説明

伝導性組成物、および半導体デバイスの製造における使用方法

本発明の実施形態は、シリコン半導体デバイス、および太陽電池デバイスの前面に使用するための伝導性ペーストに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シリコン半導体デバイス、および太陽電池デバイスの前面に使用するための伝導性ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
p型ベースを有する従来の太陽電池構造は、典型的には電池の前面、すなわち太陽側にある負極と、裏面にある正極とを有する。半導体本体のpn接合上に向かう適切な波長の放射線は、外部エネルギー源として機能して、その本体中に正孔−電子対を発生させることが知られている。pn接合において存在する電位差のために、正孔および電子は接合を横断して反対方向に移動し、そのため電流の流れが生じ、それによって外部回路への電力の供給が可能となる。ほとんどの太陽電池は、金属化されている、すなわち導電性である金属接点が設けられたシリコンウエハの形態である。
【0003】
太陽電池の電極は、通常、基材上に伝導性ペーストを適用し、それを焼成することによって形成される。伝導性ペーストは、太陽電池の表面上に適用され、焼結するために焼成される。ペーストは、典型的に、(a)銀またはアルミニウムなどの伝導性粉末、(b)無機バインダーとしてのガラスフリット、(c)有機媒体および(d)場合による添加剤を含有する。米国特許第7494607号明細書には、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂との混合物、低級アルコールのポリメタクリレート、エチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテル、エステルアルコールおよびα−またはβ−テルピネオールなどのテルペンあるいはそれらの混合物とともに、灯油、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコールおよび高沸点アルコールおよびアルコールエステルなどの他の溶媒を含む従来の有機媒体が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池を形成するための様々な方法および組成物が存在しているが、改良された電気的性能、接着特性を有する組成物、構造物およびデバイス、ならびに作製方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、
(a)1つまたは複数の導電性粉末と;
(b)1つまたは複数のガラスフリットとを;
(c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレート、イソテトラデカノール、および水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される有機媒体
に分散させて含む厚膜伝導性組成物に関する。
【0006】
この実施形態の一態様においては、ガラスフリットは、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして:SiO2 1〜36、Al23 0〜7、B23 1.5〜19、PbO 20〜83、ZnO 0〜42、CuO 0〜4、Bi23 0〜35、ZrO2 0〜8、TiO2 0〜7、PbF2 3〜34を含んでいてもよい。
【0007】
一実施形態においては、この組成物は、添加剤をさらに含んでいてもよい。一態様においては、添加剤は、(a)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、およびCrから選択される金属;(b)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属の1つまたは複数の金属酸化物;(c)焼成の際に(b)の金属酸化物を生成することができる任意の化合物;および(d)それらの混合物から選択される金属/金属酸化物添加剤であってもよい。この実施形態の一態様においては、Zn含有添加剤はZnOである。
【0008】
本発明の一実施形態は、厚膜組成物と基材とを含む構造物に関する。基材は、1つまたは複数の絶縁層であってもよい。基材は、1つまたは複数の半導体基材であってもよい。一態様においては、厚膜組成物は、1つまたは複数の絶縁層上に形成されてもよい。一態様においては、1つまたは複数の絶縁層は、半導体基材上に形成されてもよい。他の態様においては、焼成の際に、有機ビヒクルは除去され、銀とガラスフリットとが焼結される。
【0009】
本発明の一実施形態においては、電極がこの組成物から形成され、前記組成物は、有機ビヒクルを除去してガラス粒子を焼結するために焼成されている。
【0010】
本発明の一実施形態は、半導体デバイスの製造方法に関する。この方法は、
(a)1つまたは複数の半導体基材、1つまたは複数の絶縁膜、および厚膜組成物を提供するステップであって、厚膜組成物が、a)1つまたは複数の導電性粉末と、b)1つまたは複数のガラスフリットとを、c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレート、イソテトラデカノール、および水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される有機媒体に分散させて含むステップと、
(b)半導体基材上に絶縁膜を適用するステップと、
(c)半導体基材の絶縁膜上に厚膜組成物を適用するステップと、
(d)半導体、絶縁膜および厚膜組成物を焼成するステップとを含み、
焼成の際に、有機ビヒクルが除去され、銀とガラスフリットとが焼結され、絶縁膜に厚膜組成物の成分が浸透する。
【0011】
この実施形態の一態様においては、絶縁膜は、酸化チタン、窒化ケイ素、SiNx:H、酸化ケイ素、および酸化ケイ素/酸化チタンから選択される1つまたは複数の成分を含む。
【0012】
他の実施形態は、厚膜伝導性組成物を含む構造物に関する。この構造物は絶縁層を含んでいてもよい。この構造物は半導体基材を含んでいてもよい。本発明の一態様は、この構造物を含む半導体デバイスに関する。本発明の一態様は、この構造物を含む光起電デバイスに関する。本発明の一態様は、この構造物を含む太陽電池に関する。本発明の一態様は、この構造物を含む太陽電池パネルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】半導体デバイスの作製を示すプロセスフロー図である。
【図1B】半導体デバイスの作製を示すプロセスフロー図である。
【図1C】半導体デバイスの作製を示すプロセスフロー図である。
【図1D】半導体デバイスの作製を示すプロセスフロー図である。
【図1E】半導体デバイスの作製を示すプロセスフロー図である。
【図1F】半導体デバイスの作製を示すプロセスフロー図である。
【図2A】厚膜導体組成物が2本の母線を形成するように基材上に印刷されている例示的な半導体の平面側面図を提供する。
【図2B】厚膜導体組成物が3本の母線を形成するように基材上に印刷されている例示的な半導体の平面側面図を提供する。
【図3】本明細書に記載の組成物A0、およびB1〜B9を含む幅200μmの線についての効率%を示す。
【図4】本明細書に記載の組成物を含む100ミクロンの線についての効率%を示す。
【図5】本明細書に記載の組成物を含む幅200μmの線についての効率%を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、電気的性能が改良された半導体組成物、半導体デバイス、半導体デバイスの製造方法などの必要性に対処するものである。
【0015】
本発明の一実施形態は、厚膜導体組成物に関する。実施形態の一態様においては、厚膜導体組成物は、伝導性粉末、フラックス材料、および有機媒体を含んでいてもよい。フラックス材料は、ガラスフリットまたはガラスフリットの混合物であってもよい。有機媒体は、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB(DBEシリーズは成分の混合比が異なる)などの二塩基性エステル、Witco Chemical製のオクチルエポキシタレート[DRAPEX(R)4.4]、およびOxocol(日産化学製のイソテトラデカノール)およびForalyn(商標)110(Eastman Chemical BV製の水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル)からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。厚膜導体組成物はまた、添加剤も含んでいてもよい。厚膜導体組成物は、さらなる添加剤または成分を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態は、厚膜導体組成物を含む構造物に関する。一態様においては、構造物はまた、1つまたは複数の絶縁膜を含んでいてもよい。一態様においては、構造物は絶縁膜を含まない。一態様においては、構造物は半導体基材を含む。一態様においては、厚膜導体組成物は、1つまたは複数の絶縁膜上に形成されてもよい。一態様においては、厚膜導体組成物は、半導体基材上に形成されてもよい。厚膜導体組成物が半導体基材上に形成されてもよい態様においては、構造物には、絶縁膜が適用されていなくてもよい。
【0017】
一実施形態においては、厚膜導体組成物は、母線を形成するように基材上に印刷されてもよい。母線は、2本を超える母線であってもよい。例えば、母線は、3本以上の母線であってもよい。母線に加えて、厚膜導体組成物は、接続線を形成するように基材上に印刷されてもよい。接続線は母線と接触してもよい。ある母線と接触している接続線は、第2の母線と接触している接続線間に入り込んでいてもよい。
【0018】
例示的実施形態においては、3本の母線が、基材上で互いに平行であってもよい。母線の形状は矩形であってもよい。中央の母線の側の各々は、接続線と接触していてもよい。側部の母線の各々において、矩形の1つの側のみが接続線と接触していてもよい。側部の母線と接触している接続線は、中央の母線と接触している接続線に入り込んでいてもよい。例えば、1つの側部の母線と接触している接続線は、1つの側で中央の母線と接触している接続線と互いに入り込んでいてもよく、他の側部の母線と接触している接続線は、中央の母線の他の側で中央の母線と接触している接続線と互いに入り込んでいてもよい。
【0019】
