説明

両親媒性ポリノルボルネン誘導体及びその使用方法

【解決手段】 抗菌活性及び低溶血活性を示すポリノルボルネン誘導体が本明細書において記載されている。ポリノルボルネン誘導体を有する抗菌性組成物及び薬学組成物、及びそれを使用する方法もまた記載される。十分な抗菌活性及び低溶血活性を示すこのような組成物は、物質への適用及び治療的使用に適している可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2004年8月18日付で出願された米国仮出願番号第60/602,362号である「Non−Hemolytic Amphiphilic Cationic Polymers via ROMP」に対して優先権を主張しており、この参照によってその全体が本明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
オリゴマー化合物を含む巨大分子の抗菌活性は、その大部分が互いに独立した2つの主要分野において研究されている。1つの研究グループは、多細胞生物に由来する天然の宿主−防御ペプチドの構造−特性関係に焦点を当てている。これらのペプチドは、それらの長さ、アミノ酸組成、並びに非常に強力なものから弱いものに亘る抗菌活性に関して、大きな多様性を有する。このような多様性にもかかわらず、そのほとんどは、ある程度の疎水性を有するカチオン性ペプチドである。広範囲にわたる作用機構の研究は、微生物の細胞膜の負電荷と疎水性の成分との好ましい相互作用を介して抗菌性ペプチドが微生物の細胞膜を透過することによって作用し、続いて凝集及びその後の破壊が起こることを示唆している。この機構は、これらの抗菌性ペプチドの作用の幅広い効力と速度とが原因となっていることが示唆される。宿主−防御ペプチドとこれらの合成類似体とは、様々な細菌及び哺乳類細胞に対する活性度を変化させることを示すことが報告されている。宿主−防御ペプチドは、宿主生物に対して微生物の前記膜に対する選択性を示す可能性があるが、それらの多くは抗菌性であり、またある濃度限度内ではヒト細胞に対して有毒ではなく、従って、有力な治療薬剤とみなされている。選択作用は、より負に荷電した微生物細胞膜の外面と、中性且つコレステロールを多く含む多細胞動物の細胞膜とを区別するペプチドの疎水性及び親水性成分のバランス及び空間的配置に起因することが示唆されている。天然ペプチドの構造−特性関係を理解することを目的とする研究は、近年、抗菌性ペプチドの合成的擬態の調製を対象とした多くの研究活動へと展開している。これらは、天然ペプチド、α−ペプチド、β−ペプチド、環式α−ペプチド、ペプトイド、及びポリアリールアミドの立体異性体を含み、その全ては、3000g/mol以下の分子量を有するオリゴマーである。これらの例の多くは、それらのカチオンの性質に加えて、一般的にらせん状である両親媒性の二次構造を標的としている。ペプチドの種類に応じて、面状の両親媒性構造は、結果として選択的活性の増加若しくは減少を導き、それは安定した両親媒性二次構造が選択的抗菌活性の前提条件ではないことを明らかにしている。酵素的分解に対して耐性があるため、一部の場合は、治療適用における使用の可能性を目標としている。
【0003】
抗菌性ペプチド研究から独立している第2の分野は、様々な抗菌活性度を示す合成カチオン性ポリマーの研究に関連する。この種のポリマー化合物は、ペプチド擬態と比較すると比較的安価であり、準備が煩雑ではない。多くの例において、カチオン性ポリマーは、それらの小分子の対応物と比較して強化された抗菌活性を示すことが報告されている。最も一般的なポリマーは、第四級アンモニウム、Polyquats、及びホスホニウム機能性ポリマーである。この種のポリマーは、ペプチド擬態の作用との重要な差異として、比較的低濃度でヒト細胞に対して毒性を有するため、主に、強力な消毒剤、殺菌コーティング、若しくはフィルターとして固体状態での使用を対象としている。これらのカチオン性ポリマーの目的用途と相反することなく、ほとんどの場合、溶血活性について何の報告もなく抗菌活性だけが報告されている。一例において、可溶ピリジニウムポリマーは、実験動物の皮膚に対して弱い急性毒性を有すると報告された。消毒剤及び殺生物剤として大きな工業的用途が発見されている抗菌性のカチオン性ポリマーの2つの例は、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(poly(hexamethylene biguanide)s:PHMB)及びポリ−ε−リシンである。多様な哺乳類細胞に対する様々なレベルの毒性が、PHMB及び同様のビグアニド機能性ポリマーで報告されている。主に、それが非毒性成分に生分解するという理由から、ポリ−ε−リシンは、環境に配慮した抗菌性防腐剤であると考えられている。抗菌及び溶血作用の直接的な比較は、これらの種類の抗菌性ポリマーのいずれにおいても報告されていない。最近、Gelman等は、マゲイニンπの強力な誘導体と比較して、低分子量の疎水性修飾されたカチオン性ポリスチレンの抗菌活性を報告した。それらの初期の研究において、抗菌性ペプチド擬態とポリマー消毒剤との研究間の重複部分であるカチオン性ポリスチレンは、前記マゲイニン誘導体として同様の抗菌活性を示すが、高溶血性であった。最近、マゲイニン誘導体と同様の活性及び選択性を有する面状の両親媒性低分子量ポリフェニレンエチニレンの選択的活性が報告されている。それらの膜破壊活性を調整することによる、非溶血性、抗菌性、及び高分子量ポリマーの優れた設計は、これまで未解決のままであった。その活発な性質及び官能基許容度の理由から、開環メタセシス重合(Ring−opening metathesis polymerization:ROMP)は、生物活性が明確なポリマー物質の調製に巧みに使用されている。これらの例には、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、炭水化物、抗癌薬、及び抗生物質製剤を運ぶポリマーが含まれる。ROMPに基づく技術は、強力な生物活性の獲得という目的のために、ポリマー物質に複数の機能性を導入するための強力な合成ツールボックスへと発展している。脂質膜破壊活性を示す明確な両親媒性ポリマーの調製のためのモジュラーノルボルネン誘導体の合成及びROMPが報告された。特定の分子量を超えるカチオン性両親媒性ポリマーは、細菌細胞膜の大まかなモデルとして、脂質小胞上で最も高い細胞膜破壊活性を示すと思われた。
【0004】
限られた多分散性ホモポリマーの抗菌及び溶血活性と、広範囲にわたる分子量のモジュラーノルボルネン誘導体のランダムコポリマーとが、本明細書において示されている。結果は、可溶性両親媒性ポリマーの疎水性/親水性のバランスを制御することによって、合成の設計の一部として両親媒性二次構造をとり易くなることなく、抗菌活性と溶血活性との間の高い選択性を得ることが可能であることを指し示す。グラム陰性細菌及びグラム陽性細菌の両者に対する全体的な効果は、繰り返し単位上のアルキル置換基の長さに依存しているように見える。従って、細菌に対して強力且つ非溶血性である単純なポリマーを設計することは可能である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によると、ポリマー及びその使用方法が提供され、その使用には、薬学的及び非薬学的な用途における抗菌物質としてのポリマーの使用が含まれる。本発明の更なる実施形態によると、前記ポリマーの組成物及び前記ポリマーを調製する方法が提供される。
【0006】
本発明の一実施形態において、ポリマーは、第1のポリノルボルネンモノマーと第2のポリノルボルネンモノマーとを有する。一部の実施形態において、前記第1及び第2のポリノルボルネンモノマーは、異なるものでも良く若しくは同一のものでも良い。更なる実施形態において、前記モノマーは、ランダム、ブロック、若しくは交互パターンを示すようなポリマーであっても良い。特定の実施形態において、前記ポリマーは、モノマー単位が両親媒性であるような、親水性及び疎水性の側鎖若しくは面を有するモノマー単位を有しても良い。他の実施形態において、前記ポリマーは、親水性側鎖を有するモノマー単位と疎水性側鎖を有するモノマー単位とを有し、前記2種類のモノマーは、前記ポリマーの骨格に沿って分布するものであっても良い。
【0007】
他の実施形態は、以下の化学式のポリノルボルネンを有する両親媒性モノマーであり、
【0008】
【化9】

【0009】
ここにおいて、Rは、極性若しくは非極性であっても良く、Rが存在する場合、RはRと異極性である。更なる実施形態によると、前記ポリマーが両親媒性であるような、前記ポリノルボルネンモノマー単位から形成される両親媒性ポリマーが提供される。前記ポリマーは、ホモポリマー若しくはコポリマーであっても良い。
【0010】
好ましい実施形態において、前記ポリノルボルネンは、以下の化学式。
【0011】
【化10】

【0012】
及びその組み合わせから成るグループから選択されるものである。より好ましい実施形態においては、poly3を有する両親媒性ポリマーが提供される。他のより好ましい実施形態においては、poly2及びpoly3を有する両親媒性コポリマーが提供される。このような両親媒性コポリマーにおいて、前記モノマー単位は、前記骨格に沿ってブロック、ランダム、若しくは交互単位で分布されていても良い。
【0013】
更なる実施形態は、極性ポリノルボルネンモノマー単位と非極性ポリノルボルネンモノマー単位とを有する両親媒性コポリマーである。好ましい実施形態において、前記ポリノルボルネンモノマー単位は、以下の化学式、
【0014】
【化11】

【0015】
及びその組み合わせから成るグループから選択されても良く、ここにおいて、前記モノマーが親水性若しくは疎水性であっても良いように、Rは、極性若しくは非極性であっても良く、Rが存在する場合、Rは、極性若しくは非極性であっても良い。このような両親媒性コポリマーにおいて、前記モノマー単位は、骨格に沿ってブロック、ランダム、若しくは交互単位で分布されていても良い。
【0016】
他の実施形態は、ポリノルボルネンモノマーと薬学的に許容可能な賦形剤若しくは希釈剤とを有する両親媒性ポリマー若しくはコポリマーを有する薬学的組成物である。一実施形態において、前記薬学的組成物の前記両親媒性ポリマーは、両親媒性ポリノルボルネンモノマーのホモポリマー若しくは両親媒性ポリノルボルネンモノマーのコポリマーを有しても良い。他の実施形態において、前記薬学的組成物の前記両親媒性コポリマーは、極性ポリノルボルネンモノマーと非極性ポリノルボルネンモノマーとを有しても良い。更なる実施形態において、前記ポリマーがランダム、ブロック、若しくは交互パターンを示すように、前記モノマーは前記コポリマーに存在しても良い。
【0017】
本発明の他の実施形態は、本明細書に記載された両親媒性ポリマー又はコポリマー、若しくはそれを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与する工程を有する微生物若しくは細菌感染症を治療する方法である。
【0018】
本発明の更なる実施形態によると、本明細書に記載された両親媒性ポリマー若しくはコポリマーを投与する工程を有する、低分子量ヘパリン過剰摂取に対する解毒剤を提供する方法を対象とする。
【0019】
他の実施形態は、微生物の増殖を阻害する若しくは防ぐ方法である、有効量の両親媒性ポリノルボルネンポリマー若しくはコポリマーを前記微生物に接触させる工程を有する方法を対象としている。更なる実施形態において、前記ポリマー若しくはコポリマーは、基質に付着して若しくは基質上に存在しても良い。
【0020】
本発明の更なる観点によると、本明細書に記載されたポリノルボルネンポリマー若しくはコポリマーを有する抗菌性組成物が提供され、更に組成物は、塗料、ラッカー、コーティング、ニス、コーキング剤、グラウト、接着剤、樹脂、被膜、化粧品、石鹸、ローション、手洗い用液体セッケン、及び界面活性剤から成るグループから選択されるものである。
【0021】
本発明の更なる実施形態によると、ポリノルボルネンポリマー若しくはコポリマーを有する被覆剤が対象とされる。このような被覆剤は、HVACシステム、電子部品などを含む様々な物質用途に有益である可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本組成物及び方法が記載される前に、本発明は、それらが変化しても良いように、特定の工程、組成物、若しくは記載された方法論に限定されないものであると理解される。説明に使用される専門用語は、特定の変形例若しくは実施形態だけを説明する目的のために使用され、また添付した特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを目的としていないことも理解される。
【0023】
また、前後関係が明らかに他の方法を指示するときを除いて、本明細書及び添付した特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の言及を含むということにも留意しなければならない。従って、例えば、「繊維芽細胞」への言及は、1若しくはそれ以上の繊維芽細胞への言及であり、その相当語句は、当業者などにとって既知である。別に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学的な用語は、当該技術分野の当業者によって一般に理解されるような同一の意味を有する。本発明に記載されるものと同様の若しくは同等の方法及び物質はいずれも、本発明の実施形態の実施若しくは試験に使用され得るが、好ましい方法、装置、及び物質が以下に記載される。本明細書に言及される全ての公報は、その全体がこの参照によって組み込まれるものである。本明細書において、本発明には従来の発明に基づくこのような開示に先行する権利がないという告白として解釈されることはない。
【0024】
本明細書に記載される使用の方法は、現状の病気の治療における治癒的使用と同様に、予防的使用を意図するものである。本明細書で使用される場合、「約」の用語は、それが使用されている数字の数値のプラス若しくはマイナス10%を意味する。従って、約50%は、45%〜55%の範囲を意味する。
【0025】
治療と併せて使用する場合、「投与する」とは、標的組織の中に若しくは上に直接治療を施すこと、若しくは標的とされる組織に確実に影響を与える治療をすることによって患者に治療を施すことを意味する。従って、コポリマーと併せて使用される場合、本明細書において使用される「投与する」という用語は、これに限定されるものではないが、例えば静脈内注射によって患者に全身的にコポリマーを提供し、それによって前記治療は標的組織に達すること、また例えば経口摂取によって提供し、それによって前記治療は前記標的組織に達することを含み得る。組成物を「投与する」ことは、注射、局所、若しくは経口投与によって達成され、若しくは他の公知技術と組み合わせたいずれの方法によって達成されても良い。
【0026】
本明細書で使用される「治療」という用語は、患者の望ましくない病気又は疾病を治療する、治療効果を有する、改善する、防ぐ、若しくは改善することに利用される薬剤を意味する。一部において、本発明の実施形態は、患者の細菌感染を減少させる若しくは防ぐことが目的とされる。
【0027】
「治療的有効量」の組成物若しくは「有効量」の組成物は、望ましい効果を達成するために、即ち細菌感染を治療若しくは防ぐために計算された予め決められた量である。本発明のコポリマーの治療的有効量は、一般的に、それが生理学的に耐性な賦形剤組成物で投与されるとき、組織における効果的な全身若しくは局所濃度を達成するのに十分であるような量である。本発明の化合物の有効量は、患者の症状若しくは微生物数又は微生物濃度などの改善によって測定され得る。
【0028】
本発明の一実施形態によると、非ペプチド性及び両親媒性のモノマー及びポリマー、並びに前記モノマーのランダムコポリマーが提供され、更に薬学的及び非薬学的用途において抗菌物質としてそれらを使用することを含む、多くの用途における使用方法が提供される。本発明の更なる実施形態によると、このような両親媒性ポリノルボルネンモノマー、ポリマー、及びコポリマーを有する組成物、及びそれらの調製方法が提供される。
【0029】
本発明のモノマーは、以下の化学式、
【0030】
【化12】

