説明

中医薬(TCM)成分の発酵抽出物を含む局所組成物、ならびにその製造方法および使用方法

本発明は、使用者の外見および皮膚状態を改善するための、中医薬(TCM)成分の発酵抽出物を含む局所組成物に関する。本発明の局所組成物は、TCMの原理に従い、様々な皮膚組成を有する様々な使用者に適合している。発酵TCM抽出物は、未発酵のTCM抽出物と比較して臭いおよび/または色が低減されていることによって特徴付けられ、このため化粧品における使用により適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の外見および皮膚状態を改善するための局所組成物に関し、かかる局所組成物は色および臭いが低減された中医薬(TCM)成分の発酵抽出物を含む。また本発明は、TCMの原理に従い、特定の使用者の皮膚組成を決定し、彼または彼女の皮膚組成に基づいて、かかる使用者に適した局所組成物を選択するためのコンピューターベースのシステムおよび方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品業界では、皮膚に局所的に適用して抗にきび、抗油、および抗セルライトの利益を与えることができる天然の植物由来物質を含む製品の開発に大きな関心が集まっている。皮膚の外観を改善する植物ベースの化粧品はますます需要がある。スキンケア利益を有する活性成分または構成成分は、植物全体または植物の様々な部分(種子、針葉、葉、根、樹皮、球果、幹、根茎、カルス細胞、プロトプラスト、器官および器官系、ならびに分裂組織など)のいずれかから、乾燥粉末または液体抽出物として得ることが可能であり、その後局所組成物に組み込むことができる。
【0003】
中医薬(Traditional Chinese Medicine)(以下「TCM」と呼ぶ)は数千年も前から存在しており、主に様々な病気を治療するための天然の植物抽出物および動物抽出物の使用において蓄積された人間の経験に基づいている。近年、TCM治療は、特に慢性的病態の治療のため、欧米諸国によりかなり重要視されるようになっている。特定のTCM成分は、何千年もの間スキンケア利益を有することが知られており、このようなTCM成分を含む化粧品またはスキンケア製品の人気が高まっている。TCM成分は全て天然のものであるため、これらは合成化合物の副作用および環境への悪影響を気にする顧客に対してかなり魅力的である。
【0004】
しかし、TCMの基本原理は欧米の薬科学の基本原理と極めて異なるという点に注意しなければならない。例えば、TCMでは、人が健康であるためには内部の生理的バランスが維持されなければならず、全ての病気は1種以上のアンバランスによって引き起こされ、各種のアンバランスは識別可能なパターンの症状を通じて現われ、修正するためには特定の治療を必要とすると考える。通常、TCM医は個々の患者を注意深く診察した後、一つの病気の様々な症状を治療するために複数の薬草成分の混合物を含む複合処方を使用し、かかる処方は、このような患者の内部の生理的バランスを回復するため当該患者用に特に策定される。言い換えれば、TCM治療は、「フリーサイズ」治療法の代わりに個別化治療法を採用する。
【0005】
残念なことに、現在入手可能な天然のTCM成分を含むスキンケア製品は、全ての消費者に量販されるものであり、TCMの個別化治療法を実施することができない。このため、特定の使用者の外見および皮膚状態の改善において、TCMの個別化治療法を採用するTCM成分を含む新たな化粧品およびスキンケア製品を提供することが望ましいだろう。
【0006】
さらに、TCM成分を化粧品またはスキンケア製品に製剤化する場合に一般的に遭遇する問題は、多くのTCM成分に伴う独特の色および望ましくない臭いであり、これが、美的に且つ嗅覚的に許容可能な、かかるTCM成分を含有する化粧品組成物またはスキンケア組成物の形成を困難にしている。その色および臭いを低下させることによってTCM成分を処理し、これにより該TCM成分を、美的に且つ嗅覚的に許容可能な化粧品組成物またはスキンケア組成物に容易に製剤化され得るようにすることも望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、局所組成物であって、その各々が、TCMの原理に従い、特定の皮膚組成によって特徴付けられる使用者の特定の亜集団の外見および皮膚状態を改善するために特に策定されたTCM成分の特有の混合物を含む、上記局所組成物を提供する。具体的には、本発明の1つの態様は、冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis))菌糸、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮の発酵抽出物を含有し、バランスのとれた皮膚組成を有する使用者の皮膚に適用して該使用者の外見および皮膚状態を改善することができる局所組成物に関する。本発明の別の態様は、マンネンタケ(ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum))子実体、イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella tamariscina))全草、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、およびキンセンカ(カレンデュラ・オフィキナリス(Calendula officinalis))花の発酵抽出物を含有し、陽優勢のまたは陽にバランスした皮膚組成を有する使用者の皮膚に適用して陰を与え皮膚の陰陽バランスを回復させることができる局所組成物に関する。本発明の他の態様は、イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea))根茎、シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実、キハダ(フェロデンドロン・アムレンセ(Phellodendron amurense))樹皮、およびウイキョウ(フォエニクルム・ブルガレ(Foeniculum vulgare))種子の発酵抽出物を含有し、陰優勢のまたは陰にバランスした皮膚組成を有する使用者の皮膚に適用して陰を与え皮膚の陰陽バランスを回復させることができる局所組成物に関する。
【0008】
また本発明は、最初に望ましくない臭いおよび/または色を有することが知られている1種以上のTCM成分に由来する抽出物の混合物を、好気性代謝微生物の存在下、適切な好気条件下で、該TCM成分の所望の生物学的活性を保ちながら望ましくない臭いおよび/または色を低下させまたは除去するために十分な時間発酵させ、次いで該TCM抽出物の発酵混合物を化粧品上または製薬上許容可能な担体に製剤化して該局所組成物を形成することにより、局所組成物を調製する方法も提供する。
【0009】
さらに本発明は、使用者の外見または皮膚の状態を改善するために、使用者の男性または女性の皮膚組成に基づいて使用者に適した局所組成物を選択する方法であって、以下:(a)使用者から生物学的データを収集するステップ;(b)収集された生物学的データに基づいて使用者の皮膚組成を分類するステップであって、該分類が皮膚の陰陽バランスまたはその欠如を示す上記ステップ;および(c)使用者に適した局所組成物を選択するステップであって、該局所組成物が、使用者の皮膚の陰陽バランスを維持または回復させるための発酵漢方薬抽出物の混合物を含有する上記ステップを含んでなる、上記方法を提供する。好ましくは、使用者の皮膚組成は、TCMの原理に従って生物学的データに重み付けする統計モデルを用いることによって分類される。
【0010】
本発明の他の態様および目的は、確保される明細書、実施例および特許請求の範囲からさらに明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は幾つかの局所組成物を提供し、それらは各々、TCMの原理に従って、特定の皮膚組成を有する使用者の亜集団を標的とするTCM成分の発酵抽出物の特有の組み合わせを含有する。TCM治療では、健康は、自然界において相互に連結し且つ相互依存している相反する力であって互いを順に生じさせる、陰と陽とのバランスとして表される。これらの2つの力は、自然界における万物の二極の顕在化を表し、このためその一方は、他方を存在させるように存在しているはずである。人間の身体内では、絶えず変化する陰陽バランスが維持されなければならない。一方の力が他方の力に対して常に優位に立つ場合、患者の健康を損なうようになる可能性があり、疾病および疾患を生じさせる。従って、患者を診断するとき、TCM医師は、通常、陰/陽アンバランスの正確な本質を決定し、次いで鍼、薬草療法、運動、食事および生活習慣の使用を通じてこのアンバランスを直そうと試みる。身体内でこのバランスが回復すると、健康も回復する。
【0012】
これに応じて、本発明により提供される局所組成物は、皮膚の陰陽バランス/アンバランスに従って分類し得る様々な皮膚組成を有する様々な使用者の亜集団のために特に策定される。例えば、皮膚組成は、以下の3つの主なカテゴリーに分けられる:陰陽バランスのとれた皮膚組成(以下、「バランスのとれた皮膚組成」と呼ぶ)、陽優勢の皮膚組成、および陰優勢の皮膚組成。また、アンバランスの程度をさらに定量化するため、付加的なカテゴリーを含めることもできる。例えば、皮膚組成分類として、わずかに陽の症状またはわずかに陰の症状を有する比較的バランスのとれた皮膚組成である、陽にバランスした皮膚組成および陰にバランスした皮膚組成をさらに挙げることができる。
【0013】
患者の個別の皮膚組成は、患者の皮膚状態、舌色および舌苔色(TCM医師が診断について考慮すべき2つの重要な因子)を観察し、また患者からその人の年齢、身体感覚、睡眠パターン、およびエネルギーレベルに関する特定の情報を集めることによって決定することができる。例えば、バランスのとれた皮膚組成は、典型的には、弾力のある滑らかで、光り輝き、柔らかく優美な皮膚さらに皮膚色によって特徴付けられ、またバランスのとれた皮膚組成を有する患者は、通常、明るい赤色の唇および舌と薄いペールホワイトの舌苔色も有する。陽優勢の皮膚組成は、典型的には、赤らんだ頬および赤い皮膚色、脂っぽい皮膚表面、ならびにアレルギーになりやすい体質、座瘡、色素沈着、および早期の皺によって特徴付けられる。陽優勢の皮膚組成を有する患者は、鮮紅色の唇および舌と黄色の舌苔色も有する可能性があり、これらの患者は、典型的には冷たい飲み物を好み、極めて喉が渇きやすく、口内に苦味があり、夜の睡眠中に汗をかくことが多く、怒りっぽく、また体内の熱に悩まされることが多い。陰優勢の皮膚組成は、典型的には、青白い皮膚色、吸水力および保水力が低く乾燥し且つ落屑しやすい皮膚、ならびに色素沈着および早期の皺の発症しやすさによって特徴付けられる。陰優勢の皮膚組成を有する患者は、青白いまたは青い唇、明るい赤色または青白い舌色と白い舌苔色を有する可能性があり、またこれらの患者は、典型的には温かい飲み物を好み、比較的手足が冷たく、気温の低下に敏感で、疲労または眠気を感じることが多い。陽にバランスした皮膚組成または陰にバランスした皮膚組成を有する患者は、陽優皮膚組成勢のまたは陰優勢の皮膚組成を有する患者と類似の症状を示す場合があるが、その程度は比較的低い。
【0014】
これに応じて、本発明は、最初に生物学的データ(例えば、使用者の年齢、身体感覚、睡眠パターン、エネルギーレベル、舌色、舌苔色、および皮膚状態)を収集し、次いで収集された生物学的データに基づいて使用者の皮膚組成を決定し、最後に彼または彼女の皮膚組成に対応する該使用者に適した好適な化粧品またはスキンケア製品を選択することにより、使用者の特定の皮膚組成に基づいて該使用者に適した化粧品またはスキンケア製品選択する方法を提供する。好ましくは、生物学的データは、使用者の顔の予備診察ならびに使用者に質問表への記入を依頼することによって収集され、そのように収集されたデータは、その後、TCMの原理に従って収集された生物学的データに重み付けすることによって使用者の皮膚組成を特異的に決定するための統計モデルがプログラムされたコンピューターベースのシステムで処理される。
【0015】
1つの疾患を治療するために1つの薬を典型的に使用する欧米の薬科学とは異なり、TCM治療は、その薬草療法において、当該疾患の根本的原因ならびに様々な症状を標的とするために複合的なまたは組み合わせの(すなわち、様々な薬草成分の混合物を使用することによる)方法を採用する。典型的なTCM処方は4つの主な成分を含み、そのそれぞれが共に相乗的に作用しながら特有の役割を果たして最適な治療結果を得る。この4つの主成分は、古文書中で「皇帝」または「王」、「大臣」、「補佐官」および「使用人」として記載されている。このTCM原理は、皇帝の宮廷をモデルとして、これらの4つの主成分を1つの複合処方における構成要素としている。皇帝成分または王成分は病気の根本的原因への取り組みにおける指針としての役割を果たし;大臣成分は皇帝または王成分を補助および増強するように作用し;補佐官成分も皇帝または王成分を補助するが、皇帝または王成分の任意の可能性のある副作用に対する逆反応に重点的に取り組み;また使用人成分は薬が送達されるべきところへ薬を送達するように作用する。1つのTCM薬草処方において、単一の成分が2つまたは3つの役割(例えば王と大臣の両方としての役割、または王、大臣および補佐官としての役割など)を果たす場合もある。これに対応して、TCM薬草処方は全部で2つまたは3つの成分しか含み得ない。
【0016】
