説明

交通情報システム

【課題】
本発明の課題は、交通事故,工事などの突発事象発生時に、その周辺道路に対する影響範囲とその度合いの情報を、車載端末装置に配信することができる交通情報システムを提供することである。
【解決手段】
突発事象発生情報を受信後、プローブカーの過去の走行履歴から、突発事象発生地点を通過した走行履歴を抽出する。そして抽出した走行履歴に基づき、抽出した走行履歴全てについて、各プローブカーが走行した道路リンクの走行頻度を求め、これら道路リンク毎の走行頻度を、突発事象が発生した道路リンクを通過したプローブカーの合計台数で正規化した通過頻度情報を生成し、車載端末装置に配信する。車載端末装置では、この通過頻度情報により各道路リンクにおける影響度を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の渋滞情報などの交通情報をドライバー等に提供するITS(Intelligent Transport System)に利用可能な交通情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交通情報システムには、VICS(Vehicle Information & Communication System)(登録商標)のように、交通渋滞などの交通情報を、路側に設けられた赤外線センサや光ビーコンを介して収集し、FM多重放送や路側に設けられた光ビーコン,電波ビーコンなどの施設を介して車載機器(例えば、カーナビゲーションシステム,カーテレビ、文字多重放送受信装置)に提供するサービスが知られている。
【0003】
さらに近年では、車両自身をセンサとして交通情報を収集し、車載機器に提供する、プローブ交通情報サービスも注目を集めている。このシステムにおいて、車両は走行した位置情報,時刻情報などの履歴データ(プローブ情報)を収集し、携帯電話,無線などの通信機器を介して、交通情報センタにアップリンクする。このような車両はプローブカーと呼ばれている。交通情報センタでは、各車両から収集したプローブ情報を、リンクの交通情報に変換し、通信機器を介して、各車載機器に提供する。
【0004】
上記従来技術は、渋滞などに関する生の情報(例えば渋滞中、何キロ渋滞などの情報)や、過去のデータに基づき渋滞の予測情報を提供している。また、プローブ交通情報は、プローブカーの走行位置とタイミングはランダムなものであるため、空間的に欠損が生じる。車載機器への情報表示、あるいは経路探索などの用途において、交通情報に欠損があると適切な処理ができないため、欠損データを空間的に補完する必要がある。プローブ交通情報サービスでは、補完した交通情報を含んだ形での交通情報を提供している。
【0005】
しかしながら、実際の道路交通を考えると、道路状況を明確に表しえない小さな事故や、工事などの多数の交通障害が存在しており、そのような突発事象の影響範囲を、「突発事象障害」として、十分にドライバーに伝えられていなかった。さらには、発事象発生時には、その突発的な事象を回避することが求められている。
【0006】
これに対し、特許文献1には、事故発生時に、車載機器が事故発生地点の先に、仮想目的地を設定し、迂回ルートを探索する方法が開示されている。この方法は、仮想目的地を車の進行方法の道なりに設定する。
【0007】
また、特許文献2には、発生した事故と類似した過去の事故データから、事故の復旧時間を予測する方法と、その予測された復旧時間と過去の交通量データを参照して、事故による将来の渋滞長を予測する方法が開示されている。この方法は、事故車の台数,車種,死傷者数の情報を手掛かりにして、過去の事故データから類似した事故情報を抽出する。
【0008】
また、特許文献3には、事故発生時に、車載機器が提示した複数の迂回路の迂回距離から、ユーザーが適切と思うものを選択して、事故発生地点を回避する方法が開示されている。ここでの迂回距離は、例えば1km,2km,5kmなどがある。
【0009】
【特許文献1】特開平11−344349号公報
【特許文献2】特開平8−109209号公報
【特許文献3】特願2004−210854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1における車載機器は、突発事象が発生した道路リンクの迂回ルートを探索している。しかし、突発事象発生地点の周辺の道路に対する影響範囲を考慮していないため、車載機器の提示した迂回ルートが適切かどうかわからない。
【0011】
特許文献2に記載の技術では、迂回ルート探索時に、事故発生地点とは異なる地点における類似した過去の事故情報を適用している。事故発生地点には、固有の道路構造と事故状況があるため、実際に事故が発生した地点とは異なる地点の事故情報を用いたとしても、事故発生地点周辺の道路における交通状況も類似するとは限らず、適切な迂回ルートを求められるかどうかは分からない。
【0012】
特許文献3に記載された技術の外囲でも、特許文献1同様に、突発事象が発生した道路リンクの迂回ルートを探索している。しかし、突発事象発生地点の周辺の道路に対する影響範囲は考慮していないため、車載機器の提示した迂回ルートが適切かどうかわからない。
【0013】
本発明の課題は、交通事故,工事などの突発事象発生時に、突発事象発生地点の周辺道路における突発事象の影響範囲とその度合いの情報を、車載機器に配信することができる交通情報システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