【0031】
若しくはその組み合わせのポリノルボルネンであり、ここにおいて、前記モノマーが両親媒性であるように、Rは極性若しくは非極性であり、Rが存在する場合、Rは極性若しくは非極性である。好ましい実施形態において、前記モノマーは以下の化学式、
【0032】
【化13】

【0033】
若しくはその組み合わせから成るグループから選択されても良い。このような両親媒性ポリノルボルネンモノマーは、ポリマー若しくはコポリマーを形成するために重合されていても良い。好ましい実施形態において、両親媒性ポリマーは、poly3を有する。他の好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、poly2及びpoly3を有し、これらは、好ましくは約10:1〜約1:10の比率であり、より好ましくは約1:1比率であり、更にランダムパターンで有するものである。
【0034】
他の実施形態は、極性ポリノルボルネンモノマー単位及び非極性ポリノルボルネンモノマー単位を有する両親媒性コポリマーである。コポリマー内の非極性モノマーに対する極性モノマーの比率は、約100:1〜約1:100まで変動する可能性があり、好ましくは10:1〜約1:10、より好ましくは約1:1である。好ましい実施形態において、前記モノマー単位は、以下を含んでも良い。
【0035】
【化14】

【0036】
本発明のポリノルボルネンモノマー単位の極性及び非極性基若しくは側鎖の例は、アルキル基、アルキレン基、アルキリン(alkylyne)基、アリール基、アリーレン基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ハロゲン基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、及びアルキルチオ基を含む。好ましい実施形態において、極性基若しくは側鎖は、(CHCHNH)n−CHCHNH(nは1、2、若しくは3)、及び以下であっても良い。
【0037】
【化15】

【0038】
より好ましい極性基は、メチルアミン、エチルアミン、及びブチルアミンを含む。好ましい非極性基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、及びペンチルを含む。
【0039】
更なる実施形態において、Rの樹枝状の誘導体が合成されても良く、例えば、Rは以下であっても良い。
【0040】
【化16】

【0041】
本発明のポリマーは、親水性及び疎水性の側鎖を有するモノマー単位から成る両親媒性ノルボルネンモノマーのホモポリマー若しくはランダムコポリマーであっても良い。このようなモノマー単位は、前記コポリマー骨格に沿ってランダムに分布されていても良い。
【0042】
本発明の更なる実施形態によると、このようなポリマー及びコポリマーを調製する方法が提供される。一実施形態において、前記ポリマーは、モノマー単位前駆物質の共重合によって調製されても良い。更なる実施形態において、ランダムコポリマーは、相違するモノマー前駆物質の共重合によって合成されても良い。望ましいコモノマー含量及び分子量は、コモノマーの供給比及びモノマー比の触媒を変化させることによって制御されても良い。
【0043】
本発明のランダムコポリマーは、重合度を制御するために連鎖移動剤を使用して合成されることができ、従って、連鎖移動剤なしで合成されるそれらのコポリマーより小さい平均重合度及び平均分子量を有する。本発明のコポリマーは、全体的に、約4(4)若しくは5(5)〜約50から100までの平均重合度を有する。好ましいコポリマーは、約4又は5〜約20、若しくは約5〜約30の平均重合度を有する。
【0044】
前記重合度を制御するための連鎖移動剤を使用すると、比較的高収率で本発明の低分子量コポリマーが調製され、また、連鎖移動剤なしで行われる重合で低分子量ポリマーを得るために通常必要とされるカラムクロマトグラフィーによる時間−集約型の分画の必要性が回避される。本発明のコポリマーは、このように、調製するのが容易であり、安価であり、且つ工業的規模の生産に適している。
【0045】
本発明のポリマー及びコポリマーは、両親媒性であり、また微生物の細胞膜の完全性を乱すことができ、結果として前記微生物の増殖の阻害若しくは死滅を導く。その結果、前記ポリマー及びコポリマーは、抗菌性、抗真菌性、及び抗ウイルス活性を含む抗菌活性を備え、また抗菌物質として有益である。本発明のポリマー及びコポリマーは、広範囲の抗菌活性を有し、グラム陽性菌及びグラム陰性菌、真菌、酵母菌、マイコプラズマ、マイコバクテリア、原生動物などを含む様々な微生物に対して効果的である。さらに、分子量及び/若しくは疎水性側鎖の選抜を介して、本発明のポリマー及びコポリマーの相対的な抗菌及び溶血特性は、哺乳類に対して非毒性である抗菌性ポリマー及びコポリマーを生産するために制御され得る。
【0046】
本発明のポリマー及びコポリマーは、多くの用途における抗菌物質として有益である。例えば、本発明のポリマーは、ヒトと、野性動物、家畜、及び農場動物などのヒトではない脊椎動物とを含む動物の微生物感染を治すための治療に使用され得る。動物の微生物感染は、本発明のポリマー若しくはコポリマーの有効量の薬学的組成物を前記動物に投与することによって治療される。前記コポリマー組成物は、全身若しくは局所投与することができ、任意の身体部位若しくは組織に投与することが可能である。前記ポリマー及びコポリマーは、広範囲の抗菌活性を有するため、それらは動物の様々な感染症を治療する際に有益である。
【0047】
ヘパリン治療と関連する出血性の合併症の解毒剤のように、本発明の両親媒性ポリマー及びコポリマーは、他の治療的使用の基礎となる。このように、本発明のポリマー及びコポリマーは、前記ポリマー若しくはコポリマーの有効量の薬学的組成物を動物に投与することによって、動物のヘパリン過剰摂取に対する解毒剤を提供する方法に使用することができる。
【0048】
本発明のポリマー及びコポリマーはまた、殺菌剤若しくは防腐剤として使用することが可能である。従って、本発明のポリマー及びコポリマーは、有効量の前記ポリマー若しくはコポリマーを微生物に接触させることによって、微生物を死滅若しくはその増殖を阻害する方法に使用することができる。例えば、本発明のコポリマーは、例えば化粧品、石鹸、ローション、手洗い用液体セッケン、塗料、クレンザー、及びポリッシャ等に、若しくは、例えば食料、食品容器、及び食品取り扱い器具の中に、殺菌剤若しくは防腐剤として使用することが可能である。前記コポリマーは、溶液、分散、若しくは懸濁液としてこれらの目的のために投与される。本発明のポリマー及びコポリマーはまた、物品に成形若しくは仕上げることができる樹脂に組み入れることができ、若しくは表面と接触させて微生物を死滅させる若しくはその増殖を阻害する表面性殺菌剤を提供するために、表面に付着又は固定させることができる。さらに、本発明のポリマー及びコポリマーの分子量及び/若しくは疎水基を選択することによって、特異的な適用のために物理的特性を最適化することが可能である。例えば、長いアルキル鎖を有する本発明のコポリマーは、長鎖アルキル基のより高い融点に起因して、よりガラス質である可能性があり、従って特定の用途により適している。水溶性の両親媒性ポリマー(例えば、セルロース誘導体)は、食品若しくは塗料の増粘剤として利用される。ポリマー溶液の粘性は、疎水基の分子量及び組成物を変化させることによって制御可能である。
【0049】
本発明において、両親媒性ポリマー及びコポリマーが開示される。ポリマーは、全体として、モノマーサブユニットから組み立てられた合成化合物と定義され、その分子量は多分散系である。ポリマーは、最も一般的に、ワンポット合成の手順によって調製される。本明細書に使用される「ポリマー」という用語は、複数の繰り返しモノマー若しくはモノマー単位を有する巨大分子に言及する。用語「ポリマー」は、単一の型のモノマーから形成されるホモポリマー、及び2若しくはそれ以上の異なるモノマーから形成されるコポリマーを含み得る。「コポリマー」という用語は、モノマーがランダムに分布される(ランダムコポリマー)、種類が交互である(交互コポリマー)、若しくはブロックである(ブロックコポリマー)ポリマーを含む。本発明のコポリマーは、ランダムコポリマーである。本明細書に使用されるように、用語「ランダムコポリマー」は、前記モノマーがランダムに分布されているコポリマーに言及する。
【0050】
前記ポリマー及びコポリマーは、以下の化学式、
【0051】
【化17】

