説明

伝播時間測定装置における測定速度の増大

【課題】 測定速度を増大することが可能な面までの距離を測定するための装置を提供する。
【解決手段】 装置は、以前に送信した光パルス120の反射を受信する前に少なくとも一つの次の光パルス125を送信する。従って、複数の光パルスが所定の時刻に伝播中である。実施形態は、地勢図作成、深浅測量、地震学、障害検出、バイオマス測定、風速測定、温度計算、交通速度測定、軍事目標識別、地対空距離測定、高精細空間測量、狭域写真測量技術、大気組成、気象学、距離測定、及び数多くの他の用途に適用可能である。このような装置の例は、光検出及び測距(LIDAR)システム及びレーザー走査器のようなレーザー測距システムを含む。装置からデータ処理ユニットにより受信されるデータは、点群、デジタル面模型或いは面、地勢、及び/又は物体を記述するデジタル地勢模型のようなデータ模型を作成するために利用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に伝播時間測定装置に関し、特に測定速度を増大させることが可能な伝播時間測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーのような発光機器は、様々な用途で情報を収集するためのセンサー構成部品として利用されてきた。例えば、レーザー走査器及び、(本明細書では「LIDAR」と記載される)光検出及び測距装置のような伝播時間測定装置は、数多くの用途で利用されてきた。このような用途の例は、地勢図作成、深浅測量、地震学、障害検出、バイオマス測定、風速測定、差分吸収LIDAR(DIAL)、温度計算、交通速度測定、軍事目標識別、地対空距離測定、高精細空間測量、狭域写真測量技術、大気組成、気象学、距離測定、及び数多くの他の用途を含む。
【0003】
LIDARは地理的領域の調査及び地勢作成に次第に利用されるようになってきており、例えば、航空機又は人口衛星のような運送機に取り付けられる下方監視LIDAR機器を利用する。このようなLIDAR機器は、物体の表面又は地形面のような面までの距離を判定するために利用され、光パルスを利用する。面までの範囲は、光パルスの送信と、対応する反射信号の検出との間の遅延時間を測定することにより判定される。このようなシステムにおいて、光が進行する時間を利用して距離を計算するために、光速は既知の定数として利用される。
【0004】
空中LIDARシステムは、空中から地面と自然物及び人工物とを直接測定するために利用されてきた。典型的には、レーザー範囲及び戻り信号強度測定のようなデータは、空中GPS及び内部サブシステムから導かれる位置及び姿勢のデータと共に、飛行中のLIDARシステムにより記録される。生成されるデータ模型は、樹木の下部の詳細をも与えることもできる高度空間解像である「点群」を含むことができ、且つ(標準化されたソフトウェア・パッケージを利用する)領域画像の標準的調整で利用される「裸地」地勢模型を提供することができる。航空機は企画領域を横断しながら、光パルスが地面に向けて高速で次々と発せられる。これらの光パルスは地面及び/又は樹木及び建造物のような地面上の物体により反射される。
【0005】
レーザー走査器はまた、物体の表面のような面を記述するデータ模型を得るためにも利用される。レーザー走査器の一例は、特許文献1に開示され、この内容は参照によって本明細書に組み込まれる。特許文献1に開示されるレーザー走査器のようなレーザー走査器は、点を収集して走査済みの面を記述する点群を形成するために利用され得る。
【特許文献1】米国特許第6,734,849号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら従来の形態によれば、前の光パルスから戻り反射信号が受信されるまで、次の光パルスは送信されない。各光パルスに対して、信号が発せられてから信号が戻るまでの間の経過時間が測定され、これにより、垂直距離又は傾斜距離を計算することが可能になる。反射面の位置は、(1)光パルスが送信される場所の、システムに対する角度、(2)地面に対するシステムの方向、及び(3)システムの現在の位置、に基づいて計算される。測定が進行するに従い、しばしば数百万を数えるレーザー干渉縞のようなデータが捕らえられ、反射面を記述する別のデータ模型が記録されて、このデータ模型は、例えば、高密度デジタル地勢模型(DTM)又はデジタル面模型(DSM)が提供される。しかし、これら従来の形態は、光パルスが送信及び受信され得る速度に関して制限される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