本発明においては、バランスのとれた皮膚組成を有する使用者に対して、該患者の皮膚の陰陽バランスを維持および強化し、患者の免疫系および皮膚バリヤ機能を改善し、皮膚を活性化させ、皮膚の自己修復機能を強化するため、少なくとも4つ、好ましくは7つの成分を含む発酵植物抽出物の混合物が提供される。このような混合物は、冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis))菌糸、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮に由来する発酵抽出物を含有する。この混合物中で、冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis))菌糸抽出物は皇帝または王成分としての役割を果たし;イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉抽出物は大臣成分としての役割を果たし;イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎抽出物は補佐官成分としての役割を果たし;ポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮抽出物は使用人成分としての役割を果たす。好ましくは、この発酵植物抽出物の混合物は、マツホド(ポリア・ココス(Poria cocos))菌核、オタネニンジン(パナクス・ギンセン(Panax ginseng))根、およびシソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実に由来する発酵抽出物からなる群から選択される1種以上の付加的な大臣成分をさらに含み、最も好ましくは、この混合物は、3つの付加的な大臣成分を全て含む。
【0017】
冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis))菌糸の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約10%〜約40%、より好ましくは約15%〜約35%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量で存在する。イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約20%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量で存在する。イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約20%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量で存在する。ポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約20%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量で存在する。本組成物に含まれる場合、マツホド(ポリア・ココス(Poria cocos))菌核の発酵抽出物は、好ましくは混合物の全重量の約10%〜約40%、より好ましくは約15%〜約35%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量である。本組成物に含まれる場合、、オタネニンジン(パナクス・ギンセン(Panax ginseng))根の発酵抽出物は、好ましくは混合物の全重量の約0.1%〜約15%、より好ましくは約1%〜約10%、また最も好ましくは約3%〜約5%の量である。本組成物に含まれる場合、シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実は、好ましくは混合物の全重量の約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約20%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量である。
【0018】
陽優勢のまたは陽にバランスした皮膚組成を有する使用者のため、本発明は、皮膚に陰エネルギーを与え、過剰な陽のエネルギーのバランスをとり/中和し、皮膚の代謝を促し、体液の循環ならびにあらゆる濁った気(TCM理論においての様々な病気の原因であると考えられている)の輸送を促進し、免疫系を調節し、皮膚バリヤ機能を改善し、皮膚の自己修復機能を強化する少なくとも4つ、また好ましくは7つの成分を含有する発酵植物抽出物の混合物を提供する。このような混合物は、マンネンタケ(ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum))子実体、イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella tamariscina))全草、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、およびキンセンカ(カレンデュラ・オフィキナリス(Calendula officinalis))花に由来する発酵抽出物を含有する。この混合物中で、マンネンタケ(ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum))子実体抽出物は、皇帝または王成分としての役割を果たし;イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella tamariscina))全草は大臣成分としての役割を果たし;イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉抽出物は補佐官成分としての役割を果たし;キンセンカ(カレンデュラ・オフィキナリス(Calendula officinalis))花抽出物は使用人成分としての役割を果たす。好ましくは、この発酵植物抽出物の混合物は、ツボクサ(センテラ・アシアティカ(Centella asiatica))全草、コガネバナ(スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis))根、およびイタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎に由来する発酵抽出物からなる群から選択される1種以上の付加的な大臣成分をさらに含み、最も好ましくは、3つの付加的な大臣成分を全て含む。
【0019】
マンネンタケ(ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum))子実体の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約10%〜約45%、より好ましくは約15%〜約40%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量で存在する。イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella tamariscina))全草の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約2%〜約35%、より好ましくは約5%〜約25%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量で存在する。イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉の発酵抽出物は、、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約0.1%〜約20%、より好ましくは約1%〜約15%、また最も好ましくは約3%〜約10%の量で存在する。キンセンカ(カレンデュラ・オフィキナリス(Calendula officinalis))花の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約2%〜約35%、より好ましくは約5%〜約25%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量で存在する。本組成物に含まれる場合、ツボクサ(センテラ・アシアティカ(Centella asiatica))全草の発酵抽出物は、好ましくは混合物の全重量の約2%〜約35%、より好ましくは約5%〜約25%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量である。本組成物に含まれる場合、コガネバナ(スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis))根の発酵抽出物は、好ましくは混合物の全重量の約2%〜約35%、より好ましくは約5%〜約25%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量である。本組成物に含まれる場合、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎は、好ましくは混合物の全重量の約2%〜約35%、より好ましくは約5%〜約25%、また最も好ましくは約10%〜約15%の量である。この発酵植物抽出物の混合物は、陽優勢の皮膚組成および陽にバランスした皮膚組成の両方のバランスをとるために使用されるが、この両者について異なる濃度で用いられる。例えば、陽にバランスした皮膚組成用に設計された製品中の発酵植物抽出物の濃度は、陽優勢の皮膚組成用に設計された製品中の発酵植物抽出物の濃度の、好ましくは25%〜75%、より好ましくは約40%〜約60%である。
【0020】
陰優勢のまたは陰にバランスした皮膚組成を有する使用者について、本発明は、皮膚に陽エネルギーを与え、過剰な陰のエネルギーのバランスをとり/中和し、体液の循環を強化し、免疫系を改善し、皮膚バリヤ機能を強化し、皮膚の自己修復機能を強化するため、少なくとも4つ、好ましくは7つの成分を含有する発酵植物抽出物の混合物を提供する。このような混合物は、イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea))根茎、シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実、キハダ(フェロデンドロン・アムレンセ(Phellodendron amurense))樹皮、およびウイキョウ(フォエニクルム・ブルガレ(Foeniculum vulgare))種子に由来する発酵抽出物を含有する。この混合物中で、イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea))根茎抽出物は皇帝または王成分としての役割を果たし;シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実は大臣成分としての役割を果たし;キハダ(フェロデンドロン・アムレンセ(Phellodendron amurense))樹皮抽出物は補佐官成分としての役割を果たし;ウイキョウ(フォエニクルム・ブルガレ(Foeniculum vulgare))種子抽出物は使用人成分としての役割を果たす。好ましくは、この発酵植物抽出物の混合物は、ビャクダン(サンタルム・アルブム(Santalum album))幹、ヤバネオオムギ(ホルデウム・ディスチコン(Hordeum distichon))種子、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮に由来する発酵抽出物からなる群から選択される1種以上の付加的な大臣成分をさらに含み、最も好ましくは、この混合物は、3つの付加的な大臣成分を全て含む。
【0021】
イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea))根茎の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約10%〜約50%、より好ましくは約15%〜約45%、また最も好ましくは約25%〜約30%の量で存在する。シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約0.5%〜約30%、より好ましくは約1%〜約20%、また最も好ましくは約5%〜約15%の量で存在する。キハダ(フェロデンドロン・アムレンセ(Phellodendron amurense))樹皮の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約0.5%〜約30%、より好ましくは約1%〜約20%、また最も好ましくは約5%〜約15%の量で存在する。ウイキョウ(フォエニクルム・ブルガレ(Foeniculum vulgare))種子の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約0.1%〜約15%、より好ましくは約1%〜約10%、また最も好ましくは約2%〜約5%の量で存在する。本組成物に含まれる場合、ビャクダン(サンタルム・アルブム(Santalum album))幹の発酵抽出物は、好ましくは混合物の全重量の約0.1%〜約15%、より好ましくは約1%〜約10%、また最も好ましくは約2%〜約5%の量である。本組成物に含まれる場合、ヤバネオオムギ(ホルデウム・ディスチコン(Hordeum distichon))種子の発酵抽出物は、好ましくは混合物の全重量の約10%〜約50%、より好ましくは約15%〜約45%、また最も好ましくは約25%〜約30%の量である。本組成物に含まれる場合、ポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮は、好ましくは混合物の全重量の約5%〜約40%、より好ましくは約10%〜約30%、また最も好ましくは約15%〜約20%の量である。この発酵植物抽出物の混合物は、陰優勢の皮膚組成および陰にバランスした皮膚組成の両方のバランスをとるために使用されるが、この両者について異なる濃度で用いられる。例えば、陰にバランスした皮膚組成用に設計された製品中の発酵植物抽出物の濃度は、陰優勢の皮膚組成用に設計された製品中の発酵植物抽出物の濃度の、好ましくは25%〜75%、より好ましくは約40%〜約60%である。
【0022】