【0052】
若しくはその組み合わせのモノマー単位を有することができ、ここにおいて、前記モノマーが親水性、疎水性、若しくは両親媒性であるように、Rは極性若しくは非極性であり、Rは非極性である。好ましい一の実施形態において、前記モノマーは、両親媒性であっても良く、またこのような両親媒性モノマー単位を有するポリマー若しくはコポリマーが形成される可能性がある。他の好ましい実施形態において、前記モノマーは、疎水性及び親水性であっても良く、またこのような親水性及び疎水性モノマーを有する両親媒性コポリマーが形成される可能性がある。
【0053】
本発明の好ましいポリマー及びコポリマーはまた、平均重合度(「degree of polymerization:DP」)が約4〜約50、約4〜約30、約5〜約25、約5〜約20、約5〜約15、約5〜約10、約5〜約12、約5〜約10、若しくは約6〜約8のものである。本発明の一部の態様において、好ましいポリマー及びコポリマーは、DPが約4〜約15若しくは約4〜約10のものである。DPが約4〜約10若しくは約6〜約8のコポリマーは、特に好ましい。
【0054】
本発明の一部の実施形態において、好ましいポリマー及びコポリマーは、DPが約5〜約50、約5〜約30、約5〜約20、約6〜約20、約6〜約15、約6〜約12、約6〜約10、若しくは約6〜約8のものである。DPが約6〜約10若しくは約6〜約8のものは、特に好まれる。
【0055】
本発明の好ましいポリマー及びコポリマーは、n=1−mであり、m=約0.1〜約0.9、約0.1〜約0.6、約0.35〜約0.60、約0.35〜約0.55、約0.50〜約0.60、約0.45〜約0.55、若しくは約0.35〜約0.45のものである。
【0056】
本発明のポリマー及びコポリマーは、約500ダルトン〜約10,000から20,000ダルトン、若しくは約1,000ダルトン〜約10,000から20,000ダルトンの平均分子量を有する、約4のモノマー単位〜約50から100のモノマー単位を有するものである。好ましいコポリマーは、約500ダルトン〜約10,000ダルトン、約1,000ダルトン〜約10,000ダルトン、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、若しくは約1,000ダルトン〜約4,000ダルトンの平均分子量を有する、約4〜約30のモノマー単位、約5〜約30のモノマー単位、約4〜約20のモノマー単位、若しくは約5〜約20のモノマー単位を有するものである。特に好ましいポリマー及びコポリマーは、約500ダルトン〜約2,000ダルトン若しくは約1,000ダルトン〜約2,000ダルトンの平均分子量を有する、約5〜約10のモノマー単位若しくは約6〜約8のモノマー単位を有するものである。
【0057】
本明細書において使用される「ポリマー骨格」、「コポリマー骨格」、若しくは「骨格」の用語は、重合のモノマー間で形成される結合を有する連続的な鎖であるポリマーの部分を指す。前記ポリマー骨格の組成物は、前記ポリマー骨格の分枝若しくは側鎖の組成物とは関係なく形成されるモノマーの同一性の観点から説明され得る。
【0058】
「ポリマー側鎖」、「コポリマー側鎖」、若しくは「側鎖」の用語は、重合に続いて、前記ポリマー骨格の伸長を形成するモノマーの部分を指す。
【0059】
本明細書において使用される「両親媒性」の用語は、別個の疎水性及び親水性領域を有する構造を表す。両親媒性ポリマー若しくはコポリマーは、前記骨格に沿って疎水性及び親水性成分の両方の存在が必要である。
【0060】
本明細書において使用される「微生物」の用語は、細菌、藻類、真菌、酵母菌、マイコプラズマ、マイコバクテリア、寄生生物、及び原生動物を含む。
【0061】
本明細書において使用される「抗菌性」、「微生物殺菌」、若しくは「殺菌」の用語は、物質が微生物の成長若しくは増殖を阻害する、防ぐ、若しくは破壊することを意味する。この活性は、殺菌性若しくは静菌性のどちらかである。本明細書に使用されるように、用語「殺菌」は、微生物の死滅を意味する。本明細書に使用されるように、用語「静菌性」は、特定の状況下では元に戻るような、微生物の増殖の阻害を指す。
【0062】
本明細書において単独で使用、若しくは他の基の一部として使用される「アルキル」の用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの1〜12個の炭素の直鎖及び分枝鎖脂肪族炭化水素基の両方を指す。
【0063】
本明細書において使用される「アルキレン」の用語は、長さ1〜20個の炭素原子、若しくは、より好ましくは1〜10個の炭素原子、若しくは長さ1〜6個の炭素原子の直鎖又は枝分れ二価脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基の例としては、これに限定されるものではないが、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−及び−CH(CH)CH−)等を含む。
【0064】
本明細書において使用される「アルコキシ」の用語は、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等を含む酸素原子に結合される、鎖長がそれに制限される場合を除いて、1〜20個の炭素原子の直鎖若しくは分枝鎖の脂肪族炭化水素基を指す。好ましくは、前記アルコキシ鎖は、1〜10個の長さの炭素原子、より好ましくは1〜8個の長さの炭素原子、さらにより好ましくは1〜6個の長さの炭素原子である。
【0065】
本明細書において単独で使用、若しくは他の基の一部として使用される「アリール」の用語は、フェニル、ナフチル、及びテトラヒドロナフチル等の炭素環式基のリング部に6〜12個の炭素、好ましくはリング部に6〜10個の炭素を含む単環式若しくは二環式芳香族基を指す。
【0066】
本明細書において使用される「アリーレン」の用語は、2つの環炭素原子からの水素原子の除去に由来する、リング部に6〜12個の炭素原子、好ましくはリング部に6〜10個の炭素原子を含む二価アリール基(例えば、単環式若しくは二環式芳香族基)を指す。アリーレン基の例としては、これに限定されるものではないが、o−フェニレン、ナフチレン、ベンゼン−1,2−ジイル等を含む。
【0067】
本明細書において単独で使用、若しくは他の基の一部として使用される「シクロアルキル」の用語は、3〜9個の炭素原子、より好ましくは、3〜8個の炭素原子を含むシクロアルキル基を指す。典型例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、及びシクロノニルである。
【0068】
本明細書において単独で使用、若しくは他の基と一部として使用される「ハロゲン」若しくは「ハロ」の用語は、塩素、臭素、フッ素、若しくはヨウ素を指す。
【0069】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」の用語は、5〜14個の環原子を有し、6、10、若しくは14個の環式配置に占める7π−電子を有し、炭素原子と1、2、若しくは3個の酸素、窒素、若しくは硫黄ヘテロ原子とを含む基を指す。ヘテロアリール基の例としては、チエニル基、イマジゾリル基、オキサジアゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、フリル基、ピラニル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、キサントエニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、3H−-インドリル基、インドリル基、インドアゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタルアジニル基、ナフチリジニル基、キナゾリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基、及びフェノキサジニル基を含む。特に好ましいヘテロアリール基は、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、5−アミノ1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、3−アミノ−1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、ピリジン、及び2−アミノピリジンを含む。本明細書に使用される「ヘテロアリーレン」の用語は、2個の環原子からの水素原子の除去に由来する二価のヘテロアリール基を指す。
【0070】
注釈している場合を除き、本明細書に使用される「ヘテロ環」、「複素環式」、若しくは「複素環式環」の用語は、安定した5〜7員環の単環式又は二環式、若しくは安定した7〜10員環の二環式の複素環系を表し、いずれの環も飽和又は不飽和であっても良く、また炭素原子とN、O、及びSから成る基から選択された1〜3個のヘテロ原子とから成り、ここにおいて、前記窒素及び硫黄ヘテロ原子は、選択的に酸化されることができ、また前記窒素ヘテロ原子は、選択的に四級化され、上記で定義された任意のヘテロ環がベンゼン環に融合される、任意の二環式の基を含む。1個又は2個の窒素原子と結合している、1個の酸素又は硫黄、1〜3個の窒素原子、若しくは1個の酸素又は硫黄を含んでいる環は、特に有益である。前記複素環は、安定構造の生成の結果としてできる、任意のヘテロ原子若しくは炭素原子にも取り付けられ得る。このような複素環基の例は、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾイル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、及びオキサジアゾリルを含む。モルホリノは、モルホリニルと同一である。
【0071】
本明細書において単独で使用、若しくは他の基の一部として使用される「アルキルアミノ」の用語は、1〜6個の炭素原子を有する1つのアルキル基で置換されるアミノ基を指す。本明細書において単独で使用、若しくは他の基の一部として使用される「ジアルキルアミノ」の用語は、それぞれ1〜6個の炭素原子を有する2つのアルキル基で置換されるアミノ基を指す。
【0072】
本明細書において単独で使用、若しくは他の基の一部として使用される「アルキルチオ」の用語は、1〜10個の炭素原子若しくは、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する1つのアルキル基で置換されるチオ基を指す。
【0073】
一般に、また他に定義されない限り、本明細書に使用される「選択的に置換した」との語句は、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲン、シアノ、チオール、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜6シクロアルキル、及びC1〜6アリールから成るグループから独立して選択される、1若しくはそれ以上の置換基で選択的に置換されている基若しくは複数の基を指す。
【0074】
本明細書において使用される用語「治療する」、「治療された」、若しくは「治療している」とは、治療上の処置と予防対策若しくは再発防止策との両方を指し、ここにおいて、その目的は好ましくない生理学的な病気、疾患、又は疾病を防ぐ又は遅らせる(緩和する)こと、若しくは有益な又は望ましい臨床結果を得ることにある。本発明の目的にとって、有益な又は望ましい臨床結果とは、これらに限定されるものではないが、症状の緩和、前記病気、疾患、又は疾病の程度の減少、前記病気、疾患、又は疾病の状態の安定化(即ち、悪化させない)、前記病気、疾患、又は疾病の進行の開始を遅らせる又はその進行を鈍らせる、前記病気、疾患、又は疾病の状態の改善、及び検知可能であろうと不可能であろうと、前記病気、疾患、又は疾病の鎮静(不完全であろうと完全であろうと)、又は増強、又は改善を含む。治療は、過剰なレベルの副作用なく、臨床的に重要な反応を引き出すことを含む。治療はまた、治療を受けない場合に予期される生存期間と比べて、生存期間を延命することを含む。
【0075】
本明細書において使用される「動物」の用語は、これらに限定されるものではないが、ヒトと、野性動物、家畜、及び農場動物などのヒトではない脊椎動物とを含む。
【0076】
本発明の一部の態様において、本発明のポリマー及びコポリマーは、プロドラッグと呼ばれる誘導体である。「プロドラッグ」の語句は、直接作用する既知の薬物の誘導体を意味し、その誘導体は、前記薬物と比較して移送の特徴と治療価値とを強化しており、酵素的若しくは化学的過程によって、前記作用薬物に変質する。
【0077】
上記で引用された任意の化学式における構成物質若しくはコポリマーのいずれかにおいて、1回以上の変化が生じる場合、各発生におけるその定義は、その他の発生における定義から独立している。また、置換基及び/若しくは変量の組み合わせは、このような組み合わせが結果として安定化合物になる場合にのみ許容される。
【0078】
本発明は、微生物感染を治療するため、微生物を死滅若しくはその増殖を阻害するため、及び低分子量ヘパリンを過剰摂取した動物に解毒剤を提供するために、本発明のポリマー及びコポリマーの立体異性体、ジアステレオマー、及び光学異性体、及び混合物を使用することを含むことが理解される。更に、本発明のポリマー及びコポリマー、及びその混合物の立体異性体、ジアステレオマー、及び光学異性体は、本発明の範囲内であると理解される。限定されない例として、前記混合物は、ラセミ化合物であっても良く、若しくは前記混合物は、他のものに対して特定の立体異性体の不均衡な割合を有していても良い。さらに、本発明のポリマー及びコポリマーは、実質的に純粋な立体異性体、ジアステレオマー、及び光学異性体として提供されても良い。
【0079】
本発明の他の態様において、本発明のポリマー及びコポリマー、特に、カチオン性側鎖を有するそれらは、微生物感染を治療し、微生物を死滅させ若しくはその増殖を阻害し、且つ低分子量ヘパリンを過剰摂取した動物に解毒剤を提供するために、許容可能な塩(即ち、薬学的に許容可能な塩)の形で提供することが可能である。ポリマー及びコポリマーの塩は、薬学的使用に、若しくは前記コポリマーの薬学的に望ましい形状を調製する際の中間体として提供され得る。許容可能であると考えられ得る1つのコポリマー塩は、塩酸付加塩である。例えば、塩化物イオンは、カチオン性側鎖を有するポリマー及びコポリマーの対イオンとして存在し得る。薬学的に作用する薬剤がプロトンを付加され得るアミン基を有するとき、塩酸付加塩は、多くの場合、許容可能な塩である。本発明のポリマー若しくはコポリマーはポリアミン等のポリイオンでも良いため、前記許容可能なコポリマー塩は、ポリ(塩酸アミン)の形で提供され得る。他の許容可能な塩は、薬学的に許容可能な酸の共役塩基、例えば、薬学的に許容可能な酸のトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid:TFA)の共役塩基であるトリフルオロ酢酸塩などを含む。
【0080】
本発明のポリマー及びコポリマーは、抗菌活性を備えていることを示す。従って、本発明のポリマー及びコポリマーは、抗菌物質として使用されることができ、例えば、動物の微生物感染を治療する方法において使用することが可能である。
【0081】
従って、本発明は、本発明のポリマー若しくはコポリマーを動物に投与することによって、それを必要としている動物の微生物感染を治療する方法を対象とする。
【0082】
例えば、一部の態様によると、本発明は、それを必要としている動物の微生物感染を治療する方法、上記のようなポリマー若しくはコポリマーを有する有効量の薬学的組成物を前記動物に投与する工程を有する方法、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤、若しくは上記のようなポリマー若しくはコポリマーを有する有効量の薬学的組成物を対象とする。
【0083】
本発明のポリマー及びコポリマーは、これらに限定されるものではないが、細菌、藻類、真菌、酵母菌、マイコプラズマ、マイコバクテリア、寄生生物、及び原生動物を含むいずれの型の微生物によって生じる微生物感染を治療するために使用され得る。従って、本発明のコポリマーは、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、酵母菌感染、マイコプラスミド感染、マイコバクテリア感染、若しくは原虫感染を治療する際に効果的である。
【0084】
本発明のポリマー及びコポリマーはまた、抗ウイルス活性を備えていることを示しており、抗ウイルス物質として使用することが可能である。
【0085】
従って、一部の態様によると、本発明は、それを必要としている動物のウイルス感染を治療する方法、上記のようなポリマー若しくはコポリマーを有する有効量の薬学的組成物を前記動物に投与する工程を有する方法、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を対象とする。
【0086】
本発明のポリマー及びコポリマーはまた、真菌感染を治療する方法において使用することが可能である。
【0087】
免疫障害を持つ個体は、全身性真菌感染症を発症するリスクが高く、癌及びADDSの高い発生率は、効果的で且つ安全な抗真菌療法を開発する必要性を強調している。既存の抗真菌薬の多くは、細胞壁合成に関連する分子標的に作用する(Debono,M.,and Gordee,R.S.,Ann.Rev.Microbiol.48:471−497(1994))。しかし、これらの標的の多くはまた、不必要な副作用起こす可能性がある哺乳類細胞で発見され、また最新の治療は、肝障害及び腎障害を含む深刻な臨床の合併症と関連する。さらに、細菌感染症と同様に、薬剤耐性菌は、驚くべき速さで出現する(DeLucca,A.J.,and Walsh,T.J.,Antimicob.Agents Chemother.43:1−11(1999))。従って、それらの作用機構への耐性が発生する可能性を最小にすると共に、迅速に、効果的に、且つ安全に真菌感染を制御し得る全身及び局所薬剤の新規な取り組みを開発することが強く必要とされる。
【0088】
本発明のポリマー及びコポリマーはまた、抗真菌活性を備えていることを示しており、従って、例えば、動物の真菌感染を治療する方法において抗真菌剤として使用することが可能である。
【0089】
従って、一部の態様において、本発明は、それを必要としている動物の真菌感染を治療する方法、上記のようなポリマー若しくはコポリマーを有する有効量の薬学的組成物を前記動物に投与する工程を有する方法、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を対象とする。
【0090】
本発明のポリマー及びコポリマーはまた、低分子量ヘパリン治療と関連する出血性の合併症の解毒剤として使用することが可能である。
【0091】
ヘパリンは、抗凝血剤及び抗血栓剤として病院において一般に使用されている。しかし、治療を複雑にする標準ヘパリン(standard heparin:SH)のいくつかの薬物動態学的パラメータがある。例えば、SHの高い血清タンパク質−結合活性は、皮下投与を不可能にし、その迅速な且つ予測不能な血漿クリアランスは、有効性を評価するために、活性化部分トロンボプラスチン時間の常時モニタリングを必要とする(Turpie,A.G.G.,Am.Heart J.135:S329−S335(1998))。近年、低分子量ヘパリン誘導体(low molecular weight heparin derivatives:LMWH)は、主要な血管の血栓症状態の取り扱いの注意基準になっている(Hirsh,J.,and Levine,M.N.,Blood.79:1−17(1992))。それにもかかわらず、LMWHsは、それらの改善された薬物動態と重量が調整された投薬へのより予測可能な抗凝血反応とのために、抗血栓剤として標準ヘパリン(standard heparin:SH)に対して大衆性を得ている。LMWHsは、ヘパリンの酵素的若しくは化学的切断によって形成され、またそれらが高親和性五糖配列を含むため、効果的なXa因子阻害剤である。しかし、それらは効果的なトロンビン阻害剤ではない(Hirsh,J.,and Levine,M.N.,Blood.79:1−17(1992))。
【0092】
SH及びLMWの両者は、高い正味の負(アニオン性)電荷を有する。出血性合併症は、両方の薬剤を有する抗血栓治療と関連し、また過剰摂取は、結果として深刻な出血にいたる。プロタミンは、その正電荷によって、前記ヘパリンの効果を無効にすることができるが、プロタミン治療もまた、低血圧、肺高血圧症、及び血小板とリンパ球とを含む特定の血液細胞の機能障害を含む、重篤有害である副作用を有する(Wakefield,T.W.,et al.,J.Surg.Res.63:280−286(1996))。従って、SH及びLMWHの血栓症治療と関連する出血性合併症の安全且つ効果的な解毒剤の開発が強く必要とされる。
【0093】
本発明のポリマー及びコポリマーは、ヘパリン、特に、低分子量ヘパリンの抗凝血効果を阻害することを示しており、低分子量ヘパリン治療と関連した出血性合併症の解毒剤として使用することが可能である。
【0094】
従って、一部の態様において、本発明は、それを必要としている動物の低分子量ヘパリン過剰摂取に対する解毒剤を提供するする方法、上記のようなポリマー若しくはコポリマーを有する有効量の薬学的組成物を前記動物に投与する工程を有する方法、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤、若しくは上記のようなモノマー単位を有するポリマー或いはコポリマーを有する有効量の薬学的組成物を対象とする。
【0095】
本発明の更なる態様によると、本発明のポリマー及びコポリマーは、治療薬剤として有益である。特定の一実施形態において、前記ポリマーは、口腔疾患又は口腔障害を治療若しくは防ぐための経口或いは歯周の適用において有益である可能性がある。例となる移送方法は、これに限定されるものではないが、うがい薬、ガム、歯磨き粉、液体、泡、及びゲル等の経口投与、非経口的投与、若しくは前記薬剤の制御放出及び/若しくは持続放出のための埋め込み型装置への取り込みを含む。
【0096】
本発明の一部の態様において、本発明のポリマー及びコポリマーは、殺菌剤として有益である。例えば、コーティング及び塗料接着剤は、微生物汚染に完全にさらされ、微生物の増殖が好ましくない場所で使用される。従って、本発明のコポリマーは、その細菌種の増殖を阻害するための表面への適用のために考案された光沢剤、塗料、スプレー、若しくは界面活性剤に組み込まれる。これらの表面は、これらに限定されるものではないが、調理台、机、椅子、実験台、テーブル、階段、ベッドスタンド、道具又は機材、ドアノブ、窓、及び乾式壁などを含む。本発明のコポリマー及びポリマーはまた、石鹸、化粧品、ハンドローション等のローション、及び手洗い用液体セッケンに組み込まれる。現在あるクレンザー、光沢剤、塗料、スプレー、石鹸、化粧品、ローション、手洗い用液体セッケン、若しくは界面活性剤は、それらに静菌性の特性を提供する本発明のポリマー若しくはコポリマーを含む。それらは、適切な溶媒、担体、増粘剤、色素、芳香剤、脱臭剤、乳化剤、界面活性剤、湿潤剤、ワックス、若しくは油を選択的に含み得る。例えば、本発明の一部の態様において、前記コポリマーは、特にヒトの手の表面のために、薬学的に許容可能な皮膚クレンザーとして、外用の製剤に組み込まれる。本発明のポリマー若しくはコポリマーを含むクレンザー、光沢剤、塗料、スプレー、石鹸、ローション、手洗い用液体セッケン、及び界面活性剤などは、家庭及び施設、特に病院における院内感染の予防のためにだけでなく有益である。
【0097】
本発明の他の態様において、本発明のポリマー及びコポリマーは、防腐剤として有益であり、また製品中の微生物種を死滅させる若しくはその増殖を阻害する方法に使用することが可能である。例えば、本発明のポリマー及びコポリマーは、化粧品中の防腐剤として使用することが可能である。
【0098】
前記ポリマー及びコポリマーはまた、防腐剤として食材に添加することが可能である。本発明のポリマー若しくはコポリマーによって処理され得る食材は、これらに限定されるものではないが、マヨネーズ又はその他の卵製品などの非酸性食品、ジャガイモ製品、及びその他の野菜又は肉製品を含む。前記食材に添加するためのポリマー及びコポリマーは、特定の食材への便利な混合又は溶解のための適切な媒体或いは担体をも含むことができるいずれの食料製剤の一部に成り得る。前記媒体若しくは担体は、食品加工技術分野における当業者に既知であるような、関心を寄せている食品のよく知られている風味を損なわないものが好ましい。
【0099】
本発明のさらに他の態様において、本発明のポリマー及びコポリマーは、前記表面と接触して生物を死滅させるのみの表面性殺菌剤を提供し、また表面性殺菌剤若しくは防腐剤として有益である。
【0100】
細菌若しくは微生物汚染にさらされている又は影響されやすいいずれの対象も、微生物の表面を提供するための本発明のコポリマーで処理され得る。微生物の表面を提供するために、本発明のポリマー及びコポリマーは、これらに限定されるものではないが、木材、紙、合成ポリマー(プラスチック)、天然及び合成繊維、天然及び合成ゴム、布、乾式壁、ガラス、並びにセラミックを含むあらゆる基質に、共有結合、イオン相互作用、クーロン力の相互作用、水素結合、若しくは架橋を含む適切な方法によって取り付けられ、適用され、若しくは組み込まれる。合成ポリマーの例は、これらに限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、及びポリ乳酸、ポリグリコリド等のポリエステル、及びポリイソプレン、ポリブタジエン、又はラテックス等のゴム、及びポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、並びにポリエチレンスルホンのポリマー若しくはコポリマーを含む熱硬化性若しくは熱可塑性物質であっても良い、弾力性のある変形可能なポリマーを含む。天然繊維の例は、コットン、ウール、及びリネンを含む。
【0101】
食品由来病原体からの感染症の発生率は、継続的な懸念であり、抗菌包装物質、器具、及び表面は有益である。医療及び医療機器分野において、抗菌器具、包装、及び表面の実用性は明らかである。これらに限定されるものではないが、手術用手袋、埋め込み装置、縫合、カテーテル、透析膜、浄水器、及び器具を含む、ヒト又は動物の衛生面において内面的に又は外面的に使用される製品は全て、病原体を保菌し、感染させることが可能である。
【0102】
本発明のコポリマー及びポリマーは、任意の前記装置又は道具に組み込まれ、表面と接触して生物の増殖を死滅又は阻害する薬用抗菌性表面が提供される。例えば、本発明のポリマー及びコポリマーは、細菌汚染を受けやすい素材を使用するために、これに限定されないが、繊維、手術衣、及びカーペットを含む紡績繊維に組み込まれ得る。また、眼薬及びコンタクトレンズは容易に汚染されるため、眼の感染症が引き起こされる。従って、本発明のポリマー及びコポリマーを組み込んだコンタクトレンズの抗菌性保存容器及び洗浄液は非常に価値がある。
【0103】
従って、一部の実施形態によると、本発明は、微生物を死滅又は増殖を抑える方法であって、微生物を上述の有効量のコポリマー、例えば、上述のランダムコポリマー、又は上述のモノマー単位を持つランダムコポリマーと接触させる工程を有する方法に関するものである。
【0104】
本発明のポリマー及びコポリマーは、連鎖移動剤の存在下、フリーラジカル重合を用いて合成される。フリーラジカル重合の標準的な方法は、当業者に周知である。(例えば、Mayo,F.R.,J.Am.Chem.Soc.65:2324〜2329(1943)を参照)。また"Polymer Synthesis:Theory and Practice"Third edition,D.Braun,H.Cherdron,H.Ritter,Springer−Verlag Berlin Heidelberg New York;Sanda,F.,et al.,Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,Vol.36,1981〜1986(1998);Henriquez,C.,et al.,Polymer 44:5559〜5561(2003);及びDe La Fuente,J.L.,and Madruga,E.L.,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.38,170〜178(2000)を参照。またポリノルボルネンランダムコポリマーの合成方法を提供する下記実施例1を参照。例えば、本発明のポリマー及びコポリマーは、各々がC−C二重結合を含む2つのモノマーの直接重合でポリマー及びコポリマーを生成することにより合成される。
【0105】
下記の図式1に示したように、連鎖移動剤存在下におけるポリマーのフリーラジカル重合を示した一般的なスキームは、図1Aに図示されている。
【0106】
【化18】

