説明

亜鉛−スズ合金のスパッタ・ターゲット

【課題】被覆した物を輸送でき、その後に加熱による曇った被覆を生じることなく加熱できるような機械的耐久性を有する低放射率の被覆物の提供。
【解決手段】本発明に係る被覆された物品は、(A)基体と、(B)基体上にスパッタリングにより堆積された第1の透明層であって、第1の透明層が、(i)10〜90質量%の亜鉛および90〜10質量%のスズを有する第1のスズ酸亜鉛を含む第1の透明膜と、(ii)60〜90質量%の亜鉛および40〜10質量%のスズを含有する酸化亜鉛酸化スズ膜を含む、第1の透明膜上に堆積された第2の電気的性質を向上させる膜とを含む第1の透明層と、(C)第1の透明層上に位置する赤外線反射層とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、低い重量%のスズを有する亜鉛陰極スパッタ・ターゲット、該ターゲットを使用して形成される輸送できる熱処理可能な低放射率の被覆、被覆物、および該被覆物を製造する方法に関する。
【0002】
米国特許第4610771号(「U.S.P.N.’771」)は亜鉛/スズ合金ターゲットを使用して堆積された反射防止用のスパッタされた金属酸化物膜を開示している。U.S.P.N.’771の第3欄第26行〜第4欄第12行は、一般に亜鉛およびスズの酸化物を好ましくは亜鉛を10〜90重量%およびスズを90〜10重量%の比率で有するスズ酸亜鉛膜を堆積させるために合金ターゲットを使用することを説明している。
【0003】
U.S.P.N.’771に開示された亜鉛/スズ合金ターゲットは受入れることができるが、制限がある。特に、U.S.P.N.’771に記載された形式の低E被覆では、赤外線反射金属の膜または層、例えば銀、がスズ酸亜鉛膜に堆積される。スパッタされたスズ酸亜鉛膜に堆積される銀膜は、スパッタされた酸化亜鉛の膜または層に堆積される銀膜よりも高い電気抵抗率と高い放射率とを有する。特に、米国特許第5821001号(「U.S.P.N.’001」)は酸化亜鉛膜に堆積される銀を開示しており、銀膜の原子は、低い電気抵抗率を特徴とする形態にて堆積し、これが銀膜に低い放射率を与える。酸化亜鉛膜の堆積では、銀膜における銀原子の堆積に有利な影響を与えるために、適当な結晶化度または優先的な結晶成長にて酸化亜鉛層を堆積させるように処理パラメータが選定される。
【0004】
低い電気抵抗率を有する銀膜が堆積される酸化亜鉛膜を形成するために、反応性雰囲気、例えば酸素、の中で亜鉛をスパッタすることも欠点を有する。例えば、純粋亜鉛ターゲット、すなわち、ほぼ100%亜鉛金属のターゲットを酸素のような反応性雰囲気中で反応させてスパッタすることは、以下にさらに詳細に説明する理由のために困難である。
【0005】
U.S.P.N.’001はまた熱処理可能な低放射率膜を説明している。プライマー層(primer layer)、例えばチタン膜、の厚さは、大きな機械的耐久性を与えるために、すなわちせん断抵抗を向上させるために増大させてもよい。せん断抵抗試験は、ガラスの被覆面に、イオン除去水で濡らした布による20回の連続ストロークを加えることから成り、これに続いて試験面積部分の目視検査が行われる。試験面積部分の外見により、D−,D+……A,A+の文字表示による等級が被覆に与えられ、その後、数値分析のためにD−に5,Dに10,Aに55,A+に60が与えられる。被覆がせん断の兆候を全く示さず、僅かな視認可能な擦り傷すら示さないならば、最高等級の60を受ける。試験面積部分における多層被覆のいずれかの境界面に一様なせん断および剥離が生じた被覆は、落第の等級であるゼロを与えられる。他の性能レベルは中間的な数値を与えられる。被覆の耐久性を特徴づけるこの方法は、被覆のフィールド性能(field performance)とも十分に関連することが見い出された。厚いプライマー層を使用する欠点は、加熱、例えばガラスの焼戻し、またはガラスの曲げ加工後に、被覆スタックが暗室における投光照明での曇り試験を使用して見たときに、曇った外観を有するであろうことである。暗室における投光照明での曇り試験では、幾何学的に生じる光の最大散乱状況を見い出すために、換言すれば被覆によって生じるであろう曇りを見い出すために、被覆試料は暗室内でスポットライトに対するさまざまな視角において反射状態にて視認される。曇りの認められる幾何形状でなければ、A+等級がその試料に付与される。非常に劣る試料にはD−が与えられる。数値分析をするために、これらの文字等級は、せん断試験に関して説明したように、5〜60の数値を与えられる。少ない曇りほど大きい数値に対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4610771号明細書
【特許文献2】米国特許第5821001号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スパッタされた被覆を形成する当業者には認識できるように、現在入手できる亜鉛ターゲットの欠点がなく、反応性雰囲気の中でスパッタすることのできる亜鉛ターゲットを提供すること、および被覆した物を輸送でき、その後に加熱による曇った被覆を生じることなく加熱できるような機械的耐久性を有する低放射率の被覆物を提供することが有利となる。
U.S.P.N.’771および’001は本明細書に援用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ターゲット材料の全重量に対して0重量%より多く、10重量%未満であるのが好ましいスズと、ターゲット材料の全重量に対して100重量%未満で、90重量%を超える亜鉛とを有するスパッタ陰極ターゲットに関する。以下において、特に指示しない限り、用語「重量%」はターゲット材料の全重量に対する重量パーセントを意味する。
【0009】
本明細書に使用されるように、例えばU.S.P.N.’771に説明されている形式の「スズ酸亜鉛膜」は、亜鉛およびスズの合金の酸化物である。使用される陰極は亜鉛およびスズの合金から形成される。「酸化亜鉛酸化スズ膜」は、スズおよび亜鉛の酸化物を有する膜である。酸化亜鉛酸化スズ膜をスパッタするために使用される陰極は、以下に詳細に説明するように、スズを添加された亜鉛から形成される。
【0010】
本発明の一実施例では、被覆積み重ね体即ち被覆スタックはガラス基体に堆積されたスズ酸亜鉛膜と、スズ酸亜鉛膜に堆積された酸化亜鉛酸化スズ膜と、酸化亜鉛酸化スズ膜に堆積された例えば銀の赤外線反射膜と、赤外線反射膜に堆積された例えばチタン金属膜のプライマー層と、プライマー層に堆積された酸化亜鉛酸化スズ膜と、酸化亜鉛酸化スズ膜に堆積されたスズ酸亜鉛膜と、スズ酸亜鉛膜に堆積された赤外線反射膜と、赤外線反射膜に堆積されたプライマー層と、プライマー層に堆積された酸化亜鉛酸化スズ膜と、酸化亜鉛酸化スズ膜に堆積されたスズ酸亜鉛膜と、スズ酸亜鉛膜に堆積された例えばチタン金属膜または酸化チタン膜の保護層とを有する。本発明の他の実施例では、酸化亜鉛酸化スズ膜に代えて酸化亜鉛膜が使用される。本発明のさらに他の実施例では、酸化亜鉛酸化スズ膜に代えてスズ酸亜鉛膜が使用される。酸化亜鉛酸化スズ膜に代えてスズ酸亜鉛膜が使用される場合、スズ酸亜鉛膜は少なくとも5重量%ほど組成を相違される。例えば、スズ酸亜鉛膜の1つが約50重量%の亜鉛および50重量%のスズである場合、他のスズ酸亜鉛膜は亜鉛が約10〜45重量%または55〜90重量%で、スズは55〜90重量%または45〜10重量%とされる。本発明のさらに他の実施例で、第1の堆積されたスズ酸亜鉛膜は50±10重量%の亜鉛および50±10重量%のスズである。第2の堆積されたすなわち被着されたスズ酸亜鉛膜は10重量%以上で40重量%以下、好ましくは20重量%のスズを有し、また90重量%以下で60重量%以上、好ましくは80重量%の亜鉛を有する。90重量%の亜鉛および10重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜は堆積させることにより使用される。