本発明はさらに、眼窩周囲領域の隈、腫れ、および皺を治療するための発酵植物抽出物の混合物を提供する。TCM理論によれば、隈は気および体液の鬱滞によって生じ、眼の周りの腫れは湿気および体液の滞留によって生じる。このため、本発明は、気を補い、体液の循環を改善し、湿気を除去し、皮膚を引き締め、早期皮膚老化を防ぐための4つの成分を含有する発酵植物抽出物の混合物を提供する。このような混合物は、キュウキュウ(リグスティクム・チュアンション(Ligusticum chuanxiong))根、シャクヤク(パエオニア・ラクティフローラ(Paeonia lactiflora))根、アカヤジオウ(レーマニア・グルチノサ(Rehmannia glutinosa))根、およびサネブトナツメ(ジジフス・ジュジュベ(Zizyphus jujube))果実に由来する発酵抽出物を含有する。この混合物中で、キュウキュウ(リグスティクム・チュアンション(Ligusticum chuanxiong))根抽出物は皇帝または王成分としての役割を果たし;シャクヤク(パエオニア・ラクティフローラ(Paeonia lactiflora))根は大臣成分としての役割を果たし;アカヤジオウ(レーマニア・グルチノサ(Rehmannia glutinosa))根抽出物は補佐官成分としての役割を果たし;サネブトナツメ(ジジフス・ジュジュベ(Zizyphus jujube))果実抽出物は使用人成分としての役割を果たす。キュウキュウ(リグスティクム・チュアンション(Ligusticum chuanxiong))根の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約5%〜約50%、より好ましくは約10%〜約40%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量で存在する。シャクヤク(パエオニア・ラクティフローラ(Paeonia lactiflora))根の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約5%〜約50%、より好ましくは約10%〜約40%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量で存在する。アカヤジオウ(レーマニア・グルチノサ(Rehmannia glutinosa))根の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約5%〜約50%、より好ましくは約10%〜約40%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量で存在する。サネブトナツメ(ジジフス・ジュジュベ(Zizyphus jujube))果実の発酵抽出物は、好ましくはこの混合物中に、混合物の全重量の約5%〜約50%、より好ましくは約10%〜約40%、また最も好ましくは約20%〜約30%の量で存在する。
【0023】
上記の植物抽出物の混合物として、公知のスキンケア利益を有する他の植物抽出物をさらに挙げることができるが、本明細書中では具体的に言及しない。このような植物抽出物として、限定するものではないが、ホホバ(シモンジア・キネンシス(Simmondsia Chinensis))、チャノキ(カメリア・シネンシス(Camellia Sinensis))、アラビアコーヒー(コヒア・アラビカ(Coffee Arabica))、シラカバ(ベチュラ・アルバ(Betula Alba))、トウモロコシ(ゼア・マイズ(Zea Mays))、コメナモミ(シゲスベッキア・オリエンタリス(Siegesbeckia Orientalis))、ヒマワリ(ヘリアンサス・アヌス(Helianthus Annus))、六条オオムギ(ホルデウム・ウルガレ((Hordeum Vulgare))、キュウリ(ククミス・サティバス(Cucumis Sativus))、ベニバナ(カルサムス・チンクトリウス(Carthamus Tinctorius))、マンゴー(マンギフェラ・インディカ(Mangifera Indicia))、オトギリソウ(ガルシニア・インディカ(Garcinia Indica))、カモミール(アンテムス・ノビリス(Anthemus Nobilis))、シロイヌナズナ(アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis Thaliana))、ギンバイカ(ミルツス・コムニス(Myrtus Communis))、アピウム・グラベオレンス(Apium Graveolens (セロリ))、シロイヌナズナ(アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis Thaliana))、褐藻類(パディナ・パボニカ(Padina Pavonica))、テンサイ(ベータ・ブルガリス(Beta Vulgaris))、シラカバ(ベチュラ・アルバ(Betula Alba))、シアバターノキ(ブティロスペルムム・パルキイ(Butyrosperum Parkii))、マンゴスチン(ガルシニア・マンゴスタナ(Garcinia Mangostana))、アスパラガス(ラケモスス(Racemusus))、キキョウ(プラティコドン(Platycodon))、アムラ(エンブリカ・オフィシナリス(Emblica Officinalis))、クリストマリン(Criste Marine)、蝶ラベンダー(ラバンデ・パピロン(Lavande Papillon))、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))、マコンブ(ラミナリア・ジャポニカ(Laminaria Japonica))、ヒバマタ(フーカス・ベシクロシス(Fucus Vesiculosis))、ルリジサ(ボラゴ・オフィキナリス(Borago Officinalis))、アムラ(フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus Emblica))、カバノアナタケ(イノノタス・オブリクウス(Inonotus Obliquus))、テリハボク(カロフィルム・イノフィルム(Calophyllum Inophyllum))、コガネバナ(スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria Baicalensi))、インド乳香(ボスウェリア・セラータ(Boswellia Serrata))、ボスウェリア・バーウ-ダジアナ(Boswellia Bhau-dajiana)、ボスウェリア・フレレアナ(Boswellia Frereana)、ボスウェリア・パピリフェラ(Boswellia Papyrifera)、スーダン・ボスウェリア・サクラ(Sudanese Boswellia Sacra)、ボスウェリア・カルテリ(Boswellia Carteri)、コミフォラ・インキサ(Commiphora Incisa)、コミフォラ・ミルハ(Commiphora Myrrha)、コミフォラ・アビシニカ(Commiphora Abyssinica)、コミフォラ・エリスレア(Commiphora Erthraea)、コミフォラ・モルモル(Commiphora Molmol)、ブルセラ・ミクロフィラ(Bursera Microphylla)、ニドゥラリウム・プロセルム(Nidularium Procerumt)、ウコン(クルクマ・ロンガ(Curcuma Longa))、マクロシスティス・ピリフェラ(Macrycystis Pyrifera)、ヒラタケ(プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus Ostreatus))、ヒプシジガス・ウルマリス(Hypsizygus Ulmarius)、クラドシフォン・オカムラナス(Cladosiphon Okamuranus)、アカリファ・ウィルケシアナ(Acalypha Wilkesiana)、ゴカ(アカントパナクス・グラキリスチルス(Acanthopanax Gracilistylus))、ニンニク(アリウム・サティブム(Allium Sativum))、パイナップル(アナヌス・コモスス(Ananus Comosus))、シサンペロス・シンポジアリス(Cissampelos Sympodialis)、カワラタケ(コリオルス・ベルシコラ(Coriolus Versicolor))、ムラサキバレンギク(エキナセア・プルプレア(Echinacea Purpurea))、マイタケ(グリフォラ・フロンドサ(Grifola Frondosa))、ライオンゴロシ(ハルパゴフィツム・プロクムベンス(Harpagophytum Procumbens))、オタネニンジン(パナクス・ギンセン(Panax ginseng))、イトヒメハギ(ポリガラ・テヌイフォリア(Polygala Tenuifolia))、マツホド(ポリア・ココス(Poria Cocos))、オオアザミ(シリブム・マリアヌム(Silybum Marianum))、サンキライ(スミラックス・グラブラ(Smilax Glabra))、イボツヅラフジ(チノスポラ・コルディフォリア(Tinospora Cordifolia))、キャッツクロー(ウンカリア・トメントサ(Uncaria Tomentosa))、インドニンジン(ウィサニア・ソムニフェラ(Withania Somnifera))、ムラサキバレンギク(エキナセア(Echinancea))、ヤドリギ(ビスクム・アルブム(Viscum Album))、カッパリス・ムーニー(Capparis Moonii)、ナズナ(カプセラ・ブルサ-パストリス(Capsella Brusa Pastoris))、ドリオカルプス・ベルクロスス(Doliocarpus Verruculosus)、バンウコン(ケンプフェリア・ガランガ(Kaempferia Galanga))、アマメシバ(サウロパス・アンドロジナス(Sauropus Androgynus))、テトラカピディウム・コノフォルム(Tetracapidium Conophorum)、フランス海岸松(パイナス・ピナスタ(Pinus Pinaster))、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinefera))、ヒイラギギク(プルケア・インディカ(Pluchea Indica))、アオイスミレ(ビオラ・ホンドエンシス(Viola Hondoensis))、トリファラ・ケブラ(Triphala Chebula)、シトリ・レティクラタ(Citri Reticulatae)、テペスコフイテ(Tepescohuite)、オジギソウ(ミモザ・プディカ(Mimosa Pudica))、マリアアザミ(シリマリン(Silymarin)、杜仲(ユーコミア(Eucommia))、ミツガシワ(メニヤンテス・トリフォリアータ(Menyanthes Trifoliata))、ギョリュウモドキ(カルナ・ブルガリス(Calluna Vulgaris))、イヌバラ(ロサ・カニナ(Rosa Canina))、チョレイマイタケ(ポリポルス・ウンベラツス(Polyporus Umbellatus))、カミツレ(カモミラ・レクティタ(Chamomilla Recutita))、ピジウム・アフリカナム(Pygeum Africanum)、アクティナ・ボスウェリア(Actina Boswellia)、ソフト・ピゲアム(Soft Pygeurm)、トウガラシ(カプシクム・アヌム(Capsicum Annum))、アカシデ(カルピヌス・ラクシフロラ(Carpinus Laxiflora))、パリヌス・ツコノスキイ(Parinus Tschonoskii)、ツブラジイ(カスタノプシス・クスピダータ(Castanopsis Cuspidata))、イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella Tamariscina))、マンネンロウ(ロスマリヌス・オフィキナリス(Rosmarinus Officinalis))、カヤポニア・タユヤ(Cayaponia Tayuya)、ケイトウ(セロシア・クリスタータ(Celosia Cristata))、ハナズオウ(セルシス・シネンシス(Cercis Chinensis))、ハプロフィルム・ヒスパニクム(Haplophyllum hispanicum)、スクテラリア・リブラリス(Scutellaria Rivularis)、センタウリウム(Centauriumt)、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum Cuspidatum))、クロタネソウ(ニゲラ・サティバ(Nigella Sativa))、イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola Rosea))、ハナスゲ(アネマルヘナ・アスフォデロイデス(Anemarrhena asphodeloides))、ジー・ム(Zhi Mu)、キャッツクロー(ウンカリア・トメントサ(Uncaria Tomentosa))、セレウス・グラニドフローラ(Cereus Granidflora)、カリン(カエノメレス・シネンシス(Chaenomeles Sinensis))、藍藻類(リングビア(Lyngbya))、バイアピュア・ポリア(Viapure Poria)、チョレイマイタケ(ポリポルス・ウンベラツス(Polyporus Umbellatus))、クリサンテルム・インジクム(Chrysanthellum Indicum)、トリデンタータ・マルギナタ(Tridentata marginata)、シャクヤク(パエオニア・アルビフローラ(Paeonia Albiflora))、サウスレア・コスツス(Saussurea Costus)、モッコウ(サウスレア・ラッパ(Saussurea Lappa))、ヤクヨウホオノキ(マグノリア・オフィキナリス(Magnolia Officianalis))、ムラサキバレンギク(エキナセア・パリダ(Echineacea Pallida))などの植物の、根、葉、花、幹または他の部分から得られる植物抽出物、およびC.T.F.A. International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第11版(2006)の2755〜2757ページ(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に記載される植物抽出物が挙げられる。
【0024】
