説明

予測温度管理を用いる低温押し出しによる食品の成形方法

本発明の対象は低温押し出しにより少なくとも1種の食品を成形する方法であって、押し出し機は押し出しスクリューを包囲する二重壁ジャケットを備え、このジャケットを通じて冷却剤が流れ、このジャケットは単一モジュールまたは複数の独立モジュールからなり、低温押し出しは低温押し出しされる前記製品について決定した曲線に基づいて温度管理され、X軸上にプロットされた、出口での、前記製品の実際の温度と製品に望まれる温度設定値との差Dおよび、Y軸にプロットされた、前記1つまたは複数のモジュールの出口でガス温度に適用される設定値を示し、前記曲線は3つの直線領域:2つの擬似水平領域によって囲まれた、0に近い差Dのあたりの急峻な(急な傾斜)領域に分かれている。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は食品産業の分野、より詳細には前記食品を成形する低温食品押し出し法に関する。
【0002】
以下、形容詞として押し出し、低温押し出し、冷押し出しおよび押し出し機という語を無関係に使う;これらの語は当業者には十分に知られており、いくつかは「ミキサー」または「スクリューミキサー」という表現も用いる。
【0003】
食品を成形することは近年、業界の主な課題になっている。消費者はオリジナルで多様な形状にあるポーションの食品をますます求めており、そのため人々は食事に必要であり、また味覚欲求を喚起する量を容易に配分することができる。他の課題は食品専門家に容易に用いることができる配分された製品を提供することである。
【0004】
この要求を満たすために、業界は利用できる種々の技術を有するが、しかしながらこれらは必ずしも十分に満足ではない。
【0005】
最も単純な技術は中空パンチまたはモールド技術である。この技術の主な欠点は複雑な形状を得ることも液体原料を用いることもできないことであり、これはますます厳しい食品規格を仮定すると再使用が難しい廃棄物の主要な原因である。
【0006】
一般に用いられている技術は「ペレット製造機」であって2つの逆回転する中空シリンダーからなり、これらの間に予め冷凍されるかされないフードペーストを流し込み、その後これは「ペレット」の形態で出て、その後これは冷凍工程を受けることができる。このような方法は「ブロック」スープ、ポーション化したホウレン草および他のこのようなタイプの冷凍食品を作るのに用いられる。このようにして得られる製品は満足のゆくものでない。というのも不透明なパッケージを必要とする不快な外観を有してしまうだけでなく、またこれらはペレットのみを製造できる機械の幾何学的形状により制約される形状を有し、たとえば子供にとって決して遊びの形ではない。最後に、食品の量を「ペレット」用に正確に分けることができない。この製品損失も著しい。
【0007】
用いることができる他の技術は食品の押し出し、特に冷押し出しである。固体であろうと半固体であろうと、多くの食品、たとえばパン生地、セイボリービスケットまたは製品、スターチ、野菜、肉、アイスクリーム、チョコレート、柔らかなスイーツ、チューイングガム、フルーツゼリー、キャラメル、シリアル、植物性タンパク、カゼイン、チーズスプレッド、動物用の食品のようなものを押し出しすることができるが、このリストは明らかに包括的でない。
【0008】
従来、工業用押し出し機は内部に少なくとも1つの押し出しスクリューを含む長いシリンダーからなり、その一方の端部に供給ホッパーとその他方の端部に出口ノズルとを有する。一般に、押し出しスクリューは回転モーターにより動かされ、その回転速度は周波数調節器により制御される。
【0009】
低い温度の押し出しにおいて、たとえば文献 US 4,795,650 に記載されているように、押し出し工程の上流で製品は冷やされるかさらに冷凍され、または製品は押し出し機自体内で直接的に冷やされるかさらに冷凍される。後者の場合、たとえば US 2003/0211192 または US 2005/0132902 に記載されているように、冷却を押し出し機の外側から行なう、すなわち冷却剤、たとえば塩水、アンモニア、グリコール酸塩水、液体窒素、二酸化炭素が押し出し機の本体周囲を循環するか;またはたとえば文献 EP-0 250 381 または US-2006/0283196 に記載されているように、冷却剤を押し出しする製品中に注入することによる直接的接触により冷却を行う。