【0011】
上述の被覆スタックは機械的および化学的な耐久性を有する。本発明の被覆は輸送できるようにする機械的および化学的な耐久性に加えて熱処理でき、熱処理した被覆は曇りが低減される。加熱後の曇りの低減は、以下に説明する金属プライマーの厚さを選択することで達成される。曇りを決定する方法は上述した。本明細書に使用されるように、曇りの低減は数値を約10ほど高める。本発明の被覆の利点は、本発明の被覆が基体に堆積でき、被覆した基体を熱処理する、例えば約732゜C(1350゜F)の温度まで加熱する製造施設へ輸送できることである。本発明の被覆は特に太陽光を制御する自動車用風防ガラスの製造に適用される。本発明の低放射率の被覆を有するガラス板は1つの施設で被覆され、その後他の施設へ輸送されてそこで被覆済みガラス板は自動車用風防ガラスに加工される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の各種実施例を完全に理解できるようにするために、これらの実施例は別々に説明された後、組合わされる。説明される本発明の第1の実施例は、酸化亜鉛膜の堆積を改善するために少量のスズを有する亜鉛陰極を使用すること、および少量のスズを有する酸化亜鉛膜の利点である。
【0013】
少量のスズを有する亜鉛スパッタ・ターゲットと、酸化亜鉛酸化スズ膜をスパッタによって堆積させるためにそのような亜鉛ターゲットを反応させてスパッタさせる方法とに関する本発明の実施例が説明される。認識されるように、本発明は、赤外線反射膜、例えば金、銀またはアルミニウムの膜、他の金属膜、例えばチタン金属のようなプライマー膜、またはセラミック膜または他の絶縁膜の上または下に酸化亜鉛酸化スズ膜を堆積させるため、本発明のターゲットを使用することを意図する。
【0014】
本発明の一実施例では、例えば酸化亜鉛酸化スズ膜に堆積された銀膜のような赤外線反射膜の放射率を改善するために、また少量のスズを有する亜鉛陰極ターゲットのスパッタ性能を改善するために、スパッタ陰極は0重量%より多く、10重量%未満のスズと、100重量%未満で、90重量%を超える亜鉛とを有する。本発明の陰極ターゲットはまた、0重量%より多く10重量%未満のスズおよび残部の大部分を占める亜鉛、または100重量%未満で90重量%を超える亜鉛および残部の大部分を占めるスズを有するとして定められる。本発明のこの実施例を説明する前に、本発明の良好な理解のために、スズを含まない亜鉛陰極ターゲットを反応させてスパッタさせる欠点および/または(英語の「and/or」を「および/または」と訳した)制限、およびそのような陰極を使用して堆積された酸化亜鉛膜の制限を説明する。
【0015】
典型的に、金属ターゲットは酸素、または酸素と他のガス、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムとの混合ガスの中で反応させてスパッタされる。混合ガスの中でのスパッタは、安定した過程を得るために高いスパッタ速度となるが、過程の安定性を保持するために一層の制御を要求する、例えば2種類のガスの流量制御を要求する。スパッタ速度が高いため、酸素だけの中で行うよりも、混合ガスの中でスパッタすることが好ましい。いずれの場合も、形成される被覆は金属酸化物であり、例えば亜鉛ターゲットが使用される場合は酸化亜鉛となる。
【0016】
酸化亜鉛は、低放射率を有する被覆スタックの高反射指数の膜として使用される一般的な絶縁材である。板ガラス工業では、通常、直流電源から供給される大電力で陰極を付勢してガラス基体に層をスパッタ形成する水平真空被覆形成装置によって、これらの被覆は付与される。被覆形成装置の生産量が大きくなればなるほど、陰極ターゲットに対する大きな電力密度を要求する。これは、特に反応性スパッタ作動時に、ターゲットがアークを生じる傾向を高める。
【0017】
反応性スパッタ作動時に、亜鉛陰極ターゲットのアークの発生頻度は時間と共に増大し、粉末および薄片とされる屑がターゲット表面および隣接面積部分に積み重なる。粉末、薄片および飛沫とされる屑は被覆の行われる基体の表面に最終的に落下し、許容しがたい被覆製品を生む。さらに、過程が不安定となる点までアークの発生が増大する。さらに、ターゲット表面部分は時間経過につれて黒くなる傾向を有する。これらの黒くなった面積部分は非導電性であり、したがってスパッタ速度を制限し、被覆に非均一性を生じる。
【0018】
アークの発生およびある程度まで積み重なった屑は、スパッタ被覆の当業者に知られた定期的なスパッタ洗浄によって低減することができる。スパッタ洗浄の一つの技術は、定期的にアルゴンやヘリウムのような不活性ガスの中で或る時間につきターゲットをスパッタすることであり、これは金属のようなターゲットをスパッタする。或る程度のスパッタ洗浄により、アークを発生するターゲット表面の積み重なった酸化物は除去される。ターゲット上の黒色面積部分はスパッタ洗浄によって減少できない。しかしながら屑およびアークの発生は絶えずターゲットを劣化させ、或る時間経過後には被覆形成装置の稼動停止が増え、その結果、被覆形成装置の製造時間が減少する。スパッタ時に頻繁にアークを発生する傾向により、亜鉛ターゲットはスパッタ洗浄を行うことが困難であり、また一層長時間で頻繁な洗浄を必要とする。
【0019】
本発明の実施において、スズが亜鉛ターゲットに添加されて、解消しないまでも上述した欠点を減少させる、例えば薄片屑の量を減少し、ターゲットに積み重なる粉末を減少し、アークの発生を最小限に抑え、また解消しないまでもターゲット表面部分の黒色化を最小限に抑える。本発明の亜鉛ターゲットの屑の量および劣化は、純粋の亜鉛ターゲットの場合よりもかなり減少される。その結果、要求される定期的なターゲット洗浄が少なくて済み、不活性ガスの中での洗浄の時間が短くて済む。
【0020】
先に説明したように、U.S.P.N.’771はスズ酸亜鉛膜、すなわち10〜90重量%の亜鉛および90〜10重量%のスズを有する亜鉛スズ合金の酸化物を堆積させるための亜鉛−スズ合金ターゲットを開示している。このU.S.P.N.’771の亜鉛−スズ合金の陰極ターゲットは、酸化亜鉛膜よりも優れた化学的耐久性を有するスズ酸亜鉛膜を形成する。さらに、亜鉛−スズ合金の陰極ターゲットは、アークの発生が少なく、積み重なる屑が最小限であり、例えば測定できるほどの粉末が積み重なることはない。スパッタ被覆の当業者には周知のように、酸化亜鉛膜は酸および塩基の溶液中に容易に溶解し、スズ酸亜鉛膜は酸または塩基中で減少した溶解度をしめす。
【0021】
本発明の酸化亜鉛酸化スズ膜の特性は非常に詳細に研究されたが、以下のことが起こると考えられる。スズが0重量%に近づくと、堆積された膜の化学的耐久性は減少し、反応性雰囲気中での亜鉛ターゲットのスパッタに伴う問題が増大する。スズが10重量%に近づくと、酸化亜鉛膜の化学的耐久性は増大し、反応性雰囲気中での亜鉛ターゲットのスパッタに伴う問題が減少する。酸化亜鉛酸化スズ膜に堆積された銀膜の電気抵抗率は酸化亜鉛膜に堆積された銀膜に類似すると予想される。本発明のこの実施例において、0重量%より多く10重量%未満のスズを有する亜鉛ターゲットが使用可能な範囲であり、0.5〜9.5重量%のスズが実際的な範囲で、4〜8.5重量%のスズが好ましい範囲であり、5〜9.5重量%のスズが一層好ましい範囲である。酸化亜鉛酸化スズのスズおよび亜鉛の重量パーセントはターゲット中の亜鉛およびスズの重量パーセントに類似すると予想される。
