伝導性ノイズフィルタ
【課題】電源側における漏れ電流の補償が可能で、かつ、相殺用電圧を低くすることが可能な伝導性ノイズフィルタを提供する。
【解決手段】交流電源1の出力を直流電圧に変換する整流器4と、電力用半導体素子のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器6とを有する系に適用される伝導性ノイズフィルタである。 電力用半導体素子のスイッチング動作時に発生するコモンモード電圧を、交流電源1と整流器4間の線路3に接続された接地コンデンサ14を介して検出するコモンモード電圧検出手段15と、検出したコモンモード電圧に基づいて、コモンモード電圧と同じ大きさの逆極性の相殺用電圧を発生し、この相殺用電圧を線路3における交流電源1と接地コンデンサ14の接続点との間に重畳させてコモンモード電圧を相殺する相殺用電圧源8とを備える。
【解決手段】交流電源1の出力を直流電圧に変換する整流器4と、電力用半導体素子のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器6とを有する系に適用される伝導性ノイズフィルタである。 電力用半導体素子のスイッチング動作時に発生するコモンモード電圧を、交流電源1と整流器4間の線路3に接続された接地コンデンサ14を介して検出するコモンモード電圧検出手段15と、検出したコモンモード電圧に基づいて、コモンモード電圧と同じ大きさの逆極性の相殺用電圧を発生し、この相殺用電圧を線路3における交流電源1と接地コンデンサ14の接続点との間に重畳させてコモンモード電圧を相殺する相殺用電圧源8とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーエレクトロニクス機器で発生する伝導性ノイズを低減する伝導性ノイズフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体デバイスの発展に伴って、インバータのスイッチング周波数が高周波化している。スイッチング周波数が高周波化されると、電動機の騒音や振動が低減するとともに、電圧、電流、トルクなどを制御する能力が向上するが、反面、電動機巻き線の浮遊容量を介して接地線に高周波漏れ電流(コモンモード電流)が流れることになる。コモンモード電流は、インバータの電流制御に悪い影響を与え、また、漏電ブレーカの誤作動などの電磁障害(EMI:Electromagnetic Interference )を引き起こす恐れがある。そこで、従来においては、コモンモード電流を最小にするため、このコモンモード電流を分流させるような受動フィルタや該コモンモード電流を補償する能動フィルタを用いている。
【0003】
図11は、特許文献1に記載されたアクティブコモンモードキャンセラの公知例を示す。このアクティブコモンモードキャンセラは、電圧形PWMインバータにより誘導電動機をベクトル制御するシステムの主回路に適用されている。
この主回路では、三相交流電源101の交流出力が整流器102によって直流に変換され、この整流器102の直流出力が平滑用コンデンサ103によって平滑される。平滑用コンデンサ103で平滑された直流電圧は、電圧形PWMインバータ104に入力され、このPWMインバータ104に設けられた電力用半導体素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換される。インバータ104の三相交流出力は、ケーブル105を介して誘導電動機106に供給される。なお、誘導電動機106のフレームは、接地線を介して接地端子に接続されている。
【0004】
コモンモードキャンセラ107は、PWMインバータ104の出力端に接続されている。このコモンモードキャンセラ107において、静電容量がC0である3つのコンデンサ108は、コモンモード電圧を検出するためにインバータ104の三相交流出力端にスター結線されている。このスター結線の中性点より得られるコモンモード電圧は、コンプリメンタリのトランジスタTr1、Tr2を用いたプッシュプル形のエミッタフォロワ回路109によって電力増幅された後、静電容量がC1である一対のコンデンサ110を介してコモンモードトランス111の一次側コイルに入力される。このコモンモードトランス111の二次側コイルは、三相ケーブル105の途中に設けられている。このコモンモードキャンセラ107は、その駆動電源をインバータ104の入力側より得ている。
【0005】
上記エミッタフォロワ回路109は、コモンモード電圧をキャンセルするための制御電圧源として設けられている。この制御電圧源には、PWMインバータ104がスイッチング動作する毎にステップ状に変化するコモンモード電圧を忠実に出力することが可能な高速応答性と低い出カインピーダンス特性とが要求されるが、上記エミッタフォロワ回路109によれば、この要求を満たすことができる。
【0006】
上記コモンモードキャンセラ107の作用を図12に示す等価回路を参照して説明する。図12において、符号Cmは上記電動機106の巻線とフレーム間の浮遊容量を示し、符号lおよびrは経路全体の配線のインダクタンス分および抵抗分をそれぞれ示している。
上記PWMインバータ104の一相がスイッチングした場合には、このインバータ104から出力されるコモンモード電圧VinvがEd/3の大きさでステップ状に変化する。上記エミッタフォロワ回路109は、コモンモード電圧Vinv(Ed/3)を入力して、それと同じ大きさの電圧Vcを出力する制御電圧源として表している。また、エミッタフォロワ回路9の出力端に接続されたコモンモードトランス111は、漏れインダクタンスを無視して励磁インダクタンスLmのみで表している。
【0007】
インバータ104は、スイッチング動作する毎にステップ状に変化する零相電圧、すなわちコモンモード電圧を出力し、その結果、コモンモード電流i(t)が電動機106の巻線とフレ一ム間の漂遊容量を通して接地線に流れる。このとき、スター結線されたコンデンサ108を介して上記コモンモード電圧Vinvが検出され、このコモンモード電圧Vinvと大きさが等しく極性が逆の電圧Vcがコモンモードトランス111に出力される。この結果、コモンモード電圧Vinvが打ち消されて、コモンモード電流i(t)が流れなくなる。このように、コモンモードキャンセラ107は、コモンモード電圧Vinvとコモンモード電流i(t)の双方を同時に除去するように作用する。
【特許文献1】特開平10−94244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図13は、デバイスの浮遊容量を考量したコモンモード電圧の等価回路を示す。この図13では、伝導性ノイズを測定するLISN (line impedance stabilization network;擬似電源回路網)112を合わせて示している。この図13において、符号Cyは接地コンデンサを示している。この接地コンデンサCyは、図11に示す電源101の出力に接続されたケーブルと接地点との間にノイズフィルタ要素して設けられたものであって、インバータを使用する場合には慣用的に使用される。また、符号Cbは、インバータ104の浮遊容量を示している。
