説明

交通情報配信方法、交通情報配信装置および車載端末装置

【課題】配信する情報量を削減するとともに、情報配信の信頼性を向上させる。
【解決手段】交通情報配信装置1は、交通情報取得部12が取得、または、交通情報予測部13が生成した交通情報に、日時情報(識別情報)を付して交通情報DB13に蓄積しておく。その後、交通情報配信装置1は、車載端末装置5から送信される配信要求情報を受信すると、その配信要求情報に含まれている車載端末装置5が保持する基準交通情報の日時情報に基づき、交通情報DB13からその基準交通情報と同じ日時情報の交通情報を読み出す。そして、差分交通情報生成部18により、その読み出した交通情報、つまり、車載端末装置5が保持する基準交通情報とそのとき配信予定の交通情報との差分交通情報を生成し、その生成した差分交通情報を、前記配信要求情報の応答情報として車載端末装置5へ配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路交通状況に係る交通情報をカーナビ装置に配信する交通情報配信方法および交通情報配信装置、並びに、その配信された交通情報を受信し、表示装置に表示する車載端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、国内には、道路交通状況に係る交通情報を車両に配信するシステムとして、財団法人道路交通情報通信システムセンター(以下、VICS(登録商標)センターという)が運営するVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)がある。VICS(登録商標)においては、都道府県警察や道路管理者が管理する路上センサ(超音波感知器、ループコイル感知器、光ビーコン、撮像装置など)によって収集されたリアルタイムの交通情報に基づき、道路の渋滞情報や旅行時間などの交通情報が集計され、その集計された交通情報が、光または電波ビーコンなどの狭帯域通信手段やFM多重放送などの広帯域通信手段によって、車両に搭載された端末装置に配信される。
【0003】
近年では、車両へのカーナビ装置の搭載が普及したため、VICS(登録商標)の端末装置が単独で用いられることは少なく、カーナビ装置がその端末装置を兼ねることが多くなった。また、カーナビ装置に対しては、VICS(登録商標)が提供する交通情報だけでなく、車両の個々のドライバの要求に応じて、携帯電話の通信網を含むインターネットを介して、VICS(登録商標)が提供する交通情報を加工して付加価値を高めた交通情報(例えば、予測交通情報など)の配信が行われている。
【0004】
ところで、VICS(登録商標)においては、交通情報提供可能なリンクは、路上センサの設置の有無に依存するため、予め定められたリンクに限定される(これを、以下、VICS(登録商標)リンクという)。VICS(登録商標)リンクは、新たな道路整備や路上センサの設置などにより、年々増加しており、また、交通状況のプローブ技術の開発により、VICS(登録商標)リンクでないリンクの交通情報の収集や提供も可能になってきた。すなわち、交通情報配信センタからカーナビ装置へ配信する交通情報の量は、今後も増加の一途をたどると予想される。従って、今後は、交通情報配信センタからカーナビ装置へ配信する交通情報の量を削減することが求められることになる。
【0005】
ちなみに、特許文献1には、交通情報提供センタからカーナビ装置へ配信する交通情報の量を削減する方法として差分配信を用いる技術が開示されている。その差分配信においては、交通情報を配信するときには、以前に配信した交通情報と異なる交通情報(差分情報)のみを配信するようにしている。この場合、差分情報を配信するので、全情報を配信するのに比べ、配信する情報の量を削減することができる。
【特許文献1】特開2006−84257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、差分情報を繰り返して配信する場合、端末装置がある時点で差分情報の受信に失敗したときには、その差分情報による情報再生が正しくできないだけでなく、それ以降の差分情報の受信に成功したとしても、その情報再生を正しく行うことができなくなる場合が生じる。そのとき、その情報再生を正しく行うことができるようにするためには、交通情報配信センタは、カーナビ装置が保持している交通情報のバージョンまたは日時情報を管理しておく必要がある。
【0007】
ところで、交通情報配信センタからカーナビ装置へ交通情報を差分配信する場合には、その間の情報通信が無線の電波によって行われるので、例えば、車両がトンネル内など電波の受信状態が安定しないところを走行しているときには、カーナビ装置は、配信される交通情報の受信に失敗する可能性のほうが大きい。
【0008】
しかしながら、特許文献1をはじめ従来技術においては、差分情報の基準となる情報のバージョン管理のみならず、カーナビ装置が保持している交通情報のバージョン管理についてなんら注意が払われていない。これでは、交通情報配信センタからカーナビ装置へ差分の交通情報を配信し、その配信に失敗したときには、カーナビ装置でその情報再生ができなくなる事態がしばしば生じることになると予想される。
【0009】
以上の従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、カーナビ装置などの車載端末装置への交通情報の配信において、配信する情報量を削減するとともに、その情報配信の信頼性を向上させることが可能な交通情報配信方法、交通情報配信装置および車載端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の交通情報配信装置においては、(1)交通情報を取得または生成したとき、その交通情報に所定の識別情報を付し、その識別情報を付した交通情報を記憶装置に蓄積する交通情報蓄積手段と、(2)車載端末装置から送信され、その車載端末装置がそのとき保持する基準交通情報に付された識別情報を含んだ配信要求情報を、受信する配信要求情報受信手段と、(3)前記受信した配信要求情報に含まれる前記基準交通情報に付された識別情報と同じ識別情報が付され、前記記憶装置に蓄積されている交通情報と、そのとき配信予定の交通情報と、の差分交通情報を生成する差分交通情報生成手段と、(4)前記生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信手段と、を備えるようにした。
【0011】
すなわち、本発明の交通情報配信装置においては、取得または生成した交通情報に所定の識別情報を付し、その識別情報を付した交通情報を交通情報蓄積手段に蓄積し、その識別情報を付した交通情報を車載端末装置へ送信する。車載端末装置は、その交通情報を受信し、基準交通情報として保持する。その後、車載端末装置は、その基準交通情報に付された識別情報を含んだ送信要求情報を、交通情報配信装置へ送信する。交通情報配信装置は、その送信要求情報を受信し前記配信要求情報に含まれる識別情報によって指定される交通情報と、そのとき配信予定の交通情報と、の差分交通情報を生成し、その生成した交通情報を車載端末装置に配信する。
【0012】
つまり、交通情報配信装置の交通情報蓄積手段には、識別情報が付されてそれぞれ識別可能な交通情報が蓄積されているので、車載端末装置は、自らが保持する交通情報の識別情報を配信要求情報に含めることにより、その識別情報によって指定される交通情報を基準交通情報とした差分交通情報の配信を受けることができる。従って、交通情報配信装置は、配信する交通情報の量を削減することができる。また、車載端末装置は、一時的な電波障害などにより差分交通情報の受信に失敗したとしても、基準となる交通情報を保持している限り、再度、配信要求情報にその識別情報を含めて差分交通情報の配信を求めることができるので、差分交通情報配信の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カーナビ装置などの車載端末装置への交通情報の配信において、配信する情報量を削減することができ、かつ、その情報配信の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通情報配信装置および車載端末装置のブロック構成、並びに、それらが適用される交通情報配信システムの全体構成の例を示した図である。図1に示すように、第1の実施形態における交通情報配信システムは、交通情報配信装置1と、交通情報センタ2と、インターネットや公衆電話回線網などを含む通信ネットワーク3と、携帯電話などの基地局4と、車両6に搭載された車載端末装置5と、を含んで構成される。
【0016】
ここで、交通情報センタ2は、例えば、VICS(登録商標)のセンタコンピュータであり、道路に設置した路上センサから得られる情報を収集し、その収集した情報をリアルタイムで処理して、現況の道路の交通情報(リンク旅行時間や渋滞長など)として、所定の時間ごとに交通情報配信装置1へ配信する。交通情報配信装置1は、交通情報センタ2から配信される交通情報を受信し、蓄積するとともに、車載端末装置5からの要求に応じてその蓄積した交通情報を適宜処理して交通情報配信装置1に配信する。
【0017】
