説明

不揮発性メモリにおける消去ランプパルス幅制御

【課題】消去閾値電圧分布圧縮時間を減少し、総合消去処理時間を改善するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】不揮発性メモリのメモリブロックを消去する方法が、消去パルスのパルス幅(PW)を初期幅に設定するステップ、メモリブロックが消去メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加するステップ(517)、消去パルスのパルス電圧の大きさを初期パルス電圧レベルから最大パルス電圧レベル(PMAX)に徐々に調整するステップ(519)、パルス電圧の大きさが初期パルス電圧レベルと最大パルス電圧レベルとの間の中間電圧レベルに達したとき、消去パルスの幅を初期幅より狭くなるように減少するステップ(525)を含む。狭いパルスはより高い電圧レベルで印加されて、メモリブロックの過剰消去の量が減少される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には不揮発性メモリに関するものであり、より詳しくは消去ランプパルス幅制御を用いて不揮発性メモリを消去して、消去閾値電圧分布圧縮時間を減少し、総合消去処理時間を改善するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的プログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、ブロック消去可能なEEPROM(例えば、「フラッシュ」メモリ)、などのような不揮発性メモリ(NVM)ブロックの通常消去処理の間、メモリブロックのメモリセルの閾値電圧をプログラム検証電圧以上に上昇させるためのプリプログラム処理が実行される。消去処理において、プリプログラム処理に続きメモリブロックのメモリセルの閾値電圧を消去検証電圧以下に低下させるためのファウラー‐ノルドハイム(FN)消去処理が行われる。しかしながら、従来のFN消去処理の間、結果的に得られた電圧分布過剰消去されたメモリセルを含む可能性があり、この結果、列漏洩が増大する。また、メモリセルのスケールが増大するにつれて、列漏洩の問題が増加し、例えば、より低下したドレインバイアスにより後のプログラム処理が失敗し、または、過剰消去されたメモリセルにより消去されたセルとプログラムされたセルとをセンス増幅器が区別できないようになることで読取り処理が失敗となることが生じる。列漏洩が減少されるように、FN消去処理の後、消去されたセルの分布を圧縮するためのソフトプログラム処理が用いられ得る。
【0003】
メモリセルの技術および加工寸法が小さくなるほど、全消去処理時間はソフトプログラム処理によって支配される。多くの場合において、ソフトプログラミングが過度になり、過度な消去時間が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5200920号明細書
【特許文献2】米国特許第5917757号明細書
【特許文献3】米国特許第5991201号明細書
【特許文献4】米国特許第6188609号明細書
【特許文献5】米国特許第6222770号明細書
【特許文献6】米国特許第7079424号明細書
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】一実施形態による不揮発性メモリ(NVM)を含む集積回路のブロック図である。
【図2】一実施形態による図1のインタフェースに接続されたNVMのより詳細なブロック図である。
【図3】図2のNVMアレイ内のメモリブロックに対する一実施形態のメモリコントローラにより制御される消去処理の簡略化されたフローチャートである。
【図4】一実施形態による図3の消去処理の間、図2のメモリブロックのメモリセルの閾値電圧(Vt)分布を示すグラフである。
【図5】図2のメモリブロック内のメモリブロックに対する一実施形態の改良されたFN消去処理を含む図3の消去処理のより詳細フローチャートである。
【図6】図5のフローチャートに従って、図3の消去処理の間、pウェル電圧対時間をプロットするタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、当業者が本発明を特定の適用の範囲内及びその要件に従って実施し、かつ使用できるように提供される。好ましい実施形態に対する様々な変更は、当業者に極めて明白である。また、本明細書に定義される一般的な原則は、他の実施形態に適用される。従って、本発明は、開示された実施形態に制限されないが、ここに開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に与えられる。
【0007】
図1は、一実施形態の不揮発性メモリ(NVM:Non-volatile Memory)103を含む集積回路100のブロック図である。図示された実施形態において、集積回路(IC)100は、複数の信号またはビットを有するバス等の適切なインタフェース105を介してNVM103に接続された少なくとも1つのプロセッサ101を含むシステム・オン・チップ(SOC)等を実装し得る。IC100が、他のメモリデバイス(図示せず)のような他の回路、モジュールまたはデバイスと、他の機能モジュール(図示せず)と、入力、出力または入力/出力(I/O)ポートまたはピン等(図示せず)の外部インタフェースとを含んでもよい。一代替実施形態において、NVM103のみが他のデバイス無しにIC100に集積される。別の代替実施形態において、プロセッサ101、NVM103、およびインタフェース105はIC100上の大型システムの一部である。
【0008】
図2は、一実施形態のインタフェース105に接続されたNVM103のより詳細なブロック図である。NVM103は、NVMアレイ201、NVMアレイ201に接続された行デコーダ203、NVMアレイ201に接続された列論理205、インタフェース105、列論理205、及び行デコーダ203に接続されたメモリコントローラ207を含む。列論理205が、コラムデコーダおよびセンス増幅器を含み(図示せず)、各インタフェースは複数の信号またはビットを有するように示される。例えば、インタフェース105または他のインタフェースを介した通信によりプロセッサ101が応答すること等により、メモリコントローラ207が行デコーダ203および列論理205を介してNVMアレイ201の動作を制御する。メモリコントローラ207が、行デコーダ203に行アドレスおよび列論理205に列アドレスを与えることによってNVMアレイ201内のメモリセルにアクセスする。データは、列論理205を介してNVMアレイ201に書き込まれるか、またはから読み出される。メモリコントローラ207も(図示しないスイッチおよびコントローラを介して)ソースおよびウェル電圧をNVMアレイ201に供給する。NVMアレイ201は、1つまたは複数のブロックのメモリセルを含み、該メモリセルの各々が、例えば、16キロバイト(kB)、32kB、64kB、128kB、256kB、などの選択されたブロックサイズを有する。図示すように、NVMアレイ201が少なくとも1つのメモリブロック202を含む。