図12で説明したように、アクティブコモンモードキャンセラ107は、コモンモードトランス111にコモンモード電圧Vinvと大きさが等しい逆極性の電圧Vcを注入する。したがって、図13に示すように、インバータ104と電動機106との間のコモンモード電圧Vinvが電圧Vcで打ち消されて、電動機106(図11参照)側で発生する漏れ電流Imが除去される。
【0009】
しかし、上記アクティブコモンモードキャンセラ107は、インバータ104とLSIN112の間でのコモンモード電圧をキャンセルする機能を有していないので、LSIN112を流れる漏れ電流I2および接地コンデンサCyを流れる電流I3(I1=I2+I3)の補償が不可能である。
また、上記アクティブコモンモードキャンセラ107では、コモンモード電圧Vinvを打ち消すための高電圧を制御電圧源(エミッタフォロワ回路109)から出力させるため、図11に示したように、該制御電圧源に印加する電源をインバータ104の入力側から取っているので、エミッタフォロワ回路109を構成するトランジスタTr1、Tr2として高耐圧のトランジスタを使用する必要がある。これは、集積化を図る上で不利な条件になる。
【0010】
そこで、本発明は、電源側における漏れ電流の補償が可能で、かつ、相殺用電圧を低くすることが可能な伝導性ノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、交流電源の出力を直流電圧に変換する整流器と、電力用半導体素子のスイッチング動作により前記直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器とを有する系に適用される伝導性ノイズフィルタであって、 前記電力用半導体素子のスイッチング動作時に発生するコモンモード電圧を、前記交流電源と前記整流器間の線路に接続された接地コンデンサを介して検出するコモンモード電圧検出手段と、前記検出したコモンモード電圧に基づいて、該コモンモード電圧と同じ大きさの逆極性の相殺用電圧を発生し、この相殺用電圧を前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの接続点との間に重畳させて前記コモンモード電圧を相殺する相殺用電圧源と、を備えることを特徴としている。
【0012】
前記コモンモード電圧検出手段は、前記接地コンデンサと接地点との間に設けられた分圧用コンデンサを備え、前記接地コンデンサで検出される前記コモンモード電圧を前記分圧用コンデンサで分圧して出力するように構成することができる。
【0013】
前記相殺用電圧源では、前記相殺用電圧を重畳するための手段として例えばコモンモードトランスを使用することができる。このコモンモードトランスは、前記検出したコモンモード電圧に対応する電圧を一次側に入力するとともに、前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの間に二次側を介装し、前記二次側に前記相殺用電圧が誘起されように前記一次側と二次側の巻線比が設定される。
【0014】
前記検出したコモンモード電圧を増幅する増幅器をさらに備えることができる。この場合、該増幅器の出力により前記一次側に入力する電圧が決定され、前記増幅器のゲインに応じて前記巻数比が設定される。
前記相殺用電圧源は、前記コモンモードトランスの前記一次側に接続されたプッシュプル形のエミッタフォロワ回路を備えることができる。
また、この相殺用電圧源は、前記検出したコモンモード電圧の特定の周波数の成分を抽出するフィルタを備えることができる。この場合、この特定の周波数の成分に基づいて前記相殺用電圧が発生される。
前記フィルタとしては、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタのいずれかを適用することができる。
【0015】
高周波領域のノイズを低減するためのコイルをさらに備えることできる。このコイルは、前記交流電源と前記相殺用電圧の重畳部位間の線路、前記相殺用電圧の重畳部位と前記接地コンデンサの接続部位間の線路、前記接地コンデンサの接続部位と前記整流器間の線路、前記電力変換器の出力に接続された線路、前記整流器と前記電力変換器間の線路等に設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パワーデバイズの浮遊容量を介して漏れ電流を補償することができる。また、接地コンデンサを利用してコモンモード電圧を検出するので、相殺用電圧を低くすることができ、これによって、低圧の部品で構成することが可能になる。一般的に低圧の部品は高周波特性がすぐれているので、より高周波のノイズに対する補賞を行うことができる。また安価であるため、低価格に構成できるという利点も得られる。
また、相殺用電圧源にフィルタを設けて、特定の周波数成分のみ補償するようにすれば、コモンモードトランスの電圧時間積を小さくして、該トランスの小型化を図ることが可能になる。
さらに、高周波領域のノイズを低減するコイルを併用すれば、上記フィルタとしてローパスフィルタやバンドパスフィルタを使用した場合でも、高周波領域のノイズを低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る伝導性ノイズフィルタの第1の実施形態を示す回路構成図である。本実施形態に係るノイズフィルタは、電圧形PWMインバータにより誘導電動機を制御するシステムに適用されている。
【0018】
図1において、三相交流電源1の交流出力は、伝導性ノイズを測定するために設けられたLISN (line impedance stabilization network; 擬似電源回路網)2と、ケーブル3とを介して整流器4に入力され、この整流器4によって直流に変換される。そして、整流器4の直流出力は、平滑用コンデンサ5によって平滑された後、電圧形PWMインバータ6に入力され、このPWMインバータ6に設けられた電力用半導体素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換される。そして、このインバータ6の三相交流出力が誘導電動機7に供給される。なお、誘導電動機7のフレームは接地線を介して接地端子に接続されている。
【0019】
制御電圧源8は、コモンモードトランス9と、プッシュプル形のエミッタフォロワ回路10と、オペレーショナルアンプ11と、エミッタフォロワ回路10およびオペレーショナルアンプ11に電源を供給する正側電源12、負側電源13とを備えている。