交通情報センタにおいては、プローブカーが送信する走行履歴情報と突発事象発生情報とを受信し、蓄積しておいたプローブカーの走行履歴情報から、突発事象が発生した道路リンクを通過した走行履歴情報を抽出する。
【0015】
抽出された走行履歴情報に含まれる全ての道路リンクについて、それぞれプローブカーが走行した走行頻度を求め、これら道路リンク毎の走行頻度を、突発事象が発生した道路リンクを通過したプローブカーの合計台数で正規化した通過頻度情報を生成する。この通過頻度情報を突発事象により各道路リンクが被る影響をあらわす影響度として車載端末装置に配信し、車載端末装置において、通過頻度情報を表示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事故発生直後に、周辺道路から突発事象発生地点への通過頻度の情報を提示することができ、ユーザーまたは車載機器は、突発事象の影響範囲を考慮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を用いた交通情報システムの実施形態を図面に基づき説明する。この交通情報システムには、プローブカーから収集される走行履歴が予め十分に蓄積されているものとする。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る交通情報システムの全体構成図である。図1に示すように、交通情報システムはセンタ装置1と複数の車載端末装置100より構成される。
【0019】
センタ装置1は、プローブデータ受信部10,地図データ蓄積部14,プローブデータ処理部15,プローブカー走行履歴記憶部20,突発事象発生情報受信部30,突発事象情報記憶部35,走行履歴検索部40,突発事象地点通過頻度演算部50,通過頻度情報生成部60,通過頻度情報送信部70の各処理部を含んで構成されている。
【0020】
センタ装置1の各処理部は、オフライン処理とオンライン処理を行う部分に大きく分けられる。オフライン処理に該当する部分は、プローブデータ受信部10,地図データ蓄積部14,プローブデータ処理部15,プローブカー走行履歴記憶部20までである。またオンライン処理に該当する部分は、突発事象発生情報受信部30,突発事象情報記憶部35,走行履歴検索部40,突発事象地点通過頻度演算部50,通過頻度情報生成部60,通過頻度情報送信部70までである。
【0021】
センタ装置1は、図示しないCPUと記憶装置とを含んで構成されたコンピュータによって実現され、センタ装置1を構成する各処理部は、前記CPUが前記記憶装置に記憶された所定のプログラムを実行することによって実現される。なお、記憶装置は、RAM,不揮発性メモリ,ハードディスク装置などによって構成される。
【0022】
プローブデータ受信部10は、プローブカーにより収集されたプローブデータを受信する。センタ装置1とプローブカーは、光ビーコン,有線LAN,無線LAN,携帯電話,DSRCなどの通信手段により接続されている。ここでの有線LANによる通信手段とは、プローブカーに備えられた蓄積装置(ハードディスク,メモリなど)に、プローブデータを蓄積し、その蓄積装置をプローブカーからはずして、自宅のコンピュータに接続し、その自宅のコンピュータからインターネットを通じて、交通情報センタと接続することを意味している。
【0023】
プローブデータは、一定時間や一定走行距離の間隔で収集されるものとする。プローブデータの内容は、プローブカーの固有ID情報,プローブカーの走行した位置情報,プローブデータを収集した時刻情報を含んでいる。プローブカーの固有ID情報は、プローブカーの車番,プローブカーに搭載されている車載機器のシリアルナンバーなど、プローブデータを収集した車両を特定するための情報である。位置情報は、プローブカーの車載機器に搭載しているGPS装置が測位した緯度・経度情報、または、プローブカーが走行した道路リンクのリンクIDで表される。道路リンクのリンクIDとは、車載機器に搭載している地図情報において、道路の交差点や分岐点などで区切られた部分(道路リンク)毎に定義されている番号である。この番号により、道路リンクが特定できる。時刻情報は、位置情報を取得した時刻の情報である。
【0024】
図2(a)(b)に、プローブデータ受信部10で受信するプローブデータの構成を示す。図2(a)のプローブデータは、位置情報を緯度・経度情報で構成した例である。また図2(b)は、プローブデータの位置情報をリンクIDで構成した例である。
【0025】
地図データ蓄積部14は、道路地図の電子データを蓄積している。図3(a)に、地図データ蓄積部14に蓄積されている道路地図のデータ構成を示す。道路地図は道路リンクデータの集まりとして管理されている。各道路リンクデータは、道路リンクを特定できるリンクIDと、道路リンクの始端のノードID及びその緯度・緯度の情報,終端のノードID及びその緯度・経度の情報,道路リンクの長さ,対象の道路リンクに接続する他の道路リンク数、及び他の道路リンクが接続する接続ノードの接続ノードIDとその接続ノードに接続する道路リンクのリンクIDから成り立つ。図3(b)は、図3(c)に示す道路リンクを例に、リンクIDが001の道路リンクについてデータ構成を表している。図3(b)のデータは、リンクIDが001の道路リンクは、始端ノードの始端ノードIDが100、終端ノードの終端ノードIDが200であり、始端ノードにはリンクIDが002の道路リンクが、終端ノードにはリンクIDが003の道路リンクがそれぞれ接続されていることを表わしている。
【0026】
