説明

事前情報提供システム

【課題】駅改札の通過時間又は自動車道路の料金ゲート通過時間を記録し、平均の通過時間を算出して、平均通過時間よりも所定時間前に電車遅延情報又は道路混雑情報を利用者の携帯通信端末装置に通知する事前情報提供システムを提供すること。
【解決手段】事前情報提供システム100では、ゲート装置20を通過する車輌30のゲート通過時刻情報を一定期間(例えば、一週間)蓄積し、そのゲート通過時刻の平均通過時刻を算出し、その平均通過時刻の所定時間(例えば、30分)前に道路混雑情報を交通量監視装置60から取得して、車輌30の利用者が携帯する携帯通信端末装置50のアドレス情報に通知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末装置の利用者に対して道路情報や列車運行情報を事前に提供する事前情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社等の特定の組織に属していてオフィスに出勤する利用者は、通常は毎日ほぼ決まった時間帯に同じ経路を使ってオフィスに通勤している。例えば、電車で通勤している利用者が、事前に通勤電車の運行情報を知ろうとすれば、その都度、携帯電話又はパソコンから運行情報配信サイトへアクセスして情報を取得するか、予め運行情報配信業者と契約して特定路線の運行情報を毎朝定刻に自動配信してもらうことが考えられる。また、自動車で通勤している利用者が、事前に道路渋滞情報を知ろうとすれば、携帯電話又はパソコンから道路渋滞情報サイトにアクセスして情報取得するか、又は車載ナビゲーション装置で通勤経路の渋滞情報を取得することが考えられる。
【0003】
一方、利用者の行き先に関する情報を、利用者に煩雑な操作を強いることなく、的確に提供する情報提供方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の情報提供方法は、車の位置情報をGPSによって検出し、この位置情報を基にして得られた車の移動情報履歴を蓄積し、エンジン起動などのイベントを検知したとき、現在までの移動経路と、蓄積された移動情報履歴とを参照して、車の行き先を予測し、予測した行き先に関する交通情報を利用者に提供するものである。
【特許文献1】特開2006−215041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1記載の情報提供方法は、車輌の位置情報を常に検出して蓄積し、この位置情報を基にして得られた車輌の移動情報履歴から車輌の行き先を予測するものであるので、一台の車輌について扱うべき情報量(車の位置情報)が膨大でありサーバ側の負荷が大きいといった問題がある。
【0005】
また、朝の通勤時間帯のように特定の時間帯の行動予測だけできれば十分な場合にも、常に利用者の携帯電話又は車載ナビゲーション装置からセンターへ位置情報を上げなければならず、本来の目的からすれば不要な個人情報(位置情報)まで収集することになる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、携帯電話又は車載ナビゲーション装置からセンターへ位置情報を無線送信することなく、通常の駅改札通過又は自動車専用道路のゲート通過の所定時間前に、必要な電車遅延情報又は道路混雑情報を利用者の携帯通信端末装置に通知することのできる事前情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の事前情報提供システムは、自動車専用道路のゲートに設置されたゲート装置において、車輌に搭載された車載器との間で無線通信して車輌識別情報を取得すると共にゲート通過時刻情報を記録し、前記ゲート装置から前記車輌識別情報及びゲート通過時刻情報を通信網経由で交通情報配信サーバへ送信し、前記交通情報配信サーバにおいて、各車輌について一定期間蓄積したゲート通過時刻情報から当該車輌が所定時間帯に通過する自動車専用道路入口となる入口ゲート装置を推定し、推定された入口ゲート装置の通過時刻の平均値である平均ゲート通過時刻を算出し、算出した平均ゲート通過時刻の所定時間前に、当該入口ゲート装置に関連付けられた自動車専用道路の交通情報を取得して当該車輌の利用者が指定した携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、各車輌について一定期間蓄積したゲート通過時刻情報から当該車輌が所定時間帯に通過する入口ゲート装置を推定し、推定された入口ゲート装置の平均ゲート通過時刻の所定時間前に関係する交通情報を取得して当該車輌の利用者の携帯通信端末装置へ配信することができる。これにより、携帯電話又は車載ナビゲーション装置からセンターへ位置情報を無線送信することなく、自動車専用道路のゲート通過の所定時間前に、いつも通る自動車専用道路の道路混雑情報を利用者の携帯通信端末装置に通知することができる。
