説明

人の位置検知装置

【課題】 トンネル内や電波が届かない場所を列車やバス等の車両が移動しているときにもそれらの車両に乗車した人の位置を特定できる人の位置検知装置を提供する。
【解決手段】 人の位置検知装置10は、車両11に付加され、車両11を特定する車両特定情報を有する車両特定部13と、車両特定部13の車両特定情報を取り込む情報取込み部20とこの車両特定情報を送信する送信部22を備えた利用者側の携帯端末15とから構成され、携帯端末を所持する利用者が車両に乗車する時に携帯端末で車両特定情報を取り込むようにしている。これにより車両を利用して移動する高齢者等の所在位置を正確に把握することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人の位置検知装置に関し、特に、列車やバスなどの車両に乗車しているときの人の位置を確実に検知するのに好適な人の位置検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、位置情報を得るための装置として、GPS(Global Positioning System)による人工衛星からの電波を利用して、自動車などの現在位置を特定し、地図情報に重ねてディスプレイに表示する、いわゆるカー・ナビゲーション装置が知られている。また、自動車に搭載されたGPS装置により当該自動車の位置を特定し、特定した自動車の位置情報に基づいて当該自動車を追跡する移動体追跡システムも知られている(例えば、特許文献1参照)。さらにGPS装置と無線通信装置とを携帯することにより人の位置を検出する装置が特許文献2に開示されている。また、無線通信用アンテナを複数箇所に配置し、無線信号を発する装置を備えた移動体からの無線信号の電波強度に基づいた無線LANによる位置検知装置も考えられている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−268288公報
【特許文献2】特開平9−281212号公報
【特許文献3】特開平7−154848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人の位置を検出する従来の装置ではGPSや無線LAN等が利用されていた。しかし、例えばGPS方式による従来の位置検知装置では、列車やバス等の車両に乗車した人の位置を検出する場合、車両がトンネルに入ってしまったときや、電波を遮蔽する障害物の影に入ってしまったときには、GPSの人工衛星からの電波が届かなくなり、位置を特定できなくなってしまうという問題点がある。また無線LAN方式による従来の位置検知装置では、やはりそれらの車両がトンネルに入ってしまったときや、複数のアンテナに電波が届かない場所に位置するときは、位置が特定できなくなり、さらには絶対位置を特定することができないという問題点がある。
【0004】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、トンネル内や電波が届かない場所を列車やバス等の車両が移動しているときにおいても当該車両に乗車した人の位置を容易にかつ確実に特定することができ、さらに、特定された人の位置情報を利用して各種のサービスを実現するのに役立てることのできる人の位置検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る人の位置検知装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0006】
第1の人の位置検知装置(請求項1に対応)は、車両に付加され、車両を特定する車両特定情報を有する車両特定部と、車両特定部の車両特定情報を取り込む情報取込み部と取り込んだ車両特定情報を送信する送信部とを備えた利用者側の携帯端末(携帯電話機や専用の携帯端末等)とから成り、携帯端末を所持した利用者が車両に乗車する時、利用者は携帯端末で車両特定情報を取り込むように構成される。車両特定情報の取込みは、利用者の自らの行為で取り込まれる。
【0007】
上記の人の位置検出装置の構成によれば、利用者が列車やバス等の車両に乗車するときには、利用者は必ず車両内に存在するという前提の下で、利用者が車両に乗り込む際に当該利用者の位置と車両の位置との関係付けを利用者自らの行為によって形成し、その後車両の位置情報を当該車両に関係する他の情報源によって取得し、車両の位置を媒介させて利用者の位置情報を容易にかつ正確に知り得るようにする。またこれにより、利用者が車両に乗車して移動し、その位置を変化させても、車両の位置は正確に検知・追跡できるので、利用者の位置を正確に知ることが可能となる。なお、その後に利用者が車両から降車したときには利用者と車両の関係付けは解除されるように構成され、その後は従来と同様に利用者そのものの位置を検知するようにする。利用者と車両の間の関係付けの解除は、利用者自身の解除操作行為によってまたは自動的に実行される。
【0008】