【0009】
NVMアレイ201のメモリブロック202内に示されるのは、ゲート(G)端子、ドレイン(D)端子、およびpウェル(PW)およびnウェル(NW)を含む分離されたウェルを有する代表的メモリセル209である。一実施形態において、各メモリブロックは、行および列のメモリセル209で構成されている。メモリセル209の各行のゲート端子は、行デコーダ203に接続された複数のワード線の対応する1つのワード線に接続される。メモリセ209の各列のドレイン端子は、列論理205に接続された複数のビット線の対応する1つのビット線に接続される。各メモリセル209のソース端子およびウェル(PWおよびNW)はメモリコントローラ207によって駆動または制御される。一実施形態において、メモリコントローラ207が別個の電圧レベルをPWおよびNWに供給する。
【0010】
メモリセル209は、例えば、半導体構成、積層シリコン金属ナノ結晶等の多くの構成のうちの1つの構成によって実装されてもよい。一実施形態において、各メモリセル209はシリコン基板等の上に実装される。一実施形態において、各メモリセル209のpウェルは、nウェルを有するP基板から分離される。一対のn+型のドープ領域(図示せず)は、各メモリセル209のドレインおよびソース端子を形成するpウェル内に形成される。各メモリセル209は、pウェル上に形成された酸化物層(図示せず)、酸化物上に設けられた浮遊ゲート(図示せず)、浮遊ゲート上に設けられた誘電体層(図示せず)、および誘電体層上に設けられ、ゲート端子を形成する制御ゲート(図示せず)を含む積層ゲート構造等をさらに含む。pウェルは、グランド電圧Vssに接続され、nウェルは、本明細書で説明するFN消去パルス中を除きソース電圧Vddに接続されている。Vddの電圧レベルが特定の実装に依存する。一実施形態において、Vddは約3.3ボルト(V)である。
【0011】
一実施形態において、本明細書で更に説明するように、消去処理の間、消去パルスがメモリセル209に印加される時、メモリセル209のpウェルおよびnウェルが消去ランプパルス電圧を一括して受け取るために、メモリセル209のpウェルおよびnウェルは互いに接続または駆動される。本明細書では、「消去パルス」はメモリブロック202の各メモリセル209に印加されるものとして呼称され、その際、ゲート端子には選択された消去パルス電圧が供給され、pウェルおよびnウェルが、メモリブロックが消去されるまで連続的に増加する消去ランプパルス電圧を一括して受け取る。pウェルおよびnウェルに印加される消去ランプパルス電圧の大きさは、メモリブロックが消去されるまで段階的に増加するか、またはメモリセルへの消去パルスの各印加の際により高く増大する(ランプされる)。従って、メモリセルに印加される各消去パルスが、ゲート端子に印加される消去パルス電圧およびメモリセルの少なくとも1つのウェル接続に印加される消去ランプパルス電圧を含む。
【0012】
本明細書は、ゲート端子が相対的に固定された大きさを有する消去パルス電圧を受ける間、消去ランプパルス電圧がメモリセルのpウェルおよびnウェルに印加される典型的なNVM技術を用いて説明される。代替実施形態において、例えば、他のNVM技術等を用いた実施形態のように、消去ランプパルス電圧はむしろ、ゲート端子等の消去されるメモリセルの異なる接続または端子に印加される。
【0013】
図3は、NVMアレイ201内のメモリブロック202のための一実施形態の、メモリコントローラ207によって制御される消去処理の簡略的なフローチャートである。消去処理が、プリプログラム処理302、消去処理304、およびソフトプログラム処理306を含む3つの別個の処理を含む。消去処理は、NVMアレイ201の全体等のNVMアレイ201のブロック単位、または選択された1つまたは複数のメモリブロックにおいて実行されることが理解されるが、本明細書ではメモリブロック202に適用されるように記載される。図4は、一実施形態により図3の消去処理の間、メモリブロック202のメモリセル209の閾値電圧(Vt)分布を示すグラフである。図4のグラフでは、縦軸にメモリセル209の数(対数スケールを一般的に用いる)がプロットされ、横軸にはVtがプロットされる。消去処理を図3のフローチャートおよび図4の閾値電圧分布を参照して説明する。
【0014】
第1ステップ301において、プリプログラム検証テストがメモリブロック202に対して実行される。プログラミングおよび検証は個々のメモリセルに実行されてもよいが、プログラミングおよび検証はページ単位で通常実行され、ここで、各ページが、128ビット等の選択された数のメモリセルまたはビットを含む。プログラミングパルスは、複数のセルまたはビット、例えば、9ビットまで同時に印加される。プリプログラム検証テストの間、1つまたは複数のメモリセルのVtはプログラム検証閾値(PVT:Program Verify Threshold)電圧と比較される。VtがPVT電圧未満である場合、処理が、プリプログラム検証テストが不合格の1つまたは複数のメモリセルのプリプログラミングを実行するためのステップ303に進み、ここで、選択された電圧レベルのプログラムパルスがVtを増加するためにメモリセルに印加される。処理が、ステップ301に戻り、メモリセルのVtがPVT以上であるかどうかが判定され、メモリブロック202の各メモリセル209のVtが少なくともPVTになるまで、処理が追加のプログラムパルスを印加することによってステップ301と303との間で繰り返される。図4示すように、曲線401により、各メモリセルのVtがPVT電圧またはPVT電圧を超えるようなプリプログラム処理302が完了した後のメモリブロック202の代表的なVt分布が誇張して示される。
【0015】
