不揮発性半導体記憶装置
【課題】NANDセル型EEPROMのデータ消去後に、ビット線コンタクト部とセルPウエルとの接合の順方向電流によるラッチアップを防止する。
【解決手段】NANDセル型EEPROMにおいて、浮遊ゲートおよび制御ゲートを有する不揮発性のメモリセルを少なくとも1つ含むメモリセルユニットと、メモリセルユニットが形成されるメモリセルウエルCPWELL、CNWELLと、メモリセルユニットの一端に接続された第1の信号線BLi と、メモリセルユニットの他端に接続された第2の信号線CELSRCと、メモリセルの記憶データを消去する際、メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、第1の信号線および第2の信号線をフローティング状態にして、メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御する制御回路を具備する。
【解決手段】NANDセル型EEPROMにおいて、浮遊ゲートおよび制御ゲートを有する不揮発性のメモリセルを少なくとも1つ含むメモリセルユニットと、メモリセルユニットが形成されるメモリセルウエルCPWELL、CNWELLと、メモリセルユニットの一端に接続された第1の信号線BLi と、メモリセルユニットの他端に接続された第2の信号線CELSRCと、メモリセルの記憶データを消去する際、メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、第1の信号線および第2の信号線をフローティング状態にして、メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御する制御回路を具備する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的書き換え可能な不揮発性半導体記憶装置(EEPROM)に係り、特にデータ消去制御回路に関するもので、例えばNANDセル型EEPROMに使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】EEPROMの1つとして実現されているNANDセル型EEPROMは、電荷蓄積層としての浮遊ゲートと制御ゲートが積層されたnチャネルFETMOS構造のメモリセルの複数個を、隣接するセル同士でソース、ドレインを共有する形で直列接続してNANDセルを構成し、これを1単位としてビット線に接続し、複数のNANDセルを全体として二次元の行列状に配列したメモリセルアレイを有する。
【0003】図7(a)、(b)は、それぞれ対応してメモリセルアレイにおける1つのNANDセル部分の平面図と等価回路図を示している。図8(a)、(b)は、それぞれ対応して図7(a)中のA−A’線、B−B’線に沿う断面図を示している。
【0004】図7(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、p型シリコン基板10上のセル形成用のN型ウエル(セルNウエル)10a内のセル形成用のP型ウエル(セルPウエル)11内に各メモリセルが形成されており、上記セルPウエル11内の素子分離酸化膜12で囲まれた領域にNANDセルが形成されている。
【0005】1つのNANDセルに着目すると、本例では、8個のメモリセルM1〜M8が直列接続されている。各メモリセルは、セル基板(セルPウエル11)上にゲート絶縁膜13を介して浮遊ゲート14i (i=1,2,…,8)が形成されており、浮遊ゲート14i 上に浮遊ゲート・制御ゲート間絶縁膜15を介して制御ゲート16i (i=1,2,…,8)が形成されており、セルPウエル11の表層部にソース、ドレインであるn+ 型拡散層19が形成されており、隣接するセル同士でソース、ドレインを共有している。
【0006】さらに、セルPウエル11内には、NANDセルのドレイン側、ソース側にそれぞれ対応して、メモリセルの浮遊ゲート、制御ゲートと同時に形成された第1の選択ゲート(149 、169 )および第2の選択ゲート(1410、1610)が設けられている。
【0007】なお、前記制御ゲート16i は、それぞれ行方向に連続的に配設された制御ゲート線(ワード線)CGi (i=1,2,…,8)の一部として形成されている。また、前記第1の選択ゲート(149 、169 )は、行方向に連続的に配設された第1の選択ゲート線SG1 の一部として形成されており、前記第2の選択ゲート(1410、1610)も、行方向に連続的に配設された第2の選択ゲート線SG2 の一部として形成されている。
【0008】そして、上記のように素子形成後の基板上はCVD酸化膜17により覆われ、この上にビット線18が配設されている。図9は、NANDセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイの等価回路を示している。
【0009】ソース線は例えば64本のビット線毎につき1箇所でコンタクトを介してAl、ポリシリコンなどの基準電位配線に接続されており、この基準電位配線は周辺回路(図示せず)に接続される。
【0010】メモリセルの制御ゲート線CGi および第1の選択ゲート線SG1 、第2の選択ゲート線SG2 は、前述したようにそれぞれ行方向に連続的に配設されている。ここで、通常、制御ゲート線CGi の1本に共通に接続されている同一行のメモリセルの集合を1ページと呼び、ドレイン側の選択ゲート(第1の選択ゲート)およびソース側の選択ゲート(第2の選択ゲート)の1組によって挟まれたページの集合を1NANDブロックまたは単に1ブロックと呼ぶ。
【0011】なお、上記1ページは、例えば256バイト分(256×8個)のメモリセルから構成され、1ページ分のメモリセルはほぼ同時に書込み(ページ書込み)が行われる。
【0012】つまり、EEPROMは、DRAMなどと比べて書込み/消去などの動作が遅いので、高速な書込み/読み出しを行うためにページ書込み方式やページ読み出し方式を採用することが多い。
【0013】ページ書込み方式は、同一行線に接続されている複数のメモリセルのそれぞれに同時に複数の列線から書込みデータを書込む(ページ単位で書込む)方式である。また、前記ページ読み出し方式は、同一行線に接続されている複数のメモリセルからそれぞれの記憶データを同時に複数の列線に読み出してセンス増幅する(ページ単位で読みだす)方式である。
【0014】また、前記1ブロックは、例えば2048バイト分(2048×8個)のメモリセルから構成され、1ブロック分のメモリセルはほぼ同時に消去(ブロック消去)される。
【0015】図10は、NAND型EEPROMのウエル構成の一例を示す断面図である。メモリセルは、P基板10上のセルNウエル10a内のセルPウエル11に形成されており、セルPウエル11とセルNウエル10aは同電位に設定される。電源電圧よりも高い電圧が印加される高電圧NチャネルトランジスタはP基板10上に形成され、低電圧NチャネルトランジスタはP基板10上のPウエル10bに形成され、低電圧PチャネルトランジスタはP基板10上のNウエル10cに形成される。
【0016】次に、NAND型EEPROMのデータ書込み動作、データ消去動作、データ読み出し動作の原理について簡単に説明する。
(1)データ書込み時には、ビット線にはデータに応じて0V(“1”書込み)または電源電圧Vcc(“0”書込み)を印加し、NANDセル一端側のビット線に接続されている第1の選択ゲートの選択ゲート線SG1 にはVcc、NANDセル他端側のソース線に接続されている第2の選択ゲートの選択ゲート線SG2には0Vを印加する。
【0017】この時、“1”書込みのセルは、対応する第1の選択ゲートがオンになり、これを介してビット線から0Vがチャネルに伝達される。これに対して、“0”書込みのセルは、対応する第1の選択ゲートがオフになり、“0”書込みのセルのチャネルはVcc−Vthsg(Vthsgは第1の選択ゲートの閾値電圧)になり、フローティング状態になる。あるいは、書込みを行うセルよりもビット線側のセルの閾値が正電圧Vthcellを持つ場合には、“0”書込みのセルのチャネルはVcc−Vthcellになる。
【0018】その後、選択されたメモリセル(選択セル)に対応する制御ゲート線CGi には昇圧された書込み電圧Vpp(=20V程度)を印加し、選択されなかった他のメモリセル(非選択セル)に対応する制御ゲート線CGi には中間電位Vpass(=10V程度)を印加する。
【0019】その結果、“1”書込みの選択セルは、チャネルの電位が0Vなので浮遊ゲート・基板(セルPウエル)間に高電圧がかかり、基板から浮遊ゲートに電子がトンネル注入されて閾値電圧が正方向に移動する。
【0020】これに対して、“0”書込みの選択セルは、チャネルがフローティングであるので、書込み電圧Vppが印加された制御ゲートとの間の容量結合でチャネルは中間電位になり、電子の注入が行われない。
【0021】なお、非選択セルは、対応する制御ゲートに中間電位Vpassが印加されているので、電子の注入は行われない。
(2)データ消去時には、ビット線、ソース線をフローティング状態にし、消去を行う選択ブロックの全ての制御ゲートを0Vとし、消去を行わない非選択ブロックの全ての制御ゲートはフローティング状態にし、セルPウエルおよびセルNウエルに昇圧された消去電圧Vppe (20V程度)を印加する。
【0022】この時、消去を行う選択ブロックのメモリセルは、セルウエル電圧Vppe と制御ゲート電圧(0V)とによって浮遊ゲートの電子がウエルに放出され、閾値電圧が負方向に移動することにより、ブロック単位でほぼ同時に消去される。
【0023】これに対して、消去を行わない非選択ブロックのメモリセルは、フローティング状態の制御ゲートがセルPウエルとの間の容量結合でVppe に昇圧され、制御ゲート、セルPウエルともに消去電圧Vppe であるので消去は行われない。
【0024】(3)データ読み出し時には、ビット線をプリチャージした後にフローティング状態にし、選択セルの制御ゲートを0V、それ以外の非選択セルの制御ゲート、第1、第2の選択ゲートを電源電圧Vcc(たとえば3V)、ソース線を0Vにして、選択セルで電流が流れるか否かを検出することにより行われる。
【0025】即ち、選択セルの記憶データが“1”(セルの閾値Vth>0)であれば、選択セルはオフになり、それに連なるビット線はプリチャージ電位を保つが、選択セルの記憶データが“0”(セルの閾値Vth<0)であれば、選択セルはオンし、それに連なるビット線はプリチャージ電位からΔVだけ下がる。
【0026】これらのビット線電位をセンスアンプで検出することによって、選択セルのデータが読み出される。ところで、従来のデータ消去方法では、消去電圧Vppe (20V程度)を印加する際に、前述したようにビット線、ソース線、消去を行わない非選択ブロックの制御ゲートをフローティング状態にしてから、セルPウエル11、セルNウエル10aに消去電圧を印加する。
【0027】その結果、ビット線、ソース線、非選択ブロックの制御ゲートはセルウエルを通じてVppe あるいはVppe から1V程度低い電圧に昇圧される。一方、データ消去後は、データ書込み後の書込みリセット、データ読み出し後の読み出しリセットと同様に消去リセットを行っている。
【0028】この消去リセットは、ビット線にセンスアンプを接続し、ソース線にソース線バイアス回路を接続し、セルウエルにセルウエルバイアス回路を接続することによって、ビット線、ソース線、セルウエルから同時に放電させる。つまり、センスアンプによりビット線を放電させ、ソース線バイアス回路によりソース線を放電させ、セルウエルバイアス回路によりセルウエルを放電させる。
【0029】この時、ビット線、ソース線、セルウエルはそれぞれ別々の回路で放電するので、ビット線、ソース線、セルウエルのそれぞれの放電時間が異なる。例えばビット線は2μsで放電するが、セルウエルは30μsで放電する。
【0030】この場合、ビット線の放電がセルウエルの放電よりも先に完了するので、ビット線がセルウエルよりも先に低電圧になり、図8(a)中に示すビット線コンタクト部のn+ 拡散領域19とセルPウエル11との接合からなるpnダイオードが順バイアスになり、このpnダイオードに順方向電流が流れ、結果として、ラッチアップが生じるという問題がある。
【0031】図11は、メモリセルの一部およびその制御ゲートに接続されているロウデコーダの一部を示す断面図である。ロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタは、P基板10上に形成されており、そのドレインノードNwl(n+ 拡散領域)はメモリセルの制御ゲート16に接続されている。
【0032】データ消去時には、選択セルに接続されているロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタは、ゲートGにVccが供給されており、ソースSは周辺回路で接地されており、オン状態になって選択セルの制御ゲート16に0Vを供給する。
【0033】データ消去後に消去リセットを行う際、前記したようにセルウエルバイアス回路によりセルウエルを放電させる時、消去電圧の放電を急速に行うと、選択セルの制御ゲート16もセルウエルとの容量結合により0Vから負方向に引かれる。その結果、前記ドレインノードNwlが負電圧になり、このドレインノードNwlとP基板10間のpnダイオードがオンし、このpnダイオードに順方向電流が流れ、結果として、ラッチアップが生じるという問題がある。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来のNANDセル型EEPROMは、データ消去後に消去リセットを行う際、ビット線の放電がセルウエルの放電よりも先に完了するので、ビット線コンタクト部のn+ 拡散領域とセルPウエルとの接合からなるpnダイオードに順方向電流が流れ、ラッチアップが生じるという問題があった。
【0035】また、データ消去後に消去リセットを行う際、消去電圧の放電を急速に行うと、ロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタのドレインノードが負電位になり、このノードとP基板間のpnダイオードに順方向電流が流れ、結果として、ラッチアップが生じるという問題があった。