伝播時間測定装置は、光を送信するために構成されるレーザーと、光を受信するために構成される光受信機とを含む。伝播時間測定装置は更に、第二光パルスの前に、レーザーを発生させて第1光パルスを送信するように構成されるレーザー制御回路を含む。レーザー制御回路は更に、第一光パルスの反射光が光受信機により受信される前に、レーザーを発生させて第二光パルスを送信するように構成される。伝播時間測定装置は更に、レーザーによる第一光パルスの送信と光受信機による第1光パルスの反射部分の受信との間の経過時間を測定するように構成される経過時間回路を含む。
【0008】
地勢を記述する情報を収集するためのシステムが開示される。システムは、前に発せられた光パルスの反射部分を受信する前に少なくとも一つの次の光パルスを送信するように構成されるLIDARシステムを含む。
【0009】
面を記述するデータを収集するための方法が開示される。この方法は、第一光パルスを送信することを含む。この方法は更に、第一光パルスが送信された後に第二光パルスを送信することを含む。この方法は更に、第二光パルスが送信された後に第一光パルスの反射部分を受信することを含む。この方法は更に、第一光パルスの送信と第一光パルスの反射部分の受信時刻との間の経過時間を判定することにより、第一光パルスの伝播時間を判定することを含む。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の記載及び添付される請求項からより明らかになるか或いは、以下の記載に従って本発明の実施により、習得される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の上記及び他の特徴を更に明確にするために、本発明のより詳細な記載が、添付される図面の特定形態を参照することにより提供される。これらの図面は実施例のみを記載し、従って本発明の範囲を制限すると考えられるべきでないことは理解される。実施例は、添付される図面を利用して更なる特異性及び詳細を有して記載され、且つ説明されるであろう。
【0012】
本明細書に記載される形態の原理は、本発明を説明するために利用されるいくつかの例の構造及び動作を記述する。図面はこのような実施例の図表表現及び概略図表現であり、従って本発明の範囲を制限せず、また、図面は縮尺どおりに描かれる必要が無いことを理解されるべきである。周知の機器及び過程は排除されており、当業者に知られる詳細な説明を不明確にならないようにしている。
【0013】
図1を参照すると、レーザー走査器又はLIDARシステムのような伝播時間測定装置100が説明される。伝播時間測定装置100はレーザーのような光送信機105及び光ダイオードのような光受信機110を含む。光送信機105及び光受信機110は、回路115に電気的に結合される。第一光パルス120は光送信機により発光され、面140により反射され、光受信機110により受信されることが、図1に示される。第一光パルス120が送信された後だが、第一光パルス120が光受信機110に受信される前に、第二光パルス125が光送信機105により送信される。第一光パルス120の反射部分が光受信機110により受信された後、第二光パルス125の反射部分が光受信機110により受信される。更なる光パルスが、光受信機110が第一光パルス120又は第二光パルス125の反射部分を受信する前に、送信される。例えば、第三光パルス130は、第一光パルス120の反射部分が光受信機110により受信される時刻の前又は同時に、光送信機105により送信される。従って、動作中に、例えば三、四、又はこれ以上の複数の光パルスが、光送信機105と光受信機110との間で同時に伝播中であってよい。結果として、所定の時間内の光パルスの数及び対応する範囲測定は、従来のシステムより増大される。
【0014】
この特徴は、特に任意の個々のレーザーパルスの伝播時間が通常取得可能な最大のパルス速度を制限するような高高度で伝播時間測定装置を搭載する運送機が飛行するとき、大きな利得になる。この影響は重要である。例えば、光速は縦列測距動作のシステム性能に対する最大のパルス速度を地面からの高度(AGL)6000mの高度において約18kHzに制限するが、150+kHzがALG500m未満の高度で取得される。本発明の結果として、所定のレーザーパルス速度に対する飛行高度が(同時に制御されるパルスの数に依存して)2倍、3倍等され得て、また逆に、所定のレーザーパルス速度に対する最大のパルス速度が2倍、3倍等され得る。
【0015】
回路115は、光送信機105による第一光パルス120の送信と光受信機110による第一光パルス120の反射部分の受信との間の時間を測定するように構成される経過時間回路を含む。回路115は更に、第一光パルス120の反射部分により進行される距離を計算するように構成されるデータ処理機を含む。例えば、第一光パルス120の送信と光受信機110により受信される第一光パルス120の反射部分の受信との間の経過時間は、伝播時間測定装置110から面140の距離を、以下の式に従って示す。
距離=(光速×経過時間)/2 式1