プリプログラム処理302が完了した後、処理が消去処理304のステップ305に進み、ここで、メモリブロック202が消去メトリックを満たすかどうかを判定するための消去検証テストがメモリブロック202のメモリセル209に対して実行される。消去検証テストの間、メモリセル209の各々のVtが(メモリセル209の各々における消去メトリックを表す)消去検証閾値(EVT:Erase Verify Threshold)電圧と比較される。メモリブロック202のいずれかのメモリセル209のVtがEVT電圧以上である場合、処理が全体メモリブロック202の改良されたFN消去処理を実行するためのステップ307に進み、ここで、メモリブロック202内のメモリセル209のVtを低下させるために、以下に説明されるように、選択された電圧レベルかつ期間の1つまたは複数の消去パルスがメモリブロック202に印加される。処理が、メモリブロック202の各メモリセル209のVtがEVT以下であるかどうかを判定するためのステップ305に戻り、処理が、全体メモリブロック202の各メモリセル209のVtがEVT以下となるまで、追加の消去パルスを印加することによってステップ305と307との間でループする。単一メモリセル209が、単一メモリセル209の閾値電圧VtがEVT以上となり、消去検証テストが不合格であったとしても、全てのメモリセル209のVtがEVTとなるか、またはEVTを下回るまで、全体のメモリブロック202が別の消去パルスを受けることに注意されたい。このように、以下に説明されるように、多くのメモリセル209は、EVTよりかなり低いVtを有して「過剰消去」される。
【0016】
図4に示すように、曲線403により、各メモリセル209のVtがEVT電圧またはEVT電圧未満の状態で従来のFN消去処理が完了した後、メモリブロック202のメモリセル209の代表的なVt分布が示される。曲線405は、VtがEVT又はEVT未満であり、かつソフトプログラム検証閾値(SPVT:Soft Program Verify Threshold)電圧以上であるメモリブロック202のメモリセル209の所望のVt分布を示す。曲線403によって示される従来のFN消去処理後のメモリセル209のVt分布は、3つの部分A、B、Cに分割されて示されている。部分Aは、下方で水平ゼロ線によって境界付けされ、曲線407と交差するまで曲線403によって左上方において境界付けされ、曲線407によって水平ゼロ線まで右下方において境界付けされる。部分Bは、水平ゼロ線によって境界付けされ、曲線403と交差するまで曲線407によって左方において境界付けされ、曲線403と垂直SPVT電圧線との交点間の曲線403によって上方において境界付けされ、水平ゼロ線まで垂直SPVT電圧線によって右下方において境界付けされる。部分Cは、水平ゼロ線によって下方において境界付けされ、曲線403まで垂直SPVT電圧線によって左方において境界付けされ、水平ゼロ線まで曲線403によって下方において境界付けされる。部分AおよびBが、SPVT電圧未満の閾値電圧Vtを有する従来のFN消去処理によって過剰消去されたメモリセル209の数を全体的に示し、部分Cが、SPVTとEVTとの間の所望の電圧範囲以内にあるメモリセル209の数を示す。
【0017】
曲線407は、各メモリセル209のVtがEVT電圧以下である実施形態に従って改良されたFN消去処理が完了した後のメモリブロック202のメモリセル209の代表的なVt分布を示す。曲線407によって示される改良されたFN消去処理後のメモリセル209のVt分布は、4つの部分B、C、D、およびEに分割されるように示される。部分BおよびCは、曲線403の下方の部分と同一であり、ここで、部分B内のメモリセル209がSPVT電圧未満の閾値電圧Vtを有し、部分C内のメモリセル209がSPVT電圧以上の閾値電圧Vtを有する。部分Dは、曲線403の上方および曲線407の下方にあり、かつ垂直SPVT電圧線よりも左側三角形領域によって境界付けされる。部分Eは、曲線403の上方および曲線407の下方、および垂直SPVT電圧線よりも右側の三角形領域によって境界付けされる。従来のFN消去処理によって生じる曲線403の部分Aは、部分DおよびEによって置換され、ここで、部分D内のメモリセル209がSPVT電圧未満の閾値電圧Vtを有し、部分E内のメモリセル209がSPVT電圧以上の閾値電圧Vtを有する。このように、従来のFN消去処理によって過剰消去されたメモリブロック202のメモリセル209のかなりの数がSPVTとEVT電圧との間の所望のVt分布範囲以内に入る改良されたFN消去処理によって大幅な改善がもたらされる。部分AおよびB内のすべてのメモリセル209よりも部分BおよびD内のメモリセル209のみがソフトプログラムされるので、この改善はソフトプログラム処理306の間に実現される。SPVTとEVTとの間のVt分布を圧縮するためにソフトプログラム処理306の間に消費された時間は、かなり減少する。
【0018】
消去処理304が完了した後、過剰消去されたメモリセル209をSPVTとEVTとの間の所望の電圧範囲内に置くために、ソフトプログラム処理306がメモリブロック202に対して開始される。ソフトプログラム処理306は、通常にページ単位で実行され、ここで、各ページが128セル等の選択された数のメモリセル209を含む。ソフトプログラムパルスは、複数のメモリセル209に同時に印加され得る。一実施形態において、ソフトプログラムパルスは36個のメモリセル209に同時に印加され得る。ソフトプログラムパルスは、通常プログラムパルスほど強くなく、例えば、より低い電圧、より短いパルス期間、または両方の組み合わせである。処理がソフトプログラム検証テストを実行するためのステップ309に進み、ここで、メモリセル209の1つまたは複数の各々のVtは、SPVT電圧と比較される。VtがSPVT電圧未満である場合、処理が、ソフトプログラム検証テストで不合格となった1つまたは複数のメモリセル209にソフトプログラムパルスを印加するためのステップ311に進む。ソフトプログラムパルスは、EVT未満を維持しつつ、SPVTよりも高くVtを増加するために選択された電圧レベルおよび期間を有する。処理が、メモリセル209のいずれか1つのメモリセルのVtがSPVT未満であるかどうかを判定するためのステップ309に戻り、処理は、メモリブロック202の各メモリセル209のVtがSPVTとEVT電圧との間に入るまで、追加のソフトプログラムパルスを印加することによってステップ309と311との間でループ状態となる。ソフトプログラム処理306の後、結果的に圧縮された分布曲線が所望の分布曲線405に類似するものとなり得、ここで、メモリブロック202内のメモリセル209のVtは、SPVTとEVTとの間にある。