【0022】
ここで認識できるように、亜鉛陰極のスズの重量パーセントが増大すると、堆積された膜の化学的耐久性は増大することが予想される。さらに、0重量%より多く10重量%未満のスズを有する酸化亜鉛膜の結晶構造は同じでないとしても0重量%のスズを有する酸化亜鉛膜の結晶構造に類似する。さらに、60〜90重量%の亜鉛および10〜40重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜は、酸化亜鉛と類似の結晶構造を有する。それ故に、酸化亜鉛膜に堆積された銀膜の放射率は60〜90重量%の亜鉛および10〜40重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜に堆積された銀膜に類似することが予想される。60重量%未満の数値の亜鉛では、結晶構造は変化し始め、放射率および抵抗率は増大し始める。トランスミッション・エレクトロン・マイクロスコピー誌は、66重量%の亜鉛および34重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜に関する酸化亜鉛の弱い電子回折パターン、および47重量%の亜鉛および53重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜の非晶質組織を示している。
【0023】
U.S.P.N.’001、およびメーラン・アルバブ氏、ラッセル・シー・クリス氏、ゲーリー・ジェー・マリエッティ氏およびポール・エー・メディウィック氏の名前で1998年2月13日付けで出願された「被覆物」に関する米国特許出願09/023746(以下「U.S.P.A.’09/023746」)に開示された被覆物は、制限するのではないが92重量%の亜鉛および8重量%のスズを有する陰極ターゲットを、75%を超える酸素および残部がアルゴンの雰囲気中でスパッタすることを含む本発明のこの実施例を実施して、製造することができる。さらに、亜鉛ターゲットをスパッタすることに関連する上述した問題は、解消されないまでも最小限に抑えられることが予測される。
【0024】
被覆スタックの化学的耐久性の向上、被覆スタックの曇りの低減、および赤外線反射金属、例えば銀、の減少された放射率に関して説明する。「化学的耐久性」は被覆が酸または塩基の溶液によって容易に侵害されないことを意味する。化学的耐久性の説明のためにU.S.P.N.’001および’771が参照される。曇り試験は上述した。
【0025】
上述の説明からに、酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜または60〜90重量%の範囲の亜鉛および10〜40重量%の範囲のスズを有するスズ酸亜鉛膜に銀層を堆積させることで銀膜の放射率は低減できる。さらに、上述の説明から、銀膜の下およびスズ酸亜鉛膜の上に酸化亜鉛膜を有する層の化学的耐久性は、亜鉛ターゲットにスズを添加して酸化亜鉛酸化スズ膜またはスズ酸亜鉛膜を形成することで向上できる。本明細書で使用するように「化学的および電気的な向上膜」は酸化亜鉛酸化スズ膜および/または60〜90重量%の範囲の亜鉛および10〜40重量%の範囲のスズを有するスズ酸亜鉛膜である。本発明の化学的および電気的な向上膜は、被覆物の化学的耐久性を向上させる一方、低放射率を有する銀膜を得るために、酸化亜鉛膜に代えて使用できる。説明として、ガラス基体/スズ酸亜鉛膜/酸化亜鉛膜/銀膜/チタン金属プライマー膜/酸化亜鉛膜/スズ酸亜鉛膜/酸化亜鉛膜/スズ酸亜鉛膜/酸化チタン保護外被を有して成る被覆物は、上述の被覆スタックの1以上、または全ての酸化亜鉛膜(単数または複数)に本発明の化学的および電気的な向上膜を使用することで化学的に向上される。
【0026】
他の被覆物は、ガラス基体/スズ酸亜鉛膜/酸化亜鉛膜/銀膜/チタン金属プライマー膜/酸化亜鉛膜/スズ酸亜鉛膜/酸化チタン保護外被を含む。ここで認識されるように、本発明の化学的および電気的な向上膜は、上述の被覆の1以上または全ての酸化亜鉛膜(単数または複数)に代えて使用できる。
【0027】
本発明の実施において、絶縁層はスズ酸亜鉛膜、および化学的および電気的な向上膜を含み得る。化学的および電気的な向上膜がスズ酸亜鉛である場合、スズ酸亜鉛膜と化学的および電気的な向上膜のスズ酸亜鉛膜との違いは少なくとも5重量%である。例えば、本発明を制限するわけではないが、58重量%の亜鉛および42重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜は、63〜90重量%の亜鉛および10〜37重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜(化学的および電気的な向上膜)と共に使用できる。
【0028】
化学的および機械的に耐えることができる被覆スタック、および被覆スタックを高温度、例えば本発明を制限するわけではないが室温以上で約732゜C(1350゜F)以下にした後の曇りが低減された被覆スタックを形成するための本発明の実施例を説明する。当業者に認識されるように、本発明は、例示のために記載している以下に説明する被覆に制限されることはない。以下の表1は、本発明の実施に使用できる被覆スタックの幾つかの実施例を与える。しかしながら、認識されるように、本発明はそれに制限されることはない。
【表1】

【0029】
左側から2番目の欄は「基体」と表示されている。基体の材料は本発明を制限せず、いずれの材料でも、例えばガラス、繊維ガラス、プラスチック、金属、木材またはセラミックでも形成できる。本発明の好ましい実施において製造された物の形式は、居住用または商業用のビルディング、および地上、空中、宇宙、水の上方、水上および水中の乗物のための透明体であり、それ故に基体は透明でガラス、および柔軟および堅いプラスチックで形成されるのが好ましい。使用されるとき、ガラスは透明または色付きとされることができ、またガラスの形式は本発明を制限しない。被覆物は高温度にさらされることが予想され、それ故に選択される基体はその高温度に耐えることができなければならない。この説明において、しかし本発明を制限するわけではないが、基体はガラス板またはガラス片とされる。
【0030】
欄番号1〜12は膜であり、A〜Hを付された欄は、本発明の特徴を取り入れた被覆スタックの層である。これらの層(表1の下部を参照)は、少なくとも1つの、また表1に示されるように3つまでの膜を含む。層A,DおよびGは絶縁層である。層A,DおよびGの絶縁膜の屈折率は透明基体の屈折率より大きくて、赤外線反射層の反射を防止することが好ましい。本発明は、その化学的および電気的な向上膜と組合わせて使用される絶縁膜の形式に制限されない。本発明の実施において使用できる絶縁膜は、以下のものに限定はされないが、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化けい素、窒化けい素、酸化窒化けい素である。層A,DおよびGのそれぞれの膜1,6および11は、各々が52重量%の亜鉛および48重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜である。層A,DおよびGのそれぞれの膜2,5,7および10は、それぞれ酸化亜鉛膜または本発明の化学的および電気的な向上膜としてよい。以下の説明で、基体はソーダ−石灰−珪酸塩の透明ガラスであり、約1.5の屈折率を有する。この分野で周知のように、膜および層の厚さの変化は被覆物の色を変化させ、または被覆に中立的な色を与える。本発明の実施において、絶縁層および/または膜は600±500Åの厚さを有することが予想される。酸化亜鉛膜または化学的および電気的な向上膜の厚さは、それに堆積される銀膜の結晶構造に十分に影響を与えるものでなければならない。