パルスがある角度で面140に送信される瞬間に、この角度が測定され、伝播時間測定装置100と面140(すなわち傾斜範囲)の反射点との鉛直距離が、既知の三角方程式を利用して計算される。鏡、プリズム、ホログラフィー光学機器、又は位置決め機器(例えばジンバル)のような走査部品は、例えば、光パルス120,125及び130を面140に方向付けるために利用される。走査部品135が光パルス120,125及び130を方向付ける角度は、光パルス120,125及び130が面140の異なる位置に方向付けられるように、変化される。走査部品135が光パルス120,125及び130を方向付ける角度は、走査角度を提供するために測定される。別例で、到着出力の時刻を有する2次元LIDAR検出配列はまた、レンズ及び/又はホログラフィー成分の組み合わせで利用され、反射が受信される角度の大きさが得られる。走査部分部品135は様々な形態において必須ではなく、伝播時間測定機器100から排除されてよい。
【0016】
回路115は更に、光送信機105及び光受信機110に結合され、各光パルス120,125及び130の伝播時間を確立するタイミング回路を含む。光パルス120,125及び130の反射部分が受信されると期待される時間を近似する期間中に、タイミング回路は光受信機110から電子信号をサンプリングするように構成されている。この期間は、伝播時間測定装置100と面140との間の距離が既知であるか、推定される場合に近似される。例えば、伝播時間測定装置100が光パルスを面140の異なる部分に方向付け、且つ面140の最高点及び最低点が既知であるか又は推定されるとき、光パルスの送信と受信との間の経過時間が近似される。従って、光受信機110からの信号は、この時間間中のみサンプリングされる必要がある。
【0017】
例えば、図2を参照すると、伝播時間測定装置における信号を送信及び受信するための方法が説明される。第一光パルス120が時刻T0で送信される。第一光パルス120が時刻T0で送信された後、第一光パルスの反射部分が受信される前に、第二光パルス125が時刻T1で送信される。第二光パルス125が時刻T1で送信された後、第一光パルス120の反射部分が時刻T2で受信される。上記のように、測距システムと面との間の距離が既知である、又は推定される場合、光受信機から連続的に信号をサンプリングする必要はないかもしれない。むしろ、光受信機は、信号が受信されると期待される期間である、(「距離ゲート」又は「サンプリングゲート」とも称される)特定の期間150にサンプリングされ得る。更に、いくつかの例において、戻り信号は、例えば光パルスが光受信機から離れて方向付けられる場所では受信されないかもしれない。この例において、信号は期間150において受信されず、ノイズ、干渉、又は戻り信号に対する他の信号の誤検出の可能性が最小化され得る。
【0018】
受信信号を送信信号に関連付ける任意の方法が具体化される。例えば、信号は変調され、偏光され、及び/又は異なる波長を有して送信される。信号は、信号の変調を利用して送信信号を受信信号に関連付けるために変調される。信号は、受信信号を送信信号に関連付けるために振幅、位相、及び/又は周波数で変調される。例えば、図2を参照すると、信号120は第一の振幅、位相、及び/又は周波数で変調されて、信号125は信号120とは異なる振幅、位相、及び/又は周波数で変調される。従って、T2及びT3で受信される戻り信号120及び125は、送信及び受信される信号の変調に基づいて、T0及びT1で送信される信号に関連付けられる。
【0019】
信号の偏光もまた、送信信号を受信信号に関連付けるために具体化されてよい。例えば、図2を参照すると、信号120は第一偏光を有することができ、信号125は信号120とは異なる偏光を有することができる。従って、T2及びT3で受信される戻り信号120及び125は、送信及び受信される信号の偏光に基づいて、T0及びT1で送信される信号に関連付けられ得る。
【0020】
異なる波長を有する信号もまた、送信信号を受信信号に関連付けるために具体化されてよい。例えば、図2を参照すると、信号120は第一波長を有することができ、信号125は信号120とは異なる波長を有することができる。従って、T2及びT3で受信される戻り信号120及び125は、送信及び受信される信号の波長に基づいて、T0及びT1で送信される信号に関連付けられ得る。
【0021】
図1と図2とを相互参照すると、回路115は光パルス102,125及び130の送信と受信との間の経過時間を測定する。例えば、第一光パルス120が時刻T0で送信される時刻と、第一光パルス120の反射部分が時刻T2で受信される時刻との間の経過時間(すなわちT2−T0)を測定することにより、回路115は第一光パルス120の伝播時間を判定する。同様にして、第二光パルス125が時刻T1で送信される時刻と、第二光パルス125の反射部分が時刻T3で受信される時刻との間の経過時間(すなわちT3−T1)を測定することにより、回路115は第二光パルス125の伝播時間を判定する。回路115はまた、タイムスタンプのような、タイミング情報と共に受信機110から受信されるサンプルを連続的に記録し、後処理用タイミング情報を伴うサンプルを記録するサンプリング電子機器をも含む。記録される情報は保存され、次々と処理されて受信パルスと送信パルスとの間の関連を判定し、その結果、記録される情報から距離及び/又は面模型を導く。
