仮想イメージを有するキーパッド
ユーザーには、キーパッド表面の外見上の面以外の平面内にあるように見える仮想浮遊イメージを有するキーパッド。より詳しくは、キーパッド上の表示は、デバイス表面の上又は下に浮遊するように見える。キーパッドは、例えば、携帯電話上のキーパッドであってよい。そのような用途では、1つ以上の表示の配列が、キーパッド上に存在してよい。例えば、0〜9の数字を提供する表示の10の配列、及び*と#キーの仮想イメージを提供する更に2つの配列があってよい。いくつかの実施形態では、キーパッドは表示を照らす照明光源と統合される。本開示は、仮想浮遊イメージを有するキーパッドを製造する方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許は、発明の名称「仮想イメージを有するキーパッド(KEYPAD WITH VIRTUAL IMAGE)」で、2006年6月6日出願され、本明細書に参照として全体が組み込まれている、米国仮出願番号60/804,009に優先する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、電気的キーパッド並びにタッチパネル、及び、特にキーパッドの見かけの表面の上又は下に仮想イメージとして現れる表示を提供するデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ノートパソコン、PDA、携帯電話などのような携帯用電子デバイスは、現在、より小さく、薄く、軽い要素及びデバイスに向かう傾向がある。更に、この縮小される電子パッケージ内に、より大きな領域のディスプレイ及びしばしば複数のカラーディスプレイを有することが望まれている。データ入力パッド又はキーパッドは、薄さ、重量、視覚訴求性、及び空間の多機能的な利用に関する機能改良の機会の好例である。いくつかの一般的なキーパッドタイプの概略を以下に記載する。
【0004】
薄いキーパッドが典型的には、薄いポリマー又は金属板又はこれらの材料の複合積層板から、成形、熱成形、打抜き、又は型押し加工される。表示は、典型的には、キーパッド表面に印刷される。場合によっては、キーパッドは、背後から照明できるように、透明又は半透明である。しかし、薄く軽量である一方、これらのキーパッドの外見は一般に平坦である。
【0005】
一般に「チクレット(Chicklet)」スタイルのキーパッドとも呼ばれる厚いキーパッドは、典型的には可撓性ポリマーから射出成形されるか、又はポリマー若しくは金属粉から圧縮成形される。表示は、射出成形過程の間に複数回射出成形を使用してキーに組み込むか、成形の間にキー表面に形成するか、又は、成形後にキー表面に印刷されてもよい。繰り返すが、透明又は半透明のキーパッドのキーは、背後から照明されてよい。しかし、これらの厚いキーパッドは、しばしば、薄い電子パッケージに嵌入するのが困難である。
【0006】
タッチセンサー技術を使用するキーボードには、伝導電極間の抵抗性接触をモニタする種類及びユーザーの指とキーパッド電極との間の容量性結合を検出する種類が含まれる。容量性技術のわかりやすい例としては、3Mタッチシステム社(3M Touch Systems)製(例えば、クリアテック(ClearTek)の名称で市販されている3M社のタッチスクリーン)の容量性タッチスクリーン検出ボードの実施例がある。この検出ボードは、キーパッドボタン電極を交流電気信号によって付勢する。指又は他の伝導体が電極に接近すると、容量性結合によって、電極からの電流は伝導体を通して接地点に短絡される。検出ボード上の非常に高感度な検出回路が、この電流を測定して出力信号を電子デバイスに分配する。タッチ検出システムの1つの利点は、各キーパッドボタン位置には単一の電極だけしか必要とされないことである。電気抵抗に基づくボタンスイッチには、各ボタン用に2セットの電極、又はその代わりに、ボタン電極に隣接して位置する他のフィルム上に配置される導電層が必要になるだろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薄い透明な感圧性表示パネルを有するキーボードは、仮想キーボード(Virtual Keyboard)という発明の名称で中川(Nakagawa)の米国特許番号7,034,806に開示されている。上記の3Mタッチシステム社製品のような高感度のタッチ検出デバイスをアクティブディスプレイに取り付けると類似の機能を得ることができる。表示パネル上のキーパッドでは、キー指定を動的に再配置できる。しかし、キーパッドは、一般に、平坦な外観を有する。改良型のキーパッドが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、キーパッドデバイスの外見上の平面とは別の平面内にあるようにユーザーに見える仮想イメージを有するキーパッドを提供する。より具体的には、キーパッド上の表示が、そのデバイス表面の上又は下に浮遊するように見える。キーパッドは、例えば、携帯電話のキーパッドであってよい。このようなアプリケーションの場合、1以上の表示の配列がキーパッド上に存在する。例えば、0〜9の数字を提供する表示の10の配列、及び*と#キーの仮想イメージを提供する更に2つの配列があってよい。いくつかの実施形態では、キーパッドは、表示を明るくする照明光源と統合される。本開示は、浮遊表示を有するキーパッドを製造する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
3次元自動立体イメージとしても一般的に公知である、自然に見える3次元イメージを提供するための基本的な原理は公知である。レンズの焦点面の近くにある同一の物体又は表示の配列を見るためにレンズの列が用いられる時に仮想イメージができることは公知である。レンズの列が、同一物体の列に対して、異なるピッチ又は反復長を有する場合、何らかの拡大倍率が発生して、見る人に実際の場所とは異なる平面内に仮想イメージが現れることも公知である。この現象は、モアレ拡大と称される。基本原理に関する議論は、M.C.ハトレイら著「モアレ拡大器」基礎及び応用光学、1994年3号133〜142頁("The Moire magnifier," M.C. Hutley et al, Pure Appl. Opt. 3(1994)133-142)に見られる。更なる基本事項については、H.カマルら著「モアレ拡大器の特性」光工学37(11)3007〜3014(1998年11月)("Properties of Moire magnifiers," H. Kamal, et al, Opt. Eng. 37(11)3007-3014(November 1998))を参照してよい。
【0010】
原理的に、モアレ拡大効果は、見る人の左右の眼にわずかにずれた表示のイメージを提供することによって達成される。これらのずれたイメージは、表示が刻印されている物理面と異なる位置にあるようにユーザーに解釈される。セキュリティ文書におけるモアレ拡大器の使用については、コマンダーら(Commander et al.)のWO2005/106601、発明の名称「改良型光学可変装置(Improved Optically Variable Devices)」で議論されており、本明細書に参照として組み込まれる。
【0011】
次に、図1では電話番号の入力に使用される典型的な数字キーの表示を有する仮想イメージキーパッドフィルム100の実施形態例が示される。見る人102が、キーパッドフィルム100の物理面より上の平面101に浮遊して見える表示の仮想イメージを有するキーパッドを見ているところを示す。図1は、仮想オフセットの度合いと方向の概念が読者にわかるように、外見上の表示をキーパッドフィルム100より下の平面内に様式的に示している。本開示との関連で、例えば、仮想イメージ平面101に示される数字「1」の仮想イメージを生成する1つの大きな数字「1」があるのではない。下記に、より具体的に議論されるように、各数字は、読者に対してキーパッドフィルム100の下側の面上に好都合に配置された実際のイメージの配列によって生成される。各表示配列の数字は、図1の尺度で伝えるには、小さ過ぎる。
【0012】
仮想イメージキーパッドフィルム100の別の例として、図2を参照すると、キーパッドフィルム100の物理面103より下の仮想イメージ平面内に沈んだ表示が示されている。上の図1と同様な方法で、図2は、読者が仮想オフセットの度合いと方向の概念がわかるように、外見上の表示をキーパッドフィルム100より下の平面内に様式的に示している。仮想イメージ103を生成するキーパッドフィルム100の上側の面上の光学要素を通して見えるように、表示は非常に小さい数字の12の個別的な配列から成る。
【0013】