特に、公知の薬効を有する特定の菌類に由来する抽出物を、本発明の植物抽出物の混合物に含めることができる。例えば、トラメテス(Trametes)属に由来する菌類は、その医薬特性で知られている。世慣れたアウトドア好きの人々は、森でハイキングしているときに、トラメテス・ベルシコロル(Trametes Versicolor)(カワラタケとも呼ばれる)から摘んだ菌の一片を、ガムのように噛むことがある。本発明者らは、トラメテス属の抽出物が、それらの公知の医薬特性に加えて、皮膚に適用される場合にも有益な特性を有することを見出した。具体的には、トラメテス属の抽出物は、皮膚の美白もしくは明色化において特に有効な特定の化学成分を含んでいる。このような皮膚美白または明色化効果は、チロシナーゼ活性の阻害を通じて、または皮膚色素沈着を生じさせる他の細胞経路の阻害を通じて達成され、これによって染みまたは皮膚の斑点の形成を防ぎ、あるいは既に形成された染みまたは皮膚の斑点におけるメラニンの破壊を通じて達成され、これによって皮膚色の全体的な均一性を改善すると考えられている。また、トラメテス属抽出物は優れた保湿剤でもあり、一部の種は、脂性肌の人の過剰な皮脂の吸収にも有用であり得る。
【0025】
本明細書中の上記の様々な植物材料または原料植物材料は、最初に切断され汚れを落とされた後に低温水抽出工程に供され、ここで該植物材料は、本質的に脱イオン水からなる溶媒系に、温度約75℃〜約95℃(好ましくは約80℃〜約90℃)且つ圧力約0.03〜約0.05mpaにて約8〜10時間浸漬される。次いでこの抽出溶液は、温度約50℃〜約65℃(好ましくは約55℃〜約60℃)且つ約1トル〜約100トル、より好ましくは約5トル〜約50トル、また最も好ましくは約10〜15トルの陰圧によって特徴付けられる真空条件下で濃縮される。その後、濃縮された抽出溶液は、温度約100℃〜約150℃、好ましくは120℃〜約140℃で噴霧乾燥され、直ぐに梱包して発送できる微粉末を形成する。
【0026】
上記の微粉末形態の植物抽出物の混合物は、直接製剤化して局所組成物または化粧品組成物とすることができる。しかし、このような局所組成物または化粧品組成物は、典型的には、TCM抽出物に一般に伴う独特の苦い臭いおよび暗褐色を有することによって特徴付けられ、化粧品またはスキンケア製品の大部分の使用者に美的に且つ嗅覚的に許容可能であるとは考えられない。最終化粧品またはスキンケア製品の美的訴求および嗅覚訴求を改善するため、本発明は、独特の発酵工程を用いて上述の植物抽出物の混合物をさらに処理する。
【0027】
本発明の発酵工程は、植物抽出物の混合物を、酵母、菌類、または他の好適な好気性代謝微生物の存在下、適切な好気条件下で、該TCM成分の所望の生物学的活性を保ちながら該植物抽出物の望ましくない臭いおよび/または色を低下させまたは除去するために十分な時間インキュベートすることを含んでなる。特に好ましい実施形態において、植物抽出物を発酵させるために用いられる微生物は、トラメテス属に由来する菌であり、より好ましくはトラメテス・ベルシコロル種に由来する菌である。
【0028】
この発酵工程は、2つの方法のうちいずれか1つを採用し得る。最初の方法は、植物抽出物の存在下であるだけでなく、従来の培養栄養物をも用いて微生物を発酵させる方法である。かかるインキュベーションの間、酵母または他の微生物は、数の上で著しく増殖し得る。第2の好ましい方法は、酵母または他の微生物を、水性環境中で、発酵工程中にこの酵母または他の微生物が植物抽出物の異化処理にのみ従事するように、植物抽出物のみが存在し任意の付加的な栄養物は実質的に存在しない条件下で、または低栄養培地中で発酵させることである。このインキュベーションを、生物学的活性のプラトーの兆候(例えばpHの平準化)について周期的にモニターした後、系の温度を約30〜50℃、好ましくは約40〜45℃まで少なくとも約24時間上昇させる。1つの実施形態では、その後温度を90〜95℃まで約5〜10分間、短時間で上昇させ、酵母を破裂させて細胞含有物を放出させる。別法として、これらの細胞を超音波によって破壊してもよい。その後、系全体を室温まで冷却し、漸次減少する細孔径を用いて濾過して酵母の残骸を除去し、未処理の抽出物と比較して著しく低下した臭いおよび/または色を有する発酵抽出物を残す。
【0029】
使用される植物抽出物の量も重要ではないが、酵母または他の微生物の増殖を防ぐことが望ましい場合、増殖を可能とするのに十分な栄養物を与えないように量を抑制しなければならない。通常、本発明のインキュベーション培地中で使用される植物抽出物の量は、インキュベーション培地の全重量の約0.01〜約10%、好ましくは約0.01〜約5%に及び、この濃度は、使用される植物抽出物の種類ならびにそれらの溶解度によって決まる。
【0030】
上記の本発明の1つの実施形態において、インキュベーション培地は、植物抽出物に加えて水のみを含有する。しかし、好ましい実施形態では、使用される水は、例えば、RO 88053[S型水]、およびRO 88054(I型水]、および米国特許第5,846,397号および第6139855号(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるとおり、構造水、すなわちI水、S水、またはこれら2つの組み合わせである。発酵工程のこれらの段階の1つまたは両方における構造水の使用は、植物抽出物の所望の生物学的活性をさらに増強することができる。また上記のとおり、インキュベーション培地は、一般的には、微生物の生化学活性の唯一の基質源が提供される植物抽出物となるように、植物抽出物以外には任意の他の栄養物を供給されない。しかし、代替的実施形態では、この発酵工程は、微生物の増殖に適した栄養培地の存在下で行ってもよい。
【0031】
上記の発酵工程は、TCM成分に典型的に伴う望ましくない臭いおよび色を低下させまたは除去する役割を果たすだけでなく、TCM成分の所望の生物学的活性を増強しまたは高めることもできる。このような所望の生物学的活性としては、限定するものではないが:ATP上昇活性、抗炎症活性、抗刺激活性、免疫調節活性、血液循環強化活性、抗酸化活性、光保護活性、抗ヒスタミン活性、皮膚美白活性、抗走化活性、コラーゲン合成強化活性、フィブロネクチン合成強化活性、抗糖化活性、抗ホスホリパーゼA2(PLA2)活性、ホスホジエステラーゼ(PDE)-阻害活性、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様活性、DNA合成強化活性、タンパク質合成強化活性、DNA修復活性、皮膚バリア修復活性、抗グリコサミノグリカナーゼ活性、抗エラスターゼ活性、カタラーゼ様活性、インターロイキン-1(IL-1)アルファタンパク質阻害活性、インターロイキン-8(IL-8)タンパク質阻害活性、プロスタグランジンE2(PGE2)-阻害活性、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)-阻害活性、抗チロシナーゼ活性、抗付着活性、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)-阻害活性などが挙げられる。
【0032】
上記の植物抽出物の発酵混合物は、無水ゲルまたは水性ゲル、溶液またはセラム、エマルション(例えば油中水型、水中油型、シリコーン中水型、または水中シリコーン型エマルション)などの様々な形態の様々な化粧品組成物およびスキンケア組成物の製剤化に使用することができる。このような組成物において使用される発酵植物抽出物の推奨量は、約0.001%〜約75%、好ましくは約0.05%〜約70%、より好ましくは約0.1%〜約65%であり得る。無水形態の場合、この組成物は、通常、約0.1〜95%の油、および場合により、例えば粉剤、日焼け止め剤などの他の成分を含む(ここで他に指示のない限り、全てのパーセントは重量パーセントを意味する)。水溶性ゲル、溶液、またはセラム形態の場合、組成物は、約1〜99%の水、および場合により他の成分を含み得る。エマルション形態の場合、組成物は約0.1%〜約99%、好ましくは約5%〜約95%、より好ましくは約7%〜約90%の水および約0.1%〜99%、好ましくは約5%〜約95%、より好ましくは約7%〜約90%の油またはシリコーンを含み得る。
【0033】
本発明が網羅する化粧品組成物またはスキンケア組成物の種類としては、限定するものではないが、マスカラ、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、スキンクリーム、スキンローション、スキントリートメントセラム、ファンデーション、リップスティック、リップグロスなどが挙げられる。このような組成物は、後述の様々な化粧品成分またはスキンケア成分を含み得る:
1. 油
本発明の化粧品組成物またはスキンケア組成物は、揮発性であっても不揮発性であってもよい1種以上の油を含み得る。「油」という用語は、室温(例えば25℃)で注ぐことができる成分を指す。「揮発性」という用語は、この油が、20℃で水銀約2mmを超える蒸気圧を有することを意味する。揮発性油としては、シリコーンまたはパラフィン系炭化水素が挙げられる。本組成物に含まれる場合、かかる揮発性油は、約0.1〜50%の範囲であり得る。揮発性シリコーンの例としては、ヘキサメチルジシロキサン(0.5センチストーク(cs))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cs)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cs)、ドデカメチルペンタシロキサン(2.0cs)などの直鎖シリコーン;または通常は「シクロメチコン」と呼ばれる、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどであり得る環状揮発性シリコーンが挙げられる。揮発性パラフィン系炭化水素の例としては、イソヘキサデカン、イソドデカン、C9-11イソパラフィンなどが挙げられる。
【0034】
不揮発性油としては、シリコーン、炭化水素、またはエステルが挙げられる。「不揮発性」という用語は、油が、20℃で水銀約2mm未満の蒸気圧を有することを意味する。不揮発性シリコーンの例としては、ジメチコンまたはジエチコン;フェニル置換シリコーン(例えばフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェネチルジメチコンなど);C2-14アルキル置換シリコーン(例えばセチルジメチコン、ヘキシルジメチコン、ラウリルジメチコン);またはフッ素化シリコーン(例えばペルフルオロノニルジメチコン、トリフルオロプロピルジメチコンなど)が挙げられる。
【0035】
不揮発性炭化水素の例としては、C10-40イソパラフィン、C12-20イソパラフィンなどの10〜40個の炭素原子を有する直鎖型または分枝鎖型の炭化水素;または約18〜54個の炭素原子を有するオレフィン、例えばC18-26オレフィン、C20-24オレフィン、C26-54オレフィン;ポリブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、または水素化ポリイソブテンなどのそれらの水素化誘導体;イソエイコサン;スクアラン;スクアレンなどが挙げられる。
【0036】
エステルの例としては、一価、二価、または多価のC1-10アルコールと、約1〜40個の炭素原子を有するカルボン酸、好ましくは脂肪C6-22カルボン酸との反応によって形成されるエステルが挙げられる。好ましいアルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、グリセリンなどが挙げられる。好ましいカルボン酸としては、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸などが挙げられる。1つの特に好ましいエステルは、多価アルコールと脂肪カルボン酸、より具体的にはグリセリンとステアリン酸との反応によって形成され、ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリルなどを与える。最も好ましいのは、ステアリン酸グリセリルである。
【0037】
2. 皮膜形成剤
本発明の化粧品組成物またはスキンケア組成物は、皮膚表面に適用された場合に皮膜を形成することができる少なくとも1種の皮膜形成剤を含み得る。本組成物に含まれる場合、皮膜形成剤の推奨範囲は、約0.1〜45%、好ましくは約0.5〜40%、より好ましくは約0.5〜30%である。皮膜形成剤は、合成ポリマーであっても天然ポリマーであってもよい。これらは水溶性であっても油溶性であってもよい。皮膜形成剤は、水分散液中の粒子の形態であってもよく、または組成物の親油相に可溶化もしくは分散されていてもよい。皮膜形成ポリマーの例としては、脂溶形態または水分散液中の粒子の形態のポリウレタン;エチレン性不飽和モノマーに由来するコポリマー、例えば、アクリレート、アンモニウムアクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー;もしくはトリメチルシロキシシリケート、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシロキシシリケートポリマー;または約100,000〜100,000,000csの重合度を有する一般的なジメチコンもしくはジメチコノールであるシリコーンガムが挙げられる。このような皮膜形成ポリマーの例としては、限定するものではないが、アクリレートコポリマー、ポリウレタン、アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、PVP、PVA、PVP/VAコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アンモニウムスチレン/アクリレートコポリマーなどが挙げられる。セラックまたはセルロースなどの天然ポリマーも好適である。皮膜形成剤が、約10〜70%の水、1〜40%のセラック、および場合により約0.1〜40%の一価アルコール(好ましくはイソプロパノールまたはエタノール)および約0.0001〜10%の中和剤(水酸化アンモニウムであってよい)を含む水分散液中のセラックである場合が好ましい。また、皮膜形成剤が、例えばPVP、PVP/VAコポリマーなどのビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマーを含む場合も好ましい。
【0038】
3. 構造化剤