【0022】
サンプリングされるデータは更に波形(すなわち強度分布)を含む。回路115は更に強度波形記録機器及び/又は極値強度記録機器を含む。伝播時間測定機器又はある用途と通常組み合わされることが知られる本明細書で考察される任意の機器又は他の機器は、一つの機器に本明細書で開示される形態と組み合わされ得る。波形記録機器の一形態は、デジタルサンプリング機器を伴うオシロスコープに類似すると考えられてよい。波形記録機器は、受信機110からサンプルを受信し、即時応答解析及び/又は後処理のために波形情報を記録する回路115を含むことができる。強度記録機器はまた、受信機110からサンプルを受信し、強度情報を即時応答解析及び/又は後処理のために記録する回路115を含むことができる。
【0023】
本明細書で説明される形態はまた、コンピュータ可読媒体を含むことができ、そこに保存されるコンピュータで実行可能な命令又はデータ構造を搬送又は有することができる。このようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は特用のコンピュータにより接続可能な任意の利用可能な媒体であってよい。例えば、このようなコンピュータ可読媒体はRAM、ROM、EEPROM、CD−ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、又は任意の他の媒体を備えることができるが、これらに限定されない。これらの媒体は、所望のデータ及びコンピュータで実行可能な命令又はデータ構造の形式のプログラム・コード手段を搬送又は保存するために利用され得て、且つ汎用コンピュータ、特用コンピュータ又は他のデータ処理機器により接続可能な媒体である。コンピュータで実行可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、特用コンピュータ又は他のデータ処理機器にある機能又は機能の一群を実行させる命令及びデータを含む。
【0024】
回路115はメモリに保存される命令を実行し、計算、保存及びメモリからデータの検索を実行し、且つ本明細書に記載される他の作業を実行するためのデータ処理機器を含むことができる。例えば、回路115は、従来のコンピュータ又は特用コンピュータ又はデータプロセッサ、メモリ、及びユーザインターフェイスを有する他のデータ処理機器を含むことができる。
【0025】
図3を参照すると、伝播時間測定装置が、地形情報を収集するためのシステムを含んで説明される。システムは、LIDAR305を有する航空機300型の運送機、GPS310型の位置測定ユニット、及びIMU315型の方向測定装置を含む。LIDER305は、以前に発せられる光パルスの反射部分を受信する前に、少なくとも一つの次の光パルスを発するように構成され、例えば図1及び図2を参照されたい。LIDER305から発せられる光パルスは、面325の一部位に亘る範囲及び/又は強度測定をするように走査角度320で発せられる。サンプリングされる面325の部位はLIDAR305の走査角度320に関連する。LIDAR305の走査角度320は面325の等高線を決定し、既知の三角方程式を利用する収集されるデータから、点群、DSM又はDTMのような、その結果生じるデータ模型を生成するように考慮される。LIDER305は樹木の下部の詳細を与えることもでき、夜間に「観察する」こともでき、且つ(ソフトウェアを利用して)標準化された画像を提供することができる。
【0026】
GPS310は、複数の衛星330から信号を受信して、衛星330から受信した信号から位置データを計算する。GPS330は任意の位置測定機器を含む。位置データは、所定の時点における航空機300の位置を記述する、経度、経度、及び高度のデータを含む。IMU315は、航空機300の姿勢の変化を測定する、任意の方向測定機器を含む。例えば、IMU315は、航空機300の上下動、傾き、及び機首方位の変化を測定する。
【0027】
航空機はLIDAR305、GPS310及び/又はIMU315から受信されるデータを処理し、面325を記述する高度空間解像データ模型を生成するための回路335を含む。例えば、航空機300は面325を含む企画領域を飛びながら、光パルスが、一度に伝播中である複数の光パルスを伴い高速で地面に向けて発せられる。これらの光パルスは面325及び/又は樹木及び建造物のような面325上の物体により反射される。各光パルスに対して、発信と受信との間の経過時間が測定され、その測定により距離を計算されることが可能となる。同時に、航空機300の位置及び姿勢は空中のGPS310及びIMU315を利用して測定される。GPSの地面参照局340は確度を増大させるためにも利用されてよい。