【0009】
また本発明は、上記事前情報提供システムにおいて、前記交通情報配信サーバは、入口ゲート及び出口ゲートに設置された各ゲート装置から車輌識別情報及びゲート通過時刻情報をデータ収集し、各車輌について一定期間蓄積したゲート通過時刻情報から当該車輌が所定時間帯に通過する道路区間を推定し、推定した道路区間の交通情報を平均ゲート通過時刻の所定時間前に取得して前記携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする。
【0010】
この構成により、各車輌について一定期間蓄積したゲート通過時刻情報から当該車輌が所定時間帯に通過する道路区間を推定することができ、利用者にはより正確な交通情報を配信することができる。
【0011】
本発明の事前情報提供システムは、駅改札に設置された自動改札機において、非接触カード機能付き携帯通信端末装置との間で無線通信して利用者識別情報を取得すると共に改札通過時刻情報を記録し、前記自動改札機から前記利用者識別情報及び改札通過時刻情報を通信網経由で運行情報配信サーバへ送信し、前記運行情報配信サーバにおいて、各利用者について一定期間蓄積した改札通過時刻情報から当該利用者が所定時間帯に乗車する駅を推定し、推定された乗車駅の駅改札通過時刻の平均値である平均改札通過時刻を算出し、算出した平均改札通過時刻の所定時間前に、当該乗車駅に関連付けられた路線の運行情報を取得して当該利用者が指定した携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする
【0012】
この構成により、一定期間蓄積した改札通過時刻情報から利用者が所定時間帯に乗車する駅を推定し、推定された乗車駅の平均改札通過時刻を算出し、平均改札通過時刻の所定時間前に運行情報を取得して当該利用者の携帯通信端末装置へ配信することができる。これにより、携帯電話から位置情報を無線送信することなく、乗車駅の自動改札機通過の所定時間前に、いつも乗る列車の運行情報を利用者の携帯通信端末装置に通知することができる。
【0013】
また本発明は、上記事前情報提供システムにおいて、前記運行情報配信サーバは、乗車駅及び降車駅に設置された各自動改札機から利用者識別情報及び改札通過時刻情報をデータ収集し、各利用者について一定期間蓄積した改札通過時刻情報から当該利用者が所定時間帯に乗車する使用路線を推定し、推定した使用路線の運行情報を平均改札通過時刻の所定時間前に取得して前記携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする。
【0014】
この構成により、各利用者について一定期間蓄積した改札通過時刻情報から当該利用者が所定時間帯に乗車する使用路線を推定でき、利用者にとって有益な運行情報だけを配信することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯電話又は車載ナビゲーション装置からセンターへ位置情報を無線送信することなく、自宅最寄り駅の改札通過又は自宅近くの高速道路のゲート通過の所定時間前に、必要な電車遅延情報又は道路混雑情報を利用者の携帯通信端末装置に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る事前情報提供システムの全体構成を示す図である。図1において、事前情報提供システム100は、自動車専用道路の一つである高速道路の入口ゲート及び出口ゲートに設置されたETC対応のゲート装置20、車輌30に搭載されたETC車載器40及び利用者が交通情報を受信する携帯通信端末装置50、高速道路の交通量を監視している交通量監視装置60、利用者の行動パターンを予測して適切な交通情報を携帯通信端末装置50へ送信する交通情報配信サーバ70から構成される。事前情報提供システム100を構成するゲート装置20、交通量監視装置60及び交通情報配信サーバ70は、専用線等で構築された通信網を経由して相互に通信可能であり、携帯通信端末装置50と交通情報配信サーバ70は携帯通信網を経由して通信可能に構成されている。図1では携帯通信網及び専用線を通信網Nとして記載している。
【0017】
図2にゲート装置20の機能ブロック図を示す。ゲート装置20は、CPUで構成される制御部21、ゲート通過する車輌のETC車載器40と無線通信する無線通信部22、利用料金計算のための処理を実行するETC処理部23、無線通信部22で受信した車輌識別情報及びゲート通過時刻情報を交通情報配信サーバ70へ送信するデータ通信部24から構成されている。ゲート装置20を構成する各部はバス25を介して接続されている。
【0018】