【0031】
層BおよびEのそれぞれの膜3および8は赤外線反射膜であり、赤外線エネルギーを反射する、例えば制限するわけではないが金、銀およびアルミニウム、いずれの材料のものとすることができる。本発明の実施において、銀が好ましい。銀の厚さは本発明を制限することはなく、低放射率を有する透明被覆を形成するために選択される。200±150Åおよび好ましくは100±25Åの厚さを有する銀膜が本発明の実施に使用できる。
【0032】
層CおよびFのそれぞれ膜4および9は、(1)絶縁膜のスパッタ時に赤外線金属層を酸化から保護する、(2)高温処理時に赤外線反射層を保護する、(3)加熱時に被覆スタックにおける曇りの形成を低減する、および/または(4)被覆物を輸送可能とするための機械的耐久性を被覆スタックに与える、という機能を有するプライマー膜である。プライマー膜は、この分野で周知のいずれかの種類の、例えば1998年12月8日付けで出願された米国特許出願09/215560に開示された形式のチタンのような金属またはセラミックとされることができ、その特許出願の開示は本明細書に援用される。本発明の実施において、プライマー層はチタンであることが好ましい。
【0033】
層Hの膜12は、輸送および保管時に被覆スタックに付加的な化学的および電気的な耐久性を与えるための保護膜である。本発明はこの保護膜の形式に制限されず、この分野で周知のいずれの形式のものも、例えばチタン、二酸化チタン、酸化けい素、二酸化けい素、窒化けい素アルミニウムなどを使用できる。さらに、1以上の保護膜を使用できる。例えば、本発明を制限するわけではないが、二酸化チタン膜に酸化亜鉛膜を使用できる。層Hの厚さは本発明を制限しないが、この厚さは保護を行うために十分に厚くなければならない。
【0034】
表1の試料を詳細に説明する前に、本発明を良く認識するために、以下の背景情報を与える。
【0035】
上述したように、酸化亜鉛膜を使用して、約60重量%未満の亜鉛および約40重量%を超えるスズを有するスズ酸亜鉛膜に配置される銀層よりも低い抵抗率および放射率を有する銀層が形成される。さらに詳しくは、U.S.P.N.’001は、製造時に被覆物が熱処理に曝されるところでは、プライマー層が過度に薄く、または過度に厚く形成される位置を生じることが見い出されたことを開示している。プライマー層が薄すぎると、反射性の金属膜を高温での酸化からの保護が不十分となり、熱処理に関して許容することができない被覆物を生じることになり、またせん断抵抗の劣る被覆物を生じ、これはその後の熱処理のために長距離を輸送するには不適当な物となす。プライマー層が厚すぎると、熱処理後に被覆物に望ましくない曇りを生じ、被覆物を熱処理するのに不適当とする。しかしながら、これらの膜が加熱後に曇りを生じるということで制限とされる。
【0036】
絶縁膜およびプライマー層を選択することで、加熱後の曇りを低減された被覆スタックを形成できることが決定された。輸送されるが加熱されない被覆物に関しては、プライマー層は、銀層に配置される絶縁膜または層の堆積時に、銀を保護するのに十分な厚さでなければならない。約8〜12Åの範囲のプライマー層の厚さが満足できる。プライマー層の厚さは、被覆物の加熱時にプライマー層が銀を保護すべきときは、増大される。約20±5Åの厚さが許容できる。
【0037】
輸送でき、加熱でき、曇りの低減された被覆物を得るために、プライマー膜の厚さは絶縁層または膜の配置を補完するように調整される。本発明の技術によれば、18〜32オングストローム(Å)、好ましくは18〜40Åの範囲のプライマー層の厚さが、加熱後の曇りが低減された被覆スタックを形成するために許容できる。以下の例は本発明を示している。
【0038】
以下の説明では、その厚さの金属プライマー層が堆積される。認識されるように、その厚さは、チタン金属プライマー膜の一部を加熱し、酸化チタンへ変化させた後、増大する。「XRF法」と称される方法がU.S.P.N.’001に説明されている。一般に、XRF法は金属層の厚さを測定するのに使用される。XRF法は、被覆の単位面積(すなわちμg/cm2)当たりの金属重量を測定するために較正したX線蛍光機器を使用する。XRF法は、金属膜がそのバラ材形態の場合と同じに稠密であると仮定している。この仮定により、単位面積当たりの金属膜の測定重量がバラ材密度を使用してオングストロームでの厚さに変換される。完全を期すために、スパッタされた金属膜はしばしば対応するバラ材金属よりも稠密度が低く、したがって上述の仮定はかならずしも常に正確で正しいわけではないこと、およびXRF法は或る場合にはこの密度の変化によって金属膜の厚さを過小推定することに留意しなければならない。したがって、薄い金属膜に関しては、単位面積(μg/cm2)当たりの重量の初期測定値の方が、バラ材密度に基づく厚さへの対応した変換よりも正確である。それにも拘わらず、XRF法は被覆の各層の相対厚さを比較するために有用な近似値を与える。
【0039】
以下の説明で、絶縁層および/または膜の厚さの範囲が与えられる。当業者には認識されるように、これらの範囲は本発明を制限するものでなく、また厚さは所望の色の被覆スタックを形成するために選択できる。
【0040】
例1
この例1は表1の試料1である。試料1は輸送および加熱が可能な被覆物である。この被覆は、1つの赤外線反射層を有する高透過率、低放射率の被覆物である。試料1の被覆スタックを有する製品が作られ、その被覆スタックは、以下のものを含む、即ち、
透明ガラス基体と、基体に堆積された絶縁性の反射防止層であって、(1)52重量%の亜鉛および48重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜(以下に52−48スズ酸亜鉛膜と称する)で260±40Åの厚さを有するスズ酸亜鉛膜、および(2)90重量%の亜鉛および10重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜(以下に90−10スズ酸亜鉛膜と称する)で約80±45Åの厚さを有するスズ酸亜鉛膜を含む絶縁性の反射防止層と、
90−10スズ酸亜鉛膜に堆積された約115±15Åの厚さを有する銀膜と、
該金属反射膜に堆積された24−28Åの厚さを有するチタン・プライマー膜と、
チタン・プライマー膜に堆積された絶縁性の反射防止用の上層であって、プライマー層の酸化金属に堆積された約230±60Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜を含む絶縁性の反射防止用の上層と、
52−48スズ酸亜鉛層または膜に堆積された36±7Åの厚さを有する酸化チタン層とを含む。
【0041】
例2