第2の人の位置検知装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、サービス提供者側サーバと、車両運行管理事業者側サーバとを備えることで特徴づけられる。サービス提供者側サーバは、携帯端末によって送信された車両特定情報を受信する受信部と、受信した車両特定情報に基づいて車両の位置情報を車両の運行を管理する事業者側に問い合わせる問合せ部とを備える。サービス提供者側サーバは、利用者に関する位置情報に基づき利用者または関係者に対して必要なサービスを提供する。また車両運行管理事業者側サーバは、サービス提供者側サーバからの問合せ情報を受信する問合せ情報受信部と、車両の位置情報を記憶するデータベースと、問合せ情報受信部によって受信した車両特定情報に基づいてデータベースから車両の位置情報を検索する位置情報検索部と、検索した位置情報をサービス提供者側サーバに送信する位置情報送信部とを備えている。サービス提供者側サーバと車両運行管理事業者側サーバとに基づいて、車両の位置情報を取得することが可能となる。
【0009】
第3の人の位置検知装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、車両特定部はICタグであることで特徴づけられる。この構成では、ICタグの記憶部内には車両を特定する各種の情報が格納され、ICタグから送信される車両特定情報によって乗車する車両を特定する。
【0010】
第4の人の位置検知装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、車両特定部は光学バーコードであることで特徴づけられる。この構成では、車両を特定する情報は光学バーコードで与えられる。光学バーコードは車両の乗車口近傍等の壁面に付設されている。利用者が所有する携帯端末の情報取込み部は、光学バーコードの形式で与えられる車両特定情報を取り込むため、光学式のバーコード読取り部として形成される。
【0011】
第5の人の位置検知装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、車両特定部は上記の車両特定情報を表示する車両特定情報表示物であることで特徴づけられる。車両特定情報表示物としての例は、例えば車両形式番号、登録番号の車内表記や、列車番号、列車名、便名称、号車番号、通番式座席番号等である。
【0012】
第6の人の位置検知装置(請求項6に対応)は、車両に付設され、この車両の車両位置を特定する車両位置特定部と車両位置の情報を車内に送信する送信部とを備えた車両位置特定送信部と、車両位置特定送信部から送信された車両位置の情報を受信する受信部と受信した車両位置の情報を送信する車両位置情報送信部とを備える利用者側の携帯端末とから成り、利用者が所持する携帯端末によって車両内において車両位置の情報が取り込まれるように構成される。
【0013】
上記の人の位置検出装置の構成によれば、利用者が列車やバス等の車両に乗車するときには、利用者は必ず車両内に存在するという前提の下で、車両内に存在する当該利用者の位置と車両の位置との関係付けを無線通信により自動的に形成し、その後車両の位置情報を当該車両に関係する他の情報源によって取得し、車両の位置を媒介させて利用者の位置情報を容易にかつ正確に知り得る。なお、その後に利用者が車両から降車したときには利用者と車両の関係付けは解除されるように構成され、その後は従来と同様に利用者そのものの位置を検知する。利用者と車両の間の関係付けの解除は、利用者自身の解除操作行為によってまたは自動的に実行される。
【0014】
第7の人の位置検知装置(請求項7に対応)は、上記の構成において、好ましくは、さらにサービス提供者側サーバを備えることを特徴とする。サービス側提供者側サーバは、携帯端末によって送信された車両位置の情報を受信する車両位置情報受信部を備え、利用者に関する位置情報に基づき利用者または関係者に対して必要なサービスを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利用者が車両に乗車するとき、利用者の位置と車両の位置を関係付け、車両運行管理事業者サーバが運行上必要な情報として記憶している車両の位置情報をそこに乗車している利用者(旅客等)の位置情報として利用することができる。また、車両に付設された車両位置特定部によって特定される車両位置情報を利用者が所持している携帯端末を介して、無線通信にてその車両位置情報を受信することにより、そこに乗車している利用者の位置情報を得ることができる。それにより、トンネル内や電波が届かない場所を列車やバス等の車両が移動しているときにおいてもそれら車両に乗車した人の位置を正確にかつ容易に特定することができる。そして、その位置情報に基づいて、適切な各種のサービスを利用者またはその関係者に提供することができる。例えば利用者が高齢者であって、家族にとってはその者の位置を正確に把握しておく必要がある場合において、かかる利用者がバスや電車等の車両で移動したときにも正確にその者の所在位置を知らせるというサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態に係る人の位置検知装置を説明する。図1と図2に示すように、人の位置検知装置10は車両11の乗車口12付近に付加された車両特定部13と車両11に乗車する利用者(人、旅客、またはそれに類した動物)14が所持する携帯端末15とサービス提供者側サーバ16と車両運行管理事業者側サーバ17から構成される。携帯端末15とサービス提供者側サーバ16は、通信網18を介して通信し、サービス提供者側サーバ16と車両運行管理事業者側サーバ17は、通信網19を介して通信する。
【0018】
