説明

不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ、及びその検査方法

【課題】ロジックテスターによるマイコン部の検査の工程を省略し検査コストを削減できるような不揮発性メモリ内蔵マイコンを提供する。
【解決手段】不揮発性メモリ内蔵マイコン110の不揮発性メモリ141に、検査データと期待値データとをメモリテスター100から与えて記録しておく。不揮発性メモリ141にアドレス信号を与えると、検査データに基づく検査信号S141aと期待値データに基づく期待値信号S141bとが逐次出力され、検査信号S141aに基づく検査信号S142aが伝えられマイコン部の各回路ブロックは駆動され、駆動結果である検査結果信号S135aが得られ、検査結果信号S135aに基づく検査結果信号S142bと、期待値信号S141bとがメモリI/Fを介して外部に出力される。メモリテスター100はその外部に出力された各信号を比較し、マイコン部が正常に動作したかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発メモリ内蔵マイクロコンピュータ(以下、「不揮発性メモリ内蔵マイコン」という。)の検査に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロコンピュータ部(以下、「マイコン部」という。)とメモリ部とから構成される不揮発メモリ内蔵マイコンを検査する場合には、メモリ部をメモリテスターで検査し、その後にマイコン部をロジックテスターで検査していた。なお、検査の結果、良品と判定された不揮発性メモリ内蔵マイコンは、出荷され各種製品に利用されることになる(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
図72は、従来の不揮発メモリ内蔵マイコン、メモリテスター及びロジックテスターの概略構成図である。
まず、従来の不揮発性メモリ内蔵マイコンについて説明する。
不揮発性メモリ内蔵マイコンのマイコン部3430は、CPU3431、RAM3432、タイマ3433、シリアル3434、ポート3435、A/D3436、D/A3437等の回路ブロックを有し、各回路ブロックはバス等で接続されている。外部からの信号はポート3435を介して各回路ブロックに入力される構成になっており、検査時におけるロジックテスターからの信号S3410はポート3435を介して各回路ブロックを駆動させることになる。また、各回路ブロックから外部へ信号を出力する際にもポート3435を介して出力される構成になっている。
【0004】
不揮発性メモリ内蔵マイコンのメモリ部3440は、不揮発性メモリ3441及びメモリI/F3443を有し、不揮発性メモリ3441はメモリI/F3443を介してマイコン部3430と接続される。メモリ部3440内の各回路と外部を接続する場合は、マイコン部3430内のポート3435を介して行われるが、図72においては図面の簡略化のためにポート3435を介さず直接接続されているように表現している。
【0005】
マイコン部3430のCPU3431は通常動作時においては、メモリI/F3443を介して不揮発性メモリ3441内のデータを読み出したり、不揮発性メモリ3441内にデータを書き込んだりすることができる。
次に、メモリテスター3400について説明する。
メモリテスター3400は、アドレス発生回路3402、論理比較回路3404、良否判定回路3405及びテスト信号発生回路3406を有する。
【0006】
テスト信号発生回路3406は、メモリI/F3443を介して不揮発性メモリ3441に与えるべき制御信号S3406aとデータS3406bとを送出する機能を有し、アドレス発生回路3402は、メモリI/F3443を介して不揮発性メモリ3441に与えるべきアドレス信号S3402を送出する機能を有する。
また、論理比較回路3404は、不揮発性メモリ3441から読み出されたデータをメモリI/Fを介して受け取り、そのデータと、予め定めている期待値データとを比較してその比較結果を良否判定回路3405に伝える機能を有し、良否判定回路3405は、論理比較回路3404から一致しないとの比較結果を受けると不良品と判定し、その他の場合には良品と判定し、その判定結果を表示等により検査者等に通知する機能を有する。
【0007】
不揮発性メモリのマイコン部3430をリセットがかかった状態にして、マイコン部内のポート3435をメモリ検査用の状態、つまりメモリテスター3400とメモリ部3440がほぼ直結した状態にし、メモリ部3440の検査は行われる。検査は、メモリテスター3400のテスト信号発生回路3406により、書込み、読み出し等の制御信号や、書き込むべきデータをメモリI/F3443に与えるとともに、アドレス発生回路3402から逐次適切にアドレス信号を与えることにより不揮発性メモリ3441を動作させ、その動作結果を論理比較回路3404で検証するという方法でなされる。なお、メモリ部3440の検査時における信号の流れを、図72において小さい矩形枠で囲んだ番号1〜7で示している。
【0008】
次に、ロジックテスター3410について説明する。
ロジックテスター3410は、パターン発生器3411、波形整形回路3412、タイミング発生器3413、入力信号基準電圧発生器3414、入出力信号制御回路3415、比較基準電圧発生器3416、論理比較回路3417、良否判定回路3418及び不良解析メモリー3419を備える。
【0009】
パターン発生回路3411は、マイコン部3430に与える命令を示す検査パターンを作成し、波形整形回路3412に検査パターンS3411aを送り、また、正常にマイコン部3430が動作した場合に得られると期待される検査結果を示す期待値パターンを作成して、論理比較回路3417に期待値パターンS3411bを送る。
波形整形回路3412は、タイミング発生器3413の制御により、パターン発生回路3411から送られてきた検査パターンS3411aを検査に最適な信号波形に整形し、入出力信号制御回路3415に送る。
【0010】
入出力信号制御回路3415は、入力信号基準電圧発生器3414の電圧レベルに基づき、波形整形回路3412から送られてきた信号波形のハイレベル(Highレベル)、ローレベル(Lowレベル)を決めて、不揮発メモリ内蔵マイコンを駆動させる信号S3410を不揮発メモリ内蔵マイコンに送る。この結果、不揮発メモリ内蔵マイコンのマイコン部3430のいずれかの回路ブロックが信号S3410に応じて動作し、動作結果を示す信号S3430が入出力信号制御回路3415に返却される。
【0011】
入出力信号制御回路3415は、受け取った信号S3430を、比較基準電圧発生器3416の電圧レベルに基づきHighレベル、Lowレベルに切り分けて論理比較回路3417にデータS3415a、S3415bを送る。
論理比較回路3417は、データS3415a及びS3415bと、期待値パターンS3411bとを比較し、一致した場合は、良否判定回路3418と不良解析メモリー3419とに不揮発性メモリ内蔵マイコンが正常であることを示すPASS判定の信号を送り、一致しない場合は、不揮発性メモリ内蔵マイコンが正常でないことを示すFAIL判定の信号を送る。
【0012】
不良解析メモリー3419は、論理比較回路3417からFAIL判定の信号が送られてくると、パターン発生器3411から検査パターンの出力に合わせて送られてくる、各検査パターン識別用のデータS3411cを記憶する。従って、不良解析メモリー3419の記憶内容を読み出すことにより、どのタイミングでFAIL判定がなされたかを明確にすることができる。
【0013】
このロジックテスター3410によるマイコン部3430の検査は、ロジックテスター3410の接続端子と、不揮発性メモリ内蔵マイコンの信号入出力の多数の端子とを接続して行われ、ロジックテスター3410からマイコン部3430の駆動用の信号S3410をポートに入力し、駆動結果を示す信号S3430をポートから受け取り、期待される結果と一致するか否かを判定することにより実施される。通常は、多数の検査パターンによって検査を行う。マイコン部3430の検査時における信号の流れを、図72において小さい円形枠で囲んだ番号1、2で示している。
【0014】
このように、従来、不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査は、メモリテスターによるメモリ部の検査とロジックテスターによるマイコン部の検査との2工程で実施されている。
なお、検査時間の短縮を図る等のために、一般に、複数のメモリテスターとして機能し得る検査装置と複数の不揮発性メモリ内蔵マイコンチップとを接続して並行して複数チップについての各メモリ部の検査が行われ、複数のロジックテスターとして機能し得る検査装置と複数の不揮発性メモリ内蔵マイコンチップとを接続して並行して複数チップについての各マイコン部等の検査が行われる。
【非特許文献1】高柳邦夫、田島道夫、松井純爾監修「半導体計測評価事典」サイエンスフォーラム(株)発行、1994年2月10日、第1版、pp.625−651
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、検査装置の備える端子数が有限であることから、並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数には限界があり、一般にメモリ部の検査よりもマイコン部の検査においては接続されるべき端子数が多いため、特にマイコン部の検査については並行して検査できるチップ数が少なくなる。
また、メモリ部の検査とマイコン部の検査との2工程を実施することは、工程間での接続変更等を要するため、検査効率が悪い。
【0016】
そこで、本発明は、ロジックテスターによるマイコン部の検査の工程の省略、つまりロジックテスターよる検査のための検査装置と不揮発性メモリ内蔵マイコンとの接続の省略を図り、総合的な検査時間の短縮を図るためになされたものであり、効率的に検査を行うことができるような新たな不揮発性メモリ内蔵マイコンを提供することと、その新たな不揮発性メモリ内蔵マイコンについての検査技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップは、マイクロコンピュータ部とメモリ部とを含む半導体チップである不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップであって、前記マイクロコンピュータ部は、CPUその他の回路ブロックを有し、前記メモリ部は、不揮発性メモリを含み、マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックを駆動して検査を行うための複数の検査データを不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得して不揮発性メモリに記録した後、各検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに逐次出力させるメモリ制御手段と、不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に基づく信号を、前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックを駆動するために当該回路ブロックに伝達する駆動手段と、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号を受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力する出力手段とを有する。
【発明の効果】
【0018】
上記構成により、従来ロジックテスターから、マイクロコンピュータ(マイコン)部内のCPU等の各回路ブロックに検査用データを与えて行っていた検査を、不揮発性メモリに検査用データ群を記録した後、不揮発性メモリに検査用データを逐次出力させて、マイコン部内の各回路ブロックに与えることにより実現することができ、このため、不揮発性メモリ内蔵マイコンの外部においては基本的にメモリテスターがあれば検査を実施できるようになる。従って、ロジックテスターを用いた検査の工程を省略できるため、検査コストの削減が図れ、また、多数の端子を有する検査装置によって、同時に並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数を増やすことができるため、総合的な検査時間の短縮が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図1〜図5を用いて説明する。
<構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【0020】
なお、同図には、不揮発性メモリ内蔵マイコン110を検査するための外部装置であるメモリテスター100をも示している。また、同図では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0021】
実施の形態1に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン110は、マイコン部130とメモリ部140とを備え、半導体チップとして形成されたものである。従って、不揮発性メモリ内蔵マイコン110中の入出力信号制御回路142、メモリI/F143等の各機能ブロックは、その各機能を発揮するように半導体等の各材料を組合せて形成されたものである。
【0022】
この不揮発性メモリ内蔵マイコン110は、通常時においては従来の不揮発性メモリ内蔵マイコンと同様の機能を実現すべくマイコン部130内のCPUがメモリ部140内の不揮発性メモリに格納されたデータにアクセスして動作するように構成されており、また、検査時においては、マイコン部130の検査に関して、ロジックテスターを接続して検査を行うのではなく、メモリ部140の機能を利用してメモリテスター100により検査を行うことができるように構成されている。
【0023】
マイコン部130は、図1に示すように、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル信号の入出力用インタフェースであるシリアル134、複数の信号の入出力用インタフェースであるポート135、いわゆるA/DコンバータであるA/D136、いわゆるD/AコンバータであるD/A137等の回路ブロックから構成されている。
CPU131は、通常時において、メモリ部140の不揮発性メモリにアクセスするため信号S131b、S131c及びS131dの授受を行い、またメモリ部140に対してシステムクロックを供給する。
【0024】
マイコン部130内の各回路ブロックはバス等で接続されており、ポート135は、不揮発性メモリマイコンの外部からの信号をその内容に応じてマイコン部130又はメモリ部140内の各部に伝達する機能を有する。実際には、不揮発性メモリ内蔵マイコン110とメモリテスター100との間の信号の授受はポート135を介して行われるが、便宜上、図1においてはポート135を経由する信号経路を省略し、直接的に信号の授受を行うように表現している。
【0025】
メモリ部140からのマイコン部130の各回路ブロックを検査用に動作させるための検査信号S142aはポート135に入力され、ポート135を介してマイコン部130内の各回路ブロックを駆動させることになり、駆動結果である検査結果信号S135aはポート135からメモリ部140へ出力されることになる。
メモリ部140は、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路142及びメモリインタフェース(I/F)143を備える。
【0026】
図2は、不揮発性メモリ141の構成図である。同図中、破線矢印で通常時における信号の流れを示し、実線矢印で検査時における信号の流れを示している。 不揮発性メモリ141は、同図に示すように、データを保持する不揮発性メモリセル141aと、不揮発性メモリセル141aのデータを出力するセンスアンプ回路141bと、センスアンプ回路141bを制御するコントロール回路141cを有し、更に制御信号S143cで示される検査モードに応じて、アドレス入力する信号の経路とデータを出力する信号の経路を切り替えるマルチプレクサ(MPX)141d、141e及び141fを有する。なお、検査モードは、メモリ部の検査時と、マイコン部の検査時との別を示す情報であり、メモリテスター100からの指示により定まる。
【0027】
この不揮発性メモリ141に与えられるアドレス信号を、不揮発性メモリ141は、システムクロックS131eに同期して取得する。
メモリ部の検査時においては、コントロール回路141cにはアドレス信号S143b、データ信号S143a及び制御信号S143cが伝達され、制御信号S143cによって書き込み動作が指定されていれば、不揮発性メモリセル141a内の、アドレス信号S143bで指し示されるアドレスのセルに、データ信号S143aで示されたデータが書き込まれることとなり、制御信号S143cが読み出し動作が指定されていれば、不揮発性メモリセル141a内の、アドレス信号S143bで指し示されるアドレスのセルからセンスアンプ回路141bを介してデータが読み出され、データ信号S143aとして出力される。また、マイコン部の検査時においては、コントロール回路141cにはアドレス信号S102aが伝達され、不揮発性メモリセル141a内の、アドレス信号S102aで指し示されるアドレスのセルからセンスアンプ回路141bを介してデータが読み出され、検査信号S141a及び期待値信号S141bとして出力される。
【0028】
なお、メモリテスター100は、マイコン部130の検査前に、マイコン検査用にマイコン各部を駆動するための検査信号列と、その駆動結果と照合するための期待値信号列とを不揮発性メモリセル141aに書き込むように運用される。 マイコン部130の検査時においては、メモリテスター100からのアドレス信号S102aを受けて、不揮発性メモリ141は、各検査信号S141aを入出力信号制御回路142に伝達するとともに、期待値信号S141bをメモリI/F143に伝達する。
【0029】
入出力信号制御回路142は、不揮発性メモリ141から伝えられるマイコン部130の各回路ブロックを駆動するための検査信号S141aを、メモリテスター100から供給される入力信号基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その結果である検査信号S142aをマイコン部130のポート135に伝達し、また、マイコン部130のポート135からの駆動結果を示す検査結果信号S135aを、メモリテスター100から供給される比較基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その結果である検査結果信号S142bをメモリI/F143に伝達する機能を有する。
【0030】
メモリI/F143は、通常時においてCPU131が不揮発性メモリ141にアクセスする際のインタフェースとしての機能を有し、メモリ部の検査時においてメモリテスター100からの不揮発性メモリ141についての検査をするための信号S106a及びS106bを不揮発性メモリ141に伝達してその結果を示す信号をメモリテスター100に伝達する機能を有し、更にマイコン部の検査時においてメモリテスター100に対して不揮発性メモリ141から伝えられる期待値信号と入出力信号制御回路142から伝えられる検査結果信号とをメモリテスター100に出力する機能を有する。
【0031】
また、メモリテスター100は、不揮発性メモリ内蔵マイコン110の検査を行う装置であり、水晶発振子120、入力信号基準電圧発生器101、アドレス発生回路102、比較基準電圧発生器103、論理比較回路104、良否判定回路105及びテスト信号発生回路106を備える。即ち、このメモリテスター100は、不揮発性メモリについての検査のみを行うための従来のメモリテスターに加えて、マイコン部を検査するために水晶発振子120、入力信号基準電圧発生器101及び比較基準電圧発生器103を備えている。
【0032】
ここで、入力信号基準電圧発生器101は、Lowレベルの電圧値VILとHighレベルの電圧値VIHとを発生し得る回路であり、比較基準電圧発生器103は、Lowレベルの電圧値VOLとHighレベルの電圧値VOHとを発生し得る回路である。
アドレス発生回路102は、メモリテスター100で動作する検査制御用プログラム等の制御下で、不揮発性メモリ141に特定の不揮発性メモリセルにアクセスするためのアドレス信号を発生する回路であり、テスト信号発生回路106は、検査制御プログラムの制御下で、検査モード等を示す制御信号や、不揮発性メモリを検査するための書込み用のデータ信号等を発生する回路である。また、検査制御プログラムの制御下で、論理比較回路104はメモリ部の検査時においては不揮発性メモリ141から読み出されたデータを予め定められた期待値等と比較しその結果を良否判定回路105に伝える機能を有し、良否判定回路105はその結果に応じて不揮発性メモリ内蔵マイコン110が良品か不良品かの判定を行う機能を有し、例えばその判定結果を検査者等に報知する。
【0033】
なお、メモリテスター100は、不揮発性メモリ内蔵マイコン110にリセット信号を送りマイコン部130にリセットをかける機能をも備えている。
<検査手順>
以下、メモリテスター100により不揮発性メモリ内蔵マイコン110を検査する場合の検査手順を説明する。この検査手順は、例えばメモリテスター100に備えられた制御用CPUにより特定の検査制御プログラムが実行され、そのCPUがアドレス発生回路102等の各部を制御することにより、実施される。
【0034】
まず、メモリテスター100はメモリ部140の検査を行うべく、マイコン部130にリセットをかける。これにより、マイコン部130内のポート135は、メモリテスター100とメモリ部140内の各部との間での信号の直接的な授受を可能にする状態、いわば検査時の状態に切り替わる。
メモリテスター100は、テスト信号発生回路106から検査モードをメモリ部の検査とする制御信号S106bを発し、従来における不揮発性メモリの検査方法と同様に、アドレス発生回路102によりアドレス信号S102bをメモリI/F143に与えつつ、テスト信号発生回路106によりデータS106a及び制御信号S106bをメモリI/F143に与える。メモリI/F143はアドレス信号S102b、データS106a及び制御信号S106bを受けるとこれらをそれぞれアドレス信号S143b、データ信号S143a、制御信号S143cとして不揮発性メモリ141に伝え、この結果、不揮発性メモリ141にデータが書き込まれ、又は、不揮発性メモリ141からデータが読み出される。
【0035】
不揮発性メモリ141から送られたデータ信号S143aは、メモリI/F143を介してデータ信号S143dとして、メモリテスター100の論理比較回路104に伝えられる。
論理比較回路104ではメモリ部140から送られてきたデータ信号の値と、例えばメモリテスター100の検査制御プログラム等により指定される、正常動作した場合の期待値とを、比較し、比較結果を良否判定回路105に送り、良否判定回路105ではその比較結果に応じて良品か不良品かの判定を行う。
【0036】
図1では、上述したメモリ部140の検査時における信号の流れを、小さい矩形枠で囲んだ番号1〜7で示している。
なお、メモリ部140とマイコン部130の接続に関しても従来同様の方法で検査を行う。
メモリ部140の検査の結果、良品と判定されたメモリ部140の不揮発性メモリ141には、メモリテスター100は、マイコン部130の検査用データが書き込まれる。
【0037】
図3は、マイコン部の検査に際して不揮発性メモリセルに格納される検査用データを示した図である。
マイコン部の検査用データは、マイコン部の検査のためにメモリテスター100から不揮発性メモリ141の不揮発性メモリセル141aに書き込まれるデータであり、同図に示すように検査信号と期待値信号との組の集合で構成され、マイコン部の検査時において不揮発性メモリ141から検査信号S141a及び期待値信号S141bとして出力されることになるものである。
【0038】
この検査用データを構成する検査信号はマイコン部130内の各回路ブロックを駆動するための制御データであり、例えばCPU131に解釈実行される命令等である。また、検査用データを構成する期待値信号は、検査信号によって駆動された各回路ブロックが返す駆動結果を示す信号と照合するために用いられる、正常動作した場合における期待値を示す信号である。
【0039】
メモリテスター100のテスト信号発生回路106によって検査用データがメモリI/F143に与えられ、この結果、図3に示すように、D0、D1、D2という順に不揮発性メモリ141の不揮発性メモリセル141aに書き込まれる。
不揮発性メモリセル141aに検査用データを書き込んだ後に、メモリテスター100は、この検査用データを用いてマイコン部130の検査を開始する。
【0040】
マイコン部130の検査を開始すると、メモリテスター100は、テスト信号発生回路106から検査モードをマイコン部の検査とする制御信号S106bを発し、水晶発振子120から発されるクロック信号S120aをCPU131に入力する。クロック信号S120aを受けるとCPU131は、システムクロックを不揮発性メモリ141等、メモリ部140の各部に出力する。なお、メモリ部140内の各部はこのシステムクロックに同期して動作を行う。
【0041】
続いて、メモリテスター100は、アドレス発生回路102から16ビットのアドレス値を示すアドレス信号S102aを、不揮発性メモリ141に与える。これに対して、不揮発性メモリ141は、アドレス信号S102aで指し示される位置に格納されているデータを出力する。このデータは、上位mビット(例えば46ビット)が検査信号S141aとして入出力信号制御回路142に送出され、下位nビット(例えば18ビット)が期待値信号S141bとしてメモリI/F143に送出される。なお、説明の便宜上、不揮発性メモリ内の各データのアドレスは16ビットで表せるものとしている。
【0042】
入出力信号制御回路142は、入力された検査信号S141aについて、メモリテスター100の入力信号基準電圧発生器101から印加された電圧S101a及びS101bによって電圧レベルを変更し、マイコン部130の駆動用の検査信号S142aとしてポート135に送出する。
ポート135に入力された検査信号S142aに応じて、マイコン部130は動作し、検査信号に応じた動作結果を示す検査結果信号S135aがポート135から入出力信号制御回路142へ送出される。なお、この際のマイコン部130の動作は、ロジックテスターを用いてポートに信号を入力して検査していた従来の方式による場合における動作と同等である。
【0043】
入出力信号制御回路142は、入力された検査結果信号S135aについて、メモリテスター100の比較基準電圧発生器103から印加された電圧S103a及びS103bによって電圧レベルを調整して、検査結果信号S142bとしてメモリI/F143に送出する。
メモリI/F143では、不揮発性メモリ141から伝えられた期待値信号S141bと、入出力信号制御回路142から伝えられた検査結果信号S142bとを、それぞれ期待値信号S143d、検査結果信号S143eとして論理比較回路104に送出する。
【0044】