図2Aは、2本の母線がある実施形態の例示的な図を提供する。第1の母線201が、第1の組の接続線203と接触している。第2の母線205が、第2の組の接続線207と接触している。第1の組の接続線203は、第2の組の接続線207と互いに入り込んでいる。
【0020】
図2Bは、3本の母線がある実施形態の例示的な図を提供する。第1の母線209が、第1の組の接続線211と接触している。第2の母線213が、第2の組の接続線215および第3の組の接続線217の両方と接触している。第2の組の接続線215は、第2の母線213の1つの側と接触しており;第3の組の接続線217は、第2の母線213の反対側と接触している。第3の母線219は、第4の組の接続線221と接触している。第1の組の接続線211は、第2の組の接続線215と互いに入り込んでいる。第3の組の接続線217は、第4の組の接続線221と互いに入り込んでいる。
【0021】
一実施形態においては、基材上に形成された母線は、平行な配置で配列された2本の母線からなっていてもよく、ここで、導体線は母線に垂直に形成され、互いに入り込まれた平行な線パターンで配列されている。あるいは、母線は3本以上の母線であってもよい。3本の母線の場合、中央の母線が、平行な配置における各側部への母線間の共通部分として機能し得る。この実施形態においては、3本の母線の面積被覆率(area coverage)が、2本の母線を使用した場合とほぼ同じであるように調節することができる。3本の母線の場合、それに垂直な線が、母線の対の間の間隔に適したより短い寸法に調節される。
【0022】
一実施形態においては、厚膜導体組成物の成分は、有機媒体中に分散した電気的機能性銀粉末、1つまたは複数の添加剤、およびガラスフリットであり、有機媒体は、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、Witco Chemical製のオクチルエポキシタレート[DRAPEX(R)4.4]、およびOxocol(日産化学製のイソテトラデカノール)およびForalyn(商標)110(Eastman Chemical BV製の水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル)からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む。ガラスフリットは鉛フリーであり得る。さらなる添加剤としては、金属、金属酸化物、または焼成中にこれらの金属酸化物を生成することができるあらゆる化合物を挙げることができる。これらの成分について以下に説明する。
【0023】
I.無機成分
本発明の一実施形態は、厚膜導体組成物に関する。実施形態の一態様においては、厚膜導体組成物は、伝導性材料、フラックス材料、および有機媒体を含んでいてもよい。伝導性材料は銀を含んでいてもよい。一実施形態においては、伝導性材料は伝導性粉末であってもよい。フラックス材料は、1つまたは複数のガラスフリットを含んでいてもよい。ガラスフリットは鉛フリーであり得る。厚膜導体組成物はまた、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、(a)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属;(b)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物;(c)焼成の際に(b)の金属酸化物を生成することができる任意の化合物;および(d)それらの混合物から選択される金属/金属酸化物添加剤であってもよい。厚膜導体組成物は、さらなる成分を含んでいてもよい。
【0024】
本明細書で用いられる際の「母線」は、電流の集電に用いられる共通接続部を意味する。一実施形態においては、母線は矩形形状であってもよい。一実施形態においては、母線は平行であってもよい。
【0025】
本明細書で用いられる際の「フラックス材料」は、溶融を促進するのに用いられる物質、または溶融する物質を意味する。一実施形態においては、溶融は、液相を形成するのに必要な処理温度以下で起こり得る。
【0026】
一実施形態においては、本発明の無機成分は、(1)電気的機能性銀粉末と;(2)ガラスフリットと;場合により(3)(a)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属;(b)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属の1つまたは複数の金属酸化物;(c)焼成の際に(b)の金属酸化物を生成することができる任意の化合物;および(d)それらの混合物から選択される1つまたは複数の金属/金属酸化物添加剤とを含む。一実施形態においては、ガラスフリットは鉛フリーであり得る。
【0027】
A.導電性機能材料
導電性材料としては、Ag、Cu、Pd、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態においては、導電性粒子はAgである。しかしながら、これらの実施形態は限定されるものではない。他の導電性材料が用いられる実施形態が考えられ、包含される。
【0028】
銀は、コロイド懸濁液中に提供された、粒子形状、粉末形状、フレーク形状、球形状、それらの混合物などであってもよい。銀は、例えば、銀金属、銀の合金、またはそれらの混合物であってもよい。銀としては、例えば、酸化銀(Ag2O)またはAgCl、AgNO3、もしくはAgOOCCH3(酢酸銀)、オルトリン酸銀、Ag3PO4などの銀塩、あるいはそれらの混合物が挙げられる。他の厚膜成分と適合する任意の形態の銀が使用可能であり、当業者によって認識されよう。
【0029】
銀は、厚膜組成物における任意の様々な割合の組成のものであり得る。限定されない実施形態においては、銀は、厚膜組成物の固形成分の約70〜約99重量%であってもよい。他の実施形態においては、銀は、厚膜組成物の固形成分の約70〜約85重量%であってもよい。他の実施形態においては、銀は、厚膜組成物の固形成分の約90〜約99重量%であってもよい。
【0030】
一実施形態においては、厚膜組成物の固体部分は、約80〜約90重量%の銀粒子および約0〜約100重量%、例えば0〜50重量%、0〜20重量%の銀フレークを含んでいてもよい。一実施形態においては、厚膜組成物の固体部分は、約50〜約90重量%の銀粒子および約0〜約10重量%の銀フレークを含んでいてもよい。別の実施形態においては、厚膜組成物の固形部分は、約75〜約90重量%の銀フレークおよび約1〜約10重量%のコロイド銀を含んでいてもよい。他の実施形態においては、厚膜組成物の固形部分は、約60〜約90重量%の銀粉末または銀フレークおよび約0.1〜約20重量%のコロイド銀を含んでいてもよい。
【0031】
一実施形態においては、厚膜組成物は、適切な電気的機能性を組成物に付与する機能相を含む。機能相は、電気的機能性粉末を含んでいてもよく、この粉末は、組成物を形成する機能相の担体として機能する有機媒体中に分散している。一実施形態においては、この組成物は、基材に適用され得る。他の実施形態においては、この組成物および基材を焼成すると、有機層が焼失して無機バインダー相が活性化し、電気的機能性が付与される。
【0032】
一実施形態においては、組成物の機能相は、導電性である銀粒子をコーティングする場合もあるし、しない場合もある。一実施形態においては、銀粒子はコーティングされ得る。一実施形態においては、銀は、リンなどの様々な材料でコーティングされ得る。一実施形態においては、銀粒子は、界面活性剤で少なくとも部分的にコーティングされ得る。界面活性剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、およびそれらの混合物から選択することができるが、これらに限定されるものではない。ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、およびリノール酸などの他の界面活性剤を使用することもできる。対イオンは、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、およびそれらの混合物であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0033】
銀の粒度は、特に限定されない。一実施形態においては、平均粒度は10ミクロン未満であり;他の実施形態においては、平均粒度は5ミクロン未満である。一実施形態においては、平均粒度は、0.1〜5ミクロンであり得る。
【0034】
一実施形態においては、酸化銀が、ガラス溶融/製造プロセス中にガラスに溶解され得る。
【0035】
B.添加剤
本発明の一実施形態は、1つまたは複数の添加剤を含有する厚膜組成物に関する。この実施形態の一態様においては、添加剤は、(a)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属;(b)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物;(c)焼成の際に(b)の金属酸化物を生成することができる任意の化合物;および(d)それらの混合物から選択される金属/金属酸化物添加剤であってもよい。
【0036】
一実施形態においては、添加剤の粒度は特に限定されない。一実施形態においては、平均粒度は10ミクロン未満であり得;一実施形態においては、平均粒度は5ミクロン未満であり得る。一実施形態においては、平均粒度は0.1〜1.7ミクロンであり得る。他の実施形態においては、平均粒度は、0.6〜1.3ミクロンであり得る。一実施形態においては、平均粒度は7〜100nmであり得る。他の実施形態においては、金属樹脂酸塩などの有機金属化合物が用いられる場合、添加剤の粒度は、原子レベルまたは分子レベルであり得る。
【0037】
一実施形態においては、金属/金属酸化物添加剤の粒度は、7ナノメートル(nm)〜125nmの範囲であり得る。一実施形態においては、金属/金属酸化物添加剤の粒度は、7ナノメートル(nm)〜100nmの範囲であり得る。一実施形態においては、MnO2およびTiO2は、7ナノメートル(nm)〜125nmの平均粒度範囲(d50)で本発明において用いられ得る。他の実施形態においては、金属樹脂酸塩などの有機金属化合物が用いられる場合、添加剤の粒度は、原子レベルまたは分子レベルであり得る。
【0038】
一実施形態においては、さらなる添加剤は、Zn含有添加剤であってもよい。Zn含有添加剤は、例えば、(a)Zn、(b)Znの金属酸化物、(c)焼成の際にZnの金属酸化物を生成することができる任意の化合物、および(d)それらの混合物から選択されてもよい。
【0039】
