0071】
冷却材は、一体型基底部の底部(ここでは 基底部底部”と呼ぶ)上に置かれている、対応する隔壁入口及び対応する隔壁出口を通って、各冷却材隔壁107に出入りする。図4は、基底部底部の実施態様を示す。
【0072】
図4を参照して、冷却材は図3に示した流入管入口120aを経由して一体型基底部に入り、同じく図3に示した流入管120を経由して缶底部に運ばれる。
冷却材は流入管120を経由して運ばれ、缶底部115において流入管出口120bから出る。冷却材は第一隔壁入口151aに向かって流れる。冷却材は、第一隔壁入口151aに入り第一冷却材隔壁を貫通して循環し、第一隔壁出口151bを通って第一冷却材隔壁を出る。第一隔壁出口151bを出た後で、冷却材は、底部冷却材流路131を経由して第二隔壁入口152aに向かって流れるが、第二冷却材隔壁を貫通して循環し第二隔壁出口152bから
出る。第二隔壁出口152bを出た後で、冷却材は、底部冷却材流路132を経由して第三隔壁入口153aに向かって流れるが、第三冷却材隔壁に入り第三隔壁出口153bから出る。この過程は、他の隔壁入口及び出口154a、b及び155a、b、並びに他の底部冷却材流路133及び134に対して繰り返される。冷却材が最後の隔壁出口155bを出た後で、流出管入口160に向かって流れ、流出管によって運び去られる。流入管120及び流出管160は、冷却材入口及び出口器具の実例である。
【0073】
隔壁入口及び出口によって提供される開口は、一体型基底部の製造を容易に実施できるようにするが、それは缶を射出成型法で製造するのが好ましいからだという事実が注目される。開口は、製造時に金型空洞の道具立てを非常に安定なものにし、厳密な寸法公差を与えて、電池の組立を容易にする。開口は、開口内に挿入される冷却材隔壁に対して、優れた封止面も提供する。
【0074】
冷却材は、多くの違った方法で各冷却材隔壁を貫通して循環することが出来る。循環系の一例は、冷却材が隔壁開口を経由して冷却材隔壁に入った後で、冷却材に冷却材隔壁の一方の端部を上昇させ、隔壁の頂部を横切って隔壁の他方の端部を下降させることである。(冷却材は隔壁出口を経由して外へ出る。)循環路の見本が、図5に示されている。図5は、隔壁入口151a及び冷却材出口151bの上に置かれている冷却材隔壁109を示す。矢印は、冷却材の概略の流れの道筋を示す。
【0075】
これは 閉じた環状流路”系の一例である。閉じた環状セル間冷却は、各セルの間で、又は一定の間隔、例えば一つ置き又は二つ置きのセル毎に用いられる。
冷却材は、セルの間又は周りを蛇行して水平方向に、又は 半螺旋状の”道筋を垂直方向に、冷却材隔壁の中空の壁を通ってセルを上下し、更にセルの上下にある通路を通ったりする経路が決められることがある。代わりに、空気流路が、セル間の壁の中に垂直又は水平方向に埋め込まれることがある。
【0076】
図4に見られるように、ある冷却材隔壁の隔壁出口は、その次の冷却材隔壁の隔壁入口に流体的に接続されている。図4に示した特定の接続機構では、底部冷却材流路は、冷却材が第二隔壁に入る前に必ず第一隔壁を出入りする、以下同様に続く、というように経路を決めている。これは 直列”接続である。他の経路体系も亦可能である。例えば、冷却材は、本質的に同時に全ての隔壁に入るように流されることがある。これは 並列”接続である。
【0077】
冷却材は液体冷却材でも気体冷却材でも良いことは、特筆される。ここで用いられているように、”流体”は液体と気体のいずれをも意味する。液体冷却材の例は、水又は水/グリコール混合液である。気体冷却材の一例は空気である。
【0078】
一体型電池ケースはケース蓋を有する。図6は、一体型電池ケースの上部ケース蓋の実施態様の上面図を示す。図6を参照にして、上蓋104は複数のガス流路172を備えている。各ガス流路は個別の電気化学的セルの頂部に配置されている。ガス流路は、各セルからのガスが集められ、同じ一つ又は複数の通気孔を通して放出されるように、互いに通じている。
【0079】
ガス流路も、電解液が一つの容器から他の容器へ流通しないように設計される。これは、ガスは容器から放出されるが電解液はされないような、ガス通気性の疎水性材料を備えることで達成される。疎水性材料は、過充電ガス発生量を相殺するのに十分なガス拡散表面積を有する。それは12Ahのセル当たり約5cm2から約50cm2である。一般に、疎水性材料は、電池ガスは通すが電池電解液は通さない材料の全てである。材料の実例は、炭酸カルシウム充填材を含むポリエチレンからなる材料である。他の例は、各種のおしめ用材料を含む。
【0080】
一体型電池内の各電気化学的セルは、少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極からなる。電極は、電気エネルギーを電極の内外へ輸送するために、電極に取り付けられた集電タブを備えている。図7は一体型電池の側面図である。