【0107】
必要に応じて、ラジカル重合の際に、側鎖を保護するためにモノマーの側鎖基に保護基を加えてよい。例えば、tert−ブトキシカルボニル(tert−butoxycarbonyl:「BOC」)保護基は、モノマーメタクリル酸−2−アミノエチル塩酸塩の遊離アミン基を保護するために使用される。反応基を化学的に保護する方法は、当業者に周知である。例えば、"Protective Groups in Organic Synthesis"Third edition,T.W.Greene,P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons,Inc.(1999)、及びBOC保護基を有するモノマーのラジカル重合の記載に関しては、Sanda,F.,et al.,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.36,1981〜1986(1998)を参照。例示的合成方法はまた、2005年7月23日付で出願された出願番号第 号"Antimicrobial Copolymers and Uses Thereof"、に記載されており、その全内容がこの参照により本明細書に組み込まれる。また、実施例1を参照。
【0108】
本発明の共重合体の合成において使用されるモノマーは、商業的に入手可能であるか、或いは当業者に周知の方法により調製され得る。
【0109】
本発明のポリマー及びコポリマーは、当業者に既知の方法により抗菌活性に関する試験をすることが可能である。例えば、Tew,G.N.,et al.(Tew,G.N.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA99:5110〜5114(2002))を参照。抗菌試験は、大腸菌、必要に応じて例えば、B.subtilis、P.aeruginosa、K.pneumoniae、S.typhimurium、N.gonorrhoeae、B.megaterium、S.aureus、E.feacalis、M.luteus、又はS.pyogenesなどの別の菌株を用いたマイクロ液体希釈技術(micro−broth dilution technique)を使用して実行することが可能である。スクリーニングされ得る他の特定の菌株は、アンピシリン及びストレプトマイシン耐性の大腸菌D31、バンコマイシン耐性のEnterococcus faecium A436、及びメチシリン耐性のS.aureus 5332を含む。活性であると見出された任意のポリマー又はコポリマーは、均一に精製され、正確なIC50を得るために再試験され得る。第2の選別には、肺炎桿菌Kpl、ネズミチフス菌S5、及び緑膿菌10が含まれる。従来は、マイクロ液体希釈技術により、18〜24時間の間の単一のデータポイントが評価されるだけであり、しかしながら、その測定は、全増殖期間の細胞増殖をモニターするために24時間まで延長され得る。これらの実験は、LB培地においてなされ(それはタンパク質発現の細胞を増殖させるために一般的に使用される富栄養培地である)、活性の重要な第一のスクリーニングを表す。塩濃度、タンパク質、及び他の溶質が抗生物質の活性に影響を及ぼし得るため、富栄養培地において何ら活性を示さない物質は、富栄養培地が活性を制限しているかどうかを決定するために、最少培地(M9)において再試験してもよい。一般的膜崩壊を通じたものと考えられている活性のモードと対応する培地と活性間の関連は、何ら観察されなかった。
【0110】
標準アッセイは、本発明のポリマー又はコポリマーが静菌剤又は殺菌剤であるかどうかを決定するためになされ得る。そのようなアッセイは、当業者に既知であり、例えば、当業者に既知の手順に従って、試験中のポリマー又はコポリマーを有する大腸菌細胞を一晩培養し、その後その混合物を寒天プレート上にプレーティングすることによりなされ得る。例えば、Tew,G.N.,et al.(Tew,G.N.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5110〜5114(2002))及びLiu,D.,and DeGrado,W.F.(Liu,D.,and DeGrado,W.F.,J.Amer.Chem.Soc.123:7553〜7559(2001))を参照。
【0111】
本発明のポリマー及びコポリマーの抗ウイルス及び抗真菌活性を決定するアッセイもまた、当業者に既知である。抗ウイルスアッセイの例として、Belaid et al.(Belaid,A.,et al.,J.Med.Virol.66:229〜234(2002))、Egal et al.(Egal,M.,et al.,Int.J.Antimicrob.Agents 13:57〜60(1999))、Andersen et al.(Andersen,J.H.,et al.,Antiviral Rs.51:141〜149(2001))、及び Bastian,A.,and Schafer,H.(Bastian,A.,and Schafer,H.,Regul.Pept.15:157〜161(2001))を参照。またCole,A.M.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 99:1813〜1818(2002)を参照。抗真菌アッセイの例としてEdwards,J.R.,et al.,Antimicrobial Agents Chemotherapy 33:215〜222(1989),and Broekaert,W.F.,et al.,FEMS Microbiol.Lett.69:55〜60(1990)を参照。これらの文献は、この参照により本明細書に完全に組み込まれるものである。
【0112】
本発明のポリマー及びコポリマーの細菌及び真核生物細胞に対する傷害能選択性を測定するためのアッセイは、当業者に既知である。例えば、細胞傷害能選択性は、ポリマー及びコポリマーの溶血活性を決定することにより査定され得る。溶血活性アッセイは、培養後のヒト赤血球溶血性の程度を前記ポリマーの存在下測定し、HC50値を決定することによりなされる。HC50値は、50%のヘモグロビン放出をもたらす化合物の濃度を表す。例えば、Kuroda,K,and DeGrado,W.F.,J.Amer.Chem.Soc.127:4128〜4129(2005)and Liu,D.,and DeGrado,W.F.,J.Amer.Chem.Soc.123:7553〜7559(2001)及びそこにおいて引用される参考文献を参照。Javadpour,M.M.,et al.,J.Med.Chem.39:3107〜3113(1996)もまた参照。
【0113】
小胞漏出アッセイはまた、本発明のポリマーが細胞膜モデルのリン脂質二重層と相互作用しそれを崩壊させるかどうか確認するために使用することが可能である。小胞漏出アッセイは、当業者に周知である。例えば、Tew,G.N.,et al.(Tew,G.N.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5110〜5114(2002))及びそこにおいて引用される参考文献を参照。
【0114】
本発明のポリマー及びコポリマーのヘパリン中性化活性を測定するためのアッセイは、当業者に周知であり、活性化された部分的トロンボプラスチン時間アッセイ(例えば、固定濃度のヘパリン存在下、試験化合物の非存在下及び存在下において活性化された血漿の凝固時間の遅延の測定)又はX因子アッセイの一方を使用して一般的になされる。例えば、Kandrotas(Kandrotas,R.J.,Clin.Pharmacokinet.22:359〜374(1992)),Wakefield et al.(Wakefield,T.W.,et al.,J.Surg.Res.63:280〜286(1996)),and Diness,V.,and Ostergaard,P.B.(Diness,V.O.,and Ostergaard,P.B.,Thromb.Haemost.56:318〜322(1986))及びそこにおいて引用される参考文献を参照。またWong,P.C.,et al.,J.Pharm.Exp.Therap.292:351〜357(2000),and Ryn−McKenna,J.V.,et al.,Thromb.Haemost.63:271〜274(1990)を参照。
【0115】
本発明のポリマー及びコポリマーは、任意の以下の微生物又は以下の微生物の混合物の増殖を死滅又は阻害するために使用することが可能であり、或いは、局所的及び/又は全身的細菌感染若しくは以下の微生物又は以下の微生物の混合物に起因する病気を治療するために投与することが可能である。グラム陽性球菌、例えば、ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)及び連鎖球菌(Strept.agalactiae、Strept.faecalis、Strept.pneumoniae、Strept.pyogenes);グラム陰性球菌(淋菌及びペスト菌)並びに例えば大腸菌、インフルエンザ桿菌、シトロバクター属(Citrob.freundii、Citrob.divernis)、サルモネラ及び赤痢菌、及びFrancisella(Francisella tularensis)のような腸内細菌科等のグラム陰性桿菌;グラム陽性桿菌バシラス(炭疽菌、バシラスthuringenesis);更に、クレブシエラ(肺炎桿菌、Klebs.oxytoca)、エンテロバクター属(Ent.aerogenes、Ent.agglomerans)、Hafnia属、セラチア属(Serr.marcescens)、プロテウス属(Pr.mirabilis,Pr.rettgeri,Pr.vulgaris)、Providencia属、エルシニア属、アシネトバクター属。更に、本発明のコポリマーの抗菌スペクトルは、シュードモナス属(緑膿菌、Ps.maltophilia)並びに例えばバクテロイデスフラジリス等の狭義の嫌気性細菌、ペプトコッカス属、ペプトストレプトコッカス属の代表種、及びクロストリジウム属;更にマイコバクテリア、例えば結核菌と同様にマイコプラズマ(M.pneumoniae、M.hominis、ウレアプラズマウレアリチクム)に及ぶ。微生物のこのリストは、単に実例であり、決して限定的であると解釈されるべきではない。
【0116】
本発明のポリマー及びコポリマーの投与により治療することが可能な細菌感染又は疾患の実施例は、ヒトの細菌感染又は疾患(これに限定されない)を含み、例えば、耳炎、咽頭炎、肺炎、腹膜炎、歯周疾患、腎盂腎炎、膀胱炎、心内膜炎、全身感染、気管支炎(急性及び慢性)、敗血感染、上気道の疾患、びまん性汎細気管支炎、肺気腫、赤痢、腸炎、肝臓膿瘍、尿道炎、前立腺炎、副睾丸炎、胃腸内感染、硬骨及び関節感染、嚢胞性繊維症、皮膚感染、術後創感染、膿瘍、蜂巣炎、創感染、感染熱傷、火傷、口内感染、歯科手術後感染、骨髄炎、敗血関節炎、胆嚢炎、虫垂炎を伴う腹膜炎、胆管炎、腹腔内膿瘍、膵炎、副鼻腔炎、乳様突起炎、乳腺炎、tonsileitis、腸チフス、髄膜炎及び神経系感染、耳管炎、子宮内膜炎、性器感染、pelveoperitonitis、及び眼性感染がある。
【0117】
本発明のポリマー及びコポリマーの投与により治療することが可能なウイルス感染の例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1、HIV−2)、肝炎ウイルス(例えばA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、及びE型肝炎ウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス型1及び2、水疱瘡ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、並びにヒトヘルペスウイルス型6、7及び8)インフルエンザウイルス、RSウイルス(RSV)、並びにワクシニアウイルス及びアデノウイルスに起因するウイルス感染(これに限定されない)を含む。このリストは、単に実例であり、決して限定的であると解釈されるべきではない。
【0118】
本発明のポリマー及びコポリマーの投与により治療することが可能な真菌感染又は疾患の実施例は、Chytridiomycetes、Hyphochrytridiomycetes、Plasmodiophoromycetes、Oomycetes、接合菌類、子嚢菌類、及び担子菌類に起因した真菌感染(これに限定されない)を含む。本明細書において提供されるコポリマーの組成物で阻害される又は治療される真菌感染は、例えば、カンジダアルビカンス、カンジダtropicalis、カンジダ(トルロプシス)glabrata、カンジダparapsilosis、granulocytopenia、カンジダlusitaneae、カンジダrugosa、及びカンジダpseudotropicalis(これに限定されない)を含む任意のカンジダ種に起因する爪真菌症、慢性皮膚粘膜カンジダ症、経口カンジダ症、喉頭蓋炎、食道炎、胃腸内感染、泌尿生殖器感染(これに限定されない)を含むカンジダ症、例えば、アスペルギルスフミガーツフ、アスペルギルスfavus、アスペルギルスniger、アスペルギルスterreus(これに限定されない)を含むアスペルギルス種に起因する顆粒球減少症(これに限定されない)を含むアスペルギルス症、例えば、ケカビ、クモノスカビ種、アブシディア、リゾムコール、Cunningamella、Saksenaea、Basidobolus、及びConidobolus等の接合菌に起因する肺感染、洞感染、及び鼻脳感染(これに限定されない)を含む接合菌症、例えば、髄膜炎、及び例えばクリプトコッカスネオフォルマンスに起因する気道感染等の中枢神経系感染症(これに限定されない)を含むクリプトコッカス症、例えば、毛芽胞菌beigeliiに起因するトリコスポロン症、例えば、Pseudallescheria boydiiに起因するシュードアレシェリア症、フサリウムsolani、フサリウムmoniliforme、及びフサリウムproliferartum等のフサリウムに起因するフザリウム感染症、並びに、例えば、アオカビ種(一般的皮下膿瘍)、白せん菌種、例えば、白せん菌mentagrophytes及び白せん菌rubrum 例えば、S.chartarumのStachybotrys種、Drechslera、Bipolaris、斑点病菌、ペシロマイセス属lilacinum、エクソフィアラ属jeanselmei(皮膚小結節)、癜風菌(毛包炎)、アルタナリア(皮膚小結節病変)、Aureobasidiumプルラン(脾臓感染及び播種性感染)、Rhodotorula種(播種性感染)、ケトミウム種(蓄膿症)、トルロプシスカンジダ菌(真菌血症)、Curvularia種(鼻咽頭感染)、Cunninghamella種(肺炎)、H.Capsulatum、B.dermatitidis、コクシジオイデスイミティス、スポロトリクスschenckii及びParacoccidioides brasiliensis、ゲオトリクムキャンディダム(播種性感染)等に起因する他の感染症(これに限定されない)を含む。本発明のポリマー及びコポリマーはまた、上記リストの任意の真菌の増殖も抑える又は阻害するのに使用することが可能である。このリストは、単に実例であり、決して限定的であると解釈されるべきではない。
【0119】
本発明のポリマー及びコポリマーは、ヒト対象に投与することが可能である。従って、本発明のいくつかの態様において、ポリマー及びコポリマーは、ヒトに投与される。
【0120】
上記で開示した方法はまた、動物への適用もあり、様々なヒト以外の脊椎動物を治療するために使用することが可能である。このように、本発明の他の態様において、本発明のポリマー及びコポリマーは、上記の方法でウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、並びにニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ハト、及び観賞鳥等の家禽(これに限定されない)を含む野生動物、家畜、又は農場動物等のヒト以外の脊椎動物に投与される。
【0121】
以下は、本発明のポリマー又はコポリマーを投与することにより治療され得るヒト以外の脊椎動物における細菌感染の例である:ブタ:大腸菌性下痢、enterotoxaemia、敗血症、赤痢、サルモネラ症、子宮筋層炎−乳腺炎−agalactiae症候群、乳腺炎;反芻動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ):下痢、敗血症、気管支肺炎、サルモネラ症、パスツレラ症、マイコプラズマ病、性器感染;ウマ:気管支肺炎、関節炎、産褥感染及び産後感染、サルモネラ症;イヌ及びネコ:気管支肺炎、下痢、皮膚炎、耳炎、尿路感染症、前立腺炎;家禽(ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ハト、観賞鳥等):マイコプラズマ病、大腸菌感染、慢性呼吸器疾患、サルモネラ症、パスツレラ症、オウム病。このリストは、単に実例であり、決して限定的であると解釈されるべきではない。
【0122】
本発明のポリマー及びコポリマーが消毒剤及び/若しくは保存料、例えば洗剤、ポリッシャ、塗料、スプレー、石鹸、又は合成洗剤として使用される用途のために、ポリマー及びコポリマーは、洗剤、ポリッシャ、塗料、スプレー、石鹸、又は合成洗剤の製剤に組み込まれ、選択的に、適切な溶媒、担体、増粘剤、色素、香料、脱臭剤、乳化剤、界面活性剤、湿潤剤、ワックス、又は油と組み合わせられる。前記ポリマー又はコポリマーが食品の保存料として使用される場合、それは、食品への混合容易化又は溶解容易化のための適切な媒体又は担体も含み得る任意の食品配合の一部として食品に添加され得る。洗剤、ポリッシャ、石鹸等の製剤に或いは食品に添加される又は組み込まれる量は、対象微生物種の増殖を抑える又は阻害するのに十分な量であり、当業者に容易に決定され得る。
【0123】
本発明のポリマー及びコポリマーが表面性殺菌剤として使用される用途のために、例えば、消毒剤、保存料としてのいくつかの用途において(例えばカテーテル、包帯、医療器具、及び埋め込みデバイス又は食品容器及び食品取り扱い器具(これに限定されない)を含む)、前記ポリマー及びコポリマーは、木材、紙材、合成ポリマー(プラスティック)、天然及び合成繊維、天然及び合成ゴム、生地、乾式壁体、ガラス、並びにセラミック(これに限定されない)を含むほぼ任意の基質に、共有結合、イオン相互作用、クーロン相互作用、水素結合、又は架橋(これに限定されない)を含む適切な方法により接着され、塗布され、又は組み込まれ得る。
【0124】
本発明のポリマー及びコポリマーを適切な物質及び基質に接着する、塗布する、及び取り込む手順は、国際公開公報第WO02/100295号において開示され、その内容は参照することにより十分に本明細書において組み込まれる。適切な基質及び物質もまた、国際公開公報第WO02/100295号において開示される。
【0125】
本発明のポリマー及びコポリマーは、それらが活性である任意のルートによる従来の方法で投与され得る。投与は、全身的、局所的、経口的であり得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹膜内、経皮的、経口、口腔、又は眼内ルート、若しくは膣内、吸入、蓄積注射、又は埋め込み(これに限定されない)であり得る。従って、本発明のポリマー及びコポリマーの投与方法(単独又は他の薬剤と組み合わせで)は、舌下、注射(皮下又は筋肉内に注射される短時間作用型、蓄積、埋め込み、粒形態を含む)、又は膣クリーム、坐薬、膣坐薬、膣リング、直腸坐薬、子宮内器具、及びパッチ及びクリーム等の経皮形態の使用(これに限定されない)によって可能である。
【0126】
特定の投与方法は、その適応症(前記コポリマーが、細菌感染を治療するため若しくはへパリン治療に関連した出血状態の解毒薬を提供するために投与されるかどうか)に依存する。投与方法は、標的化された病原体又は微生物に依存する。特定の投与ルートの選択及び用法は、最適な臨床反応を得るために臨床医に既知の方法に従って臨床医により調節される又は滴定される。投与されるコポリマーの量は、治療的に有効な量である。投与量は、治療される対象の特徴、例えば、年齢、体重、健康、併用治療のタイプ、もしあれば、頻繁な治療の種類に依存し、当業者に(例えば、臨床医により)容易に決定され得る。
【0127】
例えば、本発明の別の実施形態において、口腔疾患の治療又は予防に適した本発明のポリマー及びコポリマーの組成物、及びランダムコポリマーを投与することにより口腔疾患を治療する方法を提供する。口腔疾患を治療するのに適切な組成物は、口腔組織に放出するためのペースト、ゲル、ガム、局所的液体、スプレー、吸入剤、又は埋め込み装置(これに限定されない)を含む。
【0128】