なお、ここでいう交通情報とは、各道路リンクにおけるリンク旅行時間、渋滞長などのほか、各リンクの交通規制、工事、事故や災害の有無などの情報、さらには、駐車場や施設の空満情報、料金所、サービスエリアやその他の施設の運用情報(運用中、休止中、閉鎖中など)を含む。また、その交通情報の種別としては、現況交通情報と、その現況交通情報を統計処理して生成と統計交通情報と、その統計交通情報に基づき予測処理して生成した予測交通情報と、を含む。
【0018】
以下、図1を参照して、交通情報配信装置1および車載端末装置5の構成および機能について詳しく説明する。なお、以下の説明においては、簡単のため、交通情報は、現況交通情報とするが、現況交通情報、統計交通情報または予測交通情報のいずれであってもよい。また、交通情報は、その交通情報が属する日時の日時情報を識別情報として管理されるものとするが、その識別情報は、日時情報に代えて、文字列データ、イメージデータ、バイナリデータなどを用いてもよい。さらに、識別情報は、日時情報のほか、必要に応じて、交通情報の種別(現況交通情報、統計交通情報、予測交通情報など)を指定するための情報、エリアを指定するためのメッシュコードなどの情報を含んでもよい。
【0019】
交通情報配信装置1は、通信ネットワーク3に接続される通信装置(図示せず)を備えたコンピュータによって構成される。そして、そのコンピュータには、通信インターフェース部11、交通情報取得部12、交通情報データベース(以下、交通情報DBという)13、交通情報予測部14、配信要求情報受信部15、日時情報比較部16、配信モード設定部17、差分交通情報生成部18、交通情報配信部19などの機能ブロックを含んで構成される。
【0020】
なお、交通情報配信装置1を構成するコンピュータは、少なくとも演算処理装置と半導体メモリやハードディスク装置などからなる記憶装置とを備える。そして、前記した交通情報配信装置1を構成する各機能ブロック11〜19の機能は、その演算処理装置が記憶装置に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0021】
通信インターフェース部11は、通信ネットワーク3に対する通信制御を行うとともに、通信ネットワーク3を介して交通情報センタ2または車載端末装置5との間でデータの送受信を行う。交通情報取得部12は、交通情報センタ2から所定の時間ごと(例えば、5分ごと)に配信される現況交通情報を、通信インターフェース部11を介して取得し、そのときの日時情報を付してその取得した現況交通情報を交通情報DB13に蓄積する。
【0022】
交通情報DB13には、日時情報が付された現況交通情報が蓄積されるほか、図示しない統計交通情報生成部によってその現況交通情報を統計処理して得られる、例えば、日種ごとに時間帯あるいは時刻ごとの統計交通情報が蓄積される。交通情報予測部14は、交通情報取得部12によって取得される現況交通情報と交通情報DB13に蓄積された統計交通情報とに基づき、そのときの時刻より後の時刻における交通情報を予測し、その予測した交通情報を交通情報DB13に蓄積する。
【0023】
このとき、交通情報DB13に蓄積される交通情報には、その交通情報が属する日時情報が付され、その日時情報は、交通情報DB13に蓄積されるそれぞれの交通情報を識別する識別情報として利用される。ここで、日時情報とは、交通情報が現況交通情報の場合には、その現況交通情報が取得されたときの日時を示す情報であり、交通情報が統計交通情報の場合には、その交通情報の統計の対象日時の日種および時間帯を示す情報であり、交通情報が予測交通情報の場合には、その予測交通情報が予測された時点の日時を示す情報である。
【0024】
配信要求情報受信部15は、車載端末装置5から送信される配信要求情報を受信する。配信要求情報は、車載端末装置5が交通情報配信装置1に対して交通情報の配信を求めるための情報であり、その配信要求情報は、車載端末装置5がそのとき基準交通情報として保持している交通情報(以下、端末保持基準交通情報という)に付された日時情報(つまり、端末保持基準交通情報の識別情報)を含んでいる。従って、車載端末装置5は、自らが保持している基準交通情報に付された日時情報(識別情報)を交通情報配信装置1に知らせることができる。
【0025】
日時情報比較部16は、前記の配信要求情報に含まれている端末保持基準交通情報に付された日時情報と、交通情報DB13に蓄積された交通情報のうち、そのとき配信予定の交通情報(最新交通情報)に付された日時情報とを比較し、その時間間隔を求める。
【0026】
配信モード設定部17は、交通情報配信装置1が車載端末装置5へ交通情報配信するときの配信モードを設定する。その場合、配信要求情報に端末保持基準交通情報の日時情報が含まれ、日時情報比較部16により求めた時間間隔が所定の時間間隔(例えば、2時間など)未満であり、かつ、交通情報DB13に端末保持基準交通情報の日時情報と同じ日時情報が付された交通情報が存在したときには、配信モードとして差分情報配信モードを設定する。また、それ以外であったときには、配信モードとして全情報配信モードを設定する。
【0027】
差分交通情報生成部18は、配信モード設定部17によって差分情報配信モードが設定されたとき、交通情報DB13から、端末保持基準交通情報に付された日時情報と同じ日時情報が付された交通情報と、そのとき配信予定の交通情報(最新交通情報)と、を読み出し、その差分交通情報を生成する。差分交通情報生成部18は、さらに、端末保持基準交通情報に対する配信予定の交通情報の差分量、つまり、情報の乖離度を、例えば、差分比などの指標を用いて評価する。そして、その差分比が所定の値以上であったときには、配信モード設定部17は、いったん差分情報配信モードに設定した配信モードを全情報配信モードに設定し直す。
【0028】
交通情報配信部19は、配信モード設定部17によって差分情報配信モードが設定されたとき、差分交通情報生成部18によって生成した差分交通情報を車載端末装置5に配信し、配信モード設定部17によって全情報配信モードが設定されたとき、そのときの最新交通情報の全情報を車載端末装置5に配信する。
【0029】
一方、車両6に搭載される車載端末装置5は、本体部51、表示部52、携帯電話機53、GPS(Global Positioning System)受信機54などを含んで構成される。
【0030】
本体部51は、演算処理装置(図示せず)、記憶装置56、可搬記憶メディア接続アダプタ55などを含んで構成されたコンピュータである。ここで、記憶装置56は、半導体メモリやハードディスク装置などによって構成される。また、可搬記憶メディア接続アダプタ55は、DVD(Digital Versatile Disk)などのドライブ装置やフラッシュメモリを内蔵したUSB(Universal Serial Bus)メモリのリーダ・ライタなどによって構成される。また、本体部51は、このほかにも入力装置として、種々のスイッチやボタン、タッチパネル、リモコン装置、音声マイクなどを、また、出力装置として音声スピーカなどを備えてもよい。
【0031】
表示部52は、LCD(Liquid Crystal Display)などによって構成され、本体部51が出力する地図情報や交通情報などを表示する。また、携帯電話機53は、基地局4との間で無線通信を行い、基地局4および通信ネットワーク3を介して、車載端末装置5を交通情報配信装置1にデータ通信可能なように接続する。また、GPS受信機54は、図示しないGPS衛星からの電波を受信して、車両6の現在位置を検出する。
【0032】
また、本体部51は、通信インターフェース部511、基準交通情報受信部512、差分交通情報受信部513、交通情報再生部514、交通情報記憶部515、配信要求情報送信部516、設定情報入力処理部518、交通情報表示処理部519および入出力インターフェース部520などの機能ブロックを含んで構成される。これら本体部51の機能ブロックは、図示しない演算処理装置が記憶装置56に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0033】
通信インターフェース部511は、携帯電話機53に対する通信制御を行うとともに、基地局4および通信ネットワーク3を介して交通情報配信装置1との間でデータの送受信を行う。入出力インターフェース部520は、GPS受信機54や図示しないスイッチやボタンなどからの入力情報を入力するとともに、表示部52へ地図や交通情報などの表示情報を出力する。
【0034】
基準交通情報受信部512は、交通情報配信装置1が全情報配信モードで送信する日時情報が付された交通情報を受信し、その日時情報が付された交通情報を新たな基準交通情報として交通情報記憶部515に記憶させる。このとき、交通情報記憶部515がそれまで記憶していた基準交通情報は、古い基準交通情報として破棄する。なお、交通情報記憶部515が記憶するこの基準交通情報は、交通情報配信装置1から見た場合には、端末保持基準交通情報に相当する。
【0035】
差分交通情報受信部513は、交通情報配信装置1が差分配信モードで送信する日時情報が付された差分交通情報を受信する。
【0036】
交通情報再生部514は、差分交通情報受信部513が受信した差分交通情報と交通情報記憶部515に記憶されている基準交通情報とに基づき、所定の交通情報の全情報を再生し、その再生した交通情報を交通情報記憶部515に記憶させる。このとき、交通情報再生部514は、交通情報記憶部515がそれまで記憶していた基準交通情報を破棄し、前記再生した交通情報に前記差分交通情報に付された日時情報を付した交通情報を新たな基準交通情報とする。