図3では、仮想イメージキーパッドフィルム100上に浮かんだ101及び沈んだ103の表示の仮想イメージが両方とも、見る人102に見える。この図では、2つの仮想イメージ平面101と103を生成する配列は、図の整合性を保持するために示されていない。前述の実施形態において浮かんだ101及び沈んだ103の両方の仮想イメージは同一であるが、これらは異なってもいいことが理解されるべきである。例えば、携帯電話用キーボードのコンテキストにおいて浮かんだイメージ101は数字で、沈んだイメージ103は数字に対応する文字であってよい。各平面上のイメージは異なる色で表示されるか又は異なる時間に照明され得ることも理解されるべきである。
【0014】
図4は、仮想イメージキーパッドフィルム400の断面図を、フィルムの1つの表面に配置された光学レンズ要素405、及び別の表面に配置された表示404の配列と共に示す。このフィルムを見る人403には、表示404の大きく拡大された仮想イメージの外見上の位置に並んで、仮想イメージキーパッドフィルム400の上に浮かんで見える402又は下に沈んで見える401が示される。
【0015】
図5は、単一の光学的球面又は非球面レンズ要素500を、数字2を表す表示501とともに透視図に示す。レンズ要素500はキーパッドフィルム504の上側の面502上に配置され、一方、表示501は下側の面503上に配置される。数字2のモアレ拡大された仮想イメージを生成するために、複数のレンズ要素及び表示が、キーパッドフィルムの上下の面をカバーして格子配列状に並んで、配置される(図7aを参照)。配列内の反復するレンズ要素又は表示間の間隔又はピッチは、最小10ミクロンで最大300ミクロンであってよく、ピッチは約25ミクロンと180ミクロンとの間にあるのが特に好都合であるとみなされる。
【0016】
図5で、表示501は、小さなピクセル要素505から作られるように様式化されている。この様式化は読者がモアレ拡大の原理を理解するのを助けることを意図しており、表示501は、実際には、注型又は印刷のようなプロセスを用いた滑らかで連続的な方法で形成される。レンズ要素500の対称軸を通って、直交する直線506、507及び508は、表示501の特定の位置505上のレンズ要素の位置合せ又は位置決めを示す。表示の鮮明で拡大されたイメージを得るために、前述の実施形態の球面又は非球面レンズ要素500の焦点面は、実質的に表示の面内に配置される。しかし、これは、本質的ではない。この焦点合せの要件では、キーパッドフィルム504の厚みの制御を慎重に行うことが必要であることが理解されるべきである。
【0017】
図6では、レンズ要素600、601及び602の断面図が、仮想イメージキーパッドフィルム610内の表示603、604及び605より上に示される。表示603、604及び605は、例えば、図5の表示501(例えば、数字2のイメージ)と同じであってよい。更に、レンズ要素600、601、602は、図5のレンズ要素500と同じであってよい。図6のレンズ要素は、フィルム610の上面606上に配列として配置され、表示は底面607上に配列として配置される。図5のように、表示は小さなピクセル要素609として様式化されているが、実際には、表示は滑らかで連続的な方法で作成される。図6のピクセル要素609は、読者がレンズ要素と表示との間の位置合せを理解することを助けるために1、2、3...6の番号を振っている。各レンズ要素600、601及び602の焦点の中心を示すために破線608が引かれている。図6に見られるように、レンズ要素600は表示603のピクセル4の上、レンズ要素601は表示604のピクセル3の上、及びレンズ要素602は表示605のピクセル2の上が中心になるように配置される。レンズ要素配列と表示との間のこの小さいが漸進的なピッチの不一致によって、モアレ拡大の効果が生じる。与えられたピッチの不一致に対する倍率の大きさの計算の詳細は、上述の参照論文で与えられている。キーパッドフィルム610の光学屈折率のような他の要素も、達成されるモアレ拡大量に影響を与える。
【0018】
図6に示すようにレンズ要素配列の間隔又はピッチが表示配列のピッチよりわずかに小さい場合、拡大された仮想イメージがキーパッドフィルム610の面より上に浮かんで見える。レンズ要素のピッチが表示のそれよりわずかに大きい場合、拡大された仮想イメージがキーパッドフィルムの下に沈んで見える。
【0019】
レンズ要素600、601、602と、表示603、604、605との、配列間の位置合せ又は位置決めを注意深く行うことによって、所望のイメージが達成されることが理解されよう。実際的な条件下では、必然的ではないが、レンズ要素の位置決め誤差は、理想位置からのずれが使用されている配列ピッチ間隔の約10パーセント以下であるべきである。同様に、正確に焦点が合った仮想イメージを生じるには、必然的ではないが、レンズ要素の形状及びキーパッドフィルム610の全厚を注意深く制御することが必要である。
【0020】
図7aは、仮想イメージキーパッドフィルム700の一部に関する表示配列702の様式を示す。これらの表示配列は、図5に示されるキーパッドフィルム504の底面503に配置される。前述の実施形態では表示がキーパッドフィルムの底面503から拡がっているが、別の実施形態では、表示はキーパッドフィルムの底面503の内部にはめ込まれてもよいことが理解されるべきである。はめ込まれた表示は特に着色剤でコーティングされることが可能であり、その結果、表示は着色された外観を有することができる。
【0021】
上記のように、表示701はキーパッドに対して拡大表示され、図の整合性を保ちながらモアレ拡大法の考え方が導かれる。更に、配列の残りが続くことを示す継続点(continuation dots)とともに表示の代表的な数字だけが示される。各キーパッドシンボルに応答する複数の表示は、ブロック配列702に配置される。これらのブロック配列間の間隔705及び706によって、1つのキーパッド位置の仮想イメージと隣接するイメージとの間の視覚的な干渉の防止が容易になる。図5及び6で前述したように、ブロック配列702内の表示間の間隔703及び704はモアレ拡大の達成倍率に影響する。典型的な実施形態では、2本の直交配列軸に沿った間隔703及び704は同一だが、図7bのレンズ要素710の間隔712及び713を調整することによって異なる間隔を実現できる。何らかの仮想イメージが、キーパッドフィルム700の面より上に浮かぶか又は下に沈むように、異なるブロック配列702について、表示の間隔703及び704を変化させることが望ましいであろう。
【0022】
図7bでは、仮想イメージキーパッドフィルム700の一部に関するレンズ要素配列711の様式が示される。これらのレンズ要素配列は、図5に示されるキーパッドフィルム504の上面502に配置される。図7aの表示701と同様に、レンズ要素710は図の整合性を保つために、キーパッドに対して拡大表示される。代表的な数のレンズ要素だけが図示されており、配列の残りは継続点によって示されている。図7bでは、表示は、各キーパッドシンボルのブロック配列711に配置され、各キーパッド位置の下に設置される。これらのブロック配列間の間隔705及び706によって、隣接する仮想イメージ間の視覚的な干渉の防止が容易になる。いくつかの実施形態では、レンズ又は表示の配列間の間隔がないことが理解されるべきである。他の実施形態では、表示の配列間には間隔があるが、レンズの配列間には間隔がない。更に別の実施形態では、レンズの配列間には間隔があるが、表示の配列間には間隔がない。レンズ要素間の間隔712及び713は、図7aの表示間の間隔703及び704と連動して、図7aの表示のモアレ拡大倍率の主要な決定要因である。表示の間隔に相対的なレンズ要素の間隔も、仮想イメージがキーパッドフィルム700の上又は下に浮かんで見えるかどうかの決定要因である。いくつかの仮想イメージが浮かぶ一方で、別のものが沈むようにブロック配列711間のレンズ要素間隔を変化させることが望まれるであろう。
【0023】
レンズ配列要素を図7bに示すような別々のブロック配列711に配置する必要はない。図7cは、仮想イメージキーパッドフィルム700の全表面をカバーするレンズ要素710の連続した配列を示す。レンズ要素配列の2つの直交軸間の間隔721及び722は、図7aに示される表示の間隔703及び704とともに達成されるモアレ拡大倍率、及び形成される仮想イメージがキーパッドフィルム700の表面に浮かんで又は沈んで見えるかの決定要因である。
【0024】