本発明のポリマー及びコポリマー、並びに適切な担体を含む薬学的製剤は、錠剤、カプセル、カプセル、ペレット、ピル、粉末、及び顆粒(これに限定されない)を含む固形投与形態;溶液、粉末、液体エマルション、液体懸濁液、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ゲル、及びゼリー、発泡体(これに限定されない)を含む局所的投与形態;溶液、懸濁液、エマルション、及び乾燥粉末を含む(これに限定されない)非経口投与形態であり得;それらは本発明のポリマー又はコポリマーの有効量を含む。活性成分が薬学的に許容可能な希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑油、界面活性剤、疎水性媒体、水溶性媒体、乳化剤、緩衝液、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、保存料などを有するそのような製剤に含まれ得ることはまた、当業者に既知である。投与手段及び方法は、当業者に既知であり、当業者は、手引きのために種々の薬理学的文献を参照し得る。例えば、Modern Pharmaceutics,Banker&Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979);及びGoodman&Gilman’sThe Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co., New York(1980)が参考になり得る。
【0129】
本発明のポリマー及びコポリマーは、例えば、静脈内ボーラス又は連続注入などの注射による非経口投与のために調製され得る。前記コポリマーは、約15分〜約24時間の期間以上の皮下連続注入により投与され得る。注射製剤は、例えば、アンプル又は複数投与容器などの単位投与形態で添加保存料を伴い提供され得る。前記組成物は、油性又は水性媒体における懸濁液、溶液、又はエマルション等の形態をとり得、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤等の製剤基剤を含み得る。
【0130】
経口投与のために、前記ポリマー及びコポリマーは、当業者に既知の薬学的に許容可能な担体を有するこれらの化合物を結合させることにより容易に調製され得る。そのような担体により、本発明の前記化合物は、タブレット、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、泥状物、懸濁液等として治療される患者の経口摂取のために調製され得る。経口用薬学的調製物は、必要ならば、適切な助剤を添加した後に、固体賦形剤を添加し、選択的にその結果の混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工することにより錠剤又は糖衣錠核を得るために得られる。適切な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、及びソルビトール(これに限定されない)を含む糖等の充填剤;トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、ガムトラガカンタ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone:PVP)等(これに限定されない)セルロース調製物を含む。必要に応じて、崩壊剤が、架橋されたプロビニルピロリドン、寒天、若しくはアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム等のその塩(これに限定されない)に添加され得る。
【0131】
糖衣錠核は、適切なコーティングを備え得る。この目的のために、濃縮した糖溶液が、それは選択的にアラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含み得、使用され得る。染料又は色素は、同定のために又は活性化合物投与の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0132】
経口的に使用され得る薬学的調製物は、ゼラチン、及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤から成る柔軟密閉カプセルと同様にゼラチンから成る押し込み型カプセル(これに限定されない)を含む。前記押し込み型カプセルは、例えば、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/又は例えば、滑石又はステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、並びに選択的に安定剤を伴った混合製剤において活性成分を含み得る。柔軟カプセルにおいて、前記活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール等の適切な液体において溶解し又は懸濁され得る。加えて、安定剤が添加され得る。経口投与のための全製剤は、そのような投与に適切な投与量においてあるべきである。
【0133】
口腔投与のために、前記ポリマー及びコポリマー組成物は、従来の方法で調製された例えば、錠剤又はトローチ剤の形態をとり得る。
【0134】
吸入による投与のために、本発明に従った使用のための前記ポリマー及びコポリマーは、適切な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオルメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又はその他の適切なガスの使用を伴う加圧されたパック又は噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で利便的に送達される。加圧されたエアロゾルの場合において、前記投与単位は、定量を送達するための真空管を提供することにより決定され得る。例えば、吸入器又は通気器における使用のためのゼラチン等のカプセル及び薬包は、前記化合物の粉末混合物及びラクトース又はデンプン等の適切な粉末ベースを含んで調製され得る。
【0135】
本発明のポリマー及びコポリマーは、また例えば、ココアバター又は他のグリセリド等の従来の坐薬基剤を含む坐薬又は直腸浣腸等の直腸組成物において調製され得る。
【0136】
前述の製剤に加え、本発明のポリマー及びコポリマーはまた、持続性調製物として調製され得る。そのような長期作用型製剤は、(例えば皮下又は筋肉内に)埋め込むこと又は筋肉内注射により投与され得る。
【0137】
蓄積注射は、約1ヶ月〜約6ヶ月若しくはそれ以上の間隔で投与され得る。従って、例えば、化合物は、適切なポリマー物質又は疎水性物質(例えば、適切な油中のエマルションとして)、若しくは交換樹脂を用いて、或いは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として調製され得る。
【0138】
経皮投与において、本発明のポリマー及びコポリマーは、例えば、プラスターに使用され得る、或いは連続的に生物に供給される経皮的、治療的システムにより使用され得る。
【0139】
前記ポリマー及びコポリマーの薬学的組成物はまた、適切な固体又はゲル相の担体若しくは賦形剤を含み得る。そのような担体又は賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及び例えば、ポリエチレングリコール等のポリマー(これに限定されない)を含む。
【0140】
本発明のポリマー及びコポリマーはまた、例えば、アジュバント、プロテアーゼ阻害剤、若しくは他の互換性薬又は化合物等の他の活性成分との組み合わせで投与され得、そこにおいてそのような組み合わせは、本明細書において記載される方法の望ましい効果(例えば、有害な微生物による感染症を制御すること、若しくはヘパリン治療に関連した出血性の合併症を治療すること等)を達成することにおいて望ましい又は有利であると思われ。例えば、本発明のポリマー及びコポリマーは、バンコマイシン、シプロフロキサシン、メラペネム(merapenem)、オキシリン(oxicillin)、及びアミカシン(これに限定されない)を含む他の抗生物質と共に投与され得る。
【0141】
以下の実施例は、その範囲の限定として解釈されるべきではなく、その範囲は添付された請求項にのみ定められ、本発明の特質を更に類型化するのに役立つであろう。
【実施例1】
【0142】
物質。第二世代Grubbs触媒である(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリジン)ベンジリジンエルテニウム二塩化物をStrem Chemicalから購入した。ステアロイル−オレオイル−ホスファチジルコリン(SOPC)及びホスファチジルセリン(SOPS)をAvanti Polar−Lipids,Incから購入した。フルベン誘導体を合成するためのシクロペンタジエンをジシクロペンタジエンの熱分解に続く蒸留により入手した。化合物1〜3、1〜4のホモポリマー、及び[(HImes)(3−Br−py)−(Cl)Ru=CHPh]を文献の手順に従って調製した。全ての他の試薬をAldrichから入手した。重水素置換クロロホルム及びジクロロメタンを使用前に塩基性で活性化したアルミナのカラムに通過させた。
【0143】
測定。H(300MHz)及びNMR 13C(75MHz)スペクトルをBruker DPX−300のNMR分光計で得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)をWaters示差屈折率検出器を装備したPolymer Lab LC1120高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプで行った。移動相は、移動速度がそれぞれ1.0mL/分及び0.5mL/分のテトラヒドロフラン(THF)であった。分離を10、10、及び10ÅのPolymer Lab カラムで行った。分子量を狭義の分子量ポリスチレン基準に対して較正した。蛍光スペクトロスコピーを、Perkin Elmer LS50Bルミネッセンス分光計で記録した。光学濃度及び吸光度スペクトロスコピーをMolecular Devices SpectraMAX 190プレートレコーダーで記録した。
【0144】
化合物4の調製。化合物2及び3の調製のために使用した文献の手順をわずかに改良した方法によって化合物4を調製した。メタノール(20mL)中の4−ヘプタノン(20mmol,2.28g)及びシクロペンタジエン(20mmol,1.32g)の溶液にピロリジン(20mmol,1.42g)を添加した。前記混合液を室温で1時間攪拌し、酢酸(20.1mmol,1.21g)を添加した。反応混合液をエーテル(50ml)及び水(50ml)で希釈した。エーテル部を分離し、水(50mL)及びブリン(50mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥した。減圧下でエーテルを除去し、その生成物であるジ−n−プロピルフルベンを更なる精製をせずに使用した。ジ−n−プロピルフルベン(20mmol,3.24g)及び無水マレイン酸(20mmol,1.96g)のディールス−アルダー反応を酢酸エチル(50mL)中で80℃で2時間密閉加圧菅において行った。減圧下の酢酸エチルの除去に関して、付加生成物を高収量で油として得(85:15 エクソ−エンド比)、更なる精製をせずに使用した。DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド、6mL)中のディールスアルダー付加生成物(6.1g,23.5mmol)に以前報告されたモノ保護化ジアミン(6.8g,42.3mmol)を60℃で添加し、20分攪拌した。DMAc中に溶解させた酢酸コバルトの触媒量(0.5mmol,88.5mg)をこの混合液に添加し、その後無水酢酸(25mmol,255mg)を添加し、前記反応混合液を80℃で4時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチルで前記溶液を希釈し、水と希釈塩酸で洗浄し、乾燥させ、減圧下エバポレーターにかけ、化合物4のエクソ−エンド(87:13)の混合物を95%の収量で得た。冷却ジエチルエーテルからの再結晶を行い、純エクソ異性体4(50%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl,ppm):δ6.42(2H,t,J=2.1Hz),5.05(1H,s),3.70(2H,t,J=1.9Hz),3.53(2H,t,J=5.4Hz),3.25(2H,broad d,J=5.0Hz),2.75(2H,s),1.82(4H,t,J=7.8 Hz),1.42(9H,s),1.22(4H,m),0.81(6H,t,J=7.3Hz)。13C NMR(75MHz,CDCl,ppm):δ177.6,155.8,141.9,137.8,123.2,78.9,47.8,45.1,38.8,38.4,33.1,28.2,21.7,13.9。HRMS(FAB)計算値C2335:403.260。結果:403.260。
【0145】
poly4の調製。以前に報告された文献の手順に従い、第二世代Grubbs触媒、[(HImes)(3−Br−py)−(Cl)Ru=CHPh]のブロモピリジン置換された誘導体を使用して化合物4のホモ重合及び引き続き第一級アミン基の脱保護を行いポリ4を得た。HのNMR(300MHz,D2O,ppm):δ5.70−5.20(2H,br)、4.10−3.50(4H,br)、3.40−3.05(4H,br)、2.20−1.70(4H,br)、1.55−1.10(4H,br)、1.00−0.60(6H,s)。13C NMR(75MHz,d−DMSO,ppm):δ178.6(br)、138.1(br)、135.8、132.4(br)、51.3(br)、47.9(br)、44.2、36.2、33.5、21.0、13.8。
【0146】
ランダムコポリマーの調製。poly(2−co−3)(M=15300g/mol)の調製を、化合物2及び化合物3のランダムコポリマーの代表的調製手順として記載する。コモノマー供給比率及びモノマーに対する触媒の比率を変えて、望ましいコモノマー量と分子量とを有するランダムコポリマーを得た。化合物2(0.58mmol)及び化合物3(0.29mmol)の混合物をジクロロメタン(1.5mL)及び触媒(ジクロロメタン0.05mL中に0.015mmol)の溶液に溶解させ、不活性気体下室温で[(HImes)(3−Br−py)−(Cl)Ru=CHPh]を添加した。前記混合物を40℃で90分間反応させた。エチルビニルエーテル(0.2mL)の添加し、引き続きペンタン中での沈殿をさせ、白色ポリマー沈殿及び茶色の上澄液がもたらされることにより重合を終結させた。生成物を濾過し、減圧下室温で一晩乾燥させた。少量のサンプルを分子量の決定に使用した。トリフルオロ酢酸中で前記ポリマーの溶解及び45℃で8時間攪拌することにより第一級アミンのペンダント基の脱保護を行った。減圧下トリフルオロ酢酸のエバポレーション及び水に溶解させ引き続き一晩凍結乾燥を行うことによりポリマーを回収した。単離された収率は、85%(275mg)であった。HのNMR(300MHz,DO,ppm):δ5.90〜5.10(2H,br)、4.35〜3.55(4H,br)、3.55〜2.90(4H,br)、2.65〜2.30(1Hの33%,br)、2.00〜1.20(6Hの66%,br)、1.10〜0.60(6Hの33%,br)。13C NMR(75MHz,DO,ppm):δ180.4(br)、163.7、163.4、163.2、162.8、162.3、139.4(br)、136.0(br)、134.9(br)、132.2(br)、131.4(br)、130.6(br)、122.6、118.7、114.9、111.0、52.8、51.6(br)、50.0(br)、48.5(br)、46.4(br)、37.8、36.7、28.8(br)、22.5、21.0。
【0147】
溶血活性の測定。溶血活性測定を文献の手順7,12,47に少し修飾を加えて行った。新たに採血された血液細胞(HRBC,30μL)を10mLのTRIS生理食塩水(10mM TRIS,150mM NaCl,pH7.2,ポリエーテルスルホン膜0.20μm 孔の大きさ)中に懸濁させ、遠心分離で(5分間、1500回転数/分)3回洗浄し、TRIS生理食塩水中に再懸濁させた。TRIS生理食塩水中(10mM TRIS,150mM NaCl,pH7.2)の溶解によりポリマー溶液を濃度8mg/mLに調製し、更に必要に応じて希釈した。完全な溶解後、前記溶液のpHをポリマーの溶解度に依存して約6.5〜約7.0の間のpH値に調節した。poly1、poly2、及びpoly(2−co−3)のTRIS生理食塩水を、pH約7.0に調節した。poly3及びpoly4のTRIS生理食塩水を、より高いpH値でのこれらのポリマーのゆっくりとした沈殿の為にpH約6.5に調節した。pH調節後、ポリマー溶液をポリエーテルスルホン膜(0.45μm孔の大きさ)を通して濾過した。さまざまな濃度に新たに調製されたポリマー溶液を上記で調製したHRBC懸濁液100μLに添加し、96穴プレート上で終体積200μLにした。その結果の混合液を攪拌プレート上で30分間37℃に保った。その後前記プレートを遠心分離機(1500回転数/分で10分間)にかけ、各ウェル中の上澄液を新しいプレートに移動させた。放出されたヘモグロビンの吸光度を414nmで測定することにより溶血をモニターした。強力な界面活性剤である1%のTRITON−Xを上記で調製したHRBC懸濁液に添加することにより100%溶血を得た。50%溶血を引き起こすために必要なポリマー濃度の上限をHC50とし、そこにおいて、ポリマーを全く含まないTRIS生理食塩水からの吸光度を0%溶血として使用した。溶血のパーセント値を、それが、試験したポリマー最高濃度において50%未満溶血であった場合又は試験したポリマー最低濃度において50%溶血より大きかった場合において報告した。触媒残渣が原因で対応濃度における414nmでのポリマー溶液の比較的小さな吸光度を測定し、ポリマーとHRBCとの混合液から差し引いた。全実験を4つ組で行った。ポリマー溶液に微量存在する可能性のあるTFA処理されたルテニウム触媒の溶血活性をモニターするために対照実験を行った。触媒をTFA中で溶解させ、45℃で8時間攪拌し、引き続きTFAをエバポレーションにかけ、TFA処理された触媒のTRIS生理食塩水への不溶解性のためにDMSO中に溶解させた。前記溶血研究で使用される限られた時間及び濃度内で前記触媒溶液から溶血活性は全く観察されなかった。
【0148】
抗菌活性の測定。文献手順を少し修飾して抗菌活性の測定を行った。細菌懸濁液(大腸菌 D31及び枯草菌 ATCC 8037)、それをMuller−Hintonブロス(MHB)において37℃で一晩増殖させ、新しいMHBで600nm(OD600)で0.1の光学濃度に希釈し、及び更に10倍に希釈した。この懸濁液を様々な濃度に新しく調製したTRIS生理食塩水(pH6.5〜7.0)におけるポリマー溶液と96穴プレートにおいて混合し、37℃で6時間培養した。ポリマー溶液又はTRIS生理食塩水のみの存在下で培養した細菌懸濁液の前記OD600を測定した。最小阻害濃度(MIC)として抗菌活性を表し、増殖を90%阻害する濃度を8時間後に観察した。全実験を4つ組で行った。対照実験において、前記TFA処理されたルテニウム触媒は、抗菌活性アッセイに使用した限られた時間及び濃度内で抗菌活性を全く示さなかった。
【0149】
小胞内容物のポリマー誘導性漏出の測定。前記脂質小胞を文献手順に少し修飾を加えて調製した。コレステロール(1.7μmol)をSOPC(17.2μmol)のクロロホルム溶液に溶解させ、前記クロロホルムを窒素流下で続けて除去し、引き続き減圧下室温で3時間乾燥させ、乾燥フィルムとして混合物を得た。その乾燥したフィルムをカルセイン(40mM)及びリン酸ナトリウム(10mM,pH7.0)を含む2mLの緩衝液の添加により水和した。その懸濁液を10分間ボルテックスした。前記懸濁液をバスタイプの超音波器(Aquasonic 150 HT)において室温で3回超音波浴し、各超音波浴後に凍結融解した。前記非カプセルのカルセインを溶出液として90mMの塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)が入ったサイズ排除Sephadex G−25−150カラムを通して溶出させることにより除去した。負に荷電したSOPS/SOPC小胞の調製及び脂質小胞からのポリマー誘導したカルセイン漏出を文献手順に従って行った。
【0150】
結果と考察
両親媒性のポリノルボルネン誘導体。脂質膜崩壊活性を示すと以前に示した、あるクラスの両親媒性ポリマーの生物学的活性を試験した。ペンダント基として第一級アミン及び長さ可変アルキル成分をもたらす両親媒性ポリノルボルネン誘導体をモジュールノルボルネン誘導体のROMPによりGrubbs触媒の[(HImes)(3−Brpy)−(Cl)Ru=CHPh]変異体を使用して調製した。抗菌活性及び溶血活性に対するカチオン性ポリマーの疎水性及び分子量の効果を試験するのに十分に限定されたモデルがこれらの両親媒性ポリマーにより提供される。本研究は、下記の繰り返し単位の4つのタイプ(1〜4)に関する。
【0151】
【化19】