一実施形態においては、Zn含有添加剤はZnOであり、ZnOは、10ナノメートル〜10ミクロンの範囲の平均粒度を有し得る。他の実施形態においては、ZnOは、40ナノメートル〜5ミクロンの平均粒度を有し得る。さらに他の実施形態においては、ZnOは、60ナノメートル〜3ミクロンの平均粒度を有し得る。他の実施形態においては、Zn含有添加剤は、0.1μm未満の平均粒度を有し得る。特に、Zn含有添加剤は、7ナノメートル〜100ナノメートル未満の範囲の平均粒度を有し得る。
【0040】
他の実施形態においては、Zn含有添加剤(例えばZn、Zn樹脂酸塩など)は、2〜16重量パーセントの範囲で全厚膜組成物中に存在し得る。他の実施形態においては、Zn含有添加剤は、全組成物の4〜12重量パーセントの範囲で存在し得る。一実施形態においては、ZnOは、全組成物の2〜10重量パーセントの範囲で組成物中に存在し得る。一実施形態においては、ZnOは、全組成物の4〜8重量パーセントの範囲で存在し得る。さらに他の実施形態においては、ZnOは、全組成物の5〜7重量パーセントの範囲で存在し得る。
【0041】
一実施形態においては、さらなる添加剤は、Mg含有添加剤であり得る。Mg含有添加剤は、例えば、(a)Mg、(b)Mgの金属酸化物、(c)焼成の際にMgの金属酸化物を生成することができる任意の化合物、および(d)それらの混合物から選択されてもよい。
【0042】
一実施形態においては、Mg含有添加剤はMgOであり、MgOは、10ナノメートル〜10ミクロンの範囲の平均粒度を有し得る。他の実施形態においては、MgOは、40ナノメートル〜5ミクロンの平均粒度を有し得る。さらに他の実施形態においては、MgOは、60ナノメートル〜3ミクロンの平均粒度を有し得る。他の実施形態においては、MgOは、0.1〜1.7ミクロンの平均粒度を有し得る。他の実施形態においては、MgOは、0.3〜1.3ミクロンの平均粒度を有し得る。他の実施形態においては、Mg含有添加剤は、0.1μm未満の平均粒度を有し得る。特に、Mg含有添加剤は、7ナノメートル〜100ナノメートル未満の範囲の平均粒度を有し得る。
【0043】
MgOは、全組成物の0.1〜10重量パーセントの範囲で組成物中に存在し得る。一実施形態においては、MgOは、全組成物の0.5〜5重量パーセントの範囲で存在し得る。さらに他の実施形態においては、MgOは、全組成物の0.75〜3重量パーセントの範囲で存在し得る。
【0044】
他の実施形態においては、Mg含有添加剤(例えばMg、Mg樹脂酸塩、MgOなど)は、0.1〜10重量パーセントの範囲で全厚膜組成物中に存在し得る。他の実施形態においては、Mg含有添加剤は、全組成物の0.5〜5重量パーセントの範囲で存在し得る。さらに他の実施形態においては、Mg含有添加剤は、全組成物の0.75〜3重量パーセントの範囲で存在し得る。
【0045】
他の実施形態においては、Mg含有添加剤は、0.1μm未満の平均粒度を有し得る。特に、Mg含有添加剤は、7ナノメートル〜100ナノメートル未満の範囲の平均粒度を有し得る。
【0046】
一実施形態においては、添加剤は、添加剤の混合物を含有し得る。さらなる添加剤は、(a)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属;(b)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物;(c)焼成の際に(b)の金属酸化物を生成することができる任意の化合物;および(d)それらの混合物から選択される金属/金属酸化物添加剤の混合物であってもよい。
【0047】
焼成の際にZn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuまたはCrの金属酸化物を生成することができる化合物としては、樹脂酸塩、オクトエート、有機官能単位などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
一実施形態においては、さらなる添加剤は、ZnOとMgOとの混合物を含有し得る。
【0049】
C.ガラスフリット
本発明の一実施形態においては、厚膜組成物はガラス材料を含んでいてもよい。一実施形態においては、ガラス材料は、ガラス形成剤、中間酸化物、および改質剤の3種類の成分のうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。例示的なガラス形成剤は、高い結合配位およびより小さいイオンサイズを有してもよく;ガラス形成剤は、加熱されて、溶融物から急冷されるときに、架橋共有結合を形成し得る。例示的なガラス形成剤としては、SiO2、B23、P25、V25、GeO2などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な中間酸化物としては、TiO2、Ta25、Nb25、ZrO2、CeO2、SnO2、Al23、HfO2などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者によって認識されるように、ガラス形成剤の代わりに中間酸化物を用いてもよい。例示的な改質剤は、より高いイオン性質を有してもよい。改質剤は、例えば以下のような特定の性質に影響を与え得る。改質剤は、例えば、ガラス粘度を低下させ、および/またはガラス濡れ性を改良することができる。例示的な改質剤としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、PbO、CuO、CdO、ZnO、Bi23、Ag2O、MoO3、WO3などの酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
一実施形態においては、酸化物または窒化物絶縁層の少なくとも部分的な浸透を助けるためのガラス材料が当業者によって選択されてもよい。本明細書に記載されるように、この少なくとも部分的な浸透により、光起電デバイス構造のシリコン表面に効果的な電気接点が形成され得る。配合成分は、ガラス形成材料に限定されない。
【0051】
本発明の一実施形態においては、ガラスフリット組成物(ガラス組成物)が提供される。ガラスフリット組成物の限定されない例が、以下の表1に挙げられ、本明細書に記載される。さらなるガラスフリット組成物が考えられる。
【0052】
ガラス化学の当業者であれば、さらなる成分のわずかな置き換えおよび本発明のガラス組成物の特性の実質的でない変更を行い得ることが予測されるため、表1に挙げられる組成物は、限定されるものではないことを留意することが重要である。このように、P25、GeO2、V25などのガラス形成剤の代用品0〜3重量%を、個別にまたは組み合わせて使用することで類似の性能を実現することができる。TiO2、Ta25、Nb25、ZrO2、CeO2、SnO2などの1種類以上の中間酸化物を、本発明のガラス組成物中に存在する他の中間酸化物(すなわち、Al23、CeO2、SnO2)の代わりに使用することもできる。一般にSiO2含量のより多いガラスは性能を低下させることがデータから観察される。SiO2は、ガラス粘度を高め、ガラスの濡れ性を低下させると考えられる。表1の組成物には示されていないが、SiO2を含まないガラスは良好に機能することが予測され、低レベルのSiO2の機能の代わりにP25、GeO2などの他のガラス形成剤を用いることができる。また、CaO、アルカリ土類金属含量は、部分的にまたは完全に、SrO、BaOおよびMgOなどの他のアルカリ土類金属成分に代えることもできる。
【0053】
全ガラス組成物の重量パーセントでの例示的な限定されないガラス組成物は表1に示される。一実施形態においては、ガラス組成物は、以下の組成範囲における以下の酸化物成分を含んでいてもよい:全ガラス組成物の重量パーセントで、SiO2 1〜36、Al23 0〜7、B23 1.5〜19、PbO 20〜83、ZnO 0〜42、CuO 0〜4、Bi23 0〜35、ZrO2 0〜8、TiO2 0〜7、PbF2 3〜34。他の実施形態においては、ガラス組成物は、全ガラス組成物の重量パーセントで、SiO2 20〜24、Al23 0.2〜0.5、B23 5〜9、PbO 20〜55、Bi23 0〜33、TiO2 5〜7、BiF3 4〜22を含んでいてもよい。この組成物に用いられるフッ化物は、PbF2、BiF3、AlF3または目的とする同じ組成を保つのに適切な計算を有する他のこのような化合物などの入手可能な組成物の化合物に由来し得る。この計算と同等のものの一例は、ガラスID番号1について以下のように示される:SiO2 22.08、Al23 0.38、PbO 56.44、B23 7.49、TiO2 5.86、Bi23 6.79、F 1.66重量%。ここで、フッ素は、フッ素元素およびそれに関連する酸化物として表される。当業者であれば、これらの換算を容易に行うであろう。一実施形態においては、ガラス組成物は、重量%で、合計で60〜70%のPbO、Bi23およびPbF2を有し得る。一実施形態においては、ガラス組成物は、一般に、全ガラス組成物の重量%で以下によって表され得る:SiO2 1〜36、PbO 20〜83、B23 1.5〜19、PbF2 4〜22および場合による成分として:Al23 0〜7、ZrO2 0〜8、ZnO 0〜12、CuO 0〜4、Bi23 0〜35、およびTiO2 0〜7が含まれる。Al23、ZrO2、ZnO、CuO、Bi23、TiO2および組成物にフッ素を供給するための供給源となる化合物としての化合物フッ化物を場合により加えて、SiO2、PbO、F、およびB23として組成範囲を表わすことも可能である。
【0054】
【表1】

【0055】
本発明に有用なガラスフリットは、旭硝子株式会社から市販されているASF1100およびASF1100Bを含む。本発明の一実施形態におけるガラスフリット(ガラス組成物)の平均粒度は、0.5〜1.5μmの範囲であり得る。他の実施形態においては、平均粒度は、0.8〜1.2μmの範囲であり得る。一実施形態においては、ガラスフリットの軟化点(Tg:DTAの二次転移点)は、300〜600℃の範囲である。Tgは、特定の材料についてのDTAプロット上に引かれた2本の伸長線の交点によって決定され、ここで、基線は、粒子の焼結の開始に伴う吸熱時に下がる。一実施形態においては、全組成物中のガラスフリット量は、全組成物の0.5〜4重量%の範囲内であり得る。一実施形態においては、ガラス組成物は全組成物の1〜3重量パーセントの量で存在する。他の実施形態においては、ガラス組成物は全組成物の1.5〜2.5重量パーセントの範囲内で存在する。
【0056】