図8では、仮想イメージキーパッドアセンブリ800の断面図が示される。アセンブリの底部には機械的及び/又は構造的支持を上の層に提供する基材801がある。基材801は、キーパッドのバックライト又はプログラム可能なソフトキーの表示のような他の機能を提供することも望ましいだろう。可撓性プリント回路(FPC)802は、基材801より上に配置されて電極パッド803を各キーパッドボタンに提供する。あるいは、電極パッドは基材801上に直接置かれて、FPC802が省略されてもよい。キーパッドアセンブリを光が透過することが望ましい場合、光透過性電極パッドが用いられてよい。FPCより上には、ユーザーに触覚フィードバックを提供する半球形のフィルム804がある。適切なポリマー又は金属板材料の半球形805の作成には、熱成形又は鍛造のようなプロセスを用いてよい。触覚が必要でなければ、半球形のフィルム804は任意に省略されてよい。各キーパッドボタンの位置に配置された表示807の配列を有する仮想イメージキーパッドフィルム806は、半球形のフィルム804より上に配置される。物的損害からの保護又は上面の容易なクリーニングを提供するために、図8に示されない任意の透明カバーフィルム又はコーティングを、仮想イメージフィルム806の上に配置してもよい。別の実施形態では、可撓性プリント基材は、物理的に接触しなくても作動するタイプであってよい。例えば、回路は、ユーザーの指の存在を検出するように構成され得る。そのような回路は、http://www.qprox.com/のクアンタムリサーチグループ(Quantum Research Group)のような、さまざまな供給元から市販されている。
【0025】
図9では、図8のキーパッドアセンブリ800の容量性接触による実施形態のための回路基材900が示される。各キーパッドボタンの位置に電極901が示されている。伝導電気回路は、これらの電極を容量タッチスクリーン検出ボードと通信する3Mタッチシステム社製のコネクタパッド802のセットに接続する。これらの電気回路は、回路基材900の表面をカバーする黒色の誘電体コーティング903に隠れているので図9では見えない。
【0026】
図10では、代表的なバックライト付のタッチセンサー式仮想イメージキーパッドアセンブリ1000が示される。本アセンブリは、図8のものと同様なタッチ検出能力を提供するために電極1002を有する薄膜光導波伝送路デバイス1001を備えている。ランプ1004から導波管フィルムへの光の注入を強化するために光学的構造体1003を任意に含んでもよい。発光ダイオード(LED)は好都合な光源として使用されてよい。薄膜光導波伝送路は、射出成形、スタンピング、熱成形、プリント又は注型複製のような方法で製造されてよい。仮想イメージキーパッドフィルム1005は、光導波伝送路1001の上に配置される。図4〜図7と同様に、光学レンズ要素の配列1006は、浮かんでいるか、又は沈んでいる仮想イメージがモアレ拡大の原理によって形成されるように表示の配列1007上に注意深く整列配置される。図10では、表示の配列は、光を薄膜光導波伝送路デバイス1001から引出す追加的な目的にも使用される。更に、いくつかの実施形態では、導波管の光を引出す機構は表示だけである。導波管からの光の引出しを強化するために光学グレードの接着剤又はコーティングのような結合剤を用いてよい。
【0027】
キーパッドを作成するには多くの方法があるが、レンズ及び表示配列の作成には、2面連続注型硬化プロセス(two-sided continuous cast and cure process)(2S3C)の正確な位置決め能力を使用することが好都合であることが理解されよう。そのようなプロセスを短かく要約すると、透明材料の層は、単量体又はオリゴマ前駆体の注型によってポリマーから形成され、表示及び光学要素は注型する間に形成される。このタイプの1つの好適なプロセスは、本願と同時係属で同一出願人である、ハムリセクら(Humlicek et al.)の米国特許出願番号20050051931「位置合せされた2面刻印ウェブ作成用の装置及び方法」("Apparatus and method for producing two-sided patterned webs in registration,")に記載されている。この文書は、書き直す形で、本明細書に参照として組み込まれている。参照されたプロセスは、光学的に透明な薄膜材料の各主要面上に光学レンズ要素及び表示のような非常に小さい機構を有する透明なフィルムを提供することができる。更に、これらの機構は、2つの主要面の間で高度な位置合わせがなされており、本開示との関連で理想的である。しかし、表示又は光学要素の形成は、あるいは、エンボス加工、射出成形によっても達成できる。アブレーション又はエッチングのような除去プロセスを用いることもできる。表示には、更に印刷を使用することもできる。この方法は、仮想イメージキーパッドフィルム1005と光導波伝送路1001との間で正確な位置合せを必要としない。図10では、表示の配列は、光を薄膜光導波伝送路デバイス1001から引出す追加的な目的で使用される。導波管からの光の引出しを強化するために光学グレードの接着剤又はコーティングのような結合剤を用いてよい。
【0028】
前述の実施形態では、照明された表示は、見る人1010には、キーパッドアセンブリ1000の面より上に浮かぶ、表示の大きく拡大されたイメージ1009として現れる。薄膜光導波伝送路1001を通過する光線1008のトレースが様式的に示されている。レンズ配列及び表示の間隔に応じて、照明された仮想イメージ1009はまた、キーパッドアセンブリ1000の面の下に沈んで見えることもある。
【0029】
代替的な実施形態では、レンズ及び表示を支持するフィルムは、光導波伝送路として作用することもできる。そのような実施形態では、ランプ1004は、光をキーパッドフィルム1005(図6の610)の端部を通って導くことによって別の導波管1001を不要にしている。図のように表示1007がフィルム1005の底面から伸長していても、又は上記のようにフィルムの底面にはめ込まれていても、いくつかの実施形態では、表示は導波管から光を引出すのを強化するように作動できる。
【0030】
図11では、仮想イメージ要素を有する、動的プログラム可能なタッチセンサー式キーパッドアセンブリ1100が例示される。コンテンツが、例えば、これらに限定されないが、携帯電話又はコンピュータのような電子デバイスで制御され、動的にプログラム可能なピクセルで構成されたディスプレイ要素1102を有するアクティブなディスプレイ装置1101が示されている。液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイシステムは、キーパッドアセンブリ1100の適切な選択肢の例である。タッチセンサー機能を提供する光透過性電極1103は、アクティブなディスプレイ装置1101の面上に示される。仮想イメージキーパッドフィルム1105は、アクティブなディスプレイ装置1101の上に配置される。マイクロレンズ要素1106及び表示1107の配列は、見る人1110にはキーパッドアセンブリ1100の下に沈んで見える、大きく拡大された表示の仮想イメージ1109を作成する。アクティブなディスプレイ装置1101からのイメージは、沈んだ仮想キーパッドボタンの上に配置された動的にプログラム可能なキーキャップとして現れる。この動的な「ソフトキー」機能は、貴重なキーパッド域のより効率的な利用を可能にするとともに、ユーザーにより良好な視覚フィードバックを与える。仮想ボタン要素は、ディスプレイ上のタッチセンサーターゲット位置へユーザーを誘導する拡張された可視的な手がかりを提供する。
【0031】
図12では、本開示による仮想イメージキーパッドフィルムの写真が示される。表示及びレンズ要素は、基材フィルムの両面上に注型される紫外線(UV)硬化性アクリル樹脂の2つの薄膜層において順次作成される。この基材フィルムは、50ミクロン厚膜の光学グレード2軸延伸テレフタル酸ポリエチレン(PET)である。上記のように、本開示のいくつかの実施形態によるキーパッドは、比較的速い製造工程の典型である連続ロールベースの製造工程を使用して製造できる。
【0032】
これらの仮想イメージは、基材材料の下面上の表示の単一の大きな配列と、対応する上面上の光学レンズ要素の配列との相互作用によって作成される。透明なプラスチック基材に刻印された数字キーパッドサンプルが、仮想イメージ上に重ね合わされる。表示の大きく拡大された仮想イメージは、数字キーパッド面の下に沈んで見える。
【0033】
配列の個々の表示の高さと幅は、それぞれ75ミクロンと125ミクロンである。表示配列中の表示間の中心間距離(すなわちピッチ)は、直交方向の両方とも、156.25ミクロンである。光学レンズ要素は、直径120ミクロン、曲率半径62.6ミクロン、及び円錐定数0.441の寸法で注型されている。配列中の光学レンズ要素間の間隔は、両方の直交方向とも160.0ミクロンであった。レンズピッチが160ミクロンで表示間の中心間距離が156ミクロン又は158ミクロンの、別の実施形態では結果として生じるイメージはキーパッド面の下に沈んで見えた。更に別の代替的実施形態では、レンズピッチが160ミクロンで、表示間の中心間間隔は162ミクロン又は164ミクロンであり、結果として生じるイメージはキーパッド面の上に浮き上がって見える。本開示の発明は光学要素及び表示の広範囲なピッチで動作可能だが、特定の例示的実施形態では、ピッチは約10ミクロン〜300ミクロンの間が好ましく、他の例示的実施形態では、ピッチは約25ミクロン〜180ミクロンの間が特に好ましいとみなされている。