図1と図2では、通信網は18と19で別々で示したが、共通の通信網であってもかまわない。通信網18,19は代表的にはインターネットで構成される。また携帯端末15からの通信は無線を利用して行われるので、携帯端末15と通信網18との間には、通常、携帯端末用の無線通信網が介在する。
【0019】
車両11に付加された車両特定部13は、車両11を特定するID等の車両特定情報を有している。車両特定部13は様々な形式で実現される。車両特定部13の例としては、例えば、IDを記憶する機能および記憶したID情報を無線で送信する機能を持つICタグ、またはID情報を記録した光学バーコードである。さらに車両特定部13としては、車両形式番号・登録番号等、または列車番号、列車名、便名称、若しくは号車番号(通番式座席番号)のごとき車両特定情報表示物の例を挙げることができる。
【0020】
携帯端末15は利用者14が携帯・所持するものである。携帯端末15は、図2に示されるごとく、機能部として、車両特定部13の車両特定情報を取り込む情報取込み部20と、取り込んだ情報を記憶する記憶部21と、取込み・記憶した車両特定情報を送信する送信部22とを備えている。携帯端末15は、さらに、取込みボタン23と、取込み用入力キー群24と、送信ボタン25とを備えている。携帯端末15は、情報取込み部20と記憶部21と送信部22を制御する制御部26を備えている。
【0021】
上記の携帯端末15は、通常、携帯電話機が利用される。携帯電話機が備える各機能部分によって、上記の構成が実現される。また携帯端末15については、専用の携帯端末機として作ることも可能である。
【0022】
サービス提供者側サーバ16は、利用者14に関する位置情報に基づき、利用者14またはその関係者に対して必要なサービスを提供するサービス提供者が運営するサーバである。サービス提供者側サーバ16は、図2に示すごとく、機能部として、受信部27と問合わせ部28と記憶部29と制御部30と位置表示部40を備えている。問合わせ部29は、記憶部29に記憶される問合わせプログラムによって実現される。この図示例は、説明の便宜用上、1つの機能部としてブロック要素で示されている。受信部27は、携帯端末15によって送信された車両特定情報を受信する装置である。記憶部29は、受信した車両特定情報を記憶する装置である。問合わせ部28は、受信し記憶した車両特定情報に基づいて車両の位置情報を車両の運行を管理する車両運行管理事業者側サーバ17に問い合わせを行う装置である。位置表示部40は、利用者14の位置情報を表示する装置である。受信部27と問合わせ部28と記憶部29と位置表示部40の各動作は、制御部30に基づいて制御される。
【0023】
車両運行管理事業者側サーバ17は、車両の運行を管理する事業者によって運営されるサーバである。車両運行管理事業者側サーバ17は、問合わせ情報受信部31と、データベース32と、位置情報検索部33と、位置情報送信部34を備えている。問合わせ情報受信部31は、サービス提供者側サーバ16から送信される問合わせ情報を受信する装置である。データベース32は、車両11の位置情報を記憶する装置である。車両運行管理事業者では、元々、車両の運行管理のため、すべての車両について各日時における所在位置データが記憶され、かつ自在に取出すことができるようにデータベース32を備えている。位置情報検索部33は、問合わせ情報受信部31によって受信した車両特定情報に基づいて、データベース32から車両11の位置情報を検索する。位置情報送信部34は、検索で取り出した位置情報をサービス提供者側サーバ16に送信する装置である。また、問合わせ情報受信部31とデータベース32と位置情報検索部33と位置情報送信部34の各動作は制御部35によって制御される。
【0024】
なお車両運行管理事業者側サーバ17において、連続的に位置管理を行うシステムが用意されていない場合には、ポイント通過状況(例えば「○○駅3分延通」)と時間・ダイヤから現在位置を推定するように構成される。
【0025】
次に、図3を参照して上記構成を有する人の位置検知装置10の動作を詳細に説明する。図3は、携帯端末15とサービス提供者側サーバ16と車両運行管理事業者側サーバ17のそれぞれで実行される処理動作を示すフローチャートである。
【0026】
人の位置検知装置10における携帯端末15での処理動作は、まず、利用者14が、車両11に乗車するとき、例えば乗車口で車両11に付設されたICタグや光学バーコード等の車両特定部13に記憶・記録・表示(以下「記憶等」と記載する)された車両特定情報(以下では一例として「ID情報」という)を情報取込み部20により携帯端末15の取込みボタン23を押すという自身の行為に基づき取り込む(ステップS11)。携帯端末15は、取り込んだID情報を記憶部21に記憶する(ステップS12)。記憶したID情報は、利用者14が携帯端末15の送信ボタン25を押すことにより、送信部22によってサービス提供者側サーバ16に対して送信する(ステップS13)。なお、ステップS11で、車両特定部14が車両特定情報標示物であるときは、取込み用キー群24からその車両特定情報(ID情報)を入力する。
【0027】
受信部27によってID情報を受信した(ステップS14)サービス提供者側サーバ16は、問合わせ部28により、そのID情報を所有する車両の位置情報を問い合わせる(ステップS15)。
【0028】