プローブデータ処理部15は、地図データ蓄積部14に格納されている道路地図データを用いて、プローブデータ受信部10から取得したプローブデータを処理し、プローブカー走行履歴記憶部20へ格納する。プローブデータ受信部10で受信したプローブデータは位置情報と、その位置情報を取得した時刻情報から構成されている。この時、プローブカーの走行経路をリンク列へ変換する必要がある。プローブデータの位置情報が緯度・経度情報である場合には、これをリンク列の走行経路へ変換する必要がある。始めに、プローブデータを収集した車両の運転開始から終了までの1トリップの点の位置情報を道路リンク上にマッチングし、次にマッチングした点を通過するように、経路探索を行う。最後に、この経路探索結果を、リンク列に分割する。プローブデータの位置情報が通過したリンクIDである場合には、経路探索により各リンクIDに対応した経路を順番に通過する経路を求めた上で、リンク列に分解する。そして、経路を分解した各リンク列に流入する流入時刻を求める。
【0027】
図4に、プローブデータの位置情報が緯度・経度情報である場合に、プローブデータ処理部15において、プローブデータからリンク列データへ変換する処理フローを示す。このプローブデータの処理は、プローブデータ受信部10で受信した車両毎のプローブデータについて実行する。始めに、地図データ蓄積部14から、処理対象とする領域の道路地図データを取得する(ステップS10)。例えばこの領域は、対象とするプローブカーが走行した緯度・経度の最大値,最小値で定まる矩形領域を覆う地図メッシュに相当するものとする。次に、プローブデータ受信部10から、リンク列データへの変換対象となる車両のプローブデータを取得する(ステップS20)。以下の処理は、車両毎に行う。次に、対象車両のプローブデータを全て地図上にマッチング処理したかを判定する(ステップS30)。全てのプローブデータに対してマッチング処理が終了していない場合(ステップS30でNo)、残りのプローブデータを地図上にマッチングする(ステップS40)。このマッチング処理では、プローブデータに直接対応する位置(緯度・経度)をプローブ点とし、このプローブ点から、周辺の道路リンクに垂線を下ろす。この垂線の長さが最短の道路リンクを、プローブ点にマッチングした道路リンクとして決定する。道路リンクにマッチングしたプローブデータに対しては、マッチングした道路リンクのリンクIDと、垂線の足が道路リンクと交わる点(マッチング点)と、マッチングした道路リンクの終端ノードからマッチング点までの距離のデータが求まる。
【0028】
全てのプローブデータをマッチング処理した場合(ステップS30でYes)、各マッチング点の情報を経由地点として、経路探索処理を行い、車両の走行経路を生成する(ステップS50)。全てのプローブデータを道路上にマッチングしても、プローブデータの収集間隔や各道路リンクのリンク長によっては、プローブデータがマッチングした道路リンクが全て連続しているとは限らない。そこでこの経路探索処理により、マッチング点を経由地点として対応する通過時刻の順番にこれら経由地点を通過する走行経路を求めることで、プローブデータを収集した車両が走行した道路リンク(走行リンク)の道路リンクIDを得ることができる。この経路探索処理により得られる走行リンクの中には、マッチング点に対応しない道路リンクも含まれる。経路探索の際に考慮される道路リンクの接続関係には、地図データ蓄積部14に格納されている接続道路リンクID情報を用いる。
【0029】
次に、走行した道路リンクと、プローブデータの時刻情報から、プローブデータに対応するマッチング点と次のプローブデータのマッチング点との間を走行した時の平均速度を求め、リンク毎の流入・流出時刻を求める(ステップS60)。2つのマッチング点間の距離は、走行経路上でこの2つのマッチング点に対応した道路リンクに挟まれる各道路リンクの長さと、マッチングの際に求めたマッチングした道路リンクの終端からマッチング点までの距離により求まる。また、2つのマッチング点間を走行するのに要した時間は、夫々のマッチング点に対応するプローブデータの時刻情報の差とする。ここでは、マッチング点間の速度を一定と仮定し、2つのマッチング点間に存在する道路リンクについて接続ノード(リンクの始端ノード,終端ノード)を通過する時刻を求める。これにより、プローブカーが走行した道路リンクのリンクIDとその道路リンクの始端・終端ノードを通過する時刻を求めることができる。ここでの始端ノードを通過する時刻を流入時刻、終端ノードを通過する時刻を流出時刻とする。最後に、走行した道路リンクの道路リンクIDとその流入・流出時刻を、プローブカー走行履歴記憶部20へ格納する(ステップS70)。
【0030】
以上の変換処理は、各車両の1トリップ単位で行う。この1トリップとは、出発地点から目的地点までの走行をいう。例えば、1日の中で、出社時に自宅から会社へ運転し、会社からの帰宅時に会社から自宅へ運転した場合は、2トリップ(自宅から会社,会社から自宅)となり、それぞれについて変換処理を行う。ただし、プローブデータ受信部10から取得したプローブデータがリンク列の場合は、そのままプローブカー走行履歴記憶部20へ格納する。
【0031】