制御部21は、車輌のETC車載器40との通信により利用料金計算に必要な情報を送受信すると共に通過車輌の車輌識別情報を取得して交通情報配信サーバ70へデータ送信するように各部を動作制御する。無線通信部22は、ゲート装置20を車輌30が通過する際に、ETC車載器40との間で料金精算のための無線通信を行い、ETC車載器40から受信する受信信号から車輌識別情報を取得すると共にゲート通過時刻情報をETC処理部23に対して出力する。ETC処理部23は、無線通信部22から入力される車輌識別情報毎に料金精算に必要な処理を行う。データ通信部24は、ゲート通過した車輌の車輌識別情報とゲート通過時刻情報とを制御部21の指示の下で通信網Nを経由して交通情報配信サーバ70へ送信する。
【0019】
図3はETC車載器40の機能ブロック図である。ETC車載器40は、ETC車載器40内の各部を制御する制御部41、ゲート装置20を通過する際にゲート装置20との間で料金精算のための無線通信を行う無線通信部42、及び車輌側の料金清算に係わる処理を実行するETC処理部43から構成されている。ETC車載器40を構成する各部はバス44を介して接続されている。無線通信部42は、ゲート装置20との無線通信で車輌識別情報をゲート装置20に対して送信する。
【0020】
図4は携帯通信端末装置50の機能ブロック図である。携帯通信端末装置50は、制御部51、入力部52、表示部53、携帯通信部54、道路混雑情報受信部55、及び記憶部56から構成され、各部はバス57を介して接続されている。なお、道路混雑情報受信部55はソフトウエアで構成することができる。
【0021】
制御部51は、携帯通信端末装置50内の各部を制御して携帯通信端末装置50としての機能を実現するとともに、道路混雑情報受信部55が交通情報配信サーバ70から受信する道路混雑情報を情報提示する動作を制御する。
【0022】
入力部52は、テンキーや各種ファンクションキー等から構成され、携帯電話機能等に関するキー入力を受け付けて、そのキー入力信号を制御部51に対して出力する。表示部53は、液晶表示パネル等から構成され、制御部51から入力される表示制御信号により携帯電話機能に関する表示や道路混雑情報に関する表示等を行う。
【0023】
携帯通信部54は、携帯電話網の基地局又は無線LANのアクセスポイントと無線通信する部分である。携帯通信網を介して交通情報配信サーバ70や他の携帯通信端末装置(図示せず)との間で通話やデータ通信のための無線通信を行う。
【0024】
道路混雑情報受信部55は、例えば携帯電話にインストールされた電子メール受信機能に相当する部分であり、交通情報配信サーバ70から送信された道路混雑情報(メール)を受信して表示部53に表示する。記憶部56は、各種のアプリケーションソフト及びアドレス帳等を記憶する部分である。
【0025】
交通量監視装置60は、道路上に所定間隔で設置された複数の車輌検出器(図示せず)により道路上の所定区間の車輌の流れを監視して、渋滞等を検出して道路毎の混雑情報を専用線等の通信網Nを介して交通情報配信サーバ70に提供する。
【0026】
図5は交通情報配信サーバ70の機能ブロック図である。
交通情報配信サーバ70は、制御部71、携帯通信部72、平均通過時刻算出部73、道路混雑情報取得部74、データ通信部75及び記憶部76から構成され、各部はバス77を介して接続されている。なお、平均通過時刻算出部73、道路混雑情報取得部74はソフトウエアで実現することができるが、制御部71と同様にバス77に接続される機能ブロックとして説明する。
【0027】
制御部71は、交通情報配信サーバ70内の各部を制御して交通情報配信サーバ70としての機能を実現し、利用者が携帯する携帯通信端末装置50に対して高速道路入口のゲート装置20を通過する所定時間前に道路混雑情報を通知するサービスを提供する。
【0028】
携帯通信部72は、携帯通信網を経由して携帯通信端末装置50等との間で通信を行う部分である。データ通信部75は、ゲート装置20及び交通量監視装置60との間でデータ通信を行う。データ通信部75は、ゲート装置20からはゲート通過した車輌の車輌識別情報及びゲート通過時刻情報を取得し、交通量監視装置60からは道路混雑情報を取得する。さらに、携帯通信端末装置50に対して電子メールにて道路混雑情報を送信する。
【0029】
平均通過時刻算出部73は、車輌識別情報及びゲート通過時刻情報から各車輌について所定時間帯(例えば、通勤時間帯)に最も頻繁に利用したゲートを特定して行動パターンを推定する。各車輌について入口ゲート/出口ゲート毎にゲート通過時刻情報を一定期間分(例えば、一週間分)蓄積し、その期間に最も頻繁に利用した高速道路入口ゲート及び出口ゲートを特定し、その入口ゲート及び出口ゲートのゲート通過時刻の平均通過時刻をそれぞれ算出する。そして、最も頻繁に利用した高速道路入口ゲート及び出口ゲートを道路区間情報として記憶部76に登録すると共に、その算出された各車輌の入口ゲート及び出口ゲートでの平均通過時刻情報を記憶部76に記憶する。このように高速道路のゲート装置20から得られる車輌識別情報及びゲート通過時刻情報とから利用者の行動パターンを推定する。