車両運行管理事業者側サーバ17は、問合わせ情報受信部31により問合わせ情報を受信し(ステップS16)、位置情報検索部33を介してID情報に基づきデータベース32からID情報に対応する上記車両11の位置情報(各時刻に対応する車両11の位置に関する情報等)を検索する(ステップS17)。車両運行管理事業者側サーバ17は、検索した上記位置情報を位置情報送信部34によってサービス提供者側サーバ16に対して送信する(ステップS18)。サービス提供者側サーバ16は、問合わせ部28によって位置情報を受信し(ステップS19)、車両11の位置に関する情報を取得し、さらに例えば位置表示部40において利用者14の所在位置を車両11の位置情報に基づいて表示する(ステップS20)。そしてサービス提供者は、取得した位置情報を利用して、利用者14またはその関係者が必要とする各種のサービスを提供する。
【0029】
以上のように、車両運行管理事業者サーバが運行上必要な情報として記憶している車両位置情報をそこに乗車している利用者(旅客)14の位置情報として利用することができる。それにより、トンネル内や電波が届かない場所を列車やバス等の車両が移動しているときにおいても、それらの車両に乗車した人の位置を特定することができる。そして、その位置情報に基づいて、適切な各種のサービスを受けることができる。
【0030】
次に、図4〜図6を参照して本発明の第2実施形態に係る人の位置検知装置を説明する。図4と図5に示すように、人の位置検知装置50は、車両51に付設された車両位置特定部52と、車両位置送信部53と、車両51に乗車する利用者54が所持する携帯端末55と、サービス提供者側サーバ56とから構成される。携帯端末55とサービス提供者側サーバ56は、通信網57を介して通信される。通信網57は例えばインターネットである。
【0031】
車両51に付加された車両位置特定部52は、GPS装置や前述した車両運行管理事業者側サーバ等との通信を利用して車両51の現在位置を特定する。また車両位置送信部53は、特定した車両位置情報を車内に送信する。
【0032】
携帯端末55は利用者54が所持・携帯するものである。携帯端末55は、車両位置送信部53から送信される車両位置情報を取り込む情報取込み部58と、取り込んだ車両位置特定情報を送信する送信部59とを備えている。情報取込み部58と送信部59の各動作は制御部60によって制御される。
【0033】
サービス提供者側サーバ56は、利用者54に関する位置情報に基づき利用者または関係者に対して必要なサービスを提供するサービス提供者が所有するサーバである。サービス提供者側サーバ56は、受信部61と位置表示部62を備えている。受信部61は、携帯端末55によって送信された車両位置情報を受信する装置である。位置表示部62は、受信した車両位置を表示する装置である。受信部61と位置表示部62の各動作は制御部63によって制御される。
【0034】
次に、図6を参照して第2本実施形態に係る人の位置検知装置50における動作を詳細に説明する。図6は、車両位置特定部52と車両位置送信部53と携帯端末55とサービス提供者側サーバ56のそれぞれでの処理動作を示すフローチャートである。
【0035】
人の位置検知装置50における車両位置特定部52と車両位置送信部53の処理動作は、まず、車両位置特定部52により車両位置を特定する(ステップS31)。次に、車両位置特定送信部53により、車両位置情報を車内に送信する(ステップS32)。そして、リターンし、一定時間毎にこの処理が繰り返される。
【0036】
携帯端末55での処理動作は、利用者54が車両51に乗車し車内に居るとき、車両51に付設された車両位置送信部53から送信される車両51の位置情報を情報取込み部58により携帯端末55内に取り込む(ステップS33)。携帯端末55は、取り込んだ車両位置情報を、送信部59を介してサービス提供者側サーバ56に対して送信する(ステップS34)。そして、リターンし、車両位置送信部53から位置情報が車内に送信されるたびにこの処理動作が実行される。
【0037】
サービス提供者側サーバ56は受信部61によって位置情報を受信(ステップS35)、車両51の位置情報を取得する。サービス提供者側サーバ56は、さらに例えば位置表示部62に車両51の位置に関する情報を表示する(ステップS36)。こうして車両51の位置を介して利用者54の位置を取得する。そして、サービス提供者は、取得した利用者54の位置情報に基づいて利用者54およびその関係者が必要とする各種のサービスを提供する。
【0038】
以上のように、車両に付設された車両位置特定部によって特定される車両位置情報を人が所持・携帯している携帯端末を介して、その車両位置情報を受信することにより、そこに乗車している利用者等の位置情報を得ることができる。それにより、トンネル内や電波が届かない場所を列車やバス等の車両が移動しているときにおいてもそれら車両に乗車した人の位置を特定することができる。そして、その位置情報に基づいて、適切な各種のサービスを利用者およびその関係者に提供することができる。
【0039】
提供されるサービス内容の例は次の通りである。上記の利用者は例えば高齢者、身障者、低学年児童等のいずれかであり、上記の関係者は例えば高齢者等の家族または高齢者等の養護施設の管理者等である。このような高齢者等がバスや電車等の車両に乗って移動した場合にも前述した人の位置検知装置によれば当該高齢者等の位置を正確に知ることができ、上記のサービス提供者側サーバ16で提供されるサービスに基づき、家族等は当該高齢者等の所在位置を正確に把握することができる。