プローブカー走行履歴記憶部20は、プローブデータ処理部15にてプローブデータからリンク列データに変換した走行履歴を蓄積する。図5に、プローブカー走行履歴記憶部20の構成を示す。プローブカー走行履歴記憶部20は、走行履歴を蓄積する複数のテーブル(走行履歴テーブル)が車両ID毎に構成されている。各車両IDのテーブルは、1トリップごとに蓄積され、走行履歴として通過した道路リンクのリンクIDとその道路リンクへの流入時刻を対にして構成される。ここで流出時刻については、次に流入する道路リンクの流入時刻と同じであるため、時に記録しておく必要はない。この時リンクIDは流入時刻順に蓄積される。1トリップの開始・終了は、特別な値をとるトリップ開始フラグ、トリップ終了フラグにより識別される。なお、走行履歴をトリップ毎に区切るためには、トリップ開始フラグ,トリップ終了フラグにいずれか一方があれば良い。走行履歴テーブルは、車両毎に生成されるため、車両の走行距離に応じて、レコード数は異なる。このプローブカー走行履歴記憶部20はオフラインで蓄積されている。以上の処理をオフラインで行う。
【0032】
なお、プローブデータの位置情報が、走行した道路リンクのリンクIDである場合には、S40における処理でマッチング点を道路リンクの中間点にあると仮定し、S60の処理を行えばよい。また、位置情報としてリンクIDが送られてくる場合、時間情報としてそのリンクIDに対応する道路リンクへの流入時刻が送られてくるのであれば、この道路リンクの始端をマッチング点と仮定してS60の処理を行えばよい。あるいは、位置情報としてリンクIDに加え、このリンクIDに対応するリンクのリンク始端(または終端)からの距離が送られ、時刻情報としてその地点の走行時刻(プローブデータの収集時刻)が送られてきた場合には、前述のように、位置情報として緯度・経度の情報が送られてきている場合と同様にS60の処理を行えばよい。
【0033】
突発事象発生情報受信部30は、交通事故,工事,イベントなどの突発事象発生情報を受信する。突発事象発生情報は、事故の目撃者からの連絡,事故や道路工事などの情報を配信している交通情報センタや、事故を処理する警察などの公共機関から送信される通報,プローブデータ,路上センサデータからの情報または、これらプローブデータ,路上センサデータを用いて検出した情報である。突発事象発生情報は、突発事象が発生した時刻にあたる突発事象発生時刻、突発事象が発生した道路リンクのリンクIDである突発事象発生道路リンクID、及びその突発事象により影響を受ける道路リンクの車線方向(上り方向・下り方向・両方向)、発生した突発事象の種類(事故,工事,イベント)、及びその大きさ(程度)を表す情報で構成される。例えば、突発事象発生地点の上り方向の車線が影響を受けるとは、上り方向の車線に、事故車があり、上り車線での通行が難しくなる場合である。突発事象発生場所は、発生した道路リンクのリンクIDまたは、緯度・経度の位置情報である。突発事象発生地点が緯度・経度による位置情報で特定されている場合は、前述のマッチング処理により、対応する道路リンクのリンクIDに変換される。取得した突発事象発生情報は、この突発事象発生情報を受信した時刻である突発事象情報受信時刻を付加して一時的に突発事象情報記憶部35へ格納される。
【0034】
突発事象情報記憶部35は、突発事象発生情報受信部より取得した突発事象情報を格納する。図6に、突発事象情報記憶部35に格納された突発事象情報の構成を示す。格納する情報は、突発事象発生時刻,突発事象情報受信時刻,突発事象発生道路リンクID、及びその方向,突発事象の種類(事故,工事,イベント)、及びその大きさである。
【0035】
走行履歴検索部40は、突発事象発生情報受信部30から取得した突発事象が発生した道路リンクのリンクID(突発事象発生リンクID)を含むトリップを、プローブカー走行履歴記憶部20から検索し、車両毎に突発事象関連テーブルへ出力する。図7に、突発事象発生リンクIDの検索の概念図を示す。突発事象発生リンクID「X」を、プローブカー走行履歴記憶部20を構成する各車両の走行履歴テーブルに記録されている全トリップのリンクIDの中から検索する。リンクID「X」が見つかった場合、リンクID「X」を含むトリップを抽出する。
【0036】
図8に、検索結果を出力する車両毎の突発事象関連テーブルの構成を示す。突発事象関連テーブルは、縦軸にどのリンクから流入してきたかを表わす流入道路リンクID,横軸に通過してきた流入リンクからどのリンクに流出したかを表わす流出道路リンクIDからなる行列で構成される。この行列の要素はトリップ回数が入力される。
【0037】
図9は、プローブカー走行履歴記憶部20から、車両毎の突発事象関連テーブルを作成する処理フローを示す。ここでは、受信した突発事象情報に突発事象発生道路リンクIDとして「X」が格納されていたものとする。始めに、プローブカー走行履歴記憶部20に格納されている各車両の走行履歴テーブルから突発事象地点のリンクID「X」を含むトリップを検索し(ステップS201)、リンクID「X」を含むトリップのリンク列を抽出する(ステップS202)。次に、突発事象関連テーブルを作成する(ステップS203)。この突発事象関連テーブルは、抽出された全てのリンク列を対象とし、縦軸を流入リンクのリンクID、横軸を流出リンクのリンクIDとした(全走行リンク数×全走行リンク数)のテーブルである。ここで、流入リンクのリンクIDと流出リンクのリンクIDは同じ順番で並んでいるものとし、リンクIDが「N」の流入リンクまたは流出リンクにおけるインデックス(テーブルにおける行又は列の位置)をIndex(N)と表わすものとする。更に初期化のために、このテーブルの全ての要素に「0」を格納する。以下では、この要素「0」を更新していく。
【0038】