論理比較回路104では、伝えられた期待値信号S143dと検査結果信号S143eとを比較し、比較結果を良否判定回路105に送り、良否判定回路105では、その比較結果に応じて、良品か不良品かを判定する。期待値信号S143dと検査結果信号S143eが、システムクロックに対応する周期での比較時点において不一致となれば、検査対象の不揮発性メモリ内蔵マイコン110は不良品であると判定されることになる。
【0045】
図1では、上述したマイコン部130の検査時における信号の流れを、小さい円形枠で囲んだ番号1〜6で示している。
以下、上述のマイコン部130の検査について、図4及び図5により信号の内容例を示して説明する。
図4は、不揮発性メモリ内蔵マイコン110のマイコン部130の検査時に生じる主な信号の関係を示した図である。
【0046】
同図に示すように、アドレス信号S102aを受けて不揮発性メモリ141はそのアドレス位置のメモリセル内容から検査信号S141a及び期待値信号S141bを発する。また、その検査信号S141aに基づく検査信号S142aがマイコン部130に到達し、これに対応してマイコン部130からの検査結果信号S135aに基づく検査結果信号S142bが生じる。最終的には期待値信号S141bと検査結果信号S142bとに基づく信号がメモリI/F143から論理比較回路104において比較されることになる。
【0047】
図5は、マイコン部130の検査時における各信号のタイミングチャートである。
水晶発振子120から入力されるクロック信号S120aに合わせて、CPU131はシステムクロックS131eを形成しメモリ部140に供給しているが、メモリ部140の各部ではこのシステムクロックS131eとの関係を保って信号出力を行う。
同図に示すように、アドレス信号S102aに少し遅れて、不揮発性メモリ141は、そのアドレス信号で指し示された位置のメモリセルに格納されている値の検査信号S141aと期待値信号S141bとを同時に出力し、それぞれ入出力信号制御回路142、メモリI/F143に到達する。同図では、仮に検査信号S141aも期待値信号S141bも16ビットであるとした場合の信号値を例示している。
【0048】
例えば、0F13h(16進数)という値を示す検査信号S141aを受けると、入出力信号制御回路142は、伝送上の遅延により少し遅れて0F13hという値を示す検査信号S142a即ち命令をマイコン部130に伝え、マイコン部130はこの命令に応じて動作を行って4000hという検査結果信号S135aを入出力信号制御回路142に伝え、これより少し遅れて入出力信号制御回路142は、同じ値である4000hという検査結果信号S142bをメモリI/F143に伝え、メモリI/F143は、既に不揮発性メモリ141から到達している4000hという値の期待値信号S141b及びその4000hという値の検査結果信号S142bを、期待値信号S143d及び検査結果信号S143eとして論理比較回路104に送出し、その結果、良否判定回路105は、良品であると判定する。
【0049】
なお、論理比較回路104において検査結果信号S143eと期待値信号S143dとを比較した時に一度でも両者が不一致であれば、良否判定回路105は、検査対象である不揮発性メモリ内蔵マイコン110は不良品であると判定する。
なお、図5では、メモリ内状態において期待値信号と組をなす検査信号により得られた検査結果信号をその期待値信号と比較する例を示したが、実施の形態1の変形例として、伝送遅延やマイコン部130の性能が低い場合等を想定し、ある期待値信号Pの1つ前又は複数個前に不揮発性メモリから発された期待値信号と組をなす検査信号により得られた検査結果信号Qをその期待値信号Pと比較することによってその検査信号に基づき動作したマイコン部内の回路ブロックが正常に動作したか否かを検査できるように、不揮発性メモリ内に格納する検査用データ中の検査信号と期待値信号との対応関係を定めておくようにした実施形態も考えられる。
<実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図6及び図7を用いて説明する。
【0050】
図6は、本発明の実施の形態2に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
なお、同図には、不揮発性メモリ内蔵マイコン610を検査するための外部装置であるメモリテスター600をも示している。また、同図では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0051】
図6に示すように、メモリテスター600は、実施の形態1で示したメモリテスター100からアドレス発生回路102を削除したものと同等である。
また、不揮発性メモリ内蔵マイコン610は、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110と基本的には同様であるが、メモリ部140の代わりに、アドレス発生回路641を内蔵したメモリ部640を有する点が異なる。
【0052】
即ち、不揮発性メモリ内蔵マイコン610は、マイコン部130及びメモリ部640を備え、メモリ部640は、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びアドレス発生回路641を有する。不揮発性メモリ内蔵マイコン610の構成要素のうち図6において図1と同じ符号を付したものは、実施の形態1で説明したものと同等であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0053】
アドレス発生回路641は、検査時においてはシステムクロックS131eに同期して1ずつカウントアップするカウンタであり、カウンタの値を不揮発性メモリ141にアドレス信号S102aとして供給する回路であり、例えば検査モードがマイコン部130又はメモリ部640の検査を行うことを示すように変化した時等にそのカウンタの値をゼロにリセットする機能を有する。なお、このカウンタのビット数は、不揮発性メモリ141が必要とするアドレス信号の信号線の本数と同じである。
【0054】
従って、不揮発性メモリ141は、アドレス発生回路641からシステムクロックに同期して逐次供給されるアドレス信号S102aによって指し示された位置の不揮発性メモリセルの内容を、検査信号S141a及び期待値信号S141bとして逐次出力することになり、これらの信号に基づき不揮発性メモリ内蔵マイコン610においても実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110と同様に検査が行われることになる。
【0055】
このように、不揮発性メモリ内蔵マイコン610は、外部からアドレス信号を受けること無く検査を行うことができるものであるため、メモリテスター600と不揮発性メモリ内蔵マイコン610との間を接続するための信号線の数つまりチャネル数は、そのアドレス信号の伝達が不要な分だけ、実施の形態1で示したメモリテスター100と不揮発性メモリ内蔵マイコン110との間を接続するためのチャネル数よりも少なくて足りる。
【0056】
図7は、メモリテスターにより同時に検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンの数を対比した図である。
メモリテスターの信号端子数つまりチャネル数が(x+α)×Q本であった場合において、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110とメモリテスターとの間を接続するアドレス信号についての信号線の本数がα本で、その他の信号線の本数がx本であるとすれば、不揮発性メモリ内蔵マイコン110をQ台同時に検査することができる。これに対して、同じチャネル数のメモリテスターで不揮発性メモリ内蔵マイコン610を検査する場合には、不揮発性メモリ内蔵マイコン610とメモリテスターとの間を接続する信号線の本数はx本だけとなるため、不揮発性メモリ内蔵マイコン610をQ台にQ×α/x台を加えた台数だけ同時に検査することができるようになる。
【0057】
従って、多数のチャネル端子を備える1台のメモリテスターで、同時に検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンの数は、この実施の形態2で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン610の検査の場合の方が多数になり、この実施の形態2で示した構成を有する不揮発性メモリ内蔵マイコン610によれば、多数の不揮発性メモリ内蔵マイコンを検査する場合における検査の総時間の短縮化が図れるようになる。
<実施の形態3>
以下、本発明の実施の形態3に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図8〜図11を用いて説明する。
【0058】
図8は、本発明の実施の形態3に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
なお、同図には、不揮発性メモリ内蔵マイコン410を検査するための外部装置である前述したメモリテスター600をも示している。また、同図では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0059】
また、不揮発性メモリ内蔵マイコン410は、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110と基本的には同様であるが、メモリ部140の代わりに、アドレス発生回路441を内蔵したメモリ部440を有する点が異なる。
即ち、不揮発性メモリ内蔵マイコン410は、マイコン部130及びメモリ部640を備え、メモリ部640は、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びアドレス発生回路441を有する。不揮発性メモリ内蔵マイコン410の構成要素のうち図8において図1と同じ符号を付したものは、実施の形態1で説明したものと同等であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0060】
図9は、実施の形態3におけるアドレス発生回路441の構成図である。
アドレス発生回路441は、検査時において、不揮発性メモリ141から制御信号S441を受け取りこれに応じてアドレス信号S102aを発生して不揮発性メモリ141に供給する回路であり、単にアドレス値を逐次増分して発生するのみならず、いわゆるループ処理がなされるようにするために一度発生したことのあるアドレス値を再度発生し得る点に特徴がある。
【0061】
このアドレス発生回路441は、同図に示すように、アドレス制御回路501、アドレスインクリメント回路502、スタートアドレス設定回路503及びアドレススタック回路504を有する。
ここで、アドレス制御回路501は不揮発性メモリ141からの2ビットの制御信号S441を受けて、先の1ビットをアドレススタック回路504に制御信号S501bとして送出し、後の1ビットをスタートアドレス設定回路503に制御信号S501aとして送出する機能を有する。不揮発性メモリ141からの制御信号S441が2ビットの「10」であれば、例えばアドレススタック回路504への制御信号S501bはアクティブとなり、かつ、スタートアドレス設定回路503への制御信号S501aは非アクティブとなり、制御信号S441が「01」であれば制御信号S501bは非アクティブとなりかつ制御信号S501aはアクティブとなり、制御信号S441が「00」であれば制御信号S501a及びS501bは共に非アクティブとなる。
【0062】
但し、アドレス制御回路501は、アドレス信号S500として既に一度受けたアドレス値と同値のものを再度受けた場合には、そのタイミングにおいて受けた制御信号S441がどのような値であろうと、そのタイミングにおいては、スタートアドレス設定回路503への制御信号S501aを非アクティブにするとともにアドレススタック回路504への制御信号S501bを非アクティブにする。これは、処理の無限ループを避けるためである。なお、アドレス制御回路501において、アドレス信号S500として受けたアドレス値が既に一度受けたアドレス値と同一であるか否かの判定は、例えば最大アドレスを保持する方式を用いて、受けたアドレス値が保持している最大アドレスより大きい場合に限りその受けたアドレス値を最大アドレスとして保持することとし、受けたアドレス値が保持している最大アドレスより大きくない場合には、受けたアドレス値が既に一度受けたアドレス値と同一であると判定すること等により実現できる。
【0063】
アドレスインクリメント回路502は、不揮発性メモリ141が必要とするアドレス信号の信号線の本数と同じビット数(16ビット)のカウンタを含み、スタートアドレス設定回路503からアドレス値を示すスタートアドレス信号S503を受けるとそのアドレス値をカウンタに設定してその後はシステムクロックS131eに同期して1ずつカウントアップしてアドレスを増加し、またそのシステムクロックS131eに合わせてアドレス制御回路501とアドレススタック回路504にアドレス信号S500を出力する機能を有する。
【0064】
なお、アドレスインクリメント回路502は、メモリI/F143から送られる制御信号S143cの一部の分流であって検査モードを示す検査モード信号S143fを受け、例えば検査モードが検査を行うことを示すようになった時等にそのカウンタにおけるアドレス値をゼロにリセットする機能を有し、また、検査モードがマイコン部130の検査を示している場合にはアドレス信号S500と同一内容をアドレス信号S102aとして出力し、検査モードがメモリ部440の検査を示している場合にはアドレス信号S500と同一内容をアドレス信号S102bとして出力する。
【0065】
スタートアドレス設定回路503は、アドレス制御回路501からの制御信号S501aがアクティブであるときにだけ、アドレススタック回路504から出力されているアドレス信号S504を受けて、アドレスインクリメント回路502にスタートアドレス信号S503として送出する機能を有する。
また、アドレススタック回路504は、アドレス値を記憶する保持領域を有し、アドレス制御回路501からの制御信号S501がアクティブであるときにだけアドレスインクリメント回路502からのアドレス信号S500で示されるアドレス値を保持領域に設定して保持する機能と、保持領域に保持しているアドレス値をアドレス信号S504として出力する機能とを有する。
【0066】
図10は、実施の形態3において不揮発性メモリ141に格納される検査用データ及び制御信号列を示した図である。
メモリテスター600から不揮発性メモリ141の不揮発性メモリセルに書き込まれるデータは、同図に示すように制御信号列と検査信号と期待値信号との組の集合で構成され、検査時において不揮発性メモリ141から制御信号S441、検査信号S141a及び期待値信号S141bとして出力されることになるものである。検査信号と期待値信号との意味内容は実施の形態1で示したものと同じである。
【0067】
2ビットの制御信号列のうち先のビットは、自ビットの不揮発性メモリセル内でのアドレスをループ処理を行うための起点として設定すべき旨を「1」で表し、また設定すべきでない旨を「0」で表すものであり、後のビットは、既にループ処理を行うための起点として設定しているアドレスに制御を移行する旨を「1」で表し、また制御移行しない旨を「0」で表すものである。
【0068】
なお、メモリテスター600のテスト信号発生回路106によって制御信号列及び検査用データがメモリI/F143に与えられ、この結果、図10に示すように、A0D0、A1D1、A2D2という順に制御信号列及び検査用データの各組は、不揮発性メモリ141の不揮発性メモリセル141aに書き込まれる。
以下、不揮発性メモリ141には図10に例示した内容のデータが格納されていることを前提として、アドレス発生回路441の動作を説明する。
【0069】
不揮発性メモリセル141aに制御用信号列及び検査用データを書き込んだ後に、メモリテスター600は、検査モードをマイコン部130の検査を示すようにして、マイコン部130の検査を開始させる。
これにより、アドレス発生回路441は、アドレス値を0にしカウントアップを開始する。
【0070】
図11は、アドレス発生回路441において生じる主な信号の変化を示したタイミングチャートである。
同図に示すように、まず、アドレスインクリメント回路502は、0000hを内容とするアドレス信号S500及びS102aを出力する。
このアドレス信号S102aを受けて不揮発性メモリ141から制御信号列A0と検査用データD0とが読み出され、これにより検査用データD0は検査信号S141aと期待値信号S141bとに分けて出力される。つまり、システムクロックに同期してアドレス信号S102aが与えられる毎に、そのアドレス信号S102aで示されるアドレスにおける検査用データが不揮発性メモリ141から検査信号S141aと期待値信号S141bとして出力され、これらの信号に基づき実施の形態1で示した手順により検査が行われる。
【0071】
アドレスインクリメント回路502から0000hを内容とするアドレス信号S102aが与えられた不揮発性メモリ141は、A0つまり2ビットの「00」を内容とする制御信号S441をアドレス制御回路501に送る。これを受けてアドレス制御回路501は、制御信号S501a及びS501bを共に非アクティブにする。
次のシステムクロックに同期してアドレスインクリメント回路502は、カウンタを1増加させ、0001hを内容とするアドレス信号S500及びS102aを出力する。
【0072】
このアドレスインクリメント回路502から0001hを内容とするアドレス信号S102aが与えられた不揮発性メモリ141は、A1つまり2ビットの「00」を内容とする制御信号S441をアドレス制御回路501に送るとともに、検査用データD1を検査信号S141a及び期待値信号S141bとして出力する。アドレス信号S102aが与えられる毎にそのアドレス信号で示されるアドレスの検査用データが出力されるが、以下、その検査用データの出力についての説明を省略する。
【0073】
更に次のシステムクロックに同期してアドレスインクリメント回路502は、カウンタを1増加させ、0002hを内容とするアドレス信号S500及びS102aを出力する。
このアドレスインクリメント回路502から0002hを内容とするアドレス信号S102aが与えられた不揮発性メモリ141は、A2つまり2ビットの「10」を内容とする制御信号S441をアドレス制御回路501に送るとともに、検査用データD2を検査信号S141a及び期待値信号S141bとして出力する。
【0074】
2ビットの「10」を内容とする制御信号S441を受けて、アドレス制御回路501は、アドレススタック回路504への制御信号S501bをアクティブにし、これを受けてアドレススタック回路504は、アドレスインクリメント回路502から伝えられているアドレス信号S500の内容である0002hを記憶保持するとともにアドレス信号S504として出力する。
【0075】
この後もアドレスインクリメント回路502は、システムクロックに同期して、順次、0003h、0004h、0005hを内容とするアドレス信号S500及びS102bを出力する。
0005hを内容とするアドレス信号S102aが与えられた不揮発性メモリ141は、2ビットの「01」を内容とする制御信号S441をアドレス制御回路501に送る。2ビットの「01」を内容とする制御信号S441を受けてアドレス制御回路501は、スタートアドレス設定回路503への制御信号S501aをアクティブにし、これを受けてスタートアドレス設定回路503は、0002hを内容とするアドレス信号S504を得て、これと同値のスタートアドレス信号S503をアドレスインクリメント回路502に送出する。アドレスインクリメント回路502は、0002hを内容とするスタートアドレス信号S503を得ると、その値を、次のシステムクロックに同期してアドレス信号S500及びS102aとして出力する。
【0076】
その0002hを内容とするアドレス信号S102aを受けると不揮発性メモリ141は、再度A2つまり2ビットの「10」を内容とする制御信号S441をアドレス制御回路501に送る。このときには、アドレスインクリメント回路502から0002hを内容とするアドレス信号S500がアドレス制御回路501に伝えられている。
従って、アドレス制御回路501は、既に一度受けたアドレス値である0002hと同値のものを再度受けたことになるので、2ビットの「10」を内容とする制御信号S441を受けたときに、特に制御信号S501bをアクティブにすることなく、制御信号S501a及び制御信号S501bを非アクティブにする。なお、図11中では、既に一度受けたアドレス値と同値を示すアドレス信号S500を受けたことによってアドレス制御回路501が制御信号S501a又はS501bをアクティブにしなかった様子を、破線で示している。
【0077】
このようにして、不揮発性メモリ141中の制御信号列を反映してアドレス発生回路441は、アドレス信号S102bを0000hから0005hまで順次発生して、続いて0002hから0006hまで順次発生し、続いて0002hから0007hまで順次発生するというように(図11参照)、部分的にループするようにアドレス信号S102aを発生する。従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン410によれば、不揮発性メモリ141内に、同一内容の検査用データを複数設定しておかなくても、検査用データを繰返して利用して検査を行うことができ、即ち少量データで多くの検査を行うことができるようになる。
<実施の形態4>
以下、本発明の実施の形態4に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図12〜図14を用いて説明する。
【0078】
図12は、本発明の実施の形態4に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
なお、同図には、不揮発性メモリ内蔵マイコン810を検査するための外部装置であるメモリテスター100をも示している。また、同図では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0079】
また、不揮発性メモリ内蔵マイコン810は、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110と基本的には同様であるが、メモリ部140の代わりに、アドレス発生回路841を内蔵したメモリ部840を有する点が異なる。
即ち、不揮発性メモリ内蔵マイコン810は、マイコン部130及びメモリ部840を備え、メモリ部840は、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びアドレス発生回路841を有する。不揮発性メモリ内蔵マイコン810及びメモリテスター100の構成要素のうち図12において図1と同じ符号を付したものは、実施の形態1で説明したものと同等であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0080】
ここで、アドレス発生回路841は、システムクロックS131eに同期して、不揮発性メモリ141に与えるべきアドレス信号S102aを発生する回路であり、マイコン部130の各回路の検査を行うための検査用データが不揮発性メモリ141に格納された後、マイコン部130を検査する際において、予め設定された順序でアドレス信号S102aを発生する機能を有する。従って、運用の際には、検査用データのあるまとまり単位毎の実行順序を予め設定しておくことになる。
【0081】
図13は、実施の形態4におけるアドレス発生回路841の構成図である。
同図に示すように、アドレス発生回路841は、初期値テーブル書込回路910と、書替え可能な不揮発性メモリを内部に含む初期値テーブル記憶回路911と、不揮発性メモリ141が必要とするアドレス信号の信号線の本数と同じビット数(16ビット)のカウンタ912とを有する。
【0082】
初期値テーブル書込回路910は、メモリテスター100の制御下で、アドレス発生回路102から送出されるアドレス信号S102と、テスト信号発生回路106からメモリI/F143を通じて伝達されるデータ信号S143aとを受けて、初期値テーブル記憶回路911に伝える回路である。
初期値テーブル記憶回路911は、検査モード信号S143fがマイコン部130の検査を示さない期間において、初期値テーブル書込回路910からデータ信号S143aが伝えられると、内部のメモリ内のアドレス信号S102で示される各位置に、データ信号S143aで示されるデータを記録する機能を有し、これにより図13に例示したようにアドレスA1、アドレスA2等のアドレス値の集合と終了マーク(END)とが内部のメモリに格納される。ここで、アドレスA1、アドレスA2等のアドレス値は、不揮発性メモリ141内における、マイコン部内の各種回路についてのひとまとまりの検査用データの先頭アドレスである。
【0083】
更に、初期値テーブル記憶回路911は、検査モード信号S143fがマイコン部130の検査を示し始めた時、及び、その後に検査信号S141aが所定の値(終了コード)を内容とする状態となる毎に、内部のメモリに記録されているアドレス値を先頭のものから1つだけカウンタ912に伝えてカウンタの内容として設定させる機能を有する。
また、カウンタ912は、検査モード信号S143fがマイコン部130の検査を示している期間において、初期値テーブル記憶回路911により設定されたカウンタの内容をシステムクロックS131eに同期してアドレス信号S102aとして出力しては1つカウントアップする動作を繰り返す機能を有する。
【0084】
図14は、実施の形態4において不揮発性メモリセル141aに格納される検査用データの例を示す図である。
検査を行う場合に、メモリテスター100の制御下で不揮発性メモリ141には、マイコン部130の検査より前に、基本的には実施の形態1で示したデータ構成の検査用データが格納される。但し、検査用データは、マイコン部130内の回路別にまとめられており、各ひとまとまりの検査用データの終端にはその終端であることを示す予め定められた値(終了コード)が記録される。
【0085】
図14の例は、アドレス0000hから格納されているCPU本体の検査用データ群、アドレス1000hから格納されているA/Dの検査用データ群、アドレス1800hから格納されているタイマの検査用データ群等が、それぞれ終了コードで区分されている様子を示している。
以下、検査時における不揮発性メモリ141及びアドレス発生回路841の各部の動作例について説明する。
【0086】
まず、メモリテスター100により、実施の形態1で示したようにメモリ部の検査を行って、その結果として良品であると判定された場合に、図14に例示するような検査用データを不揮発性メモリ141に記録し、続いて図13に例示するようなデータをアドレス発生回路841中の初期値テーブル記憶回路911に記録し、その後に検査モード信号を、マイコン部130の検査を示すように設定する。これにより、まず、初期値テーブル記憶回路911から内部メモリの先頭に記憶しているアドレスA1(0000h)がカウンタ912に設定されアドレス信号S102aとして出力され、以後はシステムクロックS131eに同期して、0001h、0002h、・・・と1ずつ増加したアドレス値を示すアドレス信号S102aが次々とカウンタ912から不揮発性メモリ141に与えられる。