【0152】
これらのモノマーの全てのホモポリマー及びコポリマーは、約1.3より小さな狭い多分散性を有し、オリゴマーから最高約137500g/molまでの高分子量のポリマーまで、広範囲な分子量を含む。均一なルテニウム触媒により調製されたポリノルボルネン誘導体の不完全な立体規則性及び骨格不飽和に関するシス−トランス異性体の存在を考慮しても、これらの巨大分子からはポリマーの安定な成形2次構造を予想できない。更に、主要部から主要部及び主要部から末端部挿入から生まれるpoly3のイソブチリデン基の前記非対称性から複数の2分子可能性が導かれる。ランダムコポリマーの場合、付加的組成物均一性が要因となる。全ポリマーはTRIS食塩水に適切なpH値(約6.5〜7.0)で可溶である。
【0153】
ホモポリマーの抗菌性及び溶血活性。両親媒性ポリマーの抗菌及び溶血活性を誘起させるために前記繰り返し単位の疎水性を観察した。近い分子量(10,000g/mol付近,M)を有する各ホモポリマーの活性をグラム陰性細菌(大腸菌)、グラム陽性細菌(枯草菌)、及びヒト赤血球細胞に対してプローブした。結果は、表1(表1)に示した。
【0154】
【表1】

【0155】
及びPDI値は、poly1について10250g/mol及び1.07、poly2について9950g/mol及び1.10、poly3について10050g/mol及び1.13、poly4については10300g/mol及び1.08である。前記ポリマーの脱保護の前にポリスチレン基準と比較してTHF GPCによりM及びPDI値を決定した。poly1は測定した最高濃度の1000μg/mLで5%溶血を引き起こした。poly2は、4000μg/mLで25%溶血を引き起こした。poly3は、1μg/mLで80%溶血を引き起こし、poly4は、測定した最低濃度の1μg/mLで90%溶血を引き起こした。
【0156】
poly1は、実質的な疎水性基の無いカチオンポリマーで、測定した濃度内で観察可能な抗菌又は溶血活性を示さなかった。この結果は、以前述べたリン脂質膜に対する活性の欠如と一致する。繰り返し単位レベルで疎水性基を導入すると、抗菌及び溶血活性において増加が見られ、それは、疎水性基のサイズに依存した。poly2は、イソプロピリデンペンダントを有し、大腸菌に対して200μg/mLのMICで抗菌活性を示し、それは、一般的に1〜50μg/mLの範囲のMICsを有する最強の抗菌ペプチド及びそれらの類似体より有効ではない。しかしながら、poly2は、4000μg/mLの測定濃度まで非溶血のままであり、これにより約20より大きいMICに対するHCの比率として定義された選択性が与えられた。poly3は、繰り返し単位につき、もう1つの炭素原子を有し、poly2より疎水性のようであり、ペンダントアルキル基の更なる可動性を有する。poly3は、1μg/mL(表1)より小さいHC50の溶血活性と同様に、大腸菌及び枯草菌の両者に関して25μg/mLのMICで抗菌活性の実質的な増加を示した。疎水性の増加を伴う抗菌及び溶血活性におけるこの増加は、より大きな疎水性基が細胞膜の内核と選択性の喪失をもたらすより強力な相互作用を有するであろうと予測した文献報告と一致する。しかしながら、poly4の場合、前記疎水性のサイズが更に増加すると、前記溶血を保持したが、前記抗菌活性は、200μg/mLのMICに減少した。多くの例において、疎水性相互作用が溶血活性を制御すると報告されている;電荷相互作用が抗菌活性に対してより重要であると示唆されるが。これらの結果により、疎水性及び親水性基の存在及びバランスが両親媒性非天然ポリマーの抗菌及び溶血活性を制御することが天然ペプチド研究と一致して示唆される。
【0157】
抗菌及び溶血活性に対する分子量の効果をpoly2、poly3、及びpoly4に関して調査した。表2に結果を示す。
【0158】
【表2】