次に、抽出した全てのトリップについて処理したかどうかを判定する(ステップS204)。全てのトリップを処理した場合(ステップS204のYes)、処理を終了する。全てのトリップを処理していない場合(ステップS204のNo)、新しく1つのトリップを選択し、そのトリップの始まりのリンクIDが「I」のテーブルの要素(Index(I),Index(I))に「1」を加える(ステップS205)。選択しているトリップについては、時系列順に整列した全てのリンク列を処理したかどうか判定する(ステップS206)。ここでトリップのリンク列における現在処理対象としているリンクIDを「I」とする。全てのリンク列を処理した場合(ステップS206のYes)、S204に戻る。全てのリンク列を処理していない場合(ステップS204のNo)、対象のトリップにおいて、処理対象としているリンクID「I」の道路リンクの次に走行した道路リンクが存在するか、即ち次にトリップ終了フラグがセットされていないかを判定する(ステップS207)。次に走行した道路リンクが存在する場合(ステップS205のYes)、そのリンクIDを「J」として、テーブルのIndex(J)番目の流出リンクと一致しているならば、突発事象関連テーブルの要素(Index(I),Index(J))(流入リンクのリンクIDが「I」で流出リンクのリンクIDが「J」の要素)に「1」を加えて(ステップS208)、S206に戻る。次のリンクIDが存在しない場合、即ち次にトリップ終了フラグがセットされている場合(ステップS207のNo)、リンクIDが「I」の道路リンクでトリップが終了したとし、S204に戻る。以上の処理を、同じ車両の全てのトリップについて行う。
【0039】
例えば、車両ID00003の突発事象関連テーブルの(Index(0001),Index(0002))の要素に「1」がある場合は、検索結果の車両ID「00003」のトリップにリンクIDが「0001」の道路リンクから流入し、リンクIDが「0002」の道路リンクを走行するような走行履歴が1つ含まれることを意味する。(Index(0001),Index(0001))の要素に「1」がある場合は、リンクIDが「0001」の道路リンクはトリップの開始の道路リンクであることを意味する。プローブカー走行履歴記憶部20の検索結果に基づいて、この突発事象関連テーブルを生成する。
【0040】
突発事象発生リンクIDの検索は、同時刻,平日,休日などの日種の条件をつけて検索してもよい。例えば、突発事象発生時刻が平日の「12:00」の場合、プローブカー走行履歴記憶部20から、突発事象発生リンクIDを含むトリップで、かつ突発事象発生リンクへの流入時刻が平日「12:00」を含むものを検索する。この時刻,日種による検索は、プローブカー走行履歴記憶部20の流入時刻,流出時刻を参照して行う。または、突発事象の発生による影響が暫らくの間続くことを想定し、突発事象発生時刻を含む所定の時間間隔の間に突発事象発生リンクIDに流入するトリップを検索してもよい。
【0041】
突発事象地点通過頻度演算部50は、走行履歴検索部40から取得した各車両の突発事象関連テーブルから、突発事象地点通過頻度を演算し、突発事象地点通過頻度テーブルを生成する。図10に突発事象地点通過頻度テーブルを示す。突発事象地点通過頻度テーブルは突発事象関連テーブルと同様のフォーマットであり、M×Mのテーブル(Mは、突発事象地点通過頻度テーブルに流入リンクまたは流出リンクに含まれるリンクIDの総数)となる。突発事象地点通過頻度テーブルは、その要素数が大きい流出リンクほど、蓄積した走行履歴から見て、突発事象地点を通過する車両に関しては通過頻度が高い道路リンクであると言える。
【0042】
図11に、突発事象関連テーブルから突発事象地点通過頻度テーブルを生成する処理フローを示す。始めに、走行履歴検索部40から、車両毎の突発事象関連テーブルを取得する(ステップS101)。そして取得した全ての突発事象関連テーブルを処理したかどうかを判定する(ステップS102)。全ての突発事象関連テーブルについて処理した場合(ステップS102のYes)は、処理を終了する。全ての突発事象関連テーブルについて処理していない場合(ステップS102のNo)は、残っている未処理の突発事象関連テーブルから新しく次の突発事象関連テーブルを選択する(ステップS103)。次に、処理中の1つの突発事象関連テーブルについて、その全要素を処理したかどうかを判断する(ステップS104)。処理中の突発事象関連テーブルの全要素について処理した場合(ステップS104のYes)は、S102へ移動する。突発事象関連テーブルの要素について、処理を行っている場合(ステップS104のNo)は、今の突発事象関連テーブルからまだ処理していない新しい要素を1つ選択する(ステップS105)。そして選択した要素について、突発事象地点通過頻度テーブルに、対象となる流入リンク/流出リンクが一致する要素が存在するかどうかを判断する(ステップS106)。対象要素が存在する、即ち、突発事象関連テーブルから選択した要素と流入リンク/流出リンクのリンクIDが共に一致する要素が、突発事象地点通過頻度テーブルに存在する場合(ステップS106のYes)は、突発事象地点通過頻度テーブルの対応する要素に突発事象関連テーブルの要素の値を加算し、S104へ移動する(ステップS108)。一方、対象の要素が存在しない場合(ステップS106のNo)は、対応する要素を突発事象地点通過頻度テーブルに追加し、要素の追加に伴い挿入された行又は列の他の要素は「0」で埋めて、S104へ移動する(ステップS107)。1番目の突発事象関連テーブルを処理する場合、突発事象地点通過頻度テーブルは1番目の突発事象関連テーブルと同じものとなる。
【0043】