【0034】
本開示の発明は、多種多様な異なるタイプのレンズによって作動可能で、放射光、反射光、又は半透過反射光のいずれによっても作動することができる。しかし、収束レンズは、特に好適であるとみなされる。いくつかの例示的実施形態では、本開示によるタッチ作動電気コンタクトは、表示のコントラストを増加させるために、第2側部に隣接するコントラスト強化層を任意に含んでよい。このコントラスト強化層は、例えば、蒸着、印刷、積層法、エンボス加工、又はコーティングによって、好都合に形成されてよい。
【0035】
本発明について、それらの様々な実施形態に関連して示し説明してきたが、当業者であれば、形状及び細部における様々な他の変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その分野においてなされ得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】フィルムの実平面より上に配置された仮想平面内表示の様式化された画像を有する典型的なキーパッドフィルムの透視図を示す。
【図2】フィルムの実平面の下に配置される仮想平面内表示の様式化された画像を有する典型的なキーパッドフィルムの透視図を示す。
【図3】フィルムの実平面より上に配置されるものとフィルムの実平面の下に配置されるものとの2つの仮想平面内表示の様式化された画像を有する典型的なキーパッドフィルムの透視図を示す。
【図4】図3のフィルムの横断面図を示す。
【図5】フィルムの一側面上で、フィルムの反対面上の表示の上に配置される単一の光学要素の透視図を示す。
【図6】付随する配列内の3つの表示要素の上に配置された配列内の3つのレンズ要素の横断面図を示す。
【図7a】仮想イメージキーパッドフィルムの一部について、複数の表示配列を様式化して示す。
【図7b】仮想イメージキーパッドフィルムの一部について、レンズ要素配列を様式化して示す。
【図7c】仮想イメージキーパッドフィルムの全表面をカバーするレンズ要素の連続列におけるレンズ配列要素を示す。
【図8】典型的な仮想イメージキーパッドアセンブリの横断面図を示す。
【図9】図8の容量性タッチキーパッドアセンブリ用の回路基板を示す。
【図10】バックライト付のタッチセンサー式仮想イメージキーパッドアセンブリを例示。
【図11】仮想イメージ要素を有し、動的プログラムが可能なタッチセンサー式キーパッドアセンブリを例示。
【図12】仮想イメージキーパッドフィルムの例示的実施形態の写真を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許は、発明の名称「仮想イメージを有するキーパッド(KEYPAD WITH VIRTUAL IMAGE)」で、2006年6月6日出願され、本明細書に参照として全体が組み込まれている、米国仮出願番号60/804,009に優先する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、電気的キーパッド並びにタッチパネル、及び、特にキーパッドの見かけの表面の上又は下に仮想イメージとして現れる表示を提供するデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ノートパソコン、PDA、携帯電話などのような携帯用電子デバイスは、現在、より小さく、薄く、軽い要素及びデバイスに向かう傾向がある。更に、この縮小される電子パッケージ内に、より大きな領域のディスプレイ及びしばしば複数のカラーディスプレイを有することが望まれている。データ入力パッド又はキーパッドは、薄さ、重量、視覚訴求性、及び空間の多機能的な利用に関する機能改良の機会の好例である。いくつかの一般的なキーパッドタイプの概略を以下に記載する。
【0004】
薄いキーパッドが典型的には、薄いポリマー又は金属板又はこれらの材料の複合積層板から、成形、熱成形、打抜き、又は型押し加工される。表示は、典型的には、キーパッド表面に印刷される。場合によっては、キーパッドは、背後から照明できるように、透明又は半透明である。しかし、薄く軽量である一方、これらのキーパッドの外見は一般に平坦である。
【0005】
一般に「チクレット(Chicklet)」スタイルのキーパッドとも呼ばれる厚いキーパッドは、典型的には可撓性ポリマーから射出成形されるか、又はポリマー若しくは金属粉から圧縮成形される。表示は、射出成形過程の間に複数回射出成形を使用してキーに組み込むか、成形の間にキー表面に形成するか、又は、成形後にキー表面に印刷されてもよい。繰り返すが、透明又は半透明のキーパッドのキーは、背後から照明されてよい。しかし、これらの厚いキーパッドは、しばしば、薄い電子パッケージに嵌入するのが困難である。
【0006】
タッチセンサー技術を使用するキーボードには、伝導電極間の抵抗性接触をモニタする種類及びユーザーの指とキーパッド電極との間の容量性結合を検出する種類が含まれる。容量性技術のわかりやすい例としては、3Mタッチシステム社(3M Touch Systems)製(例えば、クリアテック(ClearTek)の名称で市販されている3M社のタッチスクリーン)の容量性タッチスクリーン検出ボードの実施例がある。この検出ボードは、キーパッドボタン電極を交流電気信号によって付勢する。指又は他の伝導体が電極に接近すると、容量性結合によって、電極からの電流は伝導体を通して接地点に短絡される。検出ボード上の非常に高感度な検出回路が、この電流を測定して出力信号を電子デバイスに分配する。タッチ検出システムの1つの利点は、各キーパッドボタン位置には単一の電極だけしか必要とされないことである。電気抵抗に基づくボタンスイッチには、各ボタン用に2セットの電極、又はその代わりに、ボタン電極に隣接して位置する他のフィルム上に配置される導電層が必要になるだろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薄い透明な感圧性表示パネルを有するキーボードは、仮想キーボード(Virtual Keyboard)という発明の名称で中川(Nakagawa)の米国特許番号7,034,806に開示されている。上記の3Mタッチシステム社製品のような高感度のタッチ検出デバイスをアクティブディスプレイに取り付けると類似の機能を得ることができる。表示パネル上のキーパッドでは、キー指定を動的に再配置できる。しかし、キーパッドは、一般に、平坦な外観を有する。改良型のキーパッドが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、キーパッドデバイスの外見上の平面とは別の平面内にあるようにユーザーに見える仮想イメージを有するキーパッドを提供する。より具体的には、キーパッド上の表示が、そのデバイス表面の上又は下に浮遊するように見える。キーパッドは、例えば、携帯電話のキーパッドであってよい。このようなアプリケーションの場合、1以上の表示の配列がキーパッド上に存在する。例えば、0〜9の数字を提供する表示の10の配列、及び*と#キーの仮想イメージを提供する更に2つの配列があってよい。いくつかの実施形態では、キーパッドは、表示を明るくする照明光源と統合される。本開示は、浮遊表示を有するキーパッドを製造する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
3次元自動立体イメージとしても一般的に公知である、自然に見える3次元イメージを提供するための基本的な原理は公知である。レンズの焦点面の近くにある同一の物体又は表示の配列を見るためにレンズの列が用いられる時に仮想イメージができることは公知である。レンズの列が、同一物体の列に対して、異なるピッチ又は反復長を有する場合、何らかの拡大倍率が発生して、見る人に実際の場所とは異なる平面内に仮想イメージが現れることも公知である。この現象は、モアレ拡大と称される。基本原理に関する議論は、M.C.ハトレイら著「モアレ拡大器」基礎及び応用光学、1994年3号133〜142頁("The Moire magnifier," M.C. Hutley et al, Pure Appl. Opt. 3(1994)133-142)に見られる。更なる基本事項については、H.カマルら著「モアレ拡大器の特性」光工学37(11)3007〜3014(1998年11月)("Properties of Moire magnifiers," H. Kamal, et al, Opt. Eng. 37(11)3007-3014(November 1998))を参照してよい。
【0010】