【0087】
これにより、CPU本体の検査用データが次々と不揮発性メモリ141から読み出され、即ち不揮発性メモリ141から検査信号S141aと期待値信号S141bとが出力され、これらの信号に基づいて実施の形態1で示したように入出力信号制御回路142、メモリI/F143等が動作することによりマイコン部130のCPU131についての検査が行われる。なお、不揮発性メモリ141から出力される検査信号S141aは入出力信号制御回路142のみならず、アドレス発生回路841にも供給される。
【0088】
予め定めていた終了コードの値を示す検査信号S141aがアドレス発生回路841に伝えられた時に、初期値テーブル記憶回路911はアドレスA2(1800h)をカウンタ912に設定し、以後はカウンタ912によりシステムクロックS131eに同期して、1800h、1801h、1802h、・・・と1ずつ増加したアドレス値を示すアドレス信号S102aが次々と不揮発性メモリ141に与えられる。
【0089】
これにより、A/Dの検査用データ群をスキップして、タイマの検査用データが次々と不揮発性メモリ141から読み出され、これらに基づいてマイコン部130のタイマ133についての検査が行われる。
不揮発性メモリ141内のタイマの検査用データ群が全て読み出された後に、その次に置かれている終了コードが読み出され、その終了コードの値を示す検査信号S141aがアドレス発生回路に伝えられる。これを受けて初期値テーブル記憶回路911は、内部のメモリから終了マーク(FFFFh)を読み出し、これでカウンタ912にアドレス信号S102aの出力を停止させ、検査は終了する。
【0090】
このアドレス発生回路841によれば、マイコン部130の検査時において、外部からアドレス信号S102bの供給がなくても、不揮発性メモリ141に適切にアドレス信号S102aを供給することができ、かつ、特定の回路についての検査を省略すること等ができるようになる。
例えば、ある程度同じ構成の不揮発性メモリ内蔵マイコン810を多数検査する場合において、不揮発性メモリには同じ内容を画一的に記録しておくことを前提とし、その検査対象の一部にはA/Dが省かれた構成の不揮発性メモリ内蔵マイコンが存在するような場合に、それらの不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査を行う際にアドレス発生回路841等が有効に機能し、A/Dの検査を省くことが容易に実現できるようになる。
<実施の形態5>
以下、本発明の実施の形態5に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図12、図14及び図15を用いて説明する。
【0091】
実施の形態5に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンは、実施の形態4で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン810のうちアドレス発生回路841を、図15に示すアドレス発生回路144に置き換えたものであり、その他の部分については基本的には実施の形態4で示したものと同じである(図12参照)。但し、アドレス発生回路144にはメモリテスター100から検査者等により任意のタイミングで解除信号S108が与えられ得る。
【0092】
図15は、実施の形態5におけるアドレス発生回路144の構成図である。
同図に示すように、アドレス発生回路144は、初期値テーブル書込回路210、初期値テーブル記憶回路211、カウンタ212及びマルチプレクサ(MPX)213を有する。
ここで、初期値テーブル書込回路210は、メモリテスター100の制御下で、アドレス発生回路102から送出されるアドレス信号S102と、テスト信号発生回路106からメモリI/F143を通じて伝達されるデータ信号S143aとを受けて、初期値テーブル記憶回路211に伝える回路である。
【0093】
初期値テーブル記憶回路211は、書替え可能な不揮発性のメモリを内部に含み、不揮発性メモリ141内に格納される各検査用データの各メモリアドレス211a〜211iを内部のメモリ内に保持し、検査モード信号S143fがマイコン部130の検査を示さない期間において、初期値テーブル書込回路210からデータ信号S143aが伝えられると、内部のメモリ内のアドレス信号S102で示される各位置に、データ信号S143aで示されるデータを記録する機能を有し、これにより図15に例示したようにアドレス211a〜211hと終了マーク(END)211iとが内部のメモリに格納される。ここで、アドレス211a〜211hは、その下位16ビットが不揮発性メモリ141内における、マイコン部内の各検査用データのアドレス値であり、下位から18ビット目がMPX213の選択を制御するための選択値である。
【0094】
更に、初期値テーブル記憶回路211は、所定の出力タイミングにおいて、内部メモリ内の各データ(アドレス211a〜211h)を先頭のものから順次出力する機能を有する。初期値テーブル記憶回路211内部のメモリの各データは、下位16ビットがアドレス信号S211aとして出力され、下位から18ビット目の選択値が選択信号S211bとして出力される。
【0095】
ここでいう所定の出力タイミングとしては、1)検査モード信号S143fがマイコン部130の検査を示し始めた時、2)その後に検査信号S141aが所定の値(終了コード)を内容とする状態となる毎、3)内部メモリ内のデータのうち下位から18ビット目がHighでかつ下位から17ビット目がLowであるデータを出力して次のシステムクロックS131eを受けた時がある。
【0096】
また、初期値テーブル記憶回路211は、内部メモリ内のデータのうち下位から18ビット目がHighでかつ下位から17ビット目がHighであるデータを出力してから解除信号S108を受けるまでの間においてシステムクロックS131eを受けた時は、そのデータを固定的に出力し続け、解除信号S108を受けると、次のデータを出力する。
カウンタ212は、不揮発性メモリ141が必要とするアドレス信号の信号線の本数と同じビット数(16ビット)のカウンタであり、検査モード信号S143fがマイコン部130の検査を示している期間において、初期値テーブル記憶回路211から出力されたアドレス信号S211aを受けると、それで示されるアドレスをカウンタに設定して、そのカウンタ値をシステムクロックS131eに同期してアドレス信号S212aとして、MPX213に出力しては、カウンタ値を1つカウントアップする動作を繰り返す機能を有す。
【0097】
また、MPX213は、初期値テーブル記憶回路211から伝えられる選択信号S211bに応じて、初期値テーブル記憶回路211より出力されるアドレスS211aとカウンタ212より出力されるアドレス信号S212aとを選択して一方を出力する機能を有する。つまり、選択信号S211bがHighであれば、アドレス信号S211aを選択し、選択信号S211bがLowであれば、アドレス信号S212aを選択する機能を有する。
【0098】
以下、検査時における不揮発性メモリ141及びアドレス発生回路144の各部の動作例について説明する。
まず、メモリテスター100により、実施の形態1で示したようにメモリ部の検査を行って、その結果として良品であると判定された場合に、図14に例示するような検査用データを不揮発性メモリ141に記録し、続いて図15に例示するようなデータをアドレス発生回路144中の初期値テーブル記憶回路211に記録し、その後に検査モード信号を、マイコン部130の検査を示すように設定する。これにより、まず、初期値テーブル記憶回路211から内部メモリの先頭に記憶しているアドレス211a(00000h)の下位16ビットである0000hがアドレス信号S211aとして出力されるとともに、Lowが選択信号S211bとして出力される。
【0099】
従って、カウンタ212に0000hが設定され、カウンタ212からはシステムクロックS131eに同期して0000h、0001h、0002h、というようにアドレス信号S212aが順次出力され、初期値テーブル記憶回路211からの選択信号S211bがLowであるために、MPX213によりそのアドレス信号S212aがアドレス信号S102aとして次々と不揮発性メモリ141に出力される。
【0100】
これにより、CPU本体の検査用データが次々と不揮発性メモリ141から読み出され、即ち不揮発性メモリ141から検査信号S141aと期待値信号S141bとが出力され、これらの信号に基づいて実施の形態1で示したように入出力信号制御回路142、メモリI/F143等が動作することによりマイコン部130のCPU131についての検査が行われる。なお、不揮発性メモリ141から出力される検査信号S141aは入出力信号制御回路142のみならず、アドレス発生回路144にも供給される。
【0101】
CPU本体の検査用データが読み出された後に、予め定めていた終了コードの値を示す検査信号S141aがアドレス発生回路144に伝えられた時に(図14参照)、初期値テーブル記憶回路211はアドレス211b(21800h)の下位16ビットである1800hをアドレス信号S211aとして出力するとともに下位から18ビット目に応じてHighである選択信号S211bをMPX213に出力する。これにより、MPX213によりそのアドレス信号S211aがアドレス信号S102aとして不揮発性メモリ141に供給される。
【0102】
これにより、次にはタイマの検査用データが不揮発性メモリ141から読み出され、検査が行われる。
初期値テーブル記憶回路211は、下位から18ビット目がHighで下位から17ビット目がLowのデータを出力した後なので、続いて、次のアドレス211c(21801h)の下位16ビットである1801hをアドレス信号S211aとして出力し、選択信号S211bをHighとして出力する。これにより、MPX213からは、1801hがアドレス信号S102aとして不揮発性メモリ141に供給される。
【0103】
この後も、同様に、初期値テーブル記憶回路211は、次のアドレスの下位16ビットをアドレス信号S211aとして出力し、これはMPX213を通じて不揮発性メモリ141に供給される。この後、初期値テーブル記憶回路211は、アドレス211e(3183Bh)の下位16ビットである183Bhをアドレス信号S211aとして出力すると、そのアドレス211eは下位から18ビット目がHighでありかつ下位から17ビット目がHighであるため、この時から初期値テーブル記憶回路211は解除信号S108を受けるまで同じアドレス値(183Bh)を示すアドレス信号S211aを出力し続ける。
【0104】
従って、検査者等がメモリテスター100を操作して解除信号S108をアドレス発生回路144に送出させるまでの間は、アドレス発生回路144からは同じアドレス信号が継続的に出力され、不揮発性メモリ141中のタイマの検査用データのうちの1つが出力された状態が保たれたままとなる。
解除信号S108を受けると、初期値テーブル記憶回路211は、次のアドレス211f(21010h)の下位16ビットをアドレス信号S211aとして出力するとともにその下位から18ビット目に応じて選択信号S211bをHighにする。これを受けてMPX213は、1010hをアドレス信号S102aとして不揮発性メモリ141に供給し、不揮発性メモリ141からは、A/Dの検査用データのうちのある部分が出力される。
【0105】
こうして、初期値テーブル記憶回路211は、次に出力すべきデータが、内部のメモリ中の終了マーク(END)211iに至ったところで、データの出力を終了する。
従って、この実施の形態5におけるアドレス発生回路144によれば、不揮発性メモリ141へのアドレス信号S102aの供給についての多様な制御が可能となる。
<実施の形態6>
以下、本発明の実施の形態6に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図16及び図17を用いて説明する。
【0106】
図16は、本発明の実施の形態6に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態6に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンは、実施の形態2で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン610に、カウンタであるアドレス発生回路641から出力されるアドレス信号S102bを補正してアドレス信号S102aを出力するアドレス補正回路1400を付加したものである。
【0107】
図17は、実施の形態6に係るアドレス補正回路1400の構成図である。
同図に示すようにアドレス補正回路1400は、繰返アドレス記憶部1402、繰返回数記憶部1403、照合部1404及びアドレス出力部1405を有する。
ここで、繰返アドレス記憶部1402は、繰返開始アドレスと繰返終了アドレスとを対として予め記憶しているメモリ領域であり、繰返回数記憶部1403は、繰り返すべき回数を予め記憶しているメモリ領域である。
【0108】
照合部1404は、アドレス発生回路641から送られるアドレス信号S102bを取得して、繰返アドレス記憶部1402に記憶されている繰返開始アドレスと一致するか否かを判定し、一致しない場合には、アドレス信号S102bをそのままアドレス信号S102aとして出力するようにアドレス出力部1405を制御し、一致した場合にはそれ以後は繰返回数記憶部1403に記憶されている回数分だけ、アドレス信号S102bを受ける毎に、繰返開始アドレスから繰返終了アドレスまでのアドレスを1ずつ増加させながらアドレス信号S102aとして出力するようにアドレス出力部1405を制御する機能を有する。
【0109】
アドレス出力部1405は、内部にカウンタを有しており、照合部1404からの指示に従って、アドレス信号S102aを出力する機能を有する。
例えば、規則的なパターンを必要とするRAM132等の検査において、不揮発性メモリ141内のアドレス0100hから0150hまでの検査用データを10回繰り返して検査のために利用することとしている場合においては、繰返アドレス記憶部1402に繰返開始アドレスとして0100h、繰返終了アドレスとして0150hを予め記録しておき、かつ繰返回数記憶部1403に10を予め記録しておけばよい。これにより、アドレス補正回路1400は、アドレス発生回路641からシステムクロックS131eに同期して0000hから順に1ずつ増加したアドレス信号S102bが入力された場合に、システムクロックに同期して0000hから0150hまで順に1ずつ増加したアドレス信号S102aを出力し、その後はシステムクロックに同期して再び0100hから0150まで順に1ずつ増加したアドレス信号S102aを出力し、その後も合計10回0100h〜0150hを出力する。なお、繰返回数記憶部1403に繰返回数としてFFFFh等の予め回数制限なしと定めている値が設定されていた場合には、アドレス補正回路1400は、いつまでも一定範囲のアドレスの繰り返し出力を続ける。
【0110】
従って、同じ検査用データを繰り返し使った検査を行う場合において、不揮発性メモリ141内には重複した検査用データを格納しておく必要がなくなる。
<実施の形態7>
以下、本発明の実施の形態7に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図18及び図19を用いて説明する。
【0111】
図18は、本発明の実施の形態7に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図であり、図19は、マイコン部2230の検査前に不揮発性メモリ141の内部に格納されているべき検査用データの内容例を示す図である。なお、図19では検査用データのビット数を便宜上少な目に表現している。
図18に示すように実施の形態7に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2210は、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110をわずかに変形したものである。図18中の構成要素のうち実施の形態1(図1)で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0112】
不揮発性メモリ内蔵マイコン2210は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート2234、A/D136及びD/A137を有するマイコン部2230と、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路142及びメモリI/F143を有するメモリ部2240とを備える。
この実施の形態7に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2210の特徴は、マイコン部の検査に用いる検査用データのビット配分が固定的でない点にある。即ち、この不揮発性メモリ内蔵マイコン2210においては、マイコン部2230の各回路に対する命令となる検査信号列と、各回路の検査結果と照合するための期待値である期待値信号列との各ビット数の配分を一律に固定化しない。
【0113】
このため、不揮発性メモリ141は、アドレス信号S102aで示されるアドレスの不揮発性メモリセルから、少なくとも検査信号列として採り得る最大数のビット値を検査信号S2241aとして入出力信号制御回路142に送出し、かつ、少なくとも期待値信号列として採り得る最大数のビット値を期待値信号S2241bとしてメモリI/F143に送出する。ここでは、検査用データが64ビットであることとし、不揮発性メモリ141は、検査信号と期待値信号との組である検査用データを検査信号S2241aとして64ビット分の信号線により入出力信号制御回路142に送出するとともに、その検査信号S2241aと同一内容の期待値信号S2241bを64ビット分の信号線によりメモリI/F143に送出することとする。
【0114】
入出力信号制御回路142は、不揮発性メモリ141から伝えられるマイコン部130の各回路ブロックを駆動するための検査信号S2241aを、メモリテスター100から供給される入力信号基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その結果である検査信号S2242aをマイコン部130のポート135に伝達し、また、マイコン部130のポート135からの駆動結果を示す検査結果信号S135aを、メモリテスター100から供給される比較基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その結果である検査結果信号S2242bをメモリI/F143に伝達する機能を有する。
【0115】
検査対象の回路別に検査信号と期待値信号とのビット配分は異なるところ(図19参照)、マイコン部2230内のポート2235は、このビット配分を示す情報を予め保持している。つまり、検査信号のビットパターンと、そのビット長を示す情報とを対応付けて保持している。これにより、ポート2235は、検査信号S2242aを受けるとその内容である検査用データの値に応じて、予め内部に保持している回路別のビットパターンと照合することにより、どの回路の検査のための検査用データであるかを判別して、予め内部に保持している回路別の検査信号即ち命令のビット長を示す情報に基づいて、取得した検査信号S2242aが示す回路に対して、その検査用データ中の検査信号を与えて検査用の動作を行わせ、その結果をその回路から受け取って、検査用データのうち期待値信号の部分に上書きして得られる64ビットの検査結果信号S2235aを入出力信号制御回路142に送出する。
【0116】
メモリI/F143は、不揮発性メモリ141から64ビットの期待値信号S2241bを取得し、また、入出力信号制御回路142から64ビットの検査結果信号S2242bを取得し、これらをそれぞれ、期待値信号S2243d、検査結果信号S2243eとしてメモリテスター100の論理比較回路104に出力し、論理比較回路104では受け取った信号を比較する。
【0117】
このような構成により、 実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110は、検査用データ中の検査信号と期待値信号とのビット配分を固定化し、それぞれをハードウェア的に別の信号線を通じて伝達する方式を採用していたのに対し、不揮発性メモリ内蔵マイコン2210では、検査用データ中の検査信号と期待値信号とのビット配分をソフトウェア的に制御するため、マイコン部中の回路別に、検査用データ内の検査信号と期待値信号とのビット配分を異ならせることができるようになる。
<実施の形態8>
以下、本発明の実施の形態8に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図20及び図21を用いて説明する。
【0118】
図20は、本発明の実施の形態8に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように、実施の形態8に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン3510は、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)を変形したものであり、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート3535、A/D3536及びD/A3537を有するマイコン部3530と、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路3542及びメモリI/F143を有するメモリ部3540とを備え、入出力信号制御回路3542がポート3535を介することなくA/D3536、D/A3537等の各回路との間で直接データを授受する点に特徴がある。図20中の構成要素のうち実施の形態1(図1)で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0119】
なお、同図に示したのは一構成例であり、入出力信号制御回路3542が、A/DやD/A以外の回路と直接接続される構成としてもよい。
図21は、A/D3536及びD/A3537の構成図である。
同図に示すように、インターフェイス回路3536b、3537bは、検査モード信号を受けて検査時であると判定すると、通常時においてCPU131に接続されたバスへの接続を切断して、入出力信号制御回路3542からの検査信号を受けてそれぞれA/D回路3536a、D/A回路3537aに伝えて、また、A/D回路3536a、D/A回路3537aからの検査結果信号をそれぞれ検査結果信号S3536、S3537として入出力信号制御回路3542に伝える機能を有する。これにより、A/D3536及びD/A3537を直接的に検査することが可能になる。
【0120】
なお、実施の形態8においての検査の前に不揮発性メモリ141に格納されるべき検査用データ(図3参照)の検査信号は、ビット数がm1であるA/D用の検査信号と、ビット数がm2であるD/A用の検査信号とから構成され、検査用データの期待値信号は、ビット数がn1であるA/D用の期待値信号と、ビット数がn2であるD/A用の期待値信号とにより構成される。
【0121】
入出力信号制御回路3542は、検査信号S141aを、メモリテスター100から供給される入力信号基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その整形結果のm1ビット分の検査信号S3542aをA/D3536に伝達し、その整形結果のm2ビット分の検査信号S3542bをD/A3537に伝達し、また、A/D3536からの駆動結果を示すn1ビットの検査結果信号S3536と、D/A3537からの駆動結果を示すn2ビットの検査結果信号S3537とを合わせて、メモリテスター100から供給される比較基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その結果である検査結果信号S142bをメモリI/F143に伝達する。
【0122】
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン3510によれば、マイコン部3530の各回路に直接的に制御命令等である検査信号を与えて検査を行うことができるため、ポートを通じての制御のみでは検査できないような、詳細な検査を行うことが可能になり、故障検出率を上げることができるようになる。
なお、図21ではS3542aとS3536とがそれぞれm1ビット、n1ビットと示し、S3542bとS3537とがそれぞれm2、n2ビットと示したが、例えばS3542aとS3536との組、及びS3542bとS3537との組は、各組において物理的に同じ信号線を共用することとしてもよい。
<実施の形態9>
以下、本発明の実施の形態9に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図22及び図23を用いて説明する。
【0123】
図22は、本発明の実施の形態9に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように、実施の形態9に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン3610は、実施の形態8で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)を若干変形したものであり、CPU131、RAM132、タイマ3633、シリアル134、ポート3535、A/D3636及びD/A3637を有するマイコン部3630と、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路3642、メモリI/F143、検査対象特定回路3601及びセレクト回路3602を有するメモリ部3640とを備えており、特に、入出力信号制御回路3642が、マイコン部3630の各回路についての検査用データのアドレス値に基づいて各瞬時における検査対象の回路を特定する検査対象特定回路3601及びセレクト回路3602を利用して、1つの回路に対してポート3535を介することなく、直接データを授受する点に特徴がある。なお、図22中の構成要素のうち実施の形態1、8(図1、図20)等で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0124】
ここで、検査対象特定回路3601は、不揮発性メモリ141内の検査用データが、マイコン部3630内のどの回路についての検査用のものかを、アドレスと対応付けた情報を記憶しており、アドレス信号S102aを受けてこれに基づいて検査対象回路を特定して現在の検査対象回路を識別するための信号をセレクト回路3602に伝達する機能を有する。例えば、不揮発性メモリ141のアドレス0000h〜17FFhの位置にA/Dについての検査用データを格納し、アドレス1800h〜1FFFhの位置にタイマについての検査用データを格納して、マイコン部3630の検査を行うとした場合においては、検査対象特定回路3601は、0000h〜17FFhとA/Dとを対応付け、1800h〜1FFFhとタイマとを対応付けた情報を予め保持しておき、アドレス信号S102aが0000h〜17FFhのいずれかの値を指している時には、検査対象特定回路3601は、検査対象としてA/Dを特定する等の動作を行うことになる。