この例2は表1の試料2である。この被覆物が形成され、この被覆物は輸送および加熱が可能である。この被覆物は、ガラス基体/230±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜および約80±40Åの厚さを有する酸化亜鉛膜で形成された層と、110±10Åの厚さを有する銀膜と、約18〜23Å、好ましくは19.5Åの厚さを有するチタン金属プライマー膜と、約820±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜と、110±10Åの厚さを有する銀膜と、約18〜31Å 好ましくは25Åの厚さを有する金属プライマー膜と、約200±20Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜と、約29±3Åの厚さを有するチタン膜とを含む。
【0042】
例3
この例3は表1の試料3である。この被覆物は形成されなかったが、以下の被覆物は輸送および加熱が可能で、曇りを低減されることが予測される。例3は、透明ガラス基体と、ガラス基体に堆積された310±20Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜を含み且つ基体に堆積された絶縁性の反射防止用の基層と、52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された約110±10Åの厚さを有する第1の銀膜と、第1の銀膜に堆積された約18〜29Åの厚さを有する第1のチタン・プライマー膜と、第1のプライマー膜に堆積された絶縁性の反射防止用の中間層であって、第1のプライマー膜に堆積された80±40Åの厚さを有する酸化亜鉛膜および酸化亜鉛膜に堆積された740±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜を含む絶縁性の反射防止用の中間層と、中間層の52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された110±10Åの厚さを有する第2の銀膜と、第2の銀膜に堆積された約18〜31Åの厚さを有する第2のチタン・プライマー膜と、第2のプライマー膜に堆積された絶縁性の反射防止用の上層であって、約200±20Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜である絶縁性の上層と、絶縁性の上層の52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された約29±3Åの厚さを有するチタン金属保護膜とを含む。
【0043】
例4
この例4は表1の試料4である。例4の被覆物は形成され、輸送および加熱が可能で、加熱された被覆物は曇りを低減された。例4の被覆物は、透明ガラス基体と、ガラス基体に堆積された310±20Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜と、52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された約110±10Åの厚さを有する第1の銀膜と、第1の銀膜に堆積された約18〜29Å、好ましくは22.5Åの厚さを有する第1のチタン・プライマーと、第1のチタン膜に堆積された約820±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜と、52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された約110±10Åの厚さを有する第2の銀膜と、第2の銀膜に堆積された18〜32Å、好ましくは21.5Åの厚さを有する第2のチタン膜と、第2のチタン・プライマー層に堆積された80±40Åの厚さを有する酸化亜鉛膜と、酸化亜鉛膜に堆積された120±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜と、52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された29±3Åの厚さを有するチタン保護膜とを含む。
【0044】
例5
この例5は表1の試料5である。この被覆物は形成されなかったが、この被覆物は輸送および熱処理に好適で、加熱された被覆物は曇りを低減されることが予測される。例5の被覆物は、試料5が基体に堆積された約230±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜と、52−48スズ酸亜鉛膜に堆積された約80±40Åの厚さを有する酸化亜鉛膜とを有することを除いて、例3に類似の膜および層を含む。第1の銀層上の第1のチタン・プライマー層は約18〜29Åの厚さを有し、第2の銀層上の第2のチタン・プライマー膜は約18〜31Åの厚さを有する。試料5の残る層は表に示されているように、例3で説明したのと同じ膜の組成および厚さを有する。
【0045】
例6
この例6は表1の試料6であり、この被覆物は形成され、また輸送および加熱が可能で、加熱された被覆物は曇りが低減された。この被覆物は、約80±40Åの厚さを有する酸化亜鉛膜が第2のチタン・プライマーに堆積され、また120±40Åの厚さを有する52−48スズ酸亜鉛膜が酸化亜鉛膜に堆積されたことを除いて、例2の被覆スタックに類似する。第1のチタン・プライマー層は19〜26Å、好ましくは19.5Åの厚さを有し、第2のプライマー膜は21.5〜31Å、好ましくは25Åの厚さを有していた。表の試料6に関して示されたように、例6に関する残る膜/層の組成および厚さは、例2で説明したのと同じである。
【0046】
例7
この例7は表1の試料7であり、形成され、また輸送および加熱が可能で、加熱された被覆物は曇りが低減された。試料7の被覆スタックは、約80±40Åの厚さを有する酸化亜鉛膜が第2のチタン膜に堆積され、また52−48スズ酸亜鉛膜が酸化亜鉛膜に堆積されたことを除いて、例3の被覆スタックに類似する。第1のチタン・プライマー層は約22〜26Å、好ましくは22.5Åの厚さを有し、第2のチタン・プライマー膜は約18〜25Å、好ましくは21.5Åの厚さを有していた。表の試料7に関して示されたように、例7に関する残る膜/層の組成および厚さは、例2で説明したのと同じである。
【0047】
例8
この例8は表1の試料8である。この被覆物は形成され、また輸送および加熱に好適な被覆物であって、加熱された被覆物は曇りが低減された。例8の被覆物は、透明ガラスに堆積された被覆スタックである。この被覆の厚さおよび膜の順番は以下の通りであり、膜1はガラス基体に堆積された膜である。
【表2】

【0048】
上述の被覆を有する被覆ガラスは、自動車用風防ガラスの製造に使用された。被覆ガラスは寸法に切断され、被覆ガラスの成形のために加熱され、その後成形済みガラスが互いに積層されて自動車用風防ガラスが形成された。積層体の透過率は70%を超え、赤外線エネルギーは反射した。この風防ガラスはこの分野で周知のように形成された。自動車用風防ガラスに使用する被覆ガラスは、酸化亜鉛膜に代えて90−10スズ酸亜鉛膜でも形成された。その被覆物は表2に記載の範囲の粉末厚さを有していた。
【0049】
認識されるように、表2に与えられたプライマー層の厚さは陰極およびスパッタ設備に応じて変化させることができる。例えば、曇りの低減された輸送および加熱可能な被覆スタックは、18±0.5Åの厚さを有する第1のチタン・プライマー膜と、22±1Åの厚さを有する第2のチタン・プライマー膜とを有して形成された。
【0050】
例9
この例9は表の試料9であり、形成された被覆物である。この被覆物は輸送および加熱が可能で、加熱された被覆物は曇りが低減された。例9の被覆物は、透明ガラスに堆積された被覆スタックである。この被覆の厚さおよび膜の順番は以下の通りであり、膜1はガラス基体に堆積された膜である。