図12に、ステップS106,S107,S108の処理を説明した図を示す。突発事象関連テーブルの要素(Index(001),Index(X))=1を対象としたとき、突発事象地点通過頻度テーブルには(Index(001),Index(X))=0が存在するので(ステップS106のYes)、その要素に1を加えて(Index(001),Index(X))=1とする(ステップS108)。突発事象関連テーブルの要素(Index(009),Index(X))=1を対象としたとき、突発事象地点通過頻度テーブルには(Index(009),Index(X))の要素が存在しないため(ステップS106のNo)、流入リンクについてリンクIDが009である行を追加し、初期値としてその列の要素を「0」で埋めた後、(Index(009),Index(X))=1とする(ステップS107)。
【0044】
以上の処理フローにより、突発事象が発生した地点を通過したプローブカーの走行履歴における各道路リンクに対する車両の流出頻度を求めた、突発事象地点通過頻度テーブルを作成する。
【0045】
通過頻度情報生成部60は、突発事象情報記憶部35から取得した突発事象情報と、突発事象地点通過頻度演算部50から取得した突発事象地点通過頻度テーブルから、突発事象が発生した地点を過去に通過したプローブカーの走行履歴に基づく各道路リンクの通過頻度情報を生成する。図13に、通過頻度情報生成の模式図を示す。通過頻度情報は、各道路リンクへの車両の総流出台数を、突発事象地点通過頻度テーブルから得られた突発事象発生道路リンク(リンクID「X」)への流出台数で正規化したものである。突発事象地点通過頻度テーブルはM×Mの大きさのテーブルであり、流入リンクのリンクIDが「i」であり流出リンクのリンクIDが「j」の要素を(Index(i),Index(j))として、その要素の数値をT(Index(i),Index(j))としたとき、流出リンク「j」の通過頻度Z(j)は、
Z(j)=(T(1,Index(j))+T(2,Index(j))+…+T(M,Index(j)))
/(T(1,Index(X))+T(2,Index(X))+…+T(M,Index(X)))
…(式1)
である。
【0046】
図14は、突発事象地点通過頻度テーブルから、通過頻度情報を生成する処理フローを示した図である。始めに、突発事象に対応した突発事象通過頻度テーブルを取得する(ステップS301)。次に、突発事象通過頻度テーブルにある流出リンクについて、全て処理したかどうかを判定する(ステップS302)。流出リンクを全て処理していない場合(ステップS302のNo)、未だ処理していない残りの流出リンクから処理対象とする道路リンクを1つ選択し、この処理対象とする流出リンクについて、全ての流入リンクからの通過台数を加算して合計を求める(ステップS303)。全ての流出リンクについて処理した場合(ステップS302のYes)、突発事象地点の流出リンクにおける通過台数の合計値で、他の流出リンクの通過台数の合計値を正規化する(ステップS304)。これは(式1)の処理である。
【0047】
図15は、通過頻度情報の形式を示した図である。通過頻度情報は、道路リンクのリンクIDとその道路リンクの通過頻度により構成される。突発事象が発生した道路リンクの通過頻度は「1」である。そして、この通過頻度が大きな値となる道路リンクは、突発事象発生地点を通過した車両が走行した割合が高い道路リンクである。この突発事象地点の通過頻度情報は、突発事象地点へ向かった車両の台数の割合を表している。そして突発事象地点に近い道路リンクほど、通過頻度が高くなりやすい。そして通過頻度が高い道路リンクは、突発事象地点に向かった車両の台数が多いため、突発事象発生後に影響を受けやすい。このため、突発事象地点の通過頻度と、突発事象発生後の周辺道路リンクが影響を受ける度合いには相関があると言える。突発事象が発生したときに、どの道路リンクが混雑する可能性があるのか、各道路リンクが被る影響をあらわす度合いを影響度とすると、通過頻度を影響度と見なすことができる。
【0048】
以上のように、通過頻度情報を求めることで、突発事象発生地点の周辺道路リンクの影響度を求めることができる。
【0049】
通過頻度情報送信部70は、通過頻度情報生成部60から取得した通過頻度情報を車載端末装置100へ送信する。この送信方法は、無線LAN,携帯電話,DCRCなどの通信、または、FM放送,地上デジタル放送といった放送による。
【0050】
以上の処理を突発事象情報受信後、オンライン処理として行う。
【0051】
車載端末装置100では、通過頻度情報送信部70から送信される通過頻度情報を受信し、突発事象情報を表示する。図16は、車載端末装置100の構成図である。車載端末装置100は、通過頻度情報受信部110,通過頻度情報記憶部120,通過頻度情報表示部130,道路コスト記憶部140,経路探索部150,道路コスト更新部160、の各処理部を含んで構成されている。
【0052】
通過頻度情報受信部110は、センタ装置1の通過頻度情報送信部70から送信された通過頻度情報を受信し、通過頻度情報記憶部120に格納する。通過頻度情報記憶部120は、図15と同じ形式で突発事象情報を記憶する。
【0053】