コモンモードトランス9は、一次コイルが電源12、13の中性点とエミッタフォロワ回路10の出力との間に介装され、二次コイルがケーブル3の途中に介装されている。エミッタフォロワ回路10は、コンプリメンタリトランジスタTr1、Tr2によって構成され、その入力にオペレーショナルアンプ11の出力が接続されている。オペレーショナルアンプ11は、接地ラインが電源12、13の中性点と接続されている。
【0020】
次に、保護回路15について説明する。上記三相ケーブル3には、互いに等しい容量を有する3つの接地コンデンサ14の一端が接続されている。保護回路15は、上記各接地コンデンサ14の他端と接地点との間に介装された分圧用コンデンサ16と、この分圧用コンデンサ16に並列接続された分圧用コンデンサ17,18の直列回路と、分圧用コンデンサ17に並列接続されたツェナダイオード19,20の直列回路とを備えている。ツェナダイオード19,20は、互いの方向が逆となる形態で接続されているので、正負の過大電圧がオペレーショナルアンプ11の入力に加わるのを防止する。なお、接地コンデンサ14は、通常は設置点に直接接続されるが、本実施形態ではこの接地コンデンサ14をコモンモード電圧の検出手段として用いているので、上記するように、分圧用コンデンサ16〜18を介して接地されている。
なお、この保護回路15は、接地コンデンサ14で検出されるコモンモード電圧によってオペレーショナルアンプ11、トランジスタTr1,Tr2などの能動素子が破壊されるのを防止するために設けられている。
【0021】
図1において、三相交流電源1の交流出力は、LISN2、ケーブル3を介して整流器4に入力され、ここで直流に変換される。この整流器4の直流出力は、平滑用コンデンサ5によって平滑された後、電圧形PWMインバータ6に入力される。電圧形PWMインバータ6は、入力される直流電圧を電力用半導体素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換し、この三相交流電圧を誘導電動機7に出力する。なお、誘導電動機7のフレームは、接地線を介して接地端子に接続されている。
【0022】
上記PWMインバータ6は、スイッチング動作する毎にEd/3の大きさでステップ状に変化する零相電圧、すなわちコモンモード電圧Vinvを出力する。接地コンデンサ14は、このコモンモード電圧Vinvに基づいてケーブル3に発生するコモンモード電圧(後述するように、コモンモード電圧Vinvよりも低い値を示す)を検出し、また保護回路15は、この接地コンデンサ14が検出した電圧をコンデンサ16〜18によって分圧する。
【0023】
保護回路15から出力される分圧電圧は、オペレーショナルアンプ11によって反転増幅された後、エミッタフォロワ回路10を介してコモンモードトランス9の一次巻線に入力される。オペレーショナルアンプ11には、差動増幅型のものや反転増幅型のものなどを用いることができる。コモンモードトランス9は、このときに、接地コンデンサ14で検出される電圧とは極性が逆で大きさが等しい電圧が二次巻線に誘起されるようにその巻線比が設定されている。コモンモードトランス9の二次巻線に誘起されたこの電圧は、ケーブル3におけるコモンモード電圧に重畳され、この結果、このコモンモード電圧が相殺されて、電源1側への漏れ電流が補償される。
ここで、オペレーショナルアンプ11のゲイン値を調整することにより、コモンモードトランス9の巻数比を変更することができる。
例えば、オペレーショナルアンプ11のゲイン値を1、コモンモードトランスの一次側:二次側の巻数比を1:4としていたものに対し、オペレーショナルアンプ11のゲイン値を2に変更すれば、コモンモードトランス9の一次側:二次側の巻数比を1:2とすることができる。
このように、オペレーショナルアンプ11のゲインの変更により、コモンモードトランス9の巻数比を変更することができるため、コモンモードトランス9の設計の自由度が高くなる。特に、巻数が少ないとトランスが設計しやすい。
【0024】
図2は、浮遊容量を考量した等価回路を示している。この図2において、符号Lmは上記コモンモードトランス9の励磁インダクタンスを、符号Cyは接地コンデンサ14の容量を、符号CbはPWMインバータ6の浮遊容量を、Cmは誘導電動機7の浮遊容量をそれぞれ示し、また、符号lおよびrは経路全体の配線のインダクタンス分および抵抗分をそれぞれ示している。
【0025】
上記PWMインバータ6の浮遊容量Cbは非常に小さいので、接地コンデンサ14と電動機の浮遊容量Cmは直列に繋がっていると見なすことができる。従って、接地コンデンサ14で検出されるコモンモード電圧をV1とすると、このコモンモード電圧V1は、PWMインバータ6から出力されるコモンモード電圧Vinvを接地コンデンサ14(Cy)と電動機の浮遊容量Cmとで分圧したものとなる。つまり、電圧V1とVinvにはV1<Vinvという関係が成立する。
コモンモードトランス9は、接地コンデンサ14で検出される電圧V1とは極性が逆で大きさが等しい電圧V2を二次巻線に誘起し、この電圧V2によって電圧V1を打ち消すので、電源1側への漏れ電流I1,I2およびI3(伝導性ノイズ)を低減もしくはなくすことができる。そして、図2の等価回路から明らかなように、電源1側での漏れ電流の低減は、結果的に電動機7の漏れ電流Imも低減することになる。
【0026】
本実施形態に係る伝導性ノイズフィルタは、コモンモード電圧をコモンモードトランスの出力で打ち消すという原理において、図11に示したノイズキャンセラ107と共通している。しかし、電源1側のケーブル3に接続された接地コンデンサ14をコモンモード電圧の検出手段として用いているので、上述したように、接地コンデンサ14(Cy)と電動機の浮遊容量Cmとの分圧作用によって打ち消すべきコモンモード電圧V1がPWMインバータ6から出力されるコモンモード電圧Vinvよりも低電圧になる。
【0027】
この結果、コモンモード電圧V1を打ち消すためのコモンモードトランス9の出力電圧V2も低電圧で良いことになり、これは、エミッタフォロワ回路10に印加する電源電圧が低くて良いこと、換言すれば、トランジスタTr1,Tr2に低耐圧のものを使用できることを意味している。低耐圧のトランジスタTr1,Tr2の使用は、コストの低減を図る上でかつ制御電圧源8等の集積化を図る上で有利となる。もちろん、打消し電圧V2が低圧で良いことは、コモンモードトランス9の小型化にも寄与する。
なお、本実施形態に係る伝導性ノイズフィルタによれば、前記従来のノイズキャンセラ回路では補償できない、デバイスの浮遷容量Cbを介して流れる漏れ電流をも検出して補償することができるため、高いノイズの低減効果が得られる.