【0030】
なお、入口ゲートと出口ゲートの情報から道路区間を特定せずに、入口ゲートの情報から高速道路線名及び上り線/下り線が判るので、高速道路線名及び上り線/下り線だけを抽出するようにしても良い。このような情報だけでも、利用者が普段使用する高速道路入口付近の上り線/下り線の交通情報を得ることができ、渋滞回避には有効な情報となる。また、高速道路出口のゲート装置20を本システムと連携させる必要がなくなるため、システムの簡素化も可能となる。
【0031】
道路混雑情報取得部74は、記憶部76に記憶された車輌毎に推定された道路区間の入口ゲートの平均通過時刻情報及び道路区間情報に基づいて、その平均通過時刻の所定時間前(例えば、30分前)に交通量監視装置60から当該道路区間の道路混雑情報を取得する。又は、当該高速道路入口ゲートの上り車線又は下り車線の道路混雑情報を取得する。
【0032】
データ通信部75は、道路混雑情報取得部74から入力される道路混雑情報を、記憶部76に記憶された車輌に対応した携帯通信端末装置50のアドレスに対して送信する処理を実行する。
【0033】
記憶部76は、契約者(利用者)の車輌識別情報に対応させて、道路混雑情報通知先となるアドレスと、送信時間計算の基準時となる平均通過時刻と、利用者が使用すると推定される道路区間(又は入口ゲート及び上り線/下り線)が記憶される。図6は記憶部76に登録されたゲート通過時刻管理テーブル76aの概念図である。ゲート通過時刻管理テーブル76aには、車輌識別情報(車輌No)と、道路混雑情報の配信先となる携帯通信端末装置50のアドレス情報と、平均通過時刻と、道路区間とを対応付けて記憶している。
【0034】
次に、本実施の形態1の事前情報提供システム100において実行される道路混雑情報提供処理について、図7に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0035】
利用者は、毎朝ほぼ同じ時間帯に車輌30に乗って同じ経路を通りオフィスに向かう。オフィスに向かう経路にある最寄りの高速道路入口ゲートから高速道路に入り、オフィスに最寄りの出口ゲートから高速道路を降りる。
【0036】
まず、車輌30が自宅に最寄りの高速道路入口ゲートを通過する際に、ゲート装置20とETC車載器40との間で、無線通信により車輌識別情報の送受信及び料金精算等に関わる情報の送受信が行われる(ステップS101)。
【0037】
ゲート装置20は、車輌が通過する際に車輌識別情報を取得し、その車輌識別情報とゲート通過時刻情報(サーバにおいてゲート装置を特定可能な入口ゲート番号/出口ゲート番号を含む)とを専用線等の通信網Nを介して交通情報配信サーバ70に送信する(ステップS102)。このような車輌識別情報及びゲート通過時刻情報の送信処理は、車輌30がゲート装置20を通過する毎に実行しても良いし、所定時間間隔でその間に蓄積された情報をまとめて送信しても良い。
【0038】
交通情報配信サーバ70は、ゲート装置20から車輌識別情報とゲート通過時刻情報とを受信すると、平均通過時刻算出部73に蓄積する(ステップS103)。そして、平均通過時刻算出部73は、各車輌について入口ゲート/出口ゲート毎にゲート通過時刻情報を一定期間分(例えば、一週間分)蓄積し、そのゲート通過時刻の平均通過時刻を算出し、各車輌について入口ゲート/出口ゲート毎の平均通過時刻情報を記憶部76のゲート通過時刻管理テーブル76aに記憶する(ステップS104)。
【0039】
平均通過時刻算出部73では、ゲート通過時刻の平均通過時刻を算出するに当たり、上記した通りに道路区間(上り車線/下り車線)を推定し、推定された道路区間の始端と終端となる各ゲート装置20を特定する。対象とするゲート装置20の特定では、過去の1週間で通勤時間帯において最も多く通過したゲートを対象ゲートに決定する。
【0040】
一方、道路混雑情報取得部74は、ゲート通過時刻管理テーブル76aに記憶された各車輌について入口ゲートの平均通過時刻情報に基づいて、その平均通過時刻の所定時間前(例えば、30分前)に該当道路区間の道路混雑情報要求をデータ通信部75から交通量監視装置60に送信する(ステップS105)。
【0041】
交通量監視装置60は、道路混雑情報要求に応じて該当道路区間の道路混雑情報を交通情報配信サーバ70に返信する(ステップS106)。道路混雑情報取得部74は、交通量監視装置60から該当道路区間の道路混雑情報を取得してデータ通信部75に出力する。
【0042】
次に、データ通信部75は、ゲート通過時刻管理テーブル76aから当該車輌に対応した携帯通信端末装置50のアドレス情報を取得し、道路混雑情報取得部74から入力される道路混雑情報を携帯通信端末装置50に対して送信する(ステップS107)。