【0036】本発明は上記の問題点を解決すべくなされたもので、データ消去後において、ビット線コンタクト部のn+ 拡散領域とセルPウエルとの接合からなるpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生、さらにはロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタのドレインノードとP基板間のpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生を防止し得る不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明の不揮発性半導体記憶装置は、不揮発性のメモリセルを少なくとも1つ含むメモリセルユニットと、前記メモリセルユニットが形成されるメモリセルウエルと、前記メモリセルユニットの一端に接続された第1の信号線と、前記メモリセルユニットの他端に接続された第2の信号線と、前記メモリセルの記憶データを消去する際、前記メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、前記第1の信号線および第2の信号線をフローティング状態にして前記メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御する消去制御手段とを具備することを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1乃至図6は、本発明の第1実施例に係るNANDセル型EEPROMの構成および動作波形の一例を示している。
【0039】図1は、第1実施例のNANDセル型EEPROMのブロック構成を示す。図1中、1はメモリセルアレイ、2はデータ書込み/読み出しを行うためのセンスアンプ兼データラッチ回路である。3はワード線選択を行うロウデコーダ、4はビット線選択を行うカラムデコーダ、5はアドレスバッファ、6はI/ Oセンスアンプ、7はデータ入出力バッファである。
【0040】8は基板電位制御回路、9aは消去電圧を発生してメモリセルアレイ1のメモリセルウエルに選択的に印加する消去用昇圧回路、9bは書込み電圧を発生してロウデコーダ3に供給する書込み用昇圧回路、9cは読み出し電圧を発生してロウデコーダ3に供給する読み出し用昇圧回路である。また、図1には示していないが、後述するようなセルソース線バイアス回路、セルウエルバイアス回路なども設けられている。
【0041】このNANDセル型EEPROMの構成は、図7乃至図11を参照して前述した従来例の構成と比べて、基本的には同様であり、NANDセルのセルトランジスタ数が8から16に変更されている点と、メモリセルの記憶データを消去する際、メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、ビット線およびセルソース線の電圧を放電させずにメモリセルウエルの電圧を放電させるように構成されている点が異なる。
【0042】上記ビット線、セルソース線および消去を行わない非選択ブロックの全ての制御ゲートの電圧を放電させない方法の一例として、ビット線、セルソース線、消去を行わない非選択ブロックの全ての制御ゲートをフローティング状態のままにして(従来のような消去リセットを行わないで)、セルウエルの消去電圧を放電させている。
【0043】次に、本例のNAND型EEPROMのデータ消去動作の概要を説明する。
(1)データ消去時には、前述した従来例のデータ消去時と同様に、ビット線、ソース線をフローティング状態にし、消去を行う選択ブロック(消去選択ブロック)の全ての制御ゲートを消去制御ゲート電圧(0V)に設定し、消去を行わない非選択ブロック(消去非選択ブロック)の全ての制御ゲートはフローティング状態にし、昇圧された消去電圧Vppe (20V程度)をセルPウエル11およびセルNウエル10aに印加する。
【0044】これにより、前記ビット線、ソース線および消去非選択ブロックの全ての制御ゲートは、Vppe あるいはVppe から1V程度低い電圧に昇圧される。この時、消去選択ブロックのメモリセルは、前記Vppe が印加されているセルウエルの電圧と前記0Vに設定されている制御ゲートの電圧とによって浮遊ゲートの電子がウエルに放出され、セル閾値電圧が負方向に移動することにより、消去選択ブロック単位でほぼ同時に消去される。
【0045】これに対して、消去非選択ブロックのメモリセルは、前記したようにセルPウエル11との間の容量結合によりVppe あるいはVppe から1〜2V程度低い電圧に昇圧されているフローティング状態の制御ゲートとセルPウエル11との間に所要の消去電圧が印加されないので消去は行われない。
【0046】(2)データ消去の終了後、ビット線、ソース線および消去非選択ブロックの制御ゲートをフローティング状態に制御したまま、前述したセルウエルバイアス回路のウエル放電回路をオン状態に制御してセルウエルから消去電圧Vppe を放電させる。
【0047】この場合、ビット線およびソース線はフローティング状態であるので、セルウエルよりも先に放電することはなく、セルウエルよりも低電位になることはないので、図8中のビット線コンタクト部(n+ 拡散領域)19とセルPウエル11との接合からなるpnダイオードがオンすることがなく、従来例で述べたようなラッチアップ(スナップバック)も生じない。
【0048】また、前記セルウエルバイアス回路のウエル放電回路を構成するトランジスタは、オン状態の時に飽和領域で動作するので、定電流が流れる。従って、前記データ消去後にセルウエルの消去電圧が急速に低下することはない。
【0049】その結果、図11を参照して前述したような消去選択ブロックの制御ゲート16がセルウエルとの容量結合により負電圧になることはなく、ロウデコーダ内のトランスファゲート用トランジスタのドレインノードNwlとP基板10との間のpnダイオードが導通することもなく、従来例で説明したようなラッチアップが生じることはない。
【0050】図2は、図1中のメモリセルアレイ1における所定数の複数のカラムのビット線BLi (例えば2本分のビット線BL0 、BL1 )に対応するセンスアンプ兼データラッチ回路周辺のコア回路の一例を示している。
【0051】図2において、MCi (i=0,1 )はメモリセルアレイ部のビット線BLi に接続されたNAND型メモリセル、CG1 〜CG16は上記NAND型メモリセルMCi のセルトランジスタの各制御ゲートに接続されている制御ゲート線(ワード線)、SG1CおよびSG2 は選択ゲート線、CELSRCはセルソース線である。
【0052】TNi0(i=0,1 )は前記ビット線BLi の一端側に挿入接続されているトランスファゲート用のトランジスタ、TNi1(i=0,1 )は前記ビット線BLi の他端側に挿入接続されているトランスファゲート用のトランジスタである。そして、前記ビット線BLi は、所定数の複数カラム毎に各一端側同士、各他端側同士が共通に接続されている。
【0053】上記トランスファゲート用のトランジスタTNi0、TNi1は、電源電位Vccよりも高い電圧を印加できる高電圧エンハンスメントNチャネル(HNE)型のトランジスタが用いられており、その閾値電圧は0.6V程度である。
【0054】なお、BLCRL は、前記共通に接続されたビット線BLi の各一端側に印加される制御信号であり、BLCU0 およびBLCU1 は、前記トランジスタTNi0の各ゲートに対応して供給される制御信号であり、BLTR0 およびBLTR1 は、前記トランジスタTNi1の各ゲートに対応して供給される制御信号である。
【0055】また、SAはビット線電位センスノードBNに接続されているセンスアンプ、IO、/IOは一対の入出力線、CS、/CSは前記センスアンプSAの一対の出力ノードと前記一対の入出力線IO、/IOとの間に接続され、カラム選択線CSLによりスイッチ制御される一対のカラム選択スイッチ用トランジスタである。
【0056】なお、BLPRE 、BLCD、BLCLAMP 、BLSEN0、BLSEN1、SAPRST、SAP は前記センスアンプSAに供給される制御信号あるいは制御電圧であり、Vccはメモリチップの内部電源電圧である。
【0057】前記センスアンプSAは、プリチャージ制御信号BLPRE に基づいてビット線電位センスノードBNを所定期間に充電するためのNチャネルトランジスタN2と、前記ビット線電位センスノードBNに読み出されたメモリセルデータをラッチするラッチ回路LTと、前記センスノードBNと前記ラッチ回路LTの第2の記憶ノードQとの間に挿入され、制御信号BLCDによりゲート駆動されるトランスファーゲート用のNMOSトランジスタN4と、前記ラッチ回路LTの第1の記憶ノード/Qと接地ノードとの間に接続され、ゲートに所定期間印加される第1のデータラッチ制御信号BLSEN0によりオン状態に制御されるラッチ回路強制反転制御用のNMOSトランジスタN5と、前記ラッチ回路LTの第1の記憶ノード/Qと接地ノードとの間で前記NMOSトランジスタN5に直列に接続され、ゲートが前記センスノードBNに接続されたセンス用のNMOSトランジスタN7と、前記ラッチ回路LTの第2の記憶ノードQと接地ノードとの間で前記NMOSトランジスタN7に直列に接続され、ゲートに所定期間印加される第2のデータラッチ制御信号(逆読み出しラッチ制御信号)BLSEN1によりオン状態に制御される逆読み出しラッチ制御用のNMOSトランジスタN6と、前記ビット線電位センスコードBNと前記センス用のNMOSトランジスタN7のゲートとの間に接続され、ゲートに制御電圧BLCLAMP が与えられるビット線電位クランプ用のNチャネルトランジスタN1と、前記ラッチ回路LTの第1の記憶ノード/Qを制御信号SAPRSTに基づいて所定期間にリセットするNチャネルトランジスタN3と、前記センス用のNMOSトランジスタN7のゲートと接地ノードとの間に接続されたキャパシタC1とを具備する。
【0058】前記ラッチ回路LTは、2個のCMOSインバータ回路の互いの入力ノードと出力ノードが交差接続された(逆並列接続された)フリップフロップ回路と、このフリップフロップ回路の電源ノード側に直列に挿入され、センスアンプ駆動制御信号SAP により活性化制御されるセンスアンプイネーブル制御用の2個のPMOSトランジスタからなる。
【0059】この場合、一方のCMOSインバータ回路の入力ノード(第1の記憶ノード/Q)と他方のCMOSインバータ回路の入力ノード(第2の記憶ノードQ)は、前記一対のカラム選択スイッチ用トランジスタ/CS、CSを介して一対の入出力線/IO、IOに接続されている。
【0060】ここで、図1のEEPROMの読み出し動作時、消去動作時、書込み動作時における図2の回路の動作について説明しておく。EEPROMの通常の読み出し時には、まず、センスノードBNを電源電位Vccにプリチャージし、特定の制御ゲート線CGi (i=1,2,…16)を選択し、この特定の制御ゲート線CGi に接続されている複数のセルトランジスタの各データに応じて決まる各ビット線BLi の電位を前記センスアンプSAによりセンス増幅する。
【0061】このセンスアンプSAにおいては、まず、トランジスタN3とN4を所定期間オンさせてラッチ回路LTをリセットし、ノードQを“L”、ノード/Qを“H”にする。続いて、トランジスタN2でセンスノードBNを充電後、ビット線はフローティングになり、次いでセルトランジスタの閾値状態によって生じるセル電流Icellでビット線を放電させ、メモリセルのデータに応じて所定時間後にトランジスタN7をオン/オフさせる。
【0062】この場合、NANDセルから“0”データがセンスノードBNに読み出された時には、セル電流が流れるのでビット線電位が低下し、トランジスタN7はオフであり、ノード/Qはラッチ回路LTのリセット状態の“H”のままとなる。
【0063】逆に、NANDセルから“1”データがセンスノードBNに読み出された時には、セル電流は流れないのでビット線電位は“H”に保たれ、トランジスタN7がオンになり、ラッチ回路LTの記憶データが強制反転され、ノード/Qは“L”、ノードQを“H”になる。選択されたカラムに対応するラッチ回路LTのノードQのデータは入出力線IO、/IOに読み出される。
【0064】EEPROMの消去時には、センスアンプは消去ベリファイ読み出し動作に使用される。この時、センスアンプは前記通常の読み出し時と同じ順序で動作し、セルトランジスタが消去されていれば(“0”データの場合)、ノード/Qは“H”、ノードQは“L”となる。逆に、セルトランジスタが消去できていなければ(“1”データの場合)、ノード/Qは“L”、ノードQは“H”となる。このデータをもとに、同時に動作している全てのセンスアンプSAのノードQが1つでも“H”となると消去不完全であるので、再度消去に入るための信号を出し再度消去する。
【0065】EEPROMの書込み時には、書込み/非書込みのデータを入力することにより、選択されたカラムに対応するラッチ回路LTのノードQに一対の入出力線/IO、IOから一対のカラム選択スイッチ用トランジスタ/CS、CSを介してデータが入力される。
【0066】もし、“1”データ入力であればノードQには“L”、“0”データ入力であればノードQには“H”が入る。トランジスタN4がオン状態に制御されると、上記ノードQのデータが上記トランジスタN4を通じてセンスノードBNに転送される。書込み時には選択NANDセル内のチャネルは中間電位にブートされているので、ビット線BLに“L”データが転送された場合には書き込まれるが、“H”データが転送された場合には書込みがされない。
【0067】なお、EEPROMは、高速動作および高信頼性を得るために、書込み後のセルトランジスタの閾値分布を狭く制御する必要があり、書込みを行う度に書き込まれた内容を読み出し(書込みベリファイ読み出し)、書き込むべき内容と比較し、書き込まれた内容が不十分であればさらに書込みを続け、書き込まれた内容が書き込むべき内容と一致したことを確認すれば書込みを終了する。