【0028】
図3は、本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態は、制御電圧源21の構成においてのみ図1に示す実施形態と相違する。この制御電圧源21は、図1に示す制御電圧源8のオペレーショナルアンプ11に代えてバンドパスフィルタ22を設けた構成を有する。
バンドパスフィルタ22は、反転増幅オペレーショナルアンプ23に入力コンデンサ24、入力抵抗25、帰還コンデンサ26および帰還抵抗27を組み合わせた周知の構成をもち、保護回路15で分圧されたコモンモード電圧の特定周波数帯域の成分のみを通過させる。
従って、この第2の実施形態では、コモンモードトランス9より接地コンデンサ14で検出された特定周波数帯域の成分のコモンモード電圧と大きさが等しい逆極性の電圧が出力される。この電圧は、ケーブル3における接地コンデンサ14と電源1間に重畳されるので、上記特定周波数成分のコモンモード電圧がこの電圧で相殺される。
【0029】
このように、この第2の実施形態では、コモンモード電圧の特定周波数帯域の成分のみを補償するため、コモンモードトランス9の電圧時間積が小さくなる。これは、コモンモードトランス9が飽和しにくくなることを意味するので、本実施形態によれば、コモンモードトランス9をより小型化することが可能になる。
【0030】
図4は、本発明の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態の制御電圧源28は、図1に示す制御電圧源8のオペレーショナルアンプ11に代えてローパスフィルタ29を設けた構成を有する。
ローパスフィルタ29は、保護回路15で分圧されたコモンモード電圧の特定周波数以下(カットオフ周波数以下)の成分のみを通過させる。従って、この第3の実施形態では、上記特定周波数以下の成分のコモンモード電圧が打ち消されることになる。この実施形態によってもコモンモードトランス9の電圧時間積が小さくなるので、このコモンモードトランス9の小型化が可能になる。
【0031】
図5は、本発明の第4の実施形態を示している。この第4の実施形態の制御電圧源30は、図1に示す制御電圧源8のオペレーショナルアンプ11に代えてハイパスフィルタ31を設けた構成を有する。
ハイパスフィルタ31は、保護回路15で分圧されたコモンモード電圧の特定周波数以上(カットオフ周波数以上)の成分のみを通過させる。従って、この第4の実施形態では、上記特定周波数以上の成分のコモンモード電圧が打ち消されることになる。この実施形態によってもコモンモードトランス9の小型化が可能になる。
【0032】
図6〜図10は、それぞれ本発明の第5〜第9の実施形態を示している。この第5〜第9の実施形態は、それぞれコイル32〜36を設けた点において図3の実施形態と相違する。
図6の実施形態におけるコイル32は、ケーブル3における電源1とコモンモードトランス9との間に、図7の実施形態におけるコイル33は、ケーブル3におけるコモンモードトランス9と接地コンデンサ14の間に、図8の実施形態におけるコイル34は、ケーブル3における接地コンデンサ14と整流器4の間に、図9の実施形態におけるコイル35は、PWMインバータ6と誘導電動機7とを結ぶケーブルに、図9の実施形態におけるコイル35は、PWMインバータ6と誘導電動機7とを結ぶケーブルに、図10の実施形態におけるコイル36は、整流器4とPWMインバータ6とを結ぶ線路(DCリンク部)にそれぞれ設けられている。
【0033】
周知のように、コイルは高周波特性の補償にすぐれている。従って、第5〜第9の実施形態によれば、バンドパスフィルタ22によって規定される通過上限周波数よりも高い周波数のノイズに対する低減効果が得られる。
図4に示す実施形態においても、上記コイル32〜36を設けることによって、ローパスフィルタ29によって規定される通過上限周波数よりも高い周波数のノイズに対する低減効果を得ることができる。
【0034】
ところで、第1の実施形態の制御電圧源8では、バンドパスフィルタハイや、ローパスフィルタを使用していないが、能動素子であるトランジスタ(例えば、エミッタフォロワ回路10のトランジスタTr1、Tr2)の高周波応答性に起因して、高周波領域でのノイズ低減効果に限界を生じることがある。したがって、第1の実施形態においても、上記コイル32〜36を設けることによって高周波領域の雑音端子電圧の低減降下を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック回路図である。
【図2】図1の実施形態の等価回路図である。
【図3】バンドパスフィルタを用いた本発明の第2の実施形態を示すブロック回路図である。
【図4】ローパスフィルタを用いた本発明の第3の実施形態を示すブロック回路図である。
【図5】ハイパスフィルタを用いた本発明の第4の実施形態を示すブロック回路図である。
【図6】コイルを付加した本発明の第5の実施形態を示すブロック回路図である。
【図7】コイルを付加した本発明の第6の実施形態を示すブロック回路図である。
【図8】コイルを付加した本発明の第7の実施形態を示すブロック回路図である。
【図9】コイルを付加した本発明の第8の実施形態を示すブロック回路図である。
【図10】コイルを付加した本発明の第9の実施形態を示すブロック回路図である。
【図11】従来のアクティブコモンモードキャンセラの構成を示すブロック回路図である。
【図12】図11のアクティブコモンモードキャンセラの作用を示す等価回路図である。
【図13】図11のアクティブコモンモードキャンセラの作用をデバイスの浮遊容量を考量して示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0036】
1 三相交流電源
2 LISN(擬似電源回路網)
3 ケーブル
4 整流器
5 平滑用コンデンサ
6 PWMインバータ
7 誘導電動機
8,21,28,30 制御電圧源
9 コモンモードトランス
10 エミッタフォロワ回路
12,13 電源
14 接地コンデンサ
15 保護回路
16〜18 分圧用コンデンサ
19,20 ツェナダイオード
22 バンドパスフィルタ
29 ローパスフィルタ
31 ハイパスフィルタ
32〜36 コイル
Tr1,Tr2 トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーエレクトロニクス機器で発生する伝導性ノイズを低減する伝導性ノイズフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体デバイスの発展に伴って、インバータのスイッチング周波数が高周波化している。スイッチング周波数が高周波化されると、電動機の騒音や振動が低減するとともに、電圧、電流、トルクなどを制御する能力が向上するが、反面、電動機巻き線の浮遊容量を介して接地線に高周波漏れ電流(コモンモード電流)が流れることになる。コモンモード電流は、インバータの電流制御に悪い影響を与え、また、漏電ブレーカの誤作動などの電磁障害(EMI:Electromagnetic Interference )を引き起こす恐れがある。そこで、従来においては、コモンモード電流を最小にするため、このコモンモード電流を分流させるような受動フィルタや該コモンモード電流を補償する能動フィルタを用いている。
【0003】
図11は、特許文献1に記載されたアクティブコモンモードキャンセラの公知例を示す。このアクティブコモンモードキャンセラは、電圧形PWMインバータにより誘導電動機をベクトル制御するシステムの主回路に適用されている。
この主回路では、三相交流電源101の交流出力が整流器102によって直流に変換され、この整流器102の直流出力が平滑用コンデンサ103によって平滑される。平滑用コンデンサ103で平滑された直流電圧は、電圧形PWMインバータ104に入力され、このPWMインバータ104に設けられた電力用半導体素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換される。インバータ104の三相交流出力は、ケーブル105を介して誘導電動機106に供給される。なお、誘導電動機106のフレームは、接地線を介して接地端子に接続されている。