原理的に、モアレ拡大効果は、見る人の左右の眼にわずかにずれた表示のイメージを提供することによって達成される。これらのずれたイメージは、表示が刻印されている物理面と異なる位置にあるようにユーザーに解釈される。セキュリティ文書におけるモアレ拡大器の使用については、コマンダーら(Commander et al.)のWO2005/106601、発明の名称「改良型光学可変装置(Improved Optically Variable Devices)」で議論されており、本明細書に参照として組み込まれる。
【0011】
次に、図1では電話番号の入力に使用される典型的な数字キーの表示を有する仮想イメージキーパッドフィルム100の実施形態例が示される。見る人102が、キーパッドフィルム100の物理面より上の平面101に浮遊して見える表示の仮想イメージを有するキーパッドを見ているところを示す。図1は、仮想オフセットの度合いと方向の概念が読者にわかるように、外見上の表示をキーパッドフィルム100より下の平面内に様式的に示している。本開示との関連で、例えば、仮想イメージ平面101に示される数字「1」の仮想イメージを生成する1つの大きな数字「1」があるのではない。下記に、より具体的に議論されるように、各数字は、読者に対してキーパッドフィルム100の下側の面上に好都合に配置された実際のイメージの配列によって生成される。各表示配列の数字は、図1の尺度で伝えるには、小さ過ぎる。
【0012】
仮想イメージキーパッドフィルム100の別の例として、図2を参照すると、キーパッドフィルム100の物理面103より下の仮想イメージ平面内に沈んだ表示が示されている。上の図1と同様な方法で、図2は、読者が仮想オフセットの度合いと方向の概念がわかるように、外見上の表示をキーパッドフィルム100より下の平面内に様式的に示している。仮想イメージ103を生成するキーパッドフィルム100の上側の面上の光学要素を通して見えるように、表示は非常に小さい数字の12の個別的な配列から成る。
【0013】
図3では、仮想イメージキーパッドフィルム100上に浮かんだ101及び沈んだ103の表示の仮想イメージが両方とも、見る人102に見える。この図では、2つの仮想イメージ平面101と103を生成する配列は、図の整合性を保持するために示されていない。前述の実施形態において浮かんだ101及び沈んだ103の両方の仮想イメージは同一であるが、これらは異なってもいいことが理解されるべきである。例えば、携帯電話用キーボードのコンテキストにおいて浮かんだイメージ101は数字で、沈んだイメージ103は数字に対応する文字であってよい。各平面上のイメージは異なる色で表示されるか又は異なる時間に照明され得ることも理解されるべきである。
【0014】
図4は、仮想イメージキーパッドフィルム400の断面図を、フィルムの1つの表面に配置された光学レンズ要素405、及び別の表面に配置された表示404の配列と共に示す。このフィルムを見る人403には、表示404の大きく拡大された仮想イメージの外見上の位置に並んで、仮想イメージキーパッドフィルム400の上に浮かんで見える402又は下に沈んで見える401が示される。
【0015】
図5は、単一の光学的球面又は非球面レンズ要素500を、数字2を表す表示501とともに透視図に示す。レンズ要素500はキーパッドフィルム504の上側の面502上に配置され、一方、表示501は下側の面503上に配置される。数字2のモアレ拡大された仮想イメージを生成するために、複数のレンズ要素及び表示が、キーパッドフィルムの上下の面をカバーして格子配列状に並んで、配置される(図7aを参照)。配列内の反復するレンズ要素又は表示間の間隔又はピッチは、最小10ミクロンで最大300ミクロンであってよく、ピッチは約25ミクロンと180ミクロンとの間にあるのが特に好都合であるとみなされる。
【0016】
図5で、表示501は、小さなピクセル要素505から作られるように様式化されている。この様式化は読者がモアレ拡大の原理を理解するのを助けることを意図しており、表示501は、実際には、注型又は印刷のようなプロセスを用いた滑らかで連続的な方法で形成される。レンズ要素500の対称軸を通って、直交する直線506、507及び508は、表示501の特定の位置505上のレンズ要素の位置合せ又は位置決めを示す。表示の鮮明で拡大されたイメージを得るために、前述の実施形態の球面又は非球面レンズ要素500の焦点面は、実質的に表示の面内に配置される。しかし、これは、本質的ではない。この焦点合せの要件では、キーパッドフィルム504の厚みの制御を慎重に行うことが必要であることが理解されるべきである。
【0017】
図6では、レンズ要素600、601及び602の断面図が、仮想イメージキーパッドフィルム610内の表示603、604及び605より上に示される。表示603、604及び605は、例えば、図5の表示501(例えば、数字2のイメージ)と同じであってよい。更に、レンズ要素600、601、602は、図5のレンズ要素500と同じであってよい。図6のレンズ要素は、フィルム610の上面606上に配列として配置され、表示は底面607上に配列として配置される。図5のように、表示は小さなピクセル要素609として様式化されているが、実際には、表示は滑らかで連続的な方法で作成される。図6のピクセル要素609は、読者がレンズ要素と表示との間の位置合せを理解することを助けるために1、2、3...6の番号を振っている。各レンズ要素600、601及び602の焦点の中心を示すために破線608が引かれている。図6に見られるように、レンズ要素600は表示603のピクセル4の上、レンズ要素601は表示604のピクセル3の上、及びレンズ要素602は表示605のピクセル2の上が中心になるように配置される。レンズ要素配列と表示との間のこの小さいが漸進的なピッチの不一致によって、モアレ拡大の効果が生じる。与えられたピッチの不一致に対する倍率の大きさの計算の詳細は、上述の参照論文で与えられている。キーパッドフィルム610の光学屈折率のような他の要素も、達成されるモアレ拡大量に影響を与える。
【0018】
図6に示すようにレンズ要素配列の間隔又はピッチが表示配列のピッチよりわずかに小さい場合、拡大された仮想イメージがキーパッドフィルム610の面より上に浮かんで見える。レンズ要素のピッチが表示のそれよりわずかに大きい場合、拡大された仮想イメージがキーパッドフィルムの下に沈んで見える。
【0019】
レンズ要素600、601、602と、表示603、604、605との、配列間の位置合せ又は位置決めを注意深く行うことによって、所望のイメージが達成されることが理解されよう。実際的な条件下では、必然的ではないが、レンズ要素の位置決め誤差は、理想位置からのずれが使用されている配列ピッチ間隔の約10パーセント以下であるべきである。同様に、正確に焦点が合った仮想イメージを生じるには、必然的ではないが、レンズ要素の形状及びキーパッドフィルム610の全厚を注意深く制御することが必要である。
【0020】
図7aは、仮想イメージキーパッドフィルム700の一部に関する表示配列702の様式を示す。これらの表示配列は、図5に示されるキーパッドフィルム504の底面503に配置される。前述の実施形態では表示がキーパッドフィルムの底面503から拡がっているが、別の実施形態では、表示はキーパッドフィルムの底面503の内部にはめ込まれてもよいことが理解されるべきである。はめ込まれた表示は特に着色剤でコーティングされることが可能であり、その結果、表示は着色された外観を有することができる。
【0021】
上記のように、表示701はキーパッドに対して拡大表示され、図の整合性を保ちながらモアレ拡大法の考え方が導かれる。更に、配列の残りが続くことを示す継続点(continuation dots)とともに表示の代表的な数字だけが示される。各キーパッドシンボルに応答する複数の表示は、ブロック配列702に配置される。これらのブロック配列間の間隔705及び706によって、1つのキーパッド位置の仮想イメージと隣接するイメージとの間の視覚的な干渉の防止が容易になる。図5及び6で前述したように、ブロック配列702内の表示間の間隔703及び704はモアレ拡大の達成倍率に影響する。典型的な実施形態では、2本の直交配列軸に沿った間隔703及び704は同一だが、図7bのレンズ要素710の間隔712及び713を調整することによって異なる間隔を実現できる。何らかの仮想イメージが、キーパッドフィルム700の面より上に浮かぶか又は下に沈むように、異なるブロック配列702について、表示の間隔703及び704を変化させることが望ましいであろう。
【0022】