【0068】このような書込みベリファイ読み出しに際して、ラッチ回路LTのリセット動作を行なわず、書込みデータをセンスアンプSAに残したまま読み出しを行なう。この読み出し動作は、リセット動作がないこと以外は前記通常の読み出し時の動作と同じである。
【0069】従って、書き込まないセルおよび書き込まれたセルに対応するラッチ回路LTのノードQは“H”になり、書込みが完了していないセルに対応するラッチ回路LTのノードQは“L”となる。そこで、ノードQのデータをそのまま用いて再度書込み動作を行なうことにより、書込み未完了のセルのみを書き込むことができる。
【0070】また、通常の読み出し時には選択ワード線に0Vを印加するのに対して、書込みベリファイ読み出し時には、選択ワード線にベリファイ電圧Vref(>0V) を印加する。このため、0VからVref の間の閾値となるセルトランジスタをさらに再書込みし、書込み閾値分布の最小値がベリファイ電圧Vref 以上となるまで書き込むことにより、読み出し電圧に対する書込みのばらつきのマージンをとっている。
【0071】図3は、図1中のロウデコーダ3およびメモリセルアレイの一部を示している。図3において、NBLK1はNANDブロック1のNANDセル群、BRD1はNANDブロック1のNANDセル群を選択制御するための第1のブロックロウデコーダ、CG1 〜CG16はブロック1のNANDセル群の各行の制御ゲート線(ワード線)、SG1はブロック1のNANDセル群のビット線側の選択ゲートのゲート線、SG2はブロック1のNANDセル群のソース線側の選択ゲートのゲート線である。
【0072】HN1 〜HN16はそれぞれ前記制御ゲート線CG1 〜CG16に接続されたトランスファゲートであり、CGN1 〜CGN16はそれぞれ上記トランスファゲートHN1 〜HN16を介して前記制御ゲート線CG1 〜CG16を選択駆動するための駆動信号である。
【0073】HN0 は前記ビット線側の選択ゲートのゲート線SG1に接続されたトランスファゲートであり、SGDは上記トランスファゲートHN0 を介して前記ゲート線SG1を選択駆動するための駆動信号である。
【0074】HN17は前記ソース線側の選択ゲートのゲート線SG2に接続されたトランスファゲートであり、SGSは上記トランスファゲートHN17を介して前記ゲート線SG2を選択駆動するための駆動信号である。
【0075】上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、各ゲートに対応して前記第1のブロックロウデコーダBRD1の出力信号(ブロック1駆動信号BLKDRV1 )が印加される。上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、HNE型のトランジスタが用いられており、その閾値電圧が0.6V程度であるので、そのゲートに0Vが印加される場合にはオフになる。
【0076】一方、NBLK2はNANDブロック2のNANDセル群、BRD2はNANDブロック2のNANDセル群を選択制御するための第2のブロックロウデコーダ、SG1はブロック2のNANDセル群のビット線側の選択ゲートのゲート線、SG3はブロック2のNANDセル群のソース線側の選択ゲートのゲート線である。
【0077】HN1 〜HN16はそれぞれブロック2のNANDセル群の各行の制御ゲート線に接続されたトランスファゲートであり、CGN1 〜CGN16はそれぞれ上記トランスファゲートHN1 〜HN16を介して前記制御ゲート線を選択駆動するための駆動信号である。
【0078】HN0 は前記ビット線側の選択ゲートのゲート線SG1に接続されたトランスファゲートであり、SGDは上記トランスファゲートHN0 を介して前記ゲート線SG1を選択駆動するための駆動信号である。
【0079】HN17は前記ソース線側の選択ゲートのゲート線SG3に接続されたトランスファゲートであり、SGSは上記トランスファゲートHN17を介して前記ゲート線SG3を選択駆動するための駆動信号である。
【0080】上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、各ゲートに対応して前記第2のブロックロウデコーダBRD2の出力信号(ブロック2駆動信号BLKDRV2 )が印加される。上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、HNE型のトランジスタが用いられており、その閾値電圧が0.6V程度であるので、そのゲートに0Vが印加される場合にはオフになる。
【0081】前記第1のブロックロウデコーダBRD1は、ブロックアドレス信号をデコードしてブロック選択信号RDECI1(選択時にVcc、非選択時にVss)を出力するブロックアドレス選択回路311と、上記ブロック選択信号RDECI1とロウデコード信号OSCRD との論理積をとるナンド回路312と、このナンド回路312の出力に応じて前記ブロック1駆動信号BLKDRV1 を出力するブロック駆動回路313とを有する。
【0082】上記と同様に、前記第2のブロックロウデコーダBRD2は、ブロックアドレス信号をデコードしてブロック2選択信号RDECI2(選択時にVcc、非選択時にVss)を出力するブロックアドレス選択回路321と、上記ブロック2選択信号RDECI2とロウデコード信号OSCRD との論理積をとるナンド回路322と、このナンド回路322の出力に応じて前記ブロック2駆動信号BLKDRV2 を出力するブロック駆動回路323とを有する。
【0083】前記各ブロックロウデコーダBRD1およびBRD2において、ブロック駆動回路313、323は、インバータ回路IV、HNE型のトランジスタHN、閾値電圧が0V程度の高電圧イントリンシックNチャネル(HNI)型のトランジスタHNI、閾値電圧が−1V程度の高電圧デプレションNチャネル(HND)型のトランジスタHND、HND型トランジスタのドレイン・ソース同士を短絡接続したMOSキャパシタからなる。
【0084】前記トランジスタHNDは、その閾値電圧が−1V程度であるので、そのゲート、ドレインをVccにすると、ソースにVccを転送でき、また、そのゲートを0Vにすると、ソース・ドレインの電圧がVccの条件でオフする。
【0085】また、図3において、NANDブロック1のビット線側選択ゲートのゲート線SG1とNANDブロック2のビット線側選択ゲートのゲート線SG1とは相互に接続されており、このゲート線相互接続ノードとSGDSノードとの間にはHNE型の2個のトランジスタHNが接続されており、この2個のトランジスタHNの各ゲートに対応して前記ブロック1選択信号RDECI1およびブロック2選択信号RDECI2が印加される。
【0086】また、前記NANDブロック1のソース線側選択ゲートのゲート線SG2とSGDSノードとの間にはHNE型のトランジスタHNが接続されており、そのゲートに前記ブロック1選択信号RDECI1が印加される。
【0087】さらに、前記NANDブロック2のソース線側選択ゲートのゲート線SG3とSGDSノードとの間にはHNE型のトランジスタHNが接続されており、そのゲートに前記ブロック2選択信号RDECI2が印加される。
【0088】図4は、セルウエル(セルPウエル、セルNウエル)に選択的にバイアスを印加するためのセルウエルバイアス回路の一例を示しており、その出力ノードはセルPウエル(CPWELL)とセルNウエル(CNWELL)を同電位にバイアスするように、これらのウエルに共通に接続されている。
【0089】図4において、CWB1は読み出し/書込み時にセルウエルを接地するためのウエル接地回路である。このウエル接地回路CWB1は、セルウエルバイアス回路の出力ノードと接地ノードとの間に接続されたHNE型のトランジスタTEからなり、そのゲートに印加される制御信号CPWELLVSS1により読み出し/書込み時にはオン状態にスイッチ制御され、データ消去時にはオフ状態にスイッチ制御される。
【0090】読み出し/書込み時にセルウエルの電位が変動すると制御ゲートやビット線に対する容量結合ノイズとなるので、この容量結合ノイズを低減するために、前記ウエル接地回路CWB1を構成するトランジスタT1 のチャネル幅を例えば3000μmのように大きく設定し、そのオン抵抗を低減化している。
【0091】一方、CWB2はデータ消去後にセルウエルの消去電圧を放電するためのセルウエル放電回路である。この場合、このセルウエル放電回路CWB2は、セルウエルの消去電圧を定電流で放電させることにより、セルウエルの電位が急速に低下することがないように構成されている。
【0092】即ち、このセルウエル放電回路CWB2は、セルウエルバイアス回路の出力ノードと接地ノードとの間に直列に接続されたHND型のトランジスタTD1 、HNE型のトランジスタHN、HND型のトランジスタTD2 からなる。
【0093】そして、前記トランジスタTD1 はゲートにVccが印加され、トランジスタTD2 はゲートにVssが印加され、トランジスタHNはそのゲートに印加される制御信号CPWELLVSS2によりデータ消去後にオン状態にスイッチ制御される。
【0094】図5は、セルソース線CELSRCに選択的にバイアスを印加するためのセルソース線バイアス回路51〜53の一例を示している。このセルソース線バイアス回路51〜53は、セルソース線CELSRCを接地ノードに選択的に接続するための第1のセルソース線バイアス部51と、セルソース線CELSRCをVccノードに選択的に接続するための第2のセルソース線バイアス部52と、セルソース線CELSRCをVccノードよりも高電位(例えば4V)のVreadノードに選択的に接続するための第3のセルソース線バイアス部53とからなる。
【0095】前記第1のセルソース線バイアス部51は、セルソース線CELSRCと接地ノードとの間にドレイン・ソース間が接続されたHNE型のトランジスタT1 からなり、そのゲートには制御信号SRCSIG1 が印加される。
【0096】前記第2のセルソース線バイアス部52は、Vccノードとセルソース線CELSRCとの間に直列に接続されたPチャネルトランジスタT2 およびHND型のトランジスタT3 を有し、上記HND型のトランジスタT3 のゲートには制御信号SRCSIG2 が印加され、前記PチャネルトランジスタT2 のゲートには制御信号SRCSIG2 がインバータ回路IVにより反転された信号が印加される。
【0097】前記第3のセルソース線バイアス部53は、クロック信号CLK および制御信号SRCSIG3 が入力するナンド回路NAと、このナンド回路NAの出力信号を反転するインバータ回路IVと、前記制御信号SRCSIG3 が一端に供給され、ゲートが接地ノードに接続されたHND型のトランジスタT4 と、このトランジスタT4 の他端にソースが接続され、ゲート・ドレイン同士が接続されたHNI型のトランジスタT5 と、このトランジスタT5 のゲート・ドレインと前記ナンド回路NAの出力端との間に接続された昇圧用のキャパシタC1と、前記トランジスタT5のゲート・ドレインにソースが接続され、ゲート・ドレイン同士が接続されたHNI型のトランジスタT6 と、このトランジスタT6 のゲート・ドレインと前記インバータ回路IVの出力端との間に接続された昇圧用のキャパシタC2と、Vccノードよりも高電位のVreadノードと前記トランジスタT6 のゲート・ドレインとの間にドレイン・ソース間が接続され、ゲートが前記トランジスタT4 の他端に接続されたHNE型のトランジスタT7 と、Vreadノードと前記トランジスタT4 の他端との間にドレイン・ソース間が接続され、ゲート・ソース同士が接続されたHNE型のトランジスタT8 と、Vreadノードとセルソース線CELSRCとの間にドレイン・ソース間が接続され、ゲートが前記トランジスタT4 の他端に接続されたHNE型のトランジスタT9 とからなる。
【0098】ここで、図5のセルソース線バイアス回路51〜53の動作を説明しておく。データ読み出し時には、第1のセルソース線バイアス部51の制御信号SRCSIG1の電位をVccにすると、トランジスタT1 がオン状態に制御されてセルソース線CELSRCが接地ノードに接続される。
【0099】データ書込み時にセルソース線CELSRCにVccノードの電位を印加する場合には、第2のセルソース線バイアス部52の制御信号SRCSIG2 の電位をVccにすると、インバータ回路IVの出力によってPMOSトランジスタT2 がオン状態に制御され、VccノードのVcc電位がPMOSトランジスタT2 およびHND型のトランジスタT3 を介してセルソース線CELSRCに供給される。
【0100】データ書込み時にセルソース線CELSRCにVreadノードの電位を印加する場合には、第3のセルソース線バイアス部53の制御信号SRCSIG3 をVcc電位にする。それにより、ナンド回路NA、インバータ回路IV、キャパシタC1、C2、トランジスタT4 〜T8 からなる昇圧回路がクロック信号CLK に基づいて昇圧し、トランジスタT9 がオン状態に制御され、Vreadノードの電位が前記トランジスタT9 を経てセルソース線CELSRCに供給される。
【0101】なお、スタンバイ状態(待機状態)では、制御信号SRCSIG1 の電位をVcc、制御信号SRCSIG2 およびSRCSIG3 の電位をVssにし、セルソース線CELSRCを接地ノードに接続する。
【0102】データ消去時には、図6を参照して後述するように時刻ECLK0 に制御信号SRCSIG1 〜SRCSIG3 の電位をそれぞれVssにすることにより、第1のセルソース線バイアス部51のトランジスタT1 、第2のセルソース線バイアス部52のトランジスタT2 および第3のセルソース線バイアス部53のトランジスタT9 をそれぞれオフ状態に制御し、セルソース線CELSRCをフローティング状態にする。そして、セルウエルとの容量結合によりセルソース線CELSRCを消去電圧に昇圧する。
【0103】データ消去後のリカバリー(リセット)時にも、制御信号SRCSIG1 〜SRCSIG3の電位をそれぞれVssに維持し、前記セルウエルとの容量結合によりセルソース線CELSRCの電圧を放電させる。