本明細書に記載されるガラスは、従来のガラス製造技術によって製造される。ガラスを500〜1000グラムの量で作製した。各成分を秤量し、所望の比率で混合し、床昇降式炉内で加熱して、白金合金るつぼ中に溶融物を形成し得る。当該技術分野で周知のように、加熱は、ピーク温度(1000℃〜1200℃)で、溶融物が全体的に液体になり均一になるような時間で行った。この溶融ガラスを逆転ステンレス鋼ローラー間で急冷して、10〜20ミルの厚さのガラス小板を形成した。得られたガラス小板を次に粉砕して、0.8〜1.5ミクロンの50%体積分布設定を有する粉末を形成した。
【0057】
厚さが2.0〜2.5mmの加圧粉末ペレットに対して0.05ニュートンの動的力を用いて、TA機器Q400を用いて、熱機械分析(TMA)測定から表1中のTgデータを導き出した。試料を、室温から、その熱変形において粘性流が顕著になる温度まで、10℃/分の速度で加熱した。
【0058】
一実施形態においては、ZnO、MgOなどの、本明細書に記載される1つまたは複数の添加剤が、ガラスに含有され得る。1つまたは複数の添加剤を含有するガラスフリットが、本明細書に記載される実施形態に有用である。
【0059】
一実施形態においては、ガラスフリットは、全ガラス組成物の8〜25重量パーセントのBi23、B23を含んでいてもよく、SiO2、P25、GeO2、およびV25からなる群から選択される1つまたは複数の成分をさらに含む。
【0060】
一実施形態においては、ガラスフリットは、Al23、CeO2、SnO2、およびCaOの1つまたは複数を含んでいてもよい。この実施形態の一態様においては、Al23、CeO2、SnO2、およびCaOの量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして6未満であり得る。この実施形態の一態様においては、Al23、CeO2、SnO2、およびCaOの量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして1.5未満であり得る。
【0061】
一実施形態においては、ガラスフリットは、BiF3およびBi23の1つまたは複数を含んでいてもよい。この実施形態の一態様においては、BiF3およびBi23の量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして83未満であり得る。この実施形態の一態様においては、BiF3およびBi23の量は、ガラス組成物の全重量パーセントを基準にして72未満であり得る。
【0062】
一実施形態においては、ガラスフリットは、Na2O、Li2O、およびAg2Oの1つまたは複数を含んでいてもよい。この実施形態の一態様においては、Na2O、Li2O、およびAg2Oの量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして5未満であり得る。この実施形態の一態様においては、Na2O、Li2O、およびAg2Oの量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして2.0未満であり得る。
【0063】
一実施形態においては、ガラスフリットは、Al23、Si22、およびB23の1つまたは複数を含んでいてもよい。この実施形態の一態様においては、Si22、Al23、およびB23の量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして31未満であり得る。
【0064】
一実施形態においては、ガラスフリットは、Bi23、BiF3、Na2O、Li2O、およびAg2Oの1つまたは複数を含んでいてもよい。一実施形態においては、(Bi23+BiF3)/(Na2O+Li2O+Ag2O)の量は、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして14を超え得る。
【0065】
本明細書で用いられる際の「鉛フリー」は、鉛が添加されていないことを意味する。一実施形態においては、微量の鉛が組成物中に存在していることがあるが、それでも、鉛を添加しなかった場合、組成物は鉛フリーとみなされる。一実施形態においては、鉛フリー組成物は、1000ppm未満の鉛を含有し得る。一実施形態においては、鉛フリー組成物は、300ppm未満の鉛を含有し得る。当業者は、より少ない量の鉛を含有する組成物が鉛フリーという用語によって包含されることを認識するであろう。一実施形態においては、鉛フリー組成物は、鉛を含まないだけでなく、例えば、Cd、Ni、および発癌性毒性物質を含む他の毒性物質も含まないことがある。一実施形態においては、鉛フリー組成物は、1000ppm未満の鉛、1000ppm未満のCd、および1000ppm未満のNiを含有し得る。一実施形態においては、鉛フリー組成物は、微量のCdおよび/またはNiを含有してもよく;一実施形態においては、Cd、Ni、または発癌性毒性物質のいずれも鉛フリー組成物に添加されない。
【0066】
フラックス材料
本発明の一実施形態は、厚膜組成物、それを含む構造物およびデバイス、ならびにこの構造物およびデバイスの作製方法に関し、ここで、厚膜はフラックス材料を含む。フラックス材料は、一実施形態においては、より低い軟化特性を有するなどの、ガラス材料に類似の特性を有し得る。例えば、酸化物またはハロゲン化合物などの化合物が用いられてもよい。化合物は、本明細書に記載される構造物に絶縁層が浸透するのを助けることができる。このような化合物の限定されない例としては、ペースト媒体の有機バインダー成分との有害な反応から保護するために有機または無機バリアコーティングでコーティングまたは被覆された材料が挙げられる。このようなフラックス材料の限定されない例としては、PbF2、BiF3、V25、アルカリ金属酸化物などが挙げられる。
【0067】
ガラスのブレンド
一実施形態においては、1つまたは複数のガラスフリット材料が、厚膜組成物中に混合物として存在し得る。一実施形態においては、第1のガラスフリット材料が、絶縁層を迅速に浸食する(digest)機能のために当業者によって選択されてもよく;他のガラスフリット材料が強い腐食力および低い粘度を有することがある。
【0068】
一実施形態においては、第2のガラスフリット材料が、化学活性を妨げながら、第1のガラスフリット材料とゆっくりとブレンドされるように設計され得る。停止状態(stopping condition)が結果として生じ、これにより、絶縁層が部分的に除去されるが、デバイスを分路している(shunting)可能性のある下層のエミッタ拡散領域を浸食することなく、腐食作用が抑制されずに進行する。このようなガラスフリット材料は、半導体基材の拡散p−n接合領域を損傷せずに絶縁層を除去するための安定した製造手段(window)を提供するのに十分に高い粘度を有することを特徴とし得る。
【0069】
限定されない例示的な混合物においては、第1のガラスフリット材料は、SiO2 1.7重量%、ZrO2 0.5重量%、B23 12重量%、Na2O 0.4重量%、Li32O 0.8重量%、およびBi23 84.6重量%であってもよく、第2のガラスフリット材料は、SiO2 27重量%、ZrO2 4.1重量%、Bi23 68.9重量%であってもよい。当業者によって認識される条件下で、厚膜導体ペーストの最適な性能を満たすためのブレンド比を調節するような割合のブレンドが用いられ得る。
【0070】
分析ガラス試験
いくつかの試験方法が、光起電Ag導体配合物に適用するための候補としてガラス材料を特性評価するために用いることができ、当業者によって認識される。これらの測定の中でも特に、Tgおよびガラス流動速度を測定するための示差熱分析(DTA)ならびに熱機械分析(TMA)がある。必要に応じて、膨張率測定、熱重量分析、XRD、XRF、およびICPなどの多くのさらなる特性決定方法が用いられ得る。
【0071】
不活性ガスの焼成
一実施形態においては、光起電デバイス電池の処理には、作製された電池を焼成する窒素または他の不活性ガスが用いられる。焼成温度プロファイルは、典型的には、乾燥された厚膜ペーストからの有機バインダー材料または存在する他の有機材料の焼失を可能にするように設定される。一実施形態においては、温度は300〜525℃であり得る。焼成は、40〜200インチ/分といった高い輸送速度を用いて、ベルト炉において行うことができる。複数の温度ゾーンを用いて、所望の温度プロファイルを制御することができる。ゾーンの数は、例えば、3〜9つのゾーンと変わり得る。光電池は、例えば650〜1000℃の設定温度で焼成され得る。焼成は、このタイプの焼成に限定されず、当業者に公知の他の高速の焼成炉設計が考えられる。
【0072】
II.有機媒体
無機成分は、機械的混合によって有機媒体と混合されて、印刷に適したコンシステンシーおよびレオロジーを有する「ペースト」と呼ばれる粘稠組成物が形成されうる。本発明の一実施形態においては、有機媒体は、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、およびDBE−IBなどの二塩基性エステル、Witco Chemical製のオクチルエポキシタレート[DRAPEX(R)4.4]、およびOxocol(日産化学製のイソテトラデカノール)およびForalyn(商標)110(Eastman Chemical BV製の水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル)からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。本発明の一実施形態においては、有機媒体は、400℃超、または、他の実施形態においては、500℃超の温度で燃え尽きる1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。
【0073】
多種多様の不活性粘稠材料が有機媒体に含まれ得る。有機媒体は、適度な安定性で無機成分が分散可能なものでありうる。媒体のレオロジー特性は、固体の安定な分散、スクリーン印刷に適した粘度およびチキソトロピー、基材およびペースト固体の適切な濡れ性、良好な乾燥速度、ならびに良好な焼成特性など、組成物に良好な適用性を付与する。本発明の一実施形態においては、厚膜組成物中に使用される有機ビヒクルは、好ましくは非水性で不活性な液体でありうる。伝導性組成物中に存在する有機媒体は、全組成物の10重量%〜20重量%の範囲であり得る。
【0074】