図7bでは、仮想イメージキーパッドフィルム700の一部に関するレンズ要素配列711の様式が示される。これらのレンズ要素配列は、図5に示されるキーパッドフィルム504の上面502に配置される。図7aの表示701と同様に、レンズ要素710は図の整合性を保つために、キーパッドに対して拡大表示される。代表的な数のレンズ要素だけが図示されており、配列の残りは継続点によって示されている。図7bでは、表示は、各キーパッドシンボルのブロック配列711に配置され、各キーパッド位置の下に設置される。これらのブロック配列間の間隔705及び706によって、隣接する仮想イメージ間の視覚的な干渉の防止が容易になる。いくつかの実施形態では、レンズ又は表示の配列間の間隔がないことが理解されるべきである。他の実施形態では、表示の配列間には間隔があるが、レンズの配列間には間隔がない。更に別の実施形態では、レンズの配列間には間隔があるが、表示の配列間には間隔がない。レンズ要素間の間隔712及び713は、図7aの表示間の間隔703及び704と連動して、図7aの表示のモアレ拡大倍率の主要な決定要因である。表示の間隔に相対的なレンズ要素の間隔も、仮想イメージがキーパッドフィルム700の上又は下に浮かんで見えるかどうかの決定要因である。いくつかの仮想イメージが浮かぶ一方で、別のものが沈むようにブロック配列711間のレンズ要素間隔を変化させることが望まれるであろう。
【0023】
レンズ配列要素を図7bに示すような別々のブロック配列711に配置する必要はない。図7cは、仮想イメージキーパッドフィルム700の全表面をカバーするレンズ要素710の連続した配列を示す。レンズ要素配列の2つの直交軸間の間隔721及び722は、図7aに示される表示の間隔703及び704とともに達成されるモアレ拡大倍率、及び形成される仮想イメージがキーパッドフィルム700の表面に浮かんで又は沈んで見えるかの決定要因である。
【0024】
図8では、仮想イメージキーパッドアセンブリ800の断面図が示される。アセンブリの底部には機械的及び/又は構造的支持を上の層に提供する基材801がある。基材801は、キーパッドのバックライト又はプログラム可能なソフトキーの表示のような他の機能を提供することも望ましいだろう。可撓性プリント回路(FPC)802は、基材801より上に配置されて電極パッド803を各キーパッドボタンに提供する。あるいは、電極パッドは基材801上に直接置かれて、FPC802が省略されてもよい。キーパッドアセンブリを光が透過することが望ましい場合、光透過性電極パッドが用いられてよい。FPCより上には、ユーザーに触覚フィードバックを提供する半球形のフィルム804がある。適切なポリマー又は金属板材料の半球形805の作成には、熱成形又は鍛造のようなプロセスを用いてよい。触覚が必要でなければ、半球形のフィルム804は任意に省略されてよい。各キーパッドボタンの位置に配置された表示807の配列を有する仮想イメージキーパッドフィルム806は、半球形のフィルム804より上に配置される。物的損害からの保護又は上面の容易なクリーニングを提供するために、図8に示されない任意の透明カバーフィルム又はコーティングを、仮想イメージフィルム806の上に配置してもよい。別の実施形態では、可撓性プリント基材は、物理的に接触しなくても作動するタイプであってよい。例えば、回路は、ユーザーの指の存在を検出するように構成され得る。そのような回路は、http://www.qprox.com/のクアンタムリサーチグループ(Quantum Research Group)のような、さまざまな供給元から市販されている。
【0025】
図9では、図8のキーパッドアセンブリ800の容量性接触による実施形態のための回路基材900が示される。各キーパッドボタンの位置に電極901が示されている。伝導電気回路は、これらの電極を容量タッチスクリーン検出ボードと通信する3Mタッチシステム社製のコネクタパッド802のセットに接続する。これらの電気回路は、回路基材900の表面をカバーする黒色の誘電体コーティング903に隠れているので図9では見えない。
【0026】
図10では、代表的なバックライト付のタッチセンサー式仮想イメージキーパッドアセンブリ1000が示される。本アセンブリは、図8のものと同様なタッチ検出能力を提供するために電極1002を有する薄膜光導波伝送路デバイス1001を備えている。ランプ1004から導波管フィルムへの光の注入を強化するために光学的構造体1003を任意に含んでもよい。発光ダイオード(LED)は好都合な光源として使用されてよい。薄膜光導波伝送路は、射出成形、スタンピング、熱成形、プリント又は注型複製のような方法で製造されてよい。仮想イメージキーパッドフィルム1005は、光導波伝送路1001の上に配置される。図4〜図7と同様に、光学レンズ要素の配列1006は、浮かんでいるか、又は沈んでいる仮想イメージがモアレ拡大の原理によって形成されるように表示の配列1007上に注意深く整列配置される。図10では、表示の配列は、光を薄膜光導波伝送路デバイス1001から引出す追加的な目的にも使用される。更に、いくつかの実施形態では、導波管の光を引出す機構は表示だけである。導波管からの光の引出しを強化するために光学グレードの接着剤又はコーティングのような結合剤を用いてよい。
【0027】
キーパッドを作成するには多くの方法があるが、レンズ及び表示配列の作成には、2面連続注型硬化プロセス(two-sided continuous cast and cure process)(2S3C)の正確な位置決め能力を使用することが好都合であることが理解されよう。そのようなプロセスを短かく要約すると、透明材料の層は、単量体又はオリゴマ前駆体の注型によってポリマーから形成され、表示及び光学要素は注型する間に形成される。このタイプの1つの好適なプロセスは、本願と同時係属で同一出願人である、ハムリセクら(Humlicek et al.)の米国特許出願番号20050051931「位置合せされた2面刻印ウェブ作成用の装置及び方法」("Apparatus and method for producing two-sided patterned webs in registration,")に記載されている。この文書は、書き直す形で、本明細書に参照として組み込まれている。参照されたプロセスは、光学的に透明な薄膜材料の各主要面上に光学レンズ要素及び表示のような非常に小さい機構を有する透明なフィルムを提供することができる。更に、これらの機構は、2つの主要面の間で高度な位置合わせがなされており、本開示との関連で理想的である。しかし、表示又は光学要素の形成は、あるいは、エンボス加工、射出成形によっても達成できる。アブレーション又はエッチングのような除去プロセスを用いることもできる。表示には、更に印刷を使用することもできる。この方法は、仮想イメージキーパッドフィルム1005と光導波伝送路1001との間で正確な位置合せを必要としない。図10では、表示の配列は、光を薄膜光導波伝送路デバイス1001から引出す追加的な目的で使用される。導波管からの光の引出しを強化するために光学グレードの接着剤又はコーティングのような結合剤を用いてよい。
【0028】
前述の実施形態では、照明された表示は、見る人1010には、キーパッドアセンブリ1000の面より上に浮かぶ、表示の大きく拡大されたイメージ1009として現れる。薄膜光導波伝送路1001を通過する光線1008のトレースが様式的に示されている。レンズ配列及び表示の間隔に応じて、照明された仮想イメージ1009はまた、キーパッドアセンブリ1000の面の下に沈んで見えることもある。
【0029】
代替的な実施形態では、レンズ及び表示を支持するフィルムは、光導波伝送路として作用することもできる。そのような実施形態では、ランプ1004は、光をキーパッドフィルム1005(図6の610)の端部を通って導くことによって別の導波管1001を不要にしている。図のように表示1007がフィルム1005の底面から伸長していても、又は上記のようにフィルムの底面にはめ込まれていても、いくつかの実施形態では、表示は導波管から光を引出すのを強化するように作動できる。
【0030】
図11では、仮想イメージ要素を有する、動的プログラム可能なタッチセンサー式キーパッドアセンブリ1100が例示される。コンテンツが、例えば、これらに限定されないが、携帯電話又はコンピュータのような電子デバイスで制御され、動的にプログラム可能なピクセルで構成されたディスプレイ要素1102を有するアクティブなディスプレイ装置1101が示されている。液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイシステムは、キーパッドアセンブリ1100の適切な選択肢の例である。タッチセンサー機能を提供する光透過性電極1103は、アクティブなディスプレイ装置1101の面上に示される。仮想イメージキーパッドフィルム1105は、アクティブなディスプレイ装置1101の上に配置される。マイクロレンズ要素1106及び表示1107の配列は、見る人1110にはキーパッドアセンブリ1100の下に沈んで見える、大きく拡大された表示の仮想イメージ1109を作成する。アクティブなディスプレイ装置1101からのイメージは、沈んだ仮想キーパッドボタンの上に配置された動的にプログラム可能なキーキャップとして現れる。この動的な「ソフトキー」機能は、貴重なキーパッド域のより効率的な利用を可能にするとともに、ユーザーにより良好な視覚フィードバックを与える。仮想ボタン要素は、ディスプレイ上のタッチセンサーターゲット位置へユーザーを誘導する拡張された可視的な手がかりを提供する。
