説明

両親媒性ブロックコポリマー及びポリオールの組合せを含む熱硬化性組成物並びにそれからの熱硬化生成物

(a)少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー、(b)少なくとも1種のポリオール、(c)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも2個のオキシラン環を含むエポキシ樹脂、(d)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも1個の無水物環を含む無水物硬化剤及び(e)少なくとも1種の触媒を含む熱硬化性組成物並びにこの熱硬化性組成物から製造された熱硬化生成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両親媒性ブロックコポリマー、ポリオール、無水物、エポキシド及び触媒を含む熱硬化性組成物並びにそのような熱硬化性組成物から製造された熱硬化生成物に関する。本発明の熱硬化性組成物から製造された熱硬化生成物は、高い耐熱性を維持しながら、改良された機械的性能、特に靱性及び機械的強度を有する。本発明の組成物は、種々の用途、例えば注型、注封及び封入、例えば電気及びエレクトロニクス用途並びにコンポジットにおいて有用である。
【背景技術】
【0002】
一部の(some)熱硬化性樹脂は、良好な靱性及び良好な機械的特性を有することが知られており、一部の熱硬化性樹脂は良好な耐熱性を有することが知られており、そして一部の熱硬化性樹脂は、良好な加工性を有することが知られている。しかしながら、従来、このような熱硬化性樹脂を大規模で製造することができ、そして著しい応力及び湿分曝露下の高性能用途で使用することができる程度まで、上記の性能のそれぞれ及びすべてを示す熱硬化性樹脂は製造されていなかった。
【0003】
樹脂の良好な耐熱性及び良好な加工性を維持しながら、改良された機械的特性(例えば、より高い靱性及び機械的強度)を有する熱硬化性樹脂についてのニーズが存在する。高い靱性及び高い機械的強度は、より少ない亀裂及び高い機械的一体性、欠陥数の減少並びに最終製品の信頼性及び寿命の改良に至る。高い耐熱性は高い操作(operation)温度を可能にする。低い配合物粘度は、加工性を改良し、高充填材配合を可能にする。
【0004】
従来、当業者は、種々の添加剤、例えば柔軟剤及び強化剤を、熱硬化性樹脂に添加することによって、熱硬化性樹脂の特性を改良することを試みてきた。しかしながら、熱硬化性樹脂中での従来の柔軟剤、例えば線状ポリオールの使用は、靱性の中度の改良に至るのみであり、得られる低い(100℃よりも低い)ガラス転移温度のために、熱硬化樹脂の熱安定性を著しく低下させる。熱硬化性樹脂中での従来の強化剤の使用は、得られる配合物の高い粘度のために、そして相分離プロセスの複雑性のために、加工性の問題を生ずる。
【0005】
例えば熱硬化性樹脂中での従来の強化剤、例えば液体ゴム、コア−シェル粒子及び熱可塑性ポリマーの使用は、熱硬化性樹脂の幾つかの他の特性、例えばガラス転移温度、機械的特性、粘度等に悪影響を与えるという犠牲を払って、熱硬化性樹脂の靱性を増加させる。靱性を改良するために液体ゴム及び熱可塑性ポリマーを使用するときに、ガラス転移温度及び機械的強度を維持することは困難であり、コア−シェル粒子の固有の性質のために、これらの粒子を、追加の処理をすることなく、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂の中に完全に分散させることは困難である。
【0006】
更に、強化された熱硬化性組成物に向けて試みるために使用されてきた種々の先行技術が存在する。例えば特許文献1には、硬化剤、エポキシ樹脂及び熱可塑性ポリマーの特定のグループを含む組成物が記載されている。構造繊維と組合せられたときに、この組成物は、改良された耐衝撃性、改良された引張特性及び高い圧縮特性を有するコンポジットを生じる。しかしながら、特許文献1には、熱硬化性樹脂中に熱可塑性ポリマーを添加することによる従来の強化方法が記載されており、エポキシ樹脂システムの中に熱可塑性ポリマーを含ませて、その耐衝撃性を改良することが開示されている。特許文献1では熱可塑性ポリマー強化剤が使用されており、特許文献1には、エポキシ樹脂系中の強化剤として、両親媒性ブロックコポリマーを使用することは教示されていない。
【0007】
特許文献2には、ポリ(オキシプロピレン)ジオール又はトリオールを、化学的過剰量のエポキシ樹脂用無水物硬化剤と反応させることにより、強靱なエポキシポリマーが形成されることが開示されている。次いで、得られるジエステル−二酸を、エピクロロヒドリン−ビスフェノールAエポキシ樹脂と重合させている。適切なイミダゾール触媒が、この反応のために推奨されている。しかしながら、特許文献2には、強化剤の使用は開示されておらず、エポキシ樹脂系中の強化剤としての、両親媒性ブロックコポリマーの使用は教示されていない。
【0008】
特許文献3には、95〜40モル%のテレフタル酸、5〜60モル%のトランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸及び少なくとも60モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールのポリエステルを、射出成形して、例外的に高い衝撃強度及び良好な耐薬品性を有する造形物を得ることができることが開示されている。更に、特許文献3に記載のポリエステルは、フィルムに押出すこと、繊維に紡糸すること又はこれらの特性を有するボトルに吹込成形することができる。特許文献3では、強化剤が使用されておらず、エポキシ樹脂系中の強化剤としての、両親媒性ブロックコポリマーの使用は教示されていない。
【0009】
特許文献4には、(1)1よりも大きいエポキシ官能価及び約150〜10,000の分子量を有するグリシジルエーテルエポキシド;(2)(i)式:H+SbF5X−(式中、Xはハロゲン、ヒドロキシ又は−ORであり、−ORは約10,000よりも低い分子量を有する脂肪族又は芳香族アルコールの残基である)の酸及び(ii)N,N−ジエチル−o−トルイジンを含んでなる触媒;(3)約2〜18個の炭素原子を有し、少なくとも2個のヒドロキシル基(第一級又は第二級である)を有し、電子求引性置換基、アミン置換基又はポリオールのメチロール基に結合している炭素に対してα−位で立体障害を起こす、大きい置換基を含まない脂肪族又は非芳香族環式ポリオール並びに(4)硬化の間にエポキシドと反応せず、エポキシド相溶性成分及びエポキシド非相溶性成分を有する強化剤を含む熱硬化性一液型エポキシ接着組成物が開示されている。
【0010】
特許文献4には、ポリオール及び強化剤を含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献4には異なった強化剤が記載されており、この強化剤は以下の3種類に分割することができる。
【0011】
1.アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル、モノビニル芳香族炭化水素又はこれらの混合物のシェルがグラフト化されている、重合されたジエンゴム状主鎖又はコア。
【0012】
2.コア又は主鎖(back bone)が、約0℃よりも低いガラス転移温度を有するポリアクリレートポリマーであるコア−シェルグラフトコポリマー。
【0013】
3.約25℃よりも低いガラス転移温度を有し、組成物の他の成分と混合する前に、エポキシド中でインシトゥで(その場で)重合されている、エラストマー性粒子。
【0014】
上記の3種類の強化剤(コア−シェル粒子及びエラストマー粒子)の全ては、両親媒性ブロックコポリマー強化剤とは異なっている。いずれの先行技術にも、無水物と反応し、そしてエポキシと反応させることができる反応性強化剤は利用されていない。
【0015】
特許文献5には、低温で予想外に高い衝撃強度を示す、熱成形プラスチック製品、例えば冷凍食品トレーが開示されている。この物品は、88〜99重量%のポリ(エチレンテレフタレート)樹脂及び1〜12重量%のポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂(これは、少なくとも30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含有する)を含有するポリエステルブレンドから得られる。
【0016】
特許文献5には、プラスチック製品中に熱成形された熱可塑性PET材料が記載されている。特許文献5には、エポキシ樹脂系中の強化剤としての、両親媒性ブロックコポリマーを含む熱硬化配合物の使用は教示されていない。
【0017】
特許文献6には、溶媒に対する改良された耐性を与えるように変性された、良好な柔軟性及び耐衝撃性を有するエポキシ樹脂系が開示されている。500よりも低い分子量を有するポリアルキレンオキサイドセグメントの含有によって、機械的特性を犠牲にすることなく、改良された耐薬品性がもたらされる。これを達成するために、低分子量のアルコキシル化ポリオールを、ポリカルボン酸無水物と反応させて、半エステルを製造し、次いでこれを使用して、ポリグリシジルエーテルとの付加物を形成することによって、柔軟化したエポキシ樹脂を合成する。この柔軟化したエポキシ樹脂及び酸官能化オリゴオキシアルキレンは特許文献6中に教示されている。
【0018】
しかしながら、特許文献6の技術は、ネットワークを柔軟化するためにポリオール変性硬化剤は使用するが、強化剤は使用しない。特許文献6には、エポキシ樹脂系中の強化剤としての、両親媒性ブロックコポリマー(これは改良された柔軟化をもたらし、Tgを維持する)の使用は教示されていない。
【0019】
特許文献7には、(a)少なくとも1種の、平均で、1分子当たり1個よりも多い1,2−エポキシ基を含有するエポキシ樹脂、(b)エポキシ樹脂(a)のための無水物硬化剤、(c)強化剤及び(d)エポキシ樹脂(a)と反応することができる2個の活性水素原子を含む化合物を含有し、顕著な靱性を有し、そして注型用樹脂、ラミネート用樹脂、成形用配合物、被覆用配合物並びに電気及び電子コンポーネント用の封入系として適しているエポキシ樹脂組成物が開示されている。
【0020】
特許文献7は、靱性を改良するために、コア/シェルポリマー強化剤を系中に含ませることを教示しており、これは、強化剤として両親媒性ブロックコポリマーを含ませることとは異なっている。また、特許文献7には、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸又はビフェノール(これは単核ジフェノール)、ジヒドロキシナフタリン、ジヒドロキシビフェニル又はメチレン、イソプロピリデン、O、SO2若しくはSブリッジを有し、芳香族核に結合された2個のヒドロキシル基を含む他の二核芳香族化合物(ここで、ベンゼン環はハロゲン原子を含むことができる)である)が含まれていない。