【0028】
光パルスの往復経過時間を記録することに加えて、戻り反射の強度もまた記録される。強度情報はグラフ曲線の形式に写像され、正射写真と類似の処理により生成される。光パルスが面325以上に当たる場合、光パルスは、例えば、送電線及び樹木のような別の物体により反射される。更なる戻り信号は各光パルスに対して、サンプリングされた領域に関する情報を生成しながら記録される。後処理ファームウェア及び/又はソフトウェアは、航空機内で実現されるか、又はデータ収集処理の後、航空機の軌跡と光パルス走査データとを組み合わせて、データ点の地上座標を計算する。必要であれば、利用者に好まれる投影図及びデータに変換することができる。大気を同時に伝播する複数のレーザーパルスから時間間隔の測定結果を処理することは、時間間隔(例えば図2における時間150)中に発生する個々の信号又は複数の戻り反射パルスの検出を制限しない。複数のパルスを処理する利点はまた、任意の時間中に存在する可能性のある全戻り信号の波形(例えば、図2に置ける戻り反射120,125及び130)を記録するシステムとなることである。
【0029】
後処理ファームウェア及び/又はソフトウェアは大気の状態、ハードウェアの特性及び他の重要なパラメータと共にLIDAR305、GPS310及びIMU315から受信されるデータを組み合わせ、地上の点に対するXYZ座標(戻り信号の強度データを伴う選択もできる)の系列を生成することができる。データ収集処理を行いながら、数百万個のそのような点が取得され、DTMを提供する。
【0030】
図4を参照すると、物体又は地勢面のような面を記述するデータを収集するための方法が説明される。この方法は第一光パルスを送信することを含む(400)。第一光パルスはレーザーにより送信されて、面へのある軌跡及び走査角度を有する。第二光パルスは第一光パルスが送信された後に送信される(410)。本明細書に開示される任意の形態において、第二光パルスは第一光パルスと同じレーザーにより送信され、また、第二光パルスは第一光パルスと異なるレーザーにより送信される。第二光パルスは、第一光パルスとは異なる軌跡及び走査角度を有し、面の異なる位置で検出される。第一光パルスの反射部分は第二光パルスが送信された後に受信される(420)。従って、第一光パルスが受信される前に、少なくとも第一及び第二の光パルスが同時に「伝播中」である。更なる光パルスが送信されて、本明細書で開示される形態はある時間に二つの光パルスのみが一時に「伝播中」であることに制限されない。従って、三、四、それ以上の光パルスがある一時に「伝播中」であってもよく、同じ又は異なるレーザーで送信されてもよく、送信される光パルスの反射部分は同じ又は異なる受信機により受信されてもよい。光パルスは異なる波長を有することができ、受信信号を送信信号に関連付けるために変調及び/又は偏光され得る。受信機のサンプリングは、上記図2を参照して考察されたように、ある期間(すなわちゲート)の間実行される。
【0031】
第二光パルスの反射部分が受信される(430)。第一光パルスの伝播時間が判定される(440)。第一光パルスの伝播時間は、第一光パルスの送信と第一光パルスの反射部分の受信時刻との間の経過時間を測定することにより判定される。第二光パルスの伝播時間もまた判定される(450)。第二光パルスの伝播時間は、第二光パルスの送信と第二光パルスの受信時刻との間の経過時間を測定することにより判定される。第一及び第二の光パルスの進行距離は各光パルスの伝播時間を利用して計算される(460)。例えば、各光パルスの進行距離は上記式1を利用して計算される。点群、SDM又はDTMのようなデータ模型は、伝播距離を利用して生成される(470)。データ模型は第一及び第二の光パルスの傾斜角度を考慮に入れることができ、更なる光パルスから受信されるデータを含むことができる。例えば数百万の光パルスがデータ模型を生成するために利用されてもよい。
【0032】
光パルスはレーザーを利用して送信されて、光パルスの反射部分はアバランシェ光ダイオード、PIN光ダイオード、光多重化器、チャンネル多重化器、真空ダイオード、到着時刻出力を伴う撮像配列、又は当業者にとって既知の任意の他のタイプの検出器のような検出器を利用して検出され得る。検出器はある時間中サンプリングされて、時間は、少なくとも航空機と感知される面との間の最大及び最小の距離に少なくとも部分的に基づいて計算されるタイミング及び期間を有する。例えば、航空機が飛行する空域の、地上の最高点が海抜700フィート(約215メートル)で、最低点が0フィート(0メートル)であるとき、サンプリング時間のタイミング及び期間が推定される。パルスの戻り部が受信されるであろうと期待される時刻は、光速及び航空機の地上からの高度の範囲に少なくとも部分的に基づく。