【0010】
既知の低温押し出しバージョンの1つによれば、冷却剤用の循環手段は押し出しスクリューを包囲するダブルジャケットからなり、この中で冷却剤が循環する。ダブルジャケットはパイプタイプのダクトにより連結される多くの独立モジュールからなり、冷却剤が1つのモジュールから他のものへと通ることを可能にし、1つまたは複数の押し出しスクリューはダブルジャケットの複数のモジュールの結合によって形成されるシリンダー内に位置し、各モジュールはその冷却剤取入口とそのガス抜取口とを備え、場合によっては、モジュールのいくつかはガス循環系にてペアを組んで結合している。
【0011】
これらの方法は理論的には魅力的であるが産業的に利用することは難しい。実際に、あまりにも速い製品の温度降下により1つまたは複数の押し出しスクリューを閉塞するという大きな欠点を有する。実際、押し出される食品の温度があまりにも急速に下がると、製品の粘度が非常に速く高まって1つまたは複数のスクリューにおけるトルクの上昇、したがってモーター電流の上昇をもたらし、こうしてモーターのサーマルトリップを引き起こし、したがって前記モーターを動けなくする。この理由のため、このタイプの冷押し出し法はそれ自体を業界で高粘度を有する食品を成形するのに用いることは難しい。
【0012】
さらに、製品の出口温度を実際に制御することは非常に難しいと分かっていることを指摘すべきである。
【0013】
製品温度は制御することが容易でないため、出口製品は徐々に冷たくなりすぎる傾向にあり、製品を硬化させ、機械を故障させる危険にさらすという結果を伴う一方で、モジュールがあまりにも熱いと、所望の温度を得ることが難しい。
【0014】
現状はオペレータがほぼ経験的に状況を管理しているという事実により特徴付けられる:彼は成形出口における製品温度を測定し、不正確に、何もしないかまたは冷却剤の注入を増加させて不十分に低い出口温度を補おうとする。
【0015】
したがって、本発明が対処しようとする技術的な問題は、初期に液体、半固体および/または固体である食品に十分な固体質感を与えることを可能にし、後者の成形を行って満足のゆく審美的外観も有する調整されたポーションにする産業的方法の提供であり、この方法は製品が得られる温度の良好な制御を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】
【図2】
【図3】
【0017】
以下により詳細に見られるように、この問題は本発明により解決され、これは低温押し出しともいわれる冷押し出し法の改良を提供する。
【0018】
このため、提供する方法は以下のアプローチに基づく:
−データ取得および処理システムは1つまたは複数のモジュールの出口でガス温度を取得し管理して、電磁弁または制御弁により冷却剤(たとえば、液体窒素)の1つまたは複数の注入の変更を制御することができ;
−システムは製品の実際の温度と装置出口で製品に望まれる温度設定値との間の差を算出する。この結果の符号とその絶対値により、システムは冷却モジュールの温度調節ループに導入すべき温度設定値を決定する。
【0019】
これらの設定値をシステム中にプログラムされたモデルと比較して算出する。
【0020】
−以下に添付する図1を用いてより良好に視覚化されるように、曲線は、X軸上に、製品の実際の温度と出口で製品に望まれる温度設定値との間の差Δ、および、Y軸上に、1つまたは複数のモジュールの出口でガスの温度に適用される設定値を示し、3つの直線領域:2つのより緩やかな、ほぼフラットな領域によって囲まれた、0に近い差Δのあたりの急峻な領域に体系づけられ、この曲線は冷却剤が液体窒素である場合に関する;
差Δがよりマイナスであるほど(製品が冷たすぎる)、モジュールを冷やす必要がより少ない(システムは0℃に近いガス温度設定値を要するであろう);差が0に向かうほど、求められるガスの温度はより平衡温度になる(ここで示した典型的な曲線においては、ほぼ−120℃、所定の製品について、所定の流量で、熱交換が製品をその所望の成形温度にもたらす値);差がよりプラスであるほど(製品が十分に冷たくない)冷却剤の注入をより増加しなければならない(システムは−196℃に近いガス温度設定値を必要とするであろう)。
【0021】