図7には、正及び負の電極182の 集積体”を示し、電極は個別のセル仕切部屋184(即ち容器)に置かれている。複数の電気化学的セルは、直列に電気的相互接続がなされるものである。これは集電タブを隔壁を貫通して電気的に接続することで実行できよう。接続は、あるセルの正極186aの集電タブを、隣接するセルの負極186bの集電タブに溶接することによって行
なえる。溶接は、接続スペーサ188を電極の集電タブ186a、186bの間に抵抗溶接することで為されるのがよい。接続スペーサ188は、一体型電池の他の実施態様との関連において、上で説明してある。
【0081】
隔壁を貫通した相互接続領域は、あるセル仕切部屋(即ち、一つの容器)から他のセル仕切部屋(即ち、他の一つの容器)への電解液の流通を防ぐために封止すると良い。封止は、EPDMガスケットのような重合体ガスケットを用いて達成されるであろう。相互接続領域封止は、更にホット・メルト系接着剤又はエポキシ系接着剤から成ることがある。
【0082】
一般に、電気化学的セルはどのような型の電気化学的セルでもよい。セルは、活性材料として水素貯蔵材料から成る負極、及びニッケル水酸化物活性材料から成る正極、から構成されるニッケル−金属水素化物セルでもよい。
【0083】
角柱状電池向けのプラスチック一体型電池は、上で説明した。電池ケース内に配置されるのは、複数の電気的接続がなされた電気化学的セルである。ケースは一体形成された側壁及び底部を有する。更に、、挿入可能”隔壁も上で考察した。ここで開示されたのは、少なくとも一つの挿入可能隔壁を備えた、プラスチック一体型角柱状電池ケースである。この挿入可能隔壁は、ケースの壁面と協力して、又は他の隔壁と協力して、一つ以上の電気化学的セル用の容器を形成するために、電池ケースの二つの側壁の間に有効な状態で配置されるように適合されている。
【0084】
挿入可能隔壁は、流体冷却材用の一体形成された冷却材流路を有することがある。冷却面は挿入可能隔壁内部に一体化されているであろう。冷却材流路は各壁面により内部的に形成されている。
【0085】
挿入可能隔壁は、電気化学的セルが接するように適合された対向平面を有するのがよい。隔壁がケース内に有効に設置されれば、角柱状一体型電池ケースの側壁及び隔壁の表面は協力して、間に挟まれた電気化学的セルを実質的に一様に圧縮する。
【0086】
更に、ここに開示されているのは、流体冷却プラスチック電池ケースであり、その改善点は、冷却材がプラスチックケースの底部内の冷却材流路から通され、冷却材流路を通って上昇して少なくとも一つの電気化学的セルの一つの面の一部分を冷却し、その面を横切り、冷却材流路を通って降下して少なくとも一つのセルの少なくとも一つの面の残りの面を冷却し、プラスチックケースの底部内の他の冷却材流路から放出されることである。
【0087】
更に、ここに開示されているのは、高容量、高エネルギー電池モジュールで、ケース内に収納された個別の角柱状電気化学的セル、並列に相互接続されたセルの組の各々が互いに電気的に直列に相互接続されている、電気的に並列に相互接続された二個のセルの少なくとも二組、から構成されている。角柱状セルの側面の大きな表面領域は、モジュールの充電時の熱暴走を防ぐために互いに密接な熱的接触をするであろう。
【0088】
本発明は、特定の実施態様との関連で説明してきたが、当業者は本発明の範囲と精神を逸脱することなく修正及び変更がなされることを正しく認識するであろう。このような修正及び変更は、添付した特許請求の範囲内にあることが容易に考察されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から成る、多重セル一体型電池。
(A)電池ケース;及び
(B)複数の電気化学的セル、前記電気的に相互接続された複数のセルは前記電池ケース内に配置され、各電気化学的セルは以下から成る:
a)少なくとも一つの正極;
b)少なくとも一つの負極;
c)電気的に前記の正及び負極を絶縁しながら、前記正及び負極間のイオンの輸送は可能にしている、セパレータ;
d)前記電極と前記セパレータを取り巻き且つ濡らしている電解液;並びに
e)前記電極、前記セパレータ及び前記電解液を取り巻き且つ囲っている容器;
前記容器は、ガス及び電解液が通過できる大きさの開口を有し;前記開口は更に、各個別のセルで発生するガスをそのセル容器から放出させるが、各セルの電解液は隔離するような、疎水性の手段を有している。
【請求項2】
前記電池ケースが更に以下から成ることを特徴とする、請求項1の多重セル一体型電池。
a)基底部;b)ケース蓋;及びc)電池端子、