【0104】この後、図6を参照して後述するように時刻ECLK4 に制御信号SRCSIG1 の電位をVccにし、セルソース線CELSRCを接地ノードに接続する。図6は、第1実施例のNAND型EEPROMのデータ消去動作の一例として、図3中のNANDブロック1のNANDセル群NBLK1が消去選択、NANDブロック2のNANDセル群NBLK2が消去非選択の場合の各部の信号波形を示している。なお、データ消去動作の制御シーケンスは、図示しないシーケンシャル制御回路により制御される。
【0105】次に、図1乃至図6を参照しながら、第1実施例のNAND型EEPROMのデータ消去動作を詳細に説明する。消去動作が開始する時刻ECLK0 より前に、セルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)、P基板(PSUB)はVssである。また、図3中のNANDブロック1のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16およびNANDブロック2のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16は0Vに設定されており、ロウデコード信号OSCRD はVss、信号BSTON はVccである。
【0106】消去動作が開始する時刻ECLK0 に、図3中の消去選択されたNANDブロック1では、ブロック選択信号RDECI1がVccになり、ブロック駆動回路313の出力信号(ブロック1駆動信号BLKDRV1 )はVccになり、トランスファゲートHN1〜HN16はオン状態になる。その結果、NANDブロック1の制御ゲート線CG1 〜CG16は0Vに接地される。
【0107】これに対して、図3中の消去非選択のNANDブロック2では、ブロック選択信号RDECI2がVssになり、ブロック駆動回路323の出力信号(ブロック2駆動信号BLKDRV2 )はVssになり、トランスファゲートHN1 〜HN16はオフ状態になる。その結果、NANDブロック2の各制御ゲート線はフローティング状態になる。
【0108】一方、上記時刻ECLK0 に、図3中のビット線側選択ゲートのゲート線駆動信号SGD、セルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)がVccになる。これにより、全ての選択ゲートのゲート(つまり、NANDブロック1およびNANDブロック2のゲート線相互接続ノードSG1、NANDブロック1のソース線側選択ゲートのゲートノードSG2、NANDブロック2のソース線側選択ゲートのゲートノードSG3)がVcc−Vth(Vthはトランスファゲートの閾値電圧)になり、フローティング状態になる。
【0109】なお、図3中のブロック選択信号RDECI1あるいはRDECI2がゲートに入力するトランジスタHNは、消去動作時にはSGDSノードがVccになることにより全てオフ状態になり、前記ノードSG1〜SG3がフローティング状態になることを妨げない。そして、読み出し動作時にはSGDSノードが0Vになることにより非選択のブロックに対応するノードSG1〜SG3に接続されているトランジスタHNがオン状態になり、非選択のブロックの制御ゲート線を接地する役割を有する。
【0110】また、時刻ECLK0 に制御信号SRCSIG1 がVssになることにより、図5中の第1のセルソース線バイアス回路51において、トランジスタT1 はオフ状態に制御され、その結果、セルソース線CELSRCは接地経路から切り離されてフローティング状態になる。
【0111】また、時刻ECLK0 に、制御信号BLCU0 、BLCU1 はVccであり、図2中のトランジスタTNi0はオン状態である。そして、時刻ECLK0 に、制御信号BLCRL 、BLTR0 、BLTR1 がVccになり、図2中の各ビット線BLi の電位はVcc−Vthになってフローティング状態になる。
【0112】また、時刻ECLK0 に、制御信号CPWELLVSS1およびCPWELLVSS2がVssに制御されることにより、図4中のセルウエル接地回路CBW1、セルウエル放電回路CBW2はそれぞれオフになる。
【0113】次に、時刻ECLK1 に、消去用昇圧回路駆動信号LIMVERAnがVssになることにより、図1中の消去用昇圧回路9aから消去電圧Vppe (例えば20V)が出力し、この消去電圧Vppe がセルウエルに印加され、セルウエルが消去電圧Vppe に充電される。
【0114】この消去用昇圧回路9aの出力は、図4中のセルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)にのみ接続されているので、このセルウエルを通じて非選択ブロックのセルの制御ゲート、ビット線BLi 、セルソース線CELSRCは昇圧されるが、選択ブロックのセルの制御ゲート(制御ゲート線CG1 〜CG16)は0Vのままである。
【0115】この場合、前記時刻ECLK0 以後の消去動作中および消去電圧放電中、プリチャージ制御信号BLPRE はVssのままであり、制御信号BLCDおよびBLCLAMP をVssにすることにより、図2中のトランジスタN4 およびN1 はオフ状態になり、図2中のセンスアンプSAはビット線センスノードBNから電気的に分離されるので、上記センスアンプSAによるビット線センスノードBNの放電は行われない。
【0116】また、消去動作中および消去電圧放電中、図5の第1のセルソース線バイアス部51もオフ状態を維持するので、第1のセルソース線バイアス部51によるセルソース線CELSRCの放電は行われない。
【0117】消去終了後の時刻ECLK3 に、制御信号CPWELLVSS2がVccになり、図4中のセルウエル放電回路CBW2はオン状態になり、このセルウエル放電回路CBW2を通じてセルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)の消去電圧が放電される。
【0118】セルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)の消去電圧が放電された後の時刻ECLK4 に、制御信号CPWELLVSS1がVccになり、図4中のセルウエル接地回路CBW1はオン状態になる。また、制御信号SRCSIG1 がVccになり、第1のセルソース線バイアス部51によりセル、ソース線CELSRCも接地される。
【0119】なお、図6中、制御信号BLCU0 、BLCU1 、BLTR0 、BLTR1 をVssではなくVccにしているのは、これらの制御信号BLCU0 、BLCU1 、BLTR0 、BLTR1 がゲート電圧に印加される図2中のトランジスタTNi0、TNi1のドレインのブレークダウン(サーフェス・ブレークダウン)を生じ難くするためである。
【0120】しかし、上記サーフェス・ブレークダウンを考慮しなくてよい場合には、上記制御信号BLTR0 、BLTR1 をVssにすれば図2中のトランジスタTNi1がオフ状態になるので、制御信号BLCDおよびBLCLAMP の電位を任意に設定してもセンスアンプによるビット線BLi の放電は行われない。
【0121】なお、消去選択セルのゲート電圧(図3中のNANDブロック1の制御ゲート線CG1 〜CG16)は、上記実施例では0Vであるが、例えば0.5Vであってもよい。
【0122】この場合、図3中のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16が0.5Vにバイアスされる。その結果、消去非選択ブロックのトランスファゲート(図3中のNANDブロック2のトランスファゲートHN1 〜HN16)はゲート電圧が0Vであるが、NANDブロック2のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16が0.5Vになることにより、カットオフ特性が向上し、非選択セルの制御ゲートからワード線駆動信号CGN1 〜CGN16側へのリークを小さくすることができる。
【0123】なお、本発明は、上記実施例のメモリセルアレイを有するメモリに限定されるものではなく、例えば本願出願人に係る特願平7-957023号のようなメモリセルの両端にビット線が接続するバーチャル・グランドタイプのメモリセルアレイを有するメモリにも適用可能である。
【0124】また、本発明は、上記実施例のような2値メモリセルを用いるメモリに限定されるものではなく、1つのメモリセルに3値以上のデータを記憶する多値メモリセルを用いるメモリにも適用可能である。
【0125】
【発明の効果】上述したように本発明の不揮発性半導体記憶装置によれば、データ消去後において、ビット線コンタクト部のn+ 拡散領域とセルPウエルとの接合からなるpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生、ロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタのドレインノードとP基板間のpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るNANDセル型EEPROMを示すブロック図。
【図2】図1中のメモリセルアレイにおける一部のビット線BLに対応するセンスアンプ兼データラッチ回路周辺のコア回路の一例を示す回路図。
【図3】図1中のロウデコーダおよびメモリセルアレイの一部を示す回路図。
【図4】セルウエルバイアス回路の一例を示す回路図。
【図5】セルソース線バイアス回路の一例を示す回路図。
【図6】第1実施例のNAND型EEPROMのデータ消去動作の一例を説明するために示す信号波形図。
【図7】メモリセルアレイにおける1つのNANDセル部分を示す平面図および等価回路図。
【図8】図7中のA−A’線、B−B’線に沿う断面図。
【図9】NANDセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイを示す等価回路図。
【図10】NAND型EEPROMのウエル構成の一例を示す断面図。
【図11】メモリセルの一部およびその制御ゲートに接続されているロウデコーダの一部を示す断面図。
【符号の説明】
CWB1…セルウエル接地回路、
CWB2…セルウエル放電回路。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的書き換え可能な不揮発性半導体記憶装置(EEPROM)に係り、特にデータ消去制御回路に関するもので、例えばNANDセル型EEPROMに使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】EEPROMの1つとして実現されているNANDセル型EEPROMは、電荷蓄積層としての浮遊ゲートと制御ゲートが積層されたnチャネルFETMOS構造のメモリセルの複数個を、隣接するセル同士でソース、ドレインを共有する形で直列接続してNANDセルを構成し、これを1単位としてビット線に接続し、複数のNANDセルを全体として二次元の行列状に配列したメモリセルアレイを有する。
【0003】図7(a)、(b)は、それぞれ対応してメモリセルアレイにおける1つのNANDセル部分の平面図と等価回路図を示している。図8(a)、(b)は、それぞれ対応して図7(a)中のA−A’線、B−B’線に沿う断面図を示している。
【0004】図7(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、p型シリコン基板10上のセル形成用のN型ウエル(セルNウエル)10a内のセル形成用のP型ウエル(セルPウエル)11内に各メモリセルが形成されており、上記セルPウエル11内の素子分離酸化膜12で囲まれた領域にNANDセルが形成されている。
【0005】1つのNANDセルに着目すると、本例では、8個のメモリセルM1〜M8が直列接続されている。各メモリセルは、セル基板(セルPウエル11)上にゲート絶縁膜13を介して浮遊ゲート14i (i=1,2,…,8)が形成されており、浮遊ゲート14i 上に浮遊ゲート・制御ゲート間絶縁膜15を介して制御ゲート16i (i=1,2,…,8)が形成されており、セルPウエル11の表層部にソース、ドレインであるn+ 型拡散層19が形成されており、隣接するセル同士でソース、ドレインを共有している。
【0006】さらに、セルPウエル11内には、NANDセルのドレイン側、ソース側にそれぞれ対応して、メモリセルの浮遊ゲート、制御ゲートと同時に形成された第1の選択ゲート(149 、169 )および第2の選択ゲート(1410、1610)が設けられている。
【0007】なお、前記制御ゲート16i は、それぞれ行方向に連続的に配設された制御ゲート線(ワード線)CGi (i=1,2,…,8)の一部として形成されている。また、前記第1の選択ゲート(149 、169 )は、行方向に連続的に配設された第1の選択ゲート線SG1 の一部として形成されており、前記第2の選択ゲート(1410、1610)も、行方向に連続的に配設された第2の選択ゲート線SG2 の一部として形成されている。
【0008】そして、上記のように素子形成後の基板上はCVD酸化膜17により覆われ、この上にビット線18が配設されている。図9は、NANDセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイの等価回路を示している。
【0009】ソース線は例えば64本のビット線毎につき1箇所でコンタクトを介してAl、ポリシリコンなどの基準電位配線に接続されており、この基準電位配線は周辺回路(図示せず)に接続される。
【0010】メモリセルの制御ゲート線CGi および第1の選択ゲート線SG1 、第2の選択ゲート線SG2 は、前述したようにそれぞれ行方向に連続的に配設されている。ここで、通常、制御ゲート線CGi の1本に共通に接続されている同一行のメモリセルの集合を1ページと呼び、ドレイン側の選択ゲート(第1の選択ゲート)およびソース側の選択ゲート(第2の選択ゲート)の1組によって挟まれたページの集合を1NANDブロックまたは単に1ブロックと呼ぶ。
【0011】なお、上記1ページは、例えば256バイト分(256×8個)のメモリセルから構成され、1ページ分のメモリセルはほぼ同時に書込み(ページ書込み)が行われる。