図1を読み取ることによって上に記載した「ほぼフラットな領域」は装置、製品などの各々の場合について決定されることが明確に理解されるであろうが、これらはセ氏数度からセ氏数十度にわたって延びるがそれ以上には延びず、0のあたりで延びる伸びる急峻な部分(ほぼ垂直)で明確に終了する直線部分であると理解されるである。
【0022】
平衡温度は予備試験のあいだに決定される。
【0023】
実例として、それは以下の方法により設定される:
−製品の組成によって、その凝固点を計算することができ、
−続いて、予備試験で得られた質感に応じて、質感が柔らかすぎる場合には、温度を下げ、質感が硬すぎる場合には温度を上げ、
−たとえば、所定の製品について、その凝固点または冷却する場合に望ましい温度が−4℃であることがわかっており、したがって我々は予備試験においてこの値をエンコードしてシステムに−4℃を得るように調節させる。0℃未満で各0.5℃のレベルで質感をチェックし、所望の結果に最も適したガスの平衡温度をエンコードする。
【0024】
−採用した構成はさらに平衡点への復帰を可能にする:製品温度が設定値からより逸脱するほど、誘導反応がより強くなる。
【0025】
したがって本発明の主題は、モーターによって駆動される少なくとも1つの押し出しスクリューと前記少なくとも1つの押し出しスクリューの出口のノズルとを含む押し出し成形機を用いて低温押し出しにより少なくとも1種の食品を成形する方法であって、前記押し出し成形機は前記押し出しスクリューを包囲するダブルジャケットを備え、その中で冷却剤が循環し、前記ダブルジャケットは1つまたはより多くの独立モジュールからなり、各々のモジュールはその冷却剤取入口およびそのガス抜取口を備え、以下の手段:
−前記スクリューの出口で製品の温度を取得でき、前記1つまたは複数のモジュールの出口でガス温度を取得し管理でき、および前記1つまたはより多くのモジュールへの前記冷却剤の1つまたは複数の注入の変更を制御できるデータ取得および処理システムが利用でき;
−曲線が前記システムにおいてあらかじめ決定およびプログラミングされ、押し出しされる前記製品について前記曲線が決定され、X軸上に、前記出口での前記製品の実際の温度と前記出口で前記製品に望まれる温度設定値との間の差Δ、および、Y軸上に、前記1つまたは複数のモジュールの出口で前記ガスの温度に適用される設定値を示し、前記曲線は3つの直線領域:2つのほぼフラットな領域によって囲まれた、0に近い差Δのあたりの急峻な領域に体系づけられ;
−前記システムは前記スクリュー出口での前記製品の実際の温度と前記スクリュー出口で前記製品に望まれる温度設定値との間の前記差Δを算出し;
−および、前記差Δの符号およびその絶対値によって、前記システムは前記曲線上で、前記1つまたは複数の冷却モジュールの1つまたは複数の温度調節ループに導入すべき前記1つまたは複数の温度設定値を決定する
の使用によって特徴づけられる。
【0026】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、より繊細な調節のため、しかし製品の変化にも非常に容易に適合するために、2つの乗算係数を先の製品の曲線に適用して、処理される前記新しい製品に適用する:第1の乗算係数「a」は前記差Δに適用され、第2の乗算係数「b」は前記ガスの温度の調節のための導入設定値に適用される。
【0027】
これらの係数は典型的に予備試験のあいだの試行錯誤により、たとえば時間で工程の5%におけるそれらの値によって決定される。これらは、温度を下げながら、理想的な成形または温度に最も忠実に従うように調節される。
【0028】
本発明の意味の範囲内で「低温押し出し」という語は、低温、好ましくは食品の凝固点、より好ましくは食品の凝固開始点直下、さらにより好ましくは食品の凝固点下0.1℃と1℃、またはさらに2℃のあいだで行われる押し出し法を意味すると理解すべきである。本発明による低温押し出し法を利用するために用いられる温度は押し出される製品の組成に依存することは明らかである。実際に、当業者には食品の凝固開始温度はその組成によって、特にその水および脂質の組成によって変化することがよく知られている。食品がより水に富んでいるほど、これを成形するのに必要な温度は水の凝固点、すなわち0℃に向かってより収束するであろう。さらに、製品がたとえばバターに富んでいれば、その融点は30℃付近であり、水および他の成分のパーセンテージにより変化するが、0℃と30℃のあいだの温度がその成形に十分であろう。