【0037】
なお、交通情報再生部514は、それまでの基準交通情報を破棄せず、そのまま基準交通情報としておいたとしても構わない。ただし、その場合には、交通情報記憶部515には、基準交通情報と交通情報再生部514によって再生された新たな交通情報とが併存することになるが、表示部52への表示など、現実には、新たな交通情報が使用される。
【0038】
配信要求情報送信部516は、配信要求情報を交通情報配信装置1に送信し、交通情報配信装置1に対して最新交通情報の送信を求める。このとき、その配信要求情報には、前記したように、交通情報記憶部515に記憶されている基準交通情報の日時情報、配信モードを指定する情報、エリアを指定するためのメッシュコード、交通情報の種別(現況交通情報、統計交通情報、予測交通情報など)情報などが含まれていてもよい。
【0039】
設定情報入力処理部518は、入出力インターフェース部520を介してスイッチやボタンなどから入力される情報に基づき、配信モードを指定する情報などの種々の設定情報を設定する。
【0040】
交通情報表示処理部519は、交通情報記憶部515に記憶されている最新の交通情報や図示しない地図情報などに基づき、車両6の自車位置近傍の地図や交通情報などの表示情報を生成し、その表示情報を入出力インターフェース部520を介して表示部52へ出力する。
【0041】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る交通情報配信装置1および車載端末装置5における交通情報配信の処理フローの例を示した図である。なお、図2の説明においては、配信する交通情報は、現況交通情報、つまり、交通情報配信装置1が蓄積している交通情報のうち最新の交通情報であるとする。また、その交通情報を識別する識別情報は、日時情報であるとする。
【0042】
図2において、交通情報配信装置1における配信処理は、車載端末装置5が所定の配信要求情報を送信する(ステップS01)ことによって開始される。このとき、その配信要求情報には、交通情報記憶部515に記憶されている基準交通情報に付された日時情報と設定情報入力処理部518によって設定された配信モードを指定する配信モード指定情報とが含まれているとする。
【0043】
ここで、配信モード指定情報とは、交通情報配信装置1に対し、交通情報を配信するとき差分配信にするかまたは全情報配信にするかの配信モードを指定する情報である。配信モード指定情報の設定は、車両6のドライバによって行われる。なお、この情報によって全情報配信が指定されたときには、交通情報は必ず全情報が配信されるが、差分配信が指定されたときには、必ずしも差分配信が行われるわけではない。交通情報配信装置1は、ステップS11以降で説明するように、基準となる交通情報と配信しようとしている交通情報とを比較して、差分配信が適切と判断したときには差分配信を行い、そうでないときには全情報配信を行う。
【0044】
なお、車載端末装置5に基準交通情報がない場合や、基準交通情報があってもそれが明らかに古い(例えば、1年前のものがある)場合には、車載端末装置5は、交通情報配信装置1に対し、新たな基準交通情の配信を求める必要がある。そのような場合には、車載端末装置5は、配信モード指定情報に全情報配信を指定することにより、そのとき最新の交通情報、つまり、基準交通情報の配信を求めることができる。
【0045】
続いて、交通情報配信装置1を構成するコンピュータの演算処理装置は、車載端末装置5から送信される配信要求情報を受信する(ステップS11)と、受信した配信要求情報の配信モード指定情報を参照して、差分配信が指定されているか否かを判定する(ステップS12)。その結果、差分配信が指定されていたときには(ステップS12でYes)、その演算処理装置は、配信要求情報に含まれている車載端末装置5の基準交通情報に付された日時情報、つまり、端末保持基準交通情報の日時情報と、交通情報配信装置1がそのとき保持している最新交通情報の日時情報とを比較する(ステップS13)。その結果、両者の日時情報が所定の時間間隔(例えば、2時間)未満であったときには(ステップS14でYes)、演算処理装置は、さらに、交通情報DB13に端末保持基準交通情報の日時情報と同じ日時情報の交通情報が存在するか否かを判定する(ステップS15)。そして、その判定の結果、同じ日時情報の交通情報が存在したときには(ステップS15でYes)、車載端末装置5が差分配信可能で、かつ、差分配信にふさわしい基準交通情報を保持していると判断されるので、演算処理装置は、配信モードとして差分配信モードを設定し、ステップS16以下の処理を実行する。
【0046】
一方、差分配信が指定されていなかったとき(ステップS12でNo)、端末保持基準交通情報の日時情報と交通情報配信装置1の最新交通情報の日時情報とが所定の時間間隔以上であったとき(ステップS14でNo)、または、交通情報DB13に端末保持基準交通情報の日時情報と同じ日時情報の交通情報が存在しなかったとき(ステップS15でNo)には、演算処理装置は、配信モードとして全情報配信モードを設定し、車載端末装置5へそのときの最新交通情報を全情報配信する(ステップS22)。
【0047】
また、差分配信モードが設定されたときには、演算処理装置は、端末保持基準交通情報の日時情報と同じ日時情報の交通情報、つまり、端末保持基準交通情報と最新交通情報との差分量を評価し(ステップS16)、その差分量が所定の差分比未満であったときには(ステップS17でYes)、さらに、その差分量が0であるか否かを判定する(ステップS18)。その結果、差分量が0でなかったときには(ステップS18でNo)、演算処理装置は、端末保持基準交通情報と最新交通情報との差分交通情報を生成し(ステップS19)、車載端末装置5へその生成した差分交通情報を配信する(ステップS20)。また、差分量が0であったときには(ステップS18でYes)、演算処理装置は、車載端末装置5へそれまで使用していた基準交通情報をそのまま使用し続けることを指示する再利用指示情報を配信する(ステップS21)。
【0048】
一方、ステップS17の判定で、端末保持基準交通情報と最新交通情報との差分量が所定の差分比以上であったときには(ステップS17でNo)、演算処理装置は、配信モードを全情報配信モードに変更して、車載端末装置5へそのとき最新交通情報を全情報配信する(ステップS22)。
【0049】
以上のように、交通情報配信装置1は、車載端末装置5から配信要求情報の送信を受けたときには、車載端末装置5へ最新交通情報の全情報、差分交通情報または再利用指示情報のいずれかの交通情報を配信する。従って、車載端末装置5は、そのいずれかの配信される交通情報を受信し(ステップS02)、その交通情報に応じて、交通情報記憶部515に記憶している基準交通情報を更新する。その処理内容については、別途、後記する。
【0050】
なお、以上に説明した処理フローでは、差分量が0であったとき(ステップS18でYes)、車載端末装置5へ再利用指示情報を配信する(ステップS21)としているが、差分量が0でなくても、差分量がわずか(例えば、差分比が5%以下など)であったときには、再利用指示情報を配信するとしても構わない。
【0051】
図3は、本発明の第1の実施形態における交通情報の模式的な構成の例を示した図である。以下、図3を用いて差分配信の考え方について説明する。ここでは、交通情報としてリンク旅行時間を例としているが、交通情報の例は、渋滞情報など他の交通情報であってもよい。なお、リンクとは、隣接する交差点間を結ぶ道路をいい、リンク旅行時間とは、そのリンクつまり交差点間の道路を車両が走行する所要時間をいう。
【0052】
交通情報としてのリンク旅行時間は、所定の道路網の各リンクに設置された路上センサなどによって取得され、交通情報センタ2(図1参照)に集められた上、交通情報センタ2から所定の時間ごとに交通情報配信装置1へ配信される。従って、交通情報DB13においては、図3に示すように、配信された日時情報(T,T,Tなど)が付された各リンクのリンク旅行時間を1単位の交通情報として順次蓄積される。ここで、1単位の交通情報のそれぞれには、それを識別するために交通情報1,交通情報2,交通情報3などのように識別情報を付す。
【0053】
図3において符号132は、交通情報1と交通情報2との差分交通情報を、符号133は、交通情報1と交通情報3との差分交通情報を表す。差分配信を行うには、配信先の車載端末装置5が基準となる交通情報を保持していることが前提となる。そこで、例えば、交通情報配信装置1が時刻Tで交通情報1の全情報(符号131の太線枠の情報)を車載端末装置5へ送信する。そうすると、交通情報配信装置1は、交通情報1の全情報を基準情報として保持していることになる。従って、交通情報配信装置1は、時刻Tおよび時刻Tでは、それぞれ、交通情報1に対する差分交通情報132および差分交通情報133を送信すればよい。このように差分交通情報を配信することによって、配信する交通情報の量を削減することができる。
【0054】
しかしながら、差分配信によって必ず情報量を削減できるとは限らない。差分量が多い場合には、逆に情報量が増える場合がある。例えば、リンク旅行時間の全情報を配信する場合には、リンク番号順にリンク旅行時間だけを配信すればよいが、差分配信をする場合には、リンク番号とリンク旅行時間とを対にした情報として配信する必要がある。このような場合には、差分量が多いと、差分配信のほうが配信する情報量が増えることになる。