【0159】
ポリマーの脱保護の前にM及びPDI値をTHF GPCによりポリスチレン基準に比較して決定した。poly2sは、4000μg/mLでの20〜25%の溶血を引き起こした。poly3sは、1μg/mLでの70〜80%の溶血を引き起こした。poly4sは、1μg/mLでの100%の溶血を引き起こした。
【0160】
広範囲の分子量の変化によりpoly2及びpoly4の抗菌及び溶血活性における重大な変化がもたらされなかった。分子量が57200g/molから10300g/molに又はさらに小さくなるにつれて適度に増加するpoly3の抗菌活性を観察した。これらのホモポリマーの抗菌又は溶血活性に対する実質的分子量依存性は、活性がモル濃度ではなく質量/体積単位で報告された場合、概してなかった。最も一般的に示唆される両親媒性ペプチドに基づく膜崩壊の作用機構において、孔形成又はカーペット状の表面被覆の一方における共同作用にはいくつかのタイプがある。前記膜崩壊活性が前記膜表面上における巨大分子の蓄積に関連している場合、MIC値を質量/体積の単位で報告することが適切なアプローチである。そうでなければ同一のモル濃度におけるより高分子量ポリマーの方がより低分子量ポリマーよりも広範囲の表面を被覆するであろう。しかしながら、このアプローチは、前記膜表面における静電気及び疎水性相互作用の数の増加の考えられる効果をより高分子量のもたらす共有結合性の結果として過小評価することに注目すべきである。高分子量ポリマーシステムの多くの考えられる利点の1つは、それが標的使用に必要とされる場合、比較的低いモル濃度でそれらを使用する能力である。
【0161】
ランダムコポリマーの抗菌及び溶血活性。ホモ重合の研究からの結果により、これらの両親媒性ポリマーの生物学的活性における微妙な構造変化の強力な影響が示された。poly2の低い溶血活性及びpoly3の強力な抗菌活性により、モノマー2及び3のコポリマーが活性及び選択性を最適化する容易な合成手法であることが示唆された。2及び3の異なるコモノマー比から成るランダムコポリマーを狭い多分散性を損なうことなしに調製した。前記コポリマーのランダム進行をin situ H NMR分析において確認した。使用した前記合成手法により種々の組成物を以前報告されたポリマー縮合手法と比較して調査することが可能となる。Poly(2−co−3)、表3において示すようにpoly2の前記非溶血特性を維持する一方、2及び3の最終コモノマーモル比それぞれ9/1であり及びM 12000g/molを有する2及び3の前記ランダムコポリマーは、poly3の抗菌活性と近い抗菌活性を示した。
【0162】
【表3】