【0021】
特許文献8には、(a)熱硬化性エポキシ樹脂並びに(b)少なくとも1個のエポキシ樹脂混和性ブロックセグメント及び少なくとも1個のエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメントを含む両親媒性ブロックコポリマーを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物であって、この非混和性ブロックセグメントが少なくとも1個のポリエーテル構造を含むが、エポキシ樹脂組成物が硬化されたときに、得られる硬化したエポキシ樹脂組成物の靱性が増加するように、該非混和性ブロックセグメントのポリエーテル構造が、少なくとも1個又はそれ以上の、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドモノマー単位を含む、硬化性エポキシ樹脂組成物が開示されている。この両親媒性ブロックコポリマーは、好ましくは全てのポリエーテルブロックコポリマー、例えばPEO−PBOジブロックコポリマー又はPEO−PBO−PEOトリブロックコポリマーである。
【0022】
特許文献8には、エポキシ樹脂配合物中での両親媒性強化剤の使用が記載されている。しかしながら、特許文献8に記載されている技術は、(i)曲げ弾性率、(ii)引張強度、引張伸び、KIc及び曲げ歪み又は(iii)Tg値の改良を教示又は示唆していない。
【0023】
従って、特に、従来の強化技術と比較したときに、靱性を増加させながら、ガラス転移温度によって定義されるような熱安定性の顕著に低下させることなく、その機械的特性、例えば引張強度及び曲げ強度の改良を示す熱硬化性樹脂に対する、産業界に於けるニーズが、依然として存在する。
【0024】
従って、従来の熱硬化樹脂を超えた、前記特性及び特徴の1つ又はそれ以上に対する改良を有する熱硬化生成物を提供することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】欧州特許出願公開第126494A1号明細書
【特許文献2】米国特許第4,497,945号明細書
【特許文献3】米国特許第4,551,520号明細書
【特許文献4】米国特許第4,846,905号明細書
【特許文献5】米国特許第5,382,628号明細書
【特許文献6】国際特許出願公開第WO1998001495A1号明細書
【特許文献7】米国特許第5,789,482号明細書
【特許文献8】国際特許出願公開第2006052729A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、前記の従来の熱硬化樹脂を超えた顕著で、驚くべき改良を提供する。
【0027】
本発明の一つの面は、(a)少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー、(b)少なくとも1種のポリオール、(c)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも2個のオキシラン環を含むエポキシ樹脂、(d)少なくとも1種の、1分子当たり平均で少なくとも1個の無水物環を含む無水物硬化剤及び(e)少なくとも1種の触媒を含んでなる熱硬化性組成物に関する。
【0028】
本発明の別の面は、上記の熱硬化性組成物の製造プロセスに関する。
【0029】
本発明の更に別の面は、上記の熱硬化性組成物を硬化させることによって製造された硬化した熱硬化生成物に関する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、得られる熱硬化性組成物の靱性、機械的特性及び耐熱性の間の良好なバランスを達成するために、両親媒性ブロックコポリマーとポリオール、例えばポリエーテルポリオール又はシクロ脂肪族ポリオールとの組合せを使用することを含む。ポリオール、例えばポリエーテルポリオール又はシクロ脂肪族ポリオールを含まない先行技術の系と比較したときに、本発明の組成物は、先行技術の系、を超えて著しく改良された靱性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明を例示し、それによって限定すべきではない目的のために、本発明の形態を示すために、ここに下記の図面を提供する。
【図1】図1は靱性(KIc)の関数としての曲げ強度を示すグラフ表示である。
【図2】図2は靱性(KIc)の関数としての引張強度を示すグラフ表示である。
【図3】図3は靱性(KIc)の関数としての破断点曲げ歪みを示すグラフ表示である。
【図4】図4は靱性(KIc)の関数としての破断点引張伸びを示すグラフ表示である。
【図5】図5は靱性(KIc)の関数としてのTgを示すグラフ表示である。
【0032】
図1〜5は、熱硬化生成物を、少なくとも1種のエポキシ樹脂とブレンドした、少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー及び少なくとも1種のポリオールを含む熱硬化性組成物から製造したときの、得られる熱硬化生成物の機械的又は熱的特性についての予想外の相乗効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明において、本発明の具体的な態様を、その好ましい態様と関連させて説明する。しかしながら、以下の説明が本発明の技術の特定の態様又は特定の使用に具体的である程度まで、例示のみであり、代表的な態様の簡潔な説明を単に提供することを意図するものである。従って、本発明は、以下の特定の態様に限定されず、本発明は、付属する特許請求の範囲の真の範囲内に入る全ての代替、修正及び均等を含む。
【0034】
他の方法で記載されない限り、化合物又は成分に対する参照には、それ自体及び他の化合物又は成分と組合せた化合物又は成分、例えば化合物の混合物又は組合せを含む。
【0035】
本明細書中で使用する単数形(a, an及びthe)には、文脈が明白に他の方法で指示していない限り、複数の参照物を含む。
【0036】
本発明の目的は、両親媒性ブロックコポリマー、ポリオール、無水物、エポキシド、触媒及び任意的に無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、高い耐熱性を維持しながら、熱硬化性樹脂組成物、例えばエポキシ/無水物熱硬化性組成物の、機械的性能、特に靱性及び機械的強度を改良することである。両親媒性ブロックコポリマー及びポリオールを熱硬化性樹脂組成物の中に含有させることによって、ガラス転移温度への顕著な負の影響を与えることなく、機械的特性、例えばより高い靱性及びより高い機械的強度が著しく改良される。
【0038】
本発明の更に別の目的は、良好な耐熱性及び良好な加工性を維持しながら、改良された機械的特性(例えばより高い靱性及び機械的強度)を有する、硬化した熱硬化生成物を提供することである。本発明生成物の高い靱性及び高い機械的強度は、より少ない亀裂及び高い機械的結着性、欠陥数の減少並びに最終製品の信頼性及び寿命の改良をもたらす。更に、高い耐熱性は、本発明の組成物を高い操作温度で使用することを可能にする。
【0039】
本発明の別の目的は、注型、注封及び封入、例えば電気及びエレクトロニクス用途、例えば電気注型/被覆及び封入用途並びにコンポジット被覆において使用される硬化性組成物を改良することである。本発明は、高い靱性を必要とする用途において有用であろう。このような用途の例には、コンポジット、ラミネート又は反応性被覆用途が含まれる。
【0040】
その最も広い範囲において、本発明は、(a)少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー、(b)少なくとも1種のポリオール、(c)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも2個のオキシラン環を含むエポキシ樹脂、(d)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも1個の無水物環を含む無水物硬化剤及び(e)少なくとも1種の触媒を含む硬化性又は熱硬化性組成物に関する。
【0041】
本発明において、両親媒性ブロックコポリマーとポリオールとの組合せの利用は、有利に、その靱性を増加させながら、その熱安定性を著しく低下させることなく、熱硬化性組成物に、機械的特性の改良を与える。いずれの先行技術においても、本発明の成分の組合せ、例えば、両親媒性ブロックコポリマーとポリオールとの組合せは利用されていなかった。
【0042】
本発明において有用な成分(a)である両親媒性ブロックコポリマーには、種々の両親媒性ブロックコポリマー、例えば米国特許第6,887,574号明細書及び国際特許出願公開第2006/052727号明細書(参照して本明細書に含める)中に記載されている両親媒性ポリマーが含まれてよい。例えば本明細書中に開示された態様において使用される両親媒性ポリエーテルブロックコポリマーには、エポキシ樹脂混和性ブロックセグメント及びエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメントを含む任意のブロックコポリマーが含まれてよい。
【0043】
一部の態様において、適切なブロックコポリマーには、両親媒性ポリエーテルジブロックコポリマー、例えばポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)(PEO−PBO)又は両親媒性ポリエーテルトリブロックコポリマー、例えばポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)−b−ポリ(エチレンオキサイド)(PEO−PBO−PEO)が含まれる。
【0044】
他の適切な両親媒性ブロックコポリマーには、例えばポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(エチレン−altプロピレン)(PEO−PEP)、ポリ(イソプレン−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー(PI−b−PEO)、ポリ(エチレンプロピレン−b−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー(PEP−b−PEO)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー(PB−b−PEO)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキサイドb−イソプレン)ブロックコポリマー(PI−b−PEO−PI)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキサイドb−メチルメタクリレート)ブロックコポリマー(PI−b−PEO−b−PMMA)及びこれらの混合物が含まれる。