また本発明の化粧品組成物またはスキンケア組成物は、粘度を増加させまたは組成物の粘性を高める少なくとも1種の構造化剤も含み得る。本組成物に含まれる場合、構造化剤の推奨範囲は約0.1〜70%、好ましくは約0.5〜65%、より好ましくは約1〜60%である。構造化剤は、天然または合成ワックス、粘度を増加させるポリマー材料などであってよい。ワックスの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、蜜蝋、ポリエチレングリコールと反応させることによって改変した蜜蝋(PEG-8蜜蝋、PEG-10蜜蝋)、カルナバ、セレシン、微結晶、または脂肪アルコール(例えばステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなど);または脂肪酸(例えばステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸)などが挙げられる。また構造化剤として、ポリアミドまたはシリコーンポリアミドも好適である。例としては、Arizona Chemicalから商標名Sylvaclear(登録商標)およびUniclea(登録商標)として販売されている、INCI名がエチレンジアミン/ステアリルダイマータレートコポリマーまたはエチレンジアミン/ステアリルダイマージリノレートコポリマー、エチレンジアミン/ダイマータレートコポリマービス-水素化獣脂アミド;ポリアミド-3;エチレンジアミン/水素化ダイマージリノレートコポリマービス-ジ-C14-18アルキルアミド;ポリアミド-4;ビス-ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化ダイマージリノレートコポリマー等である構造化剤などが挙げられる。シリコーンワックスを使用することも可能であり、例えば、限定するものではないが、ステアリルジメチコン、ベヘニルジメチコン、ベヘノキシジメチコン、ステアロキシジメチコンなどが挙げられる。構造化剤として、N-アシルアミノ酸またはそれらのエステルもしくはアミド;12-ヒドロキシステアリン酸またはそのエステルもしくはアミド;二官能性または三官能性アルコールダイマーの脂肪酸エステル;またはジカルボン酸もしくはトリカルボン酸のアルキルアミドも好適である。例としては、ステアラミドMEA-ステアリン酸、N-アシルグルタミン酸ジアミドなどが挙げられる。
【0039】
また、構造化剤として、ガムなどの粘度を増加させる天然成分も適しており、例えば、限定するものではないが、アラビアガム、ビーガム(Veegum)(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、ビオサッカリドガム、ボスウェリア・セラータ(Boswellia Serrata)ガム、カッシアガム、セルロースガム、ジェランガム、キサンタンガム、アルギン、アガロース、セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
【0040】
シリコーンエラストマーもまた好適な構造化剤であり、白金触媒の存在下で、SiH含有ジオルガノシロキサンと、末端オレフィン系不飽和炭化水素またはアルファ-オメガジエン炭化水素を有するオルガノポリシロキサンとを反応させることによる付加反応硬化によって形成されるものが挙げられる。
【0041】
本発明の組成物において用いるのに好適なシリコーンエラストマーの例は、粉末形態であってよく、あるいは揮発性もしくは不揮発性シリコーン、またはパラフィン系炭化水素もしくはエステルのようなシリコーン相溶性ビヒクルなどの溶媒中に分散または可溶化させてもよい。シリコーンエラストマー粉末の例としては、ビニルジメチコン/メチコンシレスキオキサン架橋ポリマー(Shin-EtsuのKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105など)、フルオロアルキル基を含むハイブリッドシリコーン粉末(フルオロ−シリコーンエラストマーであるShin-EtsuのKSP-200など)およびフェニル基を含むハイブリッドシリコーン粉末(フェニル置換シリコーンエラストマーであるShin-EtsuのKSP-300など);およびDow ComingのDC9506が挙げられる。シリコーン相溶性ビヒクル中に分散させたシリコーンエラストマー粉末の例としては、Dow Corning Corporation(商標名9040または9041として)、GE Silicones(商標名SFE839として)またはShin-Etsu Silicones(商標名KSG-15、16、18として)などの様々な供給者により供給されているジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーが挙げられる。KSG-15のCTFA名はシクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーである。KSG-18のINCI名はフェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコン架橋ポリマーである。シリコーンエラストマーは、Grant Industriesから商標名Gransilとして購入することもできる。Shin-Etsuにより商標名KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43およびKSG-44として供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーなどの、長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマーも好適である。本発明において有用な架橋オルガノポリシロキサンエラストマーおよびその製造方法は、1990年11月13日に発行されたSakutaらの米国特許第4,970,252号、1998年6月2日に発行されたKilgourらの米国特許第5,760,116号、1997年8月5日に発行されたSchulz, Jrらの米国特許第5,654,362号およびPola Kasei Kogyo KKに発行された日本国特許出願JP61-18708号にさらに記載されており、これらはそれぞれ参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。
【0042】
本発明の化粧品組成物またはスキンケア組成物は、1種以上の水相増粘剤も含み得る。本組成物に含まれる場合、推奨範囲は、約0.1〜30%、好ましくは約0.5〜25%、より好ましくは約0.5〜20%である。好適な増粘剤としては、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの単純C1-22アルキルエステルのモノマーからなるアクリルポリマー増粘剤が挙げられる。アクリルポリマー溶液としては、Seppic, Inc.社から商標名Capigelとして販売されているもの(CTFA名:アクリレートコポリマー)が挙げられる。
【0043】
また、1つ以上の脂肪アルコキシル化アルコールさらにと共重合したアクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1-22アルキルエステルのコポリマーであるアクリルポリマー増粘剤も好適である。このような増粘剤の例としては、Rohm & Haasにより商標名Acculyn 22として販売されているアクリル酸/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、またはRohm & Haasから商標名Acculyn 88として購入可能なアクリル酸/ステアレス-20/メタクリル酸クロスポリマーが挙げられる。
【0044】
1つ以上の親水性単位と、脂肪鎖を含有する1つ以上のアリルエーテル単位とを含むアクリレート系アニオン性両親媒性ポリマーも好適である。親水性単位が、エチレン性不飽和アニオン性モノマー、より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの混合物などのビニルカルボン酸を含み、脂肪鎖を含有するアリルエーテル単位が、式
CH2=CR'CH2OBnR
[式中、R'はHまたはCH3を示し、Bはエチレンオキシ基を示し、nは0または1〜100の整数であり、Rは8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、さらにより具体的には12〜18個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリールおよびシクロアルキル基から選択される炭化水素基を示す]
で表されるモノマーに相当するものが好ましい。この場合、より好ましいのは、R'がHを示し、nが10に等しく、Rがステアリル(C18)基を示すものである。この種類のアニオン性両親媒性ポリマーは、米国特許第4,677,152号および同第4,702,844号において記載され、また調製されており、両文献はいずれも参照によりそのまま本明細書に組込まれる。これらのアニオン性両親媒性ポリマーの中には、20〜60重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸、5〜60重量%のメタクリル酸低級アルキル、2〜50重量%の上記の脂肪鎖を含有するアリルエーテル、および0〜1重量%の架橋剤(周知の共重合可能なポリエチレン性不飽和モノマー、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコールおよびメチレンビスアクリルアミドで形成されるポリマーがある。このようなポリマーの1つの市販例は、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ステアリルアルコールまたはステアレス-10のポリエチレングリコール(10個のEO単位を有する)エーテルの架橋ターポリマー、特にAllied Colloids社からSALCARE SC80およびSALCARE SC90という名称で販売されているものであり、これらは、メタクリル酸、アクリル酸エチルおよびステアレス-10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーを30%含有する水性エマルションである。
【0045】
ポリアクリレート-3(メタクリル酸、メタクリル酸メチル、イソシアン酸イソプロピルおよびベヘン酸PEG-40モノマーのコポリマー);ポリアクリレート-10(アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミドおよびビニルピロリドンモノマーのコポリマー);またはポリアクリレート-11(アクリロイルジメチルアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ブチルおよびアクリルアミドモノマーのコポリマー)などのアクリレートコポリマーも好適である。
【0046】
1つ以上のアクリル基が置換長鎖アルキル(例えば6〜40個、10〜30個など)基を有し得る架橋アクリレート系ポリマー、例えばアクリレート/アクリル酸C10-30アルキルクロスポリマー(アクリル酸C10-30アルキルと、アクリル酸、メタクリル酸またはスクロースのアリルエーテルもしくはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したそれらの単純エステルの1つの1つ以上のモノマーとのコポリマー)も好適である。このようなポリマーは、CarbopolまたはPemulenという商標名で一般に販売されている。
【0047】
水相増粘剤として特に好適なのは、Clariantから商標Aristoflexで販売されているアクリレート系ポリマー増粘剤、例えばAristoflex AVC(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー);Aristoflex AVL(カプリル/カプリントリグリセリド、トリラウレス-4およびセスキイソステアリン酸ポリグリセリル-2を含有する混合物中に分散させたAVC中に見出されたポリマーと同じポリマー);またはAristoflex HMB(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸べへネス-25クロスポリマー)などである。
【0048】
水相増粘剤として、重合度が1,000〜200,000である様々なポリエチレングリコール(PEG)誘導体も好適である。かかる成分は、記号「PEG」に続く1000単位の重合度によって示され、例えばPEG-45Mは45,000個のエチレンオキシドの繰り返し単位を有するPEGを意味する。好適なPEG誘導体の例としては、PEG2M、5M、7M、9M、14M、20M、23M、25M、45M、65M、90M、115M、160M、180Mなどが挙げられる。
【0049】
繰返し部分の数が15〜200個、好ましくは約20〜100個であるグリセリンの繰返し部分であるポリグリセリンも好適である。好適なポリグリセリンの例としては、CFTA名ポリグリセリン-20、ポリグリセリン-40などを有するものが挙げられる。
【0050】
水相増粘剤として、キサンタンガム、セルロース、デキストリン、シクロデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、アカシアガムなどの様々な種類の多糖も好適である。
【0051】
4. 乳化剤
本発明の化粧品組成物またはスキンケア組成物は、少なくとも1種の乳化剤または界面活性剤をさらに含み得る。本組成物に含まれる場合、かかる乳化剤または界面活性剤の推奨範囲は、約0.01〜40%、好ましくは約0.05〜35%、より好ましくは約0.1〜25%である。好適な乳化剤は、直鎖のまたは架橋されたポリオキシアルキレン置換オルガノシロキサンまたはアルキル置換ポリオキシアルキレンオルガノシロキサンを含むシリコーン系の乳化剤または界面活性剤であってよい。例としては、ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオールなどの一般名を有する乳化剤または界面活性剤が挙げられる。
【0052】