【0043】
携帯通信端末装置50に交通情報の配信を受けた利用者は、受信メールを表示させることにより、通勤途上で通過する予定の道路区間の交通情報を知ることができる。すなわち、利用者は、いつもの高速道路入口を通過する所定時間前に事前に通勤経路の混雑情報を知ることができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態1の事前情報提供システム100では、ゲート装置20を通過する車輌30のゲート通過時刻情報を一定期間(例えば、一週間)蓄積し、そのゲート通過時刻の平均通過時刻を算出し、その平均通過時刻の所定時間(例えば、30分)前に道路混雑情報を交通量監視装置60から取得して、車輌30の利用者が携帯する携帯通信端末装置50のアドレス情報に通知するようにした。
【0045】
したがって、毎日、同じ道路のゲート装置20を通過する利用者は、ゲート装置を通過する所定時間前に道路混雑情報の提供を受けて、運転経路の変更等、その後の行動を修正することが可能になる。また、本実施の形態では、ゲート装置20を通過した際に車輌識別情報とゲート通過時刻情報とを交通情報配信サーバ70へ送信するだけであるので、利用者の行動パターンを推定するために各車輌から収集する情報は極めて小容量となり、システム側の負荷を大幅に軽減することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態1では、道路混雑情報を交通量監視装置60から取得する場合を示したが、この方法に限るものではない。例えば、車輌30は、GPSシステムから現在位置情報を定期的に受信して通信網Nを介して交通量監視装置60に送信する車載GPS機器を具備するようにして、交通量監視装置60は、道路上を走行中の車輌に搭載された車載GPS機器から通信網を介して受信する現在位置情報を一定期間収集して車輌の移動量を算出し、該車輌の移動量に基づいて道路混雑情報を生成するようにしてもよい。この場合、各車載のGPS機器を利用して車輌の流れを監視して、混雑情報を生成することができる。
【0047】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、駅の改札に設置された自動改札機を通過する利用者の改札通過時刻を一定期間蓄積し、その改札通過時刻の平均改札通過時刻を算出し、その平均通過時刻の所定時間前に列車運行情報を列車運行管理装置から取得して、利用者の所持する携帯通信端末装置に通知する事前情報提供サービスを実現する。
【0048】
図8は、本実施の形態2に係る事前情報提供システムの全体構成を示す図である。事前情報提供システム200は、各駅の改札に設置される自動改札機300と、非接触カード機能付き携帯通信端末装置400と、列車の運行状況を管理している列車運行監視装置500と、利用者の行動履歴から適時に携帯通信端末装置400へ列車の運行情報を配信する運行情報配信サーバ600とから構成される。自動改札機300、列車運行監視装置500及び運行情報配信サーバ600は、専用線などの通信網を経由してデータ通信可能であり、運行情報配信サーバ600と携帯通信端末装置400とは携帯通信網を経由してデータ通信可能になっている。図8では専用線及び携帯通信網をまとめて通信網Nとして記載している。
【0049】
図9は、自動改札機300の機能ブロック図である。自動改札機300は、非接触カード式の料金収受システムに対応したものであり、非接触カード機能付き携帯通信端末装置400にも対応している。制御部301は、自動改札機300内の各部を制御して自動改札機300としての機能を実現するとともに、携帯通信端末装置400との近距離無線通信にて利用者識別情報を取得すると共に当該利用者識別情報と改札通過時刻情報とを運行情報配信サーバ600に送信する一連の動作を制御する。
【0050】
無線通信部302は、乗客が自動改札機300を通過する際に、携帯通信端末装置400との間で近距離無線通信を行い、自動改札処理のための情報を送受信する部分である。携帯通信端末装置400から受信する利用者識別情報及び改札情報を無線改札処理部303に出力する。
【0051】
無線改札処理部303は、無線通信部302から入力される利用者識別情報及び改札情報により改札処理を実行するとともに、利用者識別情報と改札通過時刻情報とをデータ通信部304に出力する。
【0052】
データ通信部304は、通信網Nに接続されて運行情報配信サーバ600との間で通信を行い、無線改札処理部303から入力される利用者識別情報と改札通過時刻情報とを運行情報配信サーバ600に対して送信する。
【0053】
図10は携帯通信端末装置400の機能ブロック図である。