【0045】
他の有用な両親媒性ブロックコポリマーは、PCT特許出願公開第WO2006/052725号明細書、同第WO2006/052726号明細書、同第WO2006/052727号明細書、特許文献8、PCT特許出願公開第WO2006/052730号明細書及び同第WO2005/097893号明細書、米国特許第6,887,574号明細書並びに米国特許出願公開第20040247881号明細書(これらのそれぞれを参照して本明細書に含める)中に開示されている。
【0046】
上記ブロックコポリマーの好ましい例は、ポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)(PEO−b−PBO)両親媒性ブロックコポリマー、PEO−b−PBO−b−PEO両親媒性ブロックコポリマー及びPEO−b−PBOとPEO−b−PBO−b−PEOとの混合物である。本発明において有用なブロックコポリマーの追加の例には、Valette等によって2007年7月13日に出願された米国特許出願第61/014,560号、発明の名称「シリコーンポリエーテルからなる熱硬化性組成物、それらの製造及び使用(Thermosetting Compositions Comprising Silicone Polyethers, Their Manufacture, and Uses)」(代理人Docket No.65822)中に記載されているシリコーンポリエーテルのようなブロックコポリマーが含まれる。
【0047】
前記両親媒性コポリマーは、少なくとも2種類のブロックセグメントを有し、その一方は、エポキシ樹脂と混和性であり、他方はエポキシ樹脂と非混和性である。一般的に、本発明において有用な両親媒性ブロックコポリマーには、少なくとも1個のエポキシ樹脂混和性ブロックセグメント及び少なくとも1個のエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメントを含む両親媒性ブロックコポリマーが含まれる。本発明の一つの態様において、非混和性ブロックセグメントは、該非混和性ブロックセグメントのポリエーテル構造が、少なくとも1個又はそれ以上の、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドモノマー単位を含有するという条件で、少なくとも1個のポリエーテル構造を含む。従って、この組成物の両親媒性ブロックコポリマー(a)は、少なくとも1個のエポキシ樹脂混和性ブロックセグメント及び少なくとも1個のエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメント(ここで、混和性ブロックセグメントは少なくとも1個のポリエーテル構造を含む)を含有する両親媒性ポリエーテルブロックコポリマーである。
【0048】
一般的に、両親媒性ブロックコポリマーの非混和性セグメントに対する両親媒性ブロックコポリマーの混和性セグメントの比は約10:1〜約1:10である。
【0049】
この組成物の両親媒性ブロックコポリマーは、好ましくはジブロック、線状トリブロック、線状テトラブロック、高次マルチブロック構造、分岐ブロック構造又は星形ブロック構造からなる群から選択される。
【0050】
本発明の組成物の一態様には、混和性ブロックセグメントが、ポリエチレンオキサイドブロック、プロピレンオキサイドブロック又はポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド)ブロックを含むことができる両親媒性ブロックコポリマーが含まれ、好ましくは両親媒性ブロックコポリマー(a)の混和性セグメントの少なくとも1個は、ポリ(エチレンオキサイド)である。両親媒性ブロックコポリマーの非混和性ブロックセグメントは、ポリブチレンオキサイドブロック、ポリヘキシレンオキサイドブロック、ポリドデシレンオキサイドブロック又はポリヘキサデシレンオキサイドブロックを含有することができ、好ましくは両親媒性ブロックコポリマー(a)の非混和性セグメントの少なくとも1個はポリ(ブチレンオキサイド)である。
【0051】
本発明の組成物中で有用な両親媒性ブロックコポリマーの更なる具体例には、ポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)又はポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)−b−ポリ(エチレンオキサイド)が含まれてよく、好ましくはポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ヘキシレンオキサイド)が含まれてよい。
【0052】
別の態様において、本発明の組成物は、2種又はそれ以上のブロックコポリマーのブレンドを含む両親媒性ブロックコポリマー(a)を含むことができる。
【0053】
一般的に、本発明の組成物中に使用される両親媒性ブロックコポリマー(a)は約1000〜約30000の分子量を有することができる。
【0054】
本明細書中に記載された熱硬化性組成物中に使用される両親媒性ブロックコポリマーの量は、ポリマーの当量重量及びこの組成物から製造される生成物の望まれる特性を含む種々の要因に依存するであろう。一般的に、両親媒性ブロックコポリマー(a)の濃度は、全有機化合物の重量基準で、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.2重量%〜約15重量%、更に好ましくは約0.3重量%〜約10重量%、最も好ましくは約0.4重量%〜約8重量%の範囲内であってよい。両親媒性ブロックコポリマーの濃度が20重量%よりも高い場合、機械的特性は著しく低下する。この濃度が0.1重量%よりも低い場合、得られるコンポジット生成物の靱性における更なる改良は存在しない。
【0055】
一般的に、本発明において有用な成分(b)であるポリオールは当該技術分野で公知のよく知られたポリオールの何れであってもよい。好ましくは、このポリオールは脂肪族ポリオールであってよい。この脂肪族ポリオールは2〜約20個の炭素原子を含有してよい。一つの態様において、この脂肪族ポリオールは、線状脂肪族ポリオール及び分岐脂肪族ポリオールの群から選択することができる。
【0056】
好ましい態様において、ポリオールはシクロ脂肪族ポリオール、更に好ましくは、6〜約20個の炭素原子を含有してよい。シクロ脂肪族ポリオールには、例えば1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はこれらの混合物(ここで、1,4−シクロヘキサンジメタノールの重量パーセントは、0%〜約100%であってよい)が含まれてよい。
【0057】
本発明の一態様の例示として、本発明において有用なポリオール成分(b)は、下記の式(I):
【0058】
【化1】

【0059】
(式中、Xは水素、炭素数1〜約10の分岐若しくは線状アルキル基又はヒドロキシル基によって置換された炭素数1〜約10のアルキル基であり、nは1〜約200の整数である)
の化合物であってよい。
【0060】
成分(b)であるポリオールは20〜10000、好ましくは30〜4000、更に好ましくは40〜2000、最も好ましくは100〜500の平均ヒドロキシル当量重量を有する。このポリオールの平均ヒドロキシル官能価(functionality)は、厳密に1よりも高い、好ましくは1.2よりも高い、更に好ましくは1.5よりも高い。このポリオールの平均ヒドロキシル官能価は10よりも低い、好ましくは6よりも低い、更に好ましくは4よりも低い。最も好ましい平均官能価は約2である。
【0061】
ポリオールの濃度は、全有機化合物の重量基準で、0.1%〜40%、好ましくは0.2%〜20%、更に好ましくは0.3%〜15%、最も好ましくは0.5%〜10%で選択される。ポリオールの濃度が40%よりも高い場合、ガラス転移温度が著しく低下する。ポリオールの濃度が0.1%よりも低い場合、靱性における損失と組合せた、機械的特性における明白な改良は存在しない。
【0062】
両親媒性ブロックコポリマー(a)のポリオール(b)に対する重量比は50:1〜1:50、好ましくは20:1〜1:40、更に好ましくは15:1〜1:30、最も好ましくは10:1〜1:20で選択される。これらの範囲よりも上及び下では、ポリオールとブロックコポリマーとの間で観察される相乗作用は、もはや目に見えず、特性は、単独成分で得られるものと同様である。
【0063】
本発明の熱硬化性組成物は、少なくとも1種のエポキシ樹脂成分(c)を含んでいる。エポキシ樹脂は、少なくとも1個の隣接エポキシ基を含む化合物である。このエポキシ樹脂は飽和又は不飽和、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族又は複素環式であってよく、置換されていてよい。このエポキシ樹脂はモノマー性又はポリマー性であってもよい。
【0064】
好ましくはエポキシ樹脂成分はポリエポキシドである。本明細書中に使用されるとき、ポリエポキシドは、1個より多いエポキシ単位を含有する、化合物又は化合物の混合物を指す。本明細書中に使用されるポリエポキシドは、部分的に進行したエポキシ樹脂、即ちポリエポキシドと連鎖延長剤との反応を含み、ここで、反応生成物は、平均で、分子当たり1個より多い未反応エポキシド単位を有する。脂肪族ポリエポキシドは、エピハロヒドリンとポリグリコールとの公知の反応から製造することができる。脂肪族エポキシドの他の具体例には、トリメチルプロパンエポキシド及びジグリシジル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレートが含まれる。本発明において使用することができる好ましい化合物には、例えば多価フェノール、即ち1分子当たり平均で1個より多い芳香族ヒドロキシル基を有する化合物、例えばジヒドロキシフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ハロゲン化ビフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、アルキル化ビフェノール、アルキル化ビスフェノール、トリスフェノール、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、置換されたフェノール−アルデヒドノボラック樹脂、フェノール−炭化水素樹脂、置換されたフェノール−炭化水素樹脂及びこれらの任意の組合せのグリシジルエーテルのようなエポキシ樹脂が含まれる。