【0055】
そこで、本実施形態では、交通情報配信装置1は、交通情報を配信する前に差分配信が適切か否かを評価する(図2ステップS16)。すなわち、交通情報配信装置1の演算処理装置は、例えば、差分交通情報(符号132,133)における差分として現れたリンク数をカウントし、所定の道路網に含まれる総リンク数に対する比(差分比)を求める。そして、その差分比が所定の値未満のときに、差分配信を行うようにしている。なお、差分配信を行うか否かの差分比の閾値は、交通情報の種類や構成によって、適宜、定めることができ、例えば、50%などに定めてもよい。なお、以上のようにして算出した差分比は、別の表現をすれば、基準となる交通情報と差分配信しようとする交通情報との間の情報の乖離度ということができる。
【0056】
図4は、本発明の第1の実施形態における交通情報の具体的な構成の例を示した図である。交通情報としては、渋滞情報、規制情報、施設(サービスエリアなど)混雑情報など、種々の情報が存在するが、ここでは渋滞情報について説明する。渋滞情報は、リンクの混雑状況を表した情報であり、リンク旅行時間も含まれる。
【0057】
図4に示すように、この例での交通情報は、渋滞情報からなり、その渋滞情報の種別として、現況渋滞情報と予測渋滞情報とがある。従って、この場合には(本実施形態で説明する場合に相当)、渋滞情報=交通情報とみなすことができる。このとき、現況渋滞情報は、情報提供時刻(現況渋滞情報が交通情報センタ2から交通情報配信装置に配信されたたときの日時情報)を有し、予測渋滞情報は、情報提供時刻に加え、予測時刻を有する。すなわち、現況交通情報は、複数の情報提供時刻それぞれに対して存在する。また、予測渋滞情報の場合には、予測の基準とされた現況交通情報の情報提供時刻1つに対して複数の予測時刻が設定され、その各々の予測時刻に対して予測交通情報が存在する。
【0058】
情報提供時刻および予測時刻を有する渋滞情報は、さらに、メッシュ情報を有する。メッシュ情報は、メッシュコード、メッシュ内リンク数などの情報によって構成される。ここで、メッシュとは、全国の地図を所定の大きさのメッシュ状に分割し、その1区画に含まれる地図をいう。従って、リンク数が0のメッシュには、リンク情報は存在しない。また、メッシュ情報は属性情報を有し、その属性情報は、全情報配信/差分情報配信/再利用指示情報配信などの配信形式、データID(交通情報の識別情報)などによって構成される。また、リンク情報は、リンク番号、リンク旅行時間、渋滞度などの情報によって構成され、当該メッシュに含まれるそれぞれのリンクごとに設けられる。
【0059】
以上に示した交通情報の構成において、その実質的な本体部は、メッシュ情報以下の情報、つまり、メッシュコードによって区分され、属性情報とリンク情報とからなる情報である。従って、交通情報の配信において、配信の単位とするのに適切な交通情報は、メッシュコードによって区分される交通情報である。この場合、このメッシュコードによって区分される交通情報のそれぞれには、現況/予測の種別、情報提供時刻、予測時刻(予測交通情報の場合)が付され、それぞれが異なる交通情報として取り扱われる。つまり、交通情報は、現況/予測の種別、情報提供時刻、予測時刻(予測交通情報の場合)、メッシュコードを指定することによって識別することができる。なお、本実施形態の場合には、その識別を容易にするために、メッシュ情報に付随する属性情報として、データIDが設けられており、そのデータIDによってそれぞれの交通情報を識別することができる。
【0060】
図5は、図2に示した交通情報配信装置1における交通情報配信の処理フローを、図4の交通情報の構成に基づき修正した処理フローの例を示した図である。この場合、車載端末装置5が送信する配信要求情報には、どこのエリアの交通情報が欲しいかを示す1以上のメッシュコード、そのそれぞれのメッシュコードに対して、車載端末装置5が保持している基準交通情報の情報提供時刻(日時情報)、全情報配信か差分配信かを指定する情報などの情報が含まれている。
【0061】
そこで、交通情報配信装置1の演算処理装置は、配信要求情報を受信すると(ステップS11)、その配信要求情報に含まれるメッシュコードの1つを選択する(ステップS31)。続いて、演算処理装置は、当該メッシュコードに対応する交通情報を単位として、図2のステップS12〜S22の処理を実行する(ステップS32)。この場合、演算処理装置は、ステップS12〜S22の処理を、ステップS31で選択されたメッシュコードで指定された交通情報を対象に実行するものとする。
【0062】
演算処理装置は、次に、配信要求情報に含まれるメッシュコードの全メッシュコードを選択したか否かを判定し(ステップS33)、全メッシュコードを選択していないときには(ステップS33でNo)、ステップS31〜S33を繰り返して実行する。また、全メッシュコードを選択したときには(ステップS33でYes)、交通情報配信の処理を終了する。
【0063】
なお、以上の処理において処理の単位となる交通情報は、メッシュコードと情報提供時刻(日時情報)とによって指定された通常複数の交通情報であるので、交通情報配信装置1は、そのそれぞれについて、車載端末装置5からの要求に応じて、適宜、全情報配信したり、差分配信したりすることができる。
【0064】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る車載端末装置5における基準交通情報更新の処理フローを示した図である。車載端末装置5(図1参照)が交通情報記憶部515に記憶する基準交通情報を設定または更新しようとするときには、車載端末装置5の図示しない演算処理装置は、まず、配信要求情報を設定し(ステップS50)、その設定した配信要求情報を交通情報配信装置1へ送信する(ステップS01)。
【0065】
このとき、配信要求情報の設定(ステップS50)においては、どこのエリア(どのメッシュコード)の現況または予測の交通情報が欲しいか、全情報配信を求めるか差分配信を求めるかなどの情報を設定する。ここでは、そのメッシュコードの設定は、車両6の現在位置および目的地の情報に基づき、例えば、現在位置を含むメッシュとその所定の範囲に含まれる周辺のメッシュを自動的に選択するなどして、演算処理装置が自動的に行うものとする。一方、全情報配信を求めるか差分配信を求めるかの情報(配信モード指示情報)は、例えば、そのメッシュコード有するメッシュを含む地図を表示させて、その表示した地図上のタッチパネルなどからの入力によってメッシュごとに設定する。その際、メッシュごとに設定するのではなく、すべてのメッシュに対して統一した配信モード指示情報を設定してもよい。また、その設定を行うための入力は、タッチパネルからの入力に限定されることはなく、音声インターフェースやリモコンを用いた入力であってもよい。
【0066】
車載端末装置5の演算処理装置は、次に、配信要求情報の送信に応答して、交通情報配信装置1から配信される交通情報を受信する(ステップS02)。このとき配信される交通情報は、指定されたメッシュの交通情報の全情報か、差分交通情報か、再利用指示情報かのいずれかであり、それを識別する情報は、配信される交通情報のメッシュ情報の属性情報に含まれている(図4参照)。
【0067】
そこで、演算処理装置は、そのメッシュ情報の属性情報に基づき、その種別を判定し、再利用指示情報を受信したときには(ステップS51でYes)、再利用指示情報に含まれているメッシュコードと日時情報(情報提供時刻)とに基づき、当該メッシュコードに対応する基準交通情報の日時情報を更新する(ステップS55)。
【0068】
また、再利用指示情報を受信せず(ステップS51でNo)、差分交通情報を受信したときには(ステップS52でYes)、演算処理装置は、受信した差分交通情報により、その差分交通情報に含まれているメッシュコードに対応する基準交通情報の差分部分を更新する(ステップS53)。そして、その受信した差分交通情報に含まれている日時情報(情報提供時刻)により、基準交通情報の日時情報を更新する(ステップS55)。
【0069】
また、再利用指示情報を受信せず(ステップS51でNo)、差分交通情報を受信しなかったときには(ステップS52でNo)、受信した交通情報は、その交通情報に含まれるメッシュコードで指定されるメッシュの最新交通情報の全情報である。そこで、演算処理装置は、その受信した最新交通情報により対応するメッシュコードの基準交通情報を全面更新する(ステップS54)。そして、その受信した交通情報に含まれている日時情報(情報提供時刻)により、基準交通情報の日時情報を更新する(ステップS55)。
【0070】
以上によって、受信した1つのメッシュの交通情報について、車載端末装置5の基準交通情報の更新を終える。その後、受信した交通情報に、さらに、他のメッシュの交通情報が後続していたときには(ステップS56でYes)、演算処理装置は、ステップS51〜ステップS55の処理を繰り返して実行する。また、受信した交通情報に他のメッシュの交通情報が後続していなかったときには(ステップS56でNo)、演算処理装置は、交通情報の受信処理を終了する。
【0071】