【0125】
セレクト回路3602は、検査対象特定回路3601からの検査対象回路を識別するための信号に基づいて、タイマ3633、A/D3636、D/A3637等のマイコン部3630の各回路のいずれかを選択して、選択した回路と入出力信号制御回路3642とを接続する機能を有する。なお、選択されていない回路ブロックに対してはセレクト回路3602からLow固定の信号を送る等として、その各回路ブロックが誤動作しないようにする。
【0126】
図23は、A/D3636、D/A3637及びタイマ3633とセレクト回路3602との接続関係を示した図である。
例えば、不揮発性メモリ141に記録される1つの検査用データが46ビットの検査信号と18ビットの期待値信号とで構成されているとした場合において、入出力信号制御回路3642に入力される検査信号S141aは46ビットとなり、入出力信号制御回路3642は、セレクト回路3602を介してタイマ、A/D等のいずれかの検査対象として特定された回路ブロックに46ビットの信号を伝達し、また入出力信号制御回路3642はセレクト回路3602を介してタイマ、A/D等のいずれかの回路ブロックから18ビットの信号を取得するとこれを18ビットの検査結果信号S142bとしてメモリI/F143に伝達することになる。
【0127】
この不揮発性メモリ内蔵マイコン3610によれば、マイコン部3630の各回路ブロックに選択的かつ直接的に制御命令等である検査信号を与えて検査を行うことができるため、ポートを通じての制御のみでは検査できないような、詳細な検査を行うことが可能になり、故障検出率を上げることができるようになる。
<実施の形態10>
以下、本発明の実施の形態10に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図24を用いて説明する。
【0128】
図24は、本発明の実施の形態10に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように、実施の形態10に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン3810は、実施の形態9で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン3610(図22参照)から検査対象特定回路3601を削除して不揮発性メモリ141から検査対象の回路ブロックを特定するためのセレクト信号S3800をセレクト回路3602に供給するように変形したものであり、マイコン部3630と、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路3642、メモリI/F143、セレクト回路3602を有するメモリ部3840とを備えている。なお、実施の形態1及び9で示した内容と同様の点については、ここでは説明を省略する。
【0129】
この実施の形態10においては、運用方法として、マイコン部3630の検査前に不揮発性メモリ141の内容として、1アドレスにおいて検査信号と期待値信号とからなる検査用データの他にどの回路ブロックの検査かを示すセレクト信号を含ませたデータを記録しておく必要がある。
マイコン部3630の検査時において、不揮発性メモリ141は、システムクロックS131eに同期して、あるアドレスの検査信号S141aを入出力信号制御回路3642に送出するとともに、そのアドレスのセレクト信号をセレクト信号S3800としてセレクト回路3602に送出するので、セレクト回路3602は、そのセレクト信号に応じた回路ブロックを選択して、入出力信号制御回路3642と接続する。
【0130】
従って、入出力信号制御回路3642は、検査信号S141aを、メモリテスター100から供給される入力信号基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その整形結果をセレクト回路3602を介して、セレクト信号で特定された検査対象の1つの回路ブロックに伝達し、また、その回路ブロックからの駆動結果を示す検査結果信号を取得して、メモリテスター100から供給される比較基準電圧に基づいてLowレベルの電圧値かHighレベルの電圧値かに整形して、その結果である検査結果信号S142bをメモリI/F143に伝達する。
【0131】
これにより、マイコン部3630内の各回路ブロックを直接的に検査でき、かつ、不揮発性メモリ141の内容の書替えによってその検査用データの量や内容をある程度容易に変更できるようになる。
<実施の形態11>
以下、本発明の実施の形態11に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図25及び図26を用いて説明する。
【0132】
図25は、本発明の実施の形態11に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように、実施の形態11に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2810は、実施の形態10で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン3610(図24参照)を変形して不揮発性メモリ、入出力信号制御回路及びメモリI/Fを2系統有すようにしたものであり、CPU131、RAM132、タイマ3633、シリアル134、ポート135、A/D3636及びD/A3637を有するマイコン部2830と、不揮発性メモリ141、2841、入出力信号制御回路142、3642、セレクト回路3602、メモリI/F143、2843及びアドレス制御回路2800を有するメモリ部2840とを備えている。なお、実施の形態1、10等で示した内容と同様の点については、ここでは説明を省略する。
【0133】
2つの不揮発性メモリにはそれぞれ内容の異なる検査用データが格納されている。例えば、不揮発性メモリ141には、マイコン部2830に対するポート135を介しての基本的な検査を行うために、CPUの検査用データ、RAMの検査用データ、タイマの検査用データ、シリアルの検査用データ、A/Dの検査用データ及びD/Aの検査用データがこの順に格納されており、不揮発性メモリ2841には、各回路ブロックに対して直接的に詳細な検査を行うために、シリアルの検査用データ、A/Dの検査用データ、D/Aの検査用データ、RAMの検査用データ及びタイマの検査用データが、この順に格納されている。
【0134】
不揮発性メモリ141へは、アドレス発生回路102からのアドレス信号S102aが直接入力され、不揮発性メモリ2841にはアドレス制御回路2800からのアドレス信号S2800が入力される。
アドレス制御回路2800は、カウンタを有しており、また、各不揮発性メモリに格納されている検査用データについて、メモリアドレスとどの回路ブロックについてのものであるかとを対応付けて示す情報を保持しており、アドレス発生回路102からのアドレス信号S102aを受けて、各不揮発性メモリにおいて現在どの回路ブロックについての検査用データが利用されているかを管理し、基本的にはアドレス発生回路102から0000hを示すアドレス信号S102aを受けたときからシステムクロックS131eに同期して、0000h、0001h、0002h、・・・と1ずつ増加したアドレス値を示すアドレス信号S2800を不揮発性メモリ2841に供給する。但し、不揮発性メモリ141においてアドレス信号S102aによって示される検査用データの検査対象となる回路ブロックと、自己のカウンタによって発生するアドレスで示される不揮発性メモリ2841における検査用データの検査対象となる回路ブロックとが同一となるときには、自己のカウンタのカウントアップを停止するとともにアドレス信号S2800の発生を停止し、その後に、アドレス信号S102aにより示される不揮発性メモリ141における検査用データの検査対象となる回路ブロックが別の回路ブロックとなったときに、自己のカウンタのカウントアップを再開するとともにアドレス信号S2800の発生を再開する。
【0135】
従って、基本的に不揮発性メモリ141と不揮発性メモリ2841との両方から出力される検査用データによって並列的に検査が行われることになる。なお、メモリ部2840において、各不揮発性メモリから出力される信号の処理系統は別個独立となっており、例えば各処理系統の信号線は独立している。
不揮発性メモリ141から出力される検査用データの一部である検査信号に基づき入出力信号制御回路142はポート135を介してマイコン部2830の各回路ブロックを駆動してその結果値を取得しメモリI/F143に伝達し、メモリI/F143ではその結果値と不揮発性メモリ141から出力される検査用データの一部である期待値信号とを論理比較回路104に伝達し、論理比較回路104で両信号の比較が行われ、これと並行して不揮発性メモリ2841から出力される検査用データの一部である検査信号に基づき入出力信号制御回路3642はセレクト回路3602を介してマイコン部2830の各回路ブロックを直接駆動してその結果値を取得しメモリI/F2843に伝達し、メモリI/F2843ではその結果値と不揮発性メモリ2841から出力される検査用データの一部である期待値信号とを論理比較回路104に伝達し、論理比較回路104で両信号の比較が行われる。なお、ここでは論理比較回路104は2組の入力信号を別個独立に比較する機能を有する構成とする。
【0136】
図26は、各不揮発性メモリ内の検査用データに基づく検査対象の遷移とアドレス制御回路によるアドレスのカウントアップの停止及び再開との関係を時系列に示すタイミング図である。
同図に示すように、両方の不揮発性メモリ内の検査用データの検査対象が異なる限り、アドレス制御回路2800は、システムクロックに同期してアドレスを1増加する動作を続けるが、例えば不揮発性メモリ141の検査用データに基づいてRAMが検査中となっているときには、不揮発性メモリ2841の検査用データに基づくRAMの検査の開始を待たせるために、アドレスを1増加して不揮発性メモリ2841に供給する動作を一時停止し、不揮発性メモリ141の検査用データに基づいてRAMの検査が終了した時に、不揮発性メモリ2841の検査用データに基づくRAMの検査を再開させるために、アドレスを1増加して不揮発性メモリ2841に供給する動作を再開する。
<実施の形態12>
以下、本発明の実施の形態12に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図27〜図31を用いて説明する。
【0137】
図27は、本発明の実施の形態12に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態12に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン1910は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136及びD/A137を有するマイコン部1930と、不揮発性メモリ1941、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びマルチプレクサ(MPX)1945を有するメモリ部1940とを備え、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)と比べた場合に特に異なる点は、不揮発性メモリ1941が発したクロック信号S1941cをMPX1945で選択してCPU131に供給することができるように構成している点である。
【0138】
なお、図27には、不揮発性メモリ内蔵マイコン1910を検査するための外部装置であるメモリテスター1900をも示している。このメモリテスター1900は、実施の形態1で示したメモリテスター100に、不揮発性メモリ1941へリセット信号を伝達するためのリセット信号発生器1907を付したものである。
また、図27では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0139】
図27中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
図28は、不揮発性メモリ1941の構成図であり、図29は、不揮発性メモリ1941内の発振回路(OSC)2008の構成図である。
図28に示すように、不揮発性メモリ1941は、概略的には一般的な不揮発性メモリと同様に、電源回路2001、ローデコーダ2002、不揮発性メモリセル2003、カラムデコーダ2004及びセンスアンプ2005を備える。ここで、電源回路2001は、概略的には一般的な不揮発性メモリ用の電源回路と同様にOSC2008、昇圧回路2009及び電圧調整回路2007を備える。
【0140】
ここでOSC2008の特徴部分は、図29に示すような論理回路構成であり、これによりOSC2008は、不揮発性メモリ1941の外部からのリセット信号がHighレベル(H)である限り、発振によりパルスを発生しクロック信号S1941cとして出力する機能を有する。このクロック信号S1941cは、水晶発振子120から供給されるクロック信号S120aより遅い周期の信号である。
【0141】
また、マルチプレクサ(MPX)1945は、SELP信号が1であれば不揮発性メモリ1941から発されるクロック信号S1941cを選択してCPU131に供給し、SELP信号が0であれば水晶発振子120から発されるクロック信号S120aを選択してCPU131に供給する機能を有する。
図30は、マイコン部1930の検査前に不揮発性メモリ1941に格納されるデータの構成例を示す図である。
【0142】
図30に示すように、不揮発性メモリ1941の内容は、各メモリアドレスにつき、クロック信号S1941cをMPX1945に選択させるか否かを指定するSELP信号の値を定義するための1ビットのSELP値と、他のビットで構成される検査用データとからなる。なお、検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
【0143】
図30の内容例では、CPU本体の検査は通常速度で行わせるためにSELPを0とし、また、D/Aの検査は、寄生容量等の影響によりアナログ電圧の出力、比較に時間を要するので、検査を低速で行わせて検査用データのステップ数を抑えるべくSELPを1とし、また、タイマの検査は通常速度で行わせるためにSELPを0としている。
なお、不揮発性メモリ1941にアドレス発生回路102からアドレス信号S102aが与えられると、そのアドレスにおけるSELP値は不揮発性メモリ1941からSELP信号として出力され、そのアドレスにおける検査用データのうち検査信号は検査信号S1941aとして出力され、そのアドレスにおける検査用データのうち期待値信号は期待値信号S1941bとして出力される。
【0144】
図31は、水晶発振子から出力されるクロック信号と、不揮発性メモリから出力されるクロック信号とを示した図である。
同図に示すように、不揮発性メモリから出力されるクロック信号は低速である。
以下、検査における不揮発性メモリ1941、MPX1945等の動作を説明する。
メモリテスター1900により、マイコン部1930の検査開始前に、図30に示すようなデータを不揮発性メモリ1941に書き込んでおき、検査開始時に、リセット信号発生器1907により信号S1907aをHighレベル(H)に設定し、アドレス発生回路102によりアドレス信号S102aを0000hに設定する。
【0145】
このとき、メモリアドレス「0000h」におけるSELP値「0」に基づき不揮発性メモリ1941から出力されるSELP信号を受け、MPX1945は、水晶発振子120より発されるクロック信号S120aを選択して、クロック信号S1945aとしてマイコン部1930に入力する。
これにより、水晶発振子120に基づく通常速度で、実施の形態1等で示したように検査が行われる。
【0146】
この後、アドレス発生回路102により逐次1増加したアドレスを発生することにより検査を続行し、その発生するアドレスがD/Aの検査用データが格納されているメモリアドレスに達した際に、SELP値「1」に基づき不揮発性メモリ1941からは1を示すSELP信号が送出される。これを受けて、MPX1945は、不揮発性メモリ1941内のOSC2008により発されるクロック信号S1941cつまり水晶発振子120によるクロック信号S120aよりクロック速度の低いクロック信号S1941cを選択して、クロック信号S1945aとしてマイコン部1930に入力する。
【0147】
これにより、低速で、D/A137についての検査が行われることになる。なお、アドレス発生回路102は、予め定められた検査スケジュールに基づいて、低速で検査を行わせるときには、その速度に合わせて、アドレス信号S102aの内容のインクリメントを行うように制御するものとする。
この後、アドレス発生回路102が発生するアドレスがタイマの検査用データが格納されているメモリアドレスに達した際に、SELP値「0」に基づき不揮発性メモリ1941からは0を示すSELP信号が送出される。これを受けて、MPX1945が、水晶発振子120から発されるクロック信号S120aを選択してクロック信号S1945aとしてマイコン部1930に入力する。これにより、通常速度でタイマ133が検査される。
<実施の形態13>
以下、本発明の実施の形態13に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図32及び図33を用いて説明する。
【0148】
図32は、本発明の実施の形態13に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
実施の形態13に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2910は、実施の形態12で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン1910を若干変形したものであり、同図に示すように、マイコン部1930と、不揮発性メモリ2941、入出力信号制御回路142、メモリI/F143、MPX1945及びフリップフロップ2944を有するメモリ部2940とを備える。なお、図32中の構成要素のうち実施の形態12(図27)で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0149】
フリップフロップ2944は、リセット信号発生器1907からの信号S1907aがHighレベルにされている間において、不揮発性メモリ2941から特定ビット桁の1ビットの信号が送出されそれが1を示すと、その1を保持してMPX1945に継続的に供給する。
図33は、実施の形態13において不揮発性メモリ2941に格納される検査用データの例を示す図である。
【0150】
アドレス「0000h」の内容の最下位ビットを1としており、マイコン部の検査開始時に、アドレス発生回路102から0000hを示すアドレス信号S102aが与えられると、この最下位ビットの1がフリップフロップ2944に伝えられ、リセット信号発生器1907からHighレベルの信号S1907aがフリップフロップ2944に供給され始める。これにより、マイコン部の検査終了時にリセット信号発生器1907からLowレベルの信号S1907aがフリップフロップ2944に供給されるまでの間、フリップフロップ2944は、1を示す信号をMPX1945に継続的に与えることになり、水晶発振子120に依らず、クロック信号S2441cに基づいてマイコン部1930のCPU131、A/D136及びタイマ133の検査を順に行うことができるようになる。
<実施の形態14>
以下、本発明の実施の形態14に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図34〜図37を用いて説明する。
【0151】
図34は、本発明の実施の形態14に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
実施の形態14に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン1710は、実施の形態12で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン1910を若干変形したものであり、同図に示すように、マイコン部1930と、不揮発性メモリ1741、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びMPX1945を有するメモリ部1740とを備える。この不揮発性メモリ内蔵マイコン1710の特徴は、不揮発性メモリ1741に格納したデータによって検査時にマイコン部1930に供給するクロック信号の周波数を4段階に変化させることができる点にある。なお、図34中の構成要素のうち実施の形態12(図27)で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0152】
図35は、不揮発性メモリ1741の構成図であり、図36は、不揮発性メモリ1741内の発振回路(OSC)2028の構成図である。
図35に示すように、不揮発性メモリ1741は、概略的には一般的な不揮発性メモリと同様に、電源回路2010、ローデコーダ2002、不揮発性メモリセル2003、カラムデコーダ2004及びセンスアンプ2005を備える。ここで、電源回路2010は、概略的には一般的な不揮発性メモリ用の電源回路と同様にOSC2028、昇圧回路2009及び電圧調整回路2007を備える。
【0153】
ここでOSC2028の特徴部分は、図36に示すような論理回路構成であり、これによりOSC2028は、不揮発性メモリ1741の外部からのリセット信号がHighレベル(H)である間において、不揮発性メモリセル2003内の各アドレスにおけるデータ中の2ビット目からの2ビットであるTR値を反映したTR信号に応じて、遅延量が異なるパルスを発生しクロック信号S1741cとして出力する機能を有する。
【0154】
TR信号の値が00bであれば、ゲート2041の出力がゲート2036により選択され、遅延素子2032によるゲート遅延量で定まる発振周期をもつパルスがクロック信号S1741cとなる。
TR信号の値が01bであれば、ゲート2042の出力がゲート2036により選択され、遅延素子2032、2033によるゲート遅延量で定まる発振周期をもつパルスがクロック信号S1741cとなる。
【0155】
TR信号の値が10bであれば、ゲート2043の出力がゲート2036により選択され、遅延素子2032〜2034によるゲート遅延量で定まる発振周期をもつパルスがクロック信号S1741cとなる。
また、TR信号の値が11bであれば、ゲート2042の出力がゲート2036により選択され、遅延素子2032〜2035によるゲート遅延量で定まる発振周期をもつパルスがクロック信号S1741cとなる。
【0156】
図37は、TR信号の値と、不揮発性メモリから出力されるクロック信号とを対応付けて示した図である。
同図に示すように、TR信号に応じて、最小周期のクロック信号、その2倍周期、4倍周期、8倍周期のクロック信号のうちいずれかが不揮発性メモリ1741からクロック信号S1741cとて出力される。
【0157】
図38は、マイコン部1930の検査前に不揮発性メモリ1741に格納されるデータの構成例を示す図である。
図38に示すように、不揮発性メモリ1741の内容は、各メモリアドレスにつき、クロック信号S1741cをMPX1945に選択させるか否かを指定するSELP信号の値を定義するための1ビットのSELP値と、TR信号の値を定義するための2ビットのTR値と、他のビットで構成される検査用データとからなる。なお、検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
【0158】
図38の内容例は、CPU本体の検査用データに対応させてTR値を11bとし、続いてCPU本体の検査用データに対応させてTR値を01bとし、続いてD/Aの検査用データに対応させてTR値を11bとし、続いてタイマの検査用データに対応させてTR値を01bとしている。
この内容例に示すデータが不揮発性メモリ1741に記憶されている状態において、マイコン部1930を検査するためにリセット信号発生器1907からHighレベルの信号S1907aを発生しアドレス発生回路102から0000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生すると、逐次不揮発性メモリ1741からSELP信号、TR信号、検査信号S1741a及び期待値信号S1741bが出力される。なお、検査信号、期待値信号は、1アドレスにおける検査用データ中の予め定められたビット数毎のデータをそれぞれ反映したものである。
【0159】
従って、1であるSELP値に基づき1を示すSELP信号がMPX1945に送出され、MPX1945はこれを受けて水晶発振子120からのクロック信号S120aではなく不揮発性メモリ1741からのクロック信号S1741cを選択してCPU131に供給することになる。
また、各メモリアドレスにおけるTR値を反映してTR信号がOSC2028に伝えられることになるため、まず、CPU本体の検査が低速で行われ、続いてCPU本体の検査がその2倍の高速で行われ、続いてD/Aの検査が低速で行われ、続いてタイマの検査が高速で行われることになる。
【0160】
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン1710によれば、マイコン部の各回路ブロックを様々なクロック速度において検査することが容易にできるようになる。
<実施の形態15>
以下、本発明の実施の形態15に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図39〜図42を用いて説明する。
【0161】
図39は、本発明の実施の形態15に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態15に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン1110は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136及びD/A137を有するマイコン部130と、不揮発性メモリ1141、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びプログラマブル遅延回路1144を有するメモリ部1140とを備え、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)と比べた場合に特に異なる点は、メモリI/F143が発した検査結果信号S143eをプログラマブル遅延回路1144で遅延させて得られた遅延検査結果信号S1144が、メモリテスター100における論理比較回路104に供給されるように構成されている点である。
【0162】
また、図39では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
図39中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0163】