一実施形態においては、有機媒体は、1つまたは複数の追加の成分を含んでいてもよい。一態様においては、1つまたは複数の追加の成分は、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IBを含む二塩基性エステル、Witco Chemical製のオクチルエポキシタレート[DRAPEX(R)4.4]、およびOxocol(日産化学製のイソテトラデカノール)およびForalyn(商標)110(Eastman Chemical BV製の水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル)からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。
【0075】
本発明の一実施形態においては、有機媒体は、400℃超、または、他の実施形態においては、500℃超の温度で燃え尽きる1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。
【0076】
二塩基性エステルは、アジピン酸のジメチルエステル、グルタル酸のジメチルエステルまたはコハク酸のジメチルエステルからなる群から選択される1つまたは複数のジメチルエステルを含む。表2に示されるように存在するアジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルの3種のジエステルの各々の量が異なる8種類のDBE画分が利用可能である。本発明では、DBE−3として販売されている二塩基性エステルが好ましい。当該材料であるDBE−3は、二塩基性エステルの総重量を基準にして、85〜95重量パーセントのアジピン酸ジメチル、5〜15重量パーセントのグルタル酸ジメチルおよび0〜1.0重量パーセントのコハク酸ジメチルを含有することが製造業者によって示されている。
【0077】
有機媒体中に存在するビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレート[DRAPEX(R)4.4]、OxocolおよびForalyn(商標)110からなる群から選択される前記1つまたは複数の成分は、有機媒体の1重量%〜99.9重量%の範囲であり得る。太陽電池のより良好な電気特性を得るためには、最小含量は有機媒体の10重量%であるのがより好ましい。最小含量は30重量%であるのがさらにより好ましい。最大含量は有機媒体の95重量%であるのがより好ましい。最大含量は90重量%であるのがさらにより好ましい。ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレートおよびイソテトラデカノールは、溶媒とほぼ同等の機能を果たす。したがって、組成物中、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレートおよびイソテトラデカノールを、texanolなどの従来の溶媒で一部または全て置き換えてもよい。
【0078】
【表2】

【0079】
有機媒体は、例えば、増粘剤、安定剤、界面活性剤、粘度調整剤および/またはポリマーなどの1つまたは複数の追加の成分を含有していてもよい。例示的なポリマーとしては、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂との混合物、低級アルコールのポリメタクリレート、およびエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な溶媒としては、エステルアルコールおよびα−またはβ−テルピネオールなどのテルペンあるいはそれらの混合物とともに、灯油、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコールおよび高沸点アルコールおよびアルコールエステルなどの他の溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、揮発性液体が、ビヒクルに含まれていてもよい。所望の粘度および揮発度の要件を得るために、これらおよび他の溶媒の様々な組合せが配合される。
【0080】
有機媒体中に存在するポリマーは、全組成物の0.1重量%〜6重量%の範囲内で存在しうる。本発明の厚膜銀組成物は、有機媒体を使用して所定のスクリーン印刷可能な粘度に調節することができる。
【0081】
厚膜組成物中の有機媒体と分散体中の無機成分との比は、ペーストの適用方法および使用される有機媒体の種類に依存し、この比は変化させることができる。通常、分散体は、良好な濡れ性を得るために、70〜95重量%の無機成分および5〜30重量%の有機媒体(ビヒクル)を含有する。
【0082】
本発明の一実施形態は、
(a)導電性銀粉末と;
(b)1つまたは複数のガラスフリットとを;
(c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、オクチルエポキシタレート、ならびにイソテトラデカノールおよび水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む有機媒体
に分散させて含む厚膜組成物に関する。
【0083】
この実施形態の一態様においては、ガラスフリットは:Bi23 28〜85、B23 8〜25、およびSiO2 0〜8、P25 0〜3、GeO2 0〜3、V25 0〜3の1つまたは複数を含む。この実施形態の一態様においては、ガラスフリットはSiO2 0.1〜8を含む。この実施形態の一態様においては、ガラスフリットは、1つまたは複数の中間酸化物を含んでいてもよい。例示的な中間酸化物としては、Al23、CeO2、SnO2、TiO2、Ta25、Nb25、およびZrO2が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この実施形態の一態様においては、ガラスフリットは、1つまたは複数のアルカリ土類金属成分を含んでいてもよい。例示的なアルカリ土類金属成分としては、CaO、SrO、BaO、MgOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、ガラスフリットは、ZnO、Na2O、Li2O、AgO2、およびBiF3からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。
【0084】
この実施形態の一態様においては、組成物は添加剤も含んでいてもよい。例示的な添加剤としては、金属添加剤、または金属含有添加剤が挙げられ、ここで、金属添加剤または金属含有添加剤は、処理条件下で酸化物を形成する。添加剤は金属酸化物添加剤であり得る。例えば、添加剤は、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、およびCrから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物であり得る。
【0085】
本発明の一実施形態は、
(a)導電性銀粉末と;
(b)1つまたは複数のガラスフリットとを;
(c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、オクチルエポキシタレート、ならびにイソテトラデカノールおよび水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む有機媒体
に分散させて含む組成物を含む半導体デバイスに関する。
【0086】
本発明の一実施形態は以下を含む。
(a)厚膜組成物であって、
(a)導電性銀粉末と;
(b)1つまたは複数のガラスフリットとを;
(c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、オクチルエポキシタレート、ならびにイソテトラデカノールおよび水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む有機媒体
に分散させて含む厚膜組成物。
(b)絶縁膜
ここで厚膜組成物は絶縁膜上に形成され、焼成されると、絶縁膜に厚膜組成物の成分が浸透し、有機媒体が除去される。
【0087】
構造物
本発明の一実施形態は、厚膜組成物と基材とを含む構造物に関する。一実施形態においては、基材は1つまたは複数の絶縁膜であり得る。一実施形態においては、基材は半導体基材であり得る。一実施形態においては、本明細書に記載される構造物は、光起電デバイスの製造に有用であり得る。本発明の一実施形態は、本明細書に記載される1つまたは複数の構造物を含有する半導体デバイスに関し;本発明の一実施形態は、本明細書に記載される1つまたは複数の構造物を含有する光起電デバイスに関し;本発明の一実施形態は、本明細書に記載される1つまたは複数の構造物を含有する太陽電池に関し;本発明の一実施形態は、本明細書に記載される1つまたは複数の構造物を含有する太陽電池パネルに関する。
【0088】
本発明の一実施形態は、厚膜組成物から形成される電極に関する。一実施形態においては、厚膜組成物は、有機ビヒクルを除去し、銀とガラス粒子とを焼結するように焼成されている。本発明の一実施形態は、厚膜組成物から形成される電極を含有する半導体デバイスに関する。一実施形態においては、電極は前面電極である。
【0089】
本発明の一実施形態は、裏面電極も含む、本明細書に記載される構造物に関する。
【0090】
本発明の一実施形態は、厚膜導体組成物を含む構造物に関する。一態様においては、構造物は1つまたは複数の絶縁膜も含む。一態様においては、構造物は絶縁膜を含まない。一態様においては、構造物は半導体基材を含む。一態様においては、厚膜導体組成物は、1つまたは複数の絶縁膜上に形成され得る。一態様においては、厚膜導体組成物は、半導体基材上に形成され得る。厚膜導体組成物が半導体基材上に形成され得る態様においては、構造物は絶縁膜を含有しないことがある。
【0091】
厚膜導体および絶縁膜の構造物
本発明の一態様は、厚膜導体組成物と1つまたは複数の絶縁膜とを含む構造物に関する。厚膜組成物は、(a)導電性銀粉末と;(b)1つまたは複数のガラスフリットとを;c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、オクチルエポキシタレート、ならびにイソテトラデカノールおよび水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む有機媒体に分散させて含んでいてもよい。一実施形態においては、ガラスフリットは鉛フリーであり得る。一実施形態においては、厚膜組成物は、本明細書に記載されるように添加剤も含んでいてもよい。構造物は半導体基材も含んでいてもよい。本発明の一実施形態においては、焼成されると、有機ビヒクルが除去され、銀とガラスフリットとが焼結され得る。この実施形態の他の態様においては、焼成されると、伝導性銀とフリットとの混合物が絶縁膜に浸透することができる。
【0092】