なお、以上の処理フローにおいては、演算処理装置は、差分交通情報によって基準交通情報を更新したとき、または、再利用指示情報を受信したときにも、基準交通情報の日時情報を更新するとしているが、基準交通情報の日時情報の更新は、最新交通情報の全情報を受信したとき(ステップS52でNo)に限るとしてもよい。ただし、この場合には、差分交通情報として配信され、実際の表示などに使用する交通情報と、全情報配信された基準交通情報とが並存することになる。
【0072】
また、以上の処理フローにおいては、演算処理装置は、交通情報を受信した後にその交通情報のメッシュ情報の属性情報により、その交通情報の種別(全情報/差分交通情報/再利用指示情報の区別)を判定しているが、交通情報配信装置1が交通情報を配信する前にその属性情報を配信するようにし、その交通情報に先行して配信される属性情報に基づき、交通情報の種別を判定するようにしてもよい。
【0073】
その場合、配信される交通情報の種別が先に配信要求情報に設定した配信モード指示情報と異なったときには、演算処理装置は、その旨を表示部52に表示するとともに、その交通情報を受信するかキャンセルするかを選択するボタンを表示するようにする。この表示されたボタンにより、必要に応じて、車両のドライバは、予期しない配信モードの交通情報の配信をキャンセルすることができる。
【0074】
以上、交通情報が主に現況交通情報である場合について説明したが、次に、交通情報が予測交通情報である場合について説明する。ここで、交通情報が予測交通情報である場合には、その配信の方法に2通りの考え方があることに注意を要する。
【0075】
まず、第1の考え方は、車載端末装置5が基準の交通情報を有しており、車載端末装置5が配信要求情報により1つの予測要求時刻を指定して予測交通情報を要求する場合の配信方法である。この場合には、基本的には、以上に説明した現況交通情報の配信とほとんど同様にして予測交通情報を配信することができる。このような配信方法は、例えば、車載端末装置5が受信したばかりの最新交通情報を基準交通情報として、例えば15分後の予測交通情報の配信を求める場合などに適用可能である。
【0076】
また、第2の考え方は、車載端末装置5が一連の時系列に属する複数の予測要求時刻を指定し、その予測要求時刻それぞれに対して予測交通情報を要求する場合の配信方法である。この場合には、最初の予測要求時刻に対する予測交通情報を基準予測交通情報としてその全情報を配信し、それに後続する予測要求時刻に対する予測交通情報を差分交通情報として配信することができる。従って、この場合には、車載端末装置5は、あらかじめ基準となる交通情報を保持していなくてもよい。以下、この考え方に沿って、予測交通情報の配信処理フローについて説明する。
【0077】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る交通情報配信装置1における予測交通情報配信の処理フローの例を示した図である。図7に示すように、交通情報配信装置1の演算処理装置は、車載端末装置5からの配信要求情報を受信し(ステップS11)、その配信要求情報により時系列に属する複数の予測要求時刻に対する予測交通情報の配信要求を受け付けると、その複数の予測要求時刻に対する交通情報を予測する(ステップS61)。このとき、予測対象のエリアは、配信要求情報に含まれるメッシュコードによって指定されるメッシュを少なくとも含むエリアである。なお、予測された各予測要求時刻に対する予測交通情報は、交通情報DB13に蓄積される。
【0078】
次に、演算処理装置は、予測交通情報の配信を開始し、まず、配信要求情報に含まれるメッシュコードの1つを選択する(ステップS62)。そして、その配信要求情報に指定された予測要求時刻が複数あるか否かを判定し(ステップS63)、予測要求時刻が複数あったときには(ステップS63でYes)、その複数の予測要求時刻のうち現在時刻に最も近い予測要求時刻の予測交通情報を基準予測交通情報とする(ステップS64)。
【0079】
次に、演算処理装置は、その複数の予測要求時刻のうち他の予測要求時刻の1つを選択し(ステップS65)、選択した予測要求時刻の予測交通情報の基準予測交通情報に対する差分予測交通情報を生成する(ステップS66)。そして、演算処理装置は、配信要求情報に指定された予測要求時刻をすべて選択したか否かを判定し(ステップS67)、すべて選択していなかったときには(ステップS67でNo)、ステップS65へ戻り、ステップS65〜ステップS67を繰り返して実行する。
【0080】
一方、配信要求情報に指定された予測要求時刻をすべて選択していたときには(ステップS67でYes)、演算処理装置は、指定された予測要求時刻にそれぞれ対応する予測交通情報(基準予測交通情報および差分予測交通情報)を車載端末装置5へ配信する(ステップS69)。なお、このとき基準予測交通情報は全情報を配信する。次いで、演算処理装置は、配信要求情報に含まれるメッシュコードをすべて選択したか否かを判定し(ステップS70)、すべてを選択していなかったときには(ステップS70でNo)、ステップS62へ戻り、ステップS62〜ステップS70を繰り返して実行する。
【0081】
また、ステップS63の判定で配信要求情報に指定された予測要求時刻が1つしかなかったときには(ステップS63でNo)、演算処理装置は、その予測要求時刻の予測交通情報を基準予測交通情報とし(ステップS68)、その基準予測交通情報を要求された交通情報として車載端末装置5へ配信する(ステップS69)。
【0082】
また、ステップS70の判定で配信要求情報に含まれるメッシュコードをすべて選択していたときには、指定されたメッシュについての予測交通情報をすべて配信したことになるので、予測交通情報の配信処理を終了する。
【0083】
なお、以上に示した処理フローの差分予測交通情報の生成(ステップS66)においては、単純に差分予測交通情報を生成するとしているが、図2のステップS16〜ステップS21に示した処理と同様に、差分予測交通情報を生成するとき、基準予測交通量情報との差分量を評価したうえで、その差分量または差分比に応じて、差分予測交通情報でなく全予測交通情報を配信したり、再利用指示情報を配信したりしてもよい。
【0084】
また、ステップS64においては、配信要求情報に含まれる複数の予測要求時刻のうち現在時刻に最も近い予測要求時刻の予測交通情報を基準予測交通情報としたが、それに限定されることなく、その複数の予測要求時刻のうち任意の1つの予測要求時刻の予測交通情報を基準予測交通情報としてもよい。
【0085】
また、図7の予測交通情報を配信する場合の処理フローは、統計交通情報を配信する場合の処理フローにも適用可能である。
【0086】
以上、本発明の第1の実施形態においては、車載端末装置5は、自らが保持している基準交通情報のメッシュコードおよび日時情報を付して、交通情報配信装置1に交通情報の配信を求めるので、交通情報配信装置1は、差分交通情報を確実に生成し、配信することができるか、または、差分交通情報の生成ができないときには、交通情報の全情報を配信することができるので、交通情報の配信の信頼性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、交通情報配信装置1は、図2のステップS14の判定処理のように、車載端末装置5が保持している基準交通情報の日時情報と配信しようとしている交通情報の日時情報とを比較して、その時間間隔が所定時間(例えば、2時間)以上であったときには、交通情報の全情報を配信するようにしている。従って、車載端末装置5は、基準交通情報が所定の時間以上経過した古い交通情報であったときには、最新の交通情報の全情報の配信を受けることができるので、基準交通情報を確実に更新していくことができる。また、本実施形態によれば、差分交通情報を配信し、さらには、図2に示したように差分量を評価した上で差分交通情報の配信を行っているので、配信される交通情報の量は、確実に削減される。
【0087】
続いて、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0088】
図8は、代表的なリンクにおける平均のリンク旅行時間の1日の時間推移のグラフの例を示した図である。すなわち、このグラフは、ある日種(例えば、平日または休日など)について、代表的なリンクLのリンク旅行時間の時間推移を統計処理して得られたものである。このような情報は、統計交通情報として、通常、交通情報DB13に蓄積されている。
【0089】
図8の例の場合、リンク旅行時間は、早朝、深夜に短く、朝夕に大きく変化し、日中ピークに達している。例えば、午前に大きく変化するところでは、リンク旅行時間がΔp変化するのに、時間tを要し、また、午後に大きく変化するところでは、リンク旅行時間がΔp変化するのに、時間tを要している。このような場合、リンク旅行時間が大きく変化するときには、1つのリンクだけでなく多くのリンクでリンク旅行時間が変わるので、差分交通情報を生成する際の差分量が大きくなると考えられる。
【0090】
そこで、交通情報配信装置1の演算処理装置は、図2のステップS14の判定処理における判定の閾値である「所定の時間」を、統計交通情報を参照して、リンク旅行時間の変化が小さい時間帯では長く設定し、リンク旅行時間の変化が大きい時間帯では短く設定するようにする。すなわち、交通量、つまり、リンク旅行時間が大きく変化する朝夕には、車載端末装置5が有する基準交通情報を短い周期で更新し、その変化が小さい早朝、深夜には、基準交通情報をほとんど更新しないようにする。