【0029】
本発明の意味の範囲内で「成形」という語は食品に所定の形状を与える行為を意味すると理解すべきである。本発明による低温押し出し法は、押し出した食品をその凝固開始点よりわずかに低い温度に至らせることにより、成形のために十分な柔軟性があり、押し出し機の出口において成形が保たれるのに十分に硬い質感を製品に与えることを可能にする。この成形は、所定の形状を有しおよび押し出しスクリューの出口に直接に位置する押し出しノズルを用いて行われる。最も一般に用いられるノズル形状は星形、正方形、円、三角形、数字、文字およびそれらしく見せる記号を含む他のものであるが、当業者は最終顧客の要求を満足させるあらゆる他の形状を考えることができるであろう。
【0030】
本発明の意味の範囲内で「ダブルジャケット」という表現は、押し出しスクリューを包囲しその一面が食品と直接に接触する第1の内部ジャケットと、第1のジャケットと同心の第2の、外部ジャケットとの組み合わせを意味すると理解すべきであり、第1と第2ジャケットの間に空間が設けられるようになっている。したがって、2つのジャケットの間に設けられる空間は冷却剤の循環を可能にする。このことは冷却剤が食品と直接に接触しないが、内部ジャケットを介して間接的に接触することを意味する。一般的に、ダブルジャケットはそれを経て冷却剤が導入される注入オリフィスと、それを経て冷却剤が排出される出口オリフィスとを含んでいる。有利には、ダブルジャケットへの再注入によるか、または押し出し機の供給ホッパー内の食品への直接の注入のいずれかにより、冷却剤をリサイクルする。
【0031】
また、本発明の意味の範囲内のダブルジャケットはパイプタイプのダクトにより連結された複数の独立モジュールからなっていてもよく、冷却剤が1つのモジュールから他に通過することを可能にする。この特定の実施形態において、1つまたは複数の押し出しスクリューはダブルジャケットのモジュールの結合により形成されるシリンダー内に配置される。このような実施形態は、食品または押し出される食品の量に従って、押し出し機のサイズを素早く適合させることができるという利点を示す。
【0032】
有利には、食品と接触する前記内部ダブルジャケットの表面は、約−90℃以下の温度に維持される。実際は、出願人は、その研究中に、食品と接触するジャケットの表面を約−90℃未満の温度に維持することが「ゼロ付着」現象を得ることを可能にすることを明らかにすることができた。言い換えれば、−90℃未満の温度で、食品はジャケットの表面にもはや付着しない。このタイプの現象は、到達温度は十分に低くない、機械的な冷却を含む従来技術の器具では観察することができない。したがって、これらの器具は食品のダブルジャケットの表面への付着の問題に対処しなければならない。したがって、食品と接触する内部ダブルジャケットの表面を約−90℃以下の温度に維持することは従来技術と比較して真の利点を構成する。
【0033】
好ましくは、前記冷却剤は食品と接触するダブルジャケットの表面を−90℃以下の温度に容易に維持することができる液体窒素である。
【0034】
好ましくは、押し出し機は2つの押し出しスクリューを含んでいる。有利には、押し出し機は2つの逆回転押し出しスクリューを含んでいる。
【0035】
有利には、1つまたは複数の押し出しスクリューは特別の幾何的配置、交互の、食品を押し出し機の出口に向かって進むことを可能にする「アルキメデス」タイプの部分と、押し出し機内部で製品の良好な均質化を得るように食品を混合することを可能にする「混合機」タイプの部分とを有する。同様に、食品の混合は製品内の冷たさのより良い分布を可能にする。一般に、押し出し機はアルキメデスタイプの少なくとも1つの部分と混合機タイプの少なくとも1つの部分とを含む2つの逆回転押し出しスクリューを含む。本発明を実施するのに特に適したスクリューは第1の混合機部分の次にアルキメデス部分を、または第1のアルキメデス部分に続いて混合機部分を含んでいてもよい。本発明に適した他のスクリューはいくつかの交互のアルキメデス/混合機部分を含んでいてもよく、当業者が押し出される食品に最も適したスクリューを選ぶ。有利には、混合機スクリュー部分はアルキメデスタイプの部分に対して逆のスクリューピッチを有する。混合機部分の非限定的で簡単な説明図を図2に示す:好ましくは各スクリューの端部に付けられ逆ピッチを伴う混合機部分(1)は、これを通して食品が通過するであろうノッチ(2)を含む。有利には一定のピッチの、この混合機部分(1)の各ねじ山(3)は、らせん状に分布したノッチ(2)を有するので、前記ノッチ(2)はそれらの間に少なくとも1つのらせん(4)を形成し、そのピッチは混合機部分(1)のねじ山(3)のものに対して逆である。上述した混合機部分は通常、あらゆる既知の手段で押し出しスクリューの端部に付けられ固定されるが、場合によりスクリュー自体の一部を形成していてもよい。