シリコーン界面活性剤の例としては、Dow Corningにより商標名Dow Corning 3225C Formulation Aid(CTFA名はシクロテトラシロキサン(および)シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18ジメチコン);または5225C Formulation Aid(CTFA名はシクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18/18ジメチコン);またはDow Coming 190 Surfactant(CTFA名はPEG/PPG-18/18ジメチコン);またはDow Corning 193 Fluid、Dow Corning 5200(CTFA名はラウリルPEG/PPG-18/18メチコン)として販売されているもの;またはGoldschmidtにより販売されているAbil EM 90(CTFA名はセチルPEG/PPG-14/14ジメチコン);またはGoldschmidtにより販売されているAbil EM 97(CTFA名はビス−セチルPEG/PPG-14/14ジメチコン);またはAbil WE 09(CTFA名はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、混合物はイソステアリン酸ポリグリセリル-4およびラウリン酸ヘキシルも含む);またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6011(CTFA名はPEG-11メチルエーテルジメチコン);Shin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6012(CTFA名はPEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン);またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6013(CTFA名はPEG-9ジメチコン);またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6015(CTFA名はPEG-3ジメチコン);またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6016(CTFA名はPEG-9メチルエーテルジメチコン);またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6017(CTFA名はPEG-10ジメチコン);またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6038(CTFA名はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)がある。
【0053】
乳化エラストマーと呼ばれることも多い、様々な種類の架橋シリコーン界面活性剤も好適である。これらは通常、シリコーンエラストマーがポリオキシアルキレン化基などの親水性部分を少なくとも1つ含む点を除き、上記の「シリコーンエラストマー」の項に記載のとおりに製造される。典型的には、これらのポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーは、少なくとも1個のシリコーン結合水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋付加反応によって得られる架橋オルガノポリシロキサンである。少なくとも1つの実施形態において、ポリオキシアルキレン化架橋オルガノポリシロキサンは、例えば米国特許第5,236,986号および米国特許第5,412,004号、米国特許第5,837,793号ならびに米国特許第5,811,487号(これらの内容は参照により本明細書に組み入れられる)に記載のとおり、場合により白金触媒の存在下で、それぞれが1個のケイ素に結合している少なくとも2個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋付加反応によって得られる。
【0054】
本発明の少なくとも1つの実施形態において使用し得るポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとしては、Shin-Etsu Siliconesにより、KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33;KSG-210(ジメチコン中に分散させたジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー);KSG-310(PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG-320(イソドデカン中に分散させたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG-330(トリエチルヘキサノイン中に分散させたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー)、KSG-340(PEG-10ラウリルジメチコンクロスポリマーと、PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーとの混合物)の名称で販売されているものが挙げられる。
【0055】
PCT/WO 2004/024798に開示されているようなポリグリセロール化シリコーンエラストマーも好ましく、この文献は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。このようなエラストマーとして、Shin-EtsuのKSGシリーズ、例えば、KSG-710(ジメチコン中に分散させたジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー);または、Shin-Etsuの商標名KSG-810、KSG-820、KSG-830、もしくはKSG-840として販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの多様な溶媒に分散させたラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーが挙げられる。Dow Corningにより、商標名9010およびDC9011として販売されているシリコーンも好適である。
【0056】
本組成物は1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールとアルキレンオキシド(通常はエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)との反応により形成されるアルコキシル化アルコールまたはエーテルが挙げられる。好ましくは、このアルコールは6〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコールのいずれかである。このような成分の例としては、ステアレス2-100(ステアリルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、エチレンオキシド単位の数が2〜100である);ベヘネス5-30(ベヘニルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、エチレンオキシドの繰り返し単位の数が5〜30である);セテアレス2-100(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドの反応により形成され、分子中のエチレンオキシドの繰り返し単位の数が2〜100である);セテス1-45(セチルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1〜45である)などが挙げられる。
【0057】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸およびモノ−、ジ−または多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応により形成される。例えば、C6-30脂肪カルボン酸および多価アルコール(グルコース、ガラクトース、メチルグルコースなどの単糖である)と、アルコキシル化アルコールとの反応生成物。例としては、グリセリル脂肪酸エステル(例えばオレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル);またはPEGポリヒドロキシアルカノート(例えばエチレングリコールの繰り返し単位の数が3〜1000であるジポリヒドロキシステアリン酸PEG)と反応させたポリマーアルキレングリコールが挙げられる。C6-30飽和または不飽和脂肪酸のエトキシル化プロポキシル化誘導体、例えば、アジピン酸ジ-PPG-2ミレス-10、アジピン酸ジ-PPG-2セテス-4、アジピン酸ジ-PPGミリスチルエーテル)も好適である。
【0058】
非イオン性界面活性剤として、カルボン酸と、アルキレンオキシドまたはポリマーエーテルとの反応により形成されるものも好適である。結果として得られる生成物は、RCOがカルボキシルエステル基であり、Xが水素または低級アルキルであり、nが重合アルコキシ基の数である一般式を有する。ジエステルの場合には、2つのRCO基は同一である必要はない。好ましくは、RはC6-30直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和のアルキルであり、nは1〜100である。
【0059】
モノマー性、ホモポリマー性またはブロックコポリマー性エーテルも非イオン性界面活性剤として好適である。典型的には、このようなエーテルはモノマーアルキレンオキシド、一般にはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合によって形成される。このようなポリマーエーテルは、RがHまたは低級アルキルであり、nが繰り返しモノマー単位の数で1〜500である一般式を有する。
【0060】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタンおよびアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化により、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が得られる。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化では、ポリソルベートなどのソルビタンエステルが得られる。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンを、C6-30、好ましくはC12-22脂肪酸でエステル化することができる。このような成分の例としては、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタンおよびステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0061】
マスカラにおける使用に最も好ましいのは、ポリエチレングリコールと脂肪酸(例えばPEG1-200と、ステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、セテアリン酸など)との反応生成物である有機乳化剤である。特に好ましいのは、乳化剤がポリエチレングリコールとステアリン酸との反応生成物(例えばステアリン酸PEG-100)を含む場合である。また、ポリソルベートなどのソルビタンの誘導体;ステアリン酸でエステル化されたソルビタン(例えばトリステアリン酸ソルビタン)なども好適である。
【0062】
5. 粒状物質
本化粧品組成物またはスキンケア組成物は、顔料、粉末または混合物のいずれかの形態の粒状物質をさらに含み得る。好適な顔料としては、レッド、イエローもしくはブラックの無機顔料または酸化鉄が挙げられる。イエロー、レッド、ブルー等のFD&C色もしくはD&C色またはそれらのレーキである有機顔料も好適である。好適な粉末としては、二酸化チタン、雲母、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、PTFE、シリカ、ベントナイト、カオリン、タルクなどが挙げられる。本組成物に含まれる場合、顔料の推奨範囲は、約0.01〜45%、好ましくは約0.05〜35%である。粉末の推奨範囲は約0.01〜10%である。
【0063】
6. 保湿剤
本発明の化粧品組成物またはスキンケア組成物は、1種以上の保湿剤も含み得る。本組成物に含まれる場合、保湿剤の推奨範囲は約0.1〜25%である。保湿剤としては、グリコール、糖などが挙げられる。好適なグリコールはモノマー型またはポリマー型であり、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール(例えば、4〜200個のエチレンオキシドの繰り返し単位を有するポリエチレングリコールであるPEG4-200)、ならびにC1-6アルキレングリコール(例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール)などが挙げられる。適切な糖(その一部は多価アルコールでもある)も好適な保湿剤である。このような糖の例として、グルコース、フルクトース、蜂蜜、水素化蜂蜜、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロース、トレハロースなどが挙げられる。また、尿素または糖誘導体(例えばエチルヘキシルグリセリン)も好適である。1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物で用いられる保湿剤は、C1-6、好ましくはC2-4アルキレングリコールであり、最も具体的にはブチレングリコールである。
【0064】
本組成物は、他の成分(例えば、限定するものではないが、保存剤、日焼け止め剤など)をさらに含み得る。
【0065】
本発明は、説明のみを目的として示される以下の実施例に関連してさらに説明される。
【実施例】
【0066】
実施例1
以下の成分:
【表1】