【0012】つまり、EEPROMは、DRAMなどと比べて書込み/消去などの動作が遅いので、高速な書込み/読み出しを行うためにページ書込み方式やページ読み出し方式を採用することが多い。
【0013】ページ書込み方式は、同一行線に接続されている複数のメモリセルのそれぞれに同時に複数の列線から書込みデータを書込む(ページ単位で書込む)方式である。また、前記ページ読み出し方式は、同一行線に接続されている複数のメモリセルからそれぞれの記憶データを同時に複数の列線に読み出してセンス増幅する(ページ単位で読みだす)方式である。
【0014】また、前記1ブロックは、例えば2048バイト分(2048×8個)のメモリセルから構成され、1ブロック分のメモリセルはほぼ同時に消去(ブロック消去)される。
【0015】図10は、NAND型EEPROMのウエル構成の一例を示す断面図である。メモリセルは、P基板10上のセルNウエル10a内のセルPウエル11に形成されており、セルPウエル11とセルNウエル10aは同電位に設定される。電源電圧よりも高い電圧が印加される高電圧NチャネルトランジスタはP基板10上に形成され、低電圧NチャネルトランジスタはP基板10上のPウエル10bに形成され、低電圧PチャネルトランジスタはP基板10上のNウエル10cに形成される。
【0016】次に、NAND型EEPROMのデータ書込み動作、データ消去動作、データ読み出し動作の原理について簡単に説明する。
(1)データ書込み時には、ビット線にはデータに応じて0V(“1”書込み)または電源電圧Vcc(“0”書込み)を印加し、NANDセル一端側のビット線に接続されている第1の選択ゲートの選択ゲート線SG1 にはVcc、NANDセル他端側のソース線に接続されている第2の選択ゲートの選択ゲート線SG2には0Vを印加する。
【0017】この時、“1”書込みのセルは、対応する第1の選択ゲートがオンになり、これを介してビット線から0Vがチャネルに伝達される。これに対して、“0”書込みのセルは、対応する第1の選択ゲートがオフになり、“0”書込みのセルのチャネルはVcc−Vthsg(Vthsgは第1の選択ゲートの閾値電圧)になり、フローティング状態になる。あるいは、書込みを行うセルよりもビット線側のセルの閾値が正電圧Vthcellを持つ場合には、“0”書込みのセルのチャネルはVcc−Vthcellになる。
【0018】その後、選択されたメモリセル(選択セル)に対応する制御ゲート線CGi には昇圧された書込み電圧Vpp(=20V程度)を印加し、選択されなかった他のメモリセル(非選択セル)に対応する制御ゲート線CGi には中間電位Vpass(=10V程度)を印加する。
【0019】その結果、“1”書込みの選択セルは、チャネルの電位が0Vなので浮遊ゲート・基板(セルPウエル)間に高電圧がかかり、基板から浮遊ゲートに電子がトンネル注入されて閾値電圧が正方向に移動する。
【0020】これに対して、“0”書込みの選択セルは、チャネルがフローティングであるので、書込み電圧Vppが印加された制御ゲートとの間の容量結合でチャネルは中間電位になり、電子の注入が行われない。
【0021】なお、非選択セルは、対応する制御ゲートに中間電位Vpassが印加されているので、電子の注入は行われない。
(2)データ消去時には、ビット線、ソース線をフローティング状態にし、消去を行う選択ブロックの全ての制御ゲートを0Vとし、消去を行わない非選択ブロックの全ての制御ゲートはフローティング状態にし、セルPウエルおよびセルNウエルに昇圧された消去電圧Vppe (20V程度)を印加する。
【0022】この時、消去を行う選択ブロックのメモリセルは、セルウエル電圧Vppe と制御ゲート電圧(0V)とによって浮遊ゲートの電子がウエルに放出され、閾値電圧が負方向に移動することにより、ブロック単位でほぼ同時に消去される。
【0023】これに対して、消去を行わない非選択ブロックのメモリセルは、フローティング状態の制御ゲートがセルPウエルとの間の容量結合でVppe に昇圧され、制御ゲート、セルPウエルともに消去電圧Vppe であるので消去は行われない。
【0024】(3)データ読み出し時には、ビット線をプリチャージした後にフローティング状態にし、選択セルの制御ゲートを0V、それ以外の非選択セルの制御ゲート、第1、第2の選択ゲートを電源電圧Vcc(たとえば3V)、ソース線を0Vにして、選択セルで電流が流れるか否かを検出することにより行われる。
【0025】即ち、選択セルの記憶データが“1”(セルの閾値Vth>0)であれば、選択セルはオフになり、それに連なるビット線はプリチャージ電位を保つが、選択セルの記憶データが“0”(セルの閾値Vth<0)であれば、選択セルはオンし、それに連なるビット線はプリチャージ電位からΔVだけ下がる。
【0026】これらのビット線電位をセンスアンプで検出することによって、選択セルのデータが読み出される。ところで、従来のデータ消去方法では、消去電圧Vppe (20V程度)を印加する際に、前述したようにビット線、ソース線、消去を行わない非選択ブロックの制御ゲートをフローティング状態にしてから、セルPウエル11、セルNウエル10aに消去電圧を印加する。
【0027】その結果、ビット線、ソース線、非選択ブロックの制御ゲートはセルウエルを通じてVppe あるいはVppe から1V程度低い電圧に昇圧される。一方、データ消去後は、データ書込み後の書込みリセット、データ読み出し後の読み出しリセットと同様に消去リセットを行っている。
【0028】この消去リセットは、ビット線にセンスアンプを接続し、ソース線にソース線バイアス回路を接続し、セルウエルにセルウエルバイアス回路を接続することによって、ビット線、ソース線、セルウエルから同時に放電させる。つまり、センスアンプによりビット線を放電させ、ソース線バイアス回路によりソース線を放電させ、セルウエルバイアス回路によりセルウエルを放電させる。
【0029】この時、ビット線、ソース線、セルウエルはそれぞれ別々の回路で放電するので、ビット線、ソース線、セルウエルのそれぞれの放電時間が異なる。例えばビット線は2μsで放電するが、セルウエルは30μsで放電する。
【0030】この場合、ビット線の放電がセルウエルの放電よりも先に完了するので、ビット線がセルウエルよりも先に低電圧になり、図8(a)中に示すビット線コンタクト部のn+ 拡散領域19とセルPウエル11との接合からなるpnダイオードが順バイアスになり、このpnダイオードに順方向電流が流れ、結果として、ラッチアップが生じるという問題がある。
【0031】図11は、メモリセルの一部およびその制御ゲートに接続されているロウデコーダの一部を示す断面図である。ロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタは、P基板10上に形成されており、そのドレインノードNwl(n+ 拡散領域)はメモリセルの制御ゲート16に接続されている。
【0032】データ消去時には、選択セルに接続されているロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタは、ゲートGにVccが供給されており、ソースSは周辺回路で接地されており、オン状態になって選択セルの制御ゲート16に0Vを供給する。
【0033】データ消去後に消去リセットを行う際、前記したようにセルウエルバイアス回路によりセルウエルを放電させる時、消去電圧の放電を急速に行うと、選択セルの制御ゲート16もセルウエルとの容量結合により0Vから負方向に引かれる。その結果、前記ドレインノードNwlが負電圧になり、このドレインノードNwlとP基板10間のpnダイオードがオンし、このpnダイオードに順方向電流が流れ、結果として、ラッチアップが生じるという問題がある。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来のNANDセル型EEPROMは、データ消去後に消去リセットを行う際、ビット線の放電がセルウエルの放電よりも先に完了するので、ビット線コンタクト部のn+ 拡散領域とセルPウエルとの接合からなるpnダイオードに順方向電流が流れ、ラッチアップが生じるという問題があった。
【0035】また、データ消去後に消去リセットを行う際、消去電圧の放電を急速に行うと、ロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタのドレインノードが負電位になり、このノードとP基板間のpnダイオードに順方向電流が流れ、結果として、ラッチアップが生じるという問題があった。
【0036】本発明は上記の問題点を解決すべくなされたもので、データ消去後において、ビット線コンタクト部のn+ 拡散領域とセルPウエルとの接合からなるpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生、さらにはロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタのドレインノードとP基板間のpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生を防止し得る不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明の不揮発性半導体記憶装置は、不揮発性のメモリセルを少なくとも1つ含むメモリセルユニットと、前記メモリセルユニットが形成されるメモリセルウエルと、前記メモリセルユニットの一端に接続された第1の信号線と、前記メモリセルユニットの他端に接続された第2の信号線と、前記メモリセルの記憶データを消去する際、前記メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、前記第1の信号線および第2の信号線をフローティング状態にして前記メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御する消去制御手段とを具備することを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1乃至図6は、本発明の第1実施例に係るNANDセル型EEPROMの構成および動作波形の一例を示している。
【0039】図1は、第1実施例のNANDセル型EEPROMのブロック構成を示す。図1中、1はメモリセルアレイ、2はデータ書込み/読み出しを行うためのセンスアンプ兼データラッチ回路である。3はワード線選択を行うロウデコーダ、4はビット線選択を行うカラムデコーダ、5はアドレスバッファ、6はI/ Oセンスアンプ、7はデータ入出力バッファである。
【0040】8は基板電位制御回路、9aは消去電圧を発生してメモリセルアレイ1のメモリセルウエルに選択的に印加する消去用昇圧回路、9bは書込み電圧を発生してロウデコーダ3に供給する書込み用昇圧回路、9cは読み出し電圧を発生してロウデコーダ3に供給する読み出し用昇圧回路である。また、図1には示していないが、後述するようなセルソース線バイアス回路、セルウエルバイアス回路なども設けられている。
【0041】このNANDセル型EEPROMの構成は、図7乃至図11を参照して前述した従来例の構成と比べて、基本的には同様であり、NANDセルのセルトランジスタ数が8から16に変更されている点と、メモリセルの記憶データを消去する際、メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、ビット線およびセルソース線の電圧を放電させずにメモリセルウエルの電圧を放電させるように構成されている点が異なる。
【0042】上記ビット線、セルソース線および消去を行わない非選択ブロックの全ての制御ゲートの電圧を放電させない方法の一例として、ビット線、セルソース線、消去を行わない非選択ブロックの全ての制御ゲートをフローティング状態のままにして(従来のような消去リセットを行わないで)、セルウエルの消去電圧を放電させている。
【0043】次に、本例のNAND型EEPROMのデータ消去動作の概要を説明する。
(1)データ消去時には、前述した従来例のデータ消去時と同様に、ビット線、ソース線をフローティング状態にし、消去を行う選択ブロック(消去選択ブロック)の全ての制御ゲートを消去制御ゲート電圧(0V)に設定し、消去を行わない非選択ブロック(消去非選択ブロック)の全ての制御ゲートはフローティング状態にし、昇圧された消去電圧Vppe (20V程度)をセルPウエル11およびセルNウエル10aに印加する。
【0044】これにより、前記ビット線、ソース線および消去非選択ブロックの全ての制御ゲートは、Vppe あるいはVppe から1V程度低い電圧に昇圧される。この時、消去選択ブロックのメモリセルは、前記Vppe が印加されているセルウエルの電圧と前記0Vに設定されている制御ゲートの電圧とによって浮遊ゲートの電子がウエルに放出され、セル閾値電圧が負方向に移動することにより、消去選択ブロック単位でほぼ同時に消去される。
【0045】これに対して、消去非選択ブロックのメモリセルは、前記したようにセルPウエル11との間の容量結合によりVppe あるいはVppe から1〜2V程度低い電圧に昇圧されているフローティング状態の制御ゲートとセルPウエル11との間に所要の消去電圧が印加されないので消去は行われない。
【0046】(2)データ消去の終了後、ビット線、ソース線および消去非選択ブロックの制御ゲートをフローティング状態に制御したまま、前述したセルウエルバイアス回路のウエル放電回路をオン状態に制御してセルウエルから消去電圧Vppe を放電させる。
【0047】この場合、ビット線およびソース線はフローティング状態であるので、セルウエルよりも先に放電することはなく、セルウエルよりも低電位になることはないので、図8中のビット線コンタクト部(n+ 拡散領域)19とセルPウエル11との接合からなるpnダイオードがオンすることがなく、従来例で述べたようなラッチアップ(スナップバック)も生じない。
【0048】また、前記セルウエルバイアス回路のウエル放電回路を構成するトランジスタは、オン状態の時に飽和領域で動作するので、定電流が流れる。従って、前記データ消去後にセルウエルの消去電圧が急速に低下することはない。