【0019】
代表的な実施形態において、ステップ303におけるプリプログラミングの間、1つまたは複数のメモリセル209のソース端子およびpウェルはVssまたは0Vに設定され、nウェルは3.3Vに設定され、ドレイン端子は約4.2Vに設定され、ゲート端子は約8.5Vのような比較的高い正電圧に設定される。ステップ305における消去検証テストの間、ゲート端子は約3.5Vに設定され、ドレイン端子は約0.5Vに設定され、ソース端子は約0Vに設定され、pウェルは約0Vに設定され、nウェルは約3.3Vに設定される。ステップ307における改良されたFN消去処理のための各消去パルスの印加の間、ソースおよびドレイン端子は浮遊状態のまま、または比較的高Zインピーダンスに設定され、ゲート端子は約−8.5Vのような比較的高負パルス電圧に設定され、消去ランプパルス電圧を受けるためにpウェルおよびnウェルは互いに連結される。メモリブロック202のメモリセル209に印加された連続消去パルスの間、改良されたFN消去処理について記載されているように、pウェルおよびnウェルに印加された消去ランプパルス電圧が約4.5Vから8.5Vにランプアップされる。ソフトプログラムステップ311の間、ソース端子およびpウェルは0Vであり、nウェルは3.3Vに設定され、ドレインは約4.2Vであり、ゲート端子が約2.6Vから3.4Vにランプされる。特定電圧レベルは例示的であり、ここで、他の電圧レベルにすることは可能であり、他の実施形態に意図される。
【0020】
図5は、NVMアレイ201内のメモリブロック202における一実施形態の改良されたFN消去処理を含む消去処理304のより詳細なフローチャート図である。消去処理304は、ブロック単位で実行され、全体のNVMアレイ201までの複数のメモリブロックを含んでもよいが、本明細書では、メモリブロック202に適用するように記載される。プリプログラム処理302の後、処理が初期化ステップ503に進み、ここで、消去処理304を制御するために多くの変数が初期化される。消去パルスに対する初期パルス幅(PSW)値は、初期幅または初期期間である。一実施形態において、PSWは初期的には約4.8ミリ秒(ms)に設定される。パルス電圧(PV)値は、メモリブロック202の各メモリセル209のpウェルおよびnウェルに印加される初期消去ランプパルス電圧レベルに初期的に設定される。一実施形態において、PVは約4.5Vの初期電圧に初期的には設定される。ステップ電圧(SV)値は、各反復後、PV値に加算される初期ステップ電圧レベルに設定される。一実施形態において、SVは、約140ミリボルト(mV)に初期的には設定され、本明細書に記載されるように消去パルス電圧を徐々に調整または増加するための増加ステップ電圧を表す。ステップパルスカウント(SPC:Step Pulse Count)値は、ゼロ(0)に初期化され、ステップパルスカウント制限(SPCL:Step Pulse Count Limit)値は1に初期的に設定される。SPCL値により、所与の消去パルス電圧において印加される消去パルスの数が決定される。SPCL値が1である時、pウェルおよびnウェルに印加される各連続消去ランプパルスの電圧はSVによって増加される。SPCL値が1より大きい時、SPCL数の重複した消去パルスは、消去ランプパルスの電圧が変化しない同一消去パルス電圧において印加される。総合パルスカウント(TPC:Total Pulse Count)値はゼロに設定され、最大パルスカウント(MPC:Maximum Pulse Count)値は高パルス数に設定される。一実施形態において、MPCは100に設定される。最大パルス電圧値PMAXは比較的高い正電圧レベルに設定される。一実施形態において、PMAXは約8.5Vに初期的に設定される。広い消去パルスに対する消去ランプパルス電圧の最大電圧値WMAXは、所定の中間電圧レベルに設定される。一実施形態において、WMAXは約7Vの中間電圧レベルに設定される。幅遷移(WT:Width Transition)フラグは、偽に初期的に設定され、以下に記載されるように、PVが中間電圧レベルに達するか、または超えるとき、より広い消去パルスからより狭い消去パルスに切り替えることを確認するために用いられる。消去検証PASSフラグは偽に初期的に設定される。本明細書に記載される特定の時間および電圧値は任意であり、特定の実装に従って調整されてもよいことに注意されたい。
【0021】
ステップ503における初期化後、処理がステップ505に進み、ここで、いずれかのメモリセル209がEVT電圧レベルより大きなVtを有するかどうかを判定するために、消去検証テストがメモリブロック202のメモリセル209の各々に対して実行される。ステップ505および507の消去検証テストは、ステップ305に記載されるテストと同一である。いずれかのメモリセル209がEVTより大きな閾値電圧Vtを有する場合、消去検証テストが不合格となり、PASSフラグが偽状態のままとなる。いずれのメモリセル209もEVTより大きな閾値電圧Vtを有していない場合、テストが合格し、パスフラグは真に設定される。処理が次に、ステップ507に進み、パスが真かどうかが問い合わされる。パスが偽である場合、処理が、ブロック509に進み、TPC=MPCかどうかを判定する。最初の繰り返しにおいて、TPCがMPCと等しくならないようにTPCは0であり、MPCは1000であり、そして、処理がステップ513に進む。以下に記載されるように、TPCはメモリブロック202に印加された各消去パルスについてインクリメントされ、そしてパルスの数がMPCによって表される過剰数に達した場合、消去処理が失敗し、その代わりに処理がエラーステップ511に進み、ここで、エラールーチンが実行され、次に、消去処理304が完了される。ステップ513において、パルス電圧が最大許容パルス電圧以上になったことを表すPV≧PMAXとなったかどうかが問い合わされる。否である場合、処理がステップ515に進み、ここで、SPC=SPCLかどうかが問い合わされる。第1の反復において、処理が、消去パルスをメモリブロック202に印加するステップ517に進むようにSPCはゼロであり、SPCLは1である。ステップ517でメモリブロック202のメモリセル209に印加された各消去パルスは、上記されたようにゲート端子に印加された消去電圧とpウェルおよびnウェルに印加された消去ランプパルス電圧との組み合わせである。第1消去パルスの間の対応するpウェル電圧は601(図6)で示される。また、SPCおよびTPCは両方、ステップ517で1(SPC=SPC+1、TPC=TPC+1)だけインクリメントされ、もう一度、消去検証処理を実行するために処理がステップ505に戻る。