図40は、プログラマブル遅延回路1144の構成図である。この構成により、プログラマブル遅延回路1144は、検査結果信号S143eに対して、不揮発性メモリ1141のセル内の各アドレスにおけるデータ中の先頭2ビットであるDL値を反映したDL信号に応じた異なる遅延を与えることにより、遅延検査結果信号S1144を生成する機能を有する。
【0164】
DL信号の値が00bであれば、ゲート1206の出力がゲート1205により選択され、遅延素子1201による遅延量が与えられた遅延検査結果信号S1144が生成される。
DL信号の値が01bであれば、ゲート1207の出力がゲート1205により選択され、遅延素子1201、1202による遅延量が与えられた遅延検査結果信号S1144が生成される。
【0165】
DL信号の値が10bであれば、ゲート1208の出力がゲート1205により選択され、遅延素子1201〜1203による遅延量が与えられた遅延検査結果信号S1144が生成される。
DL信号の値が11bであれば、ゲート1209の出力がゲート1205により選択され、遅延素子1201〜1204による遅延量が与えられた遅延検査結果信号S1144が生成される。
【0166】
図41は、マイコン部130の検査前に不揮発性メモリ1141に格納されるデータの構成例を示す図である。
図41に示すように、不揮発性メモリ1141のセルに格納される内容は、各メモリアドレスにつき、DL信号の値を定義するための2ビットのDL値と、他のビットで構成される検査用データとからなる。なお、検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
【0167】
図41の内容例は、CPU本体の検査用データに対応させてDL値を11bとし、続いてD/Aの検査用データに対応させてDL値を00bとしている。
この内容例に示すデータが不揮発性メモリ1141に記憶されている状態において、マイコン部130を検査するためにアドレス発生回路102から0000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生すると、逐次不揮発性メモリ1141からDL信号、検査信号S141a及び期待値信号S141bが出力される。なお、検査信号、期待値信号は、1アドレスにおける検査用データ中の予め定められたビット数毎のデータをそれぞれ反映したものである。
【0168】
従って、各メモリアドレスにおけるDL値を反映したDL信号がプログラマブル遅延回路1144に伝えられることになるため、まず、遅延素子1201による第1の遅延量が与えられた遅延検査結果信号S1144に基づいてCPU本体の検査が行われ、続いて遅延素子1201〜1204による第2の遅延量が与えられた遅延検査結果信号S1144に基づいてD/Aの検査が行われる。
【0169】
以下、上述のCPU本体及びD/Aの検査に関与する主な信号のタイミングについて説明する。
図42は、これらの信号の生起関係を示すタイミングチャートである。実施の形態1で示したタイミングチャート(図5参照)と比べた場合に特に異なる点は、期待値信号S141bが対応する検査信号S141aよりも1クロックサイクル遅延して出力される点、遅延検査結果信号S1144と期待値信号S143dとの比較に基づいて良否判定が行われる点にある。
【0170】
このような期待値信号S141bの遅延出力は、実施の形態1で述べたように、期待値信号と、当該期待値信号に対応する検査信号の次の検査信号とを組にした検査用データを用いることにより実現される。
以下に説明するように、遅延検査結果信号S1144のタイミングと、この遅延出力される期待値信号S143dのタイミングとが、完全に一致するよう制御される。
【0171】
同図中、A期間において、CPU本体は検査信号S142aに対して遅延時間taの後に検査結果信号S135aを返し、検査結果信号S143eとしてプログラマブル遅延回路1144へ到達する。プログラマブル遅延回路1144は、検査結果信号S143eに対し、A期間におけるDL値11を反映した遅延時間t11を与えることにより遅延検査結果信号S1144を生成する。当該遅延時間t11は、前記遅延時間taが検査規格に基づく所定の遅延時間である場合に、遅延検査結果信号S1144が期待値信号S143dに完全に同期するように与えられる。論理比較回路104は、遅延検査結果信号S1144と期待値信号S143dとをシステムクロックS131eの立下りエッジにおいて比較することにより、良品と判断する。
【0172】
また、B期間において、D/Aは検査信号S142aに対して遅延時間tbの後に検査結果信号S135aを返し、検査結果信号S143eとしてプログラマブル遅延回路1144へ到達する。プログラマブル遅延回路1144は検査結果信号S143eに対し、B期間におけるDL値00を反映した遅延時間t00を与えることにより遅延検査結果信号S1144を生成する。当該遅延時間t00は、前記遅延時間tbが検査規格に基づく所定の遅延時間である場合に、遅延検査結果信号S1144が期待値信号S143dに完全に同期するように与えられる。論理比較回路104は、検査結果信号S143eと遅延検査結果信号S1144とをシステムクロックS131eの立下りエッジにおいて比較することにより、良品と判断する。
【0173】
なお、システムクロックS131eの立下りエッジ以外のタイミングにおいて良否判定を行ってもよい。例えば、期待値信号S143dの切り替わりの直前又はその直後に良否判定を行うことも考えられる。
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン1110によれば、マイコン部の各回路ブロックから返される検査結果信号に、当該回路ブロックに応じた遅延を与えることにより得られる遅延検査結果信号を、1クロックサイクル遅延出力される期待値信号に完全に同期させることができるので、検査対象における1クロックサイクル未満のタイミングの微小なばらつきをも検出できるようになる。
<実施の形態16>
以下、本発明の実施の形態16に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図43〜図46を用いて説明する。
【0174】
図43は、本発明の実施の形態16に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態16に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2110は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136及びD/A137を有するマイコン部130と、不揮発性メモリ2141、入出力信号制御回路142、メモリI/F143及びプログラマブル遅延回路2144を有するメモリ部2140とを備え、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)と比べた場合に特に異なる点は、入出力信号制御回路142が発した検査信号S142aの一部をプログラマブル遅延回路2144で遅延させて得られた遅延検査信号S2144と、遅延を与えられなかった検査信号S142aとが、ポート135に供給されるように構成されている点である。
【0175】
また、図43では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
図43中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0176】
図44は、プログラマブル遅延回路2144の構成図である。この構成により、プログラマブル遅延回路2144は、検査信号S142aに対して、不揮発性メモリ1141のセル内の各アドレスにおけるデータ中の先頭2ビットであるDL値を反映したDL信号に応じた異なる遅延を与えることにより、遅延検査信号S2144を生成する機能を有する。
【0177】
プログラマブル遅延回路2144は、前述したプログラマブル遅延回路1144と略同等構成を有し、初段にあたる遅延素子が省かれている点においてのみ異なる。
図45は、マイコン部130の検査前に不揮発性メモリ2141に格納されるデータの構成例を示す図である。
図45に示すように、不揮発性メモリ2141のセルに格納される内容は、各メモリアドレスにつき、DL信号の値を定義するための2ビットのDL値と、他のビットで構成される検査用データとからなる。なお、検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
【0178】
図41の内容例は、シリアルの各検査用データに対応させてDL値を00b、01b、10b、及び11bとしている。
この内容例に示すデータが不揮発性メモリ2141に記憶されている状態において、マイコン部130を検査するためにアドレス発生回路102から0000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生すると、逐次不揮発性メモリ1141からDL信号、検査信号S141a及び期待値信号S141bが出力される。なお、検査信号、期待値信号は、1アドレスにおける検査用データ中の予め定められたビット数毎のデータをそれぞれ反映したものである。
【0179】
従って、各メモリアドレスにおけるDL値を反映したDL信号がプログラマブル遅延回路2144に伝えられることになるため、まず、ゲート2305のみによる第1の遅延量が与えられた遅延検査信号S2144に基づいてシリアルの検査が行われる。続いて、遅延素子2302による第2の遅延量、遅延素子2302及び2303による第3の遅延量、並びに遅延素子2302〜2304による第4の遅延量がそれぞれ与えられた遅延検査信号S2144に基づいて、シリアルの検査が順次行われる。
【0180】
以下、上述のシリアルの検査に関与する主な信号のタイミングについて説明する。
図46は、これらの信号の生起関係を示すタイミングチャートである。実施の形態1で示したタイミングチャート(図5参照)と比べた場合に特に異なる点は、遅延検査信号S2144に対して返された検査結果信号S135aに基づいて良否判定が行われる点にある。
【0181】
最初に、アドレス信号S102aの値0000hに対応する検査信号S142aは、プログラマブル遅延回路2144により、DL値00を反映した遅延時間t00を与えられ遅延検査信号S2144となる。この遅延検査信号S2144に対して検査結果信号S135aが返され、検査結果信号S143eとして論理比較回路104へ到達する。この検査結果信号S143eは良否判定タイミングであるシステムクロックS131eの立下りエッジに間に合うので、良品と判断される。
【0182】
次に、遅延時間t01を与えられた遅延検査信号S2144により良否判定が行われる。この場合の検査結果信号S143eは良否判定タイミングに間に合うので、良品と判断される。
続いて、遅延時間t10、t11を与えられた遅延検査信号S2144により順次良否判定が行われる。これらの場合の検査結果信号S143eは良否判定タイミングに間に合わないので、不良品と判断される。
【0183】
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン2110によれば、検査信号に対して異なる複数種類の遅延を与えることによってそれぞれ得られる遅延検査信号に基づいて、マイコン部の各回路ブロック良否判定できるので、検査信号(実使用における入力信号)に許容される遅延時間の上限を評価することが容易にできるようになる。
遅延のない本来の検査信号と、遅延検査信号とのタイミング差(即ち、プログラマブル遅延回路2144が与える遅延量)をスキューとも言う。例えば、シリアル134が通信用非同期処理をになう場合の評価に際して、DL値に応じて様々なスキューを与えた遅延検査信号を生成し、それを実使用における非同期入力信号として検査結果の良否判定を行うことにより、スキューの最大許容量を容易に識別することが可能となる。
<実施の形態17>
以下、本発明の実施の形態17に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図47〜図48を用いて説明する。
【0184】
図47は、本発明の実施の形態17に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態17に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2610は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136、D/A2637、及びスイッチ2638を有するマイコン部2630と、不揮発性メモリ141、入出力信号制御回路142、及びメモリI/F143を有するメモリ部140とを備え、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)と比べた場合に特に異なる点は、D/A2637の出力S2637、又は通常の電源の何れかがスイッチ2638を介してマイコン部2630の各回路ブロックへ動作電源S2638として供給されるように構成されている点である。
【0185】
ここで、D/A2637は2ビットのTR信号に応じて4通りの電圧を発生させ、スイッチ2638は1ビットのSELP信号に応じてD/A2637の出力S2637、又は通常の電源の何れかを前記各回路ブロックへ供給する。TR信号及びSELP信号は検査信号S142aの一部としてポート135へ到達し、それぞれD/A2637及びスイッチ2638へ供給されるものとする。
【0186】
また、図47では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
図47中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0187】
図48は、マイコン部2630の検査前に不揮発性メモリ141に格納されるデータの構成例を示す図である。
図48に示すように、不揮発性メモリ141の内容は、各メモリアドレスにつき、SELP信号の値を定義するための1ビットのSELP値と、TR信号の値を定義するための2ビットのTR値と、他のビットで構成される検査用データとからなる。なお、検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
【0188】
図48の内容例は、通常電源による検査用データ群に対応させてSELP値を1bとし、続いて第1電圧の電源による検査用データ群に対応させてSELP値を0b、TR値を01bとし、続いて第2電圧の電源による検査用データ群に対応させてSELP値を0b、TR値を10bとし、続いて電源電圧を変化させながら行う検査用データ群に対応させてSELP値を0b、TR値を順次00b〜11bとしている。
【0189】
この内容例に示すデータが不揮発性メモリ141に記憶されている状態において、マイコン部2630を検査するためにアドレス発生回路102から0000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生すると、逐次不揮発性メモリ141からSELP信号、TR信号を含む検査信号S1741a及び期待値信号S1741bが出力される。なお、検査信号、期待値信号は、1アドレスにおける検査用データ中の予め定められたビット数毎のデータをそれぞれ反映したものである。
【0190】
従って、1bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ2638に与えられ、スイッチ2638はこれを受けて通常の電源をマイコン部2630の各回路ブロックへ動作電源S2638として供給する。これにより、通常電源による検査が行われる。
続いて、01bであるTR値に基づくTR信号がD/A2637に与えられ、D/A2637はこれを受けて出力S2637に第1の電圧を発生させる。これと共に、0bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ2638に与えられ、スイッチ2638はこれを受けて当該出力S2637をマイコン部2630の各回路ブロックへ動作電源S2638として供給することになる。これにより、第1電圧の電源による検査が行われる。
【0191】
続いて、11bであるTR値、及び0bであるSELP値に基づいて、同様にして、第2電圧の電源による検査が行われる。
続いて、00b〜11bであるTR値に基づくTR信号がD/A2637に順次与えられ、D/A2637はこれを受けて出力S2637に4通りの電圧を順次発生させる。これと共に、0bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ2638に与えられ、スイッチ2638はこれを受けて当該出力S2637をマイコン部2630の各回路ブロックへ動作電源S2638として供給する。これにより、電源電圧を順次変化させながら検査が行われる。
【0192】
この構成によれば、一具体例として、次のような検査が実施可能となる。
第1電圧の電源による検査はウェハからチップを切り分ける前に実施され、この検査を実施する場合にはアドレス発生回路102から0800hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生させる。
また、第2電圧の電源による検査はパッケージング後に実施され、この検査を実施する場合にはアドレス発生回路102から1000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生させる。
【0193】
また、電源電圧を変化させながら行う検査は、マイコン部2630の電源電圧依存性を評価(いわゆるSIMOO測定)するために、電源電圧を例えば0.2V刻みに変化させながら実施され、この検査を実施する場合にはアドレス発生回路102から1800hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生させる。
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン2610によれば、マイコン部の各回路ブロックを様々な電源電圧により検査することが容易にできるようになる。
<実施の形態18>
以下、本発明の実施の形態18に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図49〜図50を用いて説明する。
【0194】
図49は、本発明の実施の形態18に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態18に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2810は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136、D/A137、及びスイッチ2838を有するマイコン部2830と、不揮発性メモリ2841、入出力信号制御回路142、及びメモリI/F143を有するメモリ部2840とを備え、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)と比べた場合に特に異なる点は、不揮発性メモリ2841らか供給される電源S2841、又は通常の電源の何れかがスイッチ2838を介してマイコン部2830の各回路ブロックへ動作電源S2838として供給されるように構成されている点である。
【0195】
スイッチ2838は不揮発性メモリ2841から供給される1ビットのSELP信号に応じて電源S2841、又は通常の電源の何れかを前記各回路ブロックへ供給する。
また、図49では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0196】
図49中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
図50は、不揮発性メモリ2841の構成図である。不揮発性メモリ2841は、実施の形態12で示した不揮発性メモリ1941(図28参照)において電源回路2001に若干の変更を加えて電源回路2801としたものである。特に異なる点は、電圧調節回路2807に設けられる参照電圧発生回路2808が不揮発性メモリセル2003内の各アドレスにおけるデータ中の2ビット目からの2ビットであるTR値を反映したTR信号に応じて4通りの参照電圧を発生し、これに応じて電圧調節回路2807が4通りに調節された電圧を発生させ、電源S2841として出力する点にある。
【0197】
なお、電源回路2801は昇圧回路2009を有しているので、電圧調節回路2807は、標準の電源電圧よりも高い電圧の電源S2841を出力することが可能である。
本実施の形態における不揮発性メモリ2841の内容は、前述の実施の形態17で示したもの(図48参照)と同じである。
この内容例に示すデータが不揮発性メモリ2841に記憶されている状態において、マイコン部2830を検査するためにアドレス発生回路102から0000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生すると、逐次不揮発性メモリ141からSELP信号、TR信号、検査信号S1741a及び期待値信号S1741bが出力される。なお、検査信号、期待値信号は、1アドレスにおける検査用データ中の予め定められたビット数毎のデータをそれぞれ反映したものである。
【0198】
従って、1bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ2838に与えられ、スイッチ2838はこれを受けて通常の電源をマイコン部2830の各回路ブロックへ動作電源S2838として供給する。これにより、通常電源による検査が行われる。
続いて、01bであるTR値に基づくTR信号が参照電圧発生回路2808に与えられ、参照電圧発生回路2808はこれを受けて第1の参照電圧を発生することにより、電圧調節回路2807は第1電圧の出力S2841を発生する。これと共に、0bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ2838に与えられ、スイッチ2838はこれを受けて当該出力S2841をマイコン部2630の各回路ブロックへ動作電源S2838として供給することになる。これにより、第1電圧の電源による検査が行われる。
【0199】
続いて、11bであるTR値、及び0bであるSELP値に基づいて、同様にして、第2電圧の電源による検査が行われる。
続いて、00b〜11bであるTR値に基づくTR信号が参照電圧発生回路2808に順次与えられ、参照電圧発生回路2808はこれを受けて4通りの参照電圧を順次発生させることにより、電圧調節回路2807は4通りの電圧の出力S2841を順次発生する。これと共に、0bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ2638に与えられ、スイッチ2638はこれを受けて当該出力S2637をマイコン部2630の各回路ブロックへ動作電源S2638として供給することになる。これにより、電源電圧を順次変化させながら検査が行われる。
【0200】
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン2810によれば、マイコン部の各回路ブロックを、不揮発性メモリ内蔵マイコンの外部から供給される電源の電圧よりも高い様々な電源電圧により検査することが容易にできるようになる。
<実施の形態19>
以下、本発明の実施の形態19に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図51〜図53を用いて説明する。
【0201】
図51は、本発明の実施の形態19に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態19に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン3110は、実施の形態18で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン2810(図49参照)を変更したものであり、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136、D/A137、及びスイッチ3138を有するマイコン部3130と、不揮発性メモリ3141、入出力信号制御回路142、及びメモリI/F3143を有するメモリ部3140とを備えている。
【0202】
不揮発性メモリ3141は、電源回路3147、レジスタ3148及びセンスアンプ3149を有している。
実施の形態18で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン2810と比べた場合に特に異なる点は、電源回路3147から供給される電源S3141の電流値がTR信号により示される上限値を超えているか否かがセンスアンプ3149により判断され、その判断結果を示す比較結果信号S3142がメモリI/F3143へ供給され、検査結果信号S143eの一部として論理比較回路104へ到達するように構成されている点である。
【0203】
良否判定回路105は、比較結果信号S3142が、電源S3141の電流値が前記上限値を超えていることを示す値であれば不良品、そうでなければ良品と判断する。
レジスタ3148はTR信号により示されるTR値を記憶する。本実施の形態において、TR値は電源電流の上限値を示すために用いられ、電源回路3147は固定された単一の電圧を発生するように構成される。
【0204】
図51中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
図52は、センスアンプ3149の構成図である。同図に示すように、センスアンプ3149は、参照電流発生回路3145、及び電流比較回路3146を備えている。参照電流発生回路3145は、レジスタ3148が例えば2ビットのTR値を記憶しているとして、その値に応じて4通りの電流値の参照電流を発生する定電流源である。電流比較回路3146は、電源回路3147から供給される電源S3141の電流値IDDが、参照電流発生回路3145により発生される電流値Irefに応じて設定される上限値を超えているか否かを示す比較結果信号S3142を出力する。
【0205】
一具体例として、01bであるTR値をレジスタ3148に記憶させた場合、前記上限値がマイコン部3130のSTOP電流規格にあたる6μAに設定され、11bであるTR値をレジスタ3148に記憶させた場合、前記上限値がマイコン部3130の動作電流規格にあたる100mAに設定されるものとする。
図53は、マイコン部3130の検査前に不揮発性メモリ3141に格納されるデータの構成例を示す図である。
【0206】
図53に示すように、不揮発性メモリ3141の内容は、各メモリアドレスにつき、SELP信号の値を定義するための1ビットのSELP値と、TR信号の値を定義するための2ビットのTR値と、他のビットで構成される検査用データとからなる。なお、検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
図53の内容例は、電流規格を考慮しない検査用データ群に対応させてSELP値を1bとし、続いてSTOP電流規格による検査用データ群に対応させてSELP値を0b、TR値を01bとし、続いて動作電流規格による検査用データ群に対応させてSELP値を0b、TR値を11bとしている。