【0049】その結果、図11を参照して前述したような消去選択ブロックの制御ゲート16がセルウエルとの容量結合により負電圧になることはなく、ロウデコーダ内のトランスファゲート用トランジスタのドレインノードNwlとP基板10との間のpnダイオードが導通することもなく、従来例で説明したようなラッチアップが生じることはない。
【0050】図2は、図1中のメモリセルアレイ1における所定数の複数のカラムのビット線BLi (例えば2本分のビット線BL0 、BL1 )に対応するセンスアンプ兼データラッチ回路周辺のコア回路の一例を示している。
【0051】図2において、MCi (i=0,1 )はメモリセルアレイ部のビット線BLi に接続されたNAND型メモリセル、CG1 〜CG16は上記NAND型メモリセルMCi のセルトランジスタの各制御ゲートに接続されている制御ゲート線(ワード線)、SG1CおよびSG2 は選択ゲート線、CELSRCはセルソース線である。
【0052】TNi0(i=0,1 )は前記ビット線BLi の一端側に挿入接続されているトランスファゲート用のトランジスタ、TNi1(i=0,1 )は前記ビット線BLi の他端側に挿入接続されているトランスファゲート用のトランジスタである。そして、前記ビット線BLi は、所定数の複数カラム毎に各一端側同士、各他端側同士が共通に接続されている。
【0053】上記トランスファゲート用のトランジスタTNi0、TNi1は、電源電位Vccよりも高い電圧を印加できる高電圧エンハンスメントNチャネル(HNE)型のトランジスタが用いられており、その閾値電圧は0.6V程度である。
【0054】なお、BLCRL は、前記共通に接続されたビット線BLi の各一端側に印加される制御信号であり、BLCU0 およびBLCU1 は、前記トランジスタTNi0の各ゲートに対応して供給される制御信号であり、BLTR0 およびBLTR1 は、前記トランジスタTNi1の各ゲートに対応して供給される制御信号である。
【0055】また、SAはビット線電位センスノードBNに接続されているセンスアンプ、IO、/IOは一対の入出力線、CS、/CSは前記センスアンプSAの一対の出力ノードと前記一対の入出力線IO、/IOとの間に接続され、カラム選択線CSLによりスイッチ制御される一対のカラム選択スイッチ用トランジスタである。
【0056】なお、BLPRE 、BLCD、BLCLAMP 、BLSEN0、BLSEN1、SAPRST、SAP は前記センスアンプSAに供給される制御信号あるいは制御電圧であり、Vccはメモリチップの内部電源電圧である。
【0057】前記センスアンプSAは、プリチャージ制御信号BLPRE に基づいてビット線電位センスノードBNを所定期間に充電するためのNチャネルトランジスタN2と、前記ビット線電位センスノードBNに読み出されたメモリセルデータをラッチするラッチ回路LTと、前記センスノードBNと前記ラッチ回路LTの第2の記憶ノードQとの間に挿入され、制御信号BLCDによりゲート駆動されるトランスファーゲート用のNMOSトランジスタN4と、前記ラッチ回路LTの第1の記憶ノード/Qと接地ノードとの間に接続され、ゲートに所定期間印加される第1のデータラッチ制御信号BLSEN0によりオン状態に制御されるラッチ回路強制反転制御用のNMOSトランジスタN5と、前記ラッチ回路LTの第1の記憶ノード/Qと接地ノードとの間で前記NMOSトランジスタN5に直列に接続され、ゲートが前記センスノードBNに接続されたセンス用のNMOSトランジスタN7と、前記ラッチ回路LTの第2の記憶ノードQと接地ノードとの間で前記NMOSトランジスタN7に直列に接続され、ゲートに所定期間印加される第2のデータラッチ制御信号(逆読み出しラッチ制御信号)BLSEN1によりオン状態に制御される逆読み出しラッチ制御用のNMOSトランジスタN6と、前記ビット線電位センスコードBNと前記センス用のNMOSトランジスタN7のゲートとの間に接続され、ゲートに制御電圧BLCLAMP が与えられるビット線電位クランプ用のNチャネルトランジスタN1と、前記ラッチ回路LTの第1の記憶ノード/Qを制御信号SAPRSTに基づいて所定期間にリセットするNチャネルトランジスタN3と、前記センス用のNMOSトランジスタN7のゲートと接地ノードとの間に接続されたキャパシタC1とを具備する。
【0058】前記ラッチ回路LTは、2個のCMOSインバータ回路の互いの入力ノードと出力ノードが交差接続された(逆並列接続された)フリップフロップ回路と、このフリップフロップ回路の電源ノード側に直列に挿入され、センスアンプ駆動制御信号SAP により活性化制御されるセンスアンプイネーブル制御用の2個のPMOSトランジスタからなる。
【0059】この場合、一方のCMOSインバータ回路の入力ノード(第1の記憶ノード/Q)と他方のCMOSインバータ回路の入力ノード(第2の記憶ノードQ)は、前記一対のカラム選択スイッチ用トランジスタ/CS、CSを介して一対の入出力線/IO、IOに接続されている。
【0060】ここで、図1のEEPROMの読み出し動作時、消去動作時、書込み動作時における図2の回路の動作について説明しておく。EEPROMの通常の読み出し時には、まず、センスノードBNを電源電位Vccにプリチャージし、特定の制御ゲート線CGi (i=1,2,…16)を選択し、この特定の制御ゲート線CGi に接続されている複数のセルトランジスタの各データに応じて決まる各ビット線BLi の電位を前記センスアンプSAによりセンス増幅する。
【0061】このセンスアンプSAにおいては、まず、トランジスタN3とN4を所定期間オンさせてラッチ回路LTをリセットし、ノードQを“L”、ノード/Qを“H”にする。続いて、トランジスタN2でセンスノードBNを充電後、ビット線はフローティングになり、次いでセルトランジスタの閾値状態によって生じるセル電流Icellでビット線を放電させ、メモリセルのデータに応じて所定時間後にトランジスタN7をオン/オフさせる。
【0062】この場合、NANDセルから“0”データがセンスノードBNに読み出された時には、セル電流が流れるのでビット線電位が低下し、トランジスタN7はオフであり、ノード/Qはラッチ回路LTのリセット状態の“H”のままとなる。
【0063】逆に、NANDセルから“1”データがセンスノードBNに読み出された時には、セル電流は流れないのでビット線電位は“H”に保たれ、トランジスタN7がオンになり、ラッチ回路LTの記憶データが強制反転され、ノード/Qは“L”、ノードQを“H”になる。選択されたカラムに対応するラッチ回路LTのノードQのデータは入出力線IO、/IOに読み出される。
【0064】EEPROMの消去時には、センスアンプは消去ベリファイ読み出し動作に使用される。この時、センスアンプは前記通常の読み出し時と同じ順序で動作し、セルトランジスタが消去されていれば(“0”データの場合)、ノード/Qは“H”、ノードQは“L”となる。逆に、セルトランジスタが消去できていなければ(“1”データの場合)、ノード/Qは“L”、ノードQは“H”となる。このデータをもとに、同時に動作している全てのセンスアンプSAのノードQが1つでも“H”となると消去不完全であるので、再度消去に入るための信号を出し再度消去する。
【0065】EEPROMの書込み時には、書込み/非書込みのデータを入力することにより、選択されたカラムに対応するラッチ回路LTのノードQに一対の入出力線/IO、IOから一対のカラム選択スイッチ用トランジスタ/CS、CSを介してデータが入力される。
【0066】もし、“1”データ入力であればノードQには“L”、“0”データ入力であればノードQには“H”が入る。トランジスタN4がオン状態に制御されると、上記ノードQのデータが上記トランジスタN4を通じてセンスノードBNに転送される。書込み時には選択NANDセル内のチャネルは中間電位にブートされているので、ビット線BLに“L”データが転送された場合には書き込まれるが、“H”データが転送された場合には書込みがされない。
【0067】なお、EEPROMは、高速動作および高信頼性を得るために、書込み後のセルトランジスタの閾値分布を狭く制御する必要があり、書込みを行う度に書き込まれた内容を読み出し(書込みベリファイ読み出し)、書き込むべき内容と比較し、書き込まれた内容が不十分であればさらに書込みを続け、書き込まれた内容が書き込むべき内容と一致したことを確認すれば書込みを終了する。
【0068】このような書込みベリファイ読み出しに際して、ラッチ回路LTのリセット動作を行なわず、書込みデータをセンスアンプSAに残したまま読み出しを行なう。この読み出し動作は、リセット動作がないこと以外は前記通常の読み出し時の動作と同じである。
【0069】従って、書き込まないセルおよび書き込まれたセルに対応するラッチ回路LTのノードQは“H”になり、書込みが完了していないセルに対応するラッチ回路LTのノードQは“L”となる。そこで、ノードQのデータをそのまま用いて再度書込み動作を行なうことにより、書込み未完了のセルのみを書き込むことができる。
【0070】また、通常の読み出し時には選択ワード線に0Vを印加するのに対して、書込みベリファイ読み出し時には、選択ワード線にベリファイ電圧Vref(>0V) を印加する。このため、0VからVref の間の閾値となるセルトランジスタをさらに再書込みし、書込み閾値分布の最小値がベリファイ電圧Vref 以上となるまで書き込むことにより、読み出し電圧に対する書込みのばらつきのマージンをとっている。
【0071】図3は、図1中のロウデコーダ3およびメモリセルアレイの一部を示している。図3において、NBLK1はNANDブロック1のNANDセル群、BRD1はNANDブロック1のNANDセル群を選択制御するための第1のブロックロウデコーダ、CG1 〜CG16はブロック1のNANDセル群の各行の制御ゲート線(ワード線)、SG1はブロック1のNANDセル群のビット線側の選択ゲートのゲート線、SG2はブロック1のNANDセル群のソース線側の選択ゲートのゲート線である。
【0072】HN1 〜HN16はそれぞれ前記制御ゲート線CG1 〜CG16に接続されたトランスファゲートであり、CGN1 〜CGN16はそれぞれ上記トランスファゲートHN1 〜HN16を介して前記制御ゲート線CG1 〜CG16を選択駆動するための駆動信号である。
【0073】HN0 は前記ビット線側の選択ゲートのゲート線SG1に接続されたトランスファゲートであり、SGDは上記トランスファゲートHN0 を介して前記ゲート線SG1を選択駆動するための駆動信号である。
【0074】HN17は前記ソース線側の選択ゲートのゲート線SG2に接続されたトランスファゲートであり、SGSは上記トランスファゲートHN17を介して前記ゲート線SG2を選択駆動するための駆動信号である。
【0075】上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、各ゲートに対応して前記第1のブロックロウデコーダBRD1の出力信号(ブロック1駆動信号BLKDRV1 )が印加される。上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、HNE型のトランジスタが用いられており、その閾値電圧が0.6V程度であるので、そのゲートに0Vが印加される場合にはオフになる。
【0076】一方、NBLK2はNANDブロック2のNANDセル群、BRD2はNANDブロック2のNANDセル群を選択制御するための第2のブロックロウデコーダ、SG1はブロック2のNANDセル群のビット線側の選択ゲートのゲート線、SG3はブロック2のNANDセル群のソース線側の選択ゲートのゲート線である。
【0077】HN1 〜HN16はそれぞれブロック2のNANDセル群の各行の制御ゲート線に接続されたトランスファゲートであり、CGN1 〜CGN16はそれぞれ上記トランスファゲートHN1 〜HN16を介して前記制御ゲート線を選択駆動するための駆動信号である。
【0078】HN0 は前記ビット線側の選択ゲートのゲート線SG1に接続されたトランスファゲートであり、SGDは上記トランスファゲートHN0 を介して前記ゲート線SG1を選択駆動するための駆動信号である。
【0079】HN17は前記ソース線側の選択ゲートのゲート線SG3に接続されたトランスファゲートであり、SGSは上記トランスファゲートHN17を介して前記ゲート線SG3を選択駆動するための駆動信号である。
【0080】上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、各ゲートに対応して前記第2のブロックロウデコーダBRD2の出力信号(ブロック2駆動信号BLKDRV2 )が印加される。上記各トランスファゲートHN0 〜HN17は、HNE型のトランジスタが用いられており、その閾値電圧が0.6V程度であるので、そのゲートに0Vが印加される場合にはオフになる。
【0081】前記第1のブロックロウデコーダBRD1は、ブロックアドレス信号をデコードしてブロック選択信号RDECI1(選択時にVcc、非選択時にVss)を出力するブロックアドレス選択回路311と、上記ブロック選択信号RDECI1とロウデコード信号OSCRD との論理積をとるナンド回路312と、このナンド回路312の出力に応じて前記ブロック1駆動信号BLKDRV1 を出力するブロック駆動回路313とを有する。
【0082】上記と同様に、前記第2のブロックロウデコーダBRD2は、ブロックアドレス信号をデコードしてブロック2選択信号RDECI2(選択時にVcc、非選択時にVss)を出力するブロックアドレス選択回路321と、上記ブロック2選択信号RDECI2とロウデコード信号OSCRD との論理積をとるナンド回路322と、このナンド回路322の出力に応じて前記ブロック2駆動信号BLKDRV2 を出力するブロック駆動回路323とを有する。
【0083】前記各ブロックロウデコーダBRD1およびBRD2において、ブロック駆動回路313、323は、インバータ回路IV、HNE型のトランジスタHN、閾値電圧が0V程度の高電圧イントリンシックNチャネル(HNI)型のトランジスタHNI、閾値電圧が−1V程度の高電圧デプレションNチャネル(HND)型のトランジスタHND、HND型トランジスタのドレイン・ソース同士を短絡接続したMOSキャパシタからなる。