【0022】
PASSが偽状態に維持されることを仮定した場合、TPCはMPCと等しくなく、PVはPMAX未満であり、処理がまたステップ515に進む。第1消去パルスが印加され、SPCがステップ517でインクリメントされた後、SPC=SPCLとなり、処理がステップ519に進み、ここで、パルス電圧値PVはステップ電圧値SVによって増加され、SPCは0にリセットされる。処理が次にステップ521に進み、ここで、PV≧WMAXかどうかが問い合わされる。PVが初期的に4.5Vであり、SVが140mVであり、WMAXが7Vである場合、PVはWMAX未満の約4.64Vに増加される。よって、処理がステップ517に進み、ここで、新パルス電圧レベル(例えば、PV=4.64V)で同一パルス幅(例えば、PSW=4.8ms)の消去ランプパルス電圧を用いて第2消去パルスがメモリブロック202に印加される。第2パルスの間の対応するpウェル電圧は603で示される。SPCは再度1にインクリメントされ、第2消去パルス後、TPCは2にインクリメントされる。処理がステップ517を介してステップ505と521との間で有効的にループし、ここで、各反復でステップ507でPASSのチェックを繰り返しつつ、比較的広い同一のパルス幅および段階的に増加する消去ランプパルス電圧レベルにおける一連の消去パルスがメモリブロック202のメモリセル209に印加される。一実施形態において、4.5VのPVの初期値および約140mVのSVを仮定した場合、第17番目の消去パルスが約6.9Vの消去ランプパルス電圧を有し、PVがWMAXより大きくなるようにPVがステップ519で7Vより若干大きく増加される。処理が次にステップ523に進み、ここで、WTが真かどうかが問い合わされる。WTは最初は偽で未だ変更されていないので、処理がステップ525に進み、ここで、SPCL値は1より大きい整数NPCに増加され、パルス幅値PSWが減少する。一実施形態では、PSWはSPCLで除算される(例えば、PSW=PSW/SPCL、ここでSPCL=NPCであるので、PSW=PSW/NPCとなる)。一実施形態においてはNPC=4であるが、他の値も考慮される。NPC=4および約4.8msの初期的PSWにおいて、新PSWは約1.2ms(PSW=4.8ms/4=1.2ms)である。最後に、WTフラグはステップ525で真に設定される。
【0023】
ステップ525後、処理ループがステップ517に戻り、次の消去パルス(例えば、第18消去パルス)が約7Vでメモリブロック202に印加される。PSWの新たな幅値(例えば、1.2ms)によって消去パルスはより狭くなる。最後の広い消去パルスの間のpウェル電圧は605で示され、第1の狭い消去パルスのpウェル電圧は607で示される。ステップ517で、再度SPCは1にインクリメントされ、TPCはインクリメントされ(例えば、18に)、処理のループがステップ505に戻り、別の消去検証テストが実行される。PASSは依然偽である場合、処理がステップ515に進み、ここで、SPCLはNPC(例えば、4)に増加されているので、SPCはまだSPCLと等しくないと判定される。従って、処理ループがステップ517に戻り、ここで、約7Vの別の狭い消去パルスはメモリブロック202に印加される。WMAX(例えば、7V)におけるSPCL(例えば、4)の狭いパルスが印加され、SPCがステップ515でSPCLと等しくなるまで、処理がステップ515でループする。最初の4つの重複した狭い消去パルスの間のpウェル電圧は610で示される。SPCがSPCLと等しい時、ステップ519でPVの電圧は再びSVによって増加され(例えば、PVが約7.16Vになる)、PVがWMAXおよびWTより大きいことは真であるので、処理ループがステップ523からブロック517に戻り、別の狭いパルスが印加される。SPCLの狭いパルスの第二グループに対する処理ループでは、PASSが偽のままであると仮定して、ほぼ同一電圧(例えば、7.16V)が印加される。第2の4つの重複した消去パルスの間のpウェル電圧は611で示される。パルス電圧PVは、ステップ519で狭い消去パルスの別のSPCL数まで新たな電圧レベルで再び増加される(例えば、7.3V)。PASSが偽状態に維持されると仮定した場合、処理が継続され、ここで、SPCLの狭い消去パルスはそれぞれ段階的に増加された電圧レベルで印加される。PASSが偽状態に維持されている場合、PVは約PMAXまで増加され、(613で示される対応するpウェル電圧を有する)ほぼPMAXの第1狭いパルスが生じる。ステップ513の判定でPVがPMAXに達するか、または超えると、処理ループがステップ513からステップ517に戻り、ステップ507の判定でPASSが真になるか、またはステップ513の判定で総合パルスカウント値TPCが最大パルスカウント値MPCに達するまで、ほぼPMAXの電圧レベルにおける狭いパルスが繰り返し印加される。消去工程の間のいかなる時でもPASSが真となった場合、処理が以前に説明したようにソフトプログラム処理306を開始するためのステップ309に進む。総合パルスカウントが過度(例えば、MPCになる)になった時にPASSが真にならない場合、エラールーチンは以前に説明したようにステップ511で実行される。
【0024】