【0065】
任意的に、本発明の樹脂組成物中に使用されるエポキシ樹脂は、少なくとも1種のハロゲン化された又はハロゲン含有エポキシ樹脂化合物である。ハロゲン含有エポキシ樹脂は、少なくとも1個の隣接エポキシ基及び少なくとも1個のハロゲンを含む化合物である。このハロゲンは、例えば塩素又は臭素であってよく、好ましくは臭素である。本発明において有用なハロゲン含有エポキシ樹脂の例には、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びその誘導体が含まれる。本発明において有用なエポキシ樹脂の例には、The Dow Chemical Companyから市販されている、D.E.R.(登録商標)500シリーズのような市販の樹脂が含まれる。
【0066】
ハロゲン含有エポキシ樹脂は、単独で、1種もしくはそれ以上の他のハロゲン含有エポキシ樹脂と組合せて又は1種もしくはそれ以上の他の異なった非ハロゲン含有エポキシ樹脂と組合せて使用することができる。ハロゲン化エポキシ樹脂の非ハロゲン化エポキシ樹脂に対する比は、好ましくは硬化した熱硬化樹脂に難燃性を与えるように選択される。存在することができるハロゲン化エポキシ樹脂の重量は、当該技術分野で公知であるように、(ハロゲン化エポキシ樹脂中のハロゲン含有量に起因する)使用される特定の化学構造に依存して変化し得る。これは、また、組成物中に、硬化剤及び他の添加剤を含む、他の難燃剤が存在し得るという事実にも依存する。好ましいハロゲン化難燃剤は臭素化化合物、好ましくはテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びその誘導体である。
【0067】
本発明の組成物中に使用されるハロゲン含有エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂化合物は、例えばエピハロヒドリンとフェノール若しくはフェノール型化合物とから製造された、エピハロヒドリンとアミンとから製造された、エピハロヒドリンとカルボン酸とから製造された又は不飽和化合物の酸化から製造された、エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の組合せであってよい。
【0068】
一つの態様において、本発明の組成物中に使用されるエポキシ樹脂には、エピハロヒドリンとフェノール若しくはフェノール型化合物とから製造されたこれらの樹脂が含まれる。このフェノール型化合物には、1分子当たり平均で1個より多い芳香族ヒドロキシル基を有する化合物が含まれる。フェノール型化合物の例には、ジヒドロキシフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ハロゲン化ビフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、アルキル化ビフェノール、アルキル化ビスフェノール、トリスフェノール、フェノール−アルデヒド樹脂、ノボラック樹脂(即ちフェノールと単純なアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの反応生成物)、ハロゲン化されたフェノール−アルデヒドノボラック樹脂、置換されたフェノール−アルデヒドノボラック樹脂、フェノール−炭化水素樹脂、置換されたフェノール−炭化水素樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、アルキル化フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、炭化水素−フェノール樹脂、炭化水素−ハロゲン化フェノール樹脂、炭化水素−アルキル化フェノール樹脂又はこれらの組合せが含まれる。
【0069】
別の態様において、本発明の組成物中に使用されるエポキシ樹脂には、好ましくはエピハロヒドリンと、ビスフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、ノボラック樹脂及びポリアルキレングリコール又はこれらの組合せから製造された樹脂が含まれる。本発明において有用なビスフェノールA系エポキシ樹脂の例には、市販の樹脂、例えばThe Dow Chemical Companyから市販されている、D.E.R.(登録商標)300シリーズ及びD.E.R.(登録商標)600シリーズが含まれる。本発明において有用なエポキシノボラック樹脂の例には、市販の樹脂、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されている、D.E.N.(登録商標)400シリーズが含まれる。
【0070】
別の態様において、本発明の組成物中に使用されるエポキシ樹脂化合物には、好ましくはエピハロヒドリンと、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、テトラメチル−テトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールA又はこれらの組合せから製造された樹脂が含まれる。好ましくは本発明のエポキシ樹脂組成物には、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルが含まれる。
【0071】
このような化合物の製造は当該技術分野において公知である。Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第9巻、第267〜289頁参照。本発明の組成物中で使用するのに適しているエポキシ樹脂及びそれらの前駆体の例は、例えば米国特許第5,137,990号明細書及び米国特許第6,451,898号明細書(参照して本明細書に含める)にも記載されている。
【0072】
別の態様において、本発明の組成物中に使用されるエポキシ樹脂には、エピハロヒドリンとアミンから製造された樹脂が含まれる。適切なアミンには、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン、アニリン等又はこれらの組合せが含まれる。
【0073】
別の態様において、本発明の組成物中に使用されるエポキシ樹脂には、エピハロヒドリンとカルボン酸から製造された樹脂が含まれる。適切なカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ−及び/若しくはヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等又はこれらの組合せが含まれる。
【0074】
別の態様において、エポキシ樹脂は、1種又はそれ以上の前記のようなエポキシ樹脂成分と、前記のような、1種若しくはそれ以上のフェノール型化合物及び/又は1種若しくは1種より多い、1分子当り平均で1個より多い芳香族ヒドロキシル基を有する化合物との反応生成物であるアドバンスト(advanced)エポキシ樹脂を指す。その代わりに、このエポキシ樹脂を、カルボキシル置換炭化水素(これは、本明細書において、炭化水素主鎖、好ましくはC1〜C40炭化水素主鎖及び1個又はそれ以上の、好ましくは1個より多い、最も好ましくは2個のカルボキシル単位を有する化合物として記載される)と反応させることができる。C1〜C40炭化水素主鎖は、任意的に酸素を含有する、直鎖又は分岐鎖のアルカン又はアルケンであってよい。脂肪酸及び脂肪酸二量体は有用なカルボン酸置換炭化水素に含まれる。脂肪酸には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、ペンタデカン酸、マルガリン酸、アラキジン酸及びこれらの二量体が含まれる。
【0075】
本発明の成分(a)であるエポキシ樹脂は、例えばオリゴマー性及びポリマー性のビスフェノールAのジグリシジルエーテル、オリゴマー性及びポリマー性のテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、オリゴマー性及びポリマー性のビスフェノールA及びテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エポキシド化フェノールノボラック、エポキシド化ビスフェノールAノボラック、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂及びこれらの混合物から選択することができる。
【0076】
別の態様において、エポキシ樹脂は、ポリエポキシドと1個より多いイソシアネート単位を含有する化合物又はポリイソシアネートとの反応生成物である。好ましくは、このような反応において製造されるエポキシ樹脂はエポキシ末端ポリオキサゾリドンである。
【0077】
成分(d)である無水物硬化剤には、無水フタル酸及び誘導体、ナド酸無水物及び誘導体、トリメリット酸無水物及び誘導体、ピロメリット酸無水物及び誘導体、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物及び誘導体、ドデセニルコハク酸無水物及び誘導体、ポリ(エチルオクタデカンジオン酸)無水物及び誘導体等が含まれ、これらは、単独で又はこれらの混合物で使用することができる。ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ナド酸無水物及びメチルナド酸無水物が本発明のために特に適している。
【0078】
エポキシ(c)対無水物硬化剤(d)モル比は、2:1〜1:2、好ましくは1.5:1〜1:1.5、更に好ましくは1.3:1〜1:1.2から選択され、最も好ましくは約1.05:1である。これらの範囲よりも上及び下では、反応性基の最大転化率が制限される。残留する反応性基(比が2:1よりも高い場合にはエポキシ基で、比が1:2よりも低い場合には無水物基)は、硬化したネットワーク中に止まり、材料特性への有害な影響(例えば、より低いTg、低下した機械的特性及び化学的安定性)に至る。
【0079】