【0004】
コモンモードキャンセラ107は、PWMインバータ104の出力端に接続されている。このコモンモードキャンセラ107において、静電容量がC0である3つのコンデンサ108は、コモンモード電圧を検出するためにインバータ104の三相交流出力端にスター結線されている。このスター結線の中性点より得られるコモンモード電圧は、コンプリメンタリのトランジスタTr1、Tr2を用いたプッシュプル形のエミッタフォロワ回路109によって電力増幅された後、静電容量がC1である一対のコンデンサ110を介してコモンモードトランス111の一次側コイルに入力される。このコモンモードトランス111の二次側コイルは、三相ケーブル105の途中に設けられている。このコモンモードキャンセラ107は、その駆動電源をインバータ104の入力側より得ている。
【0005】
上記エミッタフォロワ回路109は、コモンモード電圧をキャンセルするための制御電圧源として設けられている。この制御電圧源には、PWMインバータ104がスイッチング動作する毎にステップ状に変化するコモンモード電圧を忠実に出力することが可能な高速応答性と低い出カインピーダンス特性とが要求されるが、上記エミッタフォロワ回路109によれば、この要求を満たすことができる。
【0006】
上記コモンモードキャンセラ107の作用を図12に示す等価回路を参照して説明する。図12において、符号Cmは上記電動機106の巻線とフレーム間の浮遊容量を示し、符号lおよびrは経路全体の配線のインダクタンス分および抵抗分をそれぞれ示している。
上記PWMインバータ104の一相がスイッチングした場合には、このインバータ104から出力されるコモンモード電圧VinvがEd/3の大きさでステップ状に変化する。上記エミッタフォロワ回路109は、コモンモード電圧Vinv(Ed/3)を入力して、それと同じ大きさの電圧Vcを出力する制御電圧源として表している。また、エミッタフォロワ回路9の出力端に接続されたコモンモードトランス111は、漏れインダクタンスを無視して励磁インダクタンスLmのみで表している。
【0007】
インバータ104は、スイッチング動作する毎にステップ状に変化する零相電圧、すなわちコモンモード電圧を出力し、その結果、コモンモード電流i(t)が電動機106の巻線とフレ一ム間の漂遊容量を通して接地線に流れる。このとき、スター結線されたコンデンサ108を介して上記コモンモード電圧Vinvが検出され、このコモンモード電圧Vinvと大きさが等しく極性が逆の電圧Vcがコモンモードトランス111に出力される。この結果、コモンモード電圧Vinvが打ち消されて、コモンモード電流i(t)が流れなくなる。このように、コモンモードキャンセラ107は、コモンモード電圧Vinvとコモンモード電流i(t)の双方を同時に除去するように作用する。
【特許文献1】特開平10−94244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図13は、デバイスの浮遊容量を考量したコモンモード電圧の等価回路を示す。この図13では、伝導性ノイズを測定するLISN (line impedance stabilization network;擬似電源回路網)112を合わせて示している。この図13において、符号Cyは接地コンデンサを示している。この接地コンデンサCyは、図11に示す電源101の出力に接続されたケーブルと接地点との間にノイズフィルタ要素して設けられたものであって、インバータを使用する場合には慣用的に使用される。また、符号Cbは、インバータ104の浮遊容量を示している。
図12で説明したように、アクティブコモンモードキャンセラ107は、コモンモードトランス111にコモンモード電圧Vinvと大きさが等しい逆極性の電圧Vcを注入する。したがって、図13に示すように、インバータ104と電動機106との間のコモンモード電圧Vinvが電圧Vcで打ち消されて、電動機106(図11参照)側で発生する漏れ電流Imが除去される。
【0009】
しかし、上記アクティブコモンモードキャンセラ107は、インバータ104とLSIN112の間でのコモンモード電圧をキャンセルする機能を有していないので、LSIN112を流れる漏れ電流I2および接地コンデンサCyを流れる電流I3(I1=I2+I3)の補償が不可能である。
また、上記アクティブコモンモードキャンセラ107では、コモンモード電圧Vinvを打ち消すための高電圧を制御電圧源(エミッタフォロワ回路109)から出力させるため、図11に示したように、該制御電圧源に印加する電源をインバータ104の入力側から取っているので、エミッタフォロワ回路109を構成するトランジスタTr1、Tr2として高耐圧のトランジスタを使用する必要がある。これは、集積化を図る上で不利な条件になる。
【0010】
そこで、本発明は、電源側における漏れ電流の補償が可能で、かつ、相殺用電圧を低くすることが可能な伝導性ノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、交流電源の出力を直流電圧に変換する整流器と、電力用半導体素子のスイッチング動作により前記直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器とを有する系に適用される伝導性ノイズフィルタであって、 前記電力用半導体素子のスイッチング動作時に発生するコモンモード電圧を、前記交流電源と前記整流器間の線路に接続された接地コンデンサを介して検出するコモンモード電圧検出手段と、前記検出したコモンモード電圧に基づいて、該コモンモード電圧と同じ大きさの逆極性の相殺用電圧を発生し、この相殺用電圧を前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの接続点との間に重畳させて前記コモンモード電圧を相殺する相殺用電圧源と、を備えることを特徴としている。
【0012】
前記コモンモード電圧検出手段は、前記接地コンデンサと接地点との間に設けられた分圧用コンデンサを備え、前記接地コンデンサで検出される前記コモンモード電圧を前記分圧用コンデンサで分圧して出力するように構成することができる。
【0013】
前記相殺用電圧源では、前記相殺用電圧を重畳するための手段として例えばコモンモードトランスを使用することができる。このコモンモードトランスは、前記検出したコモンモード電圧に対応する電圧を一次側に入力するとともに、前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの間に二次側を介装し、前記二次側に前記相殺用電圧が誘起されように前記一次側と二次側の巻線比が設定される。
【0014】
前記検出したコモンモード電圧を増幅する増幅器をさらに備えることができる。この場合、該増幅器の出力により前記一次側に入力する電圧が決定され、前記増幅器のゲインに応じて前記巻数比が設定される。
前記相殺用電圧源は、前記コモンモードトランスの前記一次側に接続されたプッシュプル形のエミッタフォロワ回路を備えることができる。
また、この相殺用電圧源は、前記検出したコモンモード電圧の特定の周波数の成分を抽出するフィルタを備えることができる。この場合、この特定の周波数の成分に基づいて前記相殺用電圧が発生される。
前記フィルタとしては、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタのいずれかを適用することができる。
【0015】