【0033】
レーザー及び受信機は例えば図1及び図2のレーザー測距システムの一部であり、レーザー測距システムは、光パルスの送信及び受信を記述する電子信号を生成する。更なる情報がGPS及びIMUから受信されて、図3に示される航空機のような、LIDAR、GPS及びIMUが搭載される運送機の位置及び高度を記述する。点群又はDTMはLIDAR、GPS及びIMUから受信されるデータに少なくとも一部基づいて作成される。
【0034】
本明細書で考察される装置は物体及び地勢の面を記述する情報収集用の用途と共にして記述されてきたが、装置は地震学、障害検出、バイオマス測定、風速測定、温度計算、交通速度測定、軍事目標識別、大気調査、気象学、距離測定及び数多くの他の用途のような様々な他の用途に利用され得るが、これらには制限されないことが認識されるべきである。
【0035】
本明細書の教示に従う、伝播時間測定機器装置は、特許文献1に開示されるレーザー走査器のようなレーザー走査器を含むことができ、この特許の内容は参照によって本明細書に組み込まれる。特許文献1に開示されるようなレーザー走査器は、点を収集して、第二光パルスの前に送信される第一光パルスを送信することにより、点群を形成するために利用され得る。第二光パルスは第一光パルスの反射部分が、レーザー走査器の光受信機により受信される前に送信される。コンピュータは各点を点群としてディスプレイに表示することができ、ディスプレイとは、モニタ、投影スクリーン及びステレオ画面のような機器を含む。点を表示することにより、コンピュータは、周知の原理に従うソフトウェアからの命令に基づいてピクセル値を割り当てる。点群中の各点は、レーザー走査器が感知した物体の表面上の点からの実際の意味での距離を表現することができる。
【0036】
本発明はこの技術思想又は本質的な特性から乖離せずに他の特定の形式で実施されるかもしれない。記述された形態はあらゆる側面において説明としてのみ考えられるべきであり、制限として考えられるべきでない。本発明の範囲は、従って前述の記述よりはむしろ、添付される請求項により示される。請求項の目的及び均等物の範囲内になる全ての変化は、これらの範囲に包含されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例に従う伝播時間測定装置の図。
【図2】伝播時間測定装置における信号を送信及び受信するための方法の図。
【図3】地勢情報を収集するためのシステムの図。
【図4】地勢を記述するデータを収集するための方法の図。
【符号の説明】
【0038】
100…伝播時間測定装置、105…TOSA、110…ROSA、115…回路、120…第一光パルス、125…第二光パルス、135…走査部品、140…面、300…航空機、305…LIDAR、310…GPS、315…IMU、320…走査角度、325…面、335…回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝播時間測定装置であって、
光を送信するように構成されるレーザーと、
光を受信するように構成される光受信機と、
前記レーザーが第二光パルスの前に第一光パルスを送信するように構成されるレーザー制御回路であって、前記レーザー制御回路は更に前記第一光パルスの反射部分が前記光受信機により受信される前の時刻に、レーザーに前記第二光パルスを送信させるように構成される、レーザー制御回路と、
前記レーザーによる前記第一光パルスの送信と前記光受信機による前記第一光パルスの前記反射部分の受信との間の経過時間を測定するように構成される経過時間回路と、
を備える、伝播測定時間装置。
【請求項2】
前記伝播時間測定装置は更に、
前記経過時間の少なくと一部に基づいて前記装置と面との間の距離を計算するように構成されるデータ処理機器
を備える、請求項1に記載の伝播時間測定装置。
【請求項3】
前記伝播時間測定装置は更に、
前記レーザーにより異なる走査角度で送信される前記第一及び第二の光パルスを方向付けるように構成される走査部品を備える、請求項1に記載の伝播時間測定装置。
【請求項4】
前記伝播時間測定装置は更に、
前記光受信機に結合されるタイミング回路であって、前記タイミング回路は前記光受信機から第一時間中に電子信号をサンプリングするように構成され、前記第一時間は、前記レーザー測距システムから前記面までの距離の範囲及び前記第一光パルスの走査角度の少なくとも一部に基づいて、前記第一光パルスの反射部分が前記光受信機に受信されると推定される時間に近似する、タイミング回路を備える、請求項1に記載の伝播時間測定装置。
【請求項5】
前記タイミング回路は更に前記レーザー測距システムから前記面までの距離の範囲及び前記第二光パルスの走査角度の少なくとも一部に基づいて、前記光受信機から前記第二光パルスの反射部分が前記光受信機に受信されると推定される時間に近似する第二時間中に電子信号をサンプリングするように構成される、請求項4に記載の伝播時間測定装置。