【表3】

【0051】
認識されるように、90−10スズ酸亜鉛膜、酸化亜鉛膜、および酸化亜鉛酸化スズ膜は、また輸送および加熱が可能で曇りの低減された被覆物を得るために、互いに交換でき、また互いに代用できる。しかしながら本発明の実施において9−10スズ酸亜鉛膜が好ましい。
【0052】
認識できるように、膜の厚さは本発明を制限せず、この分野で周知のように所望の色の被覆物を形成するために選択できる。さらに、本発明のすべての例の膜は、本発明の特徴を得るために相互に交換できる。被覆ガラスを加熱して自動車用風防ガラス、居住用および商業用の窓、および他の透明体を形成する完全な説明は、それらの技術がこの分野で周知であり、認識されるように本発明の実施に使用された技術であるので、与えられていない。
【0053】
本発明は上述で与えられた例に制限されることはなく、各種の変化および変更が特許請求の範囲および法律で許される等価範囲によって定められる本発明の精神および広い概念から逸脱することなく成し遂げられる。
【0054】
本発明の特徴は以下に示すとおりである。
(1)100重量%のスパッタ陰極ターゲットにおいて、
約90重量%より大きく、100重量%未満の亜鉛と、
残部の重量%の大部分を占めるスズとから成るスパッタ陰極ターゲット。
(2)スズの重量%がゼロより大きいが、10重量%未満であるスパッタ陰極ターゲット。
(3)約90重量%より大きく、100重量%未満の亜鉛と、ゼロより大きいが、10重量%未満のスズとから成る絶縁膜を有するスパッタ堆積膜。
(4)基体と、
基体にスパッタ堆積された絶縁膜であって、10重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および90重量%以下で10重量%以上のスズを有する基体に堆積された第1のスズ酸亜鉛膜と、このスズ酸亜鉛膜に堆積された電気的性質を向上させる膜とを含んで成り、前記電気的性質を向上させる膜は酸化亜鉛酸化スズ膜および第2のスズ酸亜鉛膜を含んで成る膜の群から選ばれ、第1のスズ酸亜鉛膜の組成は第2のスズ酸亜鉛膜の組成と少なくとも約5重量%異なる前記絶縁膜と、
絶縁膜に堆積された赤外線反射層とを有する赤外線反射被覆物。
(5)赤外線反射金属が銀であり、この銀は酸化亜鉛酸化スズ膜に堆積された(4)に記載された被覆物。
(6)赤外線反射層が銀膜であり、この銀膜は第2のスズ酸亜鉛膜に堆積された(4)に記載された被覆スタック。
(7)絶縁層が第1の絶縁層であり、赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、さらに
第1の赤外線反射層上の金属プライマー層と、
プライマー層上の第2の絶縁層、および第2の絶縁層上の任意の保護被覆とを含む(4)に記載された被覆スタック。
(8)第2の絶縁層が10〜90重量%の亜鉛および90〜10重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜である(7)に記載された被覆物。
(9)絶縁層が第1の絶縁層であり、赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、さらに
第1の赤外線反射金属層上の第1の金属プライマー層と、
第1のプライマー層に含まれる第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上の第2の赤外線反射層と、
第2の赤外線反射層上の第2の金属プライマー層と、
第2の金属プライマー層に含まれる第3の絶縁層と、
第3の絶縁層上の任意の保護膜とを含む(4)に記載された被覆物。
(10)第2および第3の絶縁層の少なくとも1つが10〜90重量%の亜鉛および90〜10重量%のスズを有するスズ酸亜鉛膜を含む(9)に記載された被覆物。
(11)絶縁層が第1の絶縁層であり、赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、さらに
第1の反射層上の第1の金属プライマー層と、
第1の金属プライマー層上の第2の絶縁層であって、第1の絶縁膜と、第1のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜とを含んで成り、第1のスズ酸亜鉛膜は10重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で90重量%以下の範囲のスズを有し、第1の絶縁層が第1の金属プライマー層に堆積された前記第2の絶縁層と、
第2の絶縁層に堆積された第2の赤外線反射層と、
第2の赤外線反射層に堆積された第2の金属プライマー層と、
第2の金属プライマー層に堆積された第3の絶縁層と、
第3の絶縁層上の任意の保護層とを含む(4)に記載された被覆スタック。
(12)第2の絶縁層の第1の絶縁膜が、酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜、または第2のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜から成り、第2のスズ酸亜鉛膜は第2の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜の組成とは異なる組成を有する(11)に記載された被覆スタック。
(13)第2の絶縁層の第2のスズ酸亜鉛膜が60重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%以下の範囲のスズを有し、第3の絶縁層がスズ酸亜鉛膜である(12)に記載された被覆スタック。
(14)絶縁層が第1の絶縁層であり、赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、さらに
第1の反射層上の第1の金属プライマー層と、
第1の金属プライマー層上の第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上の第2の赤外線反射層と、
第2の赤外線反射金属層上の第2の金属プライマー層と、
第2の金属プライマー層上の第3の絶縁層であって、第1の絶縁膜と、第1のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜とを含んで成り、第1のスズ酸亜鉛膜は10重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛と、90重量%以下で10重量%以上の範囲のスズとを有する、第2の金属プライマー層に堆積された前記第3の絶縁層と、
第3の絶縁膜上の任意の保護膜とを含む(4)に記載された被覆スタック。
(15)第3の絶縁層の第1の絶縁膜が酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜、または第2のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれ、第2のスズ酸亜鉛膜は第3の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜の組成とは異なる組成を有する(14)に記載された被覆物。
(16)第3の絶縁層の第2のスズ酸亜鉛膜が60重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%以下の範囲のスズを有する(15)に記載された被覆物。