厚膜導体組成物は、焼成されると絶縁膜に浸透することができる。浸透は部分的な浸透であってもよい。厚膜導体組成物が絶縁膜に浸透することにより、厚膜組成物の導体と半導体基材との間の電気接点が形成され得る。
【0093】
厚膜導体組成物は、あるパターンで絶縁膜上に印刷され得る。印刷により、例えば本明細書に記載のように接続線と共に母線が形成され得る。
【0094】
厚膜の印刷は、例えば、めっき、押出し、インクジェット、成形印刷または多重印刷、またはリボンによって行うことができる。
【0095】
窒化ケイ素の層が絶縁膜上に存在してもよい。窒化ケイ素は、化学蒸着され得る。蒸着方法は、CVD、PCVD、または当業者に公知の他の方法であり得る。
【0096】
絶縁膜
本発明の一実施形態においては、絶縁膜は、酸化チタン、窒化ケイ素、SiNx:H、酸化ケイ素、および酸化ケイ素/酸化チタンから選択される1つまたは複数の成分を含んでいてもよい。本発明の一実施形態においては、絶縁膜は、反射防止膜(ARC)であってもよい。本発明の一実施形態においては、絶縁膜が適用されてもよく;絶縁膜は、半導体基材上に適用されてもよい。本発明の一実施形態においては、絶縁膜は、酸化ケイ素の場合のように自然形成性であり得る。一実施形態においては、構造物は、絶縁膜が適用されていないこともあるが、絶縁膜として機能し得る、酸化ケイ素などの自然形成性の物質を含有し得る。
【0097】
厚膜導体および半導体基材の構造物:
本発明の一態様は、厚膜導体組成物と半導体基材とを含む構造物に関する。一実施形態においては、構造物は絶縁膜を含まなくてもよい。一実施形態においては、構造物は、絶縁膜が半導体基材に適用されていなくてもよい。一実施形態においては、半導体基材の表面は、SiO2などの自然発生の物質を含んでいてもよい。この実施形態の一態様においては、SiO2などの自然発生の物質は、絶縁特性を有し得る。
【0098】
厚膜導体組成物は、あるパターンで半導体基材上に印刷され得る。印刷により、例えば本明細書に記載のように接続線と共に母線が形成され得る。電気接点が、厚膜組成物の導体と半導体基材との間に形成され得る。
【0099】
窒化ケイ素の層が半導体基材上に存在してもよい。窒化ケイ素は、化学蒸着され得る。蒸着方法は、CVD、PCVD、または当業者に公知の他の方法であり得る。
【0100】
窒化ケイ素が化学処理され得る構造物
本発明の一実施形態は、絶縁層の窒化ケイ素が処理されることによって、窒化ケイ素の少なくとも一部が除去され得る構造物に関する。この処理は化学処理であり得る。窒化ケイ素の少なくとも一部を除去することによって、厚膜組成物の導体と半導体基材との間に改良された電気接点が形成され得る。構造物は、改良された効率を有し得る。
【0101】
この実施形態の一態様においては、絶縁膜の窒化ケイ素は、反射防止膜(ARC)の一部であり得る。窒化ケイ素は、例えば、自然形成性であるか、または化学蒸着され得る。化学蒸着は、例えばCVDまたはPCVDによるものであり得る。
【0102】
ガラスフリットではないフラックス材料を厚膜組成物が含む構造物
本発明の一実施形態は、厚膜組成物と1つまたは複数の絶縁膜とを含む構造物に関し、ここで、厚膜組成物は、導電性銀粉末、1つまたは複数のフラックス材料、および有機媒体を含み、かつ構造物は1つまたは複数の絶縁膜をさらに含む。この実施形態の一態様においては、フラックス材料は鉛フリーである。一態様においては、フラックス材料はガラスフリットではない。一実施形態においては、構造物は、半導体基材をさらに含んでいてもよい。
【0103】
厚膜導体組成物は、焼成されると絶縁膜に浸透することができる。浸透は部分的な浸透であってもよい。例えば、絶縁膜の表面の何%かが、厚膜導体組成物によって浸透され得る。厚膜導体組成物が絶縁膜に浸透することにより、厚膜組成物の導体と半導体基材との間の電気接点が形成され得る。
【0104】
本発明の一実施形態においては、導体が半導体基材に直接適用されている方法および構造物が提供される。この実施形態の一態様においては、マスクが、導体のパターンに相関するパターンで半導体基材に適用され得る。次に、絶縁が適用された後、マスクが除去される。導体組成物は、マスクが除去された領域に相関するパターンで半導体基材に適用されている。
【0105】
本発明の一実施形態は、組成物を含む半導体デバイスに関し、ここで、焼成する前の組成物は、
導電性銀粉末と;
鉛フリーの1つまたは複数のガラスフリットとを;
有機媒体に分散させて含む。
【0106】
この実施形態の一態様においては、組成物は添加剤を含んでいてもよい。例示的な添加剤が本明細書に記載される。この実施形態の一態様は、半導体デバイスを含む太陽電池に関する。この実施形態の一態様は、太陽電池を含む太陽電池パネルに関する。
【0107】
母線
一実施形態においては、厚膜導体組成物は、母線を形成するように基材上に印刷されてもよい。母線は、2本を超える母線であってもよい。例えば、母線は、3本以上の母線であってもよい。母線に加えて、厚膜導体組成物は、接続線を形成するように基材上に印刷されてもよい。接続線は母線と接触してもよい。ある母線と接触している接続線は、第2の母線と接触している接続線間に入り込んでいてもよい。
【0108】
例示的実施形態においては、4本の母線が、基材上で互いに平行であってもよい。母線の形状は矩形であってもよい。中央の母線の長い側の各々が、接続線と接触していてもよい。側部の母線の各々について、より長い矩形の1つの側のみが、接続線と接触していてもよい。側部の母線と接触している接続線は、中央の母線と接触している接続線と互いに入り込んでいてもよい。例えば、1つの側部の母線と接触している接続線は、1つの側で中央の母線と接触している接続線と互いに入り込んでいてもよく、他の側部の母線と接触している接続線は、中央の母線の他の側で中央の母線と接触している接続線と互いに入り込んでいてもよい。
【0109】
図2Aは、2本の母線がある実施形態の例示的な図を提供する。第1の母線201が、第1の組の接続線203と接触している。第2の母線205が、第2の組の接続線207と接触している。第1の組の接続線203は、第2の組の接続線207と互いに入り込んでいる。
【0110】
図2Bは、3本の母線がある実施形態の例示的な図を提供する。第1の母線209が、第1の組の接続線211と接触している。第2の母線213が、第2の組の接続線215および第3の組の接続線217の両方と接触している。第2の組の接続線215は、第2の母線213の1つの側と接触しており;第3の組の接続線217は、第2の母線213の反対側と接触している。第3の母線219は、第4の組の接続線221と接触している。第1の組の接続線211は、第2の組の接続線215と互いに入り込んでいる。第3の組の接続線217は、第4の組の接続線221と互いに入り込んでいる。
【0111】
半導体デバイスの製造方法の説明
本発明の一実施形態は、半導体デバイスの製造方法に関する。この実施形態の一態様は、
(a)半導体基材、1つまたは複数の絶縁膜、および厚膜組成物を提供するステップであって、厚膜組成物が、a)導電性銀粉末と、b)1つまたは複数のガラスフリットとを、c)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE、DBE−2、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、オクチルエポキシタレート、ならびにイソテトラデカノールおよび水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む有機媒体に分散させて含むステップを含む。
(b)半導体基材上に1つまたは複数の絶縁膜を適用するステップ、
(c)半導体基材の1つまたは複数の絶縁膜上に厚膜組成物を適用するステップ、および
(d)半導体、1つまたは複数の絶縁膜および厚膜組成物を焼成するステップ、
ここで焼成の際に、有機ビヒクルが除去され、銀とガラスフリットとが焼結され、絶縁膜が、厚膜組成物の成分によって浸透される。
【0112】
この実施形態の一態様においては、ガラスフリットは鉛フリーであり得る。この実施形態の一態様においては、1つまたは複数の絶縁膜は、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜、SiNx:H膜、酸化ケイ素膜および酸化ケイ素/酸化チタン膜を含む群から選択され得る。
【0113】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法によって形成される半導体デバイスに関する。本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法によって形成される半導体デバイスを含む太陽電池に関する。本発明の一実施形態は、電極を含む太陽電池に関し、この電極は、銀粉末と、鉛フリーの1つまたは複数のガラスフリットとを含む。
【0114】
本発明の一実施形態は、半導体デバイスの製造に使用することができる新規な組成物を提供する。本発明の半導体デバイスは、接合を有する半導体基材と、その主面上に形成された窒化ケイ素絶縁膜とで構成される構造要素から以下の方法によって製造することができる。本発明の半導体デバイスの製造方法は、絶縁膜に浸透することができる本発明の伝導性厚膜組成物を、所定の形状および所定の位置で絶縁膜上に適用(たとえば、コーティングおよび印刷)するステップと、次に、焼成することで、伝導性厚膜組成物を溶融させ、絶縁膜を透過させて、シリコン基材と電気的に接触させるステップとを含む。一実施形態においては、この導電性厚膜組成物は、有機ビヒクル中に分散した銀粉末と、亜鉛含有添加剤と、300〜600℃の軟化点を有するガラスまたはガラス粉末混合物と、場合により追加の金属/金属酸化物添加剤とでできた本明細書に記載の厚膜ペースト組成物でありうる。
【0115】
一実施形態においては、組成物は、全組成物の5重量%未満のガラス粉末を含み、Zn含有添加剤を場合による追加の金属/金属酸化物添加剤と合わせた含有率が全組成物の6重量%以下である。本発明の一実施形態は、この方法から製造される半導体デバイスも提供する。
【0116】
本発明の一実施形態においては、絶縁膜として窒化ケイ素膜または酸化ケイ素膜を使用することができる。窒化ケイ素膜は、プラズマ化学蒸着(CVD)法または熱CVD法によって形成され得る。一実施形態においては、酸化ケイ素膜は、熱酸化、熱CFD、またはプラズマCFDによって形成され得る。
【0117】