携帯通信端末装置400は、制御部401、入力部402、表示部403、携帯通信部404、無線改札処理部405、記憶部406、及び列車運行情報受信部407から構成され、各部はバス408を介して接続される。なお、無線改札処理部405及び列車運行情報受信部407はソフトウエアで構成することができる。
【0054】
制御部401は、携帯通信端末装置400内の各部を制御して携帯通信端末装置400としての機能を実現するとともに、駅改札の料金収受システムに対応した非接触カード機能を備えている。
【0055】
入力部402は、テンキーや各種ファンクションキー等から構成され、携帯電話機能等に関するキー入力を受け付けて、そのキー入力信号を制御部401に対して出力する。表示部403は、液晶表示パネル等から構成され、制御部401から入力される表示制御信号により携帯電話機能に関する表示や列車遅延情報に関する表示等を行う。
【0056】
携帯通信部404は、携帯電話機能に対応する無線通信機能を有し、携帯通信網を介して運行情報配信サーバ600及び他の携帯通信端末装置(図示せず)との間で通話やデータ通信のための無線通信を行う。
【0057】
無線改札処理部405は、非接触カード機能に対応した近距離無線通信部であり、自動改札機300との間で改札処理のための無線通信を実行し、利用者識別情報を自動改札機300に送信すると共に、自動改札機300から送信される改札情報を受信して携帯側の改札処理を実行する。記憶部406は、各種のアプリケーションソフトを記憶すると共にアドレス帳等を記憶する。
【0058】
列車運行情報受信部407は、運行情報配信サーバ600から電子メールで配信される列車遅延情報を受信する部分である。
【0059】
図11は運行情報配信サーバ600の機能ブロック図である。
運行情報配信サーバ600は、制御部601、データ通信部602、平均改札通過時刻算出部603、列車遅延情報取得部604、列車遅延情報通知部605及び記憶部606から構成され、各部はバス607を介して接続される。なお、平均改札通過時刻算出部603、列車遅延情報取得部604、列車遅延情報通知部605はソフトウエアで構成することができる。
【0060】
制御部601は、運行情報配信サーバ600内の各部を制御して運行情報配信サーバ600としての機能を実現し、利用者が所持する携帯通信端末装置400に対して自動改札機300を通過する所定時間前に列車遅延情報を通知するサービスを実現する。
【0061】
平均改札通過時刻算出部603は、記憶部606に一定期間(例えば、一週間分)蓄積された各利用者についての改札情報及び改札通過時刻情報から、当該利用者が所定時間帯(例えば通勤時間帯)に使用する自宅最寄りの駅改札を推定する。そして、当該駅改札を通過する平均改札通過時刻を算出して、記憶部606に利用者識別情報に対応させて記憶する。
【0062】
データ通信部602は、専用線等に接続されて自動改札機300との間で改札通過時刻情報処理のための通信を行うとともに、列車運行監視装置500との間で列車遅延情報を取得するための通信を行う。また、携帯通信網経由で運行情報が本文に記載された電子メールを送信する。
【0063】
列車遅延情報取得部604は、記憶部606に記憶された各利用者の平均改札通過時刻情報に基づいて、その平均改札通過時刻の所定時間前(例えば、30分前)に列車運行監視装置500から該当路線の列車遅延情報を取得して列車遅延情報通知部605に出力する。
【0064】
列車遅延情報通知部605は、列車遅延情報取得部604から入力される列車遅延情報を、記憶部606に記憶された該当利用者の携帯通信端末装置400のアドレスに対して電子メール送信する処理を実行する。
【0065】
記憶部606は、図12に示す改札通過時刻管理テーブル606aを記憶する。この改札通過時刻管理テーブル606aでは、利用者識別情報(ユーザNo.)毎に携帯通信端末装置400のアドレス情報と、平均改札通過時刻とを対応付けて記憶する。
【0066】
次に、本実施の形態2の事前情報提供システム200において実行される列車遅延情報提供処理について、図13に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0067】
まず、利用者が駅の自動改札機300に携帯通信端末装置400を近接させて通過する際に、自動改札機300と携帯通信端末装置400との間で、近距離無線通信により利用者識別情報及び改札情報が送受信されて改札処理が行われる(ステップS201)。
【0068】
自動改札機300は、利用者識別情報と改札通過時刻情報とを通信網Nを介して運行情報配信サーバ600に送信する(ステップS202)。この利用者識別情報及び改札通過時刻情報の送信処理は、利用者が自動改札機300を通過する毎に実行される。
【0069】