通過頻度情報表示部130は、通過頻度情報記憶部120から通過頻度情報を受け、車載端末装置100の図示されていないディスプレイ上に、通過頻度情報を表示する。図17は、車載端末装置100に突発事象情報と、突発事象発生地点の周辺道路リンクの通過頻度情報を表示する時の例を表した図である。道路リンクごとの通過頻度の高さに応じて、赤,橙,緑などでレベル分けを行い、表示する。この他にも、通過頻度情報の表示は、線の色相・彩度・明度を変える、線種を変えるなどの表示手法がある。なお、この様な通過頻度情報の表示処理によって、例えば、ある程度遠いエリアの突発事象情報と通過頻度情報を見るために、自車位置から地図をスクロールして地図の表示領域を変更した場合でも、各突発事象情報に関して同様に通過頻度が表示される。
【0054】
道路コスト記憶部140は、車載端末装置100における経路探索時に使用する。ここで記憶されている道路コストとは、道路固有の長さ,走りやすさ,現在・過去の交通情報から予測される通過時間などを数値化したものである。図18に、道路コスト記憶部の構成図を示す。道路コストは、地図メッシュ単位で管理され、その地図メッシュに属するリンクIDとそのリンクコストから構成される。地図メッシュとは、地図を緯度・経度に基づいて網の目上に区画する方法である。2次メッシュとは緯度差5分、経度差7分30秒で一辺の長さが約10kmのメッシュデータである。また3次メッシュは2次メッシュを緯度方向及び経度方向に10等分してできる区域であり、緯度差30秒、経度差45秒で、一辺の長さが約1kmである。また地図メッシュ以外に、複数本のリンクで構成される集合により道路コストを管理してもよく、2次メッシュ,3次メッシュ,4次メッシュなどの地図メッシュの他に、都道府県などの行政区域,高速道路,都市高速道路,国道,一般道などの道路種別、またはこれらの組合せを単位として道路コストを管理することも可能である。
【0055】
経路探索部150は、車載端末装置100では入力部170により目的地を設定し、道路コスト更新部160にて更新された道路コストを用いて、目的地までの経路探索を行う。目的地までの経路探索には、複数の経路候補の中から、全道路リンクコストの和で最小となる経路の道路リンクを選択する。
【0056】
道路コスト更新部160は、道路コスト記憶部140と通過頻度情報記憶部120から、道路コストを更新し、経路探索部に更新した道路コストを送信する。
【0057】
図19はルート探索時に、通過頻度情報を道路のコストデータに反映させる処理フローを示している。始めに、経路探索部150にて、入力部170から指定された、自車位置から経路探索する目的地が設定される(ステップS401)。この時、車載端末装置100は目的地を道路リンクIDとして持つ。次に、道路コスト更新部160にて、道路コスト記憶部140に格納されている道路コストのデータを取得する(ステップS402)。この道路コストのデータは、道路メッシュ単位で取得される。このとき道路コスト記憶部140から取得される道路メッシュは、自車位置から目的地までに通過する地図メッシュとその周辺である。例えば、自車位置と目的地のそれぞれに対応した道路リンクを対角の頂点とした矩形領域を覆う範囲の地図メッシュを取得する。また、取得した道路コストの中から1つリンクIDを選択する。次に、通過頻度情報記憶部120に記憶されている通過頻度情報の中から、ステップS402の処理によって道路コスト記憶部140から取得したいずれかの地図メッシュ内に含まれている道路リンクのリンクIDと一致する道路リンクについて、そのリンクIDと通過頻度を取得する(ステップS403)。
【0058】
次に、ステップS403では、道路コスト記憶部140から取得した道路コストに含まれる、全てのリンクIDについて処理したかどうかを判定する(ステップS404)。全てのリンクIDを処理した場合(ステップS404でYes)、通過頻度情報を道路コストのデータに反映させる処理を終了する。
【0059】
全てのリンクIDを処理していない場合(ステップS404でNo)、道路コストのデータから選択されたリンクIDが、通過頻度情報に含まれる道路リンクのリンクIDのいずれかに一致するかどうかを判定する(ステップS405)。一致しない場合(ステップS405のNo)、次に処理する道路コストのデータのリンクIDを選択して、ステップS404へ進む。一致した場合(ステップS405のYes)、道路の通過頻度情報を変換して、道路コストのデータに反映させる(ステップS406)。ここでは、一致したリンクIDの通過頻度情報を、道路リンクにおいてそのリンクIDに対応するリンクコストに変換する。リンクID毎の通過頻度は、その値を定数倍することで、リンクコストに変換される。例えば、リンクIDが一致した道路リンクの通過頻度が「0.5」の場合、その値を10倍することで、リンクコストを「5」とする。さらに、通過頻度から変換したリンクコストと、ステップS402で取得した道路コストにおけるリンクコストのデータとの和を取り、該当する道路リンクの新しいリンクコストとする。次にステップS404へ進む。以上の処理フローにより、通過頻度情報を反映した道路コストを求めることができる。
【0060】
以上の処理フローにおいて、通過頻度情報から変換した道路のコストデータが大きく、そのコストデータを用いて経路探索をした場合、車載端末装置100は、突発事象地点の迂回ルートを運転者に提供することができる。
【0061】
以上に説明した実施形態によれば、プローブカーの走行履歴を用いて、突発事象発生地点の周辺リンクの通過頻度を求めることができる。さらにこの通過頻度情報を、車載端末装置100に配信することで、ユーザーに突発事象が発生してから影響の受けやすい道路リンクを提示することができる。ユーザーは、この通過頻度情報を見て、自ら迂回ルートを決めて運転し、また車載端末装置100は、通過頻度情報をルート探索の道路のコストデータに反映させることで、効率的に突発事象地点を回避することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】交通情報システムの全体図である。