【請求項6】
前記伝播時間測定装置は更に、前記光受信機からの個別の戻り反射パルス、複数の反射パルス、又は全戻り反射パルスの波形の特性を受信するように構成されるサンプリング用電子機器を備える、請求項1に記載の伝播時間測定装置。
【請求項7】
前記前記レーザー制御回路は更に前記第一光パルスが送信された後、前記第一光パルスの前記反射部分が前記光受信機により受信される前に、前記レーザーが少なくとも一つの更なる光パルスを送信するように構成される、請求項1に記載の伝播時間測定装置。
【請求項8】
前記経過時間回路は更に、前記レーザーによる前記第二光パルスの送信と、前記光受信機による前記第二光パルスの反射部分の受信との間の時間を計算するように構成され、前記光受信機による前記第二光パルスの前記反射部分の受信の前に、前記第一光パルスの前記反射部分が前記光受信機により受信される、請求項1に記載の伝播時間測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の伝播時間測定装置を備えるレーザー測距システムであって、前記レーザー測距システムは更に、
前記レーザー測距システムを搭載可能な運送機と、
位置測定ユニットと、
慣性測定ユニットと、
走査サブシステムと、
から成る組の少なくとも一つ又は任意の組み合わせ
を備えるレーザー測距システム。
【請求項10】
請求項1に記載された伝播時間測定装置を備えるレーザー走査器。
【請求項11】
地勢を記述する情報を収集するためのシステムであって、
以前に発せられた光パルスの反射部分を受信する前に少なくとも一つの次の光パルスを送信するように構成される、光検出及び測距(LIDAR)システム
を備えるシステム。
【請求項12】
前記LIDARシステムを搭載する運送機と、
位置測定ユニットと、
方向測定ユニットと、
から成る組の少なくとも一つ又は任意の組み合わせを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記LIDARシステムは更に、
前記光パルスを発するように構成されるレーザーと、
前記少なくとも一つの次の光パルスが送信された後に、前記以前に発せられた光パルスの反射部分を受信するように構成される光受信機と、
前記第一光パルスの送信と、前記光受信機による前記第一光パルスの前記反射部分の受信との間の経過時間を計算するように構成される経過時間回路と、
を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記位置測定ユニットは複数の衛星から信号を受信し、且つ前記衛星から受信される前記信号から前記運送機の位置データを計算し、前記位置データは、緯度、経度及び高度のデータを含み、且つ前記方向測定ユニットは前記運送機の姿勢データを計算し、前記姿勢データは機首方位データ、上下動データ、及び傾きデータを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記LIDARから範囲データを受信するように構成されるデータ処理ユニットであって、前記データ処理ユニットは更に上下動、傾き及び機首方位のデータを前記方向測定ユニットから受信するように構成され、前記データ処理ユニットは更に、緯度、経度及び高度のデータを前記位置測定ユニットから受信するように構成されるデータ処理ユニットを更に備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記データ処理ユニットは更にコンピュータ可読媒体に保存されるコンピュータで実行可能な命令を含み、前記コンピュータで実行可能な命令は、データ処理ユニットに、前記LIDAR、位置測定ユニット、及び方向測定ユニットから受信される前記データの少なくとも一部に基づいて、地勢を記述するデジタル地勢模型(DTM)又は点群を生成させるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記位置測定ユニットが全地球測位システム(GPS)であり、且つ前記方向測定ユニットが慣性測定ユニット(IMU)である、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
面を記述するデータを収集するための方法であって、前記方法は、
第一光パルスを送信すること、
前記第一光パルスが送信された後に第二光パルスを送信すること、
前記第二光パルスが送信された後に前記第一光パルスの反射部分を受信すること、
前記第一光パルスの送信と、前記第一光パルスの前記反射部分の受信の時刻との間の経過時間を判定することにより、前記第一光パルスの伝播時間を判定すること、
を備える方法。
【請求項19】
前記第一光パルスの前記反射部分が受信された後に前記第二光パルスの反射部分を受信すること、