前記電池端子は、前記電池ケース内の相互接続された前記電気化学的セルに、電気的接続を提供している。
【請求項3】
前記電池端子が、前記電池ケース内の前記相互接続された電気化学的セルに、前記ケース蓋を貫通して電気的に接続された、金属箔材料から成ることを特徴とする、請求項2の多重セル一体型電池。
【請求項4】
前記金属箔材料が、銅/ニッケル積層箔材料から成ることを特徴とする、請求項3の多重セル一体型電池。
【請求項5】
前記電池ケースが、プラスチックで形成されていることを特徴とする、請求項2の多重セル一体型電池。
【請求項6】
前記電池ケースが、ステンレス鋼で形成されていることを特徴とする、請求項2の多重セル一体型電池。
【請求項7】
前記電気化学的セルがニッケル金属水素化物セルであることを特徴とする、請求項1の多重セル一体型電池。
【請求項8】
各セルの負極が水素貯蔵活性材料を含み、且つ各セルの正極がニッケル水酸化物活性材料を含むことを特徴とする、請求項7の多重セル一体型電池。
【請求項9】
前記ケース蓋が、前記ステンレス鋼ケースから前記電池端子を絶縁するための、非伝導性材料を更に備えることを特徴とする、請求項6の多重セル一体型電池。
【請求項10】
前記非伝導性材料が、フェノール・ガラス材料から成り、前記フェノール・ガラス材料は前記ケース蓋に接着剤で固着されていることを特徴とする、請求項9の多重セル一体型電池。
【請求項11】
前記容器が、電池の電気化学的環境に対して不活性な、非伝導性重合体材料から形成されていることを特徴とする、請求項1の多重セル一体型電池。
【請求項12】
前記非導電性重合体材料がポリプロピレンから成ることを特徴とする、請求項11の多重セル一体型電池。
【請求項13】
前記複数の電気化学的セルの各々が、複数の正極及び負極を備え、各容器が、前記ガスは出られるが電解液は通過を阻止されるような開口を備えたことを特徴とする、請求項12の多重セル一体型電池。
【請求項14】
前記正及び負極が、電気エネルギーを前記電極の内外へ輸送するため正及び負極に固着された、集電タブを備えたことを特徴とする、請求項1の多重セル一体型電池。
【請求項15】
前記複数の電気化学的セルが、前記集電タブによって容器を貫通して、電気的に直列に接続されていることを特徴とする、請求項14の多重セル一体型電池。
【請求項16】
一つのセルの正極の集電タブを隣接するセルの負極に溶接することにより、前記複数の電気化学的セルが、前記集電タブを介し容器を貫通して、電気的に直列に接続されていることを特徴とする、請求項15の多重セル一体型電池。
【請求項17】
前記溶接が、電極の集電タブの間で、接続スペーサを抵抗溶接して達成されることを特徴とする、請求項16の多重セル一体型電池。
【請求項18】
前記接続スペーサが、ニッケル、銅、ニッケル合金、銅合金から成る群から選ばれた一つ以上の材料で構成されることを特徴とする、請求項17の多重セル一体型電池。
【請求項19】
前記接続スペーサが、ニッケル、及びニッケル合金から成る群から選ばれた一つ以上の材料で構成されることを特徴とする、請求項18の多重セル一体型電池。
【請求項20】
前記接続スペーサが、ニッケルで取り囲まれた銅芯材で構成されることを特徴とする、請求項17の多重セル一体型電池。
【請求項21】
前記接続スペーサが、長手方向に沿ってニッケル線を巻き付けた銅円筒で構成されることを特徴とする、請求項17の多重セル一体型電池。
【請求項22】
前記疎水性の手段が、容器からガスは出られるが電解液は出られないような、疎水性材料であることを特徴とする、請求項1の多重セル一体型電池。
【請求項23】
前記疎水性材料が、セル容量12Ah当たり約5cm2と約50cm2の間のガス拡散表面積を有することを特徴とする、請求項22の多重セル一体型電池。
【請求項24】
前記疎水性材料が、炭酸カルシウム複合充填材を含むポリエチレンから成ることを特徴とする、請求項22の多重セル一体型電池。
【請求項25】
前記容器内の電解液が、相互接続された隣接セルの容器内に入るのを防ぐために、前記セルの各々が、前記容器の相互接続領域に配置された、封止体を備えていることを特徴とする、請求項1の多重セル一体型電池。
【請求項26】
前記封止体が、重合体ガスケットから成ることを特徴とする、請求項25の多重セル一体型電池。
【請求項27】
前記集合体ガスケットが、EPDMゴム・ガスケットであることを特徴とする、請求項26の多重セル一体型電池。
【請求項28】
前記封止体が、ホット・メルト系接着剤及びエポキシ系接着剤から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項25の多重セル一体型電池。
【請求項29】
以下から成る、多重セル・プラスチック一体型電池。