【図2】プローブデータの構成を示す図である。
【図3】地図データ蓄積部の構成を示した図である。
【図4】プローブデータから、リンク列データへ変換する処理フローを示した図である。
【図5】プローブカー走行履歴記憶部の構成を示した図である。
【図6】突発事象情報のデータ構成を説明する図である。
【図7】突発事象発生リンクIDの検索の概念図である。
【図8】突発事象関連テーブルの構成を示した図である。
【図9】プローブカー走行履歴記憶部から、突発事象関連テーブルを作成する処理フローを示した図である。
【図10】突発事象地点通過頻度テーブルを示した図である。
【図11】突発事象地点通過頻度テーブルを生成する処理フローを示した図である。
【図12】突発事象地点通過頻度テーブルの生成手順を説明した図である。
【図13】通過頻度情報の生成を説明した図である。
【図14】突発事象地点通過頻度テーブルから、通過頻度情報を生成する処理フローを示した図である。
【図15】通過頻度情報の構成を示す図である。
【図16】車載端末装置の構成図である。
【図17】車載端末装置に突発事象情報と道路リンクの通過頻度情報との表示例を示した図である。
【図18】道路コストの構成を示す図である。
【図19】ルート探索時に、通過頻度情報を道路コストのデータに反映させる処理フローを示した図である。
【符号の説明】
【0063】
1 センタ装置
10 プローブデータ受信部
14 地図データ蓄積部
15 プローブデータ処理部
20 プローブカー走行履歴記憶部
30 突発事象発生情報受信部
35 突発事象情報記憶部
40 走行履歴検索部
50 突発事象地点通過頻度演算部
60 通過頻度情報生成部
70 通過頻度情報送信部
100 車載端末装置
110 通過頻度情報受信部
120 通過頻度情報記憶部
130 通過頻度情報表示部
140 道路コスト記憶部
150 経路探索部
160 道路コスト更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報センタにおいて、
プローブカーが送信する走行履歴情報と突発事象の発生情報とを受信して蓄積し、
蓄積した前記プローブカーの走行履歴情報から、前記突発事象が発生した道路リンクを含む走行履歴情報を抽出し、
抽出された走行履歴情報に含まれる各道路リンクを走行した走行頻度を求め、
当該各道路リンクの走行頻度を前記突発事象が発生した道路リンクを通過したプローブカーの合計台数で正規化した通過頻度情報を生成し、
前記通過頻度情報を車載端末装置に配信し、
前記車載端末装置では、前記通過頻度情報を表示すること
を特徴とする交通情報表示方法。
【請求項2】
請求項1において、前記プローブカーの走行履歴情報は、プローブカー毎に出発地と目的地の組合せ毎に蓄積することを特徴とする交通情報表示方法。
【請求項3】
請求項1において、前記プローブカーの走行履歴情報から、前記突発事象発生地点を含む走行履歴情報を抽出する際には、指定された平日・休日の日種および時間帯に該当する走行履歴情報を抽出することを特徴とする交通情報表示方法。
【請求項4】
請求項1において、前記通過頻度情報を、前記車載端末装置に表示する際に、道路リンクの通過頻度の高低に応じて、該当する前記道路リンクの線の色彩,彩度,明度を変えて表示をすることを特徴とする交通情報表示方法。
【請求項5】
走行履歴情報を送信する複数のプローブカーと、突発事象の発生情報を受信する突発事象情報受信装置と、前記プローブカーからの走行履歴情報を蓄積する走行履歴情報蓄積装置とを備えた交通情報センタからなる交通情報システムにおいて、
前記交通情報センタは、
前記走行履歴情報蓄積装置から前記突発事象が発生した道路リンクを含む走行履歴情報を抽出する突発事象発生地点抽出装置と、
前記突発事象発生地点抽出装置から抽出された走行履歴情報に含まれる道路リンク毎に走行頻度を求め、各道路リンク毎の走行頻度を前記突発事象が発生した道路リンクを通過したプローブカーの合計台数で正規化した通過頻度情報を生成する通過頻度情報生成装置と、
前記通過頻度情報を車載端末装置に配信する頻度情報配信装置と、
を備え、
前記車載端末装置は、前記頻度情報配信装置から受信した前記通過頻度情報を表示する表示装置を有することを特徴とする交通情報システム。
【請求項6】
請求項5において、前記走行履歴情報蓄積装置は、プローブカー毎に出発地と目的地の組合せ毎の走行履歴情報を蓄積することを特徴とする交通情報システム。
【請求項7】
請求項5において、前記突発事象発生地点抽出装置は、前記走行履歴情報蓄積装置から、突発事象発生地点を含む走行履歴を抽出するため、平日・休日の日種および時間帯を指定する機能を有することを特徴とする交通情報システム。
【請求項8】
請求項5において、前記表示装置は、前記通過頻度情報を前記車載端末装置に表示する際に、道路リンクの通過頻度の高低に応じて、該当する前記道路リンクの線の色彩,彩度,明度を変えて表示する機能を有すること
を特徴とする交通情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−163584(P2009−163584A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1749(P2008−1749)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】