高周波領域のノイズを低減するためのコイルをさらに備えることできる。このコイルは、前記交流電源と前記相殺用電圧の重畳部位間の線路、前記相殺用電圧の重畳部位と前記接地コンデンサの接続部位間の線路、前記接地コンデンサの接続部位と前記整流器間の線路、前記電力変換器の出力に接続された線路、前記整流器と前記電力変換器間の線路等に設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パワーデバイズの浮遊容量を介して漏れ電流を補償することができる。また、接地コンデンサを利用してコモンモード電圧を検出するので、相殺用電圧を低くすることができ、これによって、低圧の部品で構成することが可能になる。一般的に低圧の部品は高周波特性がすぐれているので、より高周波のノイズに対する補賞を行うことができる。また安価であるため、低価格に構成できるという利点も得られる。
また、相殺用電圧源にフィルタを設けて、特定の周波数成分のみ補償するようにすれば、コモンモードトランスの電圧時間積を小さくして、該トランスの小型化を図ることが可能になる。
さらに、高周波領域のノイズを低減するコイルを併用すれば、上記フィルタとしてローパスフィルタやバンドパスフィルタを使用した場合でも、高周波領域のノイズを低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る伝導性ノイズフィルタの第1の実施形態を示す回路構成図である。本実施形態に係るノイズフィルタは、電圧形PWMインバータにより誘導電動機を制御するシステムに適用されている。
【0018】
図1において、三相交流電源1の交流出力は、伝導性ノイズを測定するために設けられたLISN (line impedance stabilization network; 擬似電源回路網)2と、ケーブル3とを介して整流器4に入力され、この整流器4によって直流に変換される。そして、整流器4の直流出力は、平滑用コンデンサ5によって平滑された後、電圧形PWMインバータ6に入力され、このPWMインバータ6に設けられた電力用半導体素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換される。そして、このインバータ6の三相交流出力が誘導電動機7に供給される。なお、誘導電動機7のフレームは接地線を介して接地端子に接続されている。
【0019】
制御電圧源8は、コモンモードトランス9と、プッシュプル形のエミッタフォロワ回路10と、オペレーショナルアンプ11と、エミッタフォロワ回路10およびオペレーショナルアンプ11に電源を供給する正側電源12、負側電源13とを備えている。
コモンモードトランス9は、一次コイルが電源12、13の中性点とエミッタフォロワ回路10の出力との間に介装され、二次コイルがケーブル3の途中に介装されている。エミッタフォロワ回路10は、コンプリメンタリトランジスタTr1、Tr2によって構成され、その入力にオペレーショナルアンプ11の出力が接続されている。オペレーショナルアンプ11は、接地ラインが電源12、13の中性点と接続されている。
【0020】
次に、保護回路15について説明する。上記三相ケーブル3には、互いに等しい容量を有する3つの接地コンデンサ14の一端が接続されている。保護回路15は、上記各接地コンデンサ14の他端と接地点との間に介装された分圧用コンデンサ16と、この分圧用コンデンサ16に並列接続された分圧用コンデンサ17,18の直列回路と、分圧用コンデンサ17に並列接続されたツェナダイオード19,20の直列回路とを備えている。ツェナダイオード19,20は、互いの方向が逆となる形態で接続されているので、正負の過大電圧がオペレーショナルアンプ11の入力に加わるのを防止する。なお、接地コンデンサ14は、通常は設置点に直接接続されるが、本実施形態ではこの接地コンデンサ14をコモンモード電圧の検出手段として用いているので、上記するように、分圧用コンデンサ16〜18を介して接地されている。
なお、この保護回路15は、接地コンデンサ14で検出されるコモンモード電圧によってオペレーショナルアンプ11、トランジスタTr1,Tr2などの能動素子が破壊されるのを防止するために設けられている。
【0021】
図1において、三相交流電源1の交流出力は、LISN2、ケーブル3を介して整流器4に入力され、ここで直流に変換される。この整流器4の直流出力は、平滑用コンデンサ5によって平滑された後、電圧形PWMインバータ6に入力される。電圧形PWMインバータ6は、入力される直流電圧を電力用半導体素子のスイッチング動作によって三相の交流電圧に変換し、この三相交流電圧を誘導電動機7に出力する。なお、誘導電動機7のフレームは、接地線を介して接地端子に接続されている。
【0022】
上記PWMインバータ6は、スイッチング動作する毎にEd/3の大きさでステップ状に変化する零相電圧、すなわちコモンモード電圧Vinvを出力する。接地コンデンサ14は、このコモンモード電圧Vinvに基づいてケーブル3に発生するコモンモード電圧(後述するように、コモンモード電圧Vinvよりも低い値を示す)を検出し、また保護回路15は、この接地コンデンサ14が検出した電圧をコンデンサ16〜18によって分圧する。
【0023】
保護回路15から出力される分圧電圧は、オペレーショナルアンプ11によって反転増幅された後、エミッタフォロワ回路10を介してコモンモードトランス9の一次巻線に入力される。オペレーショナルアンプ11には、差動増幅型のものや反転増幅型のものなどを用いることができる。コモンモードトランス9は、このときに、接地コンデンサ14で検出される電圧とは極性が逆で大きさが等しい電圧が二次巻線に誘起されるようにその巻線比が設定されている。コモンモードトランス9の二次巻線に誘起されたこの電圧は、ケーブル3におけるコモンモード電圧に重畳され、この結果、このコモンモード電圧が相殺されて、電源1側への漏れ電流が補償される。
ここで、オペレーショナルアンプ11のゲイン値を調整することにより、コモンモードトランス9の巻数比を変更することができる。
例えば、オペレーショナルアンプ11のゲイン値を1、コモンモードトランスの一次側:二次側の巻数比を1:4としていたものに対し、オペレーショナルアンプ11のゲイン値を2に変更すれば、コモンモードトランス9の一次側:二次側の巻数比を1:2とすることができる。
このように、オペレーショナルアンプ11のゲインの変更により、コモンモードトランス9の巻数比を変更することができるため、コモンモードトランス9の設計の自由度が高くなる。特に、巻数が少ないとトランスが設計しやすい。
【0024】
図2は、浮遊容量を考量した等価回路を示している。この図2において、符号Lmは上記コモンモードトランス9の励磁インダクタンスを、符号Cyは接地コンデンサ14の容量を、符号CbはPWMインバータ6の浮遊容量を、Cmは誘導電動機7の浮遊容量をそれぞれ示し、また、符号lおよびrは経路全体の配線のインダクタンス分および抵抗分をそれぞれ示している。
【0025】
上記PWMインバータ6の浮遊容量Cbは非常に小さいので、接地コンデンサ14と電動機の浮遊容量Cmは直列に繋がっていると見なすことができる。従って、接地コンデンサ14で検出されるコモンモード電圧をV1とすると、このコモンモード電圧V1は、PWMインバータ6から出力されるコモンモード電圧Vinvを接地コンデンサ14(Cy)と電動機の浮遊容量Cmとで分圧したものとなる。つまり、電圧V1とVinvにはV1<Vinvという関係が成立する。
コモンモードトランス9は、接地コンデンサ14で検出される電圧V1とは極性が逆で大きさが等しい電圧V2を二次巻線に誘起し、この電圧V2によって電圧V1を打ち消すので、電源1側への漏れ電流I1,I2およびI3(伝導性ノイズ)を低減もしくはなくすことができる。そして、図2の等価回路から明らかなように、電源1側での漏れ電流の低減は、結果的に電動機7の漏れ電流Imも低減することになる。
【0026】
本実施形態に係る伝導性ノイズフィルタは、コモンモード電圧をコモンモードトランスの出力で打ち消すという原理において、図11に示したノイズキャンセラ107と共通している。しかし、電源1側のケーブル3に接続された接地コンデンサ14をコモンモード電圧の検出手段として用いているので、上述したように、接地コンデンサ14(Cy)と電動機の浮遊容量Cmとの分圧作用によって打ち消すべきコモンモード電圧V1がPWMインバータ6から出力されるコモンモード電圧Vinvよりも低電圧になる。