【0031】
図12では、本開示による仮想イメージキーパッドフィルムの写真が示される。表示及びレンズ要素は、基材フィルムの両面上に注型される紫外線(UV)硬化性アクリル樹脂の2つの薄膜層において順次作成される。この基材フィルムは、50ミクロン厚膜の光学グレード2軸延伸テレフタル酸ポリエチレン(PET)である。上記のように、本開示のいくつかの実施形態によるキーパッドは、比較的速い製造工程の典型である連続ロールベースの製造工程を使用して製造できる。
【0032】
これらの仮想イメージは、基材材料の下面上の表示の単一の大きな配列と、対応する上面上の光学レンズ要素の配列との相互作用によって作成される。透明なプラスチック基材に刻印された数字キーパッドサンプルが、仮想イメージ上に重ね合わされる。表示の大きく拡大された仮想イメージは、数字キーパッド面の下に沈んで見える。
【0033】
配列の個々の表示の高さと幅は、それぞれ75ミクロンと125ミクロンである。表示配列中の表示間の中心間距離(すなわちピッチ)は、直交方向の両方とも、156.25ミクロンである。光学レンズ要素は、直径120ミクロン、曲率半径62.6ミクロン、及び円錐定数0.441の寸法で注型されている。配列中の光学レンズ要素間の間隔は、両方の直交方向とも160.0ミクロンであった。レンズピッチが160ミクロンで表示間の中心間距離が156ミクロン又は158ミクロンの、別の実施形態では結果として生じるイメージはキーパッド面の下に沈んで見えた。更に別の代替的実施形態では、レンズピッチが160ミクロンで、表示間の中心間間隔は162ミクロン又は164ミクロンであり、結果として生じるイメージはキーパッド面の上に浮き上がって見える。本開示の発明は光学要素及び表示の広範囲なピッチで動作可能だが、特定の例示的実施形態では、ピッチは約10ミクロン〜300ミクロンの間が好ましく、他の例示的実施形態では、ピッチは約25ミクロン〜180ミクロンの間が特に好ましいとみなされている。
【0034】
本開示の発明は、多種多様な異なるタイプのレンズによって作動可能で、放射光、反射光、又は半透過反射光のいずれによっても作動することができる。しかし、収束レンズは、特に好適であるとみなされる。いくつかの例示的実施形態では、本開示によるタッチ作動電気コンタクトは、表示のコントラストを増加させるために、第2側部に隣接するコントラスト強化層を任意に含んでよい。このコントラスト強化層は、例えば、蒸着、印刷、積層法、エンボス加工、又はコーティングによって、好都合に形成されてよい。
【0035】
本発明について、それらの様々な実施形態に関連して示し説明してきたが、当業者であれば、形状及び細部における様々な他の変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その分野においてなされ得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】フィルムの実平面より上に配置された仮想平面内表示の様式化された画像を有する典型的なキーパッドフィルムの透視図を示す。
【図2】フィルムの実平面の下に配置される仮想平面内表示の様式化された画像を有する典型的なキーパッドフィルムの透視図を示す。
【図3】フィルムの実平面より上に配置されるものとフィルムの実平面の下に配置されるものとの2つの仮想平面内表示の様式化された画像を有する典型的なキーパッドフィルムの透視図を示す。
【図4】図3のフィルムの横断面図を示す。
【図5】フィルムの一側面上で、フィルムの反対面上の表示の上に配置される単一の光学要素の透視図を示す。
【図6】付随する配列内の3つの表示要素の上に配置された配列内の3つのレンズ要素の横断面図を示す。
【図7a】仮想イメージキーパッドフィルムの一部について、複数の表示配列を様式化して示す。
【図7b】仮想イメージキーパッドフィルムの一部について、レンズ要素配列を様式化して示す。
【図7c】仮想イメージキーパッドフィルムの全表面をカバーするレンズ要素の連続列におけるレンズ配列要素を示す。
【図8】典型的な仮想イメージキーパッドアセンブリの横断面図を示す。
【図9】図8の容量性タッチキーパッドアセンブリ用の回路基板を示す。
【図10】バックライト付のタッチセンサー式仮想イメージキーパッドアセンブリを例示。
【図11】仮想イメージ要素を有し、動的プログラムが可能なタッチセンサー式キーパッドアセンブリを例示。
【図12】仮想イメージキーパッドフィルムの例示的実施形態の写真を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2主要面の反対側に第1主要面を有するフィルムと、
前記第1主要面上に間隔を置いて配置される第1及び第2の表示の配列と、
前記第2主要面上のレンズの配列、及び
前記第1及び第2の表示の配列が協同して第1仮想イメージ及び第2仮想イメージを生成し、これらの仮想イメージは異なっており、双方ともフィルム外の平面内にあるように見えるよう構成された、レンズの配列と、を具備するキーパッド。
【請求項2】
前記第1の表示の配列付近でユーザーの指の存在を検出するように構成された電気的構成要素を更に具備する、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項3】
前記第1の表示の配列付近で、ユーザーの指とフィルムとの間の接触を検出するように構成された電気的構成要素を更に具備する、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項4】
前記第1及び第2仮想イメージが同一平面上にある、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項5】
前記第1仮想イメージがフィルムより上の平面内にあって、第2仮想イメージがフィルムより下の平面内にある、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項6】
前記仮想イメージの少なくとも1つが数字又は文字である、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項7】
仮想イメージを照らすように構成された光源を更に具備する、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項8】
前記フィルムの第1主要面に隣接して配置される導波管を更に具備し、その導波管は光源から発する光を受光して透過するように構成されている、請求項7に記載のキーパッド。
【請求項9】
前記光源が、光を前記フィルムの周辺域に導くように構成された、請求項7に記載のキーパッド。
【請求項10】
前記表示が光学グレードの接着剤でコーティングされた、請求項7に記載のキーパッド。
【請求項11】
前記フィルムの前記第2主要面上に間隔を置いたレンズの複数の配列を含む、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項12】
第1及び第2側部を有する透明材料の層であって、前記透明材料の層の外部の平面内に仮想イメージを作成するように、前記第1側部は第1ピッチを有する光学要素の配列を含み、前記第2側部は第2ピッチを有する表示の配列を含む、透明材料の層と、
前記透明材料の層に隣接して取付けられた電気スイッチと、を具備するユーザーが作動させるスイッチ。
【請求項13】
複数の電気スイッチに対応する複数の異なる表示の配列が協同的にデータ入力キーパッドを提供する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項14】
前記光学要素が収束レンズである、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項15】
前記第1ピッチが約10ミクロン〜300ミクロンの間である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項16】
前記透明材料の層の端部を照らすために配置される照明光源を更に具備する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項17】
前記透明材料の層がその透明材料の層から照明光源の光を導く光抽出機構を有する、請求項16に記載のスイッチ。
【請求項18】
前記表示は、前記透明材料の層から照明光源の光を導く光抽出機構を有する、請求項17に記載のスイッチ。
【請求項19】
透明材料の層が、ガラス層に付着した少なくとも1つの高分子層を具備する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項20】