(17)絶縁層が第1の絶縁層であり、赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、さらに
第1の反射層上の第1の金属プライマー層と、
第1の金属プライマー層上の第2の絶縁層であって、第1の絶縁膜および第1のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜から成り、第1のスズ酸亜鉛膜は10重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および90重量%以下で10重量%以上の範囲のスズを有し、第1の金属プライマー層に堆積された前記第2の絶縁層と、
第2の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜上の第2の赤外線反射層と、
第2の赤外線反射層上の第2の金属プライマー層と、
第2の金属プライマー層上の第3の絶縁層であって、第1の絶縁膜および第1のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜から成り、第1スズ酸亜鉛膜は10重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および90重量%以下で10重量%以上の範囲のスズを有し、第2の金属プライマー層に堆積された前記第3の絶縁層と、
絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜上の任意の保護膜とを含む(4)に記載された被覆物。
(18)第2の絶縁層の第1の絶縁膜と第3の絶縁層の第1の絶縁膜がそれぞれ酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜、またはそれぞれ同じ第2または第3の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜の組成とは異なる組成を有する第2のスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた膜を有する(17)に記載された被覆スタック。
(19)第2および第3の絶縁層の第2のスズ酸亜鉛膜がそれぞれ60重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%以下の範囲のスズを含む(18)に記載された被覆スタック。
(20)第2の絶縁層がさらに、第2の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜上に第3の絶縁膜を含む(17)に記載された被覆スタック。
(21)第2の絶縁層がさらに第2の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜に第3の絶縁膜を含み、第2の絶縁層の第3の絶縁膜は酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜、および第3のスズ酸亜鉛膜と定められるスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた膜であり、第3のスズ酸亜鉛膜は第3のスズ酸亜鉛膜に最も近い第2の絶縁層のスズ酸亜鉛膜の組成とは異なる組成を有する(18)に記載された被覆スタック。
(22)第2の絶縁層の第2の絶縁膜および第3の絶縁層の第3の絶縁膜がそれぞれ酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜、または第3の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜の組成とは異なる組成を有する第2のスズ酸亜鉛膜から成る(18)に記載された被覆スタック。
(23)第2の絶縁層の第1および第2の絶縁膜および第3の絶縁層の第1の絶縁膜がそれぞれ、60重量%以上で90重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%以下の範囲のスズを含む(22)に記載された被覆スタック。
(24)第1の絶縁層の第2のスズ酸亜鉛膜がガラス片に形成されて230±40オングストロームÅの範囲の厚さを有し、第1の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜は第1の絶縁層の第2のスズ酸亜鉛膜に形成されて80±40Åの範囲の厚さを有し、第1の赤外線反射金属層は第1絶縁層の第1スズ酸亜鉛膜に堆積された第1の銀膜であって110±30Åの範囲の厚さを有し、金属プライマー層は第1銀層に堆積されたチタン膜であって17〜26Åの範囲の厚さを有し、第2の絶縁層の第1の絶縁膜はチタン膜に堆積されて80±40Åの範囲の厚さを有し、第2の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜は第2の絶縁層の第1の絶縁膜に堆積されて740±40Åの厚さを有し、第2の赤外線反射金属層は第2の絶縁層の第1および第2の絶縁膜に堆積された第2の銀膜であって110±38Åの範囲の厚さを有し、第2のプライマー膜は第2の銀膜に堆積されたチタン膜であって18〜31Åの範囲の厚さを有し、第3の絶縁層の第1の絶縁膜は第2のチタン膜に堆積されて80±40Åの範囲の厚さを有し、第3の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛層は第3のスズ酸亜鉛層の第1の絶縁膜に堆積されて120±40Åの範囲の厚さを有し、保護層は第3の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛層に堆積されたチタン金属膜であって29±3Åの範囲の厚さを有する(20)に記載された被覆スタック。
(25)基体と、
基体上の第1の絶縁層と、
第1の絶縁層上の第1の赤外線反射層と、
第1の赤外線反射層上の第1の金属プライマー層と、
第1の金属プライマー上の第2の絶縁層であって、酸化亜鉛酸化スズ膜および第1のスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた第1の絶縁膜、および第2の絶縁層の第1絶縁膜とは異なる組成を有する第2の絶縁膜を有する前記第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上の第2の赤外線反射層と、
第2の反射層上の第2のプライマー層と、
第2の金属プライマー層上の第3の絶縁層と、
第3の絶縁層上の任意の保護層とを含んで成る被覆物。
(26)第1の絶縁層がスズ酸亜鉛膜を含み、第2の絶縁層の第2の絶縁膜がスズ酸亜鉛膜であり、第3の絶縁層がスズ酸亜鉛膜を含み、スズ酸亜鉛膜の各々は10〜90重量%の範囲の亜鉛および90〜10重量%の範囲のスズを有する(25)に記載された被覆物。
(27)第2の絶縁層の第1の絶縁膜が90重量%以上および60重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%以下の範囲のスズを有する第1のスズ酸亜鉛膜である(26)に記載された被覆物。
(28)基体と、
基体上の第1の絶縁層と、
第1の絶縁層上の第1の赤外線反射層と、
第1の赤外線反射層上の第1の金属プライマー層と、
第1の金属プライマー上の第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上の第2の赤外線反射層と、