【0067】
を含む、バランスのとれた皮膚組成を有する使用者の陰陽バランスを維持および強化するための植物抽出物の混合物を含有する微粉末を、上述の抽出および乾燥技術に従って調製した。
【0068】
実施例2
以下の成分:
【表2】

【0069】
を含む、陽優勢の皮膚組成を有する使用者に陰エネルギーを与え且つその過剰な陽のエネルギーのバランスをとり/中和するための植物抽出物の混合物を含有する微粉末を、上述の抽出および乾燥技術に従って調製した。
【0070】
実施例3
以下の成分:
【表3】

【0071】
を含む、陰優勢の皮膚組成を有する使用者に陽エネルギーを与え且つその過剰な陰のエネルギーのバランスをとり/中和するための植物抽出物の混合物を含有する微粉末を、上述の抽出および乾燥技術に従って調製した。
【0072】
実施例4
以下の成分:
【表4】

【0073】
を含む、使用者の眼の周囲領域の隈、腫れ、および皺を治療するための植物抽出物の混合物を含有する微粉末を、上述の抽出および乾燥技術に従って調製した。
【0074】
実施例5
1.5重量%または15グラム/リットルのDifcoモルトエキストラクトブロスの水溶液を含む滅菌培養培地に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)を、該酵母が対数増殖期の終わりに達するまで約24℃で約14時間播種し、種菌を形成した。次いで、実施例1〜4の、上述の植物抽出物の混合物を含有する微粉末を、種菌および下記の様々な成分と共に、容量約100リットルのNew Brunswick Scientific Bioflo 6000リアクタ/発酵槽に加えた。
【表5】