図6は、図5のフローチャートの消去処理304の間、pウェル電圧対時間をプロットするタイミング図である。各消去パルス後、nウェル電圧が0Vに戻らないことを除いて(例えば、一実施形態においてはnウェルが消去検証テスト中の消去パルス間に3.3Vに戻る)、メモリブロックのメモリセル209の各々のnウェルの電圧はpウェル電圧と実質的に同じである。従って、図6示されるpウェルパルスのピーク電圧レベルおよび幅が、消去処理の間のメモリセル209のウェル接続に印加される消去ランプパルス電圧を一般的に表す(メモリセル209に印加された消去パルスも表す)。初期の2つの幅のpウェルパルス601および603に第3のpウェルパルスが続く。広い消去パルスの電圧は、初期電圧値(INITとして示される)からWMAXより若干低い電圧を有するように示されるpウェルパルス605まで増加し続ける。パルス電圧がWMAXに達するか、あるいはWMAXを超えると、パルスの幅が低下して、複数のパルスは各パルス電圧レベルでアサートされる。図示されるように、最初の2つの狭いpウェルパルス607および609は、WMAXより若干大きな電圧レベルを有する狭いパルス610の第1グループの一部である。第1グループの狭いパルス610の後、PASSは未だ真ではない場合、電圧は第2グループのパルス611について増加される。以前に説明した図示された実施形態において、パルス幅は、4分の1に低下され、各パルスグループが4つのパルスを含む。代替実施形態において、狭いパルスはより狭いか、または広い可能性があり、各グループにおける数は4より大きいか、あるいは未満であってよい。グループの大きさは1であってよく(グループが無く、個別パルス)、狭いパルスの電圧がより広いパルスと同様に段階的に増加されるように、SVが調整されてもよい(例えば、減少される)。例えば、狭いパルスを4つ入りのグループにグループ分けするよりも、ステップ電圧SVを(狭いパルスの電圧が比較的一定のレートで増加するように、任意の量、例えば、同一のNPCファクターだけ)減少するようにしてもよい。例えば、具体的には示されていないが、PVが中間電圧WMAXに達するか、またはWMAXを超えるまで、ステップ電圧値SVが第1の増加ステップ電圧(例えば、140mV)に初期的に設定され、次に、WMAXに達した後、第2増加ステップ電圧(例えば、140mV未満)に減少されてもよい。図示された実施形態において、各個別パルス(狭いまたは広い)および消去パルスが完了された後、消去検証テストが実行され、PASSが評価される。PASSが真になるまで、または消去パルスの電圧がほぼPMAXのパルスによって示されるように、PMAXに達するか、あるいは超えるまで、処理がこの方法で継続される。PMAXに達した後、最大パルスカウント(MPC)に達するか、またはPASSが真になるまで、パルスの電圧は、増加されず、同一電圧レベルでパルスが繰り返しアサートされる。
【0025】
WMAXより若干低い電圧を有するpウェルパルス605までより広いおよびより低い電圧消去パルスの印加の間、PASSが真になる可能性がある。消去検証テストが広いパルスで満たされない場合、より狭いパルスが、最大パルス電圧レベルPMAXまで連続的に増加する電圧レベル(またはランプされた電圧)で印加される。PASSが真になり、より狭いパルスの印加の間、消去検証テストが満たされることが示される可能性が高い。従来の構成においては、消去検証テストが満たされるまで、最大パルス電圧にまで電圧レベルを増加するより広い消去パルスが繰り返し印加され、その結果、図4の曲線403によって示されるようにメモリブロック202のメモリセルの著しい過剰消去が生じる。これに対し、改良されたFN消去処理が開始されると、より高い電圧消去パルスがより狭く、そして持続時間がより短くなるように、より低い消去電圧レベルのWMAXにおいてより狭いパルスが印加される。その結果、図4の曲線407によって示されるように、実質的に少ないメモリセルが過剰消去されることとなる。
【0026】
従来の処理が同様な電圧レベルでより広いパルスを印加して、より大きな消去パルスエレルギーをメモリセルに最終的に印加することとなるので、本明細書に記載されるように改良されたFN消去処理は、従来のFN消去処理より長い時間がかかる。しかしながら、過剰消去されたメモリセル209の数がかなり減少されるので、改良されたFN消去処理の少なくとも1つの利点は、後のソフトプログラム処理306の総合時間はかなり減少される。実際において、ソフトプログラミングを要するメモリセルの数がかなり減少されるので、改良されたFN消去処理を用いる全体の総合消去時間がかなり減少する。
【0027】
不揮発性メモリのメモリブロックを消去する方法において、消去パルスのパルス幅を初期幅に設定するステップ、メモリブロックが消去メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加するステップと、メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加する間、消去パルスのパルス電圧の大きさを初期パルス電圧レベルから最大パルス電圧レベルに徐々に調整するステップ、およびメモリブロックに消去パルスを繰り返し印加する間、パルス電圧の大きさが、初期パルス電圧レベルと最大パルス電圧レベルとの間の中間電圧レベルに達したとき、消去パルスの幅を初期幅未満に減少させるステップを含む。
【0028】
方法が、各消去パルスの印加後、消去検証テストを実行して、メモリブロックが消去メトリックを満たすかどうかを判定するステップを含んでもよい。方法が、各消去パルスの印加後、メモリブロックの各メモリセルが消去検証電圧レベル以下の閾値電圧を有するかどうかを判定し、メモリブロックが消去メトリックを満たすかどうかを判定するステップを含んでもよい。方法が、パルス電圧の大きさは中間電圧レベル未満である間、各消去パルスの印加後、増加的ステップ電圧によってパルス電圧の大きさを調整するステップ、およびパルス電圧の大きさが少なくとも中間電圧レベルである間、1より大きいステップパルスカウント制限数の消去パルスの印加後、増加的ステップ電圧によってパルス電圧の大きさを調整するステップを含んでもよい。方法が、パルス電圧の大きさが中間電圧レベル未満である間、各消去パルスの印加後、第1の増加的ステップ電圧によってパルス電圧の大きさを調整するステップ、およびパルス電圧の大きさが少なくとも中間電圧レベルの間、少なくとも1つの消去パルスの印加後、第2の増加的ステップ電圧によってパルス電圧の大きさを調整するステップを含んでもよく、ここで、第2の増加的ステップ電圧は第1増加的ステップ電圧未満である。
【0029】
不揮発性メモリのメモリブロックを消去する方法が、メモリブロックをプリプログラムするステップ、プリプログラミング後、メモリブロックを消去するステップ、およびメモリブロックの過剰消去されたメモリセルをソフトプログラムするステップを含んでもよい。メモリブロックを消去するステップが、消去パルスのパルス幅を初期幅に設定するステップ、メモリブロックが消去メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加するステップ、初期パルス電圧レベルから最大パルス電圧レベルに消去パルスのパルス電圧の大きさを徐々に調整するステップ、パルス電圧の大きさが初期パルス電圧レベルと最大パルス電圧レベルとの間の中間電圧レベルに達したとき、消去パルス幅を初期幅未満に減少させるステップを含んでもよい。