(A)一体に形成された四枚の側壁、一体に形成された一個の基底部、及び一枚の上蓋を有する電池ケース;及び
(B)複数の電気化学的セルの各々が以下からなり、前記電池ケース内に配置され電気的に相互接続された前記複数の電気化学的セル:
a)少なくとも一つの正極;
b)少なくとも一つの負極;
c)電気的に前記の正及び負極を絶縁しながら前記正及び負極間のイオンの輸送は可能にしているセパレータ;
d)前記電極と前記セパレータを取り巻き且つ濡らしている電解液;
さらに、前記電池ケースは以下の構成からなる:
r)各セルの電解液は前記セル以外の電解液から隔離されるが、各前記セルからのガスは前記電池ケースの前記容器から出られるように、前記セルがその内部に作動状態で配置された複数の個別の容器;並びに、
s)少なくとも二つの電気化学的セルの間に熱的に接触するように配置されている、複数の相互接続された冷却材流路、及び、
t)前記冷却材流路を貫流している冷却材。
【請求項30】
前記冷却材流路が、前記基底部の底部に配置された底部冷却材流路を通じて、相互接続されていることを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項31】
前記冷却材流路を一体化して収納している、冷却材隔壁を更に備えていることを特徴とする、請求項30の多重セル一体型電池。
【請求項32】
前記冷却材が、前記底部の底面に配置された冷却材入口を通って各前記冷却材隔壁に入り;
前記冷却材が、前記底部の底面に配置された冷却材出口を通って各前記冷却材
隔壁から出て;且つ前記冷却材が、前記冷却材入口から流入し、前記冷却材隔壁の一方の側を上昇し、前記冷却材隔壁の頂部を横切り、前記冷却材隔壁の他方の側を降下して、前記冷却材出口から流出することを特徴とする、請求項31の多重セル一体型電池。
【請求項33】
前記底部が、冷却材入口管継手及び冷却材出口管継手を備えたことを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項34】
前記ケース蓋が、前記多重セル一体型電池の個別のセルの頂部に配置された、複数のガス流路を備えていることを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項35】
各セルからのガスが単一の通気孔を通じて集められ放出されるように、前記ガス流路が互いに流通しており、前記ガス流路は更に電解液の一つの容器からその他の容器への流通を妨げるように設計されていることを特徴とする、請求項34の多重セル一体型電池。
【請求項36】
ガスは前記容器から換気されるが電解液は出入りできないような、通気性疎水性材料から構成されることにより、前記ガス流路が、電解液の一つの容器からその他の容器への流通を妨げるように、更なる設計がなされていることを特徴とする、請求項35の多重セル一体型電池。
【請求項37】
前記疎水性材料が、セル容量12Ah 当たり約5cm2と約50cm2の間のガス拡散表面積を有することを特徴とする、請求項36の多重セル一体型電池。
【請求項38】
前記疎水性材料が、カルシウム炭酸塩充填材を含むポリエチレンから成ることを特徴とする、請求項37の多重セル一体型電池。
【請求項39】
前記正及び負極が、電気エネルギーを前記電極の内外へ輸送するために、前記電極に固着された集電タブを備えたことを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項40】
前記複数の電気化学的セルが、前記集電タブを介し、各セルを取り巻く前記複数個の個別の容器のプラスチックの壁を貫通して、電気的に直列に相互接続されており、前記相互接続は、一つの容器からその他の容器への電解液の流通を妨げる封止体を包含することを特徴とする、請求項39の多重セル一体型電池。
【請求項41】
一つのセルの正極の集電タブを隣接するセルの負極に溶接することにより、前記複数の電気化学的セルが、前記集電タブを介し容器を貫通して、直列に相互接続されていることを特徴とする、請求項40の多重セル一体型電池。
【請求項42】
前記溶接が、電極の集電タブの間で、接続スペーサを抵抗溶接して達成されることを特徴とする、請求項41の多重セル一体型電池。
【請求項43】
前記接続スペーサが、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金から成る群から選ばれた、一つ以上の材料で構成されることを特徴とする、請求項42の多重セル一体型電池。
【請求項44】
前記接続スペーサが、ニッケル、及びニッケル合金から成る群から選ばれた、一つ以上の材料で構成されることを特徴とする、請求項43の多重セル一体型電池。
【請求項45】
前記接続スペーサが、ニッケルで取り囲まれた銅芯材で構成されることを特徴とする、請求項42の多重セル一体型電池。