本発明において有用な、特に適切な、成分(e)である触媒は、これらの第四級ホスホニウム及びアンモニウム化合物、例えばエチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、エチルトリフェニルホスホニウムジアセテート(エチルトリフェニルホスホニウムアセテート・酢酸錯体)、エチルトリフェニルホスホニウムテトラハロボレート、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムジアセテート(テトラブチルホスホニウムアセテート・酢酸錯体)、テトラブチルホスホニウムテトラハロボレート、ブチルトリフェニルホスホニウムテトラブロモビスフェネート、ブチルトリフェニルホスホニウムビスフェネート、ブチルトリフェニルホスホニウムビカルボネート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラハロボレート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムテトラハロボレート及びこれらの混合物等である。
【0080】
他の適切な触媒(e)には、アンモニウム化合物、例えばトリエチルアンモニウムクロリド、トリエチルアンモニウムブロミド、トリエチルアンモニウムヨージド、トリエチルアンモニウムテトラハロボレート、トリブチルアンモニウムクロリド、トリブチルアンモニウムブロミド、トリブチルアンモニウムヨージド、トリブチルアンモニウムテトラハロボレート、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタン・テトラハロホウ酸錯体及びこれらの混合物等が含まれる。
【0081】
他の適切な触媒(e)には、適切な非求核性酸、例えばフルオホウ酸、フルオ砒酸、フルオアンチモン酸、フルオリン酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、これらの混合物等との、第四級及び第三級アンモニウム、ホスホニウム及びアルソニウム付加物又は錯体が含まれる。
【0082】
他の適切な触媒(e)には、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、2−メチルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン、これらの混合物等が含まれる。
【0083】
触媒(e)の濃度は、全有機化合物の重量基準で、一般的に約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約2重量%である。この範囲よりも上では、反応が速すぎて、配合物を従来の加工条件下で加工することができない。この範囲よりも下では、反応が遅すぎて、配合物を従来の加工条件下で加工することができない。
【0084】
本発明の熱硬化性組成物は、任意的に、更に、1種又はそれ以上の充填材又は繊維状強化剤を含むことができる。この組成物が無機充填材を含むときには、この無機充填材は、任意の汎用の無機充填材から選択することができる。このような無機充填材の例には、これらに限定するものではないが、シリカ、タルク、石英、雲母及び難燃性充填材、例えば水酸化アルミニウム、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又はベーマイトが含まれる。好ましくは、この無機充填材はシリカ及びタルク並びにこれらの混合物であってよい。
【0085】
充填材、例えば無機充填材の濃度は、好ましくは組成物の全重量基準で、約1%〜約95%、好ましくは約2%〜約90%、更に好ましくは約10%〜約85%、なお更に好ましくは約20%〜約80%、なお更に好ましくは約30%〜約75%の間で選択される。
【0086】
一般的に、無機充填材粒子の少なくとも1個の平均寸法は約1mm未満、好ましくは約100ミクロン未満、更に好ましくは約50ミクロン未満、なお更に好ましくは約10ミクロン未満で、約2nm超、好ましくは約10nm超、更に好ましくは約20nm超、なお更に好ましくは約50nm超である。100ミクロンよりも大きい充填材は、熱硬化ネットワーク中に欠陥を造り、劣った熱−機械的特性に至る。
【0087】
本発明の熱硬化性組成物は、任意的に、更に、エポキシ樹脂(c)とは異なり、硬化剤(d)とは異なる、第二の反応性樹脂を含むことができる。本発明において有用な第二の反応性樹脂は、架橋したネットワークの一部を形成することができる。このような樹脂の例には、イソシアネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂及びポリエステル樹脂が含まれる。硬化剤は、これらに限定するものではないが、アミン、フェノール樹脂、カルボン酸及びポリオール樹脂から選択することができる。反応性樹脂がイソシアネートを含む態様において、少なくとも1種の硬化剤は、好ましくはポリオールから選択される。
【0088】
追加の反応性樹脂の濃度は、一般的に、全有機化合物の重量基準で、一般的に約0.5重量%〜約50重量%、好ましくは約1%〜約40%、更に好ましくは約2%〜約30%、最も好ましくは約5%〜約25%である。50%よりも上では、追加の反応性樹脂が主要樹脂になる。0.5%よりも下では、この濃度は、特性における差を作るために十分に大きくない。
【0089】
本発明の熱硬化性組成物は、任意的に、更に、少なくとも1種の溶媒を含むことができる。本発明において有用な溶媒には、例えばケトン、アルコール、水、グリコールエーテル、芳香族炭化水素及びこれらの混合物が含まれる。好ましい溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルピロリジノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルアミルケトン、メタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)等が含まれる。単一の溶媒を使用することができるが1種又はそれ以上の成分のために別個の溶媒を使用することもできる。エポキシ樹脂及び硬化剤のための好ましい溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン等を含むケトン並びにエーテルアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはジプロピレングリコールのメチル、エチル、プロピル若しくはブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル又は1−メトキシ−2−プロパノール及びそれぞれのアセテートである。本発明の触媒のための好ましい溶媒には、アルコール、ケトン、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、グリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノメチルエーテル及びこれらの組合せが含まれる。
【0090】
溶媒の濃度は、全有機化合物の重量基準で、一般的に約0%〜約80%、好ましくは約1%〜約60%、更に好ましくは約2%〜約50%、最も好ましくは約5%〜約40%である。
【0091】
本発明に従った熱硬化性組成は、任意的に、更に、追加の難燃剤、両親媒性ブロックコポリマー(a)とは異なる追加の強化剤、ポリオール(b)とは異なるポリオール及びグリコール、硬化抑制剤、湿潤剤、着色剤、熱可塑性樹脂、加工助剤、染料、UV−ブロッキング化合物及び蛍光化合物並びにこれらの混合物を含むことができる。このリストは、例示であり、限定ではないことを意図するものである。本発明の配合物のための好ましい添加剤は当業者によって最適化することができる。
【0092】
追加の添加剤の濃度は、全組成物の重量基準で、一般的に約0重量%〜約50重量%、好ましくは約0.01重量%〜約20重量%、更に好ましくは約0.05重量%〜約15重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約10重量%である。約0.01重量%よりも下では、添加剤は、一般的に、得られる熱硬化生成物に如何なる更なる顕著な利益も提供せず、約20重量%よりも上では、これらの添加剤によってもたらされる特性改良は相対的に一定のままである。
【0093】
本発明の熱硬化生成物(即ち熱硬化性組成物から製造された架橋した生成物)は、約70℃よりも高い、好ましくは約80℃よりも高い、更に好ましくは約90℃よりも高い、更に好ましくは約100℃よりも高い、最も好ましくは約110℃よりも高いガラス転移温度を示す。本発明の熱硬化生成物は、300℃よりも低い、好ましくは280℃よりも低い、更に好ましくは250℃よりも低い、最も好ましくは230℃よりも低いガラス転移温度を示す。一つの態様において、本発明の熱硬化生成物は約70℃〜約300℃のガラス転移温度を示す。約70℃よりも下では、本件特許出願中に記載された技術は、先行技術に記載された従来の技術に対して如何なる更なる顕著な利点も提供せず、約300℃よりも上では、本件特許出願中に記載された技術は、一般的に、本件特許出願の範囲内の用途のために適していない非常に脆いネットワークに至るであろう。
【0094】
本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、約1.0MPa・m1/2よりも高い、好ましくは約1.2MPa・m1/2よりも高い、更に好ましくは約1.4MPa・m1/2よりも高い、更に好ましくは約1.6MPa・m1/2よりも高い、最も好ましくは約1.8MPa・m1/2よりも高いKIc値によって測定される靱性を示す。約1.0MPa・m1/2よりも低いKIc値範囲で、本発明の追加の利益又は有利性は、従来の組成物に対して実現されない。本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、5.0MPa・m1/2よりも低い、好ましくは4.0MPa・m1/2よりも低い、更に好ましくは3.5MPa・m1/2よりも低い、最も好ましくは3.0MPa・m1/2よりも低いKIc値によって測定される靱性を示す。一つの態様において、本発明の熱硬化生成物は、約1.0MPa・m1/2〜約5.0MPa・m1/2のKIc値によって測定される靱性を示す。約1.0MPa・m1/2よりも下では、本件特許出願中に記載された技術は、先行技術に記載された従来の技術に対して如何なる更なる顕著な利点も提供せず、約5.0MPa・m1/2よりも上では、本件特許出願中に記載された技術は、一般的に、本件特許出願の範囲内の用途のために適していない熱可塑性様ネットワークに至るであろう。
【0095】