【0030】
メモリブロックが消去されるかどうかを判定するステップが、メモリブロックの各メモリセルが消去検証電圧以下の閾値電圧を有するかどうかを判定するステップを含んでもよい。メモリブロックをプリプログラムするステップが、各メモリセルが少なくともプログラム検証電圧の閾値電圧を有するまで、プログラム検証電圧未満の閾値電圧を有するメモリブロックの各メモリセルに少なくとも1つのプログラムパルスを印加するステップを含んでもよい。ソフトプログラミングステップが、各メモリセルが少なくともソフトプログラム検証電圧の電圧を有するまで、ソフトプログラム検証電圧未満の閾値電圧を有する、メモリブロックの各メモリセルに少なくとも1つのソフトプログラムパルスを印加するステップを含んでもよい。
【0031】
一実施形態において、不揮発性メモリがメモリセルのアレイおよびメモリ制御システムを含む。メモリセルが消去メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、メモリ制御システムがメモリセルに消去パルスを繰り返し印加する。メモリ制御システムが消去パルスのパルス電圧を初期パルス電圧から最大パルス電圧に段階的に増加する。パルス電圧が初期パルス電圧と最大パルス電圧との間の中間電圧に達したとき、メモリ制御システムが消去パルスのパルス幅を初期パルス幅から狭いパルス幅に減少させる。
【0032】
メモリ制御システムがメモリセルの少なくとも1つのウェル接続に印加された消去パルス電圧を段階的に増加し得る。パルス電圧が中間電圧レベルに達するまで、メモリ制御システムが増加的電圧によって各一つの消去パルスのパルス電圧を増加し得、ここで、パルス電圧が中間電圧レベルに達した後、1つの消去パルスより多い制限数の消去パルスからなる各グループに対してメモリ制御システムが増加的電圧によってパルス電圧を増加する。メモリ制御システムが初期パルス幅を制限数によって除算することによって狭いパルス幅を決定し得る。パルス電圧が中間電圧レベルに達するまで、メモリ制御システムが第1の増加的電圧によって各一つの消去パルスのパルス電圧を増加し得、ここで、パルス電圧が中間電圧レベルに達した後、メモリ制御システムが第2の増加的電圧によって消去パルスの各消去パルスのパルス電圧を増加し、ここで、第2増加的電圧は第1増加的電圧未満である。メモリ制御システムが消去パルスを印加する前に、メモリセルをプリプログラムし得、メモリセルが消去メトリックを満たした後、過剰消去されたメモリセルをソフトプログラムし得る。
【0033】
本発明をそのある好ましい態様について詳細に説明したが、他の態様及び変更は可能でありかつ考えられる。当業者は、請求の範囲によって定義したような発明の技術思想及び範囲から逸脱せずに本発明の同一目的を提供するように他の構造を設計或いは改良する基礎として開示概念及び特定の実施の形態を容易に使用できることを理解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリのメモリブロックを消去する方法であって、
消去パルスのパルス幅を初期幅に設定するステップと、
前記メモリブロックが消去メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、前記メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加するステップと、
前記メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加する間、初期パルス電圧レベルから最大パルス電圧レベルに消去パルスのパルス電圧の大きさを徐々に調整するステップと、
前記メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加する間、前記パルス電圧の大きさが、前記初期パルス電圧レベルと前記最大パルス電圧レベルとの間の中間電圧レベルに達したとき、前記消去パルスの幅を前記初期幅未満に減少させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
各消去パルスの印加後、消去検証テストを実行して、前記メモリブロックが前記消去メトリックを満たすかどうかを判定するステップをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
各消去パルスの印加後、前記メモリブロックの各メモリセルが消去検証電圧レベル未満の閾値電圧を有するかどうかを判定し、前記メモリブロックが前記消去メトリックを満たすかどうかを判定するステップをさらに含む、方法。
【請求項4】
前記消去パルスのパルス電圧の大きさを徐々に調整するステップが、
前記パルス電圧の大きさが前記中間電圧レベル未満である間、各消去パルスの印加後、増加ステップ電圧によって前記パルス電圧の大きさを調整するステップと、
前記パルス電圧の大きさが少なくとも前記中間電圧レベルである間、ステップパルスカウント制限数の消去パルスの印加後、前記増加ステップ電圧によって前記パルス電圧の大きさを調整するステップとを含み、前記ステップパルスカウント制限数は1より大きい、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記消去パルスの幅を減少するステップが、前記初期幅を前記ステップパルスカウント制限数によって除算するステップを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記消去パルスのパルス電圧の大きさを徐々に調整するステップが、
前記パルス電圧の大きさが前記中間電圧レベル未満である間、前記消去パルスの印加後、第1の増加ステップ電圧によってパルス電圧の大きさを調整するステップと、
前記パルス電圧の大きさが少なくとも前記中間電圧レベルである間、少なくとも1つの消去パルスの印加後、第2の増加ステップ電圧によって前記パルス電圧の大きさを調整するステップとを含み、前記第2の増加ステップ電圧は前記第1の増加ステップ電圧未満である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
不揮発性メモリのメモリブロックを消去する方法であって
前記メモリブロックをプリプログラムするステップと、
前記プリプログラムステップ後、前記メモリブロックを消去するステップであって、