【0036】
同様に、用いられるスクリューは任意に圧縮領域、言い換えれば、たとえばスクリューピッチの段階的な減少の領域またはスクリューシャフト径の増加の領域(たとえば、一定のスクリューピッチで増加するスクリューシャフト径)を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、前記方法はノズルの出口に直接配置された切断手段を用いて押し出し物を切断する工程も含む。この切断手段を用いて、オペレータは切断の速度および/または押し出し速度を変えることにより、食品の調整されたポーションの食品を調製することができる。切断速度を増大させると、ポーションはより小さくなるであろうし、切断速度を減少させると、ポーションは大きくなるであろう。本発明の意味の範囲内の切断手段は特にカッティングワイヤー、ブレード、クリーバー、はさみ、ブレードテーパーまたは成形された食品のきれいで迅速な切断を引き起こすことができるあらゆる他の手段でよい。好ましい切断手段は回転ナイフでありそのブレードは押し出し機の出口ノズルを横切ってかすめる。
【0038】
あるいは、上記した方法には「共押し出し」による2種の食品の同時成形にあってもよい。共押し出しは、コーティング食品、またはいくつかの食品の組み合わせ、たとえば審美的に魅力的な個々のポーションを得るような異なる層から得られる食品の製造において特に興味深い。
【0039】
特に有利には、本発明は押し出しに関連する設定パラメータの記録も与える。実際に、各食品は特定の押し出し機設定(「レシピ」)を必要とし、これらのデータが記録されて、オペレータはコンピュータにどの製品を自分は押し出したいかを指示すべきであるのみで、押し出し機がそれに応じて自動的に設定されるようにすることができる。2つのタイプのパラメータを特に記録することができる:
−押し出される食品に特有のパラメータ、すなわち、たとえば製品の凝固開始温度、温度の関数としてのそのエンタルピー変化であって、これらは特に製品の水含有量、脂肪物質の含有量などに依存する、および
−押し出し機に特有のパラメータ、すなわち、特にスクリューの数とタイプ、ダブルジャケットモジュールの数とタイプ、スクリューの回転の速度など。
【0040】
これらのデータを事前に記録したオペレータは、次にこの製品の特性に従って機械を設定すべきであるのみであろう。
【0041】
本発明は、たとえば野菜ピューレ、野菜タンバル、野菜ラウンドおよびケーキ、刻みホウレン草、スープ、ヴルーテ、ブロス、ストック、ソース、加工食品、魚類調製品、特にフィッシュスティック、クレープの調製品、細切れ肉、ソーセージ、ナゲット、冷凍ハーブ、ポーションチーズ、セイボリービスケット、シリアル、果物、コンポート、砂糖入りソースとトッピング、シャーベット、アイスクリームおよび冷菓から選択される食品を対象とする。
【0042】
図3は本発明による特定の装置を断面で見た図である。装置(7)は押し出しスクリュー(8)、供給ホッパー(9)および出口ノズル(10)からなる。押し出しスクリュー(8)はモーター(11)によって駆動される。装置(7)は押し出しスクリュー(8)をおおうダブルジャケット(12)も含む。このダブルジャケットは冷却剤のための注入オリフィス(13)を含み、前記冷却剤はダブルジャケットにずっと沿って押し出しスクリューの周りをダクト(15)に連結している出口オリフィス(14)のところまで循環し、望ましい場合には、冷却剤が供給ホッパー(9)において食品上に再注入されることを可能にし、したがって冷却剤がリサイクルされることを可能にする。
【0043】
さらに装置は、本発明に従って、スクリュー出口で製品の温度Tpを取得することができ、1つまたは複数のモジュールの出口でのガス温度Tgを取得し管理することができ、および出口での製品の実際の温度と出口で製品に望まれる温度設定値との間の差Δならびに関係する製品について規定された曲線に従って1つまたはより多くの前記モジュールへの冷却剤の1つまたは複数の注入の変更を指令することができるデータ取得および処理システム16を備えている。