【0091】
また、交通情報配信装置1の演算処理装置は、図2のステップS16およびステップS17においては、配信する交通量の差分量を評価し、その差分比によって、差分配信するか、全情報配信するかを判定しているが、統計交通情報を参照して、代表的なリンクのリンク旅行時間の変化量によって、差分配信するか、全情報配信するかを判定してもよい。すなわち、リンク旅行時間の変化量が所定の変化量以上であったときには、全情報配信とし、所定の変化量未満であったときには、差分配信とするようにしてもよい。この場合には、差分交通情報を生成しなくてすむ場合も出てくるので、交通情報配信装置1の演算処理装置の処理負荷を軽減することができる。
【0092】
第1の実施形態は、さらに、次のように変形することができる。
【0093】
車載端末装置5が統計交通情報(日種ごと、時間帯ごとなどの統計交通情報)を保持しているときには、その統計交通情報を基準交通情報として用いることができる。このような場合、車載端末装置5から送信される配信要求情報に基準交通情報を指定する情報が含まれていなくても(ただし、メッシュコードは含まれている必要がある)、交通情報配信装置1は、そのときの日時が該当する日種および時間帯の統計交通情報と、そのとき配信しようとしている交通情報と、の差分交通情報を求め、その求めた差分交通情報を車載端末装置5へ送信すればよい。
【0094】
この実施形態は、さらに、車載端末装置5が複数の基準交通情報を保持することを前提にしたものに拡張することができる。その場合、車載端末装置は、その複数の基準交通情報に付された識別情報を送信要求情報に含めて交通情報配信装置1へ送信するする。そして、交通情報配信装置1は、配信しようとしている交通情報と、その複数の基準交通情報(送信要求情報に含まれる識別情報によって指定される交通情報DB13から読み出された交通情報)と、の間のそれぞれの差分量(差分比)を評価し、その差分量が最も小さいものを基準として差分交通情報を求める。そして、その求めた差分交通情報に、差分交通情報の基準となった交通情報の識別情報を付して、車載端末装置5へ送信する。
【0095】
車載端末装置5は、その送信された差分交通情報を受信し、その受信した差分交通情報と、それに付された識別情報によって指定される基準交通情報と、に基づき、交通情報配信装置1が配信しようとした交通情報の全情報を再生することができる。こうすることによって、配信される交通情報の量をさらに削減することができるので、通信ネットワーク3における通信負荷や通信コストが軽減される。
【0096】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る交通情報配信装置および車載端末装置が適用される交通情報配信システムの全体構成の例を示した図である。図9に示すように、第2の実施形態においては、交通情報配信装置1aは、放送センタ4aまたは放送衛星4bを介して、所定の放送電波により交通情報を車載端末装置5aへ配信する。
【0097】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る交通情報配信装置から車載端末装置へ交通情報を配信するフローの例を示した図である。第2の実施形態においては、交通情報配信装置1aは、車載端末装置5aが保持している交通情報の日時情報を取得することができないので、まず、最初には(時刻T)、所定の交通情報の全情報を基準交通情報1として配信する。続いて、交通情報配信装置1aは、時間Δ(例えば5分)ごとに交通情報を配信するが、その場合には、配信する交通情報を基準交通情報1に対する差分交通情報11,12,…として配信する。このように、差分配信を行うことによって、配信する情報量を削減することができる。
【0098】
一方、放送電波により交通情報を配信する場合には、その配信交通情報をどのような車載端末装置5aが受信するか分からない。例えば、運転が開始されたばかりの車両の車載端末装置5aは、通常、基準交通情報を保持していないことが多い。そこで、交通情報配信装置1aは、そのような車載端末装置5aへ標準交通情報を配信するために、時間Δごとに配信する差分交通情報のうち、所定回数に1回は、交通情報の全情報基準情報として配信する。すなわち、その所定回数が例えば6回、Δが5分であったときには、時刻Tから30分ごとの時刻である時刻Tに基準交通情報nが配信されることになる。
【0099】
このように、差分交通情報の配信を行いつつ、所定回数に1回、基準交通情報を配信することによって、車載端末装置5aは、少なくとも、例えば30分待てば、基準交通情報を得ることができる。従って、より多くの車載端末装置5aが受信した差分交通情報からもとの交通情報全情報を再生できるようになるので、交通情報配信の効率ないし信頼性を向上させることができる。また、基準交通情報が所定時間(例えば30分)ごとに更新されるので、差分交通情報の配信時刻と基準交通情報の配信時刻との時間差を、その所定の時間内に収めることができるので、差分交通情報の情報量が大きくなるのを防止することができる。従って、差分配信による配信情報量の削減効果を高めることができる。
【0100】
なお、以上に説明した交通情報の配信フローは、現況交通情報の配信だけでなく、一連の時系列に属する複数の予測要求時刻についてそれぞれ予測された予測交通情報の配信に対しても同様に適用することができる。ただし、この場合には、時間Δの間隔ごとに予測交通情報を配信する必要はなく、それぞれの予測交通情報をその区切りが分かるように配信さえすれば、連続して配信してもよい。
【0101】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る車載端末装置5の表示部52に交通情報を表示した例を示した図である。車載端末装置5が差分交通情報を受信した場合には、車載端末装置5は、基準交通情報に対する差分つまり変化分を特別な処理をすることなく検出することができるので、その差分交通情報を地図などに重畳させて容易に表示することができる。例えば、図11においては、前から表示している渋滞情報(基準交通情報)を破線などによって表示し、その後変化した交通情報(差分交通情報)を同じ破線であっても点滅表示するようにしている。
【0102】
なお、第2の実施形態の場合には、基準交通情報は、例えば、6回に1回しか送信されず、6回に5回は、その基準情報に対する差分交通情報が送信される。このような場合において、差分交通情報が送信された後に続けて差分交通情報が送信されたときには、その差分交通情報は、前回受信した交通情報からの変化分を表したものとなっていない。
【0103】
従って、このときには、車載端末装置5は、前回受信した差分交通情報または交通情報再生部514によりその差分交通情報から再生された交通情報と、新たに受信した差分交通情報と、を比較する。そして、その比較により求められた変化分、つまり、新たに受信した差分交通情報により出現または消滅した渋滞情報などの交通情報を、表示部52に強調して表示(例えば、点滅表示)する。
【0104】
また、車載端末装置5は、このように前回表示した交通情報との変化分を表示するためには、前回表示に用いた自車位置、目的地、経由地、経路周辺、表示エリアなどの情報をそのつど記憶装置56に記憶しておく必要がある。
【0105】
このように差分交通情報または変化した交通情報を目立つように表示することによって、車両のドライバは、交通情報の変化を容易に把握することができるようになる。従って、差分交通情報の表示は、目立つ表示であれば、点滅表示に限定されることはなく、目立つような色彩表示や、太線表示などであってもよい。また、地図に重畳させて表示させるのではなく、差分情報をリスト表示するだけでもよく、あるいは、そのリストを音声で案内する表示であってもよい。
【0106】
以上のように、車載端末装置5は、差分交通情報を種々の方法により表示することができる。ここでは、車載端末装置5は、そのいずれをも表示可能なように構成し、さらに、表示部52に表示されるユーザインターフェース画面を設け、そのユーザインターフェース画面とタッチパネルやリモコンなどを用いた入力操作とにより、ドライバがどのような表示を行うかを自由に選択できるようにしておくものとする。
【0107】
なお、以上に説明した交通情報の表示は、第2の実施形態に限定されることはなく、第1の実施形態にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る交通情報配信装置および車載端末装置のブロック構成、並びに、それらが適用される交通情報配信システムの全体構成の例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る交通情報配信装置および車載端末装置における交通情報配信の処理フローの例を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における交通情報の模式的な構成の例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における交通情報の具体的な構成の例を示した図である。