【0207】
この内容例に示すデータが不揮発性メモリ3141に記憶されている状態において、マイコン部3130を検査するためにアドレス発生回路102から0000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102aを発生すると、逐次不揮発性メモリ3141からSELP信号、TR信号、検査信号S141a及び期待値信号S141bが出力される。なお、検査信号、期待値信号は、1アドレスにおける検査用データ中の予め定められたビット数毎のデータをそれぞれ反映したものである。
【0208】
従って、1bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ3138に与えられ、スイッチ3138はこれを受けて通常の電源をマイコン部3130の各回路ブロックへ動作電源S3138として供給する。通常の電源はセンスアンプ3149を経由しないので、その比較結果信号に基づく良否判定は行われない。これにより、電源規格を考慮しない検査が行われる。
【0209】
続いて、01bであるTR値に基づくTR信号がレジスタ3148に与えられ、レジスタ3148はこの値を記憶すると共に参照電流発生回路3145へ供給する。参照電流発生回路3145はこれを受けて第1の参照電流を発生する。これと共に、0bであるSELP値に基づくSELP信号がスイッチ3138に与えられ、スイッチ3138はこれを受けて当該出力S3141をマイコン部3130の各回路ブロックへ動作電源S3138として供給する。動作電源S3138の電流値は、電流比較回路1346において第1の参照電流に応じたSTOP電流規格における上限値と比較される。これにより、STOP電流規格に基づく検査が行われる。
【0210】
続いて、11bであるTR値、及び0bであるSELP値に基づいて、同様にして、動作電流規格に基づく検査が行われる。
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン3110によれば、様々な電流規格に基づいてマイコン部の消費電流を検査することが容易にできるようになる。
<実施の形態20>
以下、本発明の実施の形態20に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図54〜図56を用いて説明する。
【0211】
図54は、本発明の実施の形態20に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態20に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2410は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136、及びD/A137を有するマイコン部130と、不揮発性メモリ2441、入出力信号制御回路142、メモリI/F143、及び不良アドレス書込制御回路2444を有するメモリ部2440とを備えている。
【0212】
また、当該不揮発性メモリ内蔵マイコン2410を検査するための外部装置であるメモリテスター2400は、実施の形態1で示したメモリテスター100(図1参照)における論理比較回路104に変更を加えた論理比較回路2404を備えている。
実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)、及びメモリテスター100と比べた場合に特に異なる点は、論理比較回路2404が不一致を検出した場合に、起動信号S2404を不良アドレス書込制御回路2444へ供給するように構成されている点、及び起動信号S2404が供給された時点でのアドレスが、不良アドレス書込制御回路2444により不揮発性メモリ2441へ書込まれるように構成されている点である。
【0213】
また、図54では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
図54中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0214】
図55(A)は、マイコン部130の検査前に不揮発性メモリ2441に格納されるデータの内容例、図55(B)は当該検査後の内容例を示す図である。これらの検査用データの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。
図55(A)は、マイコン部130の4種類の回路ブロックをそれぞれ検査するための検査用データ群A〜Dが格納されている内容例を示している。
【0215】
図55(B)は、検査において検査結果信号と期待値信号との不一致が見出され、そのため不揮発性メモリ2441の先頭ブロックに格納されていたデータが消去され、不良アドレスが書き込まれた後の内容例を示している。
図56は、実施の形態20に係る検査の手順を示したフローチャートである。図55(A)に示すデータが不揮発性メモリ2441に記憶されている状態において、実施の形態1で示した手順に従って、検査用データ群A〜Dに基づいて各回路ブロックの検査が順次行われる(ステップS2401〜ステップS2404)。何れかの検査において、論理比較回路2404が検査結果信号143eと期待値信号S143dとの不一致を検出すると(ステップS2403:YES)、起動信号S2404を発することにより不良アドレス書込制御回路2444を起動する(ステップS2405)。
【0216】
起動された不良アドレス書込制御回路2444は、アドレス信号S102aにより示されるアドレスをラッチし(ステップS2406)、次に不揮発性メモリの先頭ブロックに記憶されているデータを消去し(ステップS2407)、次に前記ラッチされたアドレスを当該先頭ブロックに書込む(ステップS2408)。この結果、不揮発性メモリ2441の内容は、図55(B)に示したものとなる。
【0217】
このデータの消去及びアドレスの書込みは、不良アドレス書込制御回路2444が書込制御信号S2444を不揮発性メモリ2441へ供給することにより行われる。
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン2410によれば、不揮発性メモリに不良アドレスを書き込むことにより電源が一旦喪失しても回復後再びその不良アドレスを認識できるので、検査手順の自由度が高まり、もって不良解析作業の効率化が図られる。
<実施の形態21>
以下、本発明の実施の形態21に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図57〜図59を用いて説明する。
【0218】
図57は、本発明の実施の形態21に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態21に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン2610は、実施の形態20で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン2410(図54参照)を変更したものであり、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート2635、A/D136、及びD/A137を有するマイコン部2630と、不揮発性メモリ2641、入出力信号制御回路142、メモリI/F143、及び不良アドレス書込制御回路2644を有するメモリ部2640とを備えている。
【0219】
不揮発性メモリ内蔵マイコン2410と比べた場合に特に異なる点は、不揮発性メモリ2641がCPU131により実行可能な解析用プログラムを記憶している点、及び不良アドレス書込制御回路2644がポート2635を介してCPU131に当該解析用プログラムの実行開始を指示できるように構成されている点である。
また、図57では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0220】
図57中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
図58(A)は、マイコン部2630の検査前に不揮発性メモリ2641に格納されるデータの内容例、図55(B)は当該検査後の内容例を示す図である。検査用データ群A〜Cの意味については実施の形態1、4等で示したものと同じである。解析用プログラムは、CPU131実行可能な機械語命令列である。
【0221】
図58(A)の内容例は、マイコン部2630の3種類の回路ブロックをそれぞれ検査するための検査用データ群A〜C、及び解析用プログラムが格納されている状態を示している。
図58(B)の内容例は、検査において検査結果信号と期待値信号との不一致が見出され、そのため不揮発性メモリ2641の先頭ブロックに格納されていたデータが消去され、不良アドレスが書き込まれた後の状態を示している。
【0222】
図59は、実施の形態21に係る検査の手順を示したフローチャートである。図58(A)に示すデータが不揮発性メモリ2641に記憶されている状態において、実施の形態20で示したようにして、検査用データ群A〜Cに基づく各回路ブロックの検査(ステップS2411〜ステップS2414)、及び不良アドレスの書き込み(ステップS2415〜ステップS2418)が行われ、不揮発性メモリ2641の内容は図58(B)に示したものとなる。続いて、不良アドレス書込制御回路2614は、解析用プログラムの先頭アドレスを示すと共にCPU131のHALTを解除するための制御信号S2644bを、ポート2635を介してCPU131に供給し、CPU131はこれを受けて当該解析用プログラムの実行を開始する(ステップS2419)。
【0223】
当該解析用プログラムは、例えば不揮発性メモリに書き込まれた不良アドレスを参照して当該不良に関連する回路ブロックを識別し、当該識別された回路ブロックを重点的に動作させることにより不良状況を精密に解析する役割を担う。
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン2610によれば、不揮発性メモリに不良アドレスを書き込むことにより電源が一旦喪失しても回復後再びその不良アドレスを認識できるので、検査手順の自由度が高まり、もって不良解析作業の効率化が図られると同時に、解析用プログラムを実行することによって不良状況の精密な解析が可能となる。
<実施の形態22>
以下、本発明の実施の形態22に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査方法について、図60〜図62を用いて説明する。
【0224】
図60は、本発明の実施の形態22に係る検査方法を実施するための検査環境の構成図である。当該検査環境には、検査対象たる不揮発性メモリ内蔵マイコン110、当該マイコンを検査するためのメモリテスター100、及び不揮発性メモリ141にロードされるべきデータを格納している外部メモリ1121が含まれる。不揮発性メモリ内蔵マイコン110、及びメモリテスター100は、実施の形態1で示したもの同一である。
【0225】
図60中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
外部メモリ1121は、具体的にはハードディスク装置、メモリ装置等であり、不揮発性メモリ141の容量よりも多量の検査用データを格納していて、当該検査用データの一部を不揮発性メモリ141へ供給し記憶させるように構成されている。
【0226】
図61は、実施の形態22において外部メモリ1121に格納されているデータの内容例を示す図である。この例では、外部メモリ1121は、不揮発性メモリ141の2個分に相当する記憶領域を有していて、マイコン部130のCPU本体、A/D、タイマー等の各回路ブロックを検査するための検査用データ群を、厳格な検査規格A及び緩和された検査規格Bのそれぞれについて格納している。
【0227】
不揮発性メモリ141には、一度に、検査規格A及び検査規格Bの何れか一方についての検査用データ群がロード可能である。
図62は、実施の形態22に係る検査の手順を示したフローチャートである。
まず、検査規格Aについての検査用データ群を外部メモリ1121から不揮発性メモリ141へ次のようにしてロードする。アドレス発生回路102から00000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102cを発生して外部メモリ1121へ供給すると共に、その下位16ビットをアドレス信号S102aとして不揮発性メモリ141へ供給しつつ、テスト信号発生回路106から外部メモリ1121へ読出信号S106cを供給する。外部メモリ1121は、アドレス信号S102c及び読出信号S106cを受けてデータS1121へ検査規格Aの検査用データを逐次出力する。テスト信号発生回路106は不揮発性メモリ141に対し、書込コマンドを示す制御信号S106bをメモリI/F143を介して供給することにより、当該検査用データをロードさせる(ステップS1121)。
【0228】
次に、不揮発性メモリ141へロードされた検査規格Aの検査用データを用いて、実施の形態1で示した手順に従って、検査を実施する(ステップS1122)。論理比較回路104によって検査結果信号S143eと期待値信号S143dとの不一致が見出されなかった場合(ステップS1123:NO)、良否判定回路105は、不揮発性メモリ内蔵マイコン110を検査規格A及びBを共に満たす良品であると判定する。
【0229】
不一致が見出された場合(ステップS1123:YES)、検査規格Bについての検査用データ群を外部メモリ1121から不揮発性メモリ141へロードする(ステップS1125)。このための具体的な方法は検査規格Aについて述べたものと略同様であり、アドレス発生回路102が10000hを初期値として逐次1増分したアドレス信号S102cを発生する点においてのみ異なる。
【0230】
次に、不揮発性メモリ141へロードされた検査規格Bの検査用データを用いて検査を実施する(ステップS1126)。論理比較回路104によって検査結果信号S143eと期待値信号S143dとの不一致が見出されなかった場合(ステップS1127:NO)、良否判定回路105は、不揮発性メモリ内蔵マイコン110を検査規格Bのみを満たす良品であると判定する。
【0231】
不一致が見出された場合(ステップS1127:YES)、良否判定回路105は、不揮発性メモリ内蔵マイコン110を不良品であると判定する(ステップS1129)。
従って、この検査方法によれば、不揮発性メモリ141から検査用データを供給することによって、基本的にメモリテスターがあれば不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査が可能となるので、検査コストの低減に寄与する。さらに、不揮発性メモリ141が単一の検査規格についての検査用データに対応する記憶容量しか持たない場合であっても、複数の検査規格それぞれについての検査用データを、外部メモリから順次ロードして検査を実施するので、検査規格ごとのランク分けが可能となる。
<実施の形態23>
以下、本発明の実施の形態23に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査方法について、図63〜図66を用いて説明する。
【0232】
図63は、本発明の実施の形態23に係る検査方法を実施するための検査環境の構成図である。当該検査環境は、実施の形態22で示した検査環境(図60参照)におけるメモリテスターに、検査項目毎に良否判定結果を記録するためのレジスタ群107を追加して構成される。不揮発性メモリ内蔵マイコン110は、実施の形態1で示したもの同一である。
【0233】
図63中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
図64は、実施の形態23において外部メモリ1121に格納されているデータの内容例を示す図である。この例では、外部メモリ1121は、不揮発性メモリ141の3個分に相当する記憶領域を有していて、不揮発性メモリの検査用データ群、マイコン部130に関する検査項目A及びBの検査用データ群、及びマイコン部130に関する検査項目C及びDの検査用データ群を、それぞれ不揮発性メモリの1個分に相当する領域に格納している。
【0234】
図65及び図66は、実施の形態23に係る検査の手順の前半部及び後半部をそれぞれ示すフローチャートである。
前半部では、まず、レジスタ群107に含まれる全てのレジスタをリセットし(ステップS1131)、次に、所定数の検査サンプルの各々を対象として以下の処理を繰り返す(ステップS1132〜ステップS1142)。当該所定数は、例えば検査サンプル総数の10%とする。
【0235】
対象となる検査サンプルについて、DC検査(ステップS1133)、及び不揮発性メモリの検査を実施する(ステップS1134)。
続いて、マイコン部130に関する検査項目A及びBの検査用データ群を外部メモリ1121から不揮発性メモリ141へロードし(ステップS1135)、検査項目A及び検査項目Bの検査を実施し(ステップS1136)、ロードされている検査用データ群を消去する(ステップS1137)。データのロード、及び検査は、前述の実施の形態で示した手順に従って行えばよい。
【0236】
続いて、マイコン部130に関する検査項目C及びDの検査用データ群を外部メモリ1121から不揮発性メモリ141へロードし(ステップS1138)、検査項目C及び検査項目Dの検査を実施し(ステップS1139)、ロードされている検査用データ群を消去する(ステップS1140)。
そして、マイコン部130に関する各検査項目のうちFAILしたものについて、対応するレジスタをセットする(ステップS1141)。
【0237】
後半部では、まず、対応するレジスタがセットされている検査項目を選択し(ステップS1151)、次に、全検査サンプルの各々を対象として以下の処理を繰り返す(ステップS1152〜ステップS1160)。
対象となる検査サンプルについて、DC検査(ステップS1153)、及び不揮発性メモリの検査を実施する(ステップS1154)。
【0238】
続いて、ステップS1151において選択され、かつ未検査の検査項目がある間、以下の処理を繰り返す(ステップS1155〜ステップS1159)
未検査の検査項目に関する検査用データ群を、不揮発性メモリ141にロード可能な最大容量に達するまでロードし(ステップS1156)、ロードされた検査用データ群を用いて検査を実施し(ステップS1157)、ロードされている検査用データ群を消去する(ステップS1158)。
【0239】
従って、この検査方法によれば、前半部の抜き取り検査において不良発生率が低いと判断された検査項目について、後半部の全検査を省略するので、検査時間の短縮を図ることができる。例えば、このような検査をウェハから各検査サンプルを切り分ける前に実施し、パッケージング後に改めて全検査を行うように運用すれば、ウェハ段階での検査時間を短縮できると共に、製品品質も損なわれない。
<実施の形態24>
以下、本発明の実施の形態24に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査方法について、図67〜図69を用いて説明する。
【0240】
図67は、本発明の実施の形態23に係る検査方法を実施するための検査環境の構成図である。当該検査環境には、検査対象たる不揮発性メモリ内蔵マイコン4610及び4710、当該2個のマイコンを検査するためのメモリテスター4600、並びにインターフェース回路4650が含まれる。
不揮発性メモリ内蔵マイコン4610及び4710は、実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)を変更したものであり、特に、不揮発性メモリ内蔵マイコン110における検査信号S142aにそれぞれ相当する検査信号S4642a及び検査信号S4742aが、外部へ抽出可能、かつ外部から注入可能に構成されている点で異なる。
【0241】
また、メモリテスター4600は、実施の形態1で示したメモリテスター100を変更したものであり、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610からの検査結果信号と期待値信号との比較、及び不揮発性メモリ内蔵マイコン4710からの検査結果信号と期待値信号との比較が、それぞれ別個に行えるように構成されている点、データ及び制御信号が、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610及び不揮発性メモリ内蔵マイコン4710へ、それぞれ別個に供給できるように構成されている点、及び、インターフェース回路4650へ制御信号を供給できるように構成されている点で異なる。
【0242】
インターフェース回路4650は、テスト信号発生回路4606からの制御信号S106cに応じて、検査信号S4642aの伝送線路と検査信号S4742aの伝送線路とを、短絡するか、又は開放するように構成されている。
また、図67では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
【0243】
図67中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付すと共に詳細を省略して記載し、ここでは説明を省略する。
図68(A)及び(B)は、それぞれ不揮発性メモリ4641、及び不揮発性メモリ4741に格納されるデータの内容例を示す図である。
同図に示すように、不揮発性メモリ4641には検査用データ群Aが格納され、不揮発性メモリ4741には検査用データ群Bが格納されている。
【0244】
図69は、実施の形態24に係る検査の手順を示したフローチャートである。
テスト信号発生回路4606は、検査信号S4650及び検査信号S4750間を開放すべきことを示す制御信号S106cをインターフェース回路4650へ供給し、インターフェース回路4650はこれを受けて検査信号S4642a及びS4742a間を開放する(ステップS4601)。
【0245】
この状態で、メモリテスター4600は、制御信号S106b1を供給することにより、検査用データ群Aを用いて不揮発性メモリ内蔵マイコン4610の検査を行う。このとき、メモリテスター4600は、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610からの検査結果信号S4643e及び期待値信号S4643dを比較することにより良否判定を行い、不揮発性メモリ内蔵マイコン4710からの検査結果信号S4743e及び期待値信号S4743dについては関知しない(ステップS4602)。
【0246】
続いて、メモリテスター4600は、制御信号S106b2を供給することにより、検査用データ群Bを用いて不揮発性メモリ内蔵マイコン4710の検査を行う。このとき、メモリテスター4600は、不揮発性メモリ内蔵マイコン4710からの検査結果信号S4743e及び期待値信号S4743dを比較することにより良否判定を行い、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610からの検査結果信号S4643e及び期待値信号S4643dについては関知しない(ステップS4603)。
【0247】
次に、テスト信号発生回路4606は、検査信号S4650及び検査信号S4750間を短絡すべきことを示す制御信号S106cをインターフェース回路4650へ供給し、インターフェース回路4650はこれを受けて検査信号S4642a及びS4742a間を短絡する(ステップS4604)。
この状態で、メモリテスター4600は、制御信号S106b1を供給することにより、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610に対し、検査信号S4642aに検査用データ群Aを順次出力させると同時に、制御信号S106b2を供給することにより、不揮発性メモリ内蔵マイコン4710に対し、検査信号S4742aの出力を無効化(高インピーダンス状態に)させる。
【0248】
これにより検査用データAは、検査信号S4642aからインターフェース回路4650を介して不揮発性メモリ内蔵マイコン4710におけるマイコン部4730へ供給される。従って、メモリテスター4600は、検査結果信号S4743e及び期待値信号S4743dを比較することにより、検査用データ群Aを用いて不揮発性メモリ内蔵マイコン4710の検査を行う。このとき、メモリテスター4600は、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610からの検査結果信号S4643e及び期待値信号S4643dについては関知しない(ステップS4605)。
【0249】
続いて、不揮発性メモリ内蔵マイコン4610及び4620の役割を入れ替えて、検査用データ群Bを用いて不揮発性メモリ内蔵マイコン4610の検査を行う(ステップS4606)。
従って、この検査方法によれば、検査用データの規模が単一の不揮発性メモリの容量を越える場合に、複数の検査サンプルにおける不揮発性メモリに分割格納し、当該分割格納された検査用データを用いて当該複数の検査サンプルを検査するので、個々の不揮発性メモリにおいて検査用データの入れ替えが不要となり、検査時間の短縮を図ることができる。
<実施の形態25>
以下、本発明の実施の形態25に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンについて、図70及び図71を用いて説明する。
【0250】
図70は、本発明の実施の形態25に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
同図に示すように実施の形態21に係る不揮発性メモリ内蔵マイコン4210は、CPU131、RAM132、タイマ133、シリアル134、ポート135、A/D136、及びD/A137を有するマイコン部130と、不揮発性メモリ4241、入出力信号制御回路142、及びメモリI/F4243を有するメモリ部4240とを備えている。
【0251】
実施の形態1で示した不揮発性メモリ内蔵マイコン110(図1参照)と比べた場合に特に異なる点は、データ信号S143aの内容にかかわらずNOP命令を表すデータ信号S131cがCPU131へ供給され、これにより逐次1増分したプログラムカウンタ値がアドレス信号S131dとして発せられるように構成されている点、及びこのアドレス信号S131dがメモリI/F4243を介してアドレス信号S143bとして不揮発性メモリ4241へ供給され、これにより検査用データが逐次読み出されるよう構成されている点である。
【0252】
また、図70では各構成要素間を結ぶ実線矢印により検査時における信号の流れを示し、破線矢印により検査時以外の通常時における信号の流れを示している。この実線矢印及び破線矢印で示される信号は、1又は複数本の信号線を通じて伝達される。
図70中の構成要素のうち前述の実施の形態で示した構成要素と同一であるものには、同一の符号を付しており、ここでは説明を省略する。
【0253】
図71は、メモリI/F4243の特徴部分を示した構成図である。
同図に示すように、メモリI/F4243は、マルチプレクサ(MPX)4244を備え、選択信号S4210bに応じて、通常動作時には不揮発性メモリ141から与えられたデータ信号S143aをデータ信号S131cとして出力し、検査時にはNOP命令を表す信号S4210a(全ビットがLOWレベルの信号とする)をデータ信号S131cとして出力する。選択信号S4210bは、メモリテスター600から制御信号S106bに応じて供給される。