【0044】
本発明は、おのおのの場合に係数「a」と「b」により、図1の典型的な曲線を適合させることによって、ヤギのミルククリーム、チーズカード、またはさらにホウレン草のクリーム煮の成形にうまく適用され、したがって製造現場が以前の製造方法によって得ることができなかった形状を得ることが可能になった。
【0045】
したがって図1の曲線はいわゆるソフトなまたはスプレッダブルなバターを製造するのにうまく用いられている。
【0046】
周知のように、ソフトバターを製造するいくつかの方法があり以下を含む:
・乾式分別法。
・低温トンネル結晶化。
・低温押し出し結晶化。
【0047】
心覚えに、乾燥分別は熱によって脂肪物質を溶融させ、その後、撹拌しながらこれをゆっくりと冷却することによって、溶融した塊の一部の結晶化を引き起こすことからなる。この部分は最も高い融点を有するバターの成分を含み、したがって前記部分は固体になった後にろ過によって取り出される。得られた2つの「分画」は、言葉の誤用で、液体分画について「オレイン」、および固体分画について「ステアリン」と呼ばれ、同様に分画などされるであろう。その後、様々な特性を有する全範囲の分画を製造することができ、その後これらを思慮深く混合して所定のおよび所望の特性を有する製品を得ることができる。
【0048】
理論上は非常に魅力的であるが、しかしながらこれらの作業は、実際に行うには単純でないし、完全に知られてもおらず、得られる分画の組成と実際のレオロジー特性に関して習得されてもいない。
【0049】
低温トンネル結晶化に関しては、冷却速度が速いほど、固体脂肪物質がより形成されるであろう。そのとき多数の結晶点を生じて多数の細かい均一な結晶をもたらす。
【0050】
そのとき残った液体脂肪物質は低融点を有する短鎖で不飽和の脂肪酸に富む。この技術によって、冬用バターの製造において追求されている、より柔らかなバターを得ることができる。
【0051】
冷却速度が遅い場合には、夏用バターの製造において追及されている、より硬いバターを与えるであろう粗い結晶が生じる。
【0052】
低温押し出しに関しては、これは温度キネティクス(バターの温度の急速な低下と再びの急速な上昇)を制御することを可能にする。液体窒素の使用はフリゴリーの急速な移動を可能にし、トンネルを用いる技術におけるトンネル壁へのバターの付着の現象を防ぐ。本発明による調節システムは押し出し作業を最もよく管理することを可能にするが、現行の低温法、特に低温トンネル結晶化と比較して、製造される製品の1キロあたりの液体窒素の消費量の著しい低下も示し、試験したバッチと条件に依存して消費量は5から10の範囲にわたる因数で割られ、したがって全ての場合においてもかなり有利な範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターによって駆動される少なくとも1つの押し出しスクリューと前記少なくとも1つの押し出しスクリューの出口のノズルとを含む押し出し成形機を用いて低温押し出しにより少なくとも1種の食品を成形する方法であって、前記押し出し成形機は前記押し出しスクリューを包囲するダブルジャケットを備え、その中で冷却剤が循環し、前記ダブルジャケットは1つまたはより多くの独立モジュールからなり、各々のモジュールはその冷却剤取入口およびそのガス抜取口を備え、以下の手段:
−前記スクリューの出口で製品の温度を取得でき、前記1つまたは複数のモジュールの出口でガス温度を取得し管理でき、および前記1つまたはより多くのモジュールへの前記冷却剤の1つまたは複数の注入の変更を制御できるデータ取得および処理システムが利用でき;
−曲線が前記システムにおいて決定およびプログラミングされ、低温押し出しされる前記製品について前記曲線が決定され、X軸上に、前記出口での前記製品の実際の温度と前記出口で前記製品に望まれる温度設定値との間の差Δ、および、Y軸上に、前記1つまたは複数のモジュールの出口で前記ガスの温度に適用される設定値を示し、前記曲線は3つの直線領域:2つのほぼフラットな領域によって囲まれた、0に近い差Δのあたりの急峻な領域に体系づけられ;