本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、約40MPaよりも高い、好ましくは約60MPaよりも高い、更に好ましくは約70MPaよりも高い、最も好ましくは約75MPaよりも高い引張強度を示す。本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、約500MPaよりも低い、好ましくは400MPaよりも低い、更に好ましくは300MPaよりも低い、最も好ましくは150MPaよりも低い引張強度を示す。一つの態様において、本発明の熱硬化生成物は約40MPa〜約500MPaの引張強度を示す。約40MPaよりも下では、本発明の追加の利益又は有利性は、従来の組成物に対して実現されず、約500MPaよりも上では、本件特許出願中に記載された技術は、一般的に、本件特許出願の範囲内の用途のために適していない非常に脆いネットワークに至るであろう。
【0096】
本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、120MPaよりも高い、好ましくは125MPaよりも高い、更に好ましくは130MPaよりも高い、最も好ましくは135MPaよりも高い曲げ強度を示す。本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、500MPaよりも低い、好ましくは400MPaよりも低い、更に好ましくは300MPaよりも低い、最も好ましくは200MPaよりも低い曲げ強度を示す。一つの態様において、本発明の熱硬化生成物は、約120MPa〜約500MPaの曲げ強度を示す。約120MPaよりも下では、本件特許出願中に記載された技術は、先行技術に記載された従来の技術に対して如何なる更なる顕著な利点も提供せず、約500MPaよりも上では、本件特許出願中に記載された技術は、一般的に、本件特許出願の範囲内の用途のために適していない非常に脆いネットワークに至るであろう。
【0097】
本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、約1.5%よりも高い、好ましくは約1.6%よりも高い、更に好ましくは約1.8%よりも高い、最も好ましくは約2.0%よりも高い、破断点伸びを示す。本発明の熱硬化生成物は、50重量%のシリカ充填材と共に配合されたときに、約100%よりも低い、好ましくは約80%よりも低い、更に好ましくは約50%よりも低い、最も好ましくは約20%よりも低い、破断点伸びを示す。約1.5%よりも下では、本発明の追加の利益又は有利性は、従来の組成物に対して実現されず、約100%よりも上では、本件特許出願中に記載された技術は、一般的に、本件特許出願の範囲内の用途のために適していない非常に熱可塑性様ネットワークに至るであろう。
【0098】
本発明の配合物又は組成物の成分は、本発明の熱硬化性組成物を提供するために、如何なる順序でも混合することができる。
【0099】
両親媒性ブロックコポリマー、ポリオール、無水物、触媒及びエポキシドを含む本発明の組成物の配合物は、従来の加工条件下で硬化させて、熱硬化物を形成させることができる。得られる熱硬化物は、高い熱安定性を維持しながら、優れた熱−機械的特性、例えば良好な靱性及び機械的強度を示す。
【0100】
本発明の熱硬化生成物を製造するためのプロセスは、重力注型、真空注型、自動圧力ゲル化(APG)、真空圧力ゲル化(VPG)、インヒュージョン(infusion)、フィラメント巻、レイアップ射出、トランスファー成形等によって実施することができる。
【0101】
この熱硬化性組成物を硬化させるための温度は、一般的に約20℃〜約300℃、好ましくは約25℃〜約250℃、更に好ましくは約30℃〜約220℃で選択することができる。約20℃よりも低いと、この温度は、従来の加工条件下で十分に速い反応を確保するためには低すぎ、約300℃よりも高いと、この温度は高すぎ、熱硬化性材料は劣化するであろう。
【0102】
この熱硬化性組成物のゲル化は、一般的に約40℃よりも高い、好ましくは約50℃よりも高い、更に好ましくは約60℃よりも高い、なお更に好ましくは約70℃よりも高い、最も好ましくは約80℃よりも高い温度で実施することができる。この熱硬化性組成物のゲル化は、一般的に約300℃よりも低い、好ましくは約280℃よりも低い、更に好ましくは約250℃よりも低い、なお更に好ましくは約220℃よりも低い、最も好ましくは約180℃よりも低い温度で実施することができる。一つの態様において、この熱硬化性組成物のゲル化は、一般的に約40℃〜約300℃の温度で実施することができる。約40℃よりも低いと、この温度は、従来の加工条件下で十分に速い反応を確保するためには低すぎるであろう。約300℃よりも高いと、この温度は高すぎ、熱硬化性材料は劣化し、蒸発するか又はゲル化が速すぎ、内部応力及び欠陥を作るであろう。
【0103】
この熱硬化性組成物の後硬化は、一般的に約100℃よりも高い、好ましくは約110℃よりも高い、更に好ましくは約120℃よりも高い、なお更に好ましくは約130℃よりも高い、最も好ましくは約140℃よりも高い温度で実施することができる。この熱硬化性組成物の後硬化は、一般的に約300℃よりも低い、好ましくは約280℃よりも低い、更に好ましくは約260℃よりも低い、なお更に好ましくは約250℃よりも低い、最も好ましくは約240℃よりも低い温度で実施することができる。一つの態様において、この熱硬化性組成物の後硬化は、一般的に約100℃〜約300℃の温度で実施することができる。約100℃よりも低いと、この温度は、十分な架橋密度を確保するためには低すぎるであろう(不完全反応)。約300℃よりも高いと、この温度は高すぎ、熱硬化性材料は劣化し、内部応力及び欠陥が作られるであろう。
【0104】
この熱硬化性組成物の硬化は、この組成物を硬化させるために充分な予定時間の間実施することができる。例えば、この硬化時間は約1分間〜約96時間、好ましくは約5分間〜約48時間、更に好ましくは約10分間〜約24時間で選択することができる。1分間よりも短い時間では、この時間は、従来の加工条件下で充分な反応を確保するためには短すぎ、96時間よりも長いと、この時間は、長すぎて、実際的又は経済的ではない。
【0105】
本発明の配合物は注型、注封、封入及び含浸プロセスに非常に適している。
【0106】
本発明の熱硬化生成物は、例えば注型、注封及び封入におけるものを含む種々の用途、例えば電気及びエレクトロニクスの用途、例えば電気注型/被覆及び封入の用途並びにコンポジット被覆において使用することができる。
【0107】
最終熱硬化物は優れた機械的及び熱的特性を示す。無水物硬化剤及び触媒を含むエポキシ樹脂系中への、両親媒性ブロックコポリマー及びポリオールの混合物の含有によって、ガラス転移温度への顕著なマイナスの影響を及ぼすことなく、機械的特性、例えばより高い靱性及び機械的強度が著しく改良される。このような配合物は、注型、注封、封入及び含浸プロセスのために非常に適している。この最終熱硬化物は優れた機械的及び熱的特性を示す。
【実施例】
【0108】
下記の実施例及び比較例は、本発明を更に、詳細に例示するが、その範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【0109】
以下の実施例において使用された種々の用語、名称及び原材料を、以下に説明する。
【0110】
DYD128(Dalian QiHuaから)は、185の当量エポキシ重量を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)液体エポキシ樹脂である。このエポキシ樹脂の粘度は、25℃で約12000cPである。
【0111】
99%の純度を有するメチルテトラヒドロフタル酸無水物(MTHPA)を、無水物硬化剤として使用する(Orient Chemical Companyから入手可能)。
【0112】
ポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)−b−ポリ(エチレンオキサイド)(PEO−PBO−PEO)は両親媒性ブロックコポリマーである。このブロックコポリマーのポリ(エチレンオキサイド)ブロックセグメントはエポキシ混和性ブロックであり、このブロックコポリマーのポリ(ブチレンオキサイド)ブロックセグメントはエポキシ非混和性ブロックである。この両親媒性ブロックコポリマーは約3000の分子量を有し、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0113】
第一のポリオールは、1,3−シクロヘキサンジメタノールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの50/50混合物(CHDM)であり、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0114】
第二のポリオールは400の分子量を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、Sino Chemicalsから入手可能である。
【0115】
無機充填材は2μmの下粒子サイズ(d10%)、13μmの中粒子サイズ(d50%)及び52μmの上粒子サイズ(d90%)を有するシリカ充填材である。このシリカ充填材の平均直径は20μmであり、JiuLi Huaから入手可能である。
【0116】
BYKA530は、脱泡剤として使用され、BYKから入手可能である。
【0117】
下記の標準分析装置、方法及び試験手順を、実施例において使用する。
【0118】
未硬化配合物の粘度は、Research Equipment(ロンドン)LTDコーン・プレート粘度計で、それぞれ25℃及び50℃で測定する。
【0119】
ガラス転移温度(Tg)は、ISO11357−2中の手順に従って測定する。
【0120】
引張特性はISO527中の手順に従って測定する。
【0121】
曲げ特性はISO178中の手順に従って測定する。
【0122】
エポキシ樹脂の破壊靱性は、ASTM D5045−99中の手順に従って、臨界−応力−強さ係数、KIcの項目で特徴付ける。
【0123】
実施例1〜4及び比較例A〜D
実施例において使用した幾つかの樹脂系の配合を表Iに記載する。
【0124】
【表1】

【0125】
表I中の上記の配合において、シリカ充填材の含有量を、全ての配合物について、50重量%の濃度で固定した。配合物のエポキシ成分と硬化剤成分との間のモル比を、全ての配合物について、約1.05:1のモル比で固定した。
【0126】