【0075】
この混合物を約24℃でインキュベートし、約200rpmの速度で約4時間混合した。その後、この発酵溶液を1%Celite Hyfloゲル(珪藻土)、Ertel 5ミクロンセルロースパッド、Cell Flow Hollow Fiber PES 0.2ミクロン接線フローフィルター(Spectum Labs)、およびSealKleen ultipore Nylon66 0.2ミクロン無水デッドエンドフィルター(Pall Corporation)に連続的に通過させた。
【0076】
実施例6
実施例1〜4において上述した植物抽出物の混合物の、実施例5の発酵工程の前後の色を、LICO 100カラーメーター(Paul N. Gardner Company)を用いて比較した。具体的には、サンプルを11mmのスリガラスキュベットに充填した後、上記のカラーメーター中に置き、以下のとおりにガードナー色数(Gardner Color Number)の色の自動読み取りを行った。
【表6】

【0077】
サンプルは全て、発酵前の同じサンプルと比較して、発酵後に色の低下を示した。
【0078】
実施例7
実施例1〜4において上述した植物抽出物の混合物の、実施例5の発酵工程の前後の臭いを、Alpha M.O.S. Fox電子鼻システムを用いて比較した。具体的には、1mLアリコートの各サンプルを4通り作成し、上記の電子鼻に約45℃にて約250秒間または450秒間かけた。各サンプルについて得られたデータを、PSAモデルを用いてプロットした。全ての事例において、PSAデータは、発酵前と発酵後のTCM混合物間の、観察可能な差異を示した。さらに、ヒト被験体によって行われた嗅覚テストにより、発酵前のTCM混合物と比較して、発酵後の同混合物における望ましくない臭いの低下が確認された。
【0079】
実施例8
5つの異なる種類のスキンケアセラムを、様々な皮膚組成(それぞれバランスのとれた(「B」)皮膚組成、陽(「Ya」)の皮膚組成、陽にバランスした(「B-Ya」)皮膚組成、陰(「Yi」)の皮膚組成、および陰にバランスした(「B-Yi」)皮膚組成など)を有する使用者に適した上記の発酵TCM抽出物を用いて製剤化した:
【表7】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】
実施例9
3つの異なる種類の水様ローションを、様々な皮膚組成(それぞれバランスのとれた(「B」)皮膚組成、陽(「Ya」)の皮膚組成、および陰(「Yi」)の皮膚組成など)を有する使用者に適した上記の発酵TCM抽出物を用いて製剤化した:
【表8】

【0084】

【0085】

【0086】
実施例10
アイクリーム製品を、上記の発酵TCM抽出物を用いて製剤化した:
【表9】

【0087】

【0088】

【0089】
本発明は好ましい実施形態に関連して記載されているが、本発明の範囲を記載される特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に包含され得る代替、改変、均等物を網羅することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の外見または皮膚の状態を改善するために、使用者の男性または女性の皮膚組成に基づいて使用者に適した局所組成物を選択する方法であって、以下:
(a) 使用者から生物学的データを収集するステップ;
(b) 収集された生物学的データに基づいて使用者の皮膚組成を分類するステップであって、該分類が皮膚の陰陽バランスまたはその欠如を示す前記ステップ;および
(c) 使用者に適した局所組成物を選択するステップであって、該局所組成物が、使用者の皮膚の陰陽バランスを維持または回復させるための発酵漢方薬抽出物の混合物を含有する、前記ステップ
を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
使用者から収集された生物学的データが、年齢、身体感覚、生活習慣、睡眠パターン、エネルギーレベル、舌色、舌苔色、および皮膚状態からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用者の皮膚組成が、中医薬(TCM)の原理に従って生物学的データに重み付けする統計モデルを用いることによって分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
皮膚組成カテゴリーが、バランスのとれた、陽優勢の、および陰優勢の皮膚組成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
使用者がバランスのとれた皮膚組成を有する場合、皮膚の陰陽バランスを維持および強化するため、冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis))菌糸、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮の発酵抽出物を含む第1の局所組成物が選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1の局所組成物が、マツホド(ポリア・ココス(Poria cocos))菌核、オタネニンジン(パナクス・ギンセン(Panax ginseng))根、およびシソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実からなる群から選択される漢方薬に由来する1種以上の発酵抽出物をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
使用者が陽優勢の皮膚組成を有する場合、陰を与え且つ皮膚の陰陽バランスを回復させるため、マンネンタケ(ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum))子実体、イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella tamariscina))全草、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、およびキンセンカ(カレンデュラ・オフィキナリス(Calendula officinalis))花の発酵抽出物を含む第2の局所組成物が選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第2の局所組成物が、ツボクサ(センテラ・アシアティカ(Centella asiatica))全草、コガネバナ(スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis))根、およびイタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎からなる群から選択される漢方薬に由来する1種以上の発酵抽出物をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
皮膚組成カテゴリーが、陽にバランスしたカテゴリーをさらに含み、使用者が陽にバランスしたカテゴリーを有する場合、第2の局所組成物と同じ発酵漢方抽出物を該組成物よりも低濃度で含む第3の局所組成物が選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
使用者が陰優勢の皮膚組成を有する場合、陽を与え且つ皮膚の陰陽バランスを回復させるため、イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea))根茎、シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実、キハダ(フェロデンドロン・アムレンセ(Phellodendron amurense))樹皮、およびウイキョウ(フォエニクルム・ブルガレ(Foeniculum vulgare))種子の発酵抽出物を含む第4の局所組成物が選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第4の局所組成物が、ビャクダン(サンタルム・アルブム(Santalum album))幹、ヤバネオオムギ(ホルデウム・ディスチコン(Hordeum distichon))種子、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮からなる群から選択される漢方薬に由来する1種以上の発酵抽出物をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
皮膚組成カテゴリーが、陰にバランスしたカテゴリーをさらに含み、使用者が陰にバランスした皮膚組成を有する場合、第4の局所組成物と同じ発酵漢方抽出物を該組成物よりも低濃度で含む第5の局所組成物が選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
バランスのとれた皮膚組成を有する使用者の皮膚に適用するための局所組成物であって、冬虫夏草(コルディセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis))菌糸、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、イタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮の発酵抽出物を含む、前記組成物。
【請求項14】
マツホド(ポリア・ココス(Poria cocos))菌核、オタネニンジン(パナクス・ギンセン(Panax ginseng))根、およびシソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実からなる群から選択される漢方薬に由来する1種以上の発酵抽出物をさらに含む、請求項13に記載の局所組成物。
【請求項15】
陽優勢のまたは陽にバランスした皮膚組成を有する使用者の皮膚に適用するための局所組成物であって、マンネンタケ(ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum))子実体、イワヒバ(セラギネラ・タマリスキナ(Selaginella tamariscina))全草、イチョウ(ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba))葉、およびキンセンカ(カレンデュラ・オフィキナリス(Calendula officinalis))花の発酵抽出物を含む、前記組成物。
【請求項16】
ツボクサ(センテラ・アシアティカ(Centella asiatica))全草、コガネバナ(スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis))根、およびイタドリ(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))根茎からなる群から選択される漢方薬に由来する1種以上の発酵抽出物をさらに含む、請求項15に記載の局所組成物。
【請求項17】
陰優勢のまたは陰にバランスした皮膚組成を有する使用者の皮膚に適用するための局所組成物であって、イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea))根茎、シソ(ペリラ・フルテッセンス(Perilla frutescens))果実、キハダ(フェロデンドロン・アムレンセ(Phellodendron amurense))樹皮、およびウイキョウ(フォエニクルム・ブルガレ(Foeniculum vulgare))種子の発酵抽出物を含む、前記組成物。
【請求項18】
ビャクダン(サンタルム・アルブム(Santalum album))幹、ヤバネオオムギ(ホルデウム・ディスチコン(Hordeum distichon))種子、およびポンカン(シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata))皮からなる群から選択される漢方薬に由来する1種以上の発酵抽出物をさらに含む、請求項17に記載の局所組成物。
【請求項19】
使用者の眼窩周囲領域に適用するための局所組成物であって、キュウキュウ(リグスティクム・チュアンション(Ligusticum chuanxiong))根、シャクヤク(パエオニア・ラクティフローラ(Paeonia lactiflora))根、アカヤジオウ(レーマニア・グルチノサ(Rehmannia glutinosa))根、およびサネブトナツメ(ジジフス・ジュジュベ(Zizyphus jujube))果実の発酵抽出物を含む、前記組成物。
【請求項20】
局所組成物を調製する方法であって、望ましくない臭いおよび/または色を有することが知られている1種以上の中医薬(TCM)成分に由来する抽出物の混合物を、好気性代謝微生物の存在下、適切な好気条件下で、該TCM成分の所望の生物学的活性を保ちながら望ましくない臭いおよび/または色を低下させまたは除去するために十分な時間発酵させるステップと、該TCM抽出物の発酵混合物を化粧品上または製薬上許容可能な担体に製剤化して該局所組成物を形成するステップとを含んでなる、前記方法。

【公表番号】特表2012−520300(P2012−520300A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554075(P2011−554075)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/025712
【国際公開番号】WO2010/104687
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】