前記消去するステップが、
消去パルスのパルス幅を初期幅に設定するステップと、
メモリブロックが消去測定メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、前記メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加するステップと、
前記メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加する間、初期パルス電圧レベルから最大パルス電圧レベルに消去パルスのパルス電圧の大きさを徐々に調整するステップと、
前記メモリブロックに消去パルスを繰り返し印加する間、前記パルス電圧の大きさが前記初期パルス電圧レベルと前記最大パルス電圧レベルとの間の中間電圧レベルに達したとき、前記消去パルスの幅を前記初期幅未満に減少させるステップと、を含む、前記メモリブロックを消去するステップと、
前記メモリブロックが消去されるとき、前記メモリブロックの過剰消去されたメモリセルをソフトプログラムするステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、
ステップパルスカウント制限数を少なくとも1である初期数に設定するステップと、
前記パルス電圧の大きさが前記中間電圧レベルに達したとき、前記ステップパルスカウント制限数を増加するステップと、
前記消去パルスを繰り返し印加するステップが、各パルス電圧の大きさで前記ステップパルスカウント制限数の消去パルスを印加するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項9】
前記消去パルスの前記幅を減少するステップが、前記初期幅をステップパルスカウント制限数によって除算するステップを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記パルス電圧の大きさを徐々に調整するステップが、
増加ステップ電圧によって前記パルス電圧の大きさを増加するステップと、
前記パルス電圧の大きさが前記中間電圧レベルに達したとき、前記増加ステップ電圧を減少させるステップをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記消去パルスの幅を減少するステップが、1より大きな整数によってパルス幅を狭くするステップを含み、
前記方法が、前記パルス電圧の大きさが前記中間電圧レベルに達したとき、前記増加ステップ電圧を整数で除算するステップをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記メモリブロックをプリプログラムするステップが、
各メモリセルが少なくともプログラム検証電圧の閾値電圧を有するまで、プログラム検証電圧未満の閾値電圧を有する前記メモリブロックの各メモリセルに少なくとも1つのプログラムパルスを印加するステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記メモリブロックが消去されるかどうかを判定するステップが、
前記メモリブロックの各メモリセルが消去検証電圧未満の閾値電圧を有するかどうかを判定するステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項14】
前記ソフトプログラムするステップが、
各メモリセルが少なくともソフトプログラム検証電圧の閾値電圧を有するまで、前記ソフトプログラム検証電圧未満の閾値電圧を有する、前記メモリブロックの各メモリセルに少なくとも1つのソフトプログラムパルスを印加するステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項15】
不揮発性メモリであって、
複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセルが消去メトリックを満たすまで、または最大数の消去パルスが印加されるまで、前記複数のメモリセルに消去パルスを繰り返し印加するメモリ制御システムであって、
前記メモリ制御システムが前記消去パルスのパルス電圧を初期パルス電圧から最大パルス電圧に段階的に増加し、
前記パルス電圧が前記初期パルス電圧と前記最大パルス電圧との間の中間電圧レベルに達成したとき、前記メモリ制御システムが初期パルス幅から狭いパルス幅に前記消去パルスのパルス幅を減少させる、前記メモリ制御システムと、を含む、不揮発性メモリ。
【請求項16】
前記メモリ制御システムが、
前記複数のメモリセルの各々の少なくとも1つのウェル接続に印加される消去パルス電圧を段階的に増加する、請求項15記載の不揮発性メモリ。
【請求項17】
前記パルス電圧が前記中間電圧レベルに達成するまで、前記メモリ制御システムが増加電圧によって各一つの前記消去パルスのパルス電圧を増加し、前記パルス電圧が中間電圧レベルに達した後、1つの消去パルスより多い制限数の消去パルスからなる各グループに対して前記メモリ制御システムが前記増加電圧によって前記パルス電圧を増加する、請求項15記載の不揮発性メモリ。
【請求項18】
前記メモリ制御システムが、前記初期パルスを前記制限数によって除算することによって前記狭いパルス幅を決定する。請求項17記載の不揮発性メモリ。
【請求項19】
前記パルス電圧が前記中間電圧レベルに達するまで、前記メモリ制御システムが第1の増加電圧によって各1つの前記消去パルスのパルス電圧を増加し、
前記パルス電圧が前記中間電圧レベルに達した後、前記メモリ制御システムが第2の増加電圧によって前記1つの消去パルスのパルス電圧を増加し、前記第2の増加電圧は前記第1の増加電圧未満である、請求項15記載の不揮発性メモリ。
【請求項20】
前記消去パルスを印加する前に、前記メモリ制御システムが前記複数のメモリセルをプリプログラムし、
前記複数のメモリセルが前記消去メトリックを満たした後に、前記メモリ制御システムが前記複数のメモリセルの過剰消去されたメモリセルをソフトプログラムする、請求項15記載の不揮発性メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−169031(P2012−169031A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16848(P2012−16848)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】