【図5】図2に示した交通情報配信装置における交通情報配信の処理フローを、図4の交通情報の構成に基づき修正した処理フローの例を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車載端末装置における基準交通情報更新の処理フローを示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る交通情報配信装置における予測交通情報配信の処理フローの例を示した図である。
【図8】代表的なリンクにおける平均のリンク旅行時間の1日の時間推移のグラフの例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る交通情報配信装置および車載端末装置が適用される交通情報配信システムの全体構成の例を示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る交通情報配信装置から車載端末装置へ交通情報を配信するフローの例を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る車載端末装置の表示部に交通情報を表示した例を示した図である。
【符号の説明】
【0109】
1 交通情報配信装置
1a 交通情報配信装置
2 交通情報センタ
3 通信ネットワーク
4 基地局
4a 放送センタ
4b 放送衛星
5 車載端末装置
5a 車載端末装置
6 車両
11 通信インターフェース部
12 交通情報取得部
13 交通情報DB
14 交通情報予測部
15 配信要求情報受信部
16 日時情報比較部
17 配信モード設定部
18 差分交通情報生成部
19 交通情報配信部
51 本体部
52 表示部
53 携帯電話機
54 GPS受信機
55 可搬記憶メディア接続アダプタ
56 記憶装置
511 通信インターフェース部
512 基準交通情報受信部
513 差分交通情報受信部
514 交通情報再生部
515 交通情報記憶部
516 配信要求情報送信部
518 設定情報入力処理部
519 交通情報表示処理部
520 入出力インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路交通状況に係る交通情報を取得または生成し、車両に搭載された車載端末装置に個別に配信するコンピュータの交通情報配信方法であって、
前記コンピュータは、
前記交通情報を取得または生成したとき、その交通情報に所定の識別情報を付し、その識別情報を付した交通情報を記憶装置に蓄積する交通情報蓄積ステップと、
前記車載端末装置から送信され、その車載端末装置がそのとき保持する基準交通情報に付された識別情報を含んだ配信要求情報を、受信する配信要求情報受信ステップと、
前記受信した配信要求情報に含まれる前記基準交通情報に付された識別情報と同じ識別情報が付され、前記記憶装置に蓄積されている交通情報と、そのとき配信予定の交通情報と、の差分交通情報を生成する差分交通情報生成ステップと、
前記生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信ステップと、
を実行すること
を特徴とする交通情報配信方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記基準交通情報に付された識別情報と同じ識別情報が付され、前記記憶装置に蓄積されている交通情報と、前記配信予定の交通情報と、の乖離度を算出し、その乖離度が所定の値より小さいときには差分情報配信モードを設定し、その乖離度が所定の値より大きいか等しいときには全情報配信モードを設定する配信モード設定ステップを実行し、
前記交通情報配信ステップでは、前記差分情報配信モードが設定されたときには、前記差分交通情報生成ステップで生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信し、前記全情報配信モードが設定されたときには、前記配信予定の交通情報の全情報を前記車載端末装置に配信すること
を特徴とする請求項1に記載の交通情報配信方法。
【請求項3】
前記交通情報蓄積ステップにおいて前記交通情報に付される識別情報は、その交通情報が属する日時の日時情報であり、
前記コンピュータは、
前記配信モード設定ステップを実行する前に、前記配信要求情報受信ステップで受信した前記配信要求情報に含まれる日時情報と、そのとき前記記憶装置に蓄積されている交通情報のうち最新の交通情報に付された日時情報と、を比較する日時情報比較ステップを実行し、
前記配信モード設定ステップでは、前記比較した2つの日時情報の時間間隔が所定の時間間隔以上であったときには、前記乖離度の比較結果にかかわらず全情報配信モードを設定すること
を特徴とする請求項2に記載の交通情報配信方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、
所定の時間ごとに取得される現況交通情報を日種および時間帯ごとに統計をとり、その統計をとった統計交通情報を蓄積した統計交通情報蓄積手段を、さらに、備え、
前記配信モード設定ステップにおいては、前記2つの日時情報の時間間隔の比較の基準となる前記所定の時間間隔を、前記統計交通情報蓄積手段に蓄積されている当該日種および時間帯における交通量の時間変化率に応じて変えるようにしたこと
を特徴とする請求項3に記載の交通情報配信方法。
【請求項5】
前記コンピュータが取得または生成し、前記記憶装置に蓄積する交通情報は、
そのコンピュータが過去に取得した所定のエリア内の道路についての現況交通情報、前記現況交通情報を統計処理して生成した統計交通情報、または、前記統計交通情報に基づき予測処理して生成した予測交通情報のいずれかであること
を特徴とする請求項1に記載の交通情報配信方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記基準交通情報蓄積ステップでは、前記交通情報に付す識別情報の一部を、その交通情報の種別情報、その交通情報が属する日時の日時情報、その交通情報が属する日時の属性情報の少なくとも1つを含むように構成すること
を特徴とする請求項1に記載の交通情報配信方法。
【請求項7】
道路交通状況に係る予測交通情報を車両に搭載された車載端末装置に個別に配信するコンピュータの交通情報配信方法であって、
前記コンピュータは、
少なくとも1系列の同じ時系列に属する複数時刻の予測交通情報を蓄積した予測交通情報蓄積手段を備え、
前記車載端末装置から前記予測交通情報の配信を求める配信要求情報を受信する配信要求情報受信ステップと、
前記受信した配信要求情報に同じ時系列に属する複数日時の予測交通情報の配信要求が含まれていたときには、その複数日時の予測交通情報の1つを基準交通情報として選択する基準交通情報選択ステップと、
前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報について、前記基準交通情報に対する差分交通情報を生成する差分交通情報生成ステップと、
前記基準交通情報として選択された前記予測交通情報については、その全情報を前記車載端末装置に配信し、前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報については、前記差分交通情報生成ステップにおいて生成した前記差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信ステップと、
を実行すること
を特徴とする交通情報配信方法。
【請求項8】
道路交通状況に係る現況交通情報を複数の車両にそれぞれ搭載されたそれぞれの車載端末装置に一斉に配信するコンピュータの交通情報配信方法であって、
前記コンピュータは、
所定の時間ごとに現況交通情報を取得する現況交通情報取得ステップと、
前記現況交通情報取得ステップにおいて所定の時間ごとに取得される前記現況交通情報を、所定回数に1回の割合で基準交通情報として選択する基準交通情報選択ステップと、
前記現況交通情報取得ステップにおいて取得した前記現況交通情報のうち、前記基準交通情報選択ステップにおいて基準交通情報に選択しなかった前記現況交通情報について、その現況交通情報とそのとき最新の基準交通情報とに基づき、その差分交通情報を生成する差分交通情報生成ステップと、
前記基準交通情報選択ステップにおいて、基準交通情報に選択された前記現況交通情報については、その全情報を前記車載端末装置に配信し、前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報については、前記差分交通情報生成ステップにおいて生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信ステップと、
を実行すること
を特徴とする交通情報配信方法。
【請求項9】
道路交通状況に係る予測交通情報を複数の車両にそれぞれ搭載されたそれぞれの車載端末装置に一斉に配信するコンピュータの交通情報配信方法であって、
前記コンピュータは、
少なくとも1系列の同じ時系列に属する複数時刻の予測交通情報を蓄積した予測交通情報蓄積手段と、
その複数時刻の予測交通情報のうち、1の時刻の予測交通情報を基準情報として選択する基準交通情報選択ステップと、
前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報について、前記基準交通情報に選択された予測交通情報に対する差分交通情報を生成する差分交通情報生成ステップと、