次に、運行情報配信サーバ600は、自動改札機300から利用者識別情報と改札通過時刻情報を受信すると、平均改札通過時刻算出部603に蓄積する(ステップS203)。平均改札通過時刻算出部603は、一定期間分(例えば、一週間分)蓄積した各利用者の改札通過時刻情報から各利用者が所定時間帯に最も頻繁に使用する駅改札(又は駅)を特定する。さらに、特定された駅改札の改札通過時刻の平均改札通過時刻を算出して、その利用者についての平均改札通過時刻情報を記憶部606の改札通過時刻管理テーブル606aに記憶する(ステップS204)。
【0070】
列車遅延情報取得部604は、改札通過時刻管理テーブル606aに記憶された各利用者について入口改札の平均改札通過時刻情報に基づいて、その平均改札通過時刻の所定時間前(例えば、30分前)に列車遅延情報要求をデータ通信部602により列車運行監視装置500に送信する(ステップS205)。ここで、列車運行監視装置500に要求する列車遅延情報は上記特定した駅改札の設置された駅を基準にして、当該駅に乗り入れている全ての路線についての列車運行情報であるものとする。
【0071】
なお、改札通過時刻情報に乗車駅及び降車駅情報を付加することにより、利用者がどの駅から乗車してどの駅で降車したか追跡できるので、使用路線名まで容易に特定することができる。列車遅延情報取得部604は、改札通過時刻情報に付加された乗車駅及び降車駅から各利用者の使用路線名を推定して、改札通過時刻管理テーブル606aに利用者識別情報に対応付けて記憶しておく。その利用者の平均改札通過時刻の所定時間前となったならば、改札通過時刻管理テーブル606aに記憶した使用路線名を取り出して列車遅延情報要求に付加する。これにより、利用者が利用する路線の運行情報のみを要求することができる。
【0072】
次に、列車運行監視装置500は、駅又は路線を指定した列車遅延情報要求に応じて、該当駅に乗り入れている全ての路線又は指定された路線の列車遅延情報を運行情報配信サーバ600に返信する(ステップS206)。
【0073】
列車遅延情報通知部605は、各利用者について平均改札通過時刻の所定時間前に列車遅延情報取得部604から列車遅延情報を受け取る一方、当該利用者の所持する携帯通信端末装置400のアドレス情報を改札通過時刻管理テーブル606aから取得する。そして、データ通信部602に対してアドレスを指定して当該利用者の所持する携帯通信端末装置400へ列車遅延情報をメール送信させる(ステップS207)。
【0074】
利用者は、最寄り駅の自動改札機300を通過する所定時間前に、乗車駅に乗り入れている路線又は使用路線の列車遅延情報が携帯通信端末装置400へ配信される。したがって、利用者は、携帯通信端末装置400に受信した電子メールを表示させることにより、毎日自動改札機300を通過する所定時間前に列車の遅延雑情報を知ることができる。
【0075】
以上のように、本実施の形態2の事前情報提供システム200では、自動改札機300を通過する乗客の改札通過時刻情報を一定期間(例えば、一週間)蓄積し、その改札通過時刻の平均改札通過時刻を算出し、その平均改札通過時刻の所定時間(例えば、30分)前に列車遅延情報を列車運行監視装置500から取得して、乗客が携帯する携帯通信端末装置400のアドレス情報に通知するようにした。
【0076】
したがって、毎日、同じ駅の自動改札機を通過する乗客は、自動改札機を通過する所定時間前に列車遅延情報の提供を受けて、乗車経路の変更等、その後の行動を修正することが可能になる。
【0077】
なお、上記実施の形態2では、列車遅延情報を列車運行監視装置500から取得する場合を示したが、この方法に限るものではない。例えば、携帯通信端末装置400は、列車に搭載された位置情報検出器機から車内無線通信網を介して一定時間毎に現在位置情報を受信して携帯通信網を介して運行情報配信サーバ600に送信し、運行情報配信サーバ600は、携帯通信端末装置400から受信する現在位置情報に基づいて、各列車の移動速度(遅延状況)及び混雑状況を把握することができる。このように携帯通信端末装置400の位置情報を分析して得られる遅延情報を配信するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る事前情報提供システムは、利用者の毎日の行動(ゲート装置の通過や自動改札機の通過等)を予測して、事前に道路混雑情報や列車遅延情報等を利用者に通知するサービスの提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1に係る事前情報提供システムの全体構成を示す図
【図2】本実施の形態1に係るゲート装置の構成を示すブロック図
【図3】本実施の形態1に係るETC車載器の構成を示すブロック図
【図4】本実施の形態1に係る携帯通信端末装置の構成を示すブロック図
【図5】本実施の形態1に係る通過車両管理装置の構成を示すブロック図