一実施形態においては、本発明の半導体デバイスの製造方法は、接合を有する半導体基材と、その一主面上に形成される絶縁膜とで構成される構造要素から半導体デバイスを製造することを特徴とすることもでき、上記絶縁層が、酸化チタン、窒化ケイ素膜、SiNx:H膜、酸化ケイ素膜、および酸化ケイ素/酸化チタン膜から選択され、上記方法は、絶縁膜と反応して透過することができる金属ペースト材料を所定の形状で所定の位置に絶縁膜上に形成するステップと、シリコン基材との電気接点を形成するステップとを含む。酸化チタン膜は、チタン含有有機液体材料を半導体基材上にコーティングし焼成することによって、または熱CVDによって形成されうる。一実施形態においては、窒化ケイ素膜はPECVD(プラズマ化学気相成長法)によって形成されうる。本発明の一実施形態は、これと同じ方法で製造される半導体デバイスも提供する。
【0118】
本発明の一実施形態においては、本発明の伝導性厚膜組成物から形成される電極は、酸素および窒素の混合ガスで好ましくは構成される雰囲気中で焼成されうる。この焼成プロセスによって、有機媒体が除去され、ガラスフリットとAg粉末とが焼結して伝導性厚膜組成物となる。半導体基材は、例えば、単結晶または多結晶のシリコンであり得る。
【0119】
図1(a)は、基材に、光反射を低減するテクスチャー加工された表面が設けられるステップを示す。一実施形態においては、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンの半導体基材が設けられる。太陽電池の場合、基材は、延伸法または鋳造法によって形成されたインゴッドからスライスされうる。スライスに使用したワイヤーソーなどの工具によって生じた基材表面の損傷、およびウエハをスライスするステップによる汚染物質は、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を使用して、あるいはフッ化水素酸と硝酸との混合物を使用して基材表面の約10〜20μmをエッチングすることによって除去されうる。さらに、基材表面に付着した鉄などの重金属を除去するために塩酸と過酸化水素との混合物で基材を洗浄するステップを加えることができる。この後に、たとえば、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を使用して、反射防止のテクスチャー加工された表面を形成することができる。これによって基材10が得られる。
【0120】
次に図1(b)を参照すると、使用される基材がp型基材である場合には、pn接合を形成するためにn型層が形成される。このようなn型層の形成に使用される方法は、オキシ塩化リン(POCl3)を使用するリン(P)の拡散であってよい。この場合の拡散層の深さは、拡散温度および時間を制御することによって変動させることができ、約0.3〜0.5μmの厚さ範囲内で一般に形成される。このように形成されたn型層は図中に参照番号20で示されている。次に、本発明の背景で説明した方法によって前面および裏面上のpn分離を行うことができる。リンシリケートガラス(PSG)などのリン含有液体コーティング材料が、スピンコーティングなどの方法によって基材の1つの表面上にのみ適用され、好適な条件下でアニールすることによって拡散が行われる場合には、これらのステップは常に必要になるわけではない。当然ながら、基材の裏面上にもn型層が形成される危険性が存在する場合には、本発明の背景において詳述したステップを使用することによって完全性の程度を増加させることができる。
【0121】
次に、図1(d)中、反射防止コーティングとして機能する窒化ケイ素膜、あるいはSiNx:H(すなわち、絶縁膜が、後の焼成処理中のパッシベーションのための水素を含む)膜、酸化チタン膜、酸化ケイ素膜などの別の絶縁膜30が、前述のn型拡散層20の上に形成される。この窒化ケイ素膜30は、入射光に対する太陽電池の表面反射率を低下させ、それによって発生する電流を大幅に増加させることが可能となる。窒化ケイ素膜30の厚さはその屈折率に依存するが、約1.9〜2.0の屈折率の場合には約700〜900Åの厚さが好適となる。この窒化ケイ素膜は、低圧CVD、プラズマCVD、または熱CVDなどの方法によって形成することができる。熱CVDが使用される場合、出発物質はジクロロシラン(SiCl22)およびアンモニア(NH3)ガスであることが多く、膜形成は少なくとも700℃の温度で行われる。熱CVDが使用される場合、高温で出発ガスが熱分解して、その結果、窒化ケイ素膜中に実質的に水素が存在しなくなり、シリコンとSi34の窒素との間の組成比が実質的に化学量論比となる。屈折率は、実質的に1.96〜1.98の範囲内となる。したがって、この種類の窒化ケイ素膜は非常に高密度の膜であり、後のステップにおける熱処理が行われた場合でさえも厚さおよび屈折率などのこの膜の特徴は変化しないまま維持される。膜形成がプラズマCVDによって行われる場合に使用される出発ガスは、一般にSiH4およびNH3の混合ガスである。出発ガスはプラズマによって分解され、膜形成は300〜550℃の温度で行われる。このようなプラズマCVD法による膜形成は熱CVDより低い温度で行われるため、出発ガス中の水素は結果として得られる窒化ケイ素膜中にも存在する。また、ガスの分解がプラズマによって起こるため、この方法の別の独特な特徴の1つは、シリコンと窒素との間の組成比を大きく変動させることが可能なことである。特に、出発ガスの流量比、ならびに膜形成中の圧力および温度などの条件を変化させることによって、ケイ素、窒素、および水素の間の種々の組成比において、1.8〜2.5の屈折率範囲内で窒化ケイ素膜を形成することができる。このような性質を有する膜が後のステップで熱処理される場合、電極焼成ステップ中に水素が除去されることなどの作用によって、膜形成の前後でその屈折率が変化しうる。このような場合、後のステップにおける熱処理の結果として生じる膜の品質の変化を最初に考慮に入れた後で膜形成条件を選択することによって、太陽電池中に必要とされる窒化ケイ素膜を得ることができる。
【0122】
図1(d)中、反射防止コーティングとして機能する窒化ケイ素膜30の代わりに酸化チタン膜をn型拡散層20上に形成することができる。酸化チタン膜は、チタン含有有機液体材料をn型拡散層20上にコーティングし、焼成することによって、または熱CVDによって形成される。図1(d)中、窒化ケイ素膜30の代わりに酸化ケイ素膜をn型拡散層20上に形成することもできる。酸化ケイ素膜は熱酸化、熱CVD、またはプラズマCVDによって形成される。
【0123】
次に、図1(e)および(f)に示されるものと類似のステップによって電極が形成される。すなわち図1(e)に示されるように、アルミニウムペースト60、および裏面銀ペースト70が、図1(e)に示されるように基材10の裏面上にスクリーン印刷され、続いて乾燥される。さらに、基材10の裏面上の場合と同様に、前面電極を形成する銀ペーストが窒化ケイ素膜30の上にスクリーン印刷され、続いて乾燥および焼成が赤外炉中で行われ、その設定温度範囲は、700〜975℃で1分から10分を超えるまでの時間であり得、同時に酸素および窒素の混合ガス流が炉内に流される。
【0124】
図1(f)に示されるように、焼成中に、アルミニウムは不純物としてアルミニウムペーストからシリコン基材10の裏面に拡散し、それによって高アルミニウムドーパント濃度を有するp+層40が形成される。焼成によって、乾燥アルミニウムペースト60はアルミニウム裏面電極61に変化する。同時に、裏面銀ペースト70は焼成されて銀裏面電極71になる。焼成中、裏面アルミニウムと裏面銀との間の境界は合金状態になり、それによって電気的接続が実現される。裏面電極の大部分の領域はアルミニウム電極によって占められるが、p+層40を形成するために必要であることがその理由の1つである。銅リボンなどによって太陽電池を相互接続するための電極として裏面の限定された領域上に銀または銀/アルミニウムの裏面電極が形成される。
【0125】
前面上の本発明の前面電極銀ペースト500は、銀、亜鉛含有添加剤、ガラスフリット、有機媒体、および場合による金属酸化物で構成され、焼成中に窒化ケイ素膜30と反応してこれに浸透して、n型層20と電気的に接触することができる(ファイヤースルー)。このファイヤースルーした状態、すなわち、前面電極銀ペーストが溶融して窒化ケイ素膜30を透過する程度は、窒化ケイ素膜30の性質および厚さ、前面電極銀ペーストの組成、ならびに焼成条件に依存する。太陽電池の変換効率および耐湿信頼性は、明らかに、大部分はこのファイヤースルー状態に依存している。
【実施例】
【0126】
本発明の厚膜組成物を以下の表3〜8において説明する。
【0127】
ペーストの調製
ペーストの調製は一般に以下の手順を使用して行った:適切な量の溶媒、媒体、および界面活性剤を秤量し、次に混合缶中で15分間混合し、次にガラスフリットおよび金属添加剤を加え、さらに15分間混合した。Agは本発明の固体の大部分であるため、よく濡れるようにするため徐々に加えた。十分に混合してから、得られたペーストを、0から400psiまで圧力を徐々に増加させて3本ロールミルに繰り返し通した。ロールの間隙は1ミルに調整した。分散度は、粉砕の細かさ(fineness of grind)(FOG)によって測定した。FOG値の1つは、導体の場合20/10以下でありうる。
【0128】
以下の実施例に用いられるASF1100ガラスフリット(旭硝子株式会社から入手可能)は、供給されたままの状態で用いず、使用する前に0.5〜0.7ミクロンの範囲のD50になるまで粉砕した。
【0129】
試験手順−効率
上記の方法にしたがって構築した太陽電池を、効率を測定するためにEETS(Energy Equipment Testing Service Ltd、Cardiff、UK)PV電池試験装置200に入れた。PV電池試験装置のXeアーク燈が、公知の強度で太陽光をシミュレートし、電池の前面を照射した。試験装置は、4つの接触方法を用いて、約400負荷抵抗の設定で電流(I)および電圧(V)を測定して、電池のI〜V曲線を測定した。I〜V曲線から曲線因子(FF)および効率(Eff)の両方を計算した。
【0130】
ペーストの効率および曲線因子の値を、業界標準と接触させた電池で得られる対応する値に対して正規化した。
【0131】
ビヒクルの設計
本明細書に記載される樹脂と溶媒との様々な混合物を含む様々なビヒクルを、(窒化ケイ素をベースとした反射防止コーティングを用いたシリコン太陽電池の良好な電気特性を得るために、銀粉末および当該技術分野で公知の無機成分を含む)固体システムの標準セットとともに厚膜組成物において試験した。
【0132】