前記基準交通情報に選択された前記予測交通情報については、その全情報を前記車載端末装置に配信し、前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報については、前記差分交通情報生成ステップにおいて生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信ステップと、
を実行すること
を特徴とする交通情報配信方法。
【請求項10】
道路交通状況に係る交通情報を取得または生成し、車両に搭載された車載端末装置に個別に配信する交通情報配信装置であって、
前記交通情報を取得または生成したとき、その交通情報に所定の識別情報を付し、その識別情報を付した交通情報を記憶装置に蓄積する交通情報蓄積手段と、
前記車載端末装置から送信され、その車載端末装置がそのとき保持する基準交通情報に付された識別情報を含んだ配信要求情報を、受信する配信要求情報受信手段と、
前記受信した配信要求情報に含まれる前記基準交通情報に付された識別情報と同じ識別情報が付され、前記記憶装置に蓄積されている交通情報と、そのとき配信予定の交通情報と、の差分交通情報を生成する差分交通情報生成手段と、
前記生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信手段と、
を備えたこと
を特徴とする交通情報配信装置。
【請求項11】
前記基準交通情報に付された識別情報と同じ識別情報が付され、前記記憶装置に蓄積されている交通情報と、前記配信予定の交通情報と、の乖離度を算出し、その乖離度が所定の値より小さいときには差分情報配信モードを設定し、その乖離度が所定の値より大きいか等しいときには全情報配信モードを設定する配信モード設定手段を備え、
前記交通情報配信手段は、
前記配信モード設定手段により、前記差分情報配信モードが設定されたときには、前記差分交通情報生成手段によって生成された差分交通情報を前記車載端末装置に配信し、前記全情報配信モードが設定されたときには、前記配信予定の基準交通情報の全情報を前記車載端末装置に配信すること
を特徴とする請求項10に記載の交通情報配信装置。
【請求項12】
前記基準交通情報蓄積手段に蓄積される交通情報に付される識別情報は、その交通情報が属する日時の日時情報であり、
前記配信要求情報受信手段によって受信された前記配信要求情報に含まれる日時情報と、そのとき前記記憶装置に蓄積されている交通情報のうち最新の交通情報に付された日時情報と、を比較する日時情報比較手段を備え、
前記配信モード設定手段は、前記比較した2つの日時情報の時間間隔が所定の時間間隔以上であったときには、前記乖離度の比較結果にかかわらず全情報配信モードを設定すること
を特徴とする請求項11に記載の交通情報配信装置。
【請求項13】
所定の時間ごとに取得される現況交通情報を日種および時間帯ごとに統計をとり、その統計をとった統計交通情報を蓄積した統計交通情報蓄積手段を、さらに、備え、
前記配信モード設定手段は、前記2つの日時情報の時間間隔の比較の基準となる前記所定の時間間隔を、前記統計交通情報蓄積手段に蓄積されている当該日種および時間帯における交通量の時間変化率に応じて変えるように設定すること
を特徴とする請求項12に記載の交通情報配信装置。
【請求項14】
前記基準交通情報蓄積手段に蓄積される交通情報は、
過去に取得した所定のエリア内の道路についての現況交通情報、前記現況交通情報を統計処理して生成した統計交通情報、または、前記統計交通情報に基づき予測処理して生成した予測交通情報のいずれかであること
を特徴とする請求項10に記載の交通情報配信装置。
【請求項15】
前記基準交通情報蓄積手段に蓄積する交通情報に付す識別情報の一部を、その交通情報の種別情報、その交通情報が属する日時の日時情報、その交通情報が属する日時の属性情報の少なくとも1つを含むように構成すること
を特徴とする請求項10に記載の交通情報配信装置。
【請求項16】
道路交通状況に係る予測交通情報を車両に搭載された車載端末装置に個別に配信する交通情報配信装置であって、
少なくとも1系列の同じ時系列に属する複数時刻の予測交通情報を蓄積した予測交通情報蓄積手段と、
前記車載端末装置から前記予測交通情報の配信を求める配信要求情報を受信する配信要求情報受信手段と、
前記受信した配信要求情報に、同じ時系列に属する複数日時の予測交通情報の配信要求が含まれていたときには、その複数日時の予測交通情報の1つを基準交通情報として選択する基準交通情報選択手段と、
前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報について、前記基準交通情報に対する差分交通情報を生成する差分交通情報生成手段と、
前記基準交通情報として選択された前記予測交通情報については、その全情報を前記車載端末装置に配信し、前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報については、前記差分交通情報生成手段によって生成した前記差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信手段と、
を備えたこと
を特徴とする交通情報配信装置。
【請求項17】
道路交通状況に係る現況交通情報を複数の車両にそれぞれ搭載されたそれぞれの車載端末装置に一斉に配信する交通情報配信装置であって、
所定の時間ごとに現況交通情報を取得する現況交通情報取得手段と、
前記現況交通情報取得手段により所定の時間ごとに取得される前記現況交通情報を、所定回数に1回の割合で基準交通情報として選択する基準交通情報選択手段と、
前記現況交通情報取得手段により取得した前記現況交通情報のうち、前記基準交通情報選択手段により基準交通情報に選択しなかった前記現況交通情報について、その現況交通情報とそのとき最新の基準交通情報とに基づき、その差分交通情報を生成する差分交通情報生成手段と、
前記基準交通情報選択手段により、基準交通情報に選択された前記現況交通情報については、その全情報を前記車載端末装置に配信し、前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報については、前記差分交通情報生成手段によって生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信手段と、
を備えたこと
を特徴とする交通情報配信装置。
【請求項18】
道路交通状況に係る予測交通情報を複数の車両にそれぞれ搭載されたそれぞれの車載端末装置に一斉に配信する交通情報配信装置であって、
少なくとも1系列の同じ時系列に属する複数時刻の予測交通情報を蓄積した予測交通情報蓄積手段と、
その複数時刻の予測交通情報のうち、1の時刻の予測交通情報を基準情報として選択する基準交通情報選択手段と、
前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報について、前記基準交通情報に選択された予測交通情報に対する差分交通情報を生成する差分交通情報生成手段と、
前記基準交通情報に選択された前記予測交通情報については、その全情報を前記車載端末装置に配信し、前記基準交通情報に選択されなかった前記予測交通情報については、前記差分交通情報生成手段によって生成した差分交通情報を前記車載端末装置に配信する交通情報配信手段と、
を備えたこと
を特徴とする交通情報配信装置。
【請求項19】
道路交通状況に係る交通情報を配信する交通情報配信装置に通信可能に接続された車載端末装置であって、
前記交通情報配信装置によって取得または生成され、所定の識別情報が付されて配信された交通情報の全情報を、基準交通情報として受信する基準交通情報受信手段と、
前記受信した基準交通情報を記憶する交通情報記憶手段と、
前記交通情報配信装置に対し新たな交通情報の配信を求める配信要求情報に、前記交通情報記憶手段に記憶されている前記基準交通情報の識別情報を含ませ、その識別情報を含んだ配信要求情報を送信する配信要求情報送信手段と、
前記送信した配信要求情報に応答して前記交通情報配信装置から送信される前記基準交通情報に対する差分交通情報を受信する差分交通情報受信手段と、
前記受信した差分交通情報と前記交通情報記憶手段に記憶している前記基準交通情報とにより交通情報を再生する交通情報再生手段と、
を特徴とする車載端末装置。
【請求項20】
前記交通情報配信装置が前記交通情報を配信するときの配信モードを指示する配信モード指示情報を、前記配信要求情報に含まれる情報として設定する配信モード指示情報設定手段
を、さらに、備えたこと
を特徴とする請求項19に記載の車載端末装置。
【請求項21】
前記配信モード指示情報を含んだ前記配信要求情報を前記交通情報配信装置へ送信し、前記交通情報配信装置から前記配信モード指示情報に設定した配信モードと異なる配信モードで配信する旨の通知を受けたときに、その交通情報の配信のキャンセルを可能にするする交通情報配信キャンセル手段と、
を、さらに、備えたこと
を特徴とする請求項20に記載の車載端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−181455(P2008−181455A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16044(P2007−16044)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】