【0027】
この結果、コモンモード電圧V1を打ち消すためのコモンモードトランス9の出力電圧V2も低電圧で良いことになり、これは、エミッタフォロワ回路10に印加する電源電圧が低くて良いこと、換言すれば、トランジスタTr1,Tr2に低耐圧のものを使用できることを意味している。低耐圧のトランジスタTr1,Tr2の使用は、コストの低減を図る上でかつ制御電圧源8等の集積化を図る上で有利となる。もちろん、打消し電圧V2が低圧で良いことは、コモンモードトランス9の小型化にも寄与する。
なお、本実施形態に係る伝導性ノイズフィルタによれば、前記従来のノイズキャンセラ回路では補償できない、デバイスの浮遷容量Cbを介して流れる漏れ電流をも検出して補償することができるため、高いノイズの低減効果が得られる.
【0028】
図3は、本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態は、制御電圧源21の構成においてのみ図1に示す実施形態と相違する。この制御電圧源21は、図1に示す制御電圧源8のオペレーショナルアンプ11に代えてバンドパスフィルタ22を設けた構成を有する。
バンドパスフィルタ22は、反転増幅オペレーショナルアンプ23に入力コンデンサ24、入力抵抗25、帰還コンデンサ26および帰還抵抗27を組み合わせた周知の構成をもち、保護回路15で分圧されたコモンモード電圧の特定周波数帯域の成分のみを通過させる。
従って、この第2の実施形態では、コモンモードトランス9より接地コンデンサ14で検出された特定周波数帯域の成分のコモンモード電圧と大きさが等しい逆極性の電圧が出力される。この電圧は、ケーブル3における接地コンデンサ14と電源1間に重畳されるので、上記特定周波数成分のコモンモード電圧がこの電圧で相殺される。
【0029】
このように、この第2の実施形態では、コモンモード電圧の特定周波数帯域の成分のみを補償するため、コモンモードトランス9の電圧時間積が小さくなる。これは、コモンモードトランス9が飽和しにくくなることを意味するので、本実施形態によれば、コモンモードトランス9をより小型化することが可能になる。
【0030】
図4は、本発明の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態の制御電圧源28は、図1に示す制御電圧源8のオペレーショナルアンプ11に代えてローパスフィルタ29を設けた構成を有する。
ローパスフィルタ29は、保護回路15で分圧されたコモンモード電圧の特定周波数以下(カットオフ周波数以下)の成分のみを通過させる。従って、この第3の実施形態では、上記特定周波数以下の成分のコモンモード電圧が打ち消されることになる。この実施形態によってもコモンモードトランス9の電圧時間積が小さくなるので、このコモンモードトランス9の小型化が可能になる。
【0031】
図5は、本発明の第4の実施形態を示している。この第4の実施形態の制御電圧源30は、図1に示す制御電圧源8のオペレーショナルアンプ11に代えてハイパスフィルタ31を設けた構成を有する。
ハイパスフィルタ31は、保護回路15で分圧されたコモンモード電圧の特定周波数以上(カットオフ周波数以上)の成分のみを通過させる。従って、この第4の実施形態では、上記特定周波数以上の成分のコモンモード電圧が打ち消されることになる。この実施形態によってもコモンモードトランス9の小型化が可能になる。
【0032】
図6〜図10は、それぞれ本発明の第5〜第9の実施形態を示している。この第5〜第9の実施形態は、それぞれコイル32〜36を設けた点において図3の実施形態と相違する。
図6の実施形態におけるコイル32は、ケーブル3における電源1とコモンモードトランス9との間に、図7の実施形態におけるコイル33は、ケーブル3におけるコモンモードトランス9と接地コンデンサ14の間に、図8の実施形態におけるコイル34は、ケーブル3における接地コンデンサ14と整流器4の間に、図9の実施形態におけるコイル35は、PWMインバータ6と誘導電動機7とを結ぶケーブルに、図9の実施形態におけるコイル35は、PWMインバータ6と誘導電動機7とを結ぶケーブルに、図10の実施形態におけるコイル36は、整流器4とPWMインバータ6とを結ぶ線路(DCリンク部)にそれぞれ設けられている。
【0033】
周知のように、コイルは高周波特性の補償にすぐれている。従って、第5〜第9の実施形態によれば、バンドパスフィルタ22によって規定される通過上限周波数よりも高い周波数のノイズに対する低減効果が得られる。
図4に示す実施形態においても、上記コイル32〜36を設けることによって、ローパスフィルタ29によって規定される通過上限周波数よりも高い周波数のノイズに対する低減効果を得ることができる。
【0034】
ところで、第1の実施形態の制御電圧源8では、バンドパスフィルタハイや、ローパスフィルタを使用していないが、能動素子であるトランジスタ(例えば、エミッタフォロワ回路10のトランジスタTr1、Tr2)の高周波応答性に起因して、高周波領域でのノイズ低減効果に限界を生じることがある。したがって、第1の実施形態においても、上記コイル32〜36を設けることによって高周波領域の雑音端子電圧の低減降下を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック回路図である。
【図2】図1の実施形態の等価回路図である。
【図3】バンドパスフィルタを用いた本発明の第2の実施形態を示すブロック回路図である。
【図4】ローパスフィルタを用いた本発明の第3の実施形態を示すブロック回路図である。
【図5】ハイパスフィルタを用いた本発明の第4の実施形態を示すブロック回路図である。
【図6】コイルを付加した本発明の第5の実施形態を示すブロック回路図である。
【図7】コイルを付加した本発明の第6の実施形態を示すブロック回路図である。
【図8】コイルを付加した本発明の第7の実施形態を示すブロック回路図である。
【図9】コイルを付加した本発明の第8の実施形態を示すブロック回路図である。
【図10】コイルを付加した本発明の第9の実施形態を示すブロック回路図である。
【図11】従来のアクティブコモンモードキャンセラの構成を示すブロック回路図である。
【図12】図11のアクティブコモンモードキャンセラの作用を示す等価回路図である。
【図13】図11のアクティブコモンモードキャンセラの作用をデバイスの浮遊容量を考量して示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0036】
1 三相交流電源
2 LISN(擬似電源回路網)
3 ケーブル
4 整流器
5 平滑用コンデンサ
6 PWMインバータ
7 誘導電動機
8,21,28,30 制御電圧源
9 コモンモードトランス
10 エミッタフォロワ回路
12,13 電源
14 接地コンデンサ
15 保護回路
16〜18 分圧用コンデンサ
19,20 ツェナダイオード
22 バンドパスフィルタ
29 ローパスフィルタ
31 ハイパスフィルタ
32〜36 コイル
Tr1,Tr2 トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の出力を直流電圧に変換する整流器と、電力用半導体素子のスイッチング動作により前記直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器とを有する系に適用される伝導性ノイズフィルタであって、
前記電力用半導体素子のスイッチング動作時に発生するコモンモード電圧を、前記交流電源と前記整流器間の線路に接続された接地コンデンサを介して検出するコモンモード電圧検出手段と、