前記第二光パルスの前記送信と前記第二光パルスの前記反射部分の受信の時刻との間の時間を判定することを含む前記第二光パルスの伝播時間を判定すること、
を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一光パルスの進行距離を計算すること、
前記第二光パルスの進行距離を計算すること、
を更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光パルスはレーザーを利用して送信される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記反射部分は所定の時間中にサンプリングされ、前記時間と前記所定の時間のタイミングは、航空機と前記航空機の下の地面との間の最大及び最小の距離及び前記第一及び第二の光パルスの走査角度の少なくとも一部に基づいて計算される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第一光パルスの変調、偏光、又は特定の波長を採用することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記第一光パルスの前記反射部分の前記変調、偏光又は波長に基づいて、前記第一光パルスの前記反射部分を前記送信された第一光パルスに関連付けることを更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第一光パルスと異なる、前記第二光パルスの変調、偏光又は光の波長を採用することを更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記光パルスは光検出及び測距(LIDAR)システムにより送信され、
前記LIDARから、前記第一光パルスの伝播時間を記述する信号を受信すること、
位置測定ユニットから、前記LIDARユニットと位置測定ユニットが搭載される運送機の位置を記述する信号を受信すること、
方向測定ユニットから前記運送機の姿勢の変化を記述する信号を受信すること、
を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記LIDAR、前記方向測定ユニット、及び前記位置測定ユニットから受信される情報の少なくとも一部に基づいてデジタル地勢模型(DTM)を生成すること
を更に備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記面を記述する、デジタル地勢模型(DTM)、デジタル面模型(DSM)、又は点群を生成することを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
個別の戻り反射パルス、複数の反射パルス、又は全戻り反射パルスの波形を記述する情報を、コンピュータ可読媒体に記録することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記第一、第二及びこれに続く光パルスの反射部分の波形の解析を実行することを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
地勢図作成、深浅測量の実行、地震学の実践、障害検出、バイオマス測定、風速測定、オゾン測定、温度計算、交通速度測定、目標識別、地対空距離測定、調査、狭域写真測量技術、大気解析、気象学の実践、又は距離測定を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
以前に発せられた光パルスの反射部分を受信する前に、少なくとも二つの連続する光パルスを送信すること、
各光パルスの伝播時間を判定すること、
を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
コンピュータ可読媒体に保存されたコンピュータで実行可能な命令を有する前記コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータで実行可能な命令は、コンピュータに請求項28に記載の前記DTM、前記DSM又は前記点群の模型を生成させるように構成されるコンピュータ可読媒体。
【請求項34】
請求項18に記載の方法に従う、少なくとも一つのレーザーにより光の前記送信が制御されるように構成される回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−240516(P2007−240516A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290973(P2006−290973)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(501116608)ライカ ジオシステムズ アクチェンゲゼルシャフト (70)
【Fターム(参考)】