第2の反射金属層上の第2の金属プライマー層と、
酸化亜鉛膜、酸化亜鉛酸化スズ膜、第1のスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上の第2の絶縁膜とを有し、第2の絶縁膜は第1の絶縁膜とは異なる組成を有する第3の絶縁層と、
第3絶縁層上の任意の保護層とを含んで成る被覆物。
(29)第1および第2絶縁層がそれぞれスズ酸亜鉛膜を含み、第3の絶縁層の第2の絶縁膜がスズ酸亜鉛膜であって、スズ酸亜鉛膜の各々が10〜90重量%の範囲の亜鉛および90〜10重量%の範囲のスズを有する(28)に記載された被覆物。
(30)第2の絶縁層の第1の絶縁膜が90重量%以上および60重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%未満の範囲のスズを有する(29)に記載された被覆物。
(31)基体と、
基体上の第1の絶縁層と、
第1の絶縁層上の第1の赤外線反射層と、
第1の反射層上の第1の金属プライマー層と、
酸化亜鉛酸化スズ膜および第1のスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた第1の絶縁膜、および第2の絶縁層の第1絶縁膜とは異なる組成を有する第1の絶縁膜上の第2の絶縁膜を有する前記第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上の第2の赤外線反射層と、
第2の反射層上の第2のプライマー層と、
第2の金属プライマー層上の第3の絶縁層であって、酸化亜鉛酸スズ膜および第1のスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を有し、その第2の絶縁膜はその第2の絶縁膜の組成と異なる組成を有する前記第3の絶縁層と、
第3の絶縁層上の任意の保護層とを含んで成る被覆物。
(32)第1の絶縁層と、第2および第3の絶縁層の第2の絶縁膜とは、それぞれ10〜90重量%の範囲の亜鉛および90〜10重量%の範囲のスズを有するスズ酸亜鉛膜である(31)に記載された被覆物。
(33)第2および第3の絶縁層の第1絶縁膜はそれぞれ90重量%以上および60重量%以下の範囲の亜鉛および10重量%以上で40重量%以下の範囲のスズを有するスズ酸亜鉛膜である(32)に記載された被覆物。
(34)被覆物が透明体である(32)に記載された被覆物。
(35)被覆物が自動車用の透明体である(34)に記載された被覆物。
(36)自動車用の透明体が互いに積層された一対のガラス板を有する自動車用の風防ガラスであり、ガラス板の一方が被覆を有する基体で形成された(35)に記載された被覆物。
(37)自動車用の透明体を製造する方法であって、
以下の層、すなわち
ガラス基体上の第1の絶縁層と、
第1の絶縁膜上の第1の赤外線反射金属層と、
第1の反射層上の第1の金属プライマー層と、
第1の金属プライマー層上の第2の絶縁層と、
第2の絶縁層上の第2の赤外線反射層と、
第2の赤外線反射層上の第2の金属プライマー層と、
第3の絶縁層の第1のスズ酸亜鉛膜上の保護膜であって、少なくとも1つの絶縁層が酸化亜鉛酸化スズおよび第1のスズ酸亜鉛膜から成る群から選ばれた第1の絶縁膜と、第1のスズ酸亜鉛膜とは異なる組成、および10〜90重量%の亜鉛および90〜10重量%のスズより成る組成を有する第2のスズ酸亜鉛膜を含む第2の絶縁膜とを含む前記保護膜とを有する被覆をガラス基体に付与する段階と、
被覆した風防ガラス素材を準備するために被覆基体を処理する段階であって、被覆基体をその曲げ温度に加熱し、加熱段階の後に被覆は曇りが低減される前記被覆基体を処理する段階と、
自動車用の風防ガラスを形成するために他方のガラス板に被覆素材を積層する段階とを含んで成る自動車用の透明体の形成方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基体と、
(B)前記基体上にスパッタリングにより堆積された第1の透明層であって、該第1の透明層が、
(i)10〜90質量%の亜鉛および90〜10質量%のスズを有する第1のスズ酸亜鉛を含む第1の透明膜と、
(ii)60〜90質量%の亜鉛および40〜10質量%のスズを含有する酸化亜鉛酸化スズ膜を含む、前記第1の透明膜上に堆積された第2の電気的性質を向上させる膜と、
を含む第1の透明層と、
(C)前記第1の透明層上に位置する赤外線反射層と
を含む、被覆された物品。
【請求項2】
前記赤外線反射層が銀膜である請求項1に記載された被覆された物品。
【請求項3】
前記赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、
前記第1の赤外線反射層上の金属プライマー層と、
前記金属プライマー層上の第2の透明層と
をさらに含む、請求項1に記載された被覆された物品。
【請求項4】
前記第2の透明層上にさらに保護膜を有する、請求項3に記載された被覆された物品。
【請求項5】
前記赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、
前記第1の赤外線反射層上の第1の金属プライマー層と、
前記第1の金属プライマー層上の第2の透明層と、
前記第2の透明層上の第2の赤外線反射層と、
前記第2の赤外線反射層上の第2の金属プライマー層と、
前記第2の金属プライマー層上の第3の透明層と
をさらに含む、請求項1に記載された被覆された物品。
【請求項6】
前記第3の透明層上にさらに保護膜を有する、請求項5に記載された被覆された物品。
【請求項7】
前記第2の透明層および前記第3の透明層のうちの少なくとも1つが、10〜90質量%の亜鉛および90〜10質量%のスズを含有する酸化亜鉛酸化スズ膜を含む、請求項5又は請求項6に記載された被覆された物品。
【請求項8】
前記赤外線反射層が第1の赤外線反射層であって、
前記第1の赤外線反射層上の第1の金属プライマー層と、
前記第1の金属プライマー層上の第2の透明層であって、該第2の透明層が、第1の酸化亜鉛酸化スズ膜、第1のスズ酸亜鉛膜および第2の酸化亜鉛酸化スズ膜を含み、各酸化亜鉛酸化スズ膜が、10〜90質量%の亜鉛および90〜10質量%のスズを含有する、第2の透明層と、
前記第2の透明層上の第2の赤外線反射層と、
前記第2の赤外線反射層上の第2の金属プライマー層と、
前記第2の金属プライマー層上の第3の透明層と
をさらに含む、請求項1に記載された被覆された物品。
【請求項9】
前記第3の透明層上にさらに保護層を有する、請求項8に記載された被覆された物品。
【請求項10】
前記第3の透明層が、
10〜90質量%の酸化亜鉛および90〜10質量%の酸化スズを有する酸化亜鉛酸化スズを含む第1の透明膜、および、
前記酸化亜鉛酸化スズ上のスズ酸亜鉛膜を含む、請求項8又は請求項9に記載された被覆された物品。
【請求項11】
前記第3の透明層のスズ酸亜鉛膜上に保護層を有する、請求項10に記載された被覆された物品。

【公開番号】特開2011−184296(P2011−184296A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127948(P2011−127948)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【分割の表示】特願2000−548524(P2000−548524)の分割
【原出願日】平成11年5月6日(1999.5.6)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】