【図6】本実施の形態1に係るゲート通過時刻管理テーブルの一例を示す図
【図7】本実施の形態1に係る事前情報提供システムにおいて実行される道路混雑情報提供処理を示すシーケンス図
【図8】本発明の実施の形態2に係る事前情報提供システムの全体構成を示す図
【図9】本実施の形態2に係る自動改札機の構成を示すブロック図
【図10】本実施の形態2に係る携帯通信端末装置の構成を示すブロック図
【図11】本実施の形態2に係る運行情報配信サーバの構成を示すブロック図
【図12】本実施の形態2に係る改札通過時刻管理テーブルの一例を示す図
【図13】本実施の形態2に係る事前情報提供システムにおいて実行される列車遅延情報提供処理を示すシーケンス図
【符号の説明】
【0080】
20 ゲート装置
21、41、51、71、301、401、601 制御部
22、42、302 無線通信部
23、43 ETC処理部
24、304 データ通信部
30 車輌
40 ETC車載器
50、400 携帯通信端末装置
52、402 入力部
53、403 表示部
55 道路混雑情報受信部
56、76、406、606 記憶部
60 交通量監視装置
70 交通情報配信サーバ
73 平均通過時刻算出部
74 道路混雑情報取得部
75、602 データ通信部
76a ゲート通過時刻管理テーブル
100、200 事前情報提供システム
300 自動改札機
303、405 無線改札処理部
407 列車運行情報受信部
500 列車運行監視装置
600 運行情報配信サーバ
603 平均改札通過時刻算出部
604 列車遅延情報取得部
605 列車遅延情報通知部
606a 改札通過時刻管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車専用道路のゲートに設置されたゲート装置において、車輌に搭載された車載器との間で無線通信して車輌識別情報を取得すると共にゲート通過時刻情報を記録し、前記ゲート装置から前記車輌識別情報及びゲート通過時刻情報を通信網経由で交通情報配信サーバへ送信し、前記交通情報配信サーバにおいて、各車輌について一定期間蓄積したゲート通過時刻情報から当該車輌が所定時間帯に通過する自動車専用道路入口となる入口ゲート装置を推定し、推定された入口ゲート装置の通過時刻の平均値である平均ゲート通過時刻を算出し、算出した平均ゲート通過時刻の所定時間前に、当該入口ゲート装置に関連付けられた自動車専用道路の交通情報を取得して当該車輌の利用者が指定した携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする事前情報提供システム。
【請求項2】
前記交通情報配信サーバは、入口ゲート及び出口ゲートに設置された各ゲート装置から車輌識別情報及びゲート通過時刻情報をデータ収集し、各車輌について一定期間蓄積したゲート通過時刻情報から当該車輌が所定時間帯に通過する道路区間を推定し、推定した道路区間の交通情報を平均ゲート通過時刻の所定時間前に取得して前記携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする請求項1記載の事前情報提供システム。
【請求項3】
駅改札に設置された自動改札機において、非接触カード機能付き携帯通信端末装置との間で無線通信して利用者識別情報を取得すると共に改札通過時刻情報を記録し、前記自動改札機から前記利用者識別情報及び改札通過時刻情報を通信網経由で運行情報配信サーバへ送信し、前記運行情報配信サーバにおいて、各利用者について一定期間蓄積した改札通過時刻情報から当該利用者が所定時間帯に乗車する駅を推定し、推定された乗車駅の駅改札通過時刻の平均値である平均改札通過時刻を算出し、算出した平均改札通過時刻の所定時間前に、当該乗車駅に関連付けられた路線の運行情報を取得して当該利用者が指定した携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする事前情報提供システム。
【請求項4】
前記運行情報配信サーバは、乗車駅及び降車駅に設置された各自動改札機から利用者識別情報及び改札通過時刻情報をデータ収集し、各利用者について一定期間蓄積した改札通過時刻情報から当該利用者が所定時間帯に乗車する使用路線を推定し、推定した使用路線の運行情報を平均改札通過時刻の所定時間前に取得して前記携帯通信端末装置へ配信することを特徴とする請求項3記載の事前情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−226164(P2008−226164A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67279(P2007−67279)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】