【0040】
また他のサービスの内容としては、例えば、利用者が通常の旅客であって、列車等の移動における一定時間後の自分の位置情報に基づき、利用者自身が各種情報の提供等のサービスを受けるようにすることである。
【0041】
なお上記の各実施形態において、その後に利用者が車両から降車したときには利用者と車両の関係付けは解除されるように構成され、その後は例えば従来と同様に利用者そのものの位置を検知するようにする。利用者と車両の間の関係付けの解除は、利用者自身の解除操作行為によってまたは自動的に実行される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、列車やバスなどの車両に乗車した人の位置を検知するための位置検知装置に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る人の位置検知装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る人の位置検知装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る人の位置検知装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る人の位置検知装置の全体構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る人の位置検知装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る人の位置検知装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
10 人の位置検知装置
11 車両
12 乗車口
13 車両特定部
14 利用者
15 携帯端末
16 サービス提供者側サーバ
17 車両運行管理事業者側サーバ
18 通信網
19 通信網
20 情報取込み部
21 記憶部
22 送信部
27 受信部
28 問合わせ部
31 問合わせ情報受信部
32 データベース
33 位置情報検索部
34 位置情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に付加され、前記車両を特定する車両特定情報を有する車両特定手段と、
前記車両特定手段の前記車両特定情報を取り込む情報取込み手段と、取り込んだ前記車両特定情報を送信する送信手段とを備えた利用者側の携帯端末と、から成り、
前記携帯端末を所持した前記利用者が前記車両に乗車する時、前記利用者は前記携帯端末で前記車両特定情報を取り込むことを特徴とする人の位置検知装置。
【請求項2】
前記携帯端末によって送信された前記車両特定情報を受信する受信手段と、受信した前記車両特定情報に基づいて前記車両の位置情報を前記車両の運行を管理する事業者側に問い合わせる問合せ手段とを備え、前記利用者に関する位置情報に基づき前記利用者または関係者に対して必要なサービスを提供するサービス提供者側サーバと、
前記サービス提供者側サーバからの問合せ情報を受信する問合せ情報受信手段と、車両の位置情報を記憶するデータベースと、前記問合せ情報受信手段によって受信した前記車両特定情報に基づいて前記データベースから前記車両の位置情報を検索する位置情報検索手段と、検索した位置情報を前記サービス提供者側サーバに送信する位置情報送信手段と、を備えた車両運行管理事業者側サーバとを備えることを特徴とする請求項1記載の人の位置検知装置。
【請求項3】
前記車両特定手段はICタグであることを特徴とする請求項1または2記載の人の位置検知装置。
【請求項4】
前記車両特定手段は光学バーコードであることを特徴とする請求項1または2記載の人の位置検知装置。
【請求項5】
前記車両特定手段は前記車両特定情報を表示する車両特定情報表示物であることを特徴とする請求項1または2記載の人の位置検知装置。
【請求項6】
車両に付設され、この車両の車両位置を特定する車両位置特定手段と前記車両位置の情報を車内に送信する送信手段とを備えた車両位置特定送信手段と、
前記車両位置特定送信手段から送信された前記車両位置の情報を受信する受信手段と、受信した前記車両位置の情報を送信する車両位置情報送信手段とを備えた利用者側の携帯端末と、から成り、
前記利用者が所持する前記携帯端末によって前記車両内において前記車両位置の情報が取り込まれるようにしたことを特徴とする人の位置検知装置。
【請求項7】
前記携帯端末によって送信された前記車両位置の情報を受信する車両位置情報受信手段を備え、前記利用者に関する位置情報に基づき前記利用者または関係者に対して必要なサービスを提供するサービス提供者側サーバを備えることを特徴とする請求項6記載の人の位置検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−194769(P2006−194769A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7629(P2005−7629)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】