前記第2側部に隣接してコントラストを強化する層を更に具備し、そのコントラスト強化層は、蒸着、印刷、積層法、エンボス加工、及びコーティングからなる群から選択されたプロセスによって形成される、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項21】
電気スイッチが抵抗性である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項22】
電気スイッチが容量性である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項23】
第1及び第2側部を有する透明材料の層であって、その透明材料の層の外部平面内に仮想イメージを生成するように、前記第1側部は第1ピッチを有する光学要素の配列を含み、前記第2側部は第2ピッチを有する表示の配列を含む、透明材料の層を提供する工程と、
前記透明材料の層に隣接して取付けられた電気スイッチを提供する工程と、を具備する、ユーザーが作動させるスイッチを製造する方法。
【請求項24】
前記透明材料の層は、単量体又はオリゴマ前駆体の注型によってポリマーから形成され、前記表示及び光学要素は、注型の間に形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記表示又は光学要素の少なくとも1つがエンボス加工によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記表示又は光学要素の少なくとも1つが射出成形によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記表示又は光学要素の少なくとも1つが除去プロセスによって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
表示が印刷、注型、エッチング、アブレーション及び成形からなる群から選択される方法によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
第2主要面の反対側に第1主要面を有するフィルムと、
前記第1主要面上に間隔を置いて配置される第1及び第2の表示の配列と、
前記第2主要面上のレンズの配列、及び
前記第1及び第2の表示の配列が協同して第1仮想イメージ及び第2仮想イメージを生成し、これらの仮想イメージは異なっており、双方ともフィルム外の平面内にあるように見えるよう構成された、レンズの配列と、を具備するキーパッド。
【請求項2】
前記第1の表示の配列付近でユーザーの指の存在を検出するように構成された電気的構成要素を更に具備する、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項3】
前記第1の表示の配列付近で、ユーザーの指とフィルムとの間の接触を検出するように構成された電気的構成要素を更に具備する、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項4】
前記第1及び第2仮想イメージが同一平面上にある、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項5】
前記第1仮想イメージがフィルムより上の平面内にあって、第2仮想イメージがフィルムより下の平面内にある、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項6】
前記仮想イメージの少なくとも1つが数字又は文字である、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項7】
仮想イメージを照らすように構成された光源を更に具備する、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項8】
前記フィルムの第1主要面に隣接して配置される導波管を更に具備し、その導波管は光源から発する光を受光して透過するように構成されている、請求項7に記載のキーパッド。
【請求項9】
前記光源が、光を前記フィルムの周辺域に導くように構成された、請求項7に記載のキーパッド。
【請求項10】
前記表示が光学グレードの接着剤でコーティングされた、請求項7に記載のキーパッド。
【請求項11】
前記フィルムの前記第2主要面上に間隔を置いたレンズの複数の配列を含む、請求項1に記載のキーパッド。
【請求項12】
第1及び第2側部を有する透明材料の層であって、前記透明材料の層の外部の平面内に仮想イメージを作成するように、前記第1側部は第1ピッチを有する光学要素の配列を含み、前記第2側部は第2ピッチを有する表示の配列を含む、透明材料の層と、
前記透明材料の層に隣接して取付けられた電気スイッチと、を具備するユーザーが作動させるスイッチ。
【請求項13】
複数の電気スイッチに対応する複数の異なる表示の配列が協同的にデータ入力キーパッドを提供する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項14】
前記光学要素が収束レンズである、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項15】
前記第1ピッチが約10ミクロン〜300ミクロンの間である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項16】
前記透明材料の層の端部を照らすために配置される照明光源を更に具備する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項17】
前記透明材料の層がその透明材料の層から照明光源の光を導く光抽出機構を有する、請求項16に記載のスイッチ。
【請求項18】
前記表示は、前記透明材料の層から照明光源の光を導く光抽出機構を有する、請求項17に記載のスイッチ。
【請求項19】
透明材料の層が、ガラス層に付着した少なくとも1つの高分子層を具備する、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項20】
前記第2側部に隣接してコントラストを強化する層を更に具備し、そのコントラスト強化層は、蒸着、印刷、積層法、エンボス加工、及びコーティングからなる群から選択されたプロセスによって形成される、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項21】
電気スイッチが抵抗性である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項22】
電気スイッチが容量性である、請求項12に記載のスイッチ。
【請求項23】
第1及び第2側部を有する透明材料の層であって、その透明材料の層の外部平面内に仮想イメージを生成するように、前記第1側部は第1ピッチを有する光学要素の配列を含み、前記第2側部は第2ピッチを有する表示の配列を含む、透明材料の層を提供する工程と、
前記透明材料の層に隣接して取付けられた電気スイッチを提供する工程と、を具備する、ユーザーが作動させるスイッチを製造する方法。
【請求項24】
前記透明材料の層は、単量体又はオリゴマ前駆体の注型によってポリマーから形成され、前記表示及び光学要素は、注型の間に形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記表示又は光学要素の少なくとも1つがエンボス加工によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記表示又は光学要素の少なくとも1つが射出成形によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記表示又は光学要素の少なくとも1つが除去プロセスによって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
表示が印刷、注型、エッチング、アブレーション及び成形からなる群から選択される方法によって形成される、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−540440(P2009−540440A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514485(P2009−514485)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/070309
【国際公開番号】WO2007/146634
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/070309
【国際公開番号】WO2007/146634
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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