【0084】前記トランジスタHNDは、その閾値電圧が−1V程度であるので、そのゲート、ドレインをVccにすると、ソースにVccを転送でき、また、そのゲートを0Vにすると、ソース・ドレインの電圧がVccの条件でオフする。
【0085】また、図3において、NANDブロック1のビット線側選択ゲートのゲート線SG1とNANDブロック2のビット線側選択ゲートのゲート線SG1とは相互に接続されており、このゲート線相互接続ノードとSGDSノードとの間にはHNE型の2個のトランジスタHNが接続されており、この2個のトランジスタHNの各ゲートに対応して前記ブロック1選択信号RDECI1およびブロック2選択信号RDECI2が印加される。
【0086】また、前記NANDブロック1のソース線側選択ゲートのゲート線SG2とSGDSノードとの間にはHNE型のトランジスタHNが接続されており、そのゲートに前記ブロック1選択信号RDECI1が印加される。
【0087】さらに、前記NANDブロック2のソース線側選択ゲートのゲート線SG3とSGDSノードとの間にはHNE型のトランジスタHNが接続されており、そのゲートに前記ブロック2選択信号RDECI2が印加される。
【0088】図4は、セルウエル(セルPウエル、セルNウエル)に選択的にバイアスを印加するためのセルウエルバイアス回路の一例を示しており、その出力ノードはセルPウエル(CPWELL)とセルNウエル(CNWELL)を同電位にバイアスするように、これらのウエルに共通に接続されている。
【0089】図4において、CWB1は読み出し/書込み時にセルウエルを接地するためのウエル接地回路である。このウエル接地回路CWB1は、セルウエルバイアス回路の出力ノードと接地ノードとの間に接続されたHNE型のトランジスタTEからなり、そのゲートに印加される制御信号CPWELLVSS1により読み出し/書込み時にはオン状態にスイッチ制御され、データ消去時にはオフ状態にスイッチ制御される。
【0090】読み出し/書込み時にセルウエルの電位が変動すると制御ゲートやビット線に対する容量結合ノイズとなるので、この容量結合ノイズを低減するために、前記ウエル接地回路CWB1を構成するトランジスタT1 のチャネル幅を例えば3000μmのように大きく設定し、そのオン抵抗を低減化している。
【0091】一方、CWB2はデータ消去後にセルウエルの消去電圧を放電するためのセルウエル放電回路である。この場合、このセルウエル放電回路CWB2は、セルウエルの消去電圧を定電流で放電させることにより、セルウエルの電位が急速に低下することがないように構成されている。
【0092】即ち、このセルウエル放電回路CWB2は、セルウエルバイアス回路の出力ノードと接地ノードとの間に直列に接続されたHND型のトランジスタTD1 、HNE型のトランジスタHN、HND型のトランジスタTD2 からなる。
【0093】そして、前記トランジスタTD1 はゲートにVccが印加され、トランジスタTD2 はゲートにVssが印加され、トランジスタHNはそのゲートに印加される制御信号CPWELLVSS2によりデータ消去後にオン状態にスイッチ制御される。
【0094】図5は、セルソース線CELSRCに選択的にバイアスを印加するためのセルソース線バイアス回路51〜53の一例を示している。このセルソース線バイアス回路51〜53は、セルソース線CELSRCを接地ノードに選択的に接続するための第1のセルソース線バイアス部51と、セルソース線CELSRCをVccノードに選択的に接続するための第2のセルソース線バイアス部52と、セルソース線CELSRCをVccノードよりも高電位(例えば4V)のVreadノードに選択的に接続するための第3のセルソース線バイアス部53とからなる。
【0095】前記第1のセルソース線バイアス部51は、セルソース線CELSRCと接地ノードとの間にドレイン・ソース間が接続されたHNE型のトランジスタT1 からなり、そのゲートには制御信号SRCSIG1 が印加される。
【0096】前記第2のセルソース線バイアス部52は、Vccノードとセルソース線CELSRCとの間に直列に接続されたPチャネルトランジスタT2 およびHND型のトランジスタT3 を有し、上記HND型のトランジスタT3 のゲートには制御信号SRCSIG2 が印加され、前記PチャネルトランジスタT2 のゲートには制御信号SRCSIG2 がインバータ回路IVにより反転された信号が印加される。
【0097】前記第3のセルソース線バイアス部53は、クロック信号CLK および制御信号SRCSIG3 が入力するナンド回路NAと、このナンド回路NAの出力信号を反転するインバータ回路IVと、前記制御信号SRCSIG3 が一端に供給され、ゲートが接地ノードに接続されたHND型のトランジスタT4 と、このトランジスタT4 の他端にソースが接続され、ゲート・ドレイン同士が接続されたHNI型のトランジスタT5 と、このトランジスタT5 のゲート・ドレインと前記ナンド回路NAの出力端との間に接続された昇圧用のキャパシタC1と、前記トランジスタT5のゲート・ドレインにソースが接続され、ゲート・ドレイン同士が接続されたHNI型のトランジスタT6 と、このトランジスタT6 のゲート・ドレインと前記インバータ回路IVの出力端との間に接続された昇圧用のキャパシタC2と、Vccノードよりも高電位のVreadノードと前記トランジスタT6 のゲート・ドレインとの間にドレイン・ソース間が接続され、ゲートが前記トランジスタT4 の他端に接続されたHNE型のトランジスタT7 と、Vreadノードと前記トランジスタT4 の他端との間にドレイン・ソース間が接続され、ゲート・ソース同士が接続されたHNE型のトランジスタT8 と、Vreadノードとセルソース線CELSRCとの間にドレイン・ソース間が接続され、ゲートが前記トランジスタT4 の他端に接続されたHNE型のトランジスタT9 とからなる。
【0098】ここで、図5のセルソース線バイアス回路51〜53の動作を説明しておく。データ読み出し時には、第1のセルソース線バイアス部51の制御信号SRCSIG1の電位をVccにすると、トランジスタT1 がオン状態に制御されてセルソース線CELSRCが接地ノードに接続される。
【0099】データ書込み時にセルソース線CELSRCにVccノードの電位を印加する場合には、第2のセルソース線バイアス部52の制御信号SRCSIG2 の電位をVccにすると、インバータ回路IVの出力によってPMOSトランジスタT2 がオン状態に制御され、VccノードのVcc電位がPMOSトランジスタT2 およびHND型のトランジスタT3 を介してセルソース線CELSRCに供給される。
【0100】データ書込み時にセルソース線CELSRCにVreadノードの電位を印加する場合には、第3のセルソース線バイアス部53の制御信号SRCSIG3 をVcc電位にする。それにより、ナンド回路NA、インバータ回路IV、キャパシタC1、C2、トランジスタT4 〜T8 からなる昇圧回路がクロック信号CLK に基づいて昇圧し、トランジスタT9 がオン状態に制御され、Vreadノードの電位が前記トランジスタT9 を経てセルソース線CELSRCに供給される。
【0101】なお、スタンバイ状態(待機状態)では、制御信号SRCSIG1 の電位をVcc、制御信号SRCSIG2 およびSRCSIG3 の電位をVssにし、セルソース線CELSRCを接地ノードに接続する。
【0102】データ消去時には、図6を参照して後述するように時刻ECLK0 に制御信号SRCSIG1 〜SRCSIG3 の電位をそれぞれVssにすることにより、第1のセルソース線バイアス部51のトランジスタT1 、第2のセルソース線バイアス部52のトランジスタT2 および第3のセルソース線バイアス部53のトランジスタT9 をそれぞれオフ状態に制御し、セルソース線CELSRCをフローティング状態にする。そして、セルウエルとの容量結合によりセルソース線CELSRCを消去電圧に昇圧する。
【0103】データ消去後のリカバリー(リセット)時にも、制御信号SRCSIG1 〜SRCSIG3の電位をそれぞれVssに維持し、前記セルウエルとの容量結合によりセルソース線CELSRCの電圧を放電させる。
【0104】この後、図6を参照して後述するように時刻ECLK4 に制御信号SRCSIG1 の電位をVccにし、セルソース線CELSRCを接地ノードに接続する。図6は、第1実施例のNAND型EEPROMのデータ消去動作の一例として、図3中のNANDブロック1のNANDセル群NBLK1が消去選択、NANDブロック2のNANDセル群NBLK2が消去非選択の場合の各部の信号波形を示している。なお、データ消去動作の制御シーケンスは、図示しないシーケンシャル制御回路により制御される。
【0105】次に、図1乃至図6を参照しながら、第1実施例のNAND型EEPROMのデータ消去動作を詳細に説明する。消去動作が開始する時刻ECLK0 より前に、セルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)、P基板(PSUB)はVssである。また、図3中のNANDブロック1のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16およびNANDブロック2のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16は0Vに設定されており、ロウデコード信号OSCRD はVss、信号BSTON はVccである。
【0106】消去動作が開始する時刻ECLK0 に、図3中の消去選択されたNANDブロック1では、ブロック選択信号RDECI1がVccになり、ブロック駆動回路313の出力信号(ブロック1駆動信号BLKDRV1 )はVccになり、トランスファゲートHN1〜HN16はオン状態になる。その結果、NANDブロック1の制御ゲート線CG1 〜CG16は0Vに接地される。
【0107】これに対して、図3中の消去非選択のNANDブロック2では、ブロック選択信号RDECI2がVssになり、ブロック駆動回路323の出力信号(ブロック2駆動信号BLKDRV2 )はVssになり、トランスファゲートHN1 〜HN16はオフ状態になる。その結果、NANDブロック2の各制御ゲート線はフローティング状態になる。
【0108】一方、上記時刻ECLK0 に、図3中のビット線側選択ゲートのゲート線駆動信号SGD、セルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)がVccになる。これにより、全ての選択ゲートのゲート(つまり、NANDブロック1およびNANDブロック2のゲート線相互接続ノードSG1、NANDブロック1のソース線側選択ゲートのゲートノードSG2、NANDブロック2のソース線側選択ゲートのゲートノードSG3)がVcc−Vth(Vthはトランスファゲートの閾値電圧)になり、フローティング状態になる。
【0109】なお、図3中のブロック選択信号RDECI1あるいはRDECI2がゲートに入力するトランジスタHNは、消去動作時にはSGDSノードがVccになることにより全てオフ状態になり、前記ノードSG1〜SG3がフローティング状態になることを妨げない。そして、読み出し動作時にはSGDSノードが0Vになることにより非選択のブロックに対応するノードSG1〜SG3に接続されているトランジスタHNがオン状態になり、非選択のブロックの制御ゲート線を接地する役割を有する。
【0110】また、時刻ECLK0 に制御信号SRCSIG1 がVssになることにより、図5中の第1のセルソース線バイアス回路51において、トランジスタT1 はオフ状態に制御され、その結果、セルソース線CELSRCは接地経路から切り離されてフローティング状態になる。
【0111】また、時刻ECLK0 に、制御信号BLCU0 、BLCU1 はVccであり、図2中のトランジスタTNi0はオン状態である。そして、時刻ECLK0 に、制御信号BLCRL 、BLTR0 、BLTR1 がVccになり、図2中の各ビット線BLi の電位はVcc−Vthになってフローティング状態になる。
【0112】また、時刻ECLK0 に、制御信号CPWELLVSS1およびCPWELLVSS2がVssに制御されることにより、図4中のセルウエル接地回路CBW1、セルウエル放電回路CBW2はそれぞれオフになる。
【0113】次に、時刻ECLK1 に、消去用昇圧回路駆動信号LIMVERAnがVssになることにより、図1中の消去用昇圧回路9aから消去電圧Vppe (例えば20V)が出力し、この消去電圧Vppe がセルウエルに印加され、セルウエルが消去電圧Vppe に充電される。
【0114】この消去用昇圧回路9aの出力は、図4中のセルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)にのみ接続されているので、このセルウエルを通じて非選択ブロックのセルの制御ゲート、ビット線BLi 、セルソース線CELSRCは昇圧されるが、選択ブロックのセルの制御ゲート(制御ゲート線CG1 〜CG16)は0Vのままである。
【0115】この場合、前記時刻ECLK0 以後の消去動作中および消去電圧放電中、プリチャージ制御信号BLPRE はVssのままであり、制御信号BLCDおよびBLCLAMP をVssにすることにより、図2中のトランジスタN4 およびN1 はオフ状態になり、図2中のセンスアンプSAはビット線センスノードBNから電気的に分離されるので、上記センスアンプSAによるビット線センスノードBNの放電は行われない。
【0116】また、消去動作中および消去電圧放電中、図5の第1のセルソース線バイアス部51もオフ状態を維持するので、第1のセルソース線バイアス部51によるセルソース線CELSRCの放電は行われない。
【0117】消去終了後の時刻ECLK3 に、制御信号CPWELLVSS2がVccになり、図4中のセルウエル放電回路CBW2はオン状態になり、このセルウエル放電回路CBW2を通じてセルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)の消去電圧が放電される。