前記検出したコモンモード電圧に基づいて、該コモンモード電圧と同じ大きさの逆極性の相殺用電圧を発生し、この相殺用電圧を前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの接続点との間に重畳させて前記コモンモード電圧を相殺する相殺用電圧源と、
を備えることを特徴とする能動素子を用いた伝導性ノイズフィルタ。
【請求項2】
前記コモンモード電圧検出手段は、前記接地コンデンサと接地点との間に設けられた分圧用コンデンサを備え、前記接地コンデンサで検出される前記コモンモード電圧を前記分圧用コンデンサで分圧して出力することを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項3】
前記相殺用電圧源は、前記相殺用電圧を重畳するための手段としてコモンモードトランスを使用し、このコモンモードトランスは、前記検出したコモンモード電圧に対応する電圧を一次側に入力するとともに、前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの間に二次側を介装し、前記二次側に前記相殺用電圧が誘起されるように前記一次側と二次側の巻線比が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項4】
前記検出したコモンモード電圧を増幅する増幅器を備え、該増幅器の出力により前記一次側に入力する電圧が決定され、前記増幅器のゲインに応じて前記巻数比が設定されることを特徴とする請求項3に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項5】
前記相殺用電圧源は、前記コモンモードトランスの前記一次側に接続されたプッシュプル形のエミッタフォロワ回路を備えることを特徴とする請求項3に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項6】
前記相殺用電圧源は、前記検出したコモンモード電圧の特定の周波数の成分を抽出するフィルタを備え、この特定の周波数の成分に基づいて前記相殺用電圧を発生するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項7】
前記フィルタは、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項8】
高周波領域のノイズを低減するためのコイルをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項9】
前記コイルが前記交流電源と前記相殺用電圧の重畳部位間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項10】
前記コイルが前記相殺用電圧の重畳部位と前記接地コンデンサの接続部位間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項11】
前記コイルが前記接地コンデンサの接続部位と前記整流器間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項12】
前記コイルが前記電力変換器の出力に接続された線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項13】
前記コイルが前記整流器と前記電力変換器間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項1】
交流電源の出力を直流電圧に変換する整流器と、電力用半導体素子のスイッチング動作により前記直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器とを有する系に適用される伝導性ノイズフィルタであって、
前記電力用半導体素子のスイッチング動作時に発生するコモンモード電圧を、前記交流電源と前記整流器間の線路に接続された接地コンデンサを介して検出するコモンモード電圧検出手段と、
前記検出したコモンモード電圧に基づいて、該コモンモード電圧と同じ大きさの逆極性の相殺用電圧を発生し、この相殺用電圧を前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの接続点との間に重畳させて前記コモンモード電圧を相殺する相殺用電圧源と、
を備えることを特徴とする能動素子を用いた伝導性ノイズフィルタ。
【請求項2】
前記コモンモード電圧検出手段は、前記接地コンデンサと接地点との間に設けられた分圧用コンデンサを備え、前記接地コンデンサで検出される前記コモンモード電圧を前記分圧用コンデンサで分圧して出力することを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項3】
前記相殺用電圧源は、前記相殺用電圧を重畳するための手段としてコモンモードトランスを使用し、このコモンモードトランスは、前記検出したコモンモード電圧に対応する電圧を一次側に入力するとともに、前記線路における前記交流電源と前記接地コンデンサの間に二次側を介装し、前記二次側に前記相殺用電圧が誘起されるように前記一次側と二次側の巻線比が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項4】
前記検出したコモンモード電圧を増幅する増幅器を備え、該増幅器の出力により前記一次側に入力する電圧が決定され、前記増幅器のゲインに応じて前記巻数比が設定されることを特徴とする請求項3に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項5】
前記相殺用電圧源は、前記コモンモードトランスの前記一次側に接続されたプッシュプル形のエミッタフォロワ回路を備えることを特徴とする請求項3に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項6】
前記相殺用電圧源は、前記検出したコモンモード電圧の特定の周波数の成分を抽出するフィルタを備え、この特定の周波数の成分に基づいて前記相殺用電圧を発生するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項7】
前記フィルタは、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項8】
高周波領域のノイズを低減するためのコイルをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項9】
前記コイルが前記交流電源と前記相殺用電圧の重畳部位間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項10】
前記コイルが前記相殺用電圧の重畳部位と前記接地コンデンサの接続部位間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項11】
前記コイルが前記接地コンデンサの接続部位と前記整流器間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項12】
前記コイルが前記電力変換器の出力に接続された線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【請求項13】
前記コイルが前記整流器と前記電力変換器間の線路に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の伝導性ノイズフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−57268(P2010−57268A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219531(P2008−219531)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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