【請求項46】
前記接続スペーサが、長手方向にニッケル線を巻き付けた銅円筒で構成されることを特徴とする、請求項42の多重セル一体型電池。
【請求項47】
前記封止体が、重合体ガスケットから成ることを特徴とする、請求項40の多重セル一体型電池。
【請求項48】
前記集合体ガスケットが、EPDMゴム・ガスケットであることを特徴とする、請求項47の多重セル一体型電池。
【請求項49】
前記封止体が、ホット・メルト系接着剤及びエポキシ系接着剤から成る群から選ばれる一つ以上の構成要素から成ることを特徴とする、請求項48の多重セル一体型電池。
【請求項50】
前記電気化学的セルがニッケル金属水素化物セルであることを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項51】
各セルの負極が水素貯蔵活性材料を含み、且つ各セルの正極がニッケル水酸化物活性材料を含むことを特徴とする、請求項50の多重セル一体型電池。
【請求項52】
電池基底部が、二枚の側板、二枚の端板、及び一枚の底部から成り、前記電気化学的セルが圧縮力を受けながら前記ケース内に保持され、それによって電池基底部が内圧により膨れるのを最少化するように、前記端板が設計されていることを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項53】
前記端板が、矩形ハニカム構造として形成されていることを特徴とする、請求項52の多重セル一体型電池。
【請求項54】
前記冷却材が液体であることを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項55】
前記冷却材が空気であることを特徴とする、請求項29の多重セル一体型電池。
【請求項56】
複数の電気化学的セルで構成される液体冷却プラスチック電池ケースにおいて、改善点が以下から成る:
冷却材がプラスチックケースの底部内の冷却材流路から通され、冷却材流路を通って上昇して少なくとも一つの電気化学的セルの一つの面の一部分を冷却し、その面を横切り、冷却材流路を通って降下して前記少なくとも一つのセルの前記一つの面の残りの部分を冷却し、プラスチックケースの底部内の他の冷却材流路から放出される。
【請求項57】
ケース内に収容された複数の個別の角柱状電気化学的セル、電気的に並列に相互接続され二個の前記セルの少なくとも二組、及び互いに電気的に直列に相互接続されている前記並列に相互接続されたセルのそれぞれの組、から成る高容量、高エネルギー電池モジュール。
【請求項58】
前記セルの高表面積側が、互いに緊密な熱的接触状態にあり、モジュールの充電時の熱暴走を防ぐことを特徴とする、請求項57の電池モジュール。
【請求項59】
前記セルが、ニッケル金属水素化物であることを特徴とする、請求項57の電池モジュール。
【請求項60】
電気的に相互接続され作動状態で配置された複数の個別セルを内部に有する、プラスチック一体型角柱状電池ケースにおいて;前記ケースは、一体に形成された側板及び底部を有し、改善点が以下から成る:前記ケースの壁又は他の隔壁と一緒に作用して一つ以上のセル用容器を形成するように、前記ケースの二枚の側壁の間に有効な状態で配置された、少なくとも一つの挿入可能な隔壁。
【請求項61】
前記少なくとも一つの隔壁が、一体形成された液体冷却材用の冷却材流路を備えたことを特徴とする、請求項60の電池ケース。
【請求項62】
前記冷却材流路が、隔壁表面上へ一体形成されていることを特徴とする、請求項61の電池ケース。
【請求項63】
前記少なくとも一つの隔壁が、対向する平坦な面を有し、それに電気化学的セルが接触させられており;前記隔壁が前記ケース内に有効な状態で配置されている場合に、ケースの側壁及び隔壁の表面は、一緒に作用して実質的に均一な圧力を、両者間に置かれた電気化学的セルに付加することを特徴とする、請求項58の電池電池ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−225591(P2010−225591A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−107493(P2010−107493)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【分割の表示】特願2000−566901(P2000−566901)の分割
【原出願日】平成11年8月17日(1999.8.17)
【出願人】(599163621)オヴォニック バッテリー カンパニー インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】