【0118】セルPウエル(CPWELL)、セルNウエル(CNWELL)の消去電圧が放電された後の時刻ECLK4 に、制御信号CPWELLVSS1がVccになり、図4中のセルウエル接地回路CBW1はオン状態になる。また、制御信号SRCSIG1 がVccになり、第1のセルソース線バイアス部51によりセル、ソース線CELSRCも接地される。
【0119】なお、図6中、制御信号BLCU0 、BLCU1 、BLTR0 、BLTR1 をVssではなくVccにしているのは、これらの制御信号BLCU0 、BLCU1 、BLTR0 、BLTR1 がゲート電圧に印加される図2中のトランジスタTNi0、TNi1のドレインのブレークダウン(サーフェス・ブレークダウン)を生じ難くするためである。
【0120】しかし、上記サーフェス・ブレークダウンを考慮しなくてよい場合には、上記制御信号BLTR0 、BLTR1 をVssにすれば図2中のトランジスタTNi1がオフ状態になるので、制御信号BLCDおよびBLCLAMP の電位を任意に設定してもセンスアンプによるビット線BLi の放電は行われない。
【0121】なお、消去選択セルのゲート電圧(図3中のNANDブロック1の制御ゲート線CG1 〜CG16)は、上記実施例では0Vであるが、例えば0.5Vであってもよい。
【0122】この場合、図3中のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16が0.5Vにバイアスされる。その結果、消去非選択ブロックのトランスファゲート(図3中のNANDブロック2のトランスファゲートHN1 〜HN16)はゲート電圧が0Vであるが、NANDブロック2のワード線駆動信号CGN1 〜CGN16が0.5Vになることにより、カットオフ特性が向上し、非選択セルの制御ゲートからワード線駆動信号CGN1 〜CGN16側へのリークを小さくすることができる。
【0123】なお、本発明は、上記実施例のメモリセルアレイを有するメモリに限定されるものではなく、例えば本願出願人に係る特願平7-957023号のようなメモリセルの両端にビット線が接続するバーチャル・グランドタイプのメモリセルアレイを有するメモリにも適用可能である。
【0124】また、本発明は、上記実施例のような2値メモリセルを用いるメモリに限定されるものではなく、1つのメモリセルに3値以上のデータを記憶する多値メモリセルを用いるメモリにも適用可能である。
【0125】
【発明の効果】上述したように本発明の不揮発性半導体記憶装置によれば、データ消去後において、ビット線コンタクト部のn+ 拡散領域とセルPウエルとの接合からなるpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生、ロウデコーダ内のトランスファゲート用のNMOSトランジスタのドレインノードとP基板間のpnダイオードに順方向電流が流れることによるラッチアップの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るNANDセル型EEPROMを示すブロック図。
【図2】図1中のメモリセルアレイにおける一部のビット線BLに対応するセンスアンプ兼データラッチ回路周辺のコア回路の一例を示す回路図。
【図3】図1中のロウデコーダおよびメモリセルアレイの一部を示す回路図。
【図4】セルウエルバイアス回路の一例を示す回路図。
【図5】セルソース線バイアス回路の一例を示す回路図。
【図6】第1実施例のNAND型EEPROMのデータ消去動作の一例を説明するために示す信号波形図。
【図7】メモリセルアレイにおける1つのNANDセル部分を示す平面図および等価回路図。
【図8】図7中のA−A’線、B−B’線に沿う断面図。
【図9】NANDセルがマトリクス状に配列されたメモリセルアレイを示す等価回路図。
【図10】NAND型EEPROMのウエル構成の一例を示す断面図。
【図11】メモリセルの一部およびその制御ゲートに接続されているロウデコーダの一部を示す断面図。
【符号の説明】
CWB1…セルウエル接地回路、
CWB2…セルウエル放電回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不揮発性のメモリセルを少なくとも1つ含むメモリセルユニットと、前記メモリセルユニットが形成されるメモリセルウエルと、前記メモリセルユニットの一端に接続された第1の信号線と、前記メモリセルユニットの他端に接続された第2の信号線と、前記メモリセルの記憶データを消去する際、前記メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、前記第1の信号線および第2の信号線をフローティング状態にして前記メモリセルウエルの電圧を放電させるように制御する消去制御手段とを具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】 請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御手段は、前記メモリセルウエルに消去電圧を印加するための消去電圧印加回路と、前記メモリセルウエルの電圧を放電させるメモリセルウエル放電回路とを具備し、前記第1の信号線および前記第2の信号線をフローティング状態にして前記メモリセルウエルに前記消去電圧印加回路から消去電圧を印加して消去動作を行わせた後、前記第1の信号線および前記第2の信号線をフローティング状態のままにして前記メモリセルウエル放電回路を用いて前記メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】 請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記メモリセルウエルはP型半導体領域であり、前記メモリセルは前記メモリセルウエルに形成されたN型半導体領域からなるドレイン・ソースを有し、前記消去電圧は正の電圧であることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】 請求項1または2記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御手段は、前記メモリセルのデータ消去動作時は、選択されたメモリセルの制御ゲートに消去制御ゲート電圧を印加し、非選択のメモリセルの制御ゲートをフローティング状態にし、消去動作後は、前記非選択のメモリセルの制御ゲートをフローティング状態のままにして消去電圧を放電させることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】 請求項4記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御ゲート電圧は接地電位であることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】 請求項4または5記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御手段は、前記消去電圧を定電流で放電させることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】 請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記メモリセルユニットの第1の信号線側に接続され、スイッチ制御される第1の選択トランジスタと、前記メモリセルユニットの第2の信号線側に接続され、スイッチ制御される第2の選択トランジスタとをさらに具備し、前記消去制御手段は、前記メモリセルのデータ消去動作時は、選択されたメモリセルユニットに接続されている前記第1、第2の選択トランジスタの各ゲートおよび非選択のメモリセルユニットに接続する第1、第2の選択トランジスタの各ゲートをそれぞれフローティング状態にすることにより、選択されたメモリセルユニットのメモリセルにのみ消去動作を行わせ、消去動作後は、前記選択されたメモリセルユニットに接続されている第1、第2の選択トランジスタの各ゲートおよび非選択のメモリセルユニットに接続されている第1、第2の選択トランジスタの各ゲートをそれぞれフローティング状態のままにして前記メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記メモリセルユニットは互いに直列接続された複数のメモリセルを含み、前記第1の信号線は選択されたメモリセルユニットとの間でデータを授受するためのビット線であり、前記第2の信号線はソース線であることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項1】 不揮発性のメモリセルを少なくとも1つ含むメモリセルユニットと、前記メモリセルユニットが形成されるメモリセルウエルと、前記メモリセルユニットの一端に接続された第1の信号線と、前記メモリセルユニットの他端に接続された第2の信号線と、前記メモリセルの記憶データを消去する際、前記メモリセルウエルに消去電圧を所定期間印加して消去動作を行わせた後、前記第1の信号線および第2の信号線をフローティング状態にして前記メモリセルウエルの電圧を放電させるように制御する消去制御手段とを具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】 請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御手段は、前記メモリセルウエルに消去電圧を印加するための消去電圧印加回路と、前記メモリセルウエルの電圧を放電させるメモリセルウエル放電回路とを具備し、前記第1の信号線および前記第2の信号線をフローティング状態にして前記メモリセルウエルに前記消去電圧印加回路から消去電圧を印加して消去動作を行わせた後、前記第1の信号線および前記第2の信号線をフローティング状態のままにして前記メモリセルウエル放電回路を用いて前記メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】 請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記メモリセルウエルはP型半導体領域であり、前記メモリセルは前記メモリセルウエルに形成されたN型半導体領域からなるドレイン・ソースを有し、前記消去電圧は正の電圧であることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】 請求項1または2記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御手段は、前記メモリセルのデータ消去動作時は、選択されたメモリセルの制御ゲートに消去制御ゲート電圧を印加し、非選択のメモリセルの制御ゲートをフローティング状態にし、消去動作後は、前記非選択のメモリセルの制御ゲートをフローティング状態のままにして消去電圧を放電させることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】 請求項4記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御ゲート電圧は接地電位であることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】 請求項4または5記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記消去制御手段は、前記消去電圧を定電流で放電させることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】 請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記メモリセルユニットの第1の信号線側に接続され、スイッチ制御される第1の選択トランジスタと、前記メモリセルユニットの第2の信号線側に接続され、スイッチ制御される第2の選択トランジスタとをさらに具備し、前記消去制御手段は、前記メモリセルのデータ消去動作時は、選択されたメモリセルユニットに接続されている前記第1、第2の選択トランジスタの各ゲートおよび非選択のメモリセルユニットに接続する第1、第2の選択トランジスタの各ゲートをそれぞれフローティング状態にすることにより、選択されたメモリセルユニットのメモリセルにのみ消去動作を行わせ、消去動作後は、前記選択されたメモリセルユニットに接続されている第1、第2の選択トランジスタの各ゲートおよび非選択のメモリセルユニットに接続されている第1、第2の選択トランジスタの各ゲートをそれぞれフローティング状態のままにして前記メモリセルウエルの消去電圧を放電させるように制御することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記メモリセルユニットは互いに直列接続された複数のメモリセルを含み、前記第1の信号線は選択されたメモリセルユニットとの間でデータを授受するためのビット線であり、前記第2の信号線はソース線であることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図4】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2000−21186(P2000−21186A)
【公開日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−187627
【出願日】平成10年7月2日(1998.7.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年7月2日(1998.7.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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