表I中の上記の配合において、有機成分の全部を、最初に一緒にブレンドし、次いで、高速ミキサー(2000rpm、環境温度、30分間)を使用して、無機成分をそれぞれの配合物の中にブレンドした。無機充填材を樹脂配合物の中に分散させるために、BYK DISPERMAT WDB−1611分散剤を使用した。次いで、この配合物を脱気した。脱気は、真空下で環境温度で、泡が見えなくなるまで実施した。金型を、成形品取出し剤によって保護し、シリコンスペーサーと共にクリンプしたガラス板の間に調製した。配合物を80℃に加熱し、次いで金型の中に注ぎ、空気泡の同伴を回避するように特別の注意を払った。配合物を含有する金型をクルイング(cruing)することによって、注型物を作った。注型物を、オーブン内で、100℃で2時間、120℃で2時間及び160℃で2時間硬化させた。内部応力を回避するために、注型物を、オーブン内で2時間、ゆっくり冷却させた。
【0127】
両親媒性ブロックコポリマー及びシクロ脂肪族ジオールによって強化したエポキシ樹脂の硬化した注型物の熱的機械的特性を、前記の一般的手順に従って測定し、その結果を表II中に示す。
【0128】
【表2】

【0129】
実施例1の比較例との比較
比較例Aと比較すると、実施例1は、より高い破断点引張強度及び曲げ強度によって立証されるように、より高い機械的強度に至る。実施例1の靱性並びに破断点伸び及び曲げ歪みは、著しく改良されている。ガラス転移温度(Tg)は、比較例Aに対して相対的に低下している。Tgが低下しているが、この低下は応用のために許容できる。
【0130】
比較例Bと比較すると、実施例1は、より高いKIc及びより低い粘度によって立証されるように、より良い靱性及び加工性に至る。破断点伸び及び曲げ歪みは、著しく改良されている。Tg及び機械的強度は比較例Bのものと同様である。
【0131】
比較例Cと比較すると、実施例1は、より高い破断点引張強度及び曲げ強度によって立証されるように、より高い機械的強度に至る。実施例1の破断点伸び及び曲げ歪み並びに靱性は著しく改良されている。
【0132】
比較例Dと比較すると、実施例1は、より高い破断点引張強度及び曲げ強度によって立証されるように、一層高い機械的強度に至る。実施例1の靱性並びに破断点伸び及び曲げ歪みは著しく改良されている。Tgが低下しているが、この低下は用途に対し許容できる。
【0133】
実施例2の比較例との比較
比較例Aと比較すると、実施例2は、より高い破断点引張強度及び曲げ強度によって立証されるように、より高い機械的強度に至る。実施例1の破断点伸び及び曲げ歪みは、著しく改良されている。実施例1の靱性及びTgは比較例Aのものと同様である。
【0134】
比較例Bと比較すると、実施例2は、より高いKIc及びTgによって立証されるように、より良い靱性及び耐熱性に至る。破断点伸び及び曲げ歪み並びに加工性は、改良されている。実施例2の機械的強度は比較例Bのものと同様である。
【0135】
比較例Cと比較すると、実施例2は、より高い機械的強度、より高い靱性、より高いTg並びにより高い破断点伸び及び曲げ歪みに至る。
【0136】
比較例Dと比較すると、実施例2は、一層高い機械的強度及び靱性に至る。実施例2の破断点伸び及び曲げ歪みは著しく改良されている。Tgは維持されている。
【0137】
実施例3の比較例との比較
比較例Aと比較すると、実施例3は、より高い破断点引張強度及び曲げ強度によって立証されるように、より高い機械的強度に至る。実施例1の破断点伸び及び曲げ歪み並びに粘度は、改良されている。実施例3の靱性は比較例Aのものと同様である。
【0138】
比較例Bと比較すると、実施例3は、より高いKIc及びより低い粘度によって立証されるように、より良い靱性及び加工性に至る。破断点伸び及び曲げ歪みは、改良されている。実施例3の機械的強度及びTgは比較例Bのものと同様である。
【0139】
比較例Cと比較すると、実施例3は全ての特性において改良された性能に至る。
【0140】
比較例Dと比較すると、実施例3は、一層高い機械的強度及び靱性に至る。実施例3の破断点伸び及び曲げ歪みは著しく改良されている。
【0141】
実施例4の比較例との比較
比較例Aと比較すると、実施例4は、より高い破断点引張強度及び曲げ強度並びにより高いKIcによって立証されるように、より高い機械的強度及び靱性に至る。実施例4の破断点伸び及び曲げ歪み並びに加工性は改良されている。
【0142】
比較例Bと比較すると、実施例4は、より高いKIc及びより低い粘度によって立証されるように、より良い靱性及び加工性に至る。破断点伸び及び曲げ歪みは改良されている。実施例4の機械的強度及びTgは比較例Bのものと同様である。
【0143】
比較例Cと比較すると、実施例4は、より良い靱性並びに破断点伸び及び曲げ歪みに至る。実施例4の機械的強度、加工性及びガラス転移温度は比較例Cのものと同様である。
【0144】
比較例Dと比較すると、実施例4は、Tg以外の全ての特性における改良された性能に至る。Tgが低下しているが、この低下は用途に対して許容できる。
【0145】
これらの実施例は、また、図1〜5中に記載されたデータに基づいて比較することができる。図1〜5を参照するに、本発明の幾つかの態様が示されている。図は、両親媒性ブロックコポリマー、例えばPEO−PBO−PEO及びポリオール、例えばCHDM又はPEGを一緒にブレンドし、エポキシ樹脂に添加するときに、予想外の相乗効果を示している。得られる機械的又は熱的性能は、従来の混合物の法則(付加的性能)から得られる予想と比較するとき優れている。
【0146】
図1は靱性(KIc)の関数としての曲げ強度を示す。図1において、実験誤差は、KIcについて±0.025MPa・m1/2であり、曲げ強度について±1.5MPaであった。実線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例B(純粋なCHDM)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。破線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例C(純粋なPEG)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。
【0147】
従来の混合の法則(付加的性能)から得られる予想と比較すると、PEO−PBO−PEOとポリオール(CHDM又はPEG)との混合物を含むシステムの靱性(KIc)は、少なくとも同様の曲げ応力を維持しながら著しく良いか又は曲げ応力を著しく増加させながら少なくとも同様である。
【0148】
図2は靱性(KIc)の関数としての引張強度を示す。実験誤差は、KIcについて±0.025MPa・m1/2であり、引張強度について±0.5MPaであった。実線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例B(純粋なCHDM)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。破線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例C(純粋なPEG)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。
【0149】
従来の混合の法則(付加的性能)から得られる予想と比較すると、PEO−PBO−PEOとポリオール(CHDM又はPEG)との混合物を含むシステムの靱性(KIc)は、少なくとも同様の引張応力を維持しながら著しく良いか又は引張応力を著しく増加させながら少なくとも同様である。
【0150】
図3は靱性(KIc)の関数としての破断点曲げ歪みを示す。実験誤差は、KIcについて±0.025MPa・m1/2であり、曲げ歪みについて±0.05%であった。実線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例B(純粋なCHDM)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。破線は比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例C(純粋なPEG)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。
【0151】
従来の混合の法則(付加的性能)から得られる予想と比較すると、PEO−PBO−PEOとポリオール(CHDM又はPEG)との混合物を含むシステムの靱性(KIc)は少なくとも同様の曲げ歪みを維持しながら著しく良いか又は曲げ歪みを著しく増加させながら少なくとも同様である。
【0152】
図4は靱性(KIc)の関数としての破断点引張伸びを示す。実験誤差は、KIcについて±0.025MPa・m1/2であり、引張伸びについて±0.05%であった。実線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例B(純粋なCHDM)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。破線は比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例C(純粋なPEG)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。
【0153】
従来の混合の法則(付加的性能)から得られる予想と比較すると、PEO−PBO−PEOとポリオール(CHDM又はPEG)との混合物を含むシステムの靱性(KIc)は、少なくとも同様の引張伸びを維持しながら著しく良いか又は引張伸びを著しく増加させながら少なくとも同様である。
【0154】
図5は靱性(KIc)の関数としてのTgを示す。実験誤差は、KIcについて±0.025MPa・m1/2であり、Tgについて±1℃であった。実線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例B(純粋なCHDM)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。破線は、比較例A(純粋なPEO−PBO−PEO)と比較例C(純粋なPEG)との間の混合の法則(付加的特性)を表す。
【0155】
従来の混合の法則(付加的性能)から得られる予想と比較すると、PEO−PBO−PEOとポリオール(CHDM又はPEG)との混合物を含むシステムの靱性(KIc)は、少なくとも同様のTgを維持しながら著しく良いか又はTgを著しく上昇させながら少なくとも同様である。
【0156】