【0163】
及びPDI値をポリマーの脱保護の前にポリスチレン基準と比較してTHF GPCにより決定した。poly(2−co−3)は、15%溶血を引き起こし、poly(2−co−3)sは、4000μg/mLで20〜25%溶血を引き起こした。poly(2−co−3)sは、60〜70%溶血を引き起こし、poly(2−co−3)は、1μg/mLでの75%溶血を引き起こした。
【0164】
コモノマー3の約10%の容量が、3のホモポリマーと近い抗菌活性をもたらし、100以上の比の優れた選択性を示すのに十分であったことは注目すべきである。poly(2−co−3)sはまた、poly3の場合のように分子量が増加すると抗菌活性が少し減少する高い選択性を示した。100を超える選択性の値を持つこれらのポリマーは、疎水性/親水性バランス及び分子量を微調整することにより非溶血ポリマーからの高い抗菌活性を獲得する能力の説得力のある例である。poly(2−co−3)s及びpoly(2−co−3)sは、増加する溶血コモノマー3の容量と共に高い溶血活性を示した。
【0165】
脂質小胞膜の崩壊。負に荷電及び中性の大型ユニラメラ小胞(large unilamellar vesicles:LUV)からのポリマー誘導性蛍光色素漏出を測定した。細胞壁及び細菌細胞膜における脂質ポリサッカライド等の複数の要因を過小評価はしているが、脂質小胞から細菌及び哺乳類細胞膜の単純化したモデルが与えられる。同時に、これらのアッセイは文献にまとめられ、有益な洞察を与える。従って、小胞体又は生物細胞に対して活性の直接比較を行うためではなく、ポリマーの総括的な膜崩壊活性を研究するために、これらのテストを使用した。図2に示すように、Poly2は、前記測定した濃度において中性小胞体に対して活性でないようであり、負に荷電した小胞体の崩壊をほとんど示さなかった。6と近い選択性を有する中性小胞体に対する低い活性を維持する一方でpoly(2−co−3)sが増加する活性を示すと見出した。poly3は、2のより低い選択性を有する両膜タイプに対して高度に活性であった。1,500〜2,000g/molの間の分子量を有するpoly3のオリゴマーは、それらの高い抗菌及び溶血活性(図示せず)にもかかわらず小胞体に関して何ら重要な活性を示さない。上述の結果によりこれらの生物学的活性高分子化合物の前記膜活性が確認されるが、インビトロ実験で測定されたpoly(2−co−3)sの選択性の程度を過小評価している。図2は、中性小胞の細胞溶解パーセント(コレステロール/SOPC)及びpoly2、poly(22−co−31)、及びpoly3の負に荷電した小胞(SOPS/SOPC)を示す。
【0166】
結論。モジュールノルボルネンに基づいた両親媒性ポリマーが十分な抗菌活性及び赤血球に対する細菌の高い選択性を呈することを示した。モノマー組成物、分子量、多分散性、及び両親媒性に対する優れた制御を可能にするROMPを基礎とする容易な合成方法を通してこの分類のポリマーを調製した。カチオン性両親媒性の疎水特性に少し修飾を加えると、前記抗菌性及び溶血活性の劇的変化が示された。疎水性/親水性のバランス及びこれらのコポリマーの分子量を変えると、高い選択性を持つ抗菌性非溶血巨大分子の調製が可能となる。広範囲の分子量に亘って望ましい生物学的活性を維持した。更に、本研究により、特異的二次構造の非共存下宿主防衛ペプチドの活性を真似た十分に合成的な高分子量ポリマー調製法を示した。
【実施例2】
【0167】
本実施例は、本発明の実施例の両親媒性コポリマーを図示し、そこにおいて前記コポリマーは、親水性ポリノルボルネンモノマーユニット及び疎水性ポリノルボルネンモノマーユニットから成る。フラン及びマレイミドを使用するディールス−アルダー化学は、更に通常の方法で非極性又は極性基の一方と反応する二環式NH化合物を生成した。これらの方法には、塩基性下のアルキル化又は光延条件下のアルキル化の一方が含まれる。第一級アミン基を標準的保護基を使用して保護する。前記塩基性アルキル化のために、脱離基としてハロゲン化合物を使用する。光延条件のために、アルコールを使用する。
【0168】
【化20】

【実施例3】
【0169】
本実施例において、種々の機械的用途における本発明の両親媒性ポリノルボルネンポリマーの抗菌作用を図示する。poly3を塗料及びポリウレタン及びポリ塩化ビニルの水性製剤に組み込んだ。具体的には、ポリウレタン(polyurethane:PU)サンプルを、1mlのPUとDMSOの活性ポリマー(poly3)の適当な量とを混合することにより調製した。PVCをテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran:THF)において溶解し、PUについても同量を混合することにより調製した。表面を塗装するために、溶液又は乾燥粉末として塗料に前記活性ポリマーを添加した。その後、ガラス製スライド上でこれらを被覆し、一晩乾燥した。エタノールで表面を殺菌し、その後細菌を用いてスプレーした。前記細菌を前記表面上に3〜30分までの時間付着させた。その後PBSで洗浄し、回収し、適度に希釈し、寒天プレート上に広げた。これらのプレートを一晩増殖させ、コロニー数を計数した。結果を下記表4及び表5に示す。
【0170】
【表4】

【0171】
【表5】

【0172】
他の実施例において、図3で記載するように、poly3を全く含まない対照と比較するとpoly3(Fap)の約0.5%の重量を含む商業的屋外のポリウレタン塗料のコロニー数は、前記対照由来の生きている細胞において顕著な減少を示した。図3において示す。
【0173】
本発明は、それらの特定の好ましい実施形態を参照して考慮すべき詳細において記載されるが、他の変形例も可能である。従って添付された請求項の趣旨及び範囲は、本明細書内に含まれる記載及び好まれる変形例に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0174】
本発明の性質及び利点のより完全な理解のために、参考文献は、添付の図面と関連した次の詳細な説明を有することを必要とする:
【図1】図1は、poly2(A)及びpoly3(B)を濃度増加させたときの、溶血反応の曲線を描いたものである。
【図2】図2は、3分に、25μg/mLのpoly2(A)、Mn=10050g/mol、poly(2−co−3(B)、Mn=15300g/mol、及びpoly(3)(C)、Mn=10300g/molによって引き起こされた中性小胞(コレステロール/SOPC)及び負電荷小胞(SOPS/SOPC)の溶解である。パーセント溶解値をバーの上部に付した。
【図3】図3は、0.5%重量及び1.0%重量のpoly3のポリウレタン塗布未処理及び塗布処理済みのコロニー数である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式を有するポリノルボルネンモノマーであって、

【化1】

ここで、
は極性若しくは非極性であり、R存在する場合、RはRと異極性である、ポリノルボルネンモノマー。
【請求項2】
請求項1のモノマーにおいて、前記ポリノルボルネンモノマーは、以下の化合物、
【化2】

から成るグループから選択されるものである。
【請求項3】
請求項1のモノマーから形成されるポリマー。
【請求項4】
請求項3のポリマーにおいて、前記モノマーは、以下の化合物、
【化3】

及びその組み合わせから成るグループから選択されるものである。
【請求項5】
請求項3のポリマーにおいて、このポリマーは、さらに、
第二のポリノルボルネンモノマーを有するものである。
【請求項6】
請求項5のポリマーにおいて、前記ポリマーは、ブロック、ランダム、若しくは交互である。
【請求項7】
請求項5のポリマーにおいて、前記第一の両親媒性モノマーは、poly2であり、前記第二の両親媒性モノマーは、poly3である。
【請求項8】
請求項7のポリマーにおいて、前記poly3に対するpoly2の割合は、約10:1〜約1:10である。
【請求項9】
請求項7のポリマーにおいて、前記poly3に対するpoly2の割合は、約1:1である。
【請求項10】
以下の化学式を有する両親媒性モノマーであって、
【化4】

ここで、
は極性若しくは非極性であり、RはRと異なる極性である両親媒性モノマー。
【請求項11】
請求項10の両親媒性モノマーにおいて、前記ポリノルボルネンモノマーは、以下の化合物、
【化5】

から成るグループから選択されるものである。
【請求項12】
請求項10のモノマーから形成されるポリマー。
【請求項13】
両親媒性コポリマーであって、極性ポリノルボルネンモノマー単位及び非極性ポリノルボルネンモノマー単位を有する両親媒性コポリマー。
【請求項14】
請求項13の両親媒性コポリマーにおいて、前記コポリマーは、ブロック、ランダム、若しくは交互である。
【請求項15】
請求項13の両親媒性コポリマーにおいて、前記極性に対する非極性ポリノルボルネンモノマー単位の割合は、約10:1〜約1:10である。
【請求項16】
請求項13の両親媒性コポリマーにおいて、前記極性に対する非極性ポリノルボルネンモノマー単位の割合は、約1:1である。
【請求項17】
請求項13の両親媒性コポリマーにおいて、前記極性及び非極性ポリノルボルネンモノマー単位は、以下の化合物、
【化6】

及びその組み合わせから成るグループから選択されるものであり、
ここで、
は極性若しくは非極性であり、Rが存在する場合、RはRと同じ極性である。
【請求項18】
請求項13の両親媒性コポリマーにおいて、前記両親媒性コポリマーは、以下の化合物、
【化7】

から成るグループから選択されるものである。
【請求項19】
請求項3の両親媒性ポリマーを有する薬学的組成物。
【請求項20】
請求項19の薬学的組成物において、前記組成物は、局所、経口、若しくは静脈内投与されるものである。
【請求項21】
薬学的組成物であって、請求項13の両親媒性コポリマーを有する薬学的組成物。
【請求項22】
請求項21の薬学的組成物において、前記組成物は、局所、経口、若しくは静脈内投与されるものである。
【請求項23】
微生物感染を治療する方法であって、治療的に有効な量の請求項3の両親媒性ポリマーを投与する工程を有する方法。
【請求項24】
請求項23の方法において、前記微生物感染は、細菌感染、真菌感染、若しくはウイルス感染である。
【請求項25】
微生物感染を治療する方法であって、治療的に有効な量の請求項13の両親媒性コポリマーを投与する工程を有する方法。
【請求項26】
請求項25の方法において、前記微生物感染は、細菌感染、真菌感染、若しくはウイルス感染である。
【請求項27】
微生物の増殖を阻害する方法であって、有効量の請求項3の両親媒性ポリマーを投与する工程を有する方法。
【請求項28】
微生物の増殖を阻害する方法であって、有効量の請求項13の両親媒性コポリマーを投与する工程を有する方法。
【請求項29】
物質の上若しくは中での微生物増殖を阻害する方法であって、請求項3の両親媒性ポリマーを前記物質に適用する工程を有する方法。
【請求項30】
請求項29の方法において、前記適用する工程は、前記物質をコーティングする工程を有するものである。
【請求項31】
請求項29の方法において、前記適用する工程は、前記物質にスプレーする工程を有するものである。
【請求項32】
請求項29の方法において、前記適用する工程は、前記ポリマーを前記物質と混合する工程を有するものである。
【請求項33】
請求項29の方法において、前記物質は、塗料、ラッカー、被服剤、ニス、コーキング剤、グラウト、接着剤、樹脂、被膜、クレンザー、光沢剤、化粧品、石鹸、ローション、手洗い用液体セッケン、及び界面活性剤から成るグループから選択されるものである。
【請求項34】
物質の上若しくは中での微生物増殖を阻害する方法であって、請求項13の両親媒性コポリマーを前記物質に適用する工程を有する方法。
【請求項35】
請求項34の方法において、前記適用する工程は、前記物質をコーティングする工程を有するものである。
【請求項36】
請求項34の方法において、前記適用する工程は、前記物質にスプレーする工程を有するものである。
【請求項37】
請求項34の方法において、前記適用する工程は、前記ポリマーを前記物質と混合する工程を有するものである。
【請求項38】
請求項34の方法において、前記物質は、塗料、ラッカー、被服剤、ニス、コーキング剤、グラウト、接着剤、樹脂、被膜、クレンザー、光沢剤、化粧品、石鹸、ローション、手洗い用液体セッケン、及び界面活性剤から成るグループから選択されるものである。
【請求項39】
抗菌性組成物であって、少なくとも1つの活性且つ溶血性ポリノルボルネンモノマーと、少なくとも1つの低活性且つ低溶血性ポリノルボルネンモノマーとを有する抗菌性組成物。
【請求項40】
請求項36の抗菌性組成物において、前記活性且つ溶血性モノマーは、poly3を有するものである。
【請求項41】
請求項36の抗菌性組成物において、前記低活性且つ低溶血性モノマーは、poly2を有するものである。
【請求項42】
両親媒性ポリマーを調製する方法であって、以下の化合物、
【化8】

及びその組み合わせから成るグループから選択される化学式を有するポリノルボルネンモノマーを1つ以上重合する工程を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−510850(P2008−510850A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528009(P2007−528009)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029394
【国際公開番号】WO2006/021001
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(506416798)ポリメディックス、インク. (3)
【Fターム(参考)】