【0254】
不揮発性メモリ4241に格納されている検査用データの構造は、前述した実施の形態における検査用データと同一である。
不揮発性メモリ内蔵マイコン4210は次のようにして検査される。テスト信号発生回路106から発せられた制御信号S106bに応じてメモリI/F4243がNOP命令を表す信号をCPU131に供給する。これに応じてCPU131は逐次1増分するアドレス信号をメモリI/F4243を介して不揮発性メモリ4241へ供給し、不揮発性メモリ4241は格納している検査用データを逐次読み出して、検査信号S141a及び期待値信号S141bに出力する。以降、前述の実施の形態において示した手順と同様に、当該検査信号S141a及び期待値信号S141bに基づいて不揮発性メモリ内蔵マイコン4210の検査が行われる。
【0255】
従って、この不揮発性メモリ内蔵マイコン4210によれば、メモリテスターからのアドレス信号の供給が不要となりメモリテスターとの接続線数が削減されるので、同時に並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数を増やすことができ、もって総合的な検査時間の短縮を図ることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップは、マイクロコンピュータ部とメモリ部とを含む半導体チップである不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップであって、前記マイクロコンピュータ部は、CPUその他の回路ブロックを有し、前記メモリ部は、不揮発性メモリを含み、マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックを駆動して検査を行うための複数の検査データを不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得して不揮発性メモリに記録した後、各検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに逐次出力させるメモリ制御手段と、不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に基づく信号を、前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックを駆動するために当該回路ブロックに伝達する駆動手段と、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号を受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力する出力手段とを有する。
【0256】
これにより、従来ロジックテスターから、マイクロコンピュータ(マイコン)部内のCPU等の各回路ブロックに検査用データを与えて行っていた検査を、不揮発性メモリに検査用データ群を記録した後、不揮発性メモリに検査用データを逐次出力させて、マイコン部内の各回路ブロックに与えることにより実現することができ、このため、不揮発性メモリ内蔵マイコンの外部においては基本的にメモリテスターがあれば検査を実施できるようになる。従って、ロジックテスターを用いた検査の工程を省略できるため、検査コストの削減が図れ、また、多数の端子を有する検査装置によって、同時に並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数を増やすことができるため、総合的な検査時間の短縮が図れる。
【0257】
また、前記マイクロコンピュータ部は、前記回路ブロック以外に、当該マイクロコンピュータ部の外部とのデータの授受を行うインタフェースであるポートを有し、前記駆動手段は、不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に基づく信号を前記ポートを介して前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックに伝達し、前記出力手段は、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号を前記ポートを介して受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力してもよい。
【0258】
これにより、ポートを介して外部とのデータの授受を行うようなマイコン部に対して、ロジックテスターからポートを介して検査用データの入出力をして検査するのではなく、不揮発性メモリから出力される検査用データがポートを通じてマイコン部に入力され、マイコン部による動作結果のデータはポートを通じてメモリ部経由で外部に出力されるという形態で検査がなされるので、ロジックテスターが不要となり、従来必要であったロジックテスターとポートとを結ぶ多数の接続線が不要となり、例えば多数の端子を有する検査装置によって同時に並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数を増やすことができるようになるため総合的な検査時間の短縮が図れる。
【0259】
また、前記メモリ制御手段は、前記検査データに基づいてマイクロコンピュータ部内の回路ブロックの駆動が正常に行えた場合における駆動結果の期待値を示す期待値データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である期待値データに基づく期待値信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、前記出力手段は、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号に基づく信号と、前記不揮発性メモリから出力され当該駆動結果の期待値に相当する期待値信号とを共に不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力してもよい。
【0260】
これにより、マイコン部の各回路ブロックを駆動するための命令である検査データと、そのマイコン部が正常に動作する場合つまり良品である場合に、検査データによる駆動結果として各回路ブロックから返される値の期待値である期待値データとが対となって同期して不揮発性メモリから出力され、このことにより検査データに基づいて各回路ブロックから返される値と期待値データとが共に外部に出力されるので、メモリテスター等の外部装置においては、その各回路ブロックから返される値と期待値データとの比較により簡易に、マイコン部の各回路ブロックが正常に動作したか否かを判定することができるようになる。
【0261】
また、前記メモリ制御手段は、一定周期でアドレス信号を逐次出力するアドレス発生回路を有し、前記メモリ制御手段は、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を前記不揮発性メモリに出力させてもよい。 これにより、不揮発性メモリに検査データを格納した後に行われるマイコン部の各回路ブロックの検査については、不揮発性メモリ内蔵マイコン内部のアドレス発生回路からのアドレス信号が不揮発性メモリに逐次供給されることによりなされるため、外部から不揮発性メモリにアドレス信号を供給する必要がなくなる。従って、マイコン部の各回路ブロックの検査段階において、不揮発性メモリ内蔵マイコンに対して外部からアドレス信号を与えるための接続線は不要となり、このため、例えば多数の端子を有する検査装置によって同時に並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数を増やすことができるようになるため総合的な検査時間の短縮が図れる。
【0262】
また、前記メモリ制御手段は、前記アドレス発生回路を制御するための制御データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である制御データに基づく制御信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、前記アドレス発生回路は、カウンタと、一定周期で前記カウンタの内容値を1ずつ増加させつつ当該カウンタの内容値に応じたアドレス信号を逐次出力するカウント手段と、前記不揮発性メモリから出力される制御信号を取得し当該制御信号に基づいて、前記カウンタの内容値を保持し或いは当該保持した値を前記カウンタの内容値として設定するカウンタ制御手段とを有してもよい。
【0263】
これにより、不揮発性メモリに検査データとともに記録される制御データによって、不揮発性メモリに与えるアドレスを変化させることができ、不揮発性メモリから出力される検査データの順を変化させることができるため、特定の検査データを繰り返し出力させる等、制御データを用いることにより、少ない検査データで多くの検査を行うことができるようになる。なお、不揮発性メモリの容量は有限であり、不揮発性メモリへの検査データの記録には時間を要するので、不揮発性メモリへの検査データの記録回数を抑えて、少ない検査データでより多くの検査が行えることは、検査時間を短縮し得る等の効果に繋がる。
【0264】
また、前記メモリ制御手段は、一群の検査データの終端を示す終了データをも含む検査データ群を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに検査データを記録し、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに出力させ、前記アドレス発生回路は、カウンタと、一定周期で前記カウンタの内容値を1ずつ増加させつつ当該カウンタの内容値に応じたアドレス信号を逐次出力するカウント手段と、各検査データ群の不揮発性メモリ内における各先頭アドレスを、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から伝えられ保持する検査データ群アドレス記憶手段と、前記不揮発性メモリから出力される検査信号のうち終了データに基づくものである終了信号を得ると、検査データ群アドレス記憶手段により保持されている1つの先頭アドレスを前記カウンタの内容値として設定するカウンタ制御手段とを有してもよい。
【0265】
これにより、不揮発性メモリに、検査対象となる回路ブロック別等に区分した検査データ群を複数格納した後において、外部から検査データ群を選択するための各先頭アドレスを与えるだけで、特定の検査データ群を用いた検査を行うことができるようになる。
また、前記メモリ制御手段は、一群の検査データの終端を示す終了データをも含む検査データ群を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに検査データを記録し、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに出力させ、前記アドレス発生回路は、制御フラグ値とアドレス値との組をメモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から順次伝えられるとその順に各組を保持するアドレス記憶手段を有し、前記アドレス発生回路は、前記アドレス記憶手段により保持されている未着目のアドレス値のうち先頭のものに着目し、着目したアドレス値を示すアドレス信号を出力する手順を実行し、更に、着目したアドレス値と組をなす制御フラグ値が第1値である場合には、次に不揮発性メモリから終了データに基づくものである終了信号が出力されるまでの間、当該着目したアドレス値から一定周期毎に1ずつ増加したアドレス値を示すアドレス信号を出力し、着目したアドレス値と組をなす制御フラグ値が第2値である場合には、一定周期後に再度前記手順を実行し、着目したアドレス値と組をなす制御フラグ値が第3値である場合には、次にメモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から解除信号を受けるまでの間、既に出力したアドレス信号を継続して出力してもよい。
【0266】
これにより、検査データを読み出して出力させるために不揮発性メモリに与えるアドレス信号の発生を、外部から制御して、例えば特定アドレス信号を継続して発生させて、検査対象の回路に特定状態を保持させることができるようになる。
また、前記メモリ制御手段は、一定周期で逐次1ずつ増加して発生するアドレス信号を入力すると当該アドレス信号に所定の補正を施した結果としてのアドレス信号を逐次出力するアドレス補正回路を有し、前記メモリ制御手段は、前記アドレス補正回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を前記不揮発性メモリに出力させ、前記アドレス補正回路は、繰返開始アドレス値、繰返終了アドレス値及び繰返回数を保持し、入力されるアドレス信号が示すアドレス値が当該繰返開始アドレス値と一致した時から一定周期で当該繰返開始アドレス値から当該繰返終了アドレス値までを順次示すアドレス信号を当該繰返回数分だけ出力してもよい。
【0267】
これにより、特定の検査データを繰り返し不揮発性メモリに出力させることができ、同一検査データを省略することができるようになる。
また、前記メモリ制御手段は、前記検査データに基づいてマイクロコンピュータ部内の回路ブロックの駆動が正常に行えた場合における駆動結果の期待値を示す期待値データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である期待値データに基づく期待値信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、前記各組における検査データと期待値データとのビット数の配分は、検査データの内容に応じて異なり、前記駆動手段は、不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に加えて期待値信号の少なくとも一部を含む混合信号に基づく信号を前記ポートに伝え、前記ポートは、前記駆動手段により伝達される信号の内容に応じて、当該信号から検査信号に基づく部分を抽出して前記マイクロコンピュータ部内の該当回路ブロックに伝えてもよい。
【0268】
これにより、マイコン部内の回路ブロック毎に、必要な検査信号のデータ量が異なっている場合にも対応して検査を行うことができるようになる。
また、前記駆動手段は、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から印加される入力信号基準電圧に基づいて前記検査信号を整形して、整形結果の信号を、前記ポートを介して前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックに伝達し、前記出力手段は、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から印加される比較基準電圧に基づいて前記ポートを介して受け取った検査結果信号を整形して、整形結果の信号を、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力してもよい。
【0269】
これにより、マイコン部の各回路ブロックを駆動するために必要な電圧に合わせて検査信号を送って検査することが可能になり、また、マイコン部の各回路ブロックからの検査結果の各ビット値が1であるか0であるかを適切に切り分けることが可能になる。
また、前記駆動手段は、前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックそれぞれと独立した接続線で接続されており、該当の接続線を介して前記検査信号に基づく信号を1又は複数の前記回路ブロックに伝達し、前記出力手段は、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号を該当の接続線を介して受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力してもよい。
【0270】
これにより、マイコン部の各回路ブロックに個別直接的に検査用の信号を与えて検査を行うことができるため、ポートを通じての検査よりも多様な検査が可能になり得る。
また、前記メモリ制御手段は、前記検査データを、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得して前記不揮発性メモリの各アドレスに記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに出力させ、前記メモリ部は更に、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給される前記アドレス信号に基づき、マイクロコンピュータ部内の検査対象となる回路ブロックを特定する検査対象特定回路を有し、前記駆動手段は、前記検査信号に基づく信号を前記検査対象特定回路により特定された回路ブロックに該当の接続線を介して伝達し、前記出力手段は、前記検査対象特定回路により特定された回路ブロックからの検査結果信号を該当の接続線を介して受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力してもよい。
【0271】
これにより、検査データの検査対象となる各回路ブロックを任意に選択して、その回路ブロックに直接的に検査用の信号を与えて検査を行うことができるようになる。
また、前記メモリ制御手段は、マイクロコンピュータ部内の回路ブロックのうち前記検査データによる検査の対象となる回路ブロックを特定するための回路選択情報と前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である回路選択情報に基づくセレクト信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、前記駆動手段は、前記不揮発性メモリから出力された前記セレクト信号に基づき検査の対象となる回路ブロックを特定し、当該セレクト信号とともに前記不揮発性メモリから出力された前記検査信号に基づく信号を、当該特定された回路ブロックに該当の接続線を介して伝達してもよい。
【0272】
これにより、検査データと回路選択情報(セレクト信号)とを対応付けて不揮発性メモリに格納すれば、検査データの検査対象となる各回路ブロックをポートを介することなく直接的に検査することができるようになる。
また、前記メモリ制御手段は、複数の不揮発性メモリを含み、マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックを駆動して検査を行うための複数の検査データを不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得して各不揮発性メモリに記録した後、各検査データに基づく検査信号を各不揮発性メモリに逐次出力させ、前記メモリ制御手段は、前記検査信号を各不揮発性メモリに逐次出力させるに際して、各不揮発性メモリが、同一の回路ブロックについての検査を行うための検査データに基づく検査信号を同時に出力しないように各不揮発性メモリを制御し、前記駆動手段は、各不揮発性メモリから逐次出力される検査信号を取得し、各検査信号に基づく各信号を該当の各回路ブロックに伝達してもよい。
【0273】
これにより、複数の不揮発性メモリそれぞれに格納された検査データによって、並行的にマイコン部の各回路ブロックを検査することができるようになり、検査時間の短縮化が図れる。
また、前記マイクロコンピュータ部は、CPUを有し、前記不揮発性メモリは、発振回路を有し、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップは、前記発振回路の発振により生じるクロック信号と、当該不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から入力されるクロック信号とのいずれかを選択的に当該CPUに供給する選択回路を備えてもよい。
【0274】
これにより、不揮発性メモリ内の発振回路によるクロック信号と、外部の水晶発振回路によるクロック信号とを切り換えてCPUに供給して検査を行うことができるようになり、特定のクロック周期での検査が実現できるようになる。なお、この発振回路としては、一般に不揮発性メモリの電源供給のために用いられる発振回路が活用できる。
また、前記メモリ制御手段は、前記選択回路にいずれのクロック信号を選択させるかを指定する選択データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である選択データに基づく選択信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、前記選択回路は、前記不揮発性メモリから出力される選択信号に基づいてCPUに供給するクロック信号を選択してもよい。
【0275】
これにより、不揮発性メモリに記録する内容によって、クロック信号の選択を行うことができるようになり、例えば、ある回路ブロックの検査を不揮発性メモリ内の発振回路により低速のクロック信号を与えた状態で行うことを容易に指定できるようになる。
また、前記不揮発性メモリにおける前記発振回路は、入力される信号に応じて複数の予め定まっている発振周期のいずれかで発振してクロック信号を発生し、前記メモリ制御手段は、前記発振回路による発振周期を選択するための発振周期選択データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリセル内容の一部である検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに出力させるとともに、当該アドレスのメモリセル内容の一部である発振周期選択データを当該メモリセルから読み出して当該発振周期選択データに基づく信号を前記発振回路に入力するよう当該不揮発性メモリを制御してもよい。
【0276】
これにより、複数のクロック周期のいずれかを選択しての検査が行えるため、実行速度を切り換えて各回路ブロックの動作品質を検査すること等ができるようになる。
また、前記出力手段は、前記不揮発性メモリから出力される検査信号によって定められる時間、前記検査結果信号に基づく前記信号を遅延させる遅延部を有し、当該遅延部により遅延された後の信号を出力してもよい。
【0277】
これにより、検査結果信号に対して様々な遅延を与えることによって得られる遅延検査結果信号に基づいて各回路ブロックを良否判定できるので、微小なタイミングずれの検出に効果がある。さらに、タイミングずれを補償した検査信号が発せられるように、複数の検査対象チップのそれぞれについて、個別に遅延量を示す内容を不揮発性メモリに記録すれば、評価解析時における検査プログラムの調整が不要となり、評価冶具の簡素化が図られる。
【0278】
また、前記駆動手段は、前記不揮発性メモリから出力される検査信号によって定められる時間、前記回路ブロックに伝達されるべき信号を遅延させる遅延部を有し、当該遅延部により遅延された後の信号を前記回路ブロックに伝達してもよい。
これにより、検査信号に対して様々な遅延を与えることによって得られる遅延検査信号に基づいて各回路ブロックを良否判定できるので、検査信号(実使用における入力信号)に許容される遅延時間の上限を評価することが容易にできるようになる。
【0279】
また、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップは、さらに、前記不揮発性メモリに記録されている検査データにより指定される電圧の電源電力を、前記マイクロコンピュータ部へ供給する電源手段を有し、前記マイクロコンピュータ部は、当該電源電力により動作するように構成されてもよい。
これにより、マイクロコンピュータ部の各回路ブロックを様々な電源電圧により検査することが容易にできるようになる。
【0280】
また、前記マイクロコンピュータ部は、前記回路ブロックの1つにD/A部を有し、当該D/A部は、前記駆動手段から伝達される信号により指定される電圧信号を出力し、前記マイクロコンピュータ部へ電源として供給するように構成されてもよい。
これにより、D/A部を電源手段として機能させるので、マイクロコンピュータ部の各回路ブロックを様々な電源電圧により検査することが、追加回路を設けることなく容易にできるようになる。
【0281】
また、前記不揮発性メモリは、入力された電圧以上の電圧信号を出力可能な電源回路を有し、当該電源回路は、前記不揮発性メモリに記録されている検査データにより指定される電圧信号を出力し、前記マイクロコンピュータ部へ電源として供給するように構成されてもよい。
これにより、不揮発性メモリにおける電源回路を電源手段として機能させるので、マイクロコンピュータ部の各回路ブロックを様々な電源電圧により検査することが、追加回路を設けることなく容易にできるようになる。また、当該電源回路は昇圧回路を含んでいるので、外部から供給される電源電圧よりも高い電圧による検査が可能となる。
【0282】
また、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップは、さらに、前記マイクロコンピュータ部へ供給される電源の電流が、前記不揮発性メモリに記録されている検査データにより指定される量を超えているか否かを示す比較結果信号を出力する電流比較手段を有し、前記出力手段は、さらに、当該比較結果信号を受け取り当該比較結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力してもよい。
【0283】
これにより、様々な電流規格に基づいてマイクロコンピュータ部の消費電流を検査することが容易にできるようになる。
また、前記不揮発性メモリは、センスアンプと、レジスタとを含み、当該レジスタは、前記不揮発性メモリに記録されている検査データを複製保持し、当該センスアンプは、マイクロコンピュータ部へ供給される電源の電流が、当該レジスタに複製保持されている検査データにより指定される量を超えているか否かを示す比較結果信号を出力するように構成されてもよい。
【0284】
これにより、不揮発性メモリにおけるセンスアンプを電流比較手段として電流比較を行うので、様々な電流規格に基づいてマイクロコンピュータ部の消費電流を検査することが、追加回路を設けることなく容易にできるようになる。
また、前記メモリ制御手段は、さらに、検査において不良判定がなされたことを示す信号を取得し、当該信号が取得された時点の前記アドレス信号により示されるアドレスデータを、不良アドレスデータとして前記不揮発性メモリの所定のアドレスに記録してもよい。
【0285】
これにより、不揮発性メモリに不良アドレスを書き込むことにより電源が一旦喪失しても回復後再びその不良アドレスを認識できるので、検査手順の自由度が高まり、もって不良解析作業の効率化が図られる。
また、前記マイクロコンピュータ部は、CPUを有し、前記メモリ制御手段は、さらに、当該CPUによって実行可能な解析用プログラムを、検査に先立って、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得し、当該取得したプログラムを前記不揮発性メモリの所定の先頭アドレス以降に記録し、前記不良アドレスデータを記録した後、当該先頭アドレスからの実行開始を指示する制御信号を当該CPUに供給し、当該CPUは、当該制御信号を受けて、前記解析用プログラムを実行してもよい。