−前記システムは前記スクリュー出口での前記製品の実際の温度と前記スクリュー出口で前記製品に望まれる温度設定値との間の前記差Δを算出し;
−および、前記差Δの符号およびその絶対値によって、前記システムは前記曲線上で、前記1つまたは複数の冷却モジュールの1つまたは複数の温度調節ループに導入すべき前記1つまたは複数の温度設定値を決定する
の使用によって特徴づけられる方法。
【請求項2】
前記冷却剤が液体窒素である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記食品と接触する前記ダブルジャケットの表面を約−90℃以下の温度に維持する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記システムは制御ロジックを適用し、それよって、前記差Δがよりマイナスであるほど、前記システムは0℃に近い前記ガスの温度設定値をより必要とし、前記差Δが0に向かうほど、前記システムは前に決定した平衡温度に近い前記ガスの温度設定値をより必要とし、および前記差Δがプラスであるほど、前記システムは−196℃に近い前記ガスの温度設定値をより必要とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記食品は前記押し出し機の出口でのその凝固開始点より約0.1℃から約1℃低い温度にある請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
所定の製品から新しい異なる製品の処理に切り替えるために、2つの乗算係数を先の製品の曲線に適用して、処理される前記新しい製品に適用する新たな曲線を得る:第1の乗算係数aは前記差Δに適用され、第2の乗算係数bは前記ガスの温度の調節のための導入設定値に適用される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記押し出し機は2つの押し出しスクリュー、好ましくは2つの逆回転押し出しスクリュー、さらにより好ましくはアルキメデスタイプの少なくとも1つの部分と混合機タイプの少なくとも1つの部分とを含む2つの逆回転押し出しスクリューを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
それは、前記ノズルの出口に直接配置された切断手段を用いて押し出し物を切断する工程も含み、前記切断手段は成形食品を調整されたポーションに切断するために用いられ、好ましくはカッティングワイヤー、ブレード、クリーバー、はさみ、ブレードテーパーまたは回転ナイフから選択されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
それは、共押し出しによる2種の食品の同時成形にあることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
それは、監視手段において1つまたはより多くの所定の製品の押し出しに関する設定パラメータを記録する工程も含み、そのためオペレータは前記監視手段に、彼が望む製品を、それに応じて自動的に設定される押し出し機が押し出すように、指示しさえばよいことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
低温押し出しされる前記製品が野菜ピューレ、野菜タンバル、野菜ラウンドおよびケーキ、刻みホウレン草、スープ、ヴルーテ、ブロス、ストック、ソース、加工食品、魚類調製品、特にフィッシュスティック、クレープの調製品、細切れ肉、ソーセージ、ナゲット、冷凍ハーブ、ポーションチーズ、セイボリービスケット、シリアル、果物、コンポート、砂糖入りソースとトッピング、シャーベット、アイスクリームおよび冷菓から選択されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−525801(P2011−525801A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515547(P2011−515547)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051167
【国際公開番号】WO2010/007280
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】