本発明の範囲から逸脱することなく、前記の方法において、一定の変更を行うことができることが、当業者に自明であろう。従って、本明細書中に開示された全ての事項は、例示としてのみ意図され、求められる保護の範囲を限定するとして意図されない。更に、本発明は、それらが参照する表を含む前記の特定の実施例によって限定されるべきではない。むしろ、これらの実施例及びそれらが参照する表は、本発明の例示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー、(b)少なくとも1種のポリオール、(c)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも2個のオキシラン環を含むエポキシ樹脂、(d)少なくとも1種の、1分子当たり平均で少なくとも1個の無水物環を含む無水物硬化剤及び(e)少なくとも1種の触媒を含んでなる熱硬化性組成物。
【請求項2】
前記ポリオール(b)が、無水物硬化剤(d)とは異なるか又は無水物硬化剤(d)と同じものである、無水物(f)と、部分的に又は完全に前反応して、半エステルを形成する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)が少なくとも1個のエポキシ樹脂混和性ブロックセグメント及び少なくとも1個のエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメントを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非混和性ブロックセグメントが少なくとも1個のポリエーテル構造を含むが、該非混和性ブロックセグメントのポリエーテル構造が、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドモノマー単位を少なくとも1個又はそれ以上含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)が少なくとも1個のエポキシ樹脂混和性ブロックセグメント及び少なくとも1個のエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメント(ここで、混和性ブロックセグメントは少なくとも1個のポリエーテル構造を含む)を含む両親媒性ポリエーテルブロックコポリマーである請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記両親媒性ポリエーテルブロックコポリマーがジブロック、線状トリブロック、線状テトラブロック、高次のマルチブロック構造、分岐ブロック構造又は星形ブロック構造からなる群から選択される請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記混和性ブロックセグメントがポリエチレンオキサイドブロック、プロピレンオキサイドブロック又はポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド)ブロックを含む請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記非混和性ブロックセグメントがポリブチレンオキサイドブロック、ポリヘキシレンオキサイドブロック、ポリドデシレンオキサイドブロック又はポリヘキサデシレンオキサイドブロックを含む請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)の混和性セグメントの少なくとも1個がポリ(エチレンオキサイド)である請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)の非混和性セグメントの少なくとも1個がポリ(ブチレンオキサイド)である請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)がポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)又はポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ブチレンオキサイド)−b−ポリ(エチレンオキサイド)である請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)がポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(ヘキシレンオキサイド)である請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)が2種又はそれ以上のブロックコポリマーのブレンドである請求項3に記載の組成物。
【請求項14】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)が約1000〜約30000の分子量を有する請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
前記両親媒性ブロックコポリマーの混和性セグメントの、両親媒性ブロックコポリマーの非混和性セグメントに対する比が約10:1〜約1:10である請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)が、全有機化合物の重量基準で、約0.1重量%〜約20重量%の量で存在する請求項3に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリオール(b)が脂肪族ポリオールである請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記脂肪族ポリオールが2〜約20個の炭素原子を有する請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記脂肪族ポリオールが線状脂肪族ポリオール及び分岐脂肪族ポリオールの群から選択される請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリオール(b)がシクロ脂肪族ポリオールである請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記シクロ脂肪族ポリオールが6〜20個の炭素原子を有する請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記シクロ脂肪族ポリオールが1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール又は重量パーセントが0重量%〜約100重量%の1,4−シクロヘキサンジメタノールのこれらの混合物を含む請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリオール(b)が、式I:
【化1】

(式中、Xは水素、炭素数1〜約10の分岐若しくは線状アルキル基又はヒドロキシル基によって置換された、炭素数1〜約10のアルキル基であり、nは1〜約200の整数である)
の化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記ポリオール(b)が約4000よりも低い分子量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリオール(b)が約20〜約2000の平均ヒドロキシル当量重量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記ポリオール(b)が、全有機化合物の重量基準で、約0.1重量%〜約40重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記両親媒性ブロックコポリマー(a)のポリオール(b)に対する重量比が約50:1〜約1:50から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記エポキシ樹脂(c)が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及び誘導体、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル及び誘導体を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記無水物硬化剤(d)に対するエポキシ樹脂(c)のモル比が約2:1〜約1:2から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
少なくとも充填材を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記充填材がシリカ、タルク、石英、雲母のような任意の有機充填材及び三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又はベーマイトのような難燃性充填材の中から選択することができる請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記充填材の濃度が、組成物の全重量基準で、約1重量%〜約95重量%から選択される請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1に記載の組成物を重合させることから得られる熱硬化生成物。
【請求項34】
前記この生成物が約70℃よりも高いガラス転移温度を示す請求項33に記載の熱硬化生成物。
【請求項35】
前記生成物が50重量%のシリカ充填材と配合されたときに、約1.0MPa・m1/2よりも高い、KIc値によって測定される靱性を示す請求項33に記載の熱硬化生成物。
【請求項36】
(a)少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー、(b)少なくとも1種のポリオール、(c)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも2個のオキシラン環を含むエポキシ樹脂、(d)少なくとも1種の、1分子当り平均で少なくとも1個の無水物環を含む無水物硬化剤及び(e)少なくとも1種の触媒を混合することを含んでなる熱硬化性組成物の製造方法。
【請求項37】
硬化した請求項1に記載の熱硬化性組成物を含んでなる硬化した熱硬化生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−519761(P2012−519761A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553242(P2011−553242)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000251
【国際公開番号】WO2010/102421
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】