【0286】
これにより、不揮発性メモリに不良アドレスを書き込むことにより電源が一旦喪失しても回復後再びその不良アドレスを認識できるので、検査手順の自由度が高まり、もって不良解析作業の効率化が図られると同時に、解析用プログラムを実行することによって不良状況の精密な解析が可能となる。
また、前記マイクロコンピュータ部は、CPUを有し、前記メモリ制御手段は、当該CPUへ無動作命令(NOP命令)を表すデータ信号を供給し、当該CPUは、当該データ信号を受けて、前記メモリ制御手段へアドレス信号を逐次供給し、前記メモリ制御手段は、当該アドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を前記不揮発性メモリに出力させてもよい。
【0287】
これにより、外部からのアドレス信号の供給が不要となり外部のテスト装置との接続線数が削減されるので、同時に並行して検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンチップの数を増やすことができ、もって総合的な検査時間の短縮を図ることができる。
また、本発明に係る検査方法は、マイクロコンピュータ部と不揮発性メモリ部とを含んで構成される半導体チップを、当該不揮発性メモリ部に記録された検査データを用いて検査する検査方法であって、第1の検査データを当該不揮発性メモリ部に記録した後、当該第1の検査データを用いて当該マイクロコンピュータ部を検査する第1検査ステップと、当該検査において不良と判断された場合に、当該不揮発性メモリ部の内容を第2の検査データに書き換え、その後、当該第2の検査データを用いて当該マイクロコンピュータ部を検査する第2検査ステップとを含む。
【0288】
これにより、不揮発性メモリから検査用データを供給することによって、基本的にメモリテスターがあれば不揮発性メモリ内蔵マイコンの検査が可能となるので、検査コストの低減に寄与する。不揮発性メモリが、例えば単一の検査規格についての検査用データに対応する記憶容量しか持たない場合であっても、複数の検査規格それぞれについての検査用データを、外部から順次ロードして検査を実施するので、検査規格ごとのランク分けが可能となる。
【0289】
また、本発明の検査方法は、それぞれがマイクロコンピュータ部と不揮発性メモリ部とを含んで構成される複数の半導体チップを、自身の不揮発性メモリ部に記録された個々の検査項目に対応する検査データを用いて、複数の検査項目について検査する検査方法であって、各検査項目について、対応する検査用データを前記不揮発性メモリ部に記録した後、当該記録された検査データを用いて行うマイクロコンピュータ部の検査を、前記複数の半導体チップのうちの所定数について実施する第1検査ステップと、当該第1検査ステップにおける検査結果に応じて、各検査項目について全数検査を行うか否かを決定する決定ステップと、全数検査を行うと決定された検査項目についてのみ、対応する検査データを前記不揮発性メモリ部に記録した後、当該記録された検査データを用いて行うマイクロコンピュータ部の検査を、前記複数の半導体チップの全てについて実施する第2検査ステップとを含む。
【0290】
これにより、第1検査ステップにおける抜き取り検査の結果に応じて、不良発生率が低いと判断された検査項目について、第2検査ステップにおける全検査を省略するので、検査時間の短縮を図ることができる。このような検査をウェハから各検査サンプルを切り分ける前に実施し、パッケージング後に改めて全検査を行うように運用すれば、ウェハ段階での検査時間を短縮できると共に、製品品質も損なわれない。
【0291】
また、本発明の検査方法は、それぞれがマイクロコンピュータ部と不揮発性メモリ部とを含んで構成される第1及び第2の半導体チップを、それぞれの不揮発性メモリ部に記録されている検査データを用いて検査する検査方法であって、当該第1及び第2の半導体チップは、当該第1の半導体チップにおける不揮発性メモリ部に記録されている第1の検査データを、第2の半導体チップへ供給可能に接続されており、当該第1の検査データを第2の半導体チップへ供給する供給ステップと、供給された当該第1の検査データを用いて、当該第2の半導体チップにおけるマイクロコンピュータ部を検査する検査ステップと、当該第2の半導体チップにおける不揮発性メモリ部に記録されている第2の検査データを用いて、当該第2の半導体チップにおけるマイクロコンピュータ部を検査する検査ステップとを含む。
【0292】
これにより、検査用データの規模が単一の不揮発性メモリの容量を越える場合に、当該第1及び第2の半導体チップにおける不揮発性メモリに、それぞれ第1及び第2の検査データとして分割格納した後、当該第1及び第2の検査データを用いて当該第2の半導体チップを検査することができるので、不揮発性メモリにおいて検査用データを書き換えることなく大規模な検査が実施可能となり、もって検査時間の短縮を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0293】
本発明に係る不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップは、効率的に検査を行うためのマイクロコンピュータチップとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0294】
【図1】本発明の実施の形態1に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図2】不揮発性メモリ141の構成図である。
【図3】マイコン部の検査に際して不揮発性メモリセルに格納される検査用データを示した図である。
【図4】不揮発性メモリ内蔵マイコン110のマイコン部130の検査時に生じる主な信号の関係を示した図である。
【図5】マイコン部130の検査時における各信号のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図7】メモリテスターにより同時に検査できる不揮発性メモリ内蔵マイコンの数を対比した図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図9】実施の形態3におけるアドレス発生回路441の構成図である。
【図10】実施の形態3において不揮発性メモリ141に格納される検査用データ及び制御信号列を示した図である。
【図11】アドレス発生回路441において生じる主な信号の変化を示したタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施の形態4に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図13】実施の形態4におけるアドレス発生回路841の構成図である。
【図14】実施の形態4において不揮発性メモリセル141aに格納される検査用データの例を示す図である。
【図15】実施の形態5におけるアドレス発生回路144の構成図である。
【図16】本発明の実施の形態6に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図17】実施の形態6に係るアドレス補正回路1400の構成図である。
【図18】本発明の実施の形態7に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図19】マイコン部2230の検査前に不揮発性メモリ141の内部に格納されているべき検査用データの内容例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態8に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図21】A/D3536及びD/A3537の構成図である。
【図22】本発明の実施の形態9に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図23】A/D3636、D/A3637及びタイマ3633とセレクト回路3602との接続関係を示した図である。
【図24】本発明の実施の形態10に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図25】本発明の実施の形態11に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図26】各不揮発性メモリ内の検査用データに基づく検査対象の遷移とアドレス制御回路によるアドレスのカウントアップの停止及び再開との関係を時系列に示すタイミング図である。
【図27】本発明の実施の形態12に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図28】不揮発性メモリ1941の構成図である。
【図29】不揮発性メモリ1941内の発振回路(OSC)2008の構成図である。
【図30】マイコン部1930の検査前に不揮発性メモリ1941に格納されるデータの構成例を示す図である。
【図31】水晶発振子から出力されるクロック信号と、不揮発性メモリから出力されるクロック信号とを示した図である。
【図32】本発明の実施の形態13に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図33】実施の形態13において不揮発性メモリ2941に格納される検査用データの例を示す図である。
【図34】本発明の実施の形態14に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図35】不揮発性メモリ1741の構成図である。
【図36】不揮発性メモリ1741内の発振回路(OSC)2028の構成図である。
【図37】TR信号の値と、不揮発性メモリから出力されるクロック信号とを対応付けて示した図である。
【図38】マイコン部1930の検査前に不揮発性メモリ1741に格納されるデータの構成例を示す図である。
【図39】本発明の実施の形態15に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図40】プログラマブル遅延回路1144の構成図である。
【図41】実施の形態15において不揮発性メモリ1141に格納されるデータの例を示す図である。
【図42】実施の形態15における検査に関与する主な信号の生起関係を示したタイミングチャートである。
【図43】本発明の実施の形態16に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図44】プログラマブル遅延回路2144の構成図である。
【図45】実施の形態16において不揮発性メモリ2141に格納されるデータの例を示す図である。
【図46】実施の形態16における検査に関与する主な信号の生起関係を示したタイミングチャートである。
【図47】本発明の実施の形態17に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図48】実施の形態17において不揮発性メモリ141に格納されるデータの例を示す図である。
【図49】本発明の実施の形態18に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図50】不揮発性メモリ2841の構成図である。
【図51】本発明の実施の形態19に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図52】センスアンプ3149の構成図である。
【図53】実施の形態19において不揮発性メモリ3141に格納されるデータの例を示す図である。
【図54】本発明の実施の形態20に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図55】(A)マイコン部130の検査前に不揮発性メモリ2441に格納されるべき検査用データの例を示す図である。 (B)当該検査後の不揮発性メモリ2441の内容例を示す図である。
【図56】実施の形態20に係る検査の手順を示したフローチャートである。
【図57】本発明の実施の形態21に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図58】(A)マイコン部2630の検査前に不揮発性メモリ2641に格納されるべき検査用データの例を示す図である。 (B)当該検査後の不揮発性メモリ2641の内容例を示す図である。
【図59】実施の形態21に係る検査の手順を示したフローチャートである。
【図60】本発明の実施の形態22に係る検査方法を実施するための検査環境の構成図である。
【図61】実施の形態22において外部メモリ1121に格納されているデータの例を示す図である。
【図62】実施の形態22に係る検査の手順を示したフローチャートである。
【図63】本発明の実施の形態23に係る検査方法を実施するための検査環境の構成図である。
【図64】実施の形態23において外部メモリ1121に格納されているデータの内容例を示す図である。
【図65】実施の形態23に係る検査の手順の前半部を示すフローチャートである。
【図66】実施の形態23に係る検査の手順の後半部を示すフローチャートである。
【図67】本発明の実施の形態23に係る検査方法を実施するための検査環境の構成図である。
【図68】(A)不揮発性メモリ4641に格納されるデータの例を示す図である。(B)不揮発性メモリ4741に格納されるデータの例を示す図である。
【図69】実施の形態24に係る検査の手順を示したフローチャートである。
【図70】本発明の実施の形態25に係る不揮発性メモリ内蔵マイコンの構成図である。
【図71】メモリI/F4243の特徴部分を示した構成図である。
【図72】従来の不揮発メモリ内蔵マイコン、メモリテスター及びロジックテスターの概略構成図である。
【符号の説明】
【0295】
100 メモリテスター
101 入力信号基準電圧発生器
102 アドレス発生回路
103 比較基準電圧発生器
104 論理比較回路
105 良否判定回路
106 テスト信号発生回路
110 不揮発性メモリ内蔵マイコン
120 水晶発振子
130 マイコン部
131 CPU
132 RAM
133 タイマ
134 シリアル
135 ポート
136 A/D
137 D/A
140 メモリ部
141 不揮発性メモリ
141a 不揮発性メモリセル
141b センスアンプ回路
141c コントロール回路
142 入出力信号制御回路
143 メモリインタフェース(メモリI/F)
144 アドレス発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータ部とメモリ部とを含む半導体チップである不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップであって、
前記マイクロコンピュータ部は、CPUその他の回路ブロックを有し、
前記メモリ部は、
不揮発性メモリを含み、マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックを駆動して検査を行うための複数の検査データを不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得して不揮発性メモリに記録した後、各検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに逐次出力させるメモリ制御手段と、
不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に基づく信号を、前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックを駆動するために当該回路ブロックに伝達する駆動手段と、
前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号を受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力する出力手段とを有する
ことを特徴とする不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップにおいて、
前記マイクロコンピュータ部は、前記回路ブロック以外に、当該マイクロコンピュータ部の外部とのデータの授受を行うインタフェースであるポートを有し、
前記駆動手段は、不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に基づく信号を前記ポートを介して前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックに伝達し、
前記出力手段は、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号を前記ポートを介して受け取り当該検査結果信号に基づく信号を不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力する
ことを特徴とする不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項2】
前記メモリ制御手段は、前記検査データに基づいてマイクロコンピュータ部内の回路ブロックの駆動が正常に行えた場合における駆動結果の期待値を示す期待値データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である期待値データに基づく期待値信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、
前記出力手段は、前記マイクロコンピュータ部内の各回路ブロックの駆動結果としての検査結果信号に基づく信号と、前記不揮発性メモリから出力され当該駆動結果の期待値に相当する期待値信号とを共に不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項3】
前記メモリ制御手段は、一定周期でアドレス信号を逐次出力するアドレス発生回路を有し、
前記メモリ制御手段は、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を前記不揮発性メモリに出力させる
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項4】
前記メモリ制御手段は、前記アドレス発生回路を制御するための制御データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である制御データに基づく制御信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、
前記アドレス発生回路は、
カウンタと、
一定周期で前記カウンタの内容値を1ずつ増加させつつ当該カウンタの内容値に応じたアドレス信号を逐次出力するカウント手段と、
前記不揮発性メモリから出力される制御信号を取得し当該制御信号に基づいて、前記カウンタの内容値を保持し或いは当該保持した値を前記カウンタの内容値として設定するカウンタ制御手段とを有する
ことを特徴とする請求項3記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項5】
前記メモリ制御手段は、一群の検査データの終端を示す終了データをも含む検査データ群を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに検査データを記録し、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに出力させ、
前記アドレス発生回路は、
カウンタと、
一定周期で前記カウンタの内容値を1ずつ増加させつつ当該カウンタの内容値に応じたアドレス信号を逐次出力するカウント手段と、
各検査データ群の不揮発性メモリ内における各先頭アドレスを、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から伝えられ保持する検査データ群アドレス記憶手段と、
前記不揮発性メモリから出力される検査信号のうち終了データに基づくものである終了信号を得ると、検査データ群アドレス記憶手段により保持されている1つの先頭アドレスを前記カウンタの内容値として設定するカウンタ制御手段とを有する
ことを特徴とする請求項3記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項6】
前記メモリ制御手段は、一群の検査データの終端を示す終了データをも含む検査データ群を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに検査データを記録し、前記アドレス発生回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号を当該不揮発性メモリに出力させ、
前記アドレス発生回路は、制御フラグ値とアドレス値との組をメモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から順次伝えられるとその順に各組を保持するアドレス記憶手段を有し、
前記アドレス発生回路は、
前記アドレス記憶手段により保持されている未着目のアドレス値のうち先頭のものに着目し、着目したアドレス値を示すアドレス信号を出力する手順を実行し、更に、
着目したアドレス値と組をなす制御フラグ値が第1値である場合には、次に不揮発性メモリから終了データに基づくものである終了信号が出力されるまでの間、当該着目したアドレス値から一定周期毎に1ずつ増加したアドレス値を示すアドレス信号を出力し、
着目したアドレス値と組をなす制御フラグ値が第2値である場合には、一定周期後に再度前記手順を実行し、
着目したアドレス値と組をなす制御フラグ値が第3値である場合には、次にメモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から解除信号を受けるまでの間、既に出力したアドレス信号を継続して出力する
ことを特徴とする請求項3記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項7】
前記メモリ制御手段は、一定周期で逐次1ずつ増加して発生するアドレス信号を入力すると当該アドレス信号に所定の補正を施した結果としてのアドレス信号を逐次出力するアドレス補正回路を有し、
前記メモリ制御手段は、前記アドレス補正回路により出力されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を前記不揮発性メモリに出力させ、
前記アドレス補正回路は、繰返開始アドレス値、繰返終了アドレス値及び繰返回数を保持し、入力されるアドレス信号が示すアドレス値が当該繰返開始アドレス値と一致した時から一定周期で当該繰返開始アドレス値から当該繰返終了アドレス値までを順次示すアドレス信号を当該繰返回数分だけ出力する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項8】
前記メモリ制御手段は、前記検査データに基づいてマイクロコンピュータ部内の回路ブロックの駆動が正常に行えた場合における駆動結果の期待値を示す期待値データと前記検査データとの組を、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から複数取得し、前記不揮発性メモリの各アドレスに当該各組を記録し、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から逐次供給されるアドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容の一部である検査データに基づく検査信号と、当該アドレスのメモリ内容の一部である期待値データに基づく期待値信号とを当該不揮発性メモリに出力させ、
前記各組における検査データと期待値データとのビット数の配分は、検査データの内容に応じて異なり、
前記駆動手段は、不揮発性メモリから逐次出力される検査信号に加えて期待値信号の少なくとも一部を含む混合信号に基づく信号を前記ポートに伝え、
前記ポートは、前記駆動手段により伝達される信号の内容に応じて、当該信号から検査信号に基づく部分を抽出して前記マイクロコンピュータ部内の該当回路ブロックに伝える
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項9】
前記駆動手段は、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から印加される入力信号基準電圧に基づいて前記検査信号を整形して、整形結果の信号を、前記ポートを介して前記マイクロコンピュータ部内の回路ブロックに伝達し、
前記出力手段は、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から印加される比較基準電圧に基づいて前記ポートを介して受け取った検査結果信号を整形して、整形結果の信号を、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部に出力する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項10】
前記メモリ制御手段は、さらに、
検査において不良判定がなされたことを示す信号を取得し、当該信号が取得された時点の前記アドレス信号により示されるアドレスデータを、不良アドレスデータとして前記不揮発性メモリの所定のアドレスに記録する
ことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項11】
前記マイクロコンピュータ部は、CPUを有し、
前記メモリ制御手段は、さらに、
当該CPUによって実行可能な解析用プログラムを、検査に先立って、メモリ内蔵マイクロコンピュータチップの外部から取得し、当該取得したプログラムを前記不揮発性メモリの所定の先頭アドレス以降に記録し、
前記不良アドレスデータを記録した後、当該先頭アドレスからの実行開始を指示する制御信号を当該CPUに供給し、
当該CPUは、当該制御信号を受けて、前記解析用プログラムを実行する
ことを特徴とする請求項10に記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。
【請求項12】
前記マイクロコンピュータ部は、CPUを有し、
前記メモリ制御手段は、当該CPUへ無動作命令(NOP命令)を表すデータ信号を供給し、
当該CPUは、当該データ信号を受けて、前記メモリ制御手段へアドレス信号を逐次供給し、
前記メモリ制御手段は、当該アドレス信号に応じて、当該アドレス信号で示されるアドレスのメモリ内容である検査データに基づく検査信号を前記不揮発性メモリに出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【公開番号】特開2008−123534(P2008−123534A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304636(P2007−304636)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【分割の表示】特願2002−316747(P2002−316747)の分割
【原出願日】平成14年10月30日(2002.10.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】