したがって、ベース組成物を、当該技術分野で用いられる溶媒と樹脂との混合物を含むビヒクルA、B、C、D、EおよびFとして、表3〜6に表わしている。各ビヒクルおよび標準的な固体システムについて、実施例は、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、DBE−3二塩基性エステル(Invista製の85〜95%のアジピン酸ジメチルおよび5〜15%のグルタル酸ジメチルである)、Witco Chemical製のオクチルエポキシタレート[DRAPEX(R)4.4]、およびOxocol(日産化学製のイソテトラデカノール)からなる群から選択される添加剤を示し、これらを、ビヒクルのそれぞれが1%および2%という2つの添加レベルで添加した。Foralyn(商標)110(Eastman Chemical BV製の水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル)の添加を、1.25%という1つのレベルで行った。
【0133】
組成物B1〜B9を構成する添加剤を含むビヒクルBを、65オーム/スクエアのエミッタと適合性があるように設計された幅200ミクロンの線形セルパターンを用いて、157×157mmの多結晶ウェハ上にスクリーン印刷した。このウェハを、太陽電池を作製するように設計された窒化ケイ素の反射防止コーティングで被覆した。DuPont PV381アルミニウムペーストを、p型導体として用い、PV502を、銀組成物を貼る裏面として用いた。セルを、4室のCentrotherm炉中で、925℃のピーク温度で焼成した。セルを、1つの日光条件(1 sun conditions)下で電気的に測定した。
【0134】
試料B1〜B9の5つのセルの効率分布および平均が図3に示されており、これらの実験における添加剤の全てについて、A0〜B9の間で+0.6%の性能の向上を明らかに示している。ペーストB7およびB9を、100umのパターンを用いて、同じ材料のウェハセット上に印刷した。結果が図4に示され、ここで、ベースシステムであるA0よりも+1.1%の効率の向上が得られた。
【0135】
図5は、選択された添加剤と組み合わせたビヒクルの影響を示している。
【0136】
【表3】

【0137】
【表4】

【0138】
【表5】

【0139】
【表6】

【0140】
【表7】

【0141】
【表8】

【0142】
次に、二塩基性エステルを含有する伝導性ペーストで作製された電極を備えた太陽電池基材の発電特性を測定した。ここでは、二塩基性エステルの量を変更した。
【0143】
ペーストの調製
ペーストの調製に用いられる材料は以下のとおりである。各材料の含量は、表9に示されている。
【0144】
電気的機能性伝導性粉末:76重量%の球状の銀粉末[レーザー散乱式の粒度分布測定装置で測定した際のd50が1.7〜2.8μm]の混合物を用いた。
【0145】
ガラスフリット:ビスマス−ホウケイ酸ガラスフリットを用いた。全ガラスフリットの含量は、伝導性ペーストの3.2重量%であった。
【0146】
有機媒体:表9に示されるように、エチルセルロース樹脂、二塩基性エステル(DBE−3、INVISTA Inc.)およびTexanolからなる有機媒体を用いた。さらに、1.6重量%の粘度調整剤を有機媒体に加えた。
【0147】
添加剤:全ての伝導性ペーストは、添加剤として3.7重量%のZnOを含有していた。
【0148】
ペーストの調製は、一般に、以下の手順で行った:適切な量の上記のエチルセルロース樹脂、二塩基性エステル(DBE−3、INVISTA Inc.)およびTexanolを秤量してから混合缶中で15分間混合し、次に、上記の銀粉末およびガラスフリットならびにZnOを加え、さらに5分間混合した。十分に混合したら、0psiから400psiまで徐々に圧力を上げて、ペーストを3ロールミルに繰り返し通した。ロールの間隙を1mmまで調節した。分散の度合いを破砕細度(fineness of grind)(FOG)によって測定した。導体については、典型的なFOG価は、一般に、20/10以下である。
【0149】
【表9】

【0150】
電極の製造方法
上記の(A)に記載の4種類の伝導性ペーストを用いて太陽電池を形成した。最初に、シリコーン(Si)ウェハ(38mm平方および厚さ0.2mm)を作製した。アルミニウムペースト(PV322、E.I. du Pont de Nemours and Company)をこれらのSiウェハの裏面上にスクリーン印刷し、次に、150℃の温度で5分間乾燥させた。アルミニウムペーストの印刷されたパターンは、乾燥後に34mm×34mmで厚さ25μmであった。AgペーストをSiウェハの前面上に印刷して、1本の母線と、母線の両側に14本の分岐線(finger lines)とを有する電極パターンを形成した。印刷されたパターンを有するウェハを、150℃で5分間乾燥させた。乾燥したパターンを、IR加熱ベルト炉において空気中で焼成した。最大設定温度は980℃であり、その炉に入れてから出すまでの時間(In−Out time)は120秒間であった。焼成後、母線は幅が2mmで、厚さが15μmであり、分岐線は幅が150μmで、厚さが15μmであった。
【0151】
FFの試験手順
比較例1および実施例1〜5の得られる太陽電池基材の電気特性(I−V特性)を、NPC Co.によって製造されるモデルNCT−M−150AAセル試験装置を用いて評価した。測定結果から電流−電圧曲線(I−V曲線)を作成して、曲線因子(FF値)を計算した。一般に、FF値が高くなるほど、太陽電池の発電特性が良好になることを示す。
【0152】
結果
実施例1〜5では、比較例より高いFF値が得られた。言い換えると、従来の溶媒の一部または全ての代わりに二塩基性エステルを用いると、太陽電池の発電特性が向上すると言えるであろう。また、組成物に入れた二塩基性エステルの量を多くするほど、高いFF値が得られたことも分かった。
【0153】
【表10】

【符号の説明】
【0154】
図1に示される参照符号を以下に説明する。
10:p型シリコン基材
20:n型拡散層
30:窒化ケイ素膜、酸化チタン膜、または酸化ケイ素膜
40:p+層(裏面電界、BSF)
60:裏面に形成されるアルミニウムペースト
61:アルミニウム裏面電極(裏面のアルミニウムペーストを焼成することによって得られる)
70:裏面に形成される銀または銀/アルミニウムペースト
71:銀または銀/アルミニウム裏面電極(裏面の銀ペーストを焼成することによって得られる)
500:本発明によって前面に形成される銀ペースト
501:本発明に係る銀の前面電極(前面の銀ペーストを焼成することによって形成される)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つまたは複数の導電性粉末と;
b)1つまたは複数のガラスフリットとを;
c)有機媒体
に分散させて含む厚膜伝導性組成物であって、
前記有機媒体が、ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレート、イソテトラデカノール、および水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む厚膜伝導性組成物。
【請求項2】
前記二塩基性エステルが、アジピン酸のジメチルエステル、グルタル酸のジメチルエステル、およびコハク酸のジメチルエステルからなる群から選択される1つまたは複数の化合物である請求項1に記載の厚膜伝導性組成物。
【請求項3】
前記ガラスフリットが、全ガラス組成物の重量パーセントを基準にして:SiO2 1〜36、Al23 0〜7、B23 1.5〜19、PbO 20〜83、ZnO 0〜42、CuO 0〜4、Bi23 0〜35、ZrO2 0〜8、TiO2 0〜7、PbF2 3〜34を含む請求項1に記載の厚膜伝導性組成物。
【請求項4】
金属/金属酸化物添加剤をさらに含む請求項1に記載の厚膜伝導性組成物。
【請求項5】
前記金属/金属酸化物添加剤が、
a)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、およびCrから選択される金属;
b)Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrから選択される金属の1つまたは複数の金属酸化物;
c)焼成の際に(b)の金属酸化物を生成することができる化合物;および
d)それらの混合物
からなる群から選択される請求項4に記載の厚膜伝導性組成物。
【請求項6】
前記Zn含有添加剤がZnOである請求項5に記載の厚膜伝導性組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の厚膜組成物を基材上に含む構造物。
【請求項8】
前記基材が1つまたは複数の絶縁層である請求項7に記載の構造物。
【請求項9】
1つまたは複数の半導体基材を含む請求項7に記載の基材。
【請求項10】
半導体デバイスの製造方法であって、
a)1つまたは複数の半導体基材、1つまたは複数の絶縁膜、および厚膜組成物を提供するステップであって、前記厚膜組成物が、
i)1つまたは複数の導電性粉末と、
ii)1つまたは複数のガラスフリットとを、
iii)ビス(2−(2ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、二塩基性エステル、オクチルエポキシタレート、イソテトラデカノール、および水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルからなる群から選択される有機媒体に分散させて含むステップと、
b)前記半導体基材上に前記絶縁膜を適用するステップと;
c)前記半導体基材の絶縁膜上に前記厚膜組成物を適用するステップと;
d)前記半導体、絶縁膜および厚膜組成物を焼成するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記絶縁膜が、酸化チタン、窒化ケイ素、SiNx:H、酸化ケイ素、および酸化ケイ素/酸化チタンから選択される1つまたは複数の成分を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の厚膜伝導性組成物を太陽電池の基材上に適用し;前記適用された厚膜伝導性組成物を焼成することによって形成される、太陽電池の電極。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−524069(P2011−524069A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511838(P2011−511838)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/045587
【国